以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置であって当該画像形成装置に適用されるプログラムを備えた画像形成装置を示す概略構成図である。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えば、オンデマンド印刷機等の高い生産性及び安定性を実現したプロダクションプリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、記録媒体の一例としての記録用紙5に画像を形成する画像形成部2と、当該画像形成部2の一側(図示例では、右側)に隣接して配置され、画像形成部2によって画像が形成された記録用紙5に対して定着処理や冷却処理、デカール処理、読取処理などの後処理を施す後処理部3と、後処理部3の上部に配置されて画像形成部2及び後処理部3を制御する制御部4を備えている。ここで、後処理とは、画像が形成(定着)された記録用紙5にパンチ処理や折り処理等の後処理を行うことを意味するものではなく、記録用紙5に対するトナー像の転写の後に行われる定着処理や冷却処理などを便宜上、後処理と称している。
なお、図中の1aは画像形成装置1の画像形成部本体を、1bは画像形成装置1の後処理部本体を、1cは画像形成装置1の制御部本体をそれぞれ示している。これらの画像形成部本体1a、後処理部本体1b及び制御部本体1cは、支持構造部材、外装カバー等で形成されている。また、図中の一点鎖線は、画像形成部本体1a及び後処理部本体1b内において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
画像形成部2は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、複数の作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置40等を備えている。
作像装置10は、淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の6色のトナー像をそれぞれ専用に形成する6つの作像装置10TM,10TC,10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの6つの作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)は、画像形成部本体1aの上部空間において水平方向に沿って1列に並べた状態となるよう配置されている。なお、淡マゼンタ(TM)及び淡シアン(TC)の作像装置10(TM,TC)は、マゼンタ(M)及びシアン(C)の作像装置10M,10Cに比較して濃度が低い淡マゼンタ(TM)及び淡シアン(TC)のトナー像を形成する。また、複数の作像装置10としては、淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の6色のトナー像をそれぞれ専用に形成するものの組み合わせに限定されるものではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像に加えて、透明(CL)や白色(WT)、あるいはゴールドやシルバー等の金属色(G,SLV)など他の色彩及び材質のトナー像を形成するものであっても良い。
各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)は、図2に示されるように、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(TM,TC,Y,M,C,K)の現像剤4のトナーで現像してトナー像にする現像装置14(TM,TC,Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20の中間転写ベルト21に転写する一次転写装置15(TM,TC,Y,M,C,K)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(TM,TC,Y,M,C,K)等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置で構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される帯電装置を用いてもよい。
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像情報に基づいて淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応した画像情報として構成されるレーザー光LBを感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものが用いられる。なお、露光装置13としては、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなるものを用いても良い。
現像装置14(TM,TC,Y,M,C,K)はいずれも、開口部と現像剤Dの収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤Dを保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤Dを攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や攪拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置からの動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、6色の現像剤D(TM,TC,Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。各現像装置14(TM,TC,Y,M,C,K)には、図1に示されるように、対応する色の少なくともトナーを含む現像剤を収容したトナーカートリッジ145(TM,TC,Y,M,C,K)からトナー等が供給される。
一次転写装置15(TM,TC,Y,M,C,K)は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16(TM,TC,Y,M,C,K)は、一部が開口する容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するよう配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃ブラシ161と、感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するよう配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板162と、清掃ブラシ161及び清掃板162で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材163等で構成されている。清掃板162としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)の下方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22~29と、ベルト支持ロール27に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に転写(二次転写)させる転写手段の一例としての二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置29aとで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は中間転写ベルト21の画像形成面を形成する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール24は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25,26,28は中間転写ベルト21の走行位置を支持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール27は二次転写装置30と対向する対向ロールとして構成され、ベルト支持ロール29はベルト清掃装置29aの対向ロールとして構成されている。なお、ベルト支持ロール27は、二次転写装置30の一部を構成している。
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール27に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写ロール32と従動ロール33によって回転駆動される二次転写ベルト31を備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール32又は中間転写装置20のベルト支持ロール27には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。なお、二次転写装置30については、後に詳述する。
給紙装置40は、中間転写装置20の下方側の位置に存在するよう配置される。この給紙装置40は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の大容量の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。用紙収容体41は、例えば、装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるよう取り付けられている。
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙や、定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるため普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が普通紙より大きい厚紙、あるいはトレーシングペーパー等の坪量が普通紙より小さい薄紙、あるいはOHPシート等も好適に使用することが可能となっている。
給紙装置40と二次転写装置30との間には、給紙装置40から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ロール対43,44や搬送ガイド45で構成される給紙搬送路46が設けられている。給紙搬送路46において給紙搬送路46の途中又は二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対44は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。
二次転写装置30の記録用紙5の搬送方向に沿った下流側には、二次転写装置30から送り出される二次転写後の記録用紙5を後処理部3へ搬送するための4連の搬送ベルト47を備えた用紙搬送路48が設けられている。
さらに、画像形成装置1の画像形成部本体1aには、その左側面に多数枚の記録用紙5を積載した状態で収容する図示しない大容量トレイが装着可能となっている。画像形成装置本体1aには、図示しない大容量トレイが装着された場合に当該大容量トレイから給紙される記録用紙5を搬送する複数の用紙搬送ロール対や搬送ガイドで構成される補助給紙搬送路49が設けられている。
後処理部3は、図1に示されるように、トナー像が転写された記録用紙5に対して定着処理を施す定着装置50と、トナー像が定着された記録用紙5を冷却する冷却装置60と、冷却された記録用紙5のカールを矯正するカール矯正装置70と、記録用紙5に形成された画像を読み取る画像読取装置80と、画像が読み取られた記録用紙5を図示しない用紙排出部へ排出する排出搬送路92とともに、必要に応じて記録用紙5の搬送方向を切り替える切替搬送経路を備え、搬送方向が切り替えられた記録用紙5の表裏を反転させて給紙搬送路46へと再度搬送する用紙排出装置90を備えている。
定着装置50は、矢印で示す方向に回転するとともに複数の加熱ロールによって表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱される加熱ベルト51と、この加熱ベルト51の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転する加圧ロール52などを配置して構成されたものである。この定着装置50では、加熱ベルト51と加圧ロール52が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。定着装置50は、加熱ロール単独に比較して熱容量が小さい加熱ベルト51を複数の加熱ロールによって効率良く所要の定着温度に加熱保持することが可能であり、定着速度の高速化(高生産性)に対応している。
用紙排出装置90は、カール矯正装置70によりカール矯正処理が施された記録用紙5を、画像形成装置1の後処理部本体1cの外側面に配置された図示しない用紙排出部に排出する用紙排出ロール対91を有する排出搬送路92を備えている。排出搬送路92の上流側には、記録用紙5の搬送方向を下方の搬送ロール対93を有する両面用搬送経路94へと切り替え可能な第1の切替ゲートG1が配置されている。両面用搬送経路93の中間位置には、記録用紙5の搬送方向を切り替えることにより記録用紙5の表裏を反転させる反転ロール対95を備えた反転搬送経路96が設けられている。反転搬送経路96へと搬送された記録用紙5は、回転方向が反転される反転ロール対95によって表裏が反転された状態で両面用搬送経路94を介して給紙搬送経路46へと搬送される。
両面用搬送経路94の上端部には、記録用紙5の搬送方向を切り替え可能な第2の切替ゲートG2が配置されている。両面用搬送経路94へと搬送された記録用紙5は、表裏のみを反転させて図示しない用紙排出部へ排出する際、カール矯正装置70によってカール矯正処理が施された記録用紙5が両面搬送経路94へと一旦搬送される。両面搬送経路94へと搬送された記録用紙5は、第2の切替ゲートG2によって搬送方向が切り替えられて回転方向が反転される最上位の搬送ロール対93によって用紙排出ロール対91を介して図示しない用紙排出部へ排出される。
制御部4は、画像形成装置1の画像形成動作を統括的に制御する。制御部4は、図3に示されるように、画像形成動作を統括的に制御する制御手段(設定手段)及び表示制御手段の一例としてのCPU401(Central Processing Unit)と、CPU401で実行される本実施の形態1に係るプログラムを含むプログラムを記憶するROM402(Read Only Memory)と、CPU401で実行されるパラメータ等を一次的に記憶するRAM403(Random Access Memory)と、これらCPU401やROM402等と外部を接続するI/Oインターフェイス404等からなる制御装置405を備えている。
また、制御部4の制御装置405には、画像形成装置1を操作する複数の操作ボタン等からなる操作部406と、操作部406で指定された画像形成条件や画像形成装置1の状態を表示するとともに操作部406としての機能も備える液晶表示タッチパネル等からなる表示手段の一例としての表示部407と、画像形成装置1が外部の装置と通信を行う通信部408と、画像形成装置1で形成される画像情報などを記憶する記憶部409が接続されている。
さらに、制御部4の制御装置405には、図1に示されるように、後処理部本体1bの上部に配置され、記録用紙5の抵抗値を検知する第1の検知手段としてのメディアセンサ410と、画像形成部本体1aの内部等に配置され、画像形成装置1が設置された環境の温度及び湿度からなる環境条件を検知する第2の検知手段としての環境センサ411が接続されている。
<二次転写装置の構成>
図4はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置の二次転写装置を示す構成図である。
二次転写装置30は、図4に示されるように、二次転写位置を通過しながら矢印Cで示す方向に回転する無端状のベルト部材の一例としての二次転写ベルト31と、二次転写ベルト31をその内周から所望の状態に保持して回転可能に支持する二次転写ロール32及び従動ロール33と、二次転写ベルト31の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置34とで主に構成されている。
二次転写ロール32は、二次転写ベルト31の駆動部を構成する駆動ロール及びベルト支持ロールとして構成され、従動ロール33は、二次転写ベルト31の巻き掛け部を回転可能に保持するベルト支持ロール及び二次転写ベルト31から記録用紙5を剥離する剥離ロールとして構成されている。従動ロール33は、その外径が二次転写ロール32と同等又は小さく設定されている。また、二次転写ロール32又は中間転写装置20のベルト支持ロール27には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用高圧電源35から二次転写用電圧として供給される。この実施の形態1では、中間転写装置20のベルト支持ロール27にトナーの帯電極性と同極性(マイナス極性)を示す直流の電圧が通電用ロール36を介して二次転写用電圧として供給されるよう構成されている。
二次転写用高圧電源35は、制御装置405からの信号に応じて中間転写装置20のベルト支持ロール27に印加する二次転写電圧を所望の値に制御可能となるよう構成されている。
二次転写ベルト31としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。
駆動ロールとして機能する二次転写ロール32は、金属製の回転軸321の外周に抵抗率が調整された導電性の弾性体層322を被覆して構成されている。
ベルト清掃装置34は、導電性を有する第1ファーブラシ341と、第1回収ロール342と、導電性を有する第2ファーブラシ343と、第2回収ロール344とを備えている。第1ファーブラシ341及び第2ファーブラシ343は、互いに逆極性に帯電されている。
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、まず、前記4つの作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)を使用して、6色(TM,TC,Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するフルカラーモードにおける動作を説明する。
画像形成装置1は、図示しないパーソナルコンピュータや画像読取装置等から通信部408を介して画像情報及び操作部406からフルカラーの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、制御装置405が画像形成部2及び後処理部3を制御し、6つの作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置50等を始動する。
そして、各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)においては、図2に示されるように、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を制御装置405によって各色成分(TM,TC,Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(TM,TC,Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された6色(TM,TC,Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15(TM,TC,Y,M,C,K)が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)は、次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置40では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路46に送り出す。給紙搬送路46では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対44が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置29aが、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21から剥離された後に用紙搬送路48を介して後処理部3の定着装置50まで搬送される。定着装置50では、回転する加熱ベルト51と加圧ロール52との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、冷却装置60により冷却され、カール矯正装置70によりカールが矯正され、画像読取装置80により画像が読み取られた後、片面にのみ画像を形成する場合は、表裏反転装置90の用紙排出ロール対91により後処理部本体1cの側面に設置された図示しない用紙排出部に排出される。
また、記録用紙5の両面に画像を形成する場合は、画像読取装置80により画像が読み取られた記録用紙5の搬送方向が第1の切替ゲートG1によって下方に位置する両面用搬送経路94へと切り替えられる。両面用搬送経路94へと搬送方向が切り替えられた記録用紙5は、反転搬送経路96によって表裏が反転された後、両面用搬送経路94を介して給紙搬送経路46へと搬送される。
そして、画像形成装置1の画像形成部2において、記録用紙5の裏面に画像が形成されて、後処理部3を介して表裏反転装置90の用紙排出ロール対91により後処理部本体1cの側面に設置された図示しない用紙排出部に排出される。
以上の動作により、6色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
画像形成装置1は、上述したように、オンデマンド印刷機等の高い生産性及び安定性を実現したプロダクションプリンタとして構成されており、A4サイズの記録用紙5に対しては120枚/分、A3サイズの記録用紙5に対しては60枚/分という高い生産性で連続してプリント動作を実行することが可能となっている。
<画像形成装置の特徴部分の構成>
ところで、この実施の形態1に係る画像形成装置1は、上記の如く高い生産性で多数枚の記録用紙5に連続してプリント動作を実行することが可能となるよう構成されている。かかる画像形成装置1では、ユーザによって画像をプリントする記録用紙5が変更され記録用紙5の種類が様々に異なる場合においても、画像の濃度低下や飛散などの画質低下を生じることなく、良好な画質を維持する安定性が求められる。
画像形成装置1は、図1に示されるように、淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置(TM,TC,Y,M,C,K)において、淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の6色のトナー像をそれぞれ形成し、各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)において形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)及びブラック(K)の6色のトナー像を中間転写ベルト21上に重ね合わせた状態で一次転写する。
中間転写装置20は、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21から剥離された後に用紙搬送路48を介して定着装置50まで搬送される。
このような画像形成装置1において記録用紙5上に形成される画像の画質を決定するのは、主に、淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)における感光体ドラム11の表面にトナー像を形成する第1の工程と、各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト21に転写する第2の工程と、中間転写ベルト21に転写されたトナー像を記録用紙5に二次転写する第3の工程である。
これらの第1~第3の工程の中でも、中間転写ベルト21に転写されたトナー像を記録用紙5に二次転写する第3の工程は、中間転写ベルト21、ベルト支持ロール27、記録用紙5、トナー像(トナー層)、二次転写ベルト31、二次転写ロール32など多くの部材が介在する最も複雑な画像形成工程であり、かつ記録用紙5の種類が普通紙、薄紙、厚紙など多岐にわたり、又温度や湿度等の環境変動の影響も考慮すると、画質の向上を達成し維持する上で特に重要となる工程である。
別言すれば、プロダクションプリンタとしての画像形成装置1において良好な画質を維持する上では、第3の工程である二次転写工程において、中間転写ベルト21に転写されたトナー像を如何にそのままの状態で効率良く様々な種類の記録用紙5に二次転写するかにかかっている。二次転写工程は、中間転写ベルト21上に保持されたトナー像を、ベルト支持ロール27と二次転写ロール32との間に印加される二次転写電圧によって形成される転写電界により記録用紙5に移動(転写)させる工程である。
したがって、中間転写ベルト21に保持されたトナー像をそのままの状態で効率良く様々な種類の記録用紙5に二次転写するためには、中間転写ベルト21、ベルト支持ロール27、二次転写ベルト31、二次転写ロール32等の物性(抵抗値)及び記録用紙5の種類に応じた適切な二次転写電圧を設定して、中間転写ベルト21のトナー像に適切な転写電界を作用させるかが重要となる。
図5は画像形成装置の二次転写部を示す等価回路である。
図5において、RBUR+IBTはベルト支持ロール27及び中間転写ベルト21を合わせた抵抗値を、CBUR+IBTはベルト支持ロール27及び中間転写ベルト21を合わせた静電容量を、RTは二次転写部におけるトナー層の抵抗値を、CTは二次転写部におけるトナー層の静電容量を、RMは記録用紙5の抵抗値を、CMは記録用紙5の静電容量を、RBTBは二次転写ベルト31及び二次転写ロール32を合わせた抵抗値を、CBTBは二次転写ベルト31及び二次転写ロール32を合わせた静電容量をそれぞれ示している。
いま、二次転写用高圧電源35の出力電圧である二次転写電圧を一定とした場合には、図6に示されるように、ある記録媒体であるメディアAの電気抵抗値が6.8(LogΩ)であるとき、二次転写部の転写効率を決定する転写電解Eを1.0とすると、異なる記録媒体であるメデイアBの電気抵抗値が8.4(LogΩ)に上昇すると、二次転写部の転写効率を決定する転写電解Eが0.8に低下し、更に異なる記録媒体であるメデイアCの電気抵抗値が10.0(LogΩ)に更に上昇すると、二次転写部の転写効率を決定する転写電解Eが0.67に低下する。
その結果、画像形成装置1において、二次転写装置30に印加する二次転写電圧を一定の値に保持した場合は、記録用紙5が異なって記録用紙5の電気抵抗値が変化すると、二次転写部において記録用紙5に作用する二次転写の電界Eが低下し、濃度低下等の画質不良が発生する虞れがある。
同様のことは、画像形成装置1が設置された環境の温度及び湿度からなる環境条件が変動し、ベルト支持ロール27及び中間転写ベルト21を合わせた抵抗値RBUR+IBTや二次転写ベルト31及び二次転写ロール32を合わせた抵抗値RBTBが変化した場合にも、同様に、二次転写部において記録用紙5に作用する二次転写の電界が低下し、濃度低下等の画質不良が発生する虞れがある。
なお、二次転写部において記録用紙5に作用する二次転写の電界が過剰である場合には、記録用紙5に転写されるトナー像に画像飛散等が発生し、やはり画質不良の原因となる虞れがある。
そこで、この実施の形態1に係る画像形成装置は、記録媒体の抵抗値及び前記転写手段の抵抗値に基づいて転写手段に印加する転写電圧を設定する設定手段を備えるよう構成されている。
また、この実施の形態1に係る画像形成装置は、記録媒体の抵抗値を検知する第1の検知手段の一例としてのメディアセンサーを備えるよう構成されている。
<ストックライブラリー>
画像形成装置1では、上述したように、記録用紙5として、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙や、定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるため普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が普通紙より大きい厚紙、あるいはトレーシングペーパー等の坪量が普通紙より小さい薄紙、あるいはOHPシートなど様々な種類のものが使用される。
また、記録用紙5としては、同一種類の記録用紙5であっても、A4サイズ、A3サイズ、A5サイズ、B4サイズ、B5サイズ、リーガルサイズ、8インチサイズなど様々な用紙サイズのものが使用される。
さらに、記録用紙5としては、白色以外にも、黄色、青色、黒色など種々の色彩のものが用意され、更にはパンチ穴の有り無し、縦目や横目などの紙目等を含めて様々な特性を有している。
そこで、この実施の形態1は、記録用紙5を管理するため、記録用紙5を用紙サイズ、用紙種類(材質)、コートの有無、1綴の枚数、パンチ穴の有無、色、用紙坪量などからなる属性情報ごとに名称を付けて管理するストックライブラリーという機能を備えている。なお、記録用紙5の属性情報としては、これらすべてである必要はなく、少なくとも記録用紙5を用紙サイズ、用紙種類(材質)、用紙坪量を含むものであれば良い。
画像形成装置1で使用可能な記録用紙5の坪量は、例えば、52~400gsm程度である。
ストックライブラリーは、図7に示されるように、表示部407にストックライブラリー管理画面200として表示される。ストックライブラリー管理画面200は、上部に推奨される用紙リストが表示され、下部に個々の画像形成装置1に個別のストックライブラリーが表示される。ストックライブラリーの推奨用紙リストは、推奨される各記録用紙5に対応して、当該記録用紙5を他の記録用紙5と区別するための名称、サイズ、材質、コートの有無、1綴の枚数、パンチ穴の有無、色、坪量、コメントが予め設定され入力されている。
一方、ストックライブラリーは、ユーザが使用する各記録用紙5に対応して、当該記録用紙5を他の記録用紙5と区別するための名称、サイズ、材質、コートの有無、1綴の枚数、パンチ穴の有無、色、坪量(厚さを含む))、変更日時、コメントがユーザによって操作部406や表示部407から入力される。
<メディアセンサー>
メディアセンサー410は、図1に示されるように、例えば、後処理部本体1bの上部に配置される。メディアセンサー410は、図8に示されるように、略直方体形状に形成されたメディアセンサー筐体4101を備えている。メディアセンサー筐体4101の内部には、その長手方向に沿った一端部が開口し、記録用紙5を挿入可能なスリットからなる挿入部4102が設けられている。挿入部4102の奥側の端部には、記録用紙5の裏面(下面)に配置された円板状の裏面電極4103と、当該裏面電極4103と間隙を介して対向するよう配置され、裏面電極4103より面積が小さく設定された円板状の表面電極4104と、当該表面電極4102の外周に配置された円環状のガード電極4105が配置されている。裏面電極4103と表面電極4104との間には、電流計4106を介して例えば500V程度の直流電圧が直流電源4107により印加されている。また、裏面電極4103とガード電極4105との間には、直流電圧が直流電源4107により印加されている。
メディアセンサー410は、定電圧印加・漏洩電流測定方式によって記録用紙5の電気抵抗値を検知するものであり、JIS K 6911に準拠する。
記録用紙5の電気抵抗値ρv(Ωcm)は、次の式によって求められる。
ρv={πd2 /(4t)}×Rv
Rv=V/Iv
ここで、dは表面電極の外径、tは記録用紙5の厚さ、Vは直流電源4107の印加電圧、Ivは電流計4106の検知電流をそれぞれ示している。なお、電流計4106によって検知された電流値は、デジタル値に変換されて制御装置405に入力される。なお、記録用紙5の厚さtは、ストックライブラリーに坪量の情報とともに記憶されている。
<環境センサー>
画像形成装置1は、図1に示されるように、給紙装置40の近傍に、画像形成装置1が設置された環境の温度及び湿度の少なくとも一方、本実施の形態1では、環境の温度及び湿度の双方を検知する環境センサー411を備えている。
この実施の形態1では、画像形成装置1が設置された環境の温度及び湿度を、予め定められた閾値によって、高温高湿(区分1)、高温常湿(区分2)、高温低湿(区分3)、常温高湿(区分4)、常温常湿(区分5)、常温低湿(区分6)、低温高湿(区分7)、低温常湿(区分8)、低温低湿(区分9)の9つに区分している。なお、環境の温度及び湿度の区分としては、上述した9つの区分に限定されるものではなく、例えば、高温高湿、常温常湿、低温低湿の3つに区分しても良い。
CPU401は、メディアセンサー410によって検知された記録用紙5の抵抗値及び環境センサー411によって検知された温度及び湿度の環境条件に応じて求められる二次転写装置30の抵抗値に基づいて、二次転写装置30に印加する転写電圧を設定する。二次転写装置30に印加する二次転写電圧は、次の式に基づいて決定される。
二次転写電圧=(メディア電気抵抗値)寄与分+(部材抵抗×温湿度補正係数)寄与分
ここで、(メディア電気抵抗値)寄与分は、メディアセンサー410によって検知された記録用紙5の抵抗値に基づいて決定される二次転写電圧値であり、温湿度補正係数は、環境センサー411によって検知された温度及び湿度に基づいて予め決定された二次転写装置30の部材抵抗値を補正する補正係数であり、(部材抵抗×温湿度補正係数)寄与分は、温度及び湿度の環境変化によって変化する二次転写装置30の部材抵抗値に基づいて決定される二次転写電圧値である。
二次転写装置30を構成するベルト支持ロール27、中間転写ベルト21、二次転写ベルト31及び二次転写ロール32は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料や、金属製の回転軸の外周に抵抗率が調整された導電性の弾性体層を被覆して構成されている。そのため、二次転写装置30は、温度及び湿度からなる環境条件が変化すると、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂に分散されるカーボンブラック等の抵抗調整剤や、導電性の弾性体層の電子伝導度やイオン伝導度が変化する。その結果、二次転写装置30の抵抗値が変動する。
温湿度補正係数は、例えば、図10に示されるように、高温高湿(区分1)、高温常湿(区分2)、高温低湿(区分3)、常温高湿(区分4)、常温常湿(区分5)、常温低湿(区分6)、低温高湿(区分7)、低温常湿(区分8)、低温低湿(区分9)の9つの区分に対応して設定される。区分1から区分4の間は、区分1が補正係数90%、区分4が補正係数100%となるよう直線状に上昇する。区分5は、補正係数105%、区分6が補正係数115%、区分7は、補正係数120%、区分8が補正係数130%、区分8が補正係数155%と急激に上昇するよう設定されている。
<画像形成装置の特徴部分の動作>
この実施の形態1に係る画像形成装置1では、次のようにして、記録用紙5に画像を転写する際の転写電圧を記録用紙5の抵抗のみに基づいて変更する場合に比べて、記録用紙5に転写される画像に画質不良が発生するのを抑制することが可能となっている。
すなわち、この実施の形態1に係る画像形成装置1では、図11に示されるように、ユーザが所望の記録用紙5にプリント動作を開始するにあたり、ユーザが操作部406において画像をプリントする記録用紙5を選択すると、CPU401は、メディアセンサー410による記録用紙5の読み取りを指示する(ステップ101)。
ユーザが操作部406において画像をプリントする記録用紙5を選択する操作は、例えば、図7に示されるように、表示部407にストックライブラリー200を表示させ、ストックライブラリー200に表示された記録用紙5を選択することにより実行される。
CPU401は、図12に示されるように、表示部407に「測定メディアに合わせた用紙設定を作成します。用紙をメディアセンサーにセットして下さい。」というメッセージを表示する(ステップ102)。ユーザが記録用紙5をメデイアセンサー410にセットし、表示部407の測定開始ボタンを操作すると、表示部407に「測定中 電気抵抗を測定中です。しばらくお待ちください。」とのメッセージが表示される。なお、メデイアセンサー410による記録用紙5の電気抵抗値の測定を中止する際は、キャンセルボタンが操作される。
次に、CPU401は、図11に示されるように、環境センサー411によって温度及び湿度からなる環境条件を取得する(ステップ103)。CPU401は、検知された環境条件に基づいて二次転写装置30に印加する二次転写電圧を算出する(ステップ104)。
CPU401は、環境センサー411によって検知された温度及び湿度の環境条件が区分1から区分9のいずれに属するかを判別し、判別された区分に基づいて二次転写装置30の抵抗値に起因したIOTパラメータである補正係数を算出する(ステップ104)。この補正係数の算出は、図10に示されるような区部1~9と補正係数の関係を予め記憶してテーブル等を参照することにより実行される。二次転写装置30に印加する二次転写電圧は、次の式に基づいて決定される。
二次転写電圧=(メディア電気抵抗値)寄与分+(部材抵抗×温湿度補正係数)寄与分
CPU401は、図12に示されるように、メデイアセンサー410による記録用紙5の電気抵抗の測定を終了すると、表示部407に調整結果を表示する。その際、表示部407には、「用紙調整が終了しました。結果を反映した用紙設定を作成します。」というメッセージが表示され、当該記録用紙5の電気抵抗値に応じて調整された後の二次転写電圧が表示される。
ユーザは、調整後の二次転写電圧を確認し、当該調整後の二次転写電圧を保存する場合は保存ボタンを操作する。
CPU401は、メデイアセンサー410によって検知された記録用紙5の電気抵抗値及び環境センサー411によって検知された温度及び湿度の環境条件に起因する部材抵抗に応じて調整された後の二次転写電圧をRAM403や記憶部409に記憶する(ステップ106)。
次に、ユーザがプリント動作を開始する開始ボタンを操作すると、画像形成装置1では、図1に示されるように、淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の6つの作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)において対応する色のトナー像がそれぞれ形成される。各作像装置10(TM,TC,Y,M,C,K)で形成された淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の6色のトナー像は、中間転写ベルト21に重ね合わされた状態で一次転写される。そして、中間転写ベルト21に一次転写された淡マゼンタ(TM)、淡シアン(TC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の6色のトナー像は、中間転写ベルト21により二次転写位置まで搬送され、二次転写位置において二次転写装置30により記録用紙5に二次転写される。
このとき、二次転写装置30を構成するベルト支持ロール27には、二次転写用高圧電源35によってトナー像の帯電極性と同極性(マイナス極性)の二次転写電圧が印加される。二次転写電圧は、制御装置405によって記録用紙5の電気抵抗値及び二次転写装置30の電気抵抗値に基づいて設定される。
更に説明すると、CPU401は、図13及び図14に示されるように、メディアセンサー410によって検知された記録用紙5の抵抗値及び環境センサー411によって検知された環境条件に基づいて、記録用紙5の抵抗値に応じた二次転写装置30に印加すべき二次転写電圧値を、記録用紙5の抵抗値が6.8(Log Ω)のときは2491V、記録用紙5の抵抗値が9.0(Log Ω)のときは4183V、記録用紙5の抵抗値が7.1(Log Ω)のときは2744V、・・・というように設定し、且つ環境センサー411によって検知された温度及び湿度の環境条件が区分4であると検知すると、温湿度補正係数を100%として、二次転写装置30の部材抵抗の寄与分である160Vに温湿度補正係数100%を乗算して、最終的に二次転写装置30の二次転写電圧を2651V、4343V、2904V、・・・というように設定する。
その結果、画像形成装置1の二次転写装置30においては、図5に示されるように、記録用紙5の抵抗値及び環境変動に伴う二次転写装置30の部材抵抗値に応じて適した二次転写電圧を設定して印加することができ、中間転写ベルト21上に保持されたトナー像を記録用紙5に画像濃度の低下や画像飛散等の画質不良が発生することが抑制される。
このように、上記実施の形態1に係る画像形成装置1では、記録用紙5に画像を転写する際の転写電圧を記録用紙5の抵抗のみに基づいて変更する場合に比べて、記録用紙5に転写される画像に画質不良が発生するのを抑制することが可能となる。
〔実施の形態2〕
図15はこの発明の実施の形態2に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
この実施の形態2に係る画像形成装置は、記録媒体の抵抗値を検知する第1の検知手段と、第1の検知手段によって検知された前記記録媒体の抵抗値に基づいて前記転写手段に印加する転写電圧を設定する設定手段と、第1の検知手段によって前記記録媒体の抵抗値が検知されてからの経過時間が予め定められた閾値を超えた場合に、前記抵抗値が検知された記録媒体と同一種類の記録媒体に前記中間転写手段に転写された画像を転写するとき、前記第1の検知手段による再度の抵抗値検知を行うよう制御する制御手段とを備えるよう構成されている。
また、この実施の形態2は、再度の抵抗値検知を行う旨を示す表示を表示手段に表示するよう制御する表示制御手段を備えるよう構成されている。
すなわち、この実施の形態2に係る画像形成装置1は、図15に示されるように、CPU401によって前回記録用紙5の電気抵抗値を検知してからの経過時間が算出され、経過時間が予め定められた閾値(例えば、2時間)を超えているか否かが判別される(ステップ201)。
そして、CPU401は、前回、メディアセンサー410によって記録用紙5の電気抵抗値を検知してから閾値(例えば、2時間)を超える時間が経過していると判別すると、ステップ201に戻り、メディアセンサー410による記録用紙5の電気抵抗値の読み取り(検知)を指示する。
一方、CPU401は、前回、メディアセンサー410によって記録用紙5の電気抵抗値を検知してから閾値(例えば、2時間)を超える時間が経過していないと判別すると、前回のメディアセンサー410による記録用紙5の電気抵抗値の検知結果に基づいた二次転写電圧をそのまま採用する。
このように、上記実施の形態2に係る画像形成装置1は、前回、記録用紙5の電気抵抗値を検知してからの経過時間に基づいてメディアセンサー410による記録用紙5の電気抵抗値の検知を判別しているので、時間経過に基づいて記録用紙5の電気抵抗値が変動した場合においても、適切な二次転写電圧を設定して二次転写装置30に印加することが可能となる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
〔実施の形態3
図16はこの発明の実施の形態3係る画像形成装置を示す概略構成図である。
この実施の形態3に係る画像形成装置1は、図16に示されるように、第1の検知手段の一例としてのメディアセンサー410が後処理部本体1bの上部に配置された所謂オフライン型の検知装置ではなく、画像形成部本体1aの内部に配置された所謂インライン型の検知装置として構成されている。
すなわち、この実施の形態3に係る画像形成装置1は、画像形成部本体1aの内部において、給紙装置40から二次転写装置30まで記録用紙5を搬送する給紙搬送路46の途中に、第1の検知手段の一例としてのメディアセンサー410が配置されている。
メディアセンサー410は、画像形成部本体1aの内部において、給紙搬送路46のレジストロールとして機能する用紙搬送ロール対44の上流側に隣接して配置されている。
メディアセンサー410は、図17に示されるように、実施の形態1と同様、給紙搬送路46において通過する記録用紙5の裏面(下面)に配置された円板状の裏面電極4103と、当該裏面電極4103と間隙を介して対向するよう配置され、裏面電極4103より面積が小さく設定された円板状の表面電極4104と、当該表面電極4104の外周に配置された円環状のガード電極4105が配置されている。裏面電極4103と表面電極4104との間には、電流計4106を介して例えば500V程度の直流電圧が直流電源4107により印加されている。また、裏面電極4103とガード電極4105との間には、直流電圧が直流電源4107により印加されている。
そして、メディアセンサー410は、記録用紙5に印加する電圧V、記録用紙5に流れる電流I、及び記録用紙5の厚さに基づいて、記録用紙5の電気抵抗値ρv(Ωcm)を、次の式によって求める。
ρv={πd2 /(4t)}×Rv
Rv=V/Iv
記録用紙5の抵抗値の演算処理は、CPU401によって実行される。
CPU401は、画像処理部本体1aの給紙搬送路46を通過するすべての記録用紙5の電気抵抗値を検知する必要は勿論ない。
CPU401は、一連のプリントジョブにおける最初の記録用紙5、あるいは一連のプリントジョブにおける予め定められた枚数毎の記録用紙5、更には給紙搬送路46を通過する予め定められた時間を経過したときにおける記録用紙5の電気抵抗値を検知するように構成しても良い。
この実施の形態3に係る画像形成装置1では、ユーザによる記録用紙5の抵抗値検知操作が不要となり、作業性が向上する。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明は、電子写真方式の画像形成装置で説明を行ったが、電子写真方式の画像形成装置に限られるものではなく、例えば、インクによる未乾燥層の画像(未定着のインク画像)を保持して搬送された用紙に接してその未定着インク画像を用紙上に定着する、インクジェット方式の画像形成装置や静電転写方式の画像形成装置等にも適用することができる。