JP2021187099A - 液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体吐出ヘッドの吐出孔面に形成された撥液膜の劣化度を適切に解析することが可能な液体吐出装置を提供する。
【解決手段】記録装置1は、液体吐出ヘッド51と測定部731と解析部74とを備える。液体吐出ヘッド51は、液体加圧室533内のインクに圧力が加えられることに伴ってインクを吐出する液体吐出孔535が形成された吐出孔面535Sと、液体吐出孔535が露出するように吐出孔面535Sに形成された撥液膜535Fと、を含む。測定部731は、液体加圧室533内のインクに圧力が加えられたときの、液体吐出孔535における液面LSの変位を測定する測定処理を行う。解析部74は、測定部731の測定結果に基づいて、撥液膜535Fの劣化度の指標を示す膜劣化指標値IVを求める解析処理を行う。
【選択図】図10
【解決手段】記録装置1は、液体吐出ヘッド51と測定部731と解析部74とを備える。液体吐出ヘッド51は、液体加圧室533内のインクに圧力が加えられることに伴ってインクを吐出する液体吐出孔535が形成された吐出孔面535Sと、液体吐出孔535が露出するように吐出孔面535Sに形成された撥液膜535Fと、を含む。測定部731は、液体加圧室533内のインクに圧力が加えられたときの、液体吐出孔535における液面LSの変位を測定する測定処理を行う。解析部74は、測定部731の測定結果に基づいて、撥液膜535Fの劣化度の指標を示す膜劣化指標値IVを求める解析処理を行う。
【選択図】図10
Description
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に関する。
液体吐出装置が適用されるインクジェット式の記録装置は、インク(液体)を吐出する液体吐出ヘッドを備えている。液体吐出ヘッドは、液体吐出孔が形成された吐出孔面を有し、液体吐出孔からインクを吐出するように構成されている。
液体吐出ヘッドにおいては、増粘されたインクやごみ等が液体吐出孔に付着する場合がある。この場合、液体吐出孔から吐出されるインク滴の速度の低下や、液体吐出孔からのインク滴の不吐出、或いは液体吐出孔からインク滴がよれて吐出されるヨレ吐出などの吐出不良が生じ得る。液体吐出孔からのインク滴の吐出不良が生じると、正確に画像を記録できなくなる。このため、インク滴の吐出不良が生じているかを検出する必要がある。
特許文献1には、インク滴の吐出不良を検出するための技術が開示されている。この特許文献1に開示される従来技術では、液体吐出ヘッドの吐出孔面の近傍に発光素子及び受光素子が対向配置され、受光素子の検出信号に基づいてインク滴の吐出不良の検出が行われる。
ところで、液体吐出ヘッドにおいては、吐出孔面にインクが濡れ広がるのを規制して液体吐出孔からインク滴を適切に吐出させるために、吐出孔面に撥液膜が形成される場合がある。この撥液膜に削れや剥がれ等の劣化が生じている場合、液体吐出孔からのインク滴の吐出不良が発生し得る。このため、撥液膜の劣化度を解析する必要がある。
撥液膜の劣化度の解析手法として上記従来技術を適用した場合、受光素子の検出信号に基づいて撥液膜の劣化度を解析することになる。例えば、撥液膜の劣化に応じて液体吐出孔からインク滴がよれて吐出される場合であって、そのインク滴の吐出方向が発光素子と受光素子との対向方向に一致するヨレ吐出が生じた場合を想定する。この場合、受光素子の検出信号の変化が、単に吐出速度の低下に起因したものであるのか、或いはヨレ吐出に起因したものであるのかを判別できない、という問題がある。また、受光素子の検出信号に基づいてインク滴の吐出不良が検出されたとしても、その吐出不良が、増粘されたインクやごみ等の付着に起因したものであるのか、或いは撥液膜の劣化に起因したものであるのかを判別できない。すなわち、液体吐出ヘッドの吐出孔面の近傍に対向配置される発光素子及び受光素子を用いた上記従来技術では、撥期膜の劣化度を適切に解析することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液体吐出ヘッドの吐出孔面に形成された撥液膜の劣化度を適切に解析することが可能な液体吐出装置を提供することにある。
本発明の一の局面に係る液体吐出装置は、液体を収容可能な液体加圧室と、前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられることに伴って液体を吐出する液体吐出孔が形成された吐出孔面と、前記液体吐出孔が露出するように前記吐出孔面に形成された撥液膜と、を含む液体吐出ヘッドと、前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられたときの、前記液体吐出孔内における液体の液面の変位を測定する測定処理を行う測定部と、前記測定部の測定結果に基づいて、前記撥液膜の劣化度の指標を示す膜劣化指標値を求める解析処理を行う解析部と、を備える。
この液体吐出装置によれば、測定部は、液体加圧室内の液体に圧力が加えられたときの液体吐出孔における液体の液面の変位を測定する。液体吐出ヘッドの吐出孔面に形成された撥液膜に劣化が生じていた場合、撥液膜による吐出孔面の撥液性能が低下するため、吐出孔面に対する液体の濡れ広がり度合いが大きくなる。このため、撥液膜の劣化が進行するに従って、液体加圧室内の液体に圧力が加えられたときの吐出孔面に対する液面の下方側への露出量が小さくなる。すなわち、撥液膜の劣化が進行するに従って、液体吐出孔における液体の液面の変位量が小さくなる。このため、解析部は、測定部による液面の変位の測定結果に基づいて、撥液膜の劣化度の適切な指標を示す膜劣化指標値を取得することができる。これにより、解析部は、撥液膜の劣化度を適切に解析することが可能である。
上記の液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは、前記液体加圧室に対向配置される圧電アクチュエータを含む。また、液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドを制御するヘッド制御部を、更に備える。そして、前記ヘッド制御部は、前記液体吐出孔からの液体の吐出の要求を示す液体吐出要求が入力されたときに、当該液体吐出要求に応じた前記液体吐出孔からの液体の吐出を許容可能な範囲で前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられるように、前記圧電アクチュエータを変位させる液体吐出制御を実行する。前記測定部は、前記液体吐出制御の停止中において、前記測定処理を行う。
この態様では、測定部は、ヘッド制御部による液体吐出要求に応じた液体吐出制御の停止中に、液体吐出孔における液体の液面の変位を測定する測定処理を行う。これにより、液体吐出制御の実行中において、測定部の測定処理を待つための待機時間が生じることを防止することができる。
上記の液体吐出装置は、液体を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンク内の液体を前記液体加圧室に向けて圧送する圧送機構と、前記圧送機構を制御する圧送制御部と、を更に備える。そして、前記圧送制御部は、前記測定部による前記測定処理が行われるときに、前記液体吐出孔からの液体の吐出を規制可能な範囲で前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられるように、前記圧送機構に液体を圧送させる測定時圧送制御を実行する。
この態様では、測定部による測定処理が行われるときに、圧送機構は、液体吐出孔からの液体の吐出を規制可能な範囲で液体加圧室内の液体に圧力が加えられるように、貯留タンク内の液体を液体加圧室に向けて圧送する。これにより、液体吐出孔における液体の液面が変位する。このため、測定部は、液体吐出孔における液体の液面の変位を精度よく測定することができる。
上記の液体吐出装置において、前記ヘッド制御部は、前記測定部による前記測定処理が行われるときに、前記液体吐出孔からの液体の吐出を規制可能な範囲で前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられるように、前記圧電アクチュエータを変位させる測定時圧電制御を実行する。
この態様では、測定部による測定処理が行われるときに、ヘッド制御部は、液体吐出孔からの液体の吐出を規制可能な範囲で液体加圧室内の液体に圧力が加えられるように、圧電アクチュエータを変位させる。これにより、圧電アクチュエータの変位に応じて液体吐出孔における液体の液面が振動しながら変位する。このため、測定部は、液体吐出孔における液体の液面の変位を精度よく測定することができる。
上記の液体吐出装置は、情報を報知することが可能な報知部と、前記報知部を制御する報知制御部と、を更に備える。そして、前記報知制御部は、前記膜劣化指標値に基づいて、前記撥液膜の劣化の進行状況を示す膜劣化進行情報の報知タイミングを決定し、当該報知タイミングにおいて前記報知部に前記膜劣化進行情報を報知させる。
この態様では、解析部の解析結果を示す膜劣化指標値に基づく膜劣化進行情報が報知部によって報知される。液体吐出装置の使用者は、報知部によって報知される膜劣化進行情報を認識することで、撥液膜の劣化の進行状況を把握することができる。
上記の液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドの温度を調節する温度調節機構と、前記ヘッド制御部による前記液体吐出制御の実行中において、前記液体吐出ヘッドの温度が前記液体吐出孔からの液体の吐出に適した適正温度範囲内で推移するように、前記温度調節機構を制御する温調制御部と、を更に備える。そして、前記温調制御部は、前記膜劣化指標値に応じて前記適正温度範囲の上限値を設定する。
また、上記の液体吐出装置において、前記温調制御部は、前記膜劣化指標値が、劣化がより進行した値となるに従い前記適正温度範囲の上限値を低い値に設定する。
既述の通り、撥液膜の劣化度と吐出孔面に対する液体の濡れ広がり度合いとは、相関関係にある。また、吐出孔面に対する液体の濡れ広がり度合いが液体の吐出に与える影響と液体の粘度とは相関関係にある。より具体的には、液体の粘度が高いほど、液体の濡れ広がりが同程度である場合の、液体の吐出のよれの程度が小さくなる。その液体の粘度と液体吐出ヘッドの温度とは相関関係にある。これらの事実に鑑みると、撥液膜の劣化度と液体吐出ヘッドの温度とは相関関係にあると言える。そこで、温調制御部は、液体吐出ヘッドの温度が液体吐出孔からの液体の吐出に適した適正温度範囲内で推移するように温度調節機構を制御するときに、解析部により取得された膜劣化指標値に応じて前記適正温度範囲の上限値を設定する。これにより、ヘッド制御部による液体吐出制御の実行中において液体吐出孔から液滴が吐出されるときに、撥液膜の劣化に応じて、吐出孔面での液体の濡れ広がりの吐出への影響を小さくするように、液体吐出ヘッドの温度を調節することができる。このため、撥液膜の劣化に起因した液体吐出孔からの液滴の吐出不良を可及的に防止することができる。
以上説明したように、本発明によれば、液体吐出ヘッドの吐出孔面に形成された撥液膜の劣化度を適切に解析することが可能な液体吐出装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る液体吐出装置が適用されるインクジェット式の記録装置について、図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X方向が前後方向(+Xが後、−Xが前)、Y方向が左右方向(+Yが左、−Yが右)、Z方向が上下方向(+Zが上、−Zが下)に各々相当する。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや印刷処理を受ける他のシート材料を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体吐出装置が適用される記録装置1を概略的に示す図である。図2は、記録装置1のブロック図である。図3は、記録装置1に備えられる液体吐出ヘッド51の周辺を拡大して示す図である。記録装置1は、液体としてのインクを吐出する液体吐出装置であって、当該インクの吐出によってシートSに画像を形成(記録)するインクジェット式の画像形成装置である。インクは、水性媒体中に顔料等の着色粒子やバインダー樹脂等の樹脂粒子が分散されてなる分散液で構成される液体である。インクは分散液であればよく、その構成成分は特に限定されるものではない。
記録装置1は、装置本体10と、給紙部20と、シート反転部30と、シート搬送ユニット40と、記録部50とを備える。
装置本体10は、シートSに画像を記録するための各種の装置を収容する箱形の筐体である。この装置本体10には、シートSの搬送通路となる第1搬送路11、第2搬送路12及び第3搬送路13が形成されている。
給紙部20は、シートSを第1搬送路11へ給紙する。給紙部20は、給紙カセット21とピックアップローラー22とを備える。給紙カセット21は、装置本体10に対して着脱自在であり、内部にシートSを収容する。ピックアップローラー22は、給紙カセット21の−Y側であり且つ+Z側の端部に配置される。ピックアップローラー22は、給紙カセット21に収容されたシート束の最上層のシートSを1枚ずつ繰り出し、第1搬送路11へ送り出す。
第1搬送路11に給紙されたシートSは、その第1搬送路11に設けられた第1搬送ローラー対111によって、第1搬送路11の下流端に配置された、シート搬送ユニット40のレジストローラー対44まで搬送される。また、装置本体10の−Y側の側面には給紙トレイ25が配置されており、給紙トレイ25の上面部にはシートSが載置可能とされる。給紙トレイ25上に載置されたシートSは、給紙ローラー24によってレジストローラー対44に向かって送り出される。
レジストローラー対44は、シート搬送ユニット40において上流端に配置された搬送ローラー対である。レジストローラー対44は、シートSのスキュー矯正を行うとともに、記録部50による印刷処理のタイミングに合わせてシートSを、シート導入ガイド部23を介して搬送ベルト41に向けて送り出す。シート導入ガイド部23は、レジストローラー対44により送出されたシートSを、シート搬送ユニット40における搬送ベルト41の外周面411に向けてガイドする。
シート導入ガイド部23によりガイドされたシートSは、その先端部が搬送ベルト41の外周面411に接すると、搬送ベルト41の駆動により外周面411上に保持された状態でシート搬送方向Aに搬送される。なお、シート搬送方向Aは、Y方向において−Y側から+Y側に向かう方向である。
シート搬送ユニット40は、記録部50の−Z側において、液体吐出ヘッド51と対向するように配置されている。シート搬送ユニット40は、記録部50の−Z側をシートSが通過するように、シート導入ガイド部23によりガイドされて導入されたシートSを、シート搬送方向Aに搬送する。シート搬送ユニット40は、レジストローラー対44に加えて、搬送ベルト41と吸引部43とを備える。
搬送ベルト41は、X方向に幅を有してY方向に延びる無端状のベルトである。搬送ベルト41は、記録部50と対向して配置され、外周面411上にてシートSをシート搬送方向Aに搬送する。
搬送ベルト41は、第1ローラー421、第2ローラー422、第3ローラー423、及び一対の第4ローラー424に張架される。この張架された搬送ベルト41の内側において、内周面412に対向して吸引部43が配置されている。第1ローラー421は、不図示の駆動モータによって回転駆動され、所定の周回方向に搬送ベルト41を周回させる。搬送ベルト41が周回することにより、その外周面411上に保持されたシートSがシート搬送方向Aに搬送される。
第2ローラー422は、X方向に沿って延びるベルト速度検知ローラーであり、シート搬送方向Aにおいて吸引部43よりも上流側に配置される。ここで、搬送ベルト41の外周面411において、液体吐出ヘッド51と対向する領域であって、第1ローラー421と第2ローラー422との間の領域が、シートSを保持して搬送するための前記所定の搬送領域となる。第2ローラー422は、搬送ベルト41の周回に連動して従動回転する。第2ローラー422には不図示のパルス板が取り付けられ、このパルス板は、第2ローラー422と一体になって回転する。パルス板の回転速度を測定することにより、搬送ベルト41の回転速度が検知される。
第3ローラー423は、X方向に沿って延びるテンションローラーであり、搬送ベルト41が撓まないように、搬送ベルト41に張力を与える。第3ローラー423は、搬送ベルト41の周回に連動して従動回転する。一対の第4ローラー424はそれぞれ、Y方向に沿って延びるガイドローラーであり、搬送ベルト41が吸引部43の−Z側を通過するように、搬送ベルト41を案内する。一対の第4ローラー424は、搬送ベルト41の周回に連動して従動回転する。
搬送ベルト41は、外周面411から内周面412にわたって厚み方向に貫通した複数の吸引孔を有している。
吸引部43は、記録部50と搬送ベルト41を介して対向して配置されている。吸引部43は、搬送ベルト41の外周面411に保持されたシートSと搬送ベルト41との間に負圧を発生させることにより、シートSを搬送ベルト41の外周面411に密着させる。吸引部43は、ベルト案内部材431と、吸引筐体432と、吸引装置433と、排気ダクト434とを備える。
ベルト案内部材431は、搬送ベルト41の内周面412における、第1ローラー421と第2ローラー422との間の領域に対向して配置され、搬送ベルト41の幅方向(Y方向)の長さと略同一の幅寸法を有する板体である。ベルト案内部材431は、吸引筐体432の上面部を構成し、+Z側から見たときに、吸引筐体432と略同一の形状を有している。ベルト案内部材431は、第1ローラー421と第2ローラー422との間において、第1ローラー421の回転に連動した搬送ベルト41の周回移動を案内する。
また、ベルト案内部材431は、搬送ベルト41の内周面412に対向したベルト案内面に形成された、複数の溝部を有している。各溝部は、搬送ベルト41の吸引孔に対応して形成される。更にベルト案内部材431は、各溝部に対応して設けられた貫通孔を有している。貫通孔は、各溝部内においてベルト案内部材431の厚み方向に貫通した孔部であり、各溝部を介して、搬送ベルト41の吸引孔と連通する。
以上のように構成されたベルト案内部材431を備えた吸引部43は、ベルト案内部材431の溝部並びに貫通孔と、搬送ベルト41の吸引孔とを介して、搬送ベルト41の+Z側の空間から空気を吸引することにより吸引力を発生させる。この吸引力により、搬送ベルト41の上方の空間に吸引部43へ向かう気流(吸引風)が発生する。シートSがシート導入ガイド部23により搬送ベルト41上にガイドされて搬送ベルト41の外周面411の一部を覆うと、シートSに吸引力(負圧)が作用して、シートSが搬送ベルト41の外周面411に密着される。
吸引筐体432は、ベルト案内部材431を下方側から支持する支持フレームを構成する。吸引筐体432は、+Z側が開口した箱形の筐体であり、当該+Z側の開口がベルト案内部材431によって覆われるように、搬送ベルト41の−Z側に配置される。吸引筐体432は、その上面部を構成するベルト案内部材431と協働して吸引空間432Aを画定する。すなわち、吸引筐体432とベルト案内部材431とで囲まれた空間が、吸引空間432Aとなる。この吸引空間432Aは、ベルト案内部材431の溝部並びに貫通孔を介して、搬送ベルト41の吸引孔に連通する。
吸引筐体432の底壁部には開口部432Bが形成され、この開口部432Bに対応して吸引装置433が配置されている。この吸引装置433には、排気ダクト434が接続されている。この排気ダクト434は、装置本体10に設けられた不図示の排気口と連結されている。
シート搬送ユニット40の+Z側には、記録部50が配置されている。具体的には、記録部50は、シート搬送ユニット40の+Z側において、搬送ベルト41の外周面411と対向するように配置されている。記録部50は、搬送ベルト41の外周面411上に保持された状態でシート搬送方向Aに搬送されるシートSに、印刷処理を施して画像を記録する。本実施形態では、記録部50は、画像形成のための記録方式がインクジェット式であり、分散液(液体)としてのインクを吐出してシートSに画像を記録する。
記録部50は、ヘッドハウジング55に保持された液体吐出ヘッド51Bk、51C、51M、51Yを備える。液体吐出ヘッド51Bkはブラック色のインクを吐出し、液体吐出ヘッド51Cはシアン色のインクを吐出し、液体吐出ヘッド51Mはマゼンタ色のインクを吐出し、液体吐出ヘッド51Yはイエロー色のインクを吐出する。液体吐出ヘッド51Bk、51C、51M、51Yは、シート搬送方向Aの上流側から下流側に向かって並設される。液体吐出ヘッド51Bk、51C、51M、51Yは、吐出するインクの色が異なる以外は同一の構成を有するため、液体吐出ヘッド51と総称することもある。
液体吐出ヘッド51は、搬送ベルト41の外周面411上に保持された状態でシート搬送方向Aに搬送されるシートSにインクを吐出して、シートSに画像を記録する。詳しくは、液体吐出ヘッド51は、搬送ベルト41により搬送されて液体吐出ヘッド51に対向する位置を通過するシートSへ向けて、インクを吐出する。これにより、シートSに画像が記録される。液体吐出ヘッド51の詳細については後述する。
画像が記録されたシートSは、搬送ベルト41により搬送されて、当該搬送ベルト41のシート搬送方向Aの下流側に配置された搬送ユニット45に送出される。搬送ユニット45は、シート搬送ユニット40から受け取ったシートSをシート搬送方向Aの下流側に更に搬送する。この搬送ユニット45の下流側にデカーラユニット46が配置されている。デカーラユニット46は、搬送ユニット45から受け取ったシートSのカールを矯正しながら、シートSをシート搬送方向Aの下流側に更に搬送する。デカーラユニット46により搬送されるシートSは、第2搬送路12に送出される。
第2搬送路12は、装置本体10の+Y側の側面に沿って延設されている。第2搬送路12に送出されたシートSは、その第2搬送路12に設けられた第2搬送ローラー対121によって、装置本体10の+Y側に形成された排紙口12Aに向けて搬送され、排紙口12Aから排紙部47上に排出される。
一方、第2搬送路12に送出されたシートSが、第1面(表面)の印刷処理が完了した両面印刷用のものである場合には、当該シートSは、シート反転部30に送り出される。シート反転部30は、第2搬送路12の途中で分岐された搬送路であり、シートSが反転(スイッチバック)される部分である。シート反転部30によって表裏が反転されたシートSは、第3搬送路13に送出される。第3搬送路13に送出されたシートSは、その第3搬送路13に設けられた第3搬送ローラー対131によって逆送され、レジストローラー対44及びシート導入ガイド部23を介して、表裏が反転した状態で再び搬送ベルト41の外周面411上に供給される。このように表裏が反転した状態で搬送ベルト41の外周面411上に供給されたシートSは、搬送ベルト41により搬送されながら、記録部50によって、第1面とは反対側の第2面(裏面)に印刷処理が施される。両面印刷が完了したシートSは、第2搬送路12を通過して排紙口12Aから排紙部47上に排出される。
図3に示すように、記録部50の液体吐出ヘッド51の+Z側の上方には、コンテナ装着部60が配置されている。コンテナ装着部60は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のインクをそれぞれ収容した複数のインクコンテナ61Y、61M、61C、61Bkが着脱自在に装着されている。インクコンテナ61Y、61M、61C、61Bkは、液体としてのインクを収容可能な液体収容コンテナであって、それぞれ各色のインク供給チューブ62及びサブインクタンク64を介して液体吐出ヘッド51Y、51M、51C、51Bkに連結されている。なお、インクコンテナ61Y、61M、61C、61Bkは、収容するインクの色が異なる以外は同一の構成を有するため、インクコンテナ61と総称することもある。
インク供給チューブ62のサブインクタンク64に対して上流側の部分には、インク供給チューブ62内のインク流路を開閉する電磁弁63が設けられている。サブインクタンク64は、インクコンテナ61と液体吐出ヘッド51との間に配置され、インクコンテナ61内のインクが液体吐出ヘッド51に供給される前に、当該インクを一時的に貯留する貯留タンクである。本実施形態では、サブインクタンク64内に貯留されたインクが液体吐出ヘッド51に供給される。サブインクタンク64には、サブインクタンク64内のインク量を検知するインクセンサ(不図示)が設けられており、当該インク量に応じて電磁弁63が開かれてインクコンテナ61からサブインクタンク64へインクが補給される。サブインクタンク64は、インクコンテナ61よりも低い位置に配置されており、サブインクタンク64とインクコンテナ61との高低差により発生するインク圧によってインクコンテナ61から対応する色のインクがサブインクタンク64に補給される。
記録部50が備える液体吐出ヘッド51について、図4及び図5を参照して詳細に説明する。液体吐出ヘッド51は、X方向に延びる細長い形状を有している。液体吐出ヘッド51は、液体中継流路部材52と、液体吐出流路部材53と、圧電アクチュエータ基板54とを含んで構成される。液体吐出ヘッド51においては、液体吐出流路部材53と圧電アクチュエータ基板54とが接合され、液体中継流路部材52が、圧電アクチュエータ基板54を挟む形で液体中継流路部材52に対して積層されて、接着される。但し、圧電アクチュエータ基板54と液体中継流路部材52との間は接着されておらず、適宜に空間524が形成されている。
液体中継流路部材52は、X方向に延びる略直方体の形状を有し、液体吐出ヘッド51の+Z側の部分を構成する。液体中継流路部材52は、サブインクタンク64に繋がる液体流入口521と、液体吐出流路部材53に繋がる液体中継口522と、液体流入口521から流入されたインクを液体中継口522へ導く内部の液体中継流路523と、を有している。
液体吐出流路部材53は、X方向に延びる略直方体の形状を有し、液体中継流路部材52の−Z側に位置しており、液体吐出ヘッド51の−Z側の部分を構成する。液体吐出流路部材53は、共通流路531と、複数の個別供給流路532と、複数の液体加圧室533と、複数の個別吐出流路534と、複数の液体吐出孔535と、を有している。
共通流路531は、液体吐出流路部材53の内部に形成された、液体中継流路部材52の液体中継口522に繋がる流路である。複数の個別供給流路532は、それぞれ分離された状態で共通流路531に繋がる、液体吐出流路部材53の内部流路である。複数の個別供給流路532において、共通流路531に接続される側とは反対の端部は、対応する液体加圧室533に繋がっている。複数の液体加圧室533は、液体吐出流路部材53の上面に開口しているインクを収容可能な中空の領域である。複数の液体加圧室533の各々の開口は、液体吐出流路部材53の上面に圧電アクチュエータ基板54が接着されることで閉塞されている。複数の個別吐出流路534は、それぞれ分離された状態で対応する液体加圧室533に繋がる、液体吐出流路部材53の内部流路である。複数の個別吐出流路534の各々において、液体加圧室533に接続される側とは反対の端部は、液体吐出孔535に繋がっている。複数の液体吐出孔535は、それぞれ分離された状態で対応する個別吐出流路534に繋がっている。複数の液体吐出孔535は、液体吐出流路部材53の下面に開口している。すなわち、液体吐出流路部材53の下面は、複数の液体吐出孔535が形成された吐出孔面535Sを構成する。また、吐出孔面535Sには、複数の液体吐出孔535の各々が露出するように撥液膜535Fが形成されている。撥液膜535Fは、インクに対する撥液性を有し、吐出孔面535Sにインクが濡れ広がるのを規制して、各液体吐出孔535からインク滴を適切に吐出させるための膜である。
以上のように構成された液体吐出流路部材53においては、複数の液体加圧室533が、液体中継流路部材52の液体中継口522に繋がる共通流路531に個別供給流路532を介して繋がっている。更に、複数の液体加圧室533と複数の液体吐出孔535とが、個別吐出流路534を介して互いに繋がっている。
圧電アクチュエータ基板54は、図5に示すように、第1圧電セラミック層541と第2圧電セラミック層542とが積層された積層構造を有している。圧電アクチュエータ基板54は、共通電極543と個別電極544とを更に有している。個別電極544は、圧電アクチュエータ基板54の上面における液体加圧室533と対向する位置に配置されている電極である。共通電極543は、圧電アクチュエータ基板54に対向する領域内の全ての液体加圧室533を覆うように延在している。共通電極533は、接地され、グランド電位に保持されている。
個別電極544に選択的に所定の駆動信号である吐出駆動信号CS1(後記の図6)が供給されることにより、この個別電極544に対応する液体加圧室533内のインクに圧力が加えられる。これにより、個別吐出流路534を通じて、対応する液体吐出孔535からインクが吐出される。すなわち、圧電アクチュエータ基板54における各液体加圧室533に対向する部分は、各液体加圧室533及び各液体吐出孔535に対応する個別の圧電アクチュエータ545(圧電素子)に相当する。つまり、圧電アクチュエータ545は、第1圧電セラミック層541及び第2圧電セラミック層542からなる積層構造中に作り込まれており、各液体加圧室533の直上に位置する第2圧電セラミック層542、共通電極543、第1圧電セラミック層541及び個別電極544によって構成される。
駆動信号は、例えば、所定の長さの矩形波のパルスを含む。矩形波の長さを変えることにより、インクが吐出される否かが変わり、吐出される場合のインクの量などが変わる。例えば、通常の吐出の場合より、短い矩形波を個別電極544に送ることにより、圧電アクチュエータ545は駆動され、液体加圧室533内のインクは振動するが、吐出はされないようにすることができる。
液体吐出孔535からのインクの吐出に応じて共通流路531内のインクが減少すると、サブインクタンク64内のインクが、液体流入口521、液体中継流路523、液体中継口522をこの順で通って共通流路531に補充される。
記録装置1は、図2に示すように、温度調節機構56、圧送機構64P、メンテナンスユニット70、解析部74、操作部81、通信部82、報知部83、記憶部84及び制御部90を更に備える。
温度調節機構56は、液体吐出ヘッド51の温度を調節することによって、当該液体吐出ヘッド51内のインクの温度を調節する機構である。温度調節機構56は、例えば、液体吐出ヘッド51を加温する加温器と、液体吐出ヘッド51を冷却する冷却ファンとによって構成される。
圧送機構64Pは、サブインクタンク64内のインクを液体吐出ヘッド51(液体加圧室533)に向けて圧送する機構である。圧送機構64Pは、サブインクタンク64内のインクを圧送することが可能であればその構造は特に限定されるものではなく、例えば圧送ポンプによって構成される。圧送機構64Pは、液体吐出ヘッド51よりも高い位置でサブインクタンク64をZ方向に移動させるように構成されていてもよい。この場合、圧送機構64Pは、サブインクタンク64と液体吐出ヘッド51との高低差により発生するインク圧によって、サブインクタンク64内のインクを液体吐出ヘッド51(液体加圧室533)に向けて圧送する。
メンテナンスユニット70は、キャップユニット71とクリーニングユニット72とを含む。このメンテナンスユニット70に測定部731を有する測定ユニット73が配置されている。
操作部81は、記録装置1の各種設定や動作要求を行うための各種操作キーやタッチパネル等で構成されている。通信部82は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介してパーソナルコンピュータ等の外部機器との間で、印刷処理に用いられる画像データ等の各種データを送受信する機能を有する。画像データは、液体吐出ヘッド51の液体吐出孔535からのインクの吐出の要求を示す液体吐出要求の一例である。画像データは、液体吐出ヘッド51における複数の液体吐出孔535の各々が、シートS上にどのサイズの画素を形成するインク滴を吐出するかを示す信号である。通信部82によって受信された画像データは、制御部90のヘッド制御部92に入力される。
報知部83は、各種情報を報知することが可能なものであり、例えば液晶ディスプレイ等の表示ディスプレイで構成されている。記憶部84は、後記の測定部731及び解析部74が実行する各処理によって取得される各種情報や、制御部90が参照する各種情報を記憶する。
制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の演算処理回路である。ROMには記録装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部90は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、記録装置1の全体の制御を行う。制御部90は、シート搬送ユニット40を制御する搬送制御部91、液体吐出ヘッド51を制御するヘッド制御部92、メンテナンスユニット70を制御するメンテナンス制御部93、圧送機構64Pを制御する圧送制御部94、報知部83を制御する報知制御部95、及び、温度調節機構56を制御する温調制御部96を含む。
ヘッド制御部92は、通信部82を介して画像データが入力された場合、液体吐出ヘッド51に液体吐出処理を実行させる。この液体吐出処理について、図6を参照して説明する。液体吐出処理は、画像データに応じた液体吐出孔535からのインクの吐出を許容可能な範囲で液体加圧室533内のインクに圧力が加えられるように、圧電アクチュエータ545を変位させる処理である。ヘッド制御部92は、液体吐出制御CX1を行うことによって液体吐出ヘッド51に液体吐出処理を実行させる。具体的に、ヘッド制御部92は、圧電アクチュエータ545を変位させるためのパルスを含む吐出駆動信号CS1を、圧電アクチュエータ545を構成する個別電極544に供給する。前記吐出駆動信号CS1は、液体吐出孔535からのインクの吐出が可能となるように、個別電極544の電位及びパルス幅が設定された駆動信号である。前記吐出駆動信号CS1は、圧電アクチュエータ545の駆動のさせ方に応じて複数の種類が存在する。例えば、複数の液体吐出孔535の各々がシートS上にどのサイズの画素を形成するインク滴を吐出するかに応じて、対応する吐出駆動信号CS1が、複数の液体吐出孔535の各々に対応する圧電アクチュエータ545の個別電極544に供給される。
個別電極544に前記吐出駆動信号CS1が供給されることにより圧電アクチュエータ545が駆動されると、それに応じて圧電アクチュエータ545を構成する第1圧電セラミック層541及び第2圧電セラミック層542が変位する。この変位に伴って液体加圧室533内の圧力が変化し、その液体加圧室533に対応する液体吐出孔535からインクが吐出される。これにより、画像データに対応した画像が、搬送制御部91に制御されたシート搬送ユニット40によって搬送されるシートS上に記録される。
ヘッド制御部92による液体吐出制御CX1の実行中において、温調制御部96は、液体吐出ヘッド51のヘッド温度が、液体吐出孔535からのインクの吐出に適した適正温度範囲内で推移するように、温度調節機構56を制御する温調制御CYを実行する。
また、ヘッド制御部92による液体吐出制御CX1の実行中において、メンテナンス制御部93は、メンテナンスユニット70を液体吐出ヘッド51に対して水平方向(Y方向)に退避した退避位置に配置させる。メンテナンスユニット70は、キャップユニット71及びクリーニングユニット72を含み、液体吐出ヘッド51に対するメンテナンス処理が行われるときに用いられるユニットである。メンテナンス処理は、液体吐出ヘッド51の液体吐出孔535からのインクの吐出不良を発生させ難くするための処理であって、キャップ処理、フラッシング処理及びワイピング処理が含まれる。メンテナンス制御部93は、キャップユニット71にキャップ処理を実行させ、クリーニングユニット72にワイピング処理を実行させる。なお、フラッシング処理は、圧送制御部94に制御された圧送機構64Pによって実行される。
まず、キャップ処理について図7を参照して説明する。メンテナンス制御部93は、ヘッド制御部92による液体吐出制御CX1の停止中において、キャップ制御CCを行うことによってキャップユニット71にキャップ処理を実行させる。キャップユニット71は、液体吐出ヘッド51における撥液膜535Fが形成された吐出孔面535Sをキャップするためのユニットである。キャップユニット71は、平板状のキャップトレイ712と、そのキャップトレイ712の上面に配置された凹状のキャップ部711とを有している。キャップトレイ712の上面には、記録部50に備えられる液体吐出ヘッド51に相当する数のキャップ部711が配置されている。すなわち、Y,M,C,Bkの色毎の4本の液体吐出ヘッド51の各々に対応して、4つのキャップ部711がキャップトレイ712上に配置されている。キャップ部711は、液体吐出ヘッド51における撥液膜535Fが形成された吐出孔面535Sに被せられる部分である。キャップユニット71は、キャップ部711を吐出孔面535Sに被せることによってキャップ処理を実行する。
キャップユニット71は、キャップ部711が液体吐出ヘッド51の吐出孔面535Sに対して水平方向(Y方向)に退避した退避位置と、キャップ部711が吐出孔面535Sに対してZ方向の−Z側に位置したキャップ可能位置との間で移動可能である。更に、キャップユニット71は、前記キャップ可能位置に配置された状態において、Z方向に沿った昇降移動が可能である。
キャップユニット71にキャップ処理を実行させる際には、メンテナンス制御部93は、キャップユニット71を前記退避位置から前記キャップ可能位置にY方向に移動させる。なお、メンテナンス制御部93は、キャップユニット71をY方向に移動させるときには、その前に、シート搬送ユニット40を液体吐出ヘッド51の直下の位置からZ方向の−Z側に下降させる。キャップユニット71の前記キャップ可能位置への移動が完了すると、メンテナンス制御部93は、キャップユニット71をZ方向の+Z側に上昇させる。これにより、キャップ部711が吐出孔面535Sに被せられる。キャップユニット71は、キャップ部711が吐出孔面535Sに被せられるキャップ処理によって、撥液膜535Fから露出された液体吐出孔535が外気に曝されることを抑止する。これにより、液体吐出孔535内のインクの液面の外気との接触による乾燥に伴って、液面近傍においてインクの粘度が上昇(増粘)する現象を抑制することができる。
液体吐出ヘッド51による液体吐出処理が直ぐに実行できるように準備して待機する待機期間や、液体吐出処理が実行される期間(印刷処理期間)においては、メンテナンス制御部93は、キャップユニット71を前記退避位置に配置させるキャップ退避処理を実行する。キャップユニット71が前記退避位置に配置された場合、液体吐出孔535が外気に曝される。この場合、液体吐出孔535内のインクの液面からは、当該液面の外気との接触による乾燥に伴って液体成分が蒸発し、液面近傍においてインクの粘度が上昇した増粘部分が生じる。液面近傍に増粘部分が生じると、液体吐出孔535からのインク滴の不吐出や、吐出されたインク滴の速度の低下、或いは液体吐出孔535からインク滴がよれて吐出されるヨレ吐出などの吐出不良が生じ得る。液体吐出孔535からのインク滴の吐出不良が生じると、正確に画像を記録できなくなる。吐出不良の現象を抑制するためには、液面の乾燥に伴う増粘部分を除去するためのフラッシング処理、並びに撥液膜535Fが形成された吐出孔面535Sを清掃するためのワイピング処理を行う必要がある。
そこで、圧送制御部94は圧送機構64Pにフラッシング処理を実行させ、メンテナンス制御部93はクリーニングユニット72にワイピング処理を実行させる。
図8は、フラッシング処理及びワイピング処理を説明するための図である。圧送制御部94は、ヘッド制御部92による液体吐出制御CX1の停止中において、圧送機構64Pにフラッシング処理を実行させる。フラッシング処理は、液体吐出孔535から加圧されたインクを強制的に吐出させる強制吐出処理である。圧送制御部94は、フラッシング制御CF1を行うことによって圧送機構64Pにフラッシング処理を実行させる。圧送制御部94は、フラッシング制御CF1において、液体吐出孔535からの加圧されたインクの吐出が可能な範囲で液体加圧室533内のインクに圧力が加えられるように、圧送機構64Pにサブインクタンク64内のインクを液体吐出ヘッド51に向けて圧送させる。これにより、液体吐出孔535から加圧されたインクが強制的に吐出される。
圧送制御部94によるフラッシング制御CF1の実行中において、メンテナンス制御部93は、クリーニングユニット72を液体吐出ヘッド51に対して鉛直下方のクリーニング位置に配置させる。クリーニングユニット72は、ワイパーブレード721と廃液トレイ722とを有する。廃液トレイ722は、圧送機構64Pによるフラッシング処理が実行されたときに液体吐出孔535から吐出されるインクを廃液として受容するトレイである。ワイパーブレード721は、圧送機構64Pによるフラッシング処理後において液体吐出ヘッド51の吐出孔面535S上に形成された撥液膜535Fに付着したインク滴やごみ等を拭き取るワイピング処理を行うためのブレードである。メンテナンス制御部93は、ワイピング制御CWを行うことによってワイパーブレード721にワイピング処理を実行させる。
クリーニングユニット72は、液体吐出ヘッド51に対して水平方向(Y方向)に退避した退避位置と、前記クリーニング位置との間で移動可能である。圧送機構64Pによるフラッシング処理が実行される際、並びにワイパーブレード721によるワイピング処理が実行される際には、メンテナンス制御部93は、クリーニングユニット72を前記退避位置から前記クリーニング位置にY方向に移動させる。なお、メンテナンス制御部93は、クリーニングユニット72をY方向に移動させるときには、その前に、シート搬送ユニット40を液体吐出ヘッド51の直下の位置からZ方向の−Z側に下降させる。一方、フラッシング処理及びワイピング処理が実行される以外の期間においては、クリーニングユニット72は前記退避位置に配置される。
フラッシング処理において液体吐出孔535から加圧されたインクを吐出させることにより、液体吐出孔535内のインクの液面近傍の粘度が高い増粘部分を強制的に吐出させて除去することができる。また、ワイピング処理によって、吐出孔面535S上に形成された撥液膜535Fに付着したインク滴やごみ等を除去することができる。これにより、撥液膜535Fに対する増粘されたインクやごみ等の付着に起因した、液体吐出孔535からのインク滴の吐出不良を可及的に防止することができる。
図9は、液体吐出ヘッド51の液体吐出孔535からのインク滴DPの吐出の様子を示す図である。既述の通り、液体吐出ヘッド51においては、吐出孔面535Sにインクが濡れ広がるのを規制して液体吐出孔535からインク滴DPを適切に吐出させるために、吐出孔面535Sに撥液膜535Fが形成されている。撥液膜535Fがインクに対して正常な撥液性を有している状態では、図9(A)に示すように、液体吐出孔535から鉛直下方にインク滴DPが吐出される。一方、撥液膜535Fに劣化が生じている場合、劣化は通常、均等には生じないため、図9(B)に示すように、液体吐出孔535に対して右側の撥液膜535Fの劣化の程度が進行していると、吐出される際のインクが、インクに濡れやすくなった液体吐出孔535の右側の吐出孔面535Sから離れ難くなり、インク滴DPは、鉛直下方から右側によれて吐出され、吐出不良が発生し得る。
撥液膜535Fの劣化の進行が、液体吐出孔535の周囲である程度均等に進行したとしても、撥液膜535Fの劣化が進行すると、インクが、インクに濡れやすくなった液体吐出孔535の周囲の吐出孔面535Sから離れ難くなるので、インク滴DPの吐出量が少なくなったり、吐出速度が遅くなったりして、吐出不良が発生し得る。撥液膜535Fの劣化がさらに進行すると、インクが吐出孔面535Sから離れることができず、インク滴DPが吐出できなくなることもある。
撥液膜535Fの劣化としては、ワイピング処理時のワイパーブレード721による摺動摩擦等に起因した削れや剥がれ、インク固着による汚染などが挙げられる。撥液膜535Fの劣化に起因した吐出不良は、上記のフラッシング処理やワイピング処理では解消されない。
本実施形態に係る記録装置1は、撥液膜535Fの劣化度を解析するための構成として、測定部731を有する測定ユニット73と解析部74とを備えている。
測定ユニット73について、図10及び図11を参照して説明する。測定ユニット73は、既述の通り、メンテナンスユニット70に配置されている。測定ユニット73は、液体吐出ヘッド51に対して水平方向(Y方向)に退避した退避位置と、液体吐出ヘッド51に対して鉛直下方の測定位置との間で移動可能である。測定ユニット73は、測定部731が測定処理を行う際に前記測定位置に配置され、それ以外の期間は前記退避位置に配置される。
測定部731は、測定台732上に載置される。測定部731は、液体加圧室533内のインクに圧力が加えられたときの、液体吐出孔535におけるインクの液面LSの変位を測定する測定処理を行う。図10に示すように、測定部731による測定処理が行われるときに、圧送制御部94は、測定時圧送制御CF2を実行する。圧送制御部94は、測定時圧送制御CF2において、液体吐出孔535からのインクの吐出を規制可能な範囲で液体加圧室533内のインクに圧力が加えられるように、圧送機構64Pにサブインクタンク64内のインクを液体吐出ヘッド51に向けて圧送させる。これにより、液体吐出孔535内におけるインクの液面LSが変位する。このため、測定部731は、液体吐出孔535内におけるインクの液面LSの変位を精度よく測定することができる。
なお、図11に示すように、測定部731による測定処理が行われるときに、ヘッド制御部92が測定時圧電制御CX2を実行するように構成されていてもよい。ヘッド制御部92は、測定時圧電制御CX2において、液体吐出孔535からのインクの吐出を規制可能な範囲で液体加圧室533内のインクに圧力が加えられるように、圧電アクチュエータ545を変位させる。具体的に、ヘッド制御部92は、圧電アクチュエータ545を構成する個別電極544に測定時駆動信号CS2を供給する。前記測定時駆動信号CS2は、前述の液体吐出制御CX1において個別電極544に供給される吐出駆動信号CS1に対して、液体吐出孔535からのインクの吐出を規制可能な範囲のパルス幅にされた駆動信号である。また、前記測定時駆動信号CS2は、個別電極544の電位が吐出駆動信号CS1に対して小さくなるような駆動信号であってもよい。個別電極544に測定時駆動信号CS2が供給されることにより、圧電アクチュエータ545の変位に応じて液体吐出孔535におけるインクの液面LSが振動しながら変位する。このため、測定部731は、液体吐出孔535におけるインクの液面LSの変位を精度よく測定することができる。
測定部731は、測定器73Aと反射ミラー73Bとを有している。測定器73Aは、例えばレーザードップラー振動計(例えば小野測器製のLV−1800)によって構成される。測定器73Aは、レーザー光を出射する。このレーザー光は、反射ミラー73Bによって反射されて液体吐出孔535内の液面LSに向かって−Z側から入射される。レーザー光の入射に応じた液面LSからの反射光は、反射ミラー73Bを介して測定器73Aに導かれる。測定器73Aは、液面LSからの反射光に基づいて液面LSの変位を測定する。なお、測定部731は、反射ミラー73Bを介さずに、測定器73Aから出射されるレーザー光を液面LSに向かって−Z側から直接入射させるように構成されていてもよい。また、測定部731は、液体吐出ヘッド51における複数の液体吐出孔535のうち、一部の(例えば1つの)特定の液体吐出孔535に対応して設けられてもよいし、全ての液体吐出孔535に対応して設けられていてもよい。
図12は、測定部731の測定結果を説明するための図である。図12では、測定部731による測定処理が行われるときに、圧送制御部94が測定時圧送制御CF2を実行する場合の例が示されている。
圧送制御部94の測定時圧送制御CF2によって圧送機構64Pがサブインクタンク64内のインクを液体吐出ヘッド51に向けて圧送すると、液体吐出孔535におけるインクの液面LSが、吐出孔面535S上に形成された撥液膜535Fから下方側へ露出するように変位する。撥液膜35Fから下方側への液面LSの露出量で表される液面変位量は、圧送機構64P(圧送ポンプ)の圧送状態(ポンプ圧力)の時間的変動に応じて変化する。すなわち、前記液面変位量は、液体加圧室533内のインクに加えられる圧力の時間的変動に応じて変化する。測定部731は、圧送機構64Pによってサブインクタンク64内のインクが液体加圧室533に圧送されたときの液面LSの変位を測定することにより、液体加圧室533内のインクに加えられる圧力の時間的変動に応じて変化する前記液面変位量の推移を取得する。そして、測定部731は、前記液面変位量の推移の特徴値を示す液面変位特徴値として、当該液面変位量の最大値(最大変位)を取得する。なお、前記液面変位特徴値としては、前記最大変位以外に、液面変位量の立ち上がり速度や立ち下がり速度などであってもよい。また、測定部731による測定処理が行われるときにヘッド制御部92が測定時圧電制御CX2を実行する場合には、測定部731は、圧電アクチュエータ545の変位に応じて振動する液面LSの振動数や振動強度を、前記液面変位特徴値として取得するように構成されていてもよい。
吐出孔面535S上に形成された撥液膜535Fに劣化が生じていた場合、撥液膜535Fによる吐出孔面535Sの撥液性能が低下するため、撥液膜535Fが初期状態である場合に比べて、吐出孔面535Sに対するインクの濡れ広がり度合いが大きくなる。このため、撥液膜535Fの劣化が進行するに従って、撥液膜35Fから下方側への液面LSの露出量が、撥液膜535Fが初期状態である場合に比べて小さくなる(図12参照)。すなわち、撥液膜535Fの劣化が進行するに従って、液体吐出孔535におけるインクの液面LSの液面変位量が、撥液膜535Fが初期状態である場合に比べて小さくなる。このため、測定部731により取得される液面変位量の推移における最大変位について、撥液膜535Fが初期状態である場合の値(最大変位初期値)と、撥液膜535Fに劣化が生じている場合の値(最大変位測定値)とを比較すると、図12から明らかなように、最大変位初期値よりも最大変位測定値が小さくなる。
なお、撥液膜535Fが初期状態である場合における液面変位量の推移については、例えば、記録装置1の製品出荷前などに測定部731により取得される。そして、撥液膜535Fが初期状態である場合における測定部731の測定結果としての、液面変位量の推移を示す初期推移データ、並びに当該初期推移データの液面変位特徴値を示す最大変位初期値は、記憶部84に予め記憶される。
測定部731は、ヘッド制御部92による液体吐出制御CX1の停止中に、液体吐出孔535における液面LSの変位を測定する測定処理を行って、液面変位特徴値としての最大変位(最大変位測定値)を取得する。これにより、液体吐出制御CX1の実行中において、測定部731の測定処理を待つための待機時間が生じることを防止することができる。測定部731が測定処理を行うタイミングは、記録装置1の電源投入時のタイミング、電源投入後における所定の測定条件を満たすタイミング、或いは、操作部81を介して入力される測定要求で指定される指定タイミングに設定される。前記測定条件を満たすタイミングは、ワイパーブレード721によるワイピング処理の累積処理回数が所定の閾値以上となるタイミング、或いは、前回の測定処理からの経過時間が所定の閾値以上となるタイミングに設定される。測定部731は、前記累積処理回数及び前記経過時間の少なくとも何れかが対応する閾値以上となったときに測定条件を満たすと判断し、そのタイミングで測定処理を行う。
測定部731は、図13に示すように、圧送機構64P(圧送ポンプ)の圧送状態(ポンプ圧力)の時間的変動、すなわち、液体加圧室533内のインクに加えられる圧力の時間的変動のパターンが異なる複数の圧力変動パターンについて、液体吐出孔535における液面LSの変位を測定するように構成されてもよい。この場合、測定部731は、複数の圧力変動パターン毎に液面変位量の推移を取得し、当該液面変位量の推移の液面変位特徴値としての最大変位測定値を各圧力変動パターンに対応して取得する。この場合には、各圧力変動パターンに対応した複数の最大変位初期値が、記憶部84に予め記憶されることになる。
測定部731の測定結果である液面変位特徴値を示す最大変位測定値は、解析部74に入力される。図13に示すように、解析部74は、最大変位測定値が入力されると、当該最大変位測定値に基づいて、撥液膜535Fの劣化度の指標を示す膜劣化指標値IVを求める解析処理を行う。具体的に、解析部74は、記憶部84に記憶されている最大変位初期値を読み出し、当該最大変位初期値に対する最大変位測定値の変化率を下記式(1)に従って算出し、その変化率を膜劣化指標値IVとして取得する。
膜劣化指標値IV=最大変位測定値/最大変位初期値 ・・・(1)
膜劣化指標値IV=最大変位測定値/最大変位初期値 ・・・(1)
既述の通り、測定部731の測定処理の実行中において液体加圧室533内のインクに圧力が加えられたときの液体吐出孔535における液面LSの液面変位量は、撥液膜535Fの劣化が進行するに従って小さくなる。このため、測定部731により取得される液面変位量の推移における液面変位特徴値を示す最大変位測定値は、撥液膜535Fの劣化が進行するに従って小さくなる。この事実に鑑みると、上記式(1)に従って解析部74により算出される膜劣化指標値IVは、最大が「1.0」であり、撥液膜535Fの劣化が進行するに従って小さい値を取るものとなる。
解析部74は、撥液膜535Fの劣化度と相関関係にある最大変位測定値を用いて解析処理を行うので、撥液膜535Fの劣化度の適切な指標を示す膜劣化指標値IVを取得することができる。これにより、解析部74は、撥液膜535Fの劣化度を適切に解析することが可能である。
解析部74は、解析処理の結果を示す膜劣化指標値IVを報知制御部95及び温調制御部96に出力する。図13には、解析部74からの膜劣化指標値IVが入力された場合の報知制御部95及び温調制御部96の制御動作が示されている。
温調制御部96は、液体吐出ヘッド51の温度が液体吐出孔535からのインクの吐出に適した適正温度範囲内で推移するように温度調節機構56を制御する温調制御CYを実行するときに、膜劣化指標値IVに応じて前記適正温度範囲の上限値を設定する。温調制御部96は、入力された膜劣化指標値IVが所定の解析閾値AT以上(膜劣化指標値IV≧解析閾値AT)である場合に、当該膜劣化指標値IVに応じた適正温度範囲の上限値を設定する。温調制御部96は、入力される膜劣化指標値IVが、劣化がより進行した値となるに従い適正温度範囲の上限値を低い値に設定する。例えば、温調制御部96は、入力される膜劣化指標値IVが小さくなるに従い適正温度範囲の上限値を低い値に設定する。この際、温調制御部96は、記憶部84に予め記憶されている温調参照情報TCJを参照して、入力された膜劣化指標値IVに応じた適正温度範囲の上限値を設定する。温調参照情報TCJは、膜劣化指標値IVと適正温度範囲の上限値とを関連付けた情報であり、膜劣化指標値IVが小さくなるに従い適正温度範囲の上限値が低い値を示すような情報である。
既述の通り、撥液膜535Fの劣化度と吐出孔面535Sに対するインクの濡れ広がり度合いとは、相関関係にある。また、吐出孔面535Sに対するインクの濡れ広がり度合いがインクの吐出に与える影響とインクの粘度とは相関関係にある。より具体的には、インクの粘度が高いほど、インクの濡れ広がりが同程度である場合の、インクの吐出のよれの程度が小さくなる。そのインクの粘度と液体吐出ヘッド51の温度とは相関関係にある。これらの事実に鑑みると、撥液膜535Fの劣化度と液体吐出ヘッド51の温度とは相関関係にあると言える。そこで、温調制御部96は、液体吐出ヘッド51の温度が液体吐出孔535からのインクの吐出に適した適正温度範囲内で推移するように温度調節機構56を制御するときに、膜劣化指標値IVに応じて前記適正温度範囲の上限値を設定する。これにより、ヘッド制御部92による液体吐出制御CX1の実行中において液体吐出孔535からインク滴が吐出されるときに、撥液膜535Fの劣化に応じて、吐出孔面535Sのインクの濡れ広がりが吐出に与える影響を小さくするように、液体吐出ヘッド51の温度を調節することができる。このため、撥液膜535Fの劣化に起因した液体吐出孔535からのインク滴の吐出不良を可及的に防止することができる。
報知制御部95は、報知部83を制御する報知制御CZを実行するときに、入力された膜劣化指標値IVに基づいて、撥液膜535Fの劣化の進行状況を示す膜劣化進行情報DJの報知タイミングを決定し、当該報知タイミングにおいて報知部83に前記膜劣化進行情報DJを報知させる。報知制御部95は、入力された膜劣化指標値IVが所定の解析閾値AT未満(膜劣化指標値IV<解析閾値AT)である場合に、報知部83に前記膜劣化進行情報DJを報知させる。前記膜劣化進行情報DJには、撥液膜535Fの劣化が過度に進行したため液体吐出ヘッド51の交換を促すヘッド交換情報が含まれる。記録装置1の使用者は、報知部83によって報知される膜劣化進行情報DJを認識することで、撥液膜535Fの劣化の進行状況を把握することができ、必要に応じて液体吐出ヘッド51を交換することができる。
なお、液体吐出ヘッド51における全ての液体吐出孔535に対応して測定部731が設けられている場合、解析部74は、複数の液体吐出孔535の各々に対応して膜劣化指標値IVを取得する。この場合、解析部74は、各膜劣化指標値IVを、報知制御部95及び温調制御部96に加えてヘッド制御部92に向けて出力するように構成されてもよい。ヘッド制御部92は、入力された各膜劣化指標値IVに基づいて、複数の液体吐出孔535毎に、その周辺の撥液膜535Fの劣化の進行状況を把握することができる。例えば、一の液体吐出孔535に対応した膜劣化指標値IVが解析閾値AT未満である場合を想定する。この場合、ヘッド制御部92は、液体吐出制御CX1の実行時において、前記一の液体吐出孔535に対応した圧電アクチュエータ545に対する吐出駆動信号CS1の供給を停止し、前記一の液体吐出孔535が行うべきインクの吐出を隣接する他の液体吐出孔535が補完できるように、液体吐出ヘッド51を制御する。これにより、前記一の液体吐出孔535からのインク滴の吐出不良を防止した上で、その一の液体吐出孔535が行うべきインクの吐出を隣接する他の液体吐出孔535で補完することができる。
次に、図14A及び図14Bのフローチャートを参照して、記録装置1の全体的な処理フローを説明する。
記録装置1においては、キャップユニット71のキャップ部711が液体吐出ヘッド51の吐出孔面535Sに被せられた状態で電源が切られている。この状態で記録装置1の電源が投入されると(ステップs1)、制御部90は、電源投入時の測定部731による測定処理の実行が設定されているか否かを判断する(ステップs2)。電源投入時の測定処理の実行が設定されている場合(ステップs2でYES)、メンテナンス制御部93は、キャップユニット71を退避位置に配置させるキャップ退避処理を実行する。
キャップユニット71が退避位置に配置されると、測定ユニット73が測定位置に配置される。この状態で、測定部731は、液体吐出孔535における液面LSの変位を測定する測定処理を行って、液面変位特徴値としての最大変位測定値を取得する(ステップs3)。測定部731により最大変位測定値が取得されると、解析部74は、解析処理を行って当該最大変位測定値に対応した膜劣化指標値IVを取得する(ステップs4)。
解析部74により膜劣化指標値IVが取得されると、報知制御部95及び温調制御部96は、当該膜劣化指標値IVが所定の解析閾値AT以上であるか否かを判断する(ステップs5)。膜劣化指標値IVが解析閾値AT以上である場合(ステップs5でYES)、温調制御部96は、当該膜劣化指標値IVに応じた適正温度範囲の上限値を設定する(ステップs6)。一方、膜劣化指標値IVが解析閾値AT未満である場合(ステップs5でNO)、報知制御部95は、報知制御CZを実行し、膜劣化指標値IVに応じた膜劣化進行情報DJを報知部83に報知させる(ステップs51)。
次に、制御部90は、操作部81を介して測定要求が入力されて、当該測定要求で指定される指定タイミングで測定部731による測定処理の実行が設定されているか否かを判断する(ステップs7)。指定タイミングでの測定処理の実行が設定されている場合(ステップs7でYES)、測定部731は、液体吐出孔535における液面LSの変位を測定する測定処理を行って、液面変位特徴値としての最大変位測定値を取得する(ステップs8)。測定部731により最大変位測定値が取得されると、解析部74は、解析処理を行って当該最大変位測定値に対応した膜劣化指標値IVを取得する(ステップs9)。
解析部74により膜劣化指標値IVが取得されると、報知制御部95及び温調制御部96は、当該膜劣化指標値IVが所定の解析閾値AT以上であるか否かを判断する(ステップs10)。膜劣化指標値IVが解析閾値AT以上である場合(ステップs10でYES)、温調制御部96は、当該膜劣化指標値IVに応じた適正温度範囲の上限値を設定する(ステップs11)。一方、膜劣化指標値IVが解析閾値AT未満である場合(ステップs10でNO)、報知制御部95は、報知制御CZを実行し、膜劣化指標値IVに応じた膜劣化進行情報DJを報知部83に報知させる(ステップs101)。
次に、制御部90は、通信部82を介して画像データが入力されたか否かを判断する(ステップs12)。画像データが入力された場合(ステップs12でYES)、制御部90は、測定部731による前回の測定処理からの経過時間が所定の閾値以上となって測定条件を満たすか否かを判断する(ステップs13)。測定条件を満たす場合(ステップs13でYES)、測定部731は、液体吐出孔535における液面LSの変位を測定する測定処理を行って、液面変位特徴値としての最大変位測定値を取得する(ステップs14)。測定部731により最大変位測定値が取得されると、解析部74は、解析処理を行って当該最大変位測定値に対応した膜劣化指標値IVを取得する(ステップs15)。
解析部74により膜劣化指標値IVが取得されると、報知制御部95及び温調制御部96は、当該膜劣化指標値IVが所定の解析閾値AT以上であるか否かを判断する(ステップs16)。膜劣化指標値IVが解析閾値AT以上である場合(ステップs16でYES)、温調制御部96は、当該膜劣化指標値IVに応じた適正温度範囲の上限値を設定する(ステップs17)。一方、膜劣化指標値IVが解析閾値AT未満である場合(ステップs16でNO)、報知制御部95は、報知制御CZを実行し、膜劣化指標値IVに応じた膜劣化進行情報DJを報知部83に報知させる(ステップs161)。
膜劣化指標値IVに応じた適正温度範囲の上限値の設定が完了すると、温調制御部96は、液体吐出ヘッド51の温度が適正温度範囲内で推移するように温度調節機構56を制御する温調制御CYを実行する(ステップs18)。温調制御部96によって温調制御CYが実行された状態で、ヘッド制御部92は、液体吐出制御CX1の実行によって画像データに応じた液体吐出処理を液体吐出ヘッド51に開始させる(ステップs19)。これにより、シートSに対する画像の記録が開始される。画像データに応じた印刷処理が終了すると、ヘッド制御部92は、液体吐出制御CX1の停止によって液体吐出ヘッド51の液体吐出処理を停止させる(ステップs20)。
ヘッド制御部92による液体吐出制御CX1が停止されると、メンテナンス制御部93は、ワイパーブレード721にワイピング処理を実行させるか否かを判断する(ステップs21)。ワイピング処理を実行させる場合(ステップs21でYES)、メンテナンス制御部93は、ワイピング制御CWを行うことによってワイパーブレード721にワイピング処理を実行させる。この場合、制御部90は、ワイパーブレード721によるワイピング処理の累積処理回数が所定の閾値以上となって測定条件を満たすか否かを判断する(ステップs22)。測定条件を満たす場合(ステップs22でYES)、測定部731は、液体吐出孔535における液面LSの変位を測定する測定処理を行って、液面変位特徴値としての最大変位測定値を取得する(ステップs23)。測定部731により最大変位測定値が取得されると、解析部74は、解析処理を行って当該最大変位測定値に対応した膜劣化指標値IVを取得する(ステップs24)。
解析部74により膜劣化指標値IVが取得されると、報知制御部95及び温調制御部96は、当該膜劣化指標値IVが所定の解析閾値AT以上であるか否かを判断する(ステップs25)。膜劣化指標値IVが解析閾値AT以上である場合(ステップs25でYES)、温調制御部96は、当該膜劣化指標値IVに応じた適正温度範囲の上限値を設定する(ステップs26)。一方、膜劣化指標値IVが解析閾値AT未満である場合(ステップs25でNO)、報知制御部95は、報知制御CZを実行し、膜劣化指標値IVに応じた膜劣化進行情報DJを報知部83に報知させる(ステップs251)。
以下、本実施形態に係る記録装置1を用いて行った実験について、図15を参照して説明する。図15は、温調制御部96による温調制御CY時における適正温度範囲の上限値の設定とインク滴の着弾位置ずれ量との関係を評価した実験の結果を示す図である。
(実験条件)
記録装置1が設置された室内の温湿度環境を、25℃50%RHに設定した。また、液体吐出ヘッド51に関する条件としては、液体吐出孔535の開口内径を20μmとし、圧電アクチュエータ545に対する印加電圧をAC10V(100kHz)とし、駆動周波数を20kHzとした。更に、液体吐出ヘッド51の吐出孔面535S上に形成された撥液膜535Fとシート搬送ユニット40における搬送ベルト41の外周面411との間の離間距離を1mmに設定した。
記録装置1が設置された室内の温湿度環境を、25℃50%RHに設定した。また、液体吐出ヘッド51に関する条件としては、液体吐出孔535の開口内径を20μmとし、圧電アクチュエータ545に対する印加電圧をAC10V(100kHz)とし、駆動周波数を20kHzとした。更に、液体吐出ヘッド51の吐出孔面535S上に形成された撥液膜535Fとシート搬送ユニット40における搬送ベルト41の外周面411との間の離間距離を1mmに設定した。
(実施例)
記録装置1を用いた500K(500000)枚の印刷処理において、50K(50000)枚の印刷処理毎に、測定部731による測定処理と解析部74による解析処理とを実行させた。そして、温調制御部96は、50K(50000)枚の印刷処理毎に、解析部74の解析結果を示す膜劣化指標値IVに応じて適正温度範囲の上限値を設定し、液体吐出ヘッド51の温度が当該適正温度範囲内で推移するように温度調節機構56を制御する温調制御CYを実行した。図15(A)に示すように、実施例において温調制御部96により設定された適正温度範囲の上限値は、印刷枚数の増加に応じて低い値を示す。これは、印刷枚数の増加に応じて撥液膜535Fの劣化が進行し、その劣化の進行に対応した膜劣化指標値IVに基づき適正温度範囲の上限値の設定が変更されたからである。
記録装置1を用いた500K(500000)枚の印刷処理において、50K(50000)枚の印刷処理毎に、測定部731による測定処理と解析部74による解析処理とを実行させた。そして、温調制御部96は、50K(50000)枚の印刷処理毎に、解析部74の解析結果を示す膜劣化指標値IVに応じて適正温度範囲の上限値を設定し、液体吐出ヘッド51の温度が当該適正温度範囲内で推移するように温度調節機構56を制御する温調制御CYを実行した。図15(A)に示すように、実施例において温調制御部96により設定された適正温度範囲の上限値は、印刷枚数の増加に応じて低い値を示す。これは、印刷枚数の増加に応じて撥液膜535Fの劣化が進行し、その劣化の進行に対応した膜劣化指標値IVに基づき適正温度範囲の上限値の設定が変更されたからである。
(比較例)
記録装置1を用いた500K(500000)枚の印刷処理において、測定部731による測定処理と解析部74による解析処理とを実行させないようにした。そして、温調制御部96は、図15(A)に示すように、500K(500000)枚の印刷処理において、適正温度範囲の上限値を一定値に設定した。すなわち、比較例において温調制御部96は、印刷枚数の増加に応じて撥液膜535Fの劣化が進行しているにも関わらず、適正温度範囲の上限値を一定値に設定した。
記録装置1を用いた500K(500000)枚の印刷処理において、測定部731による測定処理と解析部74による解析処理とを実行させないようにした。そして、温調制御部96は、図15(A)に示すように、500K(500000)枚の印刷処理において、適正温度範囲の上限値を一定値に設定した。すなわち、比較例において温調制御部96は、印刷枚数の増加に応じて撥液膜535Fの劣化が進行しているにも関わらず、適正温度範囲の上限値を一定値に設定した。
(実験結果)
図15(B)には、実施例及び比較例の各例における、液体吐出孔535から吐出されたインク滴の着弾位置について、狙い位置に対する位置ずれ量の推移が示されている。実施例では、吐出不良(ヨレ吐出)が防止された範囲でインク滴の着弾位置の位置ずれ量が推移している。これは、印刷枚数の増加に応じた撥液膜535Fの劣化に対応した膜劣化指標値IVに基づき適正温度範囲の上限値の設定が変更され、撥液膜535Fの劣化によって吐出孔面535Sにインクが濡れ広がるのを抑止するように液体吐出ヘッド51の温度が調節されたからである。一方、比較例では、インク滴の着弾位置の位置ずれ量が、印刷枚数の増加に応じて大きくなっている。これは、比較例では、印刷枚数の増加に応じた撥液膜535Fの劣化によって吐出孔面535Sに対するインクの濡れ広がり度合いが大きくなり、撥液膜535Fの劣化に起因した吐出不良(ヨレ吐出)が生じたからである。
図15(B)には、実施例及び比較例の各例における、液体吐出孔535から吐出されたインク滴の着弾位置について、狙い位置に対する位置ずれ量の推移が示されている。実施例では、吐出不良(ヨレ吐出)が防止された範囲でインク滴の着弾位置の位置ずれ量が推移している。これは、印刷枚数の増加に応じた撥液膜535Fの劣化に対応した膜劣化指標値IVに基づき適正温度範囲の上限値の設定が変更され、撥液膜535Fの劣化によって吐出孔面535Sにインクが濡れ広がるのを抑止するように液体吐出ヘッド51の温度が調節されたからである。一方、比較例では、インク滴の着弾位置の位置ずれ量が、印刷枚数の増加に応じて大きくなっている。これは、比較例では、印刷枚数の増加に応じた撥液膜535Fの劣化によって吐出孔面535Sに対するインクの濡れ広がり度合いが大きくなり、撥液膜535Fの劣化に起因した吐出不良(ヨレ吐出)が生じたからである。
1 記録装置(液体吐出装置)
50 記録部
51 液体吐出ヘッド
533 液体加圧室
535 液体吐出孔
535F 撥液膜
535S 吐出孔面
545 圧電アクチュエータ
56 温度調節機構
64 サブインクタンク(貯留タンク)
64P 圧送機構
73 測定ユニット
731 測定部
74 解析部
83 報知部
90 制御部
92 ヘッド制御部
94 圧送制御部
95 報知制御部
96 温調制御部
50 記録部
51 液体吐出ヘッド
533 液体加圧室
535 液体吐出孔
535F 撥液膜
535S 吐出孔面
545 圧電アクチュエータ
56 温度調節機構
64 サブインクタンク(貯留タンク)
64P 圧送機構
73 測定ユニット
731 測定部
74 解析部
83 報知部
90 制御部
92 ヘッド制御部
94 圧送制御部
95 報知制御部
96 温調制御部
Claims (7)
- 液体を収容可能な液体加圧室と、前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられることに伴って液体を吐出する液体吐出孔が形成された吐出孔面と、前記液体吐出孔が露出するように前記吐出孔面に形成された撥液膜と、を含む液体吐出ヘッドと、
前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられたときの、前記液体吐出孔における液体の液面の変位を測定する測定処理を行う測定部と、
前記測定部の測定結果に基づいて、前記撥液膜の劣化度の指標を示す膜劣化指標値を求める解析処理を行う解析部と、を備える、液体吐出装置。 - 前記液体吐出ヘッドは、前記液体加圧室に対向配置される圧電アクチュエータを含み、
前記液体吐出ヘッドを制御するヘッド制御部を、更に備え、
前記ヘッド制御部は、前記液体吐出孔からの液体の吐出の要求を示す液体吐出要求が入力されたときに、当該液体吐出要求に応じた前記液体吐出孔からの液体の吐出を許容可能な範囲で前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられるように、前記圧電アクチュエータを変位させる液体吐出制御を実行し、
前記測定部は、前記液体吐出制御の停止中において、前記測定処理を行う、請求項1に記載の液体吐出装置。 - 液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンク内の液体を前記液体加圧室に向けて圧送する圧送機構と、
前記圧送機構を制御する圧送制御部と、を更に備え、
前記圧送制御部は、前記測定部による前記測定処理が行われるときに、前記液体吐出孔からの液体の吐出を規制可能な範囲で前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられるように、前記圧送機構に液体を圧送させる測定時圧送制御を実行する、請求項2に記載の液体吐出装置。 - 前記ヘッド制御部は、前記測定部による前記測定処理が行われるときに、前記液体吐出孔からの液体の吐出を規制可能な範囲で前記液体加圧室内の液体に圧力が加えられるように、前記圧電アクチュエータを変位させる測定時圧電制御を実行する、請求項2に記載の液体吐出装置。
- 情報を報知することが可能な報知部と、
前記報知部を制御する報知制御部と、を更に備え、
前記報知制御部は、前記膜劣化指標値に基づいて、前記撥液膜の劣化の進行状況を示す膜劣化進行情報の報知タイミングを決定し、当該報知タイミングにおいて前記報知部に前記膜劣化進行情報を報知させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記液体吐出ヘッドの温度を調節する温度調節機構と、
前記ヘッド制御部による前記液体吐出制御の実行中において、前記液体吐出ヘッドの温度が前記液体吐出孔からの液体の吐出に適した適正温度範囲内で推移するように、前記温度調節機構を制御する温調制御部と、を更に備え、
前記温調制御部は、前記膜劣化指標値に応じて前記適正温度範囲の上限値を設定する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記温調制御部は、前記膜劣化指標値が、劣化がより進行した値となるに従い前記適正温度範囲の上限値を低い値に設定する、請求項6に記載の液体吐出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020096128A JP2021187099A (ja) | 2020-06-02 | 2020-06-02 | 液体吐出装置 |
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Family Applications (1)
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2020
- 2020-06-02 JP JP2020096128A patent/JP2021187099A/ja active Pending
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