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JP2023101170A - 発泡容器の製造方法 - Google Patents

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JP2023101170A JP2022001603A JP2022001603A JP2023101170A JP 2023101170 A JP2023101170 A JP 2023101170A JP 2022001603 A JP2022001603 A JP 2022001603A JP 2022001603 A JP2022001603 A JP 2022001603A JP 2023101170 A JP2023101170 A JP 2023101170A
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Tomohito Ichiki
泰正 奥野
Yasumasa Okuno
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Abstract

【課題】発泡容器の表面にシワ及び気泡が発生することを抑制できる発泡容器の製造方法を提供する。【解決手段】底部と側部とを備えた発泡容器の製造方法であって、樹脂組成物と超臨界流体とを含む溶融樹脂を金型内のキャビティに射出する射出工程を有し、上記キャビティは、上記底部を形成し、かつ上記溶融樹脂が注入されるゲートが配置された底部形成領域と、上記側部を形成する側部形成領域とを含み、上記キャビティには、上記ゲート側から上記溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿って上記キャビティの厚みが連続的に増大する厚み変化部が設けられ、上記厚み変化部は、少なくとも上記側部形成領域を含み、上記厚み変化部の厚み変化率は、0.0003以上、0.1未満である発泡容器の製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、発泡容器の製造方法に関する。
発泡成形品は、一般的に金型に充填した樹脂組成物を発泡させつつ成形することにより製造できる。発泡の方法としては、例えば、樹脂組成物中で発泡剤を分解させる方法や、樹脂組成物にガスを注入する方法が知られている。近年では、樹脂組成物に超臨界状態の流体(以下、「超臨界流体」ともいう)を注入する方法も検討されている。また、樹脂組成物の成形には、例えば、射出成形を用いることが知られている。このような発泡成形品の製造方法については、例えば、特許文献1~4に開示されている。
超臨界流体を含浸させた樹脂組成物を射出成形する方法(以下、「超臨界射出成形」ともいう)を用いた発泡成形品では、成形品の表面に発泡痕が残るスワールマークや、成形品の表面に超臨界流体の流れた痕が残るシルバーストリーク等の外観不良が生じ得ることが知られている。これら従来知られた外観不良については、射出成形時の金型内圧力を上昇させる方法、金型温度を上昇させる方法等によって抑制することが検討されている。
特開2002-067111号公報 特開2003-231148号公報 特許第5283710号 特開2006-056008号公報
本発明者らが底部と側部とを備えた発泡容器の製造方法を検討したところ、発泡容器の表面にシワが発生したり、発泡容器の表面に気泡が現れる等の外観不良が発生することがあった。本発明者らが検討したところ、上記シワや、気泡が発泡容器の表面に現れる等の外観不良は、従来の知られたスワールマーク、シルバーストリーク等とは異なる外観不良であり、これらの抑制方法として実施されてきた射出成形時の金型内圧力及び/又は金型温度を上昇させる等の方法では解消されず、却って悪化することが分かった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、発泡容器の表面にシワ及び気泡が発生することを抑制できる発泡容器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは検討を重ね、発泡容器の側部を形成する側部形成領域に、ゲート側から溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿ってキャビティの厚みが連続的に増大する厚み変化部を設けることで、発泡容器の底部と側部とで溶融樹脂の固化速度の差を小さくすることができ、発泡容器の表面にシワ及び気泡が発生することを効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、底部と側部とを備えた発泡容器の製造方法であって、樹脂組成物と超臨界流体とを含む溶融樹脂を金型内のキャビティに射出する射出工程を有し、上記キャビティは、上記底部を形成し、かつ上記溶融樹脂が注入されるゲートが配置された底部形成領域と、上記側部を形成する側部形成領域とを含み、上記キャビティには、上記ゲート側から上記溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿って上記キャビティの厚みが連続的に増大する厚み変化部が設けられ、上記厚み変化部は、少なくとも上記側部形成領域を含み、下記式(1)で表される上記厚み変化部の厚み変化率は、0.0003以上、0.1未満であることを特徴とする。
厚み変化率=厚み変化部におけるキャビティの厚みの最大値と最小値との差(mm)/厚み変化部の長さ(mm) (1)
上記厚み変化部におけるキャビティの厚みの最大値と最小値との差を、上記厚み変化部におけるキャビティの厚みの変化量とすると、上記厚み変化部におけるキャビティの厚みの変化量は、0.03mm以上、1mm以下であることが好ましい。
上記厚み変化部の長さは、5mm以上であることが好ましい。
本発明の発泡容器の製造方法によれば、発泡容器の表面にシワ及び気泡が発生することを抑制することができる。
超臨界射出成形装置を用いて発泡容器を製造する方法の一例を説明する模式図である。 図1に示した金型をゲート側から見た平面模式図である。 図1に示した金型を説明した参考図である。 厚み変化部を設けた金型の第1例を示した断面模式図である。 図4に示した厚み変化部を拡大した断面模式図である。 厚み変化部の他の例を示した断面模式図である。 厚み変化部の更に他の例を示した断面模式図である。 厚み変化部を設けた金型の第2例を示した断面模式図である。 厚み変化部を設けた金型の第3例を示した断面模式図である。 厚み変化部を設けた金型の第4例を示した断面模式図である。 厚み変化部を設けた金型の第5例を示した断面模式図である。 厚み変化部を設けた金型の第6例を示した断面模式図である。 厚み変化部を設けた金型の第7例を示した断面模式図である。 本実施形態の発泡容器の製造方法により製造される発泡容器の一例を示した斜視図である。 図12のX2-Y2線における発泡容器の断面模式図である。 図13示した発泡容器の断面を拡大した断面模式図である。 比較例2で用いた金型断面模式図である。 比較例3で用いた金型断面模式図である。
本実施形態の発泡容器の製造方法は、底部と側部とを備えた発泡容器の製造方法であって、樹脂組成物と超臨界流体とを含む溶融樹脂を金型内のキャビティに射出する射出工程を有し、上記キャビティは、上記底部を形成し、かつ上記溶融樹脂が注入されるゲートが配置された底部形成領域と、上記側部を形成する側部形成領域とを含み、上記キャビティには、上記ゲート側から上記溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿って上記キャビティの厚みが連続的に増大する厚み変化部が設けられ、上記厚み変化部は、少なくとも上記側部形成領域を含み、下記式(1)で表される上記厚み変化部の厚み変化率は、0.0003以上、0.1未満であることを特徴とする。
厚み変化率=厚み変化部におけるキャビティの厚みの最大値と最小値との差(mm)/厚み変化部の長さ(mm) (1)
本実施形態の発泡容器の製造方法は、樹脂組成物と超臨界流体とを含む溶融樹脂を金型内のキャビティに射出する射出工程を有する。樹脂組成物と超臨界流体とを含む溶融樹脂を射出成形することを、超臨界射出成形ともいう。図1は、超臨界射出成形装置を用いて発泡容器を製造する方法の一例を説明する模式図である。
図1に示した超臨界射出成形装置20は、ホッパ21、加熱シリンダ22、スクリュ23及びノズル24を備える射出成形機に、ボンベ25、超臨界流体発生部26及び注入制御部27を備える超臨界流体発生機が連結されている。樹脂材料は、ホッパ21から加熱シリンダ22内に投入される。スクリュ23が回転することで、加熱シリンダ22内で適量の樹脂材料が移送及び融解される。上記樹脂材料としては、樹脂組成物のペレットが挙げられる。
ボンベ25から不活性ガスが超臨界流体発生部26に送られ、超臨界流体が調製される。上記超臨界流体は、超臨界流体発生部26から注入制御部27を介して加熱シリンダ22内に投入される。溶融した樹脂材料及び超臨界流体は、加熱シリンダ22内でスクリュ23により混合されながら加熱シリンダ22の先端に向けて押し出される。上記混合により、溶融した樹脂材料と超臨界流体との単一相溶解物(樹脂組成物と超臨界流体とを含む溶融樹脂)が形成される。上記溶融樹脂は、スクリュ23によって押し出されてノズル24側に搬送され、ノズル24から適量ずつ、金型10に射出される。
樹脂組成物と超臨界流体とを含む溶融樹脂を作製すること、及び、溶融樹脂を発泡させつつ成形することは、例えば、射出成形機と超臨界流体発生機とが連結された超臨界射出成形装置を用いて行うことができる。超臨界射出成形装置としては、例えば、MuCell射出成形機(「MuCell」はTrexel.co.Ltdの登録商標)等が挙げられる。
上記超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの超臨界流体が用いられる。なかでも、二酸化炭素又は窒素の超臨界流体が好ましい。発泡性に優れることから、窒素の超臨界流体がより好ましい。
図1に示したように、金型10は、凸形状を有する凸型11と凹形状を有する凹型12を有し、凸型11と凹型12を嵌合させた状態で形成される空隙が、溶融樹脂が充填されるキャビティ30となる。上記ノズル24から注入された溶融樹脂は、ランナ13を通ってゲートGから、キャビティ30に充填される。
通常、金型温度は、樹脂組成物を溶解させる加熱シリンダ22の温度よりも低い温度に設定されている。そのため、金型10内のキャビティ30に充填された溶融樹脂は冷却され、固化が進行する。金型10内での圧力損失により、超臨界流体は臨界圧力に達した時点で気体へ相転移し、溶融樹脂内で気泡が発生する。一方で、金型10に接する部分は、急速に冷却されて気泡を有さない無発泡樹脂層(スキン層)となる。加熱シリンダ22の温度は例えば、170~300℃であってもよい。また、上記金型温度は、例えば30~110℃であってもよい。
図2は、図1に示した金型をゲート側から見た平面模式図である。図3は、図1に示した金型を説明した参考図であり、図2のX1-Y1線における断面模式図でもある。図2中、溶融樹脂が流れる方向を白抜きの矢印で示した。図3では、各部位を説明するため、後述する厚み変化部を設けない金型10(キャビティ30)の基本形状を示した。図3に示したように、キャビティ30は、底部形成領域31と側部形成領域32とを含む。後述する発泡容器がフランジを有する場合、キャビティ30はフランジ形成領域33を含んでもよい。
底部形成領域31は、後述する発泡容器の底部を形成する領域である。底部形成領域31には、上記溶融樹脂が注入されるゲートGが配置される。ゲートGは、樹脂注入口ともいう。底部形成領域31にゲートGを配置することで、溶融樹脂がキャビティ全体に行き渡るまでの時間差を小さくすることができる。そのため、固化速度差に起因する発泡容器の表面のシワ及び気泡の発生を抑制することができる。なお、ゲートが側部形成領域32に配置された場合は、溶融樹脂がキャビティ全体に行き渡るまでの時間差が大きくなり、ゲートからの距離によって固化速度に差が生じるため、発泡容器の表面にシワ及び気泡が発生する。
ゲートGは平面視において底部形成領域31の中心に配置されることが好ましい。上記底部形成領域31の中心とは、例えば、底部形成領域31の直径の中点である。底部形成領域31は、断面視において直線部分を含むことが好ましい。すなわち、得られる発泡容器の底部の接地面が直線部分を含むことが好ましい。図1では、凸型11にゲートGが配置された例を示したが、凹型12にゲートGが配置されてもよい。
底部形成領域31の直径は、例えば、15mm以上、100mm以下である。上記直径は、凸型11のキャビティ表面に沿った底部形成領域31の最大長をいう。底部形成領域31の平面視における形状(平面形状)としては、円形、多角形等が挙げられる。ゲートから側部形成領域32の上端まで、より均一に溶融樹脂を充填できる観点からは、底部形成領域31の平面形状は、円形であることが好ましい。なお、凸型11のキャビティ表面は、発泡容器の内面に相当する。
底部形成領域31の接地面に対して、例えば20°以上の角度を成す領域を側部形成領域32という。底部形成領域31の接地面は、発泡容器の接地面に対応する面である。側部形成領域32は、直線部分を含んでもよい。側部形成領域32の直線部分が接地する場合、上記底部形成領域31の接地面は、凹型12のキャビティ表面に沿った底部形成領域31の直線部分である。
底部形成領域31の接地面と、凸型11のキャビティ表面に沿った側部形成領域32の直線部分との成す角をθ1とすると、上記θ1は、20°以上、88°以下であることが好ましい。上記θ1のより好ましい下限は40°であり、より好ましい上限は85°であり、更に好ましい下限は60°である。
側部形成領域32の全長は、例えば、5mm以上、130mm以下である。側部形成領域32の全長は、凸型11のキャビティ表面に沿った側部形成領域32の長さであり、底部形成領域31との境界から、キャビティ30の上端までの長さをいう。底部形成領域31との境界は、底部形成領域31からキャビティ30の上方に向かって側部形成領域32が立ち上がる点である。キャビティ30の上方は、得られる発泡容器の上方(開口側)に対応する方向をいう。キャビティ30の上端とは、得られる発泡容器の側部の上端に対応する側部形成領域32の端部をいう。なお、側部形成領域32の上端、第一の側部形成領域32aの上端は、キャビティ30の上端と同義である。
側部形成領域32うち、上記直線部分を含む領域を第一の側部形成領域32aともいう。側部形成領域32は、第一の側部形成領域32aと底部形成領域31との間に位置する第二の側部形成領域32bを含んでもよい。第二の側部形成領域32bは、曲面であってもよく、第二の側部形成領域32bの曲率半径R1は、例えば0.5mm以上、90mm以下である。上記曲率半径R1は、凸型11のキャビティ表面に沿った第二の側部形成領域32bの曲率半径である。
上記R1が3mm以下、かつ、上記θ1が80°以上であると、溶融樹脂が側部形成領域32の上端に流れ込み難く、よりシワや気泡が発生しやすくなる。そのため、上記R1が3mm以下、かつ、上記θ1が80°以上である金型のキャビティに、本実施形態の厚み変化部を設けることで、より効果的にシワや気泡が発生を抑制することができる。
第一の側部形成領域32aの長さは、例えば5mm以上、130mm以下である。第二の側部形成領域32bの長さは、例えば0.5mm以上、70mm以下である。上記第一の側部形成領域32aの長さ及び第二の側部形成領域32bの長さは、それぞれ、凸型11のキャビティ表面に沿って底部形成領域31の中心から側部形成領域32の上端(流動末端)までを最短距離で結んだ線上における、第一の側部形成領域32aの長さ、第二の側部形成領域32bの長さである。上記側部形成領域32の全長は、第一の側部形成領域32aの長さと第二の側部形成領域32bの長さの合計である。
キャビティの内径φ1は、例えば、80mm以上、180mm以下である。上記φ1は、側部形成領域32の上端における凸型11の直径であり、発泡容器の開口の内径に相当する。キャビティの開口の平面形状としては、円形、多角形等が挙げられる。上記キャビティの開口の平面形状とは、側部形成領域32の上端における凸型11の平面形状である。
キャビティの高さH1は、例えば、35mm以上、125mm以下である。上記H1は、底部形成領域31の接地面から、開口を挟んで対向する側部形成領域32同士を結んだ直線までの最短距離(垂線の長さ)である。
キャビティ30には、ゲートG側から溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿って上記キャビティ30の厚みが連続的に増大する厚み変化部が設けられる。上記厚み変化部が少なくとも側部形成領域32を含み、厚み変化部の厚み変化率を0.0003以上、0.1未満とすることで、発泡容器の表面にシワ及び気泡が現れることを効果的に抑制することができる。
以下に発泡容器の表面にシワ及び気泡が現れる原因について説明する。上記射出工程において、ゲートGから注入された溶融樹脂は、図2に白抜きの矢印で示したように放射状に広がり、側部形成領域32の上端(フランジ形成領域33を有する場合は、フランジ形成領域33)に向かって、底部形成領域31から側部形成領域32に流れ込む。上記流動末端は、ゲートGから最も離れたキャビティ30の端部に対応する。ゲートG付近では溶融樹脂の温度が高く固化が遅い一方で、溶融樹脂はキャビティ30の表面と接し、冷却されながら充填されていくため、流動末端では溶融樹脂の温度が低く固化が進行しやすい。
発明者の検討によると、側部形成領域32の厚みが一定である場合、側部形成領域32の上端に向かうほど、すなわち、ゲートGから遠くなるほど溶融樹脂の固化速度は速くなる。発泡容器の底部と側部との固化状態に差がある状態でコアバックを行うとシワと気泡が発生し、固化が不充分である部分では、発泡層中の発泡粒子が発泡容器の表面(スキン層)近くにまで現れ、発泡容器の表面を目視で観察した場合に気泡が観察される。また、コアバックを行わない場合であっても、発泡容器を金型から取り出す際に、同様にシワや気泡が発生することがある。
本実施形態では、キャビティ30に厚み変化部が設けられる。以下に図4~図11を用いて、厚み変化部の構成について説明する。図4~図11は、金型のキャビティを示した断面模式図であり、各図中、網掛け部分が厚み変化部である。図4は、厚み変化部を設けた金型の第1例を示した断面模式図である。図5Aは、図4に示した厚み変化部を拡大した断面模式図である。
厚み変化部は、少なくとも側部形成領域32を含む。図4に示した第1例では、厚み変化部が第一の側部形成領域32aの一部を含む場合を例示した。図4及び図5Aに示したように、厚み変化部は、ゲートG側から溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿ってキャビティ30の厚みが連続的に増大する部分である。流動末端に向かってキャビティ30の厚さを増大させることで、溶融樹脂が側部形成領域32の上端まで流れやすくなり、キャビティ30全体での溶融樹脂の固化速度の差を小さくすることができる。そのため、固化速度差に起因する発泡容器の表面のシワ及び気泡の発生を抑制することができる。
上記ゲートG側から溶融樹脂の流動末端に向かう方向とは、図2において白抜きの矢印で示した方向であり、溶融樹脂がゲートGから側部形成領域32の上端まで最短距離で流れていく方向である。上記射出工程において、溶融樹脂は、概ね最短距離でゲートGから側部形成領域32の上端に到達する。
上記厚み変化部は、キャビティ30の厚みが、ゲートG側から上記溶融樹脂の流動末端に向かって連続的に増大していればよい。例えば、図5Aに示したように、厚み変化部の始点Sから終点Eまで、キャビティの厚みが一定の割合で増加してもよい。図5Bは、厚み変化部の他の例を示した断面模式図である。図5Cは、厚み変化部の更に他の例を示した断面模式図である。図5Bに示したように、厚み変化部の始点Sから終点Eまでの間に、キャビティの厚みの増加率が異なる複数の部分が含まれてもよい。また、図5Cに示したように、厚み変化部の始点Sから終点Eまで、キャビティの厚みの増加率が増加してもよい。なお、ゲートG側から溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿ってキャビティ30の厚みが減少する部分は、本発明の「厚み変化部」には該当しない。また、ゲートG側から溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿ってキャビティ30の厚みが増大する場合であっても、キャビティの厚みが階段状に変化する部分や、キャビティの厚さが増減を繰り返す部分は、本実施形態の「厚み変化部」には該当しない。
下記式(1)で表される厚み変化部の厚み変化率は、0.0003以上、0.1未満である。発泡容器の表面にシワ及び気泡が現れることを効果的に抑制することができる。上記厚み変化部の厚み変化率が0.0003未満であると、側部形成領域32へ溶融樹脂が流れ込み難く、固化速度の差異が大きくなるため、発泡容器の表面にシワ及び気泡が表れやすくなる。一方で、上記厚み変化部の厚み変化率が0.1以上であると、上記とは逆にゲート側の固化が速く、流動末端側の固化が遅くなり固化速度の差異が大きくなるため、発泡容器の表面にシワ及び気泡が表れやすくなる。上記厚み変化率の好ましい上限は0.08である。
厚み変化率=厚み変化部におけるキャビティの厚みの最大値と最小値との差(mm)/厚み変化部の長さ(mm) (1)
キャビティ30の厚みは、凸型11のキャビティ表面を基準に設定される。凸型11のキャビティ表面上のある基準点において垂線を引いた場合に、上記垂線と凹型12のキャビティ表面との交点から上記基準点かまでの垂線の距離が、上記基準点におけるキャビティ30の厚みとなる。
厚み変化部におけるキャビティの厚みの最小値Wminは、厚み変化部の始点Sにおけるキャビティ30の厚みである。厚み変化部におけるキャビティの厚みの最大値Wmaxは、厚み変化部の終点Eにおけるキャビティ30の厚みである。厚み変化部の終点E以降の領域(厚み変化部の終点Eから側部形成領域32の上端までの領域)は、キャビティ30の厚みが一定であってもよいし、図5Aに示したように、ゲートG側から溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿ってキャビティ30の厚みが減少する部分を含んでもよい。
上記厚み変化部が少なくとも側部形成領域32の一部を含み、上記変化部の厚み変化率が上記範囲を満たす限り、厚み変化部の始点Sの位置は特に限定されず、底部形成領域31、第一の側部形成領域32a、第二の側部形成領域32bのいずれに配置されてもよい。また、厚み変化部の終点Eは、第一の側部形成領域32a、第二の側部形成領域32bのいずれに配置されてもよい。
ゲートG周辺ではショット数を重ねると熱が溜まりやすく、上記熱による厚み変化部への影響を低減させる観点からは、厚み変化部の始点Sは、ゲートGから0~5mmの範囲に配置しない方が好ましい。また、厚み変化部の終点Eは、第一の側部形成領域32aの上端からゲートG方向に向かって5mm以内の範囲に配置しない方が好ましい。
第1例では、厚み変化部の始点Sが、第一の側部形成領域32aと第二の側部形成領域32bの境界に配置され、厚み変化部の終点Eが第一の側部形成領域32aの上端よりも下方(ゲート側)に配置される場合を例示した。
上記厚み変化部の厚みを変化させる方法としては、例えば、凸型11のキャビティ表面を基準として、キャビティ30の厚みを外側に広げるように凹型12のキャビティ表面の傾きを変化させる方法が挙げられる。この場合、厚み変化部における、底部形成領域31の接地面と、凹型12のキャビティ表面に沿った側部形成領域32の直線部分との成す角は、底部形成領域31の接地面と、凸型11のキャビティ表面に沿った側部形成領域32の直線部分との成す角(θ1)よりも小さくなる。
厚み変化部におけるキャビティ30の厚みの最大値Wmaxと最小値Wminとの差を、厚み変化部におけるキャビティ30の厚みの変化量とすると、上記厚み変化部におけるキャビティの厚みの変化量は、0.03mm以上、1mm以下であることが好ましい。
厚み変化部の長さLは、5mm以上であることが好ましい。発泡容器のサイズにもよるが、厚み変化部の長さLの上限は、例えば100mmである。厚み変化部の長さLは、凸型11のキャビティ表面に沿った厚み変化部の始点Sから終点Eまでの距離である。
図6は、厚み変化部を設けた金型の第2例を示した断面模式図である。図6に示したように、第2例は、厚み変化部が第一の側部形成領域32aの一部と第二の側部形成領域32b全体を含み、底部形成領域31を含まない場合を例示した。第2例では、厚み変化部の始点Sは、底部形成領域31と第二の側部形成領域32bの境界とし、変化部の終点Eは、第一の側部形成領域32aの上端よりも下方(ゲート側)に配置した。
厚み変化部は、側部形成領域32の上端まで設けられてもよい。図7は、厚み変化部を設けた金型の第3例を示した断面模式図である。図7に示したように、第3例は、厚み変化部が第一の側部形成領域32a全体と第二の側部形成領域32b全体を含む場合を例示した。第3例では、厚み変化部の始点Sは、底部形成領域31と第二の側部形成領域32bの境界とし、変化部の終点Eは、第一の側部形成領域32aの上端とした。
上記厚み変化部は、少なくとも側部形成領域32を含めばよく、底部形成領域31の厚みは、一定であってもよいし、ゲートG側から溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿って増大する部分を含んでもよい。図8は、厚み変化部を設けた金型の第4例を示した断面模式図である。図8に示したように、第4例は、厚み変化部が底部形成領域31の一部と第一の側部形成領域32a全体と第二の側部形成領域32b全体を含む場合を例示した。第4例では、厚み変化部の始点Sは、底部形成領域31のゲートGよりも第二の側部形成領域32b側に配置し、変化部の終点Eは、第一の側部形成領域32aの上端とした。
上記厚み変化部は、側部形成領域32の一部を含めばよく、第二の側部形成領域32bを含み、第一の側部形成領域32aを含まなくてもよい。図9は、厚み変化部を設けた金型の第5例を示した断面模式図である。図9に示したように、第5例は、厚み変化部が底部形成領域31と第一の側部形成領域32aを含まず、第二の側部形成領域32b全体を含む場合を例示した。図9では、第5例では、厚み変化部の始点Sは、底部形成領域31と第二の側部形成領域32bの境界とし、変化部の終点Eは、第一の側部形成領域32aと第二の側部形成領域32bの境界とした。
図10は、厚み変化部を設けた金型の第6例を示した断面模式図である。図10に示したように、第6例は、厚み変化部が底部形成領域31の一部と第二の側部形成領域32b全体を含む。図10では、厚み変化部が第一の側部形成領域32aを含まない場合を例示した。第6例では、厚み変化部の始点Sは、底部形成領域31のゲートGよりも第二の側部形成領域32b側に配置し、第一の側部形成領域32aと第二の側部形成領域32bの境界とした。
上記第1例~第6例では、側部形成領域32が、直線部分を含む第一の側部形成領域32aと、曲面を含む第二の側部形成領域32bとを含む場合を例示したが、側部形成領域32が曲面を含まなくてもよい。図11は、厚み変化部を設けた金型の第7例を示した断面模式図である。第7例は、側部形成領域132が、曲面を形成する第二の側部形成領域を含まない例である。図11では、金型110のキャビティ130が、底部形成領域131と側部形成領域132とフランジ形成領域133を含む場合を例示した。
図11に示したように、底部形成領域131は曲面を有してもよい。底部形成領域131が曲面を有する場合、底部形成領域131の接地面に対して、例えば20°以上の角度を成す領域を側部形成領域132という。底部形成領域131の接地面と、凸型111のキャビティ表面に沿った側部形成領域132の直線部分との成す角をθ1とすると、上記θ1は、20°以上、88°以下であることが好ましい。上記θ1のより好ましい下限は40°であり、より好ましい上限は80°であり、更に好ましい下限は60°である。
<発泡容器>
本発明の発泡容器の製造方法は、底部と側部とを備えた発泡容器の製造方法である。以下に図12~図14を用いて、本実施形態の製造方法により得られる発泡容器について説明する。図12は、本実施形態の発泡容器の製造方法により製造される発泡容器の一例を示した斜視図である。図13は、図12のX2-Y2線における発泡容器の断面模式図である。図14は、図13で示した発泡容器の断面を拡大した断面模式図である。
図12及び図13に示したように、発泡容器40は、上方が解放されており、底部41と側部42とを備える。図12及び図13では底部41及び開口の平面形状が円形である場合を例示した。発泡容器40は、更に、側部42の上端から、発泡容器40の外側に向かって配置されたフランジ43を含んでもよい。
底部41は発泡容器40を使用する際に接地する部分であり、直線部分を含んでもよいし、曲面を含んでもよい。例えば、底部41が平坦であってもよいし、発泡容器40の上方に向かって湾曲していてもよい。底部41の直径は、例えば、15mm以上、40mm以下である。上記直径は、発泡容器40の内面に沿った底部41の最大長をいう。底部41の平面視における形状(平面形状)としては、円形、多角形等が挙げられる。
側部42は、発泡容器40の接地面(底部41の接地面)に対して、例えば20°以上の角度を成す。発泡容器40の接地面と、発泡容器40の内面に沿った側部42の直線部分との成す角をθ2とすると、上記θ2は、20°以上、88°以下であることが好ましい。上記θ2のより好ましい下限は60°であり、より好ましい上限は80°である。
側部42の全長は、例えば、5mm以上、130mm以下である。側部42の全長は、発泡容器40の内面に沿った側部42の長さであり、底部41との境界から、発泡容器40の上端までの長さをいう。
側部42うち、上記直線部分を含む部分を第一の側部42aともいう。側部42は、第一の側部42aと底部41との間に位置する第二の側部42bを含んでもよい。第二の側部42bは、曲面であってもよく、曲率半径R2は、例えば0.5mm以上、90mm以下である。上記曲率半径R2は、発泡容器40の内面に沿った第二の側部42bの曲率半径である。
第一の側部42aの長さは、例えば5mm以上、130mm以下である。第二の側部42bの長さは、例えば0.5mm以上、70mm以下である。上記第一の側部42aの長さ及び第二の側部42bの長さは、それぞれ、発泡容器40の内面に沿って底部41の中心から発泡容器40の上端までを最短距離で結んだ線上における、第一の側部42aの長さ、第二の側部42bの長さである。上記側部42の全長は、第一の側部42aの長さと第二の側部42bの長さの合計である。
発泡容器40の開口の内径φ2は、例えば、80mm以上、180mm以下である。上記φ2は、発泡容器40の上端における開口の直径である。開口の平面形状としては、円形、多角形等が挙げられる。
発泡容器40の高さH2は、例えば、35mm以上、130mm以下である。なお、コアバックを行った場合は、発泡容器40の高さH2はキャビティの高さH1よりも高くなる。上記H2は、発泡容器40の接地面(底部41の接地面)から、開口を挟んで対向する側部42の上端同士を結んだ直線までの最短距離(垂線の長さ)である。
図14は、図13の点線で囲んだ部分を拡大した断面模式図である。図14に示したように、発泡容器40は、表面に位置するスキン層(無発泡樹脂層)44によって発泡層45が挟まれた構造を有する。発泡層45は、樹脂中に均一な発泡粒子を有する領域をいい、スキン層44は、発泡容器の表面側に発泡粒子が形成されていない領域をいう。発泡容器40は、表面に無発泡となるスキン層44が存在することで、高い強度を有する。発泡容器40は、中心部分に発泡層45が存在することで、軽量化できるだけではなく、熱が伝わり難くなるため、断熱性に優れている。
発泡層45は、発泡容器40の断面を観察した場合に、発泡層45の1mm×1mmの範囲に発泡粒子を100個以上有することが好ましく、任意に選択した100個の発泡粒子の平均粒子径が100μm以下であることが好ましい。発泡粒子の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)で行うことができ、例えば、日立ハイテクノロジーズ社製の「S-4800」等を用いることができる。
<樹脂組成物>
超臨界流体を含浸させるための樹脂組成物について、以下に詳述する。樹脂組成物は特に限定されないが、例えば、主成分として熱可塑性樹脂を含むものを用いることができる。なかでも、ポリオレフィン、ポリ乳酸及び分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンの混合物が好適に用いられる。ポリオレフィンとポリ乳酸とは互いに溶解しない非相溶系のポリマー同士であるため、混合しても互いに溶解せず、界面が形成される。したがって、超臨界流体を用いた発泡において、その界面を発泡起点(発泡核)として用いることができる。一方で、均一に発泡した発泡容器を製造するためには、発泡させる前の樹脂組成物を均一に分散することが求められる。このため、カルボニル基を含む変性ポリオレフィンを添加することで、ポリオレフィンとポリ乳酸を相溶化し、分散性を向上させる。これにより、発泡容器の内部に、多数の微細な気泡(粒子径の小さい発泡粒子)を均一に存在させることができ、断熱性、強度及び軽量性等の特性に優れた発泡容器を製造できる。
上記ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか一方又は両方を用いることが好ましい。ポリプロピレンのメルトマスフローレート(MFR)は、好ましくは5~100g/10分、より好ましくは10~50g/10分である。ポリプロピレンのMFRは、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.2Nで測定した数値である。ポリエチレンのMFRは、好ましくは5~100g/10分、より好ましくは10~50g/10分である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重21.2Nで測定した数値である。
上記ポリオレフィンは、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンのみを含むものであってもよいが、ポリプロピレン及びポリエチレン以外の他のポリオレフィンを含んでもよい。上記他のポリオレフィンとしては、例えば、α-オレフィンの単重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体、及び、プロピレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。上記α-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、及び、1-ウンデセン等の炭素数4~12のα-オレフィンが挙げられる。
上記ポリオレフィンの溶融粘度(220℃)は、150Pa・S以上、400Pa・S以下であることが好ましい。上記ポリオレフィンの溶融粘度のより好ましい下限は200Pa・Sであり、より好ましい上限は300Pa・Sである。上記溶融粘度は、例えば、株式会社島津製作所製の「フローテスター CFT-500D」を用いて測定することができる。具体的には、測定対象となる樹脂を所定温度に加熱し流動化させ、キャピラリーダイ(内径1mm、長さ10mm)を通して、所定面圧を1MPaとしたピストンによってシリンダから押し出し、ピストンの移動量と、かかった時間により粘度特性を評価することができる。
上記ポリオレフィンの樹脂組成物全体に対する含有量は、30重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。ポリオレフィンの樹脂組成物全体に対する含有量の好ましい下限は35重量%、好ましい上限は70重量%である。
上記ポリ乳酸は、L-乳酸の単重合体、D-乳酸の単重合体、L-乳酸及びD-乳酸の共重合体、又は、それらの混合物である。乳酸の製造方法を変えることによって、得られるポリ乳酸の結晶性を調整できる。乳酸の製造方法としては、例えば、乳酸の鏡像異性体比率を調整する方法、鏡像異性体を共重合(ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等)する方法、結晶核剤を添加する方法等が挙げられる。
上記ポリ乳酸の溶融粘度(220℃)は、150Pa・S以上、400Pa・S以下であることが好ましい。上記ポリ乳酸の溶融粘度のより好ましい下限は200Pa・Sであり、より好ましい上限は300Pa・Sである。上記ポリ乳酸の溶融粘度は、上記ポリオレフィンの溶融粘度と同様に測定することができる。
上記ポリ乳酸の樹脂組成物全体に対する含有量は、3重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。上記ポリ乳酸の樹脂組成物全体に対する含有量のより好ましい下限は8重量%、より好ましい上限は30重量%である。
上記ポリオレフィンの含有量を30重量%~80重量%の範囲内とし、上記ポリ乳酸の含有量を3重量%~40重量%の範囲内とすることが更に好ましい。
また、上記ポリオレフィンとポリ乳酸との溶融粘度差は、200Pa・S以下であることが好ましい。上記溶融粘度差が200Pa・S以下であると、両成分が混合しやすい。上記溶融粘度差のより好ましい上限は150Pa・Sである。
非相溶系のポリマー同士を混合する方法としては、両成分間に化学結合を形成させる方法、又は、同一ポリマー間で架橋構造を形成させる方法等を用いることがあり、ポリ乳酸を用いて発泡容器を得る場合には、例えば、金属錯体等の合成触媒、ラジカル発生剤等を用いて、ポリ乳酸を合成しながら混練を行う反応押出(リアクティブプロセッシング)が用いられることがある。ポリオレフィンとポリ乳酸との界面を発泡核として作用させる場合には、ポリ乳酸を合成しながら混練を行う反応押出とは異なり、樹脂組成物中に合成触媒、ラジカル発生剤等を添加する必要はない。なお、ポリ乳酸の反応押出としては、例えば、合成触媒として2-エチルへキサン酸スズを用い、酸化防止剤(例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の「イルガノックス1010」)を添加してL-ラクチドとε-カプロラクトンを反応させる方法;ジクミルパーオキサイド等のラジカル発生剤を用いて、ポリ乳酸とポリエチレングリコールを反応させる方法;ラジカル発生剤を用いて、ポリ乳酸にポリカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)等をグラフト共重合させる方法等が挙げられる。
上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、又は、不飽和カルボン酸の無水物を付加反応することによって得られるものが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、及び、イタコン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、及び、フマル酸モノメチルエステル等が挙げられる。不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水イタコン酸、及び、無水マレイン酸等が挙げられる。上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、グリシジルメタクリレート変性ポリオレフィン等が好適に用いられる。上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンは、オレフィンとビニルモノマーとの共重合体であってもよい。オレフィンとビニルモノマーとの共重合体としては、例えば、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、及び、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれであってもよい。
上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンのMFRは、好ましくは0.1~100g/10分、より好ましくは0.3~50g/10分である。MFRは、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.2Nで測定した数値である。
上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンの樹脂組成物全体に対する含有量は、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンの樹脂組成物全体に対する含有量のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は12重量%である。
上記樹脂組成物は、層状ケイ酸塩を含有してもよい。ポリオレフィンとポリ乳酸とカルボニル基を含む変性ポリオレフィンとを混合しただけでは、混合時のせん断力が不足する場合に、層状ケイ酸塩を添加することで、ポリオレフィンとポリ乳酸との分散性を向上し、樹脂組成物中に発泡核を高分散させることができる。
上記層状ケイ酸塩としては、例えば、パイロフィライト、タルク、カオリン(カオリナイト)、モンモリロナイト、魚眼石、マーガライト、プレナイト、マイカ(雲母)等が挙げられ、特に、タルク、カオリン、モンモリロナイト、マイカ(雲母)が好適に用いられる。上記層状ケイ酸塩は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記層状ケイ酸塩の樹脂組成物全体に対する含有量は、10重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。上記含有量が10重量%未満であると、混合時のせん断力を向上させる効果が充分に得られないことがある。上記含有量が40重量%を超えると、樹脂組成物の成形性が低下することがある。上記層状ケイ酸塩の樹脂組成物全体に対する含有量のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は35重量%である。
上記樹脂組成物は、層状ケイ酸塩以外のフィラーを含有してもよい。無機材料から構成されるフィラーとしては、例えば、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム等)、グラファイト、カーボンブラック、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭酸カルシウム、シリカ、シリカゲル、ゼオライト、窒化ホウ素、アルミナ等を用いることができる。有機材料から構成されるフィラーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、超高分子量ポリエチレン、電子線架橋型ポリエチレン、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、炭化ケイ素、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。層状ケイ酸塩以外のフィラーの配合量は特に限定されないが、例えば、樹脂組成物全体に対して1重量%を超えない範囲とされる。
上記発泡容器は、その表面等に、模様、色彩又は文字等の装飾を施してもよい。このような装飾を施す場合、上記樹脂組成物に顔料フィラー、カラーマスターバッチ等を添加してもよい。
以下、本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1~5及び比較例1、2、4及び5で用いた金型の基本形状について以下に説明する。金型の基本形状の寸法を表1に示した。図3に示したように、キャビティの開口の平面形状及び底部形成領域31の平面形状はともに円形とした。ゲートGは底部形成領域31の中心に配置した。表1中、側部形成領域32の全長は、第一の側部形成領域32aの長さと第二の側部形成領域32bの長さの合計である。底部形成領域31の長さは、底部形成領域31の半径に相当する。すなわち、底部形成領域31の平面形状は、ゲートGを中心とする半径34mmの円とした。
Figure 2023101170000002
(実施例1)
実施例1では、図3に示した金型の基本形状に対して、フランジ形成領域を設けず、図4に示したようにキャビティ30に厚み変化部を設けた金型を用いた。実施例1において、厚み変化部は第一の側部形成領域32aの一部を含む。実施例1及び後述する実施例2~5、比較例1~5で用いた金型の厚み変化部の構成は、表3に示した。
(実施例2、比較例5)
実施例2及び比較例5では、図3に示した金型の基本形状に対して、底部形成領域31の一部と第一の側部形成領域32aの一部と第二の側部形成領域32b全体を含む厚み変化部を設けた金型を用いた。
(実施例3)
実施例3では、図3に示した金型の基本形状に対して、第二の側部形成領域32bの一部を含む厚み変化部を設けた金型を用いた。
(実施例4)
実施例4では、図3に示した金型の基本形状に対して、図6に示したようにキャビティ30に厚み変化部を設けた金型を用いた。実施例4において、厚み変化部は、第一の側部形成領域32aの一部と第二の側部形成領域32b全体を含む。
(実施例5)
実施例5では、図3に示した金型の基本形状に対して、フランジ形成領域を設けず、図10に示したようにキャビティ30に厚み変化部を設けた金型を用いた。実施例5において、厚み変化部は、底部形成領域31の一部と第二の側部形成領域32b全体を含む。
(比較例1)
比較例1では、ゲートを側部形成領域に設けた点、厚み変化部の厚み変化率を変えた点以外は、実施例1と同様に、キャビティ30に第一の側部形成領域32aの一部を含む厚み変化部を設けた金型を用いた。
(比較例2)
図15は、比較例2で用いた金型断面模式図である。図15中、網掛け部分が厚み変化部である。比較例2では、図3に示した金型の基本形状に対して、図15に示したようにキャビティ230に厚み変化部を設けた金型210を用いた。比較例2では、厚み変化部は、底部形成領域231の一部のみを含み、第一の側部形成領域232a及び第二の側部形成領域232bの一部を含まない。
(比較例3)
図16は、比較例3で用いた金型断面模式図である。比較例3では、図16に示したように、金型310のキャビティ330の形状が平板状である金型を用いた。図16中、網掛け部分が厚み変化部である。図16に示したように、直径150mmの平板状のキャビティの中心にゲートGを配置し、ゲートGから10mm離れた箇所を始点Sとし、ゲートGからキャビティ330の端部に向かって、キャビティ330の一部の厚みが連続的に増大するように厚み変化部を設けた。
(比較例4)
比較例4では、フランジ形成領域を設けた点、厚み変化部の厚み変化率を変えた点以外は、実施例1と同様に、キャビティ30に第一の側部形成領域32aの一部を含む厚み変化部を設けた金型を用いた。
<発泡成形品の作製>
実施例及び比較例の金型を用いて、以下の方法で発泡成形品を作製した。下記表2に示したポリプロピレン50重量%、ポリ乳酸20重量%、分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィン10重量%及びタルク20重量%をドライブレンドし、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX30」)を使って加熱混練し、ペレット状の発泡用の樹脂組成物を得た。
Figure 2023101170000003
得られた樹脂組成物を、図1に示した超臨界発生装置を搭載した射出成形機(東芝機械株式会社製)に投入し、樹脂組成物を溶解させながら超臨界流体を含浸させて、溶融樹脂を調製した。超臨界流体には窒素の超臨界流体を使用した。下記式(2)で表される超臨界流体の充填量(単位:重量%)は.3重量%とした。
超臨界流体の充填量(単位:重量%)=[(超臨界流体の流量×超臨界流体の流入時間×換算係数27.8)÷発泡用樹脂組成物の重量]×100 (2)
上記溶融樹脂を、シリンダ温度220℃、射出速度120mm/秒、スクリュ背圧15MPa、金型音素50℃の条件で、実施例、比較例それぞれの金型内のキャビティに注入した。
キャビティへの溶融樹脂の充填が完了した直後のタイミングで、コアバックを実施した。具体的には、金型の凸型を3.0mm後退させ、キャビティの容積を拡大させることにより、溶融樹脂の発泡を促進し、実施例及び比較例に係る発泡成形品を作製した。
<外観評価>
実施例及び比較例で得られた発泡成形品について、以下の基準で、底部、側部及び/又はフランジの外観評価を行い、結果を下記表3に示した。
◎:シワの本数ゼロ、かつ表面の気泡数ゼロ
〇:長さが3mm未満のシワが1本存在し、かつ表面の気泡数5個以下
△:長さが3mm未満のシワが2本存在し、かつ表面の気泡数5個以下
×:シワの本数が3本以上であるか、または長さが3mm以上のシワが存在し、かつ表面の気泡数6個以上
表3中、容器形状欄の「フランジ無し」は、底部と側部を備え、フランジを有さない発泡容器である。「フランジ有」は、底部と側部とフランジとを備えた発泡容器である。表3中、ゲート位置における底部、側部、フランジは、それぞれ金型の底部形成領域、側部形成領域、フランジ形成領域を指す。比較例3の平板状の金型は、底部形成領域に相当するとした。また、外観評価における底部、側部、フランジは、それぞれ発泡容器の底部、側部、フランジを指す。比較例3の平板状の発泡成形品は、「底部」として評価した。
表3中、(C-B)/Aは、下記式(1)で表される厚み変化部の厚み変化率である。
厚み変化率=厚み変化部におけるキャビティの厚みの最大値と最小値との差(mm)/厚み変化部の長さ(mm) (1)
Figure 2023101170000004
表3に示したように、厚み変化部が少なくとも側部形成領域を含み、所定の厚み変化率を有する実施例1~5に関し、フランジ無し容器を作製した実施例1及び5では、発泡容器の底部及び側部にシワ及び気泡は確認されなかった。また、フランジ有り容器を作製した実施例2~4では、発泡容器の底部、側部及びフランジにシワ及び気泡は確認されなかった。
一方で、ゲートを金型の側部形成領域に配置した比較例1は、発泡容器の底部及び側部にシワ及び気泡が確認された。側部形成領域に厚み変化部を設けず、底部形成領域のみに厚み変化部を設けた比較例2は、発泡容器の側部及びフランジにシワ及び気泡が確認された。平板状の発泡成形品を作製した比較例3は、底部(平板状の発泡成形品)にシワ及び気泡が確認された。平板状の発泡成形品は、無発泡樹脂層に囲まれた状態であるため、末端と中央部とで膨らみ方が異なることから、シワや気泡が発生しやすいと考えられる。上記式(1)で表される厚み変化率が0.1以上である比較例4、上記厚み変化率が0.0003未満である比較例5では、発泡容器の側部及びフランジにシワ及び気泡が確認された。
10、110、210、310:金型
11、311:凸型
12、312:凹型
13、313:ランナ
20:超臨界射出成形装置
21:ホッパ
22:加熱シリンダ
23:スクリュ
24:ノズル
25:ボンベ
26:超臨界流体発生部
27:注入制御部
30、130、230、330:キャビティ
31、131、231:底部形成領域
32、132、232:側部形成領域
32a、132a、232a:第一の側部形成領域
32b、232b:第二の側部形成領域
33、133、233:フランジ形成領域
40:発泡容器
41:底部
42:側部
42a:第一の側部
42b:第二の側部
43:フランジ
44:スキン層(無発泡樹脂層)
45:発泡層
G:ゲート(樹脂注入口)

Claims (3)

  1. 底部と側部とを備えた発泡容器の製造方法であって、
    樹脂組成物と超臨界流体とを含む溶融樹脂を金型内のキャビティに射出する射出工程を有し、
    前記キャビティは、前記底部を形成し、かつ前記溶融樹脂が注入されるゲートが配置された底部形成領域と、前記側部を形成する側部形成領域とを含み、
    前記キャビティには、前記ゲート側から前記溶融樹脂の流動末端に向かう方向に沿って前記キャビティの厚みが連続的に増大する厚み変化部が設けられ、
    前記厚み変化部は、少なくとも前記側部形成領域を含み、
    下記式(1)で表される前記厚み変化部の厚み変化率は、0.0003以上、0.1未満であることを特徴とする発泡容器の製造方法。
    厚み変化率=厚み変化部におけるキャビティの厚みの最大値と最小値との差(mm)/厚み変化部の長さ(mm) (1)
  2. 前記厚み変化部におけるキャビティの厚みの最大値と最小値との差を、前記厚み変化部におけるキャビティの厚みの変化量とすると、
    前記厚み変化部におけるキャビティの厚みの変化量は、0.03mm以上、1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡容器の製造方法。
  3. 前記厚み変化部の長さは、5mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡容器の製造方法。
JP2022001603A 2022-01-07 2022-01-07 発泡容器の製造方法 Pending JP2023101170A (ja)

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