発明の詳細な説明
本発明は、分子生物学の分野に関し、より正確には化粧品に適用される分子生物学に関し、さらに正確にはMohawkの発現および合成を増加させることができるペプチドおよび前記ペプチドを含む組成物に関する。
過去数十年間に、人々の平均余命は著しく増加した。さらに、容貌の美しさに関する人々の関心も高まっており、老化に関連する徴候の出現を遅らせる、または最小限に抑えようとしている。
皮膚は、ヒトにおける最大の器官であり、身体の境界面という、その位置に起因して、内因性(経時的)老化および外因性老化の影響を受けやすい。皮膚の老化は、内因性および外因性因子(内因性:遺伝学、細胞代謝、ホルモンおよび代謝プロセス;外因性:慢性的光曝露、汚染、電離放射線、化学物質、毒素)の組み合わせによって影響される複雑な生物学的プロセスであり、したがって、皮膚の変化およびその中の欠陥の出現(例えば、引き締まりの喪失、しわ、荒れ、および/または弛み)に繋がる。
これらの因子は、皮膚の種々の層における累積的な構造的変化および生理学的変化、ならびに全体的な皮膚の外観の変化を誘導する(Ganceviciene, R., Liakou, A.I., Theodoridis, A., et al. (2012) Skin Anti-Aging Strategies. Dermato-Endocrinology, 4, 308-319)。
真皮の3つの主要な構造成分は、コラーゲン、エラスチンおよびグリコサミノグリカン(GAG)であり、これらが、「しわ防止クリーム」から様々な充填剤にまで及ぶ、皮膚に関連する美的老化防止戦略のための老化防止の研究および努力の大部分の対象である(Baumann, L. (2007), Skin ageing and its treatment. J. Pathol., 211, 241-251.)。
コラーゲンは、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の大きなファミリーを構成し、多細胞動物の様々な組織の構造を支持する必須の役割を果たす。原線維コラーゲンの機械的強度は、リシルオキシダーゼ(LOX)ファミリーのメンバーの酵素作用によって開始されるプロセスである、個々の原線維間の共有的架橋の形成に大きく依存している。コラーゲンの生合成は、鎖会合およびフォールディング、分泌、プロコラーゲンプロセシング、ならびに架橋を含む、多数のプロセスを包含する非常に複雑なプロセスである。ヒトI型コラーゲンに例示されるように、2本のα1鎖および1本のα2鎖からなるヘテロトリマー分子は、リボソーム上で合成され、粗面小胞体に取り込まれた後、コラーゲン鎖は一連の翻訳後修飾を受け、プロコラーゲン鎖の集合体となる(Rodriguez-Pascual, F., Slatter, D.A. (2016) Collagen cross-linking: insights on the evolution of metazoan extracellular matrix. Scientific Reports, 6, 37374.)。
さらに、コラーゲンは、身体で最も豊富なタンパク質(乾燥重量で70%)であり、主に、原線維I型コラーゲンおよびIII型コラーゲンからなる。これらは共に、組織の強度および剛性の大部分を提供する。少量のコラーゲンは全コラーゲン含有量の10%未満を構成するが、それらはECM組織化において重要な役割を果たす(Lovell, C., Smolenski, K., Duance, V., Light, N., Young, S., Dyson, M. (1987) Type I and III collagen content and fibre distribution in normal human skin during ageing. British Journal of Dermatology, 117, 419-428; and Theocharidis, G., Connelly, J.T. (2017) Minor collagens of the skin with not so minor functions. J. Anat.)。実際に、コラーゲンVIがコラーゲンIの適切な結合および構造に寄与することが証明されている(Bonaldo, P et.al. (1990) Structural and Functional Features of the α3 Chain Indicate a Bridging Role for Chicken Collagen VI in Connective Tissues. Biochemistry, 29, 1245-1254)。それらの必須の構造的機能に加えて、コラーゲンはまた、細胞接着、走化性および遊走にも関与する。それらは、細胞、増殖因子およびサイトカインと動的に相互作用して、細胞増殖、分化、形態形成および創傷修復の過程における組織リモデリングを調節する(van der Rest, M., Garrone, R. (1991) Collagen family of proteins. FASEB J., 13, 2814-23.; Singer, A.J., Clark, R.A. (1999) Cutaneous wound healing. N Engl J Med., 341(10), 738-46; Gelse, K., Poschl, E.,Aigner, T. (2003) Collagens-structure, function, and biosynthesis. Advanced Drug Delivery Reviews, 55(12), 1531-1546; and Ricard-Blum S. (2011). The collagen family. Cold Spring Harbor perspectives in biology, 3(1), a004978)。
コラーゲン破壊は、皮膚の他の構造成分(すなわち、弾性線維および網状線維)へのダメージと共に、老化した皮膚の外見における特徴的な変化の根底にあると考えられている(Bailey, A.J. (2001). Molecular mechanisms of ageing in connective tissue. Mech Ageing Dev, 122 pp. 735-755; Schwartz, E., Cruickshank, F.A., Perlish, J.S., Fleischmajer, R. (1989) Alterations in dermal collagen in ultraviolet irradiated hairless mice. J Invest Dermatol, 93, pp. 142-146; Schwartz, E., Cruickshank, F.A., Christensen, C.C., Perlish, J.S., Lebwohl, M. (1993) Collagen alterations in chronically sun-damaged human skin. Photochem Photobiol, 58, pp. 841-844; Smith, J.G., Davidson, E.A., Sams, W.M., Clark, R.D. (1962) Alterations in human dermal connective tissue with age and chronic sun damage. J Invest Dermatol, 39, pp. 347-350; Maloney, S.J., Edmonds, S.H., Giddens, L.D., Learn, D.B. (1992) The hairless mouse model of photoaging: Evaluation of the relationship between dermal elastin, collagen, skin thickness and wrinkles. Photochem Photobiol, 56, pp. 505-511; Fligiel, S.E.G., Varani, J., Datta, S.C., Kang, S., Fisher, G.J., Voorhees, J.J. (2003) Collagen Degradation in Aged/Photodamaged Skin in Vivo and after Exposure to Matrix Metalloproteinase-1 in Vitro. J. Invest. Dermatol., 120, pp. 842-848; and Marks, R. (Ed.) (1992) Sun-Damaged Skin. Martin Dunitz, London)。
さらに、ホメオドメインタンパク質であるMohawk(Mkx)が皮膚において豊富に発現されることが記載されており(Uhlen, M. et al. (2015) Proteomics. Tissue-based map of the human proteome. Science 347, 1260419)、前記タンパク質は、増加したコラーゲンの合成および増加したコラーゲン原線維形成の増加、ならびに細胞外マトリックスの生成に関連する他の遺伝子の適切な調節と関連づけられている(Nakamichi, R. et.al. (2016) Mohawk promotes the maintenance and regeneration of the outer annulus fibrosus of intervertebral discs. nature communications, 7:12503; Nakahara, H. (2013) Transcription Factor Mohawk and the Pthogenesis of Human Anterior Criciate Ligament Degradation. arthritis & rheumatism, vol. 65, 8, 2081-2089)。
近年、皮膚の老化の徴候、例えば、引き締まりの喪失、皮膚テクスチャーおよびしわを改善するための活性成分の数は、かなり増加している。そのような活性成分の例は、レチノイド、ビタミンまたは植物抽出物である(Bradley E.J., Griffiths C.E.M., Sherratt M.J., Bell M. and Watson R.E.B. (2015), Over-the-counter anti-ageing topical agents and their ability to protect and repair photoaged skin. Maturitas, 80, 265-272)。
レチノイドの場合において、注目すべきはレチノイン酸であり、これは昨今、ECMのいくつかの分子の合成の誘導のための「ゴールドスタンダード」である(例えば、コラーゲン、フィブロネクチンまたはラミニン;Varani J., Mitra R.S., Gibbs D., Phan S.H., Dixit V.M., Mitra R., Wang T., Siebert K.J., Nickoloff B.J., Voorhees J.J. (1990), All-Trans Retinoic Acid Stimulates Growth and Extracellular Matrix Production in Growth-Inhibited Cultured Human Skin Fibroblasts. The Journal of Investigative Dermatology, 94, 717-723)。したがって、レチノイン酸は、コラーゲンおよびフィブロネクチンなどのECMのタンパク質の転写および合成、ならびにマトリックスメタロプロテイナーゼ(以下、MMP)の阻害をアップレギュレートすることによって、顔面のしわの臨床的外見を有意に改善することができるので、老化の徴候を治療するための最も強力な化合物の1つと考えられている(Varani J., Mitra R.S., Gibbs D., Phan S.H., Dixit V.M., Mitra R., Wang T., Siebert K.J., Nickoloff B.J., Voorhees J.J. (1990), All-Trans Retinoic Acid Stimulates Growth and Extracellular Matrix Production in Growth-Inhibited Cultured Human Skin Fibroblasts. The Journal of Investigative Dermatology, 94, 717-723)。しかしながら、レチノイン酸の使用にはいくつかの難点があり、例えば、レチノイン酸は容易に皮膚の炎症を生じさせ得るので慎重に使用されなければならず、また、レチノイン酸と日光曝露とを組み合わせることは推奨されない。レチノイドを使用する場合の別の主要な問題は、特に酸素および光の存在下での、それらの不安定性である(Sorg O., Antille C., Kaya G. and Saurat J-H. (2006), Retinoids in cosmeceuticals. Dermatologic Therapy, 19, 289-296)。
抗酸化剤もまた、皮膚中のフリーラジカルの濃度を減少させるために、したがって、コラーゲンの分解を妨げるために使用される。前記抗酸化剤の一例は、アスコルビン酸(ビタミンCとしても知られる)である。アスコルビン酸は、その抗酸化作用に加えて、とりわけ、表皮の分化を促進し、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP1)を阻害しながら、ECM(コラーゲンIおよびIIIならびにエラスチン)からのタンパク質の合成を誘導する。残念ながら、アスコルビン酸は、特に高温、好気性条件、高pHにおいて、および/または光曝露時に、極めて不安定であり、酸化を受ける(Manela-Azulay M., Azulay V., Aguinaga F., Issa M.C. (2017), Vitamins and other Antioxidants. Daily Routine in Cosmetic Dermatology, 1-13)。
化学的に合成された化合物に加えて、例えば、レスベラトロール(抗酸化剤)を含むブドウ抽出物;ポリフェノールを含む緑茶;またはイソフラボンを含む大豆など、幅広い植物抽出物および植物由来化合物が多様な用途で市販されている。しかしながら、これらの成分のインビボでの有効性および組成物は、十分には科学的に検証されていない。
ヒアルロン酸は、その粘弾性特性および水を保持するその能力に由来して、皮膚を水和状態に保ち、弾性を維持し、荒れを改善することによってしわを治療するために化粧品産業においても使用されているか、または皮膚充填剤としても使用されている。しかしながら、現在、ヒアルロン酸は、ニワトリのトサカ(rooster comb)または細菌抽出物などの複数の供給源から得られ、その結果、これらの生成物は、不純物を含み得、十分に特性付けられる必要がある(Kogan G., Soltes L., Stern R. and Gemeiner P. (2007), Hyaluronic acid: a natural biopolymer with a broad range of biomedical and industrial applications. Biotechnological Letters 29, 17-25)。
他方、ペプチドは、皮膚の老化の徴候を改善するために化粧品製剤に組み込むこともできる。生物活性ペプチドは、身体自身の分子を模倣し、コラーゲン合成などのプロセスに影響を及ぼすことができ、はるかに優れた耐性および安定性を有するという長所を有する。さらに、それらのために、幅広い活性、化学的性質および適応を開発することができる(Zhang L. and Falla T.J. (2009), Cosmeceuticals and peptides. Clinics in dermatology, 27, 485-494)。
当技術分野における広範な種々の化合物および/または抽出物にもかかわらず、皮膚の老化(経時的および/または環境上の老化)の徴候の予防、減少および/もしくは排除を可能にし、ならびに/または皮膚の若返りを提供する、新規なメカニズムを有する代替組成物が依然として必要とされている。
本発明の発明者らは、広範かつ徹底的な調査を経て、驚くべきことに、ホメオドメインタンパク質Mohawkの発現および合成の増加、ならびに、結果としてコラーゲンの発現および合成の増加を提供するペプチドを見出した。さらに、本発明の発明者らによって見出されたペプチドは、細胞外マトリックスの合成および構造化を司る遺伝子に有利に働くかまたはアップレギュレートする一方で、前記細胞外マトリックスの分解を司る遺伝子を阻害またはダウンレギュレートする遺伝子の発現を調節する。本発明のペプチドはまた、コラーゲン合成を増大させ、皮膚外植片におけるコラーゲン密度および厚さを改善する。さらに、それらの皮膚平滑化特性、ならびにしわ防止効果および老化防止効果が、インビボにおいて実証されている。したがって、本発明のペプチドは、老化防止活性および若返り活性を示し、したがって、当技術分野に存在する上述した問題を解決する。
本発明者らは、上述の作用メカニズム、したがって上述の活性を有するペプチドを提供するいかなる従来技術も知らない。
第1の態様において、本発明は、ホメオドメインタンパク質Mohawkを増加させることができるペプチドに言及する。
第2の態様において、本発明は、本発明のペプチドを含む組成物に言及する。
さらに、第3の態様において、本発明は、本発明のペプチドまたは組成物の、それを必要とする対象における、化粧品としての使用に言及する。
第4の態様において、本発明は、本発明のペプチドまたは組成物の、それを必要とする対象における、化粧品用途に言及する。
第5の態様において、本発明は、本発明のペプチドまたは組成物の、それを必要とする対象における使用を含むことを特徴とする、化粧方法に言及する。
本明細書中で使用される場合、用語「非環状脂肪族基」およびその複数形は、当技術分野で前記用語に与えられている一般的な意味を有する。したがって、これらの用語は、例えば、直鎖状または分岐状のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基を指すが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル基」およびその複数形は、1~24個、好ましくは1~16個、より好ましくは1~14個、さらにより好ましくは1~12個、さらによりなお好ましくは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する、飽和した直鎖状または分岐状の基を指す。アルキル基は、単純な結合によって、分子の残部に結合している。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、i-プロピル、イソブチル、tert-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ラウリル、ヘキサデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシル、2-メチルブチル、5-メチルヘキシル、および類似物が含まれるが、これらに限定されない。アルキル基は、任意に、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の置換基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「アルケニル基」およびその複数形は、2~24個、好ましくは2~16個、より好ましくは2~14個、さらにより好ましくは2~12個、さらによりなお好ましくは2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素二重結合、好ましくは1、2または3個の炭素-炭素二重結合(共役または非共役)を有する、直鎖状または分岐状の基を指す。アルケニル基は、単結合を介して、分子の残部に結合している。アルケニル基には、例えば、ビニル、オレイル、リノレイル、および類似の基が含まれるが、これらに限定されない。アルケニル基は、任意に、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の置換基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキニル基」およびその複数形は、2~24個、好ましくは2~16個、より好ましくは2~14個、さらにより好ましくは2~12個、さらによりなお好ましくは2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素三重結合、好ましくは1、2または3個の炭素-炭素三重結合(共役または非共役)を有する、直鎖状または分岐状の基を指す。アルキニル基は、単結合を介して、分子の残部に結合している。アルキニル基には、例えば、エチニル基、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニルなどのペンチニル、および類似の基が含まれるが、これらに限定されない。アルキニル基は、任意に、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の置換基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「アリシクリル基」およびその複数形は、当技術分野で前記用語に与えられている一般的な意味を有する。したがって、これらの用語は、例えば、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基またはシクロアルキニル基を指すために使用されるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキル」およびその複数形は、3~24個、好ましくは3~16個、より好ましくは3~14個、さらにより好ましくは3~12個、さらによりなお好ましくは3、4、5または6個の炭素原子を有する、飽和した単環式または多環式脂肪族基を指す。シクロアルキルは、単結合を介して、分子の残部に結合している。シクロアルキルには、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、オクタヒドロインデン、デカヒドロナフタレン、ドデカヒドロフェナレン、アダマンチル、および類似物が含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキルは、任意に、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルケニル」およびその複数形は、5~24個、好ましくは5~16個、より好ましくは5~14個、さらにより好ましくは5~12個、さらによりなお好ましくは5または6個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素二重結合、好ましくは1、2または3個の炭素-炭素二重結合(共役または非共役)を有する、非芳香族の単環式または多環式脂肪族基を指す。シクロアルケニルは、単結合を介して、分子の残部に結合している。シクロアルケニルには、例えば、シクロペント-1-エン-1-イル基、および類似の基が含まれるが、これらに限定されない。シクロアルケニルは、任意に、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキニル」およびその複数形は、8~24個、好ましくは8~16個、より好ましくは8~14個、さらにより好ましくは8~12個、さらによりなお好ましくは8または9個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素三重結合、好ましくは1、2または3個の炭素-炭素三重結合(共役または非共役)を有する、非芳香族の単環式または多環式脂肪族基を指す。シクロアルキニルは、単結合を介して、分子の残部に結合している。シクロアルキニルには、例えば、シクロオクト-2-イン-1-イル基、および類似物が含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキニルは、任意に、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「アリール基」およびその複数形は、6~30個、好ましくは6~18個、より好ましくは6~10個、さらにより好ましくは6または10個の炭素原子を有し、炭素-炭素結合によって結合または縮合した1、2、3または4個の芳香環を含む、芳香族基を指す。アリール基は、単結合を介して、分子の残部に結合している。アリール基には、例えばとりわけ、フェニル、ナフチル、ジフェニル、インデニル、フェナントリルまたはアントラニルが含まれるが、これらに限定されない。アリール基は、任意に、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の置換基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「アラルキル基」およびその複数形は、7~24個の炭素原子を有する、芳香族基によって置換されたアルキル基を指す。アラルキル基には、例えば、-(CH2)1~6-フェニル、-(CH2)1~6-(1-ナフチル)、-(CH2)1~6-(2-ナフチル)、-(CH2)1~6-CH(フェニル)2、および類似物が含まれるが、これらに限定されない。アラルキル基は、任意に、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の置換基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシクリル基」およびその複数形は、3~10員のヘテロシクリルまたは炭化水素環を指す。ここで、環原子の1つ以上、好ましくは環原子の1、2または3個は、窒素、酸素または硫黄などの、炭素とは異なる元素である。ヘテロシクリル基は、飽和または不飽和であり得る。本発明の目的のために、ヘテロシクリルは、縮合環系を含み得る環系、単環系、二環系または三環系であり得;窒素、炭素または硫黄原子は、任意に、ヘテロシクリルラジカル中で酸化され得;窒素原子は、任意に、四級化され得;ヘテロシクリルラジカルは、部分的または完全に飽和であり得るか、または芳香族であり得る。好ましくは、ヘテロシクリルという用語は、5または6員環に関する。ヘテロシクリル基は、任意に、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の置換基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリールアルキル基」およびその複数形は、置換または非置換の芳香族ヘテロシクリル基で置換されたアルキル基を指し、当該アルキル基は、1~6個の炭素原子を有し、当該芳香族ヘテロシクリル基は、2~24個の炭素原子および1~3個の炭素以外の原子を有する。ヘテロアリールアルキル基には、例えば、-(CH2)1~6-イミダゾリル、-(CH2)1~6-トリアゾリル、-(CH2)1~6-チエニル、-(CH2)1~6-フリル、-(CH2)1~6-ピロリジニル、および類似物が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリールアルキル基は、任意に、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シアノ、アシル、アルコキシ-カルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプトおよびアルコキシチオなどの1つ以上の置換基によって、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。そのアニオンは、ハロゲン化物と呼ばれる。
本明細書中で使用される場合、用語「誘導体」およびその複数形は、化粧品として許容可能な化合物、すなわち、化粧品の調製において使用することができる目的の化合物に由来する化合物と、化粧品として許容可能でない誘導体と、の両方を指す。なぜなら、化粧品として許容可能でない誘導体は、化粧品として許容可能な誘導体の調製において有用であり得るためである。
本明細書中で使用される場合、用語「塩」およびその複数形は、当技術分野で公知のものからの任意の種類の塩、例えば、ハロゲン化物塩、ヒドロキシ酸塩(オキシ酸塩、酸塩、塩基性塩、および複塩など)、ヒドロキソ塩、混合塩、オキシ塩、または他の水和塩を指す。この用語は、化粧品としての塩、および化粧品として許容可能でない塩の両方を含む。なぜなら、後者は、化粧品として許容可能な塩の調製において有用であり得るためである。
本明細書中で使用される場合、用語「異性体」およびその複数形は、光学異性体、エナンチオマー、立体異性体またはジアステレオ異性体を指す。個々のエナンチオマーまたはジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物は、当技術分野で公知の従来の技術によって、分離することができる。
本明細書中で使用される場合、用語「溶媒和物」およびその複数形は、極性、無極性または両親媒性溶媒和物などの、当技術分野で公知の任意の溶媒和物を指す。溶媒和物には、目的の対象に(直接的または間接的に)投与または適用された場合に、目的の化合物(本発明のペプチド)を提供する、化粧品として許容可能な任意の溶媒和物が含まれる。好ましくは、溶媒和物は:水和物;メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールなどのアルコールとの溶媒和物;酢酸エチルなどのエステルとの溶媒和物;メチルエーテル、エチルエーテルまたはTHF(テトラヒドロフラン)などのエーテルとの溶媒和物;または、DMF(ジメチルホルムアミド)との溶媒和物であり、より好ましくは:水和物;または、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物である。
さらに、本明細書中で使用される場合、用語「アミノ酸」およびその複数形は、それらが天然であるか否かにかかわらず、そして、それらがD-アミノ酸およびL-アミノ酸であるかどうかにかかわらず、遺伝子コードによってコード化されたアミノ酸、ならびにコード化されていないアミノ酸を含む。コード化されていないアミノ酸の例は、限定されないが、とりわけ、シトルリン、オルニチン、サルコシン、デスモシン、ノルバリン、4-アミノ酪酸、2-アミノ酪酸、2-アミノイソ酪酸、6-アミノヘキサン酸、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、2-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-クロロフェニルアラニン、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、サイクロセリン、カルニチン、システイン、ペニシラミン、ピログルタミン酸、チエニルアラニン、ヒドロキシプロリン、アロ-イソロイシン、アロ-スレオニン、イソニペコチン酸、イソセリン、フェニルグリシン、スタチン、β-アラニン、ノルロイシン、N-メチルアミノ酸、α-アミノ酸およびβ-アミノ酸、ならびに、それらの誘導体である。それでもなお、さらなる非天然アミノ酸が当技術分野で公知である(例えば、"Unusual amino acids in peptide synthesis" by D. C. Roberts and F. Vellaccio, The Peptides, Vol. 5 (1983), Chapter VI, Gross E. and Meienhofer J., Eds., Academic Press, New York, USAを参照のこと)。
本明細書中で使用される場合、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質に関する「同一性の割合」は、当技術分野で一般的に帰属される意味を有し、したがって、2つのアミノ酸配列の最適なアラインメント後に比較される、当該2つのアミノ酸配列間で同一であるアミノ酸の割合に関する。ここで、前記割合は、単に統計的なものであり、2つのアミノ酸配列間の差異は、配列全体にわたってランダムに分布する。「最適なアラインメント」とは、より大きな同一性の割合を生じるアミノ酸配列のアラインメントとして理解される。同一性の割合は、2つの比較される配列においてアミノ酸が同一である、同一位置の数を決定し、同一位置の数を比較された位置の数で除算し、得られた結果に100を乗算することによって計算され、2つの配列間の同一性の割合を得る。2つのアミノ酸配列間の配列比較は、手動で、または、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)アルゴリズムなどの、当技術分野で公知のコンピュータプログラムによって、行うことができる。
本明細書中で使用される場合、「ホメオドメインタンパク質Mohawk」、「Mohawk」および「Mkx」は同義であり、交換可能に使用され、特に明記しない限り、ホメオドメインタンパク質Mohawkとして公知であるタンパク質を指す。
上述したように、第1の態様において、本発明は、Mohawk(以下、Mkx)を増加させることができるペプチド、その許容可能な異性体、塩、溶媒和物および/もしくは誘導体、ならびに/またはそれらの混合物に言及する。
Mohawkは、ペプチドが適用される対象において、増加される。より好ましくは、哺乳動物において、さらにより好ましくはヒトにおいて。
好ましくは、Mohawkの増加は、Mohawkの遺伝子発現およびタンパク質合成の増加である。
本発明のペプチドにおいて使用される、または存在するアミノ酸は、L-アミノ酸、D-アミノ酸、またはそれらの組み合わせであることが意図される。好ましい実施形態において、本発明のペプチドにおいて使用される、または存在するアミノ酸は、L-アミノ酸である。
好ましくは、上記の異性体は、立体異性体である。前記立体異性体は、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体であることが意図される。したがって、本発明の好ましい実施形態において、ペプチドは、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物、純粋なエナンチオマー、または純粋なジアステレオ異性体である。
好ましくは、本発明のペプチドは、2~50個のアミノ酸、より好ましくは4~10個のアミノ酸、より好ましくは4~6個のアミノ酸、さらにより好ましくは4個のアミノ酸を含む。
本発明のペプチドは、そのN末端および/またはそのC末端に結合している少なくとも1つの部分を含むことが意図される。前記少なくとも1つの部分は、当技術分野で公知の任意の手段によって、好ましくは共有結合的に、ペプチドに結合していてもよい。好ましい実施形態において、ペプチドは、そのN末端に共有結合した1つの部分、およびそのC末端に共有結合した1つの部分を含む。
一実施形態において、少なくとも1つのN末端部分(好ましくは1つのN末端部分)は、H、置換または非置換の非環状脂肪族、置換または非置換のアリシクリル、置換または非置換のヘテロシクリル、置換または非置換のヘテロアリールアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアラルキル、およびR5-CO-から選択され、ここで、R5は、置換または非置換のC1~C24アルキルラジカル、置換または非置換のC2~C24アルケニル、置換または非置換のC2~C24アルキニル、置換または非置換のC3~C24シクロアルキル、置換または非置換のC5~C24シクロアルケニル、置換または非置換のC8~C24シクロアルキニル、置換または非置換のC6~C30アリール、置換または非置換のC7~C24アラルキル、3~10員の置換または非置換のヘテロシクリル環、および、2~24個の炭素原子と1~3個の炭素以外の原子と1~6個の炭素原子のアルキル鎖との置換または非置換のヘテロアリールアルキルによって形成される群から選択される。さらにより好ましくは、少なくとも1つのN末端部分(好ましくは1つのN末端部分)は、アセチル(以下、Ac)またはパルミトイル(以下、Pal)から選択される。最も好ましい実施形態において、少なくとも1つのN末端部分(好ましくは1つのN末端部分)はPalである。
一実施形態において、少なくとも1つのC末端部分(好ましくは1つのC末端部分)は、H、-NR3R4-、-OR3および-SR3から選択され、ここで、R3およびR4は、独立して、H、置換または非置換の非環状脂肪族基、置換または非置換のアリシクリル、置換または非置換のヘテロシクリル、置換または非置換のヘテロアリールアルキル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のアラルキルから選択される。さらにより好ましくは、少なくとも1つのC末端部分(好ましくは1つのC末端部分)は、HまたはNH2から選択される。最も好ましい実施形態において、少なくとも1つのC末端部分(好ましくは1つのC末端部分)は、NH2である。
したがって、より好ましくは、本発明のペプチドは、N末端に結合している1つの部分およびC末端に結合している1つの部分を含み、ここで、N末端に結合している部分はPalであり、C末端に結合している部分はNH2である。
好ましい実施形態において、本発明のペプチドの配列は、式(I)に記載のもの:
R1-AA1-AA2-AA3-AA4-R2 (I)
その化粧品として許容可能な異性体、塩、溶媒和物および/または誘導体、ならびにそれらの混合物である:
式中、
AA1は、Hisであり;
AA2は、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群から選択され;
AA3は、LysまたはArgから選択され;
AA4は、脂肪族非極性側鎖を有するアミノ酸の群から選択される。
R1は、H、置換または非置換の非環状脂肪族、置換または非置換のアリシクリル、置換または非置換のヘテロシクリル、置換または非置換のヘテロアリールアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアラルキル、およびR5-CO-から選択され、ここで、R5は、置換または非置換のC1~C24アルキルラジカル、置換または非置換のC2~C24アルケニル、置換または非置換のC2~C24アルキニル、置換または非置換のC3~C24シクロアルキル、置換または非置換のC5~C24シクロアルケニル、置換または非置換のC8~C24シクロアルキニル、置換または非置換のC6~C30アリール、置換または非置換のC7~C24アラルキル、3~10員の置換または非置換のヘテロシクリル環、および、2~24個の炭素原子と1~3個の炭素以外の原子と1~6個の炭素原子のアルキル鎖との置換または非置換のヘテロアリールアルキルによって形成される群から選択され;
R2は、H、-NR3R4-、-OR3および-SR3から選択され、ここで、R3およびR4は、独立して、H、置換または非置換の非環状脂肪族基、置換または非置換のアリシクリル、置換または非置換のヘテロシクリル、置換または非置換のヘテロアリールアルキル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のアラルキルから選択される。
上述したように、本発明のペプチドにおいて使用される、または存在するアミノ酸は、L-アミノ酸、D-アミノ酸、またはそれらの組み合わせであることが意図される。好ましい実施形態において、本発明のペプチドにおいて使用される、または存在するアミノ酸は、L-アミノ酸である。
また、上述したように、好ましくは、上記の異性体は、立体異性体である。前記立体異性体は、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体であることが意図される。したがって、本発明の好ましい実施形態において、ペプチドは、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物、純粋なエナンチオマー、または純粋なジアステレオ異性体である。
好ましくは、R1はPalまたはAcから選択され、さらにより好ましくは、R1はPalである。
好ましくは、R2はHまたはNH2から選択され、さらにより好ましくは、R2はNH2である。
したがって、より好ましくは、R1はPalであり、R2はNH2である。
好ましくは、式(I)において、AA2は、Phe、TyrおよびTrpの群から選択され、より好ましくは、AA2はTyrである。
好ましくは、式(I)において、AA3は、Argである。
また、好ましくは、式(I)において、AA4は、Ala、Val、LeuおよびIleの群から選択され、より好ましくは、AA4はAlaである。
したがって、好ましい実施形態において、式(I)において:
AA1は、Hisであり;
AA2は、Phe、TyrおよびTrpの群から選択され;
AA3は、LysまたはArgから選択され;
AA4は、Ala、Val、LeuおよびIleの群から選択され;
より好ましくは、式(I)において:
AA1は、Hisであり;
AA2は、Phe、TyrおよびTrpの群から選択され;
AA3は、Argであり;
AA4は、Ala、Val、LeuおよびIleの群から選択される。
さらにより好ましくは、本発明に係るペプチド(すなわち、式(I)のペプチド)の配列は、
R1-His-Tyr-Arg-Ala-R2 (R1-配列番号1-R2)
である。
最も好ましい実施形態において、本発明のペプチド(すなわち、式(I)に記載)の配列は、
Pal-His-Tyr-Arg-Ala-NH2 (Pal-配列番号1-NH2)
である。
本発明のペプチドは、当技術分野で公知の任意の手段によって、合成し、生成することができる。例えば、それらは、化学的合成によって(好ましくは、固相ペプチド合成によって)、細胞培養において前記ペプチドを発現することによって、または、植物もしくは動物におけるペプチドのトランスジェニック産生によって、合成され、生成され得る。さらに、本発明のペプチドは、当技術分野で公知の任意の手段によって、精製することができる。
後述する実施例から明らかであるように、本発明のペプチドは、MohawkおよびコラーゲンVIの発現および合成の増加を提供する。さらに、本発明のペプチドは、細胞外マトリックスの合成および構造化を司る遺伝子に有利に働くかまたはアップレギュレートする一方で、前記細胞外マトリックスの分解を司る遺伝子を阻害またはダウンレギュレートする遺伝子の発現を調節する。本発明のペプチドはまた、コラーゲン合成を増大させ、そして皮膚外植片におけるコラーゲン密度および厚さを改善する。さらに、それらは、女性対象の顔面に局所的に適用された場合、皮膚平滑化効果、しわ防止効果、および老化防止効果を有する。
したがって、本発明のペプチドは、上述の問題を解決し、化粧品活性(例えば、老化防止活性および若返り活性)を有する、追加のまたは代替のペプチドを提供する。本発明のペプチドは、例えば、しわ、荒れおよび/もしくは弛みなどの老化に関連する皮膚の徴候を改善することができるか、または、例えば、身体の引き締め、身体の彫り込み、顔面の整復、皮膚の締め付け、および/もしくは毛穴の洗練などの、皮膚の若返りならびに/または皮膚の欠陥の改善を提供することができる。
また、上述した本発明のペプチドのうちのいずれかに関して保存的アミノ酸置換を組み込み、本発明のペプチドについて本明細書中に記載される活性を依然として示すペプチドもまた、本発明の範囲内である。
さらに、ペプチドR1-His-Tyr-Arg-Ala-R2(好ましくは、Pal-His-Tyr-Arg-Ala-NH2)と70%の同一性割合、好ましくは80%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは99%の同一性割合を有し、本発明のペプチドについて本明細書中に記載される活性を依然として示すペプチドもまた、本発明の範囲内に含まれる。
好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、イオン導入によって、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用されることに適しているか、または適用されるように適合されている。
最も好ましい実施形態において、本発明の組成物は、局所的に、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用されることに適しているか、または適用されるように適合されている。
第2の態様において、本発明は、少なくとも1つの本発明に係るペプチドを含む組成物に言及する。
本発明の組成物は、本発明の1種類のペプチド、または本発明の種々のペプチドの組み合わせもしくは混合物を含むことが意図され、好ましくは、本発明の1種類のペプチドを含むことが意図される。
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、化粧品組成物である。
本発明の組成物は、化粧品として有効な量の、少なくとも1つの本発明のペプチドを含む。より好ましくは、本発明の組成物は、0.0001%(g/100mLでの質量/体積、以下、m/v)~0.05%(m/v)の少なくとも1つの本発明のペプチドを含む。最も好ましい実施形態において、本発明の組成物は、0.0001%(m/v)~0.001%(m/v)、より好ましくは0.0005%(m/v)の少なくとも1つの本発明のペプチドを含む。別の最も好ましい実施形態において、本発明の組成物は、0.05%(m/v)~0.001%(m/v)の少なくとも1つの本発明のペプチドを含む。
本発明の組成物は、本発明のペプチドの活性の結果として、例えば、しわ、荒れおよび/または弛みなどの老化に関連する皮膚の徴候の改善を提供し;または、例えば、身体の引き締め、身体の彫り込み、顔面の整復、皮膚の締め付け、および/もしくは毛穴の洗練などの、皮膚の若返りならびに/または皮膚の欠陥の改善を提供する。
本発明の組成物はまた、少なくとも1つの追加の化粧品成分を含むことが意図される。前記追加の化粧品成分は、少なくとも1つの賦形剤および/または少なくとも1つの追加の化粧品活性成分であり得る。
追加の化粧品成分は、例えば、安定剤、可溶化剤、ビタミン、着色料および香料などの補助剤;担体;ならびに/または他の化粧品活性成分として、当技術分野で通常使用されるものを含む。
前記追加の化粧品成分は、組成物の他の成分と、特に本発明の組成物に含まれる本発明のペプチドと、物理的および化学的に適合性でなければならない。同様に、前記追加の化粧品成分の性質は、本発明のペプチドおよび組成物の利点を、許容不可能なほど変えてはならない。前記追加の化粧品成分は、合成物もしくは例えば植物抽出物などの天然起源物であってもよく、または、前記追加の化粧品成分は、生物発酵プロセス由来であってもよい(例えば、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook, Eleventh Edition (2006)を参照のこと)。
上述した追加の化粧品成分は、ケア、皮膚および/もしくは毛髪の洗浄のためのケア用の組成物において、ならびに/または多汗を防止するための防臭剤および/もしくはクリームにおいて、一般的に使用されるそれらの成分を含むことが意図される。これらは、なかでも、例えば、以下のものである:メラニン合成阻害剤、美白剤または脱色剤、老化防止剤、NOシンターゼ阻害剤、抗酸化剤、大気汚染防止剤および/またはフリーラジカル捕捉剤、抗グリカチオン剤、乳化剤、皮膚軟化剤、有機溶剤、液体推進剤、例えば湿潤剤などのスキンコンディショナー、保湿物質、アルファヒドロキシ酸、保湿剤、ビタミン、顔料または着色料、染料、ゲル化ポリマー、増粘剤、界面活性剤、軟化剤、他のしわ防止剤、眼の下の隈を減少または排除することができる薬剤、剥脱剤、抗菌剤、抗真菌剤、殺菌剤、真皮もしくは表皮の高分子合成を促進する薬剤および/またはその分解を予防もしくは阻害することができる薬剤、例えば、コラーゲン合成促進剤、エラスチン合成促進剤、ラミニン合成促進剤、コラーゲン分解阻害剤、エラスチン分解阻害剤、線維芽細胞増殖促進剤、ケラチノサイト増殖促進剤、ケラチノサイト分化促進剤、脂質合成および角質層成分(セラミド、脂肪酸など)合成の促進剤、皮膚弛緩剤、グリコサミノグリカン合成促進剤、DNA修復剤、DNA保護剤、プロテオソーム活性促進剤、抗掻痒剤、敏感皮膚治療剤、再確認剤、収斂剤、皮脂産生調節剤、脂肪分解促進剤、抗セルライト剤、鎮静剤、抗炎症剤、毛細血管循環および/または微小循環に作用する薬剤、細胞ミトコンドリアに作用する薬剤、真皮-表皮接合部を改善することを目的とした薬剤、防腐剤、香料、キレート剤、植物抽出物、精油、海洋抽出物、生物発酵プロセス由来の薬剤、鉱塩、細胞抽出物、および/または太陽フィルタ(紫外線AおよびBに対して活性な有機または無機の光保護剤)。
一実施形態において、追加の化粧品成分のうちの少なくとも1つは、本発明のペプチドについて上記にて開示された化粧品活性と同一、類似、相補的または異なる化粧品活性を発揮し得る化粧品活性成分もしくは物質である。本発明の組成物は、以下のものを含むことが意図される:他のしわ防止剤または老化防止剤、例えば、コラーゲン、エラスチン、増殖因子、ヒアルロン酸ブースター、バリア機能剤、照明剤、コラーゲンI、III、IVおよび/もしくはVIならびにラミニンの発現ならびに/または合成の促進剤;グリコサミノグリカンまたはヒアルロン酸合成の促進剤;エラスチンおよび他の弾性線維関連タンパク質の発現ならびに/または合成の促進剤;コラーゲンおよび/または弾性線維分解の阻害剤;ミトコンドリア関連タンパク質(例えば、サーチュインおよびアコニターゼ)の発現および/または合成の促進剤;接着斑タンパク質の発現および/または合成の促進剤;ケラチノサイトおよび/または線維芽細胞の増殖および/または分化の促進剤;抗酸化剤;大気汚染防止剤および/またはフリーラジカル捕捉剤;抗グリカチオン剤;解毒剤;経時的老化、環境上の老化および炎症老化を減少させる薬剤;ならびに、メラニン産生を減少させる、および/もしくはチロシナーゼを阻害する薬剤、ならびに/または脂質合成および表皮成分(ケラチン)の合成、より具体的には角質層(ケラチン、セラミド、フィラグリン、ロリクリンおよびSPRR1B)の合成の促進剤。より好ましくは、追加の化粧品成分のうちの少なくとも1つは、Argireline(登録商標)(アセチルヘキサペプチド-8)、Leuphasyl(登録商標)(ペンタペプチド-3)、Inyline(登録商標)(アセチルヘキサペプチド-30)、Syn-Ake(登録商標)(トリペプチド-3)、またはそれらの組み合わせである。
さらに、本発明の組成物(または本発明のペプチド)は、当技術分野で通常使用される任意の形態、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、ペースト、ゲル、クリーム、粉末、スプレー、ローション、油、リニメント、血清、ムース、軟膏、棒または筆など、「リーブオン」および「リンスオフ」製剤を含む形態、で製剤化することができる。また、本発明の組成物は、当技術分野で公知の技術によって、ぬれナプキン、ヒドロゲル、接着性(もしくは非接着性)パッチまたはフェイスマスクなどの様々なタイプの固形アクセサリに対して、組み込むこともでき、または、本発明の組成物は、とりわけ、コンシーラー、メイクアップファンデーション、ローションまたはメイクアップ除去ローションなどの様々なメイクアップ系製品に対して、組み込むことができる。
また、共に本明細書中に開示される、本発明の組成物または本発明のペプチドは、活性成分のより大きな浸透を得るために、化粧品徐放系および/または担体に対して、組み込むことができることも意図される。化粧品徐放系および/または担体は、リポソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子およびナノ粒子、ならびに、スポンジ、ベシクル、ミセル、ミリスフィア、マイクロスフィア、ナノスフィア、リポスフィア、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、ならびに、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンなどである。
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、イオン導入によって、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用されることに適しているか、または適用されるように適合されている。
最も好ましい実施形態において、本発明の組成物は、局所的に(より好ましくはクリームの形態で)、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用されることに適しているか、または適用されるように適合されている。
すでに上述したように、第3の態様において、本発明は、本発明のペプチドまたは組成物の、それを必要とする対象における、化粧品としての使用に言及する。
上述したように、好ましくは、本発明の組成物は、化粧品組成物である。
好ましい実施形態において、化粧品としての使用は、皮膚の老化の徴候を低減、予防および/または排除することである。
明らかであるように、上述した皮膚の老化の徴候は、皮膚の老化の美容上の徴候である。
皮膚の老化は、経時的老化および/または環境上の老化によるものである。
皮膚の老化の美容上の徴候は、好ましくはしわ、荒れおよび/または弛み、より好ましくは顔面のしわ、顔面の弛みおよび/または顔面の荒れ、さらにより好ましくは顔面のしわである。
別の好ましい実施形態において、化粧品としての使用は、皮膚の若返りのため、ならびに/または、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することであり、より好ましくは、皮膚の引き締め、身体の彫り込み、顔面の整復、皮膚の締め付け、および/または毛穴の洗練のためであり、より好ましくは、身体の引き締め、身体の彫り込み、顔面の整復、顔面の皮膚の締め付け、および/または顔面の毛穴の洗練のためであり、さらにより好ましくは、顔面の整復および/または顔面の皮膚の締め付けのためである。
身体の引き締め、および/または身体の彫り込みは、好ましくは臀部、胸、腕ならびに/または脚の引き締めおよび/もしくは彫り込みを指す。
したがって、本発明のペプチドおよび組成物はまた、皮膚の引き締まりまたは締め付けの喪失、好ましくは皮膚の締め付けの喪失、さらにより好ましくは顔面の皮膚の締め付けの喪失を治療するために使用することができる。
上述したように、本発明のペプチドはまた、組織化したコラーゲン線維の喪失の治療のために、したがって、好ましくは顔面の整復の治療のために、使用することができる。後述する実施例からそのまま導き出されるように、組織化したコラーゲン線維の喪失のこの治療は、少なくとも、ホメオドメインタンパク質MohawkおよびコラーゲンVIの産生を改善して、行われる。
また、好ましい実施形態において、対象は哺乳動物であり、さらにより好ましくはヒトである。
好ましい実施形態において、本発明のペプチドまたは組成物は、イオン導入によって、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用される。
最も好ましい実施形態において、本発明のペプチドまたは組成物は、局所的に(より好ましくはクリームの形態で)、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用される。
また、本発明の化粧品としての使用において、本発明のペプチドまたは組成物は、化粧品として有効な量で使用される。より好ましくは、本発明のペプチドは、0.0001%(m/v)~0.05%(m/v)の濃度で使用される。最も好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、0.0001%(m/v)~0.001%(m/v)、より好ましくは0.0005%(m/v)の濃度で使用される。別の最も好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、0.05%(m/v)~0.001%(m/v)の濃度で使用される。
すでに上述したように、本発明の組成物はまた、少なくとも1つの追加の化粧品成分を含むことが意図される。前記追加の化粧品成分は、少なくとも1つの賦形剤および/または少なくとも1つの追加の化粧品活性成分であり得、当該化粧品活性成分は、上記で説明したものであり得る。また、本発明のペプチドは、上述した事項に記載の少なくとも1つの追加の化粧品成分と組み合わせて、使用されることも意図される。
さらに、本発明のペプチドおよび本発明の組成物は、当技術分野で通常使用される任意の形態、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、ペースト、ゲル、クリーム、粉末、スプレー、ローション、油、リニメント、血清、ムース、軟膏、棒または筆など、「リーブオン」および「リンスオフ」製剤を含む形態、で製剤化することができる。また、本発明のペプチドおよび組成物は、当技術分野で公知の技術によって、ぬれナプキン、ヒドロゲル、接着性(もしくは非接着性)パッチまたはフェイスマスクなどの様々なタイプの固形アクセサリに組み込むこともでき、または、本発明のペプチドおよび組成物は、とりわけ、コンシーラー、メイクアップファンデーション、ローションまたはメイクアップ除去ローションなどの様々なメイクアップ系製品に組み込むことができる。
また、共に本明細書中に開示される、本発明の組成物または本発明のペプチドは、活性成分のより大きな浸透を得るために、リポソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子およびナノ粒子等の化粧品徐放系および/または担体に、ならびに、スポンジ、ベシクル、ミセル、ミリスフィア、マイクロスフィア、ナノスフィア、リポスフィア、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセルに、ならびに、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンに、組み込むことができることも意図される。
第4の態様において、本発明は、本発明のペプチドまたは組成物(すなわち、上述したもの)の、それを必要とする対象における、化粧品用途に言及する。
上述したように、好ましくは、本発明の組成物は、化粧品組成物である。
好ましい実施形態において、化粧品用途は、皮膚の老化の徴候を低減、予防および/または排除することである。
明らかであるように、上述した皮膚の老化の徴候は、皮膚の老化の美容上の徴候である。
皮膚の老化は、経時的老化および/または環境上の老化によるものである。
皮膚の老化の美容上の徴候は、好ましくはしわ、荒れおよび/または弛み、より好ましくは顔面のしわ、顔面の弛みおよび/または顔面の荒れ、さらにより好ましくは顔面のしわである。
別の好ましい実施形態において、化粧品用途は、皮膚の若返りのため、ならびに/または、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することであり、より好ましくは、皮膚の引き締め、身体の彫り込み、顔面の整復、皮膚の締め付け、および/または毛穴の洗練のためであり、より好ましくは、身体の引き締め、身体の彫り込み、顔面の整復、顔面の皮膚の締め付け、および/または顔面の毛穴の洗練のためであり、さらにより好ましくは、顔面の整復および/または顔面の皮膚の締め付けのためである。
身体の引き締め、および/または身体の彫り込みは、好ましくは臀部、胸、腕ならびに/または脚の引き締めおよび/もしくは彫り込みを指す。
したがって、本発明のペプチドおよび組成物はまた、皮膚の引き締まりまたは締め付けの喪失、好ましくは皮膚の締め付けの喪失、さらにより好ましくは顔面の皮膚の締め付けの喪失を治療するために使用することができる。
上述したように、本発明のペプチドはまた、組織化したコラーゲン線維の喪失の治療のために、したがって、好ましくは顔面の整復の治療のために、使用することができる。後述する実施例からそのまま導き出されるように、組織化したコラーゲン線維の喪失のこの治療は、少なくとも、ホメオドメインタンパク質MohawkおよびコラーゲンVIの産生を改善して、行われる。
また、好ましい実施形態において、対象は哺乳動物であり、さらにより好ましくはヒトである。
好ましい実施形態において、本発明のペプチドまたは組成物は、イオン導入によって、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、脚、腕、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象の顔面および/または首に対して、適用される。
大部分の実施形態において、本発明のペプチドまたは組成物は、局所的に(より好ましくはクリームの形態で)、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用される。
また、本発明の化粧品用途において、本発明のペプチドまたは組成物は、化粧品として有効な量で使用される。より好ましくは、より好ましくは、本発明のペプチドは、0.0001%(m/v)~0.05%(m/v)の濃度で使用される。最も好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、0.0001%(m/v)~0.001%(m/v)、より好ましくは0.0005%(m/v)の濃度で使用される。別の最も好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、0.05%(m/v)~0.001%(m/v)の濃度で使用される。
すでに上述したように、本発明の組成物はまた、少なくとも1つの追加の化粧品成分を含むことが意図される。前記追加の化粧品成分は、少なくとも1つの賦形剤および/または少なくとも1つの追加の化粧品活性成分であり得、当該化粧品活性成分は、上記で説明したものであり得る。また、本発明のペプチドは、上述した事項に記載の少なくとも1つの追加の化粧品成分と組み合わせて、使用されることも意図される。
さらに、本発明のペプチドおよび本発明の組成物は、当技術分野で通常使用される任意の形態、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、ペースト、ゲル、クリーム、粉末、スプレー、ローション、油、リニメント、血清、ムース、軟膏、棒または筆など、「リーブオン」および「リンスオフ」製剤を含む形態、で製剤化することができる。また、本発明のペプチドおよび組成物は、当技術分野で公知の技術によって、ぬれナプキン、ヒドロゲル、接着性(もしくは非接着性)パッチまたはフェイスマスクなどの様々なタイプの固形アクセサリに組み込むこともでき、または、本発明のペプチドおよび組成物は、とりわけ、コンシーラー、メイクアップファンデーション、ローションまたはメイクアップ除去ローションなどの様々なメイクアップ系製品に組み込むことができる。
また、共に本明細書中に開示される、本発明の組成物または本発明のペプチドは、活性成分のより大きな浸透を得るために、リポソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子およびナノ粒子等の化粧品徐放系および/または担体に、ならびに、スポンジ、ベシクル、ミセル、ミリスフィア、マイクロスフィア、ナノスフィア、リポスフィア、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセルに、ならびに、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンに、組み込むことができることも意図される。
上述したように、第5の態様において、本発明は、本発明に係るペプチドまたは組成物の、それを必要とする対象における使用を含むことを特徴とする、化粧方法に言及する。
上述したように、好ましくは、本発明の組成物は、化粧品組成物である。
上記から導き出されるように、本発明の化粧方法における本発明に係るペプチドまたは組成物の使用は、化粧品としての使用である。
好ましい実施形態において、化粧方法は、それを必要とする対象において、皮膚の老化の徴候を低減、予防および/または排除することである。
明らかであるように、上述した皮膚の老化の徴候は、皮膚の老化の美容上の徴候である。
皮膚の老化は、経時的老化および/または環境上の老化によるものである。
皮膚の老化の美容上の徴候は、好ましくはしわ、荒れおよび/または弛み、より好ましくは顔面のしわ、顔面の弛みおよび/または顔面の荒れ、さらにより好ましくは顔面のしわである。
別の好ましい実施形態において、化粧方法は、皮膚の若返りのため、ならびに/または、それを必要とする対象において、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することであり、より好ましくは、皮膚の引き締め、身体の彫り込み、顔面の整復、皮膚の締め付け、および/または毛穴の洗練のためであり、より好ましくは、身体の引き締め、身体の彫り込み、顔面の整復、顔面の皮膚の締め付け、および/または顔面の毛穴の洗練のためであり、さらにより好ましくは、顔面の整復および/または顔面の皮膚の締め付けのためである。
身体の引き締め、および/または身体の彫り込みは、好ましくは臀部、胸、腕ならびに/または脚の引き締めおよび/もしくは彫り込みを指す。
したがって、本発明のペプチドおよび組成物はまた、皮膚の引き締まりまたは締め付けの喪失、好ましくは皮膚の締め付けの喪失、さらにより好ましくは顔面の皮膚の締め付けの喪失を治療するために使用することができる。
上述したように、本発明のペプチドはまた、組織化したコラーゲン線維の喪失の治療のために、したがって、好ましくは顔面の整復の治療のために、使用することができる。後述する実施例からそのまま導き出されるように、組織化したコラーゲン線維の喪失のこの治療は、少なくとも、ホメオドメインタンパク質MohawkおよびコラーゲンVIの産生を改善して、行われる。
また、好ましい実施形態において、対象は哺乳動物であり、さらにより好ましくはヒトである。
好ましい実施形態において、本発明のペプチドまたは組成物は、イオン導入によって、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用される。
最も好ましい実施形態において、本発明のペプチドまたは組成物は、局所的に(より好ましくはクリームの形態で)、より好ましくは対象の顔面および/または身体に対して、より好ましくは対象の顔面、首、手、腕、脚、胸および/または臀部に対して、さらにより好ましくは対象(好ましくはヒト)の顔面および/または首に対して、適用される。
好ましくは、対象は哺乳動物であり、さらにより好ましくはヒトである。
また、本発明の化粧方法において、本発明のペプチドまたは組成物は、化粧品として有効な量で使用される。より好ましくは、本発明のペプチドは、0.0001%(m/v)~0.05%(m/v)の濃度で使用される。最も好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、0.0001%(m/v)~0.001%(m/v)、より好ましくは0.0005%(m/v)の濃度で使用される。別の最も好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、0.05%(m/v)~0.001%(m/v)の濃度で使用される。
すでに上述したように、本発明の組成物はまた、少なくとも1つの追加の化粧品成分を含むことが意図される。前記追加の化粧品成分は、少なくとも1つの賦形剤および/または少なくとも1つの追加の化粧品活性成分であり得、当該化粧品活性成分は、上記で説明したものであり得る。また、本発明のペプチドは、上述した事項に記載の少なくとも1つの追加の化粧品成分と組み合わせて、使用されることも意図される。
さらに、本発明のペプチドおよび本発明の組成物は、当技術分野で通常使用される任意の形態、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、ペースト、ゲル、クリーム、粉末、スプレー、ローション、油、リニメント、血清、ムース、軟膏、棒または筆など、「リーブオン」および「リンスオフ」製剤を含む形態、で製剤化することができる。また、本発明のペプチドおよび組成物は、当技術分野で公知の技術によって、ぬれナプキン、ヒドロゲル、接着性(もしくは非接着性)パッチまたはフェイスマスクなどの様々なタイプの固形アクセサリに組み込むこともでき、または、本発明のペプチドおよび組成物は、とりわけ、コンシーラー、メイクアップファンデーション、ローションまたはメイクアップ除去ローションなどの様々なメイクアップ系製品に組み込むことができる。
また、共に本明細書中に開示される、本発明の組成物または本発明のペプチドは、活性成分のより大きな浸透を得るために、リポソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子およびナノ粒子等の化粧品徐放系および/または担体に、ならびに、スポンジ、ベシクル、ミセル、ミリスフィア、マイクロスフィア、ナノスフィア、リポスフィア、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセルに、ならびに、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンに、組み込むことができることも意図される。
より良い理解を可能にするために、本発明は、添付の図面を参照して、以下でより詳細に説明される。これらは、一例として、例示的および非限定的な実施例を参照して、提示される。
図1は、基準状態と比較して、ペプチドPal-配列番号1-NH2の濃度を増加させて処理した後のHEKa細胞生存率の割合を示す(すなわち、基準状態の細胞生存率を100%と設定し、次いで、試験した残りのサンプルと比較する)。図1について、列は、x軸において左から右へ向かって、それぞれ以下に対応する:基準状態(処理なしの細胞)、ならびに、0.001mg/mL、0.005mg/mL、0.01mg/mL、0.05mg/mL、および0.1mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2で処理した細胞。y軸は、(基準状態に対する)細胞生存率の割合を示す。
図2は、基準状態と比較して、ペプチドPal-配列番号1-NH2で処理した後のHDFa細胞生存率の割合を示す(すなわち、基準状態の細胞生存率を100%と設定し、次いで、試験した残りのサンプルと比較する)。図2について、列は、x軸において左から右へ向かって、それぞれ以下に対応する:基準状態(処理なしの細胞)、ならびに、0.001mg/mL、0.005mg/mL、および0.01mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2で処理した細胞。y軸は、(基準状態に対する)細胞生存率の割合を示す。**はp<0.01を表し、***はp<0.001を表す。
図3は、未処理の初期ヒト真皮線維芽細胞に対する、ペプチドPal-配列番号1-NH2を用いた処理によって誘導された初期ヒト真皮線維芽細胞における遺伝子発現プロファイルの変調を示す。遺伝子発現プロファイルは、ハウスキーピング遺伝子GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ)によって正規化された。図3は、上記ペプチドを用いた処理(0.005mg/mLの濃度で、すべての遺伝子について6時間)について得られた結果を示す。ここで、バーは、上から下へ向かって、それぞれ以下の遺伝子を指す:MMP3(マトリックスメタロプロテイナーゼ-3)、MMP1(マトリックスメタロプロテイナーゼ-1)、COL14A1(コラーゲンタイプXIV アルファ1鎖)、COL12A1(コラーゲンタイプXII アルファ1鎖)、COL7A1(コラーゲンタイプVII アルファ1鎖)、COL6A1(コラーゲンタイプVI アルファ1鎖)、COL5A1(コラーゲンタイプV アルファ1鎖)、COL4A5(コラーゲンタイプIV アルファ5鎖)、COL3A1(コラーゲンタイプIII アルファ1鎖)、MKX(Mohawkホメオボックス)、およびZEB2(ジンクフィンガーE-Box結合ホメオボックス2)。x軸は、基準状態に対する変化倍率を指す。負の変化倍率は遺伝子発現のダウンレギュレーションを指し、正の変化倍率はアップレギュレーションを指す。
図4は、未処理の初期ヒト真皮線維芽細胞に対する、ペプチドPal-配列番号1-NH2を用いた処理によって誘導された初期ヒト真皮線維芽細胞における遺伝子発現プロファイルの変調を示す。遺伝子発現プロファイルは、ハウスキーピング遺伝子GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ)によって正規化された。図4は、上記ペプチドを用いた処理(0.005mg/mLの濃度で、24時間)について得られた結果を示す。ここで、バーは、以下の遺伝子に対応する:COL13A1(コラーゲンタイプXIII アルファ1鎖)。x軸は、基準状態に対する変化倍率を指す。負の変化倍率は遺伝子発現のダウンレギュレーションを指し、正の変化倍率はアップレギュレーションを指す。
図5は、未処理の初期ヒト真皮線維芽細胞に対する、ペプチドPal-配列番号1-NH2を用いた処理によって誘導された初期ヒト真皮線維芽細胞における遺伝子発現プロファイルの変調を示す。遺伝子発現プロファイルは、ハウスキーピング遺伝子GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ)によって正規化された。図5は、上記ペプチドを用いた処理(0.005mg/mLの濃度で、すべての遺伝子について6時間)について得られた結果を示す。ここで、バーは、上から下へ向かって、それぞれ以下の遺伝子を指す:TGFB1(形質転換増殖因子ベータ-1)、FN1(フィブロネクチン1)、LOXL3(リシルオキシダーゼ3様)、LOXL2(リシルオキシダーゼ2様)、およびHSP47(セルピンH1)。x軸は、基準状態に対する変化倍率を指す。負の変化倍率は遺伝子発現のダウンレギュレーションを指し、正の変化倍率はアップレギュレーションを指す。
図6は、ネガティブコントロール(ジメチルスルホキシドで処理)と比較した、ペプチドPal-配列番号1-NH2の濃度を増加させて処理したヒト真皮線維芽細胞によるコラーゲンVI合成の増加率を示す(すなわち、ネガティブコントロールのコラーゲンVI合成を100%と設定し、次いで、試験した残りのサンプルのコラーゲンVI合成と比較する)。図6について、列は、x軸において左から右へ向かって、それぞれ以下に対応する:ネガティブコントロール(ジメチルスルホキシドで処理した細胞)、ならびに0.001mg/mL、0.005mg/mL、0.01mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2で処理した細胞。y軸は、(ネガティブコントロールに対する)コラーゲンVI合成の割合を示す。**はp<0.01を表し、***はp<0.001を表す。
図7は、ネガティブコントロール(ジメチルスルホキシドで処理)と比較した、ペプチドPal-配列番号1-NH2の濃度を増加させて処理したヒト真皮線維芽細胞によるMohawk合成の増加率を示す(すなわち、ネガティブコントロールのMohawk合成を100%と設定し、次いで、試験した残りのサンプルのMohawk合成と比較する)。図7について、黒色の列は24時間の処理を指し、白色の列は48時間の処理を指す。さらに、2本(1本の黒色、および1本の白色)の列のそれぞれの群は、この図におけるx軸において左から右へ向かって、それぞれ以下に対応する:ネガティブコントロール(ジメチルスルホキシドで処理した細胞)、未処理細胞、ならびに0.001mg/mL、0.005mg/mL、0.01mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2で処理した細胞。y軸は、(ネガティブコントロールに対する)Mohawk合成の割合を示す。**はp<0.01を表し、***はp<0.001を表す。
図8は、コラーゲンの架橋を示す。「a」で示される線は、0.04mg/mLの濃度でペプチドPal-配列番号1-NH2で処理された細胞を指し;「b」で示される線は、0.02mg/mLの濃度でペプチドPal-配列番号1-NH2で処理された細胞を指し;「c」で示される線は、ジメチルスルホキシドで処理された細胞(ネガティブコントロール)を指す。x軸は秒単位の時間を示し、y軸は450nmでの吸光度単位の光学密度を示す。
図9は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、放出LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)の割合による組織生存率を示す(すなわち、ネガティブコントロールの放出LDHを100%と設定し、次いで、実施例11において試験した残りのサンプル中の放出LDHと比較する)。菱形を伴う線は、未処理hOSEC(ネガティブコントロール)を指し;正方形を伴う線は、老化hOSECを指し;三角を伴う線は、老化hOSEC+製品A(クリーム)を指し;十字を伴う線は、老化hOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)を指す。x軸は日単位の時間を表し、y軸はネガティブコントロール(未処理hOSEC)に対する放出LDHの%を表す。
図10は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、レゾルフィンの割合による代謝活性を示す(すなわち、ネガティブコントロールのレゾルフィンを100%と設定し、次いで、実施例11において試験した残りのサンプル中のレゾルフィンと比較する)。それぞれ、菱形を伴う線は、未処理hOSEC(ネガティブコントロール)を指し;正方形を伴う線は、老化hOSECを指し;三角を伴う線は、老化hOSEC+製品A(クリーム)を指し;十字を伴う線は、老化hOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)を指す。x軸は日単位の時間を表し、y軸はネガティブコントロール(未処理hOSEC)に対するレゾルフィンの%を表す。
図11は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、実施例11の種々の実験群におけるコラーゲンの定量を示す(すなわち、ネガティブコントロールのコラーゲン量を100%と設定し、次いで、試験した残りのサンプルのコラーゲン量と比較する)。列は、x軸において左から右へ向かって、それぞれ以下に対応する:未処理hOSEC(ネガティブコントロール);老化hOSEC;老化hOSEC+製品A(クリーム);および、老化hOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)。y軸は、ネガティブコントロールに対する、コラーゲン量の割合を指す。*はp<0.05を表し;**はp<0.01を表す。
図12は、実施例11の種々の実験群の透過型電子顕微鏡画像を示す。より正確には、図12Aは未処理hOSECに対応し;図12Bは老化hOSECに対応し;図12Cは製品A(クリーム)で処理した老化hOSECに対応し;図12Dは製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)で処理した老化hOSECに対応する。
図13は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、実施例11の種々の実験群におけるコラーゲンの密度を示す(すなわち、ネガティブコントロールのコラーゲン密度を100%と設定し、次いで、試験した残りのサンプルのコラーゲン密度と比較する)。列は、x軸において左から右へ向かって、それぞれ以下に対応する:未処理hOSEC(ネガティブコントロール);老化hOSEC;老化hOSEC+製品A(クリーム);および、老化hOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)。y軸は、ネガティブコントロールに対する、コラーゲン密度の割合を指す。*はp<0.05を表す。
図14は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、実施例11の種々の実験群におけるコラーゲン線維の厚さを示す(すなわち、ネガティブコントロールのコラーゲン線維厚さを100%と設定し、次いで、試験した残りのサンプルのコラーゲン線維厚さと比較する)。列は、x軸において左から右へ向かって、それぞれ以下に対応する:未処理hOSEC(ネガティブコントロール);老化hOSEC;老化hOSEC+製品A(クリーム);および、老化hOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)。y軸は、ネガティブコントロールに対する、コラーゲン線維厚さの割合を指す。*はp<0.05を表す。
図15は、44人の女性ボランティア(50%は明色素性(フォトタイプII~III)、および50%は暗色素性(フォトタイプV~VI))に対する、Pal-配列番号1-NH2の局所適用後の効力を示す。0.05%(m/v)のストックからの2%(m/v)のPal-配列番号1-NH2ペプチドを含む化粧品製剤または偽薬を、56日間、ボランティアの顔面全体にそれぞれ適用した。図15(A)は、AEVA(Eotech, France)によるボランティアの頬の荒れ改善を示す。AEVA評価は、干渉縞投影システムと組み合わせたステレオカメラによって得られた皮膚トポグラフィーの3D画像に基づいている。x軸において、左から右へ向かって、6個の列の群は、それぞれ以下に対応する:すべて処置開始から数えて、全ボランティアの28日目の平均、フォトタイプV~VIのボランティアの28日目の平均、フォトタイプII~IIIのボランティアの28日目の平均、全ボランティアの56日目の平均、フォトタイプV~VIのボランティアの58日目の平均、フォトタイプII~IIIボランティアの56日目の平均。また、x軸において、列の群それぞれにおいて、左から右へ向かって、列は、以下に対応する:化粧品製剤(偽薬)で処置したボランティア、同じ製剤だがPal-配列番号1-NH2ペプチドも含む製剤で処置したボランティア。y軸は、開始時に対する、荒れパラメータ(Ra)の変化の割合を示す。図15(B)は、AEVAによるボランティアの頬の彫り込みの改善を示す。x軸において、左から右へ向かって、6個の列の群は、それぞれ以下に対応する:すべて処置開始から数えて、全ボランティアの28日目の平均、フォトタイプV~VIのボランティアの28日目の平均、フォトタイプII~IIIのボランティアの28日目の平均、全ボランティアの56日目の平均、フォトタイプV~VIのボランティアの58日目の平均、フォトタイプII~IIIボランティアの56日目の平均。また、x軸において、列の群それぞれにおいて、左から右へ向かって、列は、以下に対応する:化粧品製剤(偽薬)で処置したボランティア、同じ製剤だがPal-配列番号1-NH2ペプチドも含む製剤で処置したボランティア。y軸は、開始時に対する、彫り込みパラメータ(Rz)の変化の割合を示す。図15(C)は、目じりのしわ領域のしわ深さの変化(%)を示す。x軸において、左から右へ向かって、6個の列の群は、それぞれ以下に対応する:すべて処置開始から数えて、全ボランティアの28日目の平均、全ボランティアの56日目の平均、フォトタイプV~VIのボランティアの28日目の平均、フォトタイプV~VIのボランティアの56日目の平均、フォトタイプII~IIIのボランティアの28日目の平均、フォトタイプII~IIIボランティアの56日目の平均。また、x軸において、列の群それぞれにおいて、左から右へ向かって、列は、以下に対応する:化粧品製剤(偽薬)で処置したボランティア、同じ製剤だがPal-配列番号1-NH2ペプチドも含む製剤で処置したボランティア。y軸は、開始時に対する、目じりのしわ領域のしわ深さの変化の割合を示す。
〔実施例〕
〔略語〕
アミノ酸について使用される略語は、Eur. J. Biochem. (1984)に概説されている、生物化学の命名法に関するIUPAC-IUB共同委員会勧告1983に従う。
Ac、アセチル;Ala、アラニン;Arg、アルギニン;C末端、カルボキシ末端;DCM、ジクロロメタン;DIEA、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン;DIPCDI、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド;DMF、N,N-ジメチルホルムアミド;EDGS、EpiLife Defined Growth Supplement;equiv、当量;ESI-MS、エレクトロスプレーイオン化質量分析;Fmoc、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル;His、ヒスチジン;HOBt、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;hOSEC、ヒト器官型皮膚外植片培養物;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;HRP、ホースラディッシュペルオキシダーゼ;Ile、イソロイシン;LSGS、Low Serum Growth Supplement;MBHA、p-メチルベンズヒドリルアミン;Leu、ロイシン;Lys、リジン;Me、メチル;MeCN、アセトニトリル;MeOH、メタノール;Met、メチオニン;N末端、アミノ末端;Pal、パルミトイル;Pbf、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル;Phe、フェニルアラニン;rpm、回転数毎分;RT、室温;tBu、tert-ブチル;TFA、トリフルオロ酢酸;TIS、トリイソプロピルシラン;TMB、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン;Trt、トリフェニルメチルまたはトリチル;Trp、トリプトファン;Tyr、チロシン;Val、バリン。
本実施例に含まれる化学合成手順に関して、すべての合成プロセスは、多孔質ポリエチレンディスクを取り付けたポリプロピレンシリンジ中、または多孔質プレートを取り付けたPyrex(登録商標)反応器中で実施したことに留意されたい。すべての試薬および溶媒は合成品質であり、いかなる追加の処理も行わずに使用した。溶媒および可溶性試薬は、吸引により除去した。Fmoc基を、ピペリジン-DMF(2:8、v/v)(少なくとも1×1分、2×10分、5mL/g樹脂)で除去した(Lloyd Williams P. et al, (1997), Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins. CRC, Boca Raton (Fla., USA))。脱保護と、カップリングと、再度の脱保護との段階の間の洗浄は、10ml溶媒/g樹脂を使用して、毎回、DMF(3×1分)およびDCM(3×1分)を用いて行った。カップリング反応は、3ml溶媒/g樹脂で行った。カップリングの制御は、ニンヒドリン試験を実施することによって、行った(Kaiser E. et al., Anal. Biochem., 1970, 34: 595598)。すべての合成反応および洗浄は、室温で行った。
〔実施例1.ペプチドの合成および調製〕
〔Fmoc-AA1-AA2-AA3-AA4-Rink-MBHA-樹脂を得る(式中、AA1はL-Hisであり;AA2はL-Tyrであり;AA3はL-Argであり;AA4はL-Alaである)〕
重量を標準化した。Fmoc基を除去するために、0.52mmol/gの官能基化を有する4.8g(2.5mmol)のFmoc-Rink-MBHA樹脂を、当技術分野で公知の一般的なプロトコルに記載されるようにして、ピペリジン-DMFを用いて処理した。DIPCDI(1.17mL;7.5mmol;3当量)およびHOBt(1.01g;7.5mmol;3当量)の存在下で、2.33gのFmoc-L-Ala-OH(7.5mmol;3当量)を、DMFを溶媒として使用して、1時間、脱保護された樹脂上に組み込んだ。
次いで、樹脂を、当技術分野で公知の一般的な方法に記載されているように洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返し、次のアミノ酸をカップリングした。先に記載されたプロトコルに従って、4.87gのFmoc-Arg(Pbf)-OH(7.5mmol;3当量);続いて3.45gのFmoc-L-Tyr(tBu)-OH(7.5mmol;3当量);および、続いて4.65gのFmoc-L-His(Trt)-OH(7.5mmol;3当量)を、それぞれ、1.01gのHOBt(7.5mmol;3当量)および1.17mLのDIPCDI(7.5mmol;3当量)の存在下で、順にカップリングした。既に上述したように、それぞれのアミノ酸付加工程間に、Fmoc基の脱保護処理を行った。
合成後、ペプチド樹脂をDCMで洗浄し(それぞれ3分間で5回)、真空下で乾燥させた。
上述の合成手順を用いて、以下の配列を合成した:
His-Tyr-Arg-Ala(配列番号1)。
〔実施例2.実施例1により合成されたペプチドのFmoc N末端保護基の除去〕
ペプチジル樹脂のN末端Fmoc基を、DMF中の20%(体積/体積、以下、v/v)ピペリジンで脱保護した(1×1分+2×10分)(Lloyd Williams P. et al. (1997) Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins. CRC, Boca Raton (Fla., USA))。ペプチジル樹脂をDMF(5×1分)、DCM(4×1分)で洗浄し、真空下で乾燥させた。
〔実施例3.実施例2により得られたペプチジル樹脂上にR1パルミトイル基を導入するプロセス〕
実施例2により得られたペプチジル樹脂1mmol(1当量)を、10当量のDIEAおよび10当量のHOBtの存在下で、溶媒として5mLのDMFを用いて、10当量のヘキサデセン酸(パルミチン酸)で処理した。それらを30分間反応させた後、ペプチジル樹脂をDMF(5×1分)、DCM(4×1分)で洗浄し、真空下で乾燥させた。
〔実施例4.実施例2および3により得られたペプチジル樹脂のポリマー支持体からの切断プロセス〕
重量を標準化した。実施例2または3のいずれかにおいて得られた乾燥ペプチジル樹脂200mgを、撹拌しながら室温で2時間、5mLのTFA/TIS/H2O(90:5:5)で処理した。濾液を回収し、50mL(8~10倍)の冷ジエチルエーテルを用いて沈殿させた。エーテル溶液を減圧下および室温で蒸発乾固させ、沈殿物をH2O中の50%(v/v)MeCNに再溶解し、凍結乾燥させた。
〔実施例5.実施例4により合成および調製されたペプチドの特性付け〕
実施例4により得られたペプチドのHPLC分析は、島津製の装置(Kyoto, Japan)を用いて行った。ここでは、逆相カラム(150×4.6mm、XBridge Peptide BEH C18、3.5μm、Waters, USA)を、H2O(+0.045%(v/v)TFA)中のMeCN(+0.036%(v/v)TFA)の勾配中、流速1.25mL/分で使用し、検出は220nmで行った。すべてのペプチドは、80%を超える純度を示した。得られたペプチドの同一性は、移動相としてMeOHを使用し、流速0.2mL/分のWater ZQ 4000検出器中でのESI-MSによって、確認した。得られた結果は、ペプチドPal-His-Tyr-Arg-Ala-NH2(Pal-配列番号1-NH2)が正確かつ効果的に合成されたことを実証した。
〔実施例6.HEKaおよびHDFa細胞におけるペプチドPal-配列番号1-NH2の細胞毒性の分析〕
HEKa(ヒト表皮ケラチノサイト、成体)およびHDFa(ヒト真皮線維芽細胞、成体)細胞における生存率アッセイによって、ペプチドPal-配列番号1-NH2の細胞毒性を分析した。
ペプチドPal-配列番号1-NH2は、実施例1~5によって調製した。
細胞毒性は、MTTアッセイによって評価した。簡単に説明すると、HEKaおよびHDFa細胞を、1×105細胞/mLの濃度で96ウェルプレートに播種し、インキュベートした。当該インキュベートは、1%(v/v)のEDGSおよび1%(v/v)のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEpilife培地(HEKa細胞の場合)、ならびに、2%(v/v)のLow Serum Growth Supplement(LSGS)を補充した培地106(HDFa細胞の場合)中で、37℃、5%のCO2および飽和湿度で、24時間であった。次いで、MTT評価のために、細胞を、種々の濃度のペプチドPal-配列番号1-NH2(HEKa細胞の場合は0.001mg/mL、0.005mg/mL、0.01mg/mL、0.05mg/mLおよび0.1mg/mL;ならびに、HDFa細胞の場合は0.001mg/mL、0.005mg/mLおよび0.01mg/mL)で、3回繰り返し処理した。対応する濃度のペプチドを用いた24時間の処理後、10μLの黄色テトラゾリウム(MTT)を各ウェルに添加し、37℃でさらに4時間、細胞をインキュベートした。MTTと共にインキュベートした後、各ウェルの培地を吸引し、150μLのジメチルスルホキシド(以下、DMSO)(100%)を添加し、形成されたホルマザン結晶を可溶化した。結晶の可溶化を完了するために、プレートを振盪機上に5分間置き、次いで、マイクロプレートリーダーMultiskan FCを使用して、各ウェルの450nmでの吸光度を決定した。吸光度は、培養物中の生きている細胞の数に正比例する。吸光度の値は、処理されていない細胞(基準状態)について得られたデータを用いて、正規化した。
結果は、図1および2に要約される。
前記図からそのまま導き出すことができるように、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、試験した濃度ではHEKaおよびHDFa細胞の生存率を変化させなかった。したがって、細胞毒性ではない。
〔実施例7.初期ヒト真皮線維芽細胞における遺伝子発現調節の分析〕
ペプチドPal-配列番号1-NH2について、コラーゲンおよび細胞外マトリックスの産生に関連する遺伝子の発現を調節する能力を分析した(分析した遺伝子については、表1を参照のこと)。
ペプチドPal-配列番号1-NH2は、実施例1~5によって調製した。
ペプチドのストック溶液をDMSO中で12.5mg/mLに調製した。検量線用溶液は、ストック溶液から、対応する補充培地中で特定の濃度に新たに調製した。
未処理細胞をネガティブコントロールサンプルとして使用した。
RNA(リボ核酸)抽出およびRT-qPCR(逆転写定量ポリメラーゼ連鎖反応)を行った。簡単に説明すると、6ウェルプレート中に4×105細胞/ウェルの密度でHDFa細胞を2回反復(n=2)で播種し、標準的な培養条件下(1%(v/v)LSGSを補充した106培地;37℃、95%室内湿度、5%のCO2)で、24時間維持した。次いで、濃度0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2で、さらに6時間(または、COL13A1の場合は24時間)、細胞を処理した。未処理細胞を基準コントロールとして使用した。
最後に細胞を溶解し、RNA抽出のために、Qiagen RNeasy Miniキットを使用して、製造業者の説明書に従って、複製物を一緒にプールした。精製したRNAを用いて、増幅のための鋳型として働く市販のキットである高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems)を用いた逆転写によって、対応するcDNA(相補的デオキシリボ核酸)を生成した。StepOne+Real-Time PCR装置を使用して、表1に示す遺伝子(ハウスキーピング遺伝子として使用した、GAPDH-グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼを加えたもの)に対しての適切なTaqManアッセイプローブのパネル、および2x遺伝子発現マスターミックスを用いて、RT-qPCRを行った。増幅は:95℃で15秒(変性)および60℃で1分(アニールおよび伸長);を40サイクル含んだ(Arya, M., Shergill, I.S., Williamson, M., Gommersall, L., Arya, N., Patel, H.R. (2005) Basic principles of real-time quantitative PCR. Expert Rev. Mol. Diagn.; 5(2):209-19; and Jozefczuk, J. and Adjaye, J. (2011) Quantitative real-time PCR-based analysis of gene expression. Methods Enzymol. 500; 99-109)。
得られたデータを、ΔΔCt法を用いて分析した。この方法は、未処理の基準サンプルと比較した、処理サンプルにおける変化倍率として、標的遺伝子の発現値を提供する。両方のサンプルを、ハウスキーピング遺伝子GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ)の相対的な発現を用いて、正規化した。
分析のための工程には、以下が含まれる:
1.各条件について、平均Ctを算出する、
2.ΔCT試験サンプルおよびΔCT未処理サンプルを算出する、
3.ΔΔCTを算出する(ΔΔCT=ΔCT試験サンプル-ΔCT未処理サンプル)、
4.2ΔΔCTによって、比率を得る。
このアッセイの結果は、図3~5に要約される。
前記図から容易に導き出すことができるように、ペプチドPal-配列番号1-NH2は:
-6時間の処理後:遺伝子MMP1およびMMP3をダウンレギュレートし、これは広く知られているように、細胞外マトリックスタンパク質を分解する。
-6時間の処理後:コラーゲンアーキテクチャおよび細胞外アーキテクチャにおけるいくつかの重要な遺伝子:COL3A1、COL4A5、COL5A1、COL6A1、COL7A1、COL12A1、COL14A1、COL13A1(24時間の処理後)、MKX y ZEB2;をアップレギュレートする。
-6時間の処理後、いくつかのコラーゲン架橋に関連する遺伝子:TGFB1、FN1、LOXL3、LOXL2およびHSP47;をアップレギュレートする。
したがって、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、コラーゲンの合成および架橋の増加に寄与しながら、細胞外マトリックス分解を回避または予防し、したがって、老化予防活性および若返り活性を示す。
〔実施例8.ヒト真皮線維芽細胞におけるコラーゲンVIの分析〕
ペプチドPal-配列番号1-NH2について、ヒト真皮線維芽細胞においてコラーゲンVIの合成を誘導する能力を分析した。
ペプチドPal-配列番号1-NH2は、実施例1~5によって調製した。
このアッセイでは、ヒト真皮線維芽細胞においてコラーゲンVI合成を増加させる試験ペプチドの能力をインビトロで評価した。Pal-配列番号1-NH2で細胞を処理した後のコラーゲンVIの量を測定することによって、この評価を行った。
実験プロトコルは、以下の実験群を規定した:
-ネガティブコントロール:可溶化ビヒクル(DMSO)のみで処理した細胞培養物;
-3つの濃度(0.01mg/mL、0.005mg/mLおよび0.001mg/mL)のペプチドPal-配列番号1-NH2で処理した細胞培養物。
DMSO中でペプチドのストック溶液を調製し、次いで、細胞培養培地中で0.01mg/mL、0.005mg/mLおよび0.001mg/mLの3段階の希釈溶液を調製した。
この場合に使用された生物学的モデルは、正常なヒト真皮線維芽細胞からなっていた。細胞を96ウェルプレートに1×104細胞/ウェルで播種し、標準的な培養条件下(37℃、95%室内湿度、5%のCO2)で、24時間維持した。
24時間インキュベートした後、培地を除去し、処理を包含する新しい培地(DMSOまたはPal-配列番号1-NH2)をウェルに添加した。サンプル処理を48時間続け、処理の終わりに、細胞培養培地を回収した。DMSOで処理した細胞をネガティブコントロールとして使用した。
試験実施のために、ヒト真皮線維芽細胞の細胞培養物を、上記の3つの濃度のPal-配列番号1-NH2で処理した。
48時間の処理後、細胞によって産生され放出されたコラーゲンVI(エキソノボコラーゲンVI合成)の量を、ELISAアッセイによって、細胞培養培地中で測定した。結果を、ネガティブコントロール(DMSOで処理した細胞)の結果と比較した。処理は、3回反復で、3つの異なる実験セッションで行った。
コラーゲンVIの定量は、ELISA法によって行った。この目的のために、市販のキットを使用した。試験キットは、サンドイッチELISA方法を用いてヒトコラーゲンVIの含有量を検出した。キットに備え付けられたマイクロELISAプレートは、コラーゲンVIに特異的な抗体でプレコートされた。標準物またはサンプルを、適切なマイクロELISAプレートウェルに添加し、特異的抗体と結合させた。次いで、コラーゲンVIに特異的なビオチン化検出抗体、およびアビジン-ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)複合体を、それぞれマイクロプレートウェルに連続的に添加し、インキュベートした。遊離成分は洗い流した。基質溶液(TMB)を各ウェルに添加した。コラーゲンVIを含有するウェルのみが青色を発色した。酵素-基質反応は、硫酸溶液の添加によって停止され、色は黄色に変わった。光学密度(OD)を、450nmの波長でマイクロプレートリーダーによって測定した。OD値は、コラーゲンVIの濃度に比例した。
定量的な測定は、既知の増加していく濃度の標準コラーゲンVIから構成される検量線を用いた。ネガティブコントロール(DMSO)とサンプルとの間のコラーゲンVI含有量の%変動を計算した。これは、Pal-配列番号1-NH2の、コラーゲンVI合成を増加させる効果の直接的な指標である。
この実験で得られた結果は、表2および図6に要約される。
表2および図6からそのまま導き出すことができるように、すべての場合において(すなわち、試験したすべての濃度について)、コラーゲンVIの合成における統計的に有意な増加が観察された。これはさらに、用量依存性として記載することができた:0.001mg/mLでは11%増加、0.005mg/mLでは16%増加、および0.01mg/mLでは40%増加。図6に示したように、処理群において認められた、ネガティブコントロールに対するコラーゲンVI含有量の差は、統計学的に有意である。
上述した結果は、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、タンパク質コラーゲンVIの合成を増加させ、したがって、細胞外マトリックス集合体の改善に寄与することを実証する。したがって、前記ペプチドは、皮膚の老化、ならびに/または前記老化の皮膚の徴候、例えば、しわ、荒れおよび/もしくは弛み、を予防または治療することができる。
さらに、本実施例の結果はまた、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、皮膚の若返りを提供することができること、ならびに/または、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することができること、より正確には、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、顔面の整復および/または顔の皮膚の締め付けを提供することができることを実証する。
〔実施例9.ヒト真皮線維芽細胞におけるMohawk合成の分析〕
ヒト真皮線維芽細胞におけるMohawk合成を誘導するその能力について、ペプチドPal-配列番号1-NH2を分析した。
ペプチドPal-配列番号1-NH2は、実施例1~5によって調製した。
このアッセイは、ヒト真皮線維芽細胞におけるホメオドメインタンパク質Mohawk合成を増加させる、ペプチドPal-配列番号1-NH2の能力のインビトロ評価に関する。前記ペプチドで細胞処理した後のMohawk量を測定することによって、この評価を行った。
実験プロトコルは、以下の実験群を規定した:
-未処理細胞培養物;
-可溶化ビヒクル(DMSO)のみで処理した細胞培養物(ネガティブコントロール);
-3つの濃度(0.01mg/mL、0.005mg/mLおよび0.001mg/mL)のPal-配列番号1-NH2で処理した細胞培養物。
DMSO中でペプチドのストック溶液を調製し、次いで、細胞培養培地中で0.01mg/mL、0.005mg/mLおよび0.001mg/mLの3段階の希釈溶液を調製した。
使用された生物学的モデルは、上記のように、正常なヒト真皮線維芽細胞からなる。
細胞を96ウェルプレートに1×104細胞/ウェルで播種し、標準的な培養条件下(37℃、95%室内湿度、5%のCO2)で、24時間維持した。24時間インキュベートした後、培地を除去し、試験生成物を含有する新しい培地をウェルに添加した。
サンプル処理は、24時間および48時間継続し、次いで細胞を溶解して、ELISA法によって細胞内のMohawk濃度を決定した。結果を、ネガティブコントロール(DMSOで処理した細胞)と比較した。
処理は、3回反復で、3つの異なる実験セッションで行った。
Mohawk合成の測定は、上記のように、ELISA法によって行った。この目的のために、市販のキットを使用した。試験キットは、2サイトサンドイッチELISA法を適用して、ヒトホメオドメインタンパク質Mohawkの含有量を検出した。Mohawkに特異的な抗体をマイクロプレート上にプレコートした。標準物およびサンプルをピペットでウェルに移し、存在するMohawkを固定化抗体に結合させた。結合していない物質を除去した後、HRP複合ヒトMohawk検出抗体をウェルに添加した。洗浄し、結合していないHRP試薬をいずれも除去した後、色素原溶液をウェルに添加し(基質はTMBであった)、最初の工程で結合したMohawkの量に比例して発色させた。発色を停止させ、濃度を450nmで比色定量した。
定量的な測定は、既知の増加していく濃度の標準Mohawkから構成される検量線を用いた。ネガティブコントロール(DMSO)とPal-配列番号1-NH2で処理した群との間のMohawk含有量の%変動を計算した。これは、ペプチドPal-配列番号1-NH2の、Mohawk合成を増加させる効果の直接的な指標であった。
得られた結果は、表3および図7に要約される。
表3および図7からそのまま導き出すことができるように、すべての場合において(すなわち、試験したすべての濃度および持続時間について)、ホメオドメインタンパク質Mohawkの合成における統計的に有意な増加が観察された。これはさらに、用量および依存性として記載することができる:24時間では、0.001mg/mLでは9%増加、0.005mg/mLでは21%増加、および0.01mg/mLでは43%増加;ならびに、48時間では、0.001mg/mLでは31%増加、0.005mg/mLでは51%増加、および0.01mg/mLでは81%増加。図7に示したように、処理群において認められた、試験した各時間枠におけるネガティブコントロールに対するMohawk含有量の差は、統計学的に有意である。
上述した結果は、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、Mohawkの合成を増加させることを実証し、したがって、皮膚の老化、ならびに/または老化に関連する皮膚の徴候、例えば、しわ、荒れおよび/または弛みなど、を予防または治療することについての潜在能力を実証する。
さらに、本実施例の結果はまた、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、皮膚の若返りを提供することができること、ならびに/または、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することができること、より正確には、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、顔面の整復および/または顔の皮膚の締め付けを提供することができることを実証する。
〔実施例10.コラーゲン架橋の分析〕
コラーゲン架橋を誘導または改善するその能力について、ペプチドPal-配列番号1-NH2を分析した。
ペプチドPal-配列番号1-NH2は、実施例1~5によって調製した。
このアッセイは、コラーゲン原線維形成/コラーゲン架橋を増加および促進する、ペプチドPal-配列番号1-NH2の能力のチューブ内評価に関する。室温での前記ペプチドの溶液(0.02Mの酢酸、0.125MのNaClおよび1/10リン酸緩衝生理食塩水(pH=7.4))を用いたコラーゲン処理後にコラーゲン原線維形成を測定することによって、この評価を行った。
実験プロトコルは、以下の実験群を規定した:
-2つの濃度(0.02または0.04mg/mL)のPal-配列番号1-NH2で処理したコラーゲン溶液;
-上述した処理群と同じだが、ペプチドを含まず、ペプチドを含有するサンプルと同じ体積のDMSOを含む溶液で処理された、コラーゲン溶液(ネガティブコントロール)。
DMSO中でペプチドのストック溶液を調製し、次いで、コラーゲン溶液中のペプチドの最終濃度が0.02mg/mLまたは0.04mg/mLとなるように、2段階の希釈溶液を調製した。
コントロール(処理群と同じだが、ペプチドを含まず、ペプチドを含有するサンプルと同じ体積のDMSOを含む溶液)および処理群のPal-配列番号1-NH2を含む溶液に対して、コラーゲンを加えた直後に、コラーゲン架橋および原線維形成を追跡した。
結果を、ネガティブコントロール(DMSOを含有し、Pal-配列番号1-NH2を含有しない溶液)と比較した。
実験は、4つの異なる実験セッションで行った。
450nmでの吸光度の測定によって、コラーゲン架橋の決定を行った。
サンプルをピペットでウェルに移し、マイクロプレートリーダーMultiskan FCを用いて、100分間の間で2分毎に、各ウェルの450nmでの吸光度を測定した。
ネガティブコントロール(DMSOのみで処置した群)とPal-配列番号1-NH2で処置した群との間のコラーゲン原線維形成の%変動を計算した。これは、ペプチドPal-配列番号1-NH2の、コラーゲン原線維形成を増加させる効果の直接的な指標であり、さらに、用量依存性として記載することができた:0.02mg/mLでは59%増加、および0.04mg/mLでは111%増加。
得られた結果は、図8に要約される。
図8から導き出すことができるように、ペプチドPal-配列番号1-NH2は、試験した2つの濃度:0.02(b)および0.04(a)mg/mLで、コラーゲンの架橋を増加させ、かつ促進する。
上記は、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)の老化防止活性を支持し、したがって、老化に関連する皮膚の徴候、例えば、しわ、荒れおよび/または弛みなど、の予防または治療における前記ペプチドの有用性を支持する。
さらに、本実施例の結果はまた、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、皮膚の若返りを提供することができること、ならびに/または、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することができること、より正確には、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、顔面の整復および/または顔の皮膚の締め付けを提供することができることを実証する。
〔実施例11.ヒト器官型皮膚外植片培養物におけるペプチドPal-配列番号1-NH2の細胞毒性およびコラーゲン産生の分析〕
細胞毒性については、LDH細胞毒性アッセイおよびレサズリンアッセイによって;ならびに、コラーゲン産生に関しては、コラーゲン含有量分析および組織学的分析によって、ペプチドPal-配列番号1-NH2の細胞毒性およびコラーゲン産生を分析した。
ペプチドPal-配列番号1-NH2は、実施例1~5によって調製した。
この場合においては、健康で、かつ老化したヒト器官型皮膚外植片培養物(hOSEC)を実験系として使用した。
試験の最初の5日間、健康なhOSECをヒドロコルチゾン(5μg/mL)に曝露することによって、老化hOSECを得た。
処置群の総数は以下の通りであった:
1.コントロール群(ネガティブコントロール):未処理hOSEC。
2.老化hOSEC:5μg/mLのヒドロコルチゾンで処理したhOSEC(Abraham A, Roga G. (2014) Topical steroid-damaged skin. Indian J Dermatol. 59(5),456-9.)。
3.老化hOSEC+製品A(クリーム、すなわち、偽薬):5μg/mLのヒドロコルチゾンで処理し、製品A(10μL)とインキュベートしたhOSEC。
4.老化hOSEC+製品B(濃度0.005mg/mLのPal-配列番号1-NH2を含むクリーム):5μg/mLのヒドロコルチゾンで処理し、製品B(10μL)とインキュベートしたhOSEC。
各実験群の4回の反復を行い、1つの独立した実験を行った。
アッセイの期間全体は10日間(1日目~10日目)であった。ヒドロコルチゾンを、1~5日目に毎日、適切な、または対応する群に適用した。その側で、製品Bまたは製品Aを、2~9日目に毎日、対応する、または適切な群に適用した。
細胞毒性アッセイは、0日目(試験開始前)、1、3、5、8および10日目に実施した。
コラーゲン産生を10日目に測定した。
〔LDH細胞毒性アッセイ〕
LDH細胞毒性試験は、比色分析アッセイであり、細胞質膜の損傷時に培養培地の上清中に放出される安定なサイトゾル酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を定量的に測定する。培養培地の上清中に放出されたLDHを30分間、酵素反応と共役させて測定する:LDHは乳酸をピルビン酸へと酸化し、次いで、ピルビン酸はテトラゾリウム塩WST-1と反応してホルマザンを形成する。培養上清中で測定されたホルマザンの量の増加は、皮膚外植片中の溶解細胞(損傷)の数の増加と直接的に相関する。
各サンプルの上清を100μL取り出し、96ウェルマイクロプレートに移した。共役酵素反応によって、培養培地の上清中に放出されたLDHを測定した:LDHは乳酸をピルビン酸へと酸化し、次いで、ピルビン酸はテトラゾリウム塩WST-1と反応してホルマザンを形成する。LDH酵素は細胞質膜が損傷を受けたときに培養培地の上清中に放出されるので、ホルマザンの量の増加は溶解細胞(損傷)の数の増加と直接的に相関する。ホルマザン染料は水溶性であり、標準的なELISAプレートリーダーを用いて500nmにて測定することができた。
このアッセイの結果は、ネガティブコントロールを考慮して(すなわち、未処理hOSECを100%のLDH標準濃度とする)計算した。得られた結果は、図9に要約される。
図9から導き出すことができるように、すべての群において見られたLDHの値は、コントロール群(ネガティブコントロール)と同様であった。この事実は、前記アッセイの条件にあるhOSECにおいて、ヒドロコルチゾンがいかなる悪影響も生じなかった(細胞膜の損傷を生じない)ことを示す。同様に、製品B(すなわち、Pal-配列番号1-NH2を含むクリーム)または製品A、および、5μg/mLのヒドロコルチゾンでの処理は、コントロール群と比べてLDH値の差を示さなかった。これらのデータは、前記アッセイの条件にあるhOSECにおいて、ヒドロコルチゾンとのインキュベーションおよび両方の化合物が悪影響、細胞質膜の損傷を生じなかったことを示唆する。
〔レサズリンアッセイ〕
レサズリン色素(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン 10-オキシド)は、増殖および細胞毒性アッセイにおける細胞生存率のインジケータとして、広く使用されている。本アッセイは、生存能力がある、代謝活性な細胞がレサズリンをレゾルフィンおよびジヒドロレゾルフィンへと還元する能力に基づいている。この変換は細胞内で行われ、ミトコンドリア、ミクロソームおよびサイトゾルの酸化還元酵素によって促進される。レサズリンは、細胞に対して非毒性であり、培養培地中で安定である。したがって、レサズリンは、動的アッセイまたはエンドポイントアッセイのいずれかとして、インビトロでの細胞増殖の連続的な測定を可能にする。
したがって、レサズリン色素は、いくつかの細胞毒性アッセイにおける細胞生存率のインジケータとして広く使用されてきた。また、本アッセイはミトコンドリア、ミクロソームおよびサイトゾルの酸化還元酵素によってレサズリンをレゾルフィンおよびジヒドロレゾルフィンへと還元する代謝的に活性のある細胞の能力に基づいているため、レサズリン色素は代謝活性の指標でもある。
細胞生存率および増殖を悪化させる毒性傷害はまた、レサズリンを還元する培養物の能力にも影響を与える。色素還元の速度は、存在している生存細胞の数に正比例する。したがって、レサズリンの還元は、細胞培養物の代謝能力の直接的な尺度であるので、細胞生存率の簡便な指標を提供する。hOSECによって還元されるレサズリンの量の低下はまた、死細胞の数の増加にも直接相関する。
レサズリンアッセイのために、皮膚外植片を、NaCl溶液中の6μMのレサズリンで1時間、処理した。その後、体積100μLの各サンプルを取り出し、96ウェルマイクロプレートに移した。形成されたレゾルフィンを蛍光光度計プレートリーダーで定量した。
蛍光シグナルを、530~560nmの励起波長および590nmの発光波長を用いてモニターした。
レサズリンアッセイの結果は、ネガティブコントロールである未処理の健康なhOSECを100%の生存率として考慮して、計算した。得られた結果を図10に示す。
hOSECを5μg/mLのヒドロコルチゾンで処理した場合、コントロール群(ネガティブコントロール)と比べて、レゾルフィンの割合が10%低下することが観察された。製品B(Pal-配列番号1-NH2を含むクリーム)または製品A、および、5μg/mLのヒドロコルチゾンで処理したhOSECは、コントロール群(ネガティブコントロール)と比べてレゾルフィン値の低下を示さなかった。
これらのデータは、前記アッセイの条件にあるhOSECにおいて、製品Bまたは製品Aの両方が代謝の活性化を引き起こしたという考えを支持する。レゾルフィンは細胞の代謝能力の直接的な尺度であるので、レゾルフィンの増加は、両方の化合物へのhOSECの曝露後の酸化還元酵素の代謝活性化を示唆している可能性がある。
したがって、LDH細胞毒性アッセイおよびレサズリンアッセイにおいて得られた結果からは、Pal-配列番号1-NH2が、毒性ではなく、実際にはヒドロコルチゾンによって引き起こされる負の影響を逆転させるということを推定することができる。
〔コラーゲン産生〕
コラーゲン含有量の分析:
コラーゲンアッセイは、酸性およびペプシン溶解性のコラーゲン(主にIタイプであるが、II、III、IVおよびVタイプでもある)の分析のための色素結合法である。このアッセイは、急速な成長および発達の期間中に産生された、新たに合成されたコラーゲンの割合を評価し得る。
コラーゲン色素試薬(1mL)を各サンプル(チューブ)に添加し、30分間振盪した。チューブを12,000rpmで10分間、遠心分離した。続いて、750μLの氷冷した酸-塩洗浄試薬をコラーゲン-色素ペレットに添加して、ペレットの表面およびマイクロ遠心分離管の内側表面から、未結合の色素を除去した。チューブを再び12,000rpmで10分間、遠心分離した。最後に、250μLのアルカリ試薬を添加した。すべての結合色素が溶解した時に(5分)、サンプルは測定の準備を完了した。溶解した色素(96マイクロウェルプレート中、各サンプル200μL)を、標準的なELISAプレートリーダーを用いて550nmにて測定した。
上述のように、コラーゲン含有量の分析は、試験の10日目に実施した。コラーゲン含有量(マイクログラム)アッセイの結果を、新鮮な真皮組織1ミリグラム当たりで計算した。得られた結果は、図11および表4に要約される。
図11および表4に示すように、残りの老化hOSEC群(5μg/mLのヒドロコルチゾンのみで処理した、またはヒドロコルチゾンおよび製品Aで処理した)と比べて、製品B(0.005mg/mLのPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)で処理した老化hOSECにおけるコラーゲン産生の増加が観察された。
老化hOSEc+製品Bの群は、未処理hOSECと同等のコラーゲン量を示した。
図11に示すように、未処理hOSECおよび老化hOSEC+製品Bの群と、老化hOSECおよび老化hOSEC+製品Aの群との間でコラーゲン量に見られる差は、統計的に有意である。未処理hOSECと老化hOSEC+製品Bとの間には、統計的に有意な差はなかった。
これらの結果は、Pal-配列番号1-NH2の局所的な適用がヒドロコルチゾンの老化効果を逆転させることを実証し、したがって、老化予防生成物として、老化の徴候、例えば、しわ、荒れおよび/または弛みなど、を予防、低減および/または排除する、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)の潜在能力を実証する。
さらに、これらの結果はまた、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、皮膚の若返りを提供することができること、ならびに/または、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することができること、より正確には、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、顔面の整復および/または顔の皮膚の締め付けを提供することができることを実証する。
TEM分析のための組織収集とプロセシング:
皮膚サンプルを透過型電子顕微鏡分析のために処理した。簡単に説明すると、4%(v/v)のホルムアルデヒドおよび1%の(v/v)グルタルアルデヒド中で、皮膚サンプルを固定した。続いて、皮膚サンプルを、0.1Mのスクロース中で一晩インキュベートし、0.1Mの1%(v/v)のオスミウムテトロキシド中でインキュベートした。最後に、サンプルをシリアライズしたエタノール溶液で脱水し、ビームカプセル中に包埋した。
超薄切片(厚さ60~90nm)を、酢酸ウラニルで15分間、クエン酸鉛で5分間、染色した。その後、サンプルは、電子顕微鏡下で分析する準備を完了した。
透過型電子顕微鏡試験を行い、処理した皮膚外植片中のコラーゲン線維の状態を観察した。
結果は、図12A~12Dに要約される。図12Aは、未処理hOSECに対応しており、正しい真皮構造(真皮中の完全で構造化された真皮線維)を示した。同様に、図12Bは、構造化されていないコラーゲン線維(拡散し、圧縮されていない線維)を有する老化hOSECを表す。この画像は、皮膚におけるヒドロコルチゾンの悪影響を裏付けるものであり、これはコラーゲン定量(上記に含まれる)と一致する。製品Aで処理した老化皮膚については、同様の圧縮されていないコラーゲン線維の像が得られた(図12C)。しかしながら、図12Dに見られるように、老化hOSECを製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)とインキュベートした場合、コラーゲン線維(完全で拡散していない線維)の良好な再生が達成された。この画像は、上述した、ELISA法によって得られたコラーゲン値を裏付ける。
同様に、画像解析によって、コラーゲン線維の厚さおよびコラーゲン密度を分析した(下記の表5および6を参照のこと)。得られた値は、視覚的な評価を裏付ける。
コラーゲン密度は、TEM画像上で観察されるコラーゲン線維それぞれの緻密さを示す。この目的のために、GIMP2によって光学画像を分析した。反事実分析は、健康な老化したhOSEC+製品Bの群が、老化hOSECおよび老化hOSEC+製品Aの群において観察された値よりも高い密度値を示したことを裏付けた(下記の表5および図13を参照のこと)。
老化hOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)の群は、コラーゲン産生の増加が認められ、上述したように、未処理hOSECと同等のコラーゲン密度を示した(下記の表5および図13を参照のこと)。
図13に示すように、未処理hOSECおよび老化hOSEC+製品Bの群と、老化hOSECおよび老化hOSEC+製品Aの群との間でコラーゲン密度に見られる差は、統計的に有意であった。未処理hOSECと老化hOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)との間には、統計的に有意な差はなかった。
これらの結果は、Pal-配列番号1-NH2の局所的な適用がヒドロコルチゾンの老化効果を逆転させることを実証し、したがって、老化予防生成物として、老化の徴候、例えば、しわ、荒れおよび/または弛みなど、を予防、低減および/または排除する、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)の潜在能力を実証する。
さらに、これらの結果はまた、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、皮膚の若返りを提供することができること、ならびに/または、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することができること、より正確には、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、顔面の整復および/または顔の皮膚の締め付けを提供することができることを実証する。
コラーゲン線維の厚さもまた、GIMP2によって分析した。健康な老化したhOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)の群は、より良好な緻密さおよび構造化(完全で拡散していない線維)に起因して、老化hOSECおよび老化hOSEC+製品Aの群で観察された値よりも低い線維厚さ値を示したことが、線維厚さ分析によって裏付けられた。老化hOSECに適用されたPal-配列番号1-NH2ペプチドは、未処理hOSECと同等のコラーゲン線維厚さを示した(表6および図14を参照のこと)。
老化hOSECおよび老化hOSEC+製品Aの群における、より高い線維厚さは、線維におけるコラーゲンの異常な蓄積を示した。この異常な蓄積は、インビボにおいて老化皮膚中で生じると記載されている。
未処理hOSECおよび老化hOSEC+製品Bは、同等のコラーゲン線維厚さを示した。
図14に示すように、未処理hOSECおよび老化hOSEC+製品Bの群と、老化hOSECの群との間でコラーゲン線維厚さに見られる差は、統計的に有意であった。未処理hOSECおよび老化hOSEC+製品Bの群と、老化hOSEC+製品Aの群との間でコラーゲン線維厚さに見られる差は、統計的におおよそ有意であった。未処理hOSECと老化hOSEC+製品B(0.005mg/mLのペプチドPal-配列番号1-NH2を含むクリーム)との間に統計的には、有意な差はなかった。
これらの結果は、Pal-配列番号1-NH2の局所的な適用がヒドロコルチゾンの老化効果を逆転させることを実証し、したがって、老化予防生成物として、老化の徴候、例えば、しわ、荒れおよび/または弛みなど、を予防、低減および/または排除する、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)の潜在能力を実証する。
さらに、これらの結果はまた、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、皮膚の若返りを提供することができること、ならびに/または、皮膚の欠陥を低減、予防および/もしくは排除することができること、より正確には、本発明のペプチド(Pal-配列番号1-NH2によって例示される)は、顔面の整復および/または顔の皮膚の締め付けを提供することができることを実証する。
〔実施例12.フォトタイプが異なる女性ボランティアに対する、皮膚およびしわの平滑化および老化防止効果の臨床評価〕
44人の女性ボランティア(50%は明色素性(フォトタイプII~III)、および50%は暗色素性(フォトタイプV~VI))について、顔面皮膚の老化防止に対するPal-配列番号1-NH2ペプチド(実施例1~5によって合成されたもの)の影響を評価した。
簡単に説明すると、ボランティアは、0.05%(m/v)のPal-配列番号1-NH2のストックからの2%(m/v)の化粧品製剤、またはPal-配列番号1-NH2を含まない化粧品製剤(偽薬)を適用した。適用レジームは、56日間、早朝および就寝前の1日2回であった。化粧品製剤を顔面全体に適用し、ボランティア間で、またフォトタイプが異なるボランティア間でも、偽薬および活性の効果を比較した。
28日目および56日目に、各ボランティアに対してAEVAシステムを使用し、しわの深さおよび頬の荒れを評価した。処置期間内のパラメータの低下は、皮膚の平滑化を示唆し、したがって、しわ防止および老化防止の恩恵を示唆した。
得られた結果を図15に示す。
図15(A)~(C)から容易に分かるように、Pal-配列番号1-NH2を含む化粧品製剤は、開始時と比較した場合、すべての試験された皮膚フォトタイプについて、すべての試験された時期における、試験された顔面皮膚の領域において、荒れ(Ra)および彫り込み(Rz)およびしわの深さのいずれかの低下を示した(これらのパラメータのいくつかまたはすべての低下が平滑化効果ならびにしわ防止および老化防止効果を示す)。56日間の処置後には、頬の荒れが4%低下し(偽薬に対して平均5%)、頬の彫り込みが7%低下した(偽薬に対して平均10%)ことが観察された。しわの深さについては、より顕著な効果が観察され、平均で9%の低下に達した。特にフォトタイプV~VIの皮膚のボランティアについては、しわの深さが12%低下したこと(偽薬に対して20%)が観察された一方、フォトタイプII~IIIの皮膚のボランティアでは経時的にしわの深さが6~7%低下した。
図1は、基準状態と比較して、ペプチドPal-配列番号1-NH2を増加させて処理した後のHEKa細胞生存率の割合を示す(すなわち、基準状態の細胞生存率を100%と設けて、次いで、試験した残りのサンプルと比較する)。
図2は、基準状態と比較して、ペプチドPal-配列番号1-NH2で処理した後のHDFa細胞生存率の割合を示す(すなわち、基準状態の細胞生存率を100%と設けて、次いで、試験した残りのサンプルと比較する)。
図3は、未処理の初期ヒト真皮線維芽細胞に対する、ペプチドPal-配列番号1-NH2を用いた処理によって誘導された初期ヒト真皮線維芽細胞における遺伝子発現プロファイルの変調を示す。
図4は、未処理の初期ヒト真皮線維芽細胞に対する、ペプチドPal-配列番号1-NH2を用いた処理によって誘導された初期ヒト真皮線維芽細胞における遺伝子発現プロファイルの変調を示す。
図5は、未処理の初期ヒト真皮線維芽細胞に対する、ペプチドPal-配列番号1-NH2を用いた処理によって誘導された初期ヒト真皮線維芽細胞における遺伝子発現プロファイルの変調を示す。
図6は、ネガティブコントロール(ジメチルスルホキシドで処理)と比較した、ペプチドPal-配列番号1-NH2を増加させて処理したヒト真皮線維芽細胞によるコラーゲンVI合成の増加率を示す(すなわち、ネガティブコントロールのコラーゲンVI合成を100%と設けて、次いで、試験した残りのサンプルのコラーゲンVI合成と比較する)。
図7は、ネガティブコントロール(ジメチルスルホキシドで処理)と比較した、ペプチドPal-配列番号1-NH2を増加させて処理したヒト真皮線維芽細胞によるMohawk合成の増加率を示す(すなわち、ネガティブコントロールのMohawk合成を100%と設けて、次いで、試験した残りのサンプルのMohawk合成と比較する)。
図8は、コラーゲンの架橋を示す。
図9は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、放出LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)の割合による組織生存率を示す(すなわち、ネガティブコントロールの放出LDHを100%と設けて、次いで、実施例11において試験した残りのサンプル中の放出LDHと比較する)。
図10は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、レゾルフィンの割合による代謝活性を示す(すなわち、ネガティブコントロールのレゾルフィンを100%と設けて、次いで、実施例11において試験した残りのサンプル中のレゾルフィンと比較する)。
図11は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、実施例11の種々の実験群におけるコラーゲン定量を示す(すなわち、ネガティブコントロールのコラーゲン量を100%と設けて、次いで、試験した残りのサンプルのコラーゲン量と比較する)。
図12は、実施例11の種々の実験群の透過型電子顕微鏡画像を示す。
図13は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、実施例11の種々の実験群におけるコラーゲン密度を示す(すなわち、ネガティブコントロールのコラーゲン密度を100%と設けて、次いで、試験した残りのサンプルのコラーゲン密度と比較する)。
図14は、ネガティブコントロール(未処理hOSEC)と比較した、実施例11の種々の実験群におけるコラーゲン線維厚さを示す(すなわち、ネガティブコントロールのコラーゲン線維厚さを100%と設けて、次いで、試験した残りのサンプルのコラーゲン線維厚さと比較する)。
図15は、44人の女性ボランティア(50%は明色素性(フォトタイプII~III)、および50%は暗色素性(フォトタイプV~VI))に対する、Pal-配列番号1-NH2の、その局所適用後の効力を示す。