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JP2019034876A - 結晶性ガラス組成物 - Google Patents

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聡子 此下
Satoko Konoshita
聡子 此下
高山 佳久
Yoshihisa Takayama
佳久 高山
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Nippon Electric Glass Co Ltd
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Nippon Electric Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】熱処理後に高い熱膨張係数を有し、かつ接着後の耐熱性にも優れる結晶性ガラス組成物を提供する。【解決手段】熱処理により、CaMg2Si2O7及びBaZn2Si2O7の結晶を析出する結晶性ガラス組成物であって、CaMg2Si2O7の(2 2 −1)結晶面のX線回折ーク強度をX、BaZn2Si2O7の(2 1 1)結晶面のX線回折ピーク強度をYとした場合に、その強度比Y/Xが0超〜1.6であることを特徴とする結晶性ガラス組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、結晶性ガラス組成物に関し、より具体的にはSUSやFeといった金属や、フェライトやジルコニアといった高膨張なセラミックスを接着する目的で用いられる結晶性ガラス組成物に関するものである。
近年、燃料電池(Fuel Cell)はエネルギー効率が高く、COの排出を大きく削減できる有力な技術として注目されてきている。燃料電池のタイプは使用する電解質によって分類され、例えば工業用途で用いられるものとして、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)の4種類がある。中でも固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、電池の内部抵抗が小さいため燃料電池の中では最も発電効率が高く、また触媒に貴金属を使用する必要がないため、製造コストが抑えられるといった特徴を有している。そのため、家庭用等の小規模用途から、発電所等の大規模用途まで幅広く適用可能なシステムであり、その将来性に期待が高まってきている。
一般的な平板型SOFCの構造を図1に示す。図1に示すように、一般的な平板型SOFCは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等のセラミック材料からなる電解質1、Ni/YSZ等からなるアノード2、及び(La、Ca)CrO等からなるカソード3が積層一体化されたセルを有している。さらに燃料ガスの通り道(燃料チャネル4a)が形成され、アノード2と接する第一の支持基板4と、空気の通り道(空気チャネル5a)が形成され、カソード3と接する第二の支持基板5とがセルの上下に固着されている。なお第一の支持基板4及び第二の支持基板5はSUS等の金属で構成されており、ガスの通り道が互いに直交するようにセルに固着される。
上記構造を有する平板型SOFCでは、燃料チャネル4aに水素(H)や、都市ガス、天然ガス、バイオガス、液体燃料といった様々なガスを流し、同時に空気チャネル5aに空気または酸素(O)を流す。このときカソードでは、1/2O+2e → O2−の反応が生じ、アノードでは、H+O2− → HO + 2eの反応が起こる。この電気化学反応によって、化学エネルギーが直接電気エネルギーに変換され、発電することができる。なお高出力を得るために、実際の平板型SOFCでは図1の構造体が何層も積層されている。
上記構造体を作製するに当たっては、アノード側とカソード側に流すガスが交じり合わないように各構成部材を気密シールする必要がある。その目的で、マイカやバーミキュライト、アルミナといった無機質からなるシート形状のガスケットを挟み込んで気密シールする方法が提案されているが、当該方法では微量のガスリークが発生しやすく、燃料使用効率の低下が問題となっている。当該問題を解決するため、ガラスからなる接着材料を用いて構成部材同士を融解接着する方法が検討されている。
上記構造体の構成部材としては金属やセラミックといった高膨張材料が使用されることから、使用する接着材料についても、これらの高膨張材料に適合する熱膨張係数を有する必要がある。また、SOFCは電気化学反応が生じる温度域(作動温度域)が600〜1000℃と高温であり、しかも当該温度域で長期間に亘って運転される。よって、接着材料には、長期間高温に晒されても、接着箇所の融解による気密性や接着性の低下が起こらないように高い耐熱性が求められる。
SOFC用接着材料として、特許文献1には、SiO−B−SrO系非晶質ガラス組成物が開示されている。
特開2006−56769号公報
特許文献1に開示されている非晶質ガラス組成物は、ガラス転移点が600℃付近であるため、600〜1000℃程度といった高温動作環境下では、接着箇所が融解し、気密性や接着性が確保できないという問題がある。
以上に鑑み、本発明は、熱処理後に高い熱膨張係数を有し、かつ接着後の耐熱性にも優れる結晶性ガラス組成物を提供することを目的とする。
本発明者が種々の実験を行った結果、熱処理により特定の結晶を析出し、かつ、その結晶量を厳密に制御した結晶性ガラス組成物により上記課題を解決できることを見出した。なお、本発明において、「結晶性ガラス組成物」とは、熱処理すると結晶を析出する性質を有するガラス組成物をいう。また、「熱処理する」とは、800℃以上の温度で10分間以上の条件で熱処理することを意味する。
即ち、本発明の結晶性ガラス組成物は、熱処理により、CaMgSi及びBaZnSiの結晶を析出する結晶性ガラス組成物であって、CaMgSiの(2 2 −1)結晶面のX線回折ピーク強度をX、BaZnSiの(2 1 1)結晶面のX線回折ピーク強度をYとした場合に、その強度比Y/Xが0.1〜1.6であることを特徴とする。
熱処理により高膨張結晶であるCaMgSi及びBaZnSiが析出し、さらに、CaMgSiの(2 2 −1)結晶面のX線回折ピーク強度XとBaZnSiの(2 1 1)結晶面のX線回折ピーク強度Yの強度比Y/Xが0超〜1.6であると、高い熱膨張係数を有することが分かった。また、CaMgSi、BaZnSiは融点が高いため、長期間に亘って高温下で使用しても、接着箇所が融解し難くなり、接着箇所の気密性や接着性の低下を抑制することができる。
強度比Y/Xを0超〜1.6に限定した理由を以下に説明する。
CaMgSiの熱膨張係数は、BaZnSiの熱膨張係数より高いため、CaMgSiの結晶量が多いと、高膨張特性を得やすい。X線回折ピーク強度Xは、CaMgSiの結晶量に比例し、X線回折ピーク強度YはBaZnSiの結晶量に比例する。つまり、強度比Y/Xを0超〜1.6と小さくすることは、CaMgSiの結晶量を多くすることに繋がり、結果として高膨張特性を達成できる。
本発明の結晶性ガラス組成物は、モル%で、SiO 35〜70%、MgO 4〜20%、CaO 4〜30%、BaO 4〜20%、ZnO 5〜25%を含有することが好ましい。
本発明の結晶性ガラス組成物は、RO(Rはアルカリ金属を示す)及びPを実質的に含有しないことが好ましい。RO及びPは熱処理により揮発しやすく、SOFC構成部材の電気絶縁性を低下させる等、発電特性に悪影響を与えるおそれがある。そのため、これらの成分を実質的に含有しないことにより、不当に発電特性が低下することを抑制することができる。なお、「実質的に含有しない」とは意図的に含有させないことを意味し、不可避的不純物の混入を排除するものではない。具体的には、該当する成分の含有量が0.1モル%未満であることを意味する。
本発明の結晶性ガラス組成物は、30〜850℃の温度範囲における熱膨張係数が85×10−7/℃以上であることが好ましい。
本発明の結晶性ガラス組成物は、粉末状であることが好ましい。
本発明の結晶性ガラス組成物は、接着用として好適である。
本発明の結晶性ガラス組成物は、熱処理後に高い熱膨張係数を有し、かつ接着後の耐熱性にも優れる。そのため、長期間に亘って高温下で使用しても、接着箇所が融解し難くなり、接着箇所の気密性や接着性の低下を抑制することができる。
SOFCの基本構造を示す模式的斜視図である。
本発明の結晶性ガラス組成物は、熱処理により、CaMgSi及びBaZnSiの結晶を析出する。CaMgSi及びBaZnSiは融点が高く、再度熱処理を行っても流動しにくいため、長期に亘って耐熱性を維持することができる。また、CaMgSiの(2 2 −1)結晶面のX線回折ピーク強度をX、BaZnSiの(2 1 1)結晶面のX線回折ピーク強度をYとした場合に、その強度比Y/Xが0超〜1.6であり、0.2〜1.4、0.5〜1.3、特に0.6〜1.2であることが好ましい。Y/Xが大きすぎると、高膨張特性が得られにくくなる。なお、熱処理により高膨張結晶であるMgSiO、BaMgSi7、LaSi等が析出しても構わない。
熱処理後の結晶性ガラス組成物の30〜850℃の温度範囲における熱膨張係数は、85×10−7/℃以上、90×10−7/℃以上、特に95×10−7/℃以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、現実的には150×10−7/℃以下である。ちなみに、本発明の結晶性ガラス組成物は、熱処理後に高い結晶化度が得られやすい。
次に、本発明の結晶性ガラス組成物のガラス組成について説明する。
本発明の結晶性ガラス組成物は、モル%で、SiO 35〜70%、MgO 4〜20%、CaO 4〜30%、BaO 4〜20%、ZnO 5〜25%を含有することが好ましい。ガラス組成を上記のように限定した理由を以下に説明する。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。
SiOは、熱処理により析出する高膨張結晶CaMgSi及びBaZnSiの構成成分であり、耐水性を向上させる効果がある。SiOの含有量は35〜70%、好ましくは40〜65%、より好ましくは45〜62%、特に好ましくは49〜60%である。SiOの含有量が少なすぎると、熱処理時に高膨張結晶CaMgSi及びBaZnSiが析出しにくくなり、耐熱性が低下しやすくなる。また、耐水性が低下しやすくなる。一方、SiOの含有量が多すぎると、熱処理時に高膨張結晶CaMgSi及びBaZnSiが析出しにくくなる。また、溶融温度が高くなり、溶融が困難になる傾向がある。
MgOは、熱処理により析出する高膨張結晶CaMgSiの構成成分である。MgOの含有量は4〜20%、好ましくは5〜18%、より好ましくは6〜15%である。MgOの含有量が少なすぎると、熱処理時に高膨張結晶CaMgSiが析出しにくくなり、耐熱性が低下しやすくなる。一方、MgOの含有量が多すぎると、ガラス化範囲が狭くなる傾向にあり、失透しやすくなる。また、流動性が低下しやすくなる。
CaOは、熱処理により析出する高膨張結晶CaMgSiの構成成分であり、また流動性を向上させる効果がある。CaOの含有量は4〜30%、好ましくは5〜28%、より好ましくは6〜20%である。CaOの含有量が少なすぎると、熱処理時に高膨張結晶CaMgSiが析出しにくくなり、耐熱性が低下しやすくなる。また、流動性が低下しやすくなる。一方、CaOの含有量が多すぎると、ガラス化範囲が狭くなる傾向にあり、失透しやすくなる。また、流動性が低下しやすくなる。
BaOは、熱処理により析出する高膨張結晶BaZnSiの構成成分である。BaOの含有量は4〜20%、好ましくは4〜15%、より好ましくは5〜10%である。BaOの含有量が少なすぎると、熱処理時に高膨張結晶BaZnSiが析出しにくくなり、耐熱性が低下しやすくなる。一方、BaOの含有量が多すぎると、ガラス化範囲が狭くなる傾向にあり、失透しやすくなる。また、流動性が低下しやすくなる。
なお、CaOの含有量がBaOの含有量より多いと、CaMgSiの結晶量が多くなり高膨張特性を達成しやすくなる。
ZnOは、熱処理により析出する高膨張結晶BaZnSiの構成成分である。ZnOの含有量は5〜25%、好ましくは7〜20%、より好ましくは8〜18%、特に好ましくは9〜16%である。ZnOの含有量が少なすぎると、熱処理時に高膨張結晶BaZnSiが析出しにくくなり、耐熱性が低下しやすくなる。一方、ZnOの含有量が多すぎるとガラス化範囲が狭くなる傾向にあり、失透しやすくなる。
上記成分以外にも、以下に示す種々の成分を含有させることができる。
TiOは、耐熱性を向上させる成分である。また、流動性を向上させる成分でもある。TiOの含有量は0〜5%、好ましくは0.1〜3%である。TiOの含有量が多すぎると溶融時に失透しやすくなる。また、流動性が低下しやすくなる。
ZrOは、耐熱性を向上させる成分である。また、流動性を向上させる成分でもある。ZrOの含有量は0〜5%、好ましくは0.1〜3%、より好ましくは1〜2%である。ZrOの含有量が多すぎると溶融時に失透しやすくなる。また、流動性が低下しやすくなる。
SrOは、流動性を向上させる成分である。SrOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%である。SrOの含有量が多すぎると、ガラス化範囲が狭くなる傾向にあり、失透しやすくなる。また、流動性が低下しやすくなる。
は流動性を向上させる成分である。Bの含有量は0〜5%、好ましくは0〜4%、より好ましくは0〜3%である。Bの含有量が多すぎると、耐水性や耐熱性が低下しやすくなる。また、燃料電池の構成部材の接着材料として使用した場合に、高温下の使用でBが揮発し、発電特性が劣化しやすくなる。
Alは耐熱性を向上させる成分である。Alの含有量は0〜5%、好ましくは0〜3%である。Alの含有量が多すぎると、熱処理により2SiO・Al・BaO等の低膨張結晶が析出しやすくなり、高膨張特性が得られにくくなる。
Laは流動性を向上させるための成分である。また、ガラス化範囲を拡げてガラス化しやすくする成分である。Laの含有量は0〜10%、好ましくは1〜8%、より好ましくは2〜7%、特に好ましくは4〜6%である。Laの含有量が多すぎると、溶融中や熱処理時に失透しやすくなり、接着に適した流動性が得られにくくなる。
本発明の結晶性ガラス組成物は、上記以外の成分としてY、Gd、Nb、Ta、SnO、WO、Bi等をそれぞれ2%まで含有させることができる。ただし、RO(Rはアルカリ金属を示す)及びPは熱処理により揮発しやすく、SOFC構成部材の電気絶縁性を低下させる等、発電特性に悪影響を与えるおそれがあるため、実質的に含有しないことが好ましい。
本発明の結晶性ガラス組成物は、流動性、熱膨張係数の調整のために、マグネシア(MgO)、亜鉛華(ZnO)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)、アルミナ(Al)等の粉末をフィラー粉末として添加して用いても良い。フィラー粉末の添加量は、結晶性ガラス組成物100質量部に対して0〜10質量部、0.1〜9質量部、特に1〜8質量部であることが好ましい。フィラー粉末の添加量が多すぎると、流動性が低下しやすくなる。なおフィラー粉末の粒径はd50で0.2〜20μm程度のものを使用することが好ましい。
次に本発明の結晶性ガラス組成物の製造方法、及び本発明の結晶性ガラス組成物を接着材料として使用する方法の一例について説明する。
まず、上記組成を有するように調合した原料を1400〜1600℃で0.5〜2時間程度、均質なガラスが得られるまで溶融する。次いで、溶融ガラスをフィルム状等に成形した後、粉砕し、分級することにより本発明の結晶性ガラス組成物からなるガラス粉末を作製する。なお、ガラス粉末の粒径(d50)は2〜20μm程度であることが好ましい。必要に応じて、ガラス粉末に各種フィラー粉末を添加する。
次いで、ガラス粉末(あるいは、ガラス粉末とフィラー粉末との混合粉末)にビークルを添加して混練することによりガラスペーストを調製する。ビークルは例えば有機溶剤、樹脂の他、可塑剤、分散剤等を含有する。
有機溶剤はガラス粉末をペースト化するための材料であり、例えばターピネオール(Ter)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート、ジヒドロターピネオール等を単独または混合して使用することができる。その含有量は10〜40質量%であることが好ましい。
樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は、0.1〜20質量%程度が一般的である。樹脂は熱可塑性樹脂、具体的にはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールするとともに、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0〜10質量%程度が一般的である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
分散剤としては、イオン系またはノニオン系の分散剤が使用可能であり、イオン系としてはカルボン酸、ジカルボン酸系等のポリカルボン酸系、アミン系等の分散剤、ノニオン系としてはポリエステル縮合型や多価アルコールエーテル型の分散剤が使用可能である。その使用量としては0〜5質量%が一般的である。
次いで、ペーストを金属やセラミックからなる第一の部材の接着箇所に塗布し、乾燥させる。さらに金属やセラミックからなる第二の部材をペースト乾燥膜に接触させた状態で固定して800〜1050℃で熱処理する。この熱処理により、ガラス粉末が一旦軟化流動して第一及び第二の部材を固着するとともに、結晶が析出する。このようにして、第一の部材及び第二の部材が本発明の結晶性ガラス組成物からなる封止部により接着してなる接合体を得ることができる。
本発明の結晶性ガラス組成物は、接着以外にも被覆、充填等の目的で使用できる。またペースト以外の形態、具体的には粉末、グリーンシート、タブレット等の状態で使用することができる。例えば、金属やセラミックスからなる円筒内にリード線とともにガラス粉末を充填して熱処理し、気密封止を行う形態が挙げられる。またグリーンシート成形されたプリフォームや、粉末プレス成型により作製されたタブレット等を金属やセラミックからなる部材上に載置し、熱処理して軟化流動させることで被覆することもできる。
以下に、本発明の結晶性ガラス組成物を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1及び2は、本発明の実施例(試料No.1〜9、11、12)及び比較例(試料No.10)を示している。
各試料は次のようにして作製した。
表中の各組成になるように調合した原料を1400〜1600℃で約2時間溶融した後、一対のローラー間に流し出してフィルム状に成形した。得られたフィルム状成形物をボールミルにて粉砕し、分級して、粒度(d50)が約10μmの試料(結晶性ガラス組成物粉末)を得た。
各試料について、CaMgSiの(2 2 −1)結晶面のX線回折ピーク強度X、BaZnSiの(2 1 1)結晶面のX線回折ピーク強度Y、Y/X、熱膨張係数、軟化点、結晶化温度、結晶融点について、測定または評価した。結果を表1及び2に示す。
表から明らかなように、実施例であるNo.1〜9、11、12の試料は、熱処理によりCaMgSi、BaZnSiが析出し、かつ、Y/Xが0.7〜1.3であったため、熱膨張係数が86〜102×10−7/℃と高かった。さらに、析出結晶の融点が高く、耐熱性にも優れていることが分かった。
一方、比較例であるNo.10の試料は、Y/Xが1.9と大きく、熱膨張係数が83×10−7/℃と低かった。
なお、各特性の測定及び評価は以下のようにして行った。
X線回折ピーク強度X及びYは、XRDを用いて測定した。その後、Y/Xを算出した。
熱膨張係数は、各ガラス粉末試料をプレス成形し、1000〜1100℃で3時間熱処理した後、直径4mm、長さ20mmの円柱状に研磨加工して得られた測定用試料を用いて、JIS R3102に基づき、30〜850℃の温度範囲における値を求めた。
軟化点、結晶化温度、結晶融点はマクロ型示差熱分析計を用いて測定した。具体的には、各ガラス粉末試料につき、マクロ型示差熱分析計を用いて1050℃まで測定して得られたチャートにおいて、第四の変曲点の値を軟化点、強い発熱ピークを結晶化温度、結晶化後に得られた吸熱ピークを結晶融点とした。なお、結晶融点が高いほど、または、結晶融点が確認されなければ、高温下においても結晶が安定に存在していることを意味し、耐熱性が高いと判断することができる。
本発明の結晶性ガラス組成物は、SUSやFeといった金属、フェライトやジルコニアといった高膨張セラミックスの接着材料として好適である。特に、SOFCを作製する際に使用される支持体基板や、電極の部材等を気密封止するための接着材料として好適である。また、本発明の結晶性ガラス組成物は、接着用途以外にも被覆、充填等の目的で使用できる。具体的には、サーミスタ、ハイブリッドIC等の用途に使用することができる。
1 電解質
2 アノード
3 カソード
4 第一の支持体基板
4a 燃料チャネル4a
5 第二の支持体基板
5a 空気チャネル5a

Claims (7)

  1. 熱処理により、CaMgSi及びBaZnSiの結晶を析出する結晶性ガラス組成物であって、CaMgSiの(2 2 −1)結晶面のX線回折ピーク強度をX、BaZnSiの(2 1 1)結晶面のX線回折ピーク強度をYとした場合に、その強度比Y/Xが0超〜1.6であることを特徴とする結晶性ガラス組成物。
  2. モル%で、SiO 35〜70%、MgO 4〜20%、CaO 4〜30%、BaO 4〜20%、ZnO 5〜25%を含有することを特徴とする請求項1に記載の結晶性ガラス組成物。
  3. CaOの含有量がBaOの含有量より多いことを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶性ガラス組成物。
  4. O(Rはアルカリ金属を示す)及びPを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の結晶性ガラス組成物。
  5. 30〜850℃の温度範囲における熱膨張係数が85×10−7/℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性ガラス組成物。
  6. 粉末状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の結晶性ガラス組成物。
  7. 接着用であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の結晶性ガラス組成物。
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