以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
(実施の形態1)
本実施の形態および以下の実施の形態の半導体装置は、不揮発性メモリ(不揮発性記憶素子、フラッシュメモリ、不揮発性半導体記憶装置)と、容量素子とを備えた半導体装置である。本実施の形態および以下の実施の形態では、不揮発性メモリは、nチャネル型MISFET(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を基本としたメモリセルをもとに説明を行う。
また、本実施の形態および以下の実施の形態での極性(書込・消去・読出時の印加電圧の極性やキャリアの極性)は、nチャネル型MISFETを基本としたメモリセルの場合の動作を説明するためのものであり、pチャネル型MISFETを基本とする場合は、印加電位やキャリアの導電型等の全ての極性を反転させることで、原理的には同じ動作を得ることができる。
<半導体装置の製造方法について>
本実施の形態の半導体装置の製造方法を、図1〜図17を参照して説明する。
図1〜図15および図17は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の断面図である。図16は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の平面レイアウトである。図1〜図15および図17においては、各図の左側から右側に向かって、順にメモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面図を示している。メモリセル領域1Aには不揮発性メモリのメモリセルが、周辺回路領域1Bには低耐圧のMISFETが、容量素子領域1Cにはトレンチ型容量素子がそれぞれ形成される様子を示す。メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cは、半導体基板の主面に沿う方向において並ぶ領域である。
なお、上記不揮発性メモリの動作のためには、高耐圧のMISFETも要する。ただし、高耐圧MISFETのゲート絶縁膜の膜厚が上記トレンチ型容量素子の絶縁膜と同じである点、および、各種の注入条件がそれぞれの最適化のために異なる場合がある点を除いては、高耐圧のMISFETは、低耐圧のMISFETと変わるところがない。よって、以下では、高耐圧のMISFETに関する説明は原則として省略する。
ここでは、メモリセル領域1Aにnチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)を形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)をメモリセル領域1Aに形成することもできる。
同様に、ここでは、周辺回路領域1Bにnチャネル型のMISFETを形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFETを周辺回路領域1Bに形成することもできる。また、周辺回路領域1Bに、nチャネル型のMISFETとpチャネル型のMISFETの両方、すなわちCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor)を形成することもできる。
同様に、ここでは、容量素子領域1Cに、半導体基板の主面のn型のウエルを含む下部電極(第1電極)と、半導体基板上に形成されたn型の半導体膜からなる上部電極(第2電極)とを含む容量素子を形成する場合について説明するが、p型のウエルを含む下部電極と、p型の半導体膜からなる上部電極とを含む容量素子を形成してもよい。
半導体装置の製造工程においては、まず、図1に示すように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコン(Si)などからなる半導体基板(半導体ウエハ)SBを用意する。続いて、例えば熱処理を行うことで、半導体基板SBの主面の全面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1を形成する。その後、絶縁膜IF1上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF2を形成する。
次に、図2に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜IF2およびIF1と、半導体基板SBの上面の一部とを除去する。つまり、絶縁膜IF2およびIF1からなる積層膜を複数の箇所において貫通する開口部を形成し、それらの開口部の直下の半導体基板SBの上面の一部を除去する。これにより、半導体基板SBの上面には、複数の溝(凹部、窪み部)D1および複数の溝D2が形成される。溝D1はメモリセル領域1A、周辺回路領域1B、および容量素子領域1Cのそれぞれに形成され、溝D2は容量素子領域1Cにのみ形成される。
各溝D2は、半導体基板SBの主面に沿う第1方向に延在しており、複数の溝D2は、半導体基板SBの主面に沿い、かつ第1方向に対して直交する第2方向において並んで配置されている。つまり複数の溝D2は、ストライプ状に形成されている。なお、溝D2のレイアウトはストライプ状に限らず、ドット形状または井桁形状などであっても構わない。
溝D1およびD2は同一工程で形成された凹部であり、半導体基板SBの途中深さまで達している。この時点で、溝D1に隣接する半導体基板SBの上面と、溝D2に隣接する半導体基板SBの上面とは同様の高さに位置している。ここで、溝D1、D2のそれぞれの底面と側壁との境界の角部は、丸みを有していることが考えられるが、当該角部の丸みは比較的小さい。
なお、ここでは1度のエッチング工程により絶縁膜IF2、IF1、および半導体基板SBのそれぞれを加工しているが、例えば、絶縁膜IF2をドライエッチング法により加工した後、ウェットエッチング法により絶縁膜IF1を加工することで半導体基板SBの上面を露出させ、その後ドライエッチング法を用いて溝D1、D2を形成してもよい。
次に、図3に示すように、溝D1、D2のそれぞれの側壁を酸化した後、半導体基板SB上に、例えばCVD法を用いて酸化シリコン膜を形成することで、溝D1、D2のそれぞれの内側を完全に埋め込み、続いて、熱処理を行って当該酸化シリコン膜の焼き締めを行う。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により当該酸化シリコン膜の上面を研磨することで、絶縁膜IF2の上面を露出させる。これにより、複数の溝D1、D2のそれぞれの内側に埋め込まれた上記酸化シリコン膜は、それぞれ分離される。
その後、前記酸化シリコン膜の上面をエッチバックして後退させる。ただし、複数の溝D1、D2のそれぞれの内側に埋め込まれた上記酸化シリコン膜の上面の高さは、半導体基板SBの主面よりも高い位置にある。各溝D1内には、上記酸化シリコン膜からなる素子分離領域EIが形成され、各溝D2内には、上記酸化シリコン膜からなるダミー素子分離領域DEIが形成される。ダミー素子分離領域DEIは、後の工程で除去される絶縁膜である。
次に、図4に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、半導体基板SB上にフォトレジスト膜PR1のパターンを形成する。フォトレジスト膜PR1は、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bを覆い、容量素子領域1Cの一部を露出するマスクパターンである。容量素子領域1Cでは、素子分離領域EIはフォトレジスト膜PR1に覆われており、ダミー素子分離領域DEIはフォトレジスト膜PR1から露出している。フォトレジスト膜PR1は、容量素子領域1Cにおいて隣り合う素子分離領域EIとダミー素子分離領域DEIとの間の絶縁膜IF1の直上で終端している。
次に、図5に示すように、素子分離領域EIがフォトレジスト膜PR1により覆われた状態で、フォトレジスト膜PR1、絶縁膜IF1およびIF2をマスクとしてドライエッチングを行うことで、ダミー素子分離領域DEIを除去し、その後フォトレジスト膜PR1をアッシングなどにより除去する。ただし、当該エッチング工程により、隣り合う溝D2同士の間を含む溝D2の近傍の領域では、マスクとして用いた絶縁膜IF1、IF2が除去されるため、当該領域の半導体基板SBの上面が露出する。本実施の形態では、ダミー素子分離領域DEIを除去し、溝D2の側壁および底面を露出させている。このため、ダミー素子分離領域DEIは、擬似的な素子分離領域とみなすことができる。
溝D2の近傍の絶縁膜IF1、IF2が除去されることで、溝D2の側壁と、その上の半導体基板の主面と境界の角部は、上記エッチングにより削られて丸くなる。また、溝D2の底面の、半導体基板SBの主面に沿う方向(以下、単に横方向という場合がある)における中央部は、溝D2の側壁に近い当該底面の端部よりもエッチングされやすい。このため、溝D2の側壁および底面の境界の角部は大きく丸まり、溝D2の側壁および底面の間の面は滑らかに繋がる。
よって、溝D2の底面端部の角部は、溝D1の底面端部の角部よりも丸くなる。また、溝D2の側壁上端の角部は、溝D1の側壁上端の角部よりも丸くなる。言い換えれば、溝D2の底面端部の角部の曲率半径は、溝D1の底面端部の角部の曲率半径よりも大きくなる。また、溝D2の側壁上端の角部の曲率半径は、溝D1の側壁上端の角部の曲率半径よりも大きくなる。
また、当該エッチング工程により、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SBの上面はエッチバックされるため、他の領域(例えば溝D1に隣接する領域)における半導体基板SBの主面の高さよりも低くなる。同様に、溝D2の底面は当該エッチング工程によりエッチバックされるため、溝D2の底面の高さは、溝D1の底面の高さよりも低くなる。つまり、溝D2は、溝D1よりも深くなる。
言い換えれば、メモリセル領域1Aにおいて隣り合う溝D1同士の間の半導体基板SBの主面の位置を基準とすると、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SBの上面は、半導体基板SBの主面に対して垂直な方向(以下、単に垂直方向という)において、当該基準の位置よりも下に位置する。また、垂直方向における当該基準の位置から溝D2の底面の位置までの距離は、垂直方向における当該基準の位置から溝D1の底面の位置までの距離よりも大きい。つまり、溝D2の近傍の半導体基板SBの主面の位置は、溝D1の近傍の半導体基板SBの主面の位置よりも低く、溝D2の底面の位置は、溝D1の底面の位置よりも低い。
なお、フォトレジスト膜PR1(図4参照)の近傍においてフォトレジスト膜PR1から露出する絶縁膜IF1およびIF2からなる積層膜は、上記ドライエッチング工程において除去されにくく、半導体基板SB上に残る。つまり、隣り合う素子分離領域EIとダミー素子分離領域DEIとの間において、フォトレジスト膜PR1の終端部から露出する位置の絶縁膜IF1の当該絶縁膜は完全には除去されず、上記エッチングにより薄膜化されて残る。これは、上記ドライエッチング工程を、酸化シリコン膜からなるダミー素子分離領域DEIが除去されやすく、かつ、窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF2が除去されにくい条件で行うためである。
ここでは、例えば、フォトレジスト膜PR1の近傍において、フォトレジスト膜PR1から露出する領域の窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF2の上面は後退するが、当該領域の絶縁膜IF2の一部は残る。この場合、隣り合う素子分離領域EIとダミー素子分離領域DEIとの間の半導体基板SBの上面は絶縁膜IF2、IF1によりドライエッチングから保護されるため、当該上面がダメージを受けることを防ぐことができる。
また、溝D2内のダミー素子分離領域DEIを除去する上記ドライエッチングでは、絶縁膜IF2、IF1をマスクとして用い、容量素子領域1Cにおいてフォトレジスト膜PR1から露出する溝D2近傍の絶縁膜IF1、IF2およびダミー素子分離領域DEIが除去された時点でエッチングを停止している。このため、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SBの上面は、当該エッチング時間のうち、殆どの時間において絶縁膜IF2、IF1により保護されている。これにより、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SBの上面に、ドライエッチングによるダメージが生じることを防ぐことができる。
次に、図6に示すように、絶縁膜IF2をウェットエッチングにより選択的に除去する。つまり、まず犠牲酸化を行うことで、溝D2の側壁および底面に酸化膜を形成した後、洗浄処理を行うことで、溝D2の側壁を覆う当該酸化膜を残して、絶縁膜IF2上の酸化シリコン膜(図示しない)を除去し、続いて熱リン酸により絶縁膜IF2を除去する。
続いて、洗浄処理を行うことで、溝D2の側壁および底面を覆う犠牲酸化膜と、半導体基板SBの主面を覆う絶縁膜IF1とを除去する。これにより、半導体基板の主面を露出させる。つまり、素子分離領域EIにより覆われた溝D1の側壁および底面を除き、半導体基板SBの表面が露出する。その後、犠牲酸化を行うことで、半導体基板SBの表面を覆う薄い犠牲酸化膜(図示しない)を形成する。
その後、イオン注入を行うことで、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの半導体基板SBの主面に、p型のウエルWL1、WL2およびp型のWL3をそれぞれ形成する。ウエルWL1、WL2は、ここではp型の不純物(例えばB(ホウ素))を比較的低い濃度で打ち込むことで形成する。ウエルWL3は、ここではn型の不純物(例えばAs(ヒ素)またはP(リン))を比較的低い濃度で打ち込むことで形成する。なお、図示および詳しい説明はしないが、p型のMISFETを形成する領域では、n型の不純物(例えばAs(ヒ素)またはP(リン))を半導体基板SBの主面にイオン注入することで、n型のウエルを形成する。
ウエルWL1、WL2およびWL3のそれぞれの形成深さは、溝D1、D2よりも深い。ここではウエルWL1、WL2およびWL3のそれぞれを、フォトリソグラフィ技術を用いて別々のイオン注入工程により形成することで、異なる不純物濃度とする。その後、半導体基板SBに対し熱処理を行って、ウエルWL1、WL2およびWL3内の不純物を拡散させた後、上記薄い犠牲酸化膜を除去する。これにより、半導体基板SBの主面、溝D2の側壁および底面が露出する。
その後、以下の工程を行うことで、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cのそれぞれの上面を酸化シリコン膜からなる絶縁膜により覆う。ただし、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bに形成する絶縁膜IF3と、容量素子領域1Cに形成する絶縁膜IF4とでは膜厚が異なる。絶縁膜IF4の膜厚は、例えば15nmである。
すなわち、露出する半導体基板SBの表面を酸化することで、比較的膜厚が大きい絶縁膜IF4を形成する。これにより、半導体基板SBの主面に加えて、溝D2の側壁および底面も絶縁膜IF4により覆われる。絶縁膜IF4は、例えばISSG(In-Situ Steam Generation)酸化法、つまり熱酸化法により形成する。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bの絶縁膜IF4を除去することで、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bの半導体基板SBの主面を露出させる。
続いて、熱酸化などを行って、露出する半導体基板SBの上面に、比較的膜厚が小さい絶縁膜IF3を形成する。これにより、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bのそれぞれの半導体基板SBの上面は、絶縁膜IF3により覆われる。このようにして、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bと、容量素子領域1Cとで異なる膜厚の絶縁膜を形成することができる。
その後、半導体基板SBの主面全面上に、例えばCVD法を用いて、ポリシリコン膜PS1を形成する。これにより、絶縁膜IF3、IF4のそれぞれの上面はポリシリコン膜PS1により覆われる。このとき、溝D2の横方向の幅に対し、ポリシリコン膜PS1の膜厚は十分に大きいため、溝D2は絶縁膜IF4およびポリシリコン膜PS1により完全に埋め込まれ、かつ、溝D2の直上において、ポリシリコン膜PS1の上面は殆ど凹まない。つまり、溝D2内は、絶縁膜IF4を介してポリシリコン膜PS1により埋め込まれる。その後、ポリシリコン膜PS1上に、例えばCVD法を用いて、窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF5を形成する。
ここで、ポリシリコン膜PS1は、成膜時にアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理で、当該アモルファスシリコン膜を、多結晶シリコン膜からなるポリシリコン膜PS1に変えることもできる。ポリシリコン膜PS1は、成膜時に不純物を導入せず、成膜後に不純物をイオン注入し、その後の熱処理で当該不純物を拡散させることにより、低抵抗の半導体膜とする。
溝D2内のポリシリコン膜PS1に対しても、当該イオン注入工程により打ち込まれた不純物を、熱処理により拡散させることが可能である。つまり、溝D2内の底部においても、ポリシリコン膜PS1に上記不純物が導入される。このため、溝D2内のポリシリコン膜PS1を含む上部電極を含む容量素子を後の工程で形成した場合に、溝D2内の当該上部電極において空乏層が発生することを防ぐことができる。
ここでは、容量素子領域1Cのポリシリコン膜PS1に、n型の不純物(例えばAs(ヒ素)またはP(リン))を打ち込む。これは、後に形成する容量素子を、半導体基板SBの上面のウエルWL3からなる下部電極と、当該下部電極の直上のポリシリコン膜PS1からなる上部電極とにより形成する場合に、下部電極および上部電極の導電型を揃えるためである。このように、本実施の形態ではn型の容量素子を形成するが、p型の容量素子を形成する場合には、ウエルWL3をp型の半導体領域として形成し、ポリシリコン膜PS1を上記イオン注入によりp型の半導体膜とする。
ポリシリコン膜PS1の一部は溝D2を埋め込んでいるが、ポリシリコン膜PS1は十分に膜厚が大きいため、溝D2の直上におけるポリシリコン膜PS1の上面には大きな凹みは形成されない。
次に、図7に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて、メモリセル領域1Aの絶縁膜IF5、ポリシリコン膜PS1および絶縁膜IF3を加工する。これにより、ポリシリコン膜PS1からなる制御ゲート電極CGと、絶縁膜IF3からなるゲート絶縁膜GI1とを形成する。なお、最初にメモリセル領域1Aの絶縁膜IF5をフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて加工し、その後に絶縁膜IF5をマスクとして、メモリセル領域1Aのポリシリコン膜PS1および絶縁膜IF3を加工することも可能である。
また、ここでは周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cのポリシリコン膜PS1を加工しないが、当該エッチング工程において、容量素子領域1Cのポリシリコン膜PS1を加工してもよい。容量素子領域1Cのポリシリコン膜PS1を加工する場合は、図10を用いて後述するように、溝D2内およびその近傍のポリシリコン膜PS1を残すようにして、その横のポリシリコン膜PS1を除去する。
次に、図8に示すように、半導体基板SBの主面全面上に、メモリトランジスタのゲート絶縁膜用の積層膜であるONO(oxide-nitride-oxide)膜ONを形成する。ONO膜ONは、メモリセル領域1Aの半導体基板SBの上面と、ゲート絶縁膜GI1、制御ゲート電極CGおよび絶縁膜IF5からなる積層膜の側壁および上面と、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの絶縁膜IF5の上面とを覆う。
ここでは、図をわかりやすくするため、ONO膜ONを構成する積層膜の積層構造の図示を省略する。つまりここでは、ONO膜ONを構成する各膜同士の境界の図示をしない。ONO膜ONは、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜である。具体的には、ONO膜ONは、半導体基板SB上に形成された第1酸化シリコン膜(ボトム酸化膜)と、第1酸化シリコン膜上に形成された窒化シリコン膜と、当該窒化シリコン膜上に形成された第2酸化シリコン膜(トップ酸化膜)との積層膜からなり、当該窒化シリコン膜は電荷蓄積部として機能する。
第1、第2酸化シリコン膜は、例えば酸化処理(熱酸化処理)またはCVD法あるいはその組み合わせにより形成することができる。この際の酸化処理には、ISSG酸化を用いることも可能である。上記窒化シリコン膜は、例えばCVD法により形成することができる。第1、第2酸化シリコン膜の厚みは、例えば2〜10nm程度とすることができ、上記窒化シリコン膜の厚みは、例えば5〜15nm程度とすることができる。
続いて、ONO膜ONの表面を覆うように、半導体基板SBの主面全面上に、例えばCVD法を用いてポリシリコン膜PS2を形成する。これにより、メモリセル領域1Aにおいて露出していたONO膜ONの側壁および上面は、ポリシリコン膜PS2により覆われる。つまり、制御ゲート電極CGの側壁には、ONO膜ONを介してポリシリコン膜PS2が形成される。ポリシリコン膜PS2の膜厚は、ポリシリコン膜PS1の膜厚よりも小さい。
ポリシリコン膜PS2は、成膜時にアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理で、多結晶化して形成することもできる。ポリシリコン膜PS2は、例えばn型の不純物(例えばリン(P))が比較的高い濃度で導入された膜である。ポリシリコン膜PS2は、後述のメモリゲート電極MGを形成するための膜である。
ここでいう膜厚とは、特定の膜の場合、当該膜の下地の表面に対して垂直な方向における当該膜の厚さをいう。例えば、ONO膜ONの上面などのように、半導体基板SBの主面に沿う面の上に、当該面に沿ってポリシリコン膜PS2が形成された場合、ポリシリコン膜PS2の膜厚とは、半導体基板SBの主面に対して垂直な方向におけるポリシリコン膜PS2の厚さをいう。また、ONO膜ONの側壁のように、半導体基板SBの主面に対して垂直な壁に接して形成される部分のポリシリコン膜PS2の場合、ポリシリコン膜PS2の膜厚とは、当該側壁に対して垂直な方向におけるポリシリコン膜PS2の厚さをいう。
次に、図9に示すように、ドライエッチング法により、ポリシリコン膜PS2をエッチバックすることで、ONO膜ONの上面を露出させる。当該エッチバック工程では、ポリシリコン膜PS2を異方性エッチング(エッチバック)することにより、ゲート絶縁膜GI1、制御ゲート電極CGおよび絶縁膜IF5からなる積層膜の両方の側壁上に、ONO膜ONを介して、ポリシリコン膜PS2をサイドウォール状に残す。
これにより、メモリセル領域1Aにおいて、上記積層膜の側壁のうち、一方の側壁に、ONO膜ONを介してサイドウォール状に残存したポリシリコン膜PS2からなるメモリゲート電極MGが形成される。上記エッチバックにより、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1CのONO膜ONの上面が露出する。ポリシリコン膜PS2の膜厚は、ポリシリコン膜PS1の膜厚よりも小さいため、制御ゲート電極CGの側壁に接するポリシリコン膜PS2からなるメモリゲート電極MGの横方向における膜厚(ゲート長)は、ポリシリコン膜PS1からなる制御ゲート電極CGの垂直方向における膜厚よりも小さい。
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いて、制御ゲート電極CGの一方の側壁と隣り合うメモリゲート電極MGを覆い、かつ、制御ゲート電極CGの他方の側壁と隣り合うポリシリコン膜PS2を露出するフォトレジストパターン(図示しない)を半導体基板SB上に形成する。その後、そのフォトレジストパターンをエッチングマスクとしてエッチングを行うことにより、制御ゲート電極CGを挟んでメモリゲート電極MGの反対側に形成されたポリシリコン膜PS2を除去する。その後、当該フォトレジストパターンを除去する。このとき、メモリゲート電極MGは、フォトレジストパターンで覆われているため、エッチングされずに残存する。
続いて、ONO膜ONのうち、メモリゲート電極MGで覆われずに露出する部分をエッチング(例えばウェットエッチング)によって除去する。この際、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの直下のONO膜ONは除去されずに残る。同様に、ゲート絶縁膜GI1、制御ゲート電極CGおよび絶縁膜IF5を含む積層膜と、メモリゲート電極MGとの間に位置するONO膜ONは、除去されずに残る。他の領域のONO膜ONは除去されるため、メモリセル領域1Aの半導体基板SBの上面が露出し、また、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの絶縁膜IF5の上面が露出する。また、制御ゲート電極CGの側壁であって、メモリゲート電極MGと隣り合わない方の側壁が露出する。
このようにして、制御ゲート電極CGと隣り合うように、半導体基板SB上に、内部に電荷蓄積部を有するONO膜ONを介してメモリゲート電極MGが形成される。
次に、図10に示すように、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cのポリシリコン膜PS1、絶縁膜IF3、IF4およびIF5をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングする。これにより、周辺回路領域1Bに、ポリシリコン膜PS1からなるダミーゲート電極DGと、絶縁膜IF3からなるゲート絶縁膜GI2とを形成する。また、容量素子領域1Cに、ポリシリコン膜PS1からなる上部電極UEを形成する。また、容量素子領域1Cでは、上部電極UEから露出する領域における半導体基板SB上の絶縁膜IF4を除去する。これにより、容量素子領域1Cにおいて隣り合う素子分離領域EI同士の間の半導体基板SBの主面が露出する。
ダミーゲート電極DGは、後の工程で除去される半導体膜である。ゲート絶縁膜GI2、ダミーゲート電極DGおよび絶縁膜IF5からなる積層膜は、隣り合う素子分離領域EI同士の間の半導体基板SBの主面上に形成される。
次に、図11に示すように、複数のn−型半導体領域(不純物拡散領域)EXを、イオン注入法などを用いて形成する。すなわち、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、絶縁膜IF4、IF5、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DG、ONO膜ONおよび上部電極UEなどをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板SBの主面にイオン注入法で導入することにより、複数のn−型半導体領域EXを形成する。n−型半導体領域EXの形成前に、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGからなる構造体の側壁と、ダミーゲート電極DGのそれぞれの側壁とをそれぞれ覆うオフセットスペーサを、例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、またはそれらの積層膜などにより形成してもよい。
メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを含む構造体の横の半導体基板SBの上面に形成された一対のn−型半導体領域EXは、後に形成するメモリセル領域1Aの制御トランジスタおよびメモリトランジスタのソース・ドレイン領域の一部を構成する。また、周辺回路領域1Bにおいて、ダミーゲート電極DGの横の半導体基板SBの上面に形成された一対のn−型半導体領域EXは、後に形成する周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域の一部を構成する。メモリセル領域1Aと周辺回路領域1Bのそれぞれのn−型半導体領域EXは、同じイオン注入工程で形成することができるが、異なるイオン注入工程で形成することも可能である。
続いて、メモリセル領域1Aの制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート絶縁膜GI1、絶縁膜IF5およびONO膜ONを含む構造体の両側の側壁を覆うサイドウォールSWを形成する。また、同工程により、周辺回路領域1Bにおいて、ゲート絶縁膜GI2、絶縁膜IF5およびダミーゲート電極DGからなる積層膜の両側の側壁を覆うサイドウォールSWを形成する。また、同工程により、容量素子領域1Cにおいて、上部電極UE、絶縁膜IF4およびIF5を含む積層膜の両側の側壁を覆うサイドウォールSWを形成する。
サイドウォールSWは、例えばCVD法を用いて半導体基板SB上に例えば酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を順に形成した後、異方性エッチングにより当該酸化シリコン膜および当該窒化シリコン膜を一部除去し、半導体基板SBの上面および絶縁膜IF5の上面を露出させることにより、自己整合的に形成することができる。つまり、サイドウォールSWは積層膜により形成することが考えられるが、図では当該積層膜を構成する膜同士の界面を示していない。なお、積層膜の形成方法を工夫して、それぞれの素子特性に最適なサイドウォール幅を持つようにすることもできるが、説明は省略する。
続いて、複数のn+型半導体領域(不純物拡散領域)DFを、イオン注入法などを用いてメモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cに形成する。すなわち、n型不純物(例えばヒ素(As)またはリン(P))を、絶縁膜IF4、絶縁膜IF5、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DG、ONO膜ON、上部電極UEおよびサイドウォールSWなどをマスクとして用いて半導体基板SBの主面にイオン注入法で導入することで、複数のn+型半導体領域DFを形成することができる。n+型半導体領域DFは、n−型半導体領域EXよりも不純物濃度が高く、かつ接合深さ(形成深さ)が深い。なお、n+型半導体領域DFをn−型半導体領域EXよりも浅い接合深さで形成してもよい。
これにより、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bにおいて、エクステンション領域であるn−型半導体領域EXと、n−型半導体領域EXよりも不純物濃度が高い拡散層であるn+型半導体領域DFとからなり、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有するソース・ドレイン領域が形成される。
メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびサイドウォールSWを含む構造体の横の半導体基板SBの上面に形成された一対のn+型半導体領域DFは、後に形成するメモリセル領域1Aの制御トランジスタおよびメモリトランジスタのソース・ドレイン領域の一部を構成する。また、周辺回路領域1Bにおいて、ダミーゲート電極DGおよびサイドウォールSWを含む構造体の横の半導体基板SBの上面に形成された一対のn+型半導体領域DFは、後に形成する周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域の一部を構成する。メモリセル領域1Aと周辺回路領域1Bのそれぞれのn+型半導体領域DFは、同じイオン注入工程で形成することができるが、異なるイオン注入工程で形成することも可能である。
また、容量素子領域1Cでは、上部電極UEの横において素子分離領域EIから露出する半導体基板SBの主面に、n+型半導体領域DFが形成される。つまり、n+型半導体領域DFは溝D1に隣接して形成される。
続いて、ソース領域およびドレイン領域用の半導体領域(n−型半導体領域EXおよびn+型半導体領域DF)などに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
続いて、シリサイド層S1を形成する。シリサイド層S1は、いわゆるサリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)プロセスを行うことによって、形成することができる。具体的には、次のようにしてシリサイド層S1を形成することができる。
すなわち、まず、n+型半導体領域DFの上面上およびメモリゲート電極MGの上面上を含む半導体基板SBの主面全面上に、シリサイド層S1形成用の金属膜を形成(堆積)する。当該金属膜、単体の金属膜(純金属膜)または合金膜を用いることができ、例えば、コバルト(Co)膜、ニッケル(Ni)膜、またはニッケル白金合金膜からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
それから、半導体基板SBに対して熱処理(シリサイド層S1形成用の熱処理)を施すことによって、n+型半導体領域DFおよびメモリゲート電極MGの各表層部分を、当該金属膜と反応させる。これにより、n+型半導体領域DFおよびメモリゲート電極MGのそれぞれの上部に、シリサイド層S1が形成される。その後、未反応の当該金属膜をウェットエッチングなどにより除去し、図11に示す構造を得る。
シリサイド層S1は、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、ニッケル白金シリサイド層とすることができる。なお、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよび上部電極UEのそれぞれの上面はキャップ膜である絶縁膜IF5により覆われている。このため、それらの上面の上部にシリサイド層S1は形成されない。なお、サイドウォール状のメモリゲート電極MGの上部は露出しているため、その露出部にはシリサイド層S1が形成される。ただし、このシリサイド層S1は、後の工程において行うCMP(Chemical Mechanical Polishing)法による研磨工程により、完全に除去される。
次に、図12に示すように、半導体基板SBの主面全面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、サイドウォールSW、ダミーゲート電極DGおよび上部電極UEを覆うように、層間絶縁膜IL1を形成する。層間絶縁膜IL1は、例えば酸化シリコン膜の単体膜からなり、例えばCVD法などを用いて形成することができる。ここでは、例えば制御ゲート電極CGの膜厚よりも厚い膜厚で層間絶縁膜IL1を形成する。
次に、図13に示すように、層間絶縁膜IL1の上面を、CMP法などを用いて研磨する。これにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、周辺回路領域1Bのダミーゲート電極DGおよび容量素子領域1Cの上部電極UEのそれぞれの上面を露出させる。つまり、この研磨工程では、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DGおよび上部電極UEのそれぞれの上面が露出するまで、層間絶縁膜IL1を研磨する。これにより、絶縁膜IF5は除去され、各サイドウォールSWの上部も一部除去される。
この工程により、メモリゲート電極MG上のシリサイド層S1は、メモリゲート電極MGの上部の一部とともに除去される。また、このとき、図12に示すダミーゲート電極DGの上面および制御ゲート電極CGの上面が絶縁膜IF5から露出した時点で研磨を停止させることは困難であるため、図13に示すように、ダミーゲート電極DG、制御ゲート電極CGおよび上部電極UEのそれぞれの上面は研磨により除去されて後退する。つまり、ダミーゲート電極DG、制御ゲート電極CGおよび上部電極UEのそれぞれの膜厚は研磨により小さくなる。
これにより、各電極の上部を研磨工程により後退させることで、メモリセル領域1Aには、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGと、それらの横の半導体基板SBの主面に形成されたソース・ドレイン領域とを含むメモリセルMCが形成される。すなわち、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGと、制御ゲート電極CGの横の半導体基板SBの上面に形成された一対のソース・ドレイン領域とは、制御トランジスタを構成している。また、制御ゲート電極CGの直下のゲート絶縁膜GI1は、制御トランジスタのゲート絶縁膜を構成している。
また、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGと、メモリゲート電極MGの横の半導体基板SBの上面に形成された一対のソース・ドレイン領域とは、メモリトランジスタを構成している。また、メモリゲート電極MGの下のONO膜ONは、メモリトランジスタのゲート絶縁膜を構成している。このように、制御トランジスタおよびメモリトランジスタは一対のソース・ドレイン領域を共有しており、この制御トランジスタおよびメモリトランジスタにより、メモリセルMCが構成される。
また、上記研磨工程より、容量素子領域1Cの上部電極UEの上面を後退させることで、上部電極UEと、上部電極UEの直下の半導体基板SBからなる下部電極とを含む容量素子CEを形成する。上部電極UEと半導体基板SBとの間には、絶縁膜IF4が介在している。よって、上部電極UEと下部電極とは、絶縁膜IF4により隔てられており、互いに絶縁されている。
当該研磨工程を経た後であっても、制御ゲート電極CGの側壁に接するメモリゲート電極MGの横方向における膜厚(ゲート長)は、制御ゲート電極CGの垂直方向における膜厚よりも小さい。
次に、図14に示すように、層間絶縁膜IL1上に、例えばCVD法を用いて絶縁膜IF6を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて絶縁膜IF6を加工する。これにより、絶縁膜IF6はメモリセル領域1Aおよび容量素子領域1Cに残る。つまり、絶縁膜IF6は制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEのそれぞれの上面を覆っており、ダミーゲート電極DGを露出している。絶縁膜IF6は、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜からなる。
その後、ダミーゲート電極DGをエッチングして除去する。ここでは、絶縁膜IF6を、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEを保護するマスクとして用いて、例えばアルカリ水溶液によりウェットエッチングを行うことで、ダミーゲート電極DGを除去する。ダミーゲート電極DGが除去されたことにより、ゲート絶縁膜GI2の上に溝(凹部、窪み部)D3が形成される。周辺回路領域1Bのゲート絶縁膜GI2上の溝D3は、ダミーゲート電極DGが除去された領域であり、溝D3の両側の側壁はサイドウォールSWにより構成され、溝D3の底面はゲート絶縁膜GI2の上面により構成されている。
次に、図15に示すように、半導体基板SB上、つまり、溝D3の底面および側壁の上を含む層間絶縁膜IL1上に、絶縁膜HKを形成する。その後、半導体基板SB上、つまり絶縁膜HK上に、溝D3を完全に埋め込むように、ゲート電極用の導体膜として金属膜ME1およびME2を順に形成する。
絶縁膜HKおよび金属膜ME1の形成工程において、溝D3の内側は完全には埋まらず、金属膜ME2を金属膜ME1上に形成することにより、溝D3は完全に埋まった状態になる。また、金属膜ME1、ME2からなる金属膜は、層間絶縁膜IL1上にも形成される。
絶縁膜HKは、周辺回路領域1Bに形成するゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、当該金属膜は、ゲート電極用の導体膜である。具体的には、絶縁膜HKは、後に周辺回路領域1Bに形成する低耐圧MISFETのゲート絶縁膜を構成する膜である。絶縁膜HKは、酸化シリコンおよび窒化シリコンのいずれよりも誘電率(比誘電率)が高い絶縁材料膜、いわゆるhigh−k膜(高誘電率膜)である。
絶縁膜HKとしては、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜または酸化ランタン膜などの金属酸化物膜を用いることができ、また、これらの金属酸化物膜は、窒素(N)およびケイ素(Si)の一方または両方をさらに含有することもできる。絶縁膜HKは、例えば、ALD(Atomic layer Deposition:原子層堆積)法などにより形成することができる。絶縁膜HKの膜厚は例えば1.5nmである。ゲート絶縁膜に高誘電率膜(ここでは絶縁膜HK)を用いた場合は、酸化シリコン膜を用いた場合に比べて、ゲート絶縁膜の物理的膜厚を増加させることができるため、リーク電流を低減できるという利点を得られる。
金属膜ME1、ME2としては、例えば、窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜、窒化タングステン(WN)膜、炭化チタン(TiC)膜、炭化タンタル(TaC)膜、炭化タングステン(WC)膜、窒化炭化タンタル(TaCN)膜、チタン(Ti)膜、タンタル(Ta)膜、チタンアルミニウム(TiAl)膜またはアルミニウム(Al)膜などの金属膜を用いることができる。なお、ここで言う金属膜とは、金属伝導を示す導体膜を言い、単体の金属膜(純金属膜)または合金膜だけでなく、金属伝導を示す金属化合物膜も含むものとする。当該金属膜は、例えばスパッタリング法などを用いて形成することができる。
ここでは、例えば金属膜ME1を、窒化チタン(TiN)膜により形成し、当該窒化チタン膜上の金属膜ME2を、アルミニウム(Al)膜により形成する。この際、窒化チタン膜よりもアルミニウム膜を厚くすることが好ましい。アルミニウム膜は、低抵抗であるため、後で形成するゲート電極の低抵抗化を図ることができる。
続いて、溝D3の外部の不要な金属膜ME1、ME2および絶縁膜HKをCMP法などによって研磨して除去することにより、溝D3内に絶縁膜HKおよび金属膜ME1、ME2を残す。このとき、絶縁膜IF6も除去する。これにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEのそれぞれの上面を露出させる。また、周辺回路領域1Bのゲート絶縁膜GI2上の溝D3内に埋め込まれた金属膜ME1、ME2により、ゲート電極G1が形成される。
これにより、周辺回路領域1Bにおいて、低耐圧のMISFETQ1が形成される。MISFETQ1は、ゲート電極G1と、ゲート電極G1の横のソース・ドレイン領域とを有する電界効果トランジスタである。ゲート電極G1の直下の絶縁膜HKおよびゲート絶縁膜GI2は、MISFETQ1のゲート絶縁膜を構成している。ゲート電極G1はメタルゲート電極である。本実施の形態では、ダミーゲート電極DGを除去してゲート電極G1に置き換えている。このため、ダミーゲート電極DGは、擬似的なゲート電極であり、置換用ゲート電極とみなすことができる。
また、本実施の形態では、金属膜を用いてゲート電極G1を形成し、それぞれの電極をメタルゲート電極としている。このため、トランジスタ素子の小型化(ゲート絶縁膜の薄膜化)が可能になるという利点を得ることができる。
周辺回路領域1Bにおいて、ゲート電極G1は、その底面および側壁がゲート絶縁膜GI2上の絶縁膜HKに隣接する。つまりゲート電極G1と半導体基板SBとの間には、ゲート絶縁膜GI2と絶縁膜HKとが介在しており、ゲート電極G1とサイドウォールSWとの間には、少なくとも絶縁膜HKが介在している。
続いて、層間絶縁膜IL1上に、例えばCVD法を用いて絶縁膜IF7を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて絶縁膜IF7を加工する。これにより、絶縁膜IF7は周辺回路領域1Bに残る。つまり、絶縁膜IF7はゲート電極G1の上面を覆っており、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEのそれぞれの上面を覆っていない。絶縁膜IF7は、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜からなる。
続いて、図11を用いて説明した工程と同様のサリサイドプロセスを行うことで、絶縁膜IF7から露出する制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEのそれぞれの上面上に、シリサイド層S2を形成する。ここで絶縁膜IF7によりゲート電極G1の上面を覆っているのは、当該サリサイドプロセスにおいて、熱処理後に未反応の金属膜を除去する際に、メタルゲート電極であるゲート電極G1が当該金属膜と共に除去されることを防ぐためである。つまり、絶縁膜IF7は、ゲート電極G1の保護膜である。
次に、図16および図17に示すように、層間絶縁膜、複数のコンタクトプラグおよび複数の配線を形成する。なお、図16に示す平面レイアウトでは、容量素子領域1Cの溝D1、D2、上部電極UE、素子分離領域EI、ウエルWL3、n+型半導体領域DFおよびコンタクトプラグCPのみを示している。また、図16では、上部電極UEにより覆われた部分における溝D1、D2、ウエルWL3および素子分離領域EIの輪郭を破線により示している。ここでは、素子分離領域EIの輪郭と溝D1の輪郭とを同一の破線で示している。図17の容量素子領域1Cは、図16のA−A線における断面である。
ここではまず、図17に示すように、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cを含む半導体基板SBの上面全体を覆う層間絶縁膜IL2を、例えばCVD法を用いて形成する。層間絶縁膜IL2は、例えば酸化シリコン膜からなり、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極G1、上部電極UE、絶縁膜IF7および層間絶縁膜IL1のそれぞれの上面を覆っている。
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いて層間絶縁膜IL2上に形成したフォトレジストパターン(図示しない)をエッチングマスクとして、層間絶縁膜IL1、IL2および絶縁膜IF7をドライエッチングする。これにより、層間絶縁膜IL1、IL2を貫通するコンタクトホール(開口部、貫通孔)と、層間絶縁膜IL2および絶縁膜IF7を貫通するコンタクトホールとをそれぞれ複数形成する。各コンタクトホールの底部では、半導体基板SBの主面の一部であるn+型半導体領域DFの表面上のシリサイド層S1の一部、制御ゲート電極CGの表面上のシリサイド層S2の一部、メモリゲート電極MGの表面上のシリサイド層S2の一部、ゲート電極G1の一部または上部電極UEの表面上のシリサイド層S2の一部などが露出する。
続いて、各コンタクトホール内に、接続用の導電体として、タングステン(W)などからなる導電性のコンタクトプラグCPを複数形成する。コンタクトプラグCPを形成するには、例えば、コンタクトホールの内部を含む層間絶縁膜IL2上に、バリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン膜などからなる主導体膜を、各コンタクトホール内を完全に埋めるように形成してから、コンタクトホールの外部の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、コンタクトプラグCPを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図17では、コンタクトプラグCPを構成するバリア導体膜および主導体膜(タングステン膜)を一体化して示している。
コンタクトホールに埋め込まれたコンタクトプラグCPは、n+型半導体領域DF、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極G1および上部電極のそれぞれの上部などに電気的に接続されるように形成される。各コンタクトプラグCPは、n+型半導体領域DF上のシリサイド層S1の上面、制御ゲート電極CG上のシリサイド層S2の上面、メモリゲート電極MG上のシリサイド層S2の上面、ゲート電極G1の上面または上部電極UE上のシリサイド層S2の上面などに接続されている。
なお、図17の断面図においては、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極G1のそれぞれの上のコンタクトホールおよびコンタクトプラグCPを図示していない。つまり、ゲート幅方向に延在する制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極G1のそれぞれに対しては、図示していない領域においてコンタクトプラグCPが接続されている。
続いて、コンタクトプラグCPが埋め込まれた層間絶縁膜IL2上に第1層目の配線M1を含む第1配線層を形成する。配線M1は、いわゆるシングルダマシン技術を用いて形成することができる。第1配線層は、層間絶縁膜IL3と、層間絶縁膜IL3を貫通する第1層目の配線M1とを有する。配線M1の底面は、コンタクトプラグCPの上面に接続される。その後の工程の図示は省略するが、第1配線層上に、第2配線層および第3配線層などを順に形成して積層配線層を形成した後、半導体ウエハをダイシング工程により個片化し、複数の半導体チップを得る。
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。なお、ここではダミーゲート電極の除去後に絶縁膜HKを形成する、いわゆるhigh−kラストの製造方法を例として説明したが、ダミーゲート電極の除去前に絶縁膜HKを形成する、いわゆるhigh−kファーストの製造方法を用いてもよい。本実施の形態のメモリセルMCは、書込み・消去動作には高電圧を用いるものであり、その電源発生回路では、電荷蓄積、平滑化のために大規模な容量素子CEを必要とする。容量素子CEは、溝D2内に上部電極UEの一部を埋め込むことで、単位面積当たりの容量を増大させ、半導体チップを縮小することを可能としている。
図16に示すように、容量素子領域1Cにおいて、上部電極UEの一部が埋め込まれた複数の溝D2のそれぞれは、第1方向に延在しており、互いに第2方向に並んで配置されている。複数の溝D2が形成された領域を囲むように環状の溝D1が形成されており、溝D1内に環状の素子分離領域EIが形成されている。上部電極UEは平面視において、素子分離領域EIに囲まれた全ての溝D2を覆い、環状の素子分離領域EIの内側の端部を覆っている。
コンタクトプラグCPは、素子分離領域EIの外側のn+型半導体領域DFの上面、および、上部電極UEの上面に複数接続されている。コンタクトプラグCPは、素子分離領域EIの直上において上部電極UEの上面に接続されている。容量素子領域1Cにおいて、半導体基板SB(図17参照)の主面であるn+型半導体領域DFの上面に接続されたコンタクトプラグCPは、容量素子CEの下部電極、つまり上部電極UEの直下の半導体基板SB(ウエルWL3)に電位を供給するための接続導体である。
本実施の形態の容量素子CEは、複数の溝D2内に上部電極UEの一部を埋め込むことで、上部電極UEと下部電極(半導体基板)との対向面積を増大させることができる。つまり、平坦な半導体基板(下部電極)上に絶縁膜を介して上部電極を形成する場合に比べて、容量素子CEの容量を増大させることができる。
<不揮発性メモリの動作について>
次に、不揮発性メモリの動作例について、図41を参照して説明する。
図41は、本実施の形態の「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。図41の表には、「書込」、「消去」および「読出」時のそれぞれにおいて、図17に示されるようなメモリセルMCのメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmg、ソース領域に印加する電圧Vs、制御ゲート電極CGに印加する電圧Vcg、ドレイン領域に印加する電圧Vd、および半導体基板上面のp型ウエルに印加するベース電圧Vbが記載されている。ここでいう選択メモリセルとは、「書込」、「消去」または「読出」を行う対象として選択されたメモリセルをいう。なお、図17に示す不揮発性メモリの例では、メモリゲート電極MGの右側の活性領域がソース領域、制御ゲート電極CGの左側の活性領域がドレイン領域である。
なお、図41の表に示したものは電圧の印加条件の好適な一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。また、本実施の形態では、メモリトランジスタのONO膜ON(図17参照)中の電荷蓄積部である窒化シリコン膜への電子の注入を「書込」、ホール(hole:正孔)の注入を「消去」と定義する。
また、図41の表において、Aの欄は、書込み方法がSSI方式で、かつ消去方法がBTBT方式の場合に対応し、Bの欄は、書込み方法がSSI方式で、かつ消去方法がFN方式の場合に対応し、Cの欄は、書込み方法がFN方式で、かつ消去方法がBTBT方式の場合に対応し、Dの欄は、書込み方法がFN方式で、かつ消去方法がFN方式の場合に対応している。
SSI方式は、窒化シリコン膜にホットエレクトロンを注入することによってメモリセルの書込みを行う動作法とみなすことができ、BTBT方式は、窒化シリコン膜にホットホールを注入することによってメモリセルの消去を行う動作法とみなすことができ、FN方式は、電子またはホールのトンネリングによって書込みまたは消去を行う動作法とみなすことができる。FN方式について、別の表現で言うと、FN方式の書込みは、窒化シリコン膜にFNトンネル効果により電子を注入することによってメモリセルの書込みを行う動作方式とみなすことができ、FN方式の消去は、窒化シリコン膜にFNトンネル効果によりホールを注入することによってメモリセルの消去を行う動作方式とみなすことができる。以下、具体的に説明する。
書込み方式は、いわゆるSSI(Source Side Injection:ソースサイド注入)方式と呼ばれるソースサイド注入によるホットエレクトロン注入で書込みを行う書込み方式(ホットエレクトロン注入書込み方式)と、いわゆるFN方式と呼ばれるFN(Fowler Nordheim)トンネリングにより書込みを行う書込み方式(トンネリング書込み方式)とがある。
SSI方式の書込みでは、例えば図41の表のAの欄またはBの欄の「書込動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=10V、Vs=5V、Vcg=1V、Vd=0.5V、Vb=0V)を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルのONO膜ON中の窒化シリコン膜中に電子を注入することで書込みを行う。
この際、ホットエレクトロンは、2つのゲート電極(メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG)間の下のチャネル領域(ソース、ドレイン間)で発生し、メモリゲート電極MGの下のONO膜ON中の電荷蓄積部である窒化シリコン膜にホットエレクトロンが注入される。注入されたホットエレクトロン(電子)は、ONO膜ON中の窒化シリコン膜中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する。すなわち、メモリトランジスタは書込み状態となる。
FN方式の書込みでは、例えば図41の表のCの欄またはDの欄の「書込動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=−12V、Vs=0V、Vcg=0V、Vd=0V、Vb=0V)を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルにおいて、メモリゲート電極MGから電子をトンネリングさせてONO膜ON中の窒化シリコン膜に注入することで書込みを行う。この際、電子はメモリゲート電極MGからFNトンネリング(FNトンネル効果)により第2酸化シリコン膜(トップ酸化膜)をトンネリングしてONO膜ON中に注入され、ONO膜ON中の窒化シリコン膜中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する。すなわち、メモリトランジスタは書込み状態となる。
なお、FN方式の書込みにおいて、半導体基板SBから電子をトンネリングさせてONO膜ON中の窒化シリコン膜に注入することで書込みを行うこともでき、この場合、書込動作電圧は、例えば図41の表のCの欄またはDの欄の「書込動作電圧」の正負を反転させたものとすることができる。
消去方法は、いわゆるBTBT方式と呼ばれるBTBT(Band-To-Band Tunneling:バンド間トンネル現象)によるホットホール注入により消去を行う消去方式(ホットホール注入消去方式)と、いわゆるFN方式と呼ばれるFN(Fowler Nordheim)トンネリングにより消去を行う消去方式(トンネリング消去方式)とがある。
BTBT方式の消去では、BTBTにより発生したホール(正孔)を電荷蓄積部(ONO膜ON中の窒化シリコン膜)に注入することにより消去を行う。例えば図41の表のAの欄またはCの欄の「消去動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=−6V、Vs=6V、Vcg=0V、Vd=open、Vb=0V)を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加する。これにより、BTBT現象によりホールを発生させ電界加速することで選択メモリセルのONO膜ON中の窒化シリコン膜中にホールを注入し、それによってメモリトランジスタのしきい値電圧を低下させる。すなわち、メモリトランジスタは消去状態となる。
FN方式の消去では、例えば図41の表のBの欄またはDの欄の「消去動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=12V、Vs=0V、Vcg=0V、Vd=0V、Vb=0V)を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルにおいて、メモリゲート電極MGからホールをトンネリングさせてONO膜ON中の窒化シリコン膜に注入することで消去を行う。この際、ホールはメモリゲート電極MGからFNトンネリング(FNトンネル効果)により第2酸化シリコン膜(トップ酸化膜)をトンネリングしてONO膜ON中に注入され、ONO膜ON中の窒化シリコン膜中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が低下する。すなわち、メモリトランジスタは消去状態となる。
なお、FN方式の消去において、半導体基板SBからホールをトンネリングさせてONO膜ON中の窒化シリコン膜に注入することで消去を行うこともでき、この場合、消去動作電圧は、例えば図41の表のBの欄またはDの欄の「消去動作電圧」の正負を反転させたものとすることができる。
読出し時には、例えば図41の表のAの欄、Bの欄、Cの欄またはDの欄の「読出動作電圧」に示されるような電圧を、読出しを行う選択メモリセルの各部位に印加する。読出し時のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを、書込み状態におけるメモリトランジスタのしきい値電圧と消去状態におけるしきい値電圧との間の値にすることで、書込み状態と消去状態とを判別することができる。
次に、上記動作における各印加電圧に関して記す。製品チップへの外部からの供給電源の電圧は、例えば、低耐圧MISFET用の1.5Vおよび高耐圧MISFET用の5Vである。メモリ動作において、これら以外の電圧はチップ内の電圧発生回路により生成される。例えば、比較的高い電圧であるSSI書込み時のVmg用の10Vの電圧は、高耐圧MISFETで構成される電圧発生回路において生成される。その電圧発生回路において、電荷蓄積または電圧平滑化などのために、図17の容量素子領域1Cに示すような容量素子が必要となる。
<本実施の形態の効果について>
以下に、比較例の半導体装置、つまり、スプリットゲート型のMONOSメモリを有し、かつ、半導体基板の上面の溝内に、比較的薄い膜厚の上部電極を埋め込んだ容量素子を有する場合の半導体装置の問題点を説明し、本実施の形態の効果について説明する。ここでは図38〜40に、比較例の半導体装置の断面図を示す。
本実施の形態および比較例の半導体装置は、図1〜図15を用いて説明したように、周辺回路領域1BのMISFETQ1を、ゲートラストプロセスを用いて形成するものである。つまり、本実施の形態および比較例では、ダミーゲート電極DG(図10参照)を形成し、ダミーゲート電極DGを層間絶縁膜IL1で覆った後、研磨工程によりダミーゲート電極DGの上面を露出させ、その後ダミーゲート電極DGをメタルゲート電極に置き換えている。
このようなゲートラストプロセスでは、各ゲート電極の上部を研磨する上記研磨工程を行うため、半導体基板上に形成した第1導体膜(下部電極)および第2導体膜(上部電極)の積層膜からなる容量素子を形成することが困難である。これは、第1導体膜上に第2導体膜を形成しても、当該研磨工程により、第2導体膜が除去されるためである。そこで、本実施の形態および下記比較例では、半導体基板を下部電極とし、半導体基板上のポリシリコン膜を上部電極とする容量素子を形成している。
さらに、本実施の形態および下記比較例では、半導体基板の主面にドライエッチング法により溝を形成し、当該溝内に上部電極の一部を埋め込んでいる。これにより、上部電極と半導体基板との対向面積を増大させることで、容量を増大させることを可能としている。本願では、このような素子をトレンチ容量素子と呼ぶ場合がある。
比較例として、図38に、メモリセル領域1Aのスプリットゲート型のMONOSメモリと、周辺回路領域1BのMISFETQ1と、容量素子領域1Cの容量素子CE1とを含む半導体装置の断面図を示す。容量素子CE1は、半導体基板SBの主面に形成された溝D2内に一部が埋め込まれた上部電極UEaと、その直下の半導体基板SBからなる下部電極とを含んでいる。
図38に示すように、容量素子CE1は、その上部を層間絶縁膜IL1、IL2により覆われている。ここで、当該比較例の半導体装置は、本実施の形態の半導体装置に比べて、容量素子CE1の上部電極UEaの膜厚が小さい点で異なる。例えば、上部電極UEaは、メモリゲート電極MGを形成するために用いられたポリシリコン膜PS2(図8参照)により形成されている。つまり、メモリゲート電極MGを形成するために用いられたポリシリコン膜PS2の膜厚は、制御ゲート電極CGを形成するために用いられたポリシリコン膜PS1(図6参照)よりも膜厚が小さいため、比較例の上部電極UEaの膜厚は、制御ゲート電極CGの厚さより小さい。
メモリゲート電極MGのゲート長、つまりメモリゲート電極MGを構成するポリシリコン膜PS2(図8参照)の膜厚が比較的小さい理由は、以下の通りである。
スプリットゲート型のMONOSメモリは、2つのトランジスタが接続された構造を有している。当該MONOSメモリのメモリセルMCを構成する制御ゲート電極CG側のドレイン領域からメモリゲート電極MG側のソース領域に電流が流れた場合、メモリゲート電極MGを含むメモリトランジスタのチャネル抵抗が高い(メモリゲート電極MGのゲート長が大きいと)、そこで電圧降下が生じる。これにより、制御ゲート電極CGを含む制御トランジスタのソース電位が上昇するため、制御トランジスタのゲート−ソース間電圧が低下し、制御ゲート電極CG側で電流値が抑制される。
一方、制御ゲート電極CGの下のチャネル抵抗が大きい場合、電圧降下は生じるが、メモリトランジスタのゲート−ソース間電圧の低下を招きにくい。すなわち、メモリトランジスタのドレイン電圧は、当該電圧降下の影響を受けて低下するが、飽和領域ではドレイン電圧が多少低下しても、電流変化は殆ど発生しない。よって、制御ゲート電極CGのゲート長がメモリゲート電極MGのゲート長よりも大きくても、メモリセルの特性に対する影響は小さい。以上より、メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGを形成するために用いるポリシリコン膜PS1に比べて、小さい膜厚のポリシリコン膜PS2により形成する必要がある。
電圧降下を防ぎ、また、メモリセルの動作速度向上などの観点から、メモリゲート電極MGのゲート長はより小さいことが望ましい。よって、半導体装置の微細化などによりメモリゲート電極MGのゲート長を縮小するために、メモリゲート電極MGを形成するために用いるポリシリコン膜PS2の膜厚を小さくすることが考えられる。ここで、比較例のように、メモリゲート電極MGを形成するために用いるポリシリコン膜PS2を加工して容量素子CE1の上部電極UEaを形成する場合、ポリシリコン膜PS2の膜厚が溝D2の開口幅の1/2未満となり、ポリシリコン膜PS2によって溝D2を完全に埋め込むことができない場合が生じる。
この場合、図38に示すように、溝D2の側壁および底面に沿って溝D2内に上部電極UEaの一部が形成され、上部電極UEaの上面には、溝D2の直上において深い凹部が形成される。すなわち、上部電極UEaの上面をほぼ平坦に形成することができない。このため、図13を用いて説明した研磨工程を行っても、当該凹部は上部電極UEaの上面に残る。なお、上部電極UEaの膜厚が、当該研磨工程後に形成される制御ゲート電極CGの厚さよりも小さい場合、当該研磨工程において上部電極UEaの上面は研磨されない。つまり、研磨を行っても上部電極UEaの上面は露出せず、層間絶縁膜IL1により覆われたままである。
この場合、図15を用いて説明したシリサイド層S2の形成工程において、上部電極UEaの上面にシリサイド層S2を形成することができない。このため、上部電極UEaの上面にコンタクトプラグを接続しても、コンタクトプラグと上部電極UEaとの接続抵抗を低減することができないため、容量素子CE1の特性が低下する問題が生じる。
また、上記のように上部電極UEaの上面の溝D2の直上において深い凹部が生じた場合には、その凹部の内側にサイドウォールSWの形成工程において残渣RDが生じる可能性がある。この場合、残渣RDはその後に剥離して異物となる虞があり、当該異物の発生は半導体装置の不良原因となる。
これに対し、本実施の形態では、制御ゲート電極CGおよび上部電極UEは同一のポリシリコン膜PS1(図6参照)により形成されているため、図13を用いて説明した研磨工程後において、制御ゲート電極CGおよび上部電極UEは同等の高さを有し、層間絶縁膜IL1から露出している。したがって、図15を用いて説明した2度目のサリサイドプロセスにおいて、上部電極UEの上面にはシリサイド層S2が形成される。
よって、上記比較例のように上部電極の膜厚が小さいことに起因して、上部電極の上面にシリサイド層が形成されず、上部電極とコンタクトプラグとの接続抵抗が大きくなることを防ぐことができる。よって、当該接続抵抗の増大に起因して容量素子が正常に動作しなくなることを防ぐことができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
すなわち、本実施の形態では、図13を用いて説明した研磨工程後であっても、制御ゲート電極CGおよび上部電極UEは同様の膜厚を有しているから、上部電極UEの上面は層間絶縁膜IL1に覆われていない。このため、上部電極UEの上面に接するように、シリサイド層S2が形成され、図17に示すように、上部電極UEの上面は、層間絶縁膜IL1には覆われず、層間絶縁膜IL2に覆われる。つまり、平面視において、層間絶縁膜IL1と上部電極UEとは重ならない。
また、上部電極UEの上面に深い凹部が形成されることを防ぐことができるため、残渣RD(図38参照)が当該凹部内に残ること、および、その残渣RDがその後剥離して異物となって、半導体装置の故障原因となるような状況を防ぐことができる。
上述のように、制御ゲート電極CGを形成するために用いるポリシリコン膜PS1(図11参照)は、膜厚が比較的大きいため、ポリシリコン膜PS1により溝D2を完全に埋め込むことができる。ポリシリコン膜PS1の膜厚が比較的大きい第1の理由は、メモリセルMCのトランジスタ特性が変動することを防ぐために、ポリシリコン膜PS1をある程度大きい膜厚で形成していることにある。
つまり、研磨工程前の制御ゲート電極CGは、ソース・ドレイン領域を構成するn−型半導体領域EXおよびn+型半導体領域DFなどの形成のために注入される不純物が、ゲート電極を透過してチャネルが形成される部分に打ち込まれない程度の高さ(厚さ)を有している必要がある。すなわち、図11を用いて説明したイオン注入工程において、不純物イオンが制御ゲート電極CGを透過して半導体基板SBの主面に導入されるとトランジスタ特性が変動するため、これを防ぐために、上記研磨工程前の制御ゲート電極CG、つまりポリシリコン膜PS1(図6参照)は、所定の厚さ以上の厚さで形成する必要がある。
具体的には、図11を用いて説明したイオン注入時において、制御ゲート電極CGの厚さは、ソース・ドレイン領域を構成するn−型半導体領域EXの厚さ(深さ)およびn+型半導体領域DFの厚さ(深さ)のいずれよりも大きい必要がある。
また、ポリシリコン膜PS1の膜厚が比較的大きい第2の理由は、図13を用いて説明したように、ゲートラストプロセスを採用する場合、層間絶縁膜IL1の上面を研磨する際に、制御ゲート電極CGの上面を研磨により一部除去するオーバーポリッシングを行うため、予め制御ゲート電極CGを構成するポリシリコン膜PS1の膜厚を大きくしていることにある。
つまり、ゲートラストプロセスでは、図12に示すダミーゲート電極DGおよび制御ゲート電極CGを層間絶縁膜IL1により埋め込む。その後、図13を用いて説明したように、層間絶縁膜IL1の上面をCMP法などにより研磨する際に、研磨量を精度よく制御してダミーゲート電極DGの上面を除去せずに当該上面を層間絶縁膜IL1および絶縁膜IF5(図12参照)から露出させることは困難である。したがって、当該研磨の際には、研磨によりダミーゲート電極DGの上面がある程度除去された時点で研磨を止めることで、ダミーゲート電極DGの上面を露出させる。
このとき、制御ゲート電極CGおよびダミーゲート電極DGの膜厚が過度に小さくなると、後に形成される制御トランジスタおよびMISFETQ1が正常に動作しなくなる虞がある。したがって、制御ゲート電極CGおよびダミーゲート電極DGを形成するためのポリシリコン膜PS1は、予め膜厚を大きく確保する必要がある。
また、図15を用いて説明したように、周辺回路領域1Bにメタルゲート電極であるゲート電極G1を形成した後、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの低抵抗化のために、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGのそれぞれの上面をシリサイド化してシリサイド層S2を設けることが望ましい。しかし、図13を用いて説明した研磨工程で制御ゲート電極CGが薄くなり過ぎると、上記シリサイド層S2がゲート絶縁膜GI1と接触して、ゲート絶縁膜GI1とゲート電極の材料とが反応することが考えられる。この場合、制御ゲート電極CGの実効的な仕事関数がシフトするフェルミレベルピニングと呼ばれる現象が生じ、MOSFETのしきい値電圧の絶対値が大きくなる問題が生じる。
そのため、制御ゲート電極CGが過度に薄く、かつ、形成されたシリサイド層S2の膜厚が各メモリセルMCによってばらつく場合、制御ゲート電極CGがゲート絶縁膜GI1の上面と接する位置までシリサイド化されるメモリセルMCと、シリサイド層S2とゲート絶縁膜GI1との間にシリコン膜からなる制御ゲート電極CGが残るメモリセルMCとが混在する虞がある。この場合、複数のメモリセルMC同士の間で特性がばらつく。そこで、このような特性のばらつきが生じることを避けるため、制御ゲート電極CGを形成するためのポリシリコン膜PS1を予め厚く形成しておく必要がある。
なお、製造方法によっては、制御ゲート電極CGを形成するためのポリシリコン膜と、ダミーゲート電極DGを形成するためのポリシリコン膜とを別々に成膜することも考えられる。この場合、それらのポリシリコン膜の膜厚に差をつけることも考えられる。しかし、そのように別々のポリシリコン膜により制御ゲート電極CGおよびダミーゲート電極DGを形成する場合でも、上記研磨工程において層間絶縁膜IL1および各ゲート電極のそれぞれの上面の高さの均一性を保つためには、それらのポリシリコン膜の膜厚を揃える必要がある。よって、ゲートラストプロセスでは、制御ゲート電極CGを形成するためのポリシリコン膜PS1は、膜厚が比較的大きくなる。
また、図4および図5を用いて説明したダミー素子分離領域DEIの除去工程では、絶縁膜IF1、IF2の積層膜を、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SB上に残した状態でドライエッチングを行っているが、図4に示す絶縁膜IF1、IF2を除去してから当該ドライエッチングを行った場合、半導体基板SBの上面に大きなダメージが生じる。つまり、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SBの表面は露出しているため、ドライエッチングのプラズマによるダメージを受け、その後に形成する上部電極UE(図17参照)は低品質なものとなり、半導体装置の信頼性が低下する問題が生じる。
また、溝D2同士の間の半導体基板SBの上面を覆う膜が酸化シリコン膜のみである場合も、当該酸化シリコン膜は上記ドライエッチングの初期に消滅してしまうため、同じく半導体基板SBの表面がダメージを受け、半導体装置の信頼性が低下する問題が生じる。
これに対し、本実施の形態では、上記ドライエッチングにおいて除去されにくい窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF2と、絶縁膜IF1とをマスクとして用いているため、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SBの上面にドライエッチングによるダメージが生じることを防ぐことができる。
また、上記のようなダメージが生じる問題を回避するために、図5を用いて説明したダミー素子分離領域DEIの除去工程を、ドライエッチングではなくウェットエッチングにより行うことが考えられる。しかし、この場合、溝D2の底面の端部の角部、および、溝D2の側壁上部の角部が角張った形状となることにより、容量素子において上部電極と下部電極との間でリーク電流が流れる問題が生じる。
すなわち、比較例として図39および図40に示すように、ウェットエッチングによりダミー素子分離領域を除去した場合、トレンチ容量素子の上部電極NUE(図39参照)またはPUE(図40参照)が埋め込まれた溝D2aは、その底面端部および側壁上端が共に角張った形状となる。溝D2aの底面端部および側壁上端のそれぞれの角部は、図4に示す溝D1の底面端部および側壁上端のそれぞれの角部と同様に、殆ど丸まっていない。このため、図39および図40に示した当該角部では電界集中が生じやすくなる。
なお、図39および図40は、比較例の半導体装置を示す断面図であり、トレンチ容量素子の溝部分近傍の一部を拡大して示している。図39では、トレンチ容量素子を構成する下部電極である半導体基板SBの主面に、n型のウエルNWLが形成されており、半導体基板SB上には、絶縁膜IF4を介して、n型のポリシリコン膜からなる上部電極NUEが形成されている。図40では、トレンチ容量素子を構成する下部電極である半導体基板SBの主面に、p型のウエルPWLが形成されており、半導体基板SB上には、絶縁膜IF4を介して、p型のポリシリコン膜からなる上部電極PUEが形成されている。
図39に示すように、n型の上部電極NUEおよびn型のウエルNWLからなるトレンチ容量素子では、n型の上部電極NUEへのプラス電位の印加時に、溝D2aの上端の角部のウエルNWL内で電界集中が生じる。これにより、当該角部のウエルNWLから、n型半導体の多数キャリアである電子が上部電極NUE側へ流れ出るため、このリーク電流により当該角部近傍の絶縁膜IF4などの寿命が低下する。したがって、容量素子としての信頼性が低下する問題が生じる。図39では、上記理由により電子が流れ出る位置を矢印で示している。
また、図40に示すように、p型の上部電極PUEおよびp型のウエルPWLからなるトレンチ容量素子では、上部電極PUEへのマイナス電位の印加時に、溝D2aの上端の角部のウエルPWL内で電界集中が生じる。これにより、当該角部のウエルPWLから、p型半導体の多数キャリアである正孔が上部電極PUE側へ流れ出るため、このリーク電流により当該角部近傍の絶縁膜IF4などの寿命が低下する。したがって、容量素子としての信頼性が低下する問題が生じる。図40では、上記理由により電子が流れ出る位置を矢印で示している。
また、図40に示すように、p型の上部電極PUEおよびp型のウエルPWLからなるトレンチ容量素子では、容量素子の電極に印加される電界が大きい場合に、バンドの曲りにより、上部電極PUE側の少数キャリアである電子がウエルPWL側に流れ出す。このとき、当該電子の流出は、溝D2aの底面端部近傍の上部電極PUE、つまり上部電極PUEの角部における電界集中により特に顕著となり、このリーク電流により当該角部近傍の絶縁膜IF4などの寿命が低下する。図40では、上記理由により電子が流れ出る位置を矢印で示している。
このように、n型トレンチ容量素子では、溝D2aの上端部の形状に起因してリーク電流が発生しやすく、p型トレンチ容量素子では、溝D2aの上端部と底面端部との形状に起因してリーク電流が発生しやすい問題がある。
これに対し、本実施の形態では、図4および図5に示すように、ウェットエッチングではなくドライエッチングを用いてダミー素子分離領域DEIを除去している。これにより、溝D2の側壁上部の角部は、ドライエッチングにより削られて丸くなる。また、溝D2の底面の中央部はドライエッチングにより削られるため、溝D2の底面端部は丸くなる。このため、図17に示すように、上部電極UEを溝D2に埋め込んだ状態において、容量素子CEの各電極に電圧を印加した際に、溝D2内の上部電極の底面端部、および、溝D2の側壁上端のウエルWL3において生じる電界を緩和することができる。
したがって、トレンチ容量素子の溝D2の角部における電界集中の発生を防ぐことができるため、下部電極と上部電極UEとの間でのリーク電流の発生を防ぎ、かつ、下部電極と上部電極UEとの間に介在する絶縁膜IF4の寿命の低下を防ぐことができる。したがって、リーク電流の発生または容量素子CEの寿命の低下に起因する半導体装置の信頼性の低下を防ぐことができる。
また、図6を用いて説明したように、本実施の形態では、溝D2の側壁および底面に対し、酸化処理により犠牲酸化膜を形成してから除去する工程を2回繰り返して行っている。このため、図5を用いて説明したドライエッチング工程により溝D2の側壁および底面に生じたダメージを除去することができる。したがって、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
また、ウェットエッチングによりダミー素子分離領域を除去した場合、ウェットエッチングにより溝D1(図4参照)内の素子分離領域EIが除去されることを防ぐ必要があるため、溝D1と溝D2との間隔を大きく確保する必要が生じ、これにより半導体装置の微細化が妨げられる問題が生じる。つまり、ウェットエッチング(等方性エッチング)で使用する薬液により、ダミー素子分離領域DEIに加えて、半導体基板SBの主面上の絶縁膜IF1なども除去され、フォトレジスト膜PR1から露出する絶縁膜IF1が、フォトレジスト膜PR1に覆われた領域の素子分離領域EIまで後退することが考えられる。この場合、薬液が素子分離領域EIまで達することで、素子分離領域EIまでもが除去される虞がある。したがって、これを防ぐためには、溝D2と溝D1との間の距離を拡げる必要性が生じる。
これに対し、本実施の形態では、ドライエッチング工程によりダミー素子分離領域を除去するため、素子分離領域EIが除去されることはない。よって、溝D2と溝D1との間の距離を縮小することができ、半導体装置の微細化を容易にすることができる。
<第1変形例について>
以下に、本実施の形態の半導体装置の第1変形例について、図18および図19を用いて説明する。図18および図19は、本実施の形態の第1変形例である半導体装置の製造方法を説明する断面図である。図18および図19では、図1〜図15および図17と同様に、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面を示している。
本変形例では、トレンチ容量素子の溝の角部における信頼性について問題が生じない場合に、ウェットエッチング(等方性エッチング)によりダミー素子分離領域を除去することについて説明する。
本変形例の製造工程では、まず、図1〜図3を用いて説明した工程を行った後、図18に示すように、絶縁膜IF2を除去し、続いて半導体基板SBの主面の洗浄工程を行う。続いて、半導体基板SBの表面に犠牲酸化膜を形成した後、各領域毎に選択的にイオン注入を行うことで、ウエルWL1〜WL3を形成し、その後熱処理を行うことでウエルWL1〜WL3内の不純物を拡散させる。
その後、半導体基板SBの主面上にフォトレジスト膜PR2を形成する。ここでは、図4を用いて説明したフォトレジスト膜PR1に比べて、容量素子領域1Cに溝D1およびD2の相互間におけるフォトレジスト膜PR2の終端部は、溝D1の端部から大きく離間している。また、図4の構造とは異なり、ここでは容量素子領域1Cの溝D1と溝D2の間が大きく離間している。
これは、次に行うダミー素子分離領域DEIの除去のためのウェットエッチングにより、溝D1内の素子分離領域EIが除去されることを防ぐ必要があるためである。すなわち、当該ウェットエッチングにより等方的に絶縁膜IF1が除去されて溝D1まで後退し、容量素子領域1Cにおいてフォトレジスト膜PR2に覆われた溝D1内の素子分離領域EIが除去されることを防ぐ必要がある。よって、ここでは、絶縁膜IF1が溝D1まで後退しないように、フォトレジスト膜PR2の終端部近傍において、フォトレジスト膜PR2により覆う絶縁膜IF1溝D1の幅を大きく確保している。
その後の工程の詳しい図示は省略するが、フォトレジスト膜PR2をマスクとして上記ウェットエッチングを行うことで、フォトレジスト膜PR2から露出する絶縁膜IF1およびダミー素子分離領域DEIを除去し、これにより、溝D2の側壁および底面を露出させる。続いて、フォトレジスト膜PR2を除去した後、上記犠牲酸化膜を除去する。その後、図6を用いて説明した工程と同様に、絶縁膜IF3、IF4、ポリシリコン膜PS1および絶縁膜IF5を形成する。ただし、図6を用いて説明した2回の犠牲酸化工程は、ここでは行わない。
その後、図7〜図17を用いて説明した工程を行うことで、図19に示す本変形例の半導体装置が完成する。ここでは、ウェットエッチングによりダミー素子分離領域DEIを除去しているため、溝D2の底面端部および側壁上部のそれぞれの角部は、溝D1と同様に、殆ど丸まっていない。
本変形例のように、図39および図40で説明したようなトレンチ容量素子におけるリーク電流が殆ど発生せず、問題とならないような場合には、ウェットエッチングによりダミー素子分離領域DEI(図18参照)を除去しても、半導体装置の信頼性は低下しない。本変形例のように、ウェットエッチングによりダミー素子分離領域DEIを除去する場合には、以下の効果を得ることができる。
すなわち、ドライエッチングにより溝D2内のダミー素子分離領域DEIの除去を行わないため、ドライエッチングに起因して溝D2の側壁および底面を含む半導体基板SBの表面にプラズマダメージが加わることを防ぐことができる。
また、上記のように半導体基板SBの表面がプラズマダメージを受けないため、ダミー素子分離領域DEIを除去した後に、図6を用いて説明したような2回の犠牲酸化工程を行う必要がない。当該犠牲酸化工程を行う場合、ウエルWL1〜WL3を形成するイオン注入工程は、犠牲酸化膜を形成した後に行う必要があるが、本変形例では当該犠牲酸化工程を行わないため、図18に示すダミー素子分離領域DEIの除去工程の前、つまりフォトレジスト膜PR2の形成前にウエルWL1〜WL3を形成することができる。
ここで、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cのそれぞれに異なる条件でイオン注入を行ってウエルWL1〜WL3を形成する際には、各ウエルを形成するイオン注入の度にフォトレジストパターンを形成・除去を行う。仮に、ダミー素子分離領域DEIを除去してからこのようなフォトレジストパターンの形成・除去の工程を繰り返すと、溝D2内のフォトレジストパターンを完全に除去することが困難となる場合がある。この場合、洗浄による製造コストが増大する問題、または、溝D2内にフォトレジスト膜の一部が残り、半導体装置の信頼性が低下する問題が生じる。
これに対し、本変形例では、溝D2がダミー素子分離領域DEIにより埋め込まれた状態でウエルWL1〜WL3を形成することができるため、各ウエルの作り分けのためのフォトレジストパターンの形成・除去を容易に行うことができる。
また、本変形例では、図1〜図17を用いて説明した実施の形態と同様に、制御ゲート電極CGを形成するために用いるポリシリコン膜を用いて溝D2を埋め込む上部電極UEを形成している。このため、図38に示す比較例に比べ、上部電極UEの上面の平坦性を向上させることができ、上部電極UEの上面の凹部に起因する成膜不良が生じることを防ぐことができる。また、上部電極UEの上面に凹部が形成され、当該凹部内に残渣または空隙が生じることを防ぐことができる。また、上部電極UEの上面が低くなることを防ぐことができるため、上部電極UE上にシリサイド層S2を形成することができる。
<第2変形例について>
以下に、本実施の形態の半導体装置の第2変形例について、図20を用いて説明する。図20は、本実施の形態の第2変形例である半導体装置の製造方法を説明する断面図である。図20では、図1〜図15および図17と同様に、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面を示している。
本変形例では、図5を用いて説明したダミー素子分離領域の除去のためのドライエッチングを、ダミー素子分離領域が完全に除去する前に中止することで、容量素子の上部電極が埋め込まれる溝の底部に、絶縁膜を残すことについて説明する。
本変形例の製造工程では、まず、図1〜図5を用いて説明した工程と同様の工程を行う。ただし、図5を用いて説明したドライエッチング工程では、ダミー素子分離領域DEI(図4参照)を完全に除去せず、各溝D2内の底部に、ダミー素子分離領域DEIからなる絶縁膜IF8を残す。つまり、各溝D2の底面に接する絶縁膜IF8を残す。
このため、溝D2の底面は露出しない。また、溝D2の側壁上部の角部は、図5を用いて説明したように丸くなるが、溝D2の底面はドライエッチングされないため、当該底面の端部は丸くならず、溝D1の底面端部の角部と同様に角張っている。よって、溝D1とD2のそれぞれの底面の高さは同等であるが、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SBの上面の高さは、溝D1と隣り合う領域の半導体基板SBの主面の位置よりも低い。
その後、図6を用いて説明したように、絶縁膜IF3、IF4、ポリシリコン膜PS1および絶縁膜IF5を形成する。ここで、容量素子領域1Cの絶縁膜IF4は酸化工程により形成されるため、絶縁膜IF8により覆われた溝D2の底面および溝D2の側壁下部には形成されない。つまり、溝D2内において、絶縁膜IF4は絶縁膜IF8の上においてのみ形成される。その後、図7〜図17を用いて説明した工程を行うことで、図20に示す本変形例の半導体装置が完成する。
本変形例では、以下の効果を得ることができる。すなわち、溝D2内に熱酸化などの酸化法により絶縁膜IF4を形成した場合、溝D2の底部またはその底部の角部では、溝D2の深さなどの形状に起因するストレスにより、絶縁膜IF4の膜厚が小さくなる場合がある。そのように絶縁膜IF4の一部が薄膜化した場合、絶縁膜IF4による絶縁性が低下し、半導体装置の信頼性が低下する問題が生じる。
これに対し、本変形例では、図20に示すように、ダミー素子分離領域DEI(図4参照)の一部を溝D2の底部に残すことで、溝D2の底部において膜厚が小さい絶縁膜IF4が形成されることを防ぐことができる。よって、容量素子CEの上部電極UEと下部電極との間でリーク電流が発生することを防ぐことができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
また、本変形例では、溝D2の底面端部の角部は丸まらないため、溝D2の底面端部の角部は丸めることによるリーク電流の発生の抑制効果は得られないが、その他の効果については、図1〜図17を用いて説明した実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
<第3変形例について>
以下に、本実施の形態の半導体装置の第3変形例について、図21を用いて説明する。図21は、本実施の形態の第3変形例である半導体装置の製造方法を説明する断面図である。図21では、図1〜図15および図17と同様に、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面を示している。
本変形例では、図6を用いて説明した絶縁膜IF4の形成方法とは異なり、CVD法などの堆積法により形成した堆積膜により、容量素子の電極分離用の絶縁膜を形成する。その他の製造工程は、図1〜図17を用いて説明した製造工程と同様である。本変形例では、以下の効果を得ることができる。
すなわち、前記第2変形例において説明したように、溝D2の底部では、酸化法により形成する絶縁膜IF4(図6参照)の膜厚が小さくなる場合があり、これにより半導体装置の信頼性が低下する問題が生じる。
そこで、本変形例では、酸化法ではなくCVD法などにより、図21に示す溝D2の底面上および側壁上に、均一な膜厚で酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF9を堆積して形成している。これにより、溝D2の底部において、絶縁膜の薄膜化に起因する信頼性の低下を防ぐことができる。また、その他に、本変形例では図1〜図17を用いて説明した実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
<第4変形例について>
以下に、本実施の形態の半導体装置の第4変形例について、図22を用いて説明する。図22は、本実施の形態の第4変形例である半導体装置の製造方法を説明する断面図である。図22では、図1〜図15および図17と同様に、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面を示している。
本変形例では、図6を用いて説明した絶縁膜IF4の形成方法とは異なり、容量素子CEの上部電極UEおよび下部電極を絶縁するための絶縁膜を、熱酸化法および堆積法のそれぞれにより形成した2つの絶縁膜からなる積層絶縁膜により構成する。すなわち、図6を用いて説明したように、熱酸化法により絶縁膜IF4を形成した後、例えばCVD法などの堆積法により、絶縁膜IF9を形成する。このようにして形成した絶縁膜IF4およびIF9からなる積層膜を、容量素子CEの上部電極UEおよび下部電極を絶縁するための絶縁膜として残す。その他の製造工程は、図1〜図17を用いて説明した製造工程と同様である。本変形例では、以下の効果を得ることができる。
すなわち、容量素子の上部電極および下部電極を絶縁するための絶縁膜を、CVD法などにより堆積して形成した場合、当該絶縁膜は、熱酸化法などの酸化法により形成された絶縁膜に比べて絶縁性などについての信頼性が劣る場合がある。これに対し、本変形例では、酸化法により形成された絶縁膜IF4と、堆積法により形成された絶縁膜IF9との積層膜により、上部電極UEおよび下部電極を絶縁している。
この場合、下側の熱酸化膜である絶縁膜IF4は、溝D2の底面または底面角部において薄くなることが考えられるが、その上に均一な膜厚の酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF9を重ねているため、容量素子CEの上部電極UEと下部電極とを隔てる絶縁膜の信頼性の低下を防ぐことができる。その他に、本変形例では図1〜図17を用いて説明した実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。なお、半導体基板SB上には、半導体装置の入出力などのために用いられる高耐圧のMISFET(図示しない)が形成されており、本変形例および前記第3変形例における当該高耐圧のMISFETのゲート絶縁膜は、容量素子CEの上部電極UEおよび下部電極を絶縁するための絶縁膜と同じ工程で形成された膜が用いられることが考えられる。
(実施の形態2)
以下に、実施の形態2の半導体装置の製造工程について、図23〜図27を用いて説明する。図23〜図27は、本実施の形態である半導体装置の製造方法を説明する断面図である。図23〜図27では、図1〜図15および図17と同様に、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面を示している。
前記実施の形態1では、素子分離領域およびトレンチ容量素子を埋め込む溝を形成するためにマスクとして用いた絶縁膜IF2(図4参照)を、ダミー素子分離領域DEI(図4参照)の除去後に除去することについて説明した。これに対し、以下では、上記溝を形成するためのマスクとして用いた窒化シリコン膜からなる絶縁膜を除去してから、ダミー素子分離領域を除去することについて説明する。また、本実施の形態では、ゲートラストプロセスではなく、周辺回路領域において、MISFETのソース・ドレイン領域の形成前にゲート電極を形成する工程、つまり、いわゆるゲートファーストプロセスを用いる。
本変形例の製造工程では、まず、図1〜図3を用いて説明した工程を行った後、図23に示すように、ウェットエッチングにより絶縁膜IF2を除去し、その後、半導体基板SBの主面上にフォトレジスト膜PR1を形成する。フォトレジスト膜PR1のレイアウトは、例えば図4を用いて説明したフォトレジスト膜PR1のレイアウトと同じである。
次に、図24に示すように、フォトレジスト膜PR1をマスクとして用いてドライエッチングを行うことで、ダミー素子分離領域DEIおよび絶縁膜IF1を除去した後、フォトレジスト膜PR1を除去する。このとき、前記実施の形態1とは異なり、窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF2(図5参照)をマスクとして用いていないため、当該エッチングの早い段階で、絶縁膜IF1は除去される。よって、ダミー素子分離領域DEIを全て除去するまでに、溝D2の近傍の半導体基板SBの主面は、前記実施の形態1の場合よりも大きく後退する。特に、隣り合う溝D2同士の間の半導体基板SBの上面の高さは顕著に低くなる。つまり、複数の溝D2が並ぶ領域では、半導体基板SBの主面の高さが顕著に低くなる。
なお、ここでいう溝D2が並ぶ領域とは、図23において説明した工程において、ダミー素子分離領域DEIを除去するためにフォトレジスト膜PR1から露出されていた領域である。言い換えれば、溝D2が並ぶ領域とは、図16に示すレイアウトにおいて、環状の素子分離領域EIにより囲まれた領域、つまり、下部電極である半導体基板と、上部電極UEとの間で容量を発生させる領域(活性領域)の内、図23を用いて説明した工程においてレジストが開口している領域を指す。上部電極UEの端部は、素子分離領域EIの直上に位置し、溝D2が並ぶ領域を囲んでいる。
次に、図25に示すように、図6を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、絶縁膜IF3、IF4、ポリシリコン膜PS1を形成する。ただし、ここではキャップ絶縁膜である絶縁膜IF5(図6参照)は形成しない。ここで、溝D2が複数形成された領域では、半導体基板SBの主面の高さが低いため、当該領域上に形成されたポリシリコン膜PS1の上面の高さは、他の領域におけるポリシリコン膜PS1の上面の高さよりも低くなる。
ここでは、絶縁膜IF3、IF4を形成する前に、半導体基板SBの表面の犠牲酸化を行うことで、半導体基板SBの表面に接する犠牲酸化膜を形成した後、絶縁膜IF3、IF4を形成する前に、当該犠牲酸化膜を除去する工程を行う。これにより、図24を用いて説明したドライエッチングにより半導体基板SBの表面が受けたダメージを除去することができる。
次に、図26に示すように、図7〜図11を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、メモリセルMC、MISFETQ2および容量素子CEを形成する。つまり、メモリセルMCは、制御ゲート電極CGを含む制御トランジスタと、メモリゲート電極MGを含むメモリトランジスタと含み、容量素子CEは、上面の一部が広い範囲において凹んでいる上部電極UEと、上部電極UEの直下の半導体基板SBからなる下部電極とからなる。周辺回路領域1Bでは、メタルゲート電極への置き換えを行わないため、MISFETQ1は、ポリシリコン膜PS1からなるゲート電極G2を有している。
ここでは、絶縁膜IF5(図6参照)は形成されていないため、図11を用いて説明したサリサイドプロセスにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極G2および上部電極UEのそれぞれの上面にシリサイド層S1が形成される。また、ゲートラストプロセスのように、ダミーゲート電極を他のゲート電極に置換する必要がないため、図13を用いて説明した研磨工程は行わない。
続いて、メモリセルMC、MISFETQ2および容量素子CEを覆うように、層間絶縁膜IL1を形成する。ここで、層間絶縁膜IL1の上面は、各ゲート電極または上部電極UEなどの形状に影響を受けて、凹凸を有している。つまり、例えばゲート電極G2の直上において層間絶縁膜IL1の上面は凸状に盛り上がっており、当該凸状部の層間絶縁膜IL1の上面の高さは、その横の領域の層間絶縁膜IL1の上面よりも上面の高さが高くなっている。同様に、上部電極UEの直上において層間絶縁膜IL1の上面は凸状に盛り上がっており、その横の領域の層間絶縁膜IL1の上面よりも上面の高さが高くなっている。
ただし、溝D2が並ぶ領域の直上において、上部電極UEの上面は、上部電極UEの横方向における端部の上面よりも高さが低くなっている。このため、上部電極UEの直上の層間絶縁膜IL1の上面においても、凸状に盛り上がった部分の横方向における中央部、つまり、溝D2が並ぶ領域の直上の部分は、上面の高さが低くなっている。ここで、溝D2が並ぶ領域は、容量素子CEの容量確保のため、平面視において非常に広い面積を有している。よって、上部電極UEの直上の層間絶縁膜IL1の上面は、上部電極UEの直上の領域の端部を除き、広い領域で上面の高さが低くなっている。
言い換えれば、溝D2が並ぶ領域(活性領域)の直上の素子分離領域EIの上面の高さは、上部電極UEの端部の直上の素子分離領域EIの上面の高さよりも低く、平面視において上部電極UEの横の領域の半導体基板SB(例えば、容量素子領域1Cのn+型半導体領域DF)の直上の素子分離領域EIの上面の高さよりも高い。
このような層間絶縁膜IL1の上面の形状は、この後の工程で層間絶縁膜IL1の上面を例えばCMP法により研磨する際に、当該上面の平坦性を向上させる観点から有利である。すなわち、溝D2が並ぶ領域のように、広い面積を占める領域の直上において、層間絶縁膜IL1の上面が高く盛り上がっている場合、そのような領域の層間絶縁膜IL1の上面と、他の領域の層間絶縁膜IL1の上面とを当該研磨工程により平坦化することは困難である。
つまり、溝D2が並ぶ領域の直上の層間絶縁膜IL1の上面と、上部電極UEの端部の直上の層間絶縁膜IL1の上面とが同等の高さを有している場合、当該研磨工程による平坦化が困難となり、これにより、層間絶縁膜IL1上に形成する層間絶縁膜または配線などの成膜・加工を正常に行うことができなくなる。
これに対し、本実施の形態では、図24を用いて説明したドライエッチング工程において、窒化シリコン膜をマスクとして用いずにエッチングを行うことで、溝D2が並ぶ領域の半導体基板SBの主面の上面の高さを低くしている。このため、図27に示すように、当該領域の直上に形成された上部電極UEおよび層間絶縁膜IL1は、広い範囲で上面高さが低くなる。これにより、次に行う研磨工程により層間絶縁膜IL1の上面を平坦化することが容易となる効果を得ることができる。すなわち、層間絶縁膜IL1の上面に段差が生じることを抑えることができる。仮に層間絶縁膜IL1の上面を完全に平坦にすることができなくても、層間絶縁膜IL1の上面の段差の大きさを軽減することができる。
次に、図27に示すように、層間絶縁膜IL1の上面を例えばCMP法などにより研磨した後、図17を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、本実施の形態の半導体装置が完成する。ただし、この研磨工程では、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび上部電極UE並びにそれらの上のシリサイド層S1を露出させない。また、図17を用いて説明した工程と同様の工程を行うが、層間絶縁膜IL2を形成する必要はないため、層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2を介さずに層間絶縁膜IL3および配線M1を形成する。また、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEのそれぞれの上面上にはシリサイド層S1が既に形成されているため、前記実施の形態1で説明した2回目のサリサイドプロセス(図15参照)を行う必要はない。
なお、ここでは絶縁膜IF5(図6参照)を形成しない場合について説明したが、図6を用いて説明した工程を行う際、絶縁膜IF5を形成した後、パターニングを行って制御ゲート電極CGの直上にのみ絶縁膜IF5を残してもよい。この場合、完成した半導体装置における制御ゲート電極CGの上面は、制御ゲート電極CGへの給電部を除いて絶縁膜IF5により覆われたままになる。
本実施の形態では、上述したように、研磨工程により層間絶縁膜IL1の上面を平坦化することが容易となる。これにより、半導体装置の製造工程に要するコストを低減することができる。また、上部電極UEの直上の層間絶縁膜IL1の上面の平坦性を容易に向上させることができるため、層間絶縁膜IL1上に形成する層間絶縁膜または配線などの成膜・加工が正常に行えなくなることを防ぐことができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
その他に、本変形例では図1〜図17を用いて説明した実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。ただし、図23および図24を用いて説明したドライエッチング工程において、半導体基板SBの主面は窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF2(図4および図5参照)により保護されていないため、当該ドライエッチングにより、容量素子領域1Cにおいてフォトレジスト膜から露出する半導体基板SBの表面が受けるダメージは前記実施の形態1よりも大きい。しかし、当該ダメージは、絶縁膜IF3、IF4(図25参照)の形成前に行う犠牲酸化膜の形成および除去の工程により取り除くことができる。
<変形例について>
以下に、本実施の形態の半導体装置の変形例について、図28を用いて説明する。図28は、本実施の形態の変形例である半導体装置の製造方法を説明する断面図である。図28では、図27と同様に、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面を示している。
本変形例では、図23〜図24を用いて説明した製造工程と同様に、窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF2(図4参照)による保護がない状態でドライエッチングを行うことで、溝D2が並ぶ領域の半導体基板SBの上面の高さを低くするものであり、それにより、層間絶縁膜IL1(図6参照)の上面の平坦化を容易にするものである。ただし、ここではゲートラストプロセスにより周辺回路領域1BのMISFETQ1(図28参照)を形成する。
つまり、本変形例の製造工程は、図23〜図25を用いて説明した工程と同様の工程を行った後、ポリシリコン膜PS1上に絶縁膜IF5(図6参照)を形成する。その後、図7〜図17を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、図28に示す本変形例の半導体装置が完成する。
ここで、図13を用いて説明した研磨工程により上部電極UEの上面は低くなっているが、溝D2が並ぶ領域の直上における上部電極UEの上面は、上部電極UEの端部の上面、つまり、容量素子領域1Cの素子分離領域EIの直上の上部電極UEの上面の高さよりも低い。言い換えれば、溝D2の直上における上部電極UEの上面の位置は、容量素子領域1Cの素子分離領域EIの直上の上部電極UEの上面の位置よりも低い。
このため、図6を用いて説明した工程において形成した絶縁膜IF5が、上部電極UEの一部の直上に残る。つまり、容量素子CEの活性領域の直上において、上部電極UEと層間絶縁膜IL2との間には絶縁膜IF5が形成されており、上部電極UEの端部と層間絶縁膜IL2との間には、絶縁膜IF5は形成されていない。つまり、上部電極UEの端部の上面は、絶縁膜IF5により覆われていない。また、上記の段差がさらに大きい場合には、絶縁膜IF5のみでなく、その上に層間絶縁膜IL1が残る場合もある。なお、図28では絶縁膜IF5のみが残った状態を示す。
この場合、図15を用いて説明した2回目のサリサイドプロセスでは、絶縁膜IF5により覆われた箇所の上部電極UEの上面にシリサイド層S2が形成されない。しかし、溝D2が並ぶ領域の直上における上部電極UEの上面はコンタクトプラグCPを接続する箇所ではないため、シリサイド層S2は形成されていなくても問題がない。つまり、上部電極UEに電位を供給するコンタクトプラグCPは、上部電極UEの端部の上面を覆うシリサイド層S2の上面に接続されるため、コンタクトプラグCPと上部電極UEとの接触抵抗は低く抑えることができる。
加えて、本変形例では、図23〜図28を用いて説明した実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
以下に、実施の形態3の半導体装置の製造工程について、図29および図30を用いて説明する。図29は、本実施の形態である半導体装置の製造方法を説明する平面レイアウトである。図30は、本実施の形態である半導体装置の製造方法を説明する断面図であって、図30のうち容量素子領域1Cには、図29のB−B線における断面図を示している。図30では、図1〜図15および図17と同様に、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面を示している。
図29に示す平面レイアウトでは、容量素子領域1Cの溝D1、D2、第1上部電極UE1、第2上部電極UE2、素子分離領域EI、ウエルWL3、n+型半導体領域DFおよびコンタクトプラグCPのみを示している。また、図29では、第1上部電極UE1および第2上部電極UE2により覆われた部分における溝D1、D2、ウエルWL3および素子分離領域EIの輪郭を破線により示している。また、第2上部電極UE2により覆われた第1上部電極UE1の輪郭も破線により示している。
本実施の形態は、各MISFETを、ゲートファーストプロセスにより形成し、かつ、容量素子の上部電極(第1上部電極)の上に、さらに他の上部電極(第2上部電極)を設けるものである。なお、以下では第1上部電極を形成した後に、メモリゲート電極および第2上部電極を形成するために用いるポリシリコン膜を形成することについて説明する。
本実施の形態の半導体装置の製造工程では、まず、図1〜図5を用いて説明した工程と同様の工程を行った後は、図6を用いて説明した工程のように、絶縁膜IF3、IF4およびポリシリコン膜PS1を形成する。ただしここでは、絶縁膜IF5(図6参照)は形成しない。その後、図7を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、制御ゲート電極CGを形成する。
ただし、ここではパターニングを行うことで制御ゲート電極CGを形成するとともに、容量素子領域1Cのポリシリコン膜PS1(図7参照)を加工して第1上部電極UE1を形成する。第1上部電極UE1の構造は、前記実施の形態1で説明した上部電極と同様である。その後、図8を用いて説明した工程を行うことで、制御ゲート電極CGおよび第1上部電極UE1をONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2(図8参照)により覆う。
続いて、フォトレジスト膜により第1上部電極UE1の直上のポリシリコン膜PS2を覆った状態で、図9を用いて説明したように、ドライエッチング工程を行う。これにより、ポリシリコン膜PS2およびONO膜ONのそれぞれの一部を除去することで、メモリセル領域1Aにメモリゲート電極MGを形成し、その後当該フォトレジスト膜を除去する。
ここで、当該フォトレジスト膜によりドライエッチングから保護された領域、つまり第1上部電極UE1の直上には、ONO膜ONを介して、ポリシリコン膜PS2からなる第2上部電極UE2(図30参照)が形成される。また、周辺回路領域1Bでは、ポリシリコン膜PS1がONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2から露出する。
次に、ポリシリコン膜PS1を加工して、周辺回路領域1Bに、ポリシリコン膜PS1からなるゲート電極G2を形成する。本実施の形態ではゲートラストプロセスは行わず、ゲート電極のメタルゲート電極への置換は行わない。よって、ここで周辺回路領域1Bに形成するのはダミーゲート電極ではなく、後に形成されるMISFETを構成するゲート電極G2である。
次に、図11および図12を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、各半導体素子の上部を層間絶縁膜IL1により覆い、その後層間絶縁膜IL1の上面を研磨する。ゲートラストプロセスは行わないため、この後の工程では、図13を用いて説明した研磨工程、並びに、図14および図15を用いて説明したゲート電極の置換工程を行わない。また、図11を用いて説明した工程では、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、第1上部電極UE1および第2上部電極UE2のそれぞれの露出した上面にシリサイド層S1が形成される。上記研磨工程を行わないため、これらのシリサイド層S1および第2上部電極UE2は、後の工程でも除去されずに残る。
次に、図16および図17を用いて説明した工程を行うことで、図29および図30に示す本実施の形態の半導体装置が完成する。ここでは、層間絶縁膜IL2(図17参照)を形成しないため、層間絶縁膜IL1上に層間絶縁膜IL2を介さずに第1配線層を形成する。図30に示していない領域では、図29に示すように、半導体基板SB上に第1上部電極UE1を介さずに形成された第2上部電極UE2の上面にコンタクトプラグCPが電気的に接続されている。
なお、制御ゲート電極CGの上面の一部をキャップ絶縁膜により覆う場合には、図6を用いて説明した工程において、ポリシリコン膜PS1上に絶縁膜IF5を形成した後、図7を用いて説明した工程で、制御ゲート電極CGの直上に絶縁膜IF5を残し、他の領域の絶縁膜IF5を除去する。これにより、後に形成される第1上部電極UE1と第2上部電極UE2との間には、絶縁膜IF5は残らない。
図29に示すように、容量素子CEのレイアウトは、第1上部電極UE1上に第2上部電極UE2が形成されている点で、前記実施の形態1(図16参照)と異なる。平面視において、第2上部電極UE2の一部は、溝D2が並ぶ領域および第1上部電極UE1と重なっており、他の一部は、素子分離領域EIと重なっている。素子分離領域EIの直上であって、平面視において第2上部電極UE2と第1上部電極UE1とが重ならない領域において、第2上部電極UE2の端部の上面には、コンタクトプラグCPが接続されている。
本実施の形態では、前記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。ただし、ここでは、第1上部電極UE1の上面を研磨する工程および第1上部電極UE1上に2回目のサリサイドプロセスによりシリサイド層S2(図15参照)を形成する工程は行わない。よって、図38を用いて説明した比較例のように、上部電極の膜厚が小さいことに起因して、上部電極の上面にシリサイド層が形成されない問題は生じない。よって、本実施の形態は、前記実施の形態1において説明した効果のうち、上部電極とコンタクトプラグとの接続抵抗が大きくなることを防ぐ効果を奏するものではない。
また、本実施の形態では、ゲートラストプロセスを行わない。つまり、図13を用いて説明した研磨工程を行わない。したがって、第1上部電極UE1上にONO膜ONを介して形成した第2上部電極UE2を残すことができる。よって、容量素子CEを、半導体基板SBからなる下部電極(第1電極)、第1上部電極(第2電極)UE1および第2上部電極(第3電極)UE2により構成することで、下部電極と第1上部電極UE1との間、および第1上部電極UE1と第2上部電極UE2との間の2箇所で容量を発生させることができる。したがって、平面視における占有面積が小さく、かつ大容量の容量素子CEを形成することができる。
なお、ここではパターニングにより第1上部電極UE1を形成してからポリシリコン膜PS2を形成し、その後第2上部電極UE2を形成することについて説明したが、第2上部電極UE2を形成してから、ポリシリコン膜PS1をパターニングすることで第1上部電極UE1を形成してもよい。
(実施の形態4)
以下に、実施の形態4の半導体装置の製造工程について、図31〜図36を用いて説明する。図31〜図36は、本実施の形態である半導体装置の製造方法を説明する断面図である。図31〜図36では、図1〜図15および図17と同様に、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの断面を示している。
前記実施の形態1では、MONOSメモリの制御ゲート電極を形成するために用いたポリシリコン膜によりトレンチ容量素子の溝内を埋込むことで、容量素子の上部電極を形成することについて説明したが、本実施の形態では、MONOSメモリのメモリゲート電極を形成するために用いたポリシリコン膜により当該溝を埋込み、上部電極を形成する。
前記実施の形態1では、メモリゲート電極を形成するために用いるポリシリコン膜の膜厚が小さい場合に、上記溝の直上において上部電極の上面に形成される凹部に起因する問題を解決することについて説明した。これに対し、本実施の形態では、メモリゲート電極を形成するために用いるポリシリコン膜の膜厚を大きくすることができる場合、または、トレンチ容量素子の溝の幅を狭めることができる場合などであって、上記凹部に係る問題が生じない場合において実施することが可能な製造工程について説明する。
本実施の形態の半導体装置の製造工程では、まず、図31に示すように、半導体基板SBの上面に複数の溝D1および複数の溝D2を形成した後、溝D1内に素子分離領域EIを形成するとともに、溝D2内にダミー素子分離領域DEIを形成する。図1〜図3を用いて説明した工程と異なるのは、形成した絶縁膜IF2(図3参照)を、後のダミー素子分離領域DEIの除去工程より前に除去している点である。
次に、図32に示すように、絶縁膜IF1を除去し、続いてイオン注入を行うことでウエルWL1、WL2およびWL3をメモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cのそれぞれに形成した後、半導体基板SBの主面を酸化させる。これにより、素子分離領域EIおよびダミー素子分離領域DEIから露出するメモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよび容量素子領域1Cの半導体基板SBの上面に絶縁膜IF3を形成する。その後、半導体基板SBの主面上に、例えばCVD法を用いてポリシリコン膜PS1および絶縁膜IF5を順に形成する。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて、絶縁膜IF5、ポリシリコン膜PS1および絶縁膜IF3を加工する。これにより、メモリセル領域1Aには、半導体基板SBの主面上にゲート絶縁膜GI1を介してポリシリコン膜PS1からなる制御ゲート電極CGを形成する。また、当該エッチングにより、容量素子領域1Cの絶縁膜IF5、ポリシリコン膜PS1および絶縁膜IF3を除去することで、素子分離領域EI、ダミー素子分離領域DEIおよび半導体基板SBを露出させる。ここではフォトレジスト膜(図示しない)により周辺回路領域1Bを保護した状態で当該エッチングを行うことで、周辺回路領域1Bのポリシリコン膜PS1等を加工せずに残す。
次に、図33に示すように、半導体基板SBの主面上に形成したフォトレジスト膜PR2からなるパターンにより、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bを覆う。容量素子領域1Cでは、半導体基板SBの主面の一部および複数のダミー素子分離領域DEIをフォトレジスト膜PR2から露出させる。つまり、フォトレジスト膜PR2のパターン形状は、図4を用いて説明したフォトレジスト膜PR1と同じであり、溝D2が並ぶ領域を覆っていない。
続いて、フォトレジスト膜PR2をマスクとしてドライエッチングを行うことで、ダミー素子分離領域DEIを除去する。これにより、複数の溝D2のそれぞれの側壁および底面が露出する。また、溝D2の近傍の半導体基板SBの主面は、ドライエッチングに晒されるため、その高さは後退して低くなる。また、溝D2の側壁上部の角部と、溝D2の底面端部の角部は、いずれも丸くなる。
次に、図34に示すように、フォトレジスト膜PR2を除去した後、半導体基板SB上に、例えばCVD法を用いてONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2を順に形成する。これにより、メモリセル領域1Aにおいて、ゲート絶縁膜GI1、制御ゲート電極CGおよび絶縁膜IF5からなる積層膜の側壁および上面は、ONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2により覆われる。また、周辺回路領域1Bでは、絶縁膜IF5の上面が、ONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2により覆われる。また、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bの素子分離領域EIおよび半導体基板SBのそれぞれの上面は、ONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2により覆われる。
また、容量素子領域1Cでは、素子分離領域EIの上面と、溝D2の側壁および底面を含む半導体基板SBの上面とが、ONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2により覆われる。ONO膜ONは溝D2を完全には埋め込まず、ONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2により、溝D2は完全に埋め込まれる。つまり、図38を用いて説明した比較例とは異なり、ポリシリコン膜PS2は、溝D2の開口幅の1/2以上の膜厚を有している。
このため、溝D2の直上において、ポリシリコン膜PS2の上面に形成される凹みは、ポリシリコン膜PS2により溝D2を完全に埋め込むことができない場合に比べて小さく浅い。
次に、図35に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、ポリシリコン膜PS2およびONO膜ONのそれぞれの一部を除去する。これにより、メモリセル領域1Aでは、図9を用いて説明した構造と同様にメモリゲート電極MGが形成される。周辺回路領域1Bでは、ポリシリコン膜PS2およびONO膜ONが除去されることで、絶縁膜IF5の上面が露出する。
容量素子領域1Cには、一部が複数の溝D2内に埋め込まれたポリシリコン膜PS2からなる上部電極UEが形成される。これにより、容量素子領域1Cには、上部電極UEと、その直下の半導体基板SB(ウエルWL3)からなる下部電極とを含む容量素子CEが形成される。つまり、容量素子領域1Cでは、溝D2が並ぶ領域の直上のONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2(図34参照)を残し、他の領域のONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2を除去することで、素子分離領域EIの上面および半導体基板SBの上面の一部がONO膜ONおよびポリシリコン膜PS2から露出する。
容量素子領域1Cにおいて、ONO膜ONおよび上部電極UEからなる積層膜は、溝D2と隣り合う素子分離領域EIの直上で終端しており、各溝D2の側壁および底面は、当該積層膜により覆われたままである。当該素子分離領域EIと、当該素子分離領域EIと隣り合う他の素子分離領域EIとの間では、半導体基板SBの主面が上記積層膜から露出している。
次に、図36に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて周辺回路領域1Bの絶縁膜IF3、ポリシリコン膜PS1および絶縁膜IF5からなる積層膜を加工することで、絶縁膜IF3からなるゲート絶縁膜GI2、ポリシリコン膜PS1からなるダミーゲート電極を形成する。その後、図11〜図17を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、本実施の形態の半導体装置が完成する。つまり、周辺回路領域1BのMISFETQ1は、ゲートラストプロセスを用いて形成する。
以上の工程のうち、図13を用いて説明した工程と同様に研磨工程を行う際には、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極および上部電極UEのそれぞれの上面が研磨され、露出する。ここで、本実施の形態では、ポリシリコン膜PS2(図34参照)は膜厚が比較的大きいため、ポリシリコン膜PS2からなる上部電極UEは、当該研磨工程により層間絶縁膜IL1から露出するために十分な膜厚を有している。したがって、当該研磨工程において、上部電極UEが層間絶縁膜IL1から露出せず、上部電極UEの上面にシリサイド層S2が形成されないことを防ぐことができる。
ここでは、上部電極UEは、素子分離領域EIの直上において素子分離領域EIから露出する。つまり、素子分離領域EIの直上の上部電極UEの上面にはシリサイド層S2が形成され、当該シリサイド層S2に対し、コンタクトプラグCPが接続される。これに対し、容量素子CEの活性領域、つまり溝D2が並ぶ領域では、半導体基板SBの上面の高さが図33を用いて説明したドライエッチング工程により低くなっていること、および、溝D2に埋め込まれた上部電極UEの上面に小さい凹部が形成されていることにより、当該領域の直上の上部電極UEの上面は、層間絶縁膜IL1により覆われている。
すなわち、当該領域の直上では、上部電極UEと層間絶縁膜IL2との間に層間絶縁膜IL1が介在している。つまり、図13を用いて説明した研磨工程では、当該領域の上部電極UEの上面は層間絶縁膜IL1から露出しない。このため、当該領域の上部電極UEの上面にはシリサイド層S2は形成されない。しかし、溝D2が並ぶ領域の直上における上部電極UEの上面は、コンタクトプラグCPを接続する箇所ではないため、シリサイド層S2は形成されていなくても問題がない。
以上に説明したように、メモリゲート電極MGを形成するために用いるポリシリコン膜PS2(図34参照)の膜厚を大きくすることができる場合などには、ポリシリコン膜PS2により上部電極UEを形成しても、溝D2を完全に埋め込むことができ、上部電極UEの上面の少なくとも一部にシリサイド層S2を形成することができる。よって、上部電極UEの上面の平坦性を向上させることができる。また、当該凹部が深くなることにより当該凹部内に残渣または空隙が形成されることを防ぐことができる。したがって、前記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができ、半導体装置の信頼性が低下することを防ぐことができる。
<変形例について>
図37に、本実施の形態の変形例として、容量素子CEの平面レイアウトを示す。図37に示すレイアウトと、図16に示したレイアウトとでは、特に、溝D2が並ぶ領域、つまり容量素子CEの活性領域のレイアウトが、横方向(図の縦方向)において、上部電極UEの幅よりも大きい幅を有している点にある。
つまり、環状の素子分離領域EIに囲まれた活性領域の一部の上面は上部電極UEから露出しており、露出した当該活性領域に形成されたウエルWL3の一部の上面に、下部電極へ給電するためのコンタクトプラグCPが複数接続されている。なお、平面視において、環状の素子分離領域EIの外側のn+型半導体領域DFの上面にも、下部電極へ給電するための複数のコンタクトプラグCPが接続されている。
このように、図16に示すレイアウトに限らず、図37に示すように、環状の素子分離領域EIに囲まれた活性領域に対しコンタクトプラグCPを接続することも可能である。このレイアウトは、前記実施の形態1〜3に適用することもできる。このレイアウトを前記実施の形態3に適用する場合には、環状の素子分離領域EIに囲まれた活性領域へのコンタクトプラグCPの接続領域を、第1上部電極UE1および第2上部電極UE2(図29参照)のいずれとも平面視において重ならない領域に設ける。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
その他、実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
(1)(a)主面に沿って並ぶ第1領域および第2領域を有する半導体基板を用意する工程、
(b)前記第2領域の前記半導体基板の主面に第1溝を形成する工程、
(c)前記第1溝の側壁および底面を第1絶縁膜により覆う工程、
(d)前記(c)工程の後、前記第1領域および前記第2領域の前記半導体基板の主面上に第1導体膜を形成することで、前記第1溝内に前記第1絶縁膜を介して前記第1導体膜を埋め込む工程、
(e)前記第1導体膜を加工することで、前記第1領域の前記半導体基板の主面上の前記第1導体膜からなる制御ゲート電極を形成する工程、
(f)前記制御ゲート電極の側壁に、内部に電荷蓄積部を有する第2絶縁膜を介してメモリゲート電極を形成する工程、
(g)前記第1導体膜を加工することで、前記第2領域の前記第1溝を埋め込む前記第1導体膜からなる第1電極を形成する工程、
(h)前記(f)工程の後、前記第1領域の前記半導体基板の主面に一対の第1ソース・ドレイン領域を形成する工程、
を有し、
前記制御ゲート電極、前記メモリゲート電極および前記一対の第1ソース・ドレイン領域は、不揮発性メモリのメモリセルを構成し、
前記第1電極と、前記第1電極の下の前記半導体基板とは、容量素子を構成する、半導体装置の製造方法。
(2)(1)記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記第1溝の前記側壁および前記底面を、酸化法により形成した第1絶縁膜により覆う、半導体装置の製造方法。
(3)(1)記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記第1溝の前記側壁および前記底面を、堆積法により形成した第1絶縁膜により覆う、半導体装置の製造方法。
(4)(1)記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、
(c1)前記第1溝の前記側壁および前記底面を酸化して第6絶縁膜を形成する工程、
(c2)前記第1溝の前記側壁および前記底面上に第7絶縁膜を堆積することで、前記第1溝の前記側壁および前記底面を、前記第6絶縁膜および前記第7絶縁膜からなる前記第1絶縁膜により覆う工程、
を含む、半導体装置の製造方法。
(5)(1)記載の半導体装置の製造方法において、
(b1)前記(b)工程の後、前記第1溝内に第3絶縁膜を埋め込む工程、
(b2)前記(c)工程の前に、前記第1溝内の前記第3絶縁膜を等方性エッチングにより除去する工程、
をさらに有する、半導体装置の製造方法。