JP2020012169A - ラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼板の化学組成が、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.10〜0.50%、Mn:1.00〜1.80%、P:0.020%以下、S:0.0010%以下、Cu:0.10〜0.50%、Ni:0.10〜0.50%、Nb:0.005〜0.050%、Ti:0.005〜0.030%、Al:0.010〜0.040%、N:0.0010〜0.0050%、B:0.001%以下、任意元素等、残部:Feおよび不純物であり、Pcmが0.15〜0.23であり、Ceqが0.35〜0.43であり、板厚中心部における金属組織が、面積率で、20〜35%のフェライト、および2.0%以下の硬質相を含み、残部がベイナイトであり、かつ、板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径が20.0μm以下であり、鋼板表層におけるフェライトの面積率と板厚中心部におけるフェライトの面積率との差が5.0%以下であり、介在物の最大長径が30.0μm以下であり、板厚が30〜45mmである、ラインパイプ用厚鋼板。
【選択図】なし
Description
C:0.03〜0.08%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:1.00〜1.80%、
P:0.020%以下、
S:0.0010%以下、
Cu:0.10〜0.50%、
Ni:0.10〜0.50%、
Nb:0.005〜0.050%、
Ti:0.005〜0.030%、
Al:0.010〜0.040%、
N:0.0010〜0.0050%、
B:0.001%以下、
Cr:0〜0.50%、
Mo:0〜0.10%、
V:0〜0.05%、
Ca:0〜0.02%、
Mg:0〜0.02%、
REM:0〜0.02%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で示すPcmが0.15〜0.23であり、
下記(ii)式で示すCeqが0.35〜0.43であり、
板厚中心部における金属組織が、面積率で、
20〜35%のフェライト、および
2.0%以下の硬質相を含み、
残部がベイナイトであり、かつ、
板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径が20.0μm以下であり、
鋼板表層におけるフェライトの面積率と板厚中心部におけるフェライトの面積率との差が5.0%以下であり、
介在物の最大長径が30.0μm以下であり、
板厚が30〜45mmである、ラインパイプ用厚鋼板。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・(i)
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(ii)
但し、上記(i)および(ii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
Cr:0.10〜0.50%、
Mo:0.05〜0.10%、および
V:0.01〜0.05%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)に記載のラインパイプ用厚鋼板。
Ca:0.0005〜0.02%、
Mg:0.0005〜0.02%、および
REM:0.0005〜0.02%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載のラインパイプ用厚鋼板。
(a)鋼片を1100〜1250℃の温度域に加熱し、均熱化する工程と、
(b)前記鋼片に粗圧延を行い、被圧延体とする工程と、
(c)前記被圧延体の表面温度がAr3点−10℃〜Ar3点+60℃の範囲で仕上圧延を開始し、前記仕上圧延開始時より高い表面温度で前記仕上圧延を完了し、鋼板とする工程と、
(d)前記鋼板の表面温度がAr3点+10℃〜Ar3点+50℃の範囲で、かつ仕上圧延開始時の表面温度よりも高い温度で水冷を開始し、
400〜500℃の温度域で前記水冷を停止し、室温まで空冷する工程と、
を備える、ラインパイプ用厚鋼板の製造方法。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは鋼の強度を改善する。このため、C含有量は0.03%以上とし、0.04%以上であるのが好ましい。しかしながら、過剰にCを含有させると、圧延工程または圧延後の冷却工程におけるパーライト変態時にCの偏析を引き起こし、局所的に硬化させる。このような局所的な硬化は、耐HIC性を低下させる。このため、C含有量は0.08%以下とし、0.06%以下であるのが好ましい。
Siは、脱酸剤として有効であり、その含有量が少なすぎると脱酸が不十分になる。また、Siは鋼の強度、および耐HIC特性を向上させる。このため、Si含有量は0.10%以上とし、0.12%以上であるのが好ましい。しかしながら、Si含有量が過剰であると、却って、粗大介在物が生成し、耐HIC特性が低下する。加えて、溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)にマルテンサイトが生成し、靭性低下を引き起こす。このため、Si含有量は0.50%以下とし、0.30%以下であるのが好ましい。
Mnは、鋼の強度および靭性の向上に寄与する。Mn含有量が不足すると、強度を向上させるため、他の合金元素を添加しなければならない。これにより、製造コストを増加させる。このため、Mn含有量は1.00%以上とし、1.10%以上であるのが好ましい。しかしながら、Mn含有量が過剰であると、連続鋳造スラブに中心偏析を引き起こし、圧延工程または圧延後の水冷工程で、Mn偏析部にCが濃化し、鋼板を局所的に硬化させる。この結果、耐HIC性が低下する。このため、Mn含有量は1.80%以下とし、1.50%以下であるのが好ましい。
Pは不純物である。Pは、スラブ中央部に偏析し、組織を硬化させ、HICを引き起こす。また、Pは、DWTT特性をも低下させる。このため、P含有量は0.020%以下とする。
Sは不純物である。Sは、Mnと結合してMnSを形成する。このMnSは、HICの起点となるため、Sは低減されるのが好ましい。また、SはDWTT特性を低下させる。このため、S含有量は、0.0010%以下とする。
Cuは靭性および耐HIC性の向上に寄与する。このため、Cu含有量は0.10%以上とし、0.12%以上であるのが好ましい。しかしながら、Cuの過度な含有は、製造コストを増加させる。このため、Cu含有量は0.50%以下とし、0.40%以下であるのが好ましい。
Niは強度および靭性の向上に寄与する。また、Cuの1/2倍以上のNi量を含有させると、Cuチェッキングを防止する効果がある。このため、Ni含有量は0.10%以上とし、0.12%以上であるのが好ましい。しかしながら、過剰なNiは製造コストを増加させる。また、溶接性をも低下させる。このため、Ni含有量は0.50%以下とし、0.45%以下であるのが好ましい。
Nbは結晶粒を微細化し、強度および靭性を改善する。Nbは、オーステナイト未再結晶域で圧延した後、Ar3変態点以上の温度から急冷することで、金属組織を細粒な下部ベイナイト組織にする。このため、Nb含有量は0.005%以上とし、0.010%以上であるのが好ましい。しかしながら、Nb含有量が過剰であると、スラブを加熱する際、スラブ中のNb炭窒化物が完全に溶解せず、未溶解のNb炭窒化物がHICの起点となる。このため、Nb含有量は0.050%以下とし、0.040%以下であるのが好ましい。
TiはTi炭窒化物を形成し、鋼の強度向上に寄与する。このため、Ti含有量は0.005%以上とし、0.007%以上であるのが好ましい。しかしながら、Ti含有量が過剰であると、Ti炭窒化物が粗大化し、HAZにおける靭性を低下させる。さらに、連続鋳造スラブの中央部に過剰なTi炭窒化物が形成され、HICを引き起こす。このため、Ti含有量は0.030%以下とし、0.025%以下であるのが好ましい。
Alは脱酸剤であり、また、靭性の向上に寄与する。このため、Al含有量は0.010%以上とし、0.015%以上であるのが好ましい。しかしながら、Al含有量が過剰であると、介在物が過剰に形成し、鋼の清浄性を低下させる。この結果、耐HIC特性が低下する。また、過剰なAlは、却って靭性をも低下させる。このため、Al含有量は0.040%以下とし、0.035%以下であるのが好ましい。
Nは、鋼を転炉などの大気雰囲気で溶製する場合、鋼中に不可避的に侵入する元素である。また、Nは、鋼材中でAlおよび/またはTiなどと窒化物を形成する元素である。これらの窒化物は、熱間加工の過程でピン留め粒子として結晶粒を微細化する効果を有する。この結果、Nは鋼材の機械特性に影響を与えるとともに、金属組織の形成にも影響を与え、靭性を向上させる。このため、N含有量は0.0010%以上とし、0.0015%以上であるのが好ましい。しかしながら、N含有量が過剰であると、窒化物が連続鋳造時にオーステナイト粒界に動的析出し、鋳片表面割れの原因となる。このため、N含有量は0.0050%以下とし、0.0040%以下であるのが好ましい。
Bは不純物である。Bが鋼中に多く含有すると、靭性低下を招くので、不純物として含有していたとしても、B含有量は0.001%以下とし、0.0005%以下であるのが好ましい。なお、後述する表1および表2に示す鋼片の組成のうちBが「−」で示された鋼片は、当該鋼片を組成分析した際にBが検出されなかったことを示す。
Crは、強度および耐食性の向上に寄与するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cr含有量が過剰であると、製造コストを増加させ、溶接性を低下させる。このため、Cr含有量は0.50%以下とし、0.45%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を確実に得るためには、Cr含有量は0.10%以上であるのが好ましく、0.12%以上であるのがより好ましい。
Moは焼入性を改善することで、強度向上に寄与する。具体的には、Moはオーステナイトからフェライトおよび/またはパーライトへの変態を遅らせる。このように鋼板を所望する強度にするため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moを過剰に含有させると、製造コストを増加させる。このため、Mo含有量は0.10%以下とし、0.08%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を確実に得るためには、Mo含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.06%以上であるのがより好ましい。
Vは、析出硬化により強度向上に寄与する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、V含有量が過剰であると、製造コストを増加させる。このため、V含有量は0.05%以下とし、0.04%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を確実に得るためには、V含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.02%以上であるのがより好ましい。
Caは、熱間加工性を高める効果を有する。また、Caは、鋼中のSと反応し、溶鋼中で酸・硫化物(以下、「オキシサルファイド」ともいう。)を形成する。一般的に、MnSなどの介在物は、熱間加工、例えば、圧延加工において、介在物が延伸し、延伸した介在物の先端などが割れの起点となる場合がある。これに対し、上述のオキシサルファイドは、圧延加工において圧延方向に伸びることなく、その形状は球状のままである。このため、Caは溶接割れまたはHICを抑制する作用があり、Caを必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Ca含有量が0.002%を超えると、靱性の劣化を招くことがある。このため、Ca含有量は0.02%以下とし、0.005%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を確実に得るためには、Ca含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましい。
Mgは、熱間加工性を高める効果を有する。また、Mgには、Mg含有酸化物を生成して、TiNの発生核となり、TiNを微細分散させる効果もある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が0.02%を超えると、酸化物の形成量が過剰となり、延性低下をもたらす。このため、Mg含有量は0.02%以下とし、0.005%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mg含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましい。
REMは、熱間加工性を高める効果を有する。また、REMには、HAZ組織を微細化させる作用もある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REM含有量が過剰であると、介在物となって清浄性を低下させる。また、REMの添加により形成される介在物は、比較的、靱性を劣化させにくい。とはいえ、REM含有量が0.02%超であると、介在物による母材の靱性の低下を無視できない。このため、REM含有量は0.02%以下とし、0.005%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましい。
Pcm:0.15〜0.23
Pcmは、いわゆる「溶接割れ感受性指数」であり、低温割れの生じやすさを評価する指標として、一般に広く用いられている。Pcmは下記(i)式で示される。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
Ceq:0.35〜0.43
Ceqは、いわゆる「炭素当量」であり、鋼板の焼入性または溶接性を評価する指標として、一般に広く用いられている。Ceqは下記(ii)式で示される。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(ii)
但し、上記(ii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
4−1.板厚中心部における金属組織
本発明における鋼板では、鋼板表層に比べ、冷却されにくく,組織制御が難しい板厚中心部における金属組織を先ず規定する。具体的には、板厚中心部における金属組織が、面積率で、20〜35%のフェライト、および2.0%以下の硬質相を含み、残部をベイナイトとする。
耐サワー性能および強度を両立するために、本発明に係る鋼板の板厚中心部における組織は、ベイナイトを主相とする。しかしながら、ベイナイトは低温靭性に欠けるため、ベイナイト単相では、所望するDWTT特性を得ることができない。DWTT特性を具備させるためには、板厚中心部においてフェライトを有する金属組織とする。
本発明に係る鋼板は、板厚中心部において、基本的には、ベイナイトおよびフェライトからなる組織とするが好ましい。しかしながら、フェライトの生成時に、固溶していたC(炭素)が周囲に排出され、Cが濃化した硬質相が形成される場合がある。この硬質相はHICの起点となるため、極力生成させないことが望ましく、硬質相が、面積率で、2.0%以下であれば、ラインパイプとしての特性に影響はない。このため、硬質相は、面積率で2.0%以下とし、1.5%以下であるのが好ましい。なお、硬質相としては、例えば、セメンタイト、MAなどが例示される。
上述したように耐サワー特性および強度を両立するために、本発明に係る鋼板の板厚中心部における組織は、フェライトおよび硬質相を除く残部をベイナイトとする。ここで、上記ベイナイトには、いわゆる「ベイニティックフェライト」、および「アシキュラーフェライト」を含む。
板厚中心部は、最も結晶粒径が粗大化しやすく、靭性低下が生じやすい。このような板厚中心部における結晶粒の粗大化は、DWTT特性を低下させる。このため、DWTT特性においては、板厚中心部における平均結晶粒径が特に重要である。具体的には、板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径が20.0μmを超えると、DWTT特性が低下する。このため、本発明に係る鋼板では、板厚中心部におけるフェライトの平均結晶粒径が20.0μm以下とし、18.0μm以下であるのが好ましい。
本発明に係る鋼板では、表層と板厚中心部における特性差を少なくするため、表層におけるフェライトの面積率と、板厚中心部におけるフェライトの面積率との差(以下、単に「フェライト面積率の差」と記載する。)を5.0%以下とする。
粗大な介在物は、HICの原因となるため、可能な限り生成を抑制するのが好ましい。ここで、介在物とは、例えば、MnS(マンガンサルファイド)、NbC(ニオブカーバイド)等が例示される。本発明に係る鋼板では、介在物の最大長径を30.0μm以下とし、25.0μm以下であるのが好ましい。上述のように、介在物の最大長径が30.0μmを超えると、HICが生じやすくなるためである。
本発明に係る鋼板の板厚は、その用途から30〜45mmの範囲とする。
本発明に係る鋼板においては、鋼管に製造した際の強度が、アメリカ石油協会規格API 5L(以下、単に「API 5L」とする。)のX52〜65グレードの強度、つまり引張強度(以下、「TS」ともいう。)が460〜760MPa、降伏強度(以下、「YS」ともいう。)が360〜600MPaの範囲を満足することを目標とする。また、DWTT延性破面率が85%以上の場合を、DWTT特性が良好なものとして判断し、耐HIC特性については、HIC試験を行い、割れが認められない場合、同特性が良好であると判断する。
上記の化学組成を有する鋼片を連続鋳造法により製造する。以下において、本発明に係る鋼板の製造方法について説明する。
鋼片は1100〜1250℃の温度域で加熱し、均熱化する。鋼片の加熱は、加熱による軟化作用により圧延工程をスムーズに行うことが主目的である。また、鋼片中に存在するNb炭窒化物を溶解し、Nbを固溶させればHICの発生を防止することができる。このため、鋼片は1100℃以上に加熱し、1130℃以上で加熱するのが好ましい。
圧延は、鋼片に粗圧延を行ない、鋼片を被圧延体とする。続いて、前述の被圧延体に仕上圧延を行ない、鋼板とする。なお、粗圧延終了時の表面温度よりも低い温度から仕上圧延を開始する。仕上圧延では、被圧延体の表面温度がAr3点−10℃〜Ar3点+60℃の範囲で仕上圧延を開始し、仕上圧延開始時より高い表面温度で仕上圧延を完了する。
Ar3(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo+0.35(t−8) ・・・(a)
但し、上記式中の記号は以下により定義され、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
t(mm):圧延完了後の鋼板の板厚
圧延後においても、鋼板をそのまま復熱させ、その後、鋼板を水冷する。鋼板の表面温度がAr3点+10℃〜Ar3点+50℃の温度域から、水冷を開始する。また、鋼板の表面温度が仕上圧延開始時の表面温度よりも高い温度で、水冷を開始する。水冷開始温度(表面温度)がAr3点+10℃未満であるとフェライトの生成が過剰になり、十分な強度を得ることができない。また、フェライト量が過剰により耐HIC特性も低下する。一方、水冷開始温度がAr3点+50℃超であると、鋼板の結晶粒が粗大化し、所望するDWTT特性を得ることができない。
Claims (4)
- 鋼板の化学組成が、質量%で、
C:0.03〜0.08%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:1.00〜1.80%、
P:0.020%以下、
S:0.0010%以下、
Cu:0.10〜0.50%、
Ni:0.10〜0.50%、
Nb:0.005〜0.050%、
Ti:0.005〜0.030%、
Al:0.010〜0.040%、
N:0.0010〜0.0050%、
B:0.001%以下、
Cr:0〜0.50%、
Mo:0〜0.10%、
V:0〜0.05%、
Ca:0〜0.02%、
Mg:0〜0.02%、
REM:0〜0.02%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で示すPcmが0.15〜0.23であり、
下記(ii)式で示すCeqが0.35〜0.43であり、
板厚中心部における金属組織が、面積率で、
20〜35%のフェライト、および
2.0%以下の硬質相を含み、
残部がベイナイトであり、かつ、
板厚中心部のフェライトの平均結晶粒径が20.0μm以下であり、
前記鋼板表層におけるフェライトの面積率と板厚中心部におけるフェライトの面積率との差が5.0%以下であり、
介在物の最大長径が30.0μm以下であり、
板厚が30〜45mmである、ラインパイプ用厚鋼板。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・(i)
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(ii)
但し、上記(i)および(ii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。 - 前記化学組成が、質量%で、
Cr:0.10〜0.50%、
Mo:0.05〜0.10%、および
V:0.01〜0.05%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載のラインパイプ用厚鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0005〜0.02%、
Mg:0.0005〜0.02%、および
REM:0.0005〜0.02%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1または2に記載のラインパイプ用厚鋼板。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のラインパイプ用厚鋼板を製造する方法であって、
(a)鋼片を1100〜1250℃の温度域に加熱し、均熱化する工程と、
(b)前記鋼片に粗圧延を行い、被圧延体とする工程と、
(c)前記被圧延体の表面温度がAr3点−10℃〜Ar3点+60℃の範囲で仕上圧延を開始し、前記仕上圧延開始時より高い表面温度で前記仕上圧延を完了し、鋼板とする工程と、
(d)前記鋼板の表面温度がAr3点+10℃〜Ar3点+50℃の範囲で、かつ仕上圧延開始時の表面温度よりも高い温度で水冷を開始し、
400〜500℃の温度域で前記水冷を停止し、室温まで空冷する工程と、
を備える、ラインパイプ用厚鋼板の製造方法。
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