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JP2022155924A - 包装体用フィルム及び包装体 - Google Patents

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JP2022155924A
JP2022155924A JP2021059374A JP2021059374A JP2022155924A JP 2022155924 A JP2022155924 A JP 2022155924A JP 2021059374 A JP2021059374 A JP 2021059374A JP 2021059374 A JP2021059374 A JP 2021059374A JP 2022155924 A JP2022155924 A JP 2022155924A
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packaging
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crystal
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JP2021059374A
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English (en)
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誠人 宮脇
Masato Miyawaki
知明 山中
Tomoaki Yamanaka
正弘 平原
Masahiro Hirahara
雅也 藤原
Masaya Fujiwara
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Star Plastic Industry Inc
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Abstract

Figure 2022155924000001
【課題】酸素バリア性を有し、臭気が低減され、容易にリサイクルできる包装体用フィルム及び包装体。
【解決手段】2軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材10と、基材10の一方の面に位置し、無延伸ポリプロピレンフィルムからなるシーラント層22の片面に特定の厚さのアルミ蒸着層24が形成されたシーラント材20と、基材10とシーラント材20との間に位置する特定量の酸素吸収剤を含有する接着剤層30と、を備え、熱流束示差走査熱量測定装置で測定される基材10の吸熱ピークの総熱量に対する、β晶に由来するβ’晶グループの吸熱ピークの熱量比が10%以下である、包装体用フィルム1。
【選択図】図1

Description

本発明は、包装体用フィルム及び包装体に関する。
酸素や水蒸気を遮蔽する機能を備えたガスバリア性フィルムが知られており、包装材料としても広く利用されている。食品や薬剤等の内容物は、紫外線や酸素によって品質の低下を引き起こすことが知られている。例えば、油脂は紫外線の影響を強く受け、酸化劣化が進行する。天然色素は、紫外線に対して不安定なものが多く、変色するおそれがある。
こうした問題に対し、例えば、特許文献1には、未延伸ポリオレフィン樹脂フィルム上に設けられたガスバリア性塗布膜と、前記ガスバリア性塗布膜上に設けられたアルミ蒸着層とを備えたバリア性積層フィルムが提案されている。特許文献1の発明では、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(アルミ蒸着PET)と同等の酸素バリア性、水蒸気バリア性、遮光性及び光沢性を有し、密着性及びヒートシール性の改善が図られている。
特開2013-22918号公報
しかしながら、特許文献1の発明では、特性の異なる複数の素材を組み合わせることで各種機能を付与しているため、リサイクルが困難であるという課題がある。
また、包装体用フィルムには、残留溶媒に起因する臭気を低減することが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酸素バリア性を有し、臭気が低減され、容易にリサイクルできる包装体用フィルム及び包装体を目的とする。
ポリプロピレンの結晶構造には、α晶(単斜晶ともいう。)、β晶(六方晶ともいう。)、γ晶(三斜晶ともいう。)があることが知られている。β晶には、β晶から派生するβ’晶(βプライム晶。擬六方晶ともいう。)が存在することが知られている。
鋭意検討を重ねた結果、本発明者等は、β晶に由来するβ’晶グループ(β’晶及びβ’晶に類似する結晶)が、接着剤に含まれている酢酸エチルやメチルエチルケトン(MEK)等の有機溶剤を取り込みやすく、β’晶グループの生成を抑制することで、残留溶媒に起因する臭気を低減できることを見出した。
すなわち、本発明の包装体用フィルムは、以下の構成を有する。
[1]2軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材と、
前記基材の一方の面に位置し、無延伸ポリプロピレンフィルムからなるシーラント層の片面にアルミ蒸着層が形成されたシーラント材と、
前記基材と前記シーラント材との間に位置する接着剤層と、を備え、
前記アルミ蒸着層は、前記基材に対向し、
前記アルミ蒸着層の厚さが20~100nmであり、
前記接着剤層は、炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオールとイソシアネート基を有する化合物とを含有するイソシアネート系接着剤の硬化物であり、
前記イソシアネート系接着剤は、酸素吸収剤を含有し、
前記酸素吸収剤の含有量は、前記イソシアネート系接着剤の総質量に対して1質量%以上であり、
熱流束示差走査熱量測定装置で測定される前記基材の吸熱ピークの総熱量に対する、β晶に由来するβ’晶グループの吸熱ピークの熱量比が10%以下である、包装体用フィルム。
[2]熱流束示差走査熱量測定装置で測定される前記基材の吸熱ピークの総熱量に対する、α晶の吸熱ピークの熱量比が80%以上である、[1]に記載の包装体用フィルム。
[3]前記酸素吸収剤が、共役ジエン重合体環化物及び遷移金属塩から選ばれる1種以上である、[1]又は[2]に記載の包装体用フィルム。
[4][1]~[3]のいずれか一項に記載の包装体用フィルムが製袋された包装体。
本発明の包装体用フィルムによれば、酸素バリア性を有し、臭気が低減され、容易にリサイクルできる。
本発明の一実施形態に係る包装体用フィルムの断面図である。 本発明の一実施形態に係る基材のDSC曲線の一例である。 比較例に係る包装体用フィルムのDSC曲線の一例である。
本発明の包装体用フィルムは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材と、基材の一方の面に位置し、無延伸ポリプロピレンフィルムからなるシーラント層にアルミ蒸着層が形成されたシーラント材とを備える。
本発明の包装体用フィルムは、基材の樹脂と、シーラント材の樹脂とが同じ種類(ポリプロピレン)である。このため、本発明の包装体用フィルムを回収する際には、基材とシーラント材とを別々に回収する必要が無く、容易にリサイクルできる。
≪包装体用フィルム≫
本発明の一実施形態に係る包装体用フィルムについて、図面を参照して説明する。
図1の包装体用フィルム1は、基材10と、接着剤層30と、シーラント材20とがこの順で積層されたものである。すなわち、包装体用フィルム1は、基材10と、基材10の一方の面に位置するシーラント材20と、基材10とシーラント材20との間に位置する接着剤層30とを備える。シーラント材20は、シーラント層22の片面にアルミ蒸着層24が形成されてなる。アルミ蒸着層24の表面は、基材10の表面に対向する。
包装体用フィルム1の酸素透過度は、4.0mL/(m・day)以下が好ましく、2.0mL/(m・day)以下がより好ましく、1.0mL/(m・day)以下がさらに好ましい。包装体用フィルム1の酸素透過度が上記上限値以下であると、酸素バリア性に優れる。包装体用フィルム1の酸素透過度は小さいほど好ましく、酸素透過度の下限値は、0mL/(m・day)が好ましい。
包装体用フィルム1の酸素透過度は、JIS K7126-2:2006の附属書Aに記載の電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法に準じて測定できる。
包装体用フィルム1の酸素透過度は、基材10の材質や厚さ、シーラント材20の材質や厚さ、アルミ蒸着層24の厚さ、酸素吸収剤の種類や含有量、及びこれらの組合せにより調整できる。
包装体用フィルム1の波長450nmの可視光の光線透過率(以下、単に「光線透過率」ともいう。)は、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましい。包装体用フィルム1の光線透過率が上記上限値以下であると、遮光性に優れる。包装体用フィルム1の光線透過率は小さいほど好ましく、光線透過率の下限値は、0%が好ましい。
包装体用フィルム1の光線透過率は、例えば、紫外可視分光光度計を用いて測定できる。
包装体用フィルム1の光線透過率は、シーラント材20の材質や厚さ、アルミ蒸着層24の厚さ、及びこれらの組合せにより調整できる。
包装体用フィルム1の残留溶媒量は、5.0mg/m以下が好ましく、2.0mg/m以下がより好ましく、1.0mg/m以下がさらに好ましい。包装体用フィルム1の残留溶媒量が上記上限値以下であると、臭気をより低減できる。
包装体用フィルム1の残留溶媒量は、例えば、キャピラリーガスクロマトグラフ装置を用いて測定できる。
包装体用フィルム1の残留溶媒量は、後述する基材10の吸熱ピークの総熱量に対する、β’晶グループの吸熱ピークの熱量比によって調整できる。
包装体用フィルム1の厚さTは、特に限定されないが、例えば、35~250μmが好ましく、40~200μmがより好ましく、50~150μmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の強度が高められる。厚さTが上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
包装体用フィルム1の厚さTは、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
<基材>
基材10は、2軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる。基材10として2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることで、包装体用フィルム1の水蒸気バリア性を高めることが出来る。これは、ポリプロピレンフィルムを延伸することで、ポリプロピレンの結晶化度を高められるためであると考えられる。
基材10におけるポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン、ポリエチレンを10質量%程度含有するポリプロピレンとポリエチレンとの共重合体、ブロックポリプロピレン等が挙げられる。基材10は、ポリプロピレンを50質量%以上含有していればよい。
基材10は、単層であってもよく、2層以上が積層された複層であってもよい。
基材10のMD方向(フィルムを製造する際の押出方向)の引張弾性率は、1.8GPa以上が好ましく、1.9GPa以上がより好ましく、2.0GPa以上がさらに好ましい。基材10のMD方向の引張弾性率が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1は水蒸気バリア性に優れる。基材10のMD方向の引張弾性率の上限値は、特に限定されないが、例えば、5.0GPaである。
基材10のMD方向の引張弾性率は、JIS K7127:1999に記載の試験方法に準じて測定できる。
基材10のMD方向の引張弾性率は、基材10の材質や厚さ、成形条件(成形時の温度、冷却時間、押出速度)等により調整できる。
基材10のTD方向(MD方向に垂直な方向)の引張弾性率は、3.6GPa以上が好ましく、3.7GPa以上がより好ましく、3.8GPa以上がさらに好ましい。基材10のTD方向の引張弾性率が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1は水蒸気バリア性に優れる。基材10のTD方向の引張弾性率の上限値は、特に限定されないが、例えば、7.0GPaである。
基材10のTD方向の引張弾性率は、基材10のMD方向の引張弾性率と同様の方法で測定できる。
基材10のTD方向の引張弾性率は、基材10の材質や厚さ、成形条件(成形時の温度、冷却時間、押出速度)等により調整できる。
基材10の水蒸気透過度は、4.0g/(m・day)以下が好ましく、2.0g/(m・day)以下がより好ましく、1.0g/(m・day)以下がさらに好ましい。基材10の水蒸気透過度が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1は水蒸気バリア性に優れる。基材10の水蒸気透過度は小さいほど好ましく、水蒸気透過度の下限値は、0g/(m・day)が好ましい。
基材10の水蒸気透過度は、JIS K7129:2008の感湿センサ法に記載の試験方法に準じ、表A.1に記載の試験条件1にて測定できる。
基材10の水蒸気透過度は、基材10の材質や厚さ、MD方向の引張弾性率、TD方向の引張弾性率、及びこれらの組合せにより調整できる。
基材10の厚さT10は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5~100μmが好ましく、10~50μmがより好ましい。基材10の厚さT10が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の強度が高められる。加えて、基材10の厚さT10が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の水蒸気バリア性を高められる。基材10の厚さT10が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
基材10の厚さT10は、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
基材10を熱流束示差走査熱量測定装置(以下、DSC装置ともいう。)において熱量測定を行うと、基材10の結晶(α晶、β晶、β’晶等)の融点の吸熱ピークが観測される。β晶、β’晶の融点は、α晶の融点よりも低い。β晶を有する基材10を高温(例えば、80℃以上)で処理すると、β晶の結晶が崩れ、β晶よりも不安定な、β’晶及びβ’晶に類似する結晶からなるβ’晶グループが形成される。β’晶グループは、β晶に比べると、結晶構造が不安定であるため、吸熱ピークが複数観測される。
このように、熱流束示差走査熱量測定(DSC測定)を行うことで得られるDSC曲線の吸熱ピークを観測することで、β’晶グループの形成を判断できる。
例えば、図2に示すDSC曲線の場合、曲線C1は、162.91℃に一つ目の吸熱ピークP1と、171.01℃に二つ目の吸熱ピークP2とを有する。高温側で観測される吸熱ピークP2は、α晶の融点に由来する吸熱ピークである。低温側で観測される吸熱ピークP1は、単一のピークとなっており、β晶の融点に由来する吸熱ピークであると考えられる。
一方、図3に示すDSC曲線の場合、曲線C2は、163.37℃と164.75℃とに枝分かれした吸熱ピークP3と、167.65℃の吸熱ピークP4と、170.99℃の吸熱ピークP5とを有する。高温側で観測される吸熱ピークP5は、α晶の融点に由来する吸熱ピークである。低温側で観測される複数の吸熱ピークP3及びP4は、β晶ではなく、β’晶グループの融点に由来する吸熱ピークであると考えられる。
本明細書では、DSC曲線で観測される吸熱ピークが、α晶の融点に由来する吸熱ピーク以外に2つ以上観測された場合、その2つ以上の吸熱ピークをβ’晶グループの融点に由来する吸熱ピークであると判断するものとする。
DSC測定の測定条件は、以下の通りである。1回目の昇温の際に得られるDSC曲線から吸熱ピークを観測する。各吸熱ピークの熱量比は、各吸熱ピークの面積に基づいて、DSC装置の解析ソフトを用いて求められる。各吸熱ピークの熱量比は、同一の試料に対してDSC測定を2回行った平均値とする。
(測定装置)
・熱流束示差走査熱量測定装置(DSC装置):示差走査熱量計、DSC-60Plus(株式会社島津製作所製)。
(測定条件)
・試料量:5.5±0.5mg。
・リファレンス(アルミナ)量:5mg。
・窒素ガス流量:20mL/min。
・試験数:2。
・1回目の昇温条件:昇温速度5℃/minで20℃~190℃まで昇温。
・保持時間:0min。
・1回目の降温条件:降温速度-5℃/minで190℃~50℃まで降温。
・2回目の昇温条件:昇温速度5℃/minで50℃~190℃まで昇温。
・保持時間:0min。
・2回目の降温条件:降温速度-5℃/minで190℃~50℃まで降温。
DSC装置で測定される基材10の吸熱ピークの総熱量に対する、β’晶グループの吸熱ピークの熱量比は、10%以下であり、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、0%が最も好ましい。β’晶グループの吸熱ピークの熱量比が上記上限値以下であると、臭気をより低減できる。β’晶グループの吸熱ピークの熱量比が0%であるとは、β’晶グループの融点に由来する吸熱ピークが観測されないことを意味する。
β’晶グループの吸熱ピークの熱量比は、DSC曲線で観測されるβ’晶グループの吸熱ピークの面積に基づいて、DSC装置の解析ソフトを用いて求められる。
β’晶グループの吸熱ピークの熱量比は、基材10を熱処理する際の処理温度、処理時間、及びこれらの組合せにより調整できる。
DSC装置で測定される基材10の吸熱ピークの総熱量に対する、α晶の吸熱ピークの熱量比は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。α晶の吸熱ピークの熱量比が上記下限値以上であると、基材10の強度をより高められる。加えて、α晶の吸熱ピークの熱量比が上記下限値以上であると、臭気をより低減できる。α晶の吸熱ピークの熱量比の上限値は特に限定されないが、例えば、99%である。
α晶の吸熱ピークの熱量比は、DSC曲線で観測されるα晶の吸熱ピークの面積に基づいて、DSC装置の解析ソフトを用いて求められる。
α晶の吸熱ピークの熱量比は、基材10を熱処理する際の処理温度、処理時間、及びこれらの組合せにより調整できる。
<接着剤層>
接着剤層30は、基材10とシーラント材20との間に位置する。接着剤層30は、炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオールとイソシアネート基を有する化合物とを含有するイソシアネート系接着剤の硬化物である。
接着剤層30は、イソシアネート系接着剤の成分中に炭素-炭素二重結合を有するため、酸素吸収性を有する。加えて、本実施形態のイソシアネート系接着剤は、酸素吸収剤を含有するため、接着剤層30が酸素を吸収し、酸素が包装体用フィルム1を透過することを抑制できる。このため、包装体用フィルム1は、接着剤層30を有することで、酸素バリア性をより高められる。
本実施形態のイソシアネート系接着剤は、炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオールが主剤であり、イソシアネート基を有する化合物が硬化剤である。すなわち、本実施形態のイソシアネート系接着剤は、主剤と硬化剤とを含有する、ウレタン系の接着剤である。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、又はその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分からなる不飽和ポリエステルが挙げられる。芳香族ジカルボン酸又はその無水物としては、無水フタル酸が好ましい。
本実施形態のイソシアネート系接着剤の硬化剤としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。
硬化剤としては、環境負荷が小さく、接着強度に優れる観点から、IPDIが好ましい。
酸素吸収剤としては、共役ジエン重合体環化物及び遷移金属塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
共役ジエン重合体環化物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、又はこれらの化合物を環化させたポリ(α-ピネン)、ポリ(β-ピネン)、ポリ(ジペンテン)等のポリテルペン類等が挙げられる。共役ジエン重合体環化物としては、ポリイソプレン環化物が好ましい。
遷移金属塩としては、遷移金属元素と有機酸との塩が挙げられる。
遷移金属元素としては、例えば、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウム等が挙げられる。遷移金属元素としては、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルトが好ましく、マンガン、コバルトがより好ましく、コバルトがさらに好ましい。
有機酸としては、例えば、酢酸、ステアリン酸、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2-エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸、ナフテン酸等が挙げられる。有機酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ネオデカン酸、リノール酸、オレイン酸が好ましく、ネオデカン酸、オレイン酸が好ましい。
遷移金属塩としては、ネオデカン酸コバルト、オレイン酸コバルトが好ましい。
これらの酸素吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸素吸収剤の含有量は、イソシアネート系接着剤の総質量に対して、1質量%以上であり、1~10質量%が好ましく、3~8質量%がより好ましく、4~6質量%がさらに好ましい。酸素吸収剤の含有量が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の酸素バリア性をより高められる。酸素吸収剤の含有量が上記上限値以下であると、基材10とシーラント材20との接着性をより高められる。加えて、酸素吸収剤の含有量が上記上限値以下であると、コスト面で有利である。
イソシアネート系接着剤における主剤と硬化剤との質量比は、100:103~100:150が好ましく、100:103~100:130がより好ましく、100:105~100:125がさらに好ましい。主剤と硬化剤との質量比が上記下限値以上であると、基材10とシーラント材20との接着性をより高められる。主剤と硬化剤との質量比が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の水蒸気バリア性をより高められる。
接着剤層30における未反応のイソシアネート基の含有量は、生成されたウレタン基の含有量に対して、3~30モル%が好ましく、3~20モル%がより好ましく、5~10モル%がさらに好ましい。未反応のイソシアネート基の含有量が上記下限値以上であると、未反応のイソシアネート基が水蒸気を吸収するため、包装体用フィルム1の水蒸気バリア性をより高められる。未反応のイソシアネート基の含有量が上記上限値以下であると、基材10とシーラント材20との接着性をより高められ、コスト面でも有利である。
未反応のイソシアネート基の含有量は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)により測定できる。
具体的には、包装体用フィルム1に赤外光を照射し、赤外顕微鏡を用いて透過マッピング測定を行う。透過マッピング測定によって得られたスペクトルを赤外光の波長2,500~25,000nm(2.5~25μm)の範囲で解析して、接着剤層30におけるウレタン基のピークの高さとイソシアネート基のピークの高さとの比率を求めることにより、ウレタン基の含有量に対する未反応のイソシアネート基の含有量を求めることができる。
イソシアネート系接着剤は、1液タイプの接着剤であってもよく、2液タイプの接着剤であってもよい。イソシアネート系接着剤としては、硬化速度が速く、接着強度に優れる観点から、主剤と硬化剤との2液タイプの接着剤が好ましい。
イソシアネート系接着剤は、主剤と硬化剤と酸素吸収剤以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、接着剤に一般に使用される添加剤や有機溶媒等が挙げられる。他の成分の含有量は、イソシアネート系接着剤の総質量に対して、0~20質量%が好ましい。
接着剤層30の厚さT30は、例えば、1.5~5.0μmが好ましく、2.0~4.0μmがより好ましい。接着剤層30の厚さT30が上記下限値以上であると、基材10とシーラント材20との接着性をより高められる。加えて、接着剤層30の厚さT30が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより高められる。接着剤層30の厚さT30が上記上限値以下であると、接着剤層30の凝集破壊を抑制できる。
接着剤層30の厚さT30は、例えば、包装体用フィルム1を厚さ方向に切断した切断面を顕微鏡等で観察することにより測定できる。
<シーラント材>
シーラント材20は、無延伸ポリプロピレンフィルムからなるシーラント層22の片面にアルミ蒸着層24が形成されてなる。すなわち、シーラント材20は、アルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルムである。シーラント材20のアルミ蒸着層24の表面は、基材10の一方の面に対向する。
シーラント材20としてアルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルムを用いることで、包装体用フィルム1は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる。
シーラント材20の厚さT20は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5~150μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、20~60μmがさらに好ましい。シーラント材20の厚さT20が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより高められる。シーラント材20の厚さT20が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
シーラント材20の厚さT20は、例えば、シックネスゲージで測定できる。
(シーラント層)
シーラント層22は、無延伸ポリプロピレンフィルムからなる。無延伸ポリプロピレンフィルムにおけるポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ポリエチレンを10質量%程度含有するポリプロピレンとポリエチレンとの共重合体、ブロックポリプロピレン等が挙げられる。シーラント層22は、ポリプロピレンを50質量%以上含有していればよい。
無延伸ポリプロピレンフィルムは、ヒートシール性に優れる。このため、無延伸ポリプロピレンフィルムをシーラント層22とすることで、包装体用フィルム1をシールする際のシール性を高められる。その結果、包装体用フィルム1を製袋した包装体の耐衝撃性を高められる。
シーラント層22は、単層であってもよく、2層以上が積層された複層であってもよい。
シーラント層22の厚さT22は、材質等を勘案して決定され、例えば、5~100μmが好ましく、5~90μmがより好ましく、10~50μmがさらに好ましい。シーラント層22の厚さT22が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の耐衝撃性をより高められる。シーラント層22の厚さT22が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
シーラント層22の厚さT22は、例えば、シックネスゲージで測定できる。
(アルミ蒸着層)
アルミ蒸着層24は、酸素バリア性、水蒸気バリア性及び遮光性を有する。すなわち、本実施形態におけるアルミ蒸着層24は、酸素、水蒸気、紫外線及び可視光の透過を抑制する役割を有する。
本実施形態では、基材10ではなく、シーラント層22にアルミ蒸着層24が形成されている。このため、基材10に印刷層を設けることで、アルミ蒸着層24に遮蔽されることなく包装体用フィルム1に所定の外観を付与できる。その結果、包装体用フィルム1の外観を美麗にできる。
加えて、本実施形態では、アルミ蒸着層24を有することで、包装体用フィルム1の遮光性をより高めることができ、包装体用フィルム1を製袋した包装体の内容物の紫外線等による劣化を抑制できる。
アルミ蒸着層24の厚さT24は、20~100nmであり、35~85nmが好ましく、50~70nmがより好ましい。アルミ蒸着層24の厚さT24が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより高められる。アルミ蒸着層24の厚さT24が上記上限値以下であると、凝集破壊によるデラミ(層間剥離)の発生を抑制できる。このため、包装体用フィルム1の耐衝撃性の低下を抑制できる。加えて、アルミ蒸着層24の厚さT24が上記上限値以下であると、コスト面で有利である。
アルミ蒸着層24の厚さT24は、例えば、包装体用フィルム1を厚さ方向に切断した切断面を顕微鏡等で観察することにより測定できる。
≪包装体用フィルムの製造方法≫
包装体用フィルム1の製造方法は、基材10を得る工程(基材製造工程)と、シーラント層22を得る工程(シーラント層製造工程)と、シーラント層22の片面にアルミ蒸着層24を設けてシーラント材20を得る工程(シーラント材製造工程)と、基材10とシーラント材20とを接着剤を介して積層して積層体を得る工程(積層体製造工程)と、上記積層体に加熱処理を施す工程(加熱処理工程)とを有する。
<基材製造工程>
基材製造工程で基材10を得る方法は、基材10の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
<シーラント層製造工程>
シーラント層製造工程でシーラント層22を得る方法は、シーラント層22の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
<シーラント材製造工程>
シーラント材製造工程では、シーラント層22の片面にアルミ蒸着層24を設ける。シーラント層22にアルミ蒸着層24を設ける方法は、特に限定されず、従来公知の真空蒸着法を適用できる(蒸着操作)。
蒸着操作において、蒸着チャンバー内の真空度は、例えば、0.1~0.5Paが好ましい。
蒸着操作において、無延伸ポリプロピレンフィルムの搬送速度は、例えば、100~400m/分が好ましい。
蒸着操作により、シーラント層22の片面にアルミ蒸着層24が形成されたシーラント材20が得られる。
<積層体製造工程>
積層体製造工程では、基材10とシーラント材20との積層体が製造される。積層体製造工程で基材10とシーラント材20とを積層する方法は、例えば、ドライラミネート法等の従来公知の方法から選択される。
ドライラミネート法では、例えば、積層しようとするシーラント材20のアルミ蒸着層24の表面に接着剤を塗布し、基材10とシーラント材20とを接着剤を介して積層し、各層を圧着して乾燥することで積層体が得られる。得られた積層体は、例えば、ロール状に巻き取られる。
接着剤は、基材10の表面に塗布してもよい。
積層体製造工程では、得られた積層体に加熱処理を施す。積層体に加熱処理を施すことで、接着剤の硬化が促進される。
加熱処理の温度は、例えば、30~60℃が好ましく、35~50℃がより好ましい。
加熱処理の温度が上記下限値以上であると、接着剤の硬化が充分に促進され、基材10とシーラント材20との接着性をより高められる。加熱処理の温度が上記上限値以下であると、積層体を構成する各層が熱により損傷を受けることを抑制でき、包装体用フィルム1の酸素バリア性及び水蒸気バリア性の低下をより抑制できる。
加熱処理の時間は、例えば、5時間以上が好ましく、5~96時間がより好ましく、12~48時間がさらに好ましい。加熱処理の時間が上記下限値以上であると、接着剤の硬化が充分に促進され、基材10とシーラント材20との接着性をより高められる。加熱処理の時間が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の生産性を向上できる。
積層体の加熱処理は、従来公知の恒温室等で行うことができる。
なお、この加熱処理が施された積層体と、そうでない積層体とは、例えば、両者の接着剤の硬化状態をFTIRや核磁気共鳴法(NMR)により分析すること等で判別できる。
<加熱処理工程>
上記のようにして積層体を製造した後、加熱処理工程では、積層体にさらに加熱処理を施す。積層体にさらに加熱処理を施すことで、基材10の結晶化が促進される。加えて、積層体にさらに加熱処理を施すことで、基材10のβ’晶グループの吸熱ピークの熱量比を制御できる。
加熱処理の温度は、例えば、30~60℃が好ましく、35~50℃がより好ましい。
加熱処理の温度が上記下限値以上であると、基材10の結晶化が充分に促進され、包装体用フィルム1の強度をより高められる。加熱処理の温度が上記上限値以下であると、β’晶グループの生成を抑制でき、包装体用フィルム1の臭気をより抑制できる。
加熱処理の時間は、例えば、3~60秒間が好ましく、3~30秒間がより好ましく、5~15秒間がさらに好ましい。加熱処理の時間が上記下限値以上であると、基材10の結晶化が充分に促進され、包装体用フィルム1の強度をより高められる。加熱処理の時間が上記上限値以下であると、β’晶グループの生成を抑制でき、包装体用フィルム1の臭気をより抑制できる。
積層体の加熱処理は、包装体用フィルム1の製造ラインに設けられた温風吹付装置等で行うことができる。
包装体用フィルムの製造方法は、上述した工程のほか、包装体用フィルムに所定の外観を付与することを目的として、基材10に印刷層(不図示)を設ける印刷工程を有していてもよい。
印刷工程は、特に限定されず、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等、各種の印刷方式を採用できる。
≪包装体≫
本実施形態の包装体は、本実施形態の包装体用フィルム1が製袋されたものである。包装体としては、例えば、包装体用フィルム1のシーラント層22同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。
包装体の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンド袋、これらのチャック付き袋等が挙げられる。
また、例えば、包装体としては、開口部を有する容器本体と、包装体用フィルム1からなる蓋体とを備え、容器本体の開口部周縁にシーラント層22を当接し、上記包装体用フィルム1を容器本体にヒートシールした容器が挙げられる。この場合の容器本体の材質としては、容易にリサイクルできる観点から、ポリプロピレンが好ましい。
以上説明したとおり、本実施形態の包装体用フィルム1は、DSC装置で測定される基材10の吸熱ピークの総熱量に対する、β’晶グループの吸熱ピークの熱量比が10%以下であるため、臭気をより抑制できる。
本実施形態の包装体用フィルム1は、シーラント層22にアルミ蒸着層24が形成されたシーラント材20を備えるため、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる。
本実施形態の包装体用フィルム1は、炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオールとイソシアネート基を有する化合物とを含有するイソシアネート系接着剤を用いているため、酸素吸収性に優れる。このため、本実施形態の包装体用フィルム1は、酸素バリア性に優れる。
本実施形態の包装体用フィルム1は、接着剤層30が酸素吸収剤を含有するため、酸素吸収性に優れる。このため、本実施形態の包装体用フィルム1は、酸素バリア性に優れる。
本実施形態の包装体用フィルム1は、基材10とシーラント材20との樹脂がともにポリプロピレンである。このように、本実施形態の包装体用フィルム1は、モノマテリアル(単一素材)であるため、容易にリサイクルできる。
本実施形態の包装体用フィルム1を製袋した包装体は、シーラント層22がヒートシール性に優れるため、シール強度を維持でき、耐衝撃性に優れる。
本実施形態の包装体用フィルム1を製袋した包装体は、モノマテリアルであるため、容易にリサイクルできる。
[その他の実施形態]
上述の実施形態では、基材10は単層であるが、本発明はこれに限定されず、基材10は、二つ以上の層からなる複層であってもよい。
上述の実施形態では、基材10は単層であるが、本発明はこれに限定されず、基材10の片面に印刷層が形成されていてもよい。基材10の片面に印刷層が形成されることで、包装体用フィルムに所定の外観を付与でき、外観を美麗にできる。
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した材料、試験条件は下記のとおりである。
[使用材料]
<基材>
・OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム、パイレン(登録商標)フィルム-OT(商品名)、東洋紡株式会社製、厚さ30μm。
・OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム、パイレン(登録商標)フィルム-OT(商品名)、東洋紡株式会社製、厚さ20μm。
<シーラント材>
(シーラント層)
・CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、パイレン(登録商標)フィルム-CT(商品名)、東洋紡株式会社製、厚さ30μm。
(アルミ蒸着層)
《蒸着条件》
・蒸着装置名:巻取式真空蒸着装置EWAシリーズ(商品名)、株式会社アルバック製。
・蒸着源:アルミニウム。
・蒸着チャンバー内の真空度:0.2Pa。
・フィルムの搬送速度:200m/分。
<接着剤層>
(主剤)
・飽和ポリエステル:日本合成化学株式会社製。
・無水フタル酸:純正化学株式会社製。
(硬化剤)
・IPDI:イソホロンジイソシアネート、タケネート(登録商標)、三井化学株式会社製。
・TDI:トルエンジイソシアネート、タケネート(登録商標)、三井化学株式会社製。
(酸素吸収剤)
・共役ジエン:共役ジエン重合体環化物(ポリイソプレン環化物)。
・遷移金属:遷移金属塩、ネオデカン酸コバルト、日本化学産業株式会社製。
[実施例1~8、比較例1~4]
表1に示す膜厚のアルミ蒸着層を形成したシーラント材のアルミ蒸着層に、表1に示す酸素吸収剤を含有する接着剤を塗布して、表1に示す基材を積層して積層体を得た。この積層体に表1に示す熱処理条件の加熱処理を施して、実施例1~8、比較例1~4の構成に従った包装体用フィルムを製造した。表中「-」は、酸素吸収剤が含まれていないことを示す。
[評価方法]
<結晶生成率の測定>
各例で用いられた基材について、DSC測定を行った。DSC測定の測定条件は、以下の通りである。1回目の昇温の際に得られるDSC曲線から吸熱ピークを観測した。各吸熱ピークの熱量比は、各吸熱ピークの面積に基づいて、DSC装置の解析ソフトを用いて求めた。各吸熱ピークの熱量比は、同一の試料に対してDSC測定を2回行った平均値とした。各吸熱ピークの熱量比を、各結晶の結晶生成率(%)とした。結果を表1に示す。
(測定装置)
・熱流束示差走査熱量測定装置(DSC装置):示差走査熱量計、DSC-60Plus(株式会社島津製作所製)。
(測定条件)
・試料量:5.5±0.5mg。
・リファレンス(アルミナ)量:5mg。
・窒素ガス流量:20mL/min。
・試験数:2。
・1回目の昇温条件:昇温速度5℃/minで20℃~190℃まで昇温。
・保持時間:0min。
・1回目の降温条件:降温速度-5℃/minで190℃~50℃まで降温。
・2回目の昇温条件:昇温速度5℃/minで50℃~190℃まで昇温。
・保持時間:0min。
・2回目の降温条件:降温速度-5℃/minで190℃~50℃まで降温。
<酸素バリア性の評価>
各例で得られた包装体用フィルムについて、JIS K7126-2:2006の附属書Aに記載の電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法に準じて酸素透過度を測定し、下記評価基準に基づいて酸素バリア性を評価した。結果を表1に示す。
《評価基準》
◎:酸素透過度2.0mL/(m・day)以下。
○:酸素透過度2.0mL/(m・day)超4.0mL/(m・day)以下。
×:酸素透過度4.0mL/(m・day)超。
<残留溶媒量の測定>
各例で得られた包装体用フィルムについて、残留溶媒量を、キャピラリーガスクロマトグラフ装置を用いて測定し、下記評価基準に基づいて臭気を評価した。結果を表1に示す。
《評価基準》
◎:残留溶媒量2.0mg/m以下。
○:残留溶媒量2.0mg/m超5.0mg/m以下。
×:残留溶媒量5.0mg/m超。
<総合評価>
上記酸素バリア性の評価、及び臭気の評価の評価結果に基づき、各例の包装体用フィルムを下記評価基準に従って総合評価した。結果を表1に示す。総合評価が「◎」又は「○」のものを合格とした。
《評価基準》
◎:全ての評価結果が「◎」。
○:評価結果に「○」が1つ以上あり、かつ、評価結果に「×」がない。
×:評価結果に「×」が1つ以上ある。
Figure 2022155924000002
表1に示すように、本発明を適用した実施例1~8の包装体用フィルムは、総合評価が「◎」又は「○」で、酸素バリア性に優れ、臭気が低減されていることが確認できた。
一方、接着剤層に酸素吸収剤を含有しない比較例1は、酸素バリア性の評価が「×」だった。β’晶グループの吸熱ピークの熱量比が本発明の範囲外である比較例2は、臭気の評価が「×」だった。アルミ蒸着層の厚さが本発明の範囲外である比較例3は、酸素バリア性の評価及び臭気の評価が「×」だった。アルミ蒸着層の厚さが本発明の範囲外である比較例4は、酸素バリア性の評価が「×」だった。
以上の結果から、本発明を適用することで、酸素バリア性に優れ、臭気が低減されていることが確認できた。
1 包装体用フィルム
10 基材
20 シーラント材
22 シーラント層
24 アルミ蒸着層
30 接着剤層

Claims (4)

  1. 2軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材と、
    前記基材の一方の面に位置し、無延伸ポリプロピレンフィルムからなるシーラント層の片面にアルミ蒸着層が形成されたシーラント材と、
    前記基材と前記シーラント材との間に位置する接着剤層と、を備え、
    前記アルミ蒸着層は、前記基材に対向し、
    前記アルミ蒸着層の厚さが20~100nmであり、
    前記接着剤層は、炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオールとイソシアネート基を有する化合物とを含有するイソシアネート系接着剤の硬化物であり、
    前記イソシアネート系接着剤は、酸素吸収剤を含有し、
    前記酸素吸収剤の含有量は、前記イソシアネート系接着剤の総質量に対して1質量%以上であり、
    熱流束示差走査熱量測定装置で測定される前記基材の吸熱ピークの総熱量に対する、β晶に由来するβ’晶グループの吸熱ピークの熱量比が10%以下である、包装体用フィルム。
  2. 熱流束示差走査熱量測定装置で測定される前記基材の吸熱ピークの総熱量に対する、α晶の吸熱ピークの熱量比が80%以上である、請求項1に記載の包装体用フィルム。
  3. 前記酸素吸収剤が、共役ジエン重合体環化物及び遷移金属塩から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の包装体用フィルム。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体用フィルムが製袋された包装体。
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