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JP2022096134A - サイジング剤付着炭素繊維の製造方法 - Google Patents

サイジング剤付着炭素繊維の製造方法 Download PDF

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JP2022096134A
JP2022096134A JP2020209062A JP2020209062A JP2022096134A JP 2022096134 A JP2022096134 A JP 2022096134A JP 2020209062 A JP2020209062 A JP 2020209062A JP 2020209062 A JP2020209062 A JP 2020209062A JP 2022096134 A JP2022096134 A JP 2022096134A
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carbon fiber
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resin
hot air
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JP2020209062A
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秀和 吉川
Hidekazu Yoshikawa
勇一朗 花谷
Yuichiro Hanatani
泰佑 藤本
Taisuke Fujimoto
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

【課題】サイジング剤が適用されているにもかかわらず良好な風合いを有するサイジング剤付着炭素繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】サイジング剤を含むサイジング剤組成物を炭素繊維に付与しサイジング剤組成物が付着した炭素繊維を得ること、サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を第1温度を有する熱風で乾燥処理すること、及び、第1温度を有する熱風で乾燥処理された炭素繊維を第1温度よりも低い第2温度を有する熱風で乾燥処理すること、を含む、サイジング剤付着炭素繊維の製造方法。
【選択図】なし

Description

本開示は、サイジング剤付着炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、比強度・比弾性率に優れ、軽量であるため、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の強化繊維として、従来のスポーツ・一般産業用途だけでなく、航空・宇宙用途、自動車用途など、幅広い用途に利用されるようになっている。利用用途が拡大されるにつれ、炭素繊維強化樹脂複合材料(以下コンポジットと称する)には、さらに高い性能が求められている。
特許文献1及び2は、炭素繊維のコンポジット物性を向上させることを目的としており、特定の物性を示す炭素繊維束について記載している。
特許文献3は、炭素繊維の製造に用いられる前駆体繊維に関し、繊維方向軸における皺の深さが特定の範囲であるアクリロニトリル系前駆体繊維について記載している。
従来、炭素繊維の製造過程では、炭素繊維の工程通過性の向上、及び、複合材料における炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性の向上などの目的のために、炭素繊維にサイジング剤が付与される。従来から、炭素繊維に付与されるサイジング剤などに関して、種々の検討がなされてきた。
特許文献4は、特定のカルボン酸成分と特定のアルコール成分とのエステルを含有する無機繊維用集束剤について記載している。
特許文献5は、サイジング剤が付与された炭素繊維を移送するためのローラーについて記載しており、当該ローラーの表面がフッ素樹脂層を有することを記載している。
特許文献6は、成分中に少なくともポリオキシアルキレン基とエポキシ基を含有するサイジング剤について記載している。
特許文献7は、脂肪族系エポキシ樹脂を含む、炭素繊維束用のサイジング剤について記載している。
特許文献8は、サイジング剤が付着している炭素繊維束について記載しており、サイジング剤が、軟化点80~200℃の範囲内の芳香族系熱可塑性樹脂と芳香族ジエステルとを含むことを記載している。
特許文献9は、エポキシ化合物とアミン化合物の反応物であるアミンアダクトとポリウレタンとを含有するサイジング剤について記載している。
特開昭60-239521号公報 特開昭61-296123号公報 特開2002-54022号公報 特開2002-339246号公報 特開2002-309475号公報 特開2003-3376号公報 特開2005-264383号公報 特開2005-281955号公報 特開2016-3412号公報
従来の炭素繊維の製造方法では、サイジング剤の適用に起因して、良好な風合いを有する炭素繊維を製造することが困難となる場合があった。
本発明の目的は、サイジング剤が適用されているにもかかわらず良好な風合いを有するサイジング剤付着炭素繊維の製造方法を提供することである。
本発明の目的は、下記の態様を有する本発明によって解決される。
<態様1>
サイジング剤を含むサイジング剤組成物を炭素繊維に付与し、サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を得ること、
サイジング剤組成物が付着した前記炭素繊維を、第1温度を有する熱風で乾燥処理すること、及び、
前記第1温度を有する熱風で乾燥処理された前記炭素繊維を、前記第1温度よりも低い第2温度を有する熱風で乾燥処理すること
を含む、サイジング剤付着炭素繊維の製造方法。
<態様2>
前記サイジング剤の、動的粘弾性測定によって得られる50℃における粘度が10000mPa・s超であり、かつ100℃における粘度が400mPa・s以上700mPa・s以下である、態様1に記載の方法。
<態様3>
前記第1温度が、130℃以上である、態様1又は2に記載の方法。
<態様4>
サイジング剤の付着量が、炭素繊維に対して、0.3重量%~1.5重量%である、態様1~3のいずれか一項に記載の方法。
<態様5>
前記第1温度を有する熱風で乾燥処理された前記炭素繊維の水分含有率が、1.5%以下である、態様1~4のいずれか一項に記載の方法。
<態様6>
前記第1温度を有する熱風で乾燥処理された前記炭素繊維の水分含有率が、0.2%以上である、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
<態様7>
前記第2温度を有する熱風で乾燥処理された前記炭素繊維の水分含有率が、0.1%以下である、態様1~6のいずれか一項に記載の方法。
<態様8>
前記サイジング剤が、架橋可能基を有する樹脂を含有している、態様1~7のいずれか一項に記載の方法。
<態様9>
前記架橋可能基を有する樹脂が、エポキシ樹脂である、態様8に記載の方法。
<態様10>
前記サイジング剤が、ポリエステル樹脂をさらに含有している、態様8又は9に記載の方法。
<態様11>
前記第2温度を有する熱風での乾燥処理による、前記架橋可能基の当量の変化率が、10%以下である、態様8~10のいずれか一項に記載の方法記載の方法。
本発明によれば、サイジング剤が適用されているにもかかわらず良好な風合いを有するサイジング剤付着炭素繊維の製造方法を提供することができる。
≪炭素繊維の製造方法≫
本開示に係るサイジング剤付着炭素繊維の製造方法は、
サイジング剤を含むサイジング剤組成物を炭素繊維に付与し、サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を得る、付与工程
サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を、第1温度を有する熱風で乾燥処理する、第1乾燥工程、及び、
第1温度を有する熱風で乾燥処理された炭素繊維を、第1温度よりも低い第2温度を有する熱風で乾燥処理する、第2乾燥工程、
を含む。
本開示において、「サイジング剤」は、サイジング剤組成物を炭素繊維に付与し、乾燥した後で、炭素繊維上に残留している成分を意味し、これらは、固体であっても液体であってもよい。
従来の炭素繊維では、サイジング剤組成物が適用された炭素繊維を乾燥する際に、一定温度での乾燥処理、又は、比較的低い温度での予備加熱に続いて比較的高い温度での乾燥処理を行っていた。理論によって限定する意図はないが、このような乾燥処理では、サイジング剤を構成する樹脂等における化学反応が過度に起こり、樹脂等の変性・硬化が進行し、結果として炭素繊維の風合いが悪化すると考えられる。
これに対して、本発明では、比較的高い温度で乾燥処理を行った後に、比較的低い温度でさらに乾燥処理を行う。このような乾燥処理では、水分含有量が比較的高い間に比較的高温での乾燥処理を行い、かつ、ある程度乾燥が進んだ繊維に対して、比較的低温で乾燥処理を行うこととなる。このような乾燥処理によれば、サイジング剤に含有される化合物、特に架橋性基を有する樹脂の反応を抑制しつつ、効率的に乾燥処理を行うことができ、結果として、良好な風合いを有する炭素繊維が得られると考えられる。
<付与工程>
付与工程では、サイジング剤を含むサイジング剤組成物を炭素繊維に付与し、サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を得る。
炭素繊維にサイジング剤組成物を付与する方法の例としては、サイジング剤分散液などのサイジング剤組成物に炭素繊維を接触させる方法が挙げられる。具体的には、サイジング剤組成物中にロールの一部を浸漬させて表面転写した後にこのロールに繊維を接触させるタッチロール式、繊維を直接サイジング剤組成物に浸漬させる浸漬方式、及び、サイジング剤組成物を炭素繊維にスプレーで吹き付けるスプレー法などが挙げられる。なお、浸漬方式等においては、必要に応じてニップロールや空気圧(例えば、ブロワーなど)を用いてサイジング剤組成物の付着量を制御することができる。余剰のサイジング剤を絞り取る絞り量を調整することによっても、サイジング剤の付着量を調整することができる。サイジング剤組成物の液温は、溶媒又は分散媒の蒸発によるサイジング剤濃度変動を抑えることができるので、10~50℃の範囲が好ましい。
例えば、乳化剤等を用いたサイジング剤の水系エマルジョン中に炭素繊維を浸漬する方法(エマルジョン法)によって、サイジング剤組成物を炭素繊維に付与することができる。
(サイジング剤組成物)
サイジング剤組成物は、サイジング剤及び分散媒又は溶媒を含むことができる。サイジング剤組成物を調製する方法は特に限定されず、公知の調製方法を用いることができる。
サイジング剤組成物の分散媒又は溶媒としては、水、及び有機溶剤(例えばアルコール類やアセトンなど)が挙げられる。
サイジング剤組成物は、界面活性剤を用いて乳化させることによって調製されるサイジング剤水分散液(エマルジョン)であってもよい。
サイジング剤組成物がサイジング剤溶液又はサイジング剤分散液である場合、サイジング剤の濃度は、1~20%質量%であってよく、好ましくは1~10質量%である。
界面活性剤は、特に制限されず、アニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性剤等を用いることができる。中でもノニオン系界面活性剤が、乳化性能および分散液の安定性の観点から好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等)、多価アルコール型(グリセリンの脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等)等の界面活性剤が挙げられるが、炭素繊維表面と金属との間の摩擦抵抗を低減することができる、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーを用いることが特に好ましい。
乳化方法としては、撹拌翼を具備したバッチを用いる方法、ボールミルを用いる方法、振とう器を用いる方法、ガウリンホモジナイザ等の高せん断乳化機を用いる方法等が挙げられる。
界面活性剤は、サイジング剤を乳化できれば特に制限はないが、通常0.1~30質量%程度添加すればよい。
(サイジング剤)
サイジング剤の組成は、特に限定されない。サイジング剤に含有される成分としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂及びその変性物、並びにこれらの混合物が挙げられる。炭素繊維の使用用途などに応じて、適切なサイジング剤を選択することができる。
本開示に係る1つの実施態様では、サイジング剤を構成する樹脂成分が、1つ、又は2つ、又はそれ以上の樹脂を含有しても良い。
サイジング剤を構成する樹脂として、エポキシ樹脂のような、架橋可能性基を有する樹脂を含有することが好ましい。サイジング剤がエポキシ樹脂等を含有することによって、コンポジットにおける炭素繊維と樹脂との間の接着性をさらに向上させることができる場合がある。また、サイジング剤がエポキシ樹脂等を含有する場合であっても、本開示に係る方法によれば、乾燥処理の間にエポキシ樹脂等の反応が進行することを抑制することができるため、得られるサイジング剤付着炭素繊維の風合いを向上させることができると考えられる。エポキシ樹脂等において反応が過度に進行すると、樹脂の硬化が進行し、風合いが劣化する場合がある。
好ましくは、架橋可能性基を有する樹脂の量は、サイジング剤の総量(分散媒除く)に対して、20~99重量%、30~90重量%である。
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂化合物である。エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂化合物及び脂肪族エポキシ樹脂化合物が挙げられる。
サイジング剤は、熱可塑性樹脂を含有することができる。サイジング剤が、上述の架橋可能性基を有する樹脂に加えて、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂が挙げられ、好ましい熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂(PEs)である。
サイジング剤における熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは、10重量%以上50質量%未満、より好ましくは20重量%以上45重量%以下である。
サイジング剤は、炭素繊維の取扱性、耐擦過性、耐毛羽性、及び含浸性などを向上させる目的のために、乳化剤、平滑剤などの補助成分をさらに含有することができる。乳化剤としては、上述の界面活性剤が挙げられる。
(サイジング剤:粘度)
本発明では、サイジング剤の粘度を調節することによって、さらに優れた物性を有するサイジング剤付着炭素繊維を得ることができる。
本発明に係る1つの好ましい実施態様では、サイジング剤の、動的粘弾性測定によって得られる50℃における粘度が10000mPa・s超であり、かつ、100℃における粘度が400mPa・s以上700mPa・s以下である。50℃における粘度が10000mPa・s超の場合には、炭素繊維を移送するためのローラー又は金属ガイドへのサイジング剤の付着を抑制することができる。また、100℃における粘度が400mPa・s以上700mPa・s以下であることで、サイジング剤が熱風による乾燥中に均一に広がり、炭素繊維の耐擦過性をさらに向上させることができ、取り扱い性の良好な、高品位の炭素繊維を得ることができる。本発明において、サイジング剤の粘度は、サイジング剤を構成する樹脂や補助成分を混合した混合物を分散媒に分散させる前に測定してもよいし、サイジング剤が分散媒に分散したサイジング剤組成物から分散媒を除去して測定してもよい。
サイジング剤の粘度は、分散媒に分散させる前のサイジング剤を構成する樹脂及び補助成分の混合物、又は、サイジング剤組成物から分散媒を除去することによって得られる残留分において、動的粘弾性測定を行うことにより測定することができる。具体的には、動的粘弾性測定装置を用い、周波数1.6Hz、歪10%、温度範囲30~120℃、昇温速度2℃/分、プレート径40mm、Gap0.5mmの条件で測定し、50℃、及び100℃での粘度を計測することにより評価できる。
なお、サイジング剤組成物から水分を除去することによって樹脂を得る際には、サイジング剤組成物を熱風乾燥機100℃、30分の条件にて水分を除去した後、デシケーター内で室温に戻し、測定に用いる。
サイジング剤の100℃における粘度は、より好ましくは、450mPa・s以上650mPa・s以下、特に好ましくは475mPa・s以上600mPa・s以下である。
(サイジング剤の付着量)
本発明では、サイジング剤の付着量を調節することによって、さらに優れた物性を有するサイジング剤付着炭素繊維を得ることができる。
サイジング剤の付着量は、0.1~2.0重量%とすることができ、好ましくは、0.3~1.5重量%、さらに好ましくは0.4~1.2重量%である。サイジング剤の付着量が炭素繊維に対して1.5重量%以下である場合には、特に優れた風合いを有し、かつ優れた開繊性を有する炭素繊維を得ることができる。また、サイジング剤の付着量が炭素繊維に対して0.3重量%以上である場合には、炭素繊維の耐擦過性をさらに向上させることができる。
サイジング剤の付着量は、下記のとおりにして決定することができる:
1.0mのサイジング剤付着炭素繊維を採取し、デシケーター内で10分保管し、重量aを測定する。このサイジング剤の付着した炭素繊維をアセトン中で洗浄し、120℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させ、デシケーターに10分保管し、重量bを測定する。重量減少分をサイジング剤の付着量として、次式に従って、サイジング剤の付着量を算出する。
サイジング剤の付着量=(a-b)/b×100[%]
a:処理前の繊維重量[g]
b:処理後の繊維重量[g]
(炭素繊維)
本開示に係る方法で用いることができる炭素繊維は、特に制限されない。炭素繊維としては、好ましくは、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が使用される。炭素繊維の詳細については、後述する。
<第1乾燥工程>
第1乾燥工程では、第1温度を有する熱風を用いて、サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を乾燥処理する。この乾燥工程(及び後述する第2乾燥工程)では、エアドライヤー、又は熱風乾燥機、例えば垂直流式の熱風乾燥機を用いることができる。特に、炭素繊維に対し垂直に熱風を吹き付ける垂直流の熱風乾燥機を使用することができ、この場合には、室温から100℃までの昇温速度をさらに早めることができる。
(第1温度)
第1温度は、100℃以上であってよい。第1温度は、好ましくは、130℃以上、150℃以上、175℃以上、若しくは190℃以上であり、かつ/又は、250℃以下、240℃以下、230℃以下、220℃以下、若しくは210℃以下である。第1温度が当該範囲である場合には、付与したサイジング剤組成物の分散媒(水分)を速やかに除去できるだけでなく、炭素繊維を移送するためのローラー又は金属ガイドへのサイジング剤の付着を抑制することができ、かつ炭素繊維の耐擦過性をさらに向上させることができる。
(第1乾燥工程後の水分含有率)
第1温度を有する熱風で乾燥処理された炭素繊維の水分含有率は、4.0%以下であってよく、好ましくは、1.5%以下、1.2%以下、1.0%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.4%以下、若しくは0.3%以下であり、かつ/又は、0.1%以上、0.15%以上、0.2%以上、若しくは0.25%以上である。なお、第1温度を有する熱風で乾燥処理された炭素繊維の水分含有率は、第2温度を有する熱風による乾燥処理を行う前に計測することができ、特には、第1温度を有する熱風による乾燥処理を行った直後に計測することができる。
炭素繊維の水分含有率は、JIS K 0068に準じて、カールフィッシャー法など公知の方法により測定することができる。
(第1乾燥工程の時間)
第1乾燥工程における乾燥時間は、特に制限されないが、例えば、第1温度を有する熱風で乾燥処理された炭素繊維の水分含有率が所望の値となるように、乾燥に要する時間を適宜設定することができる。第1乾燥工程における乾燥時間は、例えば、0.2分~5分であってよい。
<第2乾燥工程>
第2乾燥工程では、第1温度を有する熱風で乾燥処理された上記の炭素繊維を、第1温度よりも低い第2温度を有する熱風を用いて、乾燥処理する。
(第2温度)
第2温度は、第1温度よりも低い温度である。第2温度は、第1温度よりも1℃以上、5℃以上、10℃以上、15℃以上、若しくは20℃以上低い温度であってよい。また、第1温度と第2温度との間の差異は、100℃以下、75℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、若しくは25℃以下であってよい。
第2温度は、80℃以上であってよく、好ましくは、120℃以上、140℃以上、若しくは150℃以上であり、かつ/又は、200℃以下、若しくは180℃以下である。
(第2乾燥工程後の水分含有率)
第2温度を有する熱風で乾燥処理された炭素繊維の水分含有率は、好ましくは、0.2%以下、0.15%以下、0.10%以下、0.05%以下、若しくは0.01%以下であり、かつ/又は、0.001%以上、若しくは0.005%以上である。第2温度を有する熱風で乾燥処理された炭素繊維の水分含有率は、第2温度を有する熱風によって乾燥処理を行った直後に計測することができる。
(第2乾燥工程の時間)
第2乾燥工程における乾燥時間は、特に制限されないが、例えば、第2温度を有する熱風で乾燥処理された炭素繊維の水分含有率が所望の値となるように、乾燥に要する時間を適宜設定することができる。第2乾燥工程における乾燥時間は、例えば、0.2分~5分であってよい。
また、第1乾燥工程、第2乾燥工程は2つ以上の温度を有すれば良く、1つまたは2つ、またはそれ以上の熱風炉の組み合わせから成る設備であれば良く、本条件が実施できれば、設備を限定されるものではない。
<第2乾燥工程におけるエポキシ当量の変化率>
本開示に係る1つの実施態様では、第2温度を有する熱風での乾燥処理によるエポキシ当量の変化率が、10%以下である。第2温度を有する熱風での乾燥処理によるエポキシ当量の変化率は、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%である。
エポキシ当量の変化率は、下記の式(1)に従って算出することができる。
(|E2-E1|×100)/E1 ・・・(1)
[式中、E1は第1乾燥工程後のエポキシ当量を示し、E2は第2乾燥工程後のエポキシ当量を示す。]
エポキシ当量は、JIS K7236 に基づいて測定することができる。
<炭素繊維>
本発明で使用することができる炭素繊維は、特に制限が無く、ピッチ系、レーヨン系、ポリアクリロニトリル(PAN)系など、いずれの炭素繊維も使用できるが、操作性、工程通過性、及び機械強度等を鑑みると、アクリロニトリル系の炭素繊維が好ましい。炭素繊維の繊度、強度等の特性も特に制限が無く、公知のいずれの炭素繊維も制限無く使用できる。
炭素繊維の形態は、特に制限されないが、複数の単糸(フィラメント)から構成される炭素繊維束の形態であってよい。炭素繊維束を構成するフィラメントの構成本数は、生産性の観点などから1,000本~80,000本であることが好ましく、さらには3,000本~50,000本の範囲であることが好ましい。
PAN系炭素繊維は、例えば、以下の方法により製造することができる。
(前駆体繊維)
アクリル系前駆体繊維は、好ましくは、アクリロニトリルを90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含有し、その他の単量体を10質量%以下含有する単量体を単独又は共重合した紡糸溶液を紡糸して製造される。その他の単量体としてはイタコン酸、(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。紡糸後の原料繊維を、水洗、乾燥、延伸、オイリング処理することにより、前駆体繊維を得ることができる。前駆体繊維のフィラメント数は、製造効率の面では1,000本以上が好ましく、3,000本以上がより好ましい。
(耐炎化処理)
前駆体繊維を、加熱空気中200~300℃で10~100分間加熱し、耐炎化処理する。耐炎化処理では、延伸倍率0.90~1.20の範囲で繊維を延伸処理することが好ましい。
(炭素化処理)
耐炎化処理した前駆体繊維を、不活性雰囲気下において300~2000℃で炭素化して、炭素繊維を得る。より引張強度の高い緻密な内部構造をもつ炭素繊維束を得るためには、300℃~1000℃で低温炭素化した後、1000~2000℃で高温炭素化する二段階の炭素化工程を経て、炭素化処理を行うことが好ましい。より高い弾性率が求められる場合は、さらに、2000~3000℃の高温で黒鉛化処理を行ってもよい。
(表面酸化処理)
上記で得られた炭素繊維は、サイジング剤及び/又はマトリックス樹脂との濡れ性を改善するために、表面酸化処理を行うことが好ましい。表面酸化処理は、従来公知のいずれの方法でも行うことができるが、装置が簡便であり工程での管理が容易であることから、工業的には電解酸化を用いることが一般的である。
表面酸化処理の電気量は、炭素繊維1gに対して10~150クーロンになる範囲とすることが好ましい。電気量をこの範囲で調節すると、繊維としての力学的特性に優れ、かつ、樹脂との接着性の向上した炭素繊維を得ることができる。
電解液としては、例えば、硝酸、硫酸、硫酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。電解液の電解質濃度は0.1規定以上が好ましく、0.1~1規定がより好ましい。
<コンポジット>
本開示に係る方法で製造されるサイジング剤付着炭素繊維とマトリックス樹脂とから、炭素繊維強化樹脂複合材料(コンポジット)を形成することができる。
コンポジットに用いる炭素繊維は、シート状の強化繊維材料であることが好ましい。シート状の材料としては、繊維材料を一方向にシート状に引き揃えたもの、繊維材料を織編物や不織布等の布帛に成形したもの、多軸織物等が挙げられる。不織布として用いる場合、連続繊維からなる不織布であってもよく、不連続繊維からなる不織布であってもよい。シート状強化繊維材料として用いる場合、その目付としては25~10000g/mとすることが好ましい。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が用いられる。熱硬化性マトリックス樹脂の具体例として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備重合樹脂、ビスマレイミド樹脂、アセチレン末端を有するポリイミド樹脂及びポリイソイミド樹脂、ナジック酸末端を有するポリイミド樹脂等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。中でも、耐熱性、弾性率、耐薬品性に優れたエポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が、特に好ましい。これらの熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤以外に、通常用いられる着色剤や各種添加剤等が含まれていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリーレンオキシド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂等が挙げられる。
コンポジット中に占める樹脂組成物の含有率は、10~90重量%、好ましくは20~60重量%、更に好ましくは25~45重量%である。
このようにして得られる炭素繊維強化複合材料は、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れ、機械的強度に優れた繊維強化複合材料である。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。また、各実施例及び比較例における繊維の物性についての評価は、以下の方法によって実施した。
≪実施例1~11及び比較例1≫
実施例1~11及び比較例1において、サイジング剤組成物を付与した炭素繊維に対して乾燥処理を行い、サイジング剤付着炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量、エポキシ当量の計測、及び、得られたサイジング剤付着炭素繊維の物性評価は、下記のとおりにして行った。
<サイジング剤の付着量>
サイジング剤の付着量は、下記のとおりにして計測した。
1.0mのサイジング剤付着炭素繊維を採取し、デシケーター内で10分保管し、重量aを測定した。このサイジング剤の付着した炭素繊維をアセトン中で洗浄し、120℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させ、デシケーターに10分保管し、重量bを測定した。重量減少分をサイジング剤の付着量として、次式に従って、サイジング剤の付着量を算出した。
サイジング剤の付着量=(a-b)/b×100[%]
a:処理前の繊維重量[g]
b:処理後の繊維重量[g]
<エポキシ当量>
JIS K 7236に基づいて測定した。
<エポキシ当量の変化率>
第1乾燥工程後のエポキシ当量の測定値、及び第2乾燥工程後のエポキシ当量の測定値に基づいて、第2温度を有する熱風での乾燥処理によるエポキシ当量の変化率を算出した。
<水分含有率>
炭素繊維の水分含有率は、JIS K 0068に準じて、カールフィッシャー法により測定した。
<風合い>
大栄科学精器製作所製ハンドロメーター(型式:HOM-2)を用いて、以下の条件で測定を実施した。
測定サンプル:20cm長のサイジング剤付着炭素繊維
スリット幅:15mm
測定温度:20℃
サンプルをサンプル中央部がスリット上になるように試料台にのせた。このとき、スリットの幅方向がサンプルの長さ方向となるようにした。次に、厚さ2mm、長さ200mmの金属プレートでこのサンプルをスリット間に深さ10mmまで10mm/secの速さで垂直に押し込み、金属プレートにかかる最大荷重を測定した。異なるサンプルについて測定を5回行い、その平均値を風合いの値とした。
<擦過毛羽>
サイジング剤付着炭素繊維を、200gの張力をかけながら、表面粗度Ra=2.0μmの4本の金属バーに接触させ、10m/minで300mにわたって走行させた後、金属バー上に蓄積した毛羽を回収し、重量を測定した。下記式に従って擦過毛羽を算出した。
擦過毛羽の値(μg/m)=蓄積毛羽量(μg)/評価繊維束長(m)
<ピン接触切断回数>
ピン接触切断回数の評価は、サイジング剤付着炭素繊維を50cm採取し、片側を固定し、直径2mmのステンレス製ピンを3本配置し、接触角は30度-120度-30度(合計接触角180度)として、誘導し、張力18.75mg/filamentの荷重をかけ、前後に30mm動かして接触させ、切断するまでの回数を測定することによって行った。
<ローラーへの付着>
ローラーへの付着の評価は、サイジング剤付着炭素繊維をワインディングする工程において、ワインディング直前にある移送用ステンレス製フリーローラーの表面に付着したサイジング剤組成物の有無を目視で確認することによって、行った。
<金属ガイドへの付着>
金属ガイドへの付着の評価は、上述の擦過毛羽測定において、測定終了後にサイジング付着炭素繊維が接触した金属バー表面に付着したサイジング剤組成物の有無を目視で確認することによって、行った。
<開繊評価>
開繊性の評価は、下記のとおりにして行った。サイジング剤付着炭素繊維を、100gの張力をかけ、速度5m/minで走行させ、そのときの幅を光電管等で、3分測定し、その平均値aを測定する。その後、同じ炭素繊維ボビンを使用し、張力を1kgとして、表面粗度Ra=2.0μmの金属バーに合計接触角180度で接触させて、速度5m/minで走行させ、そのときの幅を光電管等で、3分測定し、その平均値bを測定する。aに対するbの割合が、n=3の平均で、150%以上であった場合を「〇」、150%未満であった場合を「×」とした。
<プリプレグ(PP)品位>
(プリプレグ品位の評価)
得られたサイジング剤付着繊維を用いて下記の方法により一方向プリプレグシートを作製した。この時のプリプレグシート上の品位を、目視で観察し、下記の基準に従って評価した。
○:毛羽塊が0.5ケ/10m以下であり、毛羽立ちが見られないもの。
×:上記外であるもの
(樹脂組成物)
一方向プリプレグシートの作製に使用したエポキシ樹脂組成物の構成成分は、下記のとおりであった。
・35重量部のグリシジルアミン型エポキシ樹脂(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、アラルダイトMY0600(商品名))
・30重量部のグリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、EP604(商品名))
・15重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、EP828(商品名))
・20重量部のウレタン変性エポキシ樹脂(アデカ社製、EPU-6(商品名))
・40重量部の芳香族アミン系硬化剤(4,4’-ジアミノジフェニルスルホン:和歌山精化工業製、セイカキュアS(商品名))
・35重量部のポリエーテルスルホン(住友化学工業(株)製、PES-5003P(商品名))
(樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂にポリエーテルスルホンを添加し、120℃で60分間、プラネタリーミキサーを用いて撹拌し、ポリエーテルスルホンをエポキシ樹脂に完全溶解させた。樹脂温度を80℃以下に冷ました後、硬化剤を添加し、ロールミルを用いて混練して、プリプレグ作製用のエポキシ樹脂組成物を調製した。
(プリプレグの製造)
調製したエポキシ樹脂組成物を、フィルムコーターを用いてそれぞれ離型紙上に塗布して、50g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。次に、炭素繊維束を一方向に配列させた炭素繊維シートに、上記作製した樹脂フィルムをシート両面にそれぞれ1枚重ねた。加熱、加圧することにより、樹脂を炭素繊維シートに含浸させ、炭素繊維の目付が190g/mで、マトリクス樹脂の質量分率が35.0%の一方向プリプレグを作製した。
<実施例1>
(炭素繊維の製造)
ポリアクリロニトリル繊維を、空気中において250℃で耐炎化処理した後、窒素ガス雰囲気下、最高温度650℃で低温炭素化させた。その後、窒素雰囲気下1300℃で高温炭素化させて製造した炭素繊維を、10wt%の硫酸アンモニウム水溶液を用いた電解酸化によって表面処理し、炭素繊維(引張強度:4500MPa、引張弾性率:240GPa、単繊維径:7μm、フィラメント数:24000本)を得た。
(サイジング剤組成物の調製)
サイジング剤組成物は、下記の成分を、分散媒としての水に分散させることによって調製した:
40~50重量%のエポキシ樹脂、
30~50重量%のポリエステル樹脂(PEs)、及び
5~10重量%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(PO/EO)。
<サイジング剤の粘度>
サイジング剤組成物を熱風乾燥機100℃、30分の条件にて加熱し、水分を除去した。ついで、デシケーター内で室温に戻し、測定試料とした。
得られた測定試料を、動的粘弾性測定装置(テイ・エイ・インスツルメント社製、TA ARES-G2)を用い、周波数1.6Hz、歪10%、温度範囲30~120℃、昇温速度2℃/分、プレート径40mm、Gap0.5mmの条件で測定し、50℃、及び100℃での粘度を計測した。
サイジング剤の、50℃における粘度は、10000mPa・s超であり、100℃における粘度は、500mPa・sであった。
上記のサイジング剤組成物に上記炭素繊維を連続的に浸漬することによって、サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を得た。
サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を、熱風乾燥機を用いて、190℃の第1温度を有する熱風で0.8分にわたって乾燥処理し(第1乾燥工程)、次いで、170℃の第2温度で1.0分にわたって乾燥処理して(第2乾燥工程)、実施例1に係るサイジング剤付着炭素繊維を製造した。
第1乾燥工程及び第2乾燥工程後の水分含有率及びエポキシ当量を、それぞれ、下記の表1に示す。また、得られたサイジング剤付着炭素繊維の物性評価の結果を、下記の表1に示す。
<実施例2>
第1温度及び第2温度がそれぞれ210℃及び150℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係るサイジング剤付着炭素繊維を製造した。実施例2についての測定及び評価の結果を、下記の表1に示す。
<実施例3>
第1温度及び第2温度がそれぞれ170℃及び150℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係るサイジング剤付着炭素繊維を製造した。実施例3についての測定及び評価の結果を、下記の表1に示す。
<実施例4~7>
サイジング剤の付着量が、それぞれ、炭素繊維に対して、0.5重量%、1.2重量%、0.2重量%、及び1.7重量%であったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4~7に係るサイジング剤付着炭素繊維を製造した。実施例4~7についての測定及び評価の結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
<実施例8>
第1温度及び第2温度がそれぞれ110℃及び90℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係るサイジング剤付着炭素繊維を製造した。実施例8についての測定及び評価の結果を、下記の表1に示す。
<実施例9>
サイジング剤に添加したポリエステル樹脂の割合を変更し、サイジング剤の100℃における粘度を800mPa・sとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係るサイジング剤付着炭素繊維を製造した。実施例8についての測定及び評価の結果を、下記の表1に示す。
<実施例10~11>
サイジング剤の組成を、実施例10では、ウレタン変性エポキシ樹脂と脂肪酸エステルとし、実施例11では、エポキシ樹脂とPO/EOブロックポリマーとし、いずれもポリエステル樹脂を添加しなかったことで、サイジング剤の粘度を下記の表1のようにしたこと、及びサイジング剤の付着量が下記の表1のとおりであったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10~11に係るサイジング剤付着炭素繊維を製造した。実施例10~11についての測定及び評価の結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
<比較例1>
第2温度が230℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るサイジング剤付着炭素繊維を製造した。比較例1についての測定及び評価の結果を、下記の表1に示す。
<評価>
下記の表1で見られるとおり、実施例1~11では、サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を、第1温度を有する熱風で乾燥処理した後に、第1温度よりも低い第2温度を有する熱風で乾燥処理しており、このようにして製造されたサイジング剤付着炭素繊維は、第1温度よりも高い第2温度を有する熱風で乾燥処理して得られた比較例1のサイジング剤付着炭素繊維と比較して、良好な風合いを有していた。
Figure 2022096134000001

Claims (11)

  1. サイジング剤を含むサイジング剤組成物を炭素繊維に付与し、サイジング剤組成物が付着した炭素繊維を得ること、
    サイジング剤組成物が付着した前記炭素繊維を、第1温度を有する熱風で乾燥処理すること、及び、
    前記第1温度を有する熱風で乾燥処理された前記炭素繊維を、前記第1温度よりも低い第2温度を有する熱風で乾燥処理すること
    を含む、サイジング剤付着炭素繊維の製造方法。
  2. 前記サイジング剤の、動的粘弾性測定によって得られる50℃における粘度が10000mPa・s超であり、かつ100℃における粘度が400mPa・s以上700mPa・s以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1温度が、130℃以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. サイジング剤の付着量が、炭素繊維に対して、0.3重量%~1.5重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第1温度を有する熱風で乾燥処理された前記炭素繊維の水分含有率が、1.5%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第1温度を有する熱風で乾燥処理された前記炭素繊維の水分含有率が、0.2%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第2温度を有する熱風で乾燥処理された前記炭素繊維の水分含有率が、0.1%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記サイジング剤が、架橋可能基を有する樹脂を含有している、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記架橋可能基を有する樹脂が、エポキシ樹脂である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記サイジング剤が、ポリエステル樹脂をさらに含有している、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記第2温度を有する熱風での乾燥処理による、前記架橋可能基の当量の変化率が、10%以下である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
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