[go: up one dir, main page]

JP2019166450A - 排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒 - Google Patents

排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒 Download PDF

Info

Publication number
JP2019166450A
JP2019166450A JP2018055049A JP2018055049A JP2019166450A JP 2019166450 A JP2019166450 A JP 2019166450A JP 2018055049 A JP2018055049 A JP 2018055049A JP 2018055049 A JP2018055049 A JP 2018055049A JP 2019166450 A JP2019166450 A JP 2019166450A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exhaust gas
catalyst
gas purification
srfeo
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018055049A
Other languages
English (en)
Inventor
裕基 中山
Hiroki Nakayama
裕基 中山
浩幸 原
Hiroyuki Hara
浩幸 原
俊慶 大貫
Toshiyoshi Onuki
俊慶 大貫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NE Chemcat Corp
Original Assignee
NE Chemcat Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NE Chemcat Corp filed Critical NE Chemcat Corp
Priority to JP2018055049A priority Critical patent/JP2019166450A/ja
Publication of JP2019166450A publication Critical patent/JP2019166450A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】優れた耐熱性を有するのみならず、高温曝露後にも優れた触媒性能を有する、排ガス浄化用触媒及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒等を提供する。【解決手段】本発明の排ガス浄化用触媒100は、希土類固溶ジルコニア系酸化物を含有し1μm以上30μm以下の平均粒子径D50を有する母材粒子11と、この母材粒子11の表面11aに担持された、ペロブスカイト型触媒活性粒子21であるSrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。)と、を少なくとも有する複合粒子を含有することを特徴とする。本発明の排ガス浄化用触媒100は、母材粒子11の表面11aに担持された、Fe2O3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦1を満たす数である。)をさらに含有していてもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、母材粒子上にペロブスカイト型触媒活性粒子が担持された排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒コンバータに関する。
自動車等の内燃機関から排出される炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx)の浄化において、プラチナ、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等の白金族元素(PGM:Platinum Group Metal)を触媒活性成分として用いた三元触媒(TWC:Three-Way Catalyst)が広く用いられている。しかしながら、PGMは比較的に高価であり、また中長期的な安定供給の確保に懸念がある。そのため、PGMを必須としない新たな触媒材料の開発が検討されている。
例えば、特許文献1(特開2005−125317号公報)には、特定の細孔径及び細孔容積を有するセリア−ジルコニア固溶体を含む担体と、該担体に混合又は担持された活性種としての酸化鉄と、よりなることを特徴とする酸素貯蔵放出材が開示されている。
また、特許文献2(特開平10−216509号公報)には、Y固溶セリア−ジルコニアCe0.6 Zr0.30 0.10 1.95のセリウム系複合酸化物と、このセリウム系複合酸化物に担持されたFeとを有する、酸素吸蔵性セリウム系複合酸化物が開示されている。
一方、特許文献3(特開2010−069451号公報)には、ペロブスカイト型構造を有する酸化物焼成体からなる球状粒子であって、該粒子の平均粒子径が10〜50μmの範囲、比表面積が10m2/g〜40m2/gの範囲にあることを特徴とするペロブスカイト型酸化触媒が開示されている。
さらに、ペロブスカイト型複合酸化物に、アルカリ土類金属酸化物やアルカリ金属を併用した排ガス浄化触媒が検討されている。例えば、特許文献4(特開2010−194487号公報)には、欠陥ペロブスカイト型複合酸化物(BaY2-xScx4又はBaY2-xInx4)とアルカリ土類金属酸化物(BaO)とを含み、粉末X線回折において、実質的に上記欠陥ペロブスカイト型複合酸化物の回折パターンのみが検出される、NOx浄化触媒が開示されている。
一方、特許文献5(WO2014/038294)には、酸素吸放出能を有する所定粒子径の酸化物に、所定粒子径のLaSrFeO3複合酸化物を担持させた第1触媒と貴金属を含む第2触媒とを含有させ排気ガス浄化触媒が開示されている。
特開2005−125317号公報 特開平10−216509号公報 特開2010−069451号公報 特開2010−194487号公報 WO2014/038294
近年、内燃機関の排ガス浄化においては、世界的な排ガス規制の強化にともない、触媒の浄化性能のさらなる向上が求められている。また、エンジン始動直後の所謂コールドスタート時の浄化性能を向上させるため、或いは寒冷地での使用時の浄化性能を向上させるため、排ガス温度が高いエキゾーストマニホールド直下に触媒コンバータを配置する、直下型の触媒コンバータ等の採用が進展している。これにともない、排ガス浄化触媒には、耐熱性のさらなる向上も求められてきている。
さらに、排ガス規制や燃費向上に対応するための空燃比(A/F)制御の高度化にともない、リーン環境(酸化性雰囲気)、ストイキ環境(理論空燃比)、及びリッチ環境(還元性雰囲気)の処理雰囲気の切り替えが精密に行われるようになってきている。ここで、特許文献1の触媒系では、リッチ環境において、酸化鉄(Fe23)から鉄(Fe)が還元生成され、これが高活性な活性種として機能している。しかしながら実際は、特許文献1の触媒系は、高温環境に曝されると担体上の粒子同士がシンタリングにより300nm以上の大粒径に粒成長して、触媒活性サイト(担体上の活性種の粒子)の数が著しく減少してしまい、高温曝露後に触媒性能が大きく劣化するという問題があった。すなわち、特許文献1の酸素貯蔵放出材は、合成直後の性能(初期性能)と高温曝露後の性能(ランニング性能)との乖離が大きく、また高温曝露後の触媒活性サイトの数が少ないという点で、改善の余地が大きく、高温環境下で使用する排ガス浄化触媒として実用性に乏しかった。これらの問題は、特許文献2の触媒系においても、同様に当てはまる。
一方、ペロブスカイト型酸化触媒は、表面積が小さく、所望の活性が得られにくいという問題がある。これを解決するために、特許文献3の触媒系では、CaMnO3触媒を数十μmオーダーに造粒し、所定の比表面積を確保することで、プロピレンの酸化触媒性能を高めている。しかしながら、特許文献3の触媒系は、数十μmオーダーの球状粒子からなるため、依然として触媒活性サイトが十分ではなく、ガス接触効率に劣り、また、これを高温環境に曝される排ガス浄化触媒として用いた場合、高温曝露後においてもその比表面積を維持することが難しく、高温環境下で使用する排ガス浄化触媒として実用性に乏しかった。さらに、特許文献4の触媒系では、アルカリ土類金属酸化物やアルカリ金属を併用することで、触媒活性、特に低温活性を向上させているものの、これらは耐熱性が不十分であり、高温環境下で使用する排ガス浄化触媒として実用性に乏しかった。
さらに、特許文献5に記載の排気ガス浄化触媒は、依然として性能が不十分であり、また、触媒活性種として貴金属を必須としているため比較的に高コストなものであった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、優れた耐熱性を有するのみならず、高温曝露後にも優れた触媒性能を有する、排ガス浄化用触媒及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒等を提供することにある。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、所定の母材粒子上に所定のペロブスカイト型触媒活性粒子が担持された排ガス浄化用触媒が、優れた耐熱性を有するのみならず高温曝露後にも優れた触媒性能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
<1>希土類固溶ジルコニア系酸化物を含有し1μm以上30μm以下の平均粒子径D50を有する母材粒子と、前記母材粒子の表面に担持された、ペロブスカイト型触媒活性粒子であるSrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。)と、を少なくとも有する複合粒子を含有することを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
<2>粉末X線回折測定において、2θ=32.6±0.5°にSrFeO3の回折ピークを発現する上記<1>に記載の排ガス浄化用触媒。
<3>SrFeO3-δの平均粒子径が、1〜90nmである上記<1>又は<2>に記載の排ガス浄化用触媒。
<4>SrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。)の含有割合が、前記複合粒子の総質量に対して、1〜60質量%である上記<1>〜<3>のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
<5>前記母材粒子の表面に担持された、Fe23-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦1を満たす数である。)をさらに含有する上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
<6>前記希土類固溶ジルコニア系酸化物は、Y、Ce、Nd、及びNdよりなる群から選択される少なくとも1以上の希土類元素が固溶したジルコニア系酸化物である上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
<7>前記複合粒子が、貴金属元素を実質的に含有しない上記<1>〜<6>のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
<8>触媒担体と、前記触媒担体の少なくとも一方の面側に設けられた触媒層と、を少なくとも備え、前記触媒層は、上記<1>〜<7>のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒を少なくとも含有することを特徴とする、一体構造型排ガス浄化用触媒。
<9>前記排ガス浄化用触媒の担持量が、前記触媒担体の単位体積あたり3〜450g/Lである上記<8>に記載の一体構造型排ガス浄化用触媒。
<10>希土類固溶ジルコニア系酸化物を含有し1μm以上30μm以下の平均粒子径D50を有する母材粒子の表面に、ストロンチウムイオン及び鉄イオンを少なくとも含有する水溶液を付与する工程、並びに処理後の前記母材粒子を500℃以上1490℃以下で熱処理して、希土類固溶ジルコニア系酸化物を含有する母材粒子と前記母材粒子の表面に担持されたペロブスカイト型触媒活性粒子であるSrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。)とを有する複合粒子を得る工程を少なくとも備えることを特徴とする、排ガス浄化用触媒の製造方法。
<11>前記水溶液中、Srに対するFeの含有比率(Fe/Sr)が、モル比で、0.5以上1.5以下である上記<10>に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
<12>前記水溶液が、水溶液が、Sr以外の希土類金属元素、及び、Fe以外の遷移金属元素を実質的に含有しない上記<10>又は<11>に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
<13>前記複合粒子が、貴金属元素を実質的に含有しない上記<10>〜<12>のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
本発明によれば、優れた耐熱性を有し、高温曝露後にも優れた触媒性能を有する、排ガス浄化用触媒及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒等を実現することができる。本発明の排ガス浄化用触媒は、母材粒子上に微小な触媒活性点が担持された複合構造の触媒粒子であり、その組成及び構造に基づいて、排ガス中のNOx、CO、HC等を削減する三元触媒(TWC:Three-Way Catalyst)として、特に好適に用いることができる。また、本発明の排ガス浄化用触媒は、貴金属元素(PM)を必須成分として用いる必要がないので、経済性も優れる。しかも、耐熱性に劣る従来のゼオライト等を用いた触媒とは異なり、本発明の排ガス浄化用触媒は、エンジン直下型触媒コンバータやタンデム配置の直下型触媒コンバータ等に搭載することができ、これにより、キャニングコストの削減などを図ることができる。
一実施形態の排ガス浄化用触媒100の概略構成を示す模式図である。 焼成処理後の実施例1のパウダー触媒の粉末X線回折測定の結果を示すチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。但し、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、例えば「1〜100」との数値範囲の表記は、その上限値「100」及び下限値「1」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
図1は、本発明の一実施形態の排ガス浄化用触媒100の概略構成を示す模式図である。この排ガス浄化用触媒100は、希土類固溶ジルコニア系酸化物を含有し1μm以上30μm以下の平均粒子径D50を有する母材粒子11と、この母材粒子11の表面11aに担持されたペロブスカイト型触媒活性粒子21であるSrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。以降において、単に「SrFeO3-δと称する場合がある。)と、を少なくとも有する複合粒子を含有することを特徴とする。
母材粒子11は、表面11aにペロブスカイト型触媒活性粒子21を高分散に担持するコア粒子である。この母材粒子11としては、担体効果を付与して触媒活性を向上させる観点から、希土類固溶ジルコニア系酸化物が好ましく用いられる。ここで、本明細書において、「希土類固溶ジルコニア系酸化物」とは、希土類元素が固溶したジルコニア系の複合酸化物を意味し、具体的には、希土類元素が固溶したジルコニア、及び、これに遷移元素等の他元素がドープされた複合酸化物或いは固溶体を包含する概念として用いている。なお、本明細書において、ジルコニア系酸化物とは、総量に対して、酸化物(ZrO2)換算でジルコニウムを50質量%以上含有するものを意味する。ジルコニア系酸化物としては、Zrの質量割合が、総量に対して、酸化物(ZrO2)換算で50質量%以上80質量%以下のものが好ましく用いられる。
希土類元素としては、セリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウム等の、ジルコニウム以外の希土類元素(以降において、「他の希土類元素」と称する場合がある。)が挙げられる。これらの希土類元素は、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの中でも、結晶構造の安定性や耐熱性等の観点から、希土類元素としては、イットリウム、セリウム、プラセオジム、ネオジムが好ましく、イットリウム、セリウム、ネオジムがより好ましく、イットリウム、ネオジムがさらに好ましい。表面に担持されるペロブスカイト型触媒活性粒子21との副生物の生成を抑制するとともに、耐熱性の観点等から、イットリウム及び/又はネオジムが固溶したジルコニア系複合酸化物が特に好ましく用いられる。
希土類固溶ジルコニア系酸化物の中でも、Y固溶ジルコニア系酸化物は、耐熱性に優れているため、高温環境下で使用する排ガス浄化触媒の母材として特に適している。また、Y固溶ジルコニア系酸化物は、600℃以上の高温での表面酸素のモビリティーが比較的に速く、排ガスの処理雰囲気の切り替えの応答性に優れている。そのため、Y固溶ジルコニア系酸化物を母材粒子11に用いることで、母材粒子11の表面11aの酸素が活性化されやすく、結果として触媒反応が促進されて、高い排ガス浄化性能が得られる。さらに、本触媒系においては、Y固溶ジルコニア系酸化物を用いることで、例えばアルミナに比して、SrやFeの固溶が抑制されるというメリットもある。なお、Y固溶ジルコニア系酸化物は、Y以外の希土類元素がさらに固溶したものであってもよい。他の希土類元素がさらに固溶したY固溶ジルコニア系酸化物は、格子酸素欠損(δ)の調整が容易であり、これを用いることで、例えば排ガス浄化性能や耐熱性を向上させたり、担持されるペロブスカイト型触媒活性粒子21の分散性を向上させたりすることができる。
希土類固溶ジルコニア系酸化物において、希土類元素の含有割合は、特に限定されないが、希土類固溶ジルコニア系酸化物の総量に対する上述した希土類元素の酸化物換算の総量(例えばY23、CeO2、Nd23、Pr511等の総和)で、0.01質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下である。
なお、希土類固溶ジルコニア系酸化物は、クロム、コバルト、鉄、ニッケル、チタン、マンガン及び銅等の遷移元素を含んでいてもよい。遷移元素は、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。遷移元素が含まれる場合、その含有割合は、特に限定されないが、希土類固溶ジルコニア系酸化物の総量に対して、上述した遷移元素の酸化物換算の総量(例えばFe23、TiO2等の総和)で、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
また、上記の希土類固溶ジルコニア系酸化物において、ジルコニウムや希土類元素の一部が、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属元素等で置換されていてもよい。アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上の任意の組み合わせ及び割合で用いることができる。また、上記の希土類固溶ジルコニア系酸化物は、ジルコニア鉱石中に通常1〜2質量%程度含まれているハフニウム(Hf)を不可避不純物として含有していても構わない。また、ハフニウムを除く不可避不純物の総量は、0.3質量%以下であることが好ましい
Y固溶ジルコニア系酸化物の好ましい例としては、Y−Zr−Ox、Y−Nd−Zr−Ox、Y−La−Zr−Ox、Y−Pr−Zr−Ox、Y−Nd−La−Zr−Ox、Y−Nd−Pr−Zr−Ox、Y−La−Pr−Zr−Ox、Y−Zr−Ce−Ox、Y−Nd−Zr−Ce−Ox、Y−La−Zr−Ce−Ox、Y−Pr−Zr−Ce−Ox、Y−Nd−La−Zr−Ce−Ox、Y−Nd−Pr−Zr−Ce−Ox、Y−La−Pr−Zr−Ce−Ox等のY固溶ジルコニアが挙げられるが、これらに特に限定されない。Y固溶ジルコニア系酸化物は、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、これらの例示においては、それぞれの酸化物に含まれる構成元素の組み合わせに着目して表示したものであり、各構成元素の化学量論比を表示するものではない。すなわち、各構成元素の化学量論比は、任意に調整可能である。
ここで、大きな比表面積を保持させて、ペロブスカイト型触媒活性粒子21の担持量を増大させるとともに、耐熱性を高めて自身の触媒活性サイトの数を増大させる等の観点から、母材粒子11は1μm以上30μm以下の平均粒子径D50を有することが好ましく、より好ましくは1μm以上15μm以下であり、さらに好ましくは1μm以上10μm以下である。なお、本明細書において、平均粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所社製、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3100等)で測定されるメディアン径を意味する。
母材粒子11は、各種グレードの市販品を用いることができる。また、上述した各種組成のY固溶ジルコニア系酸化物からなる母材粒子11は、当業界で公知の方法で製造することもできる。Y固溶ジルコニア系酸化物の製造方法は、特に限定されないが、共沈法やアルコキシド法が好ましい。
共沈法としては、例えば、ジルコニウム塩、イットリウム塩、及び必要に応じて配合する希土類金属元素や遷移金属元素の塩を所定の化学量論比で混合した水溶液に、アルカリ物質を添加して加水分解させ或いは前駆体を共沈させ、その加水分解生成物或いは共沈物を焼成する製法が好ましい。ここで用いる各種塩の種類は、特に限定されない。一般的には、塩酸塩、オキシ塩酸塩、硝酸塩、オキシ硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等が好ましい。また、アルカリ性物質の種類も、特に限定されない。一般的には、アンモニア水溶液が好ましい。アルコキシド法としては、例えば、ジルコニウムアルコキシド、イットリウム、及び必要に応じて配合する希土類金属元素を所定の化学量論比で混合した混合物を加水分解し、その後に焼成する製法が好ましい。ここで用いるアルコキシドの種類は、特に限定されない。一般的には、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシドや、これらのエチレンオキサイド付加物等が好ましい。また、希土類金属元素は、金属アルコキシドとして配合しても、上述した各種塩として配合してもよい。
焼成条件は、常法にしたがえばよく、特に限定されない。焼成雰囲気は、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、大気雰囲気のいずれの雰囲気でもよい。焼成温度及び処理時間は、所望するY固溶ジルコニア系酸化物の組成及びその化学量論比によって変動するが、生産性等の観点からは、一般的には、150℃以上1300℃以下で1〜12時間が好ましく、より好ましくは350℃以上800℃以下で2〜4時間である。なお、高温焼成に先立って、真空乾燥機等を用いて減圧乾燥を行い、50℃以上200℃以下で約1〜48時間程度の乾燥処理を行うことが好ましい。
本実施形態の排ガス浄化用触媒100においては、上述した母材粒子11の表面11aに、ペロブスカイト型触媒活性粒子21としてSrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。)が担持されている複合粒子の粒子構造を有する点に、1つの特徴を有する。典型的には、排気ガス浄化用触媒100は、平均粒子径が1〜90nm程度、好ましくは10〜80nmのSrFeO3-δの微粒子が、母材粒子11の表面11aに高分散に付着した複合構造を有する。このような複合粒子構造を採用することにより、この排ガス浄化用触媒100においては、高温曝露後の触媒性能の劣化が大幅に抑制されている。その理由は定かではないが、ペロブスカイト型の結晶構造を有するSrFeO3-δは、比較的に耐熱性に優れ、また、母材粒子11の表面11aにおいて、SrFeO3-δや母材粒子11に含まれる元素から生じる種々の誘導体(例えばSrZrO3-δ、酸化鉄(FeOやFe23)、鉄単体(Fe)等の還元生成物)の微粒子を生じさせ、これらの微粒子がSrFeO3-δの微粒子間に分散されて、SrFeO3-δ同士の接触機会が減じさせられること等により、高温曝露によるSrFeO3-δのシンタリング及び粒成長が阻害されているためと推察される。したがって、本実施形態の排ガス浄化用触媒100は、SrFeO3-δや母材粒子11に含まれる元素から生じる種々の誘導体(例えばSrZrO3-δ、酸化鉄(FeOやFe23)、鉄単体(Fe)等の還元生成物)を含んでいてもよい。
ここで、SrFeO3-δのペロブスカイト構造としては、brownmillerite, cubic,tetragonal,orthorhombic等が知られており、これらの化学量論比としては、SrFeO3、SrFeO2.875、SrFeO2.75、SrFeO2.5等が知られている。本実施形態の排ガス浄化用触媒100においては、ペロブスカイト型触媒活性粒子21として、これらのいずれかが含まれていればよい。なお、母材粒子11上のSrFeO3-δの存在は、走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)による観察、粉末X線回折(XRD:X‐ray Diffraction、例えば2θ=32.6±0.5°のSrFeO3のピーク、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)、X線光電分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy、又はESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)等の各種測定方法により把握することができる。また、母材粒子11上のSrFeO3-δの平均粒子径は、通常は10〜150nm程度であり、好ましくは10〜120nm、より好ましくは20〜110nmである。
また、SrFeO3-δによる排ガス浄化の触媒作用は、リーン環境〜ストイキ環境〜リッチ環境の全域にわたって触媒活性を呈する。その理由は定かではないが、SrFeO3-δは、そのものの自身が触媒活性成分として機能するのみならず、上述した種々の誘導体も触媒活性成分として機能し、例えば酸化鉄や鉄単体等の高活性な活性種が存在することにより、ストイキ環境〜リッチ環境において特に強い触媒活性を呈していると推察される。理由はいずれにせよ、本実施形態の排ガス浄化用触媒100は、リーン環境〜ストイキ環境〜リッチ環境の全域にわたって排ガス浄化の触媒作用が補強され、その結果、貴金属元素(PM)や白金族元素(PGM)を必須成分として用いていないにも関わらず、優れた排ガス浄化性能が呈する。
ここで、触媒活性をより高めるとともにシンタリング及び粒成長を阻害する観点から、SrFeO3-δは、1nm以上80nm以下の平均結晶子径を有することが好ましく、より好ましくは10nm以上70nm以下、さらに好ましくは20nm以上65nm以下である。SrFeO3-δの平均結晶子は、例えば耐久処理後の排ガス浄化用触媒100のXRD回折パターンから算出することができる。このような微粒子サイズのSrFeO3-δを母材粒子11の表面11aに存在させることで、表面積がより高く維持され易く、また、触媒活性サイトがより多く維持され易い傾向にある。
なお、結晶子とは、一般に単結晶とみなせる最大の集まりのことをいい、その結晶子の大きさのことを結晶子径という。また、本明細書において、平均結晶子径は、X線回折装置を用いて回折パターンを測定し、その測定結果に基づいて下記式(1)で表されるScherrerの式より算出した値を意味する。
結晶子径 D(Å)=K・λ/(β・cosθ) ・・・(1)
式(1)中、KはScherrer定数であり、ここではK=0.9とする。また、λは使用したX線管球の波長、βは半値幅、θは回折角(rad)である。
また、排ガス浄化用触媒100中のSrFeO3-δの含有量(担持量)は、特に限定されないが、リーン環境〜ストイキ環境〜リッチ環境の全域にわたる触媒性能を向上させる等の観点から、上述した複合粒子の総質量に対して、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上55質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上50質量%以下である。
なお、本実施形態の排ガス浄化用触媒100においては、上述した(FeOやFe23)や上述した種々の誘導体以外に、Sr及びFe以外の希土類元素或いは遷移金属元素(以降において、「他の希土類元素」或いは「他の遷移金属元素」」と称する場合がある。)の酸化物等が母材粒子11上に存在していてもよい。他の希土類元素としては、セリウム、スカンジウム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウム等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、他の遷移金属元素としては、クロム、コバルト、ニッケル、チタン、マンガン、タングステン及び銅等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
一方、本実施形態の排ガス浄化用触媒100が酸化鉄を含む場合、酸化鉄の含有量は、特に限定されないが、触媒性能及び低温活性を向上させる等の観点から、排ガス浄化用触媒100の総量に対して、Fe23、Fe34及びFeOの3種の合計のFe23換算で、0.001質量%以上3質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上2質量%以下である。
本実施形態の排ガス浄化用触媒100は、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)等の貴金属元素(PM)や白金族元素(PGM)を必須成分として用いなくとも、優れた耐熱性を有し、高温曝露後にも優れた触媒性能を有する。したがって、経済性及び安定供給等の観点からは、一つの好適態様として、貴金属元素(PM)及び白金族元素(PGM)を実質的に含有しない排ガス浄化用触媒100が挙げられる。ここで、実質的に含有しないとは、貴金属元素(PM)及び白金族元素(PGM)の総量が、排ガス浄化用触媒100の全量に対して、0質量%以上1.0質量%未満の範囲内にあることを意味し、より好ましくは0質量%以上0.5質量%未満、さらに好ましくは0質量%以上0.3質量%未満である。
なお、排ガス浄化用触媒100の形状は、特に限定されない。母材粒子11上にSrFeO3-δが担持された触媒粒子の集合体である触媒粉末のまま用いることができる。また、例えば、この触媒粉末を任意の形状に成形して、粒状やペレット状の成形触媒とすることができる。さらに、この排ガス浄化用触媒100を触媒担体に保持(担持)させて、一体構造型排ガス浄化用触媒として使用することもできる。ここで用いる触媒担体としては、当業界で公知のものを適宜選択することができる。代表的には、コージェライト、シリコンカーバイド、窒化珪素等のセラミックモノリス担体、ステンレス製等のメタルハニカム担体、ステンレス製等のワイヤメッシュ担体、スチールウール状のニットワイヤ担体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、また、その形状も、特に限定されず、例えば角柱状、円筒状、球状、ハニカム状、シート状等の任意の形状のものが選択可能である。これらは、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上述した排ガス浄化用触媒100は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、ジェットエンジン、ボイラー、ガスタービン等の排ガスを浄化するための触媒として用いることができ、例えば内燃機関の排ガス浄化用触媒、とりわけ自動車の排ガス浄化用触媒として有用である。
本実施形態の排ガス浄化用触媒100の製造方法は、上述したとおり母材粒子11上にSrFeO3-δが担持された構成のものが得られる限り、特に限定されない。上述した構成の排ガス浄化用触媒100を再現性よく簡易且つ低コストで製造する観点からは、蒸発乾固法(含浸法)等が好ましい。
蒸発乾固法としては、上述した母材粒子11に、ストロンチウムイオン及び鉄イオンを少なくとも含有する水溶液を含浸させ、その後に焼成する製法が好ましい。この含浸処理により、ストロンチウムイオン及び鉄イオンが、母材粒子11の表面11aにそれぞれ高分散状態で吸着(付着)される。ここで、ストロンチウムイオン及び鉄イオンは、各種塩として水溶液に配合することができる。ここで用いる各種塩の種類は、特に限定されない。一般的には、硫酸塩、塩酸塩、オキシ塩酸塩、硝酸塩、オキシ硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、塩化物、酸化物、複合酸化物、錯塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等が好ましい。
含浸処理後、必要に応じて、固液分離処理、水洗処理、例えば大気中50℃以上200℃以下程度の温度で水分を除去する乾燥処理等を常法にしたがって行うことができる。乾燥処理は、自然乾燥でもよいし、ドラム式乾燥機、減圧乾燥機、スプレードライ等の乾燥装置を使用してもよい。また、乾燥処理の際の雰囲気は、大気中、真空中、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中のいずれでもよい。なお、乾燥の前後に、さらに必要に応じて粉砕処理や分級処理等を行ってもよい。
焼成条件は、常法にしたがえばよく、特に限定されない。加熱手段は、特に限定されず、例えば電気炉やガス炉等の公知の機器を用いることができる。焼成雰囲気は、酸化性雰囲気、大気雰囲気が好ましい。焼成温度及び処理時間は、所望する組成及びその化学量論比によって変動するが、SrFeO3-δの生成及び生産性等の観点からは、一般的には、500℃以上1490℃以下で0.1〜12時間が好ましく、より好ましくは550℃以上800℃以下で0.5〜6時間である。なお、高温焼成に先立って、真空乾燥機等を用いて減圧乾燥を行い、50℃以上200℃以下で約1〜48時間程度の乾燥処理を行ってもよい。この焼成処理により、ナノオーダーサイズに高分散したSrFeO3-δが、また処理条件によってはさらに上述した各種誘導体の微粒子等が、母材粒子11の表面11a上に生成(合成)される。
前記水溶液中のSrに対するFeの含有比率(Fe/Sr)は、適宜調整でき、特に限定されないが、得られる排ガス浄化用触媒100の触媒活性の観点から、Fe及びSrのモル比換算で、0.5以上1.5以下が好ましく、SrFeO3-δ及びFe23-δ以外の生成を抑制する観点から、より好ましくは0.9以上1.5以下であり、さらに好ましくは1.0以上1.45以下である。
なお、前記水溶液は、必要に応じて、セリウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウム等の希土類元素、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属元素、コバルト、ニッケル、チタン、銅等の遷移金属元素を含有していてもよい。なお、これらは、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの希土類元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び遷移金属元素は、無機酸塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物、複合酸化物、及び錯塩等として水溶液に供給することができる。このとき、SrFeO3-δ以外の複合酸化物の副生を抑制する観点から、前記水溶液は、ストロンチウム以外の希土類金属元素及び鉄以外の遷移金属元素を、実質的に含有しないことが好ましい。ここで、実質的に含有しないとは、ストロンチウム以外の希土類金属元素及び鉄以外の遷移金属元素の総モル量が、水溶液中のSr及びFeの総モル量に対して、1/20以下であることを意味し、より好ましくは1/40以下、さらに好ましくは1/50以下、特に好ましくは1/100以下である。例えばLaを実質的に含まない水溶液とすることで、SrFeO3-δ及びFe23-δ以外の誘導体、例えばLaFeO3やLaSrFeO3等の意図しない副生を抑制できる。
かくして得られる排ガス浄化用触媒100は、触媒粒子の集合体である粉末のまま使用することができ、また、当業界で公知の触媒や助触媒や触媒担体、当業界で公知の添加剤と混合して使用することができる。このとき、他の触媒(主触媒)とともに助触媒として排ガス浄化用触媒100を用いたり、排ガス浄化用触媒100に他の触媒(助触媒)を併用したりすることができる。さらに、排ガス浄化用触媒100は、これを含む組成物を予め調製し、これを任意の所定形状に成形して、粒状やペレット状の成形体(成形触媒)として使用することもできる。なお、成形体の作製時には、各種公知の分散装置、混練装置、成形装置を用いることができる。ここで成形体として用いる場合、成形体中の排ガス浄化用触媒100の含有量は、特に限定されないが、総量に対して10質量%以上99質量%以下が好ましく、より好ましく20質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上99質量%以下である。
併用可能な公知の触媒や助触媒や触媒担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、セリア−ジルコニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化プラセオジム等の金属酸化物乃至は金属複合酸化物;希土類元素及び/又は遷移元素がドープされたジルコニアやセリア−ジルコニア等の複合酸化物;SrFeO3-δ以外のペロブスカイト型酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−ボリア等のアルミナを含む複合酸化物;バリウム化合物、ゼオライト等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、併用する触媒や助触媒や触媒担体の使用割合は、要求性能などに応じて適宜設定でき、特に限定されないが、総量に対して合計で0.01質量%以上50質量%以下が好ましく、合計で0.05質量%以上20質量%以下がより好ましく、合計で0.1質量%以上8質量%以下がさらに好ましい。
また、併用可能な添加剤としては、各種バインダー、非イオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤等の分散安定化剤、pH調整剤、粘度調整剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。バインダーとしては、アルミナゾル、チタニアゾル、シリカゾル、ジルコニアゾル等の種々のゾルが挙げられるが、これらに特に限定されない。また、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸チタン、酢酸チタン、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム等の可溶性の塩もバインダーとして使用することができる。その他、酢酸、硝酸、塩酸、硫酸等の酸も、バインダーとして使用することができる。なお、バインダーの使用量は、特に限定されず、成形体の維持に必要な程度の量であれば構わない。なお、上述した添加剤の使用割合は、要求性能などに応じて適宜設定でき、特に限定されないが、総量に対して合計で0.01〜20質量%が好ましく、合計で0.05〜10質量%がより好ましく、合計で0.1〜8質量%がさらに好ましい。
上記のようにして得られる排ガス浄化用触媒100に、必要に応じて、貴金属元素や白金族元素をさらに担持させてもよい。貴金属元素や白金族元素の担持方法は、公知の手法を適用でき、特に限定されない。例えば、貴金属元素や白金族元素を含む塩の溶液を調製し、排ガス浄化用触媒100にこの含塩溶液を含浸させ、その後に焼成することにより、貴金属元素や白金族元素の担持を行うことができる。含塩溶液としては、特に限定されないが、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸塩溶液、塩化物水溶液等が好ましい。また、焼成処理も、特に限定されないが、350℃以上1000℃以下で約1〜12時間が好ましい。なお、高温焼成に先立って、真空乾燥機等を用いて減圧乾燥を行い、50℃以上200℃以下で約1〜48時間程度の乾燥処理を行うことが好ましい。
上述した一体型構造型触媒は、触媒担体とこの触媒担体の少なくとも一方の面側に設けられた触媒層とを少なくとも備える積層構造の触媒部材(積層触媒部材)である。このような構成を採用することで、装置への組み込みが容易となる等、種々の用途への適用可能性が増大する。例えば排ガス浄化用途においては、触媒担体としてハニカム構造担体等を用い、ガス流が通過する流路内にこの一体型構造型触媒を設置し、ハニカム構造担体のセル内にガス流を通過させることで、高効率に排ガス浄化を行うことができる。
ここで、本明細書において、「触媒担体の少なくとも一方の面側に設けられた」とは、触媒担体の一方の面と触媒層との間に任意の他の層(例えばプライマー層、接着層等)が介在した態様を包含する意味である。すなわち、本明細書において、「一方の面側に設ける」とは、触媒担体と触媒層とが直接載置された態様、触媒担体と触媒層とが任意の他の層を介して離間して配置された態様の双方を含む意味で用いている。また、触媒層は、触媒担体の一面のみに設けられていても、複数の面(例えば、一方の主面及び他方の主面等)に設けられていてもよいことを意味する。
上述した層構成を有する一体型構造型触媒は、常法にしたがい製造することができる。例えば、上述した排ガス浄化用触媒を触媒担体の表面に被覆(担持)させることで得ることができる。具体的には、上述した排ガス浄化用触媒と水系媒体と必要に応じて当業界で公知のバインダー、他の触媒、助触媒、OSC材、母材粒子、添加剤等とを所望の配合割合で混合してスラリー状混合物を調製し、得られたスラリー状混合物をハニカム構造担体等の触媒担体の表面に付与し、乾燥、焼成する方法が好ましく用いられる。このとき、上述した排ガス浄化用触媒を強固に支持体に付着させ或いは結合させるために、上述したバインダー等を用いることが好ましい。
スラリー状混合物の調製時に用いる水系媒体は、スラリー中で排ガス浄化用触媒が均一に分散できる量を用いればよい。このとき、必要に応じてpH調整のための酸や塩基を配合したり、粘性の調整やスラリー分散性向上のための界面活性剤や分散用樹脂等を配合したりすることができる。スラリーの混合方法としては、ボールミル等による粉砕混合等、公知の粉砕方法又は混合方法を適用することができる。触媒担体上にスラリー状混合物を付与する際には、常法にしたがって、各種公知のコーティング法、ウォッシュコート法、ゾーンコート法を適用することができる。
触媒担体上にスラリー状混合物を付与した後においては、常法にしたがい乾燥や焼成を行うことにより、本実施形態の一体型構造型触媒を得ることができる。なお、乾燥温度は、特に限定されないが、例えば70〜200℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。また、焼成温度は、特に限定されないが、例えば300〜650℃が好ましく、400〜600℃がより好ましい。このとき用いる加熱手段については、例えば電気炉やガス炉等の公知の加熱手段によって行うことができる。
なお、上述した一体型構造型触媒において、触媒層の層構成は、単層、複層のいずれでもよいが、自動車排ガス用途の場合には、排気ガス規制の強化の趨勢等を考慮し触媒性能を高める観点からは、二層以上の積層構造が好ましい。このとき、上述した排ガス浄化用触媒の総被覆量は、特に限定されないが、触媒性能や圧損のバランス等の観点から、3〜450g/Lが好ましく、50〜350g/Lがより好ましい。
自動車排ガス用途において、上述した排ガス浄化用触媒や一体型構造型触媒は、各種エンジンの排気系に配置することができる。その設置個数及び設置箇所は、排ガス規制に応じて適宜設計できる。例えば、排ガスの規制が厳しい場合には、設置箇所を2以上とし、設置箇所は排気系の直下触媒の後方の床下位置に配置することができる。
以下に試験例、実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらによりなんら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。また、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における好ましい上限値又は好ましい下限値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
(実施例1)
母材粒子として、Y固溶ジルコニア系酸化物(Y−ZrO2と記載,Y23:35質量%、ZrO2:65質量%、D50=6.4μm、BET比表面積:72m2/g)を用いた。なお、本明細書において、BET比表面積は、比表面積/細孔分布測定装置(商品名:BELSORP-mini II、マイクロトラック・ベル株式会社製)及び解析用ソフトウェア(商品名:BEL_Master、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用い、BET一点法により求めた値を意味する。
次に、硝酸ストロンチウム、硝酸鉄九水和物を水に溶解して、それぞれの酸化物(SrO、Fe23)のモル比換算で、0.094mol/LのSr、及び0.047mol/LのFeを含有する水溶液1を調製した。
上記母材粒子にこの水溶液1を含浸させ、700℃で1時間の焼成処理を行うことにより、Y−ZrO2母材粒子の表面上に平均粒子径D50が20nmのSrFeO3-δが担持された、焼成処理後の実施例1のパウダー触媒(SrFeO3-δが11.95質量%担持されたY−ZrO2パウダー触媒、SrO換算のSr含有量:6.47質量%、Fe23換算のFe含有量:5.00質量%)を得た。
得られた実施例1のパウダー触媒を水に分散させ、ポットミルでミリングを行い、D50=4.1μmとなるまで粉砕して、触媒スラリーを得た。この触媒スラリーを、ウォッシュコート法により600cpsi,3.5milのコージェライトハニカム担体上にコーティングした後に乾燥させて触媒層を設けることで、ハニカム担体の容積1Lあたり150gの触媒が担持された、実施例1のハニカム触媒(排ガス浄化用触媒、一体型構造型触媒)を得た。
その後、得られたハニカム触媒を耐久炉内で高温曝露処理(耐久処理)を行った。なお、高温曝露処理としては、外部雰囲気をA/F=12.8、及び酸素雰囲気に順次切り替えを繰り返しながら、980℃で6時間の熱処理を行った。
(比較例1)
硝酸ランタン六水和物、硝酸鉄九水和物を水に溶解して、それぞれの酸化物(La23、Fe23)のモル比換算で、0.033mol/LのLa、及び0.047mol/LのFeを含有する水溶液2を調製した。
水溶液1に代えて、この水溶液2を用いる以外は、実施例1と同様に行い、比較例1のパウダー触媒及び排ガス浄化用触媒(LaFeO3-δが10.63質量%担持されたY−ZrO2パウダー触媒、La23換算のLa含有量:7.13質量%、Fe23換算のFe含有量:5.00質量%)を得た。
(比較例2)
母材粒子として、γ−アルミナ(D50=28.1μm、BET比表面積:141m2/g)を用いた。
上記のY−ZrO2に代えて、このγ−アルミナを用いる以外は、実施例1と同様に行い、比較例2のパウダー触媒及び排ガス浄化用触媒(SrFeO3-δが11.95質量%担持されたγ−アルミナパウダー触媒、SrO換算のSr含有量:6.47質量%、Fe23換算のFe含有量:5.00質量%)を得た。
(比較例3)
上記の水溶液1に代えて、上記の水溶液2を用いる以外は、比較例2と同様に行い、比較例3のパウダー触媒及び排ガス浄化用触媒(LaFeO3-δが10.63質量%担持されたγ−アルミナパウダー触媒、La23換算のLa含有量:7.13質量%、Fe23換算のFe含有量:5.00質量%)を得た。
<排ガス浄化用触媒サンプル(一体型構造型触媒)の作製>
得られた焼成処理後の実施例及び比較例1〜3のパウダー触媒を、ウォッシュコート法によりハニカム担体上にそれぞれ塗布し乾燥させて触媒層を設けた後、耐久炉内で高温曝露処理(耐久処理)を行い、排ガス浄化用触媒サンプル(一体型構造型触媒)をそれぞれ作製した。なお、高温曝露処理としては、外部雰囲気をA/F=12.8、及び酸素雰囲気に順次切り替えを繰り返しながら、980℃で6時間の熱処理を行った。
〔作製条件〕
ハニカム担体:コーニングインターナショナル社製、φ1 inch x 50 mmL (25 cc), 600 cpsi/3.5mil
触媒担持量 :150 g/L
<粉末X線回折測定>
焼成処理後の実施例1のパウダー触媒について、X線回折装置(商品名:X’Pert PRO MPD,ヤマト科学株式会社製)を用いて、下記条件で粉末X線回折測定を行ったところ、2θ=32.6°付近にSrFeO3-δ結晶の固有ピーク(221)が確認された。図2に、粉末X線回折測定の測定結果を示す。
ターゲット:Cu
K−Alpha1[A]:1.5406
X線出力設定:40mA,45kV
<平均結晶子径の測定>
さらに、上記式(1)に基づきSrFeO3-δ 粒子の平均結晶子径を算出したところ、実施例1のパウダー触媒のSrFeO3-δ 粒子の平均結晶子径は20nmであった。なお、このシェラー法による計算は、上述した2θ=32.6°付近の強いピーク(221)に基づいて、市販のソフトウェア(スペクトリス社製、PANalytical X'Pert High Score Plus 3.0)を用いて行った。
<排ガス浄化率の測定(HC、CO、NOx)>
得られた実施例1及び比較例1〜3の排ガス浄化用触媒サンプルをモデルガス反応装置にセットした。排ガス浄化率は、下記組成のモデルガスを用いて、触媒出口側のガスを分析し、「浄化率(%)=100*(INLETガス濃度−触媒OUTガス濃度)÷ INLETガス濃度」の計算式に基づいて算出した。
[モデルガス評価条件]
モデルガス装置: SIGU4012 HORIBA社製
分析計 : MEXA-7100 HORIBA社製
触媒入り口温度: 600℃
ガス組成 : CO2=14.00%, O2=0.49%, NO=0.05%, CO=0.50%,
H2=0.17%, iso-C5H12=0.01%, C3H6=0.02%,
H2O=10.00%, N2 balance
A/Fパータベーション = 14.7±0.6, 1Hz(Rich=CO, Lean=O2で調整)
表1に、排ガス浄化率の測定結果を示す。本発明に相当する実施例1の一体型構造型触媒は、LaFeO3よりも酸素欠損が生じ易いSrFeO3をペロブスカイト型触媒活性粒子として用いたものであり、比較例1の一体型構造型触媒に比して、CO浄化率、HC浄化率、及びNOx浄化率のいずれにおいても高い浄化性能を示すことが確認された。このことから、ペロブスカイト型触媒活性粒子を用いる場合、酸素欠損が生じやすい化合物の種類及びその酸素欠損量に応じて、触媒活性が高くなることが示唆される。また、比較例2〜3の一体型構造型触媒では、比較例1の一体型構造型触媒に比して、CO浄化率及びHC浄化率の向上効果が認められたが、NOx浄化率において改善効果が乏しく、また、実施例1の一体型構造型触媒との対比から、CO浄化率において未だ改善余地があることがわかる。
(実施例2)
母材粒子として、Y固溶ジルコニア系酸化物(Y−ZrO2と記載,Y23:35質量%、ZrO2:65質量%、D50=6.4μm、BET比表面積:72m2/g)を用いた。なお、本明細書において、BET比表面積は、比表面積/細孔分布測定装置(商品名:BELSORP-mini II、マイクロトラック・ベル株式会社製)及び解析用ソフトウェア(商品名:BEL_Master、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用い、BET一点法により求めた値を意味する。
次に、硝酸ストロンチウム、硝酸鉄九水和物を水に溶解して、それぞれの酸化物(SrO、Fe23)のモル比換算で、0.047mol/LのSr、及び0.023mol/LのFeを含有する水溶液Aを調製した。
上記母材粒子にこの水溶液Aを含浸させ、700℃で1時間の焼成処理を行うことにより、Y−ZrO2母材粒子の表面上に平均粒子径D50が20nmのSrFeO3-δが担持された、焼成処理後の実施例2のパウダー触媒(SrFeO3-δが5.73質量%及びFe23-δが0.01質量%担持されたY−ZrO2パウダー触媒)を得た。
(実施例3)
硝酸ストロンチウム、硝酸鉄九水和物を水に溶解して、それぞれの酸化物(SrO、Fe23)のモル比換算で、0.094mol/LのSr、及び0.047mol/LのFeを含有する水溶液Bを調製した。
上記水溶液Aに代えて、この水溶液Bを用いる以外は、実施例2と同様に行うことにより、Y−ZrO2母材粒子の表面上に平均粒子径D50が20nmのSrFeO3-δが担持された、焼成処理後の実施例3のパウダー触媒(SrFeO3-δが11.95質量%及びFe23-δが0.02質量%担持されたY−ZrO2パウダー触媒)を得た。
(実施例4)
硝酸ストロンチウム、硝酸鉄九水和物を水に溶解して、それぞれの酸化物(SrO、Fe23)のモル比換算で、0.187mol/LのSr、及び0.094mol/LのFeを含有する水溶液Cを調製した。
上記水溶液Aに代えて、この水溶液Cを用いる以外は、実施例2と同様に行うことにより、Y−ZrO2母材粒子の表面上に平均粒子径D50が20nmのSrFeO3-δが担持された、焼成処理後の実施例4のパウダー触媒(SrFeO3-δが23.90質量%及びFe23-δが0.03質量%担持されたY−ZrO2パウダー触媒)を得た。
(実施例5)
硝酸ストロンチウム、硝酸鉄九水和物を水に溶解して、それぞれの酸化物(SrO、Fe23)のモル比換算で、0.374mol/LのSr、及び0.188mol/LのFeを含有する水溶液Dを調製した。
上記水溶液Aに代えて、この水溶液Dを用いる以外は、実施例2と同様に行うことにより、Y−ZrO2母材粒子の表面上に平均粒子径D50が20nmのSrFeO3-δが担持された、焼成処理後の実施例5のパウダー触媒(SrFeO3-δが47.80質量%及びFe23-δが0.07質量%担持されたY−ZrO2パウダー触媒)を得た。
(実施例6)
硝酸ストロンチウム、硝酸鉄九水和物を水に溶解して、それぞれの酸化物(SrO、Fe23)のモル比換算で、0.066mol/LのSr、及び0.047mol/LのFeを含有する水溶液Eを調製した。
上記水溶液Aに代えて、この水溶液Eを用いる以外は、実施例2と同様に行うことにより、Y−ZrO2母材粒子の表面上に平均粒子径D50が20nmのSrFeO3-δ及びFe23-δが担持された、焼成処理後の実施例6のパウダー触媒(SrFeO3-δが8.38質量%及びFe23-δが1.51質量%担持されたY−ZrO2パウダー触媒)を得た。
得られた実施例2〜6のパウダー触媒を水に分散させ、ポットミルでミリングを行い、D50=4.1μmとなるまで粉砕して、触媒スラリーを得た。この触媒スラリーを、ウォッシュコート法により600cpsi,3.5milの上述したコージェライトハニカム担体上にコーティングした後に乾燥させて触媒層を設けることで、ハニカム担体の容積1Lあたり150gの触媒が担持された、実施例2〜6のハニカム触媒(排ガス浄化用触媒、一体型構造型触媒)を得た。その後、得られたハニカム触媒を耐久炉内で高温曝露処理(耐久処理)を行った。なお、高温曝露処理としては、外部雰囲気をA/F=12.8、及び酸素雰囲気に順次切り替えを繰り返しながら、980℃で6時間の熱処理を行った。
<排ガス浄化率の測定(HC、CO、NOx)>
得られた実施例1及び比較例1〜3の排ガス浄化用触媒サンプルをモデルガス反応装置にセットした。排ガス浄化率は、下記組成のモデルガスを用いて、触媒出口側のガスを分析し、「浄化率(%)=100*(INLETガス濃度−触媒OUTガス濃度)÷ INLETガス濃度」の計算式に基づいて算出した。
[モデルガス評価条件]
モデルガス装置: SIGU4012 HORIBA社製
分析計 : MEXA-7100 HORIBA社製
触媒入り口温度: 600℃
ガス組成 : CO2=14.00%, O2=0.47%, NO=0.05%, CO=0.50%,
H2=0.17%, C3H6=0.04%,
H2O=10.00%, N2 balance
A/Fパータベーションなし
A/Fパータベーションあり:14.7±0.6, 1Hz, (Rich=CO, Lean=O2で調整)
表2に、排ガス浄化率の測定結果を示す。本発明に相当する実施例2〜6の一体型構造型触媒は、いずれも高い浄化性能を示すことが確認された。
本発明は、排ガス中のNOx、CO、HC等を削減する触媒として広く且つ有効に利用することができ、特に耐熱性が要求されるエンジン直下型触媒コンバータやタンデム配置の直下型触媒コンバータ等の三元触媒(TWC: Three-Way Catalyst)として殊に有効に利用することができる。
11 ・・・母材粒子
11a・・・表面
21 ・・・SrFeO3-δ
31 ・・・誘導体(例えばFe23
100 ・・・排ガス浄化用触媒

Claims (13)

  1. 希土類固溶ジルコニア系酸化物を含有し1μm以上30μm以下の平均粒子径D50を有する母材粒子と、
    前記母材粒子の表面に担持された、ペロブスカイト型触媒活性粒子であるSrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。)と、
    を少なくとも有する複合粒子を含有することを特徴とする、
    排ガス浄化用触媒。
  2. 粉末X線回折測定において、2θ=32.6±0.5°にSrFeO3の回折ピークを発現する
    請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. SrFeO3-δの平均粒子径が、1〜90nmである
    請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. SrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。)の含有割合が、前記複合粒子の総質量に対して、1〜60質量%である
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記母材粒子の表面に担持された、Fe23-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦1を満たす数である。)をさらに含有する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記希土類固溶ジルコニア系酸化物は、Y、Ce、Nd、及びNdよりなる群から選択される少なくとも1以上の希土類元素が固溶したジルコニア系酸化物である
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
  7. 前記複合粒子が、貴金属元素を実質的に含有しない
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
  8. 触媒担体と、
    前記触媒担体の少なくとも一方の面側に設けられた触媒層と、を少なくとも備え、
    前記触媒層は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒を少なくとも含有することを特徴とする、
    一体構造型排ガス浄化用触媒。
  9. 前記排ガス浄化用触媒の担持量が、前記触媒担体の単位体積あたり3〜450g/Lである
    請求項8に記載の一体構造型排ガス浄化用触媒。
  10. 希土類固溶ジルコニア系酸化物を含有し1μm以上30μm以下の平均粒子径D50を有する母材粒子の表面に、ストロンチウムイオン及び鉄イオンを少なくとも含有する水溶液を付与する工程、並びに
    処理後の前記母材粒子を500℃以上1490℃以下で熱処理して、希土類固溶ジルコニア系酸化物を含有する母材粒子と前記母材粒子の表面に担持されたペロブスカイト型触媒活性粒子であるSrFeO3-δ(但し、δは、酸素欠損量を示し、0≦δ≦0.5を満たす数である。)とを有する複合粒子を得る工程
    を少なくとも備えることを特徴とする、
    排ガス浄化用触媒の製造方法。
  11. 前記水溶液中、Srに対するFeの含有比率(Fe/Sr)が、モル比で、0.5以上1.5以下である
    請求項10に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  12. 前記水溶液が、Sr以外の希土類金属元素、及び、Fe以外の遷移金属元素を実質的に含有しない
    請求項10又は11に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  13. 前記複合粒子が、貴金属元素を実質的に含有しない
    請求項10〜12のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
JP2018055049A 2018-03-22 2018-03-22 排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒 Pending JP2019166450A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018055049A JP2019166450A (ja) 2018-03-22 2018-03-22 排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018055049A JP2019166450A (ja) 2018-03-22 2018-03-22 排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019166450A true JP2019166450A (ja) 2019-10-03

Family

ID=68107005

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018055049A Pending JP2019166450A (ja) 2018-03-22 2018-03-22 排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019166450A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3932542A1 (en) * 2020-07-03 2022-01-05 BASF Corporation Catalyst for particulate combustion in gasoline emission treatment systems
WO2022050356A1 (ja) * 2020-09-02 2022-03-10 三菱ケミカル株式会社 金属酸化物、酸素吸蔵材、酸素吸脱着装置、酸素吸脱着方法、酸素濃縮装置、及び酸素濃縮方法
KR20230071460A (ko) * 2021-11-16 2023-05-23 (주)리포마 페로브스카이트계 촉매, 이를 포함하는 일산화탄소 저감용 촉매 및 이의 제조 방법

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3932542A1 (en) * 2020-07-03 2022-01-05 BASF Corporation Catalyst for particulate combustion in gasoline emission treatment systems
WO2022006223A1 (en) * 2020-07-03 2022-01-06 Basf Corporation Catalyst for particulate combustion in gasoline emission treatment systems
CN115697550A (zh) * 2020-07-03 2023-02-03 巴斯夫公司 汽油排放处理系统中颗粒物燃烧用催化剂
JP2023532837A (ja) * 2020-07-03 2023-08-01 ビーエーエスエフ コーポレーション ガソリン排出処理システムにおける微粒子燃焼用触媒
JP7490086B2 (ja) 2020-07-03 2024-05-24 ビーエーエスエフ コーポレーション ガソリン排出処理システムにおける微粒子燃焼用触媒
WO2022050356A1 (ja) * 2020-09-02 2022-03-10 三菱ケミカル株式会社 金属酸化物、酸素吸蔵材、酸素吸脱着装置、酸素吸脱着方法、酸素濃縮装置、及び酸素濃縮方法
KR20230071460A (ko) * 2021-11-16 2023-05-23 (주)리포마 페로브스카이트계 촉매, 이를 포함하는 일산화탄소 저감용 촉매 및 이의 제조 방법
KR102671680B1 (ko) 2021-11-16 2024-06-04 (주)리포마 페로브스카이트계 촉매, 이를 포함하는 일산화탄소 저감용 촉매 및 이의 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5290572B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
EP2683467B1 (en) Exhaust gas purification catalyst
US20070191220A1 (en) Oxygen storage material, process for its preparation and its application in a catalyst
WO2004004899A1 (ja) 排ガス浄化用触媒の製造方法
JP2012106245A (ja) 排ガス浄化触媒及びその製造方法
US11376568B2 (en) Exhaust gas-purifying three-way catalyst
CA2562556C (en) Process for producing metal oxide particle and exhaust gas purifying catalyst
JP2004243305A (ja) 排ガス浄化用触媒
JP7187654B2 (ja) 排ガス用浄化触媒組成物、及び自動車用排ガス浄化触媒
US20070197373A1 (en) Zirconia core particles coated with ceria particles, production process thereof and exhaust gas purifying catalyst
JP2019166450A (ja) 排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒
CN111565837B (zh) 废气净化用三元催化剂及其制造方法、以及一体结构型废气净化用催化剂
JP6985913B2 (ja) 排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒
WO2018088201A1 (ja) 排ガス浄化用三元触媒及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒コンバータ
JP4969496B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2019171277A (ja) ディーゼル酸化触媒粉末及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒
JP7226943B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2018075550A (ja) 排ガス浄化用三元触媒及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒コンバータ
JP6889012B2 (ja) 軽油燃焼用ディーゼル酸化触媒、及びこれを用いたディーゼルエンジンの排ガス浄化装置
JP6714470B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用触媒コンバータ
JP2020032306A (ja) 排ガス浄化用触媒
JP3309711B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒及びその製造方法
WO2022131244A1 (ja) 鞍乗型車両用排ガス浄化触媒
US20240399343A1 (en) Exhaust gas purification catalyst, and exhaust gas purification catalyst apparatus for vehicles, using same
JP2011036741A (ja) 排ガス浄化用触媒