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JP2021116191A - 複合炭素材料及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

複合炭素材料及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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JP2021116191A JP2020008294A JP2020008294A JP2021116191A JP 2021116191 A JP2021116191 A JP 2021116191A JP 2020008294 A JP2020008294 A JP 2020008294A JP 2020008294 A JP2020008294 A JP 2020008294A JP 2021116191 A JP2021116191 A JP 2021116191A
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辰郎 福井
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Abstract

【課題】低温充放電レート特性、高温保存特性、高温サイクル特性に優れ、内部抵抗が低く、高クーロン効率を有するリチウムイオン二次電池のための複合炭素材料の提供。【解決手段】炭素材料(A)及びその表面を被覆する炭素性被覆層(B)を含む複合炭素材料であって、式1を満たすことを特徴とする複合炭素材料。式1:1000≦C/D≦2000。Cは、複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、複合炭素材料から脱離した水素分子(H2)量(μmol/g)及びDは、複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、複合炭素材料から脱離した二酸化炭素分子(CO2)量(μmol/g)である。【選択図】図1

Description

本発明は、複合炭素材料、前記材料を含む負極活物質、その負極活物質を含む負極、及びその負極を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
携帯電子機器などの電源としてリチウムイオン二次電池が使用されている。リチウムイオン電池は、当初、電池容量の不足、充放電サイクル寿命が短いなど多くの課題があった。現在ではそのような課題が克服され、リチウムイオン二次電池の用途は携帯電話、ノートブック型パソコン、デジタルカメラなどの弱電機器から、電動工具、電動自転車などのパワーを必要とする強電機器にも適用が広がってきている。さらに、リチウムイオン二次電池は、自動車の動力源への利用が特に期待されており、電極材料、セル構造などの研究開発が盛んにすすめられている。
自動車の電源として用いられるリチウムイオン二次電池は、低温充放電レート特性、高温保存特性、高温サイクル特性に優れること、及び内部抵抗が低く、高いクーロン効率を有することが求められ、それぞれの課題に対し様々な手法が講じられている。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては炭素材料が使用される。また、炭素材料の表面欠陥の修復するため、あるいは心材となる炭素材料とは異なる特性を付与するために表面に被覆層を形成することが提案されている。
特許文献1には被覆材として石油系ピッチを用いて表面にアモルファス炭素層を形成した複合炭素材料が記載されている。
特許文献2はCVD処理により表面に熱分解炭素層を形成した複合炭素材料が記載されている。
特許文献3は被覆材としてグラフェンを用いて表面にグラフェン付着させた複合炭素材料が記載されている。
特許文献4はシリコン表面にグラフェンシートを付着させた炭素複合シリコンが記載されている。
特許文献5はグラフェン膜をシェル構造としたグラフェンシェルの製造方法が記載されている。
非特許文献1には多層グラフェンが記載され、非特許文献2には2層グラフェンが記載されている。
特許第4531174号公報 特許第5898628号公報 WO2017/168982号 特開2013−60355号公報 特許第5749418号公報
生産と技術,第66巻第3号(2014)88−91 Science,313(2006)951
ピッチを用いて被覆層を形成する従来の技術では、炭素材料の表面にアモルファス炭素層を形成した複合炭素材料を作製することができる。しかし、アモルファス炭素層は高温特性が不十分であり、またアモルファス炭素層の厚みを均一に制御することが難しく、そのため電子伝導性も不均一となるため、内部抵抗が高く、レート特性も不十分であった。
CVD処理により炭素性被覆層を形成する場合、炭素材料のような凹凸の大きい心材に対して薄く均一な層を形成することは難しく、均一な層を形成するには被覆層を厚くするか、内部に緩衝層を形成する必要があり、その結果高温サイクル特性や高温保存特性や不十分であった。
特許文献3に記載のグラフェンを被覆させる技術では、心材とグラフェンの結着にアモルファス炭素が用いられ、高温特性が不十分である。
特許文献4に記載のグラフェンを被覆させる技術は電気泳動法を用いて被覆層を付着させるものであり、炭素材料表面にグラフェン層を形成することはできない。
特許文献5に記載のグラフェン膜をシェルとしたグラフェンシェルは内部に触媒金属を用いる技術であり、炭素粒子表面にグラフェン層を被覆することはできない。
本発明の課題は、低温充放電レート特性、高温保存特性、高温サイクル特性に優れ、内部抵抗が低く、高クーロン効率を有するリチウムイオン二次電池のための複合炭素材料を提供することにある。
本発明は以下の構成からなる。
[1]炭素材料(A)及びその表面を被覆する炭素性被覆層(B)を含む複合炭素材料であって、式1を満たすことを特徴とする複合炭素材料。
式1: 1000≦C/D≦2000
Cは、前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した水素分子(H)量(μmol/g)、
Dは、前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した二酸化炭素分子(CO)量(μmol/g)である。
[2]前記複合炭素材料において、さらに式2を満たすことを特徴とする前記1に記載の複合炭素材料。
式2: 3.0≦C/E≦9.0
Eは、前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した一酸化炭素分子(CO)量(μmol/g)である
[3]前記Cが1.0μmol/g以上6.0μmol/g以下である、前記1または2に記載の複合炭素材料。
[4]前記Dが0.2μmol/g以下である、前記1〜3のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[5]前記Eが1.8μmol/g以下である、前記1〜4のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[6]顕微ラマン分光分析法によるラマンスペクトルから得られるR値(1350cm−1付近のピーク強度(ID)と1580cm−1付近のピーク強度(IG)の比(ID/IG))の変動係数が0.30以下である前記1〜5のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[7]ラマン分光分析法によって測定されるR値が0.10以上0.40以下である前記1〜6のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[8]400回タッピング密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下であり、BET比表面積が0.1m/g以上10.0m/g以下である前記1〜7のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[9]前記炭素材料(A)が、黒鉛材料である前記1〜8のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[10]BET比表面積変動率:(複合炭素材料のBET比表面積)/(炭素材料(A)のBET比表面積)が0.30以上0.90以下である前記1〜9のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[11]R値変動率(複合炭素材料のラマンR値)/(炭素材料(A)のラマンR値)が1.50以上10.00以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[12]前記炭素性被覆層(B)の厚さが0.1nm以上30.0nm以下である前記1〜11のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[13]前記炭素性被覆層(B)が、グラフェンを含む前記1〜12のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
[14]前記1〜13のいずれか1項に記載の複合炭素材料を含む負極活物質。
[15]前記14に記載の負極活物質と集電体を含む負極。
[16]前記15に記載の電極を用いたリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、炭素材料の表面に安定で薄く、均一な炭素性被覆層が形成され、低温充放電レート特性、高温保存特性、高温サイクル特性に優れ、内部抵抗が低く、高クーロン効率を有する複合炭素材料を提供することができる。
昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、複合炭素材料から脱離した水素分子(H)量。 昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、複合炭素材料から脱離した二酸化炭素分子(CO)量。 昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、複合炭素材料から脱離した一酸化炭素(CO)量。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[1]複合炭素材料
本発明の一実施態様における複合炭素材料は、炭素材料(A)及びその表面を被覆する炭素性被覆層(B)を含む複合炭素材料であって、式1を満たすことを特徴とする複合炭素材料である。
式1: 1000≦C/D≦2000
式1においてCは、前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した水素分子(H)量(μmol/g)、Dは前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した二酸化炭素分子(CO)量(μmol/g)である。即ち、Cは複合炭素材料1gあたりの1250℃から1400℃の間で発生した水素分子の総量(μmol)である。D、Eについても同様である。
C/Dが1000以上2000以下であると電池としたときの充放電時に良好なパシベーション膜が形成でき、副反応を抑制し、クーロン効率、低抵抗化、高温保存性や高温サイクル特性が優れる。前記C/Dは1050以上であることが好ましく、1100以上であることがより好ましい。前記C/Dは1500以下であることが好ましく、1300以下であることがより好ましい。
前記複合炭素材料において、式2をさらに満たすことが好ましい。
式2:: 3.0≦C/E≦9.0
式2においてEは、前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した一酸化炭素分子(CO)量(μmol/g)である。電池としたときの充放電時に良好なパシベーション膜が形成でき、副反応を抑制し、クーロン効率、低抵抗化、高温保存性や高温サイクル特性が優れる。前記C/Eは4.5以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。前記C/Eは8.0以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましい。
前記複合炭素材料に対して1250℃から1400℃までの温度上昇における、昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された脱離した水素分子(H2)量:Cの値は1.0μmol/g以上6.0μmol/g以下が好ましく、1.5μmol/g以上5.0μmol/g以下がより好ましく、2.0μmol/g以上4.0μmol/g以下がさらに好ましい。この脱離水素分子(H2)量は複合炭素材料の表面及び末端に結合している水素量に相関しており、1.0μmol/g以上であると、充放電時に良好なパシベーション膜形成に必要な活性面を有し、初回クーロン効率が高くなるため好ましい。6.0μmol/g以下であると、活性面が過剰にならないため初期クーロン効率を高くすることができる。
前記複合炭素材料に対して1250℃から1400℃までの温度上昇における、昇温脱離ガス分析計(TDS−MS)において測定された脱離一酸化炭素分子(CO)量と脱離二酸化炭素分子(CO)の合計量は2.0μmol/g以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましい。この脱離一酸化炭素分子(CO)及び二酸化炭素分子(CO)量は複合炭素材料内の酸素性官能基量に相関しており、その量が2.0μmol/g以下であると電池としたときの副反応を抑制し、クーロン効率、高温保存性や高温サイクル特性と低抵抗化が両立できる。酸素性官能基にはエポキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基など様々な官能基が含まれる。
前記複合炭素材料に対して1250℃から1400℃までの温度上昇における、昇温脱離ガス分析計(TDS−MS)において測定された脱離二酸化炭素分子(CO)量:Dの値は0.2μmol/g以下が好ましく、0.01以下がより好ましく、0.005以下がさらに好ましい。この脱離CO量は複合炭素材料内の酸素性官能基量に相関しており、その量が0.2μmol/g以下であると電池としたときの副反応を抑制し、クーロン効率、高温保存性や高温サイクル特性と低抵抗化が両立できるためである。
前記複合炭素材料に対して1250℃から1400℃までの温度上昇における、昇温脱離ガス分析計(TDS−MS)において測定された脱離CO量は1.8μmol/g以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましい。この脱離CO量は複合炭素材料内の酸素性官能基量に相関しており、その量が1.8μmol/g以下であると電池としたときの副反応を抑制し、クーロン効率、高温保存性や高温サイクル特性と低抵抗化が両立できる。
炭素材料(A)は特に限定されず、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素質材料や炭素繊維、気相法炭素繊維、マルチウォールカーボンナノチューブ、シングルウォールカーボンナノチューブ、ナノワイヤー、黒鉛材料を用いることができる。形状としては粒子状または繊維状が挙げられ、粒子状が好ましい。また、黒鉛材料を用いることが好ましい。黒鉛材料は結晶性が高いことから、放電容量、高温サイクル特性、高温保存特性等に優れる。黒鉛材料の中でも人造黒鉛材料が好ましく、内部が中実構造の人造黒鉛材料がより好ましい。内部が中実構造であると、充放電に伴う膨張収縮の繰り返しによっても材料内剥離がほとんど起きず、高温サイクル特性や高温保存特性が優れる。
炭素材料(A)は炭素に金属、金属酸化物または合金を複合させた複合材料も用いることができる。金属、金属酸化物または合金はリチウムを吸蔵・放出するものであれば限定されないが、例えばシリコン、すず、亜鉛やそれらの酸化物、合金などが挙げられる。
炭素材料(A)の50%粒子径(D50)は、1.0μm以上が好ましい。D50が1.0μm以上であると粒子の凝集が抑制され電極塗工のためのスラリーを作製しやすくなる。同様の観点から、D50は3.0μm以上がより好ましく、5.0μm以上が最も好ましい。D50は50.0μm以下が好ましい。D50が50.0μm以下であると電極の電気抵抗が小さくなりレート特性が向上するためである。同様の観点から30.0μm以下がさらに好ましく、15.0μm以下が最も好ましい。
本明細書において、「50%粒子径(D50)」とは、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒径分布における累積50%となる粒子径を意味する。
炭素材料(A)のBET比表面積は0.1m/g以上が好ましい。BET比表面積が0.1m/g以上であると高速充放電が可能となる。同様の観点から、BET比表面積は1.0m/g以上がより好ましく、3.0m/g以上が最も好ましい。BET比表面積は20.0m/g以下が好ましい。20.0m/g以下であると凝集が抑制されるためスラリーを作製しやすく、また電池としたときの副反応を抑制し、クーロン効率、高温保存性や高温サイクル特性が優れる。同様の観点から、好ましくは12.0m/g以下であり、より好ましくは8.0m/g以下である。
前記炭素性被覆層(B)にはグラフェンが含まれていることが好ましい。グラフェンは炭素原子がハニカム状に連続している二次元のシート状物質であり、アモルファス炭素よりも優れた導電性、化学的安定性、及び高い機械的強度を有する。グラフェンによって炭素材料(A)の表面が被覆されることにより、炭素材料(A)の体積変化を抑えて導電性を改善することができ、耐久性及び充放電特性の優れたリチウムイオン二次電池用負極材が得られる。グラフェンは、炭素材料(A)の表面にグラフェン層として形成されていることがより好ましく、炭素材料(A)のほぼ全面を被覆していることがさらに好ましい。また、炭素材料(A)の表面を単層または多層グラフェンが覆っていることがより好ましく、炭素材料(A)の表面を単層または多層グラフェンが直接覆っていることがさらに好ましく、炭素材料(A)の表面を沿うように単層または多層グラフェンが直接覆っていることが最も好ましい。なお、1層からなるグラフェンを単層グラフェン、2層以上からなるグラフェンを多層グラフェンと呼び、グラフェンには酸化グラフェンも含む。厚さが30nmを超えるグラフェンはグラファイト(黒鉛)とし、炭素性被覆層(B)を形成するグラフェン層からは除外する。
前記炭素性被覆層(B)の厚さは0.1nm以上であることが好ましい。0.1nmはグラフェンの単層の厚さに相当する。一定以上の導電性、化学的安定性、機械的強度を備える観点から炭素性被覆層(B)の厚さは1.0nm以上であることがより好ましく、2.0nm以上がさらに好ましい。炭素性被覆層(B)の厚さは30.0nm以下であることが好ましい。炭素性被覆層(B)の厚さが30.0nm以下であると、過剰な炭素性被覆層(B)の形成が抑制され高温保存性や高温サイクル特性を良好に保つことができる。同様の観点から20.0nm以下がより好ましく、10.0nm以下がさらに好ましく、5.0nm以下が最も好ましい。
炭素性被覆層(B)の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定する。測定精度の観点から測定箇所は30点以上が好ましい。その算術平均を炭素性被覆層(B)の厚さとする。具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の一実施態様における複合炭素材料のR値は0.10以上が好ましい。R値が0.10以上であると、複合炭素材料の表面における電気抵抗が下がり、低温充放電特性が良好なリチウムイオン二次電池が得られる。同様の観点から、R値は0.14以上がより好ましく、0.17以上がさらに好ましい。複合炭素材料のR値は0.40以下が好ましい。R値が0.40以下であると、表面の結晶化度が低すぎないことから、良好な高温保存、高温サイクル特性を維持できるためである。同様の観点から、R値は0.35以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましい。
R値とは、ラマン分光測定で観測される1350cm−1付近のピーク強度(ID)と1580cm−1付近のピーク強度(IG)の強度比(ID/IG)を意味する。R値により複合炭素材料表面の状態を評価することができる。R値が小さい程、複合炭素材料の表面の結晶化度が高いことを示す。
本発明の一実施態様における複合炭素材料のR値(ID/IG)の変動係数は0.30以下が好ましい。R値の変動係数が0.30以下であると、コーティング状態のばらつきが小さいため、低抵抗化の効果が大きく、高温サイクル特性、低温レート特性が向上する。同様の観点から、変動係数は0.25以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましい。
R値の変動係数は、顕微ラマン分光測定法によりR値を複数点測定し、その標準偏差値をR値の平均値で割って求める。測定精度の観点から30点以上が好ましい。変動係数を求めることでコーティング状態のばらつきを評価することができる。変動係数が大きいほどR値の均一性が低く、コーティング状態のばらつきが大きいことを示す。
顕微ラマン分光測定法では、高い空間分解能を有する顕微レーザーラマン分光器を用い、同一サンプルに対してR値を複数点測定する。典型的には、毎回箇所が異なるよう、各回の測定終了後にレーザーの照射位置をずらして測定を行う。空間分解能が低すぎると(すなわち、照射位置の重なりが大きすぎると)、炭素材料間のばらつきがR値に反映され難く、評価結果の精度が低下する場合がある。
本発明の一実施態様における複合炭素材料において、R値変動率:(複合炭素材料のラマンR値)/(炭素材料(A)のラマンR値)が1.50以上であることが好ましい。前記比が1.50以上であると、炭素材料(A)の表面に炭素性被覆層が形成され低抵抗化の効果が大きく、低温レート特性が向上する。同様の観点から、前記比は1.80以上であることがさらに好ましく、2.10以上が最も好ましい。一方、(複合炭素材料のラマンR値)/(炭素材料(A)のラマンR値)は10.00以下であることが好ましい。前記比が10.00以下であると、過剰な炭素性被覆層(B)の形成を抑制し、それにより高温保存性や高温サイクル特性を良好に保つことができる。同様の観点から前記比は6.00以下がさらに好ましく、3.00以下が最も好ましい。なお、炭素材料(A)のラマンR値は原料として用いた炭素材料(A)の値である。
本発明の一実施態様における複合炭素材料のX線回折法で測定される(002)面の平均面間隔d002は0.3354nm以上であることが好ましい。これは黒鉛の理論下限値である。d002は0.3370nm以下である。d002が0.3370nm以下であると、放電容量が大きくなり、大型電池に要求されるエネルギー密度を満足する電池が得られる。同様の観点から、d002は0.3367nm以下がより好ましく、0.3364nm以下がさらに好ましい。
本発明の一実施態様における複合炭素材料の50%粒子径(D50)は、1.0μm以上が好ましい。D50が1.0μm以上であると粒子の凝集が抑制され電極塗工のためのスラリーを作製しやすくなる。同様の観点から、D50は3.0μm以上がより好ましく、5.0μm以上が最も好ましい。D50は50.0μm以下が好ましい。D50が50.0μm以下であると電極の電気抵抗が小さくなりレート特性が向上するためである。同様の観点から30.0μm以下がさらに好ましく、15.0μm以下が最も好ましい。
本発明の一実施態様における複合炭素材料の400回タッピング密度は0.3g/cm以上が好ましい。タッピング密度が0.3g/cm以上であるとプレス時に到達する電極密度を充分高くすることが可能となり高エネルギー密度の電池が得られる。同様の観点から、タッピング密度は0.4g/cm以上がより好ましく、0.5g/cm以上が最も好ましい。400回タッピング密度は1.5g/cm以下が好ましい。タッピング密度が1.5g/cm以下の場合、得られた電極の電解液浸透性を充分高くすることが可能となり入出力特性の高い電池が得られる。同様の観点から、タッピング密度は1.2g/cm以下がより好ましく、0.9g/cm以下が最も好ましい。
本発明の一実施態様における複合炭素材料のBET比表面積は0.1m/g以上が好ましい。BET比表面積が0.1m/g以上であると高速充放電が可能となる。同様の観点から、BET比表面積は1.0m/g以上がより好ましく、1.5m/g以上が最も好ましい。BET比表面積は10.0m/g以下が好ましい。10.0m/g以下であると凝集が抑制されるためスラリーを作製しやすく、また電池としたときの副反応を抑制し、クーロン効率、高温保存性や高温サイクル特性が優れる。同様の観点から、好ましくは8.0m/g以下であり、より好ましくは5.0m/g以下である。
BET比表面積変動率:(複合炭素材料のBET比表面積)/(炭素材料(A)のBET比表面積)は0.90以下であることが好ましい。前記比が0.90以下であれば、炭素材料(A)の表面が十分に被覆されており、低抵抗化の効果が大きいため、充放電特性が良好になる。同様の観点から、前記比は0.80以下であることがさらに好ましく、0.70以下であることが最も好ましい。前記比は0.30以上であることが好ましい。前記比が0.30以上であれば、コーティング量が過剰にならず、サイクル特性や高温保存特性が良好に保たれる。同様の観点から、前記比は0.50以上であることがさらに好ましく、0.60以上であることが最も好ましい。
なお、炭素材料(A)のBET比表面積は原料として用いた炭素材料の値を用いる。
本明細書に記載のd002、D50、400回タッピング密度及びBET比表面積は実施例に記載の方法により測定する。
[2]複合炭素材料の製造方法
本発明の一実施態様における複合炭素材料は、炭素材料(A)の表面にCVD(化学的気相成長法)処理を用いて炭素性被覆層(1)を形成した被覆炭素材料を製造するCVD処理工程と、前記被覆炭素材料に対して酸素プラズマ処理を施し炭素性被覆層(2)を形成した改質被覆炭素材料を製造する酸素プラズマ処理工程と、前記改質被覆炭素材料に対して水素プラズマ処理を施し表面に炭素性被覆層(B)を形成した複合炭素材料を製造する水素プラズマ処理工程とを含む工程により製造することができる。
[2−1]CVD(化学的気相成長法)処理工程
CVD処理とは、不活性雰囲気中で加熱した基質表面に活性化した反応ガスを接触させることにより、反応ガスを分解させ、基質表面に反応ガスを沈着させ被覆層を得る処理である。
炭素材料(A)の表面にCVD(化学的気相成長法)処理をおこなうことで、炭素材料(A)の表面に炭素を主成分とする炭素性被覆層(1)を形成することができる。炭素性被覆層(1)は炭素材料(A)に接する部分では炭素材料(A)結晶構造と同様の結晶構造を備え、例えば黒鉛材料に適用した場合、結晶性の炭素性被覆層(1)を得る。ただし、厚さが増すにつれて芯材の影響が弱くなりアモルファス性になる傾向が強い。炭素材料は表面に凹凸が大きい傾向にあるため薄く均一な被覆層を形成することは難しいことから、CVD処理では炭素性被覆層(1)厚くする必要があり、30nm以上形成することが好ましく、50nm以上形成することがより好ましい。30nm以上とすることで、その後の処理を施しても表面に欠陥が無いように炭素性被覆層(1)を形成することができる。また、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。200nm以下とすることで、生産効率がよく、初回クーロン効率もよくなる傾向にある。
CVD処理としては熱CVD法やプラズマCVD法などが知られ、いずれも用いることができるが、プラズマCVD法が均一な膜を得やすいことから好ましい。
熱CVD法により被覆炭素材料を製造する場合には、不活性ガス雰囲気にした流動式反応炉内に被覆対象である炭素材料(A)を設置し、これを加熱しながら、反応ガスおよびキャリアガスを導入することで炭素性被覆膜(1)を形成し被覆炭素材料を得ることができる。加熱温度は500〜1500℃が好ましく、600〜1200℃がより好ましく、700〜1100℃がより好ましい。CVD処理温度が500〜1500℃である場合、高結晶性の炭素性被覆膜(1)を得やすく、後に続く処理によって安定な複合炭素材料を得られる傾向にある。
プラズマCVD法により被覆炭素材料を製造する場合には、真空容器内に被覆対象である炭素材料(A)と反応ガスおよびキャリアガスを真空容器内に導入する。次いで、反応ガスの放電により真空容器内にプラズマを生成させ、プラズマによりイオン化されたガスを炭素材料(A)の表面に付着させることで、炭素性被覆膜(1)を形成し被覆炭素材料を得ることができる。ガス流量は1〜300sccmが好ましく、10〜200sccmがより好ましい。炭素性被覆膜(1)を形成する真空容器内の圧力は、0.01Pa〜1Paが好ましい。また、容器内の温度は、100℃〜700℃が好ましい。100℃以上とすることで容器内の放電が安定する。700℃以下とすることで炭素性被覆膜(1)の欠陥生成を抑制でき、均一な膜を得やすい。
反応ガスとしては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ジフェニル、ナフタレン、フェノール、クレゾール、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、インデン、クマロン、ピリジン、アントラセン、フェナントレン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
キャリアガスとしては、水素ガスやアルゴンガスを用いることができる。
反応ガス及びキャリアガスは、その種類や温度、圧力等を調整することで被覆膜の組成や厚さを制御することができる。
[2−2]酸素プラズマ処理工程
酸素プラズマ処理とは、物質表面に高エネルギー状態の酸素(酸素ラジカル)を照射し、被覆炭素材料表面の炭素と結合させ、COとして気化、分解させる。これを連続的に行うことにより結果的に被覆炭素材料の表面を削ることができる処理である。この処理を適度に行うことで前記CVD処理工程によって得られた炭素性被覆膜(1)を酸化することで削り、厚さを調整することができる。また、表面に酸素性官能基を付加することができる。
酸素プラズマ処理する工程には、高周波プラズマ(RFプラズマ)を用いることが好ましい。酸素プラズマ処理装置は大気圧プラズマ装置、真空プラズマCVD装置、プラズマスパッタリング装置などのプラズマ発生機構を備えている装置であれば、いずれの装置でもよい。印加する高周波の周波数は、工業的には、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz等が利用されるが、13.56MHzが一般的である。
高周波プラズマは、マイクロ波プラズマと比べて広範な圧力範囲(圧力2Pa〜100kPa(大気圧))で比較的安定に形成でき、プラズマ密度は109〜1011/cm程度と、マイクロ波プラズマに比べると幾分低いが、例えば大気圧雰囲気を用いた大気圧高周波プラズマ照射処理であれば装置構造が単純になり装置コストを安価にできる利点がある。
プラズマ照射処理では、プラズマの電子温度が高い(数eV程度)ため、被覆炭素材料が加熱されるが、その加熱温度はプラズマ照射処理条件(基板とプラズマ発生部の距離(照射距離)、処理時間、入力エネルギーにより100〜数百度℃まで大きく異なってくる。処理温度は100℃〜1000℃が好ましく、200℃〜800℃がより好ましく、300℃〜600℃がさらに好ましい。100℃〜1000℃であると、炭素性被覆層を均一に酸化し、厚さを制御しやすい。
本発明における酸素プラズマ処理としては、例えば、被覆炭素材料をプラズマCVD装置のチャンバ内にセットし、フローガスとして酸素を用いて、ガス流量を10〜100sccm、好ましくは10〜60sccm程度とし、被覆炭素材料温度を25℃〜300℃、プロセス圧を10Pa〜1気圧(101.325kPa)、好ましくは10〜100kPa、処理時間を5分〜2時間、好ましくは5〜100分とすることで改質被覆炭素材料を得ることができる。また、印加高周波の周波数は13.56MHzで行なえばよい。
[2−3]アニーリング工程
酸素プラズマ処理ののち、改質被覆炭素材料を空気雰囲気下にさらすアニーリング工程を施すことで、改質被覆炭素材料の表面の酸化を適度に抑制することができ、後述する水素プラズマ処理により緻密な炭素性被覆層を形成することができる。
[2−4]水素プラズマ処理工程
改質被覆炭素材料、好ましくは前記アニーリング工程を経た改質被覆炭素材料に減圧下、加熱した状態で水素プラズマ処理を施すことにより、炭素性被覆膜(2)を安定化させた炭素性被覆層(B)を備えた複合炭素材料を得ることができる。特に適切な条件で処理を行うことで炭素性被覆膜層(2)がグラフェン層となり、特に安定な炭素性被覆層(B)を備えた複合炭素材料を得ることができる。具体的には改質被覆炭素材料をプラズマCVD装置のチャンバ内にセットし、フローガスとして水素を用いて、水素ガスフロー中で処理することで複合炭素材料を得ることができる。水素ガス流量は1〜300sccmが好ましく、10〜200sccmがより好ましい。
減圧下で水素プラズマ処理を行うと、酸素プラズマ処理によって付加した酸素性官能基が除去され、あるいはグラフェン構造を形成するので、表面構造が化学的・物理的に安定化すると考えられる。
水素プラズマ処理を行う炉内の圧力は1〜100Paが好ましく、2〜40Paがより好ましく、3〜20Paがさらに好ましい。通常のマイクロ波プラズマ処理は、圧力2×103〜1×104Paで行われるが、この圧力では水素ガスが局所的に活性化しすぎ、炭素性被覆膜(2)を破壊するため安定な炭素性被覆層(B)を得ることが難しい傾向にあるが、1〜100Paの場合、均一に処理することができるため、均一性の高い炭素性被覆層を形成する得ることができる。
処理温度は500℃〜1500℃が好ましく、600℃〜1300℃より好ましく、700℃〜1100℃がさらに好ましい。500℃〜1500℃であると、炭素性被覆層を化学的・物理的に安定化させることができる。水素ガス流量は1〜300sccmが好ましく、10〜200sccmがより好ましい。
水素プラズマ処理時間は、1秒〜10分が好ましく、1秒〜5分がより好ましいく、1秒〜3分がさらに好ましい。1秒〜10分であると、均一性の高い炭素性被覆層を形成しやすい。
水素プラズマ処理に用いるガスは、水素ガスのみであってもよいし、水素ガスと不活性ガスの混合ガスであってもよい。不活性ガスとしてはヘリウム、ネオン、アルゴン等が包含される。
得られた複合炭素材料に対して適宜、篩分け等の分級処理を行ってもよい。
[3]リチウムイオン二次電池の負極活物質
本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池の負極活物質は上記複合炭素材料を含んでなる。
負極活物質は上記複合炭素材料からなるか、あるいはさらに他の炭素材料や導電付与剤を含んでなる。他の炭素材料や導電付与剤を含む場合、複合炭素材料100質量部に対して、球状の天然黒鉛または人造黒鉛を0.01〜200質量部、好ましくは0.01〜100質量部配合したものを使用することができる。他の黒鉛材料を混合して用いることにより、複合炭素材料の優れた特性を維持した状態で、他の黒鉛材料が有する優れた特性も兼ね備えた負極活物質とすることが可能である。
このような負極活物質は複合炭素材料と他の炭素材料等を混合することにより得ることができる。混合に際しては、要求される電池特性に応じて適宜、混合材料を選択し、混合量を決定することができる。
また、負極活物質には炭素繊維を配合することもできる。配合量は、前記負極活物質100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
炭素繊維としては、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などの有機系カーボンファイバー、気相法炭素繊維などが挙げられる。これらのうち、特に、結晶性が高く、熱伝導性の高い、気相法炭素繊維が好ましい。炭素繊維を複合炭素材料の表面に接着させる場合には、特に気相法炭素繊維が好ましい。
複合炭素材料と他の材料を混合するための装置としては、市販の混合機、攪拌機を用いることができる。具体的な例としてはリボンミキサー、V型混合機、W型混合機、ワンブレードミキサー、ナウターミキサー等の混合機を挙げることができる。
[4]電極用ペースト
本発明の一実施態様における電極用ペーストは、上記負極活物質とバインダーと溶媒を含んでなる。電極用ペーストは、負極活物質とバインダーとを混練することによって得られる。混錬には、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等の装置が使用できる。電極用ペーストは、シート状、ペレット状等の形状に成形することができる。
電極用ペーストに用いるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、SBR(スチレンブタジエンラバー)等のゴム系材料等が挙げられる。
バインダーの使用量は、負極活物質100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
混練する際に用いる溶媒としては、各々のバインダーに適したもの、例えばフッ素系ポリマーの場合はトルエン、N−メチルピロリドン等;SBRの場合は水等;その他にジメチルホルムアミド、イソプロパノール等が挙げられる。溶媒として水を使用するバインダーの場合は、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を併用することが好ましい。溶媒、及び増粘剤の量は、電極用ペーストが集電体に塗布しやすい粘度となるように調整される。
[5]リチウムイオン二次電池用負極
本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池用負極は、集電体とその集電体上の負極活物質からなる。負極は、上記電極用ペーストを集電体上に塗布し、乾燥し、加圧成形することによって得ることができる。
集電体としては、例えばアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の箔、メッシュなどが挙げられる。電極用ペーストの塗布厚は、50〜200μmとすることが好ましい。ペーストの塗布方法は特に制限されず、例えばドクターブレードやバーコーターなどで塗布後、ロールプレス等で成形する方法等が挙げられる。
加圧成形法としては、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を挙げることができる。加圧成形するときの圧力は1×10〜3×10kg/cmとすることが好ましい。
[6]リチウムイオン二次電池
リチウムイオン二次電池は、正極と負極とが電解液または電解質の中に浸漬された構造を有する。本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池は、負極として前記負極を用いてなる。
リチウムイオン二次電池の正極には、正極活物質として、通常、リチウム含有遷移金属酸化物が用いられ、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo及びWから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムの遷移金属元素に対するモル比が0.3〜2.2の化合物が用いられ、より好ましくはV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムの遷移金属に対するモル比が0.3〜2.2の化合物が用いられる。なお、主として存在する遷移金属に対し30モル%未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。上記の正極活物質の中で、一般式LiMO(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、x=0.02〜1.2)、またはLi(Zは少なくともMnを含む。y=0.02〜2)で表わされるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが好ましい。
リチウムイオン二次電池では正極と負極との間にセパレーターを設けることがある。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたものなどを挙げることができる。
本発明の好ましい実施態様におけるリチウムイオン二次電池を構成する電解液及び電解質としては公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できるが、電気伝導性の観点から有機電解液が好ましい。
なお、上記以外の電池構成上必要な部材の選択についてはなんら制約を受けるものではない。
以下、本発明に実施例を具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明を限定するものではない。
実施例及び比較例の複合炭素材料の評価方法、電池の作製方法、電池の特性の測定方法、及び各例で用いた原料は以下の通りである。
[1]複合炭素材料の評価
[1−1]昇温脱離ガス分析(TDS)
昇温脱離ガス分析装置として電子科学社製EMD−WA1000S/W型を用いて、脱離する水素分子、一酸化炭素分子、二酸化炭素分子を1250℃から1400℃までの温度上昇において複合炭素材料から脱離した分子モル数(μmol/mg)を測定した(図1、図2、図3)。この値を1250℃から1400℃の範囲で積分することでC、D、Eを求めた。
複合炭素材料をする試料ステージ、試料皿は何れも石英製を用いた。また、真空雰囲気下で昇温速度は60℃/minとした。試料重量は10mgとし、実測重量で補正した。検出には四重極質量分析計を用いた。測定値の解析に用いた質量数[M/z]は、Hが2、HOが18、COが28、COが44とし、上記質量数に対応するガスは、それぞれ全て上記の各物質であるとした。
[1−2]50%粒子径(D50)
レーザー回折式粒度分布測定装置としてマルバーン製マスターサイザー2000(Mastersizer;登録商標)を用い、5mgのサンプルを容器に入れ、界面活性剤が0.04質量%含まれた水を10g加えて5分間超音波処理を行った後に測定を行い、体積基準累積粒度分布における50%粒子径(D50)を得た。
[1−3]タッピング密度
タップ密度測定装置としてカンタクローム(Quantachrome)社製Autotapを用い、250mLのガラスシリンダーに50gのサンプルを入れ、400回タップ後の体積を測定し密度を算出した。これはASTM B527及びJIS K5101−12−2に準拠した測定方法であるが、オートタップの落下高さは5mmとした。
[1−4]BET比表面積
BET比表面積測定装置としてカンタクローム(Quantachrome)社製NOVA2200eを用い、サンプルセル(9mm×135mm)に3gのサンプルを入れ、300℃、真空条件下で1時間乾燥後、測定を行った。BET比表面積測定用のガスはNを用いた。
[1−5]面間隔d002
複合炭素材料と標準シリコン粒子(NIST製)が9対1の質量比になるように混ぜた混合物をガラス製試料板(試料板窓18×20mm、深さ0.2mm)に充填し、以下のような条件で測定を行った。
XRD装置:リガク製SmartLab(登録商標)
X線種:Cu−Kα線
Kβ線除去方法:Niフィルター
X線出力:45kV、200mA
測定範囲:24.0〜30.0deg.
スキャンスピード:2.0deg./min.
得られた波形に対し、学振法を適用し面間隔d002の値を求めた。(Iwashita et al.,Carbon vol.42(2004),p.701−714参照)。
[1−6]R値とR値の変動係数
顕微レーザーラマン分光装置として日本分光株式会社NRS−5100を用い、励起波長532.36nmで測定を行った。
ラマンスペクトルにおける1350cm−1付近のピーク強度(ID)と1580cm−1付近のピーク強度(IG)の比をR値(ID/IG)とする。
複合炭素材料に対して以下の領域で顕微レーザーラマン分光イメージングを行った。
測定ポイント:22×28箇所
測定ステップ:0.32μm
測定エリア:7.0×9.0μm
上記測定のうち複合炭素材料に相当する領域からランダムに100点を抽出し、得られたR値の標準偏差をR値の平均値で割った値を変動係数とした。
また、R値の平均値を複合炭素材料のR値とした。
[1−7]透過型電子顕微鏡(TEM)観察による炭素性被覆層(B)の状態と厚さ
複合炭素材料をエタノールに分散させ、マイクログリッドメッシュに回収し、以下のような条件で測定を行った。
透過型電子顕微鏡装置:日立製H−9500
加速電圧:300kV
観察倍率:30,000倍
測定から炭素性被覆層(B)の状態を観察した。次いで、任意に1つの複合炭素材料を選択し、その複合炭素材料表面の被覆層を上記倍率にて5視野観察し、1視野当り2箇所の被覆層の厚さを測定した。各箇所の被覆層の厚さは、被覆層長さ10nmの平均値とした。この測定を、任意に選択した3つの複合炭素材料に対して行い、合計30点のデータを得て、その平均を被覆層の厚さとした。また、FFT(Fast Fourier Transform)パターンを評価することでグラフェン層、アモルファス炭素層等の層構造を決定した。
[2]電池の作製
[2−1]電極用ペースト作製
後述する各実施例及び比較例で得られた複合炭素材料を96.5g、導電助剤としてカーボンブラック(TIMCAL社製、C65)を0.5g、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を1.5g及び水を8〜12g適宜加えて粘度を調節し、水系バインダー(昭和電工株式会社製、ポリゾール(登録商標))微粒子の分散した水溶液1.5gを加え撹拌・混合し、充分な流動性を有するスラリー状の分散液を作製し、電極用ペーストとした。
[2−2]負極1の作製
電極用ペーストを高純度銅箔上でドクターブレードを用いて150μm厚に塗布し、70℃で12時間真空乾燥した。塗布部が4.2cm×4.2cmとなるように打ち抜き機を用いて打ち抜いた後、超鋼製プレス板で挟み、電極密度が1.3g/cmとなるようにプレスし、負極1を作製した。プレス後の活物質層の厚さは65μmである。
[2−3]負極2の作製
上記の電極用ペーストが塗布された銅箔を16mmφの円形に打ち抜いた後、負極1と同様の方法で、電極密度が1.3g/cmとなるようにプレスし、負極2を作製した。プレス後の活物質層の厚さは65μmである。
[2−4]正極の作製
LiFePO(D50:7μm)を95g、導電助剤としてのカーボンブラック(TIMCAL社製、C65)を1.2g、気相法炭素繊維(昭和電工株式会社製、VGCF(登録商標)−H)を0.3g、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3.5g、N−メチル−ピロリドンを適宜加えながら撹拌・混合し、正極用スラリーを作製した。
この正極用スラリーを厚み20μmのアルミ箔上に厚さが均一になるようにロールコーターにより塗布し、乾燥後、ロールプレスを行い、塗布部が4.2×4.2cmとなるように打ち抜き、正極を得た。プレス後の活物質層の厚さは65μmである。
[2−5]電解液の作製
EC(エチレンカーボネート)3質量部、DMC(ジメチルカーボネート)2質量部及びEMC(エチルメチルカーボネート)5質量部の混合液に、電解質としてLiPFを1.2モル/リットル溶解し、添加剤としてVC(ビニレンカーボネート)1質量部を加えて、電解液とした。
[2−6]電池の組み立て
(二極セル)
負極1の銅箔部にニッケルタブを、正極のアルミ箔部にアルミタブを超音波溶接機で溶接しとりつけた。ポリプロピレン製フィルム微多孔膜を介して、負極1と正極とを対向させ積層し、アルミラミネートフィルムによりパックし、電解液を注液後、開口部を熱融着により封止し、二極セルを作製した。
(対極リチウムセル(ハーフセル))
ポリプロピレン製のねじ込み式フタつきのセル(内径約18mm)内において、負極2と16mmφに打ち抜いた金属リチウム箔との間にセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(セルガード2400))で挟み込んで積層し、電解液を加えてかしめ機でかしめることで、対極リチウムセルを作製した。
[3]電池の評価
[3−1]初回クーロン効率の測定
対極リチウムセルを用いて25℃に設定した恒温槽内で試験を行った。レストポテンシャルから0.005Vまで0.02mAで定電流充電を行った。次に0.005Vで定電圧充電に切り替え、定電流充電と定電圧充電とを合わせて40時間になるように充電を行い、初回充電容量(a)を測定した。
上限電圧1.5Vとして0.2mAで定電流放電を行い、初回放電容量(b)を測定した。
初回放電容量(b)/初回充電容量(a)を百分率で表した値、すなわち100×(b)/(a)を初回クーロン効率とした。
[3−2]基準容量の測定
二極セルを用いて、25℃に設定した恒温槽内で試験を行った。セルを上限電圧4Vとして0.2C(満充電状態の電池を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)で定電流充電したのち、カットオフ電流値0.85mA、4Vで定電圧充電した。その後、下限電圧2V、0.2Cで定電流放電を行った。上記操作を計4回繰り返し、4回目の放電容量を二極セルの基準容量(c)とした。
[3−3]高温サイクル特性の測定
二極セルを用いて、55℃に設定した恒温槽中で試験を行った。充電はレストポテンシャルから上限電圧を4Vとして定電流値85mA(5C相当)で定電流充電を行ったのち、カットオフ電流値0.34mA、4Vで定電圧充電を行った。
その後、下限電圧2Vとして、85mAで定電流放電を行った。
上記条件で、500サイクル充放電を繰り返し、高温サイクル放電容量(d)を測定した。上記条件で測定した高温サイクル放電容量(d)/二極セルの基準容量(c)を百分率で表した値、すなわち100×(d)/(c)を高温サイクル容量維持率とした。
[3−4]内部抵抗(DC−IR)の測定
試験は25℃に設定した恒温槽内で行った。満充電状態から満充電容量の50%まで0.1Cで定電流放電をした。30分休止後、17mAを5秒放電したときの電圧降下量からオームの法則(R=ΔV/0.017)により二極セルの内部抵抗(DC−IR)(e)を求めた。
[3−5]高温保存・回復特性の測定試験
二極セルを用いて、充電及び放電のいずれについても25℃に設定した恒温槽内で試験を行った。セルを上限電圧4Vとして0.2Cで定電流充電したのち、カットオフ電流値0.34mAとして4Vで定電圧充電した。充電したセルを60℃に設定した恒温槽で4週間静置後、下限電圧2Vで0.2Cで定電流放電し、放電容量を測定した。この放電容量を高温保存容量(f)とした。二極セルの基準容量(c)に対する高温保存容量(f)を百分率で表した値、すなわち100×(f)/(c)を高温保持特性の値とした。
保存容量の測定後、セルを上限電圧4Vとして0.2Cで定電流充電したのち、カットオフ電流値0.34mAとして4Vで定電圧充電を行った。その後、下限電圧2V、0.2Cで定電流放電を行い、放電容量を測定した。この放電容量を高温回復容量(g)とした。二極セルの基準容量(c)に対する高温回復容量(g)を百分率で表した値、すなわち100×(g)/(c)を高温回復特性の値とした。
[3−6]低温充放電レート測定
二極セルを用いて試験を行った。25℃に設定した恒温槽内にてセルを上限電圧4Vとして0.2Cで定電流充電したのち、カットオフ電流値0.34mAとして4Vで定電圧充電した。充電したセルを−20℃に設定した恒温槽にて下限電圧2V、1Cで定電流放電し、放電容量を測定した。この放電容量を低温放電容量(h)とした。二極セルの基準容量(c)に対する低温放電容量(h)を百分率で表した値、すなわち100×(h)/(c)を低温放電レート特性の値とした。
低温放電容量の測定後、恒温槽内温度を25℃に戻し、下限電圧2V、0.2Cで定電流放電を行った。そのセルを−20℃に設定した恒温槽にて上限電圧4Vとして1Cで定電流充電したのち、カットオフ電流値0.34mAとして4Vで定電圧充電し、充電容量を測定した。この充電容量を低温充電容量(i)とした。二極セルの基準容量(c)に対する低温充電容量(i)を百分率で表した値、すなわち100×(i)/(c)を低温充電レート特性の値とした。
[4]原料
黒鉛粒子1:人造黒鉛(昭和電工株式会社製、SCMG(登録商標))、50%粒子径(D50)12.5μm、BET比表面積2.5m/g、ラマンR値0.08、中実構造。
黒鉛粒子2:人造黒鉛(昭和電工株式会社製、SCMG(登録商標))、50%粒子径(D50)6.0μm、BET比表面積5.9m/g、ラマンR値0.10、中実構造。
石油系ピッチ:50%粒子径(D50)、軟化点230℃、残炭率60%。
実施例1、2、比較例1、2、4〜6、8:
炭素材料(A)として黒鉛粒子1または黒鉛粒子2を用い、表1に記載の処理を施し複合炭素材料を得た。実施例1,2で得られた複合炭素材料の炭素性被覆層(B)は炭素材料(A)の表面を沿うように単層または多層グラフェンが直接覆ったグラフェン層であった。比較例2、8で得られた複合炭素材料の炭素性被覆層(B)はアモルファス炭素層であった。比較例1、4、5、6で炭素性被覆層(B)は得られなかった。
ここでCVD処理はプラズマCVD装置を用い、装置内温度200℃、装置内圧0.08Pa、キャリアガスとしてArガスを10sccm、反応ガスとしてアセチレンガスを150sccm供給してプラズマ処理を行った。酸素プラズマ処理はプラズマCVD装置を用い、装置内温度400℃、装置内圧16Pa、酸素ガスを60sccm供給し10分プラズマ処理を行った。アニーリング処理は常温空気中に取り出し60分間アニーリングした。水素プラズマ処理はプラズマCVD装置を用い、装置内温度700℃、装置内圧10Pa、水素ガス流量30sccmで2分間プラズマ処理を行った。なお、表1の表面処理の欄に「なし」とあるのは、該当する工程を行っていないことを意味する。
得られた複合炭素材料に対し、各種物性を測定した。その結果を表2に示す。また、得られた複合炭素材料を用いて電池を作製し評価した。その結果を表3に示す。
比較例3、7:
炭素材料(A)として黒鉛粒子1または黒鉛粒子2を用い、表1に記載のピッチコート処理を施し複合炭素材料を得た。ピッチコート処理は炭素材料(A)100質量部に対して、1質量部の石油系ピッチをノビルタ(ホソカワミクロン社製)で10分間混合したのち、窒素ガス雰囲気下1100℃で焼成した。得られた複合炭素材料の炭素性被覆層(B)はアモルファス炭素層であった。
得られた複合炭素材料に対し、各種物性を測定した。その結果を表2に示す。また、得られた複合炭素材料を用いて電池を作製し評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2021116191
Figure 2021116191
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表から実施例の複合炭素材料は、炭素材料(A)及びその表面を被覆する炭素性被覆層(B)を含み、式1:1000≦C/D≦2000を満たす複合炭素材料であり、各電池評価結果がすべて優れていることが分かる。一方、炭素性被覆層を備えておらず1000≦C/D≦2000を満たさない比較例1、4、5、6や炭素性被覆層を備えていても1000≦C/D≦2000を満たさない比較例2、3、7、8は電池特性が劣っている。なお、比較例1、比較例6は複合炭素材料の心材に用いた炭素材料(A)である。

Claims (16)

  1. 炭素材料(A)及びその表面を被覆する炭素性被覆層(B)を含む複合炭素材料であって、式1を満たすことを特徴とする複合炭素材料。
    式1: 1000≦C/D≦2000
    Cは、前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した水素分子(H)量(μmol/g)、
    Dは、前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した二酸化炭素分子(CO)量(μmol/g)である。
  2. 前記複合炭素材料において、さらに式2を満たすことを特徴とする請求項1に記載の複合炭素材料。
    式2: 3.0≦C/E≦9.0
    Eは、前記複合炭素材料に対して、1250℃から1400℃までの温度上昇における昇温脱離ガス分析(TDS)において測定された、前記複合炭素材料から脱離した一酸化炭素分子(CO)量(μmol/g)である
  3. 前記Cが1.0μmol/g以上6.0μmol/g以下である、請求項1または2に記載の複合炭素材料。
  4. 前記Dが0.2μmol/g以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  5. 前記Eが1.8μmol/g以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  6. 顕微ラマン分光分析法によるラマンスペクトルから得られるR値(1350cm−1付近のピーク強度(ID)と1580cm−1付近のピーク強度(IG)の比(ID/IG))の変動係数が0.30以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  7. ラマン分光分析法によって測定されるR値が0.10以上0.40以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  8. レーザー回折法による体積基準累積粒度分布における50%粒子径(D50)が1.0μm以上30.0μm以下であり、400回タッピング密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下であり、BET比表面積が0.1m/g以上10.0m/g以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  9. 前記炭素材料(A)が、黒鉛材料である請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  10. BET比表面積変動率:(複合炭素材料のBET比表面積)/(炭素材料(A)のBET比表面積)が0.30以上0.90以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  11. R値変動率(複合炭素材料のラマンR値)/(炭素材料(A)のラマンR値)が1.50以上10.00以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  12. 前記炭素性被覆層(B)の厚さが0.1nm以上30.0nm以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  13. 前記炭素性被覆層(B)が、グラフェンを含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合炭素材料。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合炭素材料を含む負極活物質。
  15. 請求項14に記載の負極活物質と集電体を含む負極。
  16. 請求項15に記載の電極を用いたリチウムイオン二次電池。

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