JP2023000639A - ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、1段法では、反応系に多くの水が存在するため、エポキシ環の開裂や、グリシジルエーテルへのエピハロヒドリンのさらなる付加等による副生物が多くなり、目的とするグリシジルエーテルの収率が低いという課題があった。
[1] 水含有量が100質量ppm以下である水酸基を有するオキシアルキレン重合体と、エピハロヒドリンとを、金属アルコキシドの存在下で反応させる、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[2] 前記オキシアルキレン重合体の水酸基がグリシジルエーテル化された割合を表すグリシジルエーテル化率(G)が70%以上である、[1]に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[3] 前記オキシアルキレン重合体は、1分子中の水酸基数が1~8である、[1]又は[2]に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[4] 前記オキシアルキレン重合体は、水酸基価が2~150mg/KOHである、[1]~[3]のいずれか1つに記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[5] 前記オキシアルキレン重合体の水酸基1モル当たり、前記金属アルコキシドのアルコキシ基が1.0モル超6.0モル以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[6]前記金属アルコキシドが、アルカリ金属のアルコキシドである、[1]~[5]のいずれか1つに記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[7] 前記オキシアルキレン重合体と前記エピハロヒドリンとの反応で、前記エピハロヒドリンと前記金属アルコキシドとの反応による副生塩及びポリオキシアルキレングリシジルエーテルを含む粗生成物を得て、次いで精製する、[1]~[6]のいずれか1つに記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[8]晶析により前記粗生成物から前記副生塩を分離することにより前記精製を行う、[7]に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[9] 前記粗生成物に水を添加した後、水を留去して得られた前記副生塩の造粒物をろ過分離することにより前記晶析を行う、[8]に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
[10]前記晶析において留去した水は、下記式(1)で表される環境負荷値(E)が10ppm以下である、[9]に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
E=W×C/(Y×G/100) (1)
式(1)中、W:留去した水の量[g]、C:留去した水の化学的酸素要求量(COD)[ppm]、Y:ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの収量[g]、G:グリシジルエーテル化率[%]である。
[11] 前記ポリオキシアルキレングリシジルエーテル中のハロゲン原子含有量が1000質量ppm未満である、[1]~[10]のいずれか1つに記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
「グリシジルエーテル化率」とは、水酸基を有するオキシアルキレン重合体の水酸基がグリシジルエーテル化された割合であり、1H-NMRから求めた精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル中のグリシジル基の量と、オキシアルキレン重合体の水酸基の量との比から求められる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により求められる。
水酸基を有するオキシアルキレン重合体の水含有量は、JIS K1557-2:2007に準拠した測定により求められる。
水酸基を有するオキシアルキレン重合体の水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠した測定により求められる。
オキシアルキレン重合体の水酸基価換算分子量は、56100/(水酸基価)×(オキシアルキレン重合体の1分子中の水酸基数)の式から算出した値である。なお、オキシアルキレン重合体の1分子中の水酸基数は、オキシアルキレン重合体の製造に用いた開始剤の活性水素の数とみなす。
化学的酸素要求量(COD)は、JIS K0102:2016の「17.100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量」に準拠した測定により求められる。
ポリオキシアルキレングリシジルエーテル中のハロゲン原子含有量は、主にエピハロヒドリンに由来するハロゲン原子の含有量の測定値であり、測定方法は特に限定されず、例えば、オキシアルキレン重合体を燃焼してイオンクロマトグラフィー等で測定する方法が挙げられる。エピハロヒドリンとしてエピクロルヒドリンが用いられる場合は、JIS K7243-3:2005に準拠した測定による全塩素価を、ハロゲン原子含有量とする。
本発明のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法によれば、原料の水酸基を有するオキシアルキレン重合体のグリシジルエーテル化率を向上させるとともに、反応で得られた粗生成物の精製時の廃水量及び廃水のCODを低減させることができる。
水酸基を有するオキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの主骨格となる主原料である(以下、原料のオキシアルキレン重合体とも言う。)。原料のオキシアルキレン重合体としては、活性水素含有基を有する開始剤に、触媒存在下、アルキレンオキシドを開環重合させることにより得られる化合物が好ましい。
水含有量が100質量ppm以下であることにより、金属アルコキシドの存在下での水酸基を有するオキシアルキレン重合体とエピハロヒドリンとの反応性が良好となり、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルを、高いグリシジルエーテル化率で得られる。
これに対して、本発明の製造方法は、反応系の水が水酸基を有するオキシアルキレン重合体のグリシジルエーテル化率に及ぼす影響に注目し、原料のオキシアルキレン重合体の水含有量が100質量ppmであることにより、高いグリシジルエーテル化率でポリオキシアルキレングリシジルエーテルを得られることを見出したことに基づくものである。
上記範囲内の水酸基数であれば、原料のオキシアルキレン重合体の水含有量を低減させやすく、また、本発明の製造方法により、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルを、高いグリシジルエーテル化率で得られる。
開始剤としては、例えば、アルコール、フェノール、カルボン酸、アミン等が挙げられ、好ましくは脂肪族アルコールである。また、原料のオキシアルキレン重合体よりも低分子量の水酸基を有するオキシアルキレン重合体を開始剤としてもよい。開始剤は、これらのうち、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
開始剤の脂肪族アルコールの炭素原子数は、好ましくは2~10、より好ましくは2~8、さらに好ましくは2~6である。
金属アルコキシドは、水酸基を有するオキシアルキレン重合体のアルコラート化剤として用いられる。すなわち、オキシアルキレン重合体の水酸基をメタルオキシ化することにより、オキシアルキレン重合体をアルコラート化する。
オキシアルキレン重合体を、金属アルコキシドを用いてアルコラート化し、エピハロヒドリンによりグリシジルエーテル化することにより、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルを、高いグリシジルエーテル化率で得られる。
金属アルコキシドは、水との反応性が高く、このような観点からも、原料のオキシアルキレン重合体の水含有量が少ないほど、アルコラート化反応が促進され、それに伴い、グリシジルエーテル化率も高くなる。
アルカリ金属のアルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウム-tert-ブトキシド等が挙げられる。これらのうち、入手容易性等の観点から、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドが好ましい。
なお、アルカリ金属のアルコキシドは、大気中の水分により容易に加水分解されるため、通常、アルコール溶液が用いられる。アルコールは、水酸基を有するオキシアルキレン重合体と金属アルコキシドとを反応させた後、アルコールの沸点以上の温度で減圧留去することが好ましい。減圧留去は、留去効率の向上の観点から、窒素又は不活性ガスを反応液中にバブリングしながら行うことがより好ましい。
エピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、β-メチルエピクロルヒドリン、β-メチルエピブロモヒドリン等が挙げられ、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。入手容易性及び廃水処理等の観点から、好ましくはエピクロルヒドリンが用いられる。
反応後、反応系を減圧して未反応のエピハロヒドリンを留去することにより、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルが得られる。
本発明のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法の一実施形態では、水酸基を有するオキシアルキレン重合体とエピハロヒドリンとの反応で、エピハロヒドリンと金属アルコキシドとの反応による副生塩及びポリオキシアルキレングリシジルエーテルを含む粗生成物を得て、次いで精製することが好ましい。
本発明の製造方法では、エピハロヒドリンと金属アルコキシドとの反応生成物である塩も副生し、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルは、この副生塩を含む粗生成物として得られるため、副生塩を除去する精製を経ることが好ましい。
副生塩は、金属塩化物であり、例えば、エピハロヒドリンがエピクロルヒドリンであり、金属アルコキシドがナトリウムアルコキシドである場合、塩化ナトリウムが副生塩である。ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの粗生成物中の副生塩は、晶析により効率的に分離除去することができる。
粗生成物中の副生塩は、粒径が約100μm未満の微細な粒子として存在し、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルとの分離が容易ではない。このため、水の添加により一旦水溶液とした後、水をゆっくりと留去して塩を再結晶させて、粒径約100μm以上、好ましくは粒径500μm程度に造粒させる。この造粒物をろ過分離することにより、容易に精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルが得られる。
酸性中和剤としては、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、リン酸、次亜リン酸等の鉱酸;次亜リン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム等のリン酸塩、ギ酸、酢酸、オクチル酸等の有機酸(一塩基酸);アジピン酸、フマル酸等の二塩基酸等が挙げられる。
酸性中和剤の添加量は、粗生成物を中和できる量で足り、例えば、酸性ピロリン酸ナトリウムを添加する場合、粗生成物100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
E=W×C/(Y×G/100) (1)
式(1)中、W:留去した水の量[g]、C:留去した水のCOD[ppm]、Y:ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの収量[g]、G:グリシジルエーテル化率[%]である。
留去した水の量(W)は、通常、精製時に添加した水の量の約85~95質量%程度の量となる。
環境負荷値(E)は、目的とするポリオキシアルキレングリシジルエーテルの単位量当たりの、精製時に留去した水、すなわち廃水の量、及び、廃水中に含まれる被酸化性物質である有機物の量の指標であり、数値が大きいほど、廃水量が多く、また、廃水が環境に及ぼす負荷が大きいことを示している。
環境負荷値(E)は、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造における廃水による環境負荷軽減の観点から、好ましくは10ppm以下、より好ましくは8ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下である。
予備処理においては、例えば、ハイドロタルサイト等のアニオン吸着剤、パーライトや珪藻土等のろ過助剤等を、造粒物を含む粗生成物に適宜添加しておくことができる。なお、この場合、アニオン吸着剤やろ過助剤等に起因する水分を除去するため、添加後、粗生成物の減圧脱水処理を行っておくことが好ましい。
有機溶媒としては、造粒物が不溶であること、また、ろ液からの留去容易性の観点から、1気圧での沸点が80℃以下の炭化水素系溶媒が好ましい。さらに、ろ過操作の安全性等の観点から、有機溶媒の1気圧での沸点は、好ましくは40~75℃、より好ましくは50~70℃である。このような有機溶媒としては、具体的には、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等が挙げられ、好ましくはノルマルヘキサンである。
溶媒の使用量は、粗生成物の粘度に応じて適宜調整されるが、ろ液からの留去効率を考慮して、粗生成物100質量部に対して、好ましくは0~30質量部、より好ましくは0~25質量部、さらに好ましくは0~20質量部である。
減粘剤として有機溶媒を添加した場合は、減圧下での加熱等により、ろ液から有機溶媒を留去することにより、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルが得られる。例えば、減粘剤としてノルマルヘキサンを添加した場合、減圧下、80~110℃で1~5時間加熱して、ノルマルヘキサンを留去することが好ましい。
ハロゲン原子含有量が上記範囲内であることにより、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルを電子・電気分野等の用途で使用する際に、含有ハロゲン原子に起因する電気的特性の低下や電子部材の腐食を生じさせ難い。このため、本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレングリシジルエーテルは、電子・電気分野等で好適に用いることができる。
各例の原料のオキシアルキレン重合体の物性値、粗生成物から精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルを得る際(精製時)の留去水又は廃水のCOD、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの物性値の測定評価方法は、以下のとおりである。表1に、上記各例の測定評価結果を示す。なお、例1~12は実施例であり、例13~16は比較例である。
原料のオキシアルキレン重合体の水酸基価は、JIS K1557-1:2007のB法(電位差自動滴定法)に準拠して測定した。
〔水酸基価換算分子量〕
原料のオキシアルキレン重合体(1分子中の水酸基数:n)の水酸基価換算分子量は、上記により測定した水酸基価(V[mgKOH/g])を用いて、56100×n/Vの計算値により求めた。
〔水含有量〕
原料のオキシアルキレン重合体の水含有量は、JIS K1557-2:2007のB法に準拠して測定した。
精製時の留去水(廃水)のCODは、JIS K0102:2019の「17.100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量」に準拠して測定した。
精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの粘度は、JIS K1557-5:2007の6.2.3に準拠して測定した。
〔グリシジルエーテル化率〕
約100mgを精秤した精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(A[mg])、約50mgを精秤したベンジルアルコール(分子量108.14)(B[mg])及び重クロロホルム約3gを撹拌混合した溶液試料の1H-NMRを測定した。
得られた1H-NMRスペクトルのグリシジル基を示すピーク(δ2.6ppm:プロトン1個分)の積分値(SA)及びベンジルアルコールのメチレン基を示すピーク(δ4.65ppm:プロトン2個分)の積分値(SB)から、下記式(2)により、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル中のグリシジル基の量(E[mmol/g])を算出した。
E=(B/108.14)×(2×SA/SB)×1000/A (2)
そして、下記式(3)により、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルのグリシジルエーテル化率(G[%])を算出した。
G=E/(V/56.1)×100 (3)
式(3)中、V:原料のオキシアルキレン重合体の水酸基価[mgKOH/g]である。
〔ハロゲン原子含有量(全塩素価)〕
精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの全塩素価は、JIS K7243-3:2005に準拠して測定した。
精製時の留去水又は廃水の環境負荷値(E[ppm])を、下記式(1’)により算出した。
E==W×C/(Y×G/100) (1’)
式(1’)中、W:留去水又は廃水の質量[g]、C:留去水又は廃水のCOD[ppm]、Y:精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの収量[g]、G:グリシジルエーテル化率[%]である。
なお、式(1’)は、式(1)と実質的に同じであり、符号の説明が一部異なる。
撹拌機、撹拌翼、加熱用ジャケット、冷却用コイル、窒素導入配管及び減圧用配管を備えた5L反応器に、原料のオキシアルキレン重合体(M1)として、プロピレングリコール(1分子中の水酸基数2)を開始剤としてプロピレンオキシド(以下、「PO」と略称する。)を開環重合させて得られたポリオキシプロピレングリコール(水酸基価9.6mgKOH/g、水酸基価換算分子量11688、水含有量210質量ppm)を3500g仕込み、反応器内を窒素置換し、-0.1MPaGの減圧下、130℃で2時間加熱して脱水処理した。脱水処理後の水含有量は23質量ppmであった。
次いで、アルコラート化剤として28質量%ナトリウムメトキシド(NaOMe)メタノール溶液(富士フィルム和光純薬株式会社製;特級;以下、同様。)462g(ポリオキシプロピレングリコールの水酸基1モル当たりNaOMe 4.0モル)を添加し、窒素バブリングしながら、130℃まで昇温して4時間反応させた後、-0.1MPaGの減圧下、130℃で20時間脱揮して、メタノールを留去し、ポリオキシプロピレングリコールをアルコラート化した。
反応器内に、エピクロルヒドリン332g(ポリオキシプロピレングリコールの水酸基1モル当たり6.0モル)を加えて、80℃で7時間撹拌混合した後、-0.1MPaGの減圧下、130℃で2時間脱揮して、未反応のエピクロルヒドリンを留去し、ポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルの粗生成物3373gを得た。
次いで、85℃で11時間、気相に窒素を導入し、水分を留去した。この水分は、ドライアイスで冷却したトラップ管に捕集した。窒素フロー11時間後のポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルの粗生成物の水含有量は13000ppmであった。
さらに、-0.1MPaGの減圧下、85℃で3時間脱水し、この水分をドライアイスで冷却したトラップ管に捕集した。留去した水の合計量は364gであり、そのCODは5ppmであった。
このポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルの粗生成物に、アニオン吸着剤(ハイドロタルサイト「キョーワード(登録商標) 500SN」、協和化学工業株式会社製)16.2g(粗生成物100質量部に対して0.48質量部)と、ろ過助剤(パーライト)33.7g(粗生成物100質量部に対して1質量部)を添加し、-0.1MPaGの減圧下、85℃で1時間撹拌して脱水した。60℃まで降温した後、減粘剤としてノルマルヘキサン675g(粗生成物100質量部に対して20質量部)を添加して30分間撹拌し、0.2MPaGにて加圧ろ過した。得られたろ液を-0.1MPaGの減圧下、100℃で3時間加熱し、ノルマルヘキサンを留去して、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P1)としてポリオキシプロピレンジグリシジルエーテル3103gを得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M2)として、プロピレングリコールを開始剤としてPO及びエチレンオキシド(以下、「EO」と略称する。)をこの順序で開環重合させて得られたポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(水酸基価28.9mgKOH/g、水酸基価換算分子量3882、EO/(PO+EO) 24質量%)を用い、例1と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P2)としてジグリシジルエーテル体を得た。
なお、加圧ろ過の際、減粘剤は添加しなかった。
原料のオキシアルキレン重合体(M3)として、グリセリン(1分子中の水酸基数3)を開始剤としてPO及びEOをこの順序で開環重合させて得られたポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール(水酸基価17.5mgKOH/g、水酸基価換算分子量9617、EO/(PO+EO) 12質量%)を用い、例2と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P3)としてトリグリシジルエーテル体を得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M4)として、グリセリンを開始剤としてPO及びEOをこの順序で開環重合させて得られたポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール(水酸基価28.2mgKOH/g、水酸基価換算分子量5968、EO/(PO+EO) 8質量%)を用い、例2と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P4)としてトリグリシジルエーテル体を得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M5)として、グリセリンを開始剤としてPO及びEOをこの順序で開環重合させて得られたポリオキシアルキレントリオール(水酸基価55.7mgKOH/g、水酸基価換算分子量3022、EO/(PO+EO) 13質量%)を用い、例2と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P5)としてトリグリシジルエーテル体を得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M6)として、ペンタエリスリトール(1分子中の水酸基数4)を開始剤としてPO及びEOをこの順序で開環重合させて得られたポリオキシアルキレンテトラオール(水酸基価28.6mgKOH/g、水酸基価換算分子量7846、EO/(PO+EO) 13質量%)2900gを用い、例2と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P6)としてテトラグリシジルエーテル体を得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M7)として、ソルビトール(1分子中の水酸基数6)を開始剤としてPO及びEOをこの順序で開環重合させて得られたポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキサオール(水酸基価35.8mgKOH/g、水酸基価換算分子量9402、EO/(PO+EO) 13質量%)を用い、例2と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P7)としてヘキサグリシジルエーテル体を得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M8)として、n-ブタノール(1分子中の水酸基数1)を開始剤としてPO開環重合させて得られたポリオキシプロピレンモノオール(水酸基価11.2mgKOH/g、水酸基価換算分子量5009)を用い、例2と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P8)としてモノグリシジルエーテル体を得た。
アルコラート化剤として、28質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液231g(ポリオキシプロピレングリコールの水酸基1モル当たりNaOMe 2.0モル)を用い、例1と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P9)としてポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルを得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M9)として、プロピレングリコールを開始剤としてPOを開環重合させて得られたポリオキシプロピレングリコール(水酸基価112、水酸基価換算分子量1002)を用い、例2と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P10)としてポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルを得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M10)として、グリセリンを開始剤としてPOを開環重合させて得られたポリオキシプロピレングリコール(水酸基価115mgKOH/g、水酸基価換算分子量1463)を用い、例2と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P11)としてポリオキシプロピレントリグリシジルエーテルを得た。
アルコラート化剤として、20質量%ナトリウムエトキシド(NaOEt)エタノール溶液(東京化成工業株式会社製)815g(ポリオキシプロピレングリコールの水酸基1モル当たりNaOEt 4.0モル)を用い、例1と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P12)としてポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルを得た。
上記特許文献1に記載の実施例1に準じた方法で、上記例1に記載の原料のオキシアルキレン重合体(M1)を用いて、以下のようにして、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルを製造した。
撹拌機、撹拌翼、加熱用ジャケット、冷却用コイル、窒素導入配管及び減圧用配管を備えた5L反応器に、原料のオキシアルキレン重合体(M1)(ポリオキシプロピレングリコール;水含有量210質量ppm)2430gを仕込み、エピクロルヒドリン77.6g(ポリオキシプロピレングリコールの水酸基1モル当たり2.0モル)、シクロヘキサン126g、及びベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの50質量%水溶液0.7gを加えて撹拌混合した。窒素バブリングしながら、25℃で、粒状水酸化カリウム(KOH)27.7g(ポリオキシプロピレングリコールの水酸基1モル当たりKOH 1.2モル)を少しずつ、9.5時間かけて添加した後、25℃で5時間反応させた。
反応器内を15℃に冷却し、25℃の純水1380gを、温度範囲20~28℃で投入して0.5時間撹拌した後、17℃で0.5時間静置して、下層(水層)を取り出した。なお、油水分離されていないエマルション部分は、水層と併せて廃水とした。
分離した上層(有機層)に、アルカリ吸着剤(「キョーワード(登録商標)600」、協和化学工業株式会社製)23.9gを投入し、減圧しながら昇温し、-0.1MPaGの減圧下、121℃で2時間脱揮し、未反応のエピクロルヒドリン及びシクロヘキサンを留去した。残存物は、珪藻土ろ過助剤(「ラヂオライト#700」、昭和化学工業株式会社製)を用いてろ過循環させて、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P13)としてポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルを得た。
アルコラート化剤として、粒状KOH(純度95%)141g(原料のオキシアルキレン重合体の水酸基1モル当たりKOH 4.0モル)を用い、例1と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P14)としてポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルを得た。
原料のオキシアルキレン重合体(M1)(ポリオキシプロピレングリコール)を仕込んだ後、脱水処理しないこと以外は例1と同様の操作を行い、精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテル(P15)及び(P16)としてポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルをそれぞれ得た。
一方、アルコラート化剤として金属水酸化物を用いた場合(例13及び14)、また、原料のオキシアルキレン重合体の水含有量が100質量ppm超である場合(例15及び16)は、得られた精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルのグリシジルエーテル化率は70%未満と低かった。また、アルコラート化剤として金属水酸化物を用い、反応系の水分が多い場合(例13)、粗生成物から精製ポリオキシアルキレングリシジルエーテルを得る際の廃水量が多くなり、また、廃水のCODが高く、製造工程における環境負荷値も非常に高かった。
Claims (11)
- 水含有量が100質量ppm以下である水酸基を有するオキシアルキレン重合体と、エピハロヒドリンとを、金属アルコキシドの存在下で反応させる、ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 前記オキシアルキレン重合体の水酸基がグリシジルエーテル化された割合を表すグリシジルエーテル化率(G)が70%以上である、請求項1に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 前記オキシアルキレン重合体は、1分子中の水酸基数が1~8である、請求項1又は2に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 前記オキシアルキレン重合体は、水酸基価が2~150mg/KOHである、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 前記オキシアルキレン重合体の水酸基1モル当たり、前記金属アルコキシドのアルコキシ基が1.0モル超6.0モル以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 前記金属アルコキシドが、アルカリ金属のアルコキシドである、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 前記オキシアルキレン重合体と前記エピハロヒドリンとの反応で、前記エピハロヒドリンと前記金属アルコキシドとの反応による副生塩及びポリオキシアルキレングリシジルエーテルを含む粗生成物を得て、次いで精製する、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 晶析により前記粗生成物から前記副生塩を分離することにより前記精製を行う、請求項7に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 前記粗生成物に水を添加した後、水を留去して得られた前記副生塩の造粒物をろ過分離することにより前記晶析を行う、請求項8に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
- 前記晶析において留去した水は、下記式(1)で表される環境負荷値(E)が10ppm以下である、請求項9に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
E=W×C/(Y×G/100) (1)
式(1)中、W:留去した水の量[g]、C:留去した水の化学的酸素要求量(COD)[ppm]、Y:ポリオキシアルキレングリシジルエーテルの収量[g]、G:グリシジルエーテル化率[%]である。 - 前記ポリオキシアルキレングリシジルエーテル中のハロゲン原子含有量が1000質量ppm未満である、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレングリシジルエーテルの製造方法。
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