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JP2020164578A - 乳化重合体の製造方法 - Google Patents

乳化重合体の製造方法 Download PDF

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JP2020164578A
JP2020164578A JP2019063873A JP2019063873A JP2020164578A JP 2020164578 A JP2020164578 A JP 2020164578A JP 2019063873 A JP2019063873 A JP 2019063873A JP 2019063873 A JP2019063873 A JP 2019063873A JP 2020164578 A JP2020164578 A JP 2020164578A
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健人 札場
Taketo Satsuba
健人 札場
寛之 ▲高▼谷
寛之 ▲高▼谷
Hiroyuki Takaya
勇人 上條
Isato Kamijo
勇人 上條
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Kaneka Corp
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Abstract

【課題】乳化重合を行う容器内部に付着したスケールを短時間で効果的に除去することができる乳化重合体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、1以上の実施態様において、重合性単量体を容器内で乳化重合して乳化重合体のラテックスを得る工程と、前記乳化重合体のラテックスを前記容器から排出する工程と、前記容器内に樹脂分散液を入れて攪拌した後、前記容器内部に付着したスケールを高圧洗浄することで、スケールを前処理する工程と、前記容器内の重合性単量体由来のガス濃度を1ppm以下になるまでエアー置換する工程を含み、前記樹脂分散液は、スケール除去用樹脂、乳化剤及び水を含み、前記エアー置換工程において、前記容器内の重合性単量体由来のガス濃度が1ppm以下に到達するまでの重合性単量体由来のガス濃度の低下速度が0.10ppm/時間以上である乳化重合体の製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、重合性単量体を乳化重合して乳化重合体を得る乳化重合体の製造方法に関し、詳細には、乳化重合を行う容器内部に付着したスケールを短時間で効果的に除去することができる乳化重合体の製造方法に関する。
重合性単量体を乳化重合して乳化重合体のラテックスを得る際に用いる容器(重合器とも称される。)の内面、攪拌機、バッフルプレート等の容器内部には、乳化重合体に用いた単量体等を含む凝集物、すなわちスケールが付着している。従来から重合器内部を洗浄することでスケールを除去していた。例えば、特許文献1には、洗浄ビルダー剤と、アルカリ剤と、界面活性剤と、有機溶剤及び/重合性単量体とからなる化学系洗剤系に、プラスチック製充填物を存在させて撹拌することで重合器内部を洗浄することが記載されている。特許文献2には、水酸化ナトリウム2〜40%、窒素含有基を有するアルコール2〜30%を含有する水溶液で撹拌することでスケール付着物を除去することが記載されている。特許文献3には、溶媒50〜90重量部と、溶媒に溶解しない最大長さ0.1〜50mm固形物質10〜50重量部からなる洗浄材を反応器内で流動させることで、反応容器内壁面に固着した付着性樹脂を膨潤させ、物理的に剥離することで除去することが記載されている。特許文献4には、スケール付着物を水に対して0.01〜5重量%の界面活性剤を溶解した洗浄液を高圧噴射することで洗い落すことが記載されている。
特開昭62−288605号公報 特開平10−101707号公報 特開2001−139604号公報 特開平10−101708号公報
特許文献1〜3では、容器内で洗浄材を撹拌又は流動させることでスケールを除去しているが、スケールを除去するに必要な時間をさらに短縮することが求められている。特許文献4では、洗浄液を高圧噴射することでスケールを除去しているが、スケールを除去するに必要な時間をさらに短縮することが求められている。
本発明は、上述した問題を解決するため、乳化重合を行う容器内部に付着したスケールを短時間で効果的に除去することができる乳化重合体の製造方法を提供する。
本発明は、1以上の実施態様において、重合性単量体を容器内で乳化重合して乳化重合体のラテックスを得る工程と、前記乳化重合体のラテックスを前記容器から排出する工程と、前記容器内に樹脂分散液を入れて攪拌した後、前記容器内部に付着したスケールを高圧洗浄することで、スケールを前処理する工程と、前記容器内の重合性単量体由来のガス濃度を1ppm以下になるまでエアー置換する工程を含み、前記樹脂分散液は、スケール除去用樹脂、乳化剤及び水を含み、前記エアー置換工程において、前記容器内の重合性単量体由来のガス濃度が1ppm以下に到達するまでの重合性単量体由来のガス濃度の低下速度が0.10ppm/時間以上であることを特徴とする乳化重合体の製造方法に関する。
本発明の1以上の実施態様において、前記重合性単量体は、ジエン系単量体を含み、前記エアー置換工程において、ジエン系単量体ガス濃度が1ppm以下に到達するまでのジエン系単量体ガス濃度の低下速度が0.10ppm/時間以上であってもよい。本発明の1以上の実施態様において、前記乳化重合体が、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(PBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂(ABS)、メチレンメタクリレート‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂(MBS)、及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上であってもよい。
本発明の1以上の実施態様において、前記スケール除去用樹脂は、最小粒子径が500μm以上であり、かつ平均粒子径が1000μm以上5000μm以下であることが好ましい。本発明の1以上の実施態様において、前記乳化重合体のラテックスを乾燥させて樹脂粉体を得る工程をさらに含み、前記スケール除去用樹脂は、前記樹脂粉体から取り除かれる規格外品であることが好ましい。本発明の1以上の実施態様において、前記スケール除去用樹脂は、重量平均分子量が10000以上500000以下のアクリル系樹脂であることが好ましい。本発明の1以上の実施態様において、前記スケール除去用樹脂は、Vicat軟化温度が65℃以上であることが好ましい。
本発明の1以上の実施態様において、前記樹脂分散液は、水100重量部に対して、スケール除去用樹脂を1重量部以上10重量部以下含むことが好ましい。本発明の1以上の実施態様において、前記樹脂分散液は、アルカリ性化合物を含み、pHが11〜13であることが好ましい。本発明の1以上の実施態様において、前記樹脂分散液を入れた後の撹拌は、60℃以上の温度で行うことが好ましい。
本発明の1以上の実施態様において、前記乳化剤は、脂肪酸塩及びアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、前記乳化剤は、脂肪酸塩であることがより好ましい。
本発明は、乳化重合を行う容器内部に付着したスケールを短時間で効果的に除去し得る乳化重合体の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1において、前処理後の容器内部に付着したスケールを走査型電子顕微鏡で観察したSEM写真(500倍)である。 図2は、比較例1において、前処理後の容器内部に付着したスケールを走査型電子顕微鏡で観察したSEM写真(500倍)である。
本発明者らは、ラテックス中の単量体を乳化重合して重合物を得る乳化重合体の製造に用いる容器内部に付着したスケールを短時間で効果的に除去することについて検討を重ねた。その結果、内部にスケールが付着した容器内に、スケール除去用樹脂、乳化剤及び水を含む樹脂分散液を入れ、攪拌した後、スケールを高圧洗浄した場合、すなわち、スケールを前処理した場合、その後のエアー置換によって容器内の重合性単量体由来のガス濃度が1ppm以下に到達するまでの重合性単量体由来のガス濃度の低下速度が0.10ppm/時間以上と高くなるため、エアー置換に必要な時間が短縮され、それゆえ、乳化重合を行う容器の内部に付着したスケールを除去するのに必要な時間も短縮されるとともに、上述したように、前処理することで、その後の高圧洗浄でスケールを短時間で完全に除去しやすくなることを見出した。本発明の1以上の実施形態において、スケールは、重合中やラテックス排出時に容器内部に付着した乳化重合体であり、その内部に未反応の単量体が取り込まれている。
本発明の1以上の実施形態において、重合性単量体は、乳化重合に用いるものを適宜用いれよく、特に限定されないが、例えば、汎用性の観点から、ジエン系単量体を含んでもよく、ジエン系単量体及びジエン系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体を含んでもよい。ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらのジエン系モノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記他のビニル系単量体としては、特に限定されず、例えば、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物等が挙げられる。本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
上記芳香族ビニル化合物とは、同一分子内に一個のビニル性二重結合と一個以上のベンゼン核を有する化合物であればよく、特に限定されない。具体的には、スチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−プロポキシスチレン、4−ブトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、4−ブロモスチレン、2,5−ジクロロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。重合性の観点から、炭素数が1以上22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることか好ましく、炭素数が1以上5以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル(メチレンメタクリレートとも称される。)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記シアン化ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニリデンシアナート、1,2−ジシアノエチレン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記乳化重合体は、架橋密度を高くする場合は、架橋剤を含んでも良い。前記架橋剤は、特に限定されないが、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
上記乳化重合体は、特に限定されないが、汎用性の観点から、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(PBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂(ABS)、及びメチレンメタクリレート‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂(MBS)からなる群から選ばれる1種以上のブタジエン系ゴム重合体が好ましい。ABSは、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)又はポリブタジエンゴム(PBR)等のゴムにスチレン、アクリロニトリル等をグラフト重合することで得ることができる。MBSは、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)又はポリブタジエンゴム(PBR)等のゴムにメチルメタクリレ−ト、スチレン、アクリロニトリル等をグラフト重合することで得ることができる。上記ブタジエン系ゴム重合体において、ブタジエン系ゴム重合体の全重量に対してブタジエンを50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましい。
上記乳化重合体は、アクリル系樹脂であってもよい。上記アクリル系樹脂は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物を少なくとも1段以上乳化重合して得ることができる。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体としては、アクリル酸エステルを主成分としたゴム状重合体が挙げられる。具体的には、アクリル酸エステル50重量%以上100重量%以下、及びアクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体0重量%以上50重量%以下からなる単量体混合物(a−1)100重量部に対して、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体0.05重量部以上10重量部以下を重合させてなる、アクリル酸エステル系ゴム状重合体が好ましい。アクリル酸エステル、他のビニル系単量体、及び多官能性単量体を全部混合して1段で重合してもよく、或いは、アクリル酸エステル、他のビニル系単量体、及び多官能性単量体の組成を変化させて、又は同一の組成のまま、アクリル酸エステルと、他のビニル系単量体と、多官能性単量体とを、2段階以上の多段階に分けて重合してもよい。
アクリル酸エステルは、例えば、アクリル酸アルキルエステルを用いることができ、重合性の観点から、炭素数が1以上22のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルであることか好ましい。このようなアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸n−オクチル等が挙げられる。これらのアクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、特に限定されず、例えば、メタクリル酸エステル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、シアン化ビニル化合物、ビニルエステル、芳香族ビニル化合物、アクリル酸及びその塩、アクリル酸誘導体、メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸誘導体、マレイン酸誘導体等を用いることができる。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルを用いることができ、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンテニル等が挙げられる。
ハロゲン化ビニルとしては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル等が挙げられ、ハロゲン化ビニリデンとしては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。ビニルエステルとしては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。アクリル酸誘導体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド等が挙げられる。メタクリル酸誘導体としては、例えば、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。マレイン酸誘導体としては、例えば無水マレイン酸、N−アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。アクリル酸の塩としては、例えばアクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等が挙げられ、メタクリル酸の塩としては、例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カルシウム等が挙げられる。芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物としては、特に限定されないが、それぞれ、上記の重合性単量体の説明時に列挙した芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を用いることができる。
上述したアクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐候性の観点より、メタクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メタクリル酸エステルがより好ましい。
多官能性単量体は、架橋剤及び/又はグラフト交叉剤として通常使用されるものでよい。多官能性単量としては、例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート及びこれらのアクリレート類等を使用することができる。これらの多官能性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体とグラフト共重合するメタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物(a−2)は、メタクリル酸エステル50重量%以上100重量%以下と、メタクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体0重量%以上50重量%以下を含むことが好ましい。単量体混合物(a−2)中のメタクリル酸エステルの量は、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。単量体混合物(a−2)中の他のビニル系単量体の量は、30重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。
単量体混合物(a−2)中のメタクリル酸エステルとしては、上述した単量体混合物(a−1)に用いるメタクリル酸アルキルエステルを適宜に選択して用いることができる。中でも、アルキルの炭素数は、重合性やコストの点より、1以上4以下が好ましい。
単量体混合物(a−2)中のメタクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、上述した単量体混合物(a−1)に用いるアクリル酸エステルや他のビニル系単量体を適宜に選択して用いることができる。ジッパー解重合を抑制する点からアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びアクリル酸n−ブチルからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
アクリル系グラフト共重合体は、好ましくは、アクリル酸エステル系ゴム状重合体5重量部以上90重量部以下の存在下に、単量体混合物(a−2)10重量部以上95重量部以下を、少なくとも1段階以上でグラフト共重合させることにより得られるものである。ただし、アクリル酸エステル系ゴム状重合体と、単量体混合物(a−2)との合計量が100重量部を満たすものとする。
上記において、乳化重合する方法は、特に限定されず、一般的な乳化重合方法と同じ方法で行うことができる。例えば、容器、例えば、重合器内で、水性媒体中で、1種又は2種以上の重合性単量体を、乳化剤存在下で重合開始剤を用いて乳化重合することができる。各々の重合性単量体は、一括添加、多段添加、連続添加のいずれの方法で添加してもよく、それらを適宜に組み合わせても良い。
乳化剤は特に限定されるものではないが、例えばアニオン性界面活性剤を用いることができる。乳化剤の使用量は特に限定されないが、通常単量体の全体量100重量部当たり0.1重量部以上4重量部以下程度用いることができる。前記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ロジン酸、ポリオキシエチレンラウリル硫酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルエーテルリン酸エステル、及びそれらの塩等が挙げられる。塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。前記乳化剤は、脂肪酸塩であることが好ましく、脂肪酸のカリウム塩、脂肪酸のナトリウム塩及び脂肪酸のアンモニウム塩からなる群から選ばれる一種以上であることがより好ましい。前記脂肪酸塩としては、具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム及びミリスチン酸アンモニウム等が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、ぺルオキソ二硫酸塩(過硫酸塩とも称される。)、有機過酸化物、アゾ系開始剤、過酸化水素水等を用いることができる。有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等が挙げられる。アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。ぺルオキソ二硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記重合開始剤は、必要に応じて、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート等の還元剤と併用することができる。上記還元剤は、単独又は二種以上組み合わせて用いることができる。
乳化重合体のラテックスにおいて、固形分の濃度は、特に限定されないが、例えば、仕込み量を増やす観点から、35重量%以上50重量%以下であることが好ましく、38重量%以上45重量%以下であることがより好ましい。
一般的な乳化重合方法と同様、乳化重合が終了した後、乳化重合体のラテックスは容器から排出される。
得られた乳化重合体のラテックスに必要に応じて酸化防止剤を添加し、塩酸等の無機酸や塩化ナトリウム等の無機塩で凝固し、ろ過脱水した後、乾燥することで、乳化重合体の樹脂粉体を得る。
上記乳化重合体(ラテックス粒子)は、汎用性の観点から、体積平均粒子径が0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.03μm以上0.5μm以下であることがより好ましく、0.05μm以上0.3μm以下であることがさらに好ましい。本発明の1以上の実施形態において、乳化重合体のラテックス粒子の体積平均粒子径は、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定装置(日機装株式会社製「Nanotrac Wave」)を用いて測定することができる
上記乳化重合体は、汎用性の観点から、重量平均分子量が10000以上500000以下であることが好ましく、15000以上450000以下であることがより好ましく、20000以上400000以下であることがさらに好ましい。本発明の1以上の態様において、重量平均分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算分子量を意味する。
乳化重合体のラテックスを排出した後、容器内部のスケールを前処理する。スケールの前処理は、容器内にスケール除去用樹脂、乳化剤及び水を含む樹脂分散液を入れて攪拌した後、容器内部に付着したスケールを高圧洗浄することを意味する。上記前処理により、容器内部の内壁、攪拌機、バッフル等に付着したスケールが膨潤しやすく、スケール表面が荒らされ表面積が大きくなることで、スケール中の残量単量体等が抜けやすくなるため、その後のエアー置換によって重合性単量体由来のガス濃度が1mm以下になる時間が短縮されるとともに、その後に、高圧洗浄することでスケールを短時間で完全に除去しやすくなる。
上記スケール除去用樹脂としては、乳化剤存在下で水中に分散することができるものを適宜用いることができ、特に限定されない。容器内部のスケールをより効果的に除去し、かつ、コストを低減する観点から、上記スケール除去用樹脂は、目的とする乳化重合体の樹脂粉体から取り除かれる規格外品であることが好ましい。
上記スケール除去用樹脂は、スケール除去効果を高める観点から、最小粒子径が500μm以上であることが好ましく、550μm以上であることがより好ましく、600μm以上であることがさらに好ましい。また、スケール除去効果及びハンドリング性を高める観点から、体積平均粒子径が1000μm以上5000μm以下であることが好ましく、1050μm以上3000μm以下であることがより好ましく、1100μm以上2000μm以下であることがさらに好ましい。また、スケール除去効果及びハンドリング性を高める観点から、最大粒子径が5000μm以下であることが好ましく、3000μm以下であることがより好ましく、2000μm以下であることがさらに好ましい。
上記スケール除去用樹脂は、分散性を高め、容器内部のスケールと効果的に接触する観点から、水100重量部に対して1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、1.2重量部以上9.5重量部以下であることがより好ましく、1.4重量部以上9.0重量部以下であることがさらに好ましい。
上記スケール除去用樹脂は、容器内部のスケールと効果的に接触する観点から、JISK 7206に準じて測定したVicat軟化温度が65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、75℃以上であることがさらに好ましい。また、入手性の観点から、Vicat軟化温度が121℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましい。
容器内部のスケールをより効果的に除去する観点から、上記スケール除去用樹脂は、アクリル系樹脂であることが好ましく、上記アクリル系樹脂は、重量平均分子量が10000以上500000以下であることが好ましく、15000以上450000以下であることがより好ましく、20000以上400000以下であることがさらに好ましい。
上記スケール除去用樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂分散液において、乳化剤は、特に限定されず、乳化重合に用いた乳化剤と同様に、例えばアニオン性界面活性剤を用いることができる。前記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ロジン酸、ポリオキシエチレンラウリル硫酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルエーテルリン酸エステル、及びそれらの塩等が挙げられる。塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。前記乳化剤は、脂肪酸塩及びアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選ばれる一種以上であることが好ましく、脂肪酸塩を含むことがより好ましい。脂肪酸塩としては、脂肪酸のカリウム塩、脂肪酸のナトリウム塩及び脂肪酸のアンモニウム塩からなる群から選ばれる一種以上であることがより好ましい。前記脂肪酸塩としては、具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム及びミリスチン酸アンモニウム等が挙げられる。上記アニオン性界面活性剤等の乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記乳化剤は、スケールを膨潤しやすい観点から、水100重量部に対して0.01重量部以上0.2重量部以下であることが好ましく、0.015重量部以上0.18重量部以下であることがより好ましく、0.02重量部以上0.16重量部以下であることがさらに好ましい。
上記樹脂分散液は、スケールの除去効果をより高める観点から、アルカリ性化合物を含み、pHが11以上13以下であることが好ましい。上記アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩、ホウ砂等のアルカリ金属のホウ酸塩、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム等のアルカリ金属のリン酸塩、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水等が挙げられる。この中でも、工業生産に適し、コストを低減する観点から、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが好ましい。上記アルカリ性化合物は、1種を単独で用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
上記容器内に上記樹脂分散液を入れた後、スケール除去効果を高める観点から、該樹脂分散液を50℃以上の温度で撹拌することが好ましく、55℃以上の温度で撹拌することがより好ましく、60℃以上の温度で撹拌することがさらに好ましい。また、分散液の水分蒸発による濃度変化の観点から、樹脂分散液の撹拌する際の温度は80℃以下であることが好ましく、70℃以下であることがより好ましい。撹拌する時間は、特に限定されないが、スケールの除去効果及び生産性の観点から、例えば、1時間以上24時間以下行うことが好ましく、より好ましくは2時間以上6時間以下行う。
上記前処理において、樹脂分散液を排出した後に、スケールを高圧洗浄する。該高圧洗浄は、特に限定されず、スケールを除去するために一般的に行う高圧洗浄と同様に行うことができる。例えば、高圧洗浄ジェット装置を用い、好ましくは吐出圧が0.2MPa以上0.4MPa以下、より好ましくは0.3MPa以上0.35MPa以下の水を噴射することで行うことができる。
スケール前処理工程後に、エアー置換を行う。エアー置換工程において、上記容器内の重合性単量体由来のガス濃度が1ppm以下に到達するまでの重合性単量体由来のガス濃度の低下速度(以下において、ガス濃度の基準低下速度とも記す。)が0.10ppm/時間以上である。本発明の1以上の実施形態において、ガス濃度の基準低下速度が速いほど、エアー置換に必要な時間が短縮される。また、本発明の1以上の実施形態において、ガス濃度の基準低下速度は、その後の高圧洗浄によるスケールの除去速度に比例するものであり、エアー置換によるガス濃度の基準低下速度が高いほど、その後高圧洗浄によってスケールが短時間で効果的に除去されやすくなる。本発明の1以上の実施態様において、内部にスケールが付着されている容器内に樹脂分散液を入れ攪拌した後、スケールを高圧洗浄することで、スケールを前処理するため、該スケール前処理工程後のエアー置換工程におけるガス濃度の基準低下速度が0.10ppm/時間以上となり、スケールを短時間で効果的に除去することができる。本発明の1以上の実施態様において、エアー置換工程におけるガス濃度の低下速度は、エアー置換を行う前の重合性単量体由来のガスの初期濃度と、重合性単量体由来のガス濃度が1ppm以下になるまでの時間を測定することで、算出することができる。重合性単量体がブタジェン等のジェン系単量体を含む場合、ジェン系単量体のガス濃度を測定することができる。上記エアー置換工程において、ガス濃度の基準低下速度は0.13ppm/時間以上であることが好ましく、0.15ppm/時間以上であることがより好ましく、0.20ppm/時間以上であることがさらに好ましく、0.30ppm/時間以上であることが特に好ましい。
上記のように、エアー置換により重合性単量体由来のガス濃度が1ppm以下になった後、さらに高圧洗浄を行うことで、スケールを完全に除去する。この場合の高圧洗浄も特特に限定されず、スケールを除去するために一般的に行う高圧洗浄と同様に行うことができる。上記高圧洗浄は、例えば、高圧洗浄ジェット装置を用い、好ましくは吐出圧が0.2MPa以上0.4MPa以下、より好ましくは0.3MPa以上0.35MPa以下の水を噴射することで行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記において、特に指摘がない場合、「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
(実施例1)
<PBRのラテックスの製造>
水178重量部、オレイン酸ナトリウム2.5重量部、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)0.006重量部、エチレンジアミン4酢酸・2Na塩0.01重量部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ナトリウム0.04重量部、リン酸三カリウム0.64重量部、ブタジエン100重量部、及びイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.13重量部を、撹拌機付き耐圧重合容器に仕込み、50℃で16時間攪拌することで、重合転化率97%、平均粒子径0.07μmのPBRのラテックスを得た。
(グラフト共重合体の作製)
PBRのラテックス293重量部(固形分で68重量部)、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)0.003重量部、エチレンジアミン4酢酸・2Na塩0.012重量部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ナトリウム0.18重量部、および無水硫酸ナトリウム2.3重量部、オレイン酸ナトリウム0.25重量部を重合容器に仕込み、60℃にした。さらにメチルメタクリレート13.5重量部、スチレン6.5重量部、およびオレイン酸0.2重量部の混合液とターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.05重量部の0.13重量%溶液を2時間かけて連続的に追加し、その後水酸化ナトリウム2重量%溶液を0.2重量部追加ののち30分間攪拌を続けたのち、メチルメタクリレート4重量部、スチレン8重量部の混合液とターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.8重量部の0.13重量%溶液を、1時間かけて連続的に追加した。さらにオレイン酸ナトリウム0.25重量部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ナトリウム0.16重量部およびターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.4重量部を追加し2時間攪拌を続けたのち常温まで冷却し、硬質シェルのTgが66℃であるグラフト共重合体(MBS)のラテックスを製造した。グラフト共重合体粒子の平均粒子径は0.18μmであった。
<グラフト共重合体の造粒>
温度30℃のグラフト共重合体のラテックスを、加圧ノズルを用い、体積平均液滴径が約200μmの液滴となるように噴霧した、噴霧したラテックス液滴を、グラフト共重合体のポリマー固形分に対して2重量部の塩酸溶液に凝固し、ポリマー固形分が約10重量%の凝固粒子の水懸濁液を得た。得られた水懸濁液を、水酸化ナトリウム30重量%を用いてpH4〜6に調整し、加熱処理した後脱水、乾燥することにより、白色樹脂粉末を造粒した。
<スケールの除去>
ブタジエン共重合体のラテックスの製造に用いた容器内に、60℃の温水26m3、オレイン酸ナトリウムの濃度が10重量%のオレイン酸ナトリウムの水溶液78kg、苛性ソーダ5.85kg、最小粒子径が645mm、最大粒子径が2000μm、体積平均粒子径が1146μmのグラフト共重合体(MBS)の規格外品500kgを投入し、該樹脂分散液を60℃で1時間攪拌し、その後、手動で、吐出圧0.3MPaの水で5時間高圧洗浄することでスケールを前処理した。前処理後に、ブタジエンガス濃度が1ppm以下となるまで6時間エアー置換を行った。ブタジエンガス濃度の基準低下速度は表1に示すとおりであった。前処理後のスケールを走査型電子顕微鏡で観察し、その結果を図1に示した。図1から分かるように、スケールの表面が荒らされていた。ブタジエンガス濃度が1ppm以下になった後、吐出圧0.3MPaの水で16時間高圧洗浄することで、容器内部のスケールを完全に除去した。
(比較例1)
ブタジエン共重合体のラテックスの製造に用いた容器内に、60℃の温水26m3を投入して60℃で1時間攪拌し、その後、手動で、吐出圧0.3MPaの水で5時間高圧洗浄することでスケールを前処理した。前処理後に、ブタジエンガス濃度が1ppm以下となるまで24時間エアー置換を行った。ブタジエンガス濃度の基準低下速度は表1に示すとおりであった。前処理後のスケールを走査型電子顕微鏡で観察し、その結果を図2に示した。スケールの表面は、図1との比較からもわかるとおり、荒らされていなかった。ブタジエンガス濃度が1ppm以下になった後、吐出圧0.3MPaの水で18時間高圧洗浄したところ、容器内部のスケールを完全に除去することができた。
図1及び図2の対比から分かるように、実施例1では、樹脂分散液で前処理することで、スケール表面が荒らされて表面積が大きくなっていた。そのため、その後のエアー置換によって、単量体由来のガス、具体的にはブタジェンガスが抜けやすくなり、表1に示すように、前処理なしの比較例1より、ブタジェンガスの基準低下速度が速くなり、それゆえ、エアー置換に必要な時間が短縮された。また、実施例1では、樹脂分散液で前処理することで、スケール表面が荒らされて表面積が大きくなったことから、前処理後に、高圧洗浄することで、スケールを完全に除去するまでの時間が短縮された。すなわち、ブタジェンガスの基準低下速度が速いほど、スケールを短時間で完全に除去することができた。

Claims (12)

  1. 重合性単量体を容器内で乳化重合して乳化重合体のラテックスを得る工程と、
    前記乳化重合体のラテックスを前記容器から排出する工程と、
    前記容器内に樹脂分散液を入れて攪拌した後、前記容器内部に付着したスケールを高圧洗浄することで、スケールを前処理する工程と、
    前記容器内の重合性単量体由来のガス濃度を1ppm以下になるまでエアー置換する工程を含み、
    前記樹脂分散液は、スケール除去用樹脂、乳化剤及び水を含み、
    前記エアー置換工程において、前記容器内の重合性単量体由来のガス濃度が1ppm以下に到達するまでの重合性単量体由来のガス濃度の低下速度が0.10ppm/時間以上であることを特徴とする乳化重合体の製造方法。
  2. 前記重合性単量体は、ジエン系単量体を含み、
    前記エアー置換工程において、ジエン系単量体ガス濃度が1ppm以下に到達するまでのジエン系単量体ガス濃度の低下速度が0.10ppm/時間以上である請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. 前記乳化重合体が、スチレン‐ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂、メチレンメタクリレート‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求項1に記載の重合体の製造方法。
  4. 前記スケール除去用樹脂は、最小粒子径が500μm以上であり、かつ平均粒子径が1000μm以上5000μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
  5. 前記乳化重合体のラテックスを乾燥させて樹脂粉体を得る工程をさらに含み、
    前記スケール除去用樹脂は、前記樹脂粉体から取り除かれる規格外品である請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
  6. 前記スケール除去用樹脂は、重量平均分子量が10000以上500000以下のアクリル系樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
  7. 前記スケール除去用樹脂は、Vicat軟化温度が65℃以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
  8. 前記樹脂分散液は、水100重量部に対して、スケール除去用樹脂を1重量部以上10重量部以下含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
  9. 前記樹脂分散液は、アルカリ性化合物を含み、pHが11〜13である請求項1〜8のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
  10. 前記樹脂分散液を入れた後の撹拌は、60℃以上の温度で行う請求項1〜9のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
  11. 前記乳化剤は、脂肪酸塩及びアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜10のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
  12. 前記乳化剤は、脂肪酸塩である請求項1〜11のいずれか1項に記載の乳化重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116179026A (zh) * 2022-06-20 2023-05-30 福建海德福新材料有限公司 一种不饱和酸酐改性的含氟聚合物粉末涂料及其制备方法

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