図1は、様々な細胞培養条件下で培養された細胞株から単離された抗体サンプルについてCOCアッセイを示す写真である。左から右へ、バイアルは、I)化学的に未定義培地;II)基礎培地1及び流加培地2;III)基礎培地1及び流加培地2;IV)基礎培地5及び流加培地4;V)基礎培地5及び流加培地2;シスチンの代わりにシステインを含む修飾基礎培地3及び流加培地4;VII)基礎培地3及び流加培地4;及びVIII)シスチンの代わりにシステインを含む修飾基礎培地3及び流加培地4の中で培養した細胞から単離された抗体を含む製剤が含まれる。COC値がバイアルの上に示されている。全てのバイアルは、約150g/Lのタンパク質が含まれる。ニフティアッセイによって測定されるように、製剤III、IV、及びVIは、それぞれ1.59、1.47、0.71、の色強度値を有していた。全色アッセイによって測定されるように、製剤III、IV、及びVIは、それぞれ2.62、2.04、1.00、の色強度値を有していた。
図2は、基礎培地1及び流加培地2と比較して、細胞数と抗体生成の僅かな減少を示す一連のグラフである。A及びC)全培養容積のパーセントとして表される血中血球容積(PCV)によって測定される、インキュベーション期間中の培養物中の細胞数。B及びD)高速液体クロマトグラフィーにより測定し、抗体力価として表される、インキュベーションの期間中の細胞培養物中の抗体産生。
図2は、基礎培地1及び流加培地2と比較して、細胞数と抗体生成の僅かな減少を示す一連のグラフである。A及びC)全培養容積のパーセントとして表される血中血球容積(PCV)によって測定される、インキュベーション期間中の培養物中の細胞数。B及びD)高速液体クロマトグラフィーにより測定し、抗体力価として表される、インキュベーションの期間中の細胞培養物中の抗体産生。
図3は、ビタミンB12と一緒に、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB9の可変レベルを含む化学的に定義された培地中(CDM)で増殖させた細胞培養物による、生産的細胞バイオマス及び抗体産生に及ぼす影響を実証する一連のグラフである。A)全培養容積のパーセントとして表される血中血球容積(PCV)によって測定される、培養中の生産的バイオマス。B)高速液体クロマトグラフィーにより測定し、抗体力価として表される細胞からの抗体産生。ビタミンB2については、−1は0mg/Lの栄養を含む0.25mg/Lの基礎を示し、1は10mg/Lの栄養を含む1.41mg/Lの基礎を示す;ビタミンB6については、−1は0mg/Lの栄養を含む5.35mg/Lの基礎(ピリドキシン)を示し、1は60mg/Lの栄養を含む0mg/Lの基礎でのピリドキサールを組み合わせた7mg/Lの栄養を含む15.42mg/Lの基礎でのピリドキシンを示す;ビタミンB9については、−1は0mg/Lの栄養を含む8.61mg/Lの基礎を示し、1は197mg/Lの栄養を含む9.93mg/Lの基礎を示す;ビタミンB12については、−1は0mg/Lの栄養を含む1.76mg/Lの基礎を示し、1は48mg/Lの栄養を含む3.05mg/Lの基礎を示す。中央の線は、データから導出される線形モデルから算出した予測値を示している。上側及び下側の線は予測の95%信頼区間を示している。
図4は、ビタミンB12と一緒に、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB9の可変レベルを含むCDMで増殖させた細胞培養物から単離された抗体の色強度を示す一連のグラフである。色の強度は、より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて決定した。ビタミンB2については、−1は0mg/Lの栄養を含む0.25mg/Lの基礎を示し、1は10mg/Lの栄養を含む1.41mg/Lの基礎を示す;ビタミンB6については、−1は0mg/Lの栄養を含む5.35mg/Lの基礎(ピリドキシン)を示し、1は60mg/Lの栄養を含む0mg/Lの基礎でのピリドキサールを組み合わせた7mg/Lの栄養を含む15.42mg/Lの基礎でのピリドキシンを示す;ビタミンB9については、−1は0mg/Lの栄養を含む8.61mg/Lの基礎を示し、1は197mg/Lの栄養を含む9.93mg/Lの基礎を示す;ビタミンB12については、−1は0mg/Lの栄養を含む1.76mg/Lの基礎を示し、1は48mg/Lの栄養を含む3.05mg/Lの基礎を示す。
図5(A−C)は、硫酸第一鉄の漸増濃度を含有するCDM中で増殖させた、生産的細胞バイオマス、抗体産生、及び細胞培養物から単離された抗体の色強度を示す一連のグラフである。A)経時的血中血球容積(IVPCV)によって測定される培養物中の生産的バイオマス。B)高速液体クロマトグラフィーにより測定される細胞からの抗体産生。C)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて測定される、細胞から単離された抗体の色の強度。バーは、データの上下の範囲と平均値を示す。D)は、インビトロで実験で硫酸第一鉄の漸増濃度を含む培地中でインキュベートした抗体の色強度を示すグラフである。
図6は、鉄及び様々な鉄源を含む漸増濃度を含有するCDM中で増殖させた、生産的細胞バイオマス、抗体産生、及び細胞培養物から単離された抗体の色強度を示す一連のグラフである。A)経時的血中血球容積(IVPCV)によって測定される培養物中の生産的バイオマス。B)高速液体クロマトグラフィーにより測定される細胞からの抗体産生。C)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて測定される、細胞から単離された抗体の色の強度。バーは、データの上下の範囲と平均値を示す。
図6は、鉄及び様々な鉄源を含む漸増濃度を含有するCDM中で増殖させた、生産的細胞バイオマス、抗体産生、及び細胞培養物から単離された抗体の色強度を示す一連のグラフである。D−E)は、異なる鉄源の可変濃度及び減少させたビタミンBレベルを含むCDM中で増殖させた細胞培養物から単離された抗体の抗体産生および色の強さを示す。プラスのサインは、低ビタミン条件を示し、空の球は高いビタミン条件を示す。D)高速液体クロマトグラフィーにより測定される細胞からの抗体産生。E)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、ニフティアッセイを用いて測定される、細胞から単離された抗体の色の強度。
図7は、インビトロでの実験でカタラーゼの非存在下又は存在下での硫酸第一鉄及びビタミンB2の可変濃度を含むCDM中でインキュベートされた抗体の色の強さを示す一連のグラフである。A)カタラーゼの非存在下での抗体の色強度。A)カタラーゼの存在下での抗体の色強度。より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイによって測定される色の強度。硫酸第一鉄について、−1は0mg/Lの栄養を含む18μMの基礎を示し及び1は0μMの栄養を含む75μMの基礎を示す;ビタミンB2について、−1は0mg/Lの栄養を含む0.25mg/Lの基礎を示し及び1は10mg/Lの栄養を含む1.41mg/Lの基礎を示す。中央の線は、データから導出される線形モデルから算出した予測値を示している。上側及び下側の線は予測の95%信頼区間を示している。
図8は、A)修飾基礎培地1と流加培地2(空球)と比較して、修飾基礎培地3と流加培地4(+記号)で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体の存在の減少との間の相関を示すグラフである。修飾培地1は10μM、18μM又は75μMの硫酸第一鉄を含んでいた。修飾培地3は10μM又は18μMのクエン酸第二鉄を含んでいた。B)75μMの硫酸第一鉄(+記号)と比較して、18μMの硫酸第一鉄を(空球)を含む培地中で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体の存在の減少との間の相関を示すグラフ。C)ビタミンB2、B6、B9及びB12の可変レベルを含む培地中で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体の存在の減少との間の相関を示すグラフ。ビタミンBレベルは、低濃度(空球)、中濃度(+記号)、又は高濃度(空ダイヤモンド)へ同時に変化させた。より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイによって測定される色の強度。抗体溶液中の酸性電荷変異体のパーセントは、イオン交換クロマトグラフィーによって決定した。
図9は、ビタミンB2及びB6の減少した濃度を含む培地中で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体の存在の減少との間の相関を示す一連のグラフである。A)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて測定される場合の、細胞から単離された抗体の色の強度。B)イオン交換クロマトグラフィーによって決定される、抗体溶液中の酸性電荷変異体のパーセント。ビタミンB2については、−1は0mg/Lの栄養を含む0.25mg/Lの基礎を示し及び1は10mg/Lの栄養を含む1.41mg/Lの基礎を示す;ビタミンB6については、−1は0mg/Lの栄養を含む5.35mg/Lの基礎(ピリドキシン)を示し、1は60mg/Lの栄養を含む0mg/Lの基礎でピリドキサールを組み合わせた7mg/Lの栄養を含む15.42mg/Lの基礎でのピリドキシンを示す。
図10は、可変濃度のピリドキサールを含むクエン酸第二鉄対硫酸第一鉄を含む培地中で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体の存在の減少を示す一連のグラフである。A)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて測定される場合の、細胞から単離された抗体の色の強度。B)イオン交換クロマトグラフィーによって測定される、抗体溶液中の酸性電荷変異体のパーセント。ピリドキサールについては、−1は0mg/Lの栄養を含む0.mg/Lの基礎を示し及び1は60mg/Lの栄養を含む0mg/Lの基礎を示す。クエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄は、基礎培地で18μMとして存在していた。
図11は、流加培地中の可変濃度のビタミンB2、B6、B9及びB12を含むクエン酸第二鉄対硫酸第一鉄を含む培地中で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体のレベルの減少を示す一連のグラフである。A)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて測定される場合の、細胞から単離された抗体の色の強度。B)イオン交換クロマトグラフィーによって測定される、抗体溶液中の酸性電荷変異体のパーセント。レベル1はビタミンB2、B6、B9、及びB12を含まない流加培地を示す。レベル2は、10mg/LのビタミンB2、7mg/Lのピリドキシン、60mg/Lのピリドキサール、197mg/LのビタミンB9、及び48mg/LのビタミンB12を含有する流加培地を示す。レベル3は、5mg/LのビタミンB2、3.5mg/Lのピリドキシン、30mg/Lのピリドキサール、98.5mg/LのビタミンB9、及び24mg/LのビタミンB12を含有する流加培地を示す。クエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄は、基礎培地で18μMとして存在していた。
図12は、濃度が減少した鉄、好ましくは鉄源として硫酸第一鉄の代わりにクエン酸第二鉄による鉄を含む基礎培地中で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体のレベルの減少を示す一連のグラフである。A)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて測定される場合の、細胞から単離された抗体の色の強度。B)イオン交換クロマトグラフィーによって測定される、抗体溶液中の酸性電荷変異体のパーセント。
図13は、クエン酸第二鉄の減少した濃度を含む基礎培地中で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体のレベルの減少を示す一連のグラフである。A)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて測定される場合の、細胞から単離された抗体の色の強度。B)イオン交換クロマトグラフィーによって測定される、抗体溶液中の酸性電荷変異体のパーセント。*は、示された濃度でクエン酸第二鉄を含有するように修飾された基礎培地1を示す。‡は、示された濃度でクエン酸第二鉄を含有するように修飾された基礎培地3を示す。○は33℃で培養された細胞から単離された抗体溶液を示す。+は37℃で培養された細胞から単離された抗体溶液を示す。
図14は、システインの代わりにシスチンを添加され、ヒドロコルチゾンの存在下で、ビタミンB2、B6、B9及びB12の減少した濃度を含む基礎培地中で増殖させた細胞培養物から得られた抗体溶液中の、色強度の減少と酸性電荷変異体のレベルの減少を示す一連のグラフである。A)より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて測定される場合の、細胞から単離された抗体の色の強度。B)イオン交換クロマトグラフィーによって測定される、抗体溶液中の酸性電荷変異体のパーセント。*は、1.41mg/LのビタミンB2、15.42mg/Lのピリドキシン、0mg/Lのピリドキサール、9.93mg/LのビタミンB9、及び3.05mg/LのビタミンB12を含有する基礎培地を示す。‡は、0.7mg/LのビタミンB2、7.7mg/Lのピリドキシン、0mg/Lのピリドキサール、4.9mg/LのビタミンB9、及び1.5mg/LのビタミンB12を含有する基礎培地を示す。○は480mg/Lのシスチンを示す。△は525mg/Lのシステインを示す。ヒドロコルチゾンは、示された溶液中で150nMの濃度で存在する。
図15は、色強度についてのCOCアッセイ測定値と比較して、全色アッセイとニフティアッセイ測定値間の相関関係を示す一連のグラフである。A)全色値及びニフティ値はCOCの値を表す記号でプロットした。B)プロテインAプール内および対応する薬物物質製剤におけるニフティアッセイによる色の測定は、COCの値を表す記号でプロットした。C)プロテインAプール内および対応する薬物物質製剤における全色アッセイによる色の測定は、COCの値を表す記号でプロットした。空球はCOC値が≦B3を表し;空のダイアモンドはCOC値が≦B4又はBY4を表し;プラス記号はCOC値が≦B5又は≦BY5を表し;DS ニフティ及びDS全色は最終薬物物質製剤における対応するアッセイ値を示し;ProA ニフティ及びProA全色はプロテインAプールにおける対応するアッセイ値を示す。
本発明の詳細な記述
細胞増殖(即ち、細胞培養)及びポリペプチド生成のための細胞培養培地及びその培地を使用する方法が記載される。記載された方法によって産生された抗体を含むポリペプチドもまた提供される。培地及び培地を含む組成物並びに記載される方法によって生成された細胞及び/又はポリペプチドを含む組成物を調製するためのキットも提供される。少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度でポリペプチドを含み、色、乳白光及び着色(COC)アッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する薬学的組成物が記述される。また、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、又は少なくとも75mg/mLより大きい濃度でポリペプチドを含み、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する薬学的組成物も記述される。COCアッセイの基準標準は、限定されないが、B、BY、Y、GY、又はRの任意の一とすることができ、より高い値はより明るい色の強さを示していることが理解される。また、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度でポリペプチドを含み、そして色のアッセイ(例えば、全色アッセイ又はニフティアッセイ)によって測定されるように、参照溶液の色強度値未満の色強度値を有する薬学的組成物も提供される。また、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、又は少なくとも75mg/mLより大きい濃度でポリペプチドを含み、そして色のアッセイ(例えば、全色アッセイ又はニフティアッセイ)によって測定されるように、参照溶液の色強度値未満の色強度値を有する薬学的組成物も提供される。また、ポリペプチド含有溶液(例えば、抗体含有溶液)において色を評価する方法が提供される。特定のバリエーションでは、培地、方法、キット及び組成物は、CDMを含む。
ポリペプチド生成に使用される特定の細胞培養培地(例えば、CDM)は、許容可能な品質特性を有するポリペプチドの製剤を提供することが見出されている。例えば、特定のCDMは、CDMの使用に伴う利点を維持しつつ、(例えば、注射用製剤として使用するための)許容可能な色を提供するCDMで産生されたポリペプチドとともに、ポリペプチド製剤の色の強度を調節することが見出されている。これらのCDMは、ポリペプチド生成の方法において使用される場合、異なる培地(例えば、本明細書に詳述されるような培地成分及び/又は組成物の量を含まない培地)中で生成されたポリペプチドと比較して、ポリペプチド製剤の色の強度を減少させることが見出されている。細胞培養培地は、化学的に定義されるか、又は化学的に未定義であってもよい。
理論に縛られることを望まないが、一定の濃度で特定の培地成分(例えばシスチン及び/又はシステイン、特定のBビタミン、ヒドロコルチゾン及び/又は鉄源など)の使用は、許容可能な品質属性を持し、特に許容可能な色を有するポリペプチド製剤を生成すると考えられている。細胞増殖のために使用される基礎培地中でこれらの培地成分の使用は、ポリペプチド製剤の品質特性に特に影響力があると考えられるが、本明細書中で提供される培地は、基礎及び流加培地を含め、細胞の増殖、維持及びポリペプチド生成プロセスの任意の段階で使用されてもよいことが意図される。本明細書で提供される培地は、細胞を増殖させる(即ち、細胞を培養する)方法において、及びポリペプチドの生成において使用することができ、所望のポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞の増殖、維持及び/又は生成期における用途を見出し得る。本明細書に記載された培地は、ポリペプチド製剤の一以上の特性(例えば、色、組成、純度、等)又はポリペプチドを生成する方法の一以上の態様(例えば、バッチ間の再現性、製造の容易さ、製造コスト、等)の改善をもたらすために使用することができる。本明細書で提供される培地を用いた細胞培養プロセスによって生成されたポリペプチド(例えば、抗体)が記載される。一態様において、ポリペプチドは、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度であり、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する。別に態様において、ポリペプチドは、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、又は少なくとも75mg/mLより大きい濃度であり、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する。幾つかの態様において、COCアッセイにより決定される色強度値は、限定されないが、B、BY、Y、GY、又はRの任意の一とすることができ、より高い値はより明るい色の強さを示している。本明細書において生成されるようなポリペプチド生成物を含む製造品と同様に、本明細書に詳述されるポリペプチド生成物を投与する方法もまた記載される。
定義
本明細書における使用のために、明確に他に示さない限り、用語の「a」、「an」などの使用は、一以上を意味する。
本明細書中の「およそ(約)」の値又はパラメーターへの言及は、その値又はパラメーター自体に対する実施態様を含む(記載する)。例えば、「およそX」を言及する記述は、「X」の記述を含む。数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。
「電荷変異体」とは、主要種タンパク質のそれとは異なる電荷を有する主主要種タンパク質(例えば、抗体)の変異体である。
「酸性電荷変異体」は、主要種タンパク質(例えば、抗体)よりも酸性である主要種タンパク質(例えば、抗体)の変異体である。酸性の変異体は、主要種タンパク質(例えば、抗体)に対して負電荷を獲得するか又は正電荷を失っている。このような酸性の電荷変異体は、電荷に従ってタンパク質を分離するイオン交換クロマトグラフィーなどの分離方法を用いて分離することができる。
本明細書において用語「主要種タンパク質」は、組成物中に定量的に優勢なタンパク質(例えば、抗体)分子である、組成物中のタンパク質(例えば、抗体)のアミノ酸配列構造を指す。
細胞を「培養する」とは、細胞の生存及び/又は増殖に適した条件下で細胞培養培地に細胞を接触させることを意味する。
「バッチ培養」は、(細胞及び全ての培養栄養分を含む)細胞培養のための全ての成分が培養プロセスの開始時に培養容器に供給される培養を意味する。
本明細書で使用される用語「流加細胞培養」は、細胞及び培養培地は最初に培養容器に供給され、培養終了前の定期的な細胞及び/又は生成物の回収の有無にかかわらず、追加の培養栄養素が、培養工程の間に培養物に、連続的又は離散的な増分で与えられるバッチ培養を指す。
「灌流培養」は、細胞が、例えば、濾過、カプセル化、マイクロキャリアに固定する等によって、培養中に拘束され、培養培地は連続的又は断続的に導入され、培養容器から除去される培養である。
「培養容器」は、細胞を培養するために使用される容器を指す。培養容器は、それが細胞の培養のために有用である限り任意のサイズであってよい。
「力価」:本明細書で使用する用語「力価」とは、培地容積の所定量で割けられた細胞培養物によって生成された組換え発現されるポリペプチドの総量を指す。力価は、典型的には、培地のミリリットルあたりのポリペプチドのミリグラムの単位で表される。
用語「培地」及び「細胞培養培地」とは、細胞を増殖又は維持するために使用される栄養源を指す。当業者によって理解されるように、栄養源は、細胞にとって増殖及び/又は生存に必要な成分を含有することができるか、又は細胞の増殖及び/又は生存に有用な成分を含んでいてもよい。必須ビタミン、必須又は非必須アミノ酸、及び微量元素は培地成分の例である。
「化学的に定義された細胞培養培地」又は「CDM」は、動物血清とペプトンなどの動物由来産物を含まない特定の組成を持つ培地である。この用語はまた、未定義または部分的に定義された成分、例えば、動物血清、動物ペプトン及び植物ペプトンなどの成分を含まない特定の組成を持つ培地をも包含する。当業者によって理解されるように、CDMは、細胞がCDMに接触してポリペプチドを分泌するように、ポリペプチド生成の過程で使用され得る。従って、組成物は、CDM及びポリペプチド生成物を含んでもよいこと、及びポリペプチド生成物の存在は、CDMを化学的に未定義の状態にはしないことが理解される。
「化学的に未定義な細胞培養培地」は、その化学組成を特定することができず、動物血清とペプトンなどの一以上の動物由来の生成物を含むことができる培地を指す。当業者によって理解されるように、化学的に未定義な細胞培養培地は、栄養源として、動物由来の生成物を含有することができる。この用語はまた、未定義または部分的に定義された成分、例えば、動物血清、動物ペプトン及び植物ペプトンなどの成分を含む細胞培養培地をも包含する。
用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書において互換的に使用される。ポリマーは、直鎖状又は分岐状でも良く、 修飾アミノ酸を含んでも良く、非アミノ酸によって中断されてもよい。この用語はまた、天然に又は介入:例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、あるいは標識成分との結合など任意の他の操作もしくは修飾によって改変されるアミノ酸ポリマーを包含する。また、定義には、例えば、アミノ酸の一以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、並びに当技術分野で公知の他の修飾を含むポリペプチドが含まれる。本明細書中の定義に包含されるポリペプチドの例としては、哺乳動物タンパク質を含み、例えば、レニン;ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク;α−1−アンチトリプシン;インシュリンA−鎖;インシュリンB−鎖;プロインシュリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;因子VIIIC、因子IX、組織因子(TF)、及びヴォン・ヴィレブランド(von Willebrands)因子等の凝固因子;プロテインC等の抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺界面活性剤;ウロキナーゼ又はヒト尿又は組織型プラスミノーゲン活性化剤(t−PA)等のプラスミノーゲン活性化剤;ボンベシン;トロンビン;造血性成長因子;腫瘍壊死因子−α及び−β;エンケファリナーゼ;RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP−1−α);ヒト血清アルブミン等の血清アルブミン;ミューラー阻害物質;リラキシンA−鎖;リラキシンB−鎖;プロレラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;ベータ−ラクタマーゼ等の微生物タンパク質;DNアーゼ;IgE;CTLA−4のような細胞毒性Tリンパ球関連抗原(CTLA);インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモン又は成長因子のレセプター;プロテインA又はD;リウマチ因子;脳誘導神経向性因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5又は−6(NT−3、NT−4、NT−5、又はNT−6)、又はNGF−β等の神経成長因子等の神経成長因子;血小板誘導成長因子(PDGF);aFGF及びbFGF等の繊維芽成長因子;表皮成長因子(EGF);TGF−α及びTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4、又はTGF−β5を含む、TGF−βのようなトランスフォーミング成長因子(TGF);インシュリン様成長因子−I及び−II(IGF−I及びIGF−II);des(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)、インシュリン様成長因子結合タンパク質(IGFBPs);CD3、CD4、CD8、CD19、CD20等のCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン−α、−β、及び−γ等のインターフェロン;コロニー刺激因子(CSFs)、例えば、M−CSF、GM−SCF、及びG−CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL−1からIL−10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞レセプター;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;ウイルス性抗原、例えばAIDSエンベロープの一部等;輸送タンパク質;ホーミングレセプター;アドレシン(addressin);調節タンパク質;インテグリン、例えばCD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA−4及びVCAM;腫瘍関連抗原、例えば、CA125(卵巣癌抗原)又はHER2、HER3又はHER4レセプター、イムノアドヘシン;上に列挙したタンパク質の何れかの断片及び/又は変異体、並びに例えば上に列挙したタンパク質の何れかを含むタンパク質に結合する、抗体断片を含む抗体が含まれる。
「単離されたポリペプチド」は、それが発現された細胞又は細胞培養物から回収されたポリペプチドを意味する。
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、互換的に本明細書で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAが含まれる。ヌクレオチドは、DNAもしくはRNAポリメラーゼにより、または合成反応によってポリマー中に組み込むことができる、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体、または任意の基質とすることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの会合の前又は後に付与することができる。
「単離された核酸」は、通常の状況から外れた又は分離される、天然に存在しない、組換え又は天然に存在する配列を意味し及び包含する。
「精製された」ポリペプチドは、その天然の環境に存在するよりも純粋な形態で存在するように、及び/又は実験室条件下で最初に生成され及び/又は合成され及び/又は増幅されるときに、ポリペプチドは純度が増加していることを意味する。純度は相対的な用語であり、必ずしも絶対的な純度を意味するものではない。
用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を包含する。
「抗体断片」は、完全長抗体の一部、一般にはその抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片;単鎖抗体分子;ダイアボディ;直鎖抗体;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。
本明細書中で用いる用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、即ちこの集団を含む個々の抗体は、微量で存在し得る天然に生じる可能性のある突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であって、単一の抗原部位に対するものである。更に、典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含む、従来の(ポリクローナル)抗体製剤とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対するものである。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の特徴を示し、いずれかの特定の方法による抗体の生産を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本開示に従って用いるべきモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作成されてもよく、あるいは組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)によって作成されてもよい。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
「ヒト化」抗体とは、非ヒト(例えば齧歯類)抗体の形態である。非ヒト抗体から得られた最小配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の抗体特異性、親和性、及び性能を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などのヒト以外の種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例においては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非−ヒト残基によって置き換えられている。更に、ヒト化抗体はレシピエント抗体又はドナー抗体において見いだされない残基を含むことが可能である。これらの修飾は、抗体の性能をさらに改良するために作成される。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含み、超可変ループの全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意で、免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのそれを含むであろう。更なる詳細については、Jones et al.,Nature,321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596(1992)を参照。
「種依存性抗体」は、二番目の哺乳動物種からの抗原の相同体に対して有している結合親和性よりも、一番目の哺乳動物種からの抗原に対してより強力な結合親和性を有する抗体である。通常、種依存性抗体は、ヒト抗原(即ち、約1×10-7M以下、あるいは約1×10-8以下、あるいは約1×10-9M以下の結合親和性(Kd)値を有する)と「特異的に結合」するが、そのヒト抗原に対する結合親和性よりも、少なくとも約50倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1000倍弱い、二番目の非ヒト哺乳動物種からの抗原の相同体に対する結合親和性を有する。種依存性抗体は、上で定義した様々な型の抗体の何れでもありうるが、好ましくはヒト化又はヒト抗体である。
「汚染物質」は、所望のポリペプチド生成物とは異なる物質を指す。汚染物質は、限定されないが、CHOPなどの宿主細胞物質;浸出プロテインA;核酸;所望のポリペプチドの変異体、断片、凝集体または誘導体;別のポリペプチド;内毒素;ウイルス性汚染物質;細胞培養培地成分等が含まれる。
用語「薬学的製剤」は、活性成分の生物学的活性を許容するような形態であって、製剤を投与する被検体にとって許容できない毒性である他の成分を含まない調製物を指す。このような製剤は無菌である。
「無菌」製剤は、無菌であるか、又は全ての生きている微生物及びそれらの胞子を含まない又は本質的に含まない。
「無色又は僅かに着色した」液体は、定量および/または定性分析することによって測定されるポリペプチドを含む液体組成物を意味する。定性分析は、基準標準に対するポリペプチドを含む組成物との比較などの目視検査を含む。
実施態様が語句「含む(comprising)」により本明細書に記載される場合、語句「からなる(consisting of)」及び/又は語句「から本質的になる(consisting essentially of)」により記載される他の類似の実施態様もまた提供されることが理解される。
発明の態様又は実施態様が、マーカッシュ群又は代替の他の分類によって記載されている場合、本発明は、全体として挙げられている全群だけでなく、群の各メンバーを個々に、主要群の全ての可能なサブグループ、一又は複数の群メンバーを欠く主要群を包含する。本発明はまた、請求する発明における一又は複数の任意の群メンバーの明確な除外も考えられる。
細胞培養培地
本明細書で提供される細胞培養培地は、(例えば、細胞を増殖する(即ち、細胞を培養する)及びポリペプチドを産生する)方法、及び本明細書に詳述される組成物における使用を見出すことができる。培地成分は、許容可能な品質特性、例えば許容可能な色など(例えば、注射用製剤として使用するため)を持つポリペプチド製剤を提供することができるとして同定されている。別の培地中で生成されたポリペプチドと比較して、特定の培地成分は、ポリペプチド製剤の色の強度を減少させ、このことは100mg/mL又は125mg/mL又は150mg/mLのいずれかよりも高い濃度で処方されるポリペプチド生成物において特に重要であり得る。幾つかの態様では、ポリペプチド製剤は、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度であり、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する。幾つかの態様において、ポリペプチド製剤は、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、又は少なくとも75mg/mLより大きい濃度であり、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する。幾つかの態様において、COCアッセイにより決定される色強度値は、限定されないが、B、BY、Y、GY、又はRの任意の一とすることができ、より高い値はより明るい色の強さを示している。幾つかの態様では、ポリペプチド製剤は、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度であり、そして色のアッセイ(例えば、全色アッセイ又はニフティアッセイ)によって測定されるように、参照溶液の色強度値未満の色強度値を有している。幾つかの態様では、ポリペプチド製剤は、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、又は少なくとも75mg/mLより大きい濃度であり、そして色のアッセイ(例えば、全色アッセイ又はニフティアッセイ)によって測定されるように、参照溶液の色強度値未満の色強度値を有している。適切な細胞培養培地は、本発明の簡潔な概要及び他を含め、全体にわたり詳述されている。本明細書に詳述される任意の培地は、細胞増殖、維持及びポリペプチド生成の任意の段階で使用することができ、基礎培地及び/又は流加培地で使用することができる。一つのバリエーションにおいて、本明細書に記載の培地は、許容可能な細胞の生存率および抗体力価のレベル、及び培地で増殖させた細胞培養物から単離したポリペプチド(例えば、抗体)の許容可能な色の強度をもたらす。
以下の成分の一以上を含む細胞培養培地が提供される:(a)システイン及び/又はシステイン;(b)ビタミンB2、(c)ビタミンB6(ピリドキシン及び/又はピリドキサール)、(d)ビタミンB9、(e)ビタミンB12、(f)クエン酸第二鉄などの鉄源、(g)ヒドロコルチゾン。一バリエーションでは、細胞培養培地は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の2又は3又は4又は5又は6又は各々を含む。本明細書で提供される細胞培養培地は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の任意の組み合わせを、個々及び全ての組み合わせが具体的かつ個別に列挙されるのと同様に含むことが理解される。例えば、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)のうちの4つを含む細胞培養培地は、その成分の少なくとも4つが存在する限り、その成分の任意の組み合わせを含んでよいことが理解される。一態様では、細胞培養培地は、CDMである。別の態様では、細胞培養培地は、化学的に未定義な細胞培養培地である。
培地成分は、当技術分野で知られている形態で組成物に添加することができる。例えば、ビタミンB2は、リボフラビン粉末として提供することができ;ビタミンB6は、ピリドキシン塩酸又はピリドキサール塩酸として提供することができ;ビタミンB9は、葉酸粉末として提供することができ;ビタミンB12は、シアノコバラミン粉末として提供することができ;システインは、L−システイン一塩酸塩一水和物の粉末として提供することができ;シスチンは、二ナトリウム塩一水和物の粉末として提供することができる。幾つかの実施態様において、ビタミンB6は、ピリドキサール塩酸としては提供されない。更なる非限定的な例において、ビタミンB1は、チアミン一塩酸塩として提供することができ;ビタミンB3は、ナイアシンアミドとして提供することができ;ビタミンB5は、D−パントテン酸カルシウムとして提供することができ;ビタミンB7はビオチンとして提供することができる。別の非限定的な例として、鉄は異なる鉄形態又は鉄源で添加してもよい。幾つかの実施態様において、鉄源は、クエン酸第二鉄または硫酸第一鉄である。本明細書中に記載の培地成分は、塩、水和物、含水塩の形態で、又は溶液、抽出物、または固体形態として提供することができる。
一バリエーションにおいて、培地は、シスチン及びビタミンB2、B6、B9およびB12のそれぞれを含む。一バリエーションにおいて、培地は、シスチン、ビタミンB2、B6、B9、B12、及びクエン酸第二鉄等の鉄源を含む。別のバリエーションにおいて、培地は、シスチン、ビタミンB2、B6、B9、B12、クエン酸第二鉄等の鉄源、及びヒドロコルチゾンの各々を含む。更なるバリエーションにおいて、培地は、シスチン、ヒドロコルチゾン、及びクエン酸第二鉄等の鉄源を含む。更に別のバリエーションにおいて、培地は、シスチン、ヒドロコルチゾン、クエン酸第二鉄などの鉄源、及びビタミンB2、B6、B9およびB12の少なくとも一を含む。更に別のバリエーションにおいて、培地は、シスチン、ヒドロコルチゾン、クエン酸第二鉄などの鉄源、及びビタミンB2、B6、B9およびB12の少なくとも二つを含む。更に別のバリエーションにおいて、培地は、シスチン、ヒドロコルチゾン、クエン酸第二鉄などの鉄源、及びビタミンB2、B6、B9およびB12の少なくとも三つを含む。本明細書に記載される任意の培地において、一態様で、培地はCDMである。一態様では、細胞培養培地は、シスチンを含む。別のバリエーションにおいて、細胞培養培地はシスチンを含み、システインは含まない。別のバリエーションにおいて、細胞培養培地はシスチン及びシステインの療法を含む。
一バリエーションにおいて、培地は、約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;及び約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む細胞培養培地である。一バリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.50mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.40mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.30mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約8.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約7.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約6.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、細胞培養培地は鉄源を更に含む。一バリエーションにおいて、鉄源は、クエン酸第二鉄または硫酸第一鉄である。一バリエーションにおいて、細胞培養培地は、約2μMから約80μMの濃度でクエン酸第二鉄を含む。本明細書中のバリエーションの何れかにおいて、細胞培養培地はヒドロコルチゾンを更に含む。一バリエーションにおいて、ヒドロコルチゾンは、約0.05μMから約0.25μMの濃度である。
別のバリエーションにおいて、細胞培養培地は、以下:(a)約300mg/L(幾つかの実施態様において、200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン及び/又はシステイン(一態様においてはこれはシスチンである);(b)約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;(c)約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6(一態様においてはこれはピリドキシンである);(d)約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;(e)約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12;(f)約2μMから約80μMの鉄源、例えばクエン酸塩や硫酸塩(一態様においてはこれはクエン酸第二鉄及び/又は硫酸第一鉄である);及び(g)約0.05μMから約0.25μMのヒドロコルチゾンの一以上を含む。別のバリエーションにおいて、細胞培養培地は、以下:(a)約300mg/L(幾つかの実施態様において、200mg/L)から約600mg/Lのシスチン及び/又はシステイン(一態様においてはこれはシスチンである);(b)約0.05mg/Lから約0.5mg/LのビタミンB2;(c)約2.0mg/Lから約8.0mg/LのビタミンB6(一態様においてはこれはピリドキシンである);(d)約4.0mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;(e)約1.0mg/Lから約2.0mg/LのビタミンB12;(f)約5μMから約25μMの鉄源、例えばクエン酸塩や硫酸塩(一態様においてはこれはクエン酸第二鉄及び/又は硫酸第一鉄である);及び(g)約0.1μMから約0.2μMのヒドロコルチゾンの一以上を含む。更に別のバリエーションにおいて、細胞培養培地は、以下:(a)約400mg/Lから約500mg/Lのシスチン及び/又はシステイン(一態様においてはこれはシスチンである);(b)約0.1mg/Lから約0.3mg/LのビタミンB2;(c)約4.0mg/Lから約6.0mg/LのビタミンB6(一態様においてはこれはピリドキシンである);(d)約7.0mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB9;(e)約1.5mg/Lから約2.0mg/LのビタミンB12;(f)約12μMから約20μMの鉄源、例えばクエン酸塩や硫酸塩(一態様においてはこれはクエン酸第二鉄及び/又は硫酸第一鉄である);及び(g)約0.125μMから約0.175μMのヒドロコルチゾンの一以上を含む。一バリエーションでは、細胞培養培地は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の2又は3又は4又は5又は6又は各々を本明細書に列挙した濃度で含む。細胞培養培地は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の任意の組み合わせを、本明細書において提供される濃度の範囲において、個々及び全ての組み合わせが具体的かつ個別に列挙されるのと同様に含むことが理解される。例えば、一バリエーションにおける培地は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を含み、場合によっては成分(f)及び/又は(g)を含み得る。また別のバリエーションにおいて、培地は、成分(a)、(f)、及び(g)を含み、場合によっては成分(b)、(c)、(d)及び(e)の何れか一又はそれ以上を含み得る。培地がシスチン又はシステインを含む、任意のバリエーションにおいて、一態様では、培地はシスチンを含み、(そして、更なるバリエーションではシステインを含まない)。培地がビタミンB6を含む、任意のバリエーションにおいて、一態様では、培地はピリドキシンを含む。培地が鉄源を含む、任意のバリエーションにおいて、一態様では、鉄源はクエン酸第二鉄である。従って、特定のバリエーションにおいて、培地は、シスチン、ピリドキシン、及びクエン酸第二鉄を含むことが理解される。一態様では、細胞培養培地は、CDMである。
一バリエーションにおいて、培地は、(a)約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;(b)約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;(c)約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;(d)約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;及び(e)約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む。一バリエーションにおいて、培地は、(a)約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;(b)約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;(c)約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;(d)約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;(e)約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12;及び(f)約2μMから約80μMの鉄源、例えばクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄などを含む。別のバリエーションにおいて、培地は、(a)約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;(b)約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;(c)約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;(d)約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;(e)約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12;(f)約2μMから約80μMの鉄源、例えばクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄など;及び(g)約0.05μMから約0.25μMのヒドロコルチゾンの各々を含む。更なるバリエーションにおいて、培地は、約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約2μMから約80μMの鉄源、例えばクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄など;及び約0.05μMから約0.25μMのヒドロコルチゾンを含む。更に別のバリエーションにおいて、培地は、約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約2μMから約80μMの鉄源、例えばクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄など;約0.05μMから約0.25μMのヒドロコルチゾン;及び約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12の少なくとも一つ又は二つ又は三つを含む。本明細書に記載される任意の培地において、一態様で、培地はCDMである。本明細書に記載される任意の培地において、一態様で、培地は化学的に未定義な細胞培養培地である。
幾つかの更なるバリエーションにおいて、細胞培養培地は表1に記載される量でシステインを更に含む。例えば、(a)約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;(b)約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;(c)約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;(d)約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;及び(e)約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む細胞培養培地は、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを更に含むことができる。一バリエーションにおいて、(a)約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;(b)約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;(c)約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;(d)約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;(e)約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12;及び(f)約2μMから約80μMの鉄源、例えばクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄などを含む細胞培養培地は、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを更に含むことができる。幾つかのバリエーションにおいて、(a)約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;(b)約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;(c)約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;(d)約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;(e)約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12;(f)約2μMから約80μMの鉄源、例えばクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄など;及び(g)約0.05μMから約0.25μMのヒドロコルチゾンを含む細胞培養培地は、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを更に含むことができる。更に別のバリエーションにおいて、約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約2μMから約80μMの鉄源、例えばクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄など;約0.05μMから約0.25μMのヒドロコルチゾン;及び約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12の少なくとも一つ又は二つ又は三つを含む細胞培養培地は、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを更に含むことができる。
個々の培地成分は、一以上の有利な特性(一以上の許容可能な製剤品質特性)をもたらす量で存在し得る。一バリエーションにおいて、本明細書において提供される細胞培養培地は、表1に記載される量で培地成分を含む。培地は、表1の培地成分の何れか一又は複数(例えば、成分(a)−(g)の何れか一又は複数、例えば成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を含む培地、又は成分(a)、(f)、及び(g)を含む培地、又は成分(a)−(g)の各々を含む培地など)を、個々及び全ての組み合わせが具体的かつ個別に列挙されるのと同様に、表1に列挙される量の何れかで含むことができることが理解される。特定のバリエーションにおいて、培地はCDMである。別の特定のバリエーションでは、培地は、化学的に未定義な細胞培養培地である。一バリエーションにおいて、本明細書において提供される培地(例えば、CDM)はピリドキシンを含みピリドキサールを含まない。ピリドキサールを含まない培地は基礎培地及び/又は流加培地で用いることができる。一バリエーションにおいて、基礎培地は、ピリドキサールを含まずピリドキシンを含む。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書において、(a)ビタミンB1;(b)ビタミンB2;(c)ビタミンB3;(d)ビタミンB5;(e)ビタミンB6;(f)ビタミンB7;(g)ビタミンB9;(h)ビタミンB12;(i)クエン酸第二鉄等の鉄源;及び(j)シスチン、からなる群から選択される成分の一以上を含む細胞培養培地を提供する。幾つかの実施態様において、細胞培養培地は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)及び(j)の2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は各々を含む。本明細書で提供される細胞培養培地は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、及び(j)の任意の組み合わせを、個々及び全ての組み合わせが具体的かつ個別に列挙されるのと同様に含むことが理解される。例えば、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)のうちの8つを含む細胞培養培地は、その成分の少なくとも8つが存在する限り、その成分の任意の組み合わせを含んでよいことが理解される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される細胞培養物は、成分(b)、(e)、(g)、(h)及び(j)を含む。本明細書における幾つかの実施態様において、成分(b)、(e)、(g)、(h)及び(j)を含む本明細書において提供される細胞培養物は、(a)、(c)、(d)及び(f)を更に含む。本明細書における幾つかの実施態様において、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)及び(j)を含む、本明細書において提供される細胞培養物は(i)を更に含む。
幾つかの態様において、本明細書において提供される細胞培養培地は、(a)ビタミンB1;(b)ビタミンB2;(c)ビタミンB3;(d)ビタミンB5;(e)ビタミンB6;(f)ビタミンB7;(g)ビタミンB9;(h)ビタミンB12;(i)クエン酸第二鉄等の鉄源;及び(j)シスチンからなる群から選択される一又は複数の培地成分を、表1Aに記載される量で含有する。培地は、表1Aの培地成分の何れか一又は複数(例えば、成分(a)−(j)の何れか一又は複数、例えば成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)及び(i)を含む培地、又は成分(b)、(e)、(g)、(h)及び(j)を含む培地、又は成分(a)−(j)の一のみを含む培地など)を、個々及び全ての組み合わせが具体的かつ個別に列挙されるのと同様に、表1Aに列挙される量の何れかで含むことができることが理解される。幾つかの態様において、細胞培養培地は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)及び(i)を含み、ここで(a)は約2μMから約14μMのビタミンB1であり;(b)は約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2であり;(c)は約11μMから約72μMのビタミンB3であり;(d)は約6.8μMから約44μMのビタミンB5であり;(e)は約4.5μMから約30μMのビタミンB6であり;(f)は約0.02μMから約0.14μMのビタミンB7であり;(g)は約3.4μMから約22μMのビタミンB9であり;(h)は約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12であり;(i)は約11μMから約36μMのクエン酸第二鉄であり;及び(j)は約0.9mMから約1.5mMのシスチンである。
幾つかの更なる態様において、細胞培養培地は表1Aに記載される量でシステインを更に含む。例えば、(a)約2μMから約14μMのビタミンB1;(b)約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2;(c)約11μMから約72μMのビタミンB3;(d)約6.8μMから約44μMのビタミンB5;(e)約4.5μMから約30μMのビタミンB6;(f)約0.02μMから約0.14μMのビタミンB7;(g)約3.4μMから約22μMのビタミンB9;(h)約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12;(i)約11μMから約36μMのクエン酸第二鉄;及び(j)約0.7mMから約2.0mMのシスチンを含む細胞培養培地は、更に、(k)約0.5mMから約2.0mMのシステインを含むことができることが理解される。
本明細書において提供される培地(例えば、CDM又は化学的に未定義な培地)は、一バリエーションにおいて、シスチンを含みシステインを含まない。システインを含まない培地は基礎培地及び/又は流加培地で用いることができる。一バリエーションにおいて、基礎培地は、システインを含まずシスチンを含む。一バリエーションにおいて、約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6(一実施態様においてこれはピリドキシンである);約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;及び約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む基礎培地は、一態様において、(1)ビタミンB1(一態様において、約2.0μMから約14.0μMの濃度で存在する)、(2)ビタミンB3(一態様において、約11.0μMから約72.0μMの濃度で存在する)、(3)ビタミンB5(一態様において、約6.8μMから約44.0μMの濃度で存在する)、及び(4)ビタミンB7(一態様において、約0.02μMから約0.24μMの濃度で存在する)の何れか一又は複数を更に含むことができ、システインを含まない。別のバリエーションにおいて、約0.8mM(幾つかの実施態様では0.7mM)から約2.5mMのシスチン;約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2;約4.5μMから約30μMのビタミンB6(一実施態様においてこれはピリドキシンである);約3.4μMから約22μMのビタミンB9;及び約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12を含む基礎培地は、一態様において、(1)ビタミンB1(一態様において、約2.0μMから約14.0μMの濃度で存在する)、(2)ビタミンB3(一態様において、約11.0μMから約72.0μMの濃度で存在する)、(3)ビタミンB5(一態様において、約6.8μMから約44.0μMの濃度で存在する)、及び(4)ビタミンB7(一態様において、約0.02μMから約0.24μMの濃度で存在する)の何れか一又は複数を更に含むことができ、システインを含まない。本明細書に任意のバリエーションにおいて、基礎培地は、クエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄などの鉄源(一態様においては約11.0μMから約36.0μMの濃度で存在する)を更に含むことができる。本明細書に任意のバリエーションにおいて、基礎培地は、ヒドロコルチゾン(一態様においては約0.05μMから約0.5μMの濃度で存在する)を更に含むことができる。
本明細書において提供される培地(例えば、CDM又は化学的に未定義な培地)は、一バリエーションにおいて、システインを含みシスチンを含まない。シスチンを含まない培地は基礎培地又は流加培地で用いることができる。一バリエーションにおいて、流加培地は、シスチンを含まずシステインを含む。一バリエーションにおいて、流加培地は、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを含む。別のバリエーションにおいて、流加培地は、約0.5mMから約2.0mMのシステインを含む。例えば、約300mg/L(幾つかの態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6(一実施態様においてこれはピリドキシンである);約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;及び約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む基礎培地は、一態様において、(1)ビタミンB1(一態様において、約2.0μMから約14.0μMの濃度で存在する)、(2)ビタミンB3(一態様において、約11.0μMから約72.0μMの濃度で存在する)、(3)ビタミンB5(一態様において、約6.8μMから約44.0μMの濃度で存在する)、及び(4)ビタミンB7(一態様において、約0.02μMから約0.24μMの濃度で存在する)の何れか一又は複数を更に含むことができ、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステイン(幾つかの態様において、0.5mMから約2.0mMのシステイン)を含む流加培地を補充することができる。別のバリエーションにおいて、約0.8mM(幾つかの態様では0.7mM)から約2.5mMのシスチン;約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2;約4.5μMから約30μMのビタミンB6(一実施態様においてこれはピリドキシンである);約3.4μMから約22μMのビタミンB9;及び約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12を含む基礎培地は、一態様において、(1)ビタミンB1(一態様において、約2.0μMから約14.0μMの濃度で存在する)、(2)ビタミンB3(一態様において、約11.0μMから約72.0μMの濃度で存在する)、(3)ビタミンB5(一態様において、約6.8μMから約44.0μMの濃度で存在する)、及び(4)ビタミンB7(一態様において、約0.02μMから約0.24μMの濃度で存在する)の何れか一又は複数を更に含むことができ、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステイン(幾つかの態様において、0.5mMから約2.0mMのシステイン)を含む流加培地を補充することができる。本明細書に任意のバリエーションにおいて、基礎培地は、クエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄などの鉄源(一態様においては約11.0μMから約36.0μMの濃度で存在する)を更に含むことができる。本明細書に任意のバリエーションにおいて、基礎培地は、ヒドロコルチゾン(一態様においては約0.05μMから約0.5μMの濃度で存在する)を更に含むことができる。
本明細書において提供される培地(例えば、CDM又は化学的に未定義な培地)は、一バリエーションにおいて、クエン酸第二鉄を含み硫酸第一鉄を含まない。硫酸第一鉄を含まない培地は基礎培地又は流加培地で用いることができる。一バリエーションにおいて、基礎培地は、硫酸第一鉄を含まずクエン酸第二鉄を含む。
特定のバリエーションにおいて、本明細書において提供される培地は、システイン及び硫酸第一鉄を含まない。このようなバリエーションにおいて、培地は、システイン及び硫酸第一鉄を含まず、システイン及び/又はクエン酸第二鉄を含む。
本明細書において提供される培地は、一バリエーションにおいて、ヒドロコルチゾンを含まない。別のバリエーションにおいて、培地はヒドロコルチゾンを含む。一態様において、培地はヒドロコルチゾンを含み、システイン及び/又は硫酸第一鉄を含まない。別の態様において、培地は、ヒドロコルチゾン及びシスチン及びクエン酸第二鉄を含む。特定のバリエーションにおいて、ヒドロコルチゾンを含む培地は基礎培地である。一バリエーションにおいて、基礎培地は、約0.8mM(幾つかの実施態様では0.7mM)から約2.5mMのシスチン;約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄;約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾンを含み、及びここで基礎培地は、以下の成分:(1)ビタミンB2(一態様では、約0.05mg/Lから約1.0mg/Lの濃度で存在する);(2)ビタミンB6(一態様では、約0.05mg/Lから約10.0mg/Lの濃度で存在する);(3)ビタミンB9(一態様では、約0.05mg/Lから約12.0mg/Lの濃度で存在する);及び(4)ビタミンB12(一態様では、約0.05mg/Lから約2.5mg/Lの濃度で存在する)の一以上を更に含み得る。別のバリエーションにおいて、基礎培地は、約300mg/L(幾つかの態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄;及び約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾンを含み、及びここで基礎培地は、以下の成分:(1)ビタミンB2(一態様では、約0.05mg/Lから約1.0mg/Lの濃度で存在する);(2)ビタミンB6(一態様では、約0.05mg/Lから約10.0mg/Lの濃度で存在する);(3)ビタミンB9(一態様では、約0.05mg/Lから約12.0mg/Lの濃度で存在する);及び(4)ビタミンB12(一態様では、約0.05mg/Lから約2.5mg/Lの濃度で存在する)の一以上を更に含み得る。本明細書中のバリエーションの何れかにおいて、基礎培地は、(1)ビタミンB1(一態様において、約2.0μMから約14.0μMの濃度で存在する)、(2)ビタミンB3(一態様において、約11.0μMから約72.0μMの濃度で存在する)、(3)ビタミンB5(一態様において、約6.8μMから約44.0μMの濃度で存在する)、及び(4)ビタミンB7(一態様において、約0.02μMから約0.24μMの濃度で存在する)の何れか一又は複数を更に含むことができる。
細胞を培養することに使用するための細胞培養培地を調製する方法も提供され、ここで該方法は、a)システイン及び/又はシステイン、(b)ビタミンB2、(c)ビタミンB6(ピリドキシン及び/又はピリドキサール)、(d)ビタミンB9、(e)ビタミンB12、(f)クエン酸第二鉄などの鉄源及び(g)ヒドロコルチゾンからなる群から選択される何れか一又は複数の培地成分を組み合わせることを含み、ここで、(a)−(g)の各々は表1に記載される量で提供される。また本明細書において提供されるのは、細胞を培養することに使用するための細胞培養培地を調製する方法であって、該方法は、(a)ビタミンB1;(b)ビタミンB2;(c)ビタミンB3;(d)ビタミンB5;(e)ビタミンB6;(f)ビタミンB7;(g)ビタミンB9;(h)ビタミンB12;(i)クエン酸第二鉄等の鉄源;(j)シスチン;及び(k)システインからなる群から選択される何れか一又は複数の培地成分を、表1Aに記載される量において、組み合わせることを含む。一バリエーションにおいて、方法は、本明細書に記載される一又は複数の培地成分(例えば、表1又は表1A)を細胞培養に適した成分に添加することを含み、ここで一又は複数の培地成分は逐次的又は同時にその組成物に対して添加され得る。更なるバリエーションにおいて、方法は、本明細書に記載される一又は複数の培地成分(例えば、表1又は表1A)を、第一の期間で、細胞培養に適した組成で組み合わせることを含み、ここで該方法は、第二の期間で、一又は複数の培地成分の量を、細胞培養サイクルの間に、例えば、少なくとも一回、少なくとも二回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、添加することを更に含む。幾つかの実施態様において、細胞培養周期は少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18、日、19日、20日、又は任意の日数であり、ここで細胞は、依然として生存しつつ、細胞培養物に残存し得る。細胞の培養に使用するための細胞培養培地を調製する方法の一バリエーションにおいて、細胞培養培地中で、シスチンは、約300mg/L(幾つかの態様では、200mg/L)から約1200mg/Lのシスチンを提供する量で添加され、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2を提供する量で添加される、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6を提供する量で添加され、ビタミンB9は、約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9を提供する量で添加され、ビタミンB12は、約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を提供する量で添加される。細胞の培養に使用するための細胞培養培地を調製する方法の別バリエーションにおいて、細胞培養培地中で、シスチンは、約0.8mM(幾つかの態様では0.7mM)から約2.5mMのシスチンを提供する量で添加され、ビタミンB2は、約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2を提供する量で添加される、ビタミンB6は、約4.5μMから約30.0μMのビタミンB6を提供する量で添加され、ビタミンB9は、約3.4μMから約22.0μMのビタミンB9を提供する量で添加され、ビタミンB12は、約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12を提供する量で添加される。
本明細書中の幾つかのバリエーションにおいて、細胞培養培地は、基礎細胞培養培地である。本明細書中の幾つかのバリエーションにおいて、細胞培養培地は、流加細胞培養培地である。本明細書中の幾つかのバリエーションにおいて、細胞培養培地は、表1に記載される量の、(a)シスチン;(b)ビタミンB2、(c)ビタミンB6(ピリドキシン及び/又はピリドキサール)、(d)ビタミンB9、(e)ビタミンB12、(f)クエン酸第二鉄などの鉄源、及び(g)ヒドロコルチゾンからなる群から選択される何れか一又は複数の培地成分を含む基礎細胞培養培地であり、ここで基礎細胞培養培地は、表1に記載される量の(a)システインを含む流加細胞培地を(例えば、細胞培養サイクルの開始後の期間において、例えば、一回の細胞培養サイクルのうち少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6倍、少なくとも7倍、等)補充される。本明細書中の幾つかのバリエーションにおいて、細胞培養培地は、表1Aに記載される量の、(a)ビタミンB1;(b)ビタミンB2;(c)ビタミンB3;(d)ビタミンB5;(e)ビタミンB6;(f)ビタミンB7;(g)ビタミンB9;(h)ビタミンB12;(i)クエン酸第二鉄などの鉄源;及び(j)シスチンからなる群から選択される何れか一又は複数の培地成分を含む基礎細胞培養培地であり、ここで基礎細胞培養培地は、表1Aに記載される量の(k)システインを含む流加細胞培地を(例えば、細胞培養サイクルの開始後の期間において、例えば、一回の細胞培養サイクルのうち少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6倍、少なくとも7倍、等)補充される。
当業者によって理解されるように、本明細書に詳述される細胞培養培地は、(例えば、シスチン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、鉄、及び任意でヒドロコルチゾンのうち一又は複数の他に)細胞培養のために有用である他の成分を含んでいてもよい。例えば、細胞培養培地は、アミノ酸(例えば、グルタミン、アルギニン、又はアスパラギン)、ビタミン(限定されないが、アスコルビン酸を含む)、微量元素、遷移金属(限定されないが、ニッケル、銅、又は亜鉛を含む)、及び限定されないが、動物及び/又は植物由来の加水分解物などの他の培地成分などの追加の成分を含んでもよいことが理解される。また、本明細書において提供される任意の培地は、ホルモン及び/又は他の増殖因子(例えばインシュリン、トランスフェリン、又は上皮増殖因子)、イオン(例えば、ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン及びチミジン)、及びグルコース又は同等のエネルギー源を添加してもよい。本明細書に列挙したものなど、追加の細胞培養培地成分は、当業者に知られている細胞培養サイクル中の異なる時点で、適切な濃度で細胞培養培地に含まれていてもよい。
本明細書に提供される培地は、一態様において、ポリペプチドを生成する方法で使用される場合、異なる培地で生成された場合のポリペプチドの品質特性と比較して、一以上の好適な製剤品質特性をもたらす。改変された電荷変異体分布を有するタンパク質生成物の生成(例えば、抗体生成物)は、タンパク質生成物の色などのタンパク質生成物の品質特性に影響を与える可能性がある。加えて、特定の培地成分を使用することにより形成された活性酸素種(ROS)は、特定のアミノ酸を酸化して酸化生成物を生成することができる。こうした製剤変異型の存在はまた、色などタンパク質生成物の製剤品質特性を変える場合もある。本明細書に詳述される培地で生成されるポリペプチドを含む組成物(少なくとも100mg/L又は125mg/L又は150mg/mLのポリペプチド(抗体など)を含む組成物を含む)の色は、一態様において、表2に記載したように色の参照基準値を有する。特定のバリエーションにおいては、本明細書に詳述される培地で生成されるポリペプチドを含む組成物(少なくとも100mg/L又は125mg/L又は150mg/mLのポリペプチド(抗体など)を含む組成物を含む)の色は、一態様において、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、BY3、BY4、BY5、BY6、BY7、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、GY3、GY4、GY5、GY6、GY7、R3、R4、R5、R6及びR7からなる群から選択される色の参照基準値を有する。別の態様において、本明細書に詳述される培地で生成されるポリペプチドを含む組成物(少なくとも1mg/L又は25mg/L又は50mg/mL又は75mg/mLのポリペプチド(抗体など)を含む組成物を含む)の色は、一態様において、表2に記載したように色の参照基準値を有する。幾つかのバリエーションにおいては、本明細書に詳述される培地で生成されるポリペプチドを含む組成物(少なくとも1mg/L又は25mg/L又は50mg/mL又は75mg/mLのポリペプチド(抗体など)を含む組成物を含む)の色は、一態様において、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、BY3、BY4、BY5、BY6、BY7、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、GY3、GY4、GY5、GY6、GY7、R3、R4、R5、R6及びR7からなる群から選択される色の参照基準値を有する。茶色(B)、茶色がかった黄色(BY)、黄色(Y)、緑がかった黄色(GY)、又は赤色(R)の色の基準値の説明について、USP−24モノグラフ631色と無彩色性。米国薬局方、2000、頁1926−1927及び欧州評議会。ヨーロッパ薬局方,2008、第7版 P.22を参照。一バリエーションにおいて、本明細書中に提供される培地は、ポリペプチドを生成する方法で使用される場合、ポリペプチドが別の培地中に生成される場合に得られる電荷変異体(例えば、酸性の電荷変異体)と比較して、電荷変異体(例えば、酸性の電荷変異体)の存在を減少させる。別のバリエーションにおいて、培地は、ポリペプチドを生成する方法で使用される場合、ポリペプチドが別の培地中に生成される場合に得られる活性酸素種と比較して、活性酸素種の存在を減少させる。別のバリエーションにおいて、培地は、ポリペプチドを生成する方法で使用される場合、ポリペプチドが別の培地中に生成される場合に得られる汚染物質と比較して、汚染物質の存在を減少させる。
本明細書に記載されるように、本節及びその他に記載される細胞培養培地を使用する種々な方法(細胞を培養する方法及びポリペプチドを生成する方法など)が提供される。
方法
本明細書に詳述される細胞培養培地(本明細書に詳述される任意のCDM又は化学的に未定義の培地を含む)は、特定の抗体を含むポリペプチドを生成する細胞を培養する方法で使用することができる。培地は、流加培養、回分培養又は灌流培養によるかどうかに関わらず、細胞を培養する方法において使用することができ、及び本明細書に記載される抗体のいずれかの態様又はバリエーション又は実施態様を含む、抗体を産生する方法で使用することができる。
本明細書で詳述されるように細胞培養培地と細胞を接触させることにより、細胞を増殖させる(即ち、細胞を培養する)方法が提供される。一バリエーションにおいて、方法は、表1に記載される一以上の培地成分を含んでなる細胞培養培地(例えば、表1に列挙した何れかの量において、成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を含む培地、又は成分(a)、(f)及び(g)を含む培地、又は成分(a)−(g)の各々を含む培地)と細胞を接触させることを含む。一バリエーションにおいて、方法は、表1Aに記載される一以上の培地成分を含んでなる細胞培養培地(例えば、表1Aに列挙した何れかの量において、成分(a)−(j)を含む培地又は成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、及び(i)を含む培地、又は成分(b)、(e)、(g)、(h)及び(j)を含む培地、又は成分(a)−(j)の一のみを含む培地)と細胞を接触させることを含む。細胞を増殖させる(即ち、細胞を培養する)方法の特定のバリエーションにおいて、細胞培養培地はCDMである。方法の一態様において、細胞はCDM基礎培地で増殖される(即ち、培養される)。細胞を増殖させる(即ち、細胞を培養する)方法の別の特定のバリエーションにおいて、細胞培養培地は化学的に未定義な細胞培養培地である。方法の一態様において、細胞は化学的に未定義の細胞培養基礎培地で増殖される(即ち、培養される)。幾つかの態様において、細胞は、細胞の増殖期の間で細胞培養培地と接触させる。幾つかの態様において、細胞は、細胞の生成期の間で細胞培養培地と接触させる。幾つかの態様において、この方法は、細胞培養培地にシステインを添加する工程を更に含む。更なる態様において、細胞培養培地中に、システインが、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される。別の更なる態様において、細胞培養培地中に、システインが、約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される。更に別の更なる態様において、細胞培養培地中に、システインが、約140mg/Lのシステインを提供する量で添加される。別の更なる態様において、細胞培養培地中に、システインが、約0.5mMから約2.0mMのシステインを提供する量で添加される。更に別の更なる態様において、細胞培養培地中に、システインが、約0.8mMのシステインを提供する量で添加される。
細胞培養培地中で、ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞を増殖させること(即ち、細胞培養培地中で培養すること)によるポリペプチドを生成する方法もまた提供され、ここで(a)細胞はポリペプチドを発現し及び(b)化学的に定義された細胞培養培地は、表1に記載の一又は複数の培地成分を含む(例えば、表1に列挙した何れかの量において、成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を含む培地、又は成分(a)、(f)及び(g)を含む培地、又は成分(a)−(g)の何れかを含む培地)。別のバリエーションにおいて、本明細書に提供されるのは、細胞培養培地中で、ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞を増殖させること(即ち、細胞培養培地中で培養すること)によるポリペプチドを生成する方法であって、ここで(a)細胞はポリペプチドを発現し及び(b)細胞培養培地は、表1Aに記載の一又は複数の培地成分を含む(例えば、表1Aに列挙した何れかの量において、成分(a)−(j)を含む培地、又は成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、及び(i)を含む培地、又は成分(b)、(e)、(g)、(h)及び(j)を含む培地、又は成分(a)−(j)の一のみを含む培地)。細胞培養培地中で(即ち、細胞培養培地中で培養すること)により、ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞を増殖させることによってポリペプチドを生成する方法の特定のバリエーションにおいて、細胞培養培地はCDMである。方法の一態様において、細胞はCDM基礎培地で増殖される(即ち、培養される)。細胞培養培地中で(即ち、細胞培養培地中で培養すること)により、ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞を増殖させることによってポリペプチドを生成する方法の別の特定のバリエーションにおいて、細胞培養培地は化学的に未定義な細胞培養培地である。方法の一態様において、細胞は化学的に未定義の細胞培養基礎培地で増殖される(即ち、培養される)。幾つかの態様において、培養は細胞の増殖期の間である。幾つかの態様において、培養は細胞の生成期の間である。幾つかのバリエーションにおいて、この方法は、細胞培養培地にシステインを添加する工程を更に含む。更なるバリエーションにおいて、細胞培養培地中に、システインが、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される。別の更なるバリエーションにおいて、細胞培養培地中に、システインが、約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される。更に別の更なるバリエーションにおいて、細胞培養培地中に、システインが、約140mg/Lのシステインを提供する量で添加される。別の更なるバリエーションにおいて、細胞培養培地中に、システインが、約0.5mMから約2.0mMのシステインを提供する量で添加される。更に別の更なるバリエーションにおいて、細胞培養培地中に、システインが、約0.8mMのシステインを提供する量で添加される。
本明細書に詳述されるようなポリペプチドを投与する方法も提供される。例えば、ポリペプチドを含む製剤を個体に投与するための方法が提供され、ここで製剤は、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度でポリペプチドを有し、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する。幾つかの態様において、COCアッセイにより決定される色強度値は、限定されないが、B、BY、Y、GY、又はRの任意の一とすることができ、ここでより高い値はより明るい色の強さを示している。別の例において、ポリペプチドを含む製剤を個体に投与するための方法が提供され、ここで製剤は、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度でポリペプチドを有し、そして色のアッセイ(例えば、全色アッセイ又はニフティアッセイ)によって測定されるように、参照溶液の色強度値未満の色強度値を有している。ポリペプチドの製剤は、任意の適切な手段によって投与することができ、経口、肺内、および鼻腔内、及び局所治療が所望される場合、病巣内投与が含まれる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。くも膜下腔内投与もまた考えられる。投薬は、その投与が短期間か又は長期であるかどうかに部分的に依存し、任意の適切な経路、例えば、静脈内または皮下注射などの注射により行うことができる。従って、本明細書に提供されるようなポリペプチドを含有する製剤は、注射、例えば個体への皮下注射など(例えば、ヒトへの皮下注射)のために適切であり得る。幾つかの態様では、注射(例えば、皮下注射)に適したポリペプチド含有製剤は、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度であり、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する。幾つかの態様において、COCアッセイにより決定される色強度値は、限定されないが、B、BY、Y、GY、又はRの任意の一とすることができ、ここでより高い値はより明るい色の強さを示している。幾つかの態様では、注射に適したポリペプチド含有製剤は、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度であり、そして色のアッセイ(例えば、全色アッセイ又はニフティアッセイ)によって測定されるように、参照溶液の色強度値未満の色強度値を有している。限定されないが、様々な時間点にわたる、単一または複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含む様々な投与スケジュールが本明細書で考えられている。
他の方法は、本発明の簡潔な概要及びその他など、全体にわたり提供される。
細胞
提供される方法および組成物は、動物、酵母または昆虫細胞を含む、増殖及び/又は本明細書に記載される培地中におけるポリペプチド(例えば、抗体)の生成に適した任意の細胞を使用することができる。一態様において、方法及び組成物の細胞は、細胞培養及びポリペプチドの発現に適した任意の哺乳動物細胞又は細胞型である。本明細書中に提供される方法は(例えば、細胞を増殖させる(即ち、細胞を培養する)方法及び/又はポリペプチドを生成する方法)おい及び組成物は、したがって、動物細胞を含む細胞の任意の適切なタイプを使用することができる。一態様において、方法および組成物は、哺乳動物細胞を使用する。方法及び組成物はまた、ハイブリドーマ細胞を使用することができる。一バリエーションにおいて、哺乳動物細胞は、抗体、抗体断片(リガンド結合断片を含む)、及びキメラ抗体など所望のポリペプチドをコードする、外因性の単離された核酸で形質転換された非ハイブリドーマ哺乳動物細胞である。一バリエーションにおいて、方法及び組成物は、網膜芽細胞腫(PER.C6(CruCell, Leiden, The Netherlands));SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7,ATCC CRL1651);ヒト胚腎臓株(懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293又は293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));ハムスター乳児腎細胞(BHK,ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO,Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));サルの腎細胞(CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザルの腎細胞(VERO−76,ATCC CRL−1 587);ヒト子宮頸癌細胞(HeLa,ATCC CCL2);イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL3A,ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB8065);マウス乳房腫瘍細胞(MMT060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Mather等, Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(Hep G2)からなる群から選択される哺乳動物細胞を用いる。一態様において、方法および組成物は、CHO細胞を使用する。特定のバリエーションにおいて、CHO細胞株の培養及びCHO細胞株からのポリペプチド(例えば、抗体)の発現が用いられる。ポリペプチド(例えば、抗体)は、培地(例えば、CDM)中に分泌され、そこからポリペプチドが単離及び/又は精製することができ、又はポリペプチドは、ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞の溶解によって培地中に放出され得る。
組換え脊椎動物細胞培養での目的のポリペプチドの合成に適応化に適した方法、ベクター及び宿主細胞は、当技術分野において公知であり、例えば、Gething et al., Nature, 293:620-625 (1981);Mantei et al., Nature, 281:40-46 (1979);Levinson et al.;欧州特許第117,060号;及び欧州特許第117,058号に記載されている。ポリペプチドの哺乳動物細胞培養に特に有用なプラスミドは、pRK5(EP公開番号第307,247号)又はpSVI6B(1991年6月13日公開されたPCT公開番号WO91/08291)である。
宿主細胞は、発現又はクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切に修飾された栄養培地で培養される。哺乳動物細胞については、Graham and van der Erb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈殿法又はHawley-Nelson, Focus 15:73 (1193)のリポフェクタミンTM(Gibco BRL)法が望ましい。哺乳類細胞宿主系形質転換の一般的態様は、当該技術分野において公知であり、例えば、1983年8月16日に発行された米国特許第4,399,216号に記載されている。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、例えば、Keown et al., Methods in Enzymology (1989), Keown et al., Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)、及びMansour et al., Nature, 336:348-352 (1988)を参照。
本方法及び組成物はまた、細胞培養物中にモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの使用を包含する。モノクローナル抗体は、免疫した動物からの免疫細胞(典型的には、脾臓細胞又はリンパ節組織からのリンパ球)を回収し、従来の方法で、例えば、骨髄腫細胞又はエプスタイン−バー(EB)−ウイルス形質変換による融合によって細胞を不死化し、所望の抗体を発現するクローンをスクリーニングすることによって調製される。Kohler and Milstein, Eur. J. Immunol., 6:511 (1976)によって最初に記載されたハイブリドーマ法はまた、Hammerling et al., In: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, Elsevier, N.Y., pp. 563-681 (1981)によって記述され、多くの特異的抗原に対する高レベルのモノクローナル抗体を分泌するハイブリッド細胞株を生成するために広く適用されている。
ポリペプチド
本明細書に詳述される組成物(細胞)及び方法によって生成され、本明細書で提供される組成物中に存在するポリペプチドは、宿主細胞に相同であってもよく、又は好ましくは、それらが異種であり、即ちチャイニーズハムスター卵巣細胞により生成されたヒトタンパク質、又は哺乳動物細胞によって生成された酵母ポリペプチドなど、利用される宿主細胞に対して外因性であることを意味する外因性であってもよい。一バリエーションにおいて、ポリペプチドは、宿主細胞によって直接培地中に分泌された哺乳動物のポリペプチド(抗体など)である。別のバリエーションにおいて、ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする単離核酸を含む細胞の溶解により培地中に放出される。
一バリエーションにおいて、ポリペプチドは、鎖の長さが、三次及び/又は四次構造のより高いレベルを生成するのに十分となっているアミノ酸の配列を意味する。一態様において、ポリペプチドは、少なくとも約5から20kD、あるいは少なくとも約15から20kD、好ましくは少なくとも約20kDの分子量を持つことになる。
宿主細胞中で発現可能である任意のポリペプチドは、本開示に従って生成されてもよく、提供される組成物中に存在してもよい。ポリペプチドは、宿主細胞に対して内因性である遺伝子から又は遺伝子工学を介して宿主細胞に導入される遺伝子から発現され得る。ポリペプチドは、天然に存在するものであってもよく、又は代替として、操作されもしくは人間の手で選択された配列を有していてもよい。操作されたポリペプチドは、自然界に個別に生じる他のポリペプチドセグメントから組み立てることができ、又は天然に生じない一以上のセグメントを含んでもよい。
望ましくは、本発明に従って発現され得るポリペプチドは、しばしば、興味深い生物学的又は化学的活性に基づいて選択されるであろう。例えば、本発明は、薬学的又は商業的に任意の関連する酵素、受容体、抗体、ホルモン、調節因子、抗原、結合剤などを発現するために使用することができる。
種々のポリペプチドは、本明細書で提供される方法に従って生成することができ、本明細書に提供される組成物中に存在することができる。細菌ポリペプチドの例としてはアルカリホスファターゼ及びβ−ラクタマーゼが挙げられる。哺乳動物ポリペプチドの例としては、レニン;成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン;ウシ成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α−1−アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子、例えばVIIIC因子、IX因子、組織因子及びフォン・ウィルブランド因子;抗凝固因子、例えばプロテインC;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性剤;プラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ又はヒト尿又はヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA);ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子−α及び−β;エンケファリナーゼ;RANTES(ランテス)(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1−α);血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン;ミュラー阻害物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;微生物タンパク質、例えばβ−ラクタマーゼ;DNase;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子(VEGF);ホルモン又は増殖因子のレセプター;インテグリン;プロテインA又はD;リウマチ因子;神経栄養因子、例えば骨由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子−3、−4、−5又は−6(NT−3、NT−4、NT−5又はNT−6)、又はNGF−β等の神経成長因子;血小板由来成長因子(PDGF);線維芽細胞成長因子、例えばaFGF又はbFGF;上皮成長因子(EGF);形質転換成長因子(TGF)、例えばTGF−α及びTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4又はTGF−β5等のTGF−β;インスリン様成長因子−I及び−II(IGF−I及びIGF−II);des(1−3)−IGF−I(脳IGF−I);インスリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質、例えばCD−3、CD−4、CD−8及びCD−19;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えばインターフェロン−α、−β及び−γ;コロニー刺激因子(CSFs)、例えばM−CSF、GM−CSF及びG−CSF;インターロイキン(ILs)、例えばIL−1からIL−10;スーパーオキシド・ジスムターゼ;T−細胞レセプター;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;ウィルス抗原、例えばAIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質;ホーミングレセプター;アドレシン;調節タンパク質;抗体;及び上に列挙したいずれかのポリペプチドの断片等の分子が挙げられる。
抗体は、本発明により産生される哺乳動物ポリペプチドの例であり、提供される組成物中に存在し得る。抗体は、特定の抗原に結合特異性を表す好ましいクラスのポリペプチドである。天然の抗体は通常、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1の共有ジスルフィド結合により重鎖と連鎖するが、ジスルフィド連鎖数は種々の免疫グロブリンアイソタイプ間で異なる。各重鎖及び軽鎖はまた等間隔の内鎖ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は一端に、複数の定常ドメインを伴った可変ドメイン(VH)を有する。各軽鎖は一端に可変ドメイン(VL)と他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基が、軽鎖と重鎖の可変ドメインの界面を形成すると考えられている。
抗体は、すべて免疫グロブリンフォールドに基づく様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子である。例えば、IgG抗体は、ジスルフィド結合し機能的抗体を形成する二つの「重」鎖及び二つの「軽」鎖を有する。各重鎖及び軽鎖自体は、「定常」(C)及び「可変」(V)領域を含む。V領域は、抗体の抗原結合特異性を決定するC領域は、免疫エフェクターとの非抗原特異的相互作用において構造的な支持体及び機能を提供している。抗体又は抗体の抗原結合断片の抗原結合特異性は、特定の抗原に特異的に結合する抗体の能力である。
抗体の抗原結合特異性は、V領域の構造的特徴によって決定される。可変性は可変ドメインの110アミノ酸のスパンにわたって均一に分布しているのではない。その代わりに、V領域は、それぞれ9−12アミノ酸長である「高頻度可変領域」と呼ばれる極度の可変性のより短い領域により分離した15−30のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる相対的に不変の伸長部からなる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する、3つの高頻度可変領域により連結されたβシート配置を主にとる4つのFRをそれぞれ含んでいる。各鎖の高頻度可変領域はFRによって極く近傍に一緒に保持され、他の鎖からの高頻度可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係しないが、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与のような様々なエフェクター機能を示す。
各V領域は、典型的には、3つの相補性決定領域(「CDR」、その各々は「超可変ループ」を含む)、及び4つのフレームワーク領域を含む。抗体結合部位は、特定の所望の抗原に対する実質的な親和性で結合するために必要な最小限の構造単位であり、従って一般に3つのCDR、及びCDRを保持し適切なコンフォメーションで提示するために、その間に散在する少なくとも3つ、好ましくは4つのフレームワーク領域を含む。古典的な四鎖抗体は、協働してVHドメイン及びVLドメインによって定義される抗原結合部位を有する。ラクダ及びサメ抗体などの特定の抗体は、軽鎖を欠き、重鎖のみによって形成された結合部位に依存している。単一ドメイン操作免疫グロブリンは、VHとVLとの間の協働の欠如下、結合部位が重鎖又は軽鎖の単独によって形成されるように調製することができる。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の高頻度可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する、3つの高頻度可変領域により連結されたβシート配置を主にとる4つのFRをそれぞれ含んでいる。各鎖の高頻度可変領域はFRによって極く近傍に一緒に保持され、他の鎖からの高頻度可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係しないが、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与のような様々なエフェクター機能を示す。
本明細書で使用する用語「超可変領域」は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を言う。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、VLの残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)、及びVHの残基31−35B(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))及び/又は「超可変ループ」からのアミノ酸残基(例えば、VLの残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)及びVHの残基26−32(H1)、52A−55(H2)及び96−101(H3);Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))を含み得る。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義される超可変領域の残基以外の可変ドメイン残基である。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれ、各々が単一の抗原結合部位を持つ2つの同一な抗原結合断片、及び残りの「Fc」断片(名称は容易に結晶化する能力を反映している)を生成した。ペプシン処置は、2つの抗原結合部位を有し、なお抗原を架橋することが可能なF(ab’)2断片を産生する。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は一の重鎖と一の軽鎖の可変領域ドメインが、堅固な非共有結合をなした二量体からなる。各可変ドメインの3つの超可変領域が、VH−VLダイマーの表面上で抗原結合部位を定めるために相互作用するのはこの立体配置においてである。まとめて、6つの超可変領域は抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
「Fab」断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第一定常ドメイン(CH1)を含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端で2〜3の付加残基を有する点がFab断片とは異なる。Fab’−SHは、本明細書において、Fab’の一般名称であり、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも一の遊離チオール基を持つ。F(ab’)2抗体断片は元々はFab’断片の対として生成され、その間にヒンジシステインを有する。抗体断片の他の化学結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(イムノグロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つが割り当てられる。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、抗体は、種々のクラスに割り当てることができる。インタクトな抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらの幾つかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2に分けることができる。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構成はよく知られている。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。幾つかの実施態様において、scFvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはsFVが抗原結合に望まれる構造を形成することを可能にする。scFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, 269-315頁 (1994)を参照。
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を持つ小さな抗体断片を指し、その断片は、同一ポリペプチド鎖(VH−VL)の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一鎖の2つのドメイン間に対合を可能にするには短すぎるリンカーを用いることにより、そのドメインは別の鎖の相補的ドメインと強制的に対合し、2つの抗原結合部位を作り出す。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404097号;国際公開第93/11161号;及びHollinger等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)により十分に記載されている。
本明細書の目的のために、「インタクトな抗体」は、重鎖及び軽鎖可変ドメイン並びにFc領域を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であり得る。好ましくは、インタクトな抗体は、一又は複数のエフェクター機能を有する。
「天然の抗体」は通常、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は一つのジスルフィド共有結合により重鎖に結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変化する。各重鎖及び軽鎖はまた等間隔の内鎖ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は一端に、複数の定常ドメインを伴った可変ドメイン(VH)を有する。各軽鎖は一端に可変ドメイン(VL)と他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基は軽鎖と重鎖の可変ドメインの界面を形成すると考えられている。
「ネイキッド抗体」は、細胞傷害性部分、ポリマー、又は放射性標識などの異種分子にコンジュゲートされていない抗体(本明細書で定義される)である。
抗体は注目する「抗原」に対して指向される。好ましくは、この抗原は生物学的に重要なポリペプチドであって、疾患または障害に罹っている個体への抗体の投与の結果、その哺乳動物において治療的便益がもたらされ得る。しかしながら、(腫瘍関連糖脂質抗原のような(米国特許第5,091,178号参照))非ポリペプチド抗原に対する抗体もまた使用することができる。
抗原がポリペプチドである場合、それは膜貫通分子(例えば、受容体)または増殖因子のようなリガンドであってよい。例示的な抗原は、レニン;成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン;ウシ成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α−1−アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子、例えばVIIIC因子、IX因子、組織因子(TF)及びフォン・ウィルブランド因子;抗凝固因子、例えばプロテインC;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性剤;プラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ又はヒト尿又はヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA);ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子−α及び−β;エンケファリナーゼ;RANTES(ランテス)(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1−α);血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン;ミュラー阻害物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;微生物タンパク質、例えばβ−ラクタマーゼ;DNase;IgE;CTLA−4などの細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA);インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子(VEGF);ホルモン又は増殖因子のレセプター;プロテインA又はD;リウマチ因子;神経栄養因子、例えば骨由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子−3、−4、−5又は−6(NT−3、NT−4、NT−5又はNT−6)、又はNGF−β等の神経成長因子;血小板由来成長因子(PDGF);線維芽細胞成長因子、例えばaFGF又はbFGF;上皮成長因子(EGF);形質転換成長因子(TGF)、例えばTGF−α及びTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4又はTGF−β5等のTGF−β;インスリン様成長因子−I及び−II(IGF−I及びIGF−II);des(1−3)−IGF−I(脳IGF−I);インスリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質、例えばCD3、CD4、CD8、CD18、CD19、CD20及びCD40;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えばインターフェロン−α、−β及び−γ;コロニー刺激因子(CSFs)、例えばM−CSF、GM−CSF及びG−CSF;インターロイキン(ILs)、例えばIL−1からIL−10;スーパーオキシド・ジスムターゼ;T−細胞レセプター;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;ウィルス抗原、例えばAIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質;ホーミングレセプター;アドレシン;調節タンパク質;CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA−4およびVCAMなどのインテグリン;HER2、HER3又はHER4受容体のような腫瘍関連抗原;及び上に列挙したいずれかのポリペプチドの断片等の分子が挙げられる。
本明細書に詳述される抗体に対する好適な分子標的としては、CDタンパク質、例えばCD3、CD4、CD8、CD18、CD19、CD20、CD34及びCD40;ErbBレセプターファミリーのメンバー、例えばEGFレセプター、HER2、HER3又はHER4レセプター;細胞接着分子、例えばLFA−1、Mac1、p150.95、VLA−4、ICAM−1、VCAM、α4/β7インテグリン、及びそのα又はβサブユニットのいずれかを含むαv/β3インテグリン(例えば抗CD11a、抗CD18又は抗CD11b抗体);成長因子、例えばVEGF;組織因子(TF);αインターフェロン(α−IFN);インターロイキン、例えばIL−8;IgE;血液型抗原;flk2/flt3レセプター;肥満(OB)レセプター;mplレセプター;CTLA−4;プロテインC等々が挙げられる。
本明細書の方法により生成することができる抗体(その断片を含む、その抗原結合断片を同様に含む)は、限定されないが、抗HER2、抗体2C4、抗VEGF、抗体C2B8、抗CD11a、抗組織因子、IgG4b、抗CD40、抗CD20、抗IgE、E25、E26、抗PCSK9及び抗ベータ7を含む。
細胞増殖及びポリペプチド生成
一般に、細胞は、細胞増殖、維持及び/又はポリペプチド生成のいずれかを促進する一以上の条件の下で、本明細書に記載の細胞培養培地の何れかと結合される(接触される)。細胞を増殖し(即ち、細胞を培養し)、及びポリペプチドを産生する方法は、細胞および細胞培養培地を収容する培養容器(バイオリアクター)を使用する。培養容器は、ガラス、プラスチックまたは金属などの細胞を培養するのに適している任意の材料から構成することができる。典型的には、培養容器は、少なくとも1リットルであり、10、100、250、500、1000、2500、5000、8000、10000リットル又はそれ以上であって良い。培養プロセスの間に調整することができる培養条件は、限定されないが、pH及び温度を含む。
細胞培養は、一般的に、初期増殖期に、細胞培養物の生存、成長及び生存(維持)を助長する条件の下で維持される。正確な条件は、細胞型、細胞が由来する生物、発現されたポリペプチドの性質と特性に依存して変わり得る。
初期増殖期における細胞培養の温度は、主に細胞培養物が生存し続けるする温度の範囲に基づいて選択される。例えば、初期増殖期の間、CHO細胞は37℃で良好に増殖する。一般に、大半の哺乳動物細胞は約25℃から42℃の範囲で良好に増殖する。好ましくは、哺乳動物細胞は約35℃から40℃の範囲で良好に増殖する。当業者は、細胞の要求及び要求生産量に応じて、適切な温度又は細胞を増殖させる温度を選択することができるであろう。
本発明の一実施態様において、初期増殖期の温度は、単一の一定温度で維持される。別の実施態様において、初期増殖期の温度は、ある温度範囲内で維持される。例えば、温度は、初期増殖期の間に絶え間なく上昇又は低下させることができる。あるいは、温度は、初期増殖期の間、様々な時点で離散量だけ上昇又は低下させることができる。当業者は、単一または複数の温度が使用されるべきかどうか、及び温度は絶え間なく又は離散量によって調整されるべきであるかを決定することができるであろう。
細胞は、より長い又はより短い初期増殖期間で増殖させることができる。一バリエーションにおいて、細胞は、妨げられずに増殖させた場合、細胞が最終的に到達するであろう最大生存細胞密度の定められた割合である生存細胞密度を達成するのに十分な一定期間増殖させる。例えば、細胞は、最大生存細胞密度の1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は99パーセントの所望の生存細胞密度を達成するために十分な時間増殖させても良い。
別の実施態様において、細胞は、所定の期間増殖させる。例えば、細胞培養の開始濃度、細胞を増殖する温度、及び細胞の固有の増殖速度に依存して、細胞は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日又はそれ以上以上増殖させてもよい。幾つかの場合において、細胞は、1ヶ月以上増殖させることができる。
細胞培養物は、細胞への酸素供給及び栄養素の分散を向上させるために初期培養段階の間に攪拌または振とうすることができる。本発明によれば、当業者は、初期増殖期の間、限定されないが、pH、温度、酸素、等を含むバイオリアクターの特定の内部条件を制御または調節することは有益であり得ることを理解するであろう。例えば、pHは、酸又は塩基の適切な量を供給することによって制御することができ、酸素添加は、当該分野で周知である散布装置により制御することができる。
最初の培養工程は、増殖期であり、バッチ細胞培養条件は、シードトレイン(seed train)を生成するために、組換え細胞の増殖を増強するように改変される。増殖期は、一般的に、細胞が一般的に急速に分裂、例えば増殖している指数関数的増殖の期間を指す。この期の間、細胞は、一定期間、通常1〜4日間、例えば1、2、3、又は4日間、細胞増殖が最適である条件下で、培養される。宿主細胞の増殖サイクルの決定は、当業者に公知の方法によって、特定の宿主細胞について決定することができる。
増殖期において、基礎培養培地及び細胞は、バッチ内の培養容器に供給することができる。一態様では、培地は、約5%未満又は1%未満又は0.1%未満の血清及び他の動物由来タンパク質を含む。しかし、所望される場合、血清及び動物由来のタンパク質を使用することができる。特定のバリエーションにおいて、基礎培地はCDMである。1回又は2回のアミノ酸、ビタミン、微量元素及び他の培地成分は、その文書がその全体において本明細書中で参考として援用される欧州特許EP307247又は米国特許第6180401号で指定された範囲を使用することができる。
別の方法として、ハムF10(シグマ)、最小必須培地([MEM]、シグマ)、RPMI−1640(シグマ)及びダルベッコ改変イーグル培地([DMEM]、Sigma)などの市販されている培地は動物細胞の培養に適しており、本明細書に詳述されるように化学的に定義された培地成分を(例えば、提供されるキットを使用することによって)、補充してもよい。更に、その全ての開示が参照により本明細書にその全体が組み込まれるHam and Wallace, Meth. Enz., 58:44 (1979), Barnes and Sato, Anal. Biochem., 102:255 (1980)、米国特許第4,767,704号;同第4,657,866号;同第4,927,762号;又は同第4,560,655号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;米国再発行特許第30,985号(U.S. Pat. No. Re. 30,985;又は米国特許第5,122,469号に記載される培地の何れもが、宿主細胞のための培養培地として使用することができ、その各々は本明細書で詳述されるように化学的に定義された培地成分を(例えば、提供されるキットの使用により)補充してもよい。一態様において、培地が動物ベースの生成物を含む場合、培地にCDMを補充してもよい。
本明細書に提供される任意の培地は、ホルモン及び/又は他の増殖因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子など)、イオン(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン及びチミジン)、微量元素(通常マイクロモル範囲の最終濃度で存在すると定義される無機化合物)、及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な栄養補助剤もまた、当業者に知られている適当な濃度で含まれていてもよい。
それらの増殖の特定の時点で、細胞は、生成期における培養の開始時点に培養培地に接種する種菌を形成してもよい。あるいは、生成期は、増殖期と連続していてもよい。細胞増殖期の後は、一般に、ポリペプチド生成期が続く。
ポリペプチド生成期の間、細胞培養物は、(増殖期と比較して)細胞培養物の生存および生存率を助長し所望のポリペプチドの発現に適切な培養条件の第二の組の下で維持されてもよい。例えば、続く生成期の間、CHO細胞は、25℃から35℃の範囲内で組換えポリペプチド及びタンパク質を良好に発現する。細胞密度又は生存率を増加させるためもしくは組換えポリペプチド又はタンパク質の発現を増加させるために複数の別々の温度シフトを使用することができる。一態様において、本明細書において提供される培地は、ポリペプチド生成を増加させる方法で使用される場合、ポリペプチドが別の培地中に生成される場合に得られる汚染物質と比較して、汚染物質の存在を減少させる。一バリエーションにおいて、汚染物質は、電荷変異体又は活性酸素種である。一態様において、本明細書において提供される培地は、ポリペプチド生成を増加させる方法で使用される場合、ポリペプチド生成物が別の培地中に生成される場合に得られる色強度と比較して、ポリペプチド生成物の色強度を減少させる。一バリエーションにおいて、ポリペプチド生成を増加させる方法は、ポリペプチド生成期の間の温度シフト工程を含む。更なるバリエーションにおいては、温度シフト工程は、31℃から37℃、32℃から37℃、33℃から37℃、34℃から37℃、35℃から37℃、36℃から37℃、31℃から32℃、31℃から33℃、31℃から34℃、31℃から35℃又は31℃から36℃の温度のシフトを含む。
細胞は、所望の細胞密度又は生成力価に達するまで、次の生成期で維持することができる。一実施態様において、細胞は、組換えポリペプチドの力価が最大に達するまで、次の生成期で維持される。別の実施態様において、培養物は、この時点の前に回収することができる。例えば、細胞は、最大生存細胞密度の1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は99パーセントの生存細胞密度を達成するために十分な時間維持させても良い。幾つかの場合、生存細胞密度が最大に達するようにし、次いで培養物を回収する前に、生存細胞密度をあるレベルに低下させることは望ましいかもしれない。
特定の場合には、その後の生成期の間、細胞によって枯渇又は代謝された栄養素又は他の培地成分を細胞培養に補充することは有益又は必要であり得る。例えば、細胞培養の監視中に枯渇したと観察される栄養物又は他の培地成分を細胞培養物を補足することは有利であるかもしれない。別法として又は追加的に、続く生成期に先立ち、細胞培養物を補充することは有益又は必要であり得る。非限定的な例として、ホルモン及び/又は他の増殖因子、特定のイオン(例えば、ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、緩衝液、ビタミン、ヌクレオシド又はヌクレオチド、微量元素(非常に低い最終濃度で通常存在する無機化合物)、アミノ酸、脂質、又はグルコース又は他のエネルギー源を細胞培養物に補充することは有益であるか又は必要な場合がある。
ポリペプチド精製
対象とするポリペプチドは好ましくは分泌ポリペプチドとして培地から回収されるが、分泌シグナルなしで直接発現された場合、宿主細胞溶解液から回収されてもよい。一態様において、生成されるポリペプチドは、モノクローナル抗体などの抗体である。
培養培地又は溶解液は粒子状細胞片を除去するために遠心分離される。ポリペプチドはその後、適切な精製手順の典型である以下の手順:イムノアフィニティー又はイオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ、又はカチオン交換樹脂例えばDEAEでのクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG−75を用いたゲル濾過;及びIgG等の汚染物質を除去するためのプロテインAセファロースカラムを用いて汚染可溶性タンパク質及びポリペプチドから精製される。また、フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)のようなプロテアーゼインヒビターも、精製中のタンパク分解を阻害するのに有用である。当業者であれば、対象とするポリペプチドに適した精製方法が、組換え細胞培養において発現される際のポリペプチドの特性変化を考慮した修正を必要とする場合があることがわかるであろう。抗体は通常、クロマトグラフィー技術(例えば、プロテインA、低pH溶出段階を伴うアフィニティークロマトグラフィー、及びプロセス不純物を除去するためのイオン交換クロマトグラフィー)を用いて生成可能である。精製されたタンパク質は、濃縮されたタンパク質製剤、例えば、少なくとも100mg/mL又は125mg/mL又は150mg/mLのタンパク質濃度あるいは約100mg/mL又は125mg/mL又は150mg/mLの濃度を持つものを与えるために濃縮され得る。精製されたタンパク質は、濃縮されたタンパク質製剤、例えば、少なくとも1mg/mL又は10mg/mL又は25mg/mL又は50mg/mL又は75mg/mLのタンパク質濃度、又は少なくとも約1mg/mL又は約10mg/mL又は約50mg/mL又は約75mg/mLの何れか一から約125mg/mL又は約150mg/mLの濃度を持つものを与えるために濃縮され得る。濃縮されたポリペプチド生成物は、濃度条件の下で許容されているレベルまで、例えば、ポリペプチドは溶液中でもはや可溶性でない濃度まで濃縮することができることが理解される。例えば、ポリペプチドの精製方法は、ポリペプチド生成細胞から細胞培養液を回収し、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを介してポリペプチドを精製し、陰イオン及び陽イオン交換クロマトグラフィーを介して更に精製する工程、ウイルスを除去するための濾過、及び、ポリペプチドの最終製剤及び濃度のための最終的な限外濾過及び透析濾過工程を含むことができる。製剤のためのポリペプチドを生成し、精製するための方法の非限定的な例は、Kelley, B. MAbs., 2009, 1(5):443-452に記載され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ポリペプチドの色の評価
本明細書に詳述した方法により生成され、提供される組成物中に存在するポリペプチドは、タンパク質精製プロセスの任意の工程で色を評価することができる。色を評価するための方法は、本明細書に詳述される培地中で増殖させた細胞から細胞培養液を回収し、ポリペプチドを含む組成物(例えば、溶液)を得るために細胞培養液からポリペプチドを精製し、ポリペプチドを含む溶液を色について評価することを含み得る。一バリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによる精製後に色について評価される。更なるバリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、イオン交換クロマトグラフィーによる精製後に色について評価される。別のバリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、高速液体クロマトグラフィーによる精製後に色について評価される。更に別のバリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、疎水性相互作用クロマトグラフィーによる精製後に色について評価される。更に別のバリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、サイズ排除クロマトグラフィーによる精製後に色について評価される。一バリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、精密濾過及び限外濾過を含む濾過による精製後に色について評価される。一バリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、色の評価に先立ち濃縮される。(例えば、組成物は、少なくとも100mg/mL、125mg/mL又は150mg/mLの抗体などのポリペプチドを含んでいてもよい)。幾つかのバリエーションにおいて、色の評価に先立ち、濃縮された組成物は、少なくとも1mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、又は75mg/mLの(抗体などの)ポリペプチドを含む。ポリペプチドを含む組成物は、遠心分離、濾過装置、半透過性膜、透析、沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、又は疎水性相互作用クロマトグラフィーによって濃縮することができる。一バリエーションにおいて、ポリペプチドは、色についての評価に先立って、凍結乾燥により濃縮し、再懸濁することができる。ポリペプチドを含む組成物は、本明細書に詳述される技術の一又は複数を用いて、精製後に色について評価することができる。組成物が一回以上の凍結融解サイクルを受けた後の、ポリペプチドを含む組成物の色の評価が本明細書において意図される。ポリペプチドの精製又は濃縮の前における、ポリペプチドを含む細胞培養液の色の評価のための方法が更に本明細書において意図される。
明細書に記載の培地を用いて本明細書で詳述される方法によって生成された(又は提供された組成物中に存在する)ポリペプチドは、一以上の視覚的色標準を使用することによって色を評価することができる。ポリペプチドを含む組成物の色を評価するための方法は、限定されないが、米国薬局方の色標準及び欧州薬局方の色標準などの国際又は国内の色標準の使用を含む。USP−24モノグラフ631の色と収色性を参照。米国薬局方、2000、頁1926−1927及び欧州評議会。ヨーロッパ薬局方、2008、第7版 P.22。これらは参照によりその全体が本明細書に援用される。例えば、色、乳白光及び着色(COC)アッセイがポリペプチドを含有する溶液の色を評価するために使用することができる。一バリエーションにおいて、12mmの外径の、無色、透明な中性ガラスの同一チューブが、ポリペプチドを含む組成物の2.0mLをモノグラフにおいて処方される参照溶液又は溶媒又は水の2.0mLと比較するために使用される。色は、拡散昼光下で比較され、色の判定、測定、又は評価のために白の背景に対して水平に観察される。別のバリエーションにおいて、平底の無色、透明な中性ガラスで、内径が15mmから25mmの同一チューブが、40mmの層の深さに、モノグラフにおいて処方される参照溶液又は溶媒又は水とともにポリペプチドを含む組成物を比較するために用いられる。色は、拡散昼光下で比較され、色の判定、測定、又は評価のために白の背景に対して垂直に観察される。一バリエーションにおいて、色の判定、測定又は評価は、人間の目視検査によって行うことができる。別のバリエーションにおいて、色の判定、測定又は評価は、自動化されたプロセスよって行うことができる。例えば、チューブは、色の判定、測定、又は評価するためのアルゴリズムで画像を処理するために、チューブを画像化する機械にロードすることができる。COCアッセイのための参照標準は、限定されないが、茶色(B)、茶色がかった黄色(BY)、黄色(Y)、緑がかった黄色(GY)、又は赤色(R)の任意の一とすることができる。茶色の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、B1(最も暗い)、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9(最も明るい)の茶色の参照基準値を付与することができる。茶色がかった黄色の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、BY1(最も暗い)、BY2、BY3、BY4、BY5、BY6、又はBY7(最も明るい)の茶色がかった黄色の参照基準値を付与することができる。黄色の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、Y1(最も暗い)、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、又はY7(最も明るい)の黄色の参照基準値を付与することができる。緑がかった黄色の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、GY1(最も暗い)、GY2、GY3、GY4、GY5、GY6、又はGY7(最も明るい)の緑がかった黄色の参照基準値を付与することができる。赤の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、R1(最も暗い)、R2、R3、R4、R5、R6、又はR7(最も明るい)の赤の参照基準値を付与することができる。一態様において、許容可能な色は、本明細書で提供されるスケールで最も暗いものを測定することを除いて(例えば、赤色参照基準値のR1を除いて)任意の色である。一バリエーションにおいて、本明細書において詳述される培地中で培養された細胞によって生成されるポリペプチドを含む組成物の色は、表2に記載したような参照基準値を有する。本明細書中に記載されるように、一態様において、本明細書の方法及び組成物において使用することができる培地は、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、BY3、BY4、BY5、BY6、BY7、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、GY3、GY4、GY5、GY6、GY7、R3、R4、R5、R6及びR7からなる群から選択される参照標準色値を有するポリペプチド組成物(一バリエーションにおいて、少なくとも100mg/mL又は125mg/mL又は150mg/mLのポリペプチドを含む組成物である)をもたらすと理解される。一態様において、本明細書の方法及び組成物において使用することができる培地は、B4、B5、B6、B7、B8、BY4、BY5、BY6、Y4、Y5、Y6、GY4、GY5、GY6、GY7、R3、R4、R5及びR6の何れか一より大きい参照標準色値を有するポリペプチド組成物(一バリエーションにおいて、少なくとも100mg/mL又は125mg/mL又は150mg/mLのポリペプチドを含む組成物である)をもたらす。当業者に理解されるように、参照標準色の値の説明は、本明細書に詳述される培地、方法又は組成物の何れにも適用され、その記述を更に修正することができる。
別の実施例において、明細書に記載の培地を用いて本明細書で詳述される方法によって生成される(又は提供された組成物中に存在する)ポリペプチドは、定量的アッセイにより色について評価することができる。一バリエーションにおいて、定量的アッセイは、自動化されたプロセスを使用して行うことができる。一バリエーションにおいて、定量的アッセイは、本明細書中に記載される正規化された蛍光強度(ニフティ)アッセイ又は全色アッセイである。例えば、本明細書に記載される方法の何れかにより生成されるポリペプチドを含む溶液は、ポリペプチドを含む溶液を以下の工程を受けることによるニフティアッセイによって色強度について評価することができる:1)ポリペプチドの試験試料をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に適用し、ここでSECのための移動相は、特定の温度に維持されたカラムにより特定のpHの緩衝液を含み;2)特定の波長(例えば、280nm)でのUV吸収について、及び特定の励起波長(例えば、350nm)及び発光波長(例えば、425nm)による蛍光についてSEC溶出液をモニタリングし;3)UV吸光度クロマトグラム及び蛍光発光クロマトグラムにおいて、当技術分野で公知のソフトウェア(例えば、Agilent Chemstationソフトウェア)を用いてポリペプチド種のSECピークを積分し、及び主ピークの蛍光ピーク面積を主ピークのUV吸光度のピーク面積によって割ることにより蛍光を正規化し;及び4)茶色(B)、茶色がかった黄色(BY)、黄色(Y)、緑がかった黄色(GY)、又は赤色(R)などの本明細書に開示される参照標準の何れかに基づいて既知のCOC値を含むポリペプチド参照試料の蛍光に対するポリペプチド試験試料の正規化された蛍光の比率を計算し、ここで、より高い数値(例えば、より高いニフティ値)は、より高い色強度を示し、より低い数値(例えば、より低いニフティ値)はより低い色強度を示す。別の例において、本明細書に記載する方法の何れかによって生成されるポリペプチドを含有する溶液は、本明細書に記載される全色アッセイによって色強度について評価される。例えば、本明細書に記載される方法の何れかにより生成されるポリペプチドを含む溶液は、ポリペプチドを含む溶液を以下の工程を受けることによる全色アッセイによって色強度について評価することができる:1)分光光度計を用いて可視領域(380−780nm)で試料を測定することにより、ポリペプチド試験試料の吸収スペクトルを得る;2)「装置によって測定された色座標から色の許容差および色差を計算する標準的な技法」(Standard Practice for Calculation of Color Tolerances and Color Differences from Instrumentally Measured Color Coordinates), Annual Book of ASTM Standards, Vol. 06.01, (2011)に記載されているように、吸収スペクトルをCIEのL*a*b*色スケールに変換する;3)測定は三次元のCIEL*a*b*色空間内で試験試料と水の間のユークリッド距離に対応するデルタEを示している、全色測定を得る;及び4)ポリペプチド試験試料の「全色」測定の、茶色(B)、茶色がかった黄色(BY)、黄色(Y)、緑がかった黄色(GY)、又は赤色(R)などの本明細書に開示される参照標準の何れかに基づいて既知のCOC値を含むポリペプチド参照試料のそれに対する比率を計算することにより色強度値を決定し、ここで、より高い全色値は、より高い色強度を示し、より低い全色値はより低い色強度を示す。
本明細書に詳述される色アッセイは、限定されないが、本明細書に提供されるポリペプチド組成物を含む任意の溶液(例えば、ポリペプチド含有溶液)の色を評価する際に用途を見出すことができる。
ポリペプチド電荷変異体の評価
電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)の存在を減少させる方法が提供され、ここで、本明細書に詳述される濃度で成分を含有する培地は、ポリペプチドを生成する方法で使用される場合、ポリペプチドが異なる培地(例えば、本明細書に詳述される同一成分及び/又は成分濃度を含まないもの)で生成される場合に得られる電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)と比較して、電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)の存在を減少させる。当業者に理解されるように、参照電荷変異体の説明は、本明細書に詳述される培地、方法又は組成物の何れにも適用され、その記述を更に修正することができる。また、この節で提供される培地の任意のバリエーション又は実施態様は、全体を通して詳述される培地の記述にも同様に適用されることが理解される。本明細書中で使用されるように、用語「電荷変異体の存在を減少させる」とは、電荷変異体の全てタイプ(例えば、酸性電荷変異体、塩基性電荷変異体、及び中性電荷変異体)の量又は存在の減少、又は酸性電荷変異体などの特定の電荷変異体の量又は存在の減少を指すことができる。
電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)の存在を減少させる方法が提供され、同様に電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)の減少したレベルを含む組成物が提供され、ここで本明細書に詳述される培地は、ポリペプチドを生成する方法で使用される場合、ポリペプチドが異なる培地で生成される場合に得られる電荷変異体と比較して、電荷変異体の存在を減少させる。一バリエーションにおいて、培地は、約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;及び約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む化学的に未定義な細胞培養培地である。一バリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.50mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.40mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.30mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約8.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約7.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約6.0mg/Lの濃度である。一のバリエーションにおいて、化学的に未定義な細胞培養培地は鉄源を更に含む。一バリエーションにおいて、鉄源は、クエン酸第二鉄または硫酸第一鉄である。一バリエーションにおいて、化学的に未定義な細胞培養培地は、約2μMから約80μMの濃度でクエン酸第二鉄を含む。本明細書中のバリエーションの何れかにおいて、化学的に未定義な細胞培養培地はヒドロコルチゾンを更に含む。一バリエーションにおいて、ヒドロコルチゾンは、約0.05μMから約0.25μMの濃度である。
電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)の存在を減少させる方法が提供され、同様に電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)の減少したレベルを含む組成物が提供され、ここで本明細書に詳述される培地は、ポリペプチドを生成する方法で使用される場合、ポリペプチドが異なる培地で生成される場合に得られる電荷変異体と比較して、電荷変異体の存在を減少させる。一バリエーションにおいて、培地は、約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄、及び約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾンを含む化学的に定義された細胞培養培地である。一バリエーションにおいて、化学的に定義された培地は、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB9及びビタミンB12を更に含む。一バリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約1.0mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.50mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.40mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.30mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約10.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約8.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約7.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約6.0mg/Lの濃度である。本明細書における任意のバリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約10.0mg/L、約0.05mg/Lから約8.0mg/L、約0.05mg/Lから約7.0mg/L又は約0.05mg/Lから約6.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB9は、約0.05mg/Lから約12.0mg/Lの濃度である。本明細書における任意のバリエーションにおいて、ビタミンB9は、約0.05mg/Lから約12.0mg/Lの濃度である。更なるバリエーションにおいて、ビタミンB12は、約0.05mg/Lから約2.5mg/Lの濃度である。本明細書における任意のバリエーションにおいて、ビタミンB12は、約0.05mg/Lから約2.5mg/Lの濃度である。
電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)の存在を減少させる方法が提供され、同様に電荷変異体(例えば、酸性電荷変異体)の減少したレベルを含む組成物が提供され、ここで本明細書に詳述される培地は、ポリペプチドを生成する方法で使用される場合、ポリペプチドが異なる培地で生成される場合に得られる電荷変異体と比較して、電荷変異体の存在を減少させる。一バリエーションにおいて、培地は、約300mg/L(幾つかの実施態様では200mg/L)から約1200mg/Lのシスチン;約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄、及び約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾンを含む化学的に未定義な培地である。一バリエーションにおいて、化学的に未定義な培地は、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB9及びビタミンB12を更に含む。一バリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約1.0mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.50mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.40mg/Lの濃度である。別のバリエーションにおいて、ビタミンB2は、約0.05mg/Lから約0.30mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約10.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約8.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約7.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約6.0mg/Lの濃度である。本明細書における任意のバリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約10.0mg/L、約0.05mg/Lから約8.0mg/L、約0.05mg/Lから約7.0mg/L又は約0.05mg/Lから約6.0mg/Lの濃度である。本明細書における任意のバリエーションにおいて、ビタミンB6は、約0.05mg/Lから約10.0mg/Lの濃度である。一バリエーションにおいて、ビタミンB9は、約0.05mg/Lから約12.0mg/Lの濃度である。本明細書における任意のバリエーションにおいて、ビタミンB9は、約0.05mg/Lから約12.0mg/Lの濃度である。更なるバリエーションにおいて、ビタミンB12は、約0.05mg/Lから約2.5mg/Lの濃度である。本明細書における任意のバリエーションにおいて、ビタミンB12は、約0.05mg/Lから約2.5mg/Lの濃度である。
本明細書で詳述される方法によって生成されるポリペプチドを含む組成物を含む、ポリペプチドは、タンパク質精製プロセスの任意の工程で電荷変異体の存在について評価することができる。電荷変異体の存在を評価するための方法は、本明細書に詳述される培地中で増殖させた細胞から細胞培養液を回収し、ポリペプチドを含む組成物を得るために細胞培養液からポリペプチドを精製し、そして、異なる培地中で生成されるときのポリペプチドを含む組成物中の電荷変異体の存在と比較して、電荷変異体の減少の存在についてポリペプチドを含む組成物を評価することを含むことができる。一バリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、酸性電荷変異体又は塩基性電荷変異体を含むことができる。別のバリエーションにおいて、ポリペプチドを含む組成物は、酸性電荷変異体を含む。電荷変異体は、限定されないが、脱アミド化、シアリル化、C末端リジンの切断、糖化、C末端リジンアミド化、C末端グリシンアミド化、スクシンアミド形成、アミノ酸酸化、シアル酸の除去又はそれらの組み合わせに起因して形成され得る。ポリペプチドの精製又は濃縮の前における、ポリペプチドを含む細胞培養液中の電荷変異体の存在の評価方法が更に本明細書において意図される。ポリペプチドを含有する溶液中の電荷変異体の検出のための方法は、限定されないが、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技術の使用を含む。Khawli, L.A., mAbs., 2010, 2(6):613-624 を参照いただき、これはその全体が参照によって本明細書に援用される。
本明細書において提供される組成物の一バリエーションにおいて、電荷変異体(一態様では、それは酸性の電荷変異体である)は、ポリペプチド生成物のわずか25%又は20%又は18%又は15%又は10%を構成する。本明細書において提供される組成物及び方法の別のバリエーションにおいて、ポリペプチド生成物の少なくとも75%又は80%又は85%又は90%又は95%又はそれ以上は、主要種タンパク質である。本明細書で使用される用語「主要種タンパク質」は、タンパク質のアミノ酸配列、二次構造、及び/又は三次構造、並びにグリコシル化などの任意の翻訳後修飾などにより同定される定量的に優勢なタンパク質を更に含むことができる。
キット
化学的に定義された成分を有する細胞培養培地を補充するためのキットが記載される。キットは、再構成されるべき乾燥した成分を含有することができ、また使用のための(例えば、キットの構成成分を含む培地の補充に使用するための)説明書を含んでいてもよい。キットは、細胞培養培地を補充するのに適切な量で本明細書に提供される培地成分を含有してもよい。一バリエーションにおいて、キットは、表1の培地成分を含む。別のバリエーションにおいて、キットは、表1Aの培地成分を含む。様々な例示的なキットの実施態様が、「典型的な実施態様」の節に記載されている。加えて、本発明はまた、細胞培養培地を補充するためのキットは、表1又は表1Aに示す濃度で細胞培養培地中の一又は複数の培地成分を提供する量で、表1又は表1Aの何れか一又は複数の培地成分を含むバリエーションを含む。一バリエーションにおいて、細胞培養培地を補充するためのキットは、細胞培養培地中で、約0.8mM(一態様では、0.7mM)から約2.5mMのシスチンを提供する量のシスチン;細胞培養培地中で、約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2を提供する量のビタミンB2;細胞培養培地中で、約4.5μMから約30.0μMのビタミンB6を提供する量のビタミンB6;細胞培養培地中で、約3.4μMから約22.0μMのビタミンB9を提供する量のビタミンB9;及び細胞培養培地中で、約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12を提供する量のビタミンB12を含む。本明細書の任意のバリエーションにおいて、キットは、細胞培養培地中で、約2μMから約80μM(幾つかの態様で、約11.0μMから約36.0μM)を提供する量で、クエン酸第二鉄及び硫酸第一鉄などの鉄源を更に含むことができる。
別のバリエーションにおいて、細胞培養培地を補充するためのキットは、細胞培養培地中で、約0.8mM(幾つかの態様では、0.7mM)から約2.5mMのシスチンを提供する量のシスチン;細胞培養培地中で、約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄を提供する量のクエン酸第二鉄;細胞培養培地中で、約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾンを提供する量のヒドロコルチゾン;細胞培養培地中で、約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2を提供する量のビタミンB2;細胞培養培地中で、約4.5μMから約30.0μMのビタミンB6を提供する量のビタミンB6;細胞培養培地中で、約3.4μMから約22.0μMのビタミンB9を提供する量のビタミンB9;及び細胞培養培地中で、約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12を提供する量のビタミンB12を含む。
本明細書の任意のバリエーションにおいて、キットは、細胞培養培地中で、約2.0μMから約14.0μMのビタミンB1を提供する量のビタミンB1;細胞培養培地中で、約11.0μMから約72.0μMのビタミンB3を提供する量のビタミンB3;細胞培養培地中で、約6.8μMから約44.0μMのビタミンB5を提供する量のビタミンB5;及び細胞培養培地中で、約0.02μMから約0.24μMのビタミンB7を提供する量のビタミンB7の何れか一又は複数を更に含み得る。
本明細書の任意のバリエーションにおいて、キットは、細胞培養培地中で、約80mg/Lから約1500mg/L(一態様において、0.5mMから約2.0mM)のシステインを提供する量のシステイン
本明細書の任意のバリエーションにおいて、細胞培養培地はCDM又は化学的に未定義な細胞培養培地とすることができる。
組成物
細胞培養培地及び一以上の他の成分、例えば細胞又は所望のポリペプチド(例えば、抗体)を含む組成物もまた提供される。一バリエーションにおいて、(a)ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞;及び(b)本明細書で提供される細胞培養培地を含む組成物が提供される。別のバリエーションにおいて、(a)ポリペプチド;及び(b)本明細書で提供される細胞培養培地を含む組成物が提供され、一態様において、ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞によって培地中に分泌される。更に別のバリエーションにおいて、(a)ポリペプチド;及び(b)本明細書で提供される細胞培養培地を含む組成物が提供され、一態様において、ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞の溶解によって培地中に放出される。組成物の細胞は、本明細書に詳述される任意の細胞(例えば、CHO細胞)であって良く、組成物の培地は、表1又は表1Aに詳述される培地成分を含む培地など(CDMとして良い)本明細書に詳述される任意の培地であって良い。同様に、組成物のポリペプチドは、本明細書に詳述される任意のポリペプチド、例えば抗体とすることができる。
一バリエーションにおいて、組成物は、色を有していてもよい。一バリエーションにおいて、一以上の視覚的色標準の使用により色が決定され、測定され、又は評価される。視覚的色標準は、限定されないが、米国薬局方の色標準及び欧州薬局方の色標準などの国際又は国内の色標準とすることができる。USP−24モノグラフ631の色と収色性を参照。米国薬局方、2000、頁1926−1927及び欧州評議会。ヨーロッパ薬局方、2008、第7版 P.22。これらは参照によりその全体が本明細書に援用される。例えば、組成物の色は、色、乳白光及び着色(COC)アッセイの使用により、決定、測定又は評価することができるCOCアッセイのための参照標準は、限定されないが、茶色(B)、茶色がかった黄色(BY)、黄色(Y)、緑がかった黄色(GY)、又は赤色(R)の任意の一とすることができる。茶色の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、B1(最も暗い)、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9(最も明るい)の茶色の参照基準値を付与することができる。茶色がかった黄色の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、BY1(最も暗い)、BY2、BY3、BY4、BY5、BY6、又はBY7(最も明るい)の茶色がかった黄色の参照基準値を付与することができる。黄色の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、Y1(最も暗い)、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、又はY7(最も明るい)の黄色の参照基準値を付与することができる。緑がかった黄色の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、GY1(最も暗い)、GY2、GY3、GY4、GY5、GY6、又はGY7(最も明るい)の緑がかった黄色の参照基準値を付与することができる。赤の参照標準と比較されるポリペプチドを含む組成物は、R1(最も暗い)、R2、R3、R4、R5、R6、又はR7(最も明るい)の赤の参照基準値を付与することができる。本明細書に詳述される組成物は、表2に記載するような又は全体に詳述するような参照基準値を持つことができる。特定のバリエーションにおいて、本明細書において提供される組成物は、少なくとも100mg/L又は125mg/L又は150mg/Lの濃度あるいは約100mg/L又は125mg/L又は150mg/L又は175mg/L又は200mg/Lの濃度でポリペプチドを含む。別のバリエーションにおいて、本明細書において提供される組成物は、少なくとも1mg/L又は10mg/L又は25mg/L又は50mg/L又は75mg/Lの濃度あるいは約1mg/L又は10mg/L又は25mg/L又は50mg/L又は75mg/Lの濃度でポリペプチドを含む。別のバリエーションにおいて、本明細書において提供される組成物は、少なくとも約1mg/mL又は約10mg/mL又は約50mg/mL又は約75mg/mLの何れか一から約125mg/mLまで又は約150mg/mLまでの濃度で単離されたポリペプチドを含む。本明細書に提供される任意の組成物は、ポリペプチドの溶解限界までの濃度で、又は被験体に投与された場合、ポリペプチドの治療的有効量を提供する濃度でポリペプチドを含むことができる。本明細書で使用されるように、ポリペプチド(例えば、抗体)の「治療的有効量」は、ポリペプチドが有効である治療について、障害の予防又は治療に有効な量を指す。更なるバリエーションにおいて、本明細書において提供される組成物は、B4−B9、BY4−BY7、Y4−Y7、GY4−GY7及びR4−R7の何れか一から選択される色標準値を有する。また提供されるのは、少なくとも100mg/L又は125mg/L又は150mg/Lの濃度あるいは約100mg/L又は125mg/L又は150mg/L又は175mg/L又は200mg/Lの濃度でポリペプチドを含む組成物で、ここで組成物は、B4−B9、BY4−BY7、Y4−Y7、GY4−GY7及びR4−R7の何れか一から選択される色標準値を有する。また本明細書において提供されるのは、少なくとも1mg/L又は10mg/L又は25mg/L又は50mg/L又は75mg/Lの濃度あるいは少なくとも約1mg/mL又は約10mg/mL又は約50mg/mL又は約75mg/mLの何れか一から約125mg/mLまで又は約150mg/mLまでの濃度でポリペプチドを含む組成物であり、ここで組成物は、B4−B9、BY4−BY7、Y4−Y7、GY4−GY7及びR4−R7の何れか一から選択される色標準値を有する。
別の例において、組成物の色は、ニフティアッセイ又は全色アッセイなど定量的アッセイの使用により、決定され、測定され、又は評価され得る。あるバリエーションにおいて、定量的アッセイにより得られたより高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す。
本明細書に記載の方法の何れかにより生成されるポリペプチド(例えば、抗体)の組成物(例えば、薬学的組成物)は、所望の程度の純度を有するその抗体と任意の薬学的に許容される担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.: Williams and Wilkins PA, USA (1980))とを、凍結乾燥製剤または水性溶液の形態で混合することによって調製される。薬学的に許容される担体は、使用される投薬量および濃度でレシピエントに毒性でなく、そしてこれには、限定しないが、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン;マンノサッカライド、ジサッカライド、およびグルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における典型的な薬学的に許容される担体は、水溶性の中性アクティブヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)などの介在性薬物分散剤、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International, Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質を更に含む。所定の典型的なsHASEGP及び使用法は、rHuPH20を含み、米国特許出願公開第2005/0260186号及び第2006/0104968に開示されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つまたは複数の追加のグルコサミノグリカンと組み合わされる。典型的な凍結乾燥ポリペプチド製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性のポリペプチド製剤は、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。インビボ投与に使用される製剤は、一般的に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通して濾過することにより、達成することができる。特定のバリエーションにおいて、本明細書において提供される薬学的製剤は、少なくとも100mg/L又は125mg/L又は150mg/Lの濃度あるいは約100mg/L又は125mg/L又は150mg/L又は175mg/L又は200mg/Lの濃度でポリペプチドを含む。別のバリエーションにおいて、本明細書において提供される薬学的製剤は、少なくとも1mg/L又は10mg/L又は25mg/L又は50mg/L又は75mg/Lの濃度あるいは約1mg/L又は10mg/L又は25mg/L又は50mg/L又は75mg/Lの濃度でポリペプチドを含む。別のバリエーションにおいて、本明細書において提供される薬学的製剤は、少なくとも約1mg/mL又は約10mg/mL又は約50mg/mL又は約75mg/mLの何れか一から約125mg/mLまで又は約150mg/mLまでの濃度で単離されたポリペプチドを含む。あるバリエーションにおいて、本明細書において開示される方法により生成されるポリペプチドを含む薬学的製剤は、限定されないが、COCアッセイ、全色アッセイ、又はニフティアッセイを用いた色アッセイを用いて色強度について評価される。幾つかの態様では、本明細書において提供される薬学的製剤は、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度であり、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する。幾つかの態様において、本明細書において提供される薬学的製剤は、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、又は少なくとも75mg/mLより大きい濃度であり、COCアッセイによって測定されるように、B3、B4、B5、B6、B7、B8、又はB9より大きい色強度値を有する。幾つかの態様において、COCアッセイにより決定される色強度値は、限定されないが、B、BY、Y、GY、又はRの任意の一とすることができ、ここでより高い値はより明るい色の強さを示している。幾つかの態様では、本明細書において提供される薬学的製剤は、少なくとも100mg/mL、少なくとも125mg/mL、又は少なくとも150mg/mLより大きい濃度であり、そして色のアッセイ(例えば、全色アッセイ又はニフティアッセイ)によって測定されるように、参照溶液の色強度値未満の色強度値を有している。幾つかの態様では、本明細書において提供される薬学的製剤は、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、又は少なくとも75mg/mLより大きい濃度であり、そして色のアッセイ(例えば、全色アッセイ又はニフティアッセイ)によって測定されるように、参照溶液の色強度値未満の色強度値を有している。
本明細書に開示される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
典型的な実施態様
1.
細胞培養培地は、
約200mg/Lから約1200mg/Lのシスチン;
約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;
約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;
約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;及び
約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12
を含む細胞培養培地と細胞を接触させる工程を含む、細胞を培養する方法。
2.
約0.7mMから約2.5mMのシスチン;
約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2;
約4.5μMから約30.0μMのビタミンB6;
約3.4μMから約22.0μMのビタミンB9;及び
約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12
を含む細胞培養培地と細胞を接触させる工程を含む、実施態様1に記載の方法。
3.
細胞培養物は、ビタミンB1、ビタミンB3、ビタミンB5及びビタミンB7の何れか一又は複数を更に含む、実施態様1又は2に記載の方法。
4.
細胞培養培地は、
約2.0μMから約14.0μMのビタミンB1;
約11.0μMから約72.0μMのビタミンB3;
約6.8μMから約44.0μMのビタミンB5;及び
約0.02μMから約0.14μMのビタミンB7
の何れか一又は複数を更に含む、実施態様3に記載の方法。
5.
細胞培養培地は、鉄源を更に含む、実施態様1から4の何れか一に記載の方法。
6.
鉄源がクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄である、実施態様5に記載の方法。
7.
細胞培養培地は、約2μMから約80μMの濃度でクエン酸第二鉄を含む、実施態様1から6の何れか一に記載の方法。
8.
細胞培養培地は、約11.0μMから約36.0μMの濃度でクエン酸第二鉄を含む、実施態様1から7の何れか一に記載の方法。
9.
細胞培養培地は、ヒドロコルチゾンを更に含む、実施態様1から8の何れか一に記載の方法。
10.
細胞培養培地中のヒドロコルチゾンの濃度は、約0.05μMから約0.25μMである、実施態様9に記載の方法。
11.
細胞培養培地は、化学的に定義された細胞培養培地である、実施態様1から10の何れか一に記載の方法。
12.
細胞培養培地は、化学的に未定義な細胞培養培地である、実施態様1から10の何れか一に記載の方法。
13.
細胞は、細胞の増殖期の間に細胞培養培地と接触される、実施態様1から12の何れか一に記載の方法。
14.
細胞は、細胞生成期の間に細胞培養培地と接触される、実施態様1から13の何れか一に記載の方法。
15.
方法は、細胞培養培地にシステインを添加する工程を更に含む、実施態様14に記載の方法。
16.
細胞培養培地中に、システインが、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様15に記載の方法。
17.
細胞培養培地中に、システインが、約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様15に記載の方法。
18.
細胞培養培地中に、システインが、約140mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様15に記載の方法。
19.
ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞を細胞培養培地中で培養する工程を含む、ポリペプチドを生成する方法であって、
(a)細胞培養培地は、
約200mg/Lから約1200mg/Lのシスチン;
約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;
約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;
約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;
約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12;
を含み、及び
(b)細胞はポリペプチドを発現する
方法。
20.
細胞培養培地は、
約0.7mMから約2.5mMのシスチン;
約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2;
約4.5μMから約30.0μMのビタミンB6;
約3.4μMから約22.0μMのビタミンB9;及び
約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12
を含む、実施態様19に記載の方法。
21.
細胞培養物は、ビタミンB1、ビタミンB3、ビタミンB5及びビタミンB7の何れか一又は複数を更に含む、実施態様19又は20に記載の方法。
22.
細胞培養培地は、
約2.0μMから約14.0μMのビタミンB1;
約11.0μMから約72.0μMのビタミンB3;
約6.8μMから約44.0μMのビタミンB5;及び
約0.02μMから約0.14μMのビタミンB7
の何れか一又は複数を更に含む、実施態様21に記載の方法。
23.
細胞培養培地は、鉄源を更に含む、実施態様19から22の何れか一に記載の方法。
24.
鉄源がクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄である、実施態様23に記載の方法。
25.
細胞培養培地は、約2μMから約80μMの濃度でクエン酸第二鉄を含む、実施態様19から24の何れか一に記載の方法。
26.
細胞培養培地は、約11.0μMから約36.0μMの濃度でクエン酸第二鉄を含む、実施態様19から25の何れか一に記載の方法。
27.
細胞培養培地は、ヒドロコルチゾンを更に含む、実施態様19から26の何れか一に記載の方法。
28.
細胞培養培地中のヒドロコルチゾンの濃度は、約0.05μMから約0.25μMである、実施態様27に記載の方法。
29.
細胞培養培地は、化学的に定義された細胞培養培地である、実施態様19から28の何れか一に記載の方法。
30.
細胞培養培地は、化学的に未定義な細胞培養培地である、実施態様19から28の何れか一に記載の方法。
31.
培養は細胞の増殖期の間である、実施態様19から30の何れか一に記載の方法。
32.
培養は細胞の生成期の間である、実施態様19から31の何れか一に記載の方法。
33.
方法は、細胞培養培地にシステインを添加する工程を更に含む、実施態様32に記載の方法。
34.
細胞培養培地中に、システインが、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様33に記載の方法。
35.
細胞培養培地中に、システインが、約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様33に記載の方法。
36.
細胞培養培地中に、システインが、約140mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様33に記載の方法。
37.
ポリペプチドは抗体である、実施態様19から36の何れか一に記載の方法。
38.
抗体はIgG1抗体である、実施態様37に記載の方法。
39.
抗体は、抗VEGF、抗メソテリン、抗PCSK9又は抗ベータ7抗体である、実施態様37又は38に記載の方法。
40.
細胞培養培地からポリペプチドを単離する工程を更に含む、実施態様19から39の何れか一に記載の方法。
41.
単離されたポリペプチドを含む組成物は、無色又は僅かに着色した液体として現れる、実施態様40に記載の方法。
42.
組成物は少なくとも100mg/mLの濃度で単離されたポリペプチドを含む、実施態様41に記載の方法。
43.
実施態様19から42の何れか一に記載の方法により生成されるポリペプチド。
44.
実施態様43に記載のポリペプチド及び薬学的に許容される担体を含む薬学的製剤。
45.
化学的に定義された成分を有する細胞培養培地を補充するためのキットであって、該キットは、
細胞培養培地中に、約200mg/Lから約1200mg/Lのシスチンを提供する量のシスチン;
細胞培養培地中に、約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2を提供する量のビタミンB2;
細胞培養培地中に、約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6を提供する量のビタミンB6;
細胞培養培地中に、約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9を提供する量のビタミンB9;及び
細胞培養培地中に、約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を提供する量のビタミンB12
を含むキット。
46.
キットは、
細胞培養培地中に、約0.7mMから約2.5mMのシスチンを提供する量のシスチン;
細胞培養培地中に、約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2を提供する量のビタミンB2;
細胞培養培地中に、約4.5μMから約30.0μMのビタミンB6を提供する量のビタミンB6;
細胞培養培地中に、約3.4μMから約22μMのビタミンB9を提供する量のビタミンB9;及び
細胞培養培地中に、約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12を提供する量のビタミンB12
を含む、実施態様45に記載のキット。
47.
キットは、ビタミンB1、ビタミンB3、ビタミンB5及びビタミンB7の何れか一又は複数を更に含む、実施態様45又は46に記載のキット。
48.
キットは、
細胞培養培地中に、約2.0μMから約14.0μMのビタミンB1を提供する量のビタミンB1;
細胞培養培地中に、約11.0μMから約72.0μMのビタミンB3を提供する量のビタミンB3;
細胞培養培地中に、約6.8μMから約44.0μMのビタミンB5を提供する量のビタミンB5;及び
細胞培養培地中に、約0.02μMから約0.14μMのビタミンB7を提供する量のビタミンB7
の何れか一又は複数を更に含む、実施態様47に記載のキット。
49.
キットは、鉄源を更に含む、実施態様45から48の何れか一に記載のキット。
50.
鉄源がクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄である、実施態様49に記載のキット。
51.
キットは、ヒドロコルチゾンを更に含む、実施態様45から50の何れか一に記載のキット。
52.
約200mg/Lから約1200mg/Lのシスチン;
約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2;
約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6;
約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9;及び
約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12
を含む細胞培養培地。
53.
約0.7mMから約2.5mMのシスチン;
約0.11μMから約0.72μMのビタミンB2;
約4.5μMから約30.0μMのビタミンB6;
約3.4μMから約22.0μMのビタミンB9;及び
約0.2μMから約1.5μMのビタミンB12
を含む、実施態様52に記載の培地。
54.
ビタミンB1、ビタミンB3、ビタミンB5及びビタミンB7の何れか一又は複数を更に含む、実施態様52又は53に記載の培地。
55.
約2.0μMから約14.0μMのビタミンB1;
約11.0μMから約72.0μMのビタミンB3;
約6.8μMから約44.0μMのビタミンB5;及び
約0.02μMから約0.14μMのビタミンB7
の何れか一又は複数を更に含む、実施態様54に記載の培地。
56.
細胞培養培地は、鉄源を更に含む、実施態様52から55の何れか一に記載の培地。
57.
鉄源がクエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄である、実施態様56に記載の培地。
58.
細胞培養培地は、約2μMから約80μMの濃度でクエン酸第二鉄を含む、実施態様57に記載の培地。
59.
細胞培養培地は、約11.0μMから約36.0μMの濃度でクエン酸第二鉄を含む、実施態様58に記載の培地。
60.
細胞培養培地は、ヒドロコルチゾンを更に含む、実施態様52から59の何れか一に記載の培地。
61.
細胞培養培地は、約0.05μMから約0.25μMの濃度でヒドロコルチゾンを含む、実施態様60に記載の培地。
62.
約200mg/Lから約1200mg/Lのシスチン;
約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄;及び
約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾン
を含む細胞培養培地と細胞を接触させる工程を含む、細胞を培養する方法。
63.
細胞培養培地は、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB9及び/又はビタミンB12を更に含む、実施態様62に記載の方法。
64.
細胞培養培地は、約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2を含む、実施態様62又は63に記載の方法。
65.
細胞培養培地は、約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6を含む、実施態様62から64の何れか一に記載の方法。
66.
細胞培養培地は、約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9を含む、実施態様62から65の何れか一に記載の方法。
67.
細胞培養培地は、約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む、実施態様62から66の何れか一に記載の方法。
68.
細胞培養培地は、化学的に定義された細胞培養培地である、実施態様62から67の何れか一に記載の方法。
69.
細胞培養培地は、化学的に未定義な細胞培養培地である、実施態様62から67の何れか一に記載の方法。
70.
細胞は、細胞の増殖期の間に細胞培養培地と接触される、実施態様62から69の何れか一に記載の方法。
71.
細胞は、細胞生成期の間に細胞培養培地と接触される、実施態様62から70の何れか一に記載の方法。
72.
方法は、細胞培養培地にシステインを添加する工程を更に含む、実施態様71に記載の方法。
73.
細胞培養培地中に、システインが、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様72に記載の方法。
74.
細胞培養培地中に、システインが、約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様72に記載の方法。
75.
細胞培養培地中に、システインが、約140mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様72に記載の方法。
76.
ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞を細胞培養培地中で培養する工程を含む、ポリペプチドを生成する方法であって、
(a)細胞培養培地は
約200mg/Lから約1200mg/Lのシスチン;
約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄;及び
約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾン;
を含み;及び
(b)細胞はポリペプチドを発現する、
方法。
77.
細胞培養培地は、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB9及び/又はビタミンB12を更に含む、実施態様76に記載の方法。
78.
細胞培養培地は、約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2を含む、実施態様76又は77に記載の方法。
79.
細胞培養培地は、約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6を含む、実施態様76から78の何れか一に記載の方法。
80.
細胞培養培地は、約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9を含む、実施態様76から79の何れか一に記載の方法。
81.
細胞培養培地は、約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む、実施態様76から80の何れか一に記載の方法。
82.
細胞培養培地は、化学的に定義された細胞培養培地である、実施態様76から81の何れか一に記載の方法。
83.
細胞培養培地は、化学的に未定義な細胞培養培地である、実施態様76から81の何れか一に記載の方法。
84.
培養は細胞の増殖期の間である、実施態様76から83の何れか一に記載の方法。
85.
培養は細胞の生成期の間である、実施態様76から84の何れか一に記載の方法。
86.
方法は、細胞培養培地にシステインを添加する工程を更に含む、実施態様85に記載の方法。
87.
細胞培養培地中に、システインが、約80mg/Lから約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様86に記載の方法。
88.
細胞培養培地中に、システインが、約1500mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様86に記載の方法。
89.
細胞培養培地中に、システインが、約140mg/Lのシステインを提供する量で添加される、実施態様86に記載の方法。
90.
ポリペプチドは抗体である、実施態様76から89の何れか一に記載の方法。
91.
抗体はIgG1抗体である、実施態様90に記載の方法。
92.
抗体は、抗VEGF、抗メソテリン、抗PCSK9又は抗ベータ7抗体である、実施態様90又は91に記載の方法。
93.
細胞培養培地からポリペプチドを単離する工程を更に含む、実施態様76から92の何れか一に記載の方法。
94.
単離されたポリペプチドを含む組成物は、無色又は僅かに着色した液体として現れる、実施態様93に記載の方法。
95.
組成物は少なくとも100mg/mLの濃度で単離されたポリペプチドを含む、実施態様94に記載の方法。
96.
実施態様76から95の何れか一に記載の方法により生成されるポリペプチド。
97.
実施態様96に記載のポリペプチド及び薬学的に許容される担体を含む薬学的製剤。
98.
化学的に定義された成分を有する細胞培養培地を補充するためのキットであって、該キットは、
細胞培養培地中に、約200mg/Lから約1200mg/Lのシスチンを提供する量のシスチン;
細胞培養培地中に、約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄の濃度を提供する量のクエン酸第二鉄;
細胞培養培地中に、約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾンの濃度を提供する量のヒドロコルチゾン
を含むキット。
99.
キットは、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB9及び/又はビタミンB12を更に含む、実施態様98に記載のキット。
100.
キットは、細胞培養培地中に、約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2を提供する量のビタミンB2を含む、実施態様98又は99に記載のキット。
101.
キットは、細胞培養培地中に、約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6を提供する量のビタミンB6を含む、実施態様98から100の何れか一に記載のキット。
102.
キットは、細胞培養培地中に、約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9を提供する量のビタミンB9を含む、実施態様98から101の何れか一に記載のキット。
103.
キットは、細胞培養培地中に、約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を提供する量のビタミンB12を含む、実施態様98から102の何れか一に記載のキット。
104.
約200mg/Lから約1200mg/Lのシスチン;
約2μMから約80μMのクエン酸第二鉄;及び
約0.05μMから約0.5μMのヒドロコルチゾン
を含む細胞培養培地。
105.
培地は、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB9及び/又はビタミンB12を更に含む、実施態様104に記載の培地。
106.
培地は、約0.05mg/Lから約1.0mg/LのビタミンB2を含む、実施態様104又は105に記載の方法。
107.
培地は、約0.05mg/Lから約10.0mg/LのビタミンB6を含む、実施態様104から106の何れか一に記載の培地。
108.
培地は、約0.05mg/Lから約12.0mg/LのビタミンB9を含む、実施態様104から107の何れか一に記載の培地。
109.
培地は、約0.05mg/Lから約2.5mg/LのビタミンB12を含む、実施態様104から108の何れか一に記載の培地。
110.
(a)ポリペプチドをコードする単離された核酸を含む細胞;及び(b)実施態様52から61及び104から109の何れか一による培地を含む組成物。
111.
(a)ポリペプチド;及び(b)実施態様52から61及び104から109の何れか一に記載の培地を含む組成物。
以下の実施例は、説明するために提供されるが、本発明を限定するものではない。
許容可能な品質特性、例えば色などを有するタンパク質製剤を生成する培地は、特に、タンパク質生成物が(例えば、少なくとも100mg/mLの濃度まで)濃縮される溶液として存在するときに同定される。幾つかの態様において、タンパク質生成物は、少なくとも1mg/mLを含む組成物として存在する。本明細書で提供される培地中で細胞を培養する方法並びにその培地を使用してポリペプチドを生成する方法が記載される。一態様において、培地は、鉄源及びヒドロコルチゾンを任意に添加された、シスチン及び/又はシステイン及びビタミンB2、B6、B9及びB12を含む。別の態様において、培地は、ビタミンB2、B6、B9及びB12を任意に添加された、シスチン及び/又はシステイン、ヒドロコルチゾン及び鉄源を含む。組成物を含有するシスチンが特に考慮される。培地成分の各々は、全体にわたって提供される任意の値で存在してもよい。培地は、化学的に定義されるか、又は化学的に未定義であってもよい。培地は、ポリペプチドの生成方法で使用される場合、異なる培地中で生成されたポリペプチドと比較して、ポリペプチド電荷変異体の存在を減少させることができ、及び/又は活性酸素種の存在を減少させることができる。培地は、細胞培養およびポリペプチド生成のすべての段階を通して用途が見いだされ、基礎培地及び/又は流加培地で使用することができる。本方法の何れかにより生成されるポリペプチド、並びに本明細書に詳述されるポリペプチドを含む薬学的組成物が提供される。一態様において、薬学的組成物は、少なくとも又は約100mg/mL、約125mg/mL及び150mg/mLの何れかの濃度でポリペプチドを含む。別の態様において、薬学的組成物は、少なくとも又は約1mg/mL、約10mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、及び75mg/mLの何れかの濃度でポリペプチドを含む。抗体を含む組成物を作成する方法が考慮される。化学的に定義された成分を有する細胞培養培地を補充するためのキットもまた記載される。
薬剤物質の開発プロセスを通じて、製品の品質がクリニックで使用するための特定の業界標準を満たしていることが重要である。モノクローナル抗体の皮下送達に向けた最近の傾向は、処方された薬物物質の濃度の≧100mg/mLまでの増加を要求している。しかし、これらの高濃度では薬物物質の色がより強くなり、生成物の色に関して確立された品質の期待を満たすことをより困難にしている。本明細書に記載するように、(化学的に未定義なもの又はCDMに関わらず)生成物の品質標準を満たすために、薬物物質の色強度を低減することができる培地への幾つかの改変が同定されている。
実施例に記載のCHO細胞株は、以前にKaufman et al., Mol. Cell. Biol., 2(11):1304-1319 (1982)に記載される方法と同様に、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)/メトトレキサート選択方法を使用して、組換えヒト化抗体(本明細書ではIgG1モノクローナル抗体として言及される)を分泌するように遺伝子的に操作設計された。元のトランスフェクションは、選択剤としてメチオニンスルホキシミン、及びグルタミンを含まない培地を用いたGS選択システムを使用した。続くスーパートランスフェクションは、dhfr選択システム及び選択剤としてメトトレキサートを使用した。2リットルの撹拌懸濁バイオリアクターの中で増殖期を開始する前に、このCHO細胞株の極低温凍結アンプルを解凍し、5%CO2を含む加湿インキュベーター中で37℃で少なくとも2週間振とうフラスコ中で化学的に定義された培地で培養し、良好な増殖及び生存特性を持つ細胞培養懸濁液を得た。
実施例1:抗体生成細胞株から単離された抗体を含有する製剤中に示される色強度。
IgG1モノクローナル抗体(抗ベータ7)を生成することができるCHO細胞株はペプトンを含有する化学的に未定義な培地中で培養した。単離された抗体を精製し、標準クラリティー、乳白光及び着色(COC)アッセイ(欧州評議会。ヨーロッパ薬局方、2008、第7版 P.22)を用いて色についてアッセイした簡潔には、COCアッセイは、平底の無色、透明な中性ガラスで、内径が15mmから25mmの同一チューブを使用して行われた。チューブは、分泌されたIgG1モノクローナル抗体を含む精製され濃縮された細胞培養液から調製した150g/Lのタンパク質溶液で40mmの深さまで充填した。抗体溶液を含むチューブは9つの参照チューブ(各々はB1(最も暗い)からB9(最も明るい)までの範囲の標準溶液を充填)に対して、拡散昼光下で白い背景に対して縦に観察することによって比較した。IgG1のモノクローナル抗体溶液をCOC値≦B5で測定した(図1;製剤I)。
IgG1モノクローナル抗体(抗ベータ7)を生成するCHO細胞株はCDM中で培養した。細胞培地の調製のために、基礎CDM(培地1)及び流加CDM(培地2)溶液は、水に溶解し、最適な細胞増殖を確保する最終的なpH及びオスモル濃度に調整された単一のカスタム調製混合粉末に成分を組み合わせることにより、調製した。基礎培地1と流加培地2の各々は、表Aに記載される目的の成分を含む過剰の20成分を有していた。グルコースなどの幾つかの培地成分は、混合粉末には混合されず、培地調製中に別々に追加された。細胞培養の増殖期を開始するため、基礎培地1の1Lを含む2リットルの撹拌バイオリアクター(Applikon, Foster City, CA)中に約1.0×106細胞/mLで播種した。細胞を、生成期の開始のため第3日、6日、及び9日に、細胞培養液のリットル当たり流加培地2の100mLを添加して流加培養モードで培養した。グルコースの濃度は毎日分析し、グルコース濃度が3g/Lを下回った場合、グルコースの枯渇を防止するためにグルコースの500g/Lの原液から補充した。反応器は、較正された溶存酸素、pH及び温度プローブを備えていた。溶存酸素は、空気及び/又は酸素の散布を介してオンラインで制御した。pHは、CO2又はNa2CO3を添加することによって制御し、必要に応じて消泡剤を培養物に添加した。細胞培養物は、pH7.0で、第0日から第3日までは温度を37℃に、次いで第3日の後に33℃に維持した。細胞培養物を275rpmで撹拌し、溶存酸素レベルは空気飽和の30%であった。浸透圧は高度なアドバンスト・インスツルメンツ(Norwood, MA)からの浸透圧計を用いてモニターした。更に、オフラインpH及び代謝物濃度もNova Bioprofile 400(Nova Biomedical, Waltham, MA)を用いて毎日測定した。生細胞密度(VCC)及び細胞生存率は、ViCell(登録商標)自動細胞カウンター(Beckman Coulter, Fullerton, CA)を用いて毎日測定した。目盛付遠心管(Kimble Science Products, Fullerton, CA)が、細胞懸濁液の10分間の700×g又は836×gでの遠心分離後の血中血球容積(PCV)を測定するために使用された。PCVは、総培養体積の百分率として表した。第14日目の細胞培養期間の終了時に、培養物中のタンパク質の量は、約2〜10g/Lであって、その細胞培養液を遠心分離により回収した。回収した細胞培養液中のモノクローナル抗体は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。精製後、溶出されたプロテインAプール中のタンパク質の濃度は、約5〜10g/Lであった。プロテインAプールは、アミコンセントリコン遠心フィルター装置を使用して150g/Lまで更に濃縮した (Millipore Corporation, Billerica, MA)。色は濃縮されたプロテインAプール中で標準COCアッセイを使用して測定した。別法として、回収された細胞培養液は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを介したアフィニティー精製、陰イオン及び陽イオン交換クロマトグラフィー、ウイルスを除去するための濾過、及び標準COCアッセイによる色の測定の前に、抗体の最終製剤と濃度のための最終的な限外濾過及び透析濾過工程が含まれる標準的な抗体精製法を用いて精製された。Kelley, B. mAbs., 2009, 1(5):443-452を参照。僅かに濃いけれども、濃縮されたプロテインAプール中の色の測定は、記載された標準的な抗体精製法によって生成される最終抗体製剤に期待される色を概ね示していた。細胞培養液は、高速液体クロマトグラフィーによる精製の前に細胞培養液を1mLを遠心分離することによって抗体力価の測定のために毎日採取した。COCアッセイは、平底の無色、透明な中性ガラスで、内径が15mmから25mmの同一チューブを使用して行われた。2本のチューブは各々、分泌されたIgG1モノクローナル抗体を含む精製され濃縮された細胞培養液から調製した150g/Lのタンパク質溶液で40mmの深さまで充填した。抗体溶液を含んだ各チューブは9つの参照チューブ(各々はB1(最も暗い)からB9(最も明るい)までの範囲の標準溶液を充填)に対して、拡散昼光下で白い背景に対して縦に観察することによって比較した。抗体含有溶液の色の解析は、COC値が≦B4又は≦B3を実証した(図1;それぞれ製剤II及びIII)。
実施例2:抗体生成細胞株から単離された抗体の色強度は、細胞培養培地中の特定成分の変化によって減少する。
再調合培地がCHO細胞株によって産生され単離されたモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)の色強度を低減させることができるかどうかを決定する細胞培養実験で使用のため、幾つかの栄養素を減少した濃度で含有する基礎培地1及び流加培地2が再調合された。簡潔には、基礎CDM(培地3)及び流加CDM(培地4)溶液は、水に溶解し、最適な細胞増殖を確保する最終的なpH及びオスモル濃度に調整された単一のカスタム調製混合粉末に成分を組み合わせることにより、調製した。基礎培地3と流加培地4の各々は、表Bに記載される目的の成分を含む過剰の20成分を有していた。グルコースなどの幾つかの培地成分は、混合粉末には混合されず、培地調製中に別々に追加された。同様に、この研究のために変更される培地成分は混合した粉末に含まれていなかったが、培地調製の間に適切なレベルで別々に添加された(表B)。クエン酸第二鉄は、5g/Lのクエン酸第二鉄ストック溶液から添加され、ビタミンB2は、リボフラビン粉末として提供され、ビタミンB6は、ピリドキシン塩酸またはピリドキサール塩酸として提供され、ビタミンB9は、葉酸粉末として提供され、ビタミンB12は、シアノコバラミン粉末として提供され、システインは、L−システイン一塩酸塩一水和物の粉末として提供され、シスチンは、二ナトリウム塩一水和物の粉末として提供され、及びヒドロコルチゾンは150μMの原液から添加された。
細胞培養の増殖期を開始するため、基礎培地3の1Lを含む2リットルの撹拌バイオリアクター(Applikon, Foster City, CA)中に約1.0×106細胞/mLで播種した。細胞を、生成期の開始のため第3日、6日、及び9日に、細胞培養液のリットル当たり流加培地4の100mLを添加して流加培養モードで培養した。グルコースの濃度は毎日分析し、グルコース濃度が3g/Lを下回った場合、グルコースの枯渇を防止するためにグルコースの500g/Lの原液から補充した。反応器は、較正された溶存酸素、pH及び温度プローブを備えていた。溶存酸素は、空気及び/又は酸素の散布を介してオンラインで制御した。pHは、CO2又はNa2CO3を添加することによって制御し、必要に応じて消泡剤を培養物に添加した。細胞培養物は、pH7.0で、第0日から第3日までは温度を37℃に、次いで第3日の後に35℃に維持した。細胞培養物を275rpmで撹拌し、溶存酸素レベルは空気飽和の30%であった。浸透圧は高度なアドバンスト・インスツルメンツ(Norwood, MA)からの浸透圧計を用いてモニターした。更に、オフラインpH及び代謝物濃度も Nova Bioprofile 400(Nova Biomedical, Waltham, MA)を用いて、毎日測定した。生細胞密度(VCC)及び細胞生存率は、ViCell(登録商標)自動細胞カウンター(Beckman Coulter, Fullerton, CA)を用いて毎日測定した。目盛付遠心管(Kimble Science Products, Fullerton, CA)が、細胞懸濁液の10分間の700×g又は836×gでの遠心分離後の血中血球容積(PCV)を測定するために使用された。PCVは、総培養体積の百分率として表した。第14日目の細胞培養期間の終了時に、培養物中のタンパク質の量は、約2〜10g/Lであって、その細胞培養液を遠心分離により回収した。回収した細胞培養液中のモノクローナル抗体は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。精製後、溶出されたプロテインAプール中のタンパク質の濃度は、約5〜10g/Lであった。プロテインAプールは、アミコンセントリコン遠心フィルター装置を使用して150g/Lまで濃縮した(Millipore Corporation, Billerica, MA)。色は濃縮されたプロテインAプール中で標準COCアッセイを使用して測定した。また回収された細胞培養液は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを介したアフィニティー精製、陰イオン及び陽イオン交換クロマトグラフィー、ウイルスを除去するための濾過、及び標準COCアッセイによる色の測定の前の抗体の最終製剤と濃度のための最終的な限外濾過及び透析濾過工程が含まれた標準的な抗体精製法を用いて平行して精製された。Kelley, B. mAbs., 2009, 1(5):443-452を参照。僅かに濃いけれども、濃縮されたプロテインAプール中の色の測定は、記載された標準的な抗体精製法によって生成される最終抗体製剤に期待される色を概ね示していた。細胞培養液は、高速液体クロマトグラフィーを用いた抗体力価の測定のため、細胞培養液1mLを遠心分離することによって、毎日回収した。COCアッセイは、平底の無色、透明な中性ガラスで、内径が15mmから25mmの同一チューブを使用して行われた。チューブは、分泌されたIgG1モノクローナル抗体を含む精製され濃縮された細胞培養液から調製した150g/Lのタンパク質溶液で40mmの深さまで充填した。抗体溶液を含むチューブは7つの参照バイアル(各々はBY1(最も暗い)からBY7(最も明るい)までの範囲の標準溶液を充填)に対して、拡散昼光下で白い背景に対して縦に観察することによって比較した。IgG1のモノクローナル抗体溶液をCOC値≦BY5で測定した(図1;製剤VII)。血中血球容積(PCV)は、基礎培地1及び流加培地2で増殖した細胞培養物と比較して、基礎培地3及び流加培地4で増殖した細胞培養物で僅かに減少した。この減少は、僅かに減少した抗体産生と相関していた(図2B)。PCV及び抗体力価へのこの培地の効果を評価する追加の実験は、細胞が基礎培地3及流加培地4で培養される場合、基礎培地1及び流加培地2で培養した細胞と比較して、PCVは減少することを確認した(図2C)。前述のように、PCVの減少は、抗体産生の減少と相関した(図2D)。
これらの結果は、基礎培地3及び流加培地4でCHO細胞を培養することにより生成されるモノクローナルIgG1抗体の色強度は、基礎培地1及び流加培地2で細胞を培養することにより生成されるモノクローナルIgG1抗体の色強度と比較して減少することを実証している。
実施例3:抗体生成細胞株から単離された抗体の色強度は、細胞培養培地中のビタミンBのレベルの変化によって減少する。
単離された抗体の色強度における基礎培地3及び流加培地4で変更された成分の影響を決定するために、他の培地成分のレベルを一定に保ちつつ、ビタミンB2、B6、B9及びB12のレベルが変更された。実施例2に記載のように培地を調製した。この研究のために変更される培地成分は混合した粉末に含まれていなかったが、培地調製の間に適切なレベルで別々に添加された。基礎培地5は基礎培地3と同様にビタミンレベルが減少するように調製され、他の全ての成分は基礎培地1と同様に調製された(表C)。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞培養物は初期増殖期用に基礎培地5を供給され、そして第3日、6日、及び9日に流加培地2又は流加培地4で培養された。実施例2に記載のように、細胞生存率の測定及びモノクローナルIgG1抗体の単離を行った。抗体精製後に、実施例2に記載のように色強度と抗体力価も測定した。基礎培地5及び基礎培地2で培養された細胞から得られたIgG1モノクローナル抗体溶液は、COC値が≦B4で測定された(図1;製剤V)。基礎培地5及び基礎培地4で培養された細胞から得られたIgG1モノクローナル抗体溶液は、COC値が≦B4で測定された(図1;製剤IV)。
要因試験は、単離された抗体の色強度における、個々のビタミンB成分(ビタミンB2、B6、B9、及びB12)の寄与を評価するために実施された。ビタミンB2のレベルは別々の要因として扱われたが、ピロキシジン及びピリドキサールのレベルは、これら二つの栄養素の濃度を同時に変化させるようにビタミンB6として単一の要因で一緒に混合した。同様に、ビタミンB9及びB12のレベルは、これらの2つの栄養素の濃度を同時に変化させるように単一の要因として一緒に変化させた。幾つかの培地製剤は、表D、E、及びFに列挙されている培地を含んで調製した。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞培養物は、基礎培地5と流加培地4、基礎培地6と流加培地7、基礎培地8と流加培地9、又は基礎培地10と流加培地11が流加培養モードで与えられた。追加の細胞培養物は、1.41mg/LのビタミンB2及び/又は15.42mg/LのビタミンB6(ピリドキシンとして供給される)を含む基礎培地及び10mg/LのビタミンB2及び/又は76mg/LのビタミンB6(7mg/Lのピリドキシン及び60mg/Lのピリドキサール)を含む流加培地が与えられた。実施例2に記載のように、細胞生存率の測定及びモノクローナルIgG1抗体の単離を行った。抗体精製後に、実施例2に記載のように抗体力価を測定した。色の強度は、より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて決定した。この色アッセイについては、本明細書では正規化された蛍光強度(ニフティ)アッセイとして言及され、約50から125μgのモノクローナル抗体試料は、0.5mLの/分の均一濃度流速で、G3000SWXLカラム(TOSOH)を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。SECのための移動相は、0.2Mのリン酸カリウム、0.25Mの塩化カリウム、pHは6.2であった。カラム温度は15℃にて制御した。SEC溶出液は、280nmでのUV吸収について、及び350nmでの励起波長及び425nmでの発光波長による蛍光についてモニタリングした。モノクローナル抗体種のSECピークは、UV吸光度及び蛍光発光クロマトグラムにおいてAgilent ChemStationソフトウェアを用いて積分した。各モノクローナル抗体試料について、抗体質量の寄与による蛍光応答を補正する正規化された蛍光は、主ピークの蛍光ピーク面積を主ピークのUV吸光度のピーク面積によって割ることにより決定した。続いて、試験モノクローナル抗体試料の正規化された蛍光の、COC読み取りが≦B5であるものを含む参照モノクローナル抗体試料のそれに対する比率を計算することにより、蛍光強度値が決定された。JMP8.0.2統計ソフトウェアによる経時的血中血球容積(IVPCV)と抗体力価レベルの分析は、細胞生存率及び抗体力価レベルは、基礎培地及び流加培地の両方で、ビタミンB2とビタミンB6レベルの変化によりごく僅かに影響を受けるものの(図3AおよびB;中央のトレンドライン)、細胞培養培地中のこれら二つのビタミンのレベルの増加は、単離された抗体で色強度を著しく増加させる(図4;中央のトレンドライン)ことを実証した。対照的に、ビタミンB9及びビタミンB12のレベルの増加は、細胞生存、抗体力価レベル、又は色の強度に大きな影響を及ぼさなかった(図3及び4;中央のトレンドライン)。更に、色強度の低いレベルは、0.25mg/LのビタミンB2及び5.35mg/LのビタミンB6(ピリドキシンとして供給)及びビタミンB2とビタミンB6を含まない流加培地を含有する基礎培地を用いて培養した細胞株から単離された抗体で観察された。
ビタミンB1、B3、B5およびB7の影響も調べた;しかしながら、抗体含有溶液の色強度におけるこれらの栄養素の効果は有意ではなかった。
実施例4:抗体生成細胞株から単離された抗体の色強度は、細胞培養培地中のビ鉄源レベルの変化によって減少する。
単離された抗体の色強度における鉄レベルの寄与を評価するために、他の培地成分のレベルを一定に維持しながら、鉄のレベルを変化させた。実施例2に記載のように培地を調製した。この研究のために変更される培地成分は混合した粉末に含まれていなかったが、培地調製の間に適切なレベルで別々に添加された。基礎培地1は、18μMの硫酸第一鉄を含有する基礎培地12及び10μMの硫酸第一鉄を含有する基礎培地13を生成するために、硫酸第一鉄のレベルを低下させるように再調合された。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞培養物は、基礎培地1と流加培地2、基礎培地12と流加培地2、又は基礎培地13と流加培地2が流加培養モードで与えられた。実施例2に記載のように、細胞生存率の測定及びモノクローナルIgG1抗体の単離を行った。抗体精製後に、実施例2に記載のように抗体力価を測定した。色の強度は、より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて決定した。実施例3に記載されるように、ニフティアッセイとも呼ばれるこの色アッセイが実施された。JMP8.0.2統計ソフトウェアによる経時的血中血球容積(IVPCV)と抗体力価レベルの分析は、細胞生存率及び抗体力価レベルは、75μMの濃度の鉄と比較してより低い鉄濃度のレベルで減少するものの(図5A及びB)、細胞培養培地中のより低い鉄濃度は、単離された抗体の色強度を著しく減少させることを実証した(図5C)。
色に関する細胞培養条件の観察された効果は、細胞内又は細胞外の現象に起因するものであったかどうかを調べるために、インビトロで一連の培養実験を行った。1g/Lの量のモノクローナル抗体は、新たに調製した細胞培養培地中でスパイクし、最長6日間33℃でインキュベートした。インビトロでのインキュベーションのために使用される細胞培養培地は、10、18及び75μMの硫酸第一鉄の濃度を有していた。ビタミンBの濃度は、0.25mg/LのビタミンB2、5.35mg/LのビタミンB6(5.35mg/Lのピリドキシン+0mg/Lのピリドキサール)、8.61mg/LのビタミンB9及び1.76mg/LのビタミンB12の減少したレベルで一定に保たれた。インキュベートした混合物は、0日目、3日目と6日目でサンプリングし、抗体は、プロテインAクロマトグラフィーにより精製した。単離された抗体を含む溶液は、ニフティアッセイを用いて色強度を測定した。色強度の増加は、75、18又は10μMの硫酸第一鉄を含む培地中で増殖させた細胞から単離された抗体を含む溶液中で、0日目に1.0単位から6日目にそれぞれ1.8、1.44又は1.27単位まで観察された(図5D)。高い鉄濃度における色の形成の増加は、細胞外のメカニズムが抗体の着色において役割を果たしていることを示す細胞培養実験の結果を反映していた。
単離された抗体の色強度における鉄の寄与を更に評価するために、他の培地成分のレベルを一定に維持しながら、鉄の源及びレベルを変化させた。実施例2に記載のように培地を調製した。この研究のために変更される培地成分は混合した粉末に含まれていなかったが、培地調製の間に適切なレベルで別々に添加された。基礎培地1は、18μMの硫酸第一鉄を含有する基礎培地12及び10μMの硫酸第一鉄を含有する基礎培地13を生成するために、硫酸第一鉄のレベルを低下させるように再調合された。更に、基礎培地1は、18μMの硝酸第二鉄を含む基礎培地14、18μMのクエン酸第二鉄を含む基礎培地15及び10μMのクエン酸第二鉄を含む基礎培地16を生成するために、鉄のレベルを減少させ並びに異なる鉄源を有するように再調合した。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞培養物は、基礎培地1と流加培地2、基礎培地12と流加培地2、基礎培地13と流加培地2、基礎培地14と流加培地2、基礎培地15と流加培地2、又は基礎培地16と流加培地2が流加培養モードで与えられた。実施例2に記載のように、細胞生存率の測定及びモノクローナルIgG1抗体の単離を行った。抗体精製後に、実施例2に記載のように抗体力価も測定した。色の強度は、より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて決定した。実施例3に記載されるように、ニフティアッセイとも呼ばれるこの色アッセイが実施された。JMP8.0.2統計ソフトウェアによる経時的血中血球容積(IVPCV)と抗体力価レベルの分析は、細胞生存率及び抗体力価レベルは、75μMの濃度の硫酸第一鉄と比較してより低い硫酸第一鉄濃度のレベルで減少することを実証した(図6A及びB)。18μMのクエン酸第二鉄を含む培地を使用した細胞培養物からの細胞の生存率及び抗体力価のレベルは、75μMの硫酸第一鉄を含有する培地に匹敵した(図6A及びB)。しかしながら、細胞培養培地中での18μMのクエン酸第二鉄の使用は、試験した全ての濃度で、硫酸第一鉄と比較して、単離された抗体で色強度を著しく減少させた(図6C)。18μM硝酸第二鉄を含有する培地中で増殖させた細胞培養物から単離された抗体の細胞生存率、抗体力価、及び色は、10μM、又は18μMの硫酸第一鉄を含有する培地の使用で観察されたものに匹敵した(図6A−C)。
ビタミンや鉄に起因する色に対する有益な効果は相加的であるかどうかを試験するために、還元型ビタミンBのレベル及び還元型鉄濃度は混合された。基礎の培地13、培地14、培地15、及び培地16は、基礎の培地21、培地22、培地23、及び培地25をそれぞれ生成するために、ビタミンBのレベルを減少させて再調合された。更に、基礎培地1は、基礎培地24を生成するために、ビタミンBのレベルを減少させ、鉄源として10μMの硝酸第二鉄を有するように再調合された。培地21から25の減少したビタミンレベルは次の通りである:0.25mg/LのビタミンB2、5.35mg/LのビタミンB6(5.35mg/Lのピリドキシン+0mg/Lのピリドキサール)、8.61mg/LのビタミンB9及び1.76mg/LのビタミンB12。CHO細胞からのモノクローナルIgG1抗体を生成するため、細胞培養物は、基礎培地21、22、23、24、又は25、及び流加培地2が流加培養モードで与えられた。実施例2に記載されるように、モノクローナルIgG1抗体の単離及び抗体力価の測定を行った。色の強度は、ニフティアッセイで測定した。抗体力価レベル及び色強度の分析は、硫酸第一鉄の濃度が75μMから18μMに減少し、より低いビタミン濃度と混合される場合、得られる色と力価は、一の要因だけを減少させる場合よりも低いことを実証した(図6D及びE、プラス記号)。しかしながら、硝酸第二鉄または硫酸第一鉄のどちらかについて鉄濃度を18μMから10μMに低下させることには更なる利点はないように見えた(図6D及びE、プラス記号)。
抗体色強度に対する活性酸素種(ROS)の寄与を調べるために、75μM又は18μMの硫酸第一鉄を補充した細胞培養培地を含有するバイアルにモノクローナルIgG1抗体の2g/Lのサンプルをスパイクすることによってインビトロ実験を行った。更なるインビトロ実験を、1.41mg/LのビタミンB2又は0.25mg/LのビタミンB2を補充した細胞培養培地を含有するバイアルにモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)の2g/Lのサンプルをスパイクすることによってインビトロ実験を行った。試料は、203U/mlのカタラーゼの欠損下又は存在下で、あらゆる細胞を含まずに、5日間37℃でインキュベートした。色の強度は、より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて決定した。実施例3に記載されるように、ニフティアッセイとも呼ばれるこの色アッセイが実施された。JMP8.0.2統計ソフトウェアの色レベルの分析は、鉄のレベルの増加は、抗体溶液の色強度を増加させるが(図7A)この色の増加は、カタラーゼの添加によって減少する(図7B;中央のトレンドライン)ことを実証した。対照的に、ビタミンB2のレベルの増加は、抗体溶液の色強度を増加させるものの、色強度は、カタラーゼの添加によっ減少しなかった(図7A及びB;中央のトレンドライン)。
実施例5:抗体生成細胞株から単離された抗体の酸性電荷変異体の形成は、細胞培養培地中の特定成分の変化によって減少する。
CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞を、10μM、18μMまたは75μMの何れかの硫酸第一鉄を含む、3種の再調合基礎培地1により培養した。追加の細胞培養物は、10μM又は18μMのクエン酸第二鉄のどちらかを各々が含有する、2種の再調合基礎培地3の一つを与えられた(即ち、培養された)全ての細胞培養物は、鉄を含まない流加培地を流加培養モードで与えられた。実施例2に記載されるように、モノクローナルIgG1抗体の単離及び抗体力価の決定を行った。色の強度は、より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイを用いて決定した。実施例3に記載されるように、ニフティアッセイとも呼ばれるこの色アッセイが実施された。精製された溶液中の抗体の酸性電荷変異体の検出のために、モノクローナル抗体の電荷不均一性は、Dionex ProPac WCX−10(4x250mm)カラムを使用するイオン交換クロマトグラフィー(IEC)により分析した。分析は、280nmでモニターされる溶出物によりAgilent1100 HPLCシステムで行った。移動相Aは25mMのリン酸ナトリウム(pH6.6)であり、移動相Bは、移動相A中の150mMの硫酸ナトリウムであった。0.5mL/分の流速により45分で0〜37%Bの直線勾配を用いた。カラム温度は40℃で制御した。モノクローナル抗体の重鎖のC末端リシン残基は、塩基性領域の電荷不均一性の複雑さを減少させるため、IEC分析の前に、カルボキシペプチダーゼBによって除去した。JMP8.0.2統計ソフトウェアを用いた酸性電荷変異体の存在との関係として色強度の解析は、抗体溶液中における、高い色強度と酸性電荷変異体のレベルの増加との間の強い相関を実証した(図8A)。更に、酸性電荷変異体の存在は、修飾培地1及び培地2で培養された培養細胞株と比較して、修飾培地3及び培地4で培養された細胞株から単離された抗体において著しく減少し、その最大の減少は鉄の最低濃度で観察された(図8A)。
色強度と酸性電荷変異体の形成との間の相関は、鉄及びビタミンBの様々なレベルを含む培地で培養した細胞株から得られた抗体含有溶液で試験した。モノクローナルIgG1抗体は、18μM又は75μM硫酸第一鉄を含有する基礎培地中で、又は18μMでの鉄濃度を維持しつつ、低、中又は高レベルのビタミンBレベルを含む基礎培地で培養したCHO細胞から生成された。低レベルのビタミンは次の通りである:0.25mg/LのビタミンB2、5.35mg/LのビタミンB6(5.35mg/Lのピリドキシン+0mg/Lのピリドキサール)、8.61mg/LのビタミンB9及び1.76mg/LのビタミンB12。中レベルのビタミンは次の通りである:0.70mg/LのビタミンB2、7.7mg/LのビタミンB6(7.7mg/Lのピリドキシン+0mg/Lのピリドキサール)、4.9mg/LのビタミンB9及び1.5mg/LのビタミンB12。高レベルのビタミンは次の通りである:1.41mg/LのビタミンB2、15.42mg/LのビタミンB6(15.42mg/Lのピリドキシン+0mg/Lのピリドキサール)、9.93mg/LのビタミンB9及び3.05mg/LのビタミンB12。実施例2に記載されるように、モノクローナルIgG1抗体の単離及び抗体力価の決定を行った。色強度は、全色アッセイを用いて決定した。全色アッセイのために、試料の相対的な色の定量値は、Berns et al., Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology、第3版、New York, NY, John Wiley & Sons, Inc., (2000)に記載されているように、色測定のCIEシステムを用いて導出した。簡潔には、水でブランキングの後、きれいな試験試料の吸収スペクトルは、HP8453A分光光度計(1cm光路長キュベット)を使用して、可視領域(380−780nm)において測定した。以前に,装置によって測定された色座標から色の許容差および色差を計算する標準的な技法(Standard Practice for Calculation of Color Tolerances and Color Differences from Instrumentally Measured Color Coordinates), Annual Book of ASTM Standards, Vol. 06.01, (2011)に記載されているように、吸収スペクトルはCIEのL*a*b*色スケールに変換した。これらの計算のために可視領域での人工的な平坦なスペクトルを光源として用いた。「全色」は、三次元のCIEL*a*b*色空間内で試験試料と水の間のユークリッド距離に対応するデルタEを示した。更に、「全色」は、異なる色合いを区別することなく、試験モノクローナル抗体試料の全体的な色を示した。続いて、試験モノクローナル抗体試料の「全色」測定の、COC読み取りが≦B5であるものを含む参照モノクローナル抗体試料のそれに対する比率を計算することにより、蛍光強度値が決定された。正の相関関係が、増加した鉄濃度の増加した色強度との間に見られた(図8B)。更に、増加した鉄濃度は、酸性電荷変異体のレベルの増加をもたらした。比較すると、鉄の一定濃度を含む培地中のビタミンB2、B6、B9およびB12のレベルを同時に変化させると、酸性電荷変異体と色強度との間に相関は認められなかった(図8C)。
B2及びB6の様々なレベルを含有する細胞培地で培養された細胞株から単離された抗体において、色強度と酸性電荷変異体の形成との相関関係を調べた。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞培養物は、ビタミンB2及びB6の様々なレベルを含む基礎及び流加培地に流加培養モードで与えられた。抗体はその後単離され、酸性電荷変異体の存在に加えて、実施例3に記載のニフティアッセイを使用して色強度を測定した。JMP8.0.2統計ソフトウェアを使用した酸性電荷変異体の存在との関係としての色強度の分析は、1.41mg/LのビタミンB2及び/又は15.42mg/LのビタミンB6(ピリドキシンとして供給)を含有する基礎培地及び10mg/LのビタミンB2及び/又は76mg/LのビタミンB6(7mg/Lのピリドキシン及び60mg/Lのピリドキサール)を含有する流加培地を用いて培養した細胞株から単離された抗体において、酸性電荷変異体の増加したレベルと高い色強度との間に強い相関を実証した(図9A及びB)。色強度及び酸性電荷変異体の最低レベルは、0.25mg/LのビタミンB2及び5.35mg/LのビタミンB6(ピリドキシンとして供給)及びビタミンB2とビタミンB6を含まない流加培地を含有する基礎培地を用いて培養した細胞株から単離された抗体で観察された(図9A及びB)。
異なる鉄源の存在下で様々なレベルのピリドキサールを含有する細胞培地で培養した細胞株から単離された抗体における酸性電荷変異体の形成と色強度の相関を決定するために完全要因試験が実施された。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞は、様々なレベルのピリドキサール含む基礎及び流加培地で培養された。クエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄が基礎培地に与えられ、細胞培養プロセスは流加バッチモードで行った。抗体はその後単離され、酸性電荷変異体の存在に加えて、全色アッセイを使用して色強度を測定した。JMP8.0.2統計ソフトウェアを使用した酸性電荷変異体の存在との関係としての色強度の分析は、0mg/Lのピリドキサールを18μMの硫酸第一鉄と共に含有する基礎培地及び0mg/L又は60mg/Lのピリドキサールを含有する流加培地を用いて培養した細胞株から単離された抗体において、0mg/Lのピリドキサールを18μMのクエン酸第二鉄と共に含有する基礎培地及び0mg/L又は60mg/Lのピリドキサールを含有する流加培地を用いて培養した細胞株から単離された抗体に比べて、酸性電荷変異体の増加したレベルと、より高い色強度との間に強い相関を実証した(図10A及びB)。
異なる鉄源の存在下でビタミンB2、B6、B9及びB12の様々なレベルを含有する細胞培地で培養された細胞株から単離された抗体において、色強度と酸性電荷変異体の形成との相関関係を調べた。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、1.41mg/LのビタミンB2、15.42mg/Lのピリドキシン、0mg/Lのピリドキサール、9.93mg/LのビタミンB9、及び3.05mg/LのビタミンB12を含有する基礎培地、及びビタミンB2、B6、B9及びB12の様々なレベルを各々含有する3つの異なる流加培地により培養した。クエン酸第二鉄又は硫酸第一鉄が基礎培地に与えられ、細胞培養プロセスは流加バッチモードで行った。抗体はその後単離され、酸性電荷変異体の存在に加えて、全色アッセイを使用して色強度を測定した。JMP8.0.2統計ソフトウェアを用いた酸性電荷変異体の存在との関係として色強度の解析は、10mg/LのビタミンB2、7mg/Lのピリドキシン、60mg/Lのピリドキサール、197mg/LのビタミンB9、及び48mg/LのビタミンB12を含有する流加培地と比較して、18μMの硫酸第一鉄又は18μMのクエン酸第二鉄の何れかの存在下で5mg/LのビタミンB2、3.5mg/Lのピリドキシン、30mg/Lのピリドキサール、98.5mg/LのビタミンB9、及び24mg/LのビタミンB12を含有する流加培地で培養した細胞株から単離された抗体において、色強度の減少を示した(図11A:各々ビタミンレベル2及びビタミンレベル3)。色強度の最大の減少は、ビタミンB2、B6、B9、及びB12が欠如した流加培地で培養した細胞から単離された抗体において見られた(図11A:ビタミンレベル1)。ビタミンB2、B6、B9、及びB12の濃度の減少に伴い、抗体の色強度に著しい減少が生じたものの、予備的結果では酸性電荷変異体の存在下で有意な変化は無かった(図11B)。
異なる起源からの鉄の漸増濃度を含む細胞培地で培養された細胞株から単離された抗体において、色強度と酸性電荷変異体の形成との相関関係を調べた。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞は、18μMの硫酸第一鉄を含有する基礎培地1又は10μMの硫酸第一鉄を含有する基礎培地13で、流加培養モードで培養した。更なる細胞培養物に、18μMのクエン酸第二鉄を含有する基礎培地15又は10μMのクエン酸第二鉄を含有する基礎培地16が与えられた。全ての細胞培養物は、鉄を含まない流加培地を流加培養モードで与えられた。実施例3に記載のように、色強度はニフティアッセイを用いて測定した。色強度の最大の減少は、減少したレベルの鉄を含有する基礎培地で培養した細胞から単離された抗体で見られた(図12A)。単離された抗体溶液において、色強度の減少は酸性電荷変異体の存在の減少と相関していた(図12B)。
クエン酸第二鉄の漸増濃度を含む細胞培地で培養された細胞株から単離された抗体において、色強度と酸性電荷変異体の形成との相関関係を調べた。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞は、18μMのクエン酸第二鉄又は36μMのクエン酸第二鉄を各々含有する修飾基礎培地1又は修飾基礎培地3で培養した。全ての細胞培養物は、鉄を含まない流加培地を流加培養モードで与えられた。モノクローナルIgG1抗体は、33℃又は37℃でインキュベートした細胞培養物から単離した。色の強度は、より高い数値は、より高い色強度を示し、より低い数値はより低い色強度を示す、色のアッセイ、具体的には全色アッセイを用いて決定した。色強度の最大の減少は、減少したレベルのクエン酸第二鉄を含有する基礎培地で培養した細胞から単離された抗体で見られた(図13A)。単離された抗体溶液において、色強度の減少は酸性電荷変異体の存在の減少と相関していた。33℃で培養した細胞から単離された抗体は、酸性電荷変異体の最大の減少を示した(図13B)。33℃から37℃まで温度を増加させると、修飾基礎培地1又は修飾基礎培地3の何れかで培養した抗体産生細胞によって、約2500mg/Lから4250mg/Lまで、抗体産生の有意な増加をもたらした。
CHO細胞株によって産生された単離されたモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)の色強度に対するシステインの寄与を決定する細胞培養実験で使用のため、基礎培地3は、480mg/Lのシステインの代わりに525mg/Lのシステインを含有するように再調合された。CHO細胞からのモノクローナルIgG1抗体を生成するため、細胞は、525mg/Lのシステインを含有する修飾基礎培地3及び流加培地4の中で流加培養モードで培養された。抗体は単離され、色は標準COCアッセイを用いて測定した。COCアッセイは、平底の無色、透明な中性ガラスで、内径が15mmから25mmの同一チューブを使用して行われた。2本のチューブは各々、分泌されたIgG1モノクローナル抗体を含む精製され濃縮された細胞培養液から調製した150g/Lのタンパク質溶液で40mmの深さまで充填した。抗体溶液を含んだ各チューブは、7つの参照バイアル(各々はBY1(最も暗い)からBY7(最も明るい)までの範囲の標準溶液を充填)、又は9つの参照バイアル(各々はB1(最も暗い)からB9(最も明るい)までの範囲の標準溶液を充填)のどちらかに対して、拡散昼光下で白い背景に対して縦に観察することによって比較した。抗体含有溶液の色の解析は、COC値が≦B5又は≦BY5を実証した(図1;それぞれ製剤VI及びVIII)。抗体製剤VIは、上述したように全色アッセイ及び実施例3に記載したようにニフティアッセイを使用して色強度について更にアッセイした。抗体製剤の色分析は、ニフティアッセイと全色アッセイで測定した場合、それぞれ0.71及び1.00の色強度値を示した。この抗体製剤は、抗体製剤III(実施例1に記載)及び抗体製剤IV(実施例3に記載)の色強度と比較して色が薄かった。抗体製剤IIIは、ニフティアッセイと全色アッセイで測定した場合、それぞれ1.59及び2.61の色強度値を示した。抗体製剤IVは、ニフティアッセイと全色アッセイで測定した場合、それぞれ1.47及び2.04の色強度値を示した。
シスチン又はシステインの存在下又は非存在下、及びヒドロコルチゾンの存在下又は非存在下で、様々な濃度のビタミンB2、B6、B9及びB12を含有する細胞培地で培養した細胞株から単離した抗体において、酸性電荷変異体の形成と色強度の相関を決定するために、多変量解析が行われた。CHO細胞からモノクローナルIgG1抗体(抗ベータ7)を生成するため、細胞は、1.41mg/LのビタミンB2、15.42mg/Lのピリドキシン、0mg/mLのピリドキサール、9.93mg/LのビタミンB9を含有する修飾基礎培地、及び3.05mg/LのビタミンB12、0.7mg/LのビタミンB2、7.7mg/Lのピリドキシン、0mg/Lのピリドキサール、4.9mg/LのビタミンB9、及び1.5mg/LのビタミンB12を含有する修飾基礎培地で培養した。更に、基礎培地は、525mg/Lのシステイン又は480mg/Lのシスチンのどちらかを含めた。更なる基礎培地は、表Gにあるように調製され、150nMのヒドロコルチゾンが補充された。全ての細胞培養物は、鉄を含まない流加培地を流加培養モードで与えられた。
モノクローナルIgG1抗体は、細胞培養物から単離され、色の強度、並びに酸性電荷変異体の存在を測定した。色強度は、上述されるように全色アッセイを用いて決定した。JMP8.0.2統計ソフトウェアを用いた酸性電荷変異体の存在との関係として色強度の解析は、システインと比較してシスチンを含有する基礎培地で培養した細胞株から単離された抗体溶液中における、色強度の減少と酸性電荷変異体のレベルの減少との間の相関を実証した(図14A及びB)。更に、ビタミンBレベルの減少は、その減少を増強するヒドロコルチゾンの添加により、色強度の減少と酸性電荷変異体の形成をももたらした(図14A及びB)。
実施例6:細胞株から単離されたモノクローナルIgG1抗体の色強度は、細胞培養培地中の特定成分の変化によって減少した。
基礎細胞培養培地に使用される場合のシスチンの色強度減少作用は、異なるモノクローナルIgG1抗体を生成するCHO細胞を用いて更に探求された。細胞株は、2.6mMの濃度でモノマー形態のアミノ酸システイン(システイン)又は1.3mMの濃度でダイマー形態のアミノ酸(シスチン)の何れかを含む未定義な基礎培地で培養された。mAb10の生成は、未定義な基礎培地に細胞を播種することによって細胞培養物中で開始され、流加培養培地が、第3日から14日にわたる細胞培養サイクルでバイオリアクターに添加された。細胞を、第1日目に37℃で培養し、温度シフトは、細胞培養サイクルにわたって開始した。培地を回収し、mAb10は、COCアッセイによる色強度の評価の前に組成物として回収した。mAb10を含む組成物は、システインを含有する基礎培地で培養した細胞から回収され、無色又は僅かに着色した液体として現れ、COCアッセイによって決定される場合B7の色強度値であった。システインがシスチンに置き換えられた基礎培地で培養した細胞から回収されたmAb10を含む組成物は、無色又はB8の改善された色強度COC値を有する僅かに着色した液体として現れた。
多変量解析において、細胞培養物から回収された抗体を含む組成物の色強度における特定の培地成分の影響を評価するため、CHO細胞からmAb10を生成するための4つの異なるプロトコルを使用した(表H)。未定義の細胞培養基礎培地中の鉄のレベル並びに鉄源は、プロトコル間で異なっていた。未定義の基礎培地中のビタミンBレベル及びモノマー形態(システイン)又はダイマー形態(シスチン)のアミノ酸システインはまた、プロトコル間で異なっていた。mAb10の生成は、未定義な基礎培地に細胞を播種することによって細胞培養物中で開始され、流加培養培地が、第3日から14日にわたる細胞培養サイクルでバイオリアクターに添加された。培地を回収し、mAb10は、COCアッセイによる色強度の評価の前に組成物として回収した。回収されたモノクローナル抗体を含有する組成物の色強度の分析は、プロトコル1、2、及び3は、プロトコル4で得られた抗体組成物の色強度(B6のCOC値)と比較して、色強度が減少した(B7のCOC値)抗体組成物をもたらすことを実証した。これらの結果は、基礎培地においてシステインの代わりにシスチンの使用は、ビタミンBレベルを減少させ、及び/又は鉄の減少並びに鉄源の変化は、mAb10組成物において色強度の減少をもたらすことを示していた(表H)。例えば、プロトコル4と比較してプロトコル3において、ビタミンBレベルの減少及びより低濃度での硫酸第一鉄のクエン酸第二鉄での置換は、シスチンの代わりにシステインの使用を変更する必要なく、抗体組成物の色の強度を減少させた。クエン酸第二鉄は、低濃度で硫酸第一鉄で置換され、シスチンは、ビタミンBレベルの変更なしにシステインで置換される場合に、色強度の減少における同様の効果が、プロトコル4に対してプロトコル2で観察された。また、プロトコル1に見られるように、ビタミンBレベルの減少、鉄レベルの減少及び鉄源の変化、並びにシステインの代わりにシスチンの使用は、プロトコル4から得られたmAb10組成物に比較して、mAb10組成物の色強度を減少させた(表H)。
実施例7:ニフティアッセイ及び全色アッセイは、抗体を含有する溶液中において色強度を測定するための標準的なCOCアッセイに匹敵する。
高濃度製剤に関する最近の重視は、一般的に、モノクローナル抗体液体製剤の色強度を増加している。色は、製剤品質特性と考えられており、それに応じて、プロセスの変更を開発し実施しながら、薬物物質の色は一貫性において厳密に監視されることが重要である。色を測定するために直面している課題の一つは、適切なアッセイの使用である。業界標準であるにもかかわらず、COCアッセイは、完全に定量的ではなく、アッセイを行う人の主観的な判断に対して脆弱である。この問題を克服するために、色測定のための2つの異なる方法として、全色アッセイ及びニフティアッセイが、色強度を測定するために実施例に記載するように開発され、使用された。
これら三つの色測定アッセイとの相関関係を、横軸に全色の値を、縦軸にニフティ値を、全色アッセイとニフティアッセイにより測定される抗体含有溶液に関して実施される実際のCOCの測定値に基づいたデータ点とともにプロットすることにより決定した(図15A)。全色アッセイ及びニフティアッセイからの定量的測定の間に良好な相関があった(R2=0.75)。加えて、これらのアッセイは実際のCOC測定と合理的に良く相関していることを見てとることができ、全色アッセイ及びニフティアッセイからの結果は、試料の色強度の有益な予測因子であったことを示している。
色の強さの測定の前に、抗体を回収し、2つの異なる方法により細胞培養物から精製した。一の方法において、回収した細胞培養液中のモノクローナル抗体は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。精製後、溶出されたプロテインAプール中のタンパク質の濃度は、約5〜10g/Lであった。プロテインAプールは、アミコンセントリコン遠心フィルター装置を使用して150g/Lまで更に濃縮した。色は、標準COCアッセイ、全色アッセイ又はニフティアッセイを使用して濃縮されたプロテインAプールで測定した。他の方法として、回収された細胞培養液は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを介したアフィニティー精製、陰イオン及び陽イオン交換クロマトグラフィー、ウイルスを除去するための濾過、及び標準COCアッセイ、全色アッセイ又はニフティアッセイによる色の測定の前に、抗体の最終製剤と濃度のための最終的な限外濾過及び透析濾過工程が含まれる標準的な抗体精製法を用いて精製された。
実施上の配慮のため、実施例に記載した実験のいくつかでは、最終薬物物質の色のためのプロキシとしてプロテインAプールの色を使用することを決定した。最終的に完全に精製された抗体製剤から得られるであろう色強度のために、プロテインAプールから調製された抗体製剤で測定された色強度の予測値が評価された。最終的に完全に精製された抗体製剤に対する、プロテインAプールから得られた抗体含有溶液中でのニフティアッセイ(図15B)又は全色アッセイ(図15C)によって測定された色強度の比較は、全色測定(R2=0.73)及びニフティ測定(R2=0.98)に対して合理的に良好な相関を示した。全色は、プールの吸光度スペクトルから生じ、従って、より高い色強度は、非抗体不純物の存在のため又は光散乱の増加のため、先行する工程内のプールで期待できる。対照的に、ニフティ値はサイズ排除クロマトグラムの主ピークから測定されるので、着色又は非着色タンパク質分子が優先的に精製されなかった場合、精製プロセスを通して一定のままであることが期待されうる。全体的に、合理的な相関が、プロテインAプールと処方された薬物物質との間の色測定値の間で見られた。