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JP2020055764A - 防虫剤組成物 - Google Patents

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JP2020055764A JP2018186386A JP2018186386A JP2020055764A JP 2020055764 A JP2020055764 A JP 2020055764A JP 2018186386 A JP2018186386 A JP 2018186386A JP 2018186386 A JP2018186386 A JP 2018186386A JP 2020055764 A JP2020055764 A JP 2020055764A
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礼央 川▲崎▼
Reo Kawasaki
礼央 川▲崎▼
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Abstract

【課題】密封状態においても、ピレスロイド系化合物のオレフィン系樹脂に対する吸着が少なく、有効成分の減少を防止でき、商品性を損ねることなく長期間にわたって持続できすることができる防虫剤の提供。【解決手段】常温揮散性ピレスロイドおよび下記式(1)のエステル化合物を含有する吸着抑制型防虫剤組成物、この組成物をオレフィン系樹脂を用いて構成された容器に収納してなる防虫剤及び当該防虫剤を、内面がヒートシール性の樹脂製包装シートで被覆・収納してなる防虫剤製品。【化1】(R1は炭素数8〜18の分岐していてもよいアルキル基、R2は炭素数1〜5の分岐していてもよいアルキル基)【選択図】図3

Description

本発明は防虫剤組成物に関し、更に詳細には、有効成分である常温揮散性ピレスロイドの樹脂への吸着を抑制し、防虫効力が長期間に渡って持続することが可能な防虫剤組成物に関する。容器等に収納されたこの防虫剤組成物は、洋服ダンス、押入れ等の衣類の収納場所や玄関や窓などに設置し、衣類害虫や飛翔害虫を防虫するものとして有用である。
従来から、衣類等を害虫の被害から守るため、防虫剤が用いられているが、常温揮散性のピレスロイドは臭いのない防虫成分であるため、無臭性の防虫剤に広く使用されるようになっている。この無臭性防虫剤では、常温揮散性ピレスロイドを含浸させた含浸体を、揮散孔を有する容器に収納した形態が一般的であり、この容器の材料には、主にポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が用いられている。
このような防虫剤は、有効成分として含まれる常温揮散性ピレスロイドが流通段階又は消費者による使用開始前に揮散してしまわないように、容器ごと薬剤が透過しない包装体に収納されることが一般的である。
ところで、ピレスロイド系の化合物は、オレフィン系樹脂との親和性が高く、前記防虫剤が、流通時および保存時に、プラスチック等の袋により密封された状態で長期間保存されると、有効成分である常温揮散性ピレスロイドが容器もしくはプラスチック製袋の内面のヒートシール層に吸着されてしまうことがあった。
そして、容器に吸着された常温揮散性ピレスロイドは、もはや放出されることはなく、また、包装袋のヒートシール層に吸着された常温揮散性ピレスロイドは袋とともに廃棄されてしまう。従って、常温揮発性ピレスロイドとオレフィン系樹脂容器あるいは包装体を利用した防虫剤では、実質的な有効成分が減少してしまい、結果として使用期間中に十分な防虫効果が発揮できないという問題点を有していた。
そこでこのような問題点を解決するために、常温揮散性ピレスロイドが吸着されにくい防虫剤容器が種々提案されている。例えば、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニールと塩化ビニリデンの共重合体等の樹脂を用いた通気性プラスティックケースが提案されている(特許文献1参照)。また、容器の材料として非晶性環状オレフィンポリマーを用いたものや(特許文献2参照)、脂肪族ポリケトンを用いたもの(特許文献3参照)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂を用いたもの(特許文献4参照)、ポリエチレンナフタレートを用いたもの(特許文献5参照)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を用いたもの(特許文献6参照)などが提案されている。
しかし、これらの材料を使用した防虫剤容器の強度は十分ではなく、落下等の衝撃により割れてしまったり、特に、防虫剤の容器の形態として、洋服ダンス等のバーに吊り下げるフックを有する形態とした場合には、フックに掛ける際フック部分が割れてしまったり、ヒンジ構造を採用することが困難であるといった問題点を有していた。さらにこれらの樹脂は、従来のポリエチレンやポリプロピレン等に比べ成形性に劣り、また高価なため容器自体のコストが高くなってしまうといった問題点を有していた。
本出願人は、先に防虫剤容器に使用する材料に関し、物性面から検討を行い、JISK7203の曲げ弾性試験による曲げ弾性率が1400MPa以上の材料で構成されている防虫剤容器を提案している(特許文献7参照)。
さらに、揮散性薬剤又はこれを含む保持体を包装する包装体に用いられる揮散性薬剤包装体用フィルムについても検討を行い、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの薬剤非吸着性材料とポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱シール性材料を混合した材料で成形されたフィルムが、揮散性薬剤包装用フィルムとして適切であることも報告しているが(特許文献8)、これらの手段を利用しても、薬剤吸着抑制効果が完全とまではいえず、更なる改善が求められている。
一方、揮散性ピレスロイドの容器への吸着を、容器の材料ではなく、揮散性ピレスロイドと併用する成分の工夫により抑制しようとする提案もなされており、例えば、ピレスロイド系化合物及びクエン酸トリエチルを特定の重合割合で含有する防虫剤組成物を、ポリオレフィン系樹脂を基材とする枠体に収納してなる防虫剤が提案されている(特許文献9参照)。
しかしながらクエン酸トリエチルは、十分な吸着を抑制する量を配合した場合には揮散性ピレスロイドの揮散が著しく遅くなってしまう場合があるといった問題点を有していた。
特開平2−275805 特開平11−1187797 特開平11−1187798 特開2004−2314 特開2004−254598 特開2004−254599 特開2003−274835 特開2004−331174 特開2004−168671
したがって、密封状態での保存期間中などにおいても、有効成分であるピレスロイド系化合物のオレフィン系樹脂に対する吸着が少なく、有効成分の減少を防止することができ、防虫剤の効力を長期間にわたって、商品性を損ねることなく持続することができる防虫剤の開発が求められていた。
本発明者らは常温揮散性ピレスロイドを含有する防虫剤組成物の樹脂への吸着について鋭意研究を行った結果、特定のエステル化合物を常温揮散性ピレスロイドと組み合わせて用いることにより、容器への常温揮散性ピレスロイドの吸着を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、常温揮散性ピレスロイドおよび下記式(1)
Figure 2020055764
(式中、Rは炭素数8〜18の分岐していてもよいアルキル基を示し、Rは炭素
数1〜5の分岐していてもよいアルキル基を示す)
で表されるエステル化合物を含有することを特徴とする吸着抑制型防虫剤組成物である。
また本発明は、前記吸着抑制型防虫剤組成物を、オレフィン系樹脂を用いて構成された容器に収納してなる防虫剤である。
更に本発明は、上記防虫剤を、内面がヒートシール性の樹脂製包装シートで被覆・収納してなる防虫剤製品である。
更にまた本発明は、常温揮散性ピレスロイドに、下記式(1)
Figure 2020055764
(式中、R及びRは前記した意味を有する)
で表されるエステル化合物を配合することを特徴とする常温揮散性ピレスロイドの樹脂への吸着抑制方法である。
本発明の吸着抑制型防虫剤組成物(以下、「防虫剤組成物」という)は、配合されたエステル化合物(1)が、有効成分である常温揮散性ピレスロイドの、オレフィン系樹脂等へ吸着を抑制できるため、長期間流通保存された場合でも有効成分である常温揮散性ピレスロイドが減少することを防止でき、その結果として防虫効力が長期間にわたって持続するものである。
したがって、この防虫剤組成物をオレフィン系樹脂で構成された容器に収納した防虫剤は、洋服ダンス、引き出し、クローゼット、衣装ケース、人形ケース等や、玄関、網戸などの使用環境下で、常温揮散性ピレスロイドを長期間にわたって安定に揮散させることができ、イガ、コイガ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ等の衣類害虫や、蚊、ハエ、ユスリカ、チョウバエなどの害虫に対し高い防虫効果を発揮することができるものである。
本発明の防虫剤の一態様である容器1の正面図である。 図1の容器1のA−A’方向の端面図である。 本発明の防虫剤の別の態様である容器2の正面図である。 図3の容器2のB−B’方向の断面図である。
本発明の防虫剤組成物は、常温揮散性ピレスロイドおよびエステル化合物を必須成分として配合するものである。
本発明に用いられる常温揮散性ピレスロイドは、従来より用いられている常温で揮散するピレスロイド系化合物であれば特に限定されず、例えば、エンペントリン、トランスフルスリン、プロフルトリン、メトフルトリン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。またこれらの化合物において光学異性体または幾何異性体が存在する場合は、当該化合物には各種異性体の1種または2種以上が混合されたものも含まれる。
このうち、揮散性、防虫効力の点でエンペントリン、トランスフルスリン、プロフルトリン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートが好ましく用いられる。
一方、本発明に用いられるエステル化合物は、式(1)
Figure 2020055764
(式中、Rは炭素数8〜18の分岐していてもよいアルキル基を示し、Rは炭素
数1〜5の分岐していてもよいアルキル基を示す)
で表されるものである。
この式(1)で表されるエステル化合物(以下、「エステル化合物(1)」という)は、常温で非揮散性ないし難揮散性のものであり、何れも公知であるか、公知化合物の製法に準じて製造される化合物である。
このエステル化合物(1)としては、具体的に、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、カプリル酸ブチル、カプリル酸イソプロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプロン酸ブチル、カプロン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソプロピル、などを挙げることができ、これらの1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち揮散性、吸着抑制効果、揮散性ピレスロイドとの相溶性の観点からミリスチン酸イソプロピルを用いることが好ましい。
本発明の防虫剤組成物は、常法に従い、上記常温揮散性ピレスロイドおよびエステル化合物(1)を混合し、さらに必要に応じた任意成分を加えることによって調製される。
防虫剤組成物の製造にあたっての、常温揮散性ピレスロイドとエステル化合物(1)との混合割合は特に限定されないが、20:1〜1:9程度であり、好ましくは10:1〜1:10、さらに好ましくは5:1〜1:1である。この範囲よりもエステル化合物(1)の配合割合が少ないと、吸着防止効果を発揮することができない場合があり、この範囲よりもエステル化合物(1)の配合割合が多い場合は、常温揮散性ピレスロイド化合物の揮散を妨げ適切な防虫効果が発揮できない場合がある。
また、本発明の防虫剤組成物に必要に応じ配合される任意成分としては、フェノキシエタノールなどの他の防虫剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、殺菌剤、色素、消臭剤、香料、金属不活性剤、効力増強剤、クエン酸トリエチル、シリコーンなどの他の吸着抑制剤等を配合することができる。
更に、常温揮散性ピレスロイドおよびエステル化合物(1)と、必要に応じて配合される任意成分を混合するにあたっては、適当な溶媒を使用することができる。この溶媒としては特に限定されるものではなく、従来公知の溶媒を用いることができる。
具体的な溶媒の例としては、ヘキサン、パラフィン等の炭化水素系化合物;メタノール、エタノール、デカノール等のアルキルアルコール類;アリルアルコール等のアルケニルアルコール類;ベンジルアルコール等の芳香族環含有アルコール類;オイゲノール等のフェノール類;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジエチルエーテル等のエーテル化合物;アセトン等のケトン系化合物;酢酸、オレイン酸等の脂肪族化合物;酢酸エステル等のエステル化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系化合物;2−フェノキシエタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等のグリコールエーテル系化合物;リノール油等の植物油等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。
更にまた、各成分を溶媒中で混合するに際して、必要により界面活性剤を用いることもできる。使用できる界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の1種または2種以上を混合して用いることができる。
かくして得られた本発明の防虫剤組成物は、溶媒中に各成分を混合した形態でそのまま液剤として用いることもできるが、適当な含浸体に含浸させて用いることもできる。この含浸体としては、常温揮散性ピレスロイド等を含浸可能なものであれば特に限定されないが、具体的にはパルプ、紙、木片、シリカゲル、織布、不織布等を粒状、球状、板状、マット状、フィルム状に成形したものが挙げられる。
上記のようにして得られた防虫剤組成物は、これをオレフィン系樹脂で構成された容器に収納することで防虫剤とすることができる。より具体的には、液剤、含浸体などの形態に調製された防虫剤組成物を、開口部ないしは使用時に開口部となる部分を有する、オレフィン樹脂製の容器に収納して本発明の防虫剤を得ることができる。
この容器に用いられるオレフィン系樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテンポリマー、エチレン−プロピレン共重合体等の、ホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、オルタネイティングコポリマー、グラフトコポリマー等が挙げられ、これらに少量の添加剤を含有してもよい。これらのうち、成形容器を用いる場合は成形性、加工性、ヒンジ特性耐衝撃性の点でポリプロピレンを用いることが好ましい。
またこの容器の形状は、従来公知の形状のものが使用でき、特に限定されないが、例えば、図1や図3に示されるような、揮散孔などの開口部を備えていることが好ましい。
上記のようにして調製される防虫剤は、これを保管段階や流通段階で安定に保存しておくために、更に、包装材料(フィルム)で包装し、防虫剤製品とすることが好ましい。この包装材料としては、従来公知のフィルムを利用することができるが、常温揮散性ピレスロイドが透過せず、内面にヒートシール性があるような構成の樹脂製シートを用いることが好ましい。
このような内面がヒートシール性の樹脂シートの具体例としては、二軸延伸ポリエステル(PET)/無延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリエステル(PET)/ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)/アルミ蒸着ポリエステル(VMPET)/無延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリエステル(PET)/エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)/ポリエチレン(PE)などのシートを挙げることができる。
防虫剤製品の包装の形態としては、公知の種々の形態から選択できるが、好ましい態様の一つとしては、収納の容易さなどから袋体が挙げられる。このような袋体を製造する方法としては、従来公知の製袋機を用いての、三方シール包装、四方シール包装、横ピロー包装又は縦ピロー包装、ガゼット袋包装、スタンディングパウチ袋包装等を挙げることができる。
本発明の防虫剤は、防虫剤製品として長期間密封保存されていても、防虫剤組成物中の常温揮散性ピレスロイドが防虫剤容器や包装材の内面のヒートシール層へ吸着することを抑制されるため、その効力が長期間持続できるものである。
従って、本発明の防虫剤を取り出した後、洋服ダンス、引き出し、衣装ケース等の収納容器内に設置したり、玄関、窓などに吊り下げたりすることにより、有効成分が効率的に揮散し、イガ、コイガ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ等の衣類害虫や、蚊、ハエ、ユスリカ、チョウバエなどの飛翔害虫に対し防虫効果を発揮するものである。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実 施 例 1
吸 着 試 験 :
下記の表1の組成の常温揮散性ピレスロイドとエステル化合物を混合して防虫剤組成物を得た(本発明品1)。この防虫剤組成物をパルプ製含浸紙(3×4cm)に含浸させ、揮散孔を有する図1に示すポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン製の容器に収納した防虫剤を作製した。この防虫剤を二軸延伸PET/CPPの袋に収納し密封し、40℃の恒温槽に入れ6か月後のエンペントリンの含浸紙への残量を測定し、下記の式により常温揮散性ピレスロイドの残存率を求めた。比較品1としてエンペントリンのみを含浸させた物を用いた。結果を表2に示す。
残存率(%)=(含浸体の残存量(g)/初期含浸量(g))×100
Figure 2020055764
Figure 2020055764
この結果から明らかなようにエンペントリンとミリスチン酸イソプロピルを併用した本発明品1はエンペントリン単独の比較品1と比べエンペントリンの容器及び包装フィルムへの吸着抑制効果を示した。
実 施 例 2
防 虫 試 験 :
実施例1で得た本発明品1の防虫剤を、下記方法により防虫試験を行った。比較として比較品1の防虫剤を含浸させた物を用いた。結果を表3に示す。
( 防虫試験方法 )
本発明品1及び比較品1のパルプ製含浸紙を1cm×1cmに切り、直径4cmの金属製かごの中に入れ、これを容積0.4リットルのガラス製蓋つき容器のほぼ中央に設置した。ガラス容器の底部に、1辺2.5cmの正方形のサージを敷き、この上に産卵後1日の、衣類害虫であるイガの卵20個を置いた。
室温条件下に14日間保存した後、容器の蓋を開け、孵化した卵の数を数え、孵化していた場合には、孵化直後の若齢幼虫の生死を判別した。防虫率を「孵化しなかった卵の数+死んでいた若齢幼虫の数」の全体の卵の数に対する百分率として下記式により求めた。
防虫率(%)=100×(20−N)/20
N:生存していた若齢幼虫の数
Figure 2020055764
以上の結果から明らかなように、本発明品1の防虫剤は比較品1と比べても同等の防虫効力を発揮することが示された。
実 施 例 3
吊り下げ型防虫剤(1):
下記の表4の組成の常温揮散性ピレスロイドとエステル化合物を混合して防虫剤組成物を得た(本発明品2ないし比較品2)。
この防虫剤組成物をパルプ製含浸紙(9.6×11cm)に含浸させ、これを揮散孔を有する図3に示すポリプロピレン製の容器に収納し、防虫剤を作製した。この防虫剤を二軸延伸PET/CPPの袋に収納、密封し、防虫剤製品を得た。
製造した防虫剤製品を40℃の恒温槽に入れ、1か月後のエンペントリンの含浸紙への残量を測定し、下記の式により常温揮散性ピレスロイドの残存率を求めた。比較品として、エンペントリンのみを含浸させた物(比較品2)を用いた。この結果を表5に示す。
残存率(%)=(含浸体の残存量(g)/初期含浸量(g))×100
Figure 2020055764
Figure 2020055764
この結果から明らかなようにエンペントリンとエステル化合物を併用した本発明品2はエンペントリン単独の比較品2と比べエンペントリンの容器及び包装フィルムへの吸着抑制効果を示した。
実 施 例 4
防 虫 試 験 :
実施例3で得た本発明品2及び比較品2の防虫剤について、実施例2と同様の方法で防虫試験を行った。この結果を表6に示す。
Figure 2020055764
以上の結果から明らかなように、本発明品2の防虫剤は比較品2と比べても同等の防虫効力を発揮することが示された。
実 施 例 5
吊り下げ型防虫剤(2):
下記の表7の組成の常温揮散性ピレスロイドとエステル化合物を混合して防虫剤組成物を得た(本発明品3ないし比較品3)。
この防虫剤組成物をパルプ製含浸紙(9.6×11cm)に含浸させ、これを揮散孔を有する図3に示すポリプロピレン製の容器に収納し、防虫剤を作製した。この防虫剤を二軸延伸PET/CPPの袋に収納し密封し、40℃の恒温槽に入れ1か月後のプロフルトリンの含浸紙への残量を測定し、下記の式により常温揮散性ピレスロイドの残存率を求めた。なお、比較品3としてプロフルトリンのみを含浸させた物を用いた。結果を表8に示す。
残存率(%)=(含浸体の残存量(g)/初期含浸量(g))×100
Figure 2020055764
Figure 2020055764
この結果から明らかなようにプロフルトリンとエステル化合物を併用した本発明品3はプロフルトリン単独の比較品3と比べプロフルトリンの容器及び包装フィルムへの吸着抑制効果を示した。
実 施 例 6
防 虫 試 験 :
実施例5で得た本発明品3及び比較品3の防虫剤について、実施例2と同様の方法で防虫試験を行った。この結果を表9に示す。
Figure 2020055764
以上の結果から明らかなように、本発明品3の防虫剤は比較品3と比べても同等の防虫効力を発揮することが示された。
本発明の防虫剤は、防虫剤組成物中の、有効成分である常温揮散性ピレスロイドの容器への吸着を抑制できるため、長期間密封保存しても、有効成分量が低下することなく、開封後の効力が長期間持続できるものである。
従って、衣類害虫用防虫剤や、飛翔害虫防虫剤として、収納容器内に設置したり、玄関、窓などに吊り下げたりすることにより、有利に利用できるものである。
1 … … 防虫剤
2 … … 容器
2a… 上容器体
2b… 下容器体
2c… 右容器体
2d… 左容器体
3 … … 揮散孔
4 … … 薬剤含浸体
5 … …フック部

Claims (8)

  1. 常温揮散性ピレスロイドおよび下記式(1)
    Figure 2020055764
    (式中、Rは炭素数8〜18の分岐していてもよいアルキル基を示し、Rは炭素
    数1〜5の分岐していてもよいアルキル基を示す)
    で表されるエステル化合物を含有することを特徴とする吸着抑制型防虫剤組成物。
  2. 前記常温揮散性ピレスロイドと、式(1)で表されるエステル化合物との混合割合が、10:1〜1:10である請求項1記載の吸着抑制型防虫剤組成物。
  3. 前記式(1)で表されるエステル化合物がミリスチン酸イソプロピルである請求項1又は2に記載の吸着抑制型防虫剤組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれかの項記載の吸着抑制型防虫剤組成物を、オレフィン系樹脂を用いて構成された容器に収納してなる防虫剤。
  5. 前記オレフィン系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテンポリマー及びエチレン−プロピレン共重合体よりなる群から選ばれたものである請求項4記載の防虫剤。
  6. 請求項4又は5記載の防虫剤を、内面がヒートシール性の樹脂製包装シートで被覆・収納してなる防虫剤製品。
  7. 前記内面がヒートシール性の樹脂製包装シートが、二軸延伸ポリエステル(PET)/無延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリエステル(PET)/ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)/アルミ蒸着ポリエステル(VMPET)/無延伸ポリプロピレン(CPP)及び二軸延伸ポリエステル(PET)/エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)/ポリエチレン(PE)よりなる群から選ばれたシートである請求項6記載の防虫剤製品。
  8. 常温揮散性ピレスロイド中に、下記式(1)
    Figure 2020055764
    (式中、Rは炭素数8〜18の分岐していてもよいアルキル基を示し、Rは炭素
    数1〜5の分岐していてもよいアルキル基を示す)
    で表されるエステル化合物を配合することを特徴とする、常温揮散性ピレスロイドの樹脂への吸着抑制方法。

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JP2015105245A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 白元アース株式会社 防虫消臭剤
JP2018095565A (ja) * 2016-12-08 2018-06-21 アース製薬株式会社 エアゾール製品および害虫防除方法

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