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JP2017120710A - 二次電池用負極材料及びそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

二次電池用負極材料及びそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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JP2017120710A JP2015256521A JP2015256521A JP2017120710A JP 2017120710 A JP2017120710 A JP 2017120710A JP 2015256521 A JP2015256521 A JP 2015256521A JP 2015256521 A JP2015256521 A JP 2015256521A JP 2017120710 A JP2017120710 A JP 2017120710A
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secondary battery
dlc
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Keiko Matsubara
恵子 松原
壮紘 佐藤
Takehiro Sato
壮紘 佐藤
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Abstract

【課題】 ケイ素の膨張率を低減及び抑制し、導電性の向上と、良好な充放電サイクル特性を実現できる負極材料を提供することである。【解決手段】 負極活物質であるアモルファスもしくは微結晶であるケイ素を含む粒子を500℃以下の温度下で、導電性DLCで被覆することにより、粒子に導電性を付与し、電極の電気抵抗を低下させることが可能となり、円滑なリチウムイオンの挿入・脱理が行われ、かつ、ケイ素のアモルファスもしくは微結晶構造が維持されることにより、充放電時の体積膨張・収縮によるストレスを降伏応力の範囲で緩和されるとともに、硬質なDLC膜が充電時の膨張を低減するため、充放電に伴う微粉化や膨張率の増大を高い次元において抑制することが可能となり、良好なサイクル特性を維持することができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、ケイ素を含むリチウム二次電池用負極材料に、被覆物として、導電性ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を備えた、二次電池用負極材料及びそれを用いた非水電解質二次電池に関する。
近年、モバイルツール、パーソナルコンピュータ、電気モーター、一時蓄電装置の開発及び普及に伴って、高容量のエネルギー源が求められており、その代表的な例として、リチウム二次電池が挙げられる。
従来、次世代型非水電解質二次電池の負極材料として、従来の黒鉛系材料(理論容量が372mAh/g)の10倍以上の容量(4200mAh/g)を有するSi(ケイ素)が注目されている。
他方、ケイ素は、充放電時における膨張・収縮により微粉化することが知られている。金属の降伏応力は、結晶子の大きさと反比例するため、ケイ素の結晶子の大きさをできるだけ小さくし、充放電に伴う膨張・収縮の応力を降伏応力以下にすることができれば、粒子の形状を維持し、微粉化による容量劣化が起こりにくくなる。このため、急冷凝固やメカニカルアロイングによって作成したアモルファスもしくは微結晶のケイ素を含む合金粉末や、SiO2中に微結晶ケイ素が点在しているSiOxなどのケイ素酸化物粉末材料の検討がなされている。
しかし、これらの材料で微粉化が抑制できたとしても、ケイ素の導電率は現行の負極活物質として用いられている黒鉛と比べると非常に低く、ケイ素そのものは電池材料としてはほぼ不導体といってよい水準であるため、その酸化物はもちろん、導電性が高い金属と合金化したケイ素合金であっても円滑な充放電を行うために十分な導電性を得ることは難しく、充放電による容量劣化の要因になる。
上記課題に対して、例えば、導電性炭素との複合化する技術(例えば、特許文献1:特開2006−228640公報)、2)ケイ素を被覆するように銅やニッケル等の金属を集電体上にめっきする技術(例えば、特許文献2:特開2006−236684公報)、3)CVDにより表面に炭素皮膜を形成する技術(例えば、特許文献3:特開2009−212074A号公報)、4)集電体に直接ケイ素の薄膜を形成する技術(例えば、特許文献4:WO2004/109839号公報)、等が提案されている。
1)一般的な天然黒鉛の表面被覆で用いられているように、軟化させたピッチと混合、焼成することで導電性炭素と複合化すると、比較的均一に被覆することができ、導電性を高め、表面抵抗を黒鉛同等水準までに低下させることが可能であるが、電池性能に効果が得られる導電性を得るためには、1000℃以上の温度で熱処理をしてピッチを炭化する必要がある。膨張抑制のためにケイ素の結晶性が低い酸化珪素や低結晶合金などのケイ素材料に対して、このような手法で炭素と複合化すると、焼成時の熱によってケイ素の結晶性が発達してしまい、充放電時の応力緩和ができずにケイ素が割れて、微粉化し、電極内で孤立することにより容量劣化が生じてしまうことがある。
2)熱CVDにより表面に炭素皮膜を形成することで、上記1と同様の効果を得られるが、熱CVDの反応温度は、炭素源にアセチレンを使用した場合が最も低く600℃−750℃であり、一般的にはメタンやエチレンを使用して750℃−950℃の温度下で炭素皮膜が生成されるため、ケイ素の結晶構造に影響を与えて、やはり、寿命低下の要因となる。
3)集電体上でケイ素に金属メッキを施すことで、ケイ素の表面に導電性を付与するとともに電極抵抗を低減することができるが、この手法では電極内部に空隙を含まないため、充放電に伴う膨張収縮により、メッキ層とケイ素の間に亀裂が生じ、ケイ素粒子が電気的に孤立し、充放電ができなくなることがある。
4)集電体に直接ケイ素の薄膜を形成する場合は、導電性を集電体側からしか得る事ができず、電極の厚みによって著しく抵抗が高まるとともに、充放電に伴う膨張によって集電体から脱離してしまった場合には、導電パスの確保ができなくなるといった弊害がある。
充放電に伴う膨張収縮によってケイ素を含む負極活物質に亀裂が入ったり、微粉化しないようにするためには、結晶子の大きさを小さくして降伏応力を高めることが有用であるが、導電性を付与する過程で結晶子が成長しないようにすることが求められる。特に、ケイ素を遷移金属などと合金化して負極活物質とする場合、ケイ素単体よりも融点が低くなるため、ケイ素の結晶成長を発生させないことが求められる。
従って、ケイ素の結晶成長を抑制しつつ、導電性を向上させて、二次電池の電池性能を向上させた二次電池用負極活性物質の開発が急務となっている。
特開2006−228640号公報 特開2006−236684号公報 特開2005−294079号公報 WO2004/109839号公報
本発明者等は、ケイ素を包含する負極材料においてケイ素を包含することの技術的利点を有しつつ、ケイ素の結晶性を考慮し、二次電池用負極材料としての機能を向上させることを見出したのである。また、本発明者等は、ケイ素の結晶成長を抑制するために、導電性付与の工程における温度を低温度(好ましくは500℃以下)にすることをも見出したのである。本発明はこれら知見に基づいてなされたものである。
本発明は、リチウム二次電池用負極材料であって、
少なくとも、ケイ素と、導電性ダイヤモンドライクカーボン(DLC)とを備えてなり、
前記導電性DLCが、前記ケイ素を含む前記リチウム二次電池用負極材料の一部または全部の被覆物であり、
前記リチウム二次電池用負極材料のX線回折パターンにおいて、前記ケイ素の(111)回折線の半価幅より得られる結晶子の大きさが20nm以下であることを特徴とする、二次電池用負極材料である。
本発明の別の態様では、リチウム二次電池用負極材料の製造方法であって、
少なくとも、ケイ素を用意し、
前記ケイ素を含む前記リチウム二次電池用負極材料の一部または全部に、低温度(好ましくは、500℃以下の温度)で、導電性DLCを被覆又は付着させることを含んでなる、製造方法である。
本発明による二次電池用負極材料を用いた二次電池によれば、負極活物質であるケイ素含有粒子が、導電性DLCで被覆されてなることにより、ケイ素含有負極活物質および、それを含む電極の電気抵抗を低下させることが可能となる。また、ケイ素含有粒子において、ケイ素がアモルファスもしくは微結晶構造を維持し、充放電時の体積膨張・収縮によるストレスを降伏応力の範囲で緩和することにより、充放電に伴う微粉化を高い次元において抑制することが可能となる。その結果、ケイ素の利用率が充放電の繰り返しによって低下せずに良好なサイクル特性を維持することができる。
本発明によれば、ケイ素の結晶子の大きさが20nm以下のケイ素相を含むケイ素粒子の全部または一部を、低温度(好ましくは500℃以下の温度)で形成させた導電性DLCで被覆することにより、ケイ素の結晶子の大きさを増大させずに、高い導電性を付与することができる。導電性が向上することにより、ケイ素を含む活物質へのリチウムイオンの吸蔵・放出が円滑になされるとともに、被覆後もアモルファスもしくは微結晶構造が維持されているため、充放電に伴うケイ素の膨張収縮を降伏応力の範囲で抑えることができるため、良好な充放電サイクル特性を得ることができる。さらに、硬質なDLC膜が充電時の膨張も低減するため、電極膨張率も低減される。
図1は、本発明による二次電子負極材料のラマンスペクトルを示す図である。
〔定義〕
(ラマン分光法)
ラマン分光法は、物質に単色光を照射し、その物質から散乱されるラマン散乱光を測定し、化合物の同定や、結晶性や配向性などの構造の情報を得ることができる分析方法である。炭素材料の構造を調べるためにもよく用いられ、特にsp2混成軌道である黒鉛は、1580cm-1にGバンドとよばれる鋭いピークが現れ、黒鉛構造に乱れが生じるとGバンドのピークがやや広がるとともに、1350cm-1にDバンドとよばれるピークがあらわれる。
完全なダイヤモンド構造のsp3混成軌道は1330cm-1に鋭いピークとして現れるため、このピークがDバンド中にショルダーバンドとなって観察されることもある。DバンドとGバンドの比I(D)/I(G)は黒鉛化度を評価する指標となり、それと関連して導電性の目安にもなる。DLC膜の場合、sp3構造とsp2構造それぞれの炭素を含んでいることが知られており、これらの比率によってダイヤモンドに近い絶縁性なのか、黒鉛由来の導電性をもつのかを知ることができる。
完全なダイヤモンド構造に由来する1330cm-1のピークが弱まり、Dバンドのピークに吸収され、Gバンドのピーク強度I(G)がDバンドのピーク強度I(D)を上回りはじめると導電性が出現し、さらに、I(D)/I(G)が減少するほど、黒鉛構造が発達する。ラマン分光は、堀場製作所製のLabRam HREvolutionラマン分光装置を用いて測定することができ、本発明にあっては実際に使用した。
(X線回折測定: X‐Ray Diffraction:XRDの測定)
XRDは、試料にX線を照射した際、X線が原子の周りにある電子によって散乱、干渉した結果生じる回折(ブラック条件:2dsinθ=nλ:2つの面の間隔をd、X線と平面のなす角をθ、任意の整数n、X線の波長λとする)を解析するものであり、これにより、構成成分の同定や定量、結晶サイズや結晶化度等を特定することが可能である。
本発明にあっては、XRDにより、DLC被膜の生成前後で、ケイ素合金およびケイ素酸化物粒子中のケイ素の結晶子の大きさが変化していないことを確認する。
(結晶子)
結晶子とは、単結晶と看做される粒子の最大集合体をいい、一個の粒子が複数の結晶子によって構成されているものをいう。
(結晶子の大きさ)
結晶子の大きさ(サイズ)は、X線を用いた回折装置によって測定値を、例えば、半価幅及びシェラー(Scherrer)式〔D(Å)=K*λ/(β*cosθ):式中、Kは定数、λはX線の波長、βは結晶子の大きさによる回折線の広がり、θは回折角 2θ/θ〕に導入して算出される。
本発明において、ケイ素の結晶子の大きさは、ケイ素の(111)結晶面に対応する回折角2θ=28.4°のピーク半価幅から算出した。
〔二次電池用負極材料〕
本発明による二次電池用負極材料は、導電性DLCが、ケイ素を含む前記リチウム二次電池用負極材料の一部または全部の被覆物(付着物)として存在し、 リチウム二次電池用負極材料のX線回折パターンにおいて、ケイ素の(111)回折線の半価幅より得られる結晶子の大きさが20nm以下のものである。
本発明にあっては、ケイ素を含む前記リチウム二次電池用負極材料(表面)の一部又は全部、例えば、アモルファスもしくは微結晶ケイ素を含む粉末表面に、ケイ素の結晶性に変化を与えないように、導電性DLCを被覆又は付着されているので、良好な電池伝導性を付与することができる。
本発明にあっては、ケイ素の(111)回折線の半価幅より得られる結晶子の大きさが20nm以下とされてなる。これによって、充放電に伴うケイ素の膨張収縮による電池の寿命劣化を抑制することができる。X線回折パターンは上記定義で説明した通りである。
本発明の態様によれば、ケイ素の結晶成長が起こらず、ケイ素を含む負極材料のX線回折パターンにおいて、ケイ素の(111)回折線の半価幅より得られる結晶子の大きさは、DLCの生成前後で変化しない。
そして、本発明による二次電池用負極材料は、結晶子の大きさが20nm以下のケイ素相を含む、かつ、導電性DLCの被覆(付着)によって、両者以上の電気化学性能を向上させることができる。即ち、これら技術的事項を採用する本発明によれば、充放電に伴う膨張収縮が降伏応力の範囲でなされるため、微粉化が起こらず、また導電性の付与によって、リチウムイオンの挿入・脱離が円滑に行われることによって良好な寿命特性を得ることができる。
(ケイ素物質)
本発明による負極材料は、少なくともケイ素を含んでなるものである。ケイ素は、ケイ素合金やケイ素酸化物(SiOx)の他に、アモルファスケイ素粉末、ケイ素ナノファイバー、ケイ素ナノワイヤー、ケイ素・黒鉛複合体などを原料として使用することができる。また、二種以上のケイ素原料を混合して使用してもよい。
(導電性DLC:ダイヤモンドライクカーボン)
本発明によれば、導電性DLCは、その被覆(付着)前後で前記ケイ素を含む粒子中のケイ素の結晶子の大きさに変化を与えずに、被覆物及び付着物として採用される。導電性DLCは、低温度、好ましくは500℃以下、より好ましくは350℃以下で生成された物が好ましい。
DLC(DLCは、その形状を問わず、板、箔、膜、層等であってよい)は、ケイ素物質、好ましくはケイ素合金もしくはケイ素を含む酸化物粒子に被覆又は付着されてなるが、これらの粒子の全部、または一部だけを被覆していてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、DLCのラマンスペクトルにおける1580cm-1の波長領域に存在するSP2構造由来のGバンドのスペクトルと、1350cm-1の波長領域に存在するSP3構造由来のDバンドのスペクトルの一部は重なっており、ピーク分離によって得られるDバンドの半価幅が150cm-1以上、であり、かつ、Dバンドのピーク強度I(D)とGバンドのピーク強度I(G)との比[I(D)/I(G)]が1.0以下である。Dバンドの半価幅が150cm-1以下では本来DLC膜がもっている硬さが得られないため、膨張抑制効果が低下し、I(D)/I(G)が1.0以上では充放電を円滑に行うための導電性が十分に得られない。
本発明の好ましい態様によれば、DLCによる被覆の厚さは、5nm以上、500nm以下であり、好ましくは 10nm以上であり、50nm以下である。DLCの被覆が薄すぎると十分な導電性が発揮されず、また厚すぎるとリチウムイオンの挿入・脱理に時間が必要になるとともに、粒子中に占めるケイ素の割合が相対的に少なくなるため、容量が低下してしまう。
本発明の好ましい態様によれば、負極材中に含まれるDLCの比抵抗は50mΩ・cm以下であり、好ましくは、20mΩ・cm以下である。
(体積累積粒度分布)
本発明の好ましい態様によれば、負極材料の体積累積粒度分布の50%径が1μm以上10μm以下である。また、負極材料の体積累積粒度分布の90%径が30μm以下であり、好ましくは、20μm以下である。体積累積粒度分布の50%径及び90%径の測定は、例えば、日機装社製のレーザー回折粒度分布測定装置を用いて、内蔵超音波により3分間分散させた後に測定したときの累積頻度によって得られることができる。
〔二次電池用負極材料の製造方法〕
(ケイ素物質の用意)
二次電池用負極材料で説明したように、本発明で使用するケイ素含有原料は、ケイ素合金やケイ素酸化物(SiOx)の他に、アモルファスケイ素粉末、ケイ素ナノファイバー、ケイ素ナノワイヤー、ケイ素・黒鉛複合体などを使用することができる。また、二種以上のケイ素原料を混合して使用してもよい。これらの原料を前記の好ましい体積粒度分布になるように粉砕、造粒等によって粒子の大きさを調整する。
(導電性DLC形成)
DLCの形成方法としては、プラズマ化学気相堆積法(CVD)、プラズマイオン注入法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、スパッタ法などの方法があり、本発明にあっては、誘導結合型プラズマイオン注入成膜法を用いることが好ましい。本発明では、プラズマイオンアシスト社のプラズマイオンアシスト成膜装置を使用することができる。
いずれの方法によってもsp2構造とsp3構造が混在し、炭素源や成膜温度、添加物、その他の製造条件によってsp2とsp3の比率が変わり、それに伴い導電性も変化する。導電性DLCの比抵抗は10〜100mΩ・cm程度であり、ケイ素の比抵抗と比較して6桁以上低い。また、DLCは硬質膜であるため、ケイ素を含む負極活物質の充放電に伴う膨張を抑制する効果も得られる。
一般的にDLCはsp3構造が主体であるため絶縁性であるが、成膜時に窒素やボロンのイオンを注入すると導電性が付与される。
本発明のより好ましい態様では、DLCの形成にあっては、ケイ素の結晶性が変化しない、低温度領域、例えば、500℃以下の温度行うことが好ましい。この点、500℃以下で成膜(付着)できるDLCは最適であり、その中でもイオン注入により導電性を付与できるプラズマイオン注入法は、本発明において特に好ましい方法である。
本発明の態様によれば、ケイ素を含む負極材料は結晶子の大きさが20nm以下であることが好ましい。アモルファスケイ素、ケイ素ナノファイバー、ケイ素合金、SiOxなどのケイ素酸化物、ケイ素・黒鉛複合体などが例として上げられるが、ケイ素合金はケイ素単体やケイ素酸化物と比較して融点が数百度低くなる場合が多く、従来の導電性付与工程の環境温度ではケイ素の結晶が成長してしまう。しかし、本発明によれば、DLCは低温度、好ましくは500℃以下で形成(成膜)するため、結晶成長を引き起こさずに導電性を付与することができる。
〔二次電池用負極〕
本発明にあっては、本発明による二次電池用負極材料を備えた、リチウム二次電池用負極を提案することができる。
〔二次電池〕
本発明にあっては、正極と、負極と、非水電解質と、セパレータとを備えてなり、前記負極が本発明による二次電池用負極である、リチウム二次電池を提案する。
一般に、リチウム二次電池は、正極材料及び正極集電体からなる正極と、負極材料及び負極集電体からなる負極と、正極及び負極間で電子伝導を遮断してリチウムイオンを伝導できるセパレータとからなり、電極及びセパレータ材料の隙間には、リチウムイオンを伝導するためのリチウム塩含有の有機電解質が注入されている。
(負極)
負極は、例えば、負極集電体上に、負極材料(負極活物質)、導電剤及びバインダーの混合物を塗布した後、乾燥して製造される。必要に応じては前記混合物に充填剤をさらに添加できる。負極材料(負極活物質)は、本発明による二次電池用負極材料である。
(負極用バインダー)
バインダーは、材料及び導電剤などの結合や、材料の集電体に対する結合を促進させる成分である。通常、バインダーは負極材料を含む混合物の全体重量に基づいて0.5〜20質量%で添加される。
バインダーとしては、スチレンブタジエンゴム(stryrene butadiene rubber、SBR)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、ポリイミド(polyimide)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(polyvinylidene fluoride‐co‐hexafluoropropylene、PVDF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluo
ride)、ポリフッ化ビニリデン‐トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride‐co‐trichloro ethylene)、ポリフッ化ビニリデン‐クロロトリフルオロエチレン(polyvinylidene fluororide‐co‐chlorotrifluoro ethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetat
e)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene‐co‐vinyl acetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalchol)、シアノエチルセルロース(cyanoethyl cellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethyl sucrose)、プルラン(pulluan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose、CMC)、アクリロニトリル‐スチレン‐ブタジエン共重合体(acrylonitrile‐styrene‐butadiene copolymer)からなる群より選択されたいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合物が挙げられるが、特にこれらに限定されず、多様な種類のバインダー高分子が使用され得る。
(導電材)
本発明のケイ素を含む負極材料は、DLCにより導電性が付与されているが、電極製造時に別途導電材を添加してもよい。導電剤は、通常、負極材料を含む混合物の全体重量に基づいて0.1〜50質量%で添加される。ケイ素を含む粒子を負極活物質に用いた場合、黒鉛と比べて導電性が低いが、導電材を適切に選択することにより、黒鉛電極と同等の電池特性を得ることができる。このような導電剤は、当該電池に化学的変化を誘発しない導電材として、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維、フロロカーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー、酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが挙げられる。なかでも繊維状の導電材は、ケイ素を含む粒子を負極活物質の用いた場合、充放電による膨張収縮によっても活物質間もしくは活物質と集電体の間の導電パスを維持し、活物質からも脱落しにくい構造であるため、特に好ましい。
(負極集電体)
集電体は3〜50μmの厚さで製造される。このような集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、高い導電性を持つものであればよい。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼結炭素、又は、アルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの等が用いられる。負極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して正極材料の接着力を高めることができ、フィルム、シート、ホイール、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体等の多様な形態が可能である。
(正極)
正極は、例えば、正極集電体上に、正極材料、導電剤及びバインダーの混合物を塗布した後、乾燥して製造される。必要に応じては前記混合物に充填剤をさらに添加できる。
<正極活物質>
正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物を望ましく使用でき、例えば、LixCoO2(0.5<x<1.3)、LixNiO2(0.5<x<1.3)、LixMnO2(0.5<x<1.3)、LixMn24(0.5<x<1.3)、Lix(NiaCobMnc)O2(0.5<x<1.3、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LixNi1-yCoy2(0.5<x<1.3、0<y<1)、LixCo1-y Mny2(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LixNi1-y Mny2(0.5<x<1.3、0≦y<1)、Lix(NiaCobMnc)O4(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LixMn2-zNiz4(0.5<x<1.3、0<z<2)、LixMn2-zCoz4(0.5<x<1.3、0<z<2)、LixCoPO4(0.5<x<1.3)、及びLixFePO4(0.5<x<1.3)からなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用でき、前記リチウム含有遷移金属酸化物を、アルミニウム(Al)などの金属や金属酸化物でコーティングすることもできる。また、前記リチウム含有遷移金属酸化物(oxide)の外に硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)、及びハロゲン化物(halide)なども使用することができる。
(正極用バインダー)
正極用バインダーは、活性物質及び導電剤などの結合や、活性物質の集電体に対する結合を促進させる成分である。通常、バインダーは正極活性物質を含む混合物の全体重量に基づいて1〜50重量%で添加される。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スルフォン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
<正極集電体>
正極集電体は3〜500μmの厚さで製造される。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、高い導電性を持つものであればよい。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼結炭素、又は、アルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの等が用いられる。正極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して正極材料の接着力を高めることができ、フィルム、シート、ホイール、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体等の多様な形態が可能である。
(正極用導電材)
負極において述べたものと同様のものを使用することができるが、これに限定されるものではない。
(セパレータ)
セパレータは、正極及び負極間に介在され、高いイオン透過度及び機械的強度を持つ絶縁性の薄膜が用いられる。一般に、セパレータの気孔直径は0.01〜10μmであり、厚さは5〜300μmである。
このようなセパレータとしては、例えば、多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造された多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用でき、もしくは通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用できるが、特にこれらに限定されることはない。または、多孔性高分子フィルム或いは多孔性不織布の少なくとも一面に無機物粒子とバインダー高分子との混合物を含む多孔性有機‐無機コーティング層を含むこともできる。前記バインダーは、前記無機物粒子の一部または全部に位置し、前記無機物粒子の間を連結及び固定する機能をする。
(非水電解質)
本発明で使用される非水電解質において、非水電解質として含まれ得るリチウム塩は、リチウム二次電池用電解質に通常使用されるものなどが制限なく使用され得、例えば、前記リチウム塩の陰イオンとしては、F-、Cl-、Br-、I-、NO3 -、N(CN)2 -、BF4 -、ClO4 -、PF6 -、(CF32PF4 -、(CF33PF3 -、(CF34PF2 -、(CF35PF-、(CF36-、CF3SO3 -、CF3CF2SO3 -、(CF3SO22-、(FSO22-、CF3CF2(CF32CO-、(CF3SO22CH-、(SF53-、(CF3SO23-、CF3(CF27SO3 -、CF3CO2 -、CH3CO2 -、SCN-、及び(CF3CF2SO22-からなる群より選択されたいずれか一つが挙げられる。
本発明において、非水電解質に含まれる有機溶媒としては、通常使用されるものなどを制限なく使用でき、代表的に、フルオロエチレンカーボネート(fluoro‐ethylene carbonate、FEC)プロピオネートエステル(propionate ester)、より具体的に、メチルプロピオネート(methyl propionate)、エチルプロピオネート(ethyl propionate)、プロピルプロピオネート(propyl propionate)及びブチルプロピオネート(buthyl propionate)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビニレンカーボネート、スルホラン、γ‐ブチロラクトン、ポリエチレンスルファイト、並びにテトラヒドロフランからなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合物などを使用することができる。特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートは高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高く、電解質内のリチウム塩をよく解離させるため、望ましく使用できる。また、このような環状カーボネートにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の線状カーボネートを適切な比率で混合して使用すれば、高い電気伝導率を有する非水電解質を作ることができ、より望ましく使用することができる。
選択的に、本発明で使用される非水電解質は、通常の非水電解質に含まれる過充電防止剤などのような添加剤を更に含むことができる。
(製造)
本発明による二次電池は、通常の方法により正極及び負極間に多孔性のセパレータを挿入し、非水電解質を投入して製造することができる。本発明による二次電池は、円筒型、角型、パウチ型電池など、外形に関係なく用いられる。
本発明の内容を以下の実施例を用いて説明するが、本発明の範囲は、これら実施例に限定して解釈されるものではない。また、これら実施例は、本発明の好ましい態様を実現したものであり、当業者であれば、これら実施例の内容と、本明細書に開示された技術的事項から、本発明の全ての態様を容易に認識し、かつ、その内容を容易に実施できるものである。
(負極材料の調製)
[実施例1]
(1)負極材料を下記手順に沿って調製した。
1)ケイ素原料用意
ケイ素原料として酸化ケイ素粉末を用意した。市販品であり、平均粒径5μmのSiOxを用いた。また、このSiOxのX線回折パターンにおけるケイ素の(111)結晶面に対応する回折角2θ=28.4°のピークは観測されず、ケイ素がアモルファスであることを確認した。
2)ケイ素合金粉末調製
ケイ素(Si)と、クロム(Cr)と、チタン(Ti)を用意し、ガスアトマイズ法により、SiCrTi合金粉末(Si/Cr/Ti=74/14/13:質量%)を得た。さらに、次工程のメカニカルアロイング処理で、ケイ素のアモルファス化を容易にするため、最大径が40μm以下になるように篩いで篩った。上記SiCrTi合金粉末に助剤として1wt%のステアリン酸を加え、振動ミルの容器の80%を満たす量の直径15mmのスチールボールとともに、振動ミルの容器に投入し、窒素ガスで置換後、振動数1200cpmで24時間メカニカルアロイング処理をした。その後、気流分級によって平均粒径が3μmとなるように粒度調整をした。
得られたケイ素合金粉末のXRD回折線を測定し、結晶性ケイ素由来の(111)回折線ピークが出現しないことを確認した。このことから、ケイ素合金粉末中のケイ素はアモルファス構造であることがわかる。
3)導電性ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被覆
得られたケイ素合金粒子に、導電性ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被覆を行う。炭化水素ガスをプラズマ化し、生成された炭素イオンと、窒素イオンとボロンイオン注入を同時に行うことで導電性を発現することができるプラズマイオンアシスト社のプラズマイオン注入成膜装置を用いて350℃で平均厚さ50nmのDLC膜を形成した。
得られた粉末のラマンスペクトルは、1350cm-1にピークをもつブロードなDバンドと、1580cm-1にピークをもつブロードなGバンドが一部重なって観測され、それらをピーク分離すると図1に示すようなスペクトルが得られた。このときのDバンドの半価幅は274cm-1,Gバンドの半価幅は112cm-1であった。
DLC被覆形成時にケイ素合金粉末の直近に設置したカプトンテープ上に成膜されたDLC膜の比抵抗を三菱化学アナリテック社製のロレスタで測定したところ、15mΩ・cmであった。また、導電性DLC被覆後のケイ素合金の粒度の変化は粒度分布計の測定誤差の範囲であり、ほとんど変化していないことを確認した。
(2)電極及び電池の作製
調製したケイ素合金粉末と平均粒径15μmの黒鉛の重量比が10:90になるように混合し負極活物質とした。
負極活物質95wt%、導電材としてカーボンブラック1wt%、結着剤としてSBRを2wt%、増粘剤としてCMCを2wt%を混合し、純水によって適度な粘度になるように固形分濃度を調整したスラリーを、厚さ20μmの銅箔に約100μmの厚さになるように塗布し、120度で真空乾燥、プレス後、直径13mmの円形に打ち抜き、電極密度1.7g/ccの負極を作製した。打ち抜いた負極を厚さ0.3mmの金属リチウムを対極にまた、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを3:7の割合で混合し、LiPF6が1モル溶解されている電解液を用いて、2016型コインセルを作製した。
[実施例2]
ケイ素合金粉末の代わりに平均粒径5μmのSiO粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして、コインセルを作製した。
[比較例1]
実施例1のケイ素合金粉末に導電性DLC被覆をしないこと以外は、実施例1と同様にして、コインセルを作製した。
[比較例2]
実施例2のSiO粉末に導電性DLC被覆しない以外は、実施例2と同様にして、コインセルを作製した。
[比較例3]
実施例1のケイ素合金粉末に導電性DLCを被覆する代わりに、アセチレンを原料ガスとした化学蒸着法(CVD法)により、700℃で炭素被覆を行った以外は、実施例1と同様にして、コインセルを作製した。
<評価試験1:充放電サイクル試験>
実施例と比較例のコインセル(二次電池)について、0.5C電流レートで40サイクル充放電を繰り返した。40サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除し100倍することで、容量維持率を計算した。また、41サイクル目の充電状態で試験を終了し、露点−50℃のドライ雰囲気中でコインセルを解体し、電極の厚みを測定した。この厚みから、充電前の電極の厚みを差し引いて、充電前の電極の厚みで除し、100倍することで、電極膨張率を計算した。
〔評価結果〕
実施例と比較例とについて、低温度で生成された導電性DLC被覆又は炭素被覆の前後でX線回折線のケイ素の(111)回折ピークの半価幅から計算されるケイ素の結晶子の大きさ、容量維持率及び電極膨張率を表1に示した。
実施例1,2は導電性DLC被覆前後でどちらもピークが観測されず、ケイ素はアモルファス構造を維持していた。比較例3では結晶子サイズは増大していることが確認された。
また、実施例1のケイ素含有合金は、導電性DLC被覆をしなかった比較例1に比べ、容量維持率が高くなった。これは導電性が付与され、ケイ素へのリチウムイオンの挿入・脱理が円滑に行われることができるようになったためである。
更に、実施例1と比較例1の膨張率は差違がなく、DLC被覆前後でケイ素のアモルファス構造が維持されることによって微粉化やそれにともなう電極内の空隙増加などが起こっていないことを示している。
実施例2と比較例2のSiOについても、ケイ素合金と同様の結果が得られた。比較例3では比較例1の容量維持率はDLC被覆前の結果と比べて向上するが、膨張率は増大した。これはケイ素の結晶子サイズが増大したことに起因すると考えられる。
〔総合評価〕
本発明によれば、アモルファスもしくは微結晶ケイ素を含む粉末に、ケイ素の結晶性に変化を与えず、粉末表面に低温度(500℃以下)生成された導電性DLC膜を被覆または一部付着させることにより、ケイ素の結晶子サイズを増大させることなく、リチウムイオンの挿入・脱理を円滑にする導電性を付与することができるため、良好なサイクル特性を得ることができるとともに、膨張率も抑制することができた。これは、DLC被覆前のケイ素のアモルファスもしくは微結晶構造が維持されることにより、充放電時の体積膨張・収縮によるストレスを降伏応力の範囲で緩和することができ、さらに硬いDLC膜被覆によりさらに充電時の膨張が低減されたためである。微粉化が抑制されることにより、ケイ素の利用率が充放電の繰り返しによって低下せずに導電性付与とあわせてさらに良好なサイクル特性を維持することができる。

Claims (8)

  1. リチウム二次電池用負極材料であって、
    少なくとも、ケイ素と、導電性ダイヤモンドライクカーボン(DLC)とを備えてなり、
    前記導電性DLCが、前記ケイ素を含む前記リチウム二次電池用負極材料の一部または全部の被覆物であり、
    前記リチウム二次電池用負極材料のX線回折パターンにおいて、前記ケイ素の(111)回折線の半価幅より得られる結晶子の大きさが20nm以下であることを特徴とする、二次電池用負極材料。
  2. 前記リチウム二次電池用負極材料が、遷移金属を含むケイ素合金、もしくはケイ素を含む酸化物であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用負極材料。
  3. 前記二次電池用負極材料の導電性DLC膜のラマンスペクトル分析において、1580cm-1の波長領域に存在するSP2構造由来のGバンドのスペクトルと、1350cm-1の波長領域に存在するSP3構造由来のDバンドのスペクトルの一部が重なっていて、ピーク分離によって得られるDバンドの半価幅が150cm-1以上であり、Dバンドのピーク強度I(D)とGバンドのピーク強度I(G)との比 I(D)/I(G)が<1.0であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池用負極材料。
  4. 前記負極材料のDLD膜の比抵抗が50mΩ・cm以下であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の二次電池用負極材料。
  5. 前記DLD膜の膜厚が5nm以上500nm以下であることを特徴とする、
    請求項1〜4に記載の二次電池用負極材料。
  6. 請前記負極材料のDLC膜被覆前後のX線回折パターンにおいて、ケイ素の(111)回折線に帰属するピークの半価幅に変化がないことを特徴とする、請求項1〜5に記載の二次電池用負極材料。
  7. 請求項1に記載の導電性DLC膜が、プラズマイオン注入成膜法によって生成されたことを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の二次電池用負極材料。
  8. 非水電解質リチウム二次電池であって、
    正極と、負極と、非水電解質と、セパレータとを備えてなり、
    前記負極が、請求項1〜7の何れか一項に記載の二次電池用負極材料を備えてなることを特徴とする、非水電解質リチウム二次電池。
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