(関連出願の相互参照)
この出願は、2018年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/620,065号の優先権を主張している。
本開示は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害活性を有する複素環式化合物、そのプロドラッグ、及びそれらのインフルエンザを治療するための使用に関する。
インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼには、宿主mRNAを切断し、キャップ付きRNAフラグメントを生成してウイルスmRNAの合成を開始するためのプライマーとして機能させる、キャップ依存性エンドヌクレアーゼドメインが含まれている。
宿主リボソームによるウイルスmRNAの翻訳には、ウイルスmRNAが5’−キャップされている必要がある。これは、インフルエンザウイルスに感染された細胞において、キャップ依存性エンドヌクレアーゼが宿主mRNAから5’−キャップを切断して転写プライマー(10〜13個のヌクレオチド)として利用するというキャップスナッチングメカニズムによって達成される。これらのキャップ付きRNAプライマーは、ウイルスタンパク質をコードするmRNAを合成するために使用される。
キャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を阻害すると、ウイルスの増殖が抑制される。したがって、キャップ依存性エンドヌクレアーゼは、効果的な抗インフルエンザ薬を特定するための潜在的な生物学的標的である。
様々な複素環式化合物がキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤として使用されている。しかし、従来の複素環式化合物は、薬理学的特性が不十分であり、例えば、有効性が低く、溶解度が低く、生物学的利用能(bioavailability)が低いため、インフルエンザ治療用の治療薬として使用するには実用的ではない。
上記の欠点に悩まされないインフルエンザを治療するための新規なキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤を開発する必要がある。
本開示は、インフルエンザを治療するためのキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤としての複素環式化合物に関する。予想外に、これらの化合物は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性阻害において高い効力を示す。
本開示の一つの態様は、下記の式(I)で表される化合物(以下、式(I)化合物ともいう)、又はその薬学的に許容される塩、代謝物、もしくはプロドラッグにかかる。
式中、R1は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルアミン基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R2、R2’、R3及びR3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミン基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、A1はCR4又はNであり、A2はCR5R6又はNR7であり、A3はCR5’R6’又はNR7’であり、R4は水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R5、R5’、R6、R6’、R7及びR7’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、あるいは、R5とR6、R5’とR6’、もしくはR5とR5’は、それぞれ結合している隣接する原子と一緒になってC3−10カルボシクリル基又はC3−10ヘテロシクリル基を形成する。注目すべきのは、C1ー6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1ー6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1ー6アルキルカルボニル基、C1ー6アルキルオキシカルボニル基、C1ー6アルキルアミン基、C3−10カルボシクリル基、C3−10ヘテロシクリル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて、1〜5個の重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1ー6アルキル基、C1ー6アルコキシ基、C1−6アルキルアミノ基、C1ー6アルキル(C3−10カルボシクリル)基、C1ー6アルキル(C3−10ヘテロシクリル)基、C1ー6アルコキシ(C3−10カルボシクリル)基、C1ー6アルコキシ(C3−10ヘテロシクリル)基、C3−10カルボシクリル基、又はC3−10ヘテロシクリル基で置換される。
上記の化合物、塩、代謝物、又はプロドラッグは、化合物自体、ならびに可能である場合のそれらの多形体、立体異性体、及び溶媒和物を含む。例えば、塩は、アニオンと、上記の式を有する化合物における正に帯電した基(例えば、アミノ基)とで形成され得る。適切なアニオンは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸塩イオン、硝酸塩イオン、リン酸塩イオン、クエン酸塩イオン、メタンスルホン酸塩イオン、トリフルオロ酢酸塩イオン、酢酸塩イオン、リンゴ酸塩イオン、トシル酸塩イオン、酒石酸塩イオン、フマル酸塩イオン、グルタミン酸塩イオン、グルクロン酸塩イオン、乳酸塩イオン、グルタル酸塩イオン、及びマレイン酸塩イオンを含む。同様に、塩は、カチオンと、上記の式を有する化合物における負に帯電した基(例えば、カルボキシレート基)とでも形成され得る。適切なカチオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及びテトラメチルアンモニウムイオンのようなアンモニウムカチオンを含む。化合物には、第四級窒素原子を含む塩も含まれる。計算を簡単にするために、特に明記しない限り、本明細書で言及される化合物の重量は、その化合物の遊離塩基形態の重量を指す。
プロドラッグの例は、対象に投与される時に、活性化合物を提供することができるエステル及び他の薬学的に許容される誘導体が含まれる。通常、本開示のプロドラッグは、下記の式を有する。
ここで、Gはプロドラッグを形成するための基であり、生理学的条件下で式(I)化合物に変換することができる。Gの例には、−C(R9R9’)−O−CO−R10、−C(R9R9’)−O−CO−O−R10、−C(R9R9’)−NR11−C(=O)−CO−O−R10、−C(R9R9’)−O−CO−C(R9R9’)−NR11−CO−O−R10、−C(R9R9’)−C(R9R9’)−O−CO−R10、−C(R9R9’)−R10、−C(=O)−O−R10、−C(=O)−R10、−C(=O)−O−アルキレン−O−R10、−C(=O)−NR10R11、及び−P(=O)(R12R13)を含むが、これらに限定されず、R9、R9’、R11は、それぞれ独立して、水素又はC1−8アルキル基であり、R10はC1−8アルキル基、C3−10カルボシクリル基、又はC3−10ヘテロシクリル基であり、R12はC1−8アルコキシ基であり、R13はC1−8アルコキシ基又はC1−8アルキルアミン基である。A1、A2、A3、R1、R2、R2’、R3及びR3’は、式(I)と同じ定義を有する。
溶媒和物は、活性化合物と薬学的に許容される溶媒とで形成される複合体を指す。薬学的に許容される溶媒の例は、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンを含む。
本開示の別の態様は、上記の化合物、塩、代謝物、又はプロドラッグと、1つ又は複数の薬学的に許容される成分とを含む医薬組成物である。薬学的に許容される成分は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、界面活性剤、又はそれらの組み合わせである。医薬組成物はインフルエンザの治療に使用することができる。
さらに、本開示は、インフルエンザを治療するための医薬品の製造のための、1つ又は複数の上記の式(I)化合物、ならびにそれらの塩、代謝物又はプロドラッグの使用を包含する。
本開示のさらに別の態様は、式(I)化合物、又はその薬学的に許容される塩、代謝物、もしくはプロドラッグを調製する方法である。
本開示のさらなる態様は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼに関連するインフルエンザを治療するための方法である。この方法は、それを必要とする対象に、有効量の1つ又は複数の上記の化合物、塩、代謝物又はプロドラッグを投与することを含む。
用語「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」とは、上記の疾患(すなわち、インフルエンザ、そのような疾患の症状、又はそのような疾患の素因)に罹っている対象に、1つ又は複数の前記化合物、塩、代謝物又はプロドラッグを投与し、治療効果を与えることを目的として、例えば、上記の疾患、その症状、又はその素因を治療、緩和、変化、影響、改善、又は予防することを指す。「有効量」とは、治療効果を与えるために必要な活性化合物、塩、代謝物、又はプロドラッグの量を指す。有効量は、当業者に理解されているように、治療される疾患の種類、投与経路、賦形剤の使用、及び他の治療処置との併用の可能性に応じて、変化される。
本開示の方法を実施するために、1つ又は複数の上記の化合物、塩、代謝物又はプロドラッグを含有する組成物は、非経口的、経口的、経鼻的、経直腸的、局所的、又は口腔的に投与され得る。本明細書で使用される「非経口」という用語とは、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病巣内、又は頭蓋内注射、ならびに任意の適切な注入技術を指す。
無菌で注射可能な組成物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒に溶解した溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオールに溶解した溶液であってもよい。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、マンニトール、水、リンガー溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、固定油は、従来、溶媒又は懸濁媒体(例えば、合成モノグリセリド又はジグリセリド)として使用されている。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、オリーブ油及びヒマシ油(特にそれらのポリオキシエチル化型)のような天然の薬学的に許容される油として、注射剤の調製において有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、カルボキシメチルセルロース、又は類似の分散剤をも含み得る。ツイン(Tween)及びスパン(Span)などの他の一般的に使用される界面活性剤又は他の類似の乳化剤、又は薬学的に許容される固体、液体、もしくは他の剤形の製造において一般的に使用される生物学的利用能促進剤も、製剤の目的で使用できる。
経口投与用の組成物は、カプセル、錠剤、乳剤や水性懸濁液、分散液、及び溶液を含む、いずれかの経口的に許容される剤形であってもよい。錠剤の場合、一般的に使用される担体は、とりわけ、ラクトース及びコーンスターチを含む。通常、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も添加される。カプセル形態での経口投与のために、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液又は乳剤を経口投与する場合、有効成分は、乳化剤又は懸濁剤と組み合わせて油相に懸濁又は溶解することができる。必要に応じて、特定の甘味料、香味料、又は着色料を加えることができる。
鼻用エアゾール剤又は吸入組成物は、医薬製剤の分野で周知の技術に従って調製することができる。例えば、そのような組成物は、ベンジルアルコール又は他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は当技術分野で公知の他の可溶化剤又は分散剤を使用して、生理食塩水に溶解した溶液として調製できる。
注目すべきのは、1つ又は複数の上記の化合物、塩、代謝物及びプロドラッグを含有する組成物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与することもできる。
医薬組成物中の担体は、組成物の活性成分と相容し(好ましくは、活性成分を安定化することができる。)、治療される対象に有害ではないという意味で、「許容可能」でなければならない。1つ又は複数の可溶化剤は、活性な1,5−ジフェニル−ペンタ−1,4−ジエン−3−オン化合物を送達するための医薬賦形剤として利用されてもよい。他の担体の例は、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、及びD&C Yellow#10を含む。
本開示及びその実施の詳細は、以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、以下のいくつかの実施形態の詳細な説明、ならびに添付の特許請求の範囲から明らかになることに留意されたい。
下記の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、代謝物、もしくはプロドラッグが詳細に開示されている。
繰り返しになるが、R1は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルアミン基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R2、R2’、R3及びR3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミン基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、A1はCR4又はNであり、A2はCR5R6又はNR7であり、A3はCR5’R6’又はNR7’であり、R4は水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R5、R5’、R6、R6’、R7及びR7’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、あるいは、R5とR6、R5’とR6’、もしくはR5とR5’は、それぞれ結合している隣接する原子と一緒になってC3−10カルボシクリル基又はC3−10ヘテロシクリル基を形成する。留意すべきのは、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミン基、C3−10カルボシクリル基、C3−10ヘテロシクリル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて、1〜5個の重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキル(C3−10カルボシクリル)基、C1−6アルキル(C3−10ヘテロシクリル)基、C1−6アルコキシ(C3−10カルボシクリル)基、C1−6アルコキシ(C3−10ヘテロシクリル)基、C3−10カルボシクリル基、又はC3−10ヘテロシクリル基で置換される。
本明細書における用語「ハロゲン」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、又はヨード基を指す。用語「ヒドロキシル基」とは、−OH基を指す。用語「シアノ基」とは、−CN基を指す。用語「アミノ基」とは、−NH2基を指す。用語「ニトロ基」とは、−NO2基を指す。用語「カルボキシル基」とは、−COOH基を指す。
用語「C1−6アルキル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、1〜6個(例えば、1〜4個)の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖の飽和ヒドロカルビル置換基を指す。C1−6アルキル基の例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基などを含む。用語「C2−6アルケニル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、2〜6個(例えば、2〜4個)の炭素原子及び1つ以上の二重結合を含む直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル置換基を指す。C2−6アルケニル基の例は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、プレニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ペンタジエニル基などを含む。用語「C2−6アルキニル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、2〜6個(例えば、2〜4個)の炭素原子及び1つ以上の三重結合を含む直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル置換基を指す。C2−6アルキニル基の例は、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基などを含む。
用語「C1−6アルコキシ基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、RがC1−6アルキル基である−OR基を指す。C1−6アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、及びtert−ブトキシ基を含む。
用語「C1−6アルキルアミン基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、RがC1−6アルキル基である−NHR基を指す。C1−6アルキルアミン基の例は、メチルアミノ基、エチルアミノ基、及びイソプロピルアミノ基を含む。
用語「C3−20カルボシクリル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、3〜20個の炭素環原子を含む飽和環状(すなわち、「シクロアルキル基」)、部分飽和環状(すなわち、「シクロアルケニル基」)、又は完全不飽和(すなわち、「アリール基」))のヒドロカルビル置換基を(例えば、3〜10個の炭素環原子を含むC3−10カルボシクリル基、3〜8個の炭素環原子を含むC3−8カルボシクリル基、及び5〜6個の炭素環原子を含むC5−6カルボシクリル基である。)を指す。
本明細書における用語「シクロアルキル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、3〜20個の炭素環原子を含有する飽和環状ヒドロカルビル置換基を指す。シクロアルキル基は、通常、3〜10個の炭素環原子、より典型的には3〜8個の環原子、さらに典型的には5〜6個の環原子を含む単一の炭素環であってもよい。単環式シクロアルキル基の例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基を含む。あるいは、シクロアルキル基は、多環式環であってもよい。用語「シクロアルケニル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、3〜20個の炭素環原子を含む部分飽和環状ヒドロカルビル置換基を指す。シクロアルケニル基は、通常、3〜10個の炭素環原子、より典型的には3〜6個の環原子、さらに典型的には5〜6個の環原子を含む単一の炭素環であってもよい。単環式シクロアルケニル基の例は、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチニル基、シクロオクチニル基及びシクロヘキサジエニル基を含む。あるいは、シクロアルケニル基は多環式環であってもよい。用語「アリール基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、6〜20個の炭素環原子を含む芳香族カルボシクリル基を指す。アリール基は、単環式であっても多環式であってもよい。多環式芳香環の場合、多環系において1つの環のみが不飽和である必要があり、残りの環は飽和、部分飽和又は不飽和であってもよい。アリール基の例は、フェニル基、ナフタレニル基、インデニル基、インダニル基、及びテトラヒドロナフチル基、フルオレニル基、アダマンチル基を含む。
カルボシクリル基は、多環式環構造(すなわち、「シクロアルキル基」、「シクロアルケニル基」及び「アリール基」から選ばれる2つ以上の環を含む)であってもよい。多環式カルボシクリル基の例は、橋架け、縮合、及びスピロ環式カルボシクリル基を含む。橋架け環式カルボシクリル基の場合、環は少なくとも2つの共通の非隣接原子を共有する。縮合環式カルボシクリル基の場合、2つの環が1つの共通の結合を共有するように、2つ以上の環が一緒に縮合され得る。縮合環式カルボシクリル基の例は、インダニル基、インデニル基、テトラヒドロナフチル基、及びフルオレニル基を含む。典型的な縮合環式カルボシクリル基は、
用語「C3−20ヘテロシクリル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、合計3〜20個の環原子を含み、環原子の少なくとも1つがO、N及びSからなる群から選ばれるヘテロ原子である、飽和(すなわち、「ヘテロシクロアルキル基」)、部分飽和(すなわち、「ヘテロシクロアルケニル基」)、又は完全不飽和(すなわち、「ヘテロアリール基」)環構造を指す。一つの実施形態において、ヘテロシクリル基は、1〜4個(例えば、1〜2個)のO、N及びSのヘテロ原子を含む。用語「ヘテロシクロアルキル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、飽和ヘテロシクリル基を指す。用語「ヘテロシクロアルケニル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、部分飽和ヘテロシクリル基を指す。用語「ヘテロアリール基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、芳香族ヘテロシクリル基を指す
ヘテロシクリル基の部分は、単環式構造であってもよく、通常、3〜10個の環原子(すなわち、C3−10ヘテロシクリル基)、より典型的には3〜8個の環原子(すなわち、C3−8ヘテロシクリル基)、さらに典型的には5〜6個の環原子(すなわち、C5−6ヘテロシクリル基)を含む。単環式ヘテロシクリル基の例としては、フラニル基、テトラフラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピリジル基、ジヒドロピリジル基、テトラヒドロピリジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピリダジニル基、ピラゾリジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、イソキサゾリジニル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ジヒドロチアゾリル基、テトラヒドロチアゾリル基、テトラヒドロイソチアゾリル基、チアゾリニル基、イソチアゾリニル基、チアゾリジニル基、チアニル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、チオジアゾリル基、オキサジアゾリル基、オキサトリアゾリル基、ジオキサゾリル基、オキサチアゾリル基、オキサチオリル基、オキサチオラニル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、チオピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ピリジニル基、ピペリジル基、ジアジニル基、ピペラジニル基、トリアジニル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、オキサジニル基、ジヒドロオキサジニル基、オキサチアジニル基、オキサジアジニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、チオモルホリニル基、チオモルホリノ基、アゼピニル基、ヘキサヒドロアゼピニル基、オキセピニル基、チエピニル基、ジアゼピニル基、テトラヒドロジアゼピニル基、ピリドニル基、ピリミジニル基、ヘキサヒドロピリミジニル基、ジオキサニル基、チイラニル基、オキセタニル基、アゼチジニル基、ジオキソラニル基、ジオキソリル基、及びオキサビシクロヘプタニル基を含む。
あるいは、ヘテロシクリル基の部分は、多環式構造であってもよい。多環式ヘテロシクリル基の例は、橋架け、縮合、及びスピロ環式ヘテロシクリル基を含む。橋架けヘテロシクリル基の場合、環は少なくとも2つの共通の非隣接原子を共有する。縮合環ヘテロシクリル基の場合、2つの環が1つの共通の結合を共有するように、2つ以上の環(例えば、二環式ヘテロシクリル基又は三環式ヘテロシクリル基)が一緒に縮合されてもよい。2つ又は3つの環を含む縮合環ヘテロシクリル基の例としては、イミダゾピラジニル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリダジニル基、チアゾロピリジニル基、インドリジニル基、ピラノピロリル基、プリニル基、ナフチリジニル基、ピリドピリジニル基、プテリジニル基、ジヒドロクロメニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、インドリニル基、イソインドリニル基、イソインダゾリル基、ベンザジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、ベンゾジアジニル基、ベンゾピラニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾキサゾリル基、ベンゾキサジアゾリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾキサジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾイソキサジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、チエノピリジル基、チエノピロリル基、チエノピラゾリル基、チエノピラジニル基、フロピロリル基、チエノチエニル基、イミダゾピリジル基、ピラゾロピリジル基、チアゾロピリジル基、ピラゾロピリミジニル基、ピラゾロトリアニジル基、ピリダゾロピリジル基、トリアゾロピリジル基、イミダゾチアゾリル基、ピラジノピリダジニル基、キナゾリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、ジヒドロチアゾロピリミジニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、ジヒドロベンゾフリル基、ジヒドロベンゾキサジニル基、ジヒドロベンゾイミダゾリル基、テトラヒドロベンゾチエニル基、テトラヒドロベンゾフリル基、ベンゾジオキソリル基、ベンゾジオキソニル基、クロマニル基、クロメニル基、オクタヒドロクロメニル基、ジヒドロベンゾジオキシニル基、ジヒドロベンゾオキセジニル基、ジヒドロベンゾジオキセピニル基、ジヒドロチエノジオキシニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、キサンテニル基、フェノチアジニル基、フェノキサチイニル基、フェノキサジニル基、ジベンゾフリル基、イミダゾキノリル基、及びテトラヒドロカルバゾリル基を含む。典型的な縮合環ヘテロシクリル基は、
式(I)化合物は、下記の4つのクラスの化合物、すなわち、クラスI〜IVを含む。
クラスIの化合物は、A2がNR7であり、A3がCR5’R6’であることを特徴とする。
クラスIIの化合物は、A2がCR5R6であり、A3がNR7’であることを特徴とする。
クラスIIIの化合物は、A2がCR5R6であり、A3がCR5’R6’であることを特徴とする。このクラスでは、R5とR5’は、それぞれが結合している隣接原子と一緒になってC3−10カルボシクリル基又はC3−10ヘテロシクリル基を形成できる。
クラスIVの化合物は、A2がNR7であり、A3がNR7’であることを特徴とする。
再び式(I)を参照すると、R1は、典型的に、水素、重水素、シアノ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、C1−6アルキル基、又はC1−6アルコキシ基である。例えば、R1は、水素、重水素又はC1−6アルキル基である。例示的な式(I)化合物は、水素であるR1を有する。
一方、R4、R5、R5’、R6及びR6’は、通常、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R7及びR7’は、通常、それぞれ独立して、水素、重水素、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基である。例えば、R7及びR7’は、それぞれ独立して、C1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、このC1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、必要に応じて1〜3個のC3−8カルボシクリル基又はC3−8ヘテロシクリル基で置換される。他の例示的な式(I)化合物は、R7及びR7’は、それぞれ独立して、
であり、
式中、W
1及びW
2は、それぞれ独立して、C
3−8カルボシクリル基又はC
3−8ヘテロシクリル基であり、YはO、S、SO、SO
2、又はCH
2であり、R
8は水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1−6アルキル基、又はC
1−6アルコキシ基であり、C
1−6アルキル基又はC
1−6アルコキシ基は、必要に応じて1〜5個の重水素、ハロゲン又はヒドロキシル基で置換され、mは1〜5の整数であり、nは0〜2の整数であり、pは0〜2の整数であり、また、星記号(*)はキラル中心を示す。一つの実施形態において、R
7及びR
7’は、それぞれ独立して、
であり、
式中、mは1、2、又は3である。一つの実施形態において、R
7及びR
7’は、それぞれ、
であり、
式中、mは1、2、又は3であり、R
14、R
15及びR
16は、それぞれ独立して、水素又は重水素である。
一つの実施形態において、式(I)化合物は、それぞれ、A2がNR7であり、A3がCR5’R6’であるものであり、そのうち、R5’及びR6’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1ー6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R7は、水素、重水素、カルボキシル基、C1ー6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基である。一つの実施形態において、R7はC1ー6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、C1ー6アルキル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて1〜3個のC3−8カルボシクリル基又はC3−8ヘテロシクリル基で置換される。もう一つの実施形態において、R7は、
であり、
ここで、各変数は上記のように定義される。例えば、R
7は、
別の実施形態において、式(I)化合物は、それぞれ、A2がNR7であり、A3がCR5’R6’であるものであり、そのうち、R1は、水素、重水素、ハロゲン、又はC1−6アルキル基であり、R2、R2’、R3及びR3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミン基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R5’及びR6’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基であり、R7は、水素、重水素、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基である。別の実施形態において、R7はC1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、C1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて1〜3個のC3−8カルボシクリル基又はC3−8ヘテロシクリル基で置換される。この実施形態における例示的な化合物のR7は、それぞれ、
であり、
ここで、各変数は上記のように定義される。R
7の例としては、
を含むが、これらに限定されず、式中、mは1、2、又は3である。
式(I)化合物のさらなる実施形態において、A1はCH又はNであり、A2はNR7であり、A3はCR5’R6’であり、R1は、水素、重水素又はC1−6アルキル基であり、R2、R2’、R3及びR3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミン基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R5’は水素であり、R6’は、水素、重水素、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基であり、R7は、
一つの実施形態において、式(I)化合物は、下記式、例えば、式(II)及び式(III)で表されてもよく、
式中、R
1、R
2、R
2’、R
3、R
3’、R
4、R
5’、R
6’及びR
7は上記のように定義される。
上記の例示的な式(I)化合物のそれぞれは、下記の式を有するプロドラッグに変換されてもよい。
式中、Gは、−C(R9R9’)−O−CO−R10、−C(R9R9’)−O−CO−O−R10、−C(R9R9’)−NR11−C(=O)−CO−O−R10、−C(R9R9’)−O−CO−C(R9R9’)−NR11−CO−O−R10、−C(R9R9’)−C(R9R9’)−O−CO−R10、−C(R9R9’)−R10、−C(=O)−O−R10、−C(=O)−R10、−C(=O)−O−アルキレン−O−R10、−C(=O)−NR10R11、又は−P(=O)(R12R13)であってもよく、R9、R9’及びR11は、それぞれ独立して、水素又はC1−8アルキル基であり、R10は、C1−8アルキル基、C3−10カルボシクリル基、又はC3−10ヘテロシクリル基であり、R12は、C1−8アルコキシ基であり、R13は、C1−8アルコキシ基又はC1−8アルキルアミン基である。例示的なGは、下記基の1つである:
−OG基は、生体内の生理的条件下で、薬物代謝酵素、加水分解酵素、胃酸、腸内細菌などによる分解反応により、式(I)における−OH基に変換される。プロドラッグは、その投与後にインビボ(in vivo)でキャップ依存性エンドヌクレアーゼに対して阻害活性を有する親化合物になる。本開示において、プロドラッグは、親化合物に比べて、より優れた生物学的利用能及びより高い最大濃度(Cmax)を示す。
キラル中心を有する本開示の化合物は、立体異性体として存在してもよい。式(I)化合物の立体異性体は、シス及びトランス異性体、(R)及び(S)のエナンチオマーなどの光学異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、回転異性体、アトロプ異性体、配座異性体、及び互変異性体を含んでもよく、複数のタイプの異性を示す化合物、及びそれらの混合物(例えば、ラセミ化合物やジアステレオマーなど)を含む。このような異性体のすべてが含まれる。また、本開示における式(I)化合物は、互変異性の現象を示してもよい。
注目すべきのは、エナンチオ純度が高められた式(I)化合物は、90%以上(例えば、≧95%及び≧99%)の鏡像異性体過剰率を有する可能性がある。
また、本開示には、1つ又は複数の上記の化合物、塩、代謝物又はプロドラッグを含むインフルエンザを治療するための医薬組成物もある。
本開示にさらに含まれるのは、インフルエンザを治療する方法であり、その方法は、それを必要とする対象に、有効量の式(I)化合物、又はその薬学的に許容される塩、代謝物もしくはプロドラッグを投与することを含む。
さらに、本開示の範囲内には、下記の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、代謝物、もしくはプロドラッグを製造する方法がある。
ここで、この方法は、下記の工程:
(i)下記式
(Pは保護基である。)
で表されるアルデヒドを提供する工程;
(ii)前記アルデヒドと下記式
で表される第一の中間体を得る工程;
(iii)前記第一の中間体とヒドラジンとを反応させ、下記式
で表される第二の中間体を得る工程;及び
(iv)前記第二の中間体を、式(I)化合物、又はその薬学的に許容される塩、もしくはプロドラッグに変換する工程を含む。
(式中、A
1はCR
4であり、A
2はNR
7であり、A
3はCR
5’R
6’であり;R
1は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキルアミン基、C
3−20カルボシクリル基、又はC
3−20ヘテロシクリル基であり;R
2、R
2’、R
3及びR
3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
2−6アルケニルオキシ基、C
1−6アルキルカルボニル基、C
1−6アルキルオキシカルボニル基、C
1−6アルキルアミン基、C
3−20カルボシクリル基、又はC
3−20ヘテロシクリル基であり;R
4は水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
3−20カルボシクリル基、又はC
3−20ヘテロシクリル基であり;R
5’はHであり;R
6’及びR
7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
3−20カルボシクリル基、又はC
3−20ヘテロシクリル基である。さらに、前記C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
2−6アルケニルオキシ基、C
1−6アルキルカルボニル基、C
1−6アルキルオキシカルボニル基、C
1−6アルキルアミン基、C
3−20カルボシクリル基及びC
3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて、1〜5個の重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C
1−6アルキル基、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキルアミノ基、C
1−6アルキル(C
3−10カルボシクリル)基、C
1−6アルキル(C
3−10ヘテロシクリル)基、C
1−6アルコキシ(C
3−10カルボシクリル)基、C
1ー6アルコキシ(C
3−10ヘテロシクリル)基、C
3−10カルボシクリル基、又はC
3−10ヘテロシクリル基で置換される。)
上記の式(I)化合物は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を阻害する効力について、インビトロアッセイ、例えば、下記の実施例2に記載されている細胞変性効果低減アッセイを使用することにより、最初にスクリーニングすることができる。その後、それらは、インビボアッセイ、例えば、下記の実施例3に記載されているインフルエンザA型マウスモデル研究を使用することにより、評価することができる。選択した化合物は、さらにテストして、インフルエンザの治療におけるそれらの有効性を検証することができる。結果に基づいて、適切な投与量範囲及び投与経路を調査及び決定することができる
さらに詳述しなくても、当業者は、上記の説明に基づいて、本開示を最大限に利用することができると考えられる。したがって、下記の特定の実施例、すなわち、実施例1〜3は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる方法においても、本開示の残りの部分を限定するものとして解釈されるべきではない。
特定の例のうち、実施例1は、特定の中間体、例示的な式(I)化合物、及び例示的な式(I)化合物のプロドラッグを調製するための手順、ならびにこのように調製された化合物の分析データを示す。実施例2及び3は、これらの化合物を試験するためのプロトコルを示す。
下記の表には、39個の例示的な式(I)化合物の構造が示される。
以下は、上記の39個の例示的な化合物を合成するための手順である。
特に指示がない限り、すべての試薬と溶媒は商業的供給元から購入し、更なる精製をせずに使用した。すべての反応は、乾燥窒素又はアルゴン雰囲気下で行われ、Merck Silica Gel 60 F254ガラス支持プレートを使用した薄層クロマトグラフィー(TLC)で監視された。カラムクロマトグラフィーは、Merck Silica Gel 60(0.040〜0.063mm、230〜400メッシュ)で行った。1H NMR及び13C NMRスペクトルは、Varian Mercury−300とVarian Bruker AVIII−500分光計によって測定され、化学シフト(δ)は、溶媒共鳴ピークに対する百万分率(ppm)で報告された。多重度は、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、quin(クインテット)、m(マルチプレット)、又はbr(ブロード)という略語で報告される。低解像度の質量スペクトルは、HP Hewlett Packard 1100シリーズで測定された。
下記のスキームに従って、特定の式(I)化合物を合成する。
実施例1:化合物1〜39の製造及び特性評価
化合物1の合成及び特性評価
1−(1−フルオロ−5,11−ジヒドロ−10−チア−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)−5−ヒドロキシ−3,3−シクロプロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ピリド[1,2−b]ピリダジン−4,6−ジオン(化合物1)
化合物I−3は、まず、以下に示すスキームに従って、市販の3−ベンジルオキシ−4−オキソ−4H−ピラン−2−カルバルデヒドから、中間体I−1及びI−2を経由して調製した。
ピロリジン(30.9g、434mmole)を、3−(ベンジルオキシ)−4−オキソ−4H−ピラン−2−カルバルデヒド(100g、434mmole)とシクロプロパンカルバルデヒド(91.3g、1.30mmole)の溶媒DMSO(1L)溶液に加え、混合物を50℃で23〜24時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物をCH2Cl2(1.0L)に溶解し、1NのHCl水溶液(1.0L)及びNaHCO3の飽和水溶液(1.0L)で洗浄し、続いて飽和食塩水(1.0L)で洗浄した。有機相を分離し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、残留物(133g)を得た。このように得られた残留物をEtOAc(1.0L)に溶解し、NaHCO3の飽和水溶液(1.0L)で洗浄し、続いてNaClの飽和水溶液(1.0L)で洗浄し、無水MgS04で乾燥させた後、溶媒を減圧下で蒸発させ、黒色の粗物質(106g)を形成した。得られた粗物質をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=7/3)で精製し、次に(ヘキサン/EtOAc=1/1)で再結晶し、化合物I−1を黄緑色の固体(87g、66%)として得た。
NH2NHCOCF3(8.23g、64mmole)を、化合物I−1(9.65g、32mmole)のMeOH(145mL)と水(73mL)の溶液に加えた。反応混合物を50℃で20時間撹拌した。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で除去した。固体残留物をCH2Cl2(500mL×3)に溶解し、NaClの飽和水溶液(200mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をMTBE(250mL)で洗浄して、化合物I−2(8.6g、90%)を得た。
NaBH4(1.05g、27.8mmole)を、化合物I−2(4.32g、13.9mmole)のMeOH(38mL)溶液に0℃でゆっくりと加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した。1時間後、反応液にH2O(10mL)を加え、減圧下で溶媒を除去した。固体残留物をCH2Cl2(250mL×3)に溶解し、NaClの飽和水溶液(100mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で除去して、粗生成物(4.47g)を得た
化合物I−4は、市販の9−フルオロ−11H−10−チア−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オンから下記に示す経路で調製した。
9−フルオロ−11H−10−チア−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オン(1.4g、6.1mmole)の溶液に、NaBH4(0.28g、7.3mmole)をTHF/MeOH(1:1、20mL)の中で0℃で撹拌し、1時間で室温に戻した。反応が完了した後、H2Oでクエンチし、CH2Cl2で抽出し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗製残留物1.4gを得て、これを精製せずに次の工程に使用した。次に、粗製残留物とSOCl2(0.88ml、12.2mmole)とをCH2Cl2(10mL)の中で0℃で撹拌し、次いで室温に戻した。反応が完了した後、減圧下で濃縮し、粗化合物I−4が得られ、精製せずに直接に使用した。
化合物1は、下記のように中間体I−3〜I−6を介して調製した。化合物I−3(150mg、0.5mmole)、炭酸セシウム(491mg、1.5mmole)及び化合物I−4(265mg、1.0mmole)の溶液を、ACN(6ml)の中で50℃で3時間撹拌した。CHCl2で希釈し、H2Oで洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、残留物をCH2Cl2:MeOH=39:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物I−5(92mg、0.17mmole、収率:34%)を得た。
化合物I−5(92mg、0.17mmole)の溶液に、Dess−Martinペルヨージナン(1.09g、2.56mmole)及びNaHCO3(725mg)をACN(50ml)の中で75℃で1時間攪拌した。反応物をH2Oで洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物を、CH2Cl2:MeOH=39:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物I−6(60mg、0.11mmole、収率:67%)を得た。
化合物I−6(60mg、0.114mmole)の溶液に、EA(20ml)及びCHCl2(10ml)に溶解し、Pd−C(35mg)を加えた。混合物を水素(1気圧)下、室温で1時間攪拌した。セライトのパッドを通して濾過することにより、触媒を除去した。濾液を減圧下で濃縮して、化合物1(46mg、0.106mmole、収率:93%)を得た。MS:m/z 435.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−6.89(m,6H),6.66−6.64(m,1H),6.57(d,1H),5.83(d,1H),5.42(d,1H),5.02(s,1H),4.14(d,1H),4.06(d,1H),3.32(br,1H),2.91(d,1H),1.88−1.86(m,1H),1.70−1.68(m,1H),0.99−0.96(m,1H),0.84−0.79(m,1H)。
化合物2〜39の合成及び特性評価
化合物2〜39のそれぞれは、上記のスキーム及び化合物1の調製に記載されたプロトコルに従って、同様に調製された。
化合物2〜39の分析データを以下に示す。
化合物2:MS:m/z 453.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.27(d,1H),7.08−7.00(m,4H),6.80−6.78(m,1H),6.63(d,1H),5.83(d,1H),5.50(dd,1H),5.23(s,1H),4.15(d,1H),4.06(d,1H),2.91(d,1H),2.43(br,1H),1.92−1.84(m,1H),1.78−1.67(m,1H),0.96−0.92(m,1H),0.86−0.81(m,1H)。
化合物3:MS:m/z 468.9(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−7.19(m,3H),7.07−6.96(m,2H),6.79−6.74(m,1H),6.62(d,1H),5.89−5.81(m,2H),5.30(s,1H),4.13(d,1H),3.62(d,1H),2.9(d,1H),1.90−1.87(m,1H),1.72−1.67(m,1H),0.94−0.80(m,2H)。
化合物4:MS:m/z 451.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−7.08(m,6H),6.80−6.78(m,1H),6.65(d,1H),5.83(d,1H),5.71(d,1H),5.21(s,1H),4.13(d,1H),3.51(d,1H),2.89(d,1H),1.89−1.87(m,1H),1.71−1.69(m,1H),0.97−0.83(m,2H)。
化合物5:MS:m/z 453.1(M+H)+;1H NMR(CD3OD)δ7.52−7.44(m,2H),7.22−7.18(m,1H),7.08−7.03(m,1H),6.99−6.93(m,1H),6.85−6.83(m,1H),6.70−6.68(m,1H),5.91(d,1H),5.85(d,1H),5.55(s,1H),4.20(d,1H),3.79(d,1H),2.97(d,1H),1.98−1.85(m,1H),1.64−1.48(m,1H),1.15−1.00(m,1H),0.99−0.85(m,1H)。
化合物6:MS:m/z 465.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−7.10(m,4H),7.00(d,1H),6.74−6.69(m,1H),6.53(d,1H),5.82(d,1H),5.75(d,1H),5.23(s,1H),4.13(d,1H),3.61(d,1H),2.90(d,1H),2.25(s,3H),1.89(br,1H),1.72−1.70(m,1H),1.62−1.60(m,1H),0.97−0.93(m,1H),0.85−0.82(m,1H)。
化合物7:MS:m/z 449.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.25−7.18(m,2H),7.09−6.92(m,3H),6.70(t,1H),6.52(d,1H),5.84−5.74(m,2H),5.23(s,1H),4.12(d,1H),3.59(d,1H),3.26(br,1H),2.89(d,1H),2.24(s,3H),1.90−1.86(m,1H),1.71−1.65(m,1H),0.99−0.92(m,1H),0.86−0.79(m,1H)。
化合物8:MS:m/z 435.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.29−7.18(m,2H),7.07−6.94(m,4H),6.80−6.76(m,1H),6.65(d,1H),5.84(d,1H),5.75(d,1H),5.21(s,1H),4.15−4.01(m,1H),3.50(d,1H),2.91(d,1H),1.89−1.87(m,1H),1.72−1.67(m,1H),0.97−0.93(m,1H),0.87−0.80(m,1H)。
化合物9:MS:m/z 435.1(M+H)+;1H NMR(DMSO−d6)δ7.47−7.29(m,5H),7.04−7.00(m,1H),6.88−6.74(m,1H),6.75−6.64(m,1H),5.83(d,1H),5.73(d,1H),5.49(s,1H),4.09−3.95(m,2H),2.78(d,1H),1.64−1.58(m,1H),1.21−1.13(m,1H),0.71−0.60(m,1H),0.58−0.45(m,1H)。
化合物10:MS:m/z 449.1(M+H)+;1H NMR(CD3OD)δ7.47−7.45(m,1H),7.28−7.18(m,3H),7.04−7.02(m,1H),6.73−6.70(m,2H),5.84(d,1H),5.58(d,1H),5.49(s,1H),4.18(d,2H),2.98(d,1H),2.24(s,3H),1.98−1.87(m,1H),1.67−1.58(m,1H),1.18−1.03(m,1H),0.96−0.87(m,1H)。
化合物11:MS:m/z 431.2(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.36−7.23(m,5H),6.98(d,1H),6.72−6.67(m,1H),6.54(d,1H),5.82(d,1H),5.75(d,1H),5.23(s,1H),4.12(d,1H),3.66(d,1H),2.90(d,1H),2.23(s,3H),1.90−1.83(m,1H),1.72−1.62(m,1H),1.01−0.92(m,1H),0.86−0.79(m,1H)。
化合物12:MS:m/z 469.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.26−7.02(m,5H),6.76(t,1H),6.63(d,1H),5.89(d,1H),5.51(d,1H),5.32(s,1H),4.17(d,1H),4.15(d,1H),3.17(br,1H),2.91(d,1H),1.93−1.87(m,1H),1.72−1.67(m,1H),1.00−0.81(m,2H)。
化合物13:MS:m/z 451.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.43−7.15(m,6H),6.75(t,1H),6.63(d,1H),5.88(d,1H),5.79(d,1H),5.27(s,1H),4.12(d,1H),3.68(d,1H),3.43(br,1H),2.90(d,1H),1.91−1.87(m,1H),1.71−1.66(m,1H),0.99−0.79(m,2H)。
化合物14:MS:m/z 469.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.38−7.16(m,4H),6.94−6.88(m,1H),6.83−6.76(m,1H),6.50(d,1H),5.72(d,1H),5.75(d,1H),5.26(s,1H),4.14(d,1H),3.60(d,1H),2.90(d,1H),2.60(br,1H),1.90−1.88(m,1H),1.71−1.69(m,1H),0.96−0.81(m,2H)。
化合物15:MS:m/z 453.1(M+H)+;1H NMR(CD3OD)δ7.48−7.24(m,2H),7.24−6.96(m,3H),6.80−6.50(m,2H),6.50−6.34(m,1H),5.89(d,1H),5.14−5.00(m,2H),4.06(d,1H),2.83(d,1H),2.10−1.96(m,1H),1.78−1.60(m,1H),1.16−1.00(m,1H),0.96−0.80(m,1H)。
化合物16:MS:m/z 467.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.21(d,1H),7.10−7.00(m,3H),6.72(t,1H),6.51(d,1H),5.82(d,1H),5.51(d,1H),5.24(s,1H),4.16−4.07(m,2H),2.91(d,1H),2.24(s,3H),2.03−1.66(m,3H),0.99−0.81(m,2H)。
化合物17:MS:m/z 471.0(M+H)+;1H NMR(DMSO−d6)δ7.39−7.37(m,2H),7.21(d,1H),7.09(t,1H),6.93−6.86(m,1H),6.79(d,1H),5.72−5.68(m,1H),5.63(s,1H),5.52(d,1H),4.20(d,1H),4.09(d,1H),2.90(d,1H),1.79−1.67(m,1H),1.36−1.31(m,1H),0.90−0.70(m,2H)。
化合物18:MS:m/z 486.9(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.26−7.20(m,2H),7.12−6.96(m,2H),6.76(t,1H),6.60(d,1H),5.90(d,1H),5.56(d,1H),5.28(s,1H),4.14(d,2H),2.90(d,1H),2.64(br,1H),1.92−1.87(m,1H),1.73−1.67(m,1H),0.97−0.80(m,2H)。
化合物19:MS:m/z 469.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.34−7.26(m,2H),7.10−7.09(m,2H),6.99(d,1H),6.84−6.79(m,1H),6.65(d,1H),5.84(d,1H),5.49(dd,1H),5.24(s,1H),4.17(d,1H),4.07(d,1H),2.92(d,1H),1.93−1.88(m,1H),1.75−1.68(m,1H),1.02−0.95(m,1H),0.90−0.83(m,1H)。
化合物20:MS:m/z 467.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.09−7.03(m,3H),7.02−6.95(m,1H),6.82−6.77(m,1H),6.62(d,1H),5.85(d,1H),5.53(dd,1H),5.16(s,1H),4.09(d,1H),4.04(d,1H),2.96(d,1H),2.13−2.09(m,1H),2.05−1.96(m,1H),1.06(d,3H),0.69−0.66(m,1H)。
化合物21:MS:m/z 467.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.30−7.20(m,2H),7.14−6.78(m,4H),6.65(d,0.4H),6.57−6.52(m,0.6H),5.94(d,0.6H),5.85(d,0.4H),5.46−5.33(m,1H),5.22(s,0.4H),5.04(s,0.6H),4.18(d,0.6H),4.06(d,0.4H),3.14−3.02(m,1H),1.87−1.74(m,1.4H),1.66−1.58(m,0.6H),1.35−1.33(m,3H),1.03−0.84(m,1.4H),0.70−0.64(m,0.6H)。
化合物22:MS:m/z 480.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.33−7.27(m,2H),7.16−6.96(m,3H),6.91−6.79(m,1H),6.64(d,0.5H),6.57−6.53(m,0.5H),5.94(d,0.5H),5.85(d,0.5H),5.67(dd,0.5H),5.37(dd,0.5H),5.30(s,0.5H),5.13(s,0.5H),4.16(d,0.5H),4.04(d,0.5H),2.82−2.74(m,1H),1.92−1.52(m,4H),1.13−1.02(m,4H),0.97−0.81(m,1H)。
化合物23:MS:m/z 503.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.36−7.21(m,3H),6.99(d,1H),6.78(t,1H),6.62(d,1H),5.88(d,1H),5.58(d,1H),5.30(s,1H),4.19−4.15(m,2H),2.92(d,1H),2.04−1.06(m,3H),0.96−0.85(m,2H)。
化合物24:MS:m/z 487.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.36−7.23(m,2H),7.01−6.91(m,2H),6.85−6.81(m,1H),6.51(d,1H),5.89(d,1H),5.54(d,1H),5.31(s,1H),4.18−4.14(m,2H),2.92(d,1H),2.17(br,1H),1.93−1.88(m,1H),1.74−1.69(m,1H),0.97−0.86(m,2H)。
化合物25:MS:m/z 479.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.33−7.31(m,1H),7.23−6.98(m,3H),6.92−6.85(m,1H),6.81−6.76(m,1H),6.67(d,0.5H),6.60−6.55(m,0.5H),5.92(d,0.5H),5.90−5.78(m,1.5H),5.49(dd,0.5H),5.37(dd,0.5H),5.33−5.27(m2H),5.21(s,0.5H),5.09(s,0.5H),4.18(d,0.5H),4.08(d,0.5H),3.44−3.40(m,1H),1.93−1.87(m,1.5H),1.78−1.74(m,0.5H),1.12−1.07(m,0.5H),0.98−0.90(m,1H),0.72−0.68(m,0.5H)。
化合物26:MS:m/z 485.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.15−7.07(m,2H),6.70−6.83(m,2H),6.57−6.52(m,0.5H),6.51(d,0.5H),5.96(d,0.5H),5.91(d,0.5H),5.51(d,0.5H),5.46(d,0.5H),5.29(s,0.5H),5.11(s,0.5H),4.24(d,0.5H),4.15(d,0.5H),3.12−3.08(m,1H),1.90−1.76(m,1.5H),1.66−1.64(m,0.5H),1.37−1.33(m,3H),1.05−0.89(m,1.5H),0.72−0.66(m,0.5H)。
化合物27:MS:m/z 481.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.18−7.16(m,1H),7.10−6.97(m,2.5H),6.91−6.83(m,1H),6.75−6.70(m,0.5H),6.60−6.53(m,1H),5.96(d,0.5H),5.84(d,0.5H),5.48(dd,0.5H),5.35(dd,0.5H),5.25(s,0.5H),5.07(s,0.5H),4.23(d,0.5H),4.16(d,0.5H),3.12−3.03(m,1H),2.34(s,1.5H),2.25(s,1.5H),1.85−1.65(m,1.5H),1.60−1.51(m,0.5H),1.36−1.25(m,3H),1.04−0.89(m,1.5H),0.70−0.67(m,0.5H)。
化合物28:MS:m/z 467.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.14−7.02(m,4H),6.83−6.80(m,1H),6.62(d,1H),5.88(s,1H),5.43(dd,1H),5.18(s,1H),4.00(d,1H),3.95(d,1H),2.87(d,1H),2.25(s,3H),1.93−1.87(m,1H),1.64−1.57(m,1H),0.87−0.80(m,1H),0.67−0.60(m,1H)。
化合物29:MS:m/z 497.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.56−7.54(m,2H),7.40−7.32(m,1H),7.29−7.18(m,3H),6.91−6.83(m,2H),6.05−5.99(m,1H),5.96(s,1H),5.81−5.79(m,1H),4.22−4.19(m,1H),3.60−3.56(m,1H),2.96−2.90(m,1H),2.28(br,1H),2.16−2.10(m,1H),1.51−1.48(m,1H),0.97−0.83(m,2H)。
化合物30:MS:m/z 485.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.12−7.02(m,2H),6.98−6.92(m,1H),6.86−6.79(m,1H),6.48(d,1H),5.89(s,1H),5.41(dd,1H),5.30(s,1H),4.09(d,1H),3.98(d,1H),2.87(d,1H),2.25(s,3H),1.94−1.87(m,1H),1.65−1.58(m,1H),0.88−0.81(m,1H),0.66−0.63(m,1H)。
化合物31:MS:m/z 481.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.09−7.02(m,3H),6.77−6.72(m,1H),6.51(d,1H),5.87(d,1H),5.45(dd,1H),5.20(s,1H),4.08(d,1H),3.96(d,1H),2.87(d,1H),2.21(s,3H),2.19(s,3H),1.93−1.86(m,1H),1.64−1.56(m,1H),0.86−0.79(m,1H),0.64−0.58(m,1H)。
化合物32:MS:m/z 525.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31(d,1H),7.12−7.07(m,3H),6.99−6.89(m,1H),6.86−6.76(m,1H),6.63−6.60(m,1H),5.86(d,1H),5.46(dd,1H),5.12(s,0.5H),4.98(s,0.5H),4.13−3.91(m,4H),3.52(d,1H),3.16(bs,1H),2.68(dd,1H),2.17(dd,1H),1.45−1.41(m,1H),1.30−1.21(m,3H)。
化合物33:MS:m/z 497.0(M+H)+;1H NMR(CD3OD)δ7.33(d,1H),7.21−7.12(m,2H),7.06−7.0(m,2H),6.79−6.69(m,2H),5.70(d,1H),5.61−5.57(m,1H),5.39(s,0.5H),5.27(s,0.5H),4.04(dd,1H),3.86(dd,1H),3.43(d,1H),2.74−2.72(m,1H),2.42−2.37(m,1H),1.47−1.45(m,1H)。
化合物34:MS:m/z 573.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.50−7.31(m,4H),7.22−7.09(m,5H),6.90−6.81(m,2H),6.62−6.60(m,1H),6.19(d,1H),5.48(d,1H),5.04(s,1H),4.41−4.29(m,2H),4.11−4.07(m,2H),3.63−3.47(m,1H),3.23−3.07(m,1H),2.96(d,1H),2.58(bs,1H),2.19−1.97(m,1H),1.72−1.71(m,1H),0.87−0.85(m,1H)。
化合物35:MS:m/z 485.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.11−7.05(m,1H),7.00−6.89(m,2H),6.83−6.76(m,1H),6.47(d,1H),5.88(d,1H),5.56(dd,1H),5.22(s,1H),4.15(d,1H),4.06(d,1H),2.95(d,1H),2.13−2.11(m,1H),2.10−2.09(m,1H),1.06(d,3H),0.68−0.64(m,1H)。
化合物36:MS:m/z 481.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.08−6.95(m,3H),6.74−6.69(m,1H),6.50(d,1H),5.83(d,1H),5.57(dd,1H),5.18(s,1H),4.15(d,1H),4.05(d,1H),2.96(d,1H),2.25(s,3H),2.12−2.08(m,1H),2.04−1.94(m,1H),1.05(d,3H),0.68−0.65(m,1H)。
化合物37:MS:m/z 481.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.29(d,1H),7.11−7.03(m,3H),7.01−6.96(m,1H),6.82−6.78(m,1H),6.62(d,1H),5.84(d,1H),5.52(dd,1H),5.17(s,1H),4.08(d,2H),4.04(d,1H),2.98(d,1H),2.08−2.05(m,1H),1.94−1.89(m,1H),1.43−1.36(m,1H),1.16−1.07(m,1H),1.02−1.97(m,3H),0.67−0.68(m,1H)。
化合物38:MS:m/z 497.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.11−7.03(m,3H),6.99−6.95(m,1H),6.82−6.76(m,1H),6.62(d,1H),5.84(d,1H),5.52(dd,1H),5.15(s,1H),4.20(d,1H),4.07(d,1H),3.64−3.58(m,1H),3.25(s,3H),3.05(d,1H),3.04−2.80(m,1H),2.20−2.17(m,1H),2.07−2.01(m,1H),0.91−0.82(m,1H)。
化合物39:MS:m/z 457.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.27(d,1H),7.11−6.97(m,2H),5.84(d,1H),5.50(dd,1H),5.23(s,1H),4.16(d,1H),4.05(d,1H),2.92(d,1H),1,93−1.84(m,1H),1.74−1.68(m,1H),1.01−0.94(m,1H),0.90−0.83(m,1H)。
化合物40の合成及び特性評価
化合物1(0.033g、0.076mmole)をCH3CN(6ml)に溶解し、K2CO3(0.315g、2.28mmole)、NaI触媒及びクロロメチルアセテート(0.050g、0.46mmole)を加えた。次に、混合物を60℃で16時間撹拌した。混合溶液を減圧下で濃縮し、PLCにより精製して、化合物40(6.1mg、収率:16%)を得た。MS:m/z 507.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.32−7.04(m,6H),6.89−6.84(m,1H),6.76(d,1H),5.98(d,1H),5.92(d,1H),5.80(d,1H),5.44(dd,1H),5.18(s,1H),4.12(d,1H),4.06(d,1H),2.91(d,1H),2.14(s,3H),1.94−1.90(m,1H),1.50−1.44(m,1H),0.88−0.77(m,2H)。
化合物41〜61の合成及び特性評価
化合物41〜61のそれぞれは、化合物40の調製において記載された同様のプロトコルに従って調製された。
化合物41〜61の分析データを以下に示す。
化合物41:MS:m/z 552.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.08−7.01(m,3H),6.98−6.90(m,1H),6.72(d,1H),5.97(d,1H),5.48(dd,1H),5.16(s,1H),4.20(d,1H),4.04(d,1H),3.60−3.33(m,4H),2.90(d,1H),1.93−1.87(m,1H),1.57−1.41(m,1H),1.38−1.28(m,6H),0.87−0.74(m,2H)。
化合物42:MS:m/z 716.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.36−7.26(m,4H),7.20−6.97(m,6H),6.88−6.27(m,2H),6.28(d,0.5H),6.15(d,0.5H),6.00−5.95(m,1H),5.87(d,0.5H),5.74(d,0.5H),5.48−5.43(m,1.5H),5.24−5.10(m,2.5H),5.01(d,0.5H),4.75(d,0.5H),4.54−4.49(m,0.5H),4.36−4.31(m,0.5H),4.11−4.00(m,2H),2.88−2.82(m,1H),2.50−2.47(m,0.5H),2.24−2.17(m,0.5H),2.00−1.98(m,0.5H),1.90−1.85(m,0.5H),1.46−1.39(m,1H),1.05−0.68(m,8H)。
化合物43:MS:m/z 579.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.09−7.05(m,3H),7.02−6.95(m,1H),6.91−6.89(m,1H),6.81−6.74(m,1H),5.99(d,01H),5.48(dd,1H),5.16(s,1H),4.16(d,1H),4.04(d,1H),2.91(d,1H),2.71−2.66(m,2H),1.92−1.88(m,1H),1.83−1.71(m,2H),1.70−1.59(m,2H),1.65−1.50(m,1H),1.47−1.34(m,6H),0.97−0.77(m,5H)。
化合物44:MS:m/z 543.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.50−7.47(m,2H),7.36−7.21(m,4H),7.07−6.95(m,4H),6.76−6.71(m,1H),6.53(d,1H),5.96(d,1H),5.49−5.40(m,3H),5.09(s,1H),4.04−3.95(m,2H),2.83(d,1H),1.94−1.89(m,1H),1.39−1.34(m,1H),0.76−0.65(m,2H)。
化合物45:MS:m/z 541.0(M++1);1H NMR(CDCl3)δ7.31(d,1H),7.06−7.00(m,4H),6.85−6.84(m,1H),6.73(d,1H),6.03(d,1H),5.96(d,1H),5.80(d,1H),5.49(d,1H),5.15(s,1H),4.13(d,1H),4.05(d,1H),3.87(s,3H),2.91(d,1H),1.95−1.90(m,1H),1.49−1.48(m,1H),0.88−0.76(m,2H)。
化合物46:MS:m/z 555.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,0.5H),7.18(d,0.5H),7.14−7.09(m,2H),7.05−6.92(m,2H),6.87−6.84(m,0.5H),6.72−6.70(m,0.5H),6.57−6.55(m,0.5H),6.44−6.42(m,0.5H),5.97(d,0.5H),5.94(d,0.5H),5.53−5.44(m,1H),5.14(s,0.5H),5.12(s,0.5H),4.14−4.09(m,1H),4.06(d,0.5H),4.01(d,0.5H),3.83(s,1.5H),3.68(s,1.5H),3.03−2.872(m,1H),1.97−1.91(m,1H),1.80−1.78(m,3H),1.47−1.32(m,1H),0.85−0.71(m,2H)。
化合物47:MS:m/z 539.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.22(d,1H),7.10−7.01(m,3H),6.79(t,1H),6.62(d,1H),5.96(d,1H),5.91(d,1H),5.80(d,1H),5.53(dd,1H),5.17(s,1H),4.13(d,1H),4.12(d,1H),2.90(d,1H),2.25(s,3H),2.14(s,3H),1.94−1.89(m,1H),1.50−1.43(m,1H),0.85−0.73(m,2H)。
化合物48:MS:m/z 538.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.21−7.29(m,1H),7.09−6.90(m,3H),6.80−6.59(m,2H),5.97(d,1H),5.51(d,1H),5.20(bs,1H),4.19−4.10(m,2H),3.16−2.98(m,6H),2.90(d,1H),2.25(s,3H),1.91−1.87(m,1H),1.52(m,1H),0.83−0.73(m,2H)。
化合物49:MS:m/z 579.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.29−7.26(m,1H),7.07−7.01(m,3H),6.80−6.75(m,1H),6.56(d,1H),5.95(d,1H),5.52−5.47(m,1H),5.29(d,1H),5.20−5.16(m,2H),4.17−4.07(m,2H),2.95−2.88(m,1H),2.25(s,3H),2.14(s,3H),1.98−1.93(m,1H),1.54−1.47(m,1H),0.87−0.74(m,2H)。
化合物50:MS:m/z 555.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.10−6.97(m,3H),6.77(t,1H),6.60(d,1H),6.06(d,1H),5.96(d,1H),5.78(d,1H),5.55−5.50(m,1H),5.18(s,1H),4.16−4.12(m,2H),3.87(s,3H),2.92(d,1H),2.25(s,3H),1.95−1.90(m,1H),1.52−1.46(m,1H),0.88−0.73(m,2H)。
化合物51:MS:m/z 583.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.10−6.91(m,3H),6.78(t,1H),6.69(d,1H),6.11(d,1H),5.96(d,1H),5.79(d,1H),5.52(d,1H),5.17(s,1H),5.02−4.94(m,1H),4.16−4.12(m,2H)2.92(d,1H),2.25(s,3H),1.91−1.88(m,1H),1.44−1.26(m,7H),0.90−0.75(m,2H)。
化合物52:MS:m/z 542.8(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.13−6.85(m,4H),6.61(d,1H),6.00(d,1H),5.93(d,1H),5.77(d,1H),5.53(dd,1H),5.21(s,1H),4.15−4.10(m,2H),2.90(d,1H),2.14(s,3H),1.95−1.89(m,1H),1.51−1.44(m,1H),0.87−0.71(m,2H)。
化合物53:MS:m/z 583.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.13−6.83(m,4H),6.55(d,1H),6.01(d,1H),5.50(dd,1H),5.33−5.15(m,3H),4.16−4.12(m,2H),2.91(d,1H),2.11(s,3H),1.98−1.93(m,1H),1.54−1.47(m,1H),0.82−0.71(m,2H)。
化合物54:MS:m/z 559.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.30(d,1H),7.14−6.83(m,4H),6.59(d,1H),6.15(d,1H),5.97(d,1H),5.80(d,1H),5.53(dd,1H),5.22(s,1H),4.16−4.12(m,2H),3.87(s,3H),2.92(d,1H),1.96−1.92(m,1H),1.54−1.47(m,1H),0.88−0.73(m,2H)。
化合物55:MS:m/z 493.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.32−7.24(m,3H),7.16(d,1H),7.09−7.07(m,2H),6.87−6.78(m,2H),6.01(d,1H),5.72(d,1H),5.15(s,1H),4.15(d,1H),3.50(d,1H),2.91(d,1H),2.41(s,3H),1.92−1.89(m,1H),1.55−1.52(m,1H),0.90−0.83(m,2H)。
化合物56:MS:m/z 525.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.24−7.22(m,2H),7.23(d,1H),7.06(dd,1H),7.01−6.86(m,3H),6.61(d,1H),6.00(d,1H),5.93(d,1H),5.80(d,1H),5.76(d,1H),5.19(s,1H),4.09(d,1H),3.58(d,1H),2.88(d,1H),2.14(s,3H),1.96−1.84(m,1H),1.49−1.44(m,1H),0.82−0.74(m,2H)。
化合物57:MS:m/z 561.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.29−7.20(m,2H),7.04−6.93(m,3H),6.76(t,1H),6.56(d,1H),5.95(d,1H),5.76(d,1H),5.31−5.16(m,3H),4.07(d,1H),3.60(d,1H),2.90(d,1H),2.45(s,3H),2.15(s,3H),1.98−1.93(m,1H),1.53−1.46(m,1H),0.90−0.71(m,2H)。
化合物58:MS:m/z 539.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−7.22(m,3H),7.15−6.88(m,3H),6.77−6.67(m,1H),6.06(d,0.75H),6.00(d,0.25H),5.87−5.80(m,2H),5.43(d,0.25H),5.28(d,0.75H),5.15(s,0.25H),5.00(s,0.75H),4.14(d,0.75H),4.05(d,0.25H),3.12−3.06(m,1H),2.12(s,3H),1.96−1.89(m,1H),1.59−1.45(m,1H),1.37−1.25(m,3H),0.94−0.83(m,1H),0.63−0.48(m,1H)。
化合物59:MS:m/z 539.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.26(d,1H),7.09−7.05(m,3H),7.02−6.97(m,1H),6.90−6.95(m,1H),6.72(d,1H),5.94(d,1H),5.87(d,1H),5.79(d,1H),5.52(dd,1H),5.07(s,1H),4.14(d,1H),4.05(d,1H),4.02(d,1H),2.92(d,1H),2.14(s,3H),2.12−2.10(m,1H),1.76−1.70(m,1H),1.03(d,3H),0.47−0.44(m,1H)。
化合物60:MS:m/z 557.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.22(d,1H),7.17−6.97(m,2H),6.93−6.85(m,2H),6.59(d,1H),6.01(d,1H),5.92(d,1H),5.68(d,1H),5.55(dd,1H),5.14(s,1H),4.14(dd,1H),4.02(d,1H),2.92(d,1H),2.15(s,3H),2.14−2.10(m,1H),1.75−1.68(m,1H),1.03(d,3H),0.45−0.43(m,1H)。
化合物61:MS:m/z 553.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.17−6.97(m,3H),6.82−6.77(m,1H),6.59(d,1H),5.96(d,1H),5.90(d,1H),5.79(d,1H),5.70(dd,1H),5.10(s,1H),4.14(d,1H),4.02(d,1H),2.93(d,1H),2.25(s,3H),2.14(s,3H),2.13−2.10(m,1H),1.75−1.67(m,1H),1.03(d,3H),0.45−0.43(m,1H)。
下記の表には、化合物40〜61の構造が示される。
実施例2:細胞変性効果(Cytopathic Effect、CPE)低減アッセイ
インフルエンザウイルスの活性を阻害する試験化合物の効力を評価するために、CPE低減アッセイを下記のように実施した
96ウェル組織培養プレート内のコンフルエントなMDCK細胞を、37℃で72時間、感染多重度が低い状態で、試験化合物及びインフルエンザA型又はB型ウイルスと培養した。0.5%ホルムアルデヒドを加えてプレートを固定した後、0.5%クリスタルバイオレットで染色した。続いて、プレートをマイクロプレートリーダー(Multiskan Ascent、Thermo)により、570nmで測定した。ウイルス対照群と比べて、試験化合物のウイルス誘発CPEを50%減少させるために必要な濃度は、50%有効量(EC50)として表された。
化合物1〜39は、CPE低減アッセイを使用して試験された。インフルエンザA型ウイルスの感染では、30個の試験化合物(すなわち、化合物1〜10、13、16〜22、25、27〜30、32〜33、35〜38及び39)は予期せずに0.1μM未満のEC50値を示し、9個の試験化合物(すなわち、化合物11〜12、14〜15、23〜24、26、31、及び34)は、0.1〜1μMのEC50値を示した。一方、インフルエンザB型ウイルスの感染では、15個の試験化合物(すなわち、化合物2〜5、7〜9、14〜15、17、24、35、37〜38及び39)は予期せずに0.1μM未満のEC50値を示し、24個の試験化合物(すなわち、化合物1、6、10〜13、16、18〜23、25〜34、及び36)は、0.1〜1μMのEC50値を示した。
さらに、本開示の式(I)におけるシクロプロピル部分を含む化合物は、予想外に、シクロプロピル部分を含まない構造的に近い類似体と比べて、インフルエンザウイルスの活性を阻害することにおいてより高い効力を示した。比較例化合物(シクロプロピル部分を含まない構造的に近い類似体)と実施例化合物(シクロプロピル部分を含む)との抗インフルエンザウイルス活性の違いの結果を次の表に示す。
これらの結果は、本開示の化合物が、構造的に近い類似体と比べて、インフルエンザウイルスの活性を阻害することにおいて、予想外に高い効力を示したことを示している。
実施例3:インフルエンザウイルス感染後24時間の生存率
インフルエンザA型マウスモデルにおける感染後24時間のマウスの生存率に対する式(I)化合物の効果を評価するために、下記のように試験が行われた。
まず、マウスに100又は500pfu/マウスでインフルエンザA型ウイルスを感染させ、感染後の24時間目に式(I)化合物を投与した。投与は5日間にわたって、1日2回投与された。各化合物は、5、10、又は20mg/kgの用量でマウスに経口投与された。100又は500pfu/マウスで感染したマウスは、非常に高い死亡率を示した。予想外に、式(I)化合物、例えば、化合物1及び化合物2で治療したマウスは80%〜100%の生存率を示し、それに対して、オセルタミビルで治療したマウスは生存率16.7%を示し、比較例化合物B1で治療したマウスは生存率14.3%を示した。オセルタミビルはインフルエンザ治療用の市販薬であり、比較例化合物B1は化合物2の構造的に近い類似体であることに注意されたい。
これらの結果は、式(I)化合物がインフルエンザの治療において予想外に高い効力を示したことを示す。
(他の実施形態)
本明細書に開示されているすべての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に開示されている各特徴は、同一、同等、又は類似の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、特に明記しない限り、開示された各特徴は、一連の同等又は類似の特徴の例示にすぎない。
上記の説明から、当業者は本開示の特徴を容易に確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することがなければ、本開示に様々な変更及び修飾を加えて、様々な使用法及び条件に適合させることができる。したがって、他の実施形態もまた、下記の特許請求の範囲内である。
(関連出願の相互参照)
この出願は、2018年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/620,065号の優先権を主張している。
本開示は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害活性を有する複素環式化合物、そのプロドラッグ、及びそれらのインフルエンザを治療するための使用に関する。
インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼには、宿主mRNAを切断し、キャップ付きRNAフラグメントを生成してウイルスmRNAの合成を開始するためのプライマーとして機能させる、キャップ依存性エンドヌクレアーゼドメインが含まれている。
宿主リボソームによるウイルスmRNAの翻訳には、ウイルスmRNAが5’−キャップされている必要がある。これは、インフルエンザウイルスに感染された細胞において、キャップ依存性エンドヌクレアーゼが宿主mRNAから5’−キャップを切断して転写プライマー(10〜13個のヌクレオチド)として利用するというキャップスナッチングメカニズムによって達成される。これらのキャップ付きRNAプライマーは、ウイルスタンパク質をコードするmRNAを合成するために使用される。
キャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を阻害すると、ウイルスの増殖が抑制される。したがって、キャップ依存性エンドヌクレアーゼは、効果的な抗インフルエンザ薬を特定するための潜在的な生物学的標的である。
様々な複素環式化合物がキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤として使用されている。しかし、従来の複素環式化合物は、薬理学的特性が不十分であり、例えば、有効性が低く、溶解度が低く、生物学的利用能(bioavailability)が低いため、インフルエンザ治療用の治療薬として使用するには実用的ではない。
上記の欠点に悩まされないインフルエンザを治療するための新規なキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤を開発する必要がある。
本開示は、インフルエンザを治療するためのキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤としての複素環式化合物に関する。予想外に、これらの化合物は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性阻害において高い効力を示す。
本開示の一つの態様は、下記の式(I)で表される化合物(以下、式(I)化合物ともいう)、又はその薬学的に許容される塩、代謝物、もしくはプロドラッグにかかる。
式中、R1は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルアミノ基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R2、R2’、R3及びR3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミノ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、A1はCR4又はNであり、A2はCR5R6又はNR7であり、A3はCR5’R6’又はNR7’であり、R4は水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R5、R5’、R6、R6’、R7及びR7’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、あるいは、R5とR6、R5’とR6’、もしくはR5とR5’は、それぞれ結合している隣接する原子と一緒になってC3−10カルボシクリル基又はC3−10ヘテロシクリル基を形成する。注目すべきのは、C1ー6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1ー6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1ー6アルキルカルボニル基、C1ー6アルキルオキシカルボニル基、C1ー6アルキルアミノ基、C3−10カルボシクリル基、C3−10ヘテロシクリル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて、1〜5個の重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1ー6アルキル基、C1ー6アルコキシ基、C1−6アルキルアミノ基、C1ー6アルキル(C3−10カルボシクリル)基、C1ー6アルキル(C3−10ヘテロシクリル)基、C1ー6アルコキシ(C3−10カルボシクリル)基、C1ー6アルコキシ(C3−10ヘテロシクリル)基、C3−10カルボシクリル基、又はC3−10ヘテロシクリル基で置換される。
上記の化合物、塩、代謝物、又はプロドラッグは、化合物自体、ならびに可能である場合のそれらの多形体、立体異性体、及び溶媒和物を含む。例えば、塩は、アニオンと、上記の式を有する化合物における正に帯電した基(例えば、アミノ基)とで形成され得る。適切なアニオンは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸塩イオン、硝酸塩イオン、リン酸塩イオン、クエン酸塩イオン、メタンスルホン酸塩イオン、トリフルオロ酢酸塩イオン、酢酸塩イオン、リンゴ酸塩イオン、トシル酸塩イオン、酒石酸塩イオン、フマル酸塩イオン、グルタミン酸塩イオン、グルクロン酸塩イオン、乳酸塩イオン、グルタル酸塩イオン、及びマレイン酸塩イオンを含む。同様に、塩は、カチオンと、上記の式を有する化合物における負に帯電した基(例えば、カルボキシレート基)とでも形成され得る。適切なカチオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及びテトラメチルアンモニウムイオンのようなアンモニウムカチオンを含む。化合物には、第四級窒素原子を含む塩も含まれる。計算を簡単にするために、特に明記しない限り、本明細書で言及される化合物の重量は、その化合物の遊離塩基形態の重量を指す。
プロドラッグの例は、対象に投与される時に、活性化合物を提供することができるエステル及び他の薬学的に許容される誘導体が含まれる。通常、本開示のプロドラッグは、下記の式を有する。
ここで、Gはプロドラッグを形成するための基であり、生理学的条件下で式(I)化合物に変換することができる。Gの例には、−C(R9R9’)−O−CO−R10、−C(R9R9’)−O−CO−O−R10、−C(R9R9’)−NR11−C(=O)−CO−O−R10、−C(R9R9’)−O−CO−C(R9R9’)−NR11−CO−O−R10、−C(R9R9’)−C(R9R9’)−O−CO−R10、−C(R9R9’)−R10、−C(=O)−O−R10、−C(=O)−R10、−C(=O)−O−アルキレン−O−R10、−C(=O)−NR10R11、及び−P(=O)(R12R13)を含むが、これらに限定されず、R9、R9’、R11は、それぞれ独立して、水素又はC1−8アルキル基であり、R10はC1−8アルキル基、C3−10カルボシクリル基、又はC3−10ヘテロシクリル基であり、R12はC1−8アルコキシ基であり、R13はC1−8アルコキシ基又はC1−8アルキルアミノ基である。A1、A2、A3、R1、R2、R2’、R3及びR3’は、式(I)と同じ定義を有する。
溶媒和物は、活性化合物と薬学的に許容される溶媒とで形成される複合体を指す。薬学的に許容される溶媒の例は、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンを含む。
本開示の別の態様は、上記の化合物、塩、代謝物、又はプロドラッグと、1つ又は複数の薬学的に許容される成分とを含む医薬組成物である。薬学的に許容される成分は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、界面活性剤、又はそれらの組み合わせである。医薬組成物はインフルエンザの治療に使用することができる。
さらに、本開示は、インフルエンザを治療するための医薬品の製造のための、1つ又は複数の上記の式(I)化合物、ならびにそれらの塩、代謝物又はプロドラッグの使用を包含する。
本開示のさらに別の態様は、式(I)化合物、又はその薬学的に許容される塩、代謝物、もしくはプロドラッグを調製する方法である。
本開示のさらなる態様は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼに関連するインフルエンザを治療するための方法である。この方法は、それを必要とする対象に、有効量の1つ又は複数の上記の化合物、塩、代謝物又はプロドラッグを投与することを含む。
用語「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」とは、上記の疾患(すなわち、インフルエンザ、そのような疾患の症状、又はそのような疾患の素因)に罹っている対象に、1つ又は複数の前記化合物、塩、代謝物又はプロドラッグを投与し、治療効果を与えることを目的として、例えば、上記の疾患、その症状、又はその素因を治療、緩和、変化、影響、改善、又は予防することを指す。「有効量」とは、治療効果を与えるために必要な活性化合物、塩、代謝物、又はプロドラッグの量を指す。有効量は、当業者に理解されているように、治療される疾患の種類、投与経路、賦形剤の使用、及び他の治療処置との併用の可能性に応じて、変化される。
本開示の方法を実施するために、1つ又は複数の上記の化合物、塩、代謝物又はプロドラッグを含有する組成物は、非経口的、経口的、経鼻的、経直腸的、局所的、又は口腔的に投与され得る。本明細書で使用される「非経口」という用語とは、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病巣内、又は頭蓋内注射、ならびに任意の適切な注入技術を指す。
無菌で注射可能な組成物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒に溶解した溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオールに溶解した溶液であってもよい。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、マンニトール、水、リンガー溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、固定油は、従来、溶媒又は懸濁媒体(例えば、合成モノグリセリド又はジグリセリド)として使用されている。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、オリーブ油及びヒマシ油(特にそれらのポリオキシエチル化型)のような天然の薬学的に許容される油として、注射剤の調製において有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、カルボキシメチルセルロース、又は類似の分散剤をも含み得る。ツイン(Tween)及びスパン(Span)などの他の一般的に使用される界面活性剤又は他の類似の乳化剤、又は薬学的に許容される固体、液体、もしくは他の剤形の製造において一般的に使用される生物学的利用能促進剤も、製剤の目的で使用できる。
経口投与用の組成物は、カプセル、錠剤、乳剤や水性懸濁液、分散液、及び溶液を含む、いずれかの経口的に許容される剤形であってもよい。錠剤の場合、一般的に使用される担体は、とりわけ、ラクトース及びコーンスターチを含む。通常、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も添加される。カプセル形態での経口投与のために、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液又は乳剤を経口投与する場合、有効成分は、乳化剤又は懸濁剤と組み合わせて油相に懸濁又は溶解することができる。必要に応じて、特定の甘味料、香味料、又は着色料を加えることができる。
鼻用エアゾール剤又は吸入組成物は、医薬製剤の分野で周知の技術に従って調製することができる。例えば、そのような組成物は、ベンジルアルコール又は他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は当技術分野で公知の他の可溶化剤又は分散剤を使用して、生理食塩水に溶解した溶液として調製できる。
注目すべきのは、1つ又は複数の上記の化合物、塩、代謝物及びプロドラッグを含有する組成物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与することもできる。
医薬組成物中の担体は、組成物の活性成分と相容し(好ましくは、活性成分を安定化することができる。)、治療される対象に有害ではないという意味で、「許容可能」でなければならない。1つ又は複数の可溶化剤は、活性な1,5−ジフェニル−ペンタ−1,4−ジエン−3−オン化合物を送達するための医薬賦形剤として利用されてもよい。他の担体の例は、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、及びD&C Yellow#10を含む。
本開示及びその実施の詳細は、以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、以下のいくつかの実施形態の詳細な説明、ならびに添付の特許請求の範囲から明らかになることに留意されたい。
下記の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、代謝物、もしくはプロドラッグが詳細に開示されている。
繰り返しになるが、R1は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルアミノ基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R2、R2’、R3及びR3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミノ基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、A1はCR4又はNであり、A2はCR5R6又はNR7であり、A3はCR5’R6’又はNR7’であり、R4は水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R5、R5’、R6、R6’、R7及びR7’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、あるいは、R5とR6、R5’とR6’、もしくはR5とR5’は、それぞれ結合している隣接する原子と一緒になってC3−10カルボシクリル基又はC3−10ヘテロシクリル基を形成する。留意すべきのは、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミノ基、C3−10カルボシクリル基、C3−10ヘテロシクリル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて、1〜5個の重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキル(C3−10カルボシクリル)基、C1−6アルキル(C3−10ヘテロシクリル)基、C1−6アルコキシ(C3−10カルボシクリル)基、C1−6アルコキシ(C3−10ヘテロシクリル)基、C3−10カルボシクリル基、又はC3−10ヘテロシクリル基で置換される。
本明細書における用語「ハロゲン」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、又はヨード基を指す。用語「ヒドロキシル基」とは、−OH基を指す。用語「シアノ基」とは、−CN基を指す。用語「アミノ基」とは、−NH2基を指す。用語「ニトロ基」とは、−NO2基を指す。用語「カルボキシル基」とは、−COOH基を指す。
用語「C1−6アルキル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、1〜6個(例えば、1〜4個)の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖の飽和ヒドロカルビル置換基を指す。C1−6アルキル基の例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基などを含む。用語「C2−6アルケニル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、2〜6個(例えば、2〜4個)の炭素原子及び1つ以上の二重結合を含む直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル置換基を指す。C2−6アルケニル基の例は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、プレニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ペンタジエニル基などを含む。用語「C2−6アルキニル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、2〜6個(例えば、2〜4個)の炭素原子及び1つ以上の三重結合を含む直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル置換基を指す。C2−6アルキニル基の例は、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基などを含む。
用語「C1−6アルコキシ基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、RがC1−6アルキル基である−OR基を指す。C1−6アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、及びtert−ブトキシ基を含む。
用語「C1−6アルキルアミノ基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、RがC1−6アルキル基である−NHR基を指す。C1−6アルキルアミノ基の例は、メチルアミノ基、エチルアミノ基、及びイソプロピルアミノ基を含む。
用語「C3−20カルボシクリル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、3〜20個の炭素環原子を含む飽和環状(すなわち、「シクロアルキル基」)、部分飽和環状(すなわち、「シクロアルケニル基」)、又は完全不飽和(すなわち、「アリール基」))のヒドロカルビル置換基を(例えば、3〜10個の炭素環原子を含むC3−10カルボシクリル基、3〜8個の炭素環原子を含むC3−8カルボシクリル基、及び5〜6個の炭素環原子を含むC5−6カルボシクリル基である。)を指す。
本明細書における用語「シクロアルキル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、3〜20個の炭素環原子を含有する飽和環状ヒドロカルビル置換基を指す。シクロアルキル基は、通常、3〜10個の炭素環原子、より典型的には3〜8個の環原子、さらに典型的には5〜6個の環原子を含む単一の炭素環であってもよい。単環式シクロアルキル基の例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基を含む。あるいは、シクロアルキル基は、多環式環であってもよい。用語「シクロアルケニル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、3〜20個の炭素環原子を含む部分飽和環状ヒドロカルビル置換基を指す。シクロアルケニル基は、通常、3〜10個の炭素環原子、より典型的には3〜6個の環原子、さらに典型的には5〜6個の環原子を含む単一の炭素環であってもよい。単環式シクロアルケニル基の例は、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチニル基、シクロオクチニル基及びシクロヘキサジエニル基を含む。あるいは、シクロアルケニル基は多環式環であってもよい。用語「アリール基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、6〜20個の炭素環原子を含む芳香族カルボシクリル基を指す。アリール基は、単環式であっても多環式であってもよい。多環式芳香環の場合、多環系において1つの環のみが不飽和である必要があり、残りの環は飽和、部分飽和又は不飽和であってもよい。アリール基の例は、フェニル基、ナフタレニル基、インデニル基、インダニル基、及びテトラヒドロナフチル基、フルオレニル基、アダマンチル基を含む。
カルボシクリル基は、多環式環構造(すなわち、「シクロアルキル基」、「シクロアルケニル基」及び「アリール基」から選ばれる2つ以上の環を含む)であってもよい。多環式カルボシクリル基の例は、橋架け、縮合、及びスピロ環式カルボシクリル基を含む。橋架け環式カルボシクリル基の場合、環は少なくとも2つの共通の非隣接原子を共有する。縮合環式カルボシクリル基の場合、2つの環が1つの共通の結合を共有するように、2つ以上の環が一緒に縮合され得る。縮合環式カルボシクリル基の例は、インダニル基、インデニル基、テトラヒドロナフチル基、及びフルオレニル基を含む。典型的な縮合環式カルボシクリル基は、
用語「C3−20ヘテロシクリル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、合計3〜20個の環原子を含み、環原子の少なくとも1つがO、N及びSからなる群から選ばれるヘテロ原子である、飽和(すなわち、「ヘテロシクロアルキル基」)、部分飽和(すなわち、「ヘテロシクロアルケニル基」)、又は完全不飽和(すなわち、「ヘテロアリール基」)環構造を指す。一つの実施形態において、ヘテロシクリル基は、1〜4個(例えば、1〜2個)のO、N及びSのヘテロ原子を含む。用語「ヘテロシクロアルキル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、飽和ヘテロシクリル基を指す。用語「ヘテロシクロアルケニル基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、部分飽和ヘテロシクリル基を指す。用語「ヘテロアリール基」(単独で、又は別の用語と組み合わせて使用する。)とは、芳香族ヘテロシクリル基を指す
ヘテロシクリル基の部分は、単環式構造であってもよく、通常、3〜10個の環原子(すなわち、C3−10ヘテロシクリル基)、より典型的には3〜8個の環原子(すなわち、C3−8ヘテロシクリル基)、さらに典型的には5〜6個の環原子(すなわち、C5−6ヘテロシクリル基)を含む。単環式ヘテロシクリル基の例としては、フラニル基、テトラフラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピリジル基、ジヒドロピリジル基、テトラヒドロピリジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピリダジニル基、ピラゾリジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、イソキサゾリジニル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ジヒドロチアゾリル基、テトラヒドロチアゾリル基、テトラヒドロイソチアゾリル基、チアゾリニル基、イソチアゾリニル基、チアゾリジニル基、チアニル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、チオジアゾリル基、オキサジアゾリル基、オキサトリアゾリル基、ジオキサゾリル基、オキサチアゾリル基、オキサチオリル基、オキサチオラニル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、チオピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ピリジニル基、ピペリジル基、ジアジニル基、ピペラジニル基、トリアジニル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、オキサジニル基、ジヒドロオキサジニル基、オキサチアジニル基、オキサジアジニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、チオモルホリニル基、チオモルホリノ基、アゼピニル基、ヘキサヒドロアゼピニル基、オキセピニル基、チエピニル基、ジアゼピニル基、テトラヒドロジアゼピニル基、ピリドニル基、ピリミジニル基、ヘキサヒドロピリミジニル基、ジオキサニル基、チイラニル基、オキセタニル基、アゼチジニル基、ジオキソラニル基、ジオキソリル基、及びオキサビシクロヘプタニル基を含む。
あるいは、ヘテロシクリル基の部分は、多環式構造であってもよい。多環式ヘテロシクリル基の例は、橋架け、縮合、及びスピロ環式ヘテロシクリル基を含む。橋架けヘテロシクリル基の場合、環は少なくとも2つの共通の非隣接原子を共有する。縮合環ヘテロシクリル基の場合、2つの環が1つの共通の結合を共有するように、2つ以上の環(例えば、二環式ヘテロシクリル基又は三環式ヘテロシクリル基)が一緒に縮合されてもよい。2つ又は3つの環を含む縮合環ヘテロシクリル基の例としては、イミダゾピラジニル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリダジニル基、チアゾロピリジニル基、インドリジニル基、ピラノピロリル基、プリニル基、ナフチリジニル基、ピリドピリジニル基、プテリジニル基、ジヒドロクロメニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、インドリニル基、イソインドリニル基、イソインダゾリル基、ベンザジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、ベンゾジアジニル基、ベンゾピラニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾキサゾリル基、ベンゾキサジアゾリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾキサジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾイソキサジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、チエノピリジル基、チエノピロリル基、チエノピラゾリル基、チエノピラジニル基、フロピロリル基、チエノチエニル基、イミダゾピリジル基、ピラゾロピリジル基、チアゾロピリジル基、ピラゾロピリミジニル基、ピラゾロトリアジニル基、ピリダゾロピリジル基、トリアゾロピリジル基、イミダゾチアゾリル基、ピラジノピリダジニル基、キナゾリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、ジヒドロチアゾロピリミジニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、ジヒドロベンゾフリル基、ジヒドロベンゾキサジニル基、ジヒドロベンゾイミダゾリル基、テトラヒドロベンゾチエニル基、テトラヒドロベンゾフリル基、ベンゾジオキソリル基、ベンゾジオキソニル基、クロマニル基、クロメニル基、オクタヒドロクロメニル基、ジヒドロベンゾジオキシニル基、ジヒドロベンゾオキセジニル基、ジヒドロベンゾジオキセピニル基、ジヒドロチエノジオキシニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、キサンテニル基、フェノチアジニル基、フェノキサチイニル基、フェノキサジニル基、ジベンゾフリル基、イミダゾキノリル基、及びテトラヒドロカルバゾリル基を含む。典型的な縮合環ヘテロシクリル基は、
式(I)化合物は、下記の4つのクラスの化合物、すなわち、クラスI〜IVを含む。
クラスIの化合物は、A2がNR7であり、A3がCR5’R6’であることを特徴とする。
クラスIIの化合物は、A2がCR5R6であり、A3がNR7’であることを特徴とする。
クラスIIIの化合物は、A2がCR5R6であり、A3がCR5’R6’であることを特徴とする。このクラスでは、R5とR5’は、それぞれが結合している隣接原子と一緒になってC3−10カルボシクリル基又はC3−10ヘテロシクリル基を形成できる。
クラスIVの化合物は、A2がNR7であり、A3がNR7’であることを特徴とする。
再び式(I)を参照すると、R1は、典型的に、水素、重水素、シアノ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、C1−6アルキル基、又はC1−6アルコキシ基である。例えば、R1は、水素、重水素又はC1−6アルキル基である。例示的な式(I)化合物は、水素であるR1を有する。
一方、R4、R5、R5’、R6及びR6’は、通常、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1−6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R7及びR7’は、通常、それぞれ独立して、水素、重水素、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基である。例えば、R7及びR7’は、それぞれ独立して、C1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、このC1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、必要に応じて1〜3個のC3−8カルボシクリル基又はC3−8ヘテロシクリル基で置換される。他の例示的な式(I)化合物は、R7及びR7’は、それぞれ独立して、
であり、
式中、W
1及びW
2は、それぞれ独立して、C
3−8カルボシクリル基又はC
3−8ヘテロシクリル基であり、YはO、S、SO、SO
2、又はCH
2であり、R
8は水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1−6アルキル基、又はC
1−6アルコキシ基であり、C
1−6アルキル基又はC
1−6アルコキシ基は、必要に応じて1〜5個の重水素、ハロゲン又はヒドロキシル基で置換され、mは1〜5の整数であり、nは0〜2の整数であり、pは0〜2の整数であり、また、星記号(*)はキラル中心を示す。一つの実施形態において、R
7及びR
7’は、それぞれ独立して、
であり、
式中、mは1、2、又は3である。一つの実施形態において、R
7及びR
7’は、それぞれ、
であり、
式中、mは1、2、又は3であり、R
14、R
15及びR
16は、それぞれ独立して、水素又は重水素である。
一つの実施形態において、式(I)化合物は、それぞれ、A2がNR7であり、A3がCR5’R6’であるものであり、そのうち、R5’及びR6’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1ー6アルコキシ基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R7は、水素、重水素、カルボキシル基、C1ー6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基である。一つの実施形態において、R7はC1ー6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、C1ー6アルキル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて1〜3個のC3−8カルボシクリル基又はC3−8ヘテロシクリル基で置換される。もう一つの実施形態において、R7は、
であり、
ここで、各変数は上記のように定義される。例えば、R
7は、
別の実施形態において、式(I)化合物は、それぞれ、A2がNR7であり、A3がCR5’R6’であるものであり、そのうち、R1は、水素、重水素、ハロゲン、又はC1−6アルキル基であり、R2、R2’、R3及びR3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミノ基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R5’及びR6’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基であり、R7は、水素、重水素、カルボキシル基、C1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基である。別の実施形態において、R7はC1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基、又はC3−20ヘテロシクリル基であり、C1−6アルキル基、C3−20カルボシクリル基及びC3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて1〜3個のC3−8カルボシクリル基又はC3−8ヘテロシクリル基で置換される。この実施形態における例示的な化合物のR7は、それぞれ、
であり、
ここで、各変数は上記のように定義される。R
7の例としては、
を含むが、これらに限定されず、式中、mは1、2、又は3である。
式(I)化合物のさらなる実施形態において、A1はCH又はNであり、A2はNR7であり、A3はCR5’R6’であり、R1は、水素、重水素又はC1−6アルキル基であり、R2、R2’、R3及びR3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基、C1−6アルキルアミノ基、C3−20カルボシクリル基又はC3−20ヘテロシクリル基であり、R5’は水素であり、R6’は、水素、重水素、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基であり、R7は、
一つの実施形態において、式(I)化合物は、下記式、例えば、式(II)及び式(III)で表されてもよく、
式中、R
1、R
2、R
2’、R
3、R
3’、R
4、R
5’、R
6’及びR
7は上記のように定義される。
上記の例示的な式(I)化合物のそれぞれは、下記の式を有するプロドラッグに変換されてもよい。
式中、Gは、−C(R9R9’)−O−CO−R10、−C(R9R9’)−O−CO−O−R10、−C(R9R9’)−NR11−C(=O)−CO−O−R10、−C(R9R9’)−O−CO−C(R9R9’)−NR11−CO−O−R10、−C(R9R9’)−C(R9R9’)−O−CO−R10、−C(R9R9’)−R10、−C(=O)−O−R10、−C(=O)−R10、−C(=O)−O−アルキレン−O−R10、−C(=O)−NR10R11、又は−P(=O)(R12R13)であってもよく、R9、R9’及びR11は、それぞれ独立して、水素又はC1−8アルキル基であり、R10は、C1−8アルキル基、C3−10カルボシクリル基、又はC3−10ヘテロシクリル基であり、R12は、C1−8アルコキシ基であり、R13は、C1−8アルコキシ基又はC1−8アルキルアミノ基である。例示的なGは、下記基の1つである:
−OG基は、生体内の生理的条件下で、薬物代謝酵素、加水分解酵素、胃酸、腸内細菌などによる分解反応により、式(I)における−OH基に変換される。プロドラッグは、その投与後にインビボ(in vivo)でキャップ依存性エンドヌクレアーゼに対して阻害活性を有する親化合物になる。本開示において、プロドラッグは、親化合物に比べて、より優れた生物学的利用能及びより高い最大濃度(Cmax)を示す。
キラル中心を有する本開示の化合物は、立体異性体として存在してもよい。式(I)化合物の立体異性体は、シス及びトランス異性体、(R)及び(S)のエナンチオマーなどの光学異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、回転異性体、アトロプ異性体、配座異性体、及び互変異性体を含んでもよく、複数のタイプの異性を示す化合物、及びそれらの混合物(例えば、ラセミ化合物やジアステレオマーなど)を含む。このような異性体のすべてが含まれる。また、本開示における式(I)化合物は、互変異性の現象を示してもよい。
注目すべきのは、エナンチオ純度が高められた式(I)化合物は、90%以上(例えば、≧95%及び≧99%)の鏡像異性体過剰率を有する可能性がある。
また、本開示には、1つ又は複数の上記の化合物、塩、代謝物又はプロドラッグを含むインフルエンザを治療するための医薬組成物もある。
本開示にさらに含まれるのは、インフルエンザを治療する方法であり、その方法は、それを必要とする対象に、有効量の式(I)化合物、又はその薬学的に許容される塩、代謝物もしくはプロドラッグを投与することを含む。
さらに、本開示の範囲内には、下記の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、代謝物、もしくはプロドラッグを製造する方法がある。
ここで、この方法は、下記の工程:
(i)下記式
(Pは保護基である。)
で表されるアルデヒドを提供する工程;
(ii)前記アルデヒドと下記式
で表される第一の中間体を得る工程;
(iii)前記第一の中間体とヒドラジンとを反応させ、下記式
で表される第二の中間体を得る工程;及び
(iv)前記第二の中間体を、式(I)化合物、又はその薬学的に許容される塩、
代謝物、もしくはプロドラッグに変換する工程を含む。
(式中、A
1はCR
4であり、A
2はNR
7であり、A
3はCR
5’R
6’であり;R
1は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキルアミ
ノ基、C
3−20カルボシクリル基、又はC
3−20ヘテロシクリル基であり;R
2、R
2’、R
3及びR
3’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、ニトロ基、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
2−6アルケニルオキシ基、C
1−6アルキルカルボニル基、C
1−6アルキルオキシカルボニル基、C
1−6アルキルアミ
ノ基、C
3−20カルボシクリル基、又はC
3−20ヘテロシクリル基であり;R
4は水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
3−20カルボシクリル基、又はC
3−20ヘテロシクリル基であり;R
5’はHであり;R
6’及びR
7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
3−20カルボシクリル基、又はC
3−20ヘテロシクリル基である。さらに、前記C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6アルコキシ基、C
2−6アルケニルオキシ基、C
1−6アルキルカルボニル基、C
1−6アルキルオキシカルボニル基、C
1−6アルキルアミ
ノ基、C
3−20カルボシクリル基及びC
3−20ヘテロシクリル基は、それぞれ必要に応じて、1〜5個の重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C
1−6アルキル基、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキルアミノ基、C
1−6アルキル(C
3−10カルボシクリル)基、C
1−6アルキル(C
3−10ヘテロシクリル)基、C
1−6アルコキシ(C
3−10カルボシクリル)基、C
1ー6アルコキシ(C
3−10ヘテロシクリル)基、C
3−10カルボシクリル基、又はC
3−10ヘテロシクリル基で置換される。)
上記の式(I)化合物は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を阻害する効力について、インビトロアッセイ、例えば、下記の実施例2に記載されている細胞変性効果低減アッセイを使用することにより、最初にスクリーニングすることができる。その後、それらは、インビボアッセイ、例えば、下記の実施例3に記載されているインフルエンザA型マウスモデル研究を使用することにより、評価することができる。選択した化合物は、さらにテストして、インフルエンザの治療におけるそれらの有効性を検証することができる。結果に基づいて、適切な投与量範囲及び投与経路を調査及び決定することができる
さらに詳述しなくても、当業者は、上記の説明に基づいて、本開示を最大限に利用することができると考えられる。したがって、下記の特定の実施例、すなわち、実施例1〜3は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる方法においても、本開示の残りの部分を限定するものとして解釈されるべきではない。
特定の例のうち、実施例1は、特定の中間体、例示的な式(I)化合物、及び例示的な式(I)化合物のプロドラッグを調製するための手順、ならびにこのように調製された化合物の分析データを示す。実施例2及び3は、これらの化合物を試験するためのプロトコルを示す。
下記の表には、39個の例示的な式(I)化合物の構造が示される。
以下は、上記の39個の例示的な化合物を合成するための手順である。
特に指示がない限り、すべての試薬と溶媒は商業的供給元から購入し、更なる精製をせずに使用した。すべての反応は、乾燥窒素又はアルゴン雰囲気下で行われ、Merck Silica Gel 60 F254ガラス支持プレートを使用した薄層クロマトグラフィー(TLC)で監視された。カラムクロマトグラフィーは、Merck Silica Gel 60(0.040〜0.063mm、230〜400メッシュ)で行った。1H NMR及び13C NMRスペクトルは、Varian Mercury−300とVarian Bruker AVIII−500分光計によって測定され、化学シフト(δ)は、溶媒共鳴ピークに対する百万分率(ppm)で報告された。多重度は、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、quin(クインテット)、m(マルチプレット)、又はbr(ブロード)という略語で報告される。低解像度の質量スペクトルは、HP Hewlett Packard 1100シリーズで測定された。
下記のスキームに従って、特定の式(I)化合物を合成する。
実施例1:化合物1〜39の製造及び特性評価
化合物1の合成及び特性評価
1−(1−フルオロ−5,11−ジヒドロ−10−チア−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)−5−ヒドロキシ−3,3−シクロプロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ピリド[1,2−b]ピリダジン−4,6−ジオン(化合物1)
化合物I−3は、まず、以下に示すスキームに従って、市販の3−ベンジルオキシ−4−オキソ−4H−ピラン−2−カルバルデヒドから、中間体I−1及びI−2を経由して調製した。
ピロリジン(30.9g、434mmole)を、3−(ベンジルオキシ)−4−オキソ−4H−ピラン−2−カルバルデヒド(100g、434mmole)とシクロプロパンカルバルデヒド(91.3g、1.30mmole)の溶媒DMSO(1L)溶液に加え、混合物を50℃で23〜24時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物をCH2Cl2(1.0L)に溶解し、1NのHCl水溶液(1.0L)及びNaHCO3の飽和水溶液(1.0L)で洗浄し、続いて飽和食塩水(1.0L)で洗浄した。有機相を分離し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、残留物(133g)を得た。このように得られた残留物をEtOAc(1.0L)に溶解し、NaHCO3の飽和水溶液(1.0L)で洗浄し、続いてNaClの飽和水溶液(1.0L)で洗浄し、無水MgS04で乾燥させた後、溶媒を減圧下で蒸発させ、黒色の粗物質(106g)を形成した。得られた粗物質をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=7/3)で精製し、次に(ヘキサン/EtOAc=1/1)で再結晶し、化合物I−1を黄緑色の固体(87g、66%)として得た。
NH2NHCOCF3(8.23g、64mmole)を、化合物I−1(9.65g、32mmole)のMeOH(145mL)と水(73mL)の溶液に加えた。反応混合物を50℃で20時間撹拌した。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で除去した。固体残留物をCH2Cl2(500mL×3)に溶解し、NaClの飽和水溶液(200mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をMTBE(250mL)で洗浄して、化合物I−2(8.6g、90%)を得た。
NaBH4(1.05g、27.8mmole)を、化合物I−2(4.32g、13.9mmole)のMeOH(38mL)溶液に0℃でゆっくりと加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した。1時間後、反応液にH2O(10mL)を加え、減圧下で溶媒を除去した。固体残留物をCH2Cl2(250mL×3)に溶解し、NaClの飽和水溶液(100mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で除去して、粗生成物(4.47g)を得た
化合物I−4は、市販の9−フルオロ−11H−10−チア−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オンから下記に示す経路で調製した。
9−フルオロ−11H−10−チア−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オン(1.4g、6.1mmole)の溶液に、NaBH4(0.28g、7.3mmole)をTHF/MeOH(1:1、20mL)の中で0℃で撹拌し、1時間で室温に戻した。反応が完了した後、H2Oでクエンチし、CH2Cl2で抽出し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗製残留物1.4gを得て、これを精製せずに次の工程に使用した。次に、粗製残留物とSOCl2(0.88ml、12.2mmole)とをCH2Cl2(10mL)の中で0℃で撹拌し、次いで室温に戻した。反応が完了した後、減圧下で濃縮し、粗化合物I−4が得られ、精製せずに直接に使用した。
化合物1は、下記のように中間体I−3〜I−6を介して調製した。化合物I−3(150mg、0.5mmole)、炭酸セシウム(491mg、1.5mmole)及び化合物I−4(265mg、1.0mmole)の溶液を、ACN(6ml)の中で50℃で3時間撹拌した。CHCl2で希釈し、H2Oで洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、残留物をCH2Cl2:MeOH=39:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物I−5(92mg、0.17mmole、収率:34%)を得た。
化合物I−5(92mg、0.17mmole)の溶液に、Dess−Martinペルヨージナン(1.09g、2.56mmole)及びNaHCO3(725mg)をACN(50ml)の中で75℃で1時間攪拌した。反応物をH2Oで洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物を、CH2Cl2:MeOH=39:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物I−6(60mg、0.11mmole、収率:67%)を得た。
化合物I−6(60mg、0.114mmole)の溶液に、EA(20ml)及びCHCl2(10ml)に溶解し、Pd−C(35mg)を加えた。混合物を水素(1気圧)下、室温で1時間攪拌した。セライトのパッドを通して濾過することにより、触媒を除去した。濾液を減圧下で濃縮して、化合物1(46mg、0.106mmole、収率:93%)を得た。MS:m/z 435.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−6.89(m,6H),6.66−6.64(m,1H),6.57(d,1H),5.83(d,1H),5.42(d,1H),5.02(s,1H),4.14(d,1H),4.06(d,1H),3.32(br,1H),2.91(d,1H),1.88−1.86(m,1H),1.70−1.68(m,1H),0.99−0.96(m,1H),0.84−0.79(m,1H)。
化合物2〜39の合成及び特性評価
化合物2〜39のそれぞれは、上記のスキーム及び化合物1の調製に記載されたプロトコルに従って、同様に調製された。
化合物2〜39の分析データを以下に示す。
化合物2:MS:m/z 453.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.27(d,1H),7.08−7.00(m,4H),6.80−6.78(m,1H),6.63(d,1H),5.83(d,1H),5.50(dd,1H),5.23(s,1H),4.15(d,1H),4.06(d,1H),2.91(d,1H),2.43(br,1H),1.92−1.84(m,1H),1.78−1.67(m,1H),0.96−0.92(m,1H),0.86−0.81(m,1H)。
化合物3:MS:m/z 468.9(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−7.19(m,3H),7.07−6.96(m,2H),6.79−6.74(m,1H),6.62(d,1H),5.89−5.81(m,2H),5.30(s,1H),4.13(d,1H),3.62(d,1H),2.9(d,1H),1.90−1.87(m,1H),1.72−1.67(m,1H),0.94−0.80(m,2H)。
化合物4:MS:m/z 451.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−7.08(m,6H),6.80−6.78(m,1H),6.65(d,1H),5.83(d,1H),5.71(d,1H),5.21(s,1H),4.13(d,1H),3.51(d,1H),2.89(d,1H),1.89−1.87(m,1H),1.71−1.69(m,1H),0.97−0.83(m,2H)。
化合物5:MS:m/z 453.1(M+H)+;1H NMR(CD3OD)δ7.52−7.44(m,2H),7.22−7.18(m,1H),7.08−7.03(m,1H),6.99−6.93(m,1H),6.85−6.83(m,1H),6.70−6.68(m,1H),5.91(d,1H),5.85(d,1H),5.55(s,1H),4.20(d,1H),3.79(d,1H),2.97(d,1H),1.98−1.85(m,1H),1.64−1.48(m,1H),1.15−1.00(m,1H),0.99−0.85(m,1H)。
化合物6:MS:m/z 465.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−7.10(m,4H),7.00(d,1H),6.74−6.69(m,1H),6.53(d,1H),5.82(d,1H),5.75(d,1H),5.23(s,1H),4.13(d,1H),3.61(d,1H),2.90(d,1H),2.25(s,3H),1.89(br,1H),1.72−1.70(m,1H),1.62−1.60(m,1H),0.97−0.93(m,1H),0.85−0.82(m,1H)。
化合物7:MS:m/z 449.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.25−7.18(m,2H),7.09−6.92(m,3H),6.70(t,1H),6.52(d,1H),5.84−5.74(m,2H),5.23(s,1H),4.12(d,1H),3.59(d,1H),3.26(br,1H),2.89(d,1H),2.24(s,3H),1.90−1.86(m,1H),1.71−1.65(m,1H),0.99−0.92(m,1H),0.86−0.79(m,1H)。
化合物8:MS:m/z 435.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.29−7.18(m,2H),7.07−6.94(m,4H),6.80−6.76(m,1H),6.65(d,1H),5.84(d,1H),5.75(d,1H),5.21(s,1H),4.15−4.01(m,1H),3.50(d,1H),2.91(d,1H),1.89−1.87(m,1H),1.72−1.67(m,1H),0.97−0.93(m,1H),0.87−0.80(m,1H)。
化合物9:MS:m/z 435.1(M+H)+;1H NMR(DMSO−d6)δ7.47−7.29(m,5H),7.04−7.00(m,1H),6.88−6.74(m,1H),6.75−6.64(m,1H),5.83(d,1H),5.73(d,1H),5.49(s,1H),4.09−3.95(m,2H),2.78(d,1H),1.64−1.58(m,1H),1.21−1.13(m,1H),0.71−0.60(m,1H),0.58−0.45(m,1H)。
化合物10:MS:m/z 449.1(M+H)+;1H NMR(CD3OD)δ7.47−7.45(m,1H),7.28−7.18(m,3H),7.04−7.02(m,1H),6.73−6.70(m,2H),5.84(d,1H),5.58(d,1H),5.49(s,1H),4.18(d,2H),2.98(d,1H),2.24(s,3H),1.98−1.87(m,1H),1.67−1.58(m,1H),1.18−1.03(m,1H),0.96−0.87(m,1H)。
化合物11:MS:m/z 431.2(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.36−7.23(m,5H),6.98(d,1H),6.72−6.67(m,1H),6.54(d,1H),5.82(d,1H),5.75(d,1H),5.23(s,1H),4.12(d,1H),3.66(d,1H),2.90(d,1H),2.23(s,3H),1.90−1.83(m,1H),1.72−1.62(m,1H),1.01−0.92(m,1H),0.86−0.79(m,1H)。
化合物12:MS:m/z 469.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.26−7.02(m,5H),6.76(t,1H),6.63(d,1H),5.89(d,1H),5.51(d,1H),5.32(s,1H),4.17(d,1H),4.15(d,1H),3.17(br,1H),2.91(d,1H),1.93−1.87(m,1H),1.72−1.67(m,1H),1.00−0.81(m,2H)。
化合物13:MS:m/z 451.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.43−7.15(m,6H),6.75(t,1H),6.63(d,1H),5.88(d,1H),5.79(d,1H),5.27(s,1H),4.12(d,1H),3.68(d,1H),3.43(br,1H),2.90(d,1H),1.91−1.87(m,1H),1.71−1.66(m,1H),0.99−0.79(m,2H)。
化合物14:MS:m/z 469.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.38−7.16(m,4H),6.94−6.88(m,1H),6.83−6.76(m,1H),6.50(d,1H),5.72(d,1H),5.75(d,1H),5.26(s,1H),4.14(d,1H),3.60(d,1H),2.90(d,1H),2.60(br,1H),1.90−1.88(m,1H),1.71−1.69(m,1H),0.96−0.81(m,2H)。
化合物15:MS:m/z 453.1(M+H)+;1H NMR(CD3OD)δ7.48−7.24(m,2H),7.24−6.96(m,3H),6.80−6.50(m,2H),6.50−6.34(m,1H),5.89(d,1H),5.14−5.00(m,2H),4.06(d,1H),2.83(d,1H),2.10−1.96(m,1H),1.78−1.60(m,1H),1.16−1.00(m,1H),0.96−0.80(m,1H)。
化合物16:MS:m/z 467.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.21(d,1H),7.10−7.00(m,3H),6.72(t,1H),6.51(d,1H),5.82(d,1H),5.51(d,1H),5.24(s,1H),4.16−4.07(m,2H),2.91(d,1H),2.24(s,3H),2.03−1.66(m,3H),0.99−0.81(m,2H)。
化合物17:MS:m/z 471.0(M+H)+;1H NMR(DMSO−d6)δ7.39−7.37(m,2H),7.21(d,1H),7.09(t,1H),6.93−6.86(m,1H),6.79(d,1H),5.72−5.68(m,1H),5.63(s,1H),5.52(d,1H),4.20(d,1H),4.09(d,1H),2.90(d,1H),1.79−1.67(m,1H),1.36−1.31(m,1H),0.90−0.70(m,2H)。
化合物18:MS:m/z 486.9(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.26−7.20(m,2H),7.12−6.96(m,2H),6.76(t,1H),6.60(d,1H),5.90(d,1H),5.56(d,1H),5.28(s,1H),4.14(d,2H),2.90(d,1H),2.64(br,1H),1.92−1.87(m,1H),1.73−1.67(m,1H),0.97−0.80(m,2H)。
化合物19:MS:m/z 469.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.34−7.26(m,2H),7.10−7.09(m,2H),6.99(d,1H),6.84−6.79(m,1H),6.65(d,1H),5.84(d,1H),5.49(dd,1H),5.24(s,1H),4.17(d,1H),4.07(d,1H),2.92(d,1H),1.93−1.88(m,1H),1.75−1.68(m,1H),1.02−0.95(m,1H),0.90−0.83(m,1H)。
化合物20:MS:m/z 467.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.09−7.03(m,3H),7.02−6.95(m,1H),6.82−6.77(m,1H),6.62(d,1H),5.85(d,1H),5.53(dd,1H),5.16(s,1H),4.09(d,1H),4.04(d,1H),2.96(d,1H),2.13−2.09(m,1H),2.05−1.96(m,1H),1.06(d,3H),0.69−0.66(m,1H)。
化合物21:MS:m/z 467.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.30−7.20(m,2H),7.14−6.78(m,4H),6.65(d,0.4H),6.57−6.52(m,0.6H),5.94(d,0.6H),5.85(d,0.4H),5.46−5.33(m,1H),5.22(s,0.4H),5.04(s,0.6H),4.18(d,0.6H),4.06(d,0.4H),3.14−3.02(m,1H),1.87−1.74(m,1.4H),1.66−1.58(m,0.6H),1.35−1.33(m,3H),1.03−0.84(m,1.4H),0.70−0.64(m,0.6H)。
化合物22:MS:m/z 480.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.33−7.27(m,2H),7.16−6.96(m,3H),6.91−6.79(m,1H),6.64(d,0.5H),6.57−6.53(m,0.5H),5.94(d,0.5H),5.85(d,0.5H),5.67(dd,0.5H),5.37(dd,0.5H),5.30(s,0.5H),5.13(s,0.5H),4.16(d,0.5H),4.04(d,0.5H),2.82−2.74(m,1H),1.92−1.52(m,4H),1.13−1.02(m,4H),0.97−0.81(m,1H)。
化合物23:MS:m/z 503.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.36−7.21(m,3H),6.99(d,1H),6.78(t,1H),6.62(d,1H),5.88(d,1H),5.58(d,1H),5.30(s,1H),4.19−4.15(m,2H),2.92(d,1H),2.04−1.06(m,3H),0.96−0.85(m,2H)。
化合物24:MS:m/z 487.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.36−7.23(m,2H),7.01−6.91(m,2H),6.85−6.81(m,1H),6.51(d,1H),5.89(d,1H),5.54(d,1H),5.31(s,1H),4.18−4.14(m,2H),2.92(d,1H),2.17(br,1H),1.93−1.88(m,1H),1.74−1.69(m,1H),0.97−0.86(m,2H)。
化合物25:MS:m/z 479.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.33−7.31(m,1H),7.23−6.98(m,3H),6.92−6.85(m,1H),6.81−6.76(m,1H),6.67(d,0.5H),6.60−6.55(m,0.5H),5.92(d,0.5H),5.90−5.78(m,1.5H),5.49(dd,0.5H),5.37(dd,0.5H),5.33−5.27(m,2H),5.21(s,0.5H),5.09(s,0.5H),4.18(d,0.5H),4.08(d,0.5H),3.44−3.40(m,1H),1.93−1.87(m,1.5H),1.78−1.74(m,0.5H),1.12−1.07(m,0.5H),0.98−0.90(m,1H),0.72−0.68(m,0.5H)。
化合物26:MS:m/z 485.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.15−7.07(m,2H),6.70−6.83(m,2H),6.57−6.52(m,0.5H),6.51(d,0.5H),5.96(d,0.5H),5.91(d,0.5H),5.51(d,0.5H),5.46(d,0.5H),5.29(s,0.5H),5.11(s,0.5H),4.24(d,0.5H),4.15(d,0.5H),3.12−3.08(m,1H),1.90−1.76(m,1.5H),1.66−1.64(m,0.5H),1.37−1.33(m,3H),1.05−0.89(m,1.5H),0.72−0.66(m,0.5H)。
化合物27:MS:m/z 481.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.18−7.16(m,1H),7.10−6.97(m,2.5H),6.91−6.83(m,1H),6.75−6.70(m,0.5H),6.60−6.53(m,1H),5.96(d,0.5H),5.84(d,0.5H),5.48(dd,0.5H),5.35(dd,0.5H),5.25(s,0.5H),5.07(s,0.5H),4.23(d,0.5H),4.16(d,0.5H),3.12−3.03(m,1H),2.34(s,1.5H),2.25(s,1.5H),1.85−1.65(m,1.5H),1.60−1.51(m,0.5H),1.36−1.25(m,3H),1.04−0.89(m,1.5H),0.70−0.67(m,0.5H)。
化合物28:MS:m/z 467.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.14−7.02(m,4H),6.83−6.80(m,1H),6.62(d,1H),5.88(s,1H),5.43(dd,1H),5.18(s,1H),4.00(d,1H),3.95(d,1H),2.87(d,1H),2.25(s,3H),1.93−1.87(m,1H),1.64−1.57(m,1H),0.87−0.80(m,1H),0.67−0.60(m,1H)。
化合物29:MS:m/z 497.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.56−7.54(m,2H),7.40−7.32(m,1H),7.29−7.18(m,3H),6.91−6.83(m,2H),6.05−5.99(m,1H),5.96(s,1H),5.81−5.79(m,1H),4.22−4.19(m,1H),3.60−3.56(m,1H),2.96−2.90(m,1H),2.28(br,1H),2.16−2.10(m,1H),1.51−1.48(m,1H),0.97−0.83(m,2H)。
化合物30:MS:m/z 485.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.12−7.02(m,2H),6.98−6.92(m,1H),6.86−6.79(m,1H),6.48(d,1H),5.89(s,1H),5.41(dd,1H),5.30(s,1H),4.09(d,1H),3.98(d,1H),2.87(d,1H),2.25(s,3H),1.94−1.87(m,1H),1.65−1.58(m,1H),0.88−0.81(m,1H),0.66−0.63(m,1H)。
化合物31:MS:m/z 481.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.09−7.02(m,3H),6.77−6.72(m,1H),6.51(d,1H),5.87(d,1H),5.45(dd,1H),5.20(s,1H),4.08(d,1H),3.96(d,1H),2.87(d,1H),2.21(s,3H),2.19(s,3H),1.93−1.86(m,1H),1.64−1.56(m,1H),0.86−0.79(m,1H),0.64−0.58(m,1H)。
化合物32:MS:m/z 525.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31(d,1H),7.12−7.07(m,3H),6.99−6.89(m,1H),6.86−6.76(m,1H),6.63−6.60(m,1H),5.86(d,1H),5.46(dd,1H),5.12(s,0.5H),4.98(s,0.5H),4.13−3.91(m,4H),3.52(d,1H),3.16(bs,1H),2.68(dd,1H),2.17(dd,1H),1.45−1.41(m,1H),1.30−1.21(m,3H)。
化合物33:MS:m/z 497.0(M+H)+;1H NMR(CD3OD)δ7.33(d,1H),7.21−7.12(m,2H),7.06−7.0(m,2H),6.79−6.69(m,2H),5.70(d,1H),5.61−5.57(m,1H),5.39(s,0.5H),5.27(s,0.5H),4.04(dd,1H),3.86(dd,1H),3.43(d,1H),2.74−2.72(m,1H),2.42−2.37(m,1H),1.47−1.45(m,1H)。
化合物34:MS:m/z 573.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.50−7.31(m,4H),7.22−7.09(m,5H),6.90−6.81(m,2H),6.62−6.60(m,1H),6.19(d,1H),5.48(d,1H),5.04(s,1H),4.41−4.29(m,2H),4.11−4.07(m,2H),3.63−3.47(m,1H),3.23−3.07(m,1H),2.96(d,1H),2.58(bs,1H),2.19−1.97(m,1H),1.72−1.71(m,1H),0.87−0.85(m,1H)。
化合物35:MS:m/z 485.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.11−7.05(m,1H),7.00−6.89(m,2H),6.83−6.76(m,1H),6.47(d,1H),5.88(d,1H),5.56(dd,1H),5.22(s,1H),4.15(d,1H),4.06(d,1H),2.95(d,1H),2.13−2.11(m,1H),2.10−2.09(m,1H),1.06(d,3H),0.68−0.64(m,1H)。
化合物36:MS:m/z 481.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.08−6.95(m,3H),6.74−6.69(m,1H),6.50(d,1H),5.83(d,1H),5.57(dd,1H),5.18(s,1H),4.15(d,1H),4.05(d,1H),2.96(d,1H),2.25(s,3H),2.12−2.08(m,1H),2.04−1.94(m,1H),1.05(d,3H),0.68−0.65(m,1H)。
化合物37:MS:m/z 481.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.29(d,1H),7.11−7.03(m,3H),7.01−6.96(m,1H),6.82−6.78(m,1H),6.62(d,1H),5.84(d,1H),5.52(dd,1H),5.17(s,1H),4.08(d,2H),4.04(d,1H),2.98(d,1H),2.08−2.05(m,1H),1.94−1.89(m,1H),1.43−1.36(m,1H),1.16−1.07(m,1H),1.02−1.97(m,3H),0.67−0.68(m,1H)。
化合物38:MS:m/z 497.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.11−7.03(m,3H),6.99−6.95(m,1H),6.82−6.76(m,1H),6.62(d,1H),5.84(d,1H),5.52(dd,1H),5.15(s,1H),4.20(d,1H),4.07(d,1H),3.64−3.58(m,1H),3.25(s,3H),3.05(d,1H),3.04−2.80(m,1H),2.20−2.17(m,1H),2.07−2.01(m,1H),0.91−0.82(m,1H)。
化合物39:MS:m/z 457.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.27(d,1H),7.11−6.97(m,2H),5.84(d,1H),5.50(dd,1H),5.23(s,1H),4.16(d,1H),4.05(d,1H),2.92(d,1H),1.93−1.84(m,1H),1.74−1.68(m,1H),1.01−0.94(m,1H),0.90−0.83(m,1H)。
化合物40の合成及び特性評価
化合物1(0.033g、0.076mmole)をCH3CN(6ml)に溶解し、K2CO3(0.315g、2.28mmole)、NaI触媒及びクロロメチルアセテート(0.050g、0.46mmole)を加えた。次に、混合物を60℃で16時間撹拌した。混合溶液を減圧下で濃縮し、PLCにより精製して、化合物40(6.1mg、収率:16%)を得た。MS:m/z 507.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.32−7.04(m,6H),6.89−6.84(m,1H),6.76(d,1H),5.98(d,1H),5.92(d,1H),5.80(d,1H),5.44(dd,1H),5.18(s,1H),4.12(d,1H),4.06(d,1H),2.91(d,1H),2.14(s,3H),1.94−1.90(m,1H),1.50−1.44(m,1H),0.88−0.77(m,2H)。
化合物41〜61の合成及び特性評価
化合物41〜61のそれぞれは、化合物40の調製において記載された同様のプロトコルに従って調製された。
化合物41〜61の分析データを以下に示す。
化合物41:MS:m/z 552.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.08−7.01(m,3H),6.98−6.90(m,1H),6.72(d,1H),5.97(d,1H),5.48(dd,1H),5.16(s,1H),4.20(d,1H),4.04(d,1H),3.60−3.33(m,4H),2.90(d,1H),1.93−1.87(m,1H),1.57−1.41(m,1H),1.38−1.28(m,6H),0.87−0.74(m,2H)。
化合物42:MS:m/z 716.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.36−7.26(m,4H),7.20−6.97(m,6H),6.88−6.27(m,2H),6.28(d,0.5H),6.15(d,0.5H),6.00−5.95(m,1H),5.87(d,0.5H),5.74(d,0.5H),5.48−5.43(m,1.5H),5.24−5.10(m,2.5H),5.01(d,0.5H),4.75(d,0.5H),4.54−4.49(m,0.5H),4.36−4.31(m,0.5H),4.11−4.00(m,2H),2.88−2.82(m,1H),2.50−2.47(m,0.5H),2.24−2.17(m,0.5H),2.00−1.98(m,0.5H),1.90−1.85(m,0.5H),1.46−1.39(m,1H),1.05−0.68(m,8H)。
化合物43:MS:m/z 579.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.09−7.05(m,3H),7.02−6.95(m,1H),6.91−6.89(m,1H),6.81−6.74(m,1H),5.99(d,01H),5.48(dd,1H),5.16(s,1H),4.16(d,1H),4.04(d,1H),2.91(d,1H),2.71−2.66(m,2H),1.92−1.88(m,1H),1.83−1.71(m,2H),1.70−1.59(m,2H),1.65−1.50(m,1H),1.47−1.34(m,6H),0.97−0.77(m,5H)。
化合物44:MS:m/z 543.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.50−7.47(m,2H),7.36−7.21(m,4H),7.07−6.95(m,4H),6.76−6.71(m,1H),6.53(d,1H),5.96(d,1H),5.49−5.40(m,3H),5.09(s,1H),4.04−3.95(m,2H),2.83(d,1H),1.94−1.89(m,1H),1.39−1.34(m,1H),0.76−0.65(m,2H)。
化合物45:MS:m/z 541.0(M++1);1H NMR(CDCl3)δ7.31(d,1H),7.06−7.00(m,4H),6.85−6.84(m,1H),6.73(d,1H),6.03(d,1H),5.96(d,1H),5.80(d,1H),5.49(d,1H),5.15(s,1H),4.13(d,1H),4.05(d,1H),3.87(s,3H),2.91(d,1H),1.95−1.90(m,1H),1.49−1.48(m,1H),0.88−0.76(m,2H)。
化合物46:MS:m/z 555.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,0.5H),7.18(d,0.5H),7.14−7.09(m,2H),7.05−6.92(m,2H),6.87−6.84(m,0.5H),6.72−6.70(m,0.5H),6.57−6.55(m,0.5H),6.44−6.42(m,0.5H),5.97(d,0.5H),5.94(d,0.5H),5.53−5.44(m,1H),5.14(s,0.5H),5.12(s,0.5H),4.14−4.09(m,1H),4.06(d,0.5H),4.01(d,0.5H),3.83(s,1.5H),3.68(s,1.5H),3.03−2.872(m,1H),1.97−1.91(m,1H),1.80−1.78(m,3H),1.47−1.32(m,1H),0.85−0.71(m,2H)。
化合物47:MS:m/z 539.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.22(d,1H),7.10−7.01(m,3H),6.79(t,1H),6.62(d,1H),5.96(d,1H),5.91(d,1H),5.80(d,1H),5.53(dd,1H),5.17(s,1H),4.13(d,1H),4.12(d,1H),2.90(d,1H),2.25(s,3H),2.14(s,3H),1.94−1.89(m,1H),1.50−1.43(m,1H),0.85−0.73(m,2H)。
化合物48:MS:m/z 538.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.21−7.29(m,1H),7.09−6.90(m,3H),6.80−6.59(m,2H),5.97(d,1H),5.51(d,1H),5.20(bs,1H),4.19−4.10(m,2H),3.16−2.98(m,6H),2.90(d,1H),2.25(s,3H),1.91−1.87(m,1H),1.52(m,1H),0.83−0.73(m,2H)。
化合物49:MS:m/z 579.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.29−7.26(m,1H),7.07−7.01(m,3H),6.80−6.75(m,1H),6.56(d,1H),5.95(d,1H),5.52−5.47(m,1H),5.29(d,1H),5.20−5.16(m,2H),4.17−4.07(m,2H),2.95−2.88(m,1H),2.25(s,3H),2.14(s,3H),1.98−1.93(m,1H),1.54−1.47(m,1H),0.87−0.74(m,2H)。
化合物50:MS:m/z 555.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.10−6.97(m,3H),6.77(t,1H),6.60(d,1H),6.06(d,1H),5.96(d,1H),5.78(d,1H),5.55−5.50(m,1H),5.18(s,1H),4.16−4.12(m,2H),3.87(s,3H),2.92(d,1H),2.25(s,3H),1.95−1.90(m,1H),1.52−1.46(m,1H),0.88−0.73(m,2H)。
化合物51:MS:m/z 583.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.10−6.91(m,3H),6.78(t,1H),6.69(d,1H),6.11(d,1H),5.96(d,1H),5.79(d,1H),5.52(d,1H),5.17(s,1H),5.02−4.94(m,1H),4.16−4.12(m,2H)2.92(d,1H),2.25(s,3H),1.91−1.88(m,1H),1.44−1.26(m,7H),0.90−0.75(m,2H)。
化合物52:MS:m/z 542.8(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.13−6.85(m,4H),6.61(d,1H),6.00(d,1H),5.93(d,1H),5.77(d,1H),5.53(dd,1H),5.21(s,1H),4.15−4.10(m,2H),2.90(d,1H),2.14(s,3H),1.95−1.89(m,1H),1.51−1.44(m,1H),0.87−0.71(m,2H)。
化合物53:MS:m/z 583.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.28(d,1H),7.13−6.83(m,4H),6.55(d,1H),6.01(d,1H),5.50(dd,1H),5.33−5.15(m,3H),4.16−4.12(m,2H),2.91(d,1H),2.11(s,3H),1.98−1.93(m,1H),1.54−1.47(m,1H),0.82−0.71(m,2H)。
化合物54:MS:m/z 559.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.30(d,1H),7.14−6.83(m,4H),6.59(d,1H),6.15(d,1H),5.97(d,1H),5.80(d,1H),5.53(dd,1H),5.22(s,1H),4.16−4.12(m,2H),3.87(s,3H),2.92(d,1H),1.96−1.92(m,1H),1.54−1.47(m,1H),0.88−0.73(m,2H)。
化合物55:MS:m/z 493.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.32−7.24(m,3H),7.16(d,1H),7.09−7.07(m,2H),6.87−6.78(m,2H),6.01(d,1H),5.72(d,1H),5.15(s,1H),4.15(d,1H),3.50(d,1H),2.91(d,1H),2.41(s,3H),1.92−1.89(m,1H),1.55−1.52(m,1H),0.90−0.83(m,2H)。
化合物56:MS:m/z 525.0(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.24−7.22(m,2H),7.23(d,1H),7.06(dd,1H),7.01−6.86(m,3H),6.61(d,1H),6.00(d,1H),5.93(d,1H),5.80(d,1H),5.76(d,1H),5.19(s,1H),4.09(d,1H),3.58(d,1H),2.88(d,1H),2.14(s,3H),1.96−1.84(m,1H),1.49−1.44(m,1H),0.82−0.74(m,2H)。
化合物57:MS:m/z 561.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.29−7.20(m,2H),7.04−6.93(m,3H),6.76(t,1H),6.56(d,1H),5.95(d,1H),5.76(d,1H),5.31−5.16(m,3H),4.07(d,1H),3.60(d,1H),2.90(d,1H),2.45(s,3H),2.15(s,3H),1.98−1.93(m,1H),1.53−1.46(m,1H),0.90−0.71(m,2H)。
化合物58:MS:m/z 539.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.31−7.22(m,3H),7.15−6.88(m,3H),6.77−6.67(m,1H),6.06(d,0.75H),6.00(d,0.25H),5.87−5.80(m,2H),5.43(d,0.25H),5.28(d,0.75H),5.15(s,0.25H),5.00(s,0.75H),4.14(d,0.75H),4.05(d,0.25H),3.12−3.06(m,1H),2.12(s,3H),1.96−1.89(m,1H),1.59−1.45(m,1H),1.37−1.25(m,3H),0.94−0.83(m,1H),0.63−0.48(m,1H)。
化合物59:MS:m/z 539.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.26(d,1H),7.09−7.05(m,3H),7.02−6.97(m,1H),6.90−6.95(m,1H),6.72(d,1H),5.94(d,1H),5.87(d,1H),5.79(d,1H),5.52(dd,1H),5.07(s,1H),4.14(d,1H),4.05(d,1H),4.02(d,1H),2.92(d,1H),2.14(s,3H),2.12−2.10(m,1H),1.76−1.70(m,1H),1.03(d,3H),0.47−0.44(m,1H)。
化合物60:MS:m/z 557.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.22(d,1H),7.17−6.97(m,2H),6.93−6.85(m,2H),6.59(d,1H),6.01(d,1H),5.92(d,1H),5.68(d,1H),5.55(dd,1H),5.14(s,1H),4.14(dd,1H),4.02(d,1H),2.92(d,1H),2.15(s,3H),2.14−2.10(m,1H),1.75−1.68(m,1H),1.03(d,3H),0.45−0.43(m,1H)。
化合物61:MS:m/z 553.1(M+H)+;1H NMR(CDCl3)δ7.23(d,1H),7.17−6.97(m,3H),6.82−6.77(m,1H),6.59(d,1H),5.96(d,1H),5.90(d,1H),5.79(d,1H),5.70(dd,1H),5.10(s,1H),4.14(d,1H),4.02(d,1H),2.93(d,1H),2.25(s,3H),2.14(s,3H),2.13−2.10(m,1H),1.75−1.67(m,1H),1.03(d,3H),0.45−0.43(m,1H)。
下記の表には、化合物40〜61の構造が示される。
実施例2:細胞変性効果(Cytopathic Effect、CPE)低減アッセイ
インフルエンザウイルスの活性を阻害する試験化合物の効力を評価するために、CPE低減アッセイを下記のように実施した
96ウェル組織培養プレート内のコンフルエントなMDCK細胞を、37℃で72時間、感染多重度が低い状態で、試験化合物及びインフルエンザA型又はB型ウイルスと培養した。0.5%ホルムアルデヒドを加えてプレートを固定した後、0.5%クリスタルバイオレットで染色した。続いて、プレートをマイクロプレートリーダー(Multiskan Ascent、Thermo)により、570nmで測定した。ウイルス対照群と比べて、試験化合物のウイルス誘発CPEを50%減少させるために必要な濃度は、50%有効量(EC50)として表された。
化合物1〜39は、CPE低減アッセイを使用して試験された。インフルエンザA型ウイルスの感染では、30個の試験化合物(すなわち、化合物1〜10、13、16〜22、25、27〜30、32〜33、35〜38及び39)は予期せずに0.1μM未満のEC50値を示し、9個の試験化合物(すなわち、化合物11〜12、14〜15、23〜24、26、31、及び34)は、0.1〜1μMのEC50値を示した。一方、インフルエンザB型ウイルスの感染では、15個の試験化合物(すなわち、化合物2〜5、7〜9、14〜15、17、24、35、37〜38及び39)は予期せずに0.1μM未満のEC50値を示し、24個の試験化合物(すなわち、化合物1、6、10〜13、16、18〜23、25〜34、及び36)は、0.1〜1μMのEC50値を示した。
さらに、本開示の式(I)におけるシクロプロピル部分を含む化合物は、予想外に、シクロプロピル部分を含まない構造的に近い類似体と比べて、インフルエンザウイルスの活性を阻害することにおいてより高い効力を示した。比較例化合物(シクロプロピル部分を含まない構造的に近い類似体)と実施例化合物(シクロプロピル部分を含む)との抗インフルエンザウイルス活性の違いの結果を次の表に示す。
これらの結果は、本開示の化合物が、構造的に近い類似体と比べて、インフルエンザウイルスの活性を阻害することにおいて、予想外に高い効力を示したことを示している。
実施例3:インフルエンザウイルス感染後24時間の生存率
インフルエンザA型マウスモデルにおける感染後24時間のマウスの生存率に対する式(I)化合物の効果を評価するために、下記のように試験が行われた。
まず、マウスに100又は500pfu/マウスでインフルエンザA型ウイルスを感染させ、感染後の24時間目に式(I)化合物を投与した。投与は5日間にわたって、1日2回投与された。各化合物は、5、10、又は20mg/kgの用量でマウスに経口投与された。100又は500pfu/マウスで感染したマウスは、非常に高い死亡率を示した。予想外に、式(I)化合物、例えば、化合物1及び化合物2で治療したマウスは80%〜100%の生存率を示し、それに対して、オセルタミビルで治療したマウスは生存率16.7%を示し、比較例化合物B1で治療したマウスは生存率14.3%を示した。オセルタミビルはインフルエンザ治療用の市販薬であり、比較例化合物B1は化合物2の構造的に近い類似体であることに注意されたい。
これらの結果は、式(I)化合物がインフルエンザの治療において予想外に高い効力を示したことを示す。
(他の実施形態)
本明細書に開示されているすべての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に開示されている各特徴は、同一、同等、又は類似の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、特に明記しない限り、開示された各特徴は、一連の同等又は類似の特徴の例示にすぎない。
上記の説明から、当業者は本開示の特徴を容易に確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することがなければ、本開示に様々な変更及び修飾を加えて、様々な使用法及び条件に適合させることができる。したがって、他の実施形態もまた、下記の特許請求の範囲内である。