[go: up one dir, main page]

JP2020012169A - ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020012169A
JP2020012169A JP2018135950A JP2018135950A JP2020012169A JP 2020012169 A JP2020012169 A JP 2020012169A JP 2018135950 A JP2018135950 A JP 2018135950A JP 2018135950 A JP2018135950 A JP 2018135950A JP 2020012169 A JP2020012169 A JP 2020012169A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel sheet
ferrite
thickness
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018135950A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7155703B2 (ja
Inventor
弘宜 若松
Hironori Wakamatsu
弘宜 若松
圭佑 毛利
Keisuke Mori
圭佑 毛利
藤原 智
Satoshi Fujiwara
智 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018135950A priority Critical patent/JP7155703B2/ja
Publication of JP2020012169A publication Critical patent/JP2020012169A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7155703B2 publication Critical patent/JP7155703B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

【課題】DWTT特性および耐HIC特性に優れたラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板の化学組成が、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.10〜0.50%、Mn:1.00〜1.80%、P:0.020%以下、S:0.0010%以下、Cu:0.10〜0.50%、Ni:0.10〜0.50%、Nb:0.005〜0.050%、Ti:0.005〜0.030%、Al:0.010〜0.040%、N:0.0010〜0.0050%、B:0.001%以下、任意元素等、残部:Feおよび不純物であり、Pcmが0.15〜0.23であり、Ceqが0.35〜0.43であり、板厚中心部における金属組織が、面積率で、20〜35%のフェライト、および2.0%以下の硬質相を含み、残部がベイナイトであり、かつ、板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径が20.0μm以下であり、鋼板表層におけるフェライトの面積率と板厚中心部におけるフェライトの面積率との差が5.0%以下であり、介在物の最大長径が30.0μm以下であり、板厚が30〜45mmである、ラインパイプ用厚鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法に関する。
石油、天然ガス輸送用のパイプラインに使用される鋼管には、様々な性能が要求される。その一例としては、「耐HIC特性」および「DWTT特性」が例示される。
「耐HIC特性」とは、外部応力が作用しない場合でも発生する水素誘起割れ(以下、「HIC」と記載する。)について、そのしにくさを示す特性である。そして、「HIC」は、例えば、ラインパイプ用鋼管の使用環境のような、硫化水素等と水分とが共存する環境において発生することが知られている。また、「DWTT特性」とは、低温における靭性、特に脆性亀裂伝播停止特性の評価手法の一つである落重引裂試験(DWTT)を行なった際の特性である。
さらに、近年では、水深の深い領域、具体的には、水深1000mm以上の領域でラインパイプが使用される場合がある。このような場合、耐圧の観点から、ラインパイプ用鋼管には、肉厚を厚くする、いわゆる厚肉化が要求される。従来は、ラインパイプ用鋼管の肉厚が概ね25mm以下であった。一方、使用環境が水深の深い領域となるにつれ、肉厚が30〜45mmであることが要求されつつある。そのため、ラインパイプ用鋼管の素材となる鋼板においても、板厚を厚くすることが要求されている。
国際公開第2015/030210号
しかしながら、鋼板の板厚が厚くなると、その金属組織を適切に制御することが難しくなる。つまり、鋼管用素材となる板厚の厚い鋼板を、肉厚25mm以下である従来の鋼管の素材鋼板と同じ条件で製造すると、目的とする金属組織を得ることが難しい。その結果、ラインパイプ用鋼管に、要求される特性、例えば、DWTT特性等を具備させることが難しい場合がある。
特許文献1では、深海での使用を想定した板厚25〜45mmの耐サワーラインパイプ用鋼板が開示されている。特許文献1で開示された鋼板は、表層部および板厚中心部の金属組織を異なる組織に制御し、表層部において加工フェライトを形成させることで、DWTT特性、耐HIC特性だけでなく、耐圧潰特性を具備させている。
本発明は、DWTT特性および耐HIC特性に優れたラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記のラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.03〜0.08%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:1.00〜1.80%、
P:0.020%以下、
S:0.0010%以下、
Cu:0.10〜0.50%、
Ni:0.10〜0.50%、
Nb:0.005〜0.050%、
Ti:0.005〜0.030%、
Al:0.010〜0.040%、
N:0.0010〜0.0050%、
B:0.001%以下、
Cr:0〜0.50%、
Mo:0〜0.10%、
V:0〜0.05%、
Ca:0〜0.02%、
Mg:0〜0.02%、
REM:0〜0.02%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で示すPcmが0.15〜0.23であり、
下記(ii)式で示すCeqが0.35〜0.43であり、
板厚中心部における金属組織が、面積率で、
20〜35%のフェライト、および
2.0%以下の硬質相を含み、
残部がベイナイトであり、かつ、
板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径が20.0μm以下であり、
鋼板表層におけるフェライトの面積率と板厚中心部におけるフェライトの面積率との差が5.0%以下であり、
介在物の最大長径が30.0μm以下であり、
板厚が30〜45mmである、ラインパイプ用厚鋼板。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・(i)
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(ii)
但し、上記(i)および(ii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Cr:0.10〜0.50%、
Mo:0.05〜0.10%、および
V:0.01〜0.05%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)に記載のラインパイプ用厚鋼板。
(3)前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0005〜0.02%、
Mg:0.0005〜0.02%、および
REM:0.0005〜0.02%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載のラインパイプ用厚鋼板。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のラインパイプ用厚鋼板を製造する方法であって、
(a)鋼片を1100〜1250℃の温度域に加熱し、均熱化する工程と、
(b)前記鋼片に粗圧延を行い、被圧延体とする工程と、
(c)前記被圧延体の表面温度がAr点−10℃〜Ar点+60℃の範囲で仕上圧延を開始し、前記仕上圧延開始時より高い表面温度で前記仕上圧延を完了し、鋼板とする工程と、
(d)前記鋼板の表面温度がAr点+10℃〜Ar点+50℃の範囲で、かつ仕上圧延開始時の表面温度よりも高い温度で水冷を開始し、
400〜500℃の温度域で前記水冷を停止し、室温まで空冷する工程と、
を備える、ラインパイプ用厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、DWTT特性および耐HIC特性に優れたラインパイプ用厚鋼板を得ることができる。
本発明者らは、30〜45mm厚の鋼板を用いても、所望する特性を満足するラインパイプ用鋼管を製造するため、以下の検討を行なった。具体的には、本発明者らは、25mm以下の厚さの鋼板を製造する際の条件で、上記30〜45mm厚の鋼板を製造し、その組織の違いについて調査した。その結果、以下(a)〜(e)の知見を得た。
(a)25mm以下の厚さの鋼板では、表層と板厚中心部とにおける金属組織の差が少なかった。一方、30mm以上の厚さの鋼板では、板厚中心部における結晶粒が変化し、表層と板厚中心部とにおける金属組織は大きく相違していた。
(b)30mm以上の鋼鈑では、板厚中心部においてDWTT特性が低下した。これは、板厚中心部において、フェライト量が低下し、かつ結晶粒が粗大化したためと考えられる。
(c)上記を踏まえ、30mm以上の板厚の鋼板において、目的とする特性を得るために、表層と板厚中心部との金属組織の差異を小さくし、両部位における特性のばらつきを小さくする必要がある。
(d)表層と板厚中心部との金属組織の差異を小さくするためには、製造工程において、両部位における温度差を小さくし、同じような熱履歴をたどるのが好ましい。
(e)このためには、圧延時に復熱を利用して、表層と板厚中心部との温度差を小さくすることが有効である。ここで、復熱とは、冷却を止めることで、鋼板内部の熱が伝熱し、鋼板の表面温度が上昇する現象をいう。板厚の厚い鋼板では、水冷により鋼板表面においては直接水がかかるため、鋼板表面は比較的冷却されやすい。一方、鋼板内部は抜熱ができず冷却されにくい。一旦、冷却を停止すれば、鋼板内部の熱を鋼板表面に伝熱して鋼板表面の温度が上昇するため、表層と板厚中心部との温度差を小さくできる。これにより、表層と板厚中心部とにおいて、全く同じ熱履歴をたどることはできないが、板厚中心部における金属組織は、表層における金属組織に近い組織となる。また、粗大化しやすい板厚中心部における結晶粒についても微細化することができる。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.03〜0.08%
Cは鋼の強度を改善する。このため、C含有量は0.03%以上とし、0.04%以上であるのが好ましい。しかしながら、過剰にCを含有させると、圧延工程または圧延後の冷却工程におけるパーライト変態時にCの偏析を引き起こし、局所的に硬化させる。このような局所的な硬化は、耐HIC性を低下させる。このため、C含有量は0.08%以下とし、0.06%以下であるのが好ましい。
Si:0.10〜0.50%
Siは、脱酸剤として有効であり、その含有量が少なすぎると脱酸が不十分になる。また、Siは鋼の強度、および耐HIC特性を向上させる。このため、Si含有量は0.10%以上とし、0.12%以上であるのが好ましい。しかしながら、Si含有量が過剰であると、却って、粗大介在物が生成し、耐HIC特性が低下する。加えて、溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)にマルテンサイトが生成し、靭性低下を引き起こす。このため、Si含有量は0.50%以下とし、0.30%以下であるのが好ましい。
Mn:1.00〜1.80%
Mnは、鋼の強度および靭性の向上に寄与する。Mn含有量が不足すると、強度を向上させるため、他の合金元素を添加しなければならない。これにより、製造コストを増加させる。このため、Mn含有量は1.00%以上とし、1.10%以上であるのが好ましい。しかしながら、Mn含有量が過剰であると、連続鋳造スラブに中心偏析を引き起こし、圧延工程または圧延後の水冷工程で、Mn偏析部にCが濃化し、鋼板を局所的に硬化させる。この結果、耐HIC性が低下する。このため、Mn含有量は1.80%以下とし、1.50%以下であるのが好ましい。
P:0.020%以下
Pは不純物である。Pは、スラブ中央部に偏析し、組織を硬化させ、HICを引き起こす。また、Pは、DWTT特性をも低下させる。このため、P含有量は0.020%以下とする。
S:0.0010%以下
Sは不純物である。Sは、Mnと結合してMnSを形成する。このMnSは、HICの起点となるため、Sは低減されるのが好ましい。また、SはDWTT特性を低下させる。このため、S含有量は、0.0010%以下とする。
Cu:0.10〜0.50%
Cuは靭性および耐HIC性の向上に寄与する。このため、Cu含有量は0.10%以上とし、0.12%以上であるのが好ましい。しかしながら、Cuの過度な含有は、製造コストを増加させる。このため、Cu含有量は0.50%以下とし、0.40%以下であるのが好ましい。
Ni:0.10〜0.50%
Niは強度および靭性の向上に寄与する。また、Cuの1/2倍以上のNi量を含有させると、Cuチェッキングを防止する効果がある。このため、Ni含有量は0.10%以上とし、0.12%以上であるのが好ましい。しかしながら、過剰なNiは製造コストを増加させる。また、溶接性をも低下させる。このため、Ni含有量は0.50%以下とし、0.45%以下であるのが好ましい。
Nb:0.005〜0.050%
Nbは結晶粒を微細化し、強度および靭性を改善する。Nbは、オーステナイト未再結晶域で圧延した後、Ar変態点以上の温度から急冷することで、金属組織を細粒な下部ベイナイト組織にする。このため、Nb含有量は0.005%以上とし、0.010%以上であるのが好ましい。しかしながら、Nb含有量が過剰であると、スラブを加熱する際、スラブ中のNb炭窒化物が完全に溶解せず、未溶解のNb炭窒化物がHICの起点となる。このため、Nb含有量は0.050%以下とし、0.040%以下であるのが好ましい。
Ti:0.005〜0.030%
TiはTi炭窒化物を形成し、鋼の強度向上に寄与する。このため、Ti含有量は0.005%以上とし、0.007%以上であるのが好ましい。しかしながら、Ti含有量が過剰であると、Ti炭窒化物が粗大化し、HAZにおける靭性を低下させる。さらに、連続鋳造スラブの中央部に過剰なTi炭窒化物が形成され、HICを引き起こす。このため、Ti含有量は0.030%以下とし、0.025%以下であるのが好ましい。
Al:0.010〜0.040%
Alは脱酸剤であり、また、靭性の向上に寄与する。このため、Al含有量は0.010%以上とし、0.015%以上であるのが好ましい。しかしながら、Al含有量が過剰であると、介在物が過剰に形成し、鋼の清浄性を低下させる。この結果、耐HIC特性が低下する。また、過剰なAlは、却って靭性をも低下させる。このため、Al含有量は0.040%以下とし、0.035%以下であるのが好ましい。
N:0.0010〜0.0050%
Nは、鋼を転炉などの大気雰囲気で溶製する場合、鋼中に不可避的に侵入する元素である。また、Nは、鋼材中でAlおよび/またはTiなどと窒化物を形成する元素である。これらの窒化物は、熱間加工の過程でピン留め粒子として結晶粒を微細化する効果を有する。この結果、Nは鋼材の機械特性に影響を与えるとともに、金属組織の形成にも影響を与え、靭性を向上させる。このため、N含有量は0.0010%以上とし、0.0015%以上であるのが好ましい。しかしながら、N含有量が過剰であると、窒化物が連続鋳造時にオーステナイト粒界に動的析出し、鋳片表面割れの原因となる。このため、N含有量は0.0050%以下とし、0.0040%以下であるのが好ましい。
B:0.001%以下
Bは不純物である。Bが鋼中に多く含有すると、靭性低下を招くので、不純物として含有していたとしても、B含有量は0.001%以下とし、0.0005%以下であるのが好ましい。なお、後述する表1および表2に示す鋼片の組成のうちBが「−」で示された鋼片は、当該鋼片を組成分析した際にBが検出されなかったことを示す。
本発明に係る鋼板は、上記元素に加え、Cr、Mo、V、Ca、MgおよびREMから選択される1種以上の元素を含有させてもよい。
Cr:0〜0.50%
Crは、強度および耐食性の向上に寄与するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cr含有量が過剰であると、製造コストを増加させ、溶接性を低下させる。このため、Cr含有量は0.50%以下とし、0.45%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を確実に得るためには、Cr含有量は0.10%以上であるのが好ましく、0.12%以上であるのがより好ましい。
Mo:0〜0.10%
Moは焼入性を改善することで、強度向上に寄与する。具体的には、Moはオーステナイトからフェライトおよび/またはパーライトへの変態を遅らせる。このように鋼板を所望する強度にするため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moを過剰に含有させると、製造コストを増加させる。このため、Mo含有量は0.10%以下とし、0.08%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を確実に得るためには、Mo含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.06%以上であるのがより好ましい。
V:0〜0.05%
Vは、析出硬化により強度向上に寄与する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、V含有量が過剰であると、製造コストを増加させる。このため、V含有量は0.05%以下とし、0.04%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を確実に得るためには、V含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.02%以上であるのがより好ましい。
Ca:0〜0.02%
Caは、熱間加工性を高める効果を有する。また、Caは、鋼中のSと反応し、溶鋼中で酸・硫化物(以下、「オキシサルファイド」ともいう。)を形成する。一般的に、MnSなどの介在物は、熱間加工、例えば、圧延加工において、介在物が延伸し、延伸した介在物の先端などが割れの起点となる場合がある。これに対し、上述のオキシサルファイドは、圧延加工において圧延方向に伸びることなく、その形状は球状のままである。このため、Caは溶接割れまたはHICを抑制する作用があり、Caを必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Ca含有量が0.002%を超えると、靱性の劣化を招くことがある。このため、Ca含有量は0.02%以下とし、0.005%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を確実に得るためには、Ca含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましい。
Mg:0〜0.02%
Mgは、熱間加工性を高める効果を有する。また、Mgには、Mg含有酸化物を生成して、TiNの発生核となり、TiNを微細分散させる効果もある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が0.02%を超えると、酸化物の形成量が過剰となり、延性低下をもたらす。このため、Mg含有量は0.02%以下とし、0.005%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mg含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましい。
REM:0〜0.02%
REMは、熱間加工性を高める効果を有する。また、REMには、HAZ組織を微細化させる作用もある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REM含有量が過剰であると、介在物となって清浄性を低下させる。また、REMの添加により形成される介在物は、比較的、靱性を劣化させにくい。とはいえ、REM含有量が0.02%超であると、介在物による母材の靱性の低下を無視できない。このため、REM含有量は0.02%以下とし、0.005%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましい。
なお、本発明における「REM」は、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は、REMのうちの1種以上の元素の合計含有量を指す。
本発明に係る鋼板の残部は、Feおよび不純物である。ここで、不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本発明の鋼板に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
2.溶接割れ感受性指数
Pcm:0.15〜0.23
Pcmは、いわゆる「溶接割れ感受性指数」であり、低温割れの生じやすさを評価する指標として、一般に広く用いられている。Pcmは下記(i)式で示される。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
本発明に係る鋼板においては、上記Pcmを0.15〜0.23とする。ところで、水深の深い領域で使用するためには、460MP以上の引張強度を有することが目安とされる。そして、Pcmが0.15未満であると、上記範囲の引張強度を得にくくなる。このため、Pcmは0.15以上とし、0.16以上であるのが好ましく、0.17以上であるのがより好ましい。一方、Pcmが0.23を超えると、鋼板を管状にして溶接した際に、溶接割れが生じやすくなる。このため、Pcmは0.23以下とし、0.22以下であるのが好ましく、0.21以下であるのがより好ましい。
3.炭素当量
Ceq:0.35〜0.43
Ceqは、いわゆる「炭素当量」であり、鋼板の焼入性または溶接性を評価する指標として、一般に広く用いられている。Ceqは下記(ii)式で示される。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(ii)
但し、上記(ii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
本発明に係る鋼板においては、上記Ceqを0.35〜0.43とする。Ceqが0.35未満では、Pcmと同様、460MPa以上の引張強度を得にくくなる。このため、Ceqは0.35以上とし、0.36以上であるのが好ましく、0.37以上であるのがより好ましい。一方、Ceqが0.43を超えると、焼入性が過度に高まり、溶接性の劣化を引き起こし、溶接施工が困難になる。このため、Ceqは0.43以下とし、0.42以下であるのが好ましく、0.41以下であるのがより好ましい。
4.金属組織
4−1.板厚中心部における金属組織
本発明における鋼板では、鋼板表層に比べ、冷却されにくく,組織制御が難しい板厚中心部における金属組織を先ず規定する。具体的には、板厚中心部における金属組織が、面積率で、20〜35%のフェライト、および2.0%以下の硬質相を含み、残部をベイナイトとする。
4−1−1.フェライト
耐サワー性能および強度を両立するために、本発明に係る鋼板の板厚中心部における組織は、ベイナイトを主相とする。しかしながら、ベイナイトは低温靭性に欠けるため、ベイナイト単相では、所望するDWTT特性を得ることができない。DWTT特性を具備させるためには、板厚中心部においてフェライトを有する金属組織とする。
本発明に係る鋼板では、板厚中心部において、フェライトは、面積率で、20〜35%とする。板厚中心部におけるフェライトが、面積率で、20%未満であると、十分なDWTT特性を得ることができない。このため、板厚中心部におけるフェライトは、面積率で、20%以上とし、25%以上であるのが好ましい。
一方、板厚中心部におけるフェライトが、面積率で、35%を超えると、強度が低下するだけでなく、耐HIC性能も低下する。このため、板厚中心部におけるフェライト量は、面積率で、35%以下とし、30%以下であるのが好ましい。
4−1−2.硬質相
本発明に係る鋼板は、板厚中心部において、基本的には、ベイナイトおよびフェライトからなる組織とするが好ましい。しかしながら、フェライトの生成時に、固溶していたC(炭素)が周囲に排出され、Cが濃化した硬質相が形成される場合がある。この硬質相はHICの起点となるため、極力生成させないことが望ましく、硬質相が、面積率で、2.0%以下であれば、ラインパイプとしての特性に影響はない。このため、硬質相は、面積率で2.0%以下とし、1.5%以下であるのが好ましい。なお、硬質相としては、例えば、セメンタイト、MAなどが例示される。
4−1−3.ベイナイト
上述したように耐サワー特性および強度を両立するために、本発明に係る鋼板の板厚中心部における組織は、フェライトおよび硬質相を除く残部をベイナイトとする。ここで、上記ベイナイトには、いわゆる「ベイニティックフェライト」、および「アシキュラーフェライト」を含む。
4−1−4.板厚中心部における平均結晶粒径
板厚中心部は、最も結晶粒径が粗大化しやすく、靭性低下が生じやすい。このような板厚中心部における結晶粒の粗大化は、DWTT特性を低下させる。このため、DWTT特性においては、板厚中心部における平均結晶粒径が特に重要である。具体的には、板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径が20.0μmを超えると、DWTT特性が低下する。このため、本発明に係る鋼板では、板厚中心部におけるフェライトの平均結晶粒径が20.0μm以下とし、18.0μm以下であるのが好ましい。
なお、フェライトの平均結晶粒径の下限については、特に規定しないが、通常、板厚中心部におけるフェライトの平均結晶粒径は10.0μm以上となる。
4−2.表層および板厚中心部におけるフェライトの面積率の差
本発明に係る鋼板では、表層と板厚中心部における特性差を少なくするため、表層におけるフェライトの面積率と、板厚中心部におけるフェライトの面積率との差(以下、単に「フェライト面積率の差」と記載する。)を5.0%以下とする。
すなわち、鋼板表層におけるフェライトの面積率から板厚中心部におけるフェライトの面積率を差し引いた値を−5.0〜5.0%の範囲内とする。なお、本発明における表層とは、鋼板の表面から板厚方向に1.0mmの深さ位置を指す。
DWTT特性は、表層または板厚中心部等、一部の部位だけでなく、鋼板全体において、その特性が良好であることが要求される。フェライト面積率の差が、5.0%超であると、表層と板厚中央部とにおいて衝撃時の伸びに大きな差が生じ、DWTT特性が低下する。このため、フェライト面積率の差は5.0%以下とし、4.0%以下であるのが好ましい。なお、フェライト面積率の差は、上述した方法で表層および板厚中心部におけるフェライト面積率を算出し、その差を求めることにより導出する。
4−3.介在物の最大長径
粗大な介在物は、HICの原因となるため、可能な限り生成を抑制するのが好ましい。ここで、介在物とは、例えば、MnS(マンガンサルファイド)、NbC(ニオブカーバイド)等が例示される。本発明に係る鋼板では、介在物の最大長径を30.0μm以下とし、25.0μm以下であるのが好ましい。上述のように、介在物の最大長径が30.0μmを超えると、HICが生じやすくなるためである。
なお、介在物の長径は、倍率を1000倍として電子走査顕微鏡(SEM)で介在物を撮影し画像データから介在物を特定して最も長い直線端部を長径として測定する。また、測定視野数は5視野とする。
5.板厚
本発明に係る鋼板の板厚は、その用途から30〜45mmの範囲とする。
6.特性
本発明に係る鋼板においては、鋼管に製造した際の強度が、アメリカ石油協会規格API 5L(以下、単に「API 5L」とする。)のX52〜65グレードの強度、つまり引張強度(以下、「TS」ともいう。)が460〜760MPa、降伏強度(以下、「YS」ともいう。)が360〜600MPaの範囲を満足することを目標とする。また、DWTT延性破面率が85%以上の場合を、DWTT特性が良好なものとして判断し、耐HIC特性については、HIC試験を行い、割れが認められない場合、同特性が良好であると判断する。
7.製造方法
上記の化学組成を有する鋼片を連続鋳造法により製造する。以下において、本発明に係る鋼板の製造方法について説明する。
7−1.加熱工程
鋼片は1100〜1250℃の温度域で加熱し、均熱化する。鋼片の加熱は、加熱による軟化作用により圧延工程をスムーズに行うことが主目的である。また、鋼片中に存在するNb炭窒化物を溶解し、Nbを固溶させればHICの発生を防止することができる。このため、鋼片は1100℃以上に加熱し、1130℃以上で加熱するのが好ましい。
一方、加熱温度が高すぎても、加熱に使用するエネルギーが無駄となる。また、スケール疵の発生も多くなる。また、加熱温度が高すぎると、結晶粒が粗大化し、DWTT特性が低下する場合もある。このため、鋼片は1250℃以下で加熱し、1200℃以下で加熱するのが好ましい。また、加熱後は十分な均熱を行うことが必要である。均熱が不十分であり、鋼片の温度がそれぞれの部位で大きく異なると、後工程である圧延工程で圧延が不均一になるだけでなく、圧延工程後の冷却工程でも組織制御を上手く行うことができない。この結果、目的とする金属組織を得ることが出来ない。
7−2.圧延工程
圧延は、鋼片に粗圧延を行ない、鋼片を被圧延体とする。続いて、前述の被圧延体に仕上圧延を行ない、鋼板とする。なお、粗圧延終了時の表面温度よりも低い温度から仕上圧延を開始する。仕上圧延では、被圧延体の表面温度がAr点−10℃〜Ar点+60℃の範囲で仕上圧延を開始し、仕上圧延開始時より高い表面温度で仕上圧延を完了する。
仕上圧延では、被圧延体の内部まで未再結晶温度域とし、圧下することで結晶粒の微細化する。仕上圧延開始温度が、Ar点−10℃未満であると、後述するように、仕上圧延中に被圧延体が十分に復熱しない。一方、被圧延体の仕上圧延開始時における表面温度が、Ar点+60℃超であると、再結晶温度域での圧下となり結晶粒が粗大化する。この結果、DWTT特性が低下する。この結果、フェライトが過剰に生成し、十分な強度を得ることができず、耐HIC特性も低下する。
なお、本発明においては、Ar点か、下記の(a)式により定義される。
Ar(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo+0.35(t−8) ・・・(a)
但し、上記式中の記号は以下により定義され、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
t(mm):圧延完了後の鋼板の板厚
また、仕上圧延は、仕上圧延開始時より高い表面温度で仕上圧延を完了する。仕上圧延においては、内部の熱により鋼板の表面温度が上昇する、復熱を利用する。通常、圧延時の抜熱により、仕上圧延完了時の方が、仕上げ圧延開始時より表面温度が低くなる。しかしながら、本発明に係る鋼板の製造では、鋼板内部に蓄熱された熱を利用し、復熱により表面温度を上昇させる。これにより、仕上圧延開始時より仕上圧延完了時の方が高い表面温度となるよう制御できる。このように、復熱により表面温度を上昇させることで、鋼板表層および板厚中央部における温度差が小さくなり、この結果、板厚全体における組織を均一化させることができる。
なお、粗圧延では、おおよそ鋼板の最終板厚の3〜5倍まで圧下する。そして、仕上圧延でさらに圧下し、板厚25〜40mmの鋼板とする。
7−3.冷却工程
圧延後においても、鋼板をそのまま復熱させ、その後、鋼板を水冷する。鋼板の表面温度がAr点+10℃〜Ar点+50℃の温度域から、水冷を開始する。また、鋼板の表面温度が仕上圧延開始時の表面温度よりも高い温度で、水冷を開始する。水冷開始温度(表面温度)がAr点+10℃未満であるとフェライトの生成が過剰になり、十分な強度を得ることができない。また、フェライト量が過剰により耐HIC特性も低下する。一方、水冷開始温度がAr点+50℃超であると、鋼板の結晶粒が粗大化し、所望するDWTT特性を得ることができない。
上述したように、鋼板の表面温度が仕上圧延開始時より高い温度で、水冷を開始する。本発明に係る鋼板は板厚が厚いため、上述したように、復熱により仕上圧延中から仕上圧延終了直後において、鋼板の内部熱により表面温度が上昇する。そして、仕上圧延終了後、しばらく時間が経過すると、鋼板の表面温度は徐々に低下する。鋼板温度が低下してから水冷を開始すると、鋼板表層および板厚中心部における温度差が大きくなる。このため、鋼板の温度を均一化し、鋼板全体における組織を均一化させるため、鋼板の表面温度が仕上圧延開始時より高い温度で、水冷を開始する。
そして、400〜500℃の温度域で水冷を停止し、室温まで空冷する。水冷を停止する温度が500℃超であると、生成するフェライト量が多くなり、所望する強度および耐HIC特性を得ることができない。一方、水冷停止温度が400℃未満であると、フェライト量が低下し、ベイナイト相が増加しすぎてDWTT特性が低下する。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1および2に示す組成を有する300mm厚の鋼片を連続鋳造法にて作製した。表3および4に示す製造条件により製造し、その後、室温まで空冷し、鋼板を製造した。
Figure 2020012169
Figure 2020012169
Figure 2020012169
Figure 2020012169
製造した鋼板は以下に示す方法により、金属組織および特性を調査した。鋼板の板幅中心部から、鋼板全厚のサンプルを切り出し、L断面を鏡面研磨後、レペラー腐食し鋼板の表面から板厚方向に深さ1.0mmの部位および板厚中心部の部位について、光学顕微鏡により500倍の倍率でミクロ組織を撮影し、画像解析によりMAの面積率を求めた。一方、フェライトおよびMA以外の硬質相のミクロ組織については、レペラー腐食したサンプルを再利用し、再度鏡面研磨後、ナイタール腐食し、光学顕微鏡により500倍の倍率でミクロ組織を撮影し画像解析により面積率を求めた。面積率を求めるにあたり撮影視野を5視野として、その平均値をMA、フェライトおよびMA以外の硬質相の面積率とし、これらの面積率の和から計算される残部をベイナイトの面積率とした。
板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径は、ナイタール腐食したサンプルからの画像解析の結果を用いて各フェライト粒の円相当粒径を求めてその平均値を平均結晶粒径とした。この場合も撮影視野を5視野とした。介在物サイズはSEMにより1000倍で介在物を撮影し画像データから介在物を特定して最も長い直線端部を長径として測定した。
鋼板の板幅中心部から、幅方向を長手方向とし、アメリカ石油協会規格API 5Lに準拠した全厚試験片を2本ずつ採取し、室温で引張試験を行い降伏応力及び引張強度を求めた。深海で使用することを考慮して、X52〜X65グレード(引張強度460〜760MPa、降伏強度360〜600MPa)を満足するものを良好なものとして判断した。
鋼板の板幅中心部から、幅方向を長手方向とする全厚のDWT試験片を採取した。DWT試験もAPI 5Lに準拠して−20℃で行い、DWTT延性破面率を測定した。ここで、DWTT延性破面率が85%以上の場合を耐DWTT特性が良好なものとした。
耐HIC特性はNACE Standard TM 0284に準じた、A溶液中浸漬時間96時間のHIC試験を行い、割れが認められない場合を耐HIC特性が良好と判断して○で、割れが発生した場合を×で示した。
これらの特性を表5および6に示す。
Figure 2020012169
Figure 2020012169
鋼種No.1〜20は、本発明の規定および好ましい製造条件を満足するため、良好な強度、DWTT特性、および耐HIC特性を得ることができた。一方で、鋼種No.21〜37は、本発明で規定する化学組成を満足せず、強度、DWTT特性、耐HIC特性の少なくともいずれかが劣る結果となった。そして、本発明で規定する化学組成を満足するが、好ましい製造条件を満足しないNo.38〜47についても、強度、DWTT特性、耐HIC特性の少なくともいずれかが劣る結果となった。


Claims (4)

  1. 鋼板の化学組成が、質量%で、
    C:0.03〜0.08%、
    Si:0.10〜0.50%、
    Mn:1.00〜1.80%、
    P:0.020%以下、
    S:0.0010%以下、
    Cu:0.10〜0.50%、
    Ni:0.10〜0.50%、
    Nb:0.005〜0.050%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    Al:0.010〜0.040%、
    N:0.0010〜0.0050%、
    B:0.001%以下、
    Cr:0〜0.50%、
    Mo:0〜0.10%、
    V:0〜0.05%、
    Ca:0〜0.02%、
    Mg:0〜0.02%、
    REM:0〜0.02%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    下記(i)式で示すPcmが0.15〜0.23であり、
    下記(ii)式で示すCeqが0.35〜0.43であり、
    板厚中心部における金属組織が、面積率で、
    20〜35%のフェライト、および
    2.0%以下の硬質相を含み、
    残部がベイナイトであり、かつ、
    板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径が20.0μm以下であり、
    前記鋼板表層におけるフェライトの面積率と板厚中心部におけるフェライトの面積率との差が5.0%以下であり、
    介在物の最大長径が30.0μm以下であり、
    板厚が30〜45mmである、ラインパイプ用厚鋼板。
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・(i)
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(ii)
    但し、上記(i)および(ii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Cr:0.10〜0.50%、
    Mo:0.05〜0.10%、および
    V:0.01〜0.05%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載のラインパイプ用厚鋼板。
  3. 前記化学組成が、質量%で、
    Ca:0.0005〜0.02%、
    Mg:0.0005〜0.02%、および
    REM:0.0005〜0.02%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1または2に記載のラインパイプ用厚鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のラインパイプ用厚鋼板を製造する方法であって、
    (a)鋼片を1100〜1250℃の温度域に加熱し、均熱化する工程と、
    (b)前記鋼片に粗圧延を行い、被圧延体とする工程と、
    (c)前記被圧延体の表面温度がAr点−10℃〜Ar点+60℃の範囲で仕上圧延を開始し、前記仕上圧延開始時より高い表面温度で前記仕上圧延を完了し、鋼板とする工程と、
    (d)前記鋼板の表面温度がAr点+10℃〜Ar点+50℃の範囲で、かつ仕上圧延開始時の表面温度よりも高い温度で水冷を開始し、
    400〜500℃の温度域で前記水冷を停止し、室温まで空冷する工程と、
    を備える、ラインパイプ用厚鋼板の製造方法。

JP2018135950A 2018-07-19 2018-07-19 ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法 Active JP7155703B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018135950A JP7155703B2 (ja) 2018-07-19 2018-07-19 ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018135950A JP7155703B2 (ja) 2018-07-19 2018-07-19 ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020012169A true JP2020012169A (ja) 2020-01-23
JP7155703B2 JP7155703B2 (ja) 2022-10-19

Family

ID=69170353

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018135950A Active JP7155703B2 (ja) 2018-07-19 2018-07-19 ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7155703B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112746224A (zh) * 2020-12-30 2021-05-04 钢铁研究总院 一种690MPa级海洋工程用钢板及其制造方法
CN115398018A (zh) * 2020-08-31 2022-11-25 日本制铁株式会社 钢板及其制造方法
CN115398019A (zh) * 2020-08-31 2022-11-25 日本制铁株式会社 钢板及其制造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008303424A (ja) * 2007-06-07 2008-12-18 Nippon Steel Corp 耐溶接割れ性が優れた高張力鋼材の製造方法
JP2011132599A (ja) * 2009-11-25 2011-07-07 Jfe Steel Corp 高圧縮強度ラインパイプ用溶接鋼管及びその製造方法
WO2015151469A1 (ja) * 2014-03-31 2015-10-08 Jfeスチール株式会社 耐歪時効特性及び耐hic特性に優れた高変形能ラインパイプ用鋼材およびその製造方法ならびに溶接鋼管
WO2018043067A1 (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 株式会社神戸製鋼所 厚鋼板およびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008303424A (ja) * 2007-06-07 2008-12-18 Nippon Steel Corp 耐溶接割れ性が優れた高張力鋼材の製造方法
JP2011132599A (ja) * 2009-11-25 2011-07-07 Jfe Steel Corp 高圧縮強度ラインパイプ用溶接鋼管及びその製造方法
WO2015151469A1 (ja) * 2014-03-31 2015-10-08 Jfeスチール株式会社 耐歪時効特性及び耐hic特性に優れた高変形能ラインパイプ用鋼材およびその製造方法ならびに溶接鋼管
WO2018043067A1 (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 株式会社神戸製鋼所 厚鋼板およびその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115398018A (zh) * 2020-08-31 2022-11-25 日本制铁株式会社 钢板及其制造方法
CN115398019A (zh) * 2020-08-31 2022-11-25 日本制铁株式会社 钢板及其制造方法
CN115398019B (zh) * 2020-08-31 2023-07-07 日本制铁株式会社 钢板及其制造方法
CN115398018B (zh) * 2020-08-31 2023-07-21 日本制铁株式会社 钢板及其制造方法
CN112746224A (zh) * 2020-12-30 2021-05-04 钢铁研究总院 一种690MPa级海洋工程用钢板及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7155703B2 (ja) 2022-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6344538B1 (ja) 鋼管及び鋼板
JP5251089B2 (ja) 低温靱性に優れた高強度厚肉ラインパイプ用溶接鋼管及びその製造方法
CN104508166B (zh) 耐磨钢板及其制造方法
JP5098235B2 (ja) 低温靱性に優れたラインパイプ用高強度鋼管及びラインパイプ用高強度鋼板並びにそれらの製造方法
JP3545770B2 (ja) 高張力鋼及びその製造方法
JP7155702B2 (ja) 耐サワーラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法
JP5574059B2 (ja) 低温靭性に優れた高強度h形鋼及びその製造方法
JP4700741B2 (ja) 靭性に優れた厚肉耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法
JP6123973B2 (ja) 高強度・高靭性鋼板およびその製造方法
JP2006063351A (ja) 耐水素誘起割れ性に優れた高強度鋼板および製造方法、並びにラインパイプ用鋼管
JP5741379B2 (ja) 靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法
WO2014175122A1 (ja) H形鋼及びその製造方法
JP2011017061A (ja) 高強度溶接鋼管用高張力熱延鋼板およびその製造方法
JP4547944B2 (ja) 高強度高靭性厚鋼板の製造方法
JP6390813B2 (ja) 低温用h形鋼及びその製造方法
JP2015183279A (ja) 脆性亀裂伝播停止特性に優れる船舶用、海洋構造物用および水圧鉄管用厚鋼板およびその製造方法
JP7155703B2 (ja) ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法
JP2016108648A (ja) ラインパイプ用鋼板、ラインパイプ用鋼管、およびその製造方法
JP6237681B2 (ja) 溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板
JP7163777B2 (ja) ラインパイプ用鋼板
JP2018168411A (ja) 高強度・高靭性厚鋼板の製造方法
JP7469616B2 (ja) 油井用電縫鋼管およびその製造方法
JP7205619B2 (ja) 鋼材
JP2005054250A (ja) 母材靭性およびhaz靭性に優れた高張力鋼板
JP7469617B2 (ja) 油井用電縫鋼管およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210303

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220506

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220919

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7155703

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151