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JP2022109889A - 蒸着紙 - Google Patents

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JP2022109889A
JP2022109889A JP2022003455A JP2022003455A JP2022109889A JP 2022109889 A JP2022109889 A JP 2022109889A JP 2022003455 A JP2022003455 A JP 2022003455A JP 2022003455 A JP2022003455 A JP 2022003455A JP 2022109889 A JP2022109889 A JP 2022109889A
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JP2022003455A
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泰友 野一色
Yasutomo Noishiki
裕太 社本
Yuta SHAMOTO
三代子 田中
Miyoko Tanaka
美咲 若林
Misaki Wakabayashi
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Oji Holdings Corp
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Oji Holdings Corp
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Abstract

【課題】バリア性およびリサイクル性に優れた蒸着紙。【解決手段】紙基材の一方の面上に、塗工層、蒸着層およびオーバーコート層をこの順に有する蒸着紙であって、 JIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒での前記オーバーコート層側表面のコッブ吸水度が1.0g/m2以下であり、前記オーバーコート層側と逆側の表面のコッブ吸水度が10g/m2以上であり、JIS C 2139:2008に準拠して測定される、前記オーバーコート層側表面の表面固有電気抵抗が1.0×1012Ω以上であり、前記オーバーコート層上に厚さ20μmのCPPフィルムを貼合して積層シートを形成した場合において、JISK 7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、相対湿度50%における前記積層シートの酸素透過度が、2.0mL/m2・day・atm以下である、蒸着紙。【選択図】なし

Description

本発明は、蒸着紙に関する。
従来、紙基材に、水蒸気をバリアする水蒸気バリア性や、水蒸気以外のガスをバリアするガスバリア性、特に、酸素をバリアする酸素バリア性を付与した包装材料が、食品、医療品、電子部品等の包装において、内容物の品質低下を防止するために、用いられている。
蒸着紙は、紙基材上に、金属や金属酸化物などからなる蒸着層を設けてなるものであり、その光沢感を活かし、酒、清涼飲料水などの意匠性に優れたラベル用紙、菓子類の包装用紙等に広く用いられている。
たとえば、特許文献1には、紙基材の一方の面に、シングルサイト触媒により重合したエチレン・αオレフィン共重合体のラミネート層と、無機酸化物の薄膜とをこの順に有する蒸着紙が開示されている。また、たとえば、特許文献2には、坪量が特定値以下の薄葉紙の片面に、ポリオレフィン系水性ディスパーション液による目止めコーティング層と、無機酸化物の蒸着薄膜層と、ヒートシール樹脂層とを順次に形成したPTP包装用密封シートが開示されている。
特開平10-202781号公報 特開平7-223686号公報
特許文献1、2のように、蒸着層を形成して紙基材の酸素や水蒸気に対するバリア性などを向上させる試みはなされているものの、特許文献1に記載された蒸着紙や特許文献2に記載されたPTP包装用密封シートは、バリア性(酸素バリア性)に乏しいという課題があることがわかった。
食品の包装材料として使用される蒸着紙は、食品の風味保護の観点から、さらなるバリア性(酸素バリア性、水蒸気バリア性)の向上が求められている。加えて、素材の環境負荷低減の観点から、リサイクル性能の向上が求められている。そこで、本発明は、バリア性およびリサイクル性に優れた蒸着紙を提供することを目的とする。
本発明者らは、蒸着紙の吸水性や表面特性を調整することで上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<15>に関する。
<1> 紙基材の一方の面上に、塗工層、蒸着層およびオーバーコート層をこの順に有する蒸着紙であって、JIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒での前記オーバーコート層側表面のコッブ吸水度が1.0g/m以下であり、JIS P8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒での前記オーバーコート層側と逆側の表面のコッブ吸水度が10g/m以上で
あり、JIS C 2139:2008に準拠して測定される、前記オーバーコート層側表面の表面固有電気抵抗が1.0×1012Ω以上であり、前記蒸着紙の前記オーバーコート層上に厚さ20μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼合して積層シートを形成した場合において、JISK 7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、相対湿度50%における前記積層シートの酸素透過度が、2.0mL/m・day・atm以下である、蒸着紙。
<2> JIS Z 0208:1976(カップ法)B法に準拠して測定される、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度が1.0g/m・day以下である、<1>に記載の蒸着紙。
<3> 前記塗工層が、前記紙基材側からクレーコート層および樹脂層をこの順に有する、<1>または<2>に記載の蒸着紙。
<4> 前記樹脂層および前記オーバーコート層が、水懸濁性高分子を含む、<3>に記載の蒸着紙。
<5> 前記樹脂層および前記オーバーコート層に含まれる水懸濁性高分子が、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む、<4>に記載の蒸着紙。
<6> 前記ポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに成形した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100.0mL/(m・day・atm)以下である、<5>に記載の蒸着紙。
<7> 前記ポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、<5>または<6>に記載の蒸着紙。
<8> 前記ポリウレタン系樹脂が、ヒドロキシ基を有し、かつ水酸基価が50mgKOH/g以上である、<5>~<7>のいずれかに記載の蒸着紙。
<9> 前記ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、<5>~<8>のいずれかに記載の蒸着紙。
<10> 前記クレーコート層が、無機顔料およびバインダーを含み、前記無機顔料は、アスペクト比が50以下であり、平均粒子径が5μm以下である、<3>~<9>のいずれかに記載の蒸着紙。
<11> 前記無機顔料が、カオリンである、<10>に記載の蒸着紙。
<12> 前記クレーコート層に含まれるバインダーが、スチレン-ブタジエン系樹脂、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合、及びポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上を含む、<10>または<11>に記載の蒸着紙。<13> 前記オーバーコート層の厚さが、1μm未満である、<1>~<12>のいずれかに記載の蒸着紙。
<14> 前記蒸着層が、無機酸化物を含む蒸着層であり、前記無機酸化物が、酸化ケイ素および酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>~<13>のいずれかに記載の蒸着紙。
<15> 前記蒸着層の厚さが、10~1000Åである、<1>~<14>のいずれかに記載の蒸着紙。
本発明によれば、バリア性およびリサイクル性に優れた蒸着紙を提供することができる。
本実施形態の蒸着紙は、紙基材の一方の面に上に、塗工層、蒸着層およびオーバーコート層をこの順に有し、JIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23
℃、接触時間120秒での前記オーバーコート層側表面のコッブ吸水度が1.0g/m以下であり、JIS P8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒での前記オーバーコート層側と逆側の表面のコッブ吸水度が10g/m以上であり、JIS C 2139:2008に準拠して測定される、前記オーバーコート層側表面の表面固有電気抵抗が1.0×1012Ω以上であり、かつ、前記蒸着紙の前記オーバーコート層上に厚さ20μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼合して積層シートを形成した場合において、JISK 7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、相対湿度50%(50%RHと表記することもある)における前記積層シートの酸素透過度が、2.0mL/m・day・atm以下である。本実施形態の蒸着紙は、優れたバリア性(酸素バリア性、水蒸気バリア性)およびリサイクル性を有する。当該効果を奏するメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
蒸着紙のオーバーコート層側表面のコッブ吸水度を1.0g/m以下とすることで、水を通さない欠陥の少ない膜が形成されるため、高いバリア性を得ることができる。さらに、オーバーコート層側と逆側の表面のコッブ吸水度が10g/m以上とすることで、離解時に水の浸透が容易になり、高いリサイクル性を得ることができる。さらに、オーバーコート層側表面の表面固有電気抵抗が1.0×1012Ω以上とすることで、金属性の異物が低減されるため、高いリサイクル性を得ることができる。さらに、温度23℃、相対湿度50%における酸素透過度を2.0mL/m・day・atm以下とすることで、食品包装に適した高いバリア性を得ることができる。これらの理由により、本実施形態の蒸着紙は、優れたバリア性とリサイクル性を発揮することができる。なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明の効果を奏するメカニズムはこれに制限されるものではない。
以下、本実施形態の耐水性紙の構成および物性について、さらに詳細に説明する。本明細書中、「X~Y」で表される数値範囲は、Xを下限値、Yを上限値として含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。また、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む総称である。
本実施形態の蒸着紙は、紙基材の少なくとも一方の面に塗工層、蒸着層、オーバーコート層をこの順に有し、塗工層は、紙基材側からクレーコート層および樹脂層をこの順に有することが好ましい。この際、紙基材の片面に、クレーコート層、樹脂層をこの順に有していてもよく、両面にクレーコート層、樹脂層をこの順に有していてもよいが、生産効率の観点からは、片面にクレーコート層、樹脂層をこの順に有することが好ましい。また、蒸着層は、無機酸化物を含むことが好ましく、酸化ケイ素(シリカ)および酸化アルミニウム(アルミナ)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化ケイ素(シリカ)を含むことが好ましい。リサイクル性の観点から、蒸着紙は、紙基材の少なくとも一方の面のみに、塗工層、蒸着層、オーバーコート層をこの順に有することが好ましく、紙基材の他方の面に何も積層されないことがより好ましい。
<紙基材>
本実施形態における紙基材を構成するパルプは、植物由来のパルプを主成分とすることが好ましく、木材パルプを主成分とする。木材パルプとしては、たとえば、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、綿パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、竹パルプなどが挙げられる。レーヨン繊維やナイロン繊維等の合成繊維等のパルプ繊維外の材料も、本発明の効果を損なわない限り、副紙材として配合してもよい。
紙基材を構成するパルプに占める広葉樹パルプの割合は、65質量%以上であってもよく、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95
質量%以上であり、100質量%であってもよい。紙基材を構成するパルプ広葉樹パルプの割合が上記範囲であると、リサイクル性に優れる。
本実施形態の蒸着紙に用いられる紙基材としては、具体的には、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙などが挙げられる。これらの中でも、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、上質紙、片艶紙が好ましい。
(サイズ度)
紙基材のサイズ度は、特に限定されないが、バリア性を向上させる観点から、JIS P 8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100秒以下、より好ましくは30秒以下である。紙基材のサイズ度は、内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。
内添サイズ剤としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン-不飽和カルボン酸系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等が挙げられる。内添サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、紙基材のパルプ100質量部に対して、0質量部以上が好ましく、3質量部以下が好ましい。
紙基材には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、たとえば、填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、顔料などが挙げられる。
填料としては、たとえば、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム)、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などが挙げられる。
紙基材は、パルプスラリーを主成分とする抄紙原料を抄紙することにより得られる。前記パルプスラリーは、木材または非木材の原料チップから、蒸解、洗浄、漂白等の工程を経て得られる。蒸解工程、洗浄工程、漂白工程等における方法については特に限定はない。これらの工程を経て得られたパルプスラリーは、さらに、水の存在下で叩解される。
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。抄紙機としては、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機などが挙げられる。抄紙機によって形成された紙層は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、上記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して紙厚や光沢のプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
(坪量)
紙基材の坪量は、特に限定されないが、20g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることがより好ましく、40g/m以上であることがさらに好ましく、そして、500g/m以下であることが好ましく、400g/m以下であることが
より好ましく、200g/m以下であることがさらに好ましく、100g/m以下であることがさらにより好ましい。なお、紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
(厚さ)
紙基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。なお、紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(密度)
紙基材は、成形加工性の観点から、密度が0.5/cm以上であることが好ましく、0.6/cm以上であることがより好ましく、そして、1.2g/cm以下であることが好ましく、1.0g/cm以下であることがより好ましい。なお、紙基材の密度は、上述した方法により測定される紙基材の坪量および厚さから算出される。
(王研式平滑度)
紙基材は、均一な蒸着層を得る観点から、少なくとも蒸着層を設ける側の面の王研式平滑度が、5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましく、100秒以上であることがさらに好ましく、300秒以上であることがさらにより好ましい。上限は、特に限定されないが、たとえば、1000秒以下であることが好ましい。なお、紙基材の王研式平滑度は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される。
<クレーコート層>
本実施形態の蒸着紙における塗工層は、クレーコート層を有することが好ましく、クレーコート層を、前記紙基材と後述する樹脂層との間に有することがより好ましい。これにより、紙基材を目止めし、平滑化させることができ、より平坦な樹脂層が形成される結果、後述する蒸着紙とした場合に均一な蒸着層を形成でき、バリア性が向上する。
前記クレーコート層は、無機顔料およびバインダーを含むことが好ましく、主に無機顔料およびバインダーから構成されることがより好ましい。なお、「クレーコート層が主に無機顔料およびバインダーから構成される」とは、クレーコート層中の無機顔料およびバインダーの合計含有量が、たとえば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であることを意味する。上限は、特に限定されないが、100質量%以下である。なお、クレーコート層は、無機顔料およびバインダー以外に、任意の成分をさらに含んでいてもよい。
(無機顔料)
クレーコート層に含まれる無機顔料は、特に限定されないが、カオリン、タルク、マイカなどが挙げられ、カオリンであることが好ましい。クレーコート層中の無機顔料の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、そして、98質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
≪アスペクト比≫
無機顔料のアスペクト比は、均一かつ平滑な樹脂層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、50以下が好ましく、40以下がより好ましい。下限は、特に限定されないが、1以上が好まし
く、20以上がより好ましい。アスペクト比は、電子顕微鏡による観察やX線回折測定によって測定できる。
≪平均粒子径≫
無機顔料の平均粒子径は、均一かつ平滑な樹脂層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。下限は、特に限定されないが、0.05μm以上が好ましく、0.10μm以上がより好ましい。平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定によって測定されるメジアン径(d50)を意味する。
(バインダー)
クレーコート層に含まれるバインダーとしては、特に限定されないが、スチレン-ブタジエン系樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体;スチレン-(メタ)アクリル系樹脂;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等のオレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体;ポリ乳酸などが挙げられる。バインダーは、スチレン-ブタジエン系樹脂、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合、及びポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上を含むこと好ましく、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上を含むことがより好ましい。
なお、(メタ)アクリル系(共)重合体は、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルから選択される1つ以上の単量体の(共)重合体である。(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸の炭素数1~12のアルキルエステルであることが好ましい。
また、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂とは、スチレンと、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1つの単量体との共重合体である。
クレーコート層中のバインダーの含有量は、2質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
クレーコート層の塗工量は、特に限定されないが、固形分で、5g/m以上であることが好ましく、7g/m以上であることがより好ましく、そして、30g/m以下であることが好ましく、20g/m以下であることがより好ましい。
クレーコート層の形成方法は、特に限定されないが、無機顔料および樹脂バインダーを含む分散液を紙基材上に塗工し、乾燥することで形成する方法が好ましい。無機顔料および樹脂バインダーを含む分散液としては、水性分散液等の水性媒体を溶媒とするものが好ましい。
<樹脂層>
本実施形態の蒸着紙において、塗工層は、樹脂層を有することが好ましく、クレーコート層上に樹脂層を有することがより好ましい。樹脂層を設けることで、蒸着紙の蒸着層と紙基材との密着性が向上し、バリア性が向上する。また、樹脂層が酸素バリア性や水蒸気バリア性を有することで、蒸着紙のバリア性を向上する機能をも有する。
樹脂層は、水懸濁性高分子を含むことが好ましく、主として水懸濁性高分子を含むことがより好ましい。水懸濁性高分子とは、25℃の水に対する溶解度が10g/L以下である高分子である。水懸濁性高分子を用いて樹脂層を形成することで、蒸着層との密着性が向上し、バリア性(酸素バリア性、水蒸気バリア性)に優れた蒸着紙が得られると考えられる。なお、「樹脂層が主として水懸濁性高分子を含む」とは、樹脂層中の水懸濁性高分子の含有量が、たとえば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であることを意味する。上限は、特に限定されないが、100質量%以下である。なお、樹脂層は、水懸濁性高分子以外に、任意の成分をさらに含んでいてもよい。
(水懸濁性高分子)
樹脂層に含まれる水懸濁性高分子としては、特に限定されないが、アルキッド樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等のオレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体;ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン変性ポリビニルアルコール)等のビニルアルコール系樹脂;セルロース系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリ乳酸などが挙げられる。これらの中でも、ビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリ乳酸から選ばれる1種以上であることが好ましく、生分解度およびリサイクル性のさらなる向上の観点から、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂およびポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であることがさらに好ましく、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることがさらにより好ましく、ポリウレタン系樹脂であることがさらに一層好ましい。
≪ポリエステル系樹脂≫
樹脂層に含まれるポリエステル系樹脂としては、特に限定されず、たとえば、ポリエステル系樹脂ディスパーションおよびエマルションよりなる群から選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、市販品を使用してもよく、たとえば、ユニチカ株式会社製の「エリーテルKTシリーズ(商品名)」、ミヨシ油脂株式会社製の「ランディPLシリーズ(商品名)等が挙げられ、具体的には、エリーテルKT-8803およびランディPL-3000が例示される。
≪ポリウレタン系樹脂≫
樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂としては、特に限定されず、たとえば、ポリウレタン系樹脂ディスパーションおよびエマルションよりなる群から選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
ポリウレタン系樹脂は、公知の製造方法によって製造することができる。例えば、ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート化合物(例えばジイソシアネート化合物)と、ポリヒドロキシ酸(例えばジヒドロキシ酸)との反応により得ることができる。また、例えば、上記ポリイソシアネート化合物及びポリヒドロキシ酸に加えて、ポリオール化合物(例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール)及び/又は鎖伸長剤との反
応により得ることもできる。
樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位とは、ウレタン系樹脂において、メタキシリレンジイソシアネートが反応したモノマーユニットを指す。モノマーユニットとは、ポリマー中のモノマー物質が反応した形態をいう。
ポリウレタン系樹脂がメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有する場合において、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは95モル%以下であり、より好ましくは90モル%以下である。このようなポリウレタン系樹脂は、水素結合およびキシリレン基同士のスタッキング効果によって高い凝集力を発現するため、優れたガスバリア性を有する。上記含有量は、H-NMRなどの公知の分析手法を用いて同定することができる。
樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂は、ヒドロキシ基を有していてもよく、その水酸基価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上、さらに好ましくは150mgKOH/g以上である。なお、水酸基価の上限は特に限定されないが、好ましくは1000mgKOH/g以下、より好ましくは800mgKOH/g以下、さらに好ましくは600mgKOH/g以下である。ポリウレタン系樹脂の水酸基価が上記範囲内であると、酸素バリア性に優れるので好ましい。水酸基価の測定はJIS K0070-1992に準じて実施し、試料1gをアセチル化させたとき,水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を測定する。
-酸素透過度-
前記樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに成形した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100.0mL/(m・day・atm)以下であることが好ましく、50.0mL/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、25.0mL/(m・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10.0mL/(m・day・atm)以下であることがさらにより好ましく、3.0mL/(m・day・atm)以下であることが特に好ましい。なお、25μm厚のシートに成形した際の23℃、相対湿度50%における酸素透過度は0mL/(m・day・atm)であってもよい。
なお、25μm厚のシートに成形した際の酸素透過度は、対象のポリウレタン系樹脂を用いて厚さ25μmのシートを形成し、該シートを用いて測定した酸素透過度を示す。本明細書において、酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/22)を使用し、JISK 7126-2:2006に準拠して、23℃、50%RHの条件にて測定される。
-ガラス転移温度-
前記樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂のガラス転移温度は、後述する蒸着紙の蒸着層の保護の観点から、成膜性が高いことが重要であり、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、135℃以下であることが特に好ましい。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7122:2012に準拠して測定される。
ポリウレタン系樹脂としては、合成品を使用してもよく、たとえば、国際公開第201
5/016069号に記載のポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、市販品を使用してもよく、たとえば、三井化学株式会社製の「タケラックW系(商品名)」、「タケラックWPB系(商品名)」、「タケラックWS系(商品名)」等が挙げられ、具体的には、タケラックWPB-341が例示される。その他の市販品としては、大日精化工業株式会社の「HPU W-003」(水酸基価235mgKOH/g)等が挙げられる。
(シランカップリング剤)
樹脂層の耐屈曲性向上の観点から、樹脂層は、上記の水懸濁性高分子に加えて、シランカップリング剤および/またはこれの反応生成物を含有することが好ましく、シランカップリング剤を配合してなるものであることがより好ましい。
シランカップリング剤は、分子内に、少なくとも1つのアルコキシシリル基と、少なくとも1つの、前記アルコキシシリル基以外の反応性の官能基とを有する化合物である。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基のいずれでもよいが、反応性の観点から、トリアルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基以外の反応性の官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、イソシアナト基、ウレイド基、酸無水物基が例示される。これらの中でも、アミノ基、エポキシ基、および酸無水物基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が例示される。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示され、これらの中でも、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
酸無水物基含有シランカップリング剤としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が例示される。
シランカップリング剤としては、市販品を使用してもよく、例えば、信越化学工業株式会社製のKBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103P、KBM-573、X-12-967Cなどが例示される。
樹脂層におけるシランカップリング剤の配合量は、水懸濁性高分子100質量部に対して、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上、とくに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、さらにより好ましくは5質量部以下、特に好ましくは1質量部以下である。
樹脂層の塗工量は、特に限定されないが、固形分で、0.1g/m以上であることがより好ましく、1g/m以上であることがより好ましく、そして、10g/m以下であることが好ましく、5g/m以下であることがより好ましい。
樹脂層の形成方法は、特に限定されないが、水懸濁性高分子の水溶液、または水性分散液等の水性媒体を塗工し、乾燥して形成することが好ましい。
<蒸着層>
本実施形態の蒸着紙において、蒸着層は、リサイクル性の観点から、無機酸化物を含む蒸着層であることが好ましい。無機酸化物としては、特に限定されないが、酸化ケイ素(シリカ)および酸化アルミニウム(アルミナ)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化ケイ素(シリカ)を含むことがより好ましい。蒸着層は、酸化ケイ素(シリカ)および酸化アルミニウム(アルミナ)を含んでいてもよい。酸化ケイ素および酸化アルミニウムを併用する場合、その混合比(酸化ケイ素:酸化アルミニウム)は、質量基準で、1:10~10:1であることが好ましく、1:2~2:1であることがより好ましい。蒸着層は、酸化ケイ素蒸着層、酸化アルミニウム蒸着層、又は酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの混合物からなる蒸着層であることがより好ましい。
蒸着層の厚さは、バリア性の観点から、好ましくは10Å以上であり、より好ましくは30Å以上であり、より好ましくは50Å以上である。一方、上限は、製膜性の観点から、好ましくは1000Å以下であり、より好ましくは500Å以下であり、さらに好ましくは200Å以下である。すなわち、蒸着層の厚さは、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは3nm以上であり、より好ましくは5nm以上である。一方、上限は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは20nm以下である。
蒸着層の形成方法は、特に限定されず、真空蒸着法など公知の方法を用いて形成することができる。
<オーバーコート層>
本実施形態の蒸着紙は、蒸着層の上にオーバーコート層を有する。オーバーコート層を設けることで、蒸着紙の耐水性、耐酸化性能が向上し、バリア性が向上する。また、オーバーコート層が酸素バリア性や水蒸気バリア性を有することで、蒸着紙のバリア性を向上する機能をも有する。
オーバーコート層は、水懸濁性高分子を含むことが好ましく、主として水懸濁性高分子を含むことがより好ましい。水懸濁性高分子を用いてオーバーコート層を形成することで、蒸着層との密着性が向上し、バリア性(酸素バリア性、水蒸気バリア性)に優れた蒸着紙が得られると考えられる。なお、「樹脂層が主として水懸濁性高分子を含む」とは、樹脂層中の水懸濁性高分子の含有量が、たとえば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であることを意味する。上限は、特に限定されないが、100質量%以下である。なお、樹脂層は、水懸濁性高分子以外に、任意の成分をさらに含んでいてもよい。水懸濁性高分子に関する好ましい態様については、樹脂層で記載したものと同様である。
(水懸濁性高分子)
オーバーコート層に含まれる水懸濁性高分子としては、特に限定されないが、アルキッド樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等のオレフィン-不飽和カル
ボン酸系共重合体;ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン変性ポリビニルアルコール)等のビニルアルコール系樹脂;セルロース系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、生分解度およびリサイクル性のさらなる向上の観点から、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、ポリウレタン系樹脂を含むことがさらに好ましい。
≪ポリエステル系樹脂≫
オーバーコート層に含まれるポリエステル系樹脂としては、特に限定されず、たとえば、ポリエステル系樹脂ディスパーションおよびエマルションよりなる群から選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、市販品を使用してもよく、たとえば、ユニチカ株式会社製の「エリーテルKTシリーズ(商品名)」、ミヨシ油脂株式会社製の「ランディPLシリーズ(商品名)等が挙げられ、具体的には、エリーテルKT-8803およびランディPL-3000が例示される。
≪ポリウレタン系樹脂≫
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂としては、特に限定されず、たとえば、ポリウレタン系樹脂ディスパーションおよびエマルションよりなる群から選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。ポリウレタン系樹脂がメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有する場合において、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは95モル%以下であり、より好ましくは90モル%以下である。このようなポリウレタン系樹脂は、水素結合およびキシリレン基同士のスタッキング効果によって高い凝集力を発現するため、優れたガスバリア性を有する。上記含有量は、H-NMRなどの公知の分析手法を用いて同定することができる。
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、ヒドロキシ基を有していてもよく、その水酸基価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上、さらに好ましくは150mgKOH/g以上である。なお、水酸基価の上限はとくに限定されないが、好ましくは1000mgKOH/g以下、より好ましくは800mgKOH/g以下、さらに好ましくは600mgKOH/g以下である。ポリウレタン系樹脂の水酸基価が上記範囲内であると、酸素バリア性に優れるので好ましい。水酸基価の測定はJIS K0070-1992に準じて実施し、試料1gをアセチル化させたとき,水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を測定する。
-酸素透過度-
前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに成形した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100.0mL/(m・day・atm)以下であることが好ましく、50.0mL/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、25.0mL/(m・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10.0mL/(m・day・atm)以下であることがさらにより好ましく、3.0mL/(m・day・atm)以下であることが特に好ましい。なお、25μm厚のシートに成形した際の23℃、相対湿度50%における酸素透過度は0mL/(m・day・atm)であってもよい。
なお、25μm厚のシートに成形した際の酸素透過度は、対象のポリウレタン系樹脂を用いて厚さ25μmのシートを形成し、該シートを用いて測定した酸素透過度を示す。
-ガラス転移温度-
前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂のガラス転移温度は、後述する蒸着紙の蒸着層の保護の観点から、成膜性が高いことが重要であり、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、135℃以下であることが特に好ましい。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7122:2012に準拠して測定される。
ポリウレタン系樹脂としては、合成品を使用してもよく、たとえば、国際公開第2015/016069号に記載のポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、市販品を使用してもよく、たとえば、三井化学株式会社製の「タケラックW系(商品名)」、「タケラックWPB系(商品名)」、「タケラックWS系(商品名)」等が挙げられ、具体的には、タケラックWPB-341が例示される。その他の市販品としては、大日精化工業株式会社の「HPU W-003」(水酸基価235mgKOH/g)等が挙げられる。
(シランカップリング剤)
オーバーコート層の耐屈曲性向上の観点から、オーバーコート層は、上記の水懸濁性高分子に加えて、シランカップリング剤および/またはこれの反応生成物を含有することが好ましく、シランカップリング剤を配合してなるものであることが好ましい。シランカップリング剤に関する好ましい態様については、樹脂層で記載したものと同様である。
オーバーコート層におけるシランカップリング剤の配合量は、水懸濁性高分子100質量部に対して、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上、とくに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、とくに好ましくは5質量部以下である。
オーバーコート層の塗工量は、特に限定されないが、固形分で、0.1g/m以上であることがより好ましく、0.2g/m以上であることがより好ましく、そして、5g/m以下であることが好ましく、3g/m以下であることがより好ましい。
オーバーコート層の厚さは、特に限定されないが、樹脂使用量を低減し、リサイクル性を高める観点からは、1μm未満であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましい。オーバーコート層の厚さの下限は、特に限定されないが、バリア性の観点からは、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましい。
オーバーコート層の形成方法は、特に限定されないが、水懸濁性高分子の水溶液、または水性分散液等の水性媒体を塗工し、乾燥して形成することが好ましい。
<ヒートシール層>
本実施形態の蒸着紙は、オーバーコート層上に、熱可塑性樹脂を含むヒートシール層を有していてもよい。ヒートシール層を形成する方法としては、熱可塑性樹脂溶液または熱可塑性樹脂分散液を塗工し、乾燥して得ること、押出ラミネートすることなどが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂溶液または熱可塑性樹脂分散液を塗工し、乾燥して得ることが好ましい。
ここで用いられる熱可塑性樹脂溶液または熱可塑性樹脂分散液は、熱可塑性樹脂を溶解する有機溶媒を用いた溶液、熱可塑性樹脂を分散する有機溶媒を用いた分散液、水性媒体を用いた分散液等が挙げられ、塗工性や環境負荷の点から、水性媒体を用いた分散液が好ましい。
熱可塑性樹脂溶液あるいは熱可塑性樹脂分散液を塗工する方法としては、バーコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、トランスファーコート法等が挙げられ、ファウンテンコーターやスリットダイコーターのような塗工機を用いてもよい。
熱可塑性樹脂溶液あるいは熱可塑性樹脂分散液が塗工された塗工蒸着紙は、乾燥して有機溶媒または水性媒体を除去し、オーバーコート層上にヒートシール層を有する塗工蒸着紙を得ることができる。
ヒートシール層の厚さは、特に限定されないが、1μm以上15μm未満が好ましい。1μm以上であれば、十分なヒートシール性を確保できる。また、15μm未満であれば、離解性を付与でき、リサイクル性に優れる蒸着紙を得ることができる。
なお、樹脂使用量を低減し、リサイクル性を高める観点からは、オーバーコート層上にヒートシール層をさらに設けないことが好ましい。すなわち、本実施形態の蒸着紙は、紙基材の一方の面の最上層がオーバーコート層であることが好ましい。好ましくは、蒸着紙は、紙基材の一方の面上に、塗工層、蒸着層およびオーバーコート層がこの順に形成されてなる。
<蒸着紙の物性>
(コッブ吸水度)
本実施形態の蒸着紙は、JIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのオーバーコート層側表面(例えばオーバーコート層表面)のコッブ吸水度が1.0g/m以下であり、好ましくは0.5g/m以下であり得る。オーバーコート層側表面のコッブ吸水度を上記範囲内とすることで、水を通さない欠陥の少ない膜を形成できるため、得られた蒸着紙は、優れたバリア性を発揮することができると考えられる。オーバーコート層側表面のコッブ吸水度の下限は、特に限定されないが、例えば0g/m以上、0.1g/m以上、0.2g/m以上である。オーバーコート層側表面のコッブ吸水度は、塗工層(例えば樹脂層)およびオーバーコート層の成分や塗工量を調整することで、上記範囲内に調整することができる。
本実施形態の蒸着紙は、JIS P8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのオーバーコート層側と逆側の表面(例えば紙基材表面)のコッブ吸水度が10g/m以上であり、好ましくは20g/m以上である。また、オーバーコート層側と逆側の表面のコッブ吸水度を上記範囲内とすることで、紙基材に水を浸
透しやすくなるため、これにより、得られた蒸着紙は、優れたリサイクル性を発揮することができると考えられる。オーバーコート層側と逆側の表面のコッブ吸水度の上限は、特に限定されないが、好ましくは40g/m以下であり、より好ましくは30g/m以下である。オーバーコート層側と逆側の表面のコッブ吸水度は、紙基材の選定などにより、上記範囲内に調整することができる。
(表面固有電気抵抗)
本実施形態の蒸着紙は、JIS C 2139:2008に準拠して測定される、前記オーバーコート層側表面の表面固有電気抵抗が、1.0×1012Ω以上であり、より好ましくは2.0×1012Ω以上であり、さらに好ましくは1.0×1013Ω以上であり、さらにより好ましくは2.0×1014Ω以上である。蒸着紙のオーバーコート層側表面の表面固有電気抵抗を上記範囲内とすることで、金属異物の混入を抑制し、リサイクル性が向上する。オーバーコート層側表面の表面固有電気抵抗の上限は、特に限定されないが、例えば1.0×1015Ω以下である。表面固有電気抵抗は、塗工層(例えば樹脂層)およびオーバーコート層の塗工量の調整や、塗工層(例えば、樹脂層の樹脂)およびオーバーコート層の成分、蒸着層の選定などにより、上記範囲内に調整することができる。
(厚さ)
本実施形態の蒸着紙の厚さは、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、そして、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましい。
(酸素透過度)
本実施形態の蒸着紙のオーバーコート層上に厚さ20μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を貼合して積層シートを形成した場合において、JISK 7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、相対湿度50%における積層シートの酸素透過度が、2.0mL/m・day・atm以下であり、好ましくは1.0mL/m・day・atm以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは0mL/m・day・atm以上、0.05mL/m・day・atm以上である。蒸着紙とCPPフィルムの貼合には、例えば、接着剤を使用する。接着剤の種類および塗布量は、ガスバリア性を有さない限り特に限定されないが、例えば実施例に記載したとおりである。酸素透過度は、例えば、樹脂層を前述の最適な厚みにすること、樹脂層の平滑性を向上させること、蒸着層の厚さを増やすことにより小さくすることができる。ここで、「接着剤がガスバリア性を有さない」とは、JIS P 8117:2009に準拠して測定される王研式透気抵抗度が100秒以下の紙基材に、対象の接着剤を4g/m塗布し、厚さ20μmのCPPフィルムを貼り合わせた積層シートについて、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、相対湿度50%における酸素透過度が、2000mL/m・day・atm以上であることを意味する。
(水蒸気透過度)
本実施形態の蒸着紙は、JIS Z 0208:1976(カップ法)B法に準拠して測定される、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、1.0g/(m・day)以下であることが好ましく、0.7g/(m・day)以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、好ましくは0g/(m・day)以上、0.1g/(m・day)以上、0.2g/(m・day)以上である。水蒸気透過度は、例えば、樹脂層を前述の最適な厚みにすること、樹脂層の平滑性を向上させること、蒸着層の厚さを増やすことにより小さくすることができる。
本実施形態の蒸着紙を製造する方法に制限はなく、公知の方法を採用しうる。例えば、
紙基材の少なくとも一面上に、クレーコート層、樹脂層、蒸着層、オーバーコート層をこの順で有する蒸着紙の製造方法としては、以下の方法が挙げられる。無機顔料およびバインダーを含むクレーコート層用塗工液を紙基材上に塗工および乾燥してクレーコート層を形成する工程、クレーコート層上に水懸濁性高分子を含む樹脂層用塗工液を塗工および乾燥して樹脂層を形成する工程、樹脂層上に蒸着層の材料を真空蒸着させて蒸着層を形成する工程、及び蒸着層上にオーバーコート層用塗工液を塗工および乾燥してオーバーコート層を形成する工程を含む製造方法が好ましい。
本実施形態の蒸着紙は、上記の優れたバリア性を活かして、コーヒー、菓子、牛乳等の食品、医薬品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができ、リサイクル性にも優れる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。また、特にことわりがない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を表す。また、実施例および比較例の操作は、特にことわりがない限り、室温(20~25℃)、常湿(40~50%RH)の条件で行った。
<実施例1>
カオリン(イメリス社製Contour Xtreme、アスペクト比33、平均粒子径d50:0.26μm)80質量部と、スチレン-アクリル共重合体バインダー(BASF社製JONCRYL HSL-9012)20質量部(固形分)と、を混合し、クレーコート層用塗布液を調製した。片艶紙(王子エフテックス株式会社製、広葉樹パルプ配合比率:100質量%、離解フリーネス420ml、坪量:50g/m、厚さ:60μm、密度:0.83g/m、サイズ度:9秒、艶面の王研式平滑度:499秒、非艶面の王研式平滑度:15秒)の艶面に上記クレーコート層用塗布液をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、クレーコート層(12g/m)を形成した。
次に、上記クレーコート層上に、25μm厚シートに成形した際の酸素透過度(23℃、50%RH)が2.0ml/(m・day・atm)であるポリウレタン系樹脂バインダーの水性分散液(三井化学製タケラックWPB-341:ガラス転移温度130℃、固形分濃度30%)100質量部にアミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-903)0.15質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、樹脂層(2g/m)を形成し、蒸着紙用原紙を得た。
得られた蒸着紙用原紙の樹脂層上に、真空蒸着により、酸化ケイ素蒸着層(厚さ100Å(10nm))を形成した。上記酸化ケイ素蒸着層上に、25μm厚シートに成形した際の酸素透過度(23℃、50%RH)が2.0ml/(m・day・atm)であるポリウレタン系樹脂バインダーの水性分散液(三井化学株式会社製、タケラックWPB-341)をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、オーバーコート層(0.5g/m、厚さ:0.5μm)を形成し、厚さ68μmの蒸着紙を得た。
なお、樹脂層層およびオーバーコート層に使用したポリウレタン系樹脂について、H-NMR測定を行ったところ、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対するメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の含有量は、85モル%であり、50モル%以上であった。また、ポリウレタン系樹脂バインダーの25℃の水に対する溶解度は、10g/L以下であった。
<実施例2>
樹脂層の塗工量を1g/mとしたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ67μmの
蒸着紙を得た。
<実施例3>
ポリ乳酸エマルション(ミヨシ油脂社製ランディ PL-3000、固形分濃度40%)を用いて樹脂層(2g/m)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ68μmの蒸着紙を得た。また、上記ポリ乳酸の25℃の水に対する溶解度は、10g/L以下であった。
<実施例4>
ヒドロキシ基を有するポリウレタン樹脂バインダーの水性分散液(大日精化社製、HPU W-003、水酸基価235mgKOH/g、固形分濃度30%)を用いて樹脂層(2g/m)およびオーバーコート層(0.5g/m、厚さ:0.5μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ68μmの蒸着紙を得た。また、ヒドロキシ基を有するポリウレタン系樹脂バインダーの25℃の水に対する溶解度は、10g/L以下であった。
<実施例5>
真空蒸着により、酸化ケイ素の代わりに酸化アルミニウムを使用し、蒸着層(厚さ10nm)を形成したこと以外、実施例1と同様にして、厚さ68μmの蒸着紙を得た。
<実施例6>
真空蒸着により、酸化ケイ素の代わりに酸化ケイ素と酸化アルミニウムを同時に使用し(質量比、酸化ケイ素:酸化アルミニウム=50:50)、蒸着層(厚さ10nm)を形成したこと以外、実施例1と同様にして、蒸着紙を得た。
<比較例1>
蒸着層をアルミニウム蒸着層(厚さ500Å(50nm))に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ68μmの蒸着紙を得た。
<比較例2>
エチレン-アクリル酸共重合体バインダーの水性分散液(住友精化株式会社製ザイクセンAC、固形分濃度29%)を用いて樹脂層(2g/m)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ68μmの蒸着紙を得た。
<比較例3>
実施例1と同様にして、クレーコート層および樹脂層を紙基材の両面に塗工し、さらに、一方の樹脂層上のみに蒸着層およびオーバーコート層を形成し、厚さ75μmの蒸着紙を得た。
<蒸着紙の評価>
実施例および比較例で得られた蒸着紙について、以下の評価を行った。
[コッブ吸水度]
JIS P 8140:1998に準拠して試験を行った。接触させる水(蒸留水を使用)の水温は23℃、接触時間は120秒とし、蒸着紙のオーバーコート層表面およびその逆側の表面(すなわち紙基材表面)に水を接触させた。
[表面固有電気抵抗]
JIS C 2139:2008に準拠して、オーバーコート層側表面(オーバーコート層表面)の表面固有電気抵抗を測定した。
<蒸着紙の評価>
[酸素透過度]
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/22)を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件にて、蒸着紙の酸素透過度を測定した。具体的には、実施例および比較例で得られた蒸着紙のオーバーコート層上に、イソシアネート系接着剤(DIC株式会社製、ディックドライLX-500を10部に対してディックドライKW―75を1部混合)を5g/m塗布した後、厚さ20μmのCPPフィルム(北越化成株式会社製、GP-32)を貼合して積層シートを形成した。積層シートについて、JISK 7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度50%における酸素透過度を測定した。酸素透過度の値は低いほど酸素バリア性に優れる。
[水蒸気透過度]
JIS Z 0208:1976(カップ法)B法(温度40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)に準拠して、蒸着紙のオーバーコート層が内側(低湿度側)に来るように配置して、水蒸気透過性を測定した。水蒸気透過度の値は低いほど水蒸気バリア性に優れる。
[バリア包装材適性]
実施例および比較例の蒸着紙について、上記で測定した酸素透過度および水蒸気透過度に基づき、バリア包装材適性としての評価を実施した。
〇:酸素透過度が2mL/m・day・atm以下であり、かつ、水蒸気透過度が5g/m・day以下
×:酸素透過度が2mL/m・day・atmより大きい、または水蒸気透過度が5g/m・dayより大きい。
[リサイクル性(再離解後のパルプ回収率と目視評価)]
得られた蒸着紙をJIS P 8220-1:2012に準拠して離解した。このとき、離解開始から10分後に分散液を、6カットスクリーンを設置した振動フラットスクリーンで処理し、6カットスクリーン(目開き0.15mm)上の試料を回収して乾燥させることで残渣の質量比率(%)を算出し、100%から残渣の質量比率(%)を差し引いた値を再離解後のパルプ回収率(%)とした。また、回収したパルプについて着色異物の有無を目視評価した。パルプ回収率と着色異物の有無からリサイクル性を評価した。
〇:パルプ回収率が80%以上であり、かつ、着色異物がない。
×:パルプ回収率が80%未満である、または着色異物がある。
Figure 2022109889000001
実施例1~6の蒸着紙は、比較例1~3の蒸着紙に比べて、酸素透過度が低く、優れたバリア性を有しており、さらに優れたリサイクル性を有していた。

Claims (8)

  1. 紙基材の一方の面上に、塗工層、蒸着層およびオーバーコート層をこの順に有する蒸着紙であって、
    JIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒での前記オーバーコート層側表面のコッブ吸水度が1.0g/m以下であり、
    JIS P8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒での前記オーバーコート層側と逆側の表面のコッブ吸水度が10g/m以上であり、
    JIS C 2139:2008に準拠して測定される、前記オーバーコート層側表面の表面固有電気抵抗が1.0×1012Ω以上であり、
    前記蒸着紙の前記オーバーコート層上に厚さ20μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼合して積層シートを形成した場合において、JISK 7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、相対湿度50%における前記積層シートの酸素透過度が、2.0mL/m・day・atm以下である、蒸着紙。
  2. JIS Z 0208:1976(カップ法)B法に準拠して測定される、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度が1.0g/m・day以下である、請求項1に記載の蒸着紙。
  3. 前記塗工層が、前記紙基材側からクレーコート層および樹脂層をこの順に有する、請求項1または2に記載の蒸着紙。
  4. 前記樹脂層および前記オーバーコート層が、水懸濁性高分子を含み、前記水懸濁性高分子が、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項3に記載の蒸着紙。
  5. 前記クレーコート層が、無機顔料およびバインダーを含み、
    前記無機顔料は、アスペクト比が50以下であり、平均粒子径が5μm以下である、請求項3または4に記載の蒸着紙。
  6. 前記無機顔料が、カオリンである、請求項5に記載の蒸着紙。
  7. 前記クレーコート層に含まれるバインダーが、スチレン-ブタジエン系樹脂、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合、及びポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項5または6に記載の蒸着紙。
  8. 前記蒸着層が、無機酸化物を含む蒸着層であり、
    前記無機酸化物が、酸化ケイ素および酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の蒸着紙。
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