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JP2020021629A - 電池用カーボンブラック分散組成物およびその利用 - Google Patents

電池用カーボンブラック分散組成物およびその利用 Download PDF

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JP2020021629A
JP2020021629A JP2018144807A JP2018144807A JP2020021629A JP 2020021629 A JP2020021629 A JP 2020021629A JP 2018144807 A JP2018144807 A JP 2018144807A JP 2018144807 A JP2018144807 A JP 2018144807A JP 2020021629 A JP2020021629 A JP 2020021629A
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carbon black
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positive electrode
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穂波 平林
Honami Hirabayashi
穂波 平林
和彦 坪谷
Kazuhiko Tsuboya
和彦 坪谷
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Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
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Abstract

【課題】従来公知の高分子型分散剤および分散剤量を用いて得たカーボンブラック分散液と比較して、分散性、分散安定性、および塗膜均一性に優れた、電極活物質含有率の高い電池用カーボンブラック分散組成物および電池電極合剤層を提供すること。【解決手段】カーボンブラックと、分散剤と、N−メチル−2−ピロリドンとを含み、さらに、バインダーと、正極活物質とを含む電池用カーボンブラック分散組成物であって、バインダーが少なくともフッ素原子を有する高分子化合物を含み、分散組成物の固形分100質量部に対する、前記正極活物質の量が、97.8質量部以上であり、分散剤が、メチルセルロース及びエチルセルロースからなる群より選択された少なくとも1種であり、さらに、正極活物質100質量部に対する、前記分散剤の量が、0.05質量部以上0.08質量部以下であることを特徴とする、電池用カーボンブラック分散組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、分散性、塗工性に優れた電池用カーボンブラック分散組成物に関する。また、該組成物を使用した電池電極合剤層およびリチウムイオン二次電池に関する。
電池分野において炭素材料は導電助剤として広く用いられているが、電極を製造する際に生産プロセスを効率化して短縮するためには、炭素材料を溶剤中にいかに高濃度かつ均一に分散して、容易に塗工可能とするかが重要である。
近年、特に環境や生産コストへの配慮から、従来よりも、より高濃度かつ均一に分散された炭素材料分散液を作製することによって、溶剤使用量を低減することや乾燥時の使用エネルギーを低減することが求められている。これらの要求は、溶剤のコストや乾燥時の使用エネルギーに大きな影響があることから、使用する溶剤が高価であるほど、または、使用する溶剤が高沸点であるほど重要になる。
リチウムイオン二次電池は、自動車用等での利用が広がっており、高容量化のニーズがますます高まっている。高容量化に向けては、塗膜中の活物質量を増やしバインダー量を削減する等の方法が挙げられる。しかしながら、活物質の含有量の増加は、導電助剤の含有量が相対的に低下することを意味するが、この際導電助剤の分散が均一かつ安定でないと導電助剤および活物質が塗膜上に均一に分布できず、結果として電池特性に悪影響を及ぼす。すなわち、活物質含有量の増加に比例して、電池電極板の状態を均一かつ正常に保つ難易度は上昇する。
一般に、分散剤を使用してカーボンブラックを分散する場合、分散剤の量が極端に少なくなるとカーボンブラックの分散性は悪化し、逆に分散剤の量が非常に多くなると分散性は良好になるものの、電池用途で使用する場合には、抵抗値が高くなり導電性が悪化するといった電池特性への悪影響が予想される。また、分散組成物の安定性および塗膜特性は、使用する分散剤に大きく依存することが知られているが、使用する分散剤を変更することなくこれらの特性を大きく改善することは、一般に困難である。
また、分散剤の効果は、pH、イオン強度、含有される材料等の因子によって大きく変わる場合があることが知られており、酸や塩基、塩等を添加剤として添加するだけで分散剤の機能や安定性、塗膜特性が悪化する場合がある。
例えば、特許文献1には、アセチレンブラック、および分散媒を用いた分散組成物が記載されている。また、特許文献2には、カーボンブラック、非イオン性分散剤、および分散媒を用いた分散組成物が記載されている。しかしながら、特許文献1、2で開示されている分散組成物を用いて形成される電極合材層では電池性能および塗膜の均一性が不十分で、かつ、電極合剤層中に活物質量の多い高容量電池では電池電極合剤層中に導電助剤が均一に分布されず、望ましい電池特性が得られない。
さらに、特許文献3には、カーボンブラック、分散剤、バインダー、および電極活物質を含む分散組成物にさらに酸性化合物を含むことで、貯蔵安定性および塗膜物性が改善されると開示されている。しかしながら、活物質量の多い分散組成物への酸性化合物添加は、合剤安定性や均一性に影響を及ぼす懸念がある点において望ましくないため、添加剤等なしでの処方設計が求められる。
さらに、特許文献4には、正極合剤層中に正極活物質を97.6質量%以上含む正極合剤層が形成された正極極板を備える非水電解質二次電池が記載されており、前記正極合剤層中に分散剤を含むことも記されている。しかしながら、カーボンブラック分散組成物については、組成を含めて詳細な記載がなされておらず、カーボンブラック分散組成物の分散性や安定性、均一性等の課題や評価結果についても記載がなく、特に電池特性を満たすために重要となる分散剤量が適切ではないため、開示されている非水電解質二次電池の性能が不十分であるという問題がある。
国際公開第2014/042266号 特許5628503号 特開2016−046188号公報 特許6282595号
以上の状況を鑑み、本発明では、従来公知の高分子型分散剤および分散剤量を用いて得たカーボンブラック分散液と比較して、分散性、分散安定性、および塗膜均一性に優れた、電極活物質含有率の高い電池用カーボンブラック分散組成物および電池電極合剤層を提供すること、さらに、前記電池用カーボンブラック組成物および電池電極合剤層を用いて、電極の密着性および電池特性(サイクル特性)に優れるリチウムイオン二次電池を提供することが課題である。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、メチルセルロースもしくはエチルセルロースを分散剤として使用しさらにその使用量を従来より少量にした分散組成物が、分散性および合剤安定性を向上させ、塗膜均一性の改良に非常に効果があることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
即ち、本発明の実施態様は、カーボンブラックと、分散剤と、N−メチル−2−ピロリドンとを含み、さらに、バインダーと、正極活物質とを含む電池用カーボンブラック分散組成物であって、バインダーが少なくともフッ素原子を有する高分子化合物を含み、分散組成物の固形分100質量部に対する、前記正極活物質の量が、97.8質量部以上であり、分散剤が、メチルセルロース及びエチルセルロースからなる群より選択された少なくとも1種であり、さらに、正極活物質100質量部に対する、前記分散剤の量が、0.05質量部以上0.08質量部以下であることを特徴とする、電池用カーボンブラック分散組成物に関する。
また、本発明の実施態様は、前記分散剤がメチルセルロースであり、かつ、分散剤の重量平均分子量が20,000以上200,000以下の範囲にある、前記電池用カーボンブラック分散組成物に関する。
また、本発明の実施態様は、下記二つの工程により得られる前記電池用カーボンブラック分散組成物の製造方法に関する。
第一の工程;カーボンブラックと、分散剤と、N−メチル−2−ピロリドンとを混合し分散させてカーボンブラック分散スラリーを調製する工程
第二の工程;前工程で得られたカーボンブラック分散スラリーと、正極活物質と、バインダーとを混合し分散させる工程
また、本発明の実施態様は、前記電池用カーボンブラック分散組成物を塗布してなる電池電極合剤層に関する。
また、本発明の実施態様は、集電体上に正極合剤層を有する正極と、集電体上に負極合剤層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極が前記電池電極合剤層を具備してなるリチウムイオン二次電池に関する。
以下、本発明の詳細を説明する。尚、本明細書では、「カーボンブラック分散組成物」、「電池用カーボンブラック分散組成物」を「分散組成物」、「N−メチル−2−ピロリドン」を「NMP」、「正極活物質または負極活物質」を「電極活物質」または「活物質」と略記することがある。
<カーボンブラック>
本発明に用いるカーボンブラックとしては、市販のアセチレンブラック、ファーネスブラック、中空カーボンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、黒鉛化処理されたカーボンブラック、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなども使用できる。
カーボンブラックの酸化処理は、カーボンブラックを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることによって、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基のような酸素含有極性官能基をカーボンブラック表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンブラックの分散性を向上させるために一般的に行われている。
分散液の製造に用いるカーボンブラックの平均一次粒子径としては、一般的な分散組成物や塗料に用いられるカーボンブラックの平均一次粒子径範囲と同様に0.01〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましく、0.01〜0.1μmがさらに好ましい。ここでいう平均一次粒子径とは、電子顕微鏡で測定された算術平均粒子径を示し、この物性値は一般にカーボンブラックの物理的特性を表すのに用いられている。
カーボンブラックの物理的特性を表すその他の物性値としては、BET比表面積やpHが知られている。BET比表面積は、窒素吸着によりBET法で測定された比表面積(以下、単に比表面積と記載)を指し、この比表面積はカーボンブラックの表面積に対応しており、比表面積が大きいほど分散剤を必要とする量も多くなる。pHはカーボンブラック表面の官能基や含有不純物の影響を受けて変化する。
本発明で用いるカーボンブラックは、BET比表面積が20〜1500m2/gのものが好ましく、30〜1000m2/gのものがより好ましく、30〜500m2/gのものが特に好ましい。
本発明で用いるカーボンブラックは、特に限定されるものではないが、アセチレンブラックやファーネスブラックなど、高い導電性を有し、かつ工業的に生産されるカーボンブラックが好適に用いられる。
<分散剤>
本発明における分散剤は、メチルセルロース及びエチルセルロースから選択された少なくとも1種以上のポリマーである。
分散剤の重量平均分子量は、20,000以上200,000以下の範囲にあることが好ましく、40,000以上150,000以下の範囲にあることがより好ましい。さらに、40,000以上100,000以下の範囲になることが特に好ましい。分子量が大きすぎる分散剤を使用すると、得られる分散組成物の粘度が非常に高くなり、加工性や分散組成物およびそれを用いた分散組成物の均一性が悪化する。一方、分子量が小さすぎる分散剤は分散性が乏しく、分散組成物の製造が難しくなる。限られた分散剤量で分散性と安定性を両立するためにも好ましい範囲の分散剤を使用することが望ましい。
<バインダー>
本発明の電池用カーボンブラック分散組成物には、さらに、バインダーを含有させる。本発明の想定する産業上の利用可能性から、バインダーは、フッ素原子を有する高分子化合物を含む。フッ素原子を有する高分子化合物は、フッ化ビニリデン系共重合体であることが好ましく、ポリフッ化ビニリデンであることがさらに好ましい。
産業上は優れた耐性を得るためにこれらのバインダーが主に用いられているが、接着性の弱い樹脂であるために、塗膜にした際の基材に対する密着性が弱く塗工や加工が困難になる場合が多く、さらに、塩基性金属酸化物の存在下で粘性が大きく増大する場合があり、貯蔵安定性に問題が出る場合がある。そのため、フッ化ビニリデン系共重合体やポリフッ化ビニリデンをバインダーとして用いつつも、密着性や貯蔵安定性を良好に維持したカーボンブラック分散組成物が求められている。
また、使用するバインダーは、以下に挙げる樹脂を併用しても良い。併用樹脂としては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等の変性体や混合物、および共重合体でも良い。
また、バインダーとしてのこれらの樹脂類の重量平均分子量は、10,000〜2,000,000が好ましく、100,000〜1,000,000がより好ましく、200,000〜1,000,000が特に好ましい。分子量が小さいとバインダーの耐性や密着性が低下することがある。分子量が大きくなるとバインダーの耐性や密着性は向上するものの、バインダー自体の粘度が高くなり作業性が低下するとともに、凝集剤として働き、分散された粒子が著しく凝集してしまうことがある。
<N−メチル−2−ピロリドン>
本発明の電池用カーボンブラック分散組成物は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を含む。NMPは、リチウムイオン二次電池の電極製造に用いられている。本発明では、分散剤の効果、電池性能を損なわない範囲で、他の溶剤を1種類以上併用しても良いが、本発明の想定する産業上の利用可能性から、NMPを単独で用いることが好ましい。
<活物質>
活物質は、電池内において、電子を送り出し、または受け取り、酸化または還元反応を行う物質である。正極に用いられる正極活物質と、負極に用いられる負極活物質が挙げられる。
<正極活物質>
本発明の電池用カーボンブラック分散組成物には、さらに正極活物質を含有させる。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
本発明で用いる正極活物質は、N−メチル−2−ピロリドン中で塩基性を示すことが好ましく、表面が炭素材料で被覆されていないことがより好ましい。
本発明で用いる正極活物質は、リチウムおよびリチウム以外の金属元素を主要構成成分として含有することが好ましい。本発明で用いる正極活物質は、Al、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属を含むリチウムとの複合酸化物であることが好ましく、Al、Co、Ni、Mnのうちいずれかを含むリチウムとの複合酸化物であることがより好ましく、Ni、および/または、Mnを含むリチウムとの複合酸化物であることが特に好ましい。これらの活物質を用いたとき、特に良好な効果を得ることができる。
より高容量の非水電解質二次電池を得る目的で、本発明における正極活物質の添加量は、電池用カーボンブラック分散組成物の固形分100質量部に対し、97.8質量部以上である。
<負極活物質>
使用する負極活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属Li、またはその合金、スズ合金、シリコン合金負極、LiXFe23、LiXFe34、LiXWO2等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が用いられる。ただし、xは数であり、0<x<1である。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
これらの活物質は、BET比表面積が0.1〜10m2/gのものが好ましく、0.2〜5m2/gのものがより好ましく、0.3〜3m2/gのものがさらに好ましい。
これらの活物質は、平均粒子径が0.05〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜50μmの範囲内である。本明細書でいう活物質の平均粒子径とは、活物質を電子顕微鏡で測定した粒子径の平均値である。
<カーボンブラック分散組成物の製造方法>
本発明のカーボンブラック分散組成物は、分散剤としてメチルセルロース、およびエチルセルロースから選択された1種以上のポリマーを用いて、カーボンブラック、正極活物質、バインダーをNMP中に分散したものである。本発明の組成であれば以下に説明する製造方法によらず、目標品位以上のカーボンブラック分散組成物が得られる。
分散剤とカーボンブラックを同時、または順次添加し、混合することで、分散剤をカーボンブラックに作用(吸着)させつつ分散する。但し、カーボンブラック分散組成物の製造をより容易に行うためには、分散剤をNMP中に溶解、膨潤、または分散させ、その後、液中にカーボンブラックを添加し、混合することで分散剤をカーボンブラックに作用(吸着)させることが、好ましい。
NMP中に分散剤とカーボンブラックと正極活物質とバインダーとを同時に仕込み分散処理を行っても良い。但し、カーボンブラック分散組成物の分散性およびそれを用いた電池特性の更なる向上という観点で、以下のように二つの工程を経て得られることが、より好ましい。二つの工程のうち第一の工程は、カーボンブラックと分散剤とNMPとを混合し分散させる工程(ここで得られる分散液を「カーボンブラック分散スラリー」と称する)であり、第二の工程は、前工程で得られたカーボンブラック分散スラリーと正極活物質とバインダーとを混合し分散させる工程である。
分散装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、乾式処理により、カーボンブラックを分散剤で表面処理した後、分散液を製造する場合について説明する。NMP中に、下記乾式処理により得たカーボンブラックと分散剤の混合物を添加、混合する事により、カーボンブラック分散組成物を得ることが出来る。分散剤により表面処理されたカーボンブラックを得る方法としては、乾式処理による方法が挙げられる。
本発明における乾式処理は、常温もしくは加熱下で乾式処理装置により、カーボンブラックおよび分散剤の混合、粉砕等を行いながら、カーボンブラック表面に分散剤を作用(吸着)させるものである。但し、カーボンブラック表面に分散剤が完全に吸着されている必要はなく、ある程度均質に混合出来ていれば、実用上は問題無い場合もある。使用する装置は、特に限定されるものではく、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、アトライター、振動ミル等のメディア型分散機、ニーダー、ローラーミル、石臼式ミル、プラネタリーミキサー、フェンシェルミキサー、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所)、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン(株))等のメディアレス分散・混錬機が使用できるが、コンタミ等を考慮し、メディアレスの分散・混錬機を使用するのがより好ましい。
また、このとき処理物がゲル状にならない範囲で有機溶剤を添加してもよい。溶剤の添加による分散剤の濡れ、または(一部)溶解、およびカーボンブラックの分散剤に対する濡れが向上することで、カーボンブラックと分散剤間相互作用の促進が期待される。このとき用いる溶剤は特に限定されるものではないが、NMP以外を使用する場合は処理後に乾燥することが望ましい。また、有機溶剤の添加量は用いる材料により異なるが、分散剤の添加量に対して0.5〜100質量%である。さらに、必要に応じて窒素ガスなどを流すことで、乾式処理装置内部を脱酸素雰囲気として処理を行っても良い。
乾式処理時間は、用いる装置によって、また希望とする混練度に応じて任意に設定できる。これらの乾式処理を行うことにより、粉状もしくは塊状の処理物を得ることができる。得られた処理物については、その後さらに、乾燥、粉砕しても良い。
本発明において、電池用カーボンブラック分散組成物に対する固形分の量は、電池用カーボンブラック分散組成物100質量%に対して、1〜90質量%が好ましく、40〜85質量%がより好ましく、55〜85質量%がさらに好ましく、60〜85質量%が特に好ましい。
本発明において、カーボンブラックに対する分散剤としてのメチルセルロース、エチルセルロースの添加量は、カーボンブラック100質量部に対して、1質量部以上、15質量部以下が好ましく、4質量部以上、10質量部以下がさらに好ましく、4質量部以上、8質量部以下が特に好ましい。
電池用カーボンブラック分散組成物における分散剤の添加量は、添加するカーボンブラックの比表面積やカーボンブラック粒子の分散後の平均粒子径、カーボンブラックへの吸着量等により決定される。
また、本発明において、分散剤としてのメチルセルロース、エチルセルロースの添加量は、電池用カーボンブラック分散組成物に含まれる正極活物質100質量部に対して、0.05質量部以上、0.08質量部以下であり、0.05質量部以上、0.07質量部以下が好ましい。
正極活物質に対する、分散剤の量が多すぎると、活物質や導電剤が占める相対的な固形分比率が減少することになるだけではなく、分散剤が電解液に対して溶出または膨潤し、電池電極合剤層としての化学的安定性や物理的な形状の安定性が悪化する場合がある。
本発明において、バインダーの添加量は、電池用カーボンブラック分散組成物に含まれる正極活物質100質量部に対して、0.5質量部以上、20質量部未満が好ましく、0.5質量部以上、10質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上、5質量部以下がさらに好ましく、0.5質量部以上、2質量部以下が特に好ましい。
上記のような比率で配合することにより、本発明が解決しようとする課題である電池用カーボンブラック分散組成物の分散性および塗工適性向上が可能となり、分散性、塗工適性、電池特性に優れた分散液を得ることが容易となる。
<電池>
次に、本発明の組成物を用いた電池について説明する。本発明の組成物は、特にリチウムイオン二次電池に好適に使用することができる。以下ではリチウムイオン二次電池について説明するが、本発明の組成物を用いた電池はリチウムイオン二次電池に限定されるものではない。
リチウムイオン二次電池は、集電体上に正極合剤層を有する正極と、集電体上に負極合剤層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備する。
電極について、使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属や合金が用いられるが、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅の使用が好ましい。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、およびメッシュ状のものも使用できる。また、集電体には、集電体と合剤層との接触抵抗や密着性を向上させる目的で、導電性の下地層を設けても良い。
電極合剤層は、集電体上に上記の電極合剤ペーストを直接塗布し、乾燥することで形成できる。電極合剤層の厚みとしては、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。塗布方法については特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、静電塗装法等が挙げられる。また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
リチウムイオン二次電池を構成する電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO2)3C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、LiBPh4(ただし、Phはフェニル基である。)等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−オクタノイックラクトン等のラクトン類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のグライム類、メチルフォルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート等のエステル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類、アセトニトリル等のニトリル類、1−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。またこれらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
更に上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びこれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の組成物を用いた電池の構造については特に限定されないが、通常、正極および負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型など、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
本発明では、上記課題に支障を及ぼさない範囲で、塗膜物性等の調整等の目的で、従来公知の分散剤や樹脂、添加剤等を併用しても良い。
そのような分散剤としては、例えば、従来公知の色素誘導体や樹脂型分散剤、低分子量の界面活性剤等が挙げられる。また樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、スチレンブタジエンゴムなどの各種ゴム、リグニン、ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、セルロース系樹脂、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルエーテル、キチン類、キトサン類、デンプン等が挙げられる。また添加剤としては、リン化合物、硫黄化合物、アミン化合物やアミド化合物、有機エステル、各種シラン系やチタン系、アルミニウム系のカップリング剤等が挙げられる。これらの従来公知の分散剤や樹脂、添加剤等は、単独または2種類以上併用して用いることが出来る。
<電池用カーボンブラック分散組成物の用途>
本発明の電池用カーボンブラック分散組成物の利用分野としては、リチウムイオン二次電池用電極、電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極などに好適に用いられる。
以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本実施例中、部は質量部を、%は質量%を、それぞれ表す。
実施例及び比較例で使用したカーボンブラック(「CB」と略記することがある)、分散剤、バインダー、電極活物質等を以下に示す。
<カーボンブラック>
・LITX(登録商標)200(CABOT社製):ファーネスブラック、比表面積130m2/g、以下LITX200と略記する。
・LITX(登録商標)HP(CABOT社製):ファーネスブラック、比表面積100m2/g、以下LITXHPと略記する。
・デンカブラックHS−100(デンカ社製):アセチレンブラック、比表面積39m2/g、以下HS−100と略記する。
・デンカブラック粒状品(デンカ社製):アセチレンブラック、比表面積69m2/g、以下粒状品と略記する。
・デンカブラックFX−35(デンカ社製):アセチレンブラック、比表面積133m2/g、以下FX−35と略記する。
<分散剤>
<メチルセルロース・エチルセルロース>
・メトローズSM−15(信越化学社製):メチルセルロース、置換度1.8、20℃における2%水溶液の粘度約15mPa・s、重量平均分子量7万、以下、MC−1と略記する。
・メトローズSM−4(信越化学社製):メチルセルロース、置換度1.8、20℃における2%水溶液の粘度約4mPa・s、重量平均分子量2.5万、以下MC−2と略記する。
・メトローズSM−25(信越化学社製):メチルセルロース、置換度1.8、20℃における2%水溶液の粘度約25mPa・s、重量平均分子量9万、以下、MC−3と略記する。
・エトセルSTD−4(ダウケミカル社製):エチルセルロース、25℃における5%トルエン/エタノール(8/2)溶液の粘度 3.0〜5.5mPa・s、重量平均分子量4万、以下、EC−1と略記する。
・エトセルSTD−10(ダウケミカル社製):エチルセルロース、25℃における5%トルエン/エタノール(8/2)溶液の粘度 9.0〜11.0mPa・s、重量平均分子量8万、以下、EC−2と略記する。
<その他>
・クラレポバール PVA−405(クラレ社製):ポリビニルアルコール、けん化度82モル%、平均重合度500、以下PVA−1と略記する。
・PVP K30(日本触媒社製):ポリビニルピロリドン、分子量約4万、以下PVP−1と略記する。
<バインダー>
・KFポリマーW7300(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン、重量平均分子量約1000000。以下、PVDFと略記する。
・KFポリマーW1100(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン、重量平均分子量約280000。以下、#1100と略記する。
<電極活物質>
・LiNi1/3Mn1/3Co1/32(戸田工業社製):正極活物質、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が5.0μm、窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積が0.62m2/g、以下、NCMと略記する。
・LiNi0.8Co0.15Al0.052(住友金属社製):正極活物質、ニッケルコバルトアルミ酸リチウム、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が5.8μm、窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積が0.38m2/g、以下、NCAと略記する。
<電池用カーボンブラック分散組成物の調製>
[実施例1]
ガラス瓶に、NMPを25部、MC−1を0.05部それぞれ仕込み、充分に混合溶解した。次いで、カーボンブラック粒状品1.0部を仕込み、ホモジナイザーで30分間分散しカーボンブラック分散スラリーを調製した。その後、PVDF1.0部とNCM98部を仕込み、ディスパーにより充分混合、分散することで、電池用カーボンブラック分散組成物BC−1を得た。
[実施例2]
実施例1とは異なり、カーボンブラック、分散剤、溶媒からなるカーボンブラック分散スラリーの作製を経由することなく、電極活物質やバインダーまで全て一度に仕込み分散する方法にて電池用カーボンブラック分散組成物を調製した。
ガラス瓶に、NMPを25部、MC−1を0.05部それぞれ仕込み、充分に混合溶解した。次いで、カーボンブラック粒状品1.0部、PVDF1.0部およびNCM98部を全て仕込み、その後、ディスパーにより充分混合、分散することで、電池用カーボンブラック分散組成物BC−2を得た。
[実施例3〜9、11〜16、比較例3、5〜7]
表1に示す組成に従い、実施例1と同様の方法で電池用カーボンブラック分散組成物BC−3〜9、11〜17、19、21〜23をそれぞれ作製した。
[実施例10、比較例2、4]
表1に示す組成に従い、実施例2と同様の方法で電池用カーボンブラック分散組成物BC−10、18、20をそれぞれ作製した。
<電池用カーボンブラック分散組成物の評価>
実施例、比較例で得られた電池用カーボンブラック分散組成物の評価は、(1)粒度測定、(2)粘度安定性評価、および(3)濾過試験により行った。(1)の粒度測定および(2)粘度安定性評価により、本発明の課題であるカーボンブラック分散組成物の分散性および分散安定性を確認することができる。また、(3)濾過試験により、カーボンブラック分散組成物の分散安定性を確認することができる。評価方法は以下の通りである。
<粒度測定>
実施例、比較例で作製したカーボンブラック分散組成物については、グラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めた。
◎:グラインドゲージにて粗粒子が15μm以上20μm未満の位置に確認できる。(優秀)
○:グラインドゲージにて粗粒子が20μm以上50μm未満の位置に確認できる。(良好)
×:グラインドゲージにて粗粒子が50μm以上200μm未満、または200μm以上の位置に確認できる。(不良)
<粘度安定性評価>
粘度変化率は分散後の粘度測定値を基準としたときの50℃3日間静置保存した後の粘度測定値の変化率によって評価した。変化の少ないものほど安定性が良好であることを示す。粘度値の測定は、B型粘度計(東機産業社製「BL」)を用いて、分散液温度25℃、B型粘度計ローター回転速度60rpmにて、分散組成物をヘラで充分に撹拌した後、直ちに行った。測定に使用したローターは、粘度値が100mPa・s未満の場合はNo.1を、100mPa・s以上500mPa・s未満の場合はNo.2を、500mPa・s以上2000mPa・s未満の場合はNo.3を、2000mPa・s以上10000mPa・s未満の場合はNo.4のものをそれぞれ用いた。粘度変化率は下記の3段階で評価した。
○;粘度変化率の絶対値が20%以下(良好)
△;粘度変化率の絶対値が20%を超えて50%以下(やや不良)
×;粘度変化率の絶対値が50%超え、もしくはゲル化(不良)
<濾過試験>
50℃3日間静置保存した後のカーボンブラック分散組成物を目開き100μmのSUSメッシュスクリーンに通過させ、スクリーンを通過せずスクリーン上に残る残渣を回収した後、140℃1時間の条件で乾燥させた。乾燥させた残渣の固形分を測定し、通過させたカーボンブラック分散組成物固形分総量に対する残渣の固形分の割合により、濾過性を下記3段階で評価した。
○;0%以上、10%未満(良好)
△;10%以上、20%未満(やや不良)
×;20%以上(不良)
実施例1〜16で得られたカーボンブラック分散組成物BC−1〜16は全て分散粒度、濾過性良好であった。
実施例1〜2、5と比較例1〜4との比較により、分散組成物の作製方法によらず分散剤を規定量添加し分散することで分散性、安定性ともに良好となることが示された。分散剤量が多すぎると、ある程度の分散性は得られても安定性不良となり、後述する塗膜均一性や電池特性にも悪影響を及ぼす。分散剤量が少なすぎると、分散性不良となる。
実施例1、6〜9と比較例5〜6より、メチルセルロースもしくはエチルセルロースを分散剤として使用することで、活物質含有率の高い合剤組成で限られた分散剤量で分散性および安定性を両立できることを示した。
<電池電極合剤層の作製>
[実施例17〜32、比較例8〜14]
上記の各実施例、比較例で得られた、正極活物質を含む電池用カーボンブラック分散組成物を電池電極合剤液として、アルミ箔上にドクターブレードを用いて塗工した後、減圧下120℃で30分間乾燥し、乾燥後膜厚100μmの塗膜(電池電極合剤層)L−1〜23を作製した。
得られた電池電極合剤層の評価は、塗膜外観と塗膜均一性評価により行った。
塗膜外観は、目視で、○:問題なし(良好)、△:斑模様あり(可)、×:粗粒の筋引きあり(極めて不良)、とした。塗膜均一性は、分光色差計(日本電色工業社製、SE−6000)を用いて、塗膜の表面および裏面の明度(L値)をそれぞれ測定し、その明度差ΔLを評価した。ΔLが小さいものほど塗膜は均一であることを示す。測定は、C/2光源を用い、測定し、波長範囲を380〜780nmとした。明度差ΔLは下記の3段階で評価した。結果は表2に示した。
○:ΔL≦5(良好)
△:5<ΔL≦10(やや不良)
×:10<ΔL(不良)
表2より、実施例17〜32の電池電極合剤層(L−1〜16)は、比較例8〜14の電池電極合剤層(L−17〜23)と比較して塗膜外観が良好であり、加えて塗膜均一性も良好であることが明らかとなった。L−17〜23では、使用したカーボンブラック分散組成物の粘度安定性の悪さの影響で塗工性が悪く、塗膜外観において良好な結果を得ることはできなかった。また、分散組成物中の活物質およびカーボンブラックの分散性が悪いため、塗膜均一性が得られなかった。
<リチウムイオン二次電池正極評価用セルの組み立て>
[実施例33〜48、比較例15〜21]
先に調製した電池用カーボンブラック分散組成物(BC−1〜BC−23)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ100μmの正極合剤層を作製した。これを直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(厚さ20μm、空孔率50%)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを容量比1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
<リチウムイオン二次電池正極特性評価>
作製した正極評価用セルを30℃で、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を使用して、充電レート1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で、放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計50サイクル行い、充放電を行った。アルゴンガス置換したグローブボックス内で評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観(50サイクル後の塗膜外観)を目視にて確認した。電極の密着性に関して、塗膜外観の評価基準は、集電体からの剥がれが認められず外観に全く変化が無い場合を○(極めて良好)、剥がれてはいないが外観に変化が認められる場合を△(良好)、部分的に合剤層が集電体より剥がれが認められる場合を×(不良)とした。
また、容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の百分率であり、数値が100%に近いものほど良好であることを示す。容量維持率が95%以上の場合を◎(極めて良好)、容量維持率が90%以上95%未満の場合を○(良好)、容量維持率が80%以上90%未満の場合を△(可)とし、集電体からの塗膜の剥離やショート等により正常な充放電曲線が得られず、容量が求められなかった場合は数値無し(−)とした。評価結果を表3に示した。
表3より、本発明の電極を使用した実施例33〜48は、比較例15〜21と比較して、50サイクル後の塗膜外観や容量維持率についても、良好な結果であった。一方、比較例15、19〜20は、塗膜を得ることはできたが、サイクル試験の途中で分散剤が電解液へと溶解または大きく膨潤したため、正極特性を評価することが出来なかった。比較例16〜18、21では良好な塗膜を得ることが出来なかったため、正極特性を評価することが出来なかった。



Claims (5)

  1. カーボンブラックと、分散剤と、N−メチル−2−ピロリドンとを含み、さらに、バインダーと、正極活物質とを含む電池用カーボンブラック分散組成物であって、バインダーが少なくともフッ素原子を有する高分子化合物を含み、分散組成物の固形分100質量部に対する、前記正極活物質の量が、97.8質量部以上であり、分散剤が、メチルセルロース及びエチルセルロースからなる群より選択された少なくとも1種であり、さらに、正極活物質100質量部に対する、前記分散剤の量が、0.05質量部以上0.08質量部以下であることを特徴とする、電池用カーボンブラック分散組成物。
  2. 前記分散剤がメチルセルロースであり、かつ、分散剤の重量平均分子量が20,000以上200,000以下の範囲にある、請求項1に記載の電池用カーボンブラック分散組成物。
  3. 下記二つの工程により得られる請求項1または2記載の電池用カーボンブラック分散組成物の製造方法。
    第一の工程;カーボンブラックと、分散剤と、N−メチル−2−ピロリドンとを混合し分散させてカーボンブラック分散スラリーを調製する工程
    第二の工程;前工程で得られたカーボンブラック分散スラリーと、正極活物質と、バインダーとを混合し分散させる工程
  4. 請求項1または2に記載の電池用カーボンブラック分散組成物を塗布してなる電池電極合剤層。
  5. 集電体上に正極合剤層を有する正極と、集電体上に負極合剤層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極が請求項4記載の電池電極合剤層を具備してなるリチウムイオン二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP4300634A1 (en) * 2022-05-30 2024-01-03 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Carbon black dispersion composition for battery, mixture paste for positive electrode, positive electrode for lithium-ion secondary battery, and lithium-ion secondary battery
EP4560718A1 (en) * 2023-11-22 2025-05-28 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Carbon black dispersed composition for batteries, positive electrode-forming mix paste, lithium-ion secondary battery-forming positive electrode, and lithium-ion secondary battery

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