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JP2020147876A - 炭素繊維用サイジング剤、その水分散液、サイジング剤付着炭素繊維、及び炭素繊維強化複合材料の製造方法。 - Google Patents

炭素繊維用サイジング剤、その水分散液、サイジング剤付着炭素繊維、及び炭素繊維強化複合材料の製造方法。 Download PDF

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JP2020147876A JP2019048386A JP2019048386A JP2020147876A JP 2020147876 A JP2020147876 A JP 2020147876A JP 2019048386 A JP2019048386 A JP 2019048386A JP 2019048386 A JP2019048386 A JP 2019048386A JP 2020147876 A JP2020147876 A JP 2020147876A
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顕治 兼田
Kenji Kaneda
顕治 兼田
直樹 杉浦
Naoki Sugiura
直樹 杉浦
巧己 若林
Katsumi Wakabayashi
巧己 若林
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Mitsubishi Chemical Group Corp
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Abstract

【課題】繊維の長さ方向の引張強度と繊維の長さ方向に垂直な方向の引張強度を両立した炭素繊維強化複合材料を与える炭素繊維用サイジング剤。【解決手段】下記の式(1)で表される化合物を含有する炭素繊維用サイジング剤。式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、mは2から4の整数を表す。【選択図】なし

Description

本発明は炭素繊維用サイジング剤、その水分散液、該炭素繊維用サイジング剤が付着した炭素繊維に関する。
炭素繊維強化複合材料は軽量でかつ強度・弾性率などの機械的特性に優れており、スポーツ・レジャー用品の構成部品や、車輌・航空宇宙用機材、エネルギー・土木建築用の産業資材等の材料として幅広い分野にわたってその用途開発が進められている。炭素繊維強化複合材料は炭素繊維からなる強化材とマトリクス樹脂とにより形成されており、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの種々の樹脂が使用され、中でもエポキシ樹脂が広く使われている。炭素繊維強化複合材料を車輌・航空宇宙用機材用途や、産業資材用途に適用する場合には、繊維の長さ方向の引張強度に加えて、繊維の長さ方向に垂直な方向の引張強度を高いレベルで有することが求められている。
一方、炭素繊維は、それ自体は伸度が小さくかつ脆い性質を有するため、機械的摩擦等によって毛羽が発生しやすい。そのため、毛羽の発生抑制等を目的として、炭素繊維にサイジング剤を付着させる。
さらにサイジング剤はマトリクス樹脂と炭素繊維の界面の特性に影響するため、サイジング剤によって炭素繊維強化複合材料の性能を向上させることも可能であり、炭素繊維強化複合材料の性能を向上させる機能を有するサイジング剤が提案されている。
たとえば、特許文献1には、ダイマー酸型エポキシ樹脂をサイジング剤中のエポキシ樹脂の主成分としたサイジング剤が提案されている。このサイジング剤の付着した炭素繊維を強化材とした炭素繊維強化複合材料は繊維の長さ方向の引張強度は高いものの、繊維の長さ方向に垂直な方向の引張強度は不十分であった。また、特許文献2にはビスフェノールA型のエポキシ樹脂を主成分とするサイジング剤が提案されている。このサイジング剤の付着した炭素繊維を強化材とした炭素繊維強化複合材料では、繊維の長さ方向の引張強度と繊維の長さ方向に垂直な方向の引張強度のバランスに優れる。しかしながら、超高強度の炭素繊維の性能を十分に引き出すためにサイジング剤の更なる改良が望まれていた。
特開2004−149721 特開昭57−171767
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであって、繊維の長さ方向の引張強度と繊維の長さ方向に垂直な方向の引張強度を両立した炭素繊維強化複合材料を与える炭素繊維用サイジング剤およびサイジング剤の水分散液を提供することを目的とする。また、そのサイジング剤が付着した炭素繊維、さらにはその炭素繊維を用いて得られる機械特性に優れた炭素繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
本発明は以下の様態を含む。
[1] 下記の式(1)または(2)で表される化合物を含有する炭素繊維用サイジング剤。
・・・(1)
式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、mは2から4の整数を表す。
・・・(2)
式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、nは1から3の整数を表す。
[2] 前記式(1)または(2)で表される化合物の含有量が、炭素繊維用サイジング剤の総質量に対し20〜80質量%である、[1]に記載の炭素繊維用サイジング剤。
[3] 炭素繊維用サイジング剤の総質量に対し、5〜25質量%の界面活性剤を含む、[1]または[2]に記載の炭素繊維用サイジング剤。
[4] [1]から[3]のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイジング剤が水中に分散した炭素繊維用サイジング剤の水分散液。
[5] [1]から[3]のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイジング剤が炭素繊維表面に付着している、サイジング剤付着炭素繊維。
[6] 前記炭素繊維用サイジング剤の付着量が、サイジング剤付着炭素繊維の総質量に対し、0.1〜5質量%である、[5]に記載の炭素繊維。
[7] [5]または[6]に記載のサイジング剤付着炭素繊維に熱硬化性樹脂組成物を含浸して熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることを含む、炭素繊維強化複合材料の製造方法。
[8] 下記の式(1)または(2)で表される化合物が付着した炭素繊維からなる炭素繊維束。
・・・(1)
式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、mは2から4の整数を表す。
・・・(2)
式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、nは1から3の整数を表す。
[9] 前記式(1)または(2)で表される化合物を0.1〜4.5質量%含む、[8]に記載の炭素繊維束。
[10] [8]または[9]に記載の炭素繊維束に熱硬化性樹脂組成物を含浸して熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることを含む、炭素繊維強化複合材料の製造方法。
本発明によれば、補強繊維の長さ方向の引張強度と補強繊維の長さ方向に垂直な方向の引張強度のいずれも良好な炭素繊維強化複合材料を与える炭素繊維が得られる。
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、
下記の式(1)または(2)で表される化合物を含有する。
・・・(1)
式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、mは2から4の整数を表す。
・・・(2)
式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、nは1から3の整数を表す。
炭素繊維用サイジング剤が式(1)または(2)で表される化合物を含有することで、炭素繊維強化複合材料の繊維の長さ方向の引張強度と繊維の長さ方向に垂直方向の引張強度を両立することが可能である。式(1)または(2)で表される化合物を含有することによる作用は明確ではないが、以下のように考えられる。式(1)または(2)で表される化合物は、たとえばマトリクス樹脂の成分として使用されることの多いビスフェノールA型のエポキシ樹脂との相溶性が低く、かつエポキシ当量が小さいため、適度な接着性と靱性を有する層が界面に形成されたものと推察される。これにより繊維の長さ方向への引張により発生した単繊維の破断が複合材料全体に伝播することが抑えられたのと同時に繊維の長さ方向に垂直方向の引張に対して界面での破断を抑える効果が現れたと考えられる。
式(1)または(2)で表される化合物は20質量%以上80質量%以下含有することが好ましい。式(1)または(2)で表される化合物の含有量を20質量%以上80質量%以下とすることで繊維の長さ方向の引張強度と繊維の長さ方向に垂直方向の引張強度のいずれも良好な炭素繊維強化複合材料が得られる。
式(1)または(2)で表される化合物からなる材料として、エピクロンHP−6000(DIC(株)製)などの市販製品が使用できる。
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、本発明の効果を損なわない範囲内において、式(1)または(2)で表される化合物以外の樹脂成分を含有していてもよい。式(1)または(2)で表される化合物以外の樹脂成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、アルカンジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂や(ポリ)エステル化合物、(ポリ)ウレタン化合物、(ポリ)アミド化合物、(ポリ)イミド化合物が挙げられる。なかでも、安価に入手可能な点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。式(1)または(2)で表される化合物以外の樹脂成分は、式(1)または(2)で表される化合物と式(1)または(2)で表される化合物以外の樹脂成分の合計100質量部に対して80質量部以下であることが好ましい。
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、さらにノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤などの界面活性剤を含んでいても良い。
界面活性剤は上述した式(1)または(2)で表される化合物、および、それ以外の樹脂成分を水に分散させるために用いるものである。界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、炭素繊維に付与するために水又は溶解性の低い有機溶剤に炭素繊維用サイジング剤を分散させて使用することもできるし、溶解性の高い有機溶剤にサイジング剤を溶解して使用することもできる。
水に分散させて使用する方が、有機溶剤に分散または溶解させて使用するのに比べて取り扱いやすいので優れる。
界面活性剤の含有量は炭素繊維用サイジング剤が水中に分散した水分散液の安定性を勘案して適宜決定することができる。
界面活性剤の含有量は炭素繊維用サイジング剤の総質量に対し、5〜25質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。5質量%以上であれば、炭素繊維用サイジング剤の水分散液の安定性が良好であり、25質量%以下であれば、本発明の炭素繊維用サイジング剤の効果が良好に発現する。
ノニオン系界面活性剤としては、脂肪族ノニオン系界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック重合体(いわゆるプルロニックタイプ)、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。又、フェノール系ノニオン界面活性剤として、アルキルフェノール系ノニオン、多環フェノール系ノニオンなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、アンモニウムインを対イオンとしてアルキレンオキサイドの付加したフェノール系基を疎水基とする化合物が好ましい。アニオン系界面活性剤としてはカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などの界面活性剤を用いることができる。なかでも硫酸エステル塩が好ましい。
本発明の炭素繊維用サイジング剤の水分散液は、本発明の炭素繊維用サイジング剤と水を含む。本発明の炭素繊維用サイジング剤の水分散液を調製するに当たり、炭素繊維用サイジング剤を水中に分散させる方法に制限はないが、例えば炭素繊維用サイジング剤と界面活性剤を混合して均一物とし、これを撹拌しながら水を徐々に加えて転相乳化させることにより調製できる。
本明細書において「分散」とは、水や有機溶剤などの分散媒中にサイジング剤が1nm〜10μm程度の粒子またはミセルとなって浮遊した懸濁液となっている状態を意味する。
本発明の炭素繊維用サイジング剤を炭素繊維の表面に付着させるサイジング処理は、ローラーを介して炭素繊維用サイジング剤溶液又は炭素繊維用サイジング剤の分散液(以下、「炭素繊維用サイジング剤溶液又は炭素繊維用サイジング剤」を「サイジング液」と表記する)に、炭素繊維もしくは炭素繊維束(以下、「炭素繊維もしくは炭素繊維束」を「炭素繊維(束)」と表記する。)を浸漬する方法、サイジング液の付着したローラーに炭素繊維(束)を接する方法、等によってサイジング液を炭素繊維(束)に付与し、これを乾燥することによって行なうことができる。なお、炭素繊維(束)へのサイジング剤の付着量の調節は、サイジング液中のサイズ剤の濃度調整や絞り量調整によって行なうことができる。又、乾燥は、熱風、熱板、加熱ローラー、各種赤外線ヒーターなどを利用して行なうことができる。
また、本発明の炭素繊維用サイジング剤の水分散液中のサイジング剤濃度、すなわち炭素繊維用サイジング剤の水分散液中の揮発成分(サイジング処理において乾燥除去される水など)以外の成分の濃度は、通常10〜50質量%程度の濃度になるように調整する。炭素繊維用サイジング剤の水分散液の調製段階で濃度を10質量%未満としてもよいが、炭素繊維用サイジング剤の水分散液中の水の占める割合が大きくなり、炭素繊維用サイジング剤の水分散液の調製から使用(炭素繊維のサイジング処理)までの間の運搬・保管などの面で不経済となる場合がある。そのため、炭素繊維用サイジング剤の水分散液を使用する(炭素繊維をサイジング処理する)に際して、所望のサイジング剤付着量となるように、炭素繊維用サイジング剤の水分散液をサイジング剤の濃度が、炭素繊維用サイジング剤の水分散液の総質量に対し、0.1〜10質量%になるように希釈して用いるのが好ましい。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維は、炭素繊維の表面に本発明の炭素繊維用サイジング剤が付着している。炭素繊維強化複合材料の強化材として、本発明のサイジング剤付着炭素繊維を用いることによって、繊維の長さ方向の引張強度と繊維の長さ方向に垂直な方向の引張強度のいずれも良好な炭素繊維強化複合材料が得られる。また、本発明においてはサイジング剤付着炭素繊維の束をサイジング付着炭素繊維束と称する。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維への炭素繊維用サイジング剤の付着量は、サイジング剤付着炭素繊維の総質量に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましい。
本発明の炭素繊維用サイジング剤を付着させる炭素繊維は、ピッチ系、レーヨン系あるいはポリアクリロニトリル系などのいずれの原料物質から得られたものであってもよく、高強度タイプ(低弾性率炭素繊維)、中高弾性炭素繊維又は高弾性炭素繊維のいずれでもよい。
本発明の炭素繊維用サイジング剤を含むサイジング剤付着炭素繊維束は、毛羽立ちが少ないので、開繊や製織などの加工工程における取扱いが容易で、毛羽の少ない織布やマルチアキシャルワープニット等の繊維基材を得ることができる。
本発明の炭素繊維用サイジング剤を含むサイジング剤付着炭素繊維束は、マトリクス樹脂組成物を含浸させることにより、一方向プリプレグ、クロスプリプレグ、トウプレグ、短繊維シートプリプレグ、短繊維マットプリプレグなどの中間材料の形態にして炭素繊維強化複合材料に加工することができる。マトリクス樹脂組成物としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱硬化性樹脂であれば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、熱可塑性樹脂であれば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などが挙げられる。
本発明の炭素繊維複合材料の製造方法は、本発明のサイジング剤付着炭素繊維束に、熱硬化性樹脂組成物を含浸したのち、熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることを含む。
熱硬化性樹脂組成物の割合は、サイジング剤付着炭素繊維束100質量部に対して30〜70質量部が好ましく、40〜60質量部がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させる際の加熱条件は、60〜200℃が好ましく、130〜180℃が好ましい。また、上記温度で1〜200分加熱することが好ましく、15〜60分加熱することがより好ましい。
また、本発明の炭素繊維束は式(1)または(2)で表される化合物が付着した炭素繊維からなる炭素繊維束である。炭素繊維束に含まれる式(1)または(2)で表される化合物の量は、炭素繊維束の質量に対して0.1〜0.45質量%が好ましく、0.2〜2.6質量%がさらに好ましい。
以下に、実施例および比較例の炭素繊維用サイジング剤に使用した原料を示す。
ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂:HP−6000(DIC(株)製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:jER828(三菱ケミカル(株)製)
ダイマー酸型エポキシ樹脂:jER871(三菱ケミカル(株)製)
アニオン性乳化剤:ハイテノールNF−17(第一工業製薬(株)製)
<炭素繊維用サイジング剤の水分散液の調製>
実施例1〜4、比較例1〜2の各例について、上記の成分を表1に記載した割合(質量部)で混合して、炭素繊維用サイジング剤を得た。得られた炭素繊維用サイジング剤にイオン交換水を加え、ホモミキサーを用いた転相乳化によって、炭素繊維用サイジング剤の水分散液を得た。また、水分散液におけるサイジング剤の濃度を30質量%となるように調整した。
<炭素繊維のサイジング処理>
サイジング剤を付与していない炭素繊維束(三菱ケミカル株式会社製「パイロフィルMR 60H24P」:フィラメント数24000本、繊維径5μm、ストランド引張試験強度5700MPa、同弾性率285GPa)を、サイジング剤の水分散液を満たした浸漬槽内を浸漬通過させた後、150℃に加熱されたローラーに30秒間接触させることで乾燥し、サイジング剤付着炭素繊維束を得た。その後、サイジング剤付着炭素繊維束をボビンに巻き取った。このとき、炭素繊維のサイジング剤付着量がサイジング剤付着炭素繊維の総質量に対し、0.8質量%となるように浸漬槽内におけるサイジング剤の水分散液中のサイジング剤濃度を調整した。
<炭素繊維へのサイジング剤の付着量の測定>
メチルエチルケトンによるソックスレー抽出法により、サイジング剤付着炭素繊維の総質量に対する、炭素繊維用サイジング剤の付着量(質量%)を測定した。抽出時間は1時間とした。
<マトリクス樹脂組成物の調製>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER828」)50質量部と、テトラグリシジル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER604」)50質量部と、フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製「YP−70」)10質量部と、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化工業株式会社製)32質量部とを混合し、マトリクス樹脂組成物を調製した。
<プリプレグの作製>
片側表面が離型処理されている離型紙に、マトリクス樹脂組成物をロールコーターで単位面積あたり54g/mで均一に塗布し、樹脂担持シートとした。該樹脂担持シートの樹脂側の面に、サイジング剤付着炭素繊維束を繊維目付が200g/mになるように一方向に引き揃えて貼り付けた。そして炭素繊維側の面に、上記と同様の単位面積あたり54g/mで均一にマトリクス樹脂を塗布して別途作製した樹脂担持シートの樹脂側の面を重ね合わせ、これらを温度100℃、線圧2kgf/cmで加圧加熱してマトリクス樹脂組成物を含浸させて一方向炭素繊維プリプレグを作製した。その後、片面の離型紙を剥離し、その面に保護フィルムを貼り付けた。該一方向炭素繊維プリプレグは、炭素繊維目付が200g/mであり、樹脂含有率が35質量%であった。
<0°引張強度の測定>
以下に示す0°引張強度の測定方法により、炭素繊維強化複合材料の繊維の長さ方向の引張強度を評価した。
まず、一方向炭素繊維プリプレグを、炭素繊維の向きを一方向に揃えて5枚積層し、オートクレーブを用いて加熱・加圧硬化(室温から180℃まで2時間かけて昇温させ、温度180℃、圧力0.6MPaで2時間保持した。)を行い、厚さ1mmの硬化板を作成した。
ついで、得られた硬化板から、長さ230mm、幅12.5mmの寸法で試験片を切り出した。該試験片について、ASTM−D3039に従い、引張り試験機(インストロン社製、「万能試験機5882型」)を用いて0°引張強度を測定した。測定条件は、引張り試験機のクロスヘッドスピードを1.27mm/分とし、5本の試験片についてそれぞれ試験し(n=5)その平均値を0°引張強度とした。結果を表1に示す。
<90°引張強度の測定>
以下に示す90°引張強度の測定方法により、炭素繊維強化複合材料の繊維の長さ方向と垂直方向の引張強度を評価した。
まず、一方向炭素繊維プリプレグを、炭素繊維の向きを一方向に揃えて10枚積層し、オートクレーブを用いて加熱・加圧硬化(室温から180℃まで2時間かけて昇温させ、温度180℃、圧力0.6MPaで2時間保持した。)を行い、厚さ2mmの硬化板を作成した。
ついで、得られた硬化板から、長さ150mm、幅20mmの寸法で試験片を切り出した。該試験片について、ASTM−D3039に従い、引張試験機(インストロン社製、「万能試験機5882型」)を用いて90°引張強度を測定した。測定条件は、引張り試験機のクロスヘッドスピードを1mm/分とし、5本の試験片についてそれぞれ試験し(n=5)その平均値を90°引張強度とした。結果を表1に示す。
表1に示したように実施例1〜4はいずれも0°引張強度および、90°引張強度が良好であった。しかしながら比較例1では、0°引張強度および90°引張強度が低い結果となり、比較例2では0°引張強度は良好であったものの90°引張強度が低い結果となった。

Claims (10)

  1. 下記の式(1)または(2)で表される化合物を含有する炭素繊維用サイジング剤。
    ・・・(1)
    式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、mは2から4の整数を表す。
    ・・・(2)
    式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、nは1から3の整数を表す。
  2. 前記の式(1)または(2)で表される化合物の含有量が、炭素繊維用サイジング剤の総質量に対し20〜80質量%である、請求項1に記載の炭素繊維用サイジング剤。
  3. 界面活性剤を含み、前記界面活性剤の含有量が、炭素繊維用サイジング剤の総質量に対し5〜25質量%である、請求項1または2に記載の炭素繊維用サイジング剤。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイジング剤が水中に分散した炭素繊維用サイジング剤の水分散液。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイジング剤が付着している、サイジング剤付着炭素繊維束。
  6. 前記炭素繊維用サイジング剤の付着量が、サイジング剤付着炭素繊維束の総質量に対し、0.1〜5質量%である、請求項5に記載のサイジング剤付炭素繊維束。
  7. 請求項5または6に記載のサイジング剤付着炭素繊維束に熱硬化性樹脂組成物を含浸して熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることを含む、炭素繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 下記の式(1)または(2)で表される化合物が付着した炭素繊維からなる炭素繊維束。
    ・・・(1)
    式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、mは2から4の整数を表す。
    ・・・(2)
    式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、nは1から3の整数を表す。
  9. 前記式(1)または(2)で表される化合物を0.1〜4.5質量%含む、請求項8に記載の炭素繊維束。
  10. 請求項8または9に記載の炭素繊維束に熱硬化性樹脂組成物を含浸して熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることを含む、炭素繊維強化複合材料の製造方法。
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