[go: up one dir, main page]

JP2022037867A - 多加水パンの製造方法 - Google Patents

多加水パンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022037867A
JP2022037867A JP2021045823A JP2021045823A JP2022037867A JP 2022037867 A JP2022037867 A JP 2022037867A JP 2021045823 A JP2021045823 A JP 2021045823A JP 2021045823 A JP2021045823 A JP 2021045823A JP 2022037867 A JP2022037867 A JP 2022037867A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dough
weight
parts
bread
kneaded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021045823A
Other languages
English (en)
Inventor
志之和 瀧
Shinokazu Taki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Publication of JP2022037867A publication Critical patent/JP2022037867A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

【課題】大量生産しても、生地のベタつきがなく、生地荒れや生地量のばらつきがなくて生地の生産性が良く、パンのキメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感で、異味のない多加水パンを製造する方法の提供。
【解決手段】本捏生地に含まれる穀粉100部に対して、本捏生地中、増粘剤含有量が0.09部以下、且つグルテン含有量が0.2部以下である。中種生地中の穀粉/中種生地以外の穀粉(重量比)が30/70~90/10である。パン酵母0.1~5部(乾燥重量)及び水12~90部を含有する中種生地を一次発酵する。前記中種生地と、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉2~12部、水30~118部、エンド型アミラーゼを5~300U含有とを混練し、添加水の量が75~130部である本捏生地を得る。前記本捏生地を二次発酵した後、分割し、厚みを2.5mm以上に保って成形し、加熱調理する。
【選択図】なし

Description

本発明は、通常のパンの製法に比べて、生地中の含水量が非常に多い多加水パンを製造する方法に関する。
パン生地は、通常小麦粉100重量部に対し、45~60重量部の水を入れて作られているが、近年70~110重量部程度の大量の水を入れて作られる「多加水パン」がベーカリーで流行している。多加水パンは、「キメが粗く」、「しっとりさ」と「もっちりさ」が通常のパンよりも強いことが特徴である。しかし、多加水パンは、生地に大量の水を含むため、ベタつきが生じ、機械生産の場合には、生地が機械に付着して、「生産性の低下」、「生地荒れ」や「生地量のばらつき」が生じるため、大手パンメーカーでは実用化されてこなかった。
そこでこれらの問題を解決するために、例えば、特許文献1には、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(α化澱粉)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ガム質等の増粘剤と、マルトース生成アミラーゼを含有するパン類用品質改良剤を用いたパン類用生地が開示されている。しかし、この方法で得られた生地においては、機械への付着を起因とする「生産性の低下」、「生地荒れ」や「生地量のばらつき」は改善されるものの、得られたパンは多加水パンの特長であるキメの粗さに欠け、また必須原料として比較的多くの増粘剤と、更には全ての実施例でグルテンを1.0重量部も配合しているため、異味が感じられ、しっとり且つもっちりとした食感も物足りないものである。
特開2019-180268号公報
本発明の目的は、機械を使用して大量生産しても、生地のベタつきがなく、また生地荒れや生地量のばらつきがなくて生地の生産性が良く、しかも前記生地を用いて生産される多加水パンのキメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感で、異味のない多加水パンを製造する方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、増粘剤やグルテンは特定量以下で、特定の物性を有する加工澱粉及びエンド型アミラーゼを特定量使用し、製法としては、発酵後は生地をあまり押さえ付けずに成形した後、加熱調理条件も通常の加熱調理条件よりも高温短時間にすることで、キメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感の多加水パンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、中種法に従った多加水パンの製造方法であって、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、本捏生地中においては、増粘剤含有量が0.09重量部以下、且つグルテン含有量が0.2重量部以下であり、中種生地中の穀粉/中種生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)が30/70~90/10であり、パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)及び水12~90重量部を含有する中種生地を、2~35℃で、60~2880分間一次発酵する工程と、前記一次発酵後の中種生地と、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉2~12重量部、水30~118重量部を含有し、更に、本捏生地に含まれる穀粉100gに対して、エンド型アミラーゼを5~300U含有する、中種生地以外の本捏生地用材料とを混練し、本捏生地中の添加水の量が75~130重量部である多加水パン用本捏生地を得る工程と、前記本捏生地を、24~34℃で、5~120分間二次発酵する工程と、前記二次発酵後の本捏生地を20~500gに分割する工程と、前記分割後の本捏生地の厚みを2.5mm以上に保って成形する工程と、前記成形後の本捏生地を160~260℃で、8~30分間加熱調理する工程、を含む多加水パンの製造方法に関する。好ましくは、前記加工澱粉が、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である。好ましくは、前記成形後の本捏生地を、25~40℃で、10~90分間最終発酵してから前記加熱調理を行う。
本発明の第二は、中麺法に従った多加水パンの製造方法であって、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、本捏生地中においては、増粘剤含有量が0.09重量部以下、且つグルテン含有量が0.2重量部以下であり、中麺生地中の穀粉/中麺生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)が10/90~100/0であり、水10~120重量部を含有する中麺生地を、2~20℃で、360~2880分間静置する工程と、前記静置後の中麺生地と、パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉2~12重量部を含有し、更に、本捏生地に含まれる穀粉100gに対して、エンド型アミラーゼを5~300U含有する、中麺生地以外の本捏生地用材料とを混練し、本捏生地中の添加水の量が75~130重量部である本捏生地を得る工程と、前記本捏生地を、24~34℃で、5~60分間発酵する工程と、前記発酵後の本捏生地を20~500gに分割する工程と、前記分割後の本捏生地の厚みを2.5mm以上に保って成形する工程と、前記成形後の本捏生地を160~260℃で、8~30分間加熱調理する工程、を含む多加水パンの製造方法に関する。好ましくは、前記中麺生地に含まれる水は、55~100℃で添加される。好ましくは、前記加工澱粉が、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である。好ましくは、前記成形後の本捏生地を、25~40℃で、10~90分間最終発酵してから前記加熱調理を行う。
本発明の第三は、ストレート法に従った多加水パンの製造方法であって、ストレート生地に含まれる穀粉100重量部に対して、増粘剤0.09重量部以下、グルテン0.2重量部以下、パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)、及び添加水70~120重量部、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉1~15重量部、且つエンド型アミラーゼ10~200Uを含有するように調整したストレート生地を、2~35℃で、60~2880分間発酵する工程と、前記発酵後のストレート生地を20~500gに分割する工程と、前記分割後のストレート生地の厚みを2.5mm以上に保って成形する工程と、前記成形後のストレート生地を160~260℃で、8~30分間加熱調理する工程、を含む多加水パンの製造方法に関する。好ましくは、前記成形後のストレート生地を、25~40℃で、10~90分間最終発酵してから前記加熱調理を行う。
本発明に従えば、機械を使用して大量生産しても、生地のベタつきがなく、また生地荒れや生地量のばらつきがなくて生地の生産性が良く、しかも前記生地を用いて生産される多加水パンのキメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感で、異味のない多加水パンを製造する方法を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の多加水パンは、加熱調理前後において生地中の水分含量が通常よりも高く、パン生地中の穀粉に対して水分が特定の範囲にあり、加熱調理後のパンはキメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感のパンをいう。具体的なパン生地全体中の水分含量は、特に限定されないが、例えば、加熱調理前で45~57重量%、加熱調理後で40~52重量%である。そして、多加水パンの製造方法としては、(1)中種法、(2)中麺法、(3)ストレート法の3つに分類される。本発明において加熱調理法としては、焼成、油ちょう、蒸しなどが挙げられる。
[中種法による多加水パンの製造方法]
本発明における中種法とは、中種生地用材料を混練した後、一次発酵して得られる中種生地と、中種生地以外の本捏生地用材料とを混練し、その後、二次発酵した本捏生地を、特定量に分割してから成形し、その後加熱調理してパンを得る方法である。この方法により、機械を使用して大量生産しても生地の生産性が良く、キメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感で、異味のない多加水パンを製造することができる。
(使用する原料)
前記本捏生地中には、増粘剤を含んでも良いが少ないほど良く、その含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.09重量部以下が好ましく、0.05重量部以下がより好ましく、0.02重量部以下が更に好ましく、添加しないことが特に好ましい。添加量が0.09重量部より多いと、しっとり且つもっちりとした食感が損なわれたり、異味が感じられる場合がある。
前記増粘剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、グアガム、タラガム等が例示できる。
また前記本捏生地中には、グルテンを含んでも良いが少ないほど良く、その含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.2重量部以下が好ましく、0.1重量部以下がより好ましく、0.05重量部以下が更に好ましく、添加しないことが特に好ましい。添加量が0.2重量部より多いと、しっとりさが損なわれたり、異味が感じられる場合がある。
前記グルテンは、穀類から選別されたものであれば特に制限はなく、小麦、大麦、ライ麦等の穀物由来のものを用いることができ、パンの食感の観点から、小麦由来がより好ましい。
前記本捏生地には穀粉を含むが、該穀粉は中種生地用材料中にも、中種生地以外の本捏生地用材料中にも含まれ、中種生地中の穀粉/中種生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)が30/70~90/10であることが好ましく、40/60~80/20がより好ましく、50/50~75/25が更に好ましい。前記比率が30/70より小さいと、パンが硬くてパサついてしっとりさが損なわれる場合があり、90/10より大きいと、生地の安定性が低くなり扱いにくくなって、生地が荒れたり、生地量がバラつく場合がある。
前記本捏生地に含まれる穀粉は、穀物を挽いて粉末状にしたものであり、パン類の製造に通常用いられるものであれば、その由来や精製度合いに特に制限なく用いることができる。穀物の由来としては、小麦、大麦、ライ麦、ソバ、コメ、とうもろこし、大豆等が例示できる。加熱調理して得られるパンの風味や食感、機械による大量生産性の観点から、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉が好ましく、小麦粉がより好ましい。前記小麦粉としては、強力粉、準強力粉、超強力粉、中力粉、薄力粉などを用いることができる。
前記本捏生地に含まれる穀粉中には、小麦粉を穀粉全体中70重量%以上添加することが好ましい。小麦粉の含有量が70重量%より少ないと、比容積が劣る場合がある。
前記中種生地用材料としては、前記穀粉の他にも、パン酵母、水等が挙げられる。
前記パン酵母は、糖を資化して炭酸ガスおよびアルコールを生成し、有機酸および香気成分をも生成するパンの製造に用いられる酵母をいい、例えば、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・エクシギュース、クルイベロマイセス・ラクティス、トルラスポラ・デルブルッキー、キャンディダ・ユティリス、キャンディダ・ケフィア、その他通常製パンに使用する酵母等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記パン酵母の含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、乾燥重量で0.1~5重量部が好ましく、0.2~4重量部がより好ましく、0.2~3重量部が更に好ましい。含有量が0.1重量部より少ないと、発酵に時間がかかり生産効率が悪い場合がある。また5重量部より多いと、パン酵母自体の好ましくない風味が付与される場合がある。なお、前記パン酵母の一部は、前記中種生地以外の本捏生地用材料として、本捏生地に添加しても構わない。
前記中種法における水は、中種生地用材料にも、中種生地以外の本捏生地用材料にも含まれる添加水を意味し、その含有量は合計で、本捏生地中の穀粉100重量部に対して、75~130重量部が好ましく、80~120重量部がより好ましく、80~110重量部が更に好ましい。75重量部より少ないとキメが細かくなったり、しっとり且つもっちりとした食感が損なわれる場合がある。130重量部より多いと生地がベタついて生地の生産性が悪くなる場合がある。
そして、前記中種法における水の内、中種生地用材料として添加する水の量は、本捏生地中に含まれる穀粉100重量部に対して、12~90重量部が好ましく、15~80重量部がより好ましく、20~70重量部が更に好ましい。12重量部より少ないと、水和が進んでいない穀粉が増えるため生地がベタつき易くなる場合があり、90重量部より多いと、生地がベタついて生地の生産性が悪くなる場合がある。
前記中種生地以外の本捏生地用材料としては、穀粉、特定の加工澱粉、エンド型アミラーゼ及び水などが挙げられる。
前記中種生地以外の本捏生地用材料としての穀粉は、中種生地用材料中の穀粉と同じ物で良い。
前記加工澱粉とは、穀物由来の澱粉に物理的、化学的あるいは酵素的処理を加えることによって、天然澱粉の特性を改良した澱粉の総称であり、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nのものが好ましく、0.35~1.1Nがより好ましく、0.4~1Nが更に好ましい。最大荷重の差が0.32Nよりも小さいと生地がベタつく場合があり、1.2Nを超えるとしっとり且つもっちりとした食感が損なわれる場合がある。尚、前記コーンスターチとの最大荷重の差の値が大きくなるほど、当該加工澱粉の保水性が高いことを示す。
前記コーンスターチとの最大荷重の差の測定は、以下の方法で行えばよい。即ち、小麦粉(日清製粉(株)製「ミリオン」):300g、食塩(財団法人塩事業センター製「精製塩」):6g、水:270g、コーンスターチ(加藤化学(株)製「コーンスターチ」):12gをボールに入れ、縦型ミキサー(HOBART CANADA社製「ホバートミキサー MODEL N-50」)にフックを取り付けて、低速で5分間ミキシングした後、20℃で20分間保持して、測定用の生地を作製する。該生地50gを高さ8cm、内径5cmの円柱形の容器に静かに入れて測定サンプルとする。
次いで、クリープメータ(株式会社山電製「レオナー」、型番:RE2-3305S)を用い、テクスチャーモードにて、ロードセル:20N、プランジャー:L字型(長径75mm、短径38mm、断面径4mm)、格納ピッチ0.01sec、測定速度:10mm/sec、サンプル厚10mmとし、圧縮率10%、接触面積150mmの条件で測定した6検体の平均値を最大荷重値X(N)とする。一方で、先のコーンスターチを測定対象の加工澱粉に変更した以外は同様にして得た生地について、前記方法と同様にして最大荷重値Y(N)を得る。Y-X(N)を算出してコーンスターチとの最大荷重の差とする。
加工澱粉が示すコーンスターチとの最大荷重の差は、澱粉の由来を選択したり、加工の種類や程度を調節することによって制御可能である。一般的には加工の程度が高いほど、加工澱粉が示すコーンスターチとの最大荷重の差は大きくなる傾向がある。
前記加工澱粉の中でも、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉が好ましい。当該ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉は、例えば、トリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンなどを用いて澱粉をリン酸架橋した後、プロピレンオキサイドなどを用いてエーテル結合でヒドロキシプロピル基を付加した加工澱粉である。
更に、穀物の由来としては、小麦、とうもろしこし、糯種とうもろしこ(ワキシーコーンスターチ)、馬鈴薯、糯種馬鈴薯、タピオカ、米、餅米、さつまいも、さご、くず等が挙げられるが、加熱調理して得られるパンの食感や、機械による大量生産性の観点から、それらの中でも、馬鈴薯澱粉、糯種馬鈴薯澱粉が好ましく、糯種馬鈴薯澱粉がより好ましい。
前記加工澱粉の含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、2~12重量部が好ましく、3~10重量部がより好ましく、4~8重量部が更に好ましい。含有量が2重量部よりも少ないと、生地がベタついて生地の生産性が悪くなる場合があり、12重量部よりも多いと、異味が感じられたり、しっとり又はもっちりとした食感が劣る場合がある。なお、原料を均一に混練して、しっとり又はもっちりとした食感をより効率的に得るという観点から、前記加工澱粉は、穀粉などの粉体と同時に添加することが好ましい。
前記エンド型アミラーゼは、無作為に澱粉分子内部のグリコシド結合を切断し、多糖およびオリゴ糖を生成する能力を有する酵素を意味し、中でもα-1,4-グリコシド結合を切断するα-アミラーゼが好ましい。エンド型アミラーゼの由来は特に限定されない。α-アミラーゼとしては、動植物、カビ、細菌などから得られた市販の酵素製剤を用いてもよい。
前記エンド型アミラーゼの含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100gに対して、5~300Uが好ましく、8~250Uがより好ましく、10~200Uが更に好ましい。含有量が5Uよりも少ないと、しっとり又はもっちりとした食感が得られない場合があり、300Uよりも多いと、もっちりとした食感が損なわれたり、異味が感じられる場合がある。なお、前記エンド型アミラーゼの酵素活性については、可溶性澱粉溶液を基質とし、37℃、pH4.7下で、1時間当たり5260mgの澱粉を分解する酵素量を1U(ユニット)とした。
前記中種生地以外の本捏生地用材料に含まれる水の量は、中種生地以外の本捏生地用材料として添加する水の量を意味し、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、30~118重量部が好ましく、30~90重量部がより好ましく、30~80重量部が更に好ましい。30重量部より少ないと、穀粉が十分に混練できない場合があり、118重量部より多いと混練時間が長くなり過ぎる場合がある。
なお、前記加工澱粉、及び前記エンド型アミラーゼは、その一部を中種生地用材料として中種生地に添加しても構わない。
本発明の本捏生地には、前記以外の原料として、油脂、糖類、食塩、乳原料、乳化剤、イーストフード、卵、前記加工澱粉以外の澱粉、アスコルビン酸などの酸化剤及びグルコースオキシダーゼやキシラナーゼなどの酵素等も使用することができる。なお、それらの原料は、中種生地用材料又は中種生地以外の本捏生地用材料として、それぞれの生地に添加しても構わない。
前記油脂は、食用であれば特に限定はないが、例えば、コーン油、サフラワー油、胡麻油、綿実油、向日葵油、菜種油、大豆油、米糠油、オリーブ油、椰子油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、シア脂等の植物油や、乳脂、魚油、牛脂、豚脂等の動物油が挙げられ、また、これらの油脂をエステル交換したものや、硬化、分別したもの等、通常食用に供されるすべての油脂類を用いることができ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
また、油脂を用いる形態は、融解した前記油脂に、必要に応じて乳化剤や香料などの油溶性成分を添加、混合して得た油脂組成物を急冷捏和して得られるショートニングや、融解した前記油脂に、必要に応じて乳化剤や香料などの油溶性成分を添加、混合して油脂組成物を得た後、そこへ必要に応じて水溶性成分が溶解した水溶液を添加した後、急冷捏和して得られるマーガリン、ファットスプレッド等の油中水型油脂組成物や、タンパク質等の水溶性成分が溶解した水溶液に、任意の油脂や油溶性成分を添加した後、ホモジナイズして得られる水中油型油脂組成物を使用することもできる。
前記油脂の含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.1~50重量部が好ましく、0.1~20重量部がより好ましい。含有量が0.1重量部より少ないとパンが老化し易い場合があり、50重量部より多いと、生地の混練時間が長くなり過ぎる場合がある。
前記糖類としては、例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化糖、オリゴ糖、水あめ、糖アルコール類などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。また前記糖類は、粉末状であることが好ましく、呈する甘みの点からは、上白糖やグラニュー糖を用いることがより好ましい。
前記糖類の含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、乾燥重量で1~15重量部が好ましく、1~10重量部がより好ましい。含有量が1重量部より少ないと、パン酵母の栄養源が少なくなりパンの比容積が小さくなる場合があり、15重量部より多いと、パン酵母の活性が抑えられパンの比容積が小さくなる場合がある。
前記食塩としては、例えば、精製塩、上質塩、内地白塩、原塩、粉砕塩などが挙げられ、当該分野で使用される食塩であれば特に限定されない。前記食塩の含有量は、本捏生地中の穀粉100重量部に対して、0.5~10重量部が好ましく、1~5重量部がより好ましく、1~3重量部が更に好ましい。含有量が0.5重量部より少ないと、パンの味が乏しくなる場合があり、10重量部より多いと、パンの塩味が濃過ぎて食せない場合がある。
前記乳原料としては、例えば、全粉乳、脱脂粉乳、牛乳、脱脂乳、クリーム、バター、チーズ等が挙げられる。前記乳原料の含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.1~20重量部が好ましく、0.1~15重量部がより好ましい。含有量が0.1重量部より少ないと焼き色が劣ったり、所望の乳風味が不足する場合があり、20重量部より多いと、生地のまとまりが悪くなる場合がある。
前記乳化剤としては、例えば、モノグリセリド、有機酸が結合したモノグリセリド誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウムなどが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類を使用すればよい。なお、前記有機酸が結合したモノグリセリド誘導体とは、脂肪酸モノグリセリドにさらに有機酸がエステル結合したモノグリセリドのことである。前記有機酸としては、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸、コハク酸等が挙げられる。
前記乳化剤の含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.01~3重量部が好ましく、0.01~1.5重量部がより好ましく、0.01~1重量部が更に好ましい。含有量が0.01重量部より少ないとパンが老化し易い場合があり、3重量部より多いと、乳化剤の異味が感じられたり、しっとりさが損なわれる場合がある。
前記イーストフードとは、生地に含まれるパン酵母の発酵を促し、生地の膨張を強化して得られるパン類の比容積を向上させるための一種の食品添加剤を意味する。イーストフードの例としては、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム(無水)、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、および焼成カルシウム、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
前記イーストフードの含有量は、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.01~0.5重量部が好ましく、0.01~0.2重量部がより好ましい。含有量が0.01重量部より少ないとパンの比容積が劣る場合があり、0.5重量部より多いと、生地が荒れたり、得られたパンの食感に引きやイーストフードの異味が感じられる場合がある。
中種法による具体的な多加水パンの製造方法は、以下の通りである。
(中種生地の一次発酵工程(工程a1))
前記穀粉、前記パン酵母、前記水及び必要に応じて前記その他の原料を混ぜた中種生地用材料を混練して得た中種生地を、2~35℃で、60~2880分間発酵して、一次発酵後の中種生地を得ることが好ましい。前記混練の条件は、通常の中種生地の製造条件に準ずれば良く、例えば、全材料を低速で2~5分間、中速で1~3分間混練すれば良い。混練時間が短いと材料の分散性が悪く、中種生地が不均一になる場合があり、逆に長いと生地の弾力性が過度に富み過ぎる場合がある。
また、一次発酵の条件は、パンの種類が食パンの場合は27~31℃で、220~270分間がより好ましく、菓子パンの場合は27~31℃で、120~180分間がより好ましく、冷蔵中種法では2~15℃で、720~1440分間がより好ましい。発酵温度が2℃より低いと発酵時間が長くなり作業工程上望ましくなく、35℃より高いと発酵過剰となり望ましくない場合がある。更に、発酵時間が60分間より短いと発酵が不十分となる場合があり、2880分間より長いと発酵過剰となり望ましくない場合がある。
(本捏生地を得る工程(工程a2))
工程a1で得られる一次発酵後の中種生地と、前記中種生地以外の本捏生地用材料である、前記穀粉、前記加工澱粉、前記エンド型アミラーゼ、前記水及び必要に応じて前記その他の原料を混練し、本捏生地中の添加水の量が本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して75~130重量部である本捏生地を得る。その他の原料として油脂を添加する場合は、油脂以外の原料で生地をまとめた後に油脂を添加しても良い。混練の条件は、通常のパン生地の製造条件に準ずれば良く、一般的には低速で2~5分間、中速で3~8分間、高速で0~6分間が好ましい。混練時間が各速度での下限値より短いと、生地がべたつき保形性が低く成形が困難になったり、生地の繋がり悪くガス保持力が不十分になる場合がある。逆に混練時間が各速度での上限値より長いと、生地が弱化してガス保持力が不十分になる場合がある。
(本捏生地の二次発酵工程(工程a3))
工程a2で得られる本捏生地を、好ましくは24~34℃で、5~120分間発酵して、二次発酵後の本捏生地を得る。二次発酵の条件は、26~30℃で、15~90分間がより好ましく、26~30℃で、15~60分間が更に好ましい。発酵温度が24℃より低かったり、発酵時間が5分間より短いと発酵が不十分となる場合がある。また、発酵温度が34℃より高かったり、発酵時間が120分間より長いと発酵過剰となる場合がある。
(分割工程(工程a4))
工程a3で得られる二次発酵後の本捏生地を、好ましくは20~500gに分割して、分割後の本捏生地を得る。生地の分割量は25~400gがより好ましく、30~300gが更に好ましい。分割量が前記範囲を外れると、目的とするパンを作製することが難しくなる場合がある。
分割後の本捏生地は、必要に応じて、丸めを行い、ベンチタイムを取ることが好ましい。ベンチタイムを取ることで、生地の弾力性を緩めて成形が容易になる。ベンチタイムの条件は、24~34℃で、5~40分間が好ましい。温度が24℃より低かったり、時間が5分間より短いと、ベンチタイムの効果が得られない場合がある。温度が34℃より高かったり、時間が40分間より長いと発酵過剰となる場合がある。
(成形工程(工程a5))
工程a4で得られる分割後の本捏生地を、好ましくは厚みを2.5mm以上に保って成形し、成形後の本捏生地を得る。ローラーを有する成形機を使用して成形する場合は、ローラーとコンベアとの間、又は対になった2本のローラーの間を通して帯状、シート状、板状に成形すれば良い。厚みが2.5mmより小さいと、得られたパンのキメが細かくなったり、もっちりとした食感が損なわれる場合がある。
成形後の本捏生地は、パンの比容積の観点から、25~40℃で、10~90分間最終発酵することが好ましい。最終発酵条件は、27~40℃で、15~60分間がより好ましく、30~38℃で、15~40分間が更に好ましい。発酵温度が25℃より低いと発酵時間が長くなり過ぎる場合がある。また、発酵温度が40℃より高かったり、発酵時間が90分間より長いと発酵過剰となる場合がある。但し、最終発酵は必須の工程ではなく、実施しなくても良い。
(加熱調理工程(工程a6))
工程a5で得られた成形後の本捏生地を、好ましくは160~260℃で、8~30分間加熱調理して、本発明の多加水パンを得る。加熱調理条件は180~260℃で、8~25分間がより好ましく、200~260℃で、8~20分間が更に好ましい。加熱調理の温度が160℃よりも低いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が得られない場合があり、260℃よりも高いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が損なわれる場合がある。また、加熱調理の時間が8分間よりも短いと、生焼けになる場合があり、30分間より長いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が損なわれる場合がある。
なお、中種法における本捏生地は二次発酵後、即ち工程a3~a5のどのタイミングで冷解凍してもよく、また工程a6の加熱調理後の多加水パンを冷解凍してもよい。
[中麺法による多加水パンの製造方法]
本発明における中麺法とは、中種法の中種生地とは違ってパン酵母を含まない中麺生地用材料を混練してから一定条件で静置した後、静置後の中麺生地と、中麺生地とは別に用意した本捏生地用材料を混錬して本捏生地を得、得られた本捏生地を特定量に分割してから成形し、その後加熱調理してパンを得る方法である。この方法により、機械を使用して大量生産しても生地の生産性が良く、キメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感で、異味のない多加水パンを製造することができる。
(使用する原料)
前記中麺法における本捏生地中には、増粘剤を含んでも良いが少ないほど良く、その含有量は、該本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.09重量部以下が好ましく、0.05重量部以下がより好ましく、0.02重量部以下が更に好ましく、添加しないことが特に好ましい。添加量が0.09重量部より多いと、しっとり且つもっちりとした食感が損なわれたり、異味が感じられる場合がある。前記増粘剤としては、中種法による多加水パンの製造方法と同じものを使用できる。
また前記中麺法における本捏生地中には、グルテンを含んでも良いが少ないほど良く、その含有量は、該本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.2重量部以下が好ましく、0.1重量部以下がより好ましく、0.05重量部以下が更に好ましく、添加しないことが特に好ましい。添加量が0.2重量部より多いと、異味が感じられたり、しっとりさが損なわれる場合がある。前記グルテンは、中種法による多加水パンの製造方法と同じものを使用でき、パンの食感の観点から、小麦由来がより好ましい。
本発明の中麺法における本捏生地は、前記中麺生地と前記中麺生地以外の本捏生地用材料とを、中麺生地中の穀粉/中麺生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)=10/90~100/0で混練してなることが好ましく、20/80~80/20がより好ましく、25/75~75/25が更に好ましい。混合比が10/90より小さいと、パンが硬く、パサつく場合がある。ここで、中麺生地中の穀粉/中麺生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)=100/0の場合は、中麺生地以外の本捏生地用材料に穀粉を含まないことを意味する。
本発明の中麺生地とは、前記中麺生地用材料として前記穀粉の一部又は全部及び水を混練して作製される、パン酵母を含まない生地をいう。また、本発明の中麺法による多加水パンの製造方法における本捏生地とは、中麺生地と中麺生地以外の本捏生地用材料を混錬して得られる生地である。中麺生地以外の本捏生地用材料として穀粉、パン酵母、加工澱粉、エンド型アミラーゼ及び水などが挙げられる。なお、パン酵母を除く中麺生地以外の本捏生地用材料は、その一部を中麺生地に用いても構わない。
前記中麺生地中の穀粉は、前記中種法による多加水パンの製造方法で使用した穀粉と同じものを使用でき、加熱調理して得られるパンの風味や食感、機械による大量生産性の観点から、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉が好ましく、小麦粉がより好ましく、穀粉全体中、小麦粉を70重量%以上添加することが更に好ましい。小麦粉としては、強力粉、準強力粉、超強力粉、中力粉、薄力粉などを用いることができる。なお、前記穀粉は、中麺生地用材料にも、中麺生地以外の本捏生地用材料にも同じものを使用すればよい。
前記中麺法における水は、中麺生地用材料にも、中麺生地以外の本捏生地用材料にも含まれる添加水を意味し、その含有量は合計で、本捏生地中の穀粉100重量部に対して、75~130重量部が好ましく、80~120重量部がより好ましく、80~110重量部が更に好ましい。75重量部より少ないとキメが細かくなったり、しっとり且つもっちりとした食感が損なわれる場合がある。130重量部より多いと生地がベタついて生地の生産性が悪くなる場合がある。
そして、前記中麺法における水の内、中麺生地用材料として添加する水の量は、本捏生地中の穀粉100重量部に対して、10~120重量部が好ましく、10~110重量部がより好ましく、10~80重量部が更に好ましい。10重量部より少ないと、水和が進んでいない穀粉が増えるため生地がベタつき易くなり、キメが細かくなったり、しっとり且つもっちりとした食感が損なわれる場合がある。120重量部より多いと、生地がベタついて生地の生産性が悪くなる場合がある。
前記中麺生地用材料として添加する水は、パンのしっとり且つもっちりとした食感をより向上させるという観点から、55~100℃で添加されることが好ましく、60~95℃がより好ましい。55℃より低いと、期待する程のしっとり且つもっちりとした食感をより向上させる効果が得られない場合がある。100℃を超えると作業が煩雑になるため、実施することが困難になる場合がある。
中麺生地以外の本捏生地用材料に含まれるパン酵母は、前記中種法による多加水パンの製造方法で使用したパン酵母と同じものを言う。その含有量は、本捏生地中の穀粉100重量部に対して、乾燥重量で0.1~5重量部が好ましく、0.2~4重量部がより好ましく、0.2~3重量部が更に好ましい。含有量が0.1重量部より少ないと、発酵に時間がかかり生産効率が悪い場合がある。また5重量部より多いと、パン酵母自体の好ましくない風味が付与される場合がある。
中麺生地以外の本捏生地用材料に含まれる加工澱粉は、前記中種法による多加水パンの製造方法で使用したものと同じものであり、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nのものが好ましく、0.35~1.1Nがより好ましく、0.4~1Nが更に好ましい。澱粉原料の由来としては、加熱調理して得られるパンの食感や、機械による大量生産性の観点から、馬鈴薯澱粉、糯種馬鈴薯澱粉が好ましく、糯種馬鈴薯澱粉がより好ましい。
前記中麺生地以外の本捏生地用材料に含まれる加工澱粉の含有量は、本捏生地中の穀粉100重量部に対して、2~12重量部が好ましく、3~10重量部がより好ましく、4~8重量部が更に好ましい。含有量が2重量部よりも少ないと、生地がベタついて生地の生産性が悪くなる場合がある。また12重量部よりも多いと、異味が感じられたり、しっとり又はもっちりとした食感が劣る場合がある。なお、原料を均一に混練して、しっとり又はもっちりとした食感をより効率的に得るという観点から、前記加工澱粉は、穀粉などの粉体と同時に添加することが好ましい。
中麺生地以外の本捏生地用材料に含まれるエンド型アミラーゼは、前記中種法で使用したアミラーゼと同じものを言う。その含有量は、本捏生地中の穀粉100gに対して、5~300Uが好ましく、8~250Uがより好ましく、10~200Uが更に好ましい。含有量が5Uよりも少ないと、しっとり又はもっちりとした食感が得られない場合がある。300Uよりも多いと、もっちりとした食感が損なわれたり、異味が感じられる場合がある。
本発明の中麺法における本捏生地には、前記以外の原料として、油脂、糖類、食塩、乳原料、乳化剤、イーストフード、卵、前記加工澱粉以外の澱粉、アスコルビン酸などの酸化剤及びグルコースオキシダーゼやキシラナーゼなどの酵素等も使用することができる。なお、それらは前記中種法で使用したものと同じものであり、中麺生地、中麺生地以外の本捏生地用材料のどちらに添加しても構わない。
中麺法による具体的な多加水パンの製造方法は、以下の通りである。
(中麺生地の静置工程(工程b1))
前記中麺法における穀粉、前記中麺法における水及び前記中麺法におけるパン酵母を除く前記その他の原料を必要に応じて混練した中麺生地を、好ましくは2~20℃で、360~2880分間静置して、静置後の中麺生地を得る。ここで前記静置は、当業者の間では寝かせともいう。前記混練の条件は、通常の中麺生地の製造条件に準ずれば良く、例えば、全材料を低速で2~5分間、中速で1~3分間混練すれば良い。混練時間が短いと材料の分散性が悪く、中麺生地が不均一になる場合があり、逆に長いと生地の弾力性が過度に富み、本捏混練時間が長くなり望ましくない場合がある。
また、前記静置の条件は、2~15℃で、420~1440分間がより好ましく、2~15℃で、420~1080分間が更に好ましい。温度が2℃より低いと静置時間が長くなり作業工程上望ましくなく、20℃より高いと穀粉の水和が進みにくい場合がある。更に、時間が360分間より短いと穀粉の水和が不十分な場合があり、2880分間より長いと生地が軟化したり、衛生上の問題が生じる場合がある。
(本捏生地を得る工程(工程b2))
工程b1で得られる静置後の中麺生地と、中麺生地以外の本捏生地用材料である前記穀粉、前記パン酵母、前記加工澱粉、前記エンド型アミラーゼ、及び必要に応じて前記その他の原料を混練し、本捏生地中の添加水の量が好ましくは本捏生地中の穀粉100重量部に対して75~130重量部である多加水パン用本捏生地を得る。油脂を添加する場合は、油脂以外の原料で生地をまとめた後に油脂を添加しても良い。
前記中麺生地と中麺生地以外の本捏生地用材料との混練の条件は、通常のパン生地の製造条件に準ずれば良く、一般的には低速で2~5分間、中速で3~8分間、高速で0~6分間が好ましい。混練時間が各々の下限値より短いと生地がべたつき保形性が低く成形が困難になったり、生地の繋がりが悪くガス保持力が不十分になる場合がある。逆に混練時間が各々の上限値より長いと、生地が弱化してガス保持力が不十分になる場合がある。
(本捏生地の発酵工程(工程b3))
工程b2で得られる本捏生地を、好ましくは24~34℃で、5~60分間発酵して、発酵後の本捏生地を得る。発酵の条件は、26~30℃で、15~60分間がより好ましく、26~30℃で、15~30分間が更に好ましい。発酵温度が24℃より低かったり、発酵時間が5分間より短いと、発酵が不十分となる場合がある。また、発酵温度が34℃より高かったり、発酵時間が60分間より長いと、発酵過剰となる場合がある。
(分割工程(工程b4))
工程b3で得られる発酵後の本捏生地を、好ましくは20~500gに分割して、分割後の本捏生地を得る。生地の分割量は25~400gがより好ましく、30~300gが更に好ましい。分割量が前記範囲を外れると、目的とするパンを作製することが難しくなる場合がある。
分割後の本捏生地は、必要に応じて、丸めを行い、ベンチタイムを取ることが好ましい。ベンチタイムを取ることで、生地の弾力性を緩めて成形が容易になる。ベンチタイムの条件は、24~34℃で、5~40分間が好ましい。温度が24℃より低かったり、時間が5分間より短いと、ベンチタイムの効果が得られない場合がある。また、温度が34℃より高かったり、時間が40分間より長いと発酵過剰となる場合がある。
(成形工程(工程b5))
工程b4で得られる分割後の本捏生地を、好ましくは厚みを2.5mm以上に保って成形し、成形後の本捏生地を得る。ローラーを有する成形機を使用して成形する場合は、ローラーとコンベアとの間、又は対になった2本のローラーの間を通して帯状、シート状、板状に成形すれば良い。厚みが2.5mmより小さいと、得られたパンのキメが細かくなったり、もっちりとした食感が損なわれる場合がある。
成形後の本捏生地は、パンの比容積の観点から、25~40℃で、10~90分間最終発酵することが好ましい。最終発酵条件は、27~40℃で、15~60分間がより好ましく、30~38℃で、15~40分間が更に好ましい。発酵温度が25℃より低いと発酵時間が長くなり過ぎる場合がある。また、発酵温度が40℃より高かったり、発酵時間が90分間より長いと発酵過剰となる場合がある。但し、最終発酵は必須の工程ではなく、実施しなくても良い。
(加熱調理工程(工程b6))
工程b5で得られた成形後の本捏生地を、好ましくは160~260℃で、8~30分間加熱調理して、本発明の多加水パンを得る。加熱調理条件は180~260℃で、8~25分間がより好ましく、200~260℃で、8~20分間が更に好ましい。加熱調理の温度が160℃よりも低いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が得られない場合があり、260℃よりも高いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が損なわれる場合がある。また、加熱調理の時間が8分間よりも短いと、生焼けになる場合があり、30分間より長いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が損なわれる場合がある。
なお、中麺法における本捏生地は発酵後、即ち工程b3~b5のどのタイミングで冷解凍してもよく、また工程b6の加熱調理後の多加水パンを冷解凍してもよい。
[ストレート法による多加水パンの製造方法]
本発明におけるストレート法とは、全ての材料を混練した後、特定の条件で発酵した発酵後のストレート生地を、特定範囲の重量に分割後、成形し、加熱調理してパンを得る方法である。この方法により、機械を使用して大量生産しても生地の生産性が良く、キメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感で、異味のない多加水パンを製造することができる。
(使用する原料)
前記ストレート生地中には、増粘剤を含んでも良いが少ないほど良く、その含有量は、ストレート生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.09重量部以下が好ましく、0.05重量部以下がより好ましく、0.02重量部以下が更に好ましく、添加しないことが特に好ましい。添加量が0.09重量部より多いと、しっとり且つもっちりとした食感が損なわれたり、異味が感じられる場合がある。前記ストレート生地中の増粘剤としては、中種法や中麺法による多加水パンの製造方法と同じものを使用できる。
また前記ストレート生地中には、グルテンを含んでも良いが少ないほど良く、その含有量は、ストレート生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.2重量部以下が好ましく、0.1重量部以下がより好ましく、0.05重量部以下が更に好ましく、添加しないことが特に好ましい。添加量が0.2重量部より多いと、異味が感じられたり、しっとりさが損なわれる場合がある。前記ストレート生地中のグルテンは、中種法や中麺法による多加水パンの製造方法と同じものを使用でき、パンの食感の観点から、小麦由来がより好ましい。
前記ストレート生地に用いられる材料としては、穀粉、パン酵母、加工澱粉、エンド型アミラーゼ及び水が挙げられる。また、それら以外の材料として、油脂、糖類、食塩、乳原料、乳化剤、イーストフード、卵、前記加工澱粉以外の澱粉、アスコルビン酸などの酸化剤及びグルコースオキシダーゼやキシラナーゼなどの酵素等も使用することができる。
前記ストレート生地中の穀粉は、前記中種法や中麺法による多加水パンの製造方法で使用した穀粉と同じものを言い、加熱調理して得られるパンの風味や食感、機械による大量生産性の観点から、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉が好ましく、小麦粉がより好ましく、穀粉全体中、小麦粉を70重量%以上添加することが更に好ましい。小麦粉としては、強力粉、準強力粉、超強力粉、中力粉、薄力粉などを用いることができる。
前記ストレート生地中のパン酵母は、前記中種法や中麺法による多加水パンの製造方法で使用したパン酵母と同じものを言う。その含有量は、ストレート生地中の穀粉100重量部に対して、乾燥重量で0.1~5重量部が好ましく、0.2~4重量部がより好ましく、0.2~3重量部が更に好ましい。含有量が0.1重量部より少ないと、発酵に時間がかかり生産効率が悪い場合がある。また5重量部より多いと、パン酵母自体の好ましくない風味が付与される場合がある。
前記ストレート生地中の加工澱粉は、前記中種法や中麺法による多加水パンの製造方法で使用したものと同じものであり、同様にコーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nのものが好ましく、0.35~1.1Nがより好ましく、0.4~1Nが更に好ましい。澱粉原料の由来としては、加熱調理して得られるパンの食感や、機械による大量生産性の観点から、馬鈴薯澱粉、糯種馬鈴薯澱粉が好ましく、糯種馬鈴薯澱粉がより好ましい。
前記ストレート生地中の加工澱粉の含有量は、ストレート生地中の穀粉100重量部に対して、1~15重量部が好ましく、2~10重量部がより好ましく、3~6重量部が更に好ましい。含有量が1重量部よりも少ないと、生地がベタついて生地の生産性が悪くなる場合がある。15重量部よりも多いと、異味が感じられたり、しっとり又はもっちりとした食感が得られない場合がある。なお、原料を均一に混練して、しっとり又はもっちりとした食感をより効率的に得るという観点から、前記ストレート生地中の加工澱粉は、穀粉などの粉体と同時に添加することが好ましい。
前記ストレート生地中のエンド型アミラーゼは、前記中種法や中麺法による多加水パンの製造方法で使用したアミラーゼと同じものである。その含有量は、ストレート生地中の穀粉100gに対して、10~200Uが好ましく、20~150Uがより好ましく、50~120Uが更に好ましい。含有量が10Uよりも少ないと、しっとり又はもっちりとした食感が得られない場合がある。200Uよりも多いと、もっちりとした食感が損なわれたり、異味が感じられる場合がある。
前記ストレート生地中の水の含有量は、ストレート生地中の穀粉100重量部に対して、70~120重量部が好ましく、80~110重量部が更に好ましい。含有量が70重量部より少ないと、しっとり又はもっちりとした食感が得られない場合があり、120重量部よりも多いと、生地がベタついて生地の生産性が悪くなる場合がある。
ストレート法による具体的な多加水パンの製造方法は、以下の通りである。
(ストレート生地の発酵工程(工程c1))
前記ストレート法における穀粉、前記ストレート法におけるパン酵母、前記ストレート法における加工澱粉、前記ストレート法におけるエンド型アミラーゼ、前記ストレート法における水及び必要に応じて前記ストレート法におけるその他の原料を所定量含むように調整して混練したストレート生地を、好ましくは2~35℃で、60~2880分間発酵して、発酵後のストレート生地を得る。前記混練の条件は、通常のストレート生地の製造条件に準ずれば良く、例えば、全材料を低速で2~5分間、中速で3~8分間、高速で0~6分間混練すれば良い。各混練時間が短いと生地の繋がりが悪くガス保持力が不十分になる場合があり、逆に長いと生地が弱化しガス保持力が不十分になる場合がある。また前記発酵条件は、2~15℃で、720~1440分間がより好ましい。温度が2℃より低いと発酵時間が長くなり作業工程上望ましくなく、35℃より高いと穀粉の水和が進みにくい場合がある。更に、時間が60分間より短いと穀粉の水和が不十分な場合があり、2880分間より長いと生地が軟化したり、衛生上の問題が生じる場合がある。
(分割工程(工程c2))
工程c1で得られる発酵後のストレート生地を、好ましくは20~500gに分割して、分割後のストレート生地を得る。生地の分割量は25~400gがより好ましく、30~300gが更に好ましい。分割量が前記範囲を外れると、目的とするパンを作製することが難しくなる場合がある。
分割後のストレート生地は、必要に応じて丸めを行い、ベンチタイムを取ることができる。ベンチタイムを行なうことで、生地の弾力性を緩めて成形が容易になる。ベンチタイムの条件は、24~34℃で、5~40分間が好ましい。温度が24℃より低かったり、時間が5分間より短いと、ベンチタイムの効果が得られない場合があり、34℃より高かったり、時間が40分間より長いと発酵過剰となる場合がある。
(成形工程(工程c3))
工程c2で得られる分割後のストレート生地を、好ましくは厚みを2.5mm以上に保って成形し、成形後のストレート生地を得る。ローラーを有する成形機を使用して成形する場合は、ローラーとコンベアとの間、又は対になった2本のローラーの間を通して帯状、シート状、板状に成形すれば良い。厚みが2.5mmより小さいと、得られたパンのキメが細かくなったり、もっちりとした食感が損なわれる場合がある。
成形後のストレート生地は、パンの比容積の観点から、25~40℃で、10~90分間最終発酵することが好ましい。最終発酵は、27~40℃で、15~60分間がより好ましく、30~38℃で、15~40分間が更に好ましい。発酵温度が25℃より低いと発酵時間が長くなり過ぎる場合がある。また、発酵温度が40℃より高かったり、発酵時間が90分間より長いと発酵過剰となる場合がある。但し、最終発酵は必須の工程ではなく、実施しなくても良い。
(加熱調理工程(工程c4))
工程c3で得られた成形後のストレート生地を、好ましくは160~260℃で、8~30分間加熱調理して、本発明の多加水パンを得る。加熱調理は180~260℃で、8~25分間がより好ましく、200~260℃で、8~20分間が更に好ましい。加熱調理の温度が160℃よりも低いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が得られない場合がある。また260℃よりも高いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が損なわれる場合がある。また、加熱調理の時間が8分間よりも短いと、生焼けになる場合があり、30分間より長いと、パンのしっとり又はもっちりとした食感が損なわれる場合がある。
なお、ストレート法におけるストレート生地は発酵後、即ち工程c1~c3のどのタイミングで冷解凍してもよく、また工程c4の加熱調理後の多加水パンを冷解凍してもよい。
前述のように、(1)中種法、(2)中麺法、(3)ストレート法の3つに分類される多加水パンの製造方法に従えば、機械を使用して多加水パンを大量生産しても、生地のベタつきがなく、また生地荒れや生地量のばらつきがなくて生地の生産性が良く、且つ前記生地を用いて生産される多加水パンのキメが粗く、しっとり且つもっちりとした食感で、異味がなく、通常のパンの製法に比べて、生地中の含水量が非常に多い多加水パンを得ることができる。
本発明の多加水パンとしては、例えば、食パン、あんパンやクリームパン等の菓子パン、ロールパン、バラエティブレッド、チャバッタ、サンドイッチ等の調理パン、蒸しパン、またはそれらの二次加工品、或いはレンジ調理を必要とするもの等、いかなるパンでもよいが、特に食パン、ロールパン、チャバッタ、バラエティブレッド、サンドイッチ等の調理パンが本発明の効果を有効に享受できる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
また、実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)日本製粉(株)製「ミリオン」
2)(株)カネカ製「カネカイーストEM」
3)(株)カネカ製「カネカイーストフードC」
4)財団法人塩事業センター製「精製塩」
5)日本精糖(株)製「上白糖P」
6)よつ葉乳業(株)製「脱脂粉乳」
7)(株)カネカ製「エバーライトG」
8)松谷化学(株)製「パインアクア」(糯種馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.47N)
9)ノボザイムスジャパン(株)製「Novamyl 10000BG(3600単位(U))」
10)日本製紙(株)製「サンローズ SLD-F1」
11)日本製粉(株)製「バイタルグルテン」
12)松谷化学(株)製「パインソフトB」(馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.38N)
13)松谷化学(株)製「マツノリンXA80M」(馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.75N)
14)日澱化学(株)製「SWELYGEL700」(馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.35N)
15)王子コーンスターチ(株)製「FH02」(馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.56N)
16)松谷化学(株)製「エリアンVC120」(糯種馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.28N)
17)松谷化学(株)製「エリアンVE540」(糯種馬鈴薯由来のβ化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0N)
18)松谷化学(株)製「フリジェルVA70T」(タピオカ由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.16N)
19)王子コーンスターチ(株)製「KZR-10」(馬鈴薯由来のα化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.26N)
20)ノディアマテリアル・イタリアーナ社製「Euromait」
21)(株)カネカ製「カネカドウインプルーバーEF2」
22)日清製粉(株)製「リスドール」
<生地のベタつきの無さの評価>
実施例・比較例で作製した本捏生地又はストレート生地を、分割及び成形した際のべたつきの無さを、以下の基準で評価した。
5点:実施例24よりも大変良く、分割、成形時に伸展性が非常に良好で、生地のべたつきが極めて少ない
4点:実施例24よりも良く、分割、成形時に伸展性が良好で、生地のべたつきが少ない
3点:実施例24と同等で、分割、成形時に伸展性がやや悪く、生地のべたつきが若干感じられる
2点:実施例24よりも劣り、分割、成形時に伸展性が悪く、生地のべたつきが感じられる
1点:実施例24よりも非常に劣り、分割、成形時に伸展性が極めて悪く、生地のべたつきが大変感じられる
<生地の荒れの無さの評価>
実施例・比較例で作製した本捏生地又はストレート生地を、圧延した際の生地表面の荒れの無さを、以下の基準で評価した。
5点:実施例24よりも大変良く、圧延した際に生地表面に荒れた部分が全く発生しない
4点:実施例24よりも良く、圧延した際に生地表面に荒れた部分が殆ど発生しない
3点:実施例24と同等で、圧延した際に生地表面に荒れた部分が僅かに発生する
2点:実施例24よりも劣り、圧延した際に生地表面に荒れた部分が発生する
1点:実施例24よりも非常に劣り、圧延した際に生地表面に荒れた部分が非常に多く発生する
<生地量のばらつきの無さの評価>
実施例・比較例で作製した本捏生地又はストレート生地を、分割した際の分割後の生地100個の平均の生地量のばらつきの無さを、以下の基準で評価した。
5点:目標の生地量に対する誤差が2%以下である
4点:目標の生地量に対する誤差が2%を越えて、3%以下である
3点:目標の生地量に対する誤差が3%を越えて、4%以下である
2点:目標の生地量に対する誤差が4%を越えて、5%以下である
1点:目標の生地量に対する誤差が5%を越えている
<パンのキメの粗さ>
実施例・比較例で作製したパンを切り、熟練したパネラーに目視で評価してもらい、それらの平均点を評価値とした。その際の評価基準は、以下の通りである。
5点:実施例3又は21又は24又は27よりも良く、キメが非常に粗くて極めて良好である
4点:実施例3又は21又は24又は27と同等で、キメが粗く良好である
3点:実施例3又は21又は24又は27よりも若干悪く、キメがやや粗い
2点:実施例3又は21又は24又は27より悪く、キメがやや細かい
1点:実施例3又は21又は24又は27より非常に悪く、キメが非常に細かい
<パンの官能評価方法>
実施例・比較例で作製したパンを、熟練した10名のパネラーに食べて評価してもらい、それらの平均点を評価値とした。その際の評価基準は、以下の通りである。
(もっちりさ(もっちりとした食感))
5点:実施例2又は20又は24又は27よりも非常に良く、もっちりさが極めて良好である
4点:実施例2又は20又は24又は27よりも良く、もっちりさが良好である
3点:実施例2又は20又は24又は27と同等で、もっちりさが感じられる
2点:実施例2又は20又は24又は27より悪く、もっちりさが余り感じられない
1点:実施例2又は20又は24より非常に悪く、もっちりさが全く感じられない
(しっとりさ(しっとりとした食感))
5点:実施例2又は20又は24又は27よりも非常に良く、しっとりさが極めて良好である
4点:実施例2又は20又は24又は27よりも良く、しっとりさが良好である
3点:実施例2又は20又は24又は27と同等で、しっとりさが感じられる
2点:実施例2又は20又は24又は27より悪く、しっとりさが余り感じられない
1点:実施例2又は20又は24又は27より非常に悪く、パサツキが酷く、しっとりさが全く感じられない
(異味の無さ)
5点:実施例5よりも大変良く、異味が全く感じられない
4点:実施例5よりも良く、異味が感じられない
3点:実施例5と同等で、僅かに異味が感じられる
2点:実施例5より悪く、異味が感じられる
1点:実施例5より非常に悪く、異味が大変感じられる
<総合評価>
生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、キメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである
A:生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、キメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの評価が全て4.5点以上のもの
B:生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、キメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの評価が全て4点以上で、且つ、4点以上4.5点未満が1つ以上あるもの
C:生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、キメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの評価が全て3点以上で、且つ、3点以上4点未満が1つ以上あるもの
D:生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、キメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの評価が全て2点以上で、且つ、2点以上3点未満が1つ以上あるもの
E:生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、キメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの評価で2点未満が1つ以上あるもの
(実施例1)中種法による食パンの作製
表1の配合に従って、中種生地の全材料を縦型ミキサー「HPI-20M」(関東混合機工業社製)に投入し、低速3分間、高速2分間混練して、24℃±1℃に捏ね上げて中種生地を得た。中種生地を29℃、湿度60%で4時間静置して一次発酵を行い、一次発酵後の中種生地を得た。一次発酵後の中種生地と、表1の中種生地以外の本捏生地用材料の内、油脂を除く原料をミキサーに投入し低速2分間、中速6分間、高速1分間混練後、油脂を添加して低速2分間、中速5分間、高速3分間混練し、品温が27℃±1℃になるまで捏ね上げた本捏生地を29℃、湿度60%で20分間静置して二次発酵を行い、二次発酵後の本捏生地を得た。
二次発酵後の本捏生地を300gに分割し丸めた後、分割した本捏生地を29℃、湿度60%に20分間静置しベンチタイムを取った後、各ローラーの隙間間隔を上段からそれぞれ12mm、8mm、3.5mmに設定した3段モルダー「FM31Z型」(フジサワ・マルゼン株式会社製)を通過させてガス抜きを行ない、厚さを7mmにした生地を棒状に巻いた後、高さ35mmの展厚板を通して、成形した生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して85重量部)を得た。
成形後の本捏生地をワンローフ型に移し入れ、38℃、湿度75%で40分間最終発酵させた後、上火200℃・下火230℃のデッキオーブン「PrinceIII」(フジサワ・マルゼン株式会社製)で20分間焼成し、ワンローフ食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表1に示した。
Figure 2022037867000001
(実施例2)中種法による食パンの作製
表1の配合に従って、実施例1において中種生地以外の本捏生地用材料の添加水43重量部を33重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉3重量部を2重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して75重量部)を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表1に示した。
(実施例3)中種法による食パンの作製
表1の配合に従って、実施例1において中種生地用材料の添加水42重量部を59重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水43重量部を71重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉3重量部を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して130重量部)を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきのなさ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表1に示した。
(比較例1)中種法による食パンの作製
表1の配合に従って、実施例1において中種生地用材料の添加水42重量部を30重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水43重量部を40重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉3重量部を2重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して70重量部)を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表1に示した。
(比較例2)中種法による食パンの作製
表1の配合に従って、実施例1において中種生地用材料の添加水42重量部を64重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水43重量部を71重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉3重量部を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して135重量部)を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表1に示した。
表1から明らかなように、本捏生地中の添加水の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して75~130重量部である多加水パン用本捏生地を使用して作製した実施例1~3の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきのなさ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味のな無の全ての評価で良好な結果であった。一方、本捏生地中の添加水の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して70重量部と少ない多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例1の食パンは、キメの粗さ、もっちりさ及びしっとりさの評価は不十分な結果であった。また、本捏生地中の添加水の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して135重量部と多い多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例2の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、及びパンのキメの粗さの評価は不十分な結果であった。
(実施例4、及び、比較例3)中種法による食パンの作製
表2の配合に従って、実施例1において中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉3重量部を、2重量部(実施例4)又は1重量部(比較例3)に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表2に示した。
Figure 2022037867000002
(実施例5)中種法による食パンの作製
表2の配合に従って、実施例1において中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉3重量部を12重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水43重量部を88重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表2に示した。
(比較例4)中種法による食パンの作製
表2の配合に従って、実施例1において中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉3重量部を15重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水43重量部を88重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表2に示した。
表2から明らかなように、本捏生地中の加工澱粉の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して2~12重量部である多加水パン用本捏生地を使用して作製した実施例1、4及び5の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、本捏生地中の加工澱粉の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して1重量部と少ない多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例3の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ及びしっとりさの評価は不十分な結果であった。また、本捏生地中の加工澱粉の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して15重量部と多い多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例4の食パンは、もっちりさ、及び、異味の無さの評価は不十分な結果であった。
(実施例6、7、及び、比較例5、6)中種法による食パンの作製
表3の配合に従って、実施例1において本捏生地中の穀粉100重量部に対するエンド型アミラーゼ量0.014重量部を、0.0014重量部(実施例6)、0.084重量部(実施例7)、0.0008重量部(比較例5)、及び、0.097重量部(比較例6)に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表3に示した。
Figure 2022037867000003
表3から明らかなように、本捏生地中のエンド型アミラーゼの量が本捏生地中の穀粉100gに対して5~300Uの範囲にある多加水パン用本捏生地を使用して作製した実施例1、6及び7の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、本捏生地中のエンド型アミラーゼの量が本捏生地中の穀粉100gに対して3Uと少ない多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例5の食パンは、もっちりさ及びしっとりさの評価は不十分な結果であった。また、本捏生地中のエンド型アミラーゼの量が本捏生地中の穀粉100gに対して350Uと多い多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例6の食パンは、もっちりさ、及び、異味の無さの評価は不十分な結果であった。
(実施例8)中種法による食パンの作製
表4の配合に従って、実施例1において中種生地用材料の強力粉70重量部を30重量部、添加水42重量部を18重量部、及び、中種生地以外の本捏生地用材料の強力粉30重量部を70重量部、添加水43重量部を67重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表4に示した。
Figure 2022037867000004
(実施例9)中種法による食パンの作製
表4の配合に従って、実施例1において中種生地用材料の強力粉70重量部を80重量部、添加水42重量部を48重量部、及び、中種生地以外の本捏生地用材料の強力粉30重量部を20重量部、添加水43重量部を37重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表4に示した。
(比較例7)中種法による食パンの作製
表4の配合に従って、実施例1において中種生地用材料の強力粉70重量部を20重量部、添加水42重量部を12重量部、及び、中種生地以外の本捏生地用材料の強力粉30重量部を80重量部、添加水43重量部を73重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表4に示した。
(比較例8)中種法による食パンの作製
表4の配合に従って、実施例1において中種生地用材料の強力粉70重量部を92重量部、添加水42重量部を54重量部、及び、中種生地以外の本捏生地用材料の強力粉30重量部を8重量部、添加水43重量部を31重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表4に示した。
表4から明らかなように、中種生地中の穀粉/中種生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)が30/70~90/10の範囲にある多加水パン用本捏生地を使用して作製した実施例1、8及び9の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、中種生地中の穀粉/中種生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)が20/80と小さい多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例7の食パンは、パン作製時の生地の荒れ、及び、パンのしっとりさの評価は不十分な結果であった。また、中種生地中の穀粉/中種生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)が92/8と大きい多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例8の食パンは、パン作製時の生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、パンのキメの粗さの評価は不十分な結果であった。
(実施例10、比較例9)中種法による食パンの作製
表5の配合に従って、実施例1において、各ローラーの隙間間隔(上段から12mm、8mm、3.5mm)を変えて、ガス抜きを行った後の生地の厚さを7mmから、3mm(実施例10:ローラーの隙間間隔は上段から12mm、6mm、2.6mm)及び2mm(比較例9:ローラーの隙間間隔は上段から12mm、6mm、1.8mm)に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表5に示した。
Figure 2022037867000005
表5から明らかなように、成形する工程での生地の厚さが2.5mm以上の実施例1及び10の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、成形する工程での生地の厚さが2mmと薄い多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例9の食パンは、パンのキメの粗さ、もっちりさの評価は不十分な結果であった。
(実施例11)中種法による食パンの作製
表5の配合に従って、実施例1において、最終発酵の時間を40分間から10分間に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表5に示した。
表5から明らかなように、前記成形工程の後の本捏生地を、25~40℃で、10~90分間最終発酵した実施例1及び11の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。
(実施例12)中種法による食パンの作製
表5の配合に従って、実施例1において、加熱調理時のオーブンの下火温度230℃を260℃に、加熱調理時間20分間を14分間に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表5に示した。
表5から明らかなように、成形後の本捏生地を160~260℃で、8~30分間加熱調理した実施例1及び12の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。
(実施例13、比較例10)中種法による食パンの作製
表6の配合に従って、実施例1において、中種生地以外の本捏生地用材料として増粘剤であるカルボキシメチルセルロースを0.08重量部(実施例13)及び、0.1重量部(比較例10)添加した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表6に示した。
Figure 2022037867000006
表6から明らかなように、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、増粘剤含有量が0.09重量部以下の実施例1及び13の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、増粘剤含有量が0.1重量部と多い、多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例10の食パンは、もっちりさ、しっとりさ及び異味の無さの評価は不十分な結果であった。
(実施例14、比較例11)中種法による食パンの作製
表6の配合に従って、実施例1において、中種生地以外の本捏生地用材料としてグルテンを0.18重量部(実施例14)及び、0.22重量部(比較例11)添加した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表6に示した。
表6から明らかなように、本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、グルテン含有量が0.2重量部以下の実施例1及び14の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、グルテン含有量が0.22重量部と多い、多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例11の食パンは、しっとりさ及び異味の無さの評価は不十分な結果であった。
(実施例15~18)中種法による食パンの作製
表7の配合に従って、実施例1において、コーンスターチとの最大荷重の差が0.47Nの加工澱粉を、0.38N(実施例15)、0.75N(実施例16)、0.35N(実施例17)及び0.56N(実施例18)の加工澱粉に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表7に示した。
Figure 2022037867000007
表7から明らかなように、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの範囲にある加工澱粉を使用した実施例1、15~18の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。
(比較例12~15)中種法による食パンの作製
表8の配合に従って、実施例1において、コーンスターチとの最大荷重の差が0.47Nの加工澱粉を、0.28N(比較例12)、0N(比較例13)、0.16N(比較例14)及び0.26N(比較例15)の加工澱粉に変更した以外は、実施例1と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することで食パンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表8に示した。
Figure 2022037867000008
表8から明らかなように、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの範囲外にある加工澱粉を使用した比較例12~15の食パンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さの評価は不十分な結果であった。特に、比較例12、13及び15の加工澱粉を使用した食パンは、もっちりさ及びしっとりさの評価も劣るものであった。
(実施例19)中種法によるリュスティックの作製
表9の配合に従って、中種生地の原料を縦型ミキサー「HPI-20M」(関東混合機工業社製)に投入し、低速3分間、中速2分間混練して、25℃±1℃に捏ね上げて中種生地を得た。中種生地を15℃で24時間静置して一次発酵を行い、一次発酵後の中種生地を得た。一次発酵後の中種生地と、表9の中種生地以外の本捏生地用材料を添加して低速3分間、中速8分間、高速9分間混練し25℃±1℃に捏ね上げた本捏生地を、29℃、湿度60%で90分間静置し二次発酵を行い、二次発酵後の本捏生地を得た。二次発酵後の本捏生地の厚さを15mmに圧延し、9cmの四方にカットし約150gの成形後の本捏生地を得た。
成形後の本捏生地をキャンパスに移した後、スリップピールへ載せ、上火250℃・下火240℃のデッキオーブン「electro」(MIWE社製)に移し入れ、15分間焼成しリュスティックを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表9に示した。
Figure 2022037867000009
(実施例20)中種法によるリュスティックの作製
表9の配合に従って、実施例19において中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉4重量部を2重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水87重量部を68重量部に変更した以外は、実施例19と同様にして成形後の本捏生地を得、それを焼成することでリュスティックを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表9に示した。
(実施例21)中種法によるリュスティックの作製
表9の配合に従って、実施例19において中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉4重量部を9重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水87重量部を102重量部に変更した以外は、実施例19と同様にして成形後の本捏生地を得、それを焼成することでリュスティックを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表9に示した。
(実施例22)中種法によるリュスティックの作製
表9の配合に従って、実施例19において中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉4重量部を12重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水87重量部を112重量部に変更した以外は、実施例19と同様にして成形後の本捏生地を得、それを焼成することでリュスティックを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表9に示した。
(比較例16)中種法によるリュスティックの作製
表9の配合に従って、実施例19において中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉4重量部を1重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水87重量部を59重量部に変更した以外は、実施例19と同様にして成形後の本捏生地を得、それを焼成することでリュスティックを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表9に示した。
(比較例17)中種法によるリュスティックの作製
表9の配合に従って、実施例19において中種生地以外の本捏生地用材料の加工澱粉4重量部を15重量部、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水87重量部を112重量部に変更した以外は、実施例19と同様にして成形後の本捏生地を得、それを焼成することでリュスティックを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表9に示した。
表9から明らかなように、本捏生地中の加工澱粉の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して2~12重量部である多加水パン用本捏生地を使用して作製した実施例19~22のリュスティックは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、本捏生地中の加工澱粉の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して1重量部と少ない多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例16のリュスティックは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ及びしっとりさの評価は不十分な結果であった。また、本捏生地中の加工澱粉の量が本捏生地中の穀粉100重量部に対して15重量部と多い、多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例17のリュスティックは、もっちりさ、及び異味の無さの評価は不十分な結果であった。
(実施例23)中麺法によるソフトフランスパンの作製
表10の配合に従って、中麺生地の原料を縦型ミキサー「HPI-20M」(関東混合機工業社製)に投入し、低速3分間、中速2分間混練して、20℃±1℃に捏ね上げて中麺生地を得た。中麺生地を5℃、湿度60%で12時間静置して寝かせを行い、静置後の中麺生地を得た。静置後の中麺生地と、表10の中麺生地以外の本捏生地用材料の油脂を除く原料をミキサーに投入し低速2分間、中速4分間、高速2分間混練後、油脂を添加して低速2分間、中速4分間、高速1分間混練し、27℃±1℃に捏ね上げた本捏生地を29℃、湿度60%に20分間静置して発酵を行い、発酵後の本捏生地を得た。発酵後の本捏生地を100gに分割し丸めた後、生地を29℃、湿度60%に20分間静置しベンチタイムを取った後、各ローラーの隙間間隔を上段からそれぞれ12mm、8mm、4mmに設定した3段モルダー「FM31Z型」(フジサワ・マルゼン株式会社製)を通過させ、ガス抜きを行い、厚さを7mmにした生地を棒状に巻いた後に、高さ22mmの展厚板を通して成形後の本捏生地を得た。
成形後の本捏生地をキャンパスにとり、35℃、湿度70%で40分間最終発酵させた後、スリップピール上に生地を移しクープを入れた後、上火225℃・下火235℃のオーブン「electro」(MIWE社製)で11分間焼成しソフトフランスパンを得た。パン作製時の生地のベタつきのなさ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表10に示した。
Figure 2022037867000010
(実施例24、25、及び、比較例18、19)中麺法によるソフトフランスパンの作製
表10の配合に従って、実施例23において本捏生地中の穀粉100重量部に対するエンド型アミラーゼ量0.014重量部を、0.0014重量部(実施例24)、0.084重量部(実施例25)、0.0005重量部(比較例18)、及び、0.097重量部(比較例19)に変更した以外は、実施例23と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することでソフトフランスパンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表10に示した。
表10から明らかなように、本捏生地中のエンド型アミラーゼの量が本捏生地中の穀粉100gに対して5~300Uの範囲にある多加水パン用本捏生地を使用して作製した実施例23~25のソフトフランスパンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、本捏生地中のエンド型アミラーゼの量が本捏生地中の穀粉100gに対して2Uと少ない多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例18のソフトフランスパンは、もっちりさ及びしっとりさの評価は不十分な結果であった。また、本捏生地中のエンド型アミラーゼの量が本捏生地中の穀粉100gに対して350Uと多い多加水パン用本捏生地を使用して作製した比較例19のソフトフランスパンは、もっちりさ及び異味の無さの評価は不十分な結果であった。
(実施例26)中麺法によるソフトフランスパンの作製
表10の配合に従って、実施例23において中麺生地の原料である水の添加時の温度を15℃から92℃(中麺生地の捏ね上げ温度は57℃±1℃)に変更した以外は、実施例23と同様にして成形後の本捏生地を得、それを最終発酵後に焼成することでソフトフランスパンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表10に示した。
表10から明らかなように、中麺生地に含まれる水を92℃で添加した多加水パン用本捏生地を使用して作製した実施例26のソフトフランスパンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。特に、中麺生地に含まれる水を15℃で添加した多加水パン用本捏生地を使用して作製した実施例23のソフトフランスパンに比べて、もっちりさ及びしっとりさの評価がより良好であった。
(実施例27)ストレート法によるソフトフランスパンの作製
表11の配合に従って、ストレート生地の油脂を除く全材料を縦型ミキサー「HPI-20M」(関東混合機工業社製)に投入し、低速2分間、中速5分間、高速4分間混練後、油脂を添加して低速2分間、中速5分間、高速1分間混練し、27℃±1℃に捏ね上げたストレート生地を29℃、湿度60%に90分間静置して発酵を行い、発酵後のストレート生地を得た。発酵後のストレート生地を120gに分割し丸めた後、分割したストレート生地を29℃、湿度60%に20分間静置しベンチタイムを取った後、各ローラーの隙間間隔を上段からそれぞれ12mm、8mm、4mmに設定した3段モルダー「FM31Z型」(フジサワ・マルゼン株式会社製)を通過させてガス抜きを行ない、厚さを約9mmにした生地を棒状に巻いた後、高さ35mmの展圧板を通して棒状に成形したストレート生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して90重量部)を得た。
成形後のストレート生地をホイロ発酵槽へ入れ、38℃、湿度75%で40分間最終発酵させた後、上火250℃・下火220℃のデッキオーブン「PrinceIII」(フジサワ・マルゼン株式会社製)で12分間焼成しソフトフランスパンを得た。パン作製時の生地のベタつきのなさ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られパンのキメ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表11に示した。
Figure 2022037867000011
(実施例28)ストレート法によるソフトフランスパンの作製
表11の配合に従って、実施例27において加工澱粉3重量部を1重量部、添加水90重量部を70重量部に変更した以外は、実施例27と同様にして成形後のストレート生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して70重量部)を得、それを最終発酵後に焼成することでソフトフランスパンを得た。パン作製時の生地のベタつきのなさ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表11に示した。
(実施例29)ストレート法によるソフトフランスパンの作製
表11の配合に従って、実施例27において加工澱粉3重量部を12重量部、添加水90重量部を120重量部に変更した以外は、実施例27と同様にして成形後のストレート生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して120重量部)を得、それを最終発酵後に焼成することでソフトフランスパンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表11に示した。
(比較例20)ストレート法によるソフトフランスパンの作製
表11の配合に従って、実施例27において加工澱粉3重量部を添加せず、添加水90重量部を65重量部に変更した以外は、実施例27と同様にして成形後のストレート生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して65重量部)を得、それを最終発酵後に焼成することでソフトフランスパンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、及び異味の無さの官能評価の結果を表11に示した。
(比較例21)ストレート法によるソフトフランスパンの作製
表11の配合に従って、実施例27において加工澱粉3重量部を16重量部、添加水90重量部を125重量部に変更した以外は、実施例27と同様にして成形後のストレート生地(水分含量:生地中の穀粉100重量部に対して125重量部)を得、それを最終発酵後に焼成することでソフトフランスパンを得た。パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの官能評価の結果を表11に示した。
表11から明らかなように、添加水がストレート生地に含まれる穀粉100重量部に対して70~120重量部、且つ加工澱粉の量が1~15重量部である多加水パン用ストレート生地を使用して作製した実施例27~29のソフトフランスパンは、パン作製時の生地のベタつきの無さ、生地の荒れの無さ、生地量のばらつきの無さ、及び、得られたパンのキメの粗さ、もっちりさ、しっとりさ、異味の無さの全ての評価で良好な結果であった。一方、添加水がストレート生地に含まれる穀粉100重量部に対して65重量部と少なく、且つ加工澱粉を添加しなかった多加水パン用ストレート生地を使用して作製した比較例20のソフトフランスパンは、もっちりさ及びしっとりさの評価は不十分な結果であった。また、添加水がストレート生地に含まれる穀粉100重量部に対して125重量部と多く、且つ加工澱粉も16重量部と多い、多加水パン用ストレート生地を使用して作製した比較例21のソフトフランスパンは、もっちりさ、異味の無さの評価は不十分な結果であった。

Claims (9)

  1. 中種法に従った多加水パンの製造方法であって、
    本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、
    本捏生地中においては、増粘剤含有量が0.09重量部以下、且つグルテン含有量が0.2重量部以下であり、
    中種生地中の穀粉/中種生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)が30/70~90/10であり、
    パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)及び水12~90重量部を含有する中種生地を、2~35℃で、60~2880分間一次発酵する工程と、
    前記一次発酵後の中種生地と、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉2~12重量部、水30~118重量部を含有し、更に、本捏生地に含まれる穀粉100gに対して、エンド型アミラーゼを5~300U含有する、中種生地以外の本捏生地用材料とを混練し、本捏生地中の添加水の量が75~130重量部である多加水パン用本捏生地を得る工程と、
    前記本捏生地を、24~34℃で、5~120分間二次発酵する工程と、
    前記二次発酵後の本捏生地を20~500gに分割する工程と、
    前記分割後の本捏生地の厚みを2.5mm以上に保って成形する工程と、
    前記成形後の本捏生地を160~260℃で、8~30分間加熱調理する工程、を含む多加水パンの製造方法。
  2. 前記加工澱粉が、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である請求項1に記載の多加水パンの製造方法。
  3. 前記成形後の本捏生地を、25~40℃で、10~90分間最終発酵してから前記加熱調理を行う請求項1又は2に記載の多加水パンの製造方法。
  4. 中麺法に従った多加水パンの製造方法であって、
    本捏生地に含まれる穀粉100重量部に対して、
    本捏生地中においては、増粘剤含有量が0.09重量部以下、且つグルテン含有量が0.2重量部以下であり、
    中麺生地中の穀粉/中麺生地以外の本捏生地用材料中の穀粉(重量比)が10/90~100/0であり、
    水10~120重量部を含有する中麺生地を、2~20℃で、360~2880分間静置する工程と、
    前記静置後の中麺生地と、パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉2~12重量部を含有し、更に、本捏生地に含まれる穀粉100gに対して、エンド型アミラーゼを5~300U含有する、中麺生地以外の本捏生地用材料とを混練し、本捏生地中の添加水の量が75~130重量部である本捏生地を得る工程と、
    前記本捏生地を、24~34℃で、5~60分間発酵する工程と、
    前記発酵後の本捏生地を20~500gに分割する工程と、
    前記分割後の本捏生地の厚みを2.5mm以上に保って成形する工程と、
    前記成形後の本捏生地を160~260℃で、8~30分間加熱調理する工程、を含む多加水パンの製造方法。
  5. 前記中麺生地に含まれる水は、55~100℃で添加される請求項4に記載の多加水パンの製造方法。
  6. 前記加工澱粉が、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である請求項4又は5に記載の多加水パンの製造方法。
  7. 前記成形後の本捏生地を、25~40℃で、10~90分間最終発酵してから前記加熱調理を行う請求項4~6の何れかに記載の多加水パンの製造方法。
  8. ストレート法に従った多加水パンの製造方法であって、
    ストレート生地に含まれる穀粉100重量部に対して、増粘剤0.09重量部以下、グルテン0.2重量部以下、パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)、及び添加水70~120重量部、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉1~15重量部、且つエンド型アミラーゼ10~200Uを含有するように調整したストレート生地を、2~35℃で、60~2880分間発酵する工程と、
    前記発酵後のストレート生地を20~500gに分割する工程と、
    前記分割後のストレート生地の厚みを2.5mm以上に保って成形する工程と、
    前記成形後のストレート生地を160~260℃で、8~30分間加熱調理する工程、を含む多加水パンの製造方法。
  9. 前記成形後のストレート生地を、25~40℃で、10~90分間最終発酵してから前記加熱調理を行う請求項8に記載の多加水パンの製造方法。
JP2021045823A 2020-08-25 2021-03-19 多加水パンの製造方法 Pending JP2022037867A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020141948 2020-08-25
JP2020141948 2020-08-25

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022037867A true JP2022037867A (ja) 2022-03-09

Family

ID=80494892

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021045823A Pending JP2022037867A (ja) 2020-08-25 2021-03-19 多加水パンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022037867A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024202818A1 (ja) * 2023-03-31 2024-10-03 株式会社カネカ 多加水パン用生地、多加水パン、及びこれらの製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002034436A (ja) * 2000-07-19 2002-02-05 Okumoto Seifun Kk パン類の製造方法
JP2016174577A (ja) * 2015-03-20 2016-10-06 株式会社カネカ 多加水パン用本捏生地
JP2019135914A (ja) * 2018-02-06 2019-08-22 日本製粉株式会社 パン生地、パン及びこれらの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002034436A (ja) * 2000-07-19 2002-02-05 Okumoto Seifun Kk パン類の製造方法
JP2016174577A (ja) * 2015-03-20 2016-10-06 株式会社カネカ 多加水パン用本捏生地
JP2019135914A (ja) * 2018-02-06 2019-08-22 日本製粉株式会社 パン生地、パン及びこれらの製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
井上好文: "パンの食感と気泡構造の関係", 日本調理化学会誌, JPN6024052068, 2016, pages 280 - 284, ISSN: 0005491486 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024202818A1 (ja) * 2023-03-31 2024-10-03 株式会社カネカ 多加水パン用生地、多加水パン、及びこれらの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6555484B2 (ja) パンその他穀物粉膨化食品の凝集性改善剤
JP2021048791A (ja) 製パン用油脂組成物、製パン用穀粉生地、製パン用穀粉生地の製造方法
KR101828966B1 (ko) 쌀가루가 함유된 바게트 쌀빵의 제조방법
CN105163593A (zh) 制作软糕面糊的方法
JP6574540B2 (ja) 多加水パン用本捏生地
JP7691047B2 (ja) パン類用品質向上剤、パン類の製造方法およびパン類の品質向上方法
JP2008263833A (ja) 酵素処理風味材及びこれを使用するパン類の製造法
JP5813299B2 (ja) ドライフルーツ入りパン類の製造方法
JP6812725B2 (ja) 製パン用油脂組成物
JP2022037867A (ja) 多加水パンの製造方法
JP7245715B2 (ja) パン類用品質向上剤、パン類の品質向上方法およびパン類の製造方法
JP2021078462A (ja) 製パン用油脂組成物、製パン用穀粉生地、製パン用穀粉生地の製造方法
JP6813408B2 (ja) 小麦ふすまを用いたパン類の製造方法
JP2023145876A (ja) 多加水パン用冷凍生地及び多加水パン
JP6741399B2 (ja) 食物繊維を含有するパン用生地及びパン
JP2022153834A (ja) 非ハード系多加水パン用生地の製造方法
JP4430864B2 (ja) 製パン方法
JP7645633B2 (ja) パン生地、パン、及び冷凍パン
JP6489373B2 (ja) 醗酵組成物その製造方法およびそれを用いる食品
JP7316825B2 (ja) スクラッチ‐冷凍生地兼用改良剤及び当該剤を使用した加糖中種パンの製造方法
JP5750294B2 (ja) パン類およびその製造方法
JP5285003B2 (ja) パン類の製造方法
WO2006088043A1 (ja) パンの製造法
WO2024202818A1 (ja) 多加水パン用生地、多加水パン、及びこれらの製造方法
JP7196534B2 (ja) 冷凍パン生地の製造方法およびパンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20241218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20241224

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20241227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20250409

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20250701