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JP2023109594A - 発泡塩化ビニル系樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

発泡塩化ビニル系樹脂シート及びその製造方法 Download PDF

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JP2023109594A
JP2023109594A JP2022011186A JP2022011186A JP2023109594A JP 2023109594 A JP2023109594 A JP 2023109594A JP 2022011186 A JP2022011186 A JP 2022011186A JP 2022011186 A JP2022011186 A JP 2022011186A JP 2023109594 A JP2023109594 A JP 2023109594A
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JP2022011186A
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千典 藤原
Kazunori Fujiwara
誠司 織田
Seiji Oda
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Shin Dai Ichi Vinyl Corp
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Shin Dai Ichi Vinyl Corp
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Abstract

【課題】発泡特性に優れると共に、引張強度、伸び性などの機械物性に優れた発泡塩化ビニル系樹脂シート、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】塩化ビニル系樹脂と、SP値が7.5~11.0の弾性樹脂と、可塑剤とを含み、前記弾性樹脂が、前記塩化ビニル系樹脂及び弾性樹脂の合計量100質量部に対して0.8~16質量部含まれる発泡塩化ビニル系樹脂シート、及びその製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡塩化ビニル系樹脂シート及びその製造方法に関する。
発泡塩化ビニル系樹脂シートは、壁紙(壁材)、タイルカーペット(床材)等の建築資材や、ブックカバー等の文具といった様々な用途で用いられている。このような発泡塩化ビニル系樹脂シートを備えた壁紙に関して、その機能性向上を目的として種々の提案がなされている(特許文献1~3参照)。
特開2006-187928号公報 特開2003-301385号公報 特開2014-109087号公報
壁紙等の建築資材においては、下地の収縮、ずれ、歪みによって生じるひび割れを防止できるような機械的強度が求められている。また、ブックカバー等の文具においても、優れた機械的強度が求められている。
本発明の課題は、発泡特性に優れると共に、引張強度、伸び性などの機械物性に優れた発泡塩化ビニル系樹脂シート、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、発泡塩化ビニル系樹脂シートの機械的強度を向上させるべく、塩化ビニル系樹脂にフッ素ゴム(FKM)等の弾性樹脂を配合することを試みたが、十分な発泡特性が得られないといった問題や、期待した機械物性が得られないといった問題に直面した。
本発明者らはさらに鋭意研究した結果、塩化ビニル系樹脂に、特定のSP値を有する弾性樹脂を所定の割合で配合することにより、発泡塩化ビニル系樹脂シートの十分な発泡特性を維持しつつ、引張強度、伸び性などの機械物性を向上させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。さらに、本発明者らは、特定のSP値を有する弾性樹脂を所定の割合で配合することにより、発泡塩化ビニル系樹脂シートが優れた応力緩和性を発揮することを見いだした。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]塩化ビニル系樹脂と、SP値が7.5~11.0の弾性樹脂と、可塑剤とを含み、前記弾性樹脂が、前記塩化ビニル系樹脂及び弾性樹脂の合計量100質量部に対して0.8~16質量部含まれることを特徴とする発泡塩化ビニル系樹脂シート。
[2]前記塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度が450~1800であることを特徴とする上記[1]に記載の発泡塩化ビニル系樹脂シート。
[3]前記弾性樹脂が、ブタジエン系ゴム、熱可塑性ポリウレタン、クロロプレンゴム、及び塩素化ポリエチレンから選択される少なくとも一種であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の発泡塩化ビニル系樹脂シート。
[4]上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造する方法であって、塩化ビニル系樹脂と、SP値が7.5~11.0の弾性樹脂と、可塑剤とを混練し、得られた混練物をシート成型した後、得られたシートを発泡させることを特徴とする発泡塩化ビニル系樹脂シートの製造方法。
[5]前記のシート成型が、カレンダー成型であることを特徴とする上記[4]に記載の発泡塩化ビニル系樹脂シートの製造方法。
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートは、発泡特性に優れると共に、引張強度、伸び性などの機械物性に優れる。
[発泡塩化ビニル系樹脂シート]
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートは、塩化ビニル系樹脂と、SP値が7.5~11.0である弾性樹脂(以下、単に弾性樹脂という)と、可塑剤とを含み、弾性樹脂が、塩化ビニル系樹脂及び弾性樹脂の合計量100質量部に対して0.8~16質量部含まれる。
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートは、連続又は不連続の空隙部を有する発泡性シートであり、空隙率が例えば50%以上のものをいい、好ましくは55%以上のものをいう。また、シート厚が、例えば0.1~10.0mm程度のものをいう。
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートは、塩化ビニル系樹脂と相溶性のよい弾性樹脂を含むことから、発泡特性に優れると共に、引張強度、伸び性などの機械物性に優れる。したがって、壁紙や床材等の建築資材や、ブックカバー等の文具において有用である。具体的に、本発明の発泡塩化ビニル系樹脂は、発泡倍率、発泡セル緻密性に優れ、また表面平滑性にも優れる。また、引張強度、伸び性が向上し、表面強度も高いものとなる。さらに、本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートは、応力緩和性に優れる。すなわち、エンボス加工後のエンボス戻りが小さく、優れた形状保持性(柄保持性)を示すため、例えば、壁紙や床材用途に好適である。
(塩化ビニル系樹脂)
本発明における塩化ビニル系樹脂としては、サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂等を挙げることができ、サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂が好ましい。これらは、併用してもよい。
(サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂)
サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルのホモポリマーの他、塩化ビニルを主体とする共重合体であってもよい。塩化ビニルを主体とするとは、例えば、塩化ビニルが全体の50質量%以上であることをいい、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
塩化ビニルと共重合し得る単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸-N,N-ジメチルアミノエチル等の不飽和モノカルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和アミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸;これらのエステルおよびこれらの無水物;N-置換マレイミド類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニリデン等のビニリデン化合物等を挙げることができる。
サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂は、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂よりも粒子径が大きく、通常、平均粒子径(D50)が50~200μmの粒子である。平均粒子径(D50)は、70~180μmであることが好ましく、100~150μmであることがより好ましい。この平均粒子径(D50)は、JIS Z8815(乾式ふるい分け試験法)により、JIS Z8801のふるいを用いた50%通過径として示す。
サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度は、450~1800であることが好ましく、700~1800であることがより好ましく、800~1500であることがさらに好ましい。この範囲の重合度であることにより、本発明の効果を有効に発揮することができる。
平均重合度は、塩化ビニル樹脂試験法(2003年4月 塩ビ工業・環境協会発行)の測定方法に従い、JIS K7367-2に準拠して測定した還元粘度(K値)を、近似式:K値=20.42×Ln(重合度)-74.93で換算する。
サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂は、多孔質であり、そのポロシティ(細孔容積)は、例えば0.05~0.45ml/gであり、0.10~0.40ml/gであることが好ましく、0.15~0.35ml/gであることがより好ましい。
ポロシティは、水銀圧入法(ポロシメーター)により求めることができる。
本発明のサスペンジョン系塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独で、又は塩化ビニルとこれと共重合可能な不飽和単量体とからなる単量体混合物を従来公知の方法で重合することにより得ることができる。例えば、懸濁重合により得ることができる。温度、分散剤の種類や量、撹拌速度等の各種反応条件を適宜設定して、所望の重合度やポロシティの樹脂を得ることができる。
(ペースト加工用塩化ビニル系樹脂)
ペースト加工用塩化ビニル系樹脂としては、サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂と同様、塩化ビニルのホモポリマーの他、塩化ビニルを主体とする共重合体が含まれる。
ペースト加工用塩化ビニル系樹脂は、通常、サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂よりも粒子径が小さく、一次粒子の平均粒子径(D50)が0.1~10μmの微粒子である。平均粒子径(D50)は、0.1~5.0μmであることが好ましく、0.5~3.0μmであることがより好ましい。
この平均粒子径(D50)は、体積基準で求めた粒度分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において50%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積50%径を意味する。粒度分布は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば(株)堀場製作所製LA-960)により求めることができる。
ペースト加工用塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度は、450~1800であることが好ましく、700~1800であることがより好ましく、800~1500であることがさらに好ましい。この範囲の重合度であることにより、本発明の効果を有効に発揮することができる。
この粘度平均重合度は、サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂の場合と同様に算出する。
本発明のペースト加工用塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独で、又は塩化ビニルとこれと共重合可能な不飽和単量体とからなる単量体混合物を従来公知の方法で重合することにより得ることができる。例えば、乳化重合(播種乳化重合を含む)により得ることができる。
(弾性樹脂)
本発明における弾性樹脂は、上記のように、SP値が7.5~11.0である弾性樹脂である。SP値がこの範囲から外れる弾性樹脂の場合、発泡セルの緻密性、表面平滑性が悪化すると共に、ゴム弾性が発現し、エンボス性が悪化する。すなわち、本発明におけるSP値の弾性樹脂は、塩化ビニル系樹脂と良好に相溶するため、塩化ビニル系樹脂の優れた発泡特性を維持できると共に、弾性樹脂の特徴であるゴム的性質(エンボス戻り性)を抑制して、塩化ビニル系樹脂の優れた応力緩和性を維持することができる。SP値は、8.0~10.5であることが好ましい。
具体的に、弾性樹脂としては、例えば、アクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)、スチレン・ブタジエン系ゴム(SBR)等のブタジエン系ゴム;熱可塑性ポリウレタン(TPU);ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC);クロロプレンゴム(CR);アクリルゴム(ACM);クロロスルホン化ポリエチレン(CSM);塩素化ポリエチレン(CPE)が挙げられる。これらの中でも、ブタジエン系ゴム、熱可塑性ポリウレタン、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンが好ましく、アクリルニトリル・ブタジエン系ゴムが特に好ましい。これらは、2種以上併用してもよい。
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートにおける弾性樹脂は、塩化ビニル系樹脂及び弾性樹脂の合計量100質量部に対して0.8~16質量部含まれる。0.8質量%未満であると、引張強度や伸び性といった機械物性の十分な向上がみられない。一方、16質量%を超えると、発泡特性が悪化すると共に、ゴム的性質が優位となり、応力緩和性が悪くなることにより、エンボス時のエンボス戻りが発生し、エンボス柄の転写性が悪化する。弾性樹脂は、塩化ビニル系樹脂及び弾性樹脂の合計量100質量部に対して1~15質量部含まれることが好ましく、1~10質量部含まれることがより好ましい。
(可塑剤)
本発明における可塑剤としては、従来公知の可塑剤を使用することができる。
本発明においては、例えば、ジブチルフタレート、ジ-(2-エチルヘキシル)フタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体;ジ-(2-エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート、ジイソノニルフタレートなどのイソフタル酸誘導体;ジ-(2-エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ-n-オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体;ジ-n-ブチルアジペート、ジ-(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体;ジ-(2-エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ-n-ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体;ジ-n-ブチルセバケート、ジ-(2-エチルヘキシル)セバケートなどのセバシン酸誘導体;ジ-n-ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ-(2-エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸誘導体;ジ-n-ブチルフマレート、ジ-(2-エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体;トリ-(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリ-n-オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ-n-ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸誘導体;テトラ-(2-エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ-n-オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ-n-ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ-(2-エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ-(2-エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体;ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエートなどのオレイン酸誘導体;グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤;あるいは部分水添ターフェニル、接着性可塑剤;さらにはジアリルフタレート、アクリル系モノマーやオリゴマーなどの重合性可塑剤などを用いることができる。これらの可塑剤は2種以上併用してもよい。
(その他の成分)
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートにおいては、塩化ビニル系樹脂、弾性樹脂及び可塑剤に加えて、その他の各種成分を配合してもよい。その他の成分としては、例えば、熱安定剤、充填剤、発泡促進剤、粘度調整剤、接着性付与剤、着色剤、希釈剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、補強剤を挙げることができる。
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートは、軟質であり、例えば、壁材、床材、ブックカバー、レザー等の発泡樹脂層として用いることができる。
[発泡塩化ビニル系樹脂シートの製造方法]
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートの製造方法は、塩化ビニル系樹脂と、SP値が7.5~11.0の弾性樹脂と、可塑剤とを混練し、得られた混練物をシート成型した後、得られたシートを発泡させる。本製造方法により、上記本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造することができる。
本発明の製造方法においては、上記のように、少なくとも塩化ビニル系樹脂、弾性樹脂及び可塑剤を混錬した原料塩化ビニル系組成物(コンパウンド又はプラスチゾル)を原料として用いるが、これ以外の成分を配合してもよい。例えば、上記例示したその他の成分の他、発泡剤を用いることが好ましい。
発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アミド化合物、ホウ水素化ナトリウム等の無機発泡剤;イソシアネート化合物、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジ化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物等の有機系発泡剤等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
なお、本発明の製造方法においては、必ずしも発泡剤を用いる必要はなく、例えば、マイクロカプセルや、揮発性液体の使用、機械発泡が挙げられる。
シート成型の方法としては、例えば、カレンダー成型法、押出成型法、インフレーション成型法等が挙げられ、効率的にシート成型を行うことができると共に、本発明の効果を有効に発揮させることができることから、カレンダー成型が好ましい。カレンダー成型においては、はじめに塩化ビニル系樹脂及び可塑剤を含む組成物を装置に投入し、シート成型中に弾性樹脂を後から添加することが好ましい。シート成型時の加熱温度としては、原料塩化ビニル系組成物が溶融し、発泡剤が分解発泡しない温度であれば特に制限されるものではなく、例えば、110~230℃であり、140~170℃が好ましい。
シート成型後、シートが発泡剤を含む場合は、発泡剤が発泡する温度に加熱して、シートを発泡させる。加熱温度としては、発泡剤が分解する温度であれば特に制限されるものではなく、例えば、110~230℃であり、180~210℃が好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
塩化ビニル系樹脂としての粘度平均重合度1020のサスペンジョン系塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製ZEST 1000Z)99質量部と、可塑剤としてのジ-(2-エチルヘキシル)フタレート((株)ジェイ・プラス製DOP)58質量部と、炭酸カルシウム15質量部と、発泡剤としての(三協化成(株)製セルマイクC-2)2.5質量部と、安定剤としての((株)ADEKA製SC-320)3質量部と、加工助剤としての(三菱ケミカル(株)製メタブレンP-530A)1質量部とを、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製UM2E/I)で3000回転で樹脂温度が120℃に昇温されるまで混合し、塩化ビニル系組成物(コンパウンド)を調製した。
調製した塩化ビニル系組成物をカレンダー成型装置に投入し、シート成型中に弾性樹脂としてのアクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)1質量部を加え、作製したシートを加熱して発泡させ、実施例1に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例2]
実施例1において、塩化ビニル系樹脂の配合量99質量部を95質量部とし、弾性樹脂の配合量1質量を5質量部とした以外は同様にして、実施例2に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例3]
実施例1において、塩化ビニル系樹脂の配合量99質量部を90質量部とし、弾性樹脂の配合量1質量を10質量部とした以外は同様にして、実施例3に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例4]
実施例1において、塩化ビニル系樹脂の配合量99質量部を85質量部とし、弾性樹脂の配合量1質量を15質量部とした以外は同様にして、実施例4に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[比較例1]
実施例1において、塩化ビニル系樹脂の配合量99質量部を100質量部とし、弾性樹脂の配合量1質量を0質量部(無配合)とした以外は同様にして、比較例1に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[比較例2]
実施例1において、塩化ビニル系樹脂の配合量99質量部を80質量部とし、弾性樹脂の配合量1質量を20質量部とした以外は同様にして、比較例2に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例5]
実施例2において、粘度平均重合度1020の塩化ビニル系樹脂を、粘度平均重合度460の塩化ビニル系樹脂に変更した以外は同様にして、実施例5に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例6]
実施例2において、粘度平均重合度1020の塩化ビニル系樹脂を、粘度平均重合度810の塩化ビニル系樹脂に変更した以外は同様にして、実施例6に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例7]
実施例2において、粘度平均重合度1020の塩化ビニル系樹脂を、粘度平均重合度1320の塩化ビニル系樹脂に変更した以外は同様にして、実施例7に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例8]
実施例2において、粘度平均重合度1020の塩化ビニル系樹脂を、粘度平均重合度1740の塩化ビニル系樹脂に変更した以外は同様にして、実施例8に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[比較例3]
実施例5において、塩化ビニル系樹脂の配合量95質量部を100質量部とし、弾性樹脂の配合量5質量を0質量部(無配合)とした以外は同様にして、比較例3に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[比較例4]
実施例6において、塩化ビニル系樹脂の配合量95質量部を100質量部とし、弾性樹脂の配合量5質量を0質量部(無配合)とした以外は同様にして、比較例4に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[比較例5]
実施例7において、塩化ビニル系樹脂の配合量95質量部を100質量部とし、弾性樹脂の配合量5質量を0質量部(無配合)とした以外は同様にして、比較例5に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[比較例6]
実施例8において、塩化ビニル系樹脂の配合量95質量部を100質量部とし、弾性樹脂の配合量5質量を0質量部(無配合)とした以外は同様にして、比較例6に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例9]
実施例2において、弾性樹脂であるアクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)を、熱可塑性ポリウレタン(SBR)に変更した以外は同様にして、実施例9に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例10]
実施例2において、弾性樹脂であるアクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)を、弾性樹脂である熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変更した以外は同様にして、実施例10に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例11]
実施例2において、弾性樹脂であるアクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)を、弾性樹脂であるクロロプレンゴム(CR)に変更した以外は同様にして、実施例11に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例12]
実施例2において、弾性樹脂であるアクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)を、弾性樹脂であるクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)に変更した以外は同様にして、実施例12に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例13]
実施例2において、弾性樹脂であるアクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)を、弾性樹脂であるアクリルゴム(ACM)に変更した以外は同様にして、実施例13に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[実施例14]
実施例2において、弾性樹脂であるアクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)を、弾性樹脂である塩素化ポリエチレン(CPE)に変更した以外は同様にして、実施例14に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
[比較例7]
実施例2において、弾性樹脂であるアクリルニトリル・ブタジエン系ゴム(NBR)を、SP値が本発明の範囲から外れる弾性樹脂であるフッ素ゴム(FKM)に変更した以外は同様にして、比較例7に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造した。
上記実施例1~14及び比較例1~7に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートについて、引張伸び率、引張強度、応力残留率、発泡セル緻密性、表面平滑性、発泡倍率を以下の方法で評価した。
(引張試験用サンプル)
発泡塩化ビニル系樹脂シートのカレンダーロール方向(MD)から1号ダンベル型引張り試験片を各10枚ずつ作成し、引張試験用サンプルとした。
(引張伸び率、引張強度、応力残留率)
引張試験用サンプルをオートグラフ((株)島津製作所製AGS-H)で引張伸び率、引張強度及び応力残留率を測定した。引張試験は、つかみ間距離40mm、試験速度3mm/分で引張試験用サンプルを引張り、発泡塩化ビニル系樹脂シートが破れ始めた時の伸びをつかみ間距離で除した値を伸び率とした。また、発泡塩化ビニル系樹脂シートが破れ始める前の最大応力を引張強度とし、n=5の平均値を求めた。応力残留率は、つかみ間距離が40mmから60mmになるまで試験速度40mm/分で引張り、その直後の応力を初期応力σとし、それから600秒経過後の応力をσとし、応力残留率=(σ/σ)×100とし、n=5の平均値を求めた。
(発泡セル緻密性の評価)
発泡塩化ビニル系樹脂シートの断面をCCDカメラ50倍で拡大観察を行い、発泡セルの緻密性について以下の基準で評価した。
〇:極めて緻密で均一な発泡セルを有する。
△:やや粗い、もしくは不均一な発泡セルを有する。
×:粗い発泡セルを有する。
(表面平滑性)
表面の目視観察、断面の表層部を拡大観察し、以下の基準で評価した。
〇:全体が平滑である
△:大部分が平滑であるが、部分的に凹凸がある
×:全体的に不均一な膨れや凹凸がある
(発泡倍率)
上記作製したカレンダー成型シート上の任意の5点で厚みを測定し、その平均値を発泡前の厚みLとした。また、加熱発泡して得られた発泡塩化ビニル系樹脂シートについて、カレンダー成型シートの厚みを測定した同一の5点で厚みを測定し、その平均値を発泡後の厚みLとし、発泡倍率=L/Lとして求めた。
結果を表1~表3に示す。
表1~表3に示すように、実施例1~14に係る発泡塩化ビニル系樹脂シートは、引張伸び率、引張強度及び応力残留率(応力緩和性)に優れると共に、発泡倍率が高く、発泡セルの緻密性や表面平滑性に優れていた。すなわち、機械物性及び発泡特性に優れた発泡塩化ビニル系樹脂シートが得られた。なお、表2に示すように、一般的に高重合度の塩化ビニル系樹脂を用いると引張伸び率、引張強度は向上する傾向にあるが、弾性樹脂を配合することでこれらがさらに向上する。また、表3に示すように、実施例12(CSM)及び実施例13(ACM)と比較して、その他の弾性樹脂を用いた実施例1(NBR)、実施例9(SBR)、実施例10(TPU)、実施例11(CR)及び実施例14(CPE)の方が、伸び性が良好であった。これは、実施例12(CSM)及び実施例13(ACM)の場合は、樹脂がやや固くなり脆性面が少し発現したことによるものと推測される。
一方、表1に示すように、比較例2のように、適切な弾性樹脂であっても、その配合量が多すぎると、応力残留率が高くなり、エンボス特性が低下し、また、発泡特性も悪化する。また、表3に示すように、比較例7のようにSP値が本発明の範囲から外れる弾性樹脂では、引張伸び率及び引張強度の向上が見られないにもかかわらず、応力残留率が向上し、また、発泡特性も悪化する。
本発明の発泡塩化ビニル系樹脂シートは、壁紙等の発泡樹脂層に用いることができることから、産業上有用である。

Claims (5)

  1. 塩化ビニル系樹脂と、SP値が7.5~11.0の弾性樹脂と、可塑剤とを含み、
    前記弾性樹脂が、前記塩化ビニル系樹脂及び弾性樹脂の合計量100質量部に対して0.8~16質量部含まれることを特徴とする発泡塩化ビニル系樹脂シート。
  2. 前記塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度が450~1800であることを特徴とする請求項1に記載の発泡塩化ビニル系樹脂シート。
  3. 前記弾性樹脂が、ブタジエン系ゴム、熱可塑性ポリウレタン、クロロプレンゴム、及び塩素化ポリエチレンから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡塩化ビニル系樹脂シート。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡塩化ビニル系樹脂シートを製造する方法であって、
    塩化ビニル系樹脂と、SP値が7.5~11.0の弾性樹脂と、可塑剤とを混練し、得られた混練物をシート成型した後、得られたシートを発泡させることを特徴とする発泡塩化ビニル系樹脂シートの製造方法。
  5. 前記のシート成型が、カレンダー成型であることを特徴とする請求項4に記載の発泡塩化ビニル系樹脂シートの製造方法。

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