詳細な説明
本開示の実施形態では、癌抗原をコードするポリヌクレオチドを含むRNA(例えば、mRNA)ワクチンが提供される。本明細書で提供される癌RNAワクチンを使用すると、DNAでのワクチン接種と関連するリスクの多くを伴うことなく、細胞性免疫及び/または体液性免疫を含むバランスのとれた免疫応答を誘導することができる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、癌抗原をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
mRNA癌ワクチンを含む機能性RNAワクチンを生成するための試みがいくつもなされてきたが、こうしたRNAワクチンの治療効果は、依然として完全には確立されていない。非常に驚くべきことに、T細胞応答の増進を含む、顕著に増進しており、多くの点で相乗的な免疫応答を引き起こす、mRNAワクチンを送達するための製剤クラスを発明者らは発見した。本発明のワクチンには、従来型癌ワクチンならびに個別化癌ワクチンが含まれる。いくつかの態様では、本発明は、化学的に修飾及び非修飾のmRNAワクチンを含むmRNAワクチンの有効性を脂質ナノ粒子製剤が顕著に増進するという驚くべき知見を含む。
本明細書に記載の試験において使用した脂質ナノ粒子は、さまざまな動物モデルならびにヒトにおけるsiRNAの送達に以前に使用されたものである。脂質ナノ粒子製剤によるsiRNAの送達と関連して得られた知見を考慮すると、脂質ナノ粒子がワクチンにおいて有用であるという事実は非常に驚くべきものである。脂質ナノ粒子において製剤化されたsiRNAの治療的な送達では、一過性のIgM応答と関連する望ましくない炎症応答が生じる結果として、典型的には、抗原産生が減少し、免疫応答が損なわれることが観測されている。siRNAで観測された知見とは対照的に、脂質ナノ粒子−mRNAワクチン製剤では、一過性のIgM応答ではなく、予防方法及び治療方法に十分となるIgGレベルの増進が生じることが示されている。
ワクチン開発において標的ポリペプチド配列に対する所望の免疫応答(例えば、T細胞応答)を誘発する癌抗原の生成は、依然として難易度の高い課題である。本発明は、ワクチン開発と関連するハードルを克服する技術を含むものである。本発明の技術を使用することで、適切なT細胞癌エピトープまたはB細胞癌エピトープを選択し、インビボでの有効な送達に向けてエピトープまたは抗原を製剤化することによって、所望の免疫応答を整えて導くことが可能である。
したがって、本発明は、mRNAワクチンに関する。mRNAワクチンは、2015年4月23日出願の国際特許出願第PCT/US2015/027400号に記載されており、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
mRNA癌ワクチンは、ペプチドに基づくワクチンまたはDNAワクチンの代わりとなる特有の治療選択肢を与えるものである。mRNA癌ワクチンが細胞に送達されると、mRNAは、細胞内機構によって処理されることでポリペプチドを生成し、この細胞内機構による処理を受けることで、生成したポリペプチドは腫瘍に対する免疫応答を刺激する能力を有する免疫感受性断片となることができる。
本明細書に記載の癌ワクチンは、少なくとも1つの癌抗原ポリペプチドまたはその免疫原性断片(例えば、癌に対する免疫応答を誘導する能力を有する免疫原性断片)をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含む。癌ワクチンは、従来型癌ワクチンまたは個別化癌ワクチンであり得る。従来型癌ワクチンは、癌もしくは腫瘍に一般に見られることが知られる癌抗原、または特定の型の癌もしくは腫瘍において見られることが知られる癌抗原を含むワクチンである。腫瘍細胞においてまたは腫瘍細胞によって発現する抗原は、「腫瘍関連抗原」と称される。特定の腫瘍関連抗原は、非癌性細胞に発現し得るか、または発現し得ないこともある。多くの腫瘍変異が当該技術分野において知られている。
個別化ワクチンは、例えば、それぞれの対象に特異的な腫瘍抗原または癌抗原に特異的な既知の癌抗原を1つまたは複数コードするRNAを含み得、こうした抗原は、ネオエピトープまたは対象特異的エピトープもしくは対象特異的抗原と称される。「対象特異的癌抗原」は、特定の患者の腫瘍に発現することが同定された抗原である。対象特異的癌抗原は、典型的には、腫瘍試料に存在し得たり、または存在し得なかったりすることが一般的である。非癌性細胞では発現しないか、もしくはめったに発現しないか、または非癌性細胞におけるその発現が、癌性細胞におけるものと比較して顕著に減少しており、ワクチン接種時に誘導される免疫応答を誘導する腫瘍関連抗原は、ネオエピトープと称される。腫瘍関連抗原のようなネオエピトープは、体に対して完全に外来性であるため、健康な組織に対する免疫応答を生成しないか、または免疫系の防御成分によって遮蔽されると想定される。いくつかの実施形態では、ネオエピトープに基づく個別化ワクチンが望ましく、この理由は、そのようなワクチン製剤によって、患者特異的な腫瘍に対する特異性が最大化することになるためである。変異によって得られるネオエピトープは、タンパク質に異なるアミノ酸が生じる非同義変異である点変異、終止コドンが修飾または欠失し、C末端に新規の腫瘍特異的配列を有する長鎖化タンパク質の翻訳を引き起こすリードスルー変異、成熟mRNAにイントロンが含められるために、特有の腫瘍特異的タンパク質配列が生じるスプライス部位変異、2つのタンパク質のジャンクションに腫瘍特異的配列を有するキメラタンパク質が生じる染色体再編(すなわち、遺伝子融合)、新規の腫瘍特異的タンパク質配列を有する新たなオープンリーディングフレームが生じるフレームシフト変異または欠失、及び転座から生じ得る。したがって、いくつかの実施形態では、mRNA癌ワクチンは、フレームシフト変異及び組換えまたは本明細書に記載の他の変異のいずれかからなる群から選択される変異を含む少なくとも2つの癌抗原を含む。
個別化癌ワクチンの生成方法は、一般に、例えば核酸またはタンパク質のディープシークエンシング技術を使用する変異の同定と、例えば有効なペプチド−MHC結合予測アルゴリズム、または患者のHLA対立遺伝子に結合し得、腫瘍に存在する変異に基づく候補T細胞エピトープのセットを生成するための他の分析技術を適用するネオエピトープの同定と、選択されるネオエピトープを抗原特異的T細胞が標的とすることの任意選択の実証または候補ネオエピトープが腫瘍表面に存在するHLAタンパク質に結合することの任意選択の実証と、ワクチンの開発と、を含む。本発明のmRNA癌ワクチンは、単一のネオエピトープの複数のコピー、単一の型の変異、すなわち点変異に基づく複数の異なるネオエピトープ、さまざまな変異型に基づく複数の異なるネオエピトープ、腫瘍関連抗原またはリコール抗原などのネオエピトープ及び他の抗原を含み得る。
変異の同定技術の例には、限定はされないが、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイダイアゴナルゲル電気泳動(microplate array diagonal gel electrophoresis)(MADGE)、パイロシークエンシング、オリゴヌクレオチド特異的ライゲーション、TaqManシステム、ならびにさまざまなDNA「チップ」技術、すなわちAffymetrix SNPチップ、ならびに浸潤性の切断によって小型シグナル分子を生成させた後、質量分析法、または固定化パドロックプローブ及びローリングサークル増幅を実施することに基づく方法が含まれる。
核酸またはタンパク質のディープシークエンシング技術は、当該技術分野において知られている。任意の型の配列解析方法を使用することができる。核酸シークエンシングは、全腫瘍ゲノム、腫瘍エクソーム(タンパク質コードDNA)、腫瘍トランスクリプトーム、またはエキソソームに対して実施してよい。合成ごとのリアルタイム1分子シークエンシング技術は、シークエンシングされる鋳型に相補的なDNA新生鎖に蛍光ヌクレオチドが組み込まれるたびにそれが検出されるということを利用するものである。迅速なハイスループットシークエンシング方法は他にも存在する。タンパク質シークエンシングは、腫瘍プロテオームに対して実施してよい。さらに、腫瘍細胞に存在するMHCタンパク質に結合した変異ペプチドが存在することを同定または検証をするために、タンパク質質量分析法を使用してよい。ペプチドは、腫瘍細胞から酸によって溶出させるか、または腫瘍から免疫沈降させたHLA分子から酸によって溶出させた後、質量分析法を使用して同定することができる。シークエンシングの結果は、既知の対照セットと比較するか、または患者の正常組織に対して実施されたシークエンシング解析と比較してよい。
したがって、本発明は、T細胞エピトープなどの、抗原のネオエピトープの同定方法及び/または検出方法に関する。具体的には、本発明は、対象における腫瘍特異的免疫応答の誘導において有用な腫瘍特異的ネオエピトープの同定方法及び/または検出方法を提供する。任意選択で、こうしたネオエピトープは、野生型ペプチドと比較してクラスIのHLAタンパク質に強い親和性で結合し、及び/または抗腫瘍CD8T細胞を活性化する能力を有する。任意の特定の遺伝子において同一の変異が腫瘍にまたがって見つかることは稀である。
MHCクラスIタンパク質は、ほとんどの腫瘍細胞を含む、体のほとんどすべての細胞の表面に存在する。内在性タンパク質または細胞内に存在する病原体に通常は起源を有する抗原は、MHCクラスIタンパク質に負荷され、その後、こうした抗原は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に提示される。T細胞受容体は、MHCクラスI分子と複合化したペプチドを認識してそれに結合する能力を有する。細胞傷害性Tリンパ球はそれぞれ、MHC/ペプチド複合体に特異的に結合する能力を有する特有のT細胞受容体を発現する。
コンピューターアルゴリズムを使用すると、T細胞エピトープなどの潜在的なネオエピトープを予測することが可能であり、こうしたネオエピトープは、すなわち、ペプチド提示複合体の形態のクラスIまたはクラスIIのMHC分子が結合した後、この形態においてTリンパ球のT細胞受容体によって認識されるペプチド配列である。MHCに結合することになるペプチドの同定に有用なプログラムの例には、例えば、Lonza Epibase、SYFPEITHI(Rammensee et al.,Immunogenetics,50(1999),213−219)、及びHLA_BIND(Parker et al.,J.Immunol.,152(1994),163−175)が含まれる。
推定ネオエピトープが選択されると、インビトロ及び/またはインビトロのアッセイを使用してそれをさらに試験することができる。それぞれの患者からの単離物を用いて、Elispotアッセイなどの、研究室において実施される通常のインビトロアッセイを使用することで、アルゴリズムによる予測に基づいて選択されたネオエピトープのリストを洗練してよい。
本発明のmRNA癌ワクチンは、医薬組成物を含む組成物である。本発明は、mRNA癌ワクチンの選択方法、設計方法、調製方法、製造方法、製剤化方法、及び/または使用方法も包含する。本明細書に記載のmRNA癌ワクチンの選択、設計、及び/または利用を目的とするシステム、プロセス、機器、及びキットも提供される。
本発明のmRNAワクチンは、1つまたは複数の癌抗原を含み得る。いくつかの実施形態では、mRNAワクチンは、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上の抗原から構成される。他の実施形態では、mRNAワクチンは、1000以下、900以下、500以下、100以下、75以下、50以下、40以下、30以下、20以下、または100以下の癌抗原から構成される。さらに他の実施形態では、mRNAワクチンは、3〜100、5〜100、10〜100、15〜100、20〜100、25〜100、30〜100、35〜100、40〜100、45〜100、50〜100、55〜100、60〜100、65〜100、70〜100、75〜100、80〜100、90〜100、5〜50、10〜50、15〜50、20〜50、25〜50、30〜50、35〜50、40〜50、45〜50、100〜150、100〜200、100〜300、100〜400、100〜500、50〜500、50〜800、50〜1,000、または100〜1,000の癌抗原を有する。
いくつかの実施形態では、mRNA癌ワクチン及びワクチン接種方法は、特定の変異に基づくエピトープまたは抗原(ネオエピトープ)及び癌−生殖系列遺伝子が発現するもの(複数の患者に見られる腫瘍に共通する抗原)を含む。
本明細書で使用されるエピトープは、抗原決定基としても知られ、適切な状況では免疫系によって認識される抗原の一部分であり、具体的には、抗体、B細胞、またはT細胞によって認識される抗原の一部分である。エピトープには、B細胞エピトープ及びT細胞エピトープが含まれる。B細胞エピトープは、特定の抗体産生B細胞による認識に必要なペプチド配列である。B細胞エピトープは、抗体によって認識される抗原の特定領域を指す。エピトープに結合する抗体の一部分は、パラトープと呼ばれる。エピトープは、構造及びパラトープとの相互作用に基づく立体構造エピトープまたは直線状エピトープであり得る。直線状または連続的なエピトープは、タンパク質の特定領域の一次アミノ酸配列によって定義される。抗体と相互作用する配列は、連続的に互いに隣り合ってタンパク質に位置しており、エピトープは、通常、単一のペプチドによって模倣することができる。立体構造エピトープは、天然のタンパク質の立体構造によって定義されるエピトープである。こうしたエピトープは、連続的または非連続的であり得、すなわち、エピトープの構成要素は、タンパク質の異なる部分に位置し得、こうした異なる部分は、折り畳まれた天然のタンパク質構造において互いに近接化している。
T細胞エピトープは、APCに存在するタンパク質と会合し、特定のT細胞による認識に必要なペプチド配列である。T細胞エピトープは、細胞内でプロセシングを受けてからAPCの表面に提示され、APC表面で、MHCクラスII及びMHCクラスIを含むMHC分子に結合する。ペプチドエピトープは、エピトープとして適切な任意の長さであり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドエピトープは、9〜30のアミノ酸である。他の実施形態では、長さは、9〜22、9〜29、9〜28、9〜27、9〜26、9〜25、9〜24、9〜23、9〜21、9〜20、9〜19、9〜18、10〜22、10〜21、10〜20、11〜22、22〜21、11〜20、12〜22、12〜21、12〜20、13〜22、13〜21、13〜20、14〜19、15〜18、または16〜17のアミノ酸である。
いくつかの実施形態では、ペプチドエピトープは、少なくとも1つのMHCクラスIエピトープ、及び少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープを含む。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも10%は、MHCクラスIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも20%は、MHCクラスIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも30%は、MHCクラスIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも40%は、MHCクラスIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%は、MHCクラスIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも10%は、MHCクラスIIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも20%は、MHCクラスIIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも30%は、MHCクラスIIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも40%は、MHCクラスIIエピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%は、MHCクラスIIエピトープである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIエピトープとMHCクラスIIエピトープとの比率は、約10%:約90%、約20%:約80%、約30%:約70%、約40%:約60%、約50%:約50%、約60%:約40%、約70%:約30%、約80%:約20%、約90%:約10%のMHCクラス1エピトープ:MHCクラスIIエピトープから選択される比率である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIエピトープとMHCクラスIエピトープとの比率は、約10%:約90%、約20%:約80%、約30%:約70%、約40%:約60%、約50%:約50%、約60%:約40%、約70%:約30%、約80%:約20%、約90%:約10%のMHCクラスI1エピトープ:MHCクラスIエピトープから選択される比率である。いくつかの実施形態では、癌ワクチンのペプチドエピトープの少なくとも1つは、B細胞エピトープである。いくつかの実施形態では、癌ワクチンのT細胞エピトープは、8〜11のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、癌ワクチンのB細胞エピトープは、13〜17のアミノ酸を含む。
いくつかの態様では、本発明の癌ワクチンは、エピトープの間に単一のヌクレオチドスペーサーを挟んで配置されるか、またはエピトープの間にスペーサーを挟まずに互いに直接配置される複数のペプチドエピトープ抗原をコードするmRNAワクチンを含む。複数のエピトープ抗原には、MHCクラスIエピトープとMHCクラスIIエピトープとの混合物が含まれる。例えば、複数のペプチドエピトープ抗原は、
(X−G−X)1−10(G−Y−G−Y)1−10(G−X−G−X)0−10(G−Y−G−Y)0−10、(X−G)1−10(G−Y)1−10(G−X)0−10(G−Y)0−10、(X−G−X−G−X)1−10(G−Y−G−Y)1−10(X−G−X)0−10(G−Y−G−Y)0−10、(X−G−X)1−10(G−Y−G−Y−G−Y)1−10(X−G−X)0−10(G−Y−G−Y)0−10、(X−G−X−G−X−G−X)1−10(G−Y−G−Y)1−10(X−G−X)0−10(G−Y−G−Y)0−10、(X−G−X)1−10(G−Y−G−Y−G−Y−G−Y)1−10(X−G−X)0−10(G−Y−G−Y)0−10、(X)1−10(Y)1−10(X)0−10(Y)0−10、(Y)1−10(X)1−10(Y)0−10(X)0−10、(XX)1−10(Y)1−10(X)0−10(Y)0−10、(YY)1−10(XX)1−10(Y)0−10(X)0−10、(X)1−10(YY)1−10(X)0−10(Y)0−10、(XXX)1−10(YYY)1−10(XX)0−10(YY)0−10、(YYY)1−10(XXX)1−10(YY)0−10(XX)0−10、(XY)1−10(Y)1−10(X)1−10(Y)1−10、(YX)1−10(Y)1−10(X)1−10(Y)1−10、(YX)1−10(X)1−10(Y)1−10(Y)1−10、(Y−G−Y)1−10(G−X−G−X)1−10(G−Y−G−Y)0−10(G−X−G−X)0−10、(Y−G)1−10(G−X)1−10(G−Y)0−10(G−X)0−10、(Y−G−Y−G−Y)1−10(G−X−G−X)1−10(Y−G−Y)0−10(G−X−G−X)0−10、(Y−G−Y)1−10(G−X−G−X−G−X)1−10(Y−G−Y)0−10(G−X−G−X)0−10、(Y−G−Y−G−Y−G−Y)1−10(G−X−G−X)1−10(Y−G−Y)0−10(G−X−G−X)0−10、(Y−G−Y)1−10(G−X−G−X−G−X−G−X)1−10(Y−G−Y)0−10(G−X−G−X)0−10、(XY)1−10(YX)1−10(XY)0−10(YX)0−10、(YX)1−10(XY)1−10(Y)0−10(X)0−10、(YY)1−10(X)1−10(Y)0−10(X)0−10、(XY)1−10(XY)1−10(X)0−10(X)0−10、(Y)1−10(YX)1−10(X)0−10(Y)0−10、(XYX)1−10(YXX)1−10(YX)0−10(YY)0−10、または(YYX)1−10(XXY)1−10(YX)0−10(XY)0−10という構造を有するポリペプチドであり得、
Xは、10〜40のアミノ酸長のMHCクラスIエピトープであり、Yは、10〜40のアミノ酸長のMHCクラスIIエピトープであり、Gは、グリシンである。
いくつかの実施形態では、RNAワクチンは、例えば、非APCから偽APC(pseudo−APC)への変換によって抗原提示細胞(APC)の産生を促進するための薬剤と組み合わせることができる。抗原提示は、免疫応答の開始、増幅、及び持続時間における重要な段階である。このプロセスでは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)またはヒト白血球抗原(HLA)を介して抗原の断片がT細胞に提示されることで、抗原特異的な免疫応答が推進される。免疫予防及び免疫治療については、この応答の増進が効果の改善に重要である。本発明のRNAワクチンは、効率的な抗原提示を推進するために設計または増強してよい。APCによるプロセシング及び提示の増進方法の1つは、抗原提示細胞(APC)へのRNAワクチンの標的指向性を向上させることである。別の手法は、免疫賦活性の製剤及び/または成分によるAPC細胞の活性化を含むものである。
あるいは、非APCを再プログラム化してAPCになりつつある状態にする方法を本発明のRNAワクチンと共に使用してよい。重要なことに、mRNA製剤を取り込み、かつその治療作用の標的である細胞のほとんどがAPCではない。それ故に、こうした細胞をAPCに変換する方法を設計すれば、効果にとって有利なものとなるであろう。非APCからAPCへのシフトも促進しつつ、例えばmRNAワクチンなどのRNAワクチンを細胞に送達する方法及び手法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、APC再プログラム化分子をコードするmRNAは、RNAワクチンに含められるか、またはRNAワクチンと共に同時投与される。
本明細書で使用されるAPC再プログラム化分子は、非APC細胞からAPC様フェノタイプへの移行を促進する分子である。APC様フェノタイプは、MHCクラスIIプロセシングを可能にする特性である。したがって、APC様フェノタイプを有するAPC細胞は、1つまたは複数の外来性分子(APC再プログラム化分子)を有さない同一の細胞と比較してMHCクラスIIプロセシング能力が増進した、1つまたは複数の外来性分子を有する細胞である。いくつかの実施形態では、APC再プログラム化分子は、CIITA(MHCクラスII発現の中心制御因子)、CLIP、HLA−DO、HLA−DMなどのシャペロンタンパク質(MHCクラスIIへの抗原断片負荷のエンハンサー)、及び/またはCD40、CD80、CD86等のような共刺激分子(T細胞の抗原認識及びT細胞活性化のエンハンサー)である。
CIITAタンパク質は、クラスIIのプロモーター領域と会合するDNA結合タンパク質の保存されたセットと相互作用することによってMHCクラスII遺伝子の転写活性化を増進するトランス活性化因子である(Steimle et al.,1993,Cell 75:135−146)。CIITAの転写活性化機能は、アミノ末端の酸性ドメイン(アミノ酸26〜137)に位置するとされている。CIITAと相互作用するタンパク質は、CIITA相互作用タンパク質104(本明細書ではCIP104とも称される)と呼ばれ、核酸分子にコードされる。CITTAとCIP104との両方が、MHCクラスIIのプロモーターからの転写を増進することが示されており、したがって本発明のAPC再プログラム化分子として有用である。いくつかの実施形態では、APC再プログラム化分子は、全長のCIITA、CIP104、もしくは他の関連分子、またはその活性断片であり、こうした活性断片は、CIITAのアミノ酸26〜137、またはそれとの配列同一性が少なくとも80%であり、MHCクラスII遺伝子の転写活性化を増進する能力を維持するアミノ酸などである。
好ましい実施形態では、APC再プログラム化分子は、APC再プログラム化分子をコードするmRNAの形態で対象に送達される。したがって、本発明のRNAワクチンは、APC再プログラム化分子をコードするmRNAを含み得る。いくつかの実施形態では、mRNAは、モノシストロニックである。他の実施形態では、mRNAは、ポリシストロニックである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の抗原をコードするmRNAは、APC再プログラム化分子をコードするmRNAとは別の製剤に存在する。他の実施形態では、1つまたは複数の抗原をコードするmRNAは、APC再プログラム化分子をコードするmRNAと同一の製剤に存在する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の抗原をコードするmRNAは、APC再プログラム化分子をコードするmRNAと同一回数、対象に投与される。他の実施形態では、1つまたは複数の抗原をコードするmRNAは、APC再プログラム化分子をコードするmRNAとは異なる回数、対象に投与される。例えば、APC再プログラム化分子をコードするmRNAは、1つまたは複数の抗原をコードするmRNAの前に投与してよい。APC再プログラム化分子をコードするmRNAは、抗原をコードするmRNAの直前、少なくとも1時間前、少なくとも1日前、少なくとも1週間前、または少なくとも1ヶ月前に投与してよい。
あるいは、APC再プログラム化分子をコードするmRNAは、1つまたは複数の抗原をコードするmRNAの後に投与してよい。APC再プログラム化分子をコードするmRNAは、抗原をコードするmRNAの直後、少なくとも1時間後、少なくとも1日後、少なくとも1週間後、または少なくとも1ヶ月後に投与してよい。いくつかの実施形態では、抗原は、患者特異的な抗原などの癌抗原である。他の実施形態では、抗原は、感染性疾患の抗原である。
いくつかの実施形態では、mRNAワクチンは、リコール抗原を含み得、リコール抗原は、メモリー抗原と称されることもある。リコール抗原は、個体が以前に遭遇したことのある抗原であり、その個体には、メモリーリンパ球が既に存在する。いくつかの実施形態では、リコール抗原は、インフルエンザ抗原などの、個体が遭遇した可能性のある感染性疾患抗原であり得る。リコール抗原は、より強固な免疫応答の促進に役立つ。
mRNAワクチンに含めるために選択される抗原またはネオエピトープとしては、典型的には、高親和性を有する結合ペプチドを選択することになる。いくつかの態様では、抗原またはネオエピトープは、野生型ペプチドと比較して高親和性でHLAタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、抗原またはネオエピトープが有するIC50は、少なくとも5000nM未満、少なくとも500nM未満、少なくとも250nM未満、少なくとも200nM未満、少なくとも150nM未満、少なくとも100nM未満、少なくとも50nM、またはそれ未満である。典型的には、予測IC50が50nM未満であるペプチドは、中程度から高度の親和性を有する結合ペプチドであると一般に考えられ、HLA結合の生化学的アッセイを使用してその親和性を実験的に試験するために選択されることになる。
個別化癌ワクチンでは、対象特異的癌抗原は、患者の試料において同定してよい。例えば、試料は、組織試料または腫瘍試料であり得る。例えば、1つまたは複数の腫瘍細胞の試料において対象特異的癌抗原の存在を調べてよい。腫瘍試料は、対象特異的癌抗原を同定するために、全ゲノム、エクソーム、またはトランスクリプトームの解析を使用して調べてよい。
あるいは、対象特異的癌抗原は、対象のエキソソームにおいて同定してよい。ワクチン向けの抗原が、対象のエキソソームにおいて同定されると、そのような抗原は、対象のエキソソーム抗原の代表物であると言われる。
エキソソームは、細胞によって分泌される小さなマイクロベシクルであり、典型的には、およそ30〜100nmの直径を有する。エキソソームは、古典的には内向きの陥入から形成され、最後のエンドソーム膜がくびれて切り離される結果、脂質二重層を有する小ベシクルを多く含む多胞体(MVB)が形成され、こうした小ベシクルのそれぞれが、親細胞の細胞質の試料を含む。MVBが細胞膜と融合すると、こうしたエキソソームが細胞から放出され、放出されたエキソソームは、血液、尿、脳脊髄液、または他の体液へと送達される。エキソソームは、こうした生体液のいずれからでも、さらなる分析に向けて回収することができる。
エキソソーム内の核酸は、腫瘍抗原のバイオマーカーとしての役割を有する。対象特異的癌抗原を同定するためのエキソソーム分析の利点は、この方法によれば生検を実施する必要がなくなることである。このことは、癌抗原の同定及びワクチン接種を含む数ラウンドの治療を患者が受ける必要があるときに特に有益であり得る。
生体試料からのエキソソームの単離方法については、当該技術分野において多くのものが説明されてきた。例えば、下記の方法を使用することができる:分画遠心、低速遠心、アニオン交換、及び/またはゲル浸透クロマトグラフィー、スクロース密度勾配もしくはオルガネラ電気泳動、磁気活性化細胞選別(magnetic activated cell sorting)(MACS)、ナノ膜限外濾過遠心、パーコール(Percoll)を用いた密度勾配による単離、及びマイクロ流体デバイスの使用。方法の例は、例えば、米国特許公開第2014/0212871号に記載されている。
「生体試料」という用語は、DNA、RNA、及びタンパク質などの生体材料を含む試料を指す。いくつかの実施形態では、生体試料は、対象に由来する体液を適切に含み得る。体液は、対象の体の任意の位置、好ましくは末梢位置から単離される液体であり得、こうした液体には、限定はされないが、例えば、血液、血漿、血清、尿、痰、髄液、脳脊髄液、胸水、乳頭吸引液、リンパ液、気道、腸管、及び尿生殖器に由来する液体、涙液、唾液、母乳、リンパ系に由来する液体、精液、脳脊髄液、臓器内系液、腹水、腫瘍嚢胞液(tumor cyst fluid)、羊水、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの実施形態では、発現抗原の変化を同定するために癌の進行を監視することができる。したがって、いくつかの実施形態では、方法ではさらに、第2のセットの癌抗原を得るための、対象の試料に由来する少なくとも2つの癌抗原の同定と、対象に対する第2のセットの癌抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAワクチンの対象への投与とが、癌mRNAワクチンの投与から少なくとも1ヶ月後に実施される。いくつかの実施形態では、第2のセットの抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAワクチンは、第1のセットの癌抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAワクチンの2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、8ヶ月後、10ヶ月後、または1年後に対象に投与される。他の実施形態では、第2のセットの抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAワクチンは、第1のセットの癌抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAワクチンの1年半後、2年後、2年半後、3年後、3年半後、4年後、4年半後、または5年後に対象に投与される。
ネオ抗原としてのホットスポット変異
癌の集団解析では、偶発するであろうと予測されるより高い割合の患者にある特定の変異が生じる。こうした「反復」変異または「ホットスポット」変異は、腫瘍において「ドライバー」の役割を有すると示されたことが多く、腫瘍の開始、維持、または転移に重要な癌細胞機能に何らかの変化をもたらし、それ故に、腫瘍が進化するために選択されるものである。腫瘍の生物学及び治療におけるその重要性に加えて、反復変異からは精密医療の機会が得られ、こうした精密医療では、患者集団は特定の治療に応答する可能性が高い群へと分類される。こうした特定の治療には、限定はされないが、変異タンパク質自体を標的とするものが含まれる。
反復変異については、非同義(または「ミスセンス」)の単一ヌクレオチド変異体(SNV)に重点が置かれ、多大な努力及び研究がなされてきたが、同義(または「サイレント」)、スプライス部位、複数ヌクレオチド変異体、挿入、及び欠失などの、さまざまな複雑性の高い(非SNV)変異分類のものも高頻度で生じ得ることが集団解析によって明らかになってきた。
p53遺伝子(正式記号TP53)は、ヒトの癌において他のどの遺伝子よりも高い頻度で変異する。p53に生じる変異のほとんどで、そのゲノム位置は1人または少数の患者のみに特有であるため、こうした変異は、特定の患者集団向けに設計される治療ワクチンのための反復ネオ抗原として使用できないことが大規模コホート研究によって示された。驚くべきことに、しかしながら、p53遺伝子座の小サブセットは実に「ホットスポット」のパターンを示しており、そこでは、遺伝子のいくつかの位置が相対的に高い頻度で変異するのである。際だったことに、反復して変異するこうした領域の大部分が、エクソンとイントロンとの境界付近に存在し、mRNAのスプライシング機構によって認識される標準のヌクレオチド配列モチーフを破壊する。スプライシングモチーフが変異すると、局所的なアミノ酸配列には変化が生じない(すなわち、同義変異またはイントロン変異)と予測されるとしても、最終的なmRNA配列には変化が生じ得る。それ故に、こうした変異によって予測不可能な様式でmRNAのスプライシングに変化が生じ得、翻訳されるタンパク質が著しい機能的影響を受け得るにもかかわらず、こうした変異は、一般的なアノテーションツールによって「ノンコーディング」として注解されてしまい、さらに解析されることなく無視されることが多い。代替的にスプライシングを受けたアイソフォームにインフレームの配列変化が生じる(すなわち、PTCが生じない)のであれば、こうしたアイソフォームはNMDによる排除を免れることができ、速やかに発現し、プロセシングを受けてHLA系によって細胞表面に提示される。さらに、変異に由来する代替的なスプライシングは、通常、「潜在性」であって、すなわち、正常組織では発現しないものであり、それ故に、T細胞によって非自己のネオ抗原として認識され得る。
いくつかの態様では、本発明は、p53におけるある特定の反復体細胞癌変異(限定はされないが、ミスセンスSNV)から得られ、代替のスプライシングを引き起こすことが多いネオ抗原ペプチド配列を提供し、こうしたネオ抗原ペプチド配列は、治療的なワクチン接種のための標的としての使用を目的とする。いくつかの実施形態では、mRNAのスプライシング事象でネオ抗原ペプチド及び/またはHLA拘束性エピトープを生じさせる変異には、コドン位置T125に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープAVSPCISFVW(配列番号2)(HLA−B*57:01、HLA−B*58:01)、エピトープHPLASCQCFF(配列番号3)(HLA−B*35:01、HLA−B*53:01)、エピトープFVWNFGIPL(配列番号4)(HLA−A*02:01、HLA−A*02:06、HLA−B*35:01)を含むペプチド配列TAKSVTCTVSCPEGLASMRLQCLAVSPCISFVWNFGIPLHPLASCQCFFIVYPLNV(配列番号1)を有する保持型イントロンを誘導する変異が含まれる。
いくつかの実施形態では、mRNAのスプライシング事象でネオ抗原ペプチド及び/またはHLA拘束性エピトープを生じさせる変異には、コドン位置331に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープLQVLSLGTSY(配列番号6)(HLA−B*15:01)、エピトープFQSNTQNAVF(配列番号7)(HLA−B*15:01)を含むペプチド配列EYFTLQVLSLGTSYQVESFQSNTQNAVFFLTVLPAIGAFAIRGQ(配列番号5)を有する保持型イントロンを誘導する変異が含まれる。
いくつかの実施形態では、mRNAのスプライシング事象でネオ抗原ペプチド及び/またはHLA拘束性エピトープを生じさせる変異には、コドン位置126に隣接する標準3’スプライス部位における変異であって、エピトープCTMFCQLAK(配列番号9)(HLA−A*11:01)、エピトープKSVTCTMF(配列番号10)(HLA−B*58:01)を含む新規のスパニングペプチド配列AKSVTCTMFCQLAK(配列番号8)を生成する潜在性の代替エクソン3’スプライス部位を誘導する変異が含まれる。
いくつかの実施形態では、mRNAのスプライシング事象でネオ抗原ペプチド及び/またはHLA拘束性エピトープを生じさせる変異には、コドン位置224に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープVPYEPPEVW(配列番号12)(HLA−B*53:01、HLA−B*51:01)、エピトープLTVPPSTAW(配列番号13)(HLA−B*58:01、HLA−B*57:01)を含む新規のスパニングペプチド配列VPYEPPEVWLALTVPPSTAWAA(配列番号11)を生成する潜在性の代替イントロン5’スプライス部位を誘導する変異が含まれる。
前述の配列では、転写コドン位置は、Ensemblのv83のヒトゲノムアノテーションに由来する標準の全長p53転写物であるENST00000269305(配列番号14)を参照したものである。
1つの実施形態では、本発明は、ネオ抗原ペプチド1〜4をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むコンカテマーポリエピトープ構築物または個々のエピトープ構築物のセットを含むmRNAワクチンを提供する。
1つの実施形態では、本発明は、患者の腫瘍が上記の変異のいずれを含むかということに基づく、ペプチド1〜4を含むか、またはコードするワクチンの選択投与を提供する。
1つの実施形態では、本発明は、1)患者の腫瘍が上記の変異のいずれを含むか、及び2)患者の正常なHLA型が、得られるネオ抗原に結合すると予測される対応HLA対立遺伝子を含むか、という二重の判断基準に基づく、ワクチンの選択投与を提供する。
本明細書に記載のmRNAワクチンは、現在のワクチンと比較していくつかの点で優れていることが発見された。第1に、脂質ナノ粒子(LNP)による送達は、文献に記載のリポソームまたはプロタミンに基づく手法を含む他の製剤より優れており、追加のアジュバントが必要になることはない。LNPを使用すると、化学的に修飾または非修飾のmRNAワクチンを効率的に送達することが可能になる。修飾及び非修飾のLNP製剤化mRNAワクチンは両方共、通常のワクチンより顕著に優れている。いくつかの実施形態では、本発明のmRNAワクチンは、通常のワクチンと比較して、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、または少なくとも1,000倍優れている。
mRNAワクチン及び自己複製RNAワクチンを含む機能性RNAワクチンを生成するための試みがいくつもなされてきたが、こうしたRNAワクチンの治療効果は、依然として完全には確立されていない。非常に驚くべきことに、抗原産生の増進及び中和能力を有する機能性抗体の産生を含む、顕著に増進しており、多くの点で相乗的な免疫応答を引き起こす、インビボでmRNAワクチンを送達するための製剤クラスを、本発明の態様に従って発明者らは発見した。こうした結果は、脂質に基づく他のクラスの製剤において使用されるmRNA用量と比較して顕著に低い用量のmRNAが投与されるときでさえ達成することができる。本発明の製剤は、予防剤及び治療剤としての機能性mRNAワクチンの効果を確立するために十分な、顕著な免疫応答をインビボで予想外に引き起こすことが示された。さらに、自己複製RNAワクチンでは、細胞に十分なRNAを送達するためにウイルスの複製経路を利用することで免疫応答が生成する。本発明の製剤では、ウイルス複製を必要とすることなく、強力な免疫応答の誘発に十分なタンパク質が産生する。したがって、本発明のmRNAは、自己複製RNAではなく、ウイルス複製に必要な要素を含まない。
いくつかの態様では、本発明は、化学的に修飾及び非修飾のmRNAワクチンを含むmRNAワクチンの有効性を脂質ナノ粒子(LNP)製剤が顕著に増進するという驚くべき知見を含む。LNPにおいて製剤化されたmRNAワクチンの効果を、異なる腫瘍抗原をいくつか使用してインビボで調べた。免疫応答の増進誘発に加えて、本発明の製剤は、他の試験ワクチンと比較して少ない用量の抗原で、より迅速に免疫応答を生成する。さらに、異なる担体において製剤化されたワクチンと比較して、本発明のmRNA−LNP製剤は、量的かつ質的に優れた免疫応答を生成する。さらに、本発明のmRNA−LNP製剤は、他のワクチンと比較してmRNAの用量が少ないときでさえ、他のワクチンより優れている。
本明細書に記載の試験において使用したLNPは、さまざまな動物モデルならびにヒトにおけるsiRNAの送達に以前に使用されたものである。LNP製剤によるsiRNAの送達と関連して得られた知見を考慮すると、LNPがワクチンにおいて有用であるという事実は非常に驚くべきものである。LNPにおいて製剤化されたsiRNAの治療的な送達では、一過性のIgM応答と関連する望ましくない炎症応答が生じる結果として、典型的には、抗原産生が減少し、免疫応答が損なわれることが観測されている。siRNAで観測された知見とは対照的に、本発明のLNP−mRNA製剤では、一過性のIgM応答ではなく、予防方法及び治療方法に十分となるIgGレベルの増進が生じることが本明細書に示されている。
核酸/ポリヌクレオチド
本明細書で提供される癌ワクチンは、少なくとも1つの癌抗原ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つ(1つまたは複数)のリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含む。「核酸」という用語は、その最も広い意味では、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/または物質を含む。こうしたポリマーは、ポリヌクレオチドと称される。
核酸(ポリヌクレオチドとも称される)は、例えば、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(β−D−リボ配置を有するLNA、α−L−リボ配置を有するα−LNA(LNAのジアステレオマー)、2’−アミノ官能化された2’−アミノ−LNA、及び2’−アミノ官能化された2’−アミノ−α−LNAを含むLNA)、エチレン核酸(ENA)、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、またはそのキメラもしくは組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、メッセンジャーRNA(mRNA)として機能する。「メッセンジャーRNA」(mRNA)は、(少なくとも1つの)ポリペプチド(天然起源のアミノ酸ポリマー、非天然起源のアミノ酸ポリマー、または修飾されたアミノ酸ポリマー)をコードし、翻訳されることで、コードされるポリペプチドをインビトロ、インビボ、インサイチュ、またはエクスビボで生成することができる任意のポリヌクレオチドを指す。
mRNA分子の基本構成要素には、典型的には、少なくとも1つのコード領域、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTR、5’キャップ、及びポリA尾部が含まれる。本開示のポリヌクレオチドは、mRNAとして機能し得るが、核酸に基づく治療剤を使用してポリペプチドを効率的に発現させるという現存する問題の克服に役立つ機能的特徴及び/または構造設計特徴をそれが有している点において野生型mRNAとは区別することができる。
いくつかの実施形態では、癌ワクチンのRNAポリヌクレオチドは、2〜10、2〜9、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、2〜4、2〜3、3〜10、3〜9、3〜8、3〜7、3〜6、3〜5、3〜4、4〜10、4〜9、4〜8、4〜7、4〜6、4〜5、5〜10、5〜9、5〜8、5〜7、5〜6、6〜10、6〜9、6〜8、6〜7、7〜10、7〜9、7〜8、8〜10、8〜9、または9〜10の抗原ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、癌ワクチンのRNAポリヌクレオチドは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の抗原ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、癌ワクチンのRNAポリヌクレオチドは、少なくとも100または少なくとも200の抗原ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、癌ワクチンのRNAポリヌクレオチドは、1〜10、5〜15、10〜20、15〜25、20〜30、25〜35、30〜40、35〜45、40〜50、1〜50、1〜100、2〜50、または2〜100の抗原ポリペプチドをコードする。
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、コドンが最適化される。コドンの最適化方法は、当該技術分野において知られており、本明細書で提供されるように使用してよい。いくつかの実施形態では、適切な折り畳みを維持するための、標的のコドン頻度と宿主生物のコドン頻度との整合、mRNAの安定性の向上もしくは二次構造の低減のためのGC含量の偏向化、遺伝子の構築もしくは発現を損ない得るタンデムリピートコドン及び塩基配列の最小化、転写制御領域及び翻訳制御領域のカスタマイズ、タンパク質輸送配列の挿入もしくは除去、コードされるタンパク質における翻訳後修飾部位(例えば、グリコシル化部位)の除去/付加、タンパク質ドメインの付加、除去、もしくはシャッフル、制限酵素部位の挿入もしくは除去、リボソーム結合部位及びmRNA分解部位の修飾、タンパク質のさまざまなドメインの適切な折り畳みを可能にするための翻訳速度の調節、またはポリヌクレオチド内の問題の二次構造の低減もしくは除外、を目的としてコドンの最適化を使用してよい。コドンの最適化するツール、アルゴリズム、及びサービスは、当該技術分野において知られており、例には限定はされないが、GeneArt(Life Technologies)から提供されるサービス、DNA2.0(Menlo Park CA)、及び/または独自の方法が含まれる。いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレーム(ORF)配列は、最適化アルゴリズムを使用して最適化される。
いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然起源または野生型の配列(例えば、目的とするポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性のタンパク質またはポリペプチド)をコードする天然起源または野生型のmRNA配列)と95%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然起源または野生型の配列(例えば、目的とするポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性のタンパク質またはポリペプチド)をコードする天然起源または野生型のmRNA配列)と90%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然起源または野生型の配列(例えば、目的とするポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性のタンパク質またはポリペプチド)をコードする天然起源または野生型のmRNA配列)と85%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然起源または野生型の配列(例えば、目的とするポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性のタンパク質またはポリペプチド)をコードする天然起源または野生型のmRNA配列)と80%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然起源または野生型の配列(例えば、目的とするポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性のタンパク質またはポリペプチド)をコードする天然起源または野生型のmRNA配列)と75%未満の配列同一性を共有する。
いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然起源または野生型の配列(例えば、目的とするポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性のタンパク質またはポリペプチド)をコードする天然起源または野生型のmRNA配列)と65%〜85%(例えば、約67%〜約85%または約67%〜約80%)の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然起源または野生型の配列(例えば、目的とするポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性のタンパク質またはポリペプチド)をコードする天然起源または野生型のmRNA配列)と65%〜75または約80%の配列同一性を共有する。
いくつかの実施形態では、コドン最適化RNAは、例えば、G/Cのレベルが増強されたものであり得る。核酸分子のG/C含量は、RNAの安定性に影響を与え得る。グアニン(G)残基及び/またはシトシン(C)残基の量が増加したRNAは、アデニン(A)ヌクレオチド及びチミン(T)ヌクレオチドまたはウラシル(U)ヌクレオチドを大量に含む核酸と比較して機能的により安定であり得る。WO02/098443では、翻訳領域の配列改変によって安定化したmRNAを含む医薬組成物が開示されている。遺伝コードは縮重しているため、得られるアミノ酸を変えることなくRNAの安定性向上を促進するコドンで現存コドンを置換することによって改変は機能する。この手法は、RNAのコード領域に限ったものではない。
抗原/抗原ポリペプチド
いくつかの実施形態では、癌抗原ポリペプチドは、25のアミノ酸より長く、かつ50のアミノ酸より短い。したがって、ポリペプチドには、遺伝子産物、天然起源のポリペプチド、合成ポリペプチド、前述のもののホモログ、オルソログ、パラログ、断片及び他の同等形態、変異体、ならびに類似体が含まれる。ポリペプチドは、単一分子であり得るか、または二量体、三量体、もしくは四量体などの複数分子の複合体であり得る。ポリペプチドには、一本鎖のポリペプチド、または抗体もしくはインスリンなどの複数鎖のポリペプチドも含まれ得、ポリペプチドは、会合し得るか、または連結され得る。最も一般的には、複数鎖のポリペプチドにはジスルフィド結合が見られる。ポリペプチドという用語は、少なくとも1つのアミノ酸残基が、対応する天然起源のアミノ酸の人工的な化学類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用され得る。
「ポリペプチド変異体」という用語は、天然配列または参照配列とはそのアミノ酸配列が異なる分子を指す。アミノ酸配列変異体は、天然配列または参照配列と比較して、アミノ酸配列内のある特定の位置に置換、欠失、及び/または挿入を有し得る。通常、変異体は、天然配列または参照配列に対して少なくとも50%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、変異体は、天然配列または参照配列と少なくとも80%または少なくとも90%の同一性を共有する。
いくつかの実施形態では、「変異体模倣体」が提供される。本明細書で使用される「変異体模倣体」という用語は、活性化配列を模倣すると想定される少なくとも1つのアミノ酸を含むものである。例えば、グルタメートは、ホスホロ−スレオニン及び/またはホスホロ−セリンの模倣体として働き得る。あるいは、変異体模倣体は、活性を失うか、またはその模倣体を含む不活性化産物となり得るものであり、例えば、フェニルアラニンは、チロシンの不活性化置換として働き得、またはアラニンは、セリンの不活性化置換として働き得る。
「オルソログ」は、種分化によって共通の先祖遺伝子から進化した異なる種の遺伝子を指す。通常、オルソログは、進化の過程において同一の機能を保持する。オルソログの同定は、シークエンシングが新たに実施されたゲノムにおいて信頼できる遺伝子機能予測を実施するために極めて重要である。
「類似体」は、1つまたは複数のアミノ酸の変更によって異なるポリペプチド変異体を含むことが意図され、こうしたアミノ酸の変更は、例えば、親ポリペプチドまたは出発ポリペプチドの特性の1つまたは複数を依然として維持する、アミノ酸残基の置換、付加、または欠失である。
本開示は、変異体及び誘導体を含むポリヌクレオチドまたはポリペプチドに基づくいくつかの型の組成物を提供する。こうしたものには、例えば、置換、挿入、欠失、及び共有結合を有する変異体及び誘導体が含まれる。「誘導体」という用語は、「変異体」という用語と同義的に使用されるが、一般に、参照分子または出発分子と比較して任意の様式で修飾及び/または変更された分子を指す。
したがって、参照配列、具体的には、本明細書に開示のポリペプチド配列に関して置換、挿入、及び/または付加、欠失、ならびに共有結合修飾を含むペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本開示の範囲内に含まれる。例えば、配列タグまたは1つもしくは複数のリジンなどのアミノ酸を(例えば、N末端またはC末端で)ペプチド配列に付加することができる。配列タグは、ペプチドの検出、精製、または位置決めに使用することができる。リジンは、ペプチドの溶解性の向上またはビオチン標識の実現に使用することができる。あるいは、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ末端領域及びアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基を任意選択で欠失させることで切断型配列としてよい。例えば、可溶性のより長い配列の一部としての配列の発現または固形担体に連結されるより長い配列の一部としての配列の発現などの、配列の用途に応じて、ある特定のアミノ酸(例えば、C末端残基またはN末端残基)を代替的に欠失させてよい。
ポリペプチドを指すとき、「置換変異体」は、天然配列または出発配列におけるアミノ酸残基の少なくとも1つが除去され、それが存在した位置と同一の位置に異なるアミノ酸が挿入されたものである。置換は、単一であり得、この場合、分子における1つのアミノ酸のみが置換されており、または置換は、複数であり得、この場合、2つ以上のアミノ酸が同一分子において置換されている。
本明細書で使用される「保存的アミノ酸置換」という用語は、配列に通常存在するアミノ酸と、同様のサイズ、電荷、または極性を有する異なるアミノ酸と、の置換を指す。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、及びロイシンなどの非極性(疎水性)残基と、別の非極性残基との置換が含まれる。同様に、保存的置換の例には、アルギニンとリジンとの置換、グルタミンとアスパラギンとの置換、及びグリシンとセリンとの置換などの、ある極性(親水性)残基と別のものとの置換が含まれる。さらに、リジン、アルギニン、もしくはヒスチジンなどの塩基性残基と別のものとの置換、またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの、ある酸性残基と別の酸性残基との置換が保存的置換の追加の例である。非保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸残基と、システイン、グルタミン、グルタミン酸、もしくはリジンなどの極性(親水性)残基と、の置換、及び/または極性残基と非極性残基との置換が含まれる。
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指すとき、「特徴」は、それぞれ異なるアミノ酸配列に基づく分子構成要素または異なるヌクレオチドに基づく分子構成要素として定義される。ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの特徴には、表面出現部、局所的な立体構造形状、折り畳み、ループ、ハーフループ、ドメイン、ハーフドメイン、部位、末端、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
ポリペプチドを指すとき、本明細書で使用される「ドメイン」という用語は、1つまたは複数の同定可能な構造的または機能的な特徴または特性(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用のための部位として働く結合能力)を有するポリペプチドのモチーフを指す。
ポリペプチドを指すとき、アミノ酸に基づく実施形態に関して本明細書で使用される「部位」という用語は、「アミノ酸残基」及び「アミノ酸側鎖」と同義的に使用される。ポリヌクレオチドを指すとき、ヌクレオチドに基づく実施形態に関して本明細書で使用される「部位」という用語は、「ヌクレオチド」と同義的に使用される。部位は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに基づく分子内で修飾、操作、改変、誘導体化、または変更され得るペプチド内またはポリペプチド内またはポリヌクレオチド内の位置に相当する。
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指すとき、本明細書で使用される「termini(末端)」または「terminus(末端)」という用語は、それぞれポリペプチドまたはポリヌクレオチドの末端を指す。そのような末端は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの最初の部位または最後の部位のみに限定されず、末端領域のアミノ酸またはヌクレオチドを追加で含み得る。ポリペプチドに基づく分子は、N末端(遊離のアミノ基(NH2)を有するアミノ酸によって終結する)とC末端(遊離のカルボキシル基(COOH)を有するアミノ酸によって終結する)との両方を有するものとして特徴付けることができる。場合によっては、タンパク質は、ジスルフィド結合または非共有結合性の力によって共にまとまった複数のポリペプチド鎖から構成される(多量体、オリゴマー)。こうしたタンパク質は、複数のN末端及びC末端を有する。あるいは、ポリペプチドの末端は、修飾され得る結果として、場合によっては、有機複合体などの非ポリペプチドに基づく部分から始まるか、またはそれで終結し得る。
当業者によって認識されるタンパク質断片、機能性タンパク質ドメイン、及び相同タンパク質もまた、目的とするポリペプチドの範囲に含まれると考えられる。例えば、アミノ酸長が10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、または100を超える参照タンパク質の任意のタンパク質断片(参照ポリペプチド配列と比較してアミノ酸残基が少なくとも1つ少ない分短いということ以外は同一であるポリペプチド配列を意味する)が本明細書で提供される。別の例では、本明細書に記載の配列のいずれかに対する同一性が40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%である20、30、40、50、または100のアミノ酸のストレッチを含む任意のタンパク質を本開示に従って利用することができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で提供または参照される配列のいずれかに示される変異を2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、または11以上含む。別の例では、本明細書に記載の配列のいずれかに対する同一性が80%超、90%超、95%超、または100%である20、30、40、50、または100のアミノ酸のストレッチを含む任意のタンパク質であって、本明細書に記載の配列のいずれかに対する同一性が80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、または60%未満である5、10、15、20、25、または30のアミノ酸のストレッチを有するタンパク質を本開示に従って利用することができる。
本開示のポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子は、例えば、当該技術分野において説明される分子(例えば、操作もしくは設計された分子または野生型分子)などの参照分子(例えば、参照ポリペプチドまたは参照ポリヌクレオチド)とある程度の配列類似性または配列同一性を共有し得る。当該技術分野において知られる「同一性」という用語は、2つ以上のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列間の関連性を指し、こうした関連性は、配列比較によって決定される。当該技術分野では、同一性は、それらの間の配列関連度も意味し、こうした関連度は、2つ以上のアミノ酸残基または核酸残基のストリング間の一致数によって決定される。同一性は、特定の数学モデルまたはコンピュータープログラム(例えば、「アルゴリズム」)によって実行されるアライメントでギャップ(存在する場合)を少なくした2つの配列間の同一一致パーセントの尺度である。関連ペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算することができる。ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列に適用される「同一性%」は、最大同一性パーセントを達成するために配列のアライメント及び必要であればギャップの導入が実施された後に、候補アミノ酸配列または候補核酸配列における残基(アミノ酸残基または核酸残基)が、第2の配列のアミノ酸配列または核酸配列における残基と同一である割合として定義される。アライメントを目的とする方法及びコンピュータープログラムは、当該技術分野においてよく知られている。同一性は、同一性パーセントの計算に依存するが、計算で導入されるギャップ及びペナルティに起因して値が変わり得ると理解される。一般に、特定のリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は、特定の参照ポリヌクレオチドまたは参照ポリペプチドに対して、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、こうした配列同一性は、本明細書に記載及び当業者に知られる配列アライメントのプログラム及びパラメーターによって決定される。そのようなアライメントツールには、BLASTスイートのもの(Stephen F.Altschul,et al(1997),“Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs”,Nucleic Acids Res.25:3389−3402)が含まれる。別の一般的な局所アライメント技術は、Smith−Watermanアルゴリズム(Smith,T.F.& Waterman,M.S.(1981)“Identification of common molecular subsequences.”J.Mol.Biol.147:195−197)に基づくものである。動的プログラミングに基づく一般的なグローバルアライメント技術は、Needleman−Wunschアルゴリズム(Needleman,S.B.& Wunsch,C.D.(1970)“A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.”J.Mol.Biol.48:443−453.)である。Needleman−Wunschアルゴリズムを含む他の最適グローバルアライメント方法と比較してヌクレオチド配列及びタンパク質配列のグローバルアライメントを高速で実施するとされる高速最適グローバル配列アライメントアルゴリズム(FOGSAA)がごく最近開発された。ツールは、本明細書で他にも記載され、特に、下記の「同一性」の定義に記載される。
本明細書に記載の「相同性」という用語は、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)及び/またはポリペプチド分子などのポリマー分子の間の全体的な関連性を指す。残基の一致を見出すアライメントによって決定される類似性または同一性を許容限界レベルで共有するポリマー分子(例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)及び/またはポリペプチド分子)は、相同的であると呼ばれる。相同性は、分子間の関連性を説明する定性的な用語であり、定量的な類似性または同一性に基づくことができる。類似性または同一性は、2つの比較配列の間の配列一致度を定義する定量的な用語である。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一または類似しているのであれば、互いに「相同的」であると考えられる。「相同的」という用語は、必然的に、少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列)の間の比較を指す。2つのポリヌクレオチド配列がコードするポリペプチドが、少なくとも20のアミノ酸を含む少なくとも1つのストレッチについて、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または99%でさえも同一であるならば、2つのポリヌクレオチド配列は相同的であると考えられる。いくつかの実施形態では、相同的ポリヌクレオチド配列は、一意的に特定されたアミノ酸を少なくとも4〜5つ含むストレッチをコードする能力によって特徴付けられる。ヌクレオチド長が60未満のポリヌクレオチド配列については、相同性は、一意的に特定されたアミノ酸を少なくとも4〜5つ含むストレッチをコードする能力によって決定される。少なくとも20のアミノ酸を含む少なくとも1つのストレッチについて、タンパク質が少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一であるならば、2つのタンパク質配列は、相同的であると考えられる。
相同性は、比較される配列が共通の起源からの進化において分岐したことを暗示する。「ホモログ」という用語は、共通の祖先配列に由来する系統によって第2のアミノ酸配列または核酸配列と関連する第1のアミノ酸配列または核酸配列(例えば、遺伝子(DNAもしくはRNA)配列またはタンパク質配列)を指す。「ホモログ」という用語は、種分化の事象によって別れた遺伝子及び/またはタンパク質の間の関連性、または遺伝子重複の事象によって別れた遺伝子及び/またはタンパク質の間の関連性にも適用され得る。「オルソログ」は、種分化によって共通の先祖遺伝子(またはタンパク質)から進化した異なる種の遺伝子(またはタンパク質)である。典型的には、オルソログは、進化の過程において同一の機能を保持する。「パラログ」は、ゲノム内での重複によって関連する遺伝子(またはタンパク質)である。オルソログは、進化の過程において同一の機能を保持する一方で、パラログは、例え起源のものとの関連性が存在するとしても、新しい機能を発達させる。
「同一性」という用語は、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)及び/またはポリペプチド分子などのポリマー分子の間の全体的な関連性を指す。2つのポリ核酸配列の同一性パーセントの計算は、例えば、比較の最適化を目的として2つの配列のアライメントをとることによって実施することができる(例えば、アライメントが最適化するように第1の核酸配列及び第2の核酸配列の1つまたは両方にギャップを導入することができ、比較を目的として同一でない配列は無視することができる)。ある特定の実施形態では、比較を目的としてアライメントされる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。続いて、対応するヌクレオチド位置でヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が、第2の配列において対応する位置のものと同一のヌクレオチドによって占有されているとき、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列のアライメントが最適化するように導入する必要があるギャップの数及びそれぞれのギャップの長さを考慮すると、配列が共有する同一位置の数の関数となる。2つの配列間の配列比較及び同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。例えば、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991に記載されるものなどの方法を使用して2つの核酸配列の間の同一性パーセントを決定することができ、これらの文献はそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。例えば、2つの核酸配列の間の同一性パーセントは、Meyers and Miller(CABIOS,1989,4:11−17)のアルゴリズムを使用して決定することができ、このアルゴリズムは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれており、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティが使用される。あるいは、2つの核酸配列の間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用し、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して決定することができる。配列間の同一性パーセントを決定するために一般に用いられる方法には、限定はされないが、Carillo,H.,and Lipman,D.,SIAM J Applied Math.,48:1073(1988)に開示されるものが含まれ、当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。同一性の決定技術は、公的に利用可能なコンピュータープログラムに組み込まれている。2つの配列間の相同性を決定するためのコンピューターソフトウェアの例には、限定はされないが、GCGプログラムパッケージ、Devereux,J.,et al.,Nucleic Acids Research,12(1),387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA Altschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.,215,403(1990))が含まれる。
化学修飾
いくつかの実施形態では、本開示のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、少なくとも1つの呼吸器多核体ウイルス(RSV)抗原ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含み、上記RNAは、少なくとも1つの化学修飾を含む。
「化学修飾」及び「化学的に修飾された」という用語は、アデノシン(A)、グアノシン(G)、ウリジン(U)、チミジン(T)、またはシチジン(C)を含むリボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドに関する、その位置、パターン、パーセント、または集団の少なくとも1つにおける修飾を指す。一般に、こうした用語は、mRNAの5’末端に天然に生じるキャップ部分におけるリボヌクレオチド修飾は指さない
ポリヌクレオチドの修飾には、限定はされないが、本明細書に記載のものが含まれ、明確に限定されるわけではないが、化学修飾を含む修飾が含まれる。ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、天然起源、非天然起源の修飾を含み得るか、またはポリヌクレオチドは、天然起源の修飾と非天然起源の修飾とを組み合わせて含み得る。ポリヌクレオチドは、例えば、糖、核酸塩基、またはヌクレオシド間結合の任意の有用な修飾(例えば、連結ホスフェート、ホスホジエステル結合、またはホスホジエステル骨格に対するもの)を含み得る。
ポリペプチドに関する「修飾」という用語は、標準セットの20のアミノ酸に対する修飾を指す。本明細書で提供されるポリペプチドは、それがアミノ酸の置換、挿入、または置換と挿入との組み合わせを含むこともまた、「修飾された」と考えられる。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、さまざまな(複数の)異なる修飾を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの特定領域は、1つ、2つ、またはそれを超える数の(任意選択で異なる)ヌクレオシド修飾またはヌクレオチド修飾を含む。いくつかの実施形態では、細胞または生物に導入される修飾RNAポリヌクレオチド(例えば、修飾mRNAポリヌクレオチド)は、非修飾ポリヌクレオチドと比較して、それぞれ細胞または生物における分解の低減を示す。いくつかの実施形態では、細胞または生物に導入される修飾RNAポリヌクレオチド(例えば、修飾mRNAポリヌクレオチド)は、それぞれ細胞または生物における免疫原性の低減(例えば、自然応答の低減)を示し得る。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、所望の機能または特性を達成するためにポリヌクレオチドの合成中または合成後に導入される非天然の修飾ヌクレオチドを含む。修飾は、ヌクレオチド間結合、プリン塩基もしくはピリミジン塩基、または糖に存在し得る。修飾は、鎖の末端または鎖の他の任意の場所に化学合成またはポリメラーゼ酵素を用いて導入してよい。ポリヌクレオチドの領域はいずれも、化学的に修飾してよい。
本開示は、修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドのポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)を提供する。「ヌクレオシド」は、有機塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)またはその誘導体(本明細書では「核酸塩基」とも称される)と組み合わせて糖分子(例えば、ペントースもしくはリボース)またはその誘導体を含む化合物を指す。「ヌクレオチド」は、ホスフェート基を含むヌクレオシドを指す。修飾ヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾または非天然のヌクレオシドを含めるための、例えば、化学的、酵素的、または組換え的なものなどの任意の有用な方法によって合成してよい。ポリヌクレオチドは、ヌクレオシドが連結された領域を1つまたは複数含み得る。そのような領域は、さまざまな骨格結合を有し得る。結合は、標準的なホスホジエステル結合であり得、この場合、ポリヌクレオチドはヌクレオチドの領域を含むと想定される。
修飾ヌクレオチド塩基対形成は、標準的なアデノシン−チミン、アデノシン−ウラシル、またはグアノシン−シトシンという塩基対だけでなく、非標準塩基または修飾塩基を含むヌクレオチド及び/または修飾ヌクレオチドの間に形成される塩基対も包含し、水素結合ドナーと水素結合アクセプターとの配置によって、非標準塩基と標準塩基との間での水素結合、または例えば少なくとも1つの化学修飾を有するポリヌクレオチドなどにおける2つの相補的非標準塩基構造の間での水素結合が可能になる。非標準塩基のそのような対形成の例の1つは、修飾ヌクレオチドであるイノシンと、アデニン、シトシン、またはウラシルとの間の塩基対形成である。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせを本開示のポリヌクレオチドに組み込んでよい。
本開示の組成物、ワクチン、方法、及び合成プロセスにおいて有用な、限定はされないが、化学修飾を含む、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)の修飾には、限定はされないが、下記のものが含まれる:2−メチルチオ−N6−(シス−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2−メチルチオ−N6−メチルアデノシン、2−メチルチオ−N6−スレオニルカルバモイルアデノシン、N6−グリシニルカルバモイルアデノシン、N6−イソペンテニルアデノシン、N6−メチルアデノシン、N6−スレオニルカルバモイルアデノシン、1,2’−O−ジメチルアデノシン、1−メチルアデノシン、2’−O−メチルアデノシン、2’−O−リボシルアデノシン(ホスフェート)、2−メチルアデノシン、2−メチルチオ−N6イソペンテニルアデノシン、2−メチルチオ−N6−ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン、2’−O−メチルアデノシン、2’−O−リボシルアデノシン(ホスフェート)、イソペンテニルアデノシン、N6−(シス−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6,2’−O−ジメチルアデノシン、N6,2’−O−ジメチルアデノシン、N6,N6,2’−O−トリメチルアデノシン、N6,N6−ジメチルアデノシン、N6−アセチルアデノシン、N6−ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン、N6−メチル−N6−スレオニルカルバモイルアデノシン、2−メチルアデノシン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、7−デアザ−アデノシン、N1−メチル−アデノシン、N6,N6(ジメチル)アデニン、N6−シス−ヒドロキシ−イソペンテニル−アデノシン、α−チオ−アデノシン、2(アミノ)アデニン、2(アミノプロピル)アデニン、2(メチルチオ)N6(イソペンテニル)アデニン、2−(アルキル)アデニン、2−(アミノアルキル)アデニン、2−(アミノプロピル)アデニン、2−(ハロ)アデニン、2−(ハロ)アデニン、2−(プロピル)アデニン、2’−アミノ−2’−デオキシ−ATP、2’−アジド−2’−デオキシ−ATP、2’−デオキシ−2’−a−アミノアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−a−アジドアデノシンTP、6(アルキル)アデニン、6(メチル)アデニン、6−(アルキル)アデニン、6−(メチル)アデニン、7(デアザ)アデニン、8(アルケニル)アデニン、8(アルキニル)アデニン、8(アミノ)アデニン、8(チオアルキル)アデニン、8−(アルケニル)アデニン、8−(アルキル)アデニン、8−(アルキニル)アデニン、8−(アミノ)アデニン、8−(ハロ)アデニン、8−(ヒドロキシル)アデニン、8−(チオアルキル)アデニン、8−(チオール)アデニン、8−アジド−アデノシン、アザアデニン、デアザアデニン、N6(メチル)アデニン、N6−(イソペンチル)アデニン、7−デアザ−8−アザ−アデノシン、7−メチルアデニン、1−デアザアデノシンTP、2’フルオロ−N6−Bz−デオキシアデノシンTP、2’−OMe−2−アミノ−ATP、2’O−メチル−N6−Bz−デオキシアデノシンTP、2’−a−エチニルアデノシンTP、2−アミノアデニン、2−アミノアデノシンTP、2−アミノ−ATP、2’−a−トリフルオロメチルアデノシンTP、2−アジドアデノシンTP、2’−b−エチニルアデノシンTP、2−ブロモアデノシンTP、2’−b−トリフルオロメチルアデノシンTP、2−クロロアデノシンTP、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−a−メルカプトアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−a−チオメトキシアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−アミノアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−アジドアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−ブロモアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−クロロアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−フルオロアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−ヨードアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−メルカプトアデノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−チオメトキシアデノシンTP、2−フルオロアデノシンTP、2−ヨードアデノシンTP、2−メルカプトアデノシンTP、2−メトキシ−アデニン、2−メチルチオ−アデニン、2−トリフルオロメチルアデノシンTP、3−デアザ−3−ブロモアデノシンTP、3−デアザ−3−クロロアデノシンTP、3−デアザ−3−フルオロアデノシンTP、3−デアザ−3−ヨードアデノシンTP、3−デアザアデノシンTP、4’−アジドアデノシンTP、4’−炭素環式アデノシンTP、4’−エチニルアデノシンTP、5’−ホモ−アデノシンTP、8−アザ−ATP、8−ブロモ−アデノシンTP、8−トリフルオロメチルアデノシンTP、9−デアザアデノシンTP、2−アミノプリン、7−デアザ−2,6−ジアミノプリン、7−デアザ−8−アザ−2,6−ジアミノプリン、7−デアザ−8−アザ−2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、7−デアザ−8−アザ−アデニン,7−デアザ−2−アミノプリン、2−チオシチジン、3−メチルシチジン、5−ホルミルシチジン、5−ヒドロキシメチルシチジン、5−メチルシチジン、N4−アセチルシチジン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルシチジン、5,2’−O−ジメチルシチジン、5−ホルミル−2’−O−メチルシチジン、ライシジン、N4,2’−O−ジメチルシチジン、N4−アセチル−2’−O−メチルシチジン、N4−メチルシチジン、N4,N4−ジメチル−2’−OMe−シチジンTP、4−メチルシチジン、5−アザ−シチジン、シュード−イソ−シチジン、ピロロ−シチジン、α−チオ−シチジン、2−(チオ)シトシン、2’−アミノ−2’−デオキシ−CTP、2’−アジド−2’−デオキシ−CTP、2’−デオキシ−2’−a−アミノシチジンTP、2’−デオキシ−2’−a−アジドシチジンTP、3(デアザ)5(アザ)シトシン、3(メチル)シトシン、3−(アルキル)シトシン、3−(デアザ)5(アザ)シトシン、3−(メチル)シチジン、4,2’−O−ジメチルシチジン、5(ハロ)シトシン、5(メチル)シトシン、5(プロピニル)シトシン、5(トリフルオロメチル)シトシン、5−(アルキル)シトシン、5−(アルキニル)シトシン、5−(ハロ)シトシン、5−(プロピニル)シトシン、5−(トリフルオロメチル)シトシン、5−ブロモ−シチジン、5−ヨード−シチジン、5−プロピニルシトシン、6−(アゾ)シトシン、6−アザ−シチジン、アザシトシン、デアザシトシン、N4(アセチル)シトシン、1−メチル−1−デアザ−シュードイソシチジン、1−メチル−シュードイソシチジン、2−メトキシ−5−メチル−シチジン、2−メトキシ−シチジン、2−チオ−5−メチル−シチジン、4−メトキシ−1−メチル−シュードイソシチジン、4−メトキシ−シュードイソシチジン、4−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードイソシチジン、4−チオ−1−メチル−シュードイソシチジン、4−チオ−シュードイソシチジン、5−アザ−ゼブラリン、5−メチル−ゼブラリン、ピロロ−シュードイソシチジン、ゼブラリン、(E)−5−(2−ブロモ−ビニル)シチジンTP、2,2’−アンヒドロ−シチジンTP塩酸塩、2’フルオロ−N4−Bz−シチジンTP、2’フルオロ−N4−アセチル−シチジンTP、2’−O−メチル−N4−アセチル−シチジンTP、2’O−メチル−N4−Bz−シチジンTP、2’−a−エチニルシチジンTP、2’−a−トリフルオロメチルシチジンTP、2’−b−エチニルシチジンTP、2’−b−トリフルオロメチルシチジンTP、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジンTP、2’−デオキシ−2’−a−メルカプトシチジンTP、2’−デオキシ−2’−a−チオメトキシシチジンTP、2’−デオキシ−2’−b−アミノシチジンTP、2’−デオキシ−2’−b−アジドシチジンTP、2’−デオキシ−2’−b−ブロモシチジンTP、2’−デオキシ−2’−b−クロロシチジンTP、2’−デオキシ−2’−b−フルオロシチジンTP、2’−デオキシ−2’−b−ヨードシチジンTP、2’−デオキシ−2’−b−メルカプトシチジンTP、2’−デオキシ−2’−b−チオメトキシシチジンTP、2’−O−メチル−5−(1−プロピニル)シチジンTP、3’−エチニルシチジンTP、4’−アジドシチジンTP、4’−炭素環式シチジンTP、4’−エチニルシチジンTP、5−(1−プロピニル)アラ−シチジンTP、5−(2−クロロ−フェニル)−2−チオシチジンTP、5−(4−アミノ−フェニル)−2−チオシチジンTP、5−アミノアリル−CTP、5−シアノシチジンTP、5−エチニルアラ(Ethynylara)−シチジンTP、5−エチニルシチジンTP、5’−ホモ−シチジンTP、5−メトキシシチジンTP、5−トリフルオロメチル−シチジンTP、N4−アミノ−シチジンTP、N4−ベンゾイル−シチジンTP、シュードイソシチジン、7−メチルグアノシン、N2,2’−O−ジメチルグアノシン、N2−メチルグアノシン、ワイオシン、1,2’−O−ジメチルグアノシン、1−メチルグアノシン、2’−O−メチルグアノシン、2’−O−リボシルグアノシン(ホスフェート)、2’−O−メチルグアノシン、2’−O−リボシルグアノシン(ホスフェート)、7−アミノメチル−7−デアザグアノシン、7−シアノ−7−デアザグアノシン、アルカエオシン、メチルワイオシン、N2,7−ジメチルグアノシン、N2,N2,2’−O−トリメチルグアノシン、N2,N2,7−トリメチルグアノシン、N2,N2−ジメチルグアノシン、N2,7,2’−O−トリメチルグアノシン、6−チオ−グアノシン、7−デアザ−グアノシン、8−オキソ−グアノシン、N1−メチル−グアノシン、α−チオ−グアノシン、2(プロピル)グアニン、2−(アルキル)グアニン、2’−アミノ−2’−デオキシ−GTP、2’−アジド−2’−デオキシ−GTP、2’−デオキシ−2’−a−アミノグアノシンTP、2’−デオキシ−2’−a−アジドグアノシンTP、6(メチル)グアニン、6−(アルキル)グアニン、6−(メチル)グアニン、6−メチル−グアノシン、7(アルキル)グアニン、7(デアザ)グアニン、7(メチル)グアニン、7−(アルキル)グアニン、7−(デアザ)グアニン、7−(メチル)グアニン、8(アルキル)グアニン、8(アルキニル)グアニン、8(ハロ)グアニン、8(チオアルキル)グアニン、8−(アルケニル)グアニン、8−(アルキル)グアニン、8−(アルキニル)グアニン、8−(アミノ)グアニン、8−(ハロ)グアニン、8−(ヒドロキシル)グアニン、8−(チオアルキル)グアニン、8−(チオール)グアニン、アザグアニン、デアザグアニン、N(メチル)グアニン、N−(メチル)グアニン、1−メチル−6−チオ−グアノシン、6−メトキシ−グアノシン、6−チオ−7−デアザ−8−アザ−グアノシン、6−チオ−7−デアザ−グアノシン、6−チオ−7−メチル−グアノシン、7−デアザ−8−アザ−グアノシン、7−メチル−8−オキソ−グアノシン、N2,N2−ジメチル−6−チオ−グアノシン、N2−メチル−6−チオ−グアノシン、1−Me−GTP、2’フルオロ−N2−イソブチル−グアノシンTP、2’O−メチル−N2−イソブチル−グアノシンTP、2’−a−エチニルグアノシンTP、2’−a−トリフルオロメチルグアノシンTP、2’−b−エチニルグアノシンTP、2’−b−トリフルオロメチルグアノシンTP、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオログアノシンTP、2’−デオキシ−2’−a−メルカプトグアノシンTP、2’−デオキシ−2’−a−チオメトキシグアノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−アミノグアノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−アジドグアノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−ブロモグアノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−クロログアノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−フルオログアノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−ヨードグアノシンTP、2’−デオ
キシ−2’−b−メルカプトグアノシンTP、2’−デオキシ−2’−b−チオメトキシグアノシンTP、4’−アジドグアノシンTP、4’−炭素環式グアノシンTP、4’−エチニルグアノシンTP、5’−ホモ−グアノシンTP、8−ブロモ−グアノシンTP、9−デアザグアノシンTP、N2−イソブチル−グアノシンTP、1−メチルイノシン、イノシン、1,2’−O−ジメチルイノシン、2’−O−メチルイノシン、7−メチルイノシン、2’−O−メチルイノシン、エポキシキューオシン、ガラクトシル−キューオシン、マンノシルキューオシン、キューオシン、アリアミノ(allyamino)−チミジン、アザチミジン、デアザチミジン、デオキシ−チミジン、2’−O−メチルウリジン、2−チオウリジン、3−メチルウリジン、5−カルボキシメチルウリジン、5−ヒドロキシウリジン、5−メチルウリジン、5−タウリノメチル−2−チオウリジン、5−タウリノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、シュードウリジン、(3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジン、1−メチル−3−(3−アミノ−5−カルボキシプロピル)シュードウリジン、1−メチルシュードウリジン、1−エチル−シュードウリジン、2’−O−メチルウリジン、2’−O−メチルシュードウリジン、2’−O−メチルウリジン、2−チオ−2’−O−メチルウリジン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジン、3,2’−O−ジメチルウリジン、3−メチル−シュード−ウリジンTP、4−チオウリジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル、5,2’−O−ジメチルウリジン、5,6−ジヒドロ−ウリジン、5−アミノメチル−2−チオウリジン、5−カルバモイルメチル−2’−O−メチルウリジン、5−カルバモイルメチルウリジン、5−カルボキシヒドロキシメチルウリジン、5−カルボキシヒドロキシメチルウリジンメチルエステル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2’−O−メチルウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、5−カルバモイルメチルウリジンTP、5−メトキシカルボニルメチル−2’−O−メチルウリジン、5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウリジン、5−メトキシカルボニルメチルウリジン、5−メチルウリジン、)、5−メトキシウリジン、5−メチル−2−チオウリジン、5−メチルアミノメチル−2−セレノウリジン、5−メチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メチルジヒドロウリジン、5−オキシ酢酸−ウリジンTP、5−オキシ酢酸−メチルエステル−ウリジンTP、N1−メチル−シュード−ウラシル、N1−エチル−シュード−ウラシル、ウリジン5−オキシ酢酸、ウリジン5−オキシ酢酸メチルエステル、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)−ウリジンTP、5−(イソ−ペンテニルアミノメチル)−2−チオウリジンTP、5−(イソ−ペンテニルアミノメチル)−2’−O−メチルウリジンTP、5−(イソ−ペンテニルアミノメチル)ウリジンTP、5−プロピニルウラシル、α−チオ−ウリジン、1(アミノアルキルアミノ−カルボニルエチレニル)−2(チオ)−シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−4(チオ)シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−2(チオ)−シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−4(チオ)シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−シュードウラシル、1置換2(チオ)−シュードウラシル、1置換2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1置換4(チオ)シュードウラシル、1置換シュードウラシル、1−(アミノアルキルアミノ−カルボニルエチレニル)−2−(チオ)−シュードウラシル、1−メチル−3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)シュードウリジンTP、1−メチル−3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)シュード−UTP、1−メチル−シュード−UTP、1−エチル−シュード−UTP、2(チオ)シュードウラシル、2’デオキシウリジン、2’フルオロウリジン、2−(チオ)ウラシル、2,4−(ジチオ)シュードウラシル、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ−グアノシン、2’−アミノ−2’−デオキシ−UTP、2’−アジド−2’−デオキシ−UTP、2’−アジド−デオキシウリジンTP、2’−O−メチルシュードウリジン、2’デオキシウリジン、2’フルオロウリジン、2’−デオキシ−2’−a−アミノウリジンTP、2’−デオキシ−2’−a−アジドウリジンTP、2−メチルシュードウリジン、3(3アミノ−3カルボキシプロピル)ウラシル、4(チオ)シュードウラシル、4−(チオ)シュードウラシル、4−(チオ)ウラシル、4−チオウラシル、5(1,3−ジアゾール−1−アルキル)ウラシル、5(2−アミノプロピル)ウラシル、5(アミノアルキル)ウラシル、5(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5(メトキシカルボニルメチル)−2−(チオ)ウラシル、5(メトキシカルボニル−メチル)ウラシル、5(メチル)2(チオ)ウラシル、5(メチル)2,4(ジチオ)ウラシル、5(メチル)4(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−2(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−2,4(ジチオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−4(チオ)ウラシル、5(プロピニル)ウラシル、5(トリフルオロメチル)ウラシル、5−(2−アミノプロピル)ウラシル、5−(アルキル)−2−(チオ)シュードウラシル、5−(アルキル)−2,4(ジチオ)シュードウラシル、5−(アルキル)−4(チオ)シュードウラシル、5−(アルキル)シュードウラシル、5−(アルキル)ウラシル、5−(アルキニル)ウラシル、5−(アリルアミノ)ウラシル、5−(シアノアルキル)ウラシル、5−(ジアルキルアミノアルキル)ウラシル、5−(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5−(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5−(ハロ)ウラシル、5−(1,3−ジアゾール−1−アルキル)ウラシル、5−(メトキシ)ウラシル、5−(メトキシカルボニルメチル)−2−(チオ)ウラシル、5−(メトキシカルボニル−メチル)ウラシル、5−(メチル)2(チオ)ウラシル、5−(メチル)2,4(ジチオ)ウラシル、5−(メチル)4(チオ)ウラシル、5−(メチル)−2−(チオ)シュードウラシル、5−(メチル)−2,4(ジチオ)シュードウラシル、5−(メチル)−4(チオ)シュードウラシル、5−(メチル)シュードウラシル、5−(メチルアミノメチル)−2(チオ)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)−2,4(ジチオ)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)−4−(チオ)ウラシル、5−(プロピニル)ウラシル、5−(トリフルオロメチル)ウラシル、5−アミノアリル−ウリジン、5−ブロモ−ウリジン、5−ヨード−ウリジン、5−ウラシル、6(アゾ)ウラシル、6−(アゾ)ウラシル、6−アザ−ウリジン、アリアミノ(allyamino)−ウラシル、アザウラシル、デアザウラシル、N3(メチル)ウラシル、シュード−UTP−1−2−エタン酸、シュードウラシル、4−チオ−シュード−UTP、1−カルボキシメチル−シュードウリジン、1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、1−プロピニル−ウリジン、1−タウリノメチル−1−メチル−ウリジン、1−タウリノメチル−4−チオ−ウリジン、1−タウリノメチル−シュードウリジン、2−メトキシ−4−チオ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−シュードウリジン、2−チオ−5−アザ−ウリジン、2−チオ−ジヒドロシュードウリジン、2−チオ−ジヒドロウリジン、2−チオ−シュードウリジン、4−メトキシ−2−チオ−シュードウリジン、4−メトキシ−シュードウリジン、4−チオ−1−メチル−シュードウリジン、4−チオ−シュードウリジン、5−アザ−ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、(±)1−(2−ヒドロキシプロピル)シュードウリジンTP、(2R)−1−(2−ヒドロキシプロピル)シュードウリジンTP、(2S)−1−(2−ヒドロキシプロピル)シュードウリジンTP、(E)−5−(2−ブロモ−ビニル)アラ−ウリジンTP、(E)−5−(2−ブロモ−ビニル)ウリジンTP、(Z)−5−(2−ブロモ−ビニル)アラ−ウリジンTP、(Z)−5−(2−ブロモ−ビニル)ウリジンTP、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−シュード−UTP、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)シュードウリジンTP、1−(2,2−ジエトキシエチル)シュードウリジンTP、1−(2,4,6−トリメチルベンジル)シュードウリジンTP、1−(2,4,6−トリメチル−ベンジル)シュード−UTP、1−(2,4,6−トリメチル−フェニル)シュード−UTP、1−(2−アミノ−2−カルボキシエチル)シュード−UTP、1−(2−アミノ−エチル)シュード−UTP、1−(2−ヒドロキシエチル)シュードウリジンTP、1−(2−メトキシエチル)シュードウリジンTP、1−(3,4−ビス−トリフルオロメトキシベンジル)シュードウリジンTP、1−(3,4−ジメトキシベンジル)シュードウリジンTP、1−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)シュード−UTP、1−(3−アミノ−プロピル)シュード−UTP、1−(3−シクロプロピル−プロパ−2−イニル)シュードウリジンTP、1−(4−アミノ−4−カルボキシブチル)シュード−UTP、1−(4−アミノ−ベンジル)シュード−UTP、1−(4−アミノ−ブチル)シュード−UTP、1−(4−アミノ−フェニル)シュード−UTP、1−(4−アジドベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−ブロモベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−クロロベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−フルオロベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−ヨードベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−メタンスルホニルベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−メトキシベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−メトキシ−ベンジル)シュード−UTP、1−(4−メトキシ−フェニル)シュード−UTP、1−(4−メチルベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−メチル−ベンジル)シュード−UTP、1−(4−ニトロベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−ニトロ−ベンジル)シュード−UTP、1(4−ニトロ−フェニル)シュード−UTP、1−(4−チオメトキシベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−トリフルオロメトキシベンジル)シュードウリジンTP、1−(4−トリフルオロメチルベンジル)シュードウリジンTP、1−(5−アミノ−ペンチル)シュード−UTP、1−(6−アミノ−ヘキシル)シュード−UTP、1,6−ジメチル−シュード−UTP、1−[3−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−プロピオニル]シュードウリジンTP、1−{3−[2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−プロピオニル}シュードウリジンTP、1−アセチルシュードウリジンTP、1−アルキル−6−(1−プロピニル)−シュード−UTP、1−アルキル−6−(2−プロピニル)−シュード−UTP、1−アルキル−6−アリル−シュード−UTP、1−アルキル−6−エチニル−シュード−UTP、1−アルキル−6−ホモアリル−シュード−UTP、1−アルキル−6−ビニル−シュード−UTP、1−アリルシュードウリジンTP、1−アミノメチル−シュード−UTP、1−ベンゾイルシュードウリジンTP、1
−ベンジルオキシメチルシュードウリジンTP、1−ベンジル−シュード−UTP、1−ビオチニル−PEG2−シュードウリジンTP、1−ビオチニルシュードウリジンTP、1−ブチル−シュード−UTP、1−シアノメチルシュードウリジンTP、1−シクロブチルメチル−シュード−UTP、1−シクロブチル−シュード−UTP、1−シクロヘプチルメチル−シュード−UTP、1−シクロヘプチル−シュード−UTP、1−シクロヘキシルメチル−シュード−UTP、1−シクロヘキシル−シュード−UTP、1−シクロオクチルメチル−シュード−UTP、1−シクロオクチル−シュード−UTP、1−シクロペンチルメチル−シュード−UTP、1−シクロペンチル−シュード−UTP、1−シクロプロピルメチル−シュード−UTP、1−シクロプロピル−シュード−UTP、1−エチル−シュード−UTP、1−ヘキシル−シュード−UTP、1−ホモアリルシュードウリジンTP、1−ヒドロキシメチルシュードウリジンTP、1−イソ−プロピル−シュード−UTP、1−Me−2−チオ−シュード−UTP、1−Me−4−チオ−シュード−UTP、1−Me−アルファ−チオ−シュード−UTP、1−メタンスルホニルメチルシュードウリジンTP、1−メトキシメチルシュードウリジンTP、1−メチル−6−(2,2,2−トリフルオロエチル)シュード−UTP、1−メチル−6−(4−モルホリノ)−シュード−UTP、1−メチル−6−(4−チオモルホリノ)−シュード−UTP、1−メチル−6−(置換フェニル)シュード−UTP、1−メチル−6−アミノ−シュード−UTP、1−メチル−6−アジド−シュード−UTP、1−メチル−6−ブロモ−シュード−UTP、1−メチル−6−ブチル−シュード−UTP、1−メチル−6−クロロ−シュード−UTP、1−メチル−6−シアノ−シュード−UTP、1−メチル−6−ジメチルアミノ−シュード−UTP、1−メチル−6−エトキシ−シュード−UTP、1−メチル−6−エチルカルボキシレート−シュード−UTP、1−メチル−6−エチル−シュード−UTP、1−メチル−6−フルオロ−シュード−UTP、1−メチル−6−ホルミル−シュード−UTP、1−メチル−6−ヒドロキシアミノ−シュード−UTP、1−メチル−6−ヒドロキシ−シュード−UTP、1−メチル−6−ヨード−シュード−UTP、1−メチル−6−イソ−プロピル−シュード−UTP、1−メチル−6−メトキシ−シュード−UTP、1−メチル−6−メチルアミノ−シュード−UTP、1−メチル−6−フェニル−シュード−UTP、1−メチル−6−プロピル−シュード−UTP、1−メチル−6−tert−ブチル−シュード−UTP、1−メチル−6−トリフルオロメトキシ−シュード−UTP、1−メチル−6−トリフルオロメチル−シュード−UTP、1−モルホリノメチルシュードウリジンTP、1−ペンチル−シュード−UTP、1−フェニル−シュード−UTP、1−ピバロイルシュードウリジンTP、1−プロパルギルシュードウリジンTP、1−プロピル−シュード−UTP、1−プロピニル−シュードウリジン、1−p−トリル−シュード−UTP、1−tert−ブチル−シュード−UTP、1−チオメトキシメチルシュードウリジンTP、1−チオモルホリノメチルシュードウリジンTP、1−トリフルオロアセチルシュードウリジンTP、1−トリフルオロメチル−シュード−UTP、1−ビニルシュードウリジンTP、2,2’−アンヒドロ−ウリジンTP、2’−ブロモ−デオキシウリジンTP、2’−F−5−メチル−2’−デオキシ−UTP、2’−OMe−5−Me−UTP、2’−OMe−シュード−UTP、2’−a−エチニルウリジンTP、2’−a−トリフルオロメチルウリジンTP、2’−b−エチニルウリジンTP、2’−b−トリフルオロメチルウリジンTP、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロウリジンTP、2’−デオキシ−2’−a−メルカプトウリジンTP、2’−デオキシ−2’−a−チオメトキシウリジンTP、2’−デオキシ−2’−b−アミノウリジンTP、2’−デオキシ−2’−b−アジドウリジンTP、2’−デオキシ−2’−b−ブロモウリジンTP、2’−デオキシ−2’−b−クロロウリジンTP、2’−デオキシ−2’−b−フルオロウリジンTP、2’−デオキシ−2’−b−ヨードウリジンTP、2’−デオキシ−2’−b−メルカプトウリジンTP、2’−デオキシ−2’−b−チオメトキシウリジンTP、2−メトキシ−4−チオ−ウリジン、2−メトキシウリジン、2’−O−メチル−5−(1−プロピニル)ウリジンTP、3−アルキル−シュード−UTP、4’−アジドウリジンTP、4’−炭素環式ウリジンTP、4’−エチニルウリジンTP、5−(1−プロピニル)アラ−ウリジンTP、5−(2−フラニル)ウリジンTP、5−シアノウリジンTP、5−ジメチルアミノウリジンTP、5’−ホモ−ウリジンTP、5−ヨード−2’−フルオロ−デオキシウリジンTP、5−フェニルエチニルウリジンTP、5−トリジュウテロメチル−6−ジュウテロウリジンTP、5−トリフルオロメチル−ウリジンTP、5−ビニルアラウリジンTP、6−(2,2,2−トリフルオロエチル)−シュード−UTP、6−(4−モルホリノ)−シュード−UTP、6−(4−チオモルホリノ)−シュード−UTP、6−(置換−フェニル)−シュード−UTP、6−アミノ−シュード−UTP、6−アジド−シュード−UTP、6−ブロモ−シュード−UTP、6−ブチル−シュード−UTP、6−クロロ−シュード−UTP、6−シアノ−シュード−UTP、6−ジメチルアミノ−シュード−UTP、6−エトキシ−シュード−UTP、6−エチルカルボキシレート−シュード−UTP、6−エチル−シュード−UTP、6−フルオロ−シュード−UTP、6−ホルミル−シュード−UTP、6−ヒドロキシアミノ−シュード−UTP、6−ヒドロキシ−シュード−UTP、6−ヨード−シュード−UTP、6−イソ−プロピル−シュード−UTP、6−メトキシ−シュード−UTP、6−メチルアミノ−シュード−UTP、6−メチル−シュード−UTP、6−フェニル−シュード−UTP、6−フェニル−シュード−UTP、6−プロピル−シュード−UTP、6−tert−ブチル−シュード−UTP、6−トリフルオロメトキシ−シュード−UTP、6−トリフルオロメチル−シュード−UTP、アルファ−チオ−シュード−UTP、シュードウリジン1−(4−メチルベンゼンスルホン酸)TP、シュードウリジン1−(4−メチル安息香酸)TP、シュードウリジンTP1−[3−(2−エトキシ)]プロピオン酸、シュードウリジンTP1−[3−{2−(2−[2−(2−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ)−エトキシ}]プロピオン酸、シュードウリジンTP1−[3−{2−(2−[2−{2(2−エトキシ)−エトキシ}−エトキシ]−エトキシ)−エトキシ}]プロピオン酸、シュードウリジンTP1−[3−{2−(2−[2−エトキシ]−エトキシ)−エトキシ}]プロピオン酸、シュードウリジンTP1−[3−{2−(2−エトキシ)−エトキシ}]プロピオン酸、シュードウリジンTP1−メチルホスホン酸、シュードウリジンTP1−メチルホスホン酸ジエチルエステル、シュード−UTP−N1−3−プロピオン酸、シュード−UTP−N1−4−ブタン酸、シュード−UTP−N1−5−ペンタン酸、シュード−UTP−N1−6−ヘキサン酸、シュード−UTP−N1−7−ヘプタン酸、シュード−UTP−N1−メチル−p−安息香酸、シュード−UTP−N1−p−安息香酸、ワイブトシン、ヒドロキシワイブトシン、イソワイオシン、ペルオキシワイブトシン、中間体ヒドロキシワイブトシン、4−デメチルワイオシン、2,6−(ジアミノ)プリン、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル:1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン(phenthiazin)−1−イル、1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、1,3,5−(トリアザ)−2,6−(ジオキサ)−ナフタレン、2(アミノ)プリン、2,4,5−(トリメチル)フェニル、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ−シチジン、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ−アデニン、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ−ウリジン、2’−アミノ−2’−デオキシリボース、2−アミノ−6−クロロ−プリン、2−アザ−イノシニル、2’−アジド−2’−デオキシリボース、2’フルオロ−2’−デオキシリボース、2’−フルオロ−修飾塩基、2’−O−メチル−リボース、2−オキソ−7−アミノピリドピリミジン−3−イル、2−オキソ−ピリドピリミジン−3−イル、2−ピリジノン、3ニトロピロール、3−(メチル)−7−(プロピニル)イソカルボスチリル、3−(メチル)イソカルボスチリル、4−(フルオロ)−6−(メチル)ベンゾイミダゾール、4−(メチル)ベンゾイミダゾール、4−(メチル)インドリル、4,6−(ジメチル)インドリル、5ニトロインドール、5置換ピリミジン、5−(メチル)イソカルボスチリル、5−ニトロインドール、6−(アザ)ピリミジン、6−(アゾ)チミン、6−(メチル)−7−(アザ)インドリル、6−クロロ−プリン、6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン(phenthiazin)−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン(phenthiazin)−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アザ)インドリル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジニル(phenoxazinl)−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン(phenthiazin)−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキル−ヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン(phenthiazin)−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(プロピニル)イソカルボスチリル、7−(プロピニル)イソカルボスチリル、プロピニル−7−(アザ)インドリル、7−デアザ−イノシニル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、9−(メチル)−イミジゾピリジニル、アミノインドリル、アントラセニル、ビス−オルト−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ビス−オルト−置換−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ジフルオロトリル、ヒポキサンチン、イミジゾピリジニル、イノシニル、イソカルボスチリル、イソグアニシン(Isoguanisine)、N2−置換プリン、N6−メチル−2−アミノ−プリン、N6−置換プリン、N−アルキル化誘導体、ナフタレニル、ニトロベンゾイミダゾリル、ニトロイミダゾリル、ニトロインダゾリル、ニトロピラゾリル、ヌブラリン(Nubularine)、O6−置換プリン、O−アルキル化誘導体、オルト−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、オルト−置換−
6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、オキソホルマイシンTP、パラ−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、パラ−置換−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ペンタセニル、フェナントラセニル(Phenanthracenyl)、フェニル、プロピニル−7−(アザ)インドリル、ピレニル、ピリドピリミジン−3−イル、ピリドピリミジン−3−イル、2−オキソ−7−アミノ−ピリドピリミジン−3−イル、ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ピロロピリミジニル、ピロロピリジニル、スチルベンジル(Stilbenzyl)、置換1,2,4−トリアゾール、テトラセニル、ツベルシジン(Tubercidine)、キサンチン、キサントシン−5’−TP、2−チオ−ゼブラリン、5−アザ−2−チオ−ゼブラリン、7−デアザ−2−アミノ−プリン、ピリジン−4−オンリボヌクレオシド、2−アミノ−リボシド−TP、ホルマイシンA TP、ホルマイシンB TP、ピロロシン(Pyrrolosine)TP、2’−OH−アラ−アデノシンTP、2’−OH−アラ−シチジンTP、2’−OH−アラ−ウリジンTP、2’−OH−アラ−グアノシンTP、5−(2−カルボメトキシビニル)ウリジンTP、及びN6−(19−アミノ−ペンタオキサノナデシル)アデノシンTP。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、前述の修飾核酸塩基の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれを超える数)の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)における修飾核酸塩基は、シュードウリジン(ψ)、2−チオウリジン(s2U)、4’−チオウリジン、5−メチルシトシン、2−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−シュードウリジン、2−チオ−5−アザ−ウリジン、2−チオ−ジヒドロシュードウリジン、2−チオ−ジヒドロウリジン、2−チオ−シュードウリジン、4−メトキシ−2−チオ−シュードウリジン、4−メトキシ−シュードウリジン、4−チオ−1−メチル−シュードウリジン、4−チオ−シュードウリジン、5−アザ−ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、5−メチルウリジン、5−メトキシウリジン、2’−O−メチルウリジン、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)、1−エチル−シュードウリジン(e1ψ)、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)、5−メチル−シチジン(m5C)、α−チオ−グアノシン、α−チオ−アデノシン、5−シアノウリジン、4’−チオウリジン7−デアザ−アデニン、1−メチル−アデノシン(m1A)、2−メチル−アデニン(m2A)、N6−メチル−アデノシン(m6A)、及び2,6−ジアミノプリン,(I)、1−メチル−イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7−デアザ−グアノシン、7−シアノ−7−デアザ−グアノシン(preQ0)、7−アミノメチル−7−デアザ−グアノシン(preQ1)、7−メチル−グアノシン(m7G)、1−メチル−グアノシン(m1G)、8−オキソ−グアノシン、7−メチル−8−オキソ−グアノシン、2,8−ジメチルアデノシン、2−ゲラニルチオウリジン、2−ライシジン、2−セレノウリジン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)−5,6−ジヒドロウリジン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)シュードウリジン、3−メチルシュードウリジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)−2’−O−メチルウリジンメチルエステル、5−アミノメチル−2−ゲラニルチオウリジン、5−アミノメチル−2−セレノウリジン、5−アミノメチルウリジン、5−カルバモイルヒドロキシメチルウリジン、5−カルバモイルメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−ゲラニルチオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−セレノウリジン、5−シアノメチルウリジン、5−ヒドロキシシチジン、5−メチルアミノメチル−2−ゲラニルチオウリジン、7−アミノカルボキシプロピル−デメチルワイオシン、7−アミノカルボキシプロピルワイオシン、7−アミノカルボキシプロピルワイオシンメチルエステル、8−メチルアデノシン、N4,N4−ジメチルシチジン、N6−ホルミルアデノシン、N6−ヒドロキシメチルアデノシン、アグマチジン、環式N6−スレオニルカルバモイルアデノシン、グルタミル−キューオシン、メチル化中間体ヒドロキシワイブトシン、N4,N4,2’−O−トリメチルシチジン、ゲラニル化5−メチルアミノメチル−2−チオウリジン、ゲラニル化5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、Q塩基、preQ0塩基、preQ1塩基、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオシドは、シュードウリジン、1−メチル−シュードウリジン、1−エチル−シュードウリジン、5−メチルシトシン、5−メトキシウリジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAポリリボヌクレオチドなどのRNAポリリボヌクレオチド)は、前述の修飾核酸塩基の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれを超える数)の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、前述の修飾核酸塩基の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれを超える数)の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)における修飾核酸塩基は、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)、1−エチル−シュードウリジン(e1ψ)、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)、5−メチル−シチジン(m5C)、シュードウリジン(ψ)、α−チオ−グアノシン、及びα−チオ−アデノシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、化学修飾を含む前述の修飾核酸塩基の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれを超える数)の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、シュードウリジン(ψ)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1−エチル−シュードウリジン(e1ψ)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1−エチル−シュードウリジン(e1ψ)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、2−チオウリジン(s2U)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、2−チオウリジン及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、メトキシ−ウリジン(mo5U)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、2’−O−メチルウリジンを含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、2’−O−メチルウリジン及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、N6−メチル−アデノシン(m6A)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、N6−メチル−アデノシン(m6A)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、特定の修飾を施すために一様に修飾される(例えば、完全な修飾、全配列にわたる修飾が実施される)。例えば、ポリヌクレオチドは、1−メチル−シュードウリジンで一様に修飾することができ、このことは、mRNA配列におけるウリジン残基のすべてが、1−メチル−シュードウリジンと交換されることを意味する。同様に、ポリヌクレオチドは、上記のものなどの修飾残基を用いた交換によって任意の型のヌクレオシド残基が配列に存在するように一様に修飾することができる。
修飾シトシンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例には、N4−アセチル−シチジン(ac4C)、5−メチル−シチジン(m5C)、5−ハロ−シチジン(例えば、5−ヨード−シチジン)、5−ヒドロキシメチル−シチジン(hm5C)、1−メチル−シュードイソシチジン、2−チオ−シチジン(s2C)、及び2−チオ−5−メチル−シチジンが含まれる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾ウリジンである。修飾ウリジンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例には、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)、1−エチル−シュードウリジン(e1ψ)、5−メトキシウリジン、2−チオウリジン、5−シアノウリジン、2’−O−メチルウリジン、及び4’−チオウリジンが含まれる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。修飾アデニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例には、7−デアザ−アデニン、1−メチル−アデノシン(m1A)、2−メチル−アデニン(m2A)、及びN6−メチル−アデノシン(m6A)が含まれる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。修飾グアニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例には、イノシン(I)、1−メチル−イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7−デアザ−グアノシン、7−シアノ−7−デアザ−グアノシン(preQ0)、7−アミノメチル−7−デアザ−グアノシン(preQ1)、7−メチル−グアノシン(m7G)、1−メチル−グアノシン(m1G)、8−オキソ−グアノシン、7−メチル−8−オキソ−グアノシンが含まれる。
本開示のポリヌクレオチドは、部分的に修飾するか、または分子の全長にわたって完全に修飾してよい。例えば、1つもしくは複数もしくはすべてまたは所与の型のヌクレオチド(例えば、プリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cのいずれか1つもしくは複数もしくはすべて)を、本発明のポリヌクレオチドまたはその所与の所定配列領域(例えば、ポリA尾部を含むmRNAまたはポリA尾部を除外したmRNA)において一様に修飾してよい。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチド(またはその所与の配列領域)におけるヌクレオチドXはすべて、修飾ヌクレオチドであり、Xは、ヌクレオチドA、ヌクレオチドG、ヌクレオチドU、ヌクレオチドCのいずれか1つ、またはA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+C、もしくはA+G+Cという組み合わせのいずれか1つであり得る。
ポリヌクレオチドは、(全ヌクレオチド含量に関するか、または1つもしくは複数の型のヌクレオチド、すなわちA、G、U、もしくはCのいずれか1つもしくは複数に関して)修飾ヌクレオチドを、約1%〜約100%または介在する任意の割合(例えば、1%〜20%、1%〜25%、1%〜50%、1%〜60%、1%〜70%、1%〜80%、1%〜90%、1%〜95%、10%〜20%、10%〜25%、10%〜50%、10%〜60%、10%〜70%、10%〜80%、10%〜90%、10%〜95%、10%〜100%、20%〜25%、20%〜50%、20%〜60%、20%〜70%、20%〜80%、20%〜90%、20%〜95%、20%〜100%、50%〜60%、50%〜70%、50%〜80%、50%〜90%、50%〜95%、50%〜100%、70%〜80%、70%〜90%、70%〜95%、70%〜100%、80%〜90%、80%〜95%、80%〜100%、90%〜95%、90%〜100%、及び95%〜100%)で含み得る。任意の残りの割合は、非修飾のA、G、U、またはCの存在に相当することを理解されたい。
ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドを最小1%〜最大100%含むか、または修飾ヌクレオチドを少なくとも5%、修飾ヌクレオチドを少なくとも10%、修飾ヌクレオチドを少なくとも25%、修飾ヌクレオチドを少なくとも50%、修飾ヌクレオチドを少なくとも80%、もしくは修飾ヌクレオチドを少なくとも90%含むなど、介在する任意の割合で修飾ヌクレオチドを含み得る。例えば、ポリヌクレオチドは、修飾ウラシルまたは修飾シトシンなどの修飾ピリミジンを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドにおけるウラシルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%が、修飾ウラシル(例えば、5−置換ウラシル)と交換される。修飾ウラシルは、単一の特有構造を有する化合物によって交換することができるか、または異なる構造(例えば、2つ、3つ、4つ、もしくはそれを超える数の特有構造)を有する複数の化合物によって交換することができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドにおけるシトシンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%が修飾シトシン(例えば、5−置換シトシン)と交換される。修飾シトシンは、単一の特有構造を有する化合物によって交換することができるか、または異なる構造(例えば、2つ、3つ、4つ、もしくはそれを超える数の特有構造)を有する複数の化合物によって交換することができる。
したがって、いくつかの実施形態では、RNAワクチンは、5’UTR要素、任意選択でコドン最適化オープンリーディングフレーム、及び3’UTR要素、ポリ(A)配列及び/またはポリアデニル化シグナルを含み、RNAは、化学的に修飾されない。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾ウラシルである。修飾ウラシルを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例には、シュードウリジン(ψ)、ピリジン−4−オンリボヌクレオシド、5−アザ−ウリジン、6−アザ−ウリジン、2−チオ−5−アザ−ウリジン、2−チオ−ウリジン(s2U)、4−チオ−ウリジン(s4U)、4−チオ−シュードウリジン、2−チオ−シュードウリジン、5−ヒドロキシ−ウリジン(ho5U)、5−アミノアリル−ウリジン、5−ハロ−ウリジン(例えば、5−ヨード−ウリジンまたは5−ブロモ−ウリジン)、3−メチル−ウリジン(m3U)、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)、ウリジン5−オキシ酢酸(cmo5U)、ウリジン5−オキシ酢酸メチルエステル(mcmo5U)、5−カルボキシメチル−ウリジン(cm5U)、1−カルボキシメチル−シュードウリジン、5−カルボキシヒドロキシメチル−ウリジン(chm5U)、5−カルボキシヒドロキシメチル−ウリジンメチルエステル(mchm5U)、5−メトキシカルボニルメチル−ウリジン(mcm5U)、5−メトキシカルボニルメチル−2−チオ−ウリジン(mcm5s2U)、5−アミノメチル−2−チオ−ウリジン(nm5s2U)、5−メチルアミノメチル−ウリジン(mnm5U)、5−メチルアミノメチル−2−チオ−ウリジン(mnm5s2U)、5−メチルアミノメチル−2−セレノ−ウリジン(mnm5se2U)、5−カルバモイルメチル−ウリジン(ncm5U)、5−カルボキシメチルアミノメチル−ウリジン(cmnm5U)、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオ−ウリジン(cmnm5s2U)、5−プロピニル−ウリジン、1−プロピニル−シュードウリジン、5−タウリノメチル−ウリジン(τm5U)、1−タウリノメチル−シュードウリジン、5−タウリノメチル−2−チオ−ウリジン(τm5s2U)、1−タウリノメチル−4−チオ−シュードウリジン、5−メチル−ウリジン(m5U、すなわち、核酸塩基であるデオキシチミンを有する)、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)、1−エチル−シュードウリジン(e1ψ)、5−メチル−2−チオ−ウリジン(m5s2U)、1−メチル−4−チオ−シュードウリジン(m1s4ψ)、4−チオ−1−メチル−シュードウリジン、3−メチル−シュードウリジン(m3ψ)、2−チオ−1−メチル−シュードウリジン、1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロシュードウリジン、5,6−ジヒドロウリジン、5−メチル−ジヒドロウリジン(m5D)、2−チオ−ジヒドロウリジン、2−チオ−ジヒドロシュードウリジン、2−メトキシ−ウリジン、2−メトキシ−4−チオ−ウリジン、4−メトキシ−シュードウリジン、4−メトキシ−2−チオ−シュードウリジン、N1−メチル−シュードウリジン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジン(acp3U)、1−メチル−3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)シュードウリジン(acp3ψ)、5−(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inm5U)、5−(イソペンテニルアミノメチル)−2−チオ−ウリジン(inm5s2U)、α−チオ−ウリジン、2’−O−メチル−ウリジン(Um)、5、2’−O−ジメチル−ウリジン(m5Um)、2’−O−メチル−シュードウリジン(ψm)、2−チオ−2’−O−メチル−ウリジン(s2Um)、5−メトキシカルボニルメチル−2’−O−メチル−ウリジン(mcm5Um)、5−カルバモイルメチル−2’−O−メチル−ウリジン(ncm5Um)、5−カルボキシメチルアミノメチル−2’−O−メチル−ウリジン(cmnm5Um)、3、2’−O−ジメチル−ウリジン(m3Um)、及び5−(イソペンテニルアミノメチル)−2’−O−メチル−ウリジン(inm5Um)、1−チオ−ウリジン、デオキシチミジン、2’−F−アラ−ウリジン、2’−F−ウリジン、2’−OH−アラ−ウリジン、5−(2−カルボメトキシビニル)ウリジン、ならびに5−[3−(1−E−プロペニルアミノ)]ウリジンが含まれる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾シトシンである。修飾シトシンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例には、5−アザ−シチジン、6−アザ−シチジン、シュードイソシチジン、3−メチル−シチジン(m3C)、N4−アセチル−シチジン(ac4C)、5−ホルミル−シチジン(f5C)、N4−メチル−シチジン(m4C)、5−メチル−シチジン(m5C)、5−ハロ−シチジン(例えば、5−ヨード−シチジン)、5−ヒドロキシメチル−シチジン(hm5C)、1−メチル−シュードイソシチジン、ピロロ−シチジン、ピロロ−シュードイソシチジン、2−チオ−シチジン(s2C)、2−チオ−5−メチル−シチジン、4−チオ−シュードイソシチジン、4−チオ−1−メチル−シュードイソシチジン、4−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードイソシチジン、1−メチル−1−デアザ−シュードイソシチジン、ゼブラリン、5−アザ−ゼブラリン、5−メチル−ゼブラリン、5−アザ−2−チオ−ゼブラリン、2−チオ−ゼブラリン、2−メトキシ−シチジン、2−メトキシ−5−メチル−シチジン、4−メトキシ−シュードイソシチジン、4−メトキシ−1−メチル−シュードイソシチジン、ライシジン(k2C)、α−チオ−シチジン、2’−O−メチル−シチジン(Cm)、5、2’−O−ジメチル−シチジン(m5Cm)、N4−アセチル−2’−O−メチル−シチジン(ac4Cm)、N4、2’−O−ジメチル−シチジン(m4Cm)、5−ホルミル−2’−O−メチル−シチジン(f5Cm)、N4,N4,2’−O−トリメチル−シチジン(m4 2Cm)、1−チオ−シチジン、2’−F−アラ−シチジン、2’−F−シチジン、及び2’−OH−アラ−シチジンが含まれる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。修飾アデニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例には、2−アミノ−プリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−ハロ−プリン(例えば、2−アミノ−6−クロロ−プリン)、6−ハロ−プリン(例えば、6−クロロ−プリン)、2−アミノ−6−メチル−プリン、8−アジド−アデノシン、7−デアザ−アデニン、7−デアザ−8−アザ−アデニン、7−デアザ−2−アミノ−プリン、7−デアザ−8−アザ−2−アミノ−プリン、7−デアザ−2,6−ジアミノプリン、7−デアザ−8−アザ−2,6−ジアミノプリン、1−メチル−アデノシン(m1A)、2−メチル−アデニン(m2A)、N6−メチル−アデノシン(m6A)、2−メチルチオ−N6−メチル−アデノシン(ms2m6A)、N6−イソペンテニル−アデノシン(i6A)、2−メチルチオ−N6−イソペンテニル−アデノシン(ms2i6A)、N6−(シス−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(io6A)、2−メチルチオ−N6−(シス−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(ms2io6A)、N6−グリシニルカルバモイル−アデノシン(g6A)、N6−スレオニルカルバモイル−アデノシン(t6A)、N6−メチル−N6−スレオニルカルバモイル−アデノシン(m6t6A)、2−メチルチオ−N6−スレオニルカルバモイル−アデノシン(ms2g6A)、N6,N6−ジメチル−アデノシン(m6 2A)、N6−ヒドロキシノルバリルカルバモイル−アデノシン(hn6A)、2−メチルチオ−N6−ヒドロキシノルバリルカルバモイル−アデノシン(ms2hn6A)、N6−アセチル−アデノシン(ac6A)、7−メチル−アデニン、2−メチルチオ−アデニン、2−メトキシ−アデニン、α−チオ−アデノシン、2’−O−メチル−アデノシン(Am)、N6,2’−O−ジメチル−アデノシン(m6Am)、N6,N6,2’−O−トリメチル−アデノシン(m6 2Am)、1,2’−O−ジメチル−アデノシン(m1Am)、2’−O−リボシルアデノシン(ホスフェート)(Ar(p))、2−アミノ−N6−メチル−プリン、1−チオ−アデノシン、8−アジド−アデノシン、2’−F−アラ−アデノシン、2’−F−アデノシン、2’−OH−アラ−アデノシン、及びN6−(19−アミノ−ペンタオキサノナデシル)−アデノシンが含まれる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。修飾グアニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例には、イノシン(I)、1−メチル−イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、4−デメチル−ワイオシン(imG−14)、イソワイオシン(imG2)、ワイブトシン(yW)、ペルオキシワイブトシン(o2yW)、ヒドロキシワイブトシン(OhyW)、中間体ヒドロキシワイブトシン(OhyW*)、7−デアザ−グアノシン、キューオシン(Q)、エポキシキューオシン(oQ)、ガラクトシル−キューオシン(galQ)、マンノシル−キューオシン(manQ)、7−シアノ−7−デアザ−グアノシン(preQ0)、7−アミノメチル−7−デアザ−グアノシン(preQ1)、アルカエオシン(G+)、7−デアザ−8−アザ−グアノシン、6−チオ−グアノシン、6−チオ−7−デアザ−グアノシン、6−チオ−7−デアザ−8−アザ−グアノシン、7−メチル−グアノシン(m7G)、6−チオ−7−メチル−グアノシン、7−メチル−イノシン、6−メトキシ−グアノシン、1−メチル−グアノシン(m1G)、N2−メチル−グアノシン(m2G)、N2,N2−ジメチル−グアノシン(m2 2G)、N2,7−ジメチル−グアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−ジメチル−グアノシン(m2,2,7G)、8−オキソ−グアノシン、7−メチル−8−オキソ−グアノシン、1−メチル−6−チオ−グアノシン、N2−メチル−6−チオ−グアノシン、N2,N2−ジメチル−6−チオ−グアノシン、α−チオ−グアノシン、2’−O−メチル−グアノシン(Gm)、N2−メチル−2’−O−メチル−グアノシン(m2Gm)、N2,N2−ジメチル−2’−O−メチル−グアノシン(m2 2Gm)、1−メチル−2’−O−メチル−グアノシン(m1Gm)、N2,7−ジメチル−2’−O−メチル−グアノシン(m2,7Gm)、2’−O−メチル−イノシン(Im)、1,2’−O−ジメチル−イノシン(m1Im)、2’−O−リボシルグアノシン(ホスフェート)(Gr(p))、1−チオ−グアノシン、O6−メチル−グアノシン、2’−F−アラ−グアノシン、及び2’−F−グアノシンが含まれる。
RNA(例えば、mRNA)のインビトロでの転写
本開示の癌ワクチンは、mRNA(例えば、修飾mRNA)などのRNAポリヌクレオチドを少なくとも1つ含む。mRNAは、例えば、鋳型DNAからインビトロで転写され、こうした鋳型DNAは、「インビトロの転写鋳型」と称される。いくつかの実施形態では、インビトロの転写鋳型は、5’非翻訳(UTR)領域をコードし、オープンリーディングフレームを含み、3’UTR及びポリA尾部をコードする。インビトロの転写鋳型の特定の核酸配列組成及び長さは、鋳型によってコードされるmRNAに依存することになる。
「5’非翻訳領域」(UTR)は、mRNAにおいて、開始コドン(すなわち、mRNA転写物においてリボソームによって最初に翻訳されるコドン)のすぐ上流(すなわち、5’側)に位置し、ポリペプチドをコードしない領域を指す。
「3’非翻訳領域」(UTR)は、mRNAにおいて、終止コドン(すなわち、mRNA転写物において翻訳終結の情報を伝えるコドン)のすぐ下流(すなわち、3’側)に位置し、ポリペプチドをコードしない領域を指す。
「オープンリーディングフレーム」は、DNAにおいて、開始コドン(例えば、メチオニン(ATG))から始まり、終止コドン(例えば、TAA、TAG、またはTGA)で終結する連続ストレッチであり、ポリペプチドをコードするものである。
「ポリA尾部」は、mRNAにおいて、下流(例えば、3’UTRのすぐ下流(すなわち、3’側))に位置し、アデノシンモノホスフェートを連続して複数含む領域である。ポリA尾部は、10〜300のアデノシンモノホスフェートを含み得る。例えば、ポリA尾部は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、または300のアデノシンモノホスフェートを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリA尾部は、50〜250のアデノシンモノホスフェートを含む。生物学的に関連する状況(例えば、細胞中、インビボ)では、ポリ(A)尾部は、例えば細胞質において、酵素分解からmRNAを保護するために機能すると共に、転写の終結、核からのmRNAの輸送、及び翻訳に役立つ。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、200〜3,000のヌクレオチドを含む。例えば、ポリヌクレオチドは、200〜500、200〜1000、200〜1500、200〜3000、500〜1000、500〜1500、500〜2000、500〜3000、1000〜1500、1000〜2000、1000〜3000、1500〜3000、または2000〜3000ヌクレオチドを含み得る。
他の態様では、本発明は、IVT法によるmRNA癌ワクチンの調製方法に関する。インビトロ転写(IVT)法では、ほとんど任意の配列のRNA分子の鋳型誘導型の合成が可能になる。IVT法を使用して合成することができるRNA分子のサイズ範囲は、短いオリゴヌクレオチドから数千塩基という長い核酸ポリマーにまで及ぶ。IVT法では、大量(例えば、マイクログラム量〜ミリグラム量)のRNA転写物の合成が可能になる(Beckert et al.,Synthesis of RNA by in vitro transcription,Methods Mol Biol.703:29−41(2011)、Rio et al.RNA:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor:Cold Spring Harbor Laboratory Press,2011,205−220.、Cooper,Geoffery M.The Cell:A Molecular Approach.4th ed.Washington D.C.:ASM Press,2007.262−299)。一般に、IVTでは、目的とする配列の上流に位置するプロモーター配列を特徴とするDNA鋳型が利用される。プロモーター配列は、バクテリオファージ起源のもの(例えば、T7、T3、またはSP6のプロモーター配列)が最も一般的であるが、デノボ設計されたものを含む多くの他のプロモーター配列も許容可能である。典型的には、特定のバクテリオファージプロモーター配列に対応するRNAポリメラーゼを使用することによってDNA鋳型の転写を達成することが最良である。RNAポリメラーゼの例には、限定はされないが、数ある中でも特に、T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ、またはSP6RNAポリメラーゼが含まれる。IVTは、一般に、二本鎖DNAにおいて開始されるが、一本鎖ででも進行可能である。
例えば、癌抗原をコードするmRNAなどの、本開示のmRNAワクチンは、任意の適切な合成方法を使用して調製してよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のmRNAワクチンは、鋳型としての一本鎖のボトム鎖DNA、及びプロモーターとして働く相補的オリゴヌクレオチドからIVTを使用して調製される。一本鎖のボトム鎖DNAは、RNAをインビトロで転写するためのDNA鋳型として働き得るものであり、例えば、プラスミド、PCR産物、または化学合成から得てよい。いくつかの実施形態では、一本鎖のボトム鎖DNAは、環状の鋳型から直鎖化される。一本鎖のボトム鎖DNA鋳型は、一般に、IVTが容易になるように、例えば、バクテリオファージのプロモーター配列などのプロモーター配列を含む。一本鎖のボトム鎖DNAと、プロモーター相補的オリゴヌクレオチドであるトップ鎖と、を使用するRNAの調製方法は、当該技術分野において知られている。例示の方法では、限定はされないが、鋳型であるDNAボトム鎖と、プロモーター相補的オリゴヌクレオチドであるトップ鎖(例えば、T7プロモーター相補的オリゴヌクレオチド、T3プロモーター相補的オリゴヌクレオチド、またはSP6プロモーター相補的オリゴヌクレオチド)と、のアニーリングが実施された後、例えば、T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ、またはSP6RNAポリメラーゼなどの、プロモーター配列に対応するRNAポリメラーゼを使用するIVTが実施される。
IVT法は、二本鎖のDNA鋳型を使用しても実施することができる。例えば、いくつかの実施形態では、二本鎖のDNA鋳型は、当該技術分野において利用可能な鎖伸長技術を使用し、相補的オリゴヌクレオチドを伸長させて相補的DNA鎖を生成することによって調製される。いくつかの実施形態では、プロモーター配列、及び目的とするエピトープを1つまたは複数コードする配列を含む一本鎖のボトム鎖DNA鋳型が、プロモーター相補的オリゴヌクレオチドであるトップ鎖へとアニーリングされ、PCR様プロセスに供されることでトップ鎖が伸長して二本鎖のDNA鋳型が生成する。あるいは、またはさらに、ボトム鎖プロモーター配列に相補的であり、かつ目的とするエピトープを1つまたは複数コードする配列に相補的な配列を含むトップ鎖DNAが、ボトム鎖プロモーターオリゴヌクレオチドへとアニーリングされ、PCR様プロセスに供されることでボトム鎖が伸長して二本鎖のDNA鋳型が生成する。いくつかの実施形態では、PCR様サイクルの回数範囲は、1〜20サイクルであり、例えば、3〜10サイクルである。いくつかの実施形態では、二本鎖のDNA鋳型は、完全または部分的に化学合成法によって合成される。二本鎖のDNA鋳型は、本明細書に記載のインビトロでの転写に供すことができる。
別の態様では、例えば、癌抗原をコードするmRNAなどの、本開示のmRNAワクチンは、それらの配列が重なり合う部分全体が相補的な2つのDNA鎖を使用して調製し、相補部分がアニーリングしたときに一本鎖のオーバーハング(すなわち、粘着末端)を残してよい。こうした一本鎖オーバーハングは、もう一方の鎖を鋳型として使用して伸長し、それによって二本鎖DNAを生成することによって二本鎖にすることができる。場合によっては、このプライマー伸長法では、例えば、トップ鎖DNA合成法によって得られる鋳型DNA配列に組み込まれるサイズと比較して、鋳型DNA配列に組み込まれることになるORFを長鎖化することが可能である。プライマー伸長法では、第1の鎖(5’’から3’の方向)の3’末端の一部が、第2の鎖(3’から5’の方向)3’末端の一部に相補的である。そのような実施形態のいくつかでは、一本鎖の第1鎖DNAは、プロモーター(例えば、T7、T3、またはSP6)の配列、任意選択で5’−UTR、及びORFの一部またはすべて(例えば、ORFの5’末端の一部)を含み得る。いくつかの実施形態では、一本鎖の第2鎖DNAは、ORFの一部またはすべてに相補的な配列(例えば、ORFの3’末端に相補的な部分)、及び任意選択で3’−UTR、終始配列、及び/またはポリ(A)尾部を含み得る。2つの合成DNA鎖を使用するRNAの調製方法では、重なり合う相補部分を有する2つの鎖のアニーリングが実施された後、1回または複数回のPCR様サイクルを使用することで鎖が伸長して二本鎖のDNA鋳型が生成するプライマー伸長が実施され得る。いくつかの実施形態では、PCR様サイクルの回数範囲は、1〜20サイクルであり、例えば、3〜10サイクルである。そのような二本鎖DNAは、本明細書に記載のインビトロでの転写に供すことができる。
別の態様では、例えば、癌抗原をコードするmRNAなどの、本開示のmRNAワクチンは、gBlocks(登録商標)(Integrated DNA Technologies,Coralville,Iowa)などの合成の二本鎖直鎖DNA分子を二本鎖のDNA鋳型として使用して調製してよい。そのような合成二本鎖直鎖DNA分子の利点は、そうしたものによって、mRNAがそこから生成するための、より長い鋳型が与えられることである。例えば、gBlocks(登録商標)のサイズ範囲は、45〜1000(例えば、125〜750のヌクレオチド)であり得る。いくつかの実施形態では、合成の二本鎖直鎖DNA鋳型は、全長の5’−UTR、全長の3’−UTR、または両方を含む。全長の5’−UTRは、最大で100のヌクレオチド長であり得、例えば、約40〜60のヌクレオチド長である。全長の3’−UTRは、最大で300のヌクレオチド長であり得、例えば、約100〜150のヌクレオチド長である。
より長い構築物の生成を容易にするために、3’側の鎖に重複配列を有するように設計された2つ以上の二本鎖直鎖DNA分子及び/または遺伝子断片を、当該技術分野において知られる方法を使用して共に会合させてよい。例えば、こうした二本鎖DNA断片の5’末端から塩基を切断する中温性エキソヌクレアーゼを使用した後、新たに形成された相補的な一本鎖3’末端をアニーリングさせてから、ポリメラーゼ依存性の伸長によって任意の一本鎖ギャップを埋め、最終的に、DNAリガーゼによってDNAセグメントを共有結合で連結してGibson Assembly(商標)法(Synthetic Genomics,Inc.,La Jolla,CA)を実施してよい。
別の態様では、例えば、癌抗原をコードするmRNAなどの、本開示のmRNAワクチンは、RNAの化学合成を使用して調製してよい。方法は、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む第1のポリヌクレオチド、及び5’−UTRを含む第2のポリヌクレオチドの、固形担体に複合化した相補的ポリヌクレオチドへのアニーリングを含む。その後、第1のポリヌクレオチドの5’末端に対して、第2のポリヌクレオチドの3’末端が適切な条件下でライゲーションされる。適切な条件には、DNAリガーゼの使用が含まれる。ライゲーション反応によって第1のライゲーション産物が生成する。その後、第1のライゲーション産物の3’末端に対して、3’−UTRを含む第3のポリヌクレオチドの5’末端が適切な条件下でライゲーションされる。第2のライゲーション反応に適切な条件には、RNAリガーゼが含まれる。第2のライゲーション反応では、第2のライゲーション産物が生成する。第2のライゲーション産物を固形担体から遊離させることで、目的とするポリペプチドをコードするmRNAが生成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、30〜1000のヌクレオチドである。
目的とするポリペプチドをコードするmRNAは、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む第1のポリヌクレオチド、及び3’−UTRを含む第2のポリヌクレオチドを、固形担体に複合化した相補的ポリヌクレオチドに結合することによって調製してもよい。第1のポリヌクレオチドの3’末端に対して、第2のポリヌクレオチドの5’末端が適切な条件下でライゲーションされる。適切な条件には、DNAリガーゼが含まれる。方法によって、第1のライゲーション産物が生成する。第1のライゲーション産物に対して、5’−UTRを含む第3のポリヌクレオチドが適切な条件でライゲーションされることで第2のライゲーション産物が生成する。適切な条件には、T4RNAなどのRNAリガーゼが含まれる。第2のライゲーション産物を固形担体から遊離させることで、目的とするポリペプチドをコードするmRNAが生成する。
いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、5’−トリホスフェート及び3’−OHを特徴とする。さらに他の実施形態では、第2のポリヌクレオチドは、3’−OHを含む。さらに別の実施形態では、第3のポリヌクレオチドは、5’−トリホスフェート及び3’−OHを含む。第2のポリヌクレオチドは、5’−キャップ構造も含み得る。方法は、第3のポリヌクレオチドの3’末端に対する、ポリ−A領域を含む第4のポリヌクレオチドのライゲーション段階もさらに含み得る。第4のポリヌクレオチドは、5’−トリホスフェートを含み得る。
方法は、逆相精製を含んでも含まなくてもよい。方法は、洗浄段階も含み得、固形担体は、未反応のポリヌクレオチドを除去するために洗浄される。固形担体は、例えば、捕捉樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、方法は、dTによる精製を含む。
本開示によれば、本開示のmRNAワクチンをコードする鋳型DNAは、1つまたは複数の癌エピトープをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、最大で1000のヌクレオチドのORFを含み、例えば、約10〜350のヌクレオチド、約30〜300のヌクレオチド、または約50〜250のヌクレオチドのORFを含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、約150のヌクレオチドのORFを含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、約200のヌクレオチドのORFを含む。
いくつかの実施形態では、IVT転写物は、反応が生じた後のIVT反応混合物の構成成分から精製される。例えば、未精製のIVT混合物は、元の鋳型を消化するために、RNaseを含まないDNaseで処理してよい。mRNAは、当該技術分野において知られる方法を使用して精製することができ、こうした方法には、限定はされないが、有機溶媒を使用する沈殿、またはカラムに基づく精製方法が含まれる。RNAを精製するためには、例えば、MEGACLEAR(商標)キット(Ambion,Austin,TX)などの市販のキットが利用可能である。mRNAは、当該技術分野において知られる方法を使用して定量化することができ、こうした方法には、限定はされないが、例えば、NanoDropなどの市販の機器を用いるものが含まれる。精製されたmRNAは、例えば、RNAのサイズが正しいかの確認、及び/またはRNAに分解が生じていないかの確認を行うためにアガロースゲル電気泳動によって分析することができる。
鋳型DNAは、5’−キャップ構造または3’−ポリ(A)尾部などの他の構造的特徴に加えて、1つまたは複数の安定化要素を含み得、こうした安定化要素には、限定はされないが、その5’末端の非翻訳領域(UTR)(5’UTR)及び/またはその3’末端の非翻訳領域(UTR)(3’UTR)が含まれる。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、約1〜30のヌクレオチドの5’−UTRを含み、例えば、約5〜25のヌクレオチドまたは約10〜20のヌクレオチドの5’−UTRを含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、13のヌクレオチドの5’−UTRを含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、5’−UTRを含まない。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、約1〜60のヌクレオチドの3’−UTRを含み、例えば、10〜50のヌクレオチドの3’−UTRを含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、40のヌクレオチドの3’−UTRを含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、3’−UTRを含まない。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、1〜150のヌクレオチドの3’−ポリ(A)尾部を含み、例えば、10〜100のヌクレオチド(例えば、30のヌクレオチド)の3’−ポリ(A)尾部を含む。そのような安定化要素は、IVT反応における転写を目的とするDNAに含めてもよく、または別に合成し、IVT反応から得られる生成RNAに付加してもよい。
本開示のRNAに3’−ポリ(A)尾部を付加してよい。ポリ(A)尾部の付加方法は、当該技術分野においてよく知られている。そのような方法には、限定はされないが、ポリ(A)ポリメラーゼによる触媒作用または過ヨウ素酸処理が含まれる。あるいは、またはさらに、ポリ(A)尾部は、別に合成した後、クリックケミストリー、オルトクリックケミストリー、ソルリンク(solulink)、または当業者に知られる他の生体複合化ケミストリーなどの、任意の適切な技術を使用してRNAに付加することができる。
本開示のRNAに7−メチルグアノシン(m7G)キャップを付加してよい。m7Gキャップの付加方法は、当該技術分野においてよく知られている。例には、限定はされないが、T7ポリメラーゼなどのRNAポリメラーゼを使用して抗リバースキャップ類似体(ARCA)の同時転写組み込みが含まれる。T7によるARCAを含むmRNAの生成には、HiScribe(商標)T7 ARCA mRNAキット(New England BioLabs)などの市販のキットが利用可能である。
本開示に従って、例えばトリホスフェートケミストリーを使用し、キメラポリヌクレオチドの2つの領域または部分を連結またはライゲーションしてよい。いくつかの実施形態では、100以下のヌクレオチドの第1の領域または部分は、化学的に合成され、5’はモノホスフェートとなり、末端の3’−OHは除去または遮断される。領域が80のヌクレオチドより長いのであれば、後にライゲーションによって化学的に連結されることになる2つ以上の鎖として合成してよい。第1の領域または部分が、IVTを使用して、非位置的に修飾された領域または部分として合成されるのであれば、その後に、5’−モノホスフェートへと変換し、続けて3’末端のキャッピングを実施してよい。モノホスフェート保護基は、当該技術分野で知られるもののいずれから選択してもよい。キメラポリヌクレオチドの第2の領域または部分は、例えば本明細書に記載の、化学合成法またはIVT法のいずれを使用して合成してもよい。IVT法は、修飾されたキャップを有するプライマーを利用することができるRNAポリメラーゼの使用を含み得る。あるいは、キャップは、化学的に合成し、IVTの領域または部分にカップリングさせてよい。
ライゲーション方法については、DNA T4リガーゼでのライゲーションの後に、(DNA T4リガーゼの活性に必要になるDNAスプリントを除去するために)DNAseで処理することで、望ましくない連結産物形成が容易に阻止されるであろうことに留意されたい。
キメラポリヌクレオチド全体がホスフェート−糖骨格で製造される必要はない。領域または部分の1つがポリペプチドをコードするのであれば、そのような領域または部分は、ホスフェート−糖骨格を含むことが好ましい。
ライゲーションは、酵素的ライゲーション、クリックケミストリー、オルトクリックケミストリー、ソルリンク(solulink)、または当業者に知られる他の生体複合化ケミストリーなどの、任意の適切な技術を使用して実施してよい。いくつかの実施形態では、ライゲーションは、相補的オリゴヌクレオチドスプリントによって誘導される。いくつかの実施形態では、ライゲーションは、相補的オリゴヌクレオチドスプリントなしで実施される。
他の態様では、本発明は、IVT法によるmRNA癌ワクチンの調製を目的とするキットに関する。個別化癌ワクチンでは、患者特異的変異を同定し、1つまたは複数のネオエピトープで患者にワクチン接種を施すことが重要である。そのようなワクチンでは、mRNAのORFによってコードされる抗原(複数可)は、患者特異的ということになる。抗原(複数可)をコードするRNAの5’末端及び3’末端は、多くのRNAに共通する非翻訳領域及び安定化領域を含むため、より広く適用可能であり得る。数ある中でも特に、本開示は、RNAの1つまたは複数の5’領域及び/3’領域などの、キメラポリヌクレオチドの1つまたは複数の部分を含むキットを提供し、こうした1つまたは複数の部分は、患者特異的エピトープをコードするORFと組み合わせてよい。例えば、キットは、5’−ORF、3’−ORF、及びポリ(A)尾部の1つまたは複数を含むポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、それぞれのポリヌクレオチド構成要素は、個々の容器に存在する。他の実施形態では、複数のポリヌクレオチド構成要素が単一の容器に共に存在する。いくつかの実施形態では、キットは、リガーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態では、提供されるキットは、使用のための説明を含む。いくつかの実施形態では、説明は、ORFをコードするエピトープと、例えば、5’−ORF、3’−ORF、及び/またはポリ(A)尾部などの、キットに含まれる1つまたは複数の他の構成要素と、のライゲーションについての説明を含む。
本発明による個別化癌ワクチンの生成方法は、組織試料に対して本明細書に記載の核酸またはタンパク質のディープシークエンシング法などの技術を使用する変異の同定を含む。いくつかの実施形態では、患者のトランスクリプトームにおける変異の最初の同定が実施される。患者のトランスクリプトームに由来するデータは、患者特異的かつ腫瘍特異的な発現変異を同定するために、患者のエクソームに由来する配列情報と比較される。比較によって推定ネオエピトープのデータセットが得られ、このデータセットは、ミュータノームと称される。ミュータノームは、患者当たり約100〜10,000の候補変異を含み得る。ミュータノームは、ネオ抗原ワクチンの生成を目的とする最適変異セットを同定するために、問い合わせまたはアルゴリズムのセットを使用するデータ探索解析に供される。いくつかの実施形態では、mRNAネオ抗原ワクチンが設計され、製造される。その後、患者はそのワクチンで治療される。
ネオ抗原ワクチンは、複数のネオエピトープ、または1つもしくは複数の単一のRNAワクチン、またはそれらの組み合わせを含むポリシストロニックワクチンであり得る。
いくつかの実施形態では、変異同定プロセスを開始してから、患者の治療を開始するまでの全方法は、2ヶ月未満で達成される。他の実施形態では、全プロセスは、7週間以内、6週間以内、5週間以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、または1週間未満で達成される。いくつかの実施形態では、全方法は、30日未満で実施される。
変異同定プロセスは、トランスクリプトーム解析とエクソーム解析との両方、またはトランスクリプトーム解析のみ、もしくはエクソーム解析のみを含み得る。いくつかの実施形態では、トランスクリプトーム解析が最初に実施され、エクソーム解析は2番目に実施される。解析は、生体試料または組織試料に対して実施される。いくつかの実施形態では、生体試料または組織試料は、血液試料または血清試料である。他の実施形態では、試料は、組織バンクの試料であるか、またはEBVで形質転換したB細胞である。
癌関連変異のある特定の特性を解析することによって、mRNAワクチンに含めるために最適なネオエピトープを評価及び/または選択し得るということが認識及び理解されてきた。例えば、所与の時点で、ワクチンに含めるためのネオエピトープのセットを選択されるために、いくつかの特性の1つまたは複数を評価または重み付けしてよい。1つのネオエピトープまたはネオエピトープのセットの特性には、例えば、患者のRNAシークエンシングもしくは他の核酸分析における遺伝子もしくは転写物レベルの発現評価、利用可能なデータベースにおける組織特異的発現、既知の癌遺伝子/腫瘍抑制因子、バリアントコール(variant call)信頼スコア、RNAシークエンシングに基づく対立遺伝子特異的発現、保存的アミノ酸置換と非保存的アミノ酸置換との比較、点変異の位置(TCRの関与増加についての中心スコア(Centering Score))、点変異の位置(HLAとの結合の差異についての固定スコア(Anchoring Score))、独自性(Selfness):患者のWESデータとのコアエピトープ相同性(<100%)、8マー〜11マーについてはHLA−A及びHLA−Bに対するIC50、15マー〜20マーについてはHLA−DRB1に対するIC50、広範結合スコア(promiscuity Score)(すなわち、結合すると予測される患者HLAの数)、8マー〜11マーについてはHLA−Cに対するIC50、15マー〜20マーについてはHLA−DRB3〜5に対するIC50、15マー〜20マーについてはHLA−DQB1/A1に対するIC50、15マー〜20マーについてはHLA−DPB1/A1に対するIC50、クラスIとクラスIIとの比率比較、患者においてカバーされるHLA−Aアロタイプ、HLA−Bアロタイプ、及びHLA−DRB1アロタイプの多様性、点変異と複合エピトープ(例えば、フレームシフト)との比率比較、及び/または偽エピトープHLA結合スコアが含まれ得る。
いくつかの実施形態では、最適なオエピトープの同定に使用される癌関連変異癌の特性は、変異の型、患者試料における変異の存在量、免疫原性、自己反応性の欠如、ペプチド組成の性質と関連する特性である。
変異の型が決定され、推定エピトープをワクチンに含めるべきかどうかの決定要素として考慮されるべきである。変異の型は、変わり得るものである。いくつかの実例では、単一のワクチンに異なる型の変異を複数含めることが望ましくあり得る。他の実例では、単一の型の変異がより望ましくあり得る。特定の変異に対する値を重み付け及び計算することができる。いくつかの実施形態では、特定の変異は、一塩基多型(SNP)である。いくつかの実施形態では、特定の変異は、複合変異体であり、例えば、イントロンの保持、複合的なスプライシング事象、または配列のリーディングフレームを変化させる挿入/欠失変異から生じるペプチド配列である。
患者試料における変異の存在量もスコア化し、推定エピトープをワクチンに含めるべきかどうかの決定要素としてよい。大量に存在する変異は、より強固な免疫応答を促進し得る。
免疫原性の考慮は、ワクチンに含めるための最適なネオエピトープの選択における重要な要素である。免疫原性は、例えば、ネオエピトープのMHC結合能力、HLA広範結合度、変異位置、T細胞の予測される反応性、T細胞の実際の反応性、特定の立体構造及び結果的な溶媒への露出につながる構造、ならびに特定のアミノ酸の表現状態(representation)を解析することによって評価してよい。NetMHC予測アルゴリズムなどの既知のアルゴリズムを使用することで、一般的なHLA−A対立遺伝子及びHLA−B対立遺伝子にペプチドが結合する能力を予測することができる。インシリコの3次元解析及び/またはタンパク質ドッキングプログラムによってMHCと結合したペプチドの構造評価を実施してもよい。エピトープがMHC分子に結合したときにエピトープのアミノ酸残基が溶媒に露出する度合いを評価するために、Rosettaアルゴリズムから得たものなどの、MHC分子への結合時の予測エピトープ構造を使用してよい。T細胞反応性は、エピトープ及びT細胞をインビトロで用いて実験的に評価してよい。あるいは、T細胞反応性は、T細胞応答/配列データセットを使用して評価してよい。
ワクチンに含まれるネオエピトープに重要な要素は、自己反応性が存在しないことである。推定ネオエピトープは、そのエピトープが、例えば、悪性細胞内で遺伝子変化の結果として生じ、腫瘍組織に限ったものであることを確認するためにスクリーニングしてよい。理想的には、エピトープは、患者の正常組織には存在するべきではなく、したがって、自己に類似したエピトープは、データセットから除外される。自己反応性が存在しないことを決定するために、ネオ抗原候補の比較のための参照として個別化コードゲノムを使用してよい。いくつかの実施形態では、個別化コードゲノムは、個別化されたトランスクリプトーム及び/またはエクソームから生成される。
エピトープの設計においてペプチド組成の性質を考慮してもよい。例えば、エピトープに見られる保存アミノ酸と非保存アミノ酸とを比較した値に対するスコアをそれぞれの推定エピトープに与えることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のツールによって実施される解析は、異なる時間、すなわち、治療行為の前及び後に患者から得られる異なる特性セット、異なる組織試料から得られる異なる特性セット、同様の腫瘍を有する異なる患者から得られる異なる特性セット等の比較を含み得る。いくつかの実施形態では、あるセットの特性に由来するピーク値の平均を別のセットの特性に由来するピーク値の平均と比較してよい。例えば、2つの異なるセットの分布の間でHLA結合の平均値を比較してよい。2つのセットの分布は、例えば、日数、月数、または年数によって区切られた期間について決定してよい。
さらに、発明者らは、本明細書に記載のアルゴリズムを使用することで、癌変異の特性に対するそのようなデータを収集し、解析し得ることを認識及び理解している。データは、個別化癌ワクチンを開発するためのネオエピトープ及びネオエピトープのセットの同定に有用である。
いくつかの実施形態では、腫瘍変異ペプチドの注解された転写物はすべて、本発明に従ってワクチンに含められる。いくつかの実施形態では、RNAシークエンシングにおいて同定されたRNAの翻訳物が、本発明に従ってワクチンに含められる。
例えば、2つ以上のネオ抗原などの、2つ以上のペプチドのコンカテマーによって、ペプチドの境界に、意図されない新たなエピトープ(偽エピトープ)が創出され得ることを理解されたい。そのような偽エピトープを阻止または除外するために、クラスI対立遺伝子がヒットするかを、コンカテマーにおけるペプチド境界にわたってスクリーニングしてよい。いくつかの実施形態では、偽エピトープの形成を低減または除外するために、コンカテマー内のペプチドの順序がシャッフルされる。いくつかの実施形態では、偽エピトープの形成を低減または除外するために、ペプチド間にリンカーを使用してよく、こうしたリンカーは、例えば、グリシンなどの単一アミノ酸のリンカーである。いくつかの実施形態では、偽エピトープの形成を低減または除外することになる他のアミノ酸でアンカーアミノ酸を交換することができる。いくつかの実施形態では、偽エピトープの形成を低減または除外するために、コンカテマー内のペプチド境界でペプチドが切り詰められる。
いくつかの実施形態では、複数のペプチドエピトープ抗原は、偽エピトープが最小化するように配置及び順序決定される。他の実施形態では、複数のペプチドエピトープ抗原は、偽エピトープを含まないポリペプチドである。癌抗原エピトープが、コンカテマー構造においてヘッドトゥーテール編成で配置されると、それぞれの癌抗原エピトープの間にジャンクションが形成される。このジャンクションは、ペプチドのN末端に存在するエピトープに由来するいくつかのアミノ酸、すなわち1〜10のアミノ酸と、直接連結される隣接エピトープのC末端のいくつかのアミノ酸、すなわち1〜10のアミノ酸と、を含む。ジャンクションは、免疫応答を生成し得る免疫原性ペプチドではないことが重要である。いくつかの実施形態では、ジャンクションは、個別化癌ワクチンの設計対象である対象のHLAタンパク質に対して、約50nMを超えるIC50で結合するペプチド配列を形成する。他の実施形態では、ジャンクションのペプチド配列は、対象のHLAタンパク質に対して、約10nM、約150nM、約200nM、約250nM、約300nM、約350nM、約400nM、約450nm、または約500nMを超えるIC50で結合する。
本明細書に記載の技術に従ってネオエピトープを特徴付けるシステムは、任意の適切な形態をとり得るものであり、この点に関して実施形態は限定されない。いくつかの実施形態と関連させて使用してよいコンピューターシステム900の実施態様の例は、図15に示される。上記の機能性のいずれを実施するためにも、コンピューターシステム900などの、1つまたは複数のコンピューターシステムを使用してよい。コンピューターシステム900は、1つまたは複数のプロセッサ910と、例えば、揮発性記憶装置920及び1つまたは複数の不揮発性記憶媒体930などの1つまたは複数のコンピューター可読記憶媒体(すなわち、有形かつ非一過性のコンピューター可読媒体)と、を含み得、こうした記憶媒体は、任意の適切なデータ記憶媒体から形成し得る。プロセッサ910は、任意の適切な様式で揮発性記憶装置920及び不揮発性記憶装置機器930からのデータ書き込み及びデータ読み込みを制御し得、この点に関して実施形態は限定されない。本明細書に記載の機能性のいずれを実施するためにも、プロセッサ910は、1つまたは複数のコンピューター可読記憶媒体(例えば、揮発性記憶装置920及び/または不揮発性記憶装置930)に記憶される1つまたは複数の命令を実行し得、こうした記憶媒体は、プロセッサ910によって実行するための命令を記憶する有形かつ非一過性のコンピューター可読媒体として働き得る。
上記の実施形態は、多くの様式のいずれで実施することもできる。例えば、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実施してよい。ソフトウェアにおいて実施されるとき、任意の適切なプロセッサまたはプロセッサの集合体でソフトウェアコードを実行することができ、こうしたプロセッサが、単一のコンピューターにおいて提供されるか、または複数のコンピューター間に分散しているかは問われない。上記の機能を実施する任意の要素または要素の集合体が、一般に、上で議論される機能を制御する1つまたは複数の制御装置であると考え得ることを理解されるべきである。1つまたは複数の制御装置は、専用のハードウェア、または上記の機能を実施するためのマイクロコードもしくはソフトウェアを使用してプログラム化された汎用ハードウェア(例えば、1つもしくは複数のプロセッサ)などを用いてさまざまな様式で実施することができる。
この点に関して、1つの実施態様は、少なくとも1つのコンピューター可読記憶媒体(すなわち、少なくとも1つの有形かつ非一過性のコンピューター可読媒体)を含むと理解されるべきであり、こうしたコンピューター可読記憶媒体は、1つまたは複数のプロセッサで実行されると、上で議論される機能を実施するコンピュータープログラム(すなわち、複数の命令)がコードされるコンピューターメモリー(例えば、ハードドライブ、フラッシュメモリー、プロセッサワーキングメモリー等)、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、磁気テープ、または他の有形かつ非一過性のコンピューター可読媒体などである。コンピューター可読記憶媒体は持ち運び可能であり、その結果、そこに記憶されるプログラムは、本明細書で議論される技術を実施するために任意のコンピューターリソースに読み込ませることができる。さらに、実行されると上で議論される機能を実施するコンピュータープログラムに対する参照は、ホストコンピューターで動くアプリケーションプログラムに限定されないことを理解されるべきである。むしろ、本明細書では、「コンピュータープログラム」という用語は、上記の技術を実施する1つまたは複数のプロセッサをプログラムするために用いることができる任意の型のコンピューターコード(例えば、ソフトウェアまたはマイクロコード)を参照するために一般的な意味において使用される。
治療方法
ヒト及び他の哺乳類における癌の予防及び/または治療を目的とする組成物(例えば、医薬組成物)、方法、キット、及び試薬が本明細書で提供される。癌RNAワクチンは、治療剤または予防剤として使用することができる。癌RNAワクチンは、癌を予防及び/または治療するための医療において使用してよい。例示の態様では、本開示の癌RNAワクチンは、癌からの予防的保護を与えるために使用される。癌からの予防的保護は、本開示の癌RNAワクチンの投与後に達成することができる。ワクチンは、1回、2回、3回、4回、またはそれより多い回数投与することができるが、1回のワクチン投与(続いて任意選択でブースターの単回投与)で十分である可能性を有している。治療応答を達成するために、癌を有する個体にワクチンを投与することがより望ましい。投薬は、状況に応じて調節する必要があり得る。
mRNAワクチンが合成されると、患者に投与される。いくつかの実施形態では、ワクチンは、最大2ヶ月、最大3ヶ月、最大4ヶ月、最大5ヶ月、最大6ヶ月、最大7ヶ月、最大8ヶ月、最大9ヶ月、最大10ヶ月、最大11ヶ月、最大1年、最大1年半、最大2年、最大3年、または最大4年のスケジュールで投与される。スケジュールは、同一であるか、または変更され得る。いくつかの実施形態では、スケジュールは、最初の3ヶ月は1週間に1回であり、その後は1ヶ月に1回となる。
ワクチンは、任意の経路によって投与してよい。いくつかの実施形態では、ワクチンは、筋肉内または静脈内の経路によって投与される。
ワクチンにおける変異が依然として適切であるかどうかを決定するために、治療の任意の時点で患者を調べてよい。その分析に基づいてワクチンを調節または再形成することで、1つもしくは複数の異なる変異を含めるか、または1つもしくは複数の変異を除去してよい。
治療組成物及び予防組成物
例えば、ヒトまたは哺乳類における癌の予防、治療、または診断を目的とする組成物(例えば、医薬組成物)、方法、キット、及び試薬が本明細書で提供される。癌RNAワクチンは、治療剤または予防剤として使用することができる。癌RNAワクチンは、癌を予防及び/または治療するための医療において使用してよい。いくつかの実施形態では、本発明の癌ワクチンは、例えば、末梢血単核球(PBMC)をエクスビボで活性化するための、免疫エフェクター細胞のプライミングにおける使用を想定することができ、当該末梢血単核球(PBMC)は、その後、対象へと注入(再注入)される。
例示の実施形態では、本明細書に記載のRNAポリヌクレオチドを含む癌ワクチンは、対象(例えば、ヒト対象などの哺乳類対象)に投与することができ、RNAポリヌクレオチドは、インビボで翻訳されることで抗原ポリペプチドを生成する。
癌RNAワクチンは、細胞、組織、または生物においてポリペプチド(例えば、抗原または免疫原)の翻訳を誘導し得る。例示の実施形態では、そのような翻訳はインビボで生じるが、そのような翻訳がエクスビボ、培養物中、またはインビトロで生じる実施形態を想定することができる。例示の実施形態では、細胞、組織、または生物は、抗原ポリペプチドをコードする少なくとも1つの翻訳可能領域を有するポリヌクレオチドを含む癌RNAワクチンを含む有効量の組成物と接触する。
「有効量」の癌RNAワクチンは、ポリヌクレオチドの標的組織、標的細胞型、投与手段、物理的特徴(例えば、ヌクレオシドのサイズ及び修飾度)、ならびに癌RNAワクチンの他の成分、ならびに他の決定要素に少なくとも部分的に基づいて提供される。一般に、有効量の癌RNAワクチン組成物は、細胞における抗原産生に応じて免疫応答を誘導または強化し、こうした抗原産生は、好ましくは、同一の抗原またはペプチド抗原をコードする対応する非修飾ポリヌクレオチドを含む組成物と比較してより効率的である。抗原産生の増加は、細胞トランスフェクション(RNAワクチンが細胞にトランスフェクトされる割合)の増加、ポリヌクレオチドからのタンパク質の翻訳の増加、核酸分解の減少(例えば、修飾ポリヌクレオチドからのタンパク質の翻訳持続期間の増加によって示される)、または宿主細胞の抗原特異的免疫応答の変化によって示され得る
いくつかの実施形態では、本開示によるRNAワクチン(ポリヌクレオチド及びそれがコードするポリペプチドを含む)は、癌の治療に使用してよい。
癌RNAワクチンは、健康な個体または早期癌もしくは症状発症後の活性期の癌を有する個体に対する活性免疫化スケジュールの一部として予防的または治療的に投与してよい。いくつかの実施形態では、本開示のRNAワクチンが細胞、組織、または対象に提供される量は、免疫予防に有効な量であり得る。
癌RNAワクチンは、他の予防化合物または治療化合物と共に投与してよい。非限定例として、予防化合物または治療化合物は、アジュバントまたはブースターであり得る。ワクチンなどの組成物を指すとき、本明細書で使用される「ブースター」という用語は、予防(ワクチン)組成物の追加投与を指す。ブースター(またはブースターワクチン)は、予防組成物が先に投与された後に与えてよい。予防組成物の初回投与とブースターとの投与時間間隔は、限定はされないが、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、35分、40分、45分、50分、55分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、10日、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、25年、30年、35年、40年、45年、50年、55年、60年、65年、70年、75年、80年、85年、90年、95年、または99年超であり得る。例示の実施形態では、予防組成物の初回投与とブースターとの投与時間間隔は、限定はされないが、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年であり得る。
1つの実施形態では、ポリヌクレオチドは、当該技術分野において知られるワクチンの投与と同様に筋肉内または皮内に投与してよい。
mRNA癌ワクチンは、癌の重症度またはアンメットメディカルニーズの程度もしくはレベルに応じてさまざまな状況において利用してよい。非限定例として、mRNA癌ワクチンは、任意のステージの癌の治療に利用してよい。mRNA癌ワクチンは、市販の抗癌ワクチンと比較して、生成抗体価がはるかに高く、T細胞応答を生成し、応答生成が早いという点において優れた特性を有する。理論に束縛されるものではないが、mRNA癌ワクチンは天然の細胞機構を取り入れているため、mRNAであるmRNA癌ワクチンは、翻訳時に適切なタンパク質の立体構造を生成するように良好に設計されると発明者らは仮定する。エクスビボで製造され、望ましくない細胞応答を誘発する可能性のある従来型ワクチンとは異なり、mRNA癌ワクチンは、より自然な方法で細胞系に提示される。
mRNA癌ワクチンが治療し得る癌のリストが以下に示されるが、そのリストに限定はされない。ペプチドエピトープまたは抗原は、こうした癌または腫瘍の任意の抗原に由来し得る。そのようなエピトープは、癌抗原または腫瘍抗原と称される。癌細胞は、腫瘍進行の異なるフェーズの間に細胞表面分子を異なって発現し得る。例えば、癌細胞は、良性状態では細胞表面抗原を発現し得るが、転位時にその特定の細胞表面抗原を下方制御し得る。したがって、腫瘍抗原または癌抗原は、癌の進行の任意のステージの間に産生する抗原を包含し得ると想定される。本発明の方法は、こうした変化に適合するように調整してよい。例えば、特定の患者向けに異なるmRNAワクチンをいくつか生成してよい。例えば、治療の開始時点で最初のワクチンを使用してよい。その後のある時点で、新たなmRNAワクチンを生成し、患者に投与することで、発現中の異なる抗原を網羅してよい。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、下記の抗原のうちの1つである:CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、CD137、4−IBB、5T4、AGS−5、AGS−16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT−062、BTLA、CAIX、癌胎児抗原、CTLA4、クリプト(Cripto)、ED−B、ErbBl、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gplOO、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンav、インテグリンανβ、LAG−3、ルイスY、メソテリン、c−MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン−4、NKGD2、NOTCH、OX40、OX40L、PD−1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン−1、TACI、TAG−72、テネイシン、TIM3、TRAILRl、TRAILR2、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、及びそれらの変異体。
癌または腫瘍には、限定はされないが、新生物、悪性腫瘍、転移癌、または無制御の細胞増殖によって特徴付けられ、結果的に癌性であると想定される任意の疾患もしくは障害が含まれる。癌は、原発性または転移性の癌であり得る。本発明に従って治療することができる特定の癌には、限定はされないが、下記のものが含まれる(そのような障害の概説については、Fishman et al.,1985,Medicine,2d Ed.,J.B.Lippincott Co.,Philadelphiaを参照のこと)。癌には、限定はされないが、胆道癌、膀胱癌、神経膠芽腫及び髄芽腫を含む脳癌、乳癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、急性リンパ性白血病及び急性骨髄性白血病を含む血液新生物、多発性骨髄腫、AIDS関連白血病及び成人T細胞白血病リンパ腫、ボーエン病及びパジェット病を含む上皮内新生物、肝癌、肺癌、ホジキン病及びリンパ球性リンパ腫を含むリンパ腫、神経芽細胞腫、扁平上皮癌を含む口腔癌、上皮細胞、間質細胞、生殖細胞、及び間葉系細胞から生じるものを含む卵巣癌、膵癌、前立腺癌、直腸癌、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、及び骨肉腫を含む肉腫、メラノーマ、カポジ肉腫、基底細胞癌、及び扁平上皮癌を含む皮膚癌、セミノーマ、非セミノーマ、奇形腫、絨毛癌などの胚腫瘍を含む精巣癌、間質性腫瘍及び生殖細胞腫瘍、甲状腺の腺癌及び髄様癌を含む甲状腺癌、ならびに腺癌及びウィルムス腫瘍を含む腎癌が含まれる。一般に経験する癌には、乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、及び脳癌が含まれる。
癌RNAワクチン及びRNAワクチン組成物及び/または複合物を、1つもしくは複数の薬学的に許容される賦形剤と任意選択で組み合わせて含む医薬組成物が本明細書で提供される。
癌RNAワクチンは、単独で製剤化もしくは投与するか、または1つもしくは複数の他の成分と組み合わせて製剤化もしくは投与してよい。例えば、癌RNAワクチン(ワクチン組成物)は、限定はされないが、アジュバントを含む他の成分を含み得る。いくつかの実施形態では、癌RNAワクチンは、アジュバントを含まない(アジュバント非含有)。
他の実施形態では、本明細書に記載のmRNA癌ワクチンは、患者の治療に有用な任意の他の治療と組み合わせてよい。例えば、患者は、mRNA癌ワクチン及び抗癌剤で治療してよい。したがって、1つの実施形態では、本発明の方法は、1つまたは複数の癌治療と組み合わせて使用することができ、例えば、抗癌剤、従来型癌ワクチン、化学療法、放射線療法等と(例えば、同時に、または全治療手順の一部として)組み合わせて使用することができる。変動し得る癌治療のパラメーターには、限定はされないが、用量、投与タイミング、または期間もしくは治療が含まれ、癌治療は、用量、タイミング、または期間で変わり得る。癌の別の治療は手術であり、手術は、単独または前述の治療方法のいずれかと組み合わせて利用することができる。有用であることが知られているか、または癌の予防もしくは治療に使用されたことがあるか、もしくは現在使用されている任意の薬剤または治療(例えば、従来型癌ワクチン、化学療法、放射線療法、手術、ホルモン療法及び/または生物学的治療/免疫療法)を本発明の組成物と共に、本明細書に記載の発明に従って組み合わせて使用することができる。医療分野の当業者であれば、対象に適した治療を決定することができる。
そのような薬剤(すなわち、抗癌剤)の例には、限定はされないが、DNA相互作用性の薬剤(限定はされないが、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、クロラムブシル、シクロホスファミド、イソファミド(Isofamide)、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード);チオテパなどのアジリジン;ブスルファンなどのメタンスルホン酸エステル;カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシンなどのニトロソウレア;シスプラチン、カルボプラチンなどの白金錯体;マイトマイシン、及びプロカルバジン、ダカルバジン及びアルトレタミンなどの生体内還元性アルキル化剤);例えばブレオマイシンなどのDNA鎖切断剤;例えばアムサクリン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトキサントロンなどのインターカレーターなどの挿入性のトポイソメラーゼII阻害剤、ならびにエトポシド及びテニポシドなどの非インターカレーター;例えばエトポシド及びテニポシド(Teniposde)などの非挿入性のトポイソメラーゼII阻害剤;ならびに例えばプリカマイジン(Plicamydin)などのDNA副溝結合剤を含む);代謝拮抗剤(限定はされないが、メトトレキサート及びトリメトレキサートなどの葉酸アンタゴニスト;フルオロウラシル、フルオロデオキシウリジン、CB3717、アザシチジン、及びフロクスウリジンなどのピリミジンアンタゴニスト;メルカプトプリン、6−チオグアニン、ペントスタチンなどのプリンアンタゴニスト;シタラビン及びフルダラビンなどの糖修飾類似体;ならびにヒドロキシウレアなどのリボヌクレオチド還元酵素阻害剤を含む);チューブリン相互作用性の薬剤(限定はされないが、コルビチン(colcbicine)、ビンクリスチン及びビンブラスチン、両方のアルカロイド、ならびにパクリタキセル及びシトキサン(cytoxan)を含む);ホルモン剤(限定はされないが、エストロゲン、複合化エストロゲン及びエチニルエストラジオール及びジエチルスチルベステロール(Diethylstilbesterol)、クロロトリアニセン(Chlortrianisen)及びイデンエストロール(Idenestrol);カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン、及びメゲストロールなどのプロゲスチン;ならびにテストステロン、プロピオン酸テストステロンなどのアンドロゲン;フルオキシメステロン、メチルテストステロン;例えば、プレドニゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、及びプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド;例えば、酢酸ロイプロリド及び酢酸ゴセレリンなどの黄体化ホルモン放出ホルモン剤または性腺刺激ホルモン放出ホルモンアンタゴニストを含む);抗ホルモン抗原(antihormonal antigen)(限定はされないが、タモキシフェンなどの抗エストロゲン剤、フルタミドなどの抗アンドロゲン剤;ならびにミトタン及びアミノグルテチミドなどの抗副腎剤を含む);サイトカイン(限定はされないが、IL−1.アルファ.、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−18、TGF−β、GM−CSF、M−CSF、G−CSF、TNF−α、TNF−β、LAF、TCGF、BCGF、TRF、BAF、BDG、MP、LIF、OSM、TMF、PDGF、IFN−α、IFN−β、IFN−.γ、及びウテログロビン(米国特許第5,696、092号)を含む);抗血管新生剤(限定はされないが、VEGFを阻害する薬剤(例えば、他の中和抗体)、可溶性受容体構築物、チロシンキナーゼ阻害剤、アンチセンス戦略、VEGFまたはVEGF受容体に対するRNAアプタマー及びリボザイム、免疫毒素及びコアグリガンド(coaguligand)、腫瘍ワクチン、ならびに抗体を含む)が含まれる。
本発明の方法に従って使用することができる抗癌剤の特定の例には、限定はされないが、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール塩酸塩、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、ビサントレン塩酸塩、メシル酸ビスナフィド、ビセレシン、ブレオマイシン硫酸塩、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、カルビシン塩酸塩、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロラムブシル、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、メシル酸クリスナトール、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、メシル酸デザグアニン、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドロロキシフェン、ドロロキシフェンクエン酸塩、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキサート、エフロミチン塩酸塩(eflomithine hydrochloride)、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロマート、エピプロピジン、エピルビシン塩酸塩、エルブロゾール、エソルビシン塩酸塩、エストラムスチン、エストラムスチンホスフェートナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、エトポシドホスフェート、エトプリン、ファドロゾール塩酸塩、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、フルダラビンホスフェート、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、ヒドロキシウレア、イダルビシン塩酸塩、イホスファミド、イルモホシン、インターロイキンII(組換えインターイエキン(interieukin)IIまたはrIL2を含む)、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ−Ia、インターフェロンガンマ−Ib、イプロプラチン、イリノテカン塩酸塩、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸リュープロリド、リアロゾール塩酸塩、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、ロソキサントロン塩酸塩、マソプロコール、マイタンシン、メクロレタミン塩酸塩、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、ミトマルシン、マイトマイシン、ミトスペル、ミトタン、ミトキサントロン塩酸塩、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、ピロキサントロン塩酸塩、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、ピューロマイシン、ピューロマイシン塩酸塩、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、サフィンゴール塩酸塩、セムスチン、シムトラゼン、スパルフォセートナトリウム、スパルソマイシン、スピロゲルマニウム塩酸塩、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、テガフール、テロキサントロン塩酸塩、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン、ツブロゾール塩酸塩、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシナート、硫酸ビンロイロシン、ビノレルビン酒石酸塩、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、及びゾルビシン塩酸塩が含まれる。
他の抗癌剤には、限定はされないが、20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3、5−エチニルウラシル、血管新生阻害剤、抗背側化形態形成タンパク質―1(anti−dorsalizing morphogenetic protein−1)、アラ−CDP−DL−PTBA、BCR/ABLアンタゴニスト、CaRestM3、CARN700、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、クランベシジン816、クリプトフィシン8、クラシンA、デヒドロジデムニンB、ジデムニンB、ジヒドロ−5−アザシチジン、ジヒドロタキソール,デュオカルマイシンSA、カハラリドF、ラメラリン−Nトリアセテート、リュープロリド+エストロゲン+プロゲステロン、リッソクリナミド7、モノホスホリルリピドA+マイオバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk、N−アセチルジナリン、N−置換ベンズアミド、O6−ベンジルグアニン、プラセチンA、プラセチンB、白金錯体、白金化合物、白金−トリアミン複合体、レニウムRe186エチドロネート、RIIレチンアミド、ルビギノンB1、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、老化由来阻害剤1(senescence derived inhibitor1)、スピカマイシンD、タリムスチン、5−フルオロウラシル、トロンボポエチン、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、バリオリンB、サリドマイド、ベラレソール、ベラミン(veramine)、ベルジン(verdin)、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン(vinxaltine)、ビタキシン(vitaxin)、ザノテロン、ゼニプラチン、及びジラスコルブが含まれる。
本発明は、癌細胞を破壊するためのX線、ガンマ線、及び他の線源の使用を含む放射線療法と組み合わせた、mRNA癌ワクチンを含む組成物の投与も包含する。好ましい実施形態では、放射線治療は、外照射または遠隔療法として実施され、放射線は、遠隔の線源から向けられる。他の好ましい実施形態では、放射線治療は、内療法または密封小線源療法として実施され、放射能源は、癌細胞または腫瘤に近接して体内に設置される。
特定の実施形態では、癌の型に応じて適切な抗原レジメンが選択される。例えば、卵巣癌を有する患者には、卵巣癌治療に有用な1つまたは複数の他の薬剤を予防的または治療的に有効な量で組み合わせて、mRNA癌ワクチンを含む予防的または治療的に有効な量の組成物を投与してよく、卵巣癌治療に有用なこうした他の薬剤には、限定はされないが、P32療法などの腹腔内放射線療法、複部及び骨盤全体の放射線療法、シスプラチン、パクリタキセル(タキソール)もしくはドセタキセル(タキソテール)とシスプラチンもしくはカルボプラチンとの組み合わせ、シクロホスファミドとシスプラチンとの組み合わせ、シクロホスファミドとカルボプラチンとの組み合わせ、5−FUとロイコボリンとの組み合わせ、エトポシド、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、またはトポテカンが含まれる。癌治療及びその用量、投与経路、ならびに推奨用法は、当該技術分野において知られており、Physician’s Desk Reference(56th ed.,2002)などの文献に記載されている。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、mRNA癌ワクチンは、免疫チェックポイント調節因子などのT細胞活性化因子と共に投与される。免疫チェックポイント調節因子には、刺激性チェックポイント分子と阻害性チェックポイント分子(すなわち、抗CTLA4抗体及び抗PD1抗体)との両方が含まれる。
刺激性チェックポイント阻害剤は、チェックポイントプロセスを促進することによって機能する。いくつかの刺激性チェックポイント分子は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーのメンバー(CD27、CD40、OX40、GITR、及びCD137)であり、他のものは、B7−CD28スーパーファミリーに属する(CD28及びICOS)。OX40(CD134)は、エフェクターT細胞及びメモリーT細胞の増殖に関与する。抗OX40モノクローナル抗体は、進行癌の治療に有効であることが示されている。MEDI0562は、ヒト化OX40アゴニストである。GITRは、グルココルチコイド誘導性TNFRファミリー関連遺伝子であり、T細胞の増殖に関与する。GITRに対するいくつかの抗体は、抗癌応答を促進することが示されている。ICOSは、誘導性のT細胞共刺激因子であり、T細胞のエフェクター機能において重要である。CD27は、ナイーブT細胞の抗原特定的な増殖を支持し、T細胞及びB細胞のメモリー生成に関与する。アゴニストである抗CD27抗体がいくつか開発中である。CD122は、インターロイキン−2受容体ベータサブユニットである。NKTR−214は、CD122偏向結合性免疫賦活性サイトカインである。
阻害性チェックポイント分子には、限定はされないが、PD−1、TIM−3、VISTA、A2AR、B7−H3、B7−H4、BTLA、CTLA−4、IDO、KIR、及びLAG3が含まれる。CTLA−4、PD−1、及びそのリガンドは、T細胞機能及び他の細胞機能のすべての段階を通して重要な役割を担う共刺激分子のCD28−B7ファミリーのメンバーである。CTLA−4は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CD152)であり、T細胞の増殖制御に関与する。
PD−1受容体は、活性化したT細胞(及びB細胞)の表面に発現し、通常の状況下では、樹状細胞またはマクロファージなどの抗原提示細胞の表面に発現するそのリガンド(PD−L1及びPD−L2)に結合する。この相互作用は、T細胞にシグナルを送り込み、T細胞を阻害する。癌細胞は、その表面に高レベルのPD−L1発現を誘導することによって、このシステムを悪用する。これによって、癌細胞によるPD−1経路の支配が可能になり、腫瘍微小環境に侵入し得るPD−1発現T細胞のスイッチが切れることによって抗癌免疫応答が抑制される。ペンブロリズマブ(以前の名称はMK−3475及びランブロリズマブであり、商品名はKeytrudaである)は、癌免疫療法において使用されるヒト抗体である。この抗体は、PD−1受容体を標的とする。
IDO(インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ)は、T細胞及びNK細胞を抑制するトリプトファン分解酵素であり、Treg及び骨髄系由来サプレッサー細胞を生成及び活性化すると共に、腫瘍の血管新生を促進する。TIM−3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)は、そのリガンドであるガレクチン−9と相互作用すると細胞死を引き起こすことによってTh1/Tc1機能の負の制御因子として働く。VISTAは、T細胞活性化のV−ドメインIgサプレッサーである。
チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質もしくはそれらの組み合わせ、または小分子などの分子である。例えば、チェックポイント阻害剤は、チェックポイントタンパク質を阻害するものであり、こうしたチェックポイントタンパク質は、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN−15049、CHK1、CHK2、A2aR、B−7ファミリーのリガンド、またはそれらの組み合わせであり得る。チェックポイントタンパク質のリガンドには、限定はされないが、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN−15049、CHK1、CHK2、A2aR、及びB−7ファミリーのリガンドが含まれる。いくつかの実施形態では、抗PD−1抗体は、BMS−936558(ニボルマブ)である。他の実施形態では、抗CTLA−4抗体は、イピリムマブ(商品名はYervoyであり、以前はMDX−010及びMDX−101として知られる)である。
いくつかの好ましい実施形態では、チェックポイント調節因子を含む癌治療剤は、例えば、抗PD1、サイトカイン、ケモカイン、または刺激性受容体/リガンド(例えば、OX40)などの癌治療剤をコードするmRNAの形態で送達される。
いくつかの実施形態では、癌治療剤は、標的治療である。標的治療は、ベムラフェニブ(PLX4032)またはダブラフェニブなどのBRAF阻害剤であり得る。BRAF阻害剤は、PLX4032、PLX4720、PLX4734、GDC−0879、PLX4032、PLX−4720、PLX4734、及びトシル酸ソラフェニブであり得る。BRAFは、B−Rafと呼ばれるタンパク質をつくるヒト遺伝子であり、癌原遺伝子B−Raf及びv−Rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1とも称される。B−Rafタンパク質は、細胞増殖の誘導に関与する細胞内でのシグナル送達に関与する。ベムラフェニブは、BRAF阻害剤であり、後期のメラノーマの治療を対象としてFDAによって認可された。
他の実施形態では、T細胞治療剤は、OX40Lである。OX40は、腫瘍壊死因子/神経成長因子受容体(TNFR/NGFR)ファミリーのメンバーである。OX40は、T細胞活性化ならびに正常及び悪性のリンパ球系細胞の分化、増殖、またはアポトーシスの制御において一定の役割を担い得る。
他の実施形態では、癌治療剤は、サイトカインである。さらに他の実施形態では、癌治療剤は、集団ベースの腫瘍特異的抗原を含むワクチンである。
他の実施形態では、癌治療剤は、癌−生殖系列遺伝子が発現する1つまたは複数の従来型抗原(複数の患者に見られる腫瘍に共通する抗原であり、「共通癌抗原」とも称される)を含むワクチンである。いくつかの実施形態では、従来型抗原は、癌もしくは腫瘍に一般に見られることが知られるものであるか、または特定の型の癌もしくは腫瘍において見られることが知られるものである。いくつかの実施形態では、従来型癌抗原は、変異していない腫瘍抗原である。いくつかの実施形態では、従来型癌抗原は、変異した腫瘍抗原である。
P53遺伝子(正式記号TP53)は、ヒトの癌においてほかのどの遺伝子よりも高い頻度で変異する。P53に生じる変異のほとんどで、そのゲノム位置は1人または少数の患者のみに特有であるため、こうした変異は、特定の患者集団向けに設計される治療ワクチンのための反復ネオ抗原として使用できないことが大規模コホート研究によって示された。しかしながら、p53遺伝子座の小サブセットは実に「ホットスポット」のパターンを示しており、そこでは、遺伝子のいくつかの位置が相対的に高い頻度で変異するのである。際だったことに、反復して変異するこうした領域の大部分が、エクソンとイントロンとの境界付近に存在し、mRNAのスプライシング機構によって認識される標準のヌクレオチド配列モチーフを破壊する(図16)。スプライシングモチーフが変異すると、局所的なアミノ酸配列には変化が生じない(すなわち、同義変異またはイントロン変異)と予測されるとしても、最終的なmRNA配列には変化が生じ得る。それ故に、こうした変異によって予測不可能な様式でmRNAのスプライシングに変化が生じ得、翻訳されるタンパク質が著しい機能的影響を受け得るにもかかわらず、こうした変異は、一般的なアノテーションツールによって「ノンコーディング」として注解されてしまい、さらに解析されることなく無視されることが多い。代替的にスプライシングを受けたアイソフォームにインフレームの配列変化が生じる(すなわち、中途終始コドン(pretermination codon)(PTC)が生じない)のであれば、こうしたアイソフォームはナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)による排除を免れることができ、速やかに発現し、プロセシングを受けてHLA系によって細胞表面に提示される。さらに、変異に由来する代替的なスプライシングは、通常、「潜在性」であって、すなわち、正常組織では発現しないものであり、それ故に、T細胞によって非自己のネオ抗原として認識され得る。
いくつかの実例では、癌治療剤は、癌治療剤は、反復多型(「ホットスポット変異」)であるネオ抗原を1つまたは複数含むワクチンである。例えば、数ある中でも特に、本発明は、p53におけるある特定の反復体細胞癌変異から得られるネオ抗原ペプチド配列を提供する。ネオ抗原ペプチド及びHLA拘束性エピトープが生じる変異及びmRNAのスプライシング事象の例には、限定はされないが、図17に示されるもの、及び下記のものが含まれる:
(1)コドン位置T125に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープAVSPCISFVW(配列番号2)(HLA−B*57:01、HLA−B*58:01)、エピトープHPLASCQCFF(配列番号3)(HLA−B*35:01、HLA−B*53:01)、エピトープFVWNFGIPL(配列番号4)(HLA−A*02:01、HLA−A*02:06、HLA−B*35:01)を含むペプチド配列TAKSVTCTVSCPEGLASMRLQCLAVSPCISFVWNFGIPLHPLASCQCFFIVYPLNV(配列番号1)を有する保持型イントロンを誘導する変異、
(2)コドン位置331に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープLQVLSLGTSY(配列番号6)(HLA−B*15:01)、エピトープFQSNTQNAVF(配列番号7)(HLA−B*15:01)を含むペプチド配列EYFTLQVLSLGTSYQVESFQSNTQNAVFFLTVLPAIGAFAIRGQ(配列番号5)を有する保持型イントロンを誘導する変異、
(3)コドン位置126に隣接する標準3’スプライス部位における変異であって、エピトープCTMFCQLAK(配列番号9)(HLA−A*11:01)、エピトープKSVTCTMF(配列番号10)(HLA−B*58:01)を含む新規のスパニングペプチド配列AKSVTCTMFCQLAK(配列番号8)を生成する潜在性の代替エクソン3’スプライス部位を誘導する変異、及び/または
(4)コドン位置224に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープVPYEPPEVW(配列番号12)(HLA−B*53:01、HLA−B*51:01)、エピトープLTVPPSTAW(配列番号13)(HLA−B*58:01、HLA−B*57:01)を含む新規のスパニングペプチド配列VPYEPPEVWLALTVPPSTAWAA(配列番号11)を生成する潜在性の代替イントロン5’スプライス部位を誘導する変異。
(転写コドン位置は、Ensemblのv83のヒトゲノムアノテーションに由来する標準の全長p53転写物であるENST00000269305(配列番号14)を参照したものである)
1つの実施形態では、本発明は、ネオ抗原ペプチド(1)〜(4)の1つまたは複数をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)をコードするmRNAを含む癌治療ワクチンを提供する。1つの実施形態では、本発明は、患者の腫瘍が上記の変異のいずれを含むかということに基づく、ペプチド(1)〜(4)の1つまたは複数を含むか、またはコードするワクチンの選択投与を提供する。1つの実施形態では、本発明は、対象の腫瘍が上記の変異のいずれを含むか、及び対象の正常なHLA型が、得られるネオ抗原に結合すると予測される対応HLA対立遺伝子を含むかという二重の判断基準に基づく、ワクチンの選択投与を提供する。
いくつかの実施形態では、癌治療ワクチンは、1つまたは複数の反復多型をコードする1つまたは複数のmRNAを含む。いくつかの実施形態では、癌治療ワクチンは、1つまたは複数の患者特異的ネオ抗原をコードする1つまたは複数のmRNAを含む。いくつかの実施形態では、癌治療ワクチンは、免疫チェックポイント調節因子をコードする1つまたは複数のmRNAを含む。1つもしくは複数の反復多型、1つもしくは複数の患者特異的ネオ抗原、及び/または1つもしくは複数の免疫チェックポイント調節因子は、任意の様式で組み合わせることができる。例えば、1つまたは複数のコンカテマー構築物が1つもしくは複数の反復多型、1つもしくは複数の患者特異的ネオ抗原、及び/または1つもしくは複数の免疫チェックポイント調節因子をコードすることが望ましくあり得る。他の実例では、1つもしくは複数の反復多型、1つもしくは複数の患者特異的ネオ抗原、及び/または1つもしくは複数の免疫チェックポイント調節因子は、別々のmRNA構築物によってコードされることが望ましくあり得る。1つもしくは複数の反復多型、1つもしくは複数の患者特異的ネオ抗原、及び/または1つもしくは複数の免疫チェックポイント調節因子は、同時に投与するか、または連続的に投与することができることを理解されたい。
mRNA癌ワクチン及び抗癌治療剤は、免疫治療応答をさらに増進するために組み合わせることができる。mRNA癌ワクチン及び他の治療剤は、同時または連続的に投与してよい。他の治療剤が同時に投与されるとき、それを同一の製剤または別々の製剤において投与することができるが、投与は同時に実施される。他の治療剤及びmRNA癌ワクチンの投与が時間的に別々であるとき、他の治療剤は、互いに連続的に投与され、かつmRNA癌ワクチンと連続的に投与される。こうした化合物の投与の時間間隔は、数分程度であり得るか、または例えば、数時間、数日、数週間、数ヶ月などの、より長い時間であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、こうした化合物の投与の時間間隔は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、12時間、24時間、またはそれより長い時間である。いくつかの実施形態では、こうした化合物の投与の時間間隔は、2日、3日、4日、5日、6日、または7日以上である。いくつかの実施形態では、mRNA癌ワクチンは、抗癌治療剤の前に投与される。いくつかの実施形態では、mRNA癌ワクチンは、抗癌治療剤の後に投与される。
他の治療剤には、限定はされないが、抗癌治療剤、アジュバント、サイトカイン、抗体、抗原等が含まれる。
RNAワクチンは、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて製剤化または投与してよい。いくつかの実施形態では、ワクチン組成物は、例えば、治療的に活性な物質、予防的に活性な物質、または両方の組み合わせなどの追加の活性物質を少なくとも1つ含む。ワクチン組成物は、無菌、発熱物質非含有、または無菌かつ発熱物質非含有であり得る。ワクチン組成物などの医薬剤の製剤化及び/または製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)において見つけてよい。
いくつかの実施形態では、癌RNAワクチンは、ヒト、ヒト患者、または対象に投与される。本開示の目的では、「活性成分」という語句は、一般に、例えば、抗原ポリペプチドをコードするRNAポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチド)などの、そこに含まれるRNAワクチンまたはポリヌクレオチドを指す。
本明細書に記載のワクチン組成物の製剤は、既に知られている任意の方法、または薬理学の分野において今後開発される任意の方法によって調製してよい。一般に、そのような調製方法は、活性成分(例えば、mRNAポリヌクレオチド)を賦形剤及び/または1つもしくは複数の他の付属成分と結びつける段階と、必要及び/または望ましいのであれば、その後に実施される、所望の単一用量単位または複数用量単位への製造物の分割段階、成形段階、及び/または充填段階と、を含む。
癌RNAワクチンは、下記のことを達成するために、1つまたは複数の賦形剤を使用して製剤化することができる:(1)安定性の向上、(2)細胞へのトランスフェクションの増加、(3)(例えば、デポ製剤からの)持続放出もしくは遅延放出の実現(4)生体内分布(例えば、特定の組織もしくは細胞型への標的指向化)の改変、(5)コードタンパク質のインビボでの翻訳の増加、及び/または(6)コードタンパク質(抗原)のインビボでの放出プロファイルの改変。任意及びすべての溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体媒体、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤などの従来型賦形剤に加えて、賦形剤には、限定はされないが、リピドイド(lipidoid)、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、癌RNAワクチンをトランスフェクトした細胞(例えば、対象への移植向け)、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣体、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
安定化要素
天然起源の真核生物mRNA分子は、5’−キャップ構造または3’−ポリ(A)尾部などの他の構造的特徴に加えて、安定化要素を含むことが明らかになっており、こうした安定化要素には、限定はされないが、その5’末端の非翻訳領域(UTR)(5’UTR)及び/またはその3’末端の非翻訳領域(UTR)(3’UTR)が含まれる。5’UTRと3’UTRとは両方共、典型的には、ゲノムDNAから転写され、未成熟mRNAの要素となる。5’−キャップ及び3’−ポリ(A)尾部などの、成熟mRNAの特徴的な構造的特徴は、通常、mRNAのプロセシングの間に転写(未成熟)mRNAに付加される。3’−ポリ(A)尾部は、典型的には、転写mRNAの3’末端にアデニンヌクレオチドが付加されたストレッチである。3’−ポリ(A)尾部は、最大で約400のアデニンヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、3’−ポリ(A)尾部の長さは、個々のmRNAの安定性に関して必須の要素であり得る。
いくつかの実施形態では、RNAワクチンは、1つまたは複数の安定化要素を含み得る。安定化要素には、例えば、ヒストンステムループが含まれ得る。ステムループ結合タンパク質(SLBP)は、32kDaのタンパク質として同定された。SLBPは、核と細胞質との両方においてヒストンメッセージの3’末端のヒストンステムループと会合する。SLBPの発現レベルは、細胞周期によって制御されており、ヒストンmRNAのレベルも上昇する時期であるS期の間にピークを迎える。このタンパク質は、U7snRNPによるヒストンmRNA前駆体の効率的な3’末端プロセシングに必須であることが示されている。SLBPは、プロセシング後にステムループと会合し続け、続いて細胞質において成熟ヒストンmRNAの、ヒストンタンパク質への翻訳を刺激する。SLBPのRNA結合ドメインは、後生動物から原生動物を通して保存されており、ヒストンステムループへのその結合は、ループの構造に依存する。最小結合部位は、ステムループに対して5’側にヌクレオチドを少なくとも3つ、及び3’側にヌクレオチドを少なくとも2つ含む。
いくつかの実施形態では、RNAワクチンは、コード領域、少なくとも1つのヒストンステムループ、及び任意選択でポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルを含む。ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルは、一般に、コードタンパク質の発現レベルを増進することになる。いくつかの実施形態では、コードタンパク質は、ヒストンタンパク質、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、GFP、EGFP、β−ガラクトシダーゼ、EGFP)、またはマーカーもしくは選択タンパク質(例えば、アルファ−グロビン、ガラクトキナーゼ、及びキサンチン:グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT))ではない。
いくつかの実施形態では、ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルと、少なくとも1つのヒストンステムループと、を組み合わせると、天然では互いが代替機構になるものの、それらが相乗的に働くことで、個々の要素のいずれかで観測されるレベルを超えてタンパク質の発現が増加する。ポリ(A)と少なくとも1つのヒストンステムループとの組み合わせの相乗効果は、要素の順序またはポリ(A)配列の長さに依存しないことが明らかになっている。
いくつかの実施形態では、RNAワクチンは、ヒストン下流要素(HDE)を含まない。「ヒストン下流要素」(HDE)は、天然起源のステムループの3’側に約15〜20ヌクレオチドを含む高プリン含量のポリヌクレオチドストレッチを含み、このストレッチは、U7snRNAに対する結合部位となっており、U7snRNAは、ヒストンmRNA前駆体を成熟ヒストンmRNAへと変換するプロセシングに関与する。理想的には、本発明の核酸は、イントロンを含まない。
いくつかの実施形態では、RNAワクチンは、エンハンサー配列及び/またはプロモーター配列を含んでも含まなくてもよく、こうした配列は、修飾もしくは非修飾とするか、または活性化もしくは不活性化してよい。いくつかの実施形態では、ヒストンステムループは、一般に、ヒストン遺伝子に由来するものであり、ヒストンステムループでは、スペーサーによって分離され、短い配列からなる部分的または完全に逆相補的な2つの隣接配列が分子内で塩基対を形成しており、これによってループ構造が形成される。対を形成しないループ領域は、典型的には、ステムループ要素のいずれとも塩基対を形成する能力を有さない。ステムループは、多くのRNA二次構造の重要な構成要素であるため、RNAに生じることがより多いが、一本鎖DNAにも存在し得る。ステムループ構造の安定性は、一般に、長さ、不適正塩基対またはバルジの数、及び対形成領域の塩基組成に依存する。いくつかの実施形態では、ゆらぎ塩基対形成(非ワトソン・クリック塩基対形成)が結果的に生じ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのヒストンステムループ配列は、15〜45のヌクレオチド長を含む。
他の実施形態では、RNAワクチンは、1つまたは複数の高AU含量の配列が除去されたものあり得る。こうした配列は、AURESと称されることがあり、3’UTRに見られる不安定化配列である。RNAワクチンからAURESを除去してよい。あるいは、RNAワクチンにAURESを残してよい。
ナノ粒子製剤
いくつかの実施形態では、癌RNAワクチンは、ナノ粒子において製剤化される。いくつかの実施形態では、癌RNAワクチンは、脂質ナノ粒子において製剤化される。いくつかの実施形態では、癌RNAワクチンは、脂質−ポリカチオン複合体において製剤化され、この複合体は、カチオン性脂質ナノ粒子と称される。脂質ナノ粒子の製剤化は、当該技術分野において知られる方法及び/または米国公開第20120178702号に記載される方法によって達成してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、ポリカチオンには、限定はされないが、ポリリジン、ポリオルニチン、及び/またはポリアルギニン、ならびに国際公開第WO2012013326号または米国特許公開第US20130142818号に記載のカチオン性ペプチドなどのカチオン性のペプチドまたはポリペプチドが含まれ得、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、癌RNAワクチンは、限定はされないが、コレステロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)などの非カチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子において製剤化される。
脂質ナノ粒子製剤は、限定はされないが、カチオン性脂質成分の選択、カチオン性脂質の飽和度、PEG化の性質、すべての構成成分の比率、及びサイズなどの生物物理学的なパラメーターによって影響を受け得る。Semple et al.(Nature Biotech.2010 28:172−176(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))による1つの例では、脂質ナノ粒子製剤は、57.1%がカチオン性脂質、7.1%がジパルミトイルホスファチジルコリン、34.3%がコレステロール、及び1.4%がPEG−c−DMAから構成される。別の例として、カチオン性脂質の組成を変更することで、さまざまな抗原提示細胞へのsiRNAの送達効率を向上させることができる(Basha et al.Mol Ther.2011 19:2186−2200(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質を35〜45%、カチオン性脂質を40%〜50%、カチオン性脂質を50%〜60%、及び/またはカチオン性脂質を55%〜65%含み得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子における脂質とRNA(例えば、mRNA)との比率は、5:1〜20:1、10:1〜25:1、15:1〜30:1、及び/または少なくとも30:1であり得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤におけるPEGの比率を増加または低減してよく、及び/またはPEG脂質の炭素鎖長をC14からC18に改変することで脂質ナノ粒子製剤の薬物動態及び/または生体内分布を改変してよい。非限定例として、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質、DSPC、及びコレステロールと比較して、0.5%〜3.0%、1.0%〜3.5%、1.5%〜4.0%、2.0%〜4.5%、2.5%〜5.0%、及び/または3.0%〜6.0%の脂質モル比率でPEG−c−DOMG(R−3−[(ω−メトキシ−ポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル)]−1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−アミン)(本明細書ではPEG−DOMGとも称される)を含み得る。いくつかの実施形態では、PEG−c−DOMGは、限定はされないが、PEG−DSG(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)、PEG−DMG(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール)、及び/またはPEG−DPG(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)などのPEG脂質と交換してよい。カチオン性脂質は、限定はされないが、DLin−MC3−DMA、DLin−DMA、C12−200、及びDLin−KC2−DMAなどの、当該技術分野において知られる任意の脂質から選択してよい。
いくつかの実施形態では、癌RNAワクチン製剤は、少なくとも1つの脂質を含むナノ粒子である。脂質は、限定はされないが、DLin−DMA、DLin−K−DMA、98N12−5、C12−200、DLin−MC3−DMA、DLin−KC2−DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG−DMG、PEG化脂質、及びアミノアルコール脂質から選択してよい。いくつかの実施形態では、脂質は、限定はされないが、DLin−DMA、DLin−D−DMA、DLin−MC3−DMA、DLin−KC2−DMA、DODMA、及びアミノアルコール脂質などのカチオン性脂質であり得る。アミノアルコールカチオン性脂質は、米国特許公開第US20130150625号に記載の脂質であり得、及び/またはそこに記載の方法によって調製してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、カチオン性脂質は、2−アミノ−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z,2Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625に記載の化合物1)、2−アミノ−3−[(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625に記載の化合物2)、2−アミノ−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−[(オクチルオキシ)メチル]プロパン−1−オール(US20130150625に記載の化合物3)、及び2−(ジメチルアミノ)−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625に記載の化合物4)、または薬学的に許容されるその任意の塩もしくは立体異性体であり得る。
脂質ナノ粒子製剤は、典型的には、脂質、特に、イオン化可能なカチオン性脂質を含むと共に、中性脂質、ステロール、及び例えば、PEGまたはPEG修飾脂質などの、粒子の凝集を低減する能力を有する分子をさらに含み、こうしたイオン化可能なカチオン性脂質は、例えば、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、またはジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、(i)2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)からなる群から選択される少なくとも1つの脂質と、(ii)DSPC、DPPC、POPC、DOPE、及びSMから選択される中性脂質と、(iii)例えば、コレステロールなどのステロールと、(iv)例えば、PEG−DMGまたはPEG−cDMAなどのPEG−脂質と、から本質的になるものであり、これらのモル比率は、カチオン性脂質が20〜60%、中性脂質が5〜25%、ステロールが25〜55%、PEG−脂質が0.5〜15%である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質をモルベースで25%〜75%含み、例えば、モルベースで35〜65%、45〜65%、60%、57.5%、50%、または40%含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、中性脂質をモルベースで0.5%〜15%含み、例えば、モルベースで3〜12%、5〜10%、または15%、10%、もしくは7.5%含む。中性脂質の例には、限定はされないが、DSPC、POPC、DPPC、DOPE、及びSMが含まれる。いくつかの実施形態では、製剤は、ステロールをモルベースで5%〜50%(例えば、モルベースで15〜45%、20〜40%、40%、38.5%、35%、または31%)含む。ステロールの非限定例は、コレステロールである。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、PEGまたはPEG修飾脂質をモルベースで0.5%〜20%(例えば、モルベースで0.5〜10%、0.5〜5%、1.5%、0.5%、1.5%、3.5%、または5%)含む.いくつかの実施形態では、PEGまたはPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000DaのPEG分子を含む。いくつかの実施形態では、PEGまたはPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000未満(例えば、およそ1,500Da、およそ1,000Da、またはおよそ500Da)のPEG分子を含む。PEG修飾脂質の例には、限定はされないが、PEG−ジステアロイルグリセロール(PEG−DMG)(本明細書ではPEG−C14またはC14−PEGとも称される)、PEG−cDMAが含まれる(Reyes et al.J.Controlled Release,107,276−287(2005)においてさらに議論されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を25〜75%、中性脂質を0.5〜15%、ステロールを5〜50%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を0.5〜20%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を35〜65%、中性脂質を3〜12%、ステロールを15〜45%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を0.5〜10%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を45〜65%、中性脂質を5〜10%、ステロールを25〜40%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を0.5〜10%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を60%、中性脂質を7.5%、ステロールを31%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を1.5%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を50%、中性脂質を10%、ステロールを38.5%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を1.5%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を50%、中性脂質を10%、ステロールを35%、PEGまたはPEG修飾脂質を4.5%または5%、ならびに標的指向化脂質を0.5%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を40%、中性脂質を15%、ステロールを40%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を5%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を57.2%、中性脂質を7.1%、ステロールを34.3%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を1.4%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、PEG脂質から選択されるカチオン性脂質としてPEG−cDMA(PEG−cDMAについては、Reyes et al.(J.Controlled Release,107,276−287(2005)においてさらに議論されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を57.5%、中性脂質を7.5%、ステロールを31.5%、及びPEGまたはPEG修飾脂質を3.5%、モルベースで含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質が20〜70%:中性脂質が5〜45%:コレステロールが20〜55%:PEG修飾脂質が0.5〜15%というモル比率の脂質混合物から本質的になる。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質が20〜60%:中性脂質が5〜25%:コレステロールが25〜55%:PEG修飾脂質が0.5〜15%というモル比率の脂質混合物から本質的になる。
いくつかの実施形態では、脂質のモル比率は、50/10/38.5/1.5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMG、PEG−DSG、もしくはPEG−DPG)のモル%)、57.2/7.1134.3/1.4(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DPPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−cDMA)のモル%)、40/15/40/5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMG)のモル%)、50/10/35/4.5/0.5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DSG)のモル%)、50/10/35/5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMG))、40/10/40/10(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMGもしくはPEG−cDMA)のモル%)、35/15/40/10(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMGもしくはPEG−cDMA)のモル%)、または52/13/30/5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMGもしくはPEG−cDMA)のモル%)である。
脂質ナノ粒子組成物及びその調製方法の例は、限定はされないが、例えば、Semple et al.(2010)Nat.Biotechnol.28:172−176、Jayarama et al.(2012),Angew.Chem.Int.Ed.,51:8529−8533、及びMaier et al.(2013)Molecular Therapy 21,1570−1578(これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質、PEG脂質、及び構造脂質を含み得、非カチオン性脂質を任意選択で含み得る。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を40〜60%、非カチオン性脂質を5〜15%、PEG脂質を1〜2%、及び構造脂質を30〜50%含み得る。別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を50%、非カチオン性脂質を10%、PEG脂質を1.5%、及び構造脂質を38.5%含み得る。さらに別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を55%、非カチオン性脂質を10%、PEG脂質を2.5%、及び構造脂質を32.5%含み得る。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、限定はされないが、DLin−KC2−DMA、DLin−MC3−DMA、及びL319などの、本明細書記載のカチオン性脂質のいずれかであり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子製剤は、4つの構成成分を含む脂質ナノ粒子であり得る。脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG脂質、及び構造脂質を含み得る。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を40〜60%、非カチオン性脂質を5〜15%、PEG脂質を1〜2%、及び構造脂質を30〜50%含み得る。別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を50%、非カチオン性脂質を10%、PEG脂質を1.5%、及び構造脂質を38.5%含み得る。さらに別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を55%、非カチオン性脂質を10%、PEG脂質を2.5%、及び構造脂質を32.5%含み得る。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、限定はされないが、DLin−KC2−DMA、DLin−MC3−DMA、及びL319などの、本明細書記載のカチオン性脂質のいずれかであり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG脂質、及び構造脂質を含み得る。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質としてDLin−KC2−DMAを50%、非カチオン性脂質としてDSPCを10%、PEG脂質としてPEG−DOMGを1.5%、及び構造脂質としてコレステロールを38.5%含む。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質としてDLin−MC3−DMAを50%、非カチオン性脂質としてDSPCを10%、PEG脂質としてPEG−DOMGを1.5%、及び構造脂質としてコレステロールを38.5%含む。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質としてDLin−MC3−DMAを50%、非カチオン性脂質としてDSPCを10%、PEG脂質としてPEG−DMGを1.5%、及び構造脂質コレステロールを38.5%含む。さらに別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質としてL319を55%、非カチオン性脂質としてDSPCを10%、PEG脂質としてPEG−DMGを2.5%、及び構造脂質としてコレステロールを32.5%含む。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、式(I)の化合物:
またはその塩もしくは異性体を含み、式中:
R1は、C5−30アルキル、C5−20アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され、
R2及びR3は、H、C1−14アルキル、C2−14アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になってヘテロ環もしくは炭素環を形成し、
R4は、C3−6炭素環、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−CHQR、−CQ(R)2、及び非置換C1−6アルキルからなる群から選択され、Qは、炭素環、ヘテロ環、−OR、−O(CH2)nN(R)2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX3、−CX2H、−CXH2、−CN、−N(R)2、−C(O)N(R)2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(R)C(S)N(R)2、−N(R)R8、−O(CH2)nOR、−N(R)C(=NR9)N(R)2、−N(R)C(=CHR9)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−N(R)C(O)OR、−N(OR)C(O)R、−N(OR)S(O)2R、−N(OR)C(O)OR、−N(OR)C(O)N(R)2、−N(OR)C(S)N(R)2、−N(OR)C(=NR9)N(R)2、−N(OR)C(=CHR9)N(R)2、−C(=NR9)N(R)2、−C(=NR9)R、−C(O)N(R)OR、及び−C(R)N(R)2C(O)ORから選択され、nはそれぞれ、1、2、3、4、及び5から独立して選択され、
R5はそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R6はそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、
R7は、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
R8は、C3−6炭素環及びヘテロ環からなる群から選択され、
R9は、H、CN、NO2、C1−6アルキル、−OR、−S(O)2R、−S(O)2N(R)2、C2−6アルケニル、C3−6炭素環、及びヘテロ環からなる群から選択され、
Rはそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R’はそれぞれ、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、−R*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され、
R”はそれぞれ、C3−14アルキル及びC3−14アルケニルからなる群から独立して選択され、
R*はそれぞれ、C1−12アルキル及びC2−12アルケニルからなる群から独立して選択され、
Yはそれぞれ、独立してC3−6炭素環であり、
Xはそれぞれ、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され、かつ
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、R4が、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−CHQR、または−CQ(R)2であるとき、(i)nが、1、2、3、4、もしくは5であるとき、Qが、−N(R)2ではない化合物、または(ii)nが、1もしくは2であるとき、Qが、5員、6員、もしくは7員のヘテロシクロアルキルではない化合物を含む。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、
R1が、C5−30アルキル、C5−20アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され、
R2及びR3が、H、C1−14アルキル、C2−14アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR2及びR3が、それらが結合している原子と一緒になってヘテロ環もしくは炭素環を形成し、
R4が、C3−6炭素環、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−CHQR、−CQ(R)2、及び非置換C1−6アルキルからなる群から選択され、Qが、C3−6炭素環、N、O、及びSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する5〜14員のヘテロアリール、−OR、−O(CH2)nN(R)2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX3、−CX2H、−CXH2、−CN、−C(O)N(R)2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(R)C(S)N(R)2、−CRN(R)2C(O)OR、−N(R)R8、−O(CH2)nOR、−N(R)C(=NR9)N(R)2、−N(R)C(=CHR9)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−N(R)C(O)OR、−N(OR)C(O)R、−N(OR)S(O)2R、−N(OR)C(O)OR、−N(OR)C(O)N(R)2、−N(OR)C(S)N(R)2、−N(OR)C(=NR9)N(R)2、−N(OR)C(=CHR9)N(R)2、−C(=NR9)N(R)2、−C(=NR9)R、−C(O)N(R)OR、ならびにオキソ(=O)、OH、アミノ、モノ−アルキルアミノまたはジ−アルキルアミノ、及びC1−3アルキルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されており、N、O、及びSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する5〜14員のヘテロシクロアルキルから選択され、nがそれぞれ、1、2、3、4、及び5から独立して選択され、
R5がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R6がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
M及びM’が、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、
R7が、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
R8が、C3−6炭素環及びヘテロ環からなる群から選択され、
R9が、H、CN、NO2、C1−6アルキル、−OR、−S(O)2R、−S(O)2N(R)2、C2−6アルケニル、C3−6炭素環、及びヘテロ環からなる群から選択され、
Rがそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R’がそれぞれ、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、−R*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され、
R”がそれぞれ、C3−14アルキル及びC3−14アルケニルからなる群から独立して選択され、
R*がそれぞれ、C1−12アルキル及びC2−12アルケニルからなる群から独立して選択され、
Yがそれぞれ、独立してC3−6炭素環であり、
Xがそれぞれ、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され、かつ
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、
化合物またはその塩もしくは異性体を含む。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、
R1が、C5−30アルキル、C5−20アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され、
R2及びR3が、H、C1−14アルキル、C2−14アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR2及びR3が、それらが結合している原子と一緒になってヘテロ環もしくは炭素環を形成し、
R4が、C3−6炭素環、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−CHQR、−CQ(R)2、及び非置換C1−6アルキルからなる群から選択され、Qが、C3−6炭素環、N、O、及びSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する5〜14員のヘテロ環、−OR、−O(CH2)nN(R)2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX3、−CX2H、−CXH2、−CN、−C(O)N(R)2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(R)C(S)N(R)2、−CRN(R)2C(O)OR、−N(R)R8、−O(CH2)nOR、−N(R)C(=NR9)N(R)2、−N(R)C(=CHR9)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−N(R)C(O)OR、−N(OR)C(O)R、−N(OR)S(O)2R、−N(OR)C(O)OR、−N(OR)C(O)N(R)2、−N(OR)C(S)N(R)2、−N(OR)C(=NR9)N(R)2、−N(OR)C(=CHR9)N(R)2、−C(=NR9)R、−C(O)N(R)OR、及び−C(=NR9)N(R)2からなる群から選択され、nがそれぞれ、1、2、3、4、及び5から独立して選択され、Qが、5〜14員のヘテロ環であり、かつ(i)R4が、−(CH2)nQ(nは、1もしくは2である)であるか、または(ii)R4が、−(CH2)nCHQR(nは、1である)であるか、または(iii)R4が、−CHQR、及び−CQ(R)2であるとき、Qが、5〜14員のヘテロアリール、または8〜14員のヘテロシクロアルキルのいずれかであり、
R5がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R6がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
M及びM’が、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、
R7が、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
R8が、C3−6炭素環及びヘテロ環からなる群から選択され、
R9が、H、CN、NO2、C1−6アルキル、−OR、−S(O)2R、−S(O)2N(R)2、C2−6アルケニル、C3−6炭素環、及びヘテロ環からなる群から選択され、
Rがそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R’がそれぞれ、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、−R*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され、
R”がそれぞれ、C3−14アルキル及びC3−14アルケニルからなる群から独立して選択され、
R*がそれぞれ、C1−12アルキル及びC2−12アルケニルからなる群から独立して選択され、
Yがそれぞれ、独立してC3−6炭素環であり、
Xがそれぞれ、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され、かつ
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、
化合物またはその塩もしくは異性体を含む。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、
R1が、C5−30アルキル、C5−20アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され、
R2及びR3が、H、C1−14アルキル、C2−14アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR2及びR3が、それらが結合している原子と一緒になってヘテロ環もしくは炭素環を形成し、
R4が、C3−6炭素環、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−CHQR、−CQ(R)2、及び非置換C1−6アルキルからなる群から選択され、Qが、C3−6炭素環、N、O、及びSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する5〜14員のヘテロアリール、−OR、−O(CH2)nN(R)2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX3、−CX2H、−CXH2、−CN、−C(O)N(R)2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(R)C(S)N(R)2、−CRN(R)2C(O)OR、−N(R)R8、−O(CH2)nOR、−N(R)C(=NR9)N(R)2、−N(R)C(=CHR9)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−N(R)C(O)OR、−N(OR)C(O)R、−N(OR)S(O)2R、−N(OR)C(O)OR、−N(OR)C(O)N(R)2、−N(OR)C(S)N(R)2、−N(OR)C(=NR9)N(R)2、−N(OR)C(=CHR9)N(R)2、−C(=NR9)R、−C(O)N(R)OR、及び−C(=NR9)N(R)2から選択され、nがそれぞれ、1、2、3、4、及び5から独立して選択され、
R5がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R6がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
M及びM’が、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、
R7が、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
R8が、C3−6炭素環及びヘテロ環からなる群から選択され、
R9が、H、CN、NO2、C1−6アルキル、−OR、−S(O)2R、−S(O)2N(R)2、C2−6アルケニル、C3−6炭素環、及びヘテロ環からなる群から選択され、
Rがそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R’がそれぞれ、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、−R*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され、
R”がそれぞれ、C3−14アルキル及びC3−14アルケニルからなる群から独立して選択され、
R*がそれぞれ、C1−12アルキル及びC2−12アルケニルからなる群から独立して選択され、
Yがそれぞれ、独立してC3−6炭素環であり、
Xがそれぞれ、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され、かつ
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、
化合物またはその塩もしくは異性体を含む。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、
R1が、C5−30アルキル、C5−20アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され、
R2及びR3が、H、C2−14アルキル、C2−14アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR2及びR3が、それらが結合している原子と一緒になってヘテロ環もしくは炭素環を形成し、
R4が、−(CH2)nQまたは−(CH2)nCHQRであり、Qが、−N(R)2であり、nが、3、4、及び5から選択され、
R5がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R6がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
M及びM’が、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、
R7が、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
Rがそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R’がそれぞれ、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、−R*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され、
R”がそれぞれ、C3−14アルキル及びC3−14アルケニルからなる群から独立して選択され、
R*がそれぞれ、C1−12アルキル及びC1−12アルケニルからなる群から独立して選択され、
Yがそれぞれ、独立してC3−6炭素環であり、
Xがそれぞれ、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され、かつ
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、
化合物またはその塩もしくは異性体を含む。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、
R1が、C5−30アルキル、C5−20アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され、
R2及びR3が、C1−14アルキル、C2−14アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR2及びR3が、それらが結合している原子と一緒になってヘテロ環もしくは炭素環を形成し、
R4が、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−CHQR、及び−CQ(R)2からなる群から選択され、Qが、−N(R)2であり、nが、1、2、3、4、及び5から選択され、
R5がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R6がそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
M及びM’が、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、
R7が、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
Rがそれぞれ、C1−3アルキル、C2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
R’がそれぞれ、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、−R*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され、
R”がそれぞれ、C3−14アルキル及びC3−14アルケニルからなる群から独立して選択され、
R*がそれぞれ、C1−12アルキル及びC1−12アルケニルからなる群から独立して選択され、
Yがそれぞれ、独立してC3−6炭素環であり、
Xがそれぞれ、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され、かつ
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、
化合物またはその塩もしくは異性体を含む。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IA)の化合物:
またはその塩もしくは異性体を含み、式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され、mは、5、6、7、8、及び9から選択され、M1は、結合またはM’であり、R4は、非置換C1−3アルキル、または−(CH2)nQであり、Qは、OH、−NHC(S)N(R)2、−NHC(O)N(R)2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)R8、−NHC(=NR9)N(R)2、−NHC(=CHR9)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−N(R)C(O)OR、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルであり、M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、かつR2及びR3は、H、C1−14アルキル、及びC2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(II)の化合物:
またはその塩もしくは異性体を含み、式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され、M1は、結合またはM’であり、R4は、非置換C1−3アルキル、または−(CH2)nQであり、nは2、3、または4であり、Qは、OH、−NHC(S)N(R)2、−NHC(O)N(R)2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)R8、−NHC(=NR9)N(R)2、−NHC(=CHR9)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−N(R)C(O)OR、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであり、M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、かつR2及びR3は、H、C1−14アルキル、及びC2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、もしくは式(IIe)の化合物:
またはその塩もしくは異性体を含み、式中、R4は、本明細書に記載のとおりである。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IId)の化合物:
またはその塩もしくは異性体を含み、式中、nは、2、3、または4であり、m、R’、R”、及びR2〜R6は、本明細書に記載のとおりである。例えば、R2及びR3はそれぞれ、C5−14アルキル及びC5−14アルケニルからなる群から独立して選択され得る。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、または式(IIe)の化合物:
またはその塩もしくは異性体を含み、式中、R4は、本明細書に記載のとおりである。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IId)の化合物:
またはその塩もしくは異性体を含み、式中、nは、2、3、または4であり、m、R’、R”、及びR2〜R6は、本明細書に記載のとおりである。例えば、R2及びR3はそれぞれ、C5−14アルキル及びC5−14アルケニルからなる群から独立して選択され得る。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
からなる群から選択される。
追加の実施形態では、式(I)の化合物は、
からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
それらの塩及び異性体からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、下記の化合物を含む:
またはその塩及び異性体。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、または式(IIe)による化合物)を含む脂質成分を含むナノ粒子組成物を特徴とする。
本発明の他の態様では、こうした方法の達成を目的とするキットも提供される。キットは、脂質ナノ粒子製剤を収容する容器と、ワクチン製剤を収容する容器と、対象への投与までの24時間以内に、個別化mRNA癌ワクチンをワクチン製剤に添加して個別化mRNA癌ワクチン製剤を生成し、個別化mRNA癌ワクチン製剤と脂質ナノ粒子製剤とを混合することについての説明と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、2〜100の癌抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAを含む。
物品は、1つまたは複数の容器に医薬グレードまたは診断グレードの本発明の化合物を含む。物品は、本発明の化合物の使用を促進または記載する説明またはラベルを含み得る。
本明細書に記載の「促進」は、教育、病院的及び他の臨床的説明、医薬販売を含む医薬業界活動、ならびに任意の形態の文書的、口頭的、及び電子的なコミュニケーションを含む任意の宣伝活動または他の販売促進活動を行う方法を含む、癌の治療に関して本発明の組成物と関連してビジネスを実施するすべての方法を含む。
「説明」は、販売促進の構成要素であると定義することができ、典型的には、本発明の組成物の梱包に対する文書的説明またはそれと関連する文書的説明を含む。説明は、任意の様式で提供される任意の口頭的または電子的な説明も含み得る。
したがって、いくつかの実施形態では、治療的、診断的、または研究的な用途におけるその使用を促進するための、医薬的または診断的または研究的なキットを、本明細書に記載の薬剤から構築してよい。キットは、本発明の構成要素及び使用説明を収容する1つまたは複数の容器を含み得る。具体的には、そのようなキットは、意図される治療用途及びこうした薬剤の適切な投与について記載する説明と共に、本明細書に記載の薬剤を1つまたは複数含み得る。ある特定の実施形態では、キットにおける薬剤は、特定の用途及び薬剤の投与方法に適した医薬製剤及び用量であり得る。
キットは、医師による本明細書に記載の方法の使用が容易になるように設計してよく、多くの形態をとることができる。キットの組成物はそれぞれ、適用可能な場合、液体形態(例えば、溶液)または固体形態(例えば、乾燥粉末)で提供してよい。ある特定の場合では、組成物のいくつかは、(例えば、活性形態にするために)例えば、適切な溶媒もしくは他の種類のもの(例えば、水もしくは細胞培養培地)を添加することによって構成可能であるか、または別の形で処理可能であり得、こうした溶媒または他の種類のものは、キットに付属して提供されてもされなくてもよい。本明細書で使用される「説明」は、説明及び/または販売促進の構成要素であると定義することができ、典型的には、本発明の梱包に対する文書的説明またはそれと関連する文書的説明を含む。説明は、任意の様式で提供される任意の口頭的または電子的な説明も含み得、その結果、使用者は、例えば、視聴覚的なもの(例えば、ビデオテープ、DVD等)、インターネット、及び/またはウェブに基づくコミュニケーション等を通して、説明がキットと関連することになると明確に認識することになる。文書的説明は、医薬物または生物学的産物の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形態であり得、当該説明は、ヒトへの投与を目的とする製造、使用、または販売の機関による承認を反映したものでもあり得る。
キットは、本明細書に記載の要素のいずれか1つまたは複数を1つまたは複数の容器に含み得る。例として、1つの実施形態では、キットは、キットの1つまたは複数の構成要素の混合、及び/または試料の単離及び混合、ならびに対象への適用のための説明を含み得る。キットは、本明細書に記載の薬剤を収容する容器を含み得る。薬剤は、無菌的に調製し、シリンジに充填し、冷蔵配送してよい。あるいは、バイアルまたは他の貯蔵用容器に薬剤を収容してもよい。無菌的に調製された他の薬剤を第2の容器に収容してよい。あるいは、シリンジ、バイアル、チューブ、または他の容器において配送される事前混合済の活性剤をキットに含めてもよい。
キットは、ブリスターパウチ、収縮包装パウチ、真空密封可能なパウチ、密封可能な熱形成トレイ、または同様のパウチ形態もしくはトレイ形態などのさまざまな形態を有し得、パウチ、1つまたは複数のチューブ、容器、箱、またはバッグの中に緩く梱包された付属物を共に含む。キットは、付属物を追加した後に無菌化してよく、それによって容器内の個々の付属品を通常なら未包装となる状態にしておくことが可能になる。キットは、放射線滅菌法、加熱滅菌法、または当該技術分野において知られる他の滅菌法などの、任意の適切な滅菌技術を使用して無菌化することができる。キットは、特定の用途に応じて他の構成要素も含み得、こうした構成要素は、例えば、容器、細胞培地、塩、緩衝剤、試薬、シリンジ、針、消毒剤の適用または除去のためのガーゼなどの布、使い捨ての手袋、投与前の薬剤支持体等である。
キットの組成物は、例えば、液体溶液または乾燥粉末などの任意の適切な形態として提供してよい。提供される組成物が乾燥粉末であるとき、粉末は、併せて提供され得る適切な溶媒を添加することによって再構成してよい。液体形態の組成物が使用される実施形態では、液体形態は、濃縮するか、またはすぐ使用可能な状態にしてよい。溶媒は、使用または投与される化合物及び様式に依存することになる。薬物組成物に適した溶媒はよく知られており、文献から情報を入手することが可能である。溶媒は、使用または投与される化合物及び様式に依存することになる。
実施形態の1つのセットでは、キットは、バイアル、チューブ、及び同様のものなどの1つまたは複数の容器手段を密閉受容する区分けされた運搬手段を含み得、容器手段はそれぞれ、方法において使用されることになる別々の要素のうちの1つを含む。例えば、容器の1つは、アッセイに対する正の対照を含み得る。さらに、キットは、例えば、アッセイにおいて有用な緩衝液などの他の構成要素のための容器を含み得る。
本発明は、梱包及びラベル添付が終了した医薬製品も包含する。この製造物品は、ガラスバイアルまたは密閉される他の容器などの適切なベッセルまたは容器に、適切な単位用量形態を含む。非経口投与に適した用量形態の場合、活性成分は無菌であり、微粒子を含有しない溶液としての投与に適している。言い換えれば、本発明は、非経口溶液と凍結乾燥粉末との両方を包含し、これらはそれぞれ無菌であり、後者は注射前の再構成に適するものである。あるいは、単位用量形態は、経口送達、経皮送達、局所送達、または経粘膜送達に適した固体であり得る。
好ましい実施形態では、単位用量形態は、静脈内送達、筋肉内送達、または皮下送達に適する。したがって、本発明は、溶液を包含し、こうした溶液は、好ましくは、無菌でありそれぞれの送達経路に適したものである。
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、生体適合性界面活性剤または他のタンパク質と共に容器に貯蔵され、こうした界面活性剤には、限定はされないが、レシチン、タウロコール酸、及びコレステロールが含まれ、こうした他のタンパク質には、限定はされないが、ガンマグロブリン及び血清アルブミンが含まれる。より好ましくは、本発明の組成物は、ヒトにおける使用目的ではヒト血清アルブミンと共に貯蔵され、獣医学的な使用目的ではウシ血清アルブミンと共に貯蔵される。
任意の医薬製品と同様に、梱包材料及び容器は、貯蔵及び発送の間に製品の安定性が保護されるように設計される。さらに、本発明の製品は、使用説明、または問題の疾患もしくは障害をどのように適切に予防もしくは治療するかについて医師、専門技師、もしくは患者に通知する他の情報材料を含む。言い換えれば、製造物品は、投薬レジメンを指示または提案する説明手段を含み、こうした投薬レジメンには、限定はされないが、実際用量、監視手順(平均絶対リンパ球数、腫瘍細胞数、及び腫瘍サイズの監視方法など)ならびに他の監視情報が含まれる。
より具体的には、本発明は、箱、ボトル、チューブ、バイアル、容器、噴霧器、吸入器、静注輸液(静注)バッグ、エンベロープ、及び同様のものなどの梱包材料と、当該梱包材料内に含まれる少なくとも1つの単位用量形態の医薬剤と、を含む製造物品を提供する。本発明は、箱、ボトル、チューブ、バイアル、容器、噴霧器、吸入器、静注輸液(静注)バッグ、エンベロープ、及び同様のものなどの梱包材料と、当該梱包材料内に含まれる少なくとも1つの単位用量形態のそれぞれの医薬剤と、を含む製造物品も提供する。本発明は、箱、ボトル、チューブ、バイアル、容器、噴霧器、吸入器、静注輸液(静注)バッグ、エンベロープ、及び同様のものなどの梱包材料と、当該梱包材料内に含まれる少なくとも1つの単位用量形態のそれぞれの医薬剤と、を含む製造物品をさらに提供する。本発明は、製剤の注射を目的とする針もしくはシリンジ(好ましくは、無菌形態で梱包される)、及び/または梱包されたアルコールパッドを含む製造物品をさらに提供する。
ワクチン組成物における活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加成分の相対量は、治療中の対象の独自性、サイズ、及び/または病状、さらにこれらに加えて、組成物が投与されることになる経路に応じて変わり得るものである。例えば、組成物は、活性成分を0.1%〜99%(w/w)含み得る。例として、組成物は、活性成分を0.1%〜100%(w/w)含み得、例えば、.5〜50%(w/w)、1〜30%(w/w)、5〜80%(w/w)、少なくとも80%(w/w)含む。
いくつかの実施形態では、所望の治療効果、診断効果、予防効果、または造影効果を得るために、対象の体重当たりとして1日当たり0.0001mg/kg〜100mg/kg、0.001mg/kg〜0.05mg/kg、0.005mg/kg〜0.05mg/kg、0.001mg/kg〜0.005mg/kg、0.05mg/kg〜0.5mg/kg、0.01mg/kg〜50mg/kg、0.1mg/kg〜40mg/kg、0.5mg/kg〜30mg/kg、0.01mg/kg〜10mg/kg、0.1mg/kg〜10mg/kg、または1mg/kg〜25mg/kgを送達するために十分な用量レベルでRNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物を、1日当たり、1週間当たり、1ヶ月当たりなどに1回または複数回投与してよい(例えば、国際公開第WO2013078199号に記載の単位用量の範囲を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。所望の用量は、1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、2ヶ月ごとに1回、3ヶ月ごとに1回、6ヶ月ごとに1回などの頻度で送達してよい。ある特定の実施形態では、所望の用量は、複数回の投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、またはそれを超える回数の投与)を使用して送達してよい。複数回投与が用いられるときは、本明細書に記載のものなどの分割投薬レジメンを使用してよい。いくつかの実施形態では、RNAワクチン組成物は、0.0005mg/kg〜0.01mg/kgを送達するために十分な用量レベルで投与してよく、例えば、約0.0005mg/kg〜約0.0075mg/kg、例えば、約0.0005mg/kg、約0.001mg/kg、約0.002mg/kg、約0.003mg/kg、約0.004mg/kg、または約0.005mg/kgを送達するために十分な用量レベルで投与してよい。いくつかの実施形態では、RNAワクチン組成物は、0.025mg/kg〜0.250mg/kg、0.025mg/kg〜0.500mg/kg、0.025mg/kg〜0.750mg/kg、または0.025mg/kg〜1.0mg/kgを送達するために十分な用量レベルで1回または2回(またはそれを超える回数)投与してよい。
いくつかの実施形態では、RNAワクチン組成物は、0.0100mg、0.025mg、0.050mg、0.075mg、0.100mg、0.125mg、0.150mg、0.175mg、0.200mg、0.225mg、0.250mg、0.275mg、0.300mg、0.325mg、0.350mg、0.375mg、0.400mg、0.425mg、0.450mg、0.475mg、0.500mg、0.525mg、0.550mg、0.575mg、0.600mg、0.625mg、0.650mg、0.675mg、0.700mg、0.725mg、0.750mg、0.775mg、0.800mg、0.825mg、0.850mg、0.875mg、0.900mg、0.925mg、0.950mg、0.975mg、または1.0mgの総用量またはその総用量を送達するために十分な用量レベルで、2回(例えば、0日目と7日目、0日目と14日目、0日目と21日目、0日目と28日目、0日目と60日目、0日目と90日目、0日目と120日目、0日目と150日目、0日目と180日目、0日目と3ヶ月後、0日目と6ヶ月後、0日目と9ヶ月後、0日目と12ヶ月後、0日目と18ヶ月後、0日目と2年後、0日目と5年後、または0日目と10年後)投与してよい。本開示は、投与用量を上げたもの及び下げたもの、ならびに投与頻度を上げたもの及び下げたものを包含する。例えば、RNAワクチン組成物は、3回または4回投与してよい。
いくつかの実施形態では、RNAワクチン組成物は、0.010mg、0.025mg、0.100mg、または0.400mgの総用量またはその総用量を送達するために十分な用量レベルで、2回(例えば、0日目と7日目、0日目と14日目、0日目と21日目、0日目と28日目、0日目と60日目、0日目と90日目、0日目と120日目、0日目と150日目、0日目と180日目、0日目と3ヶ月後、0日目と6ヶ月後、0日目と9ヶ月後、0日目と12ヶ月後、0日目と18ヶ月後、0日目と2年後、0日目と5年後、または0日目と10年後)投与してよい。
いくつかの実施形態では、対象のワクチン接種方法における使用を目的とするRNAワクチンでは、対象のワクチン接種に有効な量で、10μg/kg〜400μg/kgの単回用量の核酸ワクチンが対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象のワクチン接種方法における使用を目的とするRNAワクチンでは、対象のワクチン接種に有効な量で、10μg〜400μgの単回用量の核酸ワクチンが対象に投与される。
いくつかの実施形態では、RNAワクチン組成物は、MC3、コレステロール、DSPC、及びPEG2000−DMGを含む脂質ナノ粒子において製剤化された本明細書に記載のポリヌクレオチド、クエン酸三ナトリウム緩衝剤、スクロース、ならびに注射用水を含み得る。非限定例として、組成物は、2.0mg/mLの薬物物質(例えば、癌抗原をコードするポリヌクレオチド)、21.8mg/mLのMC3、10.1mg/mLのコレステロール、5.4mg/mLのDSPC、2.7mg/mLのPEG2000−DMG、5.16mg/mLのクエン酸三ナトリウム、71mg/mLのスクロース、及び1.0mLの注射用水を含む。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子(例えば、脂質ナノ粒子)は、10〜500nm、20〜400nm、30〜300nm、40〜200nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子(例えば、脂質ナノ粒子)は、50〜150nm、50〜200nm、80〜100nm、または80〜200nmの平均直径を有する。
フラゲリンは、約500のアミノ酸の単量体タンパク質であり、このタンパク質が重合することで、細菌の動きと関連する鞭毛が形成される。さまざまな鞭毛細菌(例えば、Salmonella typhimurium)ならびに非鞭毛細菌(Escherichia coliなど)がフラゲリンを発現する。自然免疫系の細胞(樹状細胞、マクロファージ等)によるフラゲリンの感知は、Toll様受容体5(TLR5)ならびにNod様受容体(NLR)であるIpaf及びNaip5によって媒介される。TLR及びNLRは、自然免疫応答及び適応免疫応答の活性化において一定の役割を担うことが同定されている。したがって、フラゲリンは、ワクチンにおいてアジュバント効果を発揮する。
既知のフラゲリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、NCBIのGenBankデータベースにおいて公的に利用可能である。フラゲリン配列としては、数ある中でも特に、S.Typhimurium、H.Pylori、V.Cholera、S.marcesens、S.flexneri、T.pallidum、L.pneumophila、B.burgdorferei、C.difficile、R.meliloti、A.tumefaciens、R.lupini、B.clarridgeiae、P.Mirabilis、B.subtilus、L.monocytogenes、P.aeruginosa、及びE.coliに由来するものが知られている。
本明細書で使用されるフラゲリンポリペプチドは、全長フラゲリンタンパク質、その免疫原性断片、及びフラゲリンタンパク質またはその免疫原性断片に対して少なくとも50%の配列同一性を有するペプチドを指す。フラゲリンタンパク質の例には、Salmonella typhi(UniPro登録番号:Q56086)、Salmonella typhimurium(A0A0C9DG09)、Salmonella enteritidis(A0A0C9BAB7)、及びSalmonella choleraesuis(Q6V2X8)に由来するフラゲリン、ならびに配列番号420〜422(表66)のいずれか1つによって同定されるアミノ酸配列を有するタンパク質が含まれる。いくつかの実施形態では、フラゲリンポリペプチドは、フラゲリンタンパク質またはその免疫原性断片に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。
いくつかの実施形態では、フラゲリンポリペプチドは、免疫原性断片である。免疫原性断片は、免疫応答を誘発するフラゲリンタンパク質の一部分である。いくつかの実施形態では、免疫応答は、TLR5を介する免疫応答である。免疫原性断片の例は、ヒンジ領域のすべてまたは一部が、欠失または他のアミノ酸と交換されたフラゲリンタンパク質である。例えば、抗原ポリペプチドをヒンジ領域に挿入してよい。ヒンジ領域は、フラゲリンの超可変領域である。フラゲリンのヒンジ領域は、「D3ドメインまたはD3領域」、「プロペラドメインまたはプロペラ領域」、「超可変ドメインまたは超可変領域」、及び「可変ドメインまたは可変領域」とも称される。本明細書で使用される「ヒンジ領域の少なくとも一部」は、フラゲリンのヒンジ領域の任意の部分、またはヒンジ領域全体を指す。他の実施形態では、フラゲリンの免疫原性断片は、20、25、30、35、または40のアミノ酸のフラゲリンC末端断片である。
フラゲリン単量体は、ドメインD0〜D3によって形成される。D0及びD1は、ステムを形成するものであり、タンデム型の長いアルファヘリックスから構成され、異なる細菌の間で高度に保存されている。D1ドメインは、TLR5の活性化に有用なアミノ酸ストレッチをいくつか含む。D1ドメイン全体またはドメイン内の活性領域の1つもしくは複数が、フラゲリンの免疫原性断片である。D1ドメイン内の免疫原性領域の例には、Salmonella typhimuriumのフラゲリンであるFliCにおける残基88〜114及び残基411〜431が含まれる。88〜100の領域における13のアミノ酸の中では、Salmonellaのフラゲリン及び他のフラゲリンの間で少なくとも6つの置換が許容され、こうした置換が存在してもTLR5の活性化は依然として保存される。したがって、フラゲリンの免疫原性断片には、TLR5を活性化すると共に、FliCの88〜100のSalmonella配列(LQRVRELAVQSAN(配列番号428))に対する同一性が53%以上である13のアミノ酸のモチーフを含むフラゲリン様配列が含まれる。
いくつかの実施形態では、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、フラゲリンと1つまたは複数の抗原ポリペプチドとの融合タンパク質をコードするRNAを含む。本明細書で使用される「融合タンパク質」は、構築物の2つの構成要素が連結されたものを指す。いくつかの実施形態では、抗原ポリペプチドのカルボキシ末端は、フラゲリンポリペプチドのアミノ末端に融合または連結される。他の実施形態では、抗原ポリペプチドのアミノ末端は、フラゲリンポリペプチドのカルボキシ末端に融合または連結される。融合タンパク質には、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれを超える数のフラゲリンポリペプチドと、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれを超える数の抗原ポリペプチドと、が連結されたものが含まれ得る。2つ以上のフラゲリンポリペプチド及び/または2つ以上の抗原ポリペプチドが連結されると、そのような構築物は、「多量体」と称され得る。
融合タンパク質の構成要素はそれぞれ、互いに直接連結するか、またはリンカーを介して連結してよい。例えば、リンカーは、アミノ酸リンカーであり得る。融合タンパク質の構成要素を連結するためにRNA(例えば、mRNA)ワクチンによってコードされるアミノ酸リンカーには、例えば、リジン残基、グルタミン酸残基、セリン残基、及びアルギニン残基からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーが含まれ得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、1〜30、1〜25、1〜25、5〜10、5、15、または5〜20のアミノ酸長である。
他の実施形態では、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、1つが1つまたは複数の抗原ポリペプチドをコードし、残りがフラゲリンポリペプチドをコードする少なくとも2つの別々のRNAポリヌクレオチドを含む。少なくとも2つのRNAポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子などの担体において共に製剤化してよい。
リポソーム、リポプレックス、及び脂質ナノ粒子
本発明のRNAワクチンは、1つまたは複数のリポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子を使用して製剤化することができる。1つの実施形態では、RNAワクチンの医薬組成物は、リポソームを含む。リポソームは、脂質二重層から主に構成され得る人工的に調製されたベシクルであり、栄養素及び医薬製剤を投与するための送達媒体として使用してよい。リポソームは、サイズが異なり得るものであり、限定はされないが、直径が数百ナノメートルであり得、狭い水性コンパートメントによって分離された一連の同心円状二重層を含み得る多重層ベシクル(MLV)、直径が50nmより小さくあり得る小型単層ベシクル(SUV)、及び直径が50〜500nmであり得る大型単層ベシクル(LUV)などである。リポソームの設計には、限定はされないが、不健康組織へのリポソームの付着改善、または限定はされないが、エンドサイトーシスなどの事象の活性化を目的とするオプソニンまたはリガンドの使用が含まれ得る。リポソームは、医薬製剤の送達を改善するために、低pHまたは高pHの部分を含み得る。
リポソームの形成は、物理化学的特徴に依存し得るものであり、こうした特徴は、限定はされないが、封入される医薬製剤及びリポソーム成分、脂質ベシクルが分散する媒体の性質、封入される物質の有効濃度及びその潜在的毒性、ベシクルの適用及び/または送達の間に伴う任意の追加プロセス、意図される用途向けのベシクルの至適化サイズ、多分散、及び有効期間、ならびに安全かつ効率的なリポソーム製品の大規模生産のバッチ間再現性及び可能性などである。
非限定例としては、米国特許公開第US20130177638号、第US20130177637号、第US20130177636号、第US20130177635号、第US20130177634号、第US20130177633号、第US20130183375号、第US20130183373号、及び第US20130183372号に記載の方法、装置、及び機器によって調製され得る合成膜ベシクルなどのリポソームが挙げられ、これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、限定はされないが、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)リポソーム、Marina Biotech(Bothell,WA)から供給されるDiLa2リポソーム、1,2−ジリノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、及びMC3(US20100324120(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))から形成されるものなどのリポソーム、ならびに小分子薬物を送達し得るリポソーム(限定はされないが、Janssen Biotech,Inc.(Horsham,PA)から供給されるDOXIL(登録商標)など)を含み得る。
1つの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、限定はされないが、インビトロ及びインビボでのオリゴヌクレオチド送達に適することが以前に説明及び示された安定化プラスミド−脂質粒子(SPLP)または安定化核酸脂質粒子(SNALP)の合成から形成されたもの(Wheeler et al.Gene Therapy.1999 6:271−281、Zhang et al.Gene Therapy.1999 6:1438−1447、Jeffs et al.Pharm Res.2005 22:362−372、Morrissey et al.,Nat Biotechnol.2005 2:1002−1007、Zimmermann et al.,Nature.2006 441:111−114、Heyes et al.J Contr Rel.2005 107:276−287、Semple et al.Nature Biotech.2010 28:172−176、Judge et al.J Clin Invest.2009 119:661−673、deFougerolles Hum Gene Ther.2008 19:125−132、米国特許公開第US20130122104号を参照のこと。これらの文献はすべて、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)などのリポソームを含み得る。Wheeler et al.による元々の製造方法は、界面活性剤透析法であり、この方法は、Jeffs et al.によって後に改良され、自発的ベシクル形成法と称される。リポソーム製剤は、ポリヌクレオチドに加えて3〜4つの脂質成分から構成される。例として、リポソームは、限定はされないが、Jeffs et alによって記載されるように、コレステロールを55%、ジステロイルホスファチジルコリン(DSPC)を20%、PEG−S−DSGを10%、及び1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)を15%含み得る。別の例として、ある特定のリポソーム製剤は、限定はされないが、コレステロールを48%、DSPCを20%、PEG−c−DMAを2%、及びカチオン性脂質を30%含み得、この場合、カチオン性脂質は、Heyes et alによって記載される1,2−ジステアリルオキシ(distearloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、DODMA、DLin−DMA、または1,2−ジリノレニルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)であり得る。
いくつかの実施形態では、リポソーム製剤は、コレステロールを約25.0%〜約40.0%、コレステロールを約30.0%〜約45.0%、コレステロールを約35.0%〜約50.0%、及び/またはコレステロールを約48.5%〜約60%含み得る。好ましい実施形態では、製剤は、28.5%、31.5%、33.5%、36.5%、37.0%、38.5%、39.0%、及び43.5%からなる群から選択される割合でコレステロールを含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、DSPCを約5.0%〜約10.0%、及び/またはDSPCを約7.0%〜約15.0%含み得る。
1つの実施形態では、医薬組成物は、免疫原(抗原)または目的とする任意の他のポリペプチドを少なくとも1つコードし得るポリヌクレオチドを送達するために形成され得るリポソームを含み得る。RNAワクチンは、リポソームによって封入してよく、及び/または水性コアに含めた後にその水性コアをリポソームによって封入してよい(国際公開第WO2012031046号、第WO2012031043号、第WO2012030901号、及び第WO2012006378号、ならびに米国特許公開第US20130189351号、第US20130195969号、及び第US20130202684号を参照のこと。これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
別の実施形態では、リポソームは、標的指向型送達を目的として製剤化してよい。非限定例として、リポソームは、肝臓への標的指向型送達を目的として製剤化してよい。標的指向型送達に使用されるリポソームには、限定はされないが、米国特許公開第US20130195967号に記載のリポソーム及びリポソームの調製方法が含まれ得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、免疫原(抗原)をコードし得るポリヌクレオチドは、エマルション粒子が、油のコアと、ポリヌクレオチドと相互作用してその分子をエマルション粒子に固定することができるカチオン性脂質と、を含むカチオン性水中油型エマルションにおいて製剤化してよい(国際公開第WO2012006380号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、親水相が散在する連続疎水相を含む油中水型エマルションにおいて製剤化してよい。非限定例として、エマルションは、国際公開第WO201087791号に記載の方法によって製剤化してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、脂質製剤は、トランスフェクションを増進し得る脂質であるカチオン性脂質を少なくとも含み得ると共に、脂質部分に連結された親水性の頭部を含む脂質を少なくとも1つ含み得る(国際公開第WO2011076807号及び米国公開第20110200582号。これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。別の実施形態では、免疫原をコードするポリヌクレオチドは、官能基を持たせた脂質二重層の間に架橋を有し得る脂質ベシクルにおいて製剤化してよい(米国公開第20120177724号を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、ポリヌクレオチドは、国際特許公開第WO2013086526号に記載のリポソームにおいて製剤化してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。RNAワクチンは、国際特許公開第WO2013086526号に記載の逆pH勾配及び/または最適化内部緩衝液組成を使用してリポソームに封入してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチン医薬組成物は、限定はされないが、DiLa2リポソーム(Marina Biotech,Bothell,WA)、SMARTICLES(登録商標)(Marina Biotech,Bothell,WA)、中性DOPC(1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)に基づくリポソーム(例えば、卵巣癌へのsiRNAの送達であり(Landen et al.Cancer Biology & Therapy 2006 5(12)1708−1713)、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、及びヒアルロナン被覆型リポソーム(Quiet Therapeutics,Israel)などのリポソームにおいて製剤化してよい。
1つの実施形態では、カチオン性脂質は、米国特許出願第20130090372号に記載のものなどの低分子量のカチオン性脂質であり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、官能基を持たせた脂質二重層の間に架橋を有し得る脂質ベシクルにおいて製剤化してよい。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、カチオン性脂質を含むリポソームにおいて製剤化してよい。リポソームは、カチオン性脂質における窒素原子とRNAにおけるホスフェートとのモル比率(N:P比率)が、1:1〜20:1であり得、このことについては、国際公開第WO2013006825号に記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、リポソームは、20:1を超えるか、または1:1を下回るN:P比率を有し得る。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、脂質−ポリカチオン複合体において製剤化してよい。脂質−ポリカチオン複合体の製剤化は、当該技術分野において知られる方法及び/または米国公開第20120178702号に記載される方法によって達成してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、ポリカチオンには、限定はされないが、ポリリジン、ポリオルニチン、及び/またはポリアルギニン、ならびに国際公開第WO2012013326号または米国特許公開第US20130142818号に記載のカチオン性ペプチドなどのカチオン性のペプチドまたはポリペプチドが含まれ得、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、限定はされないが、コレステロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)などの非カチオン性脂質をさらに含み得る脂質−ポリカチオン複合体においてRNAワクチンを製剤化してよい。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、アミノアルコールリピドイドにおいて製剤化してよい。本発明において使用され得るアミノアルコールリピドイドは、米国特許第8,450,298号に記載の方法によって調製してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
リポソーム製剤は、限定はされないが、カチオン性脂質成分の選択、カチオン性脂質の飽和度、PEG化の性質、すべての構成成分の比率、及びサイズなどの生物物理学的なパラメーターによって影響を受け得る。Semple et al.(Semple et al.Nature Biotech.2010 28:172−176(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))による1つの例では、リポソーム製剤は、57.1%がカチオン性脂質、7.1%がジパルミトイルホスファチジルコリン、34.3%がコレステロール、及び1.4%がPEG−c−DMAから構成されるものであった。別の例として、カチオン性脂質の組成を変更すると、さまざまな抗原提示細胞へのsiRNAの送達効率が向上する可能性がある(Basha et al.Mol Ther.2011 19:2186−2200(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。いくつかの実施形態では、リポソーム製剤は、カチオン性脂質を約35〜約45%、カチオン性脂質を約40%〜約50%、カチオン性脂質を約50%〜約60%、及び/またはカチオン性脂質を約55%〜約65%含み得る。いくつかの実施形態では、リポソームにおける脂質とmRNAとの比率は、約5:1〜約20:1、約10:1〜約25:1、約15:1〜約30:1、及び/または少なくとも30:1であり得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子(LNP)製剤におけるPEGの比率を増加または低減してよく、及び/またはPEG脂質の炭素鎖長をC14からC18に改変することでLNP製剤の薬物動態及び/または生体内分布を改変してよい。非限定例として、LNP製剤は、カチオン性脂質、DSPC、及びコレステロールと比較して、約0.5%〜約3.0%、約1.0%〜約3.5%、約1.5%〜約4.0%、約2.0%〜約4.5%、約2.5%〜約5.0%、及び/または約3.0%〜約6.0%の脂質モル比率でPEG−c−DOMG(R−3−[(ω−メトキシ−ポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル)]−1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−アミン)(本明細書ではPEG−DOMGとも称される)を含み得る。別の実施形態では、PEG−c−DOMGは、限定はされないが、PEG−DSG(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)、PEG−DMG(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール)、及び/またはPEG−DPG(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)などのPEG脂質と交換してよい。カチオン性脂質は、限定はされないが、DLin−MC3−DMA、DLin−DMA、C12−200、及びDLin−KC2−DMAなどの、当該技術分野において知られる任意の脂質から選択してよい。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、国際公開第WO2012170930号に記載のものなどの脂質ナノ粒子において製剤化してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、ポリヌクレオチドを含むRNAワクチン製剤は、少なくとも1つの脂質を含み得るナノ粒子である。脂質は、限定はされないが、DLin−DMA、DLin−K−DMA、98N12−5、C12−200、DLin−MC3−DMA、DLin−KC2−DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG−DMG、PEG化脂質、及びアミノアルコール脂質から選択してよい。別の態様では、脂質は、限定はされないが、DLin−DMA、DLin−D−DMA、DLin−MC3−DMA、DLin−KC2−DMA、DODMA、及びアミノアルコール脂質などのカチオン性脂質であり得る。アミノアルコールカチオン性脂質は、米国特許公開第US20130150625号に記載の脂質であり得、及び/またはそこに記載の方法によって調製してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、カチオン性脂質は、2−アミノ−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z,2Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625に記載の化合物1)、2−アミノ−3−[(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625に記載の化合物2)、2−アミノ−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−[(オクチルオキシ)メチル]プロパン−1−オール(US20130150625に記載の化合物3)、及び2−(ジメチルアミノ)−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625に記載の化合物4)、または薬学的に許容されるその任意の塩もしくは立体異性体であり得る。
脂質ナノ粒子製剤は、典型的には、脂質、特に、イオン化可能なカチオン性脂質を含むと共に、中性脂質、ステロール、及び例えば、PEGまたはPEG修飾脂質などの、粒子の凝集を低減する能力を有する分子をさらに含み、こうしたイオン化可能なカチオン性脂質は、例えば、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、またはジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)である。
1つの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、(i)2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)からなる群から選択される少なくとも1つの脂質と、(ii)DSPC、DPPC、POPC、DOPE、及びSMから選択される中性脂質と、(iii)例えば、コレステロールなどのステロールと、(iv)例えば、PEG−DMGまたはPEG−cDMAなどのPEG−脂質と、から本質的になるものであり、これらのモル比率は、カチオン性脂質が約20〜60%、中性脂質が5〜25%、ステロールが25〜55%、PEG−脂質が0.5〜15%である。
1つの実施形態では、製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質をモルベースで約25%〜約75%含み、例えば、モルベースで約35〜約65%、約45〜約65%、約60%、約57.5%、約50%、または約40%含む。
1つの実施形態では、製剤は、中性脂質をモルベースで約0.5%〜約15%含み、例えば、モルベースで約3〜約12%、約5〜約10%、または約15%、約10%、もしくは約7.5%含む。中性脂質の例には、限定はされないが、DSPC、POPC、DPPC、DOPE、及びSMが含まれる。1つの実施形態では、製剤は、ステロールをモルベースで約5%〜約50%(例えば、モルベースで約15〜約45%、約20〜約40%、約40%、約38.5%、約35%、または約31%)含む。ステロールの例は、コレステロールである。1つの実施形態では、製剤は、PEGまたはPEG修飾脂質をモルベースで約0.5%〜約20%(例えば、モルベースで約0.5〜約10%、約0.5〜約5%、約1.5%、約0.5%、約1.5%、約3.5%、または約5%)を含む。1つの実施形態では、PEGまたはPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000DaのPEG分子を含む。他の実施形態では、PEGまたはPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000未満(例えば、およそ1,500Da、およそ1,000Da、またはおよそ500Da)のPEG分子を含む。PEG修飾脂質の例には、限定はされないが、PEG−ジステアロイルグリセロール(PEG−DMG)(本明細書ではPEG−C14またはC14−PEGとも称される)、PEG−cDMAが含まれる(Reyes et al.J.Controlled Release,107,276−287(2005)においてさらに議論されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を25〜75%、中性脂質を0.5〜15%、ステロールを5〜50%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を0.5〜20%、モルベースで含む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を35〜65%、中性脂質を3〜12%、ステロールを15〜45%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を0.5〜10%、モルベースで含む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を45〜65%、中性脂質を5〜10%、ステロールを25〜40%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を0.5〜10%、モルベースで含む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を約60%、中性脂質を約7.5%、ステロールを約31%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を約1.5%、モルベースで含む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を約50%、中性脂質を約10%、ステロールを約38.5%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を約1.5%、モルベースで含む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を約50%、中性脂質を約10%、ステロールを約35%、PEGまたはPEG修飾脂質を約4.5%または約5%、ならびに標的指向化脂質を約0.5%、モルベースで含む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を約40%、中性脂質を約15%、ステロールを約40%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を約5%、モルベースで含む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を約57.2%、中性脂質を約7.1%、ステロールを約34.3%、ならびにPEGまたはPEG修飾脂質を約1.4%、モルベースで含む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は、PEG脂質から選択されるカチオン性脂質としてPEG−cDMA(PEG−cDMAについては、Reyes et al.(J.Controlled Release,107,276−287(2005)においてさらに議論されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を約57.5%、中性脂質を約7.5%、ステロールを約31.5%、及びPEGまたはPEG修飾脂質を約3.5%、モルベースで含む。
好ましい実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質が約20〜70%:中性脂質が5〜45%:コレステロールが20〜55%:PEG修飾脂質が0.5〜15%というモル比率の脂質混合物から本質的になり、より好ましくは、カチオン性脂質が約20〜60%:中性脂質が5〜25%:コレステロールが25〜55%:PEG修飾脂質が0.5〜15%というモル比率の脂質混合物から本質的になる。
特定の実施形態では、脂質のモル比率は、約50/10/38.5/1.5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMG、PEG−DSG、もしくはPEG−DPG)のモル%)、57.2/7.1134.3/1.4(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DPPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−cDMA)のモル%)、40/15/40/5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMG)のモル%)、50/10/35/4.5/0.5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DSG)のモル%)、50/10/35/5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMG))、40/10/40/10(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMGもしくはPEG−cDMA)のモル%)、35/15/40/10(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMGもしくはPEG−cDMA)のモル%)、または52/13/30/5(カチオン性脂質/中性脂質(例えば、DSPC)/コレステロール/PEG修飾脂質(例えば、PEG−DMGもしくはPEG−cDMA)のモル%)である。
脂質ナノ粒子組成物及びその調製方法の例は、例えば、Semple et al.(2010)Nat.Biotechnol.28:172−176、Jayarama et al.(2012),Angew.Chem.Int.Ed.,51:8529−8533、及びMaier et al.(2013)Molecular Therapy 21,1570−1578(これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
1つの実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質、PEG脂質、及び構造脂質を含み得、非カチオン性脂質を任意選択で含み得る。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を約40〜60%、非カチオン性脂質を約5〜15%、PEG脂質を約1〜2%、及び構造脂質を約30〜50%含み得る。別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を約50%、非カチオン性脂質を約10%、PEG脂質を約1.5%、及び構造脂質を約38.5%含み得る。さらに別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を約55%、非カチオン性脂質を約10%、PEG脂質を約2.5%、及び構造脂質を約32.5%含み得る。1つの実施形態では、カチオン性脂質は、限定はされないが、DLin−KC2−DMA、DLin−MC3−DMA、及びL319などの、本明細書記載のカチオン性脂質のいずれかであり得る。
1つの実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子製剤は、4つの構成成分を含む脂質ナノ粒子であり得る。脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG脂質、及び構造脂質を含み得る。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を約40〜60%、非カチオン性脂質を約5〜15%、PEG脂質を約1〜2%、及び構造脂質を約30〜50%含み得る。別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を約50%、非カチオン性脂質を約10%、PEG脂質を約1.5%、及び構造脂質を約38.5%含み得る。さらに別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を約55%、非カチオン性脂質を約10%、PEG脂質を約2.5%、及び構造脂質を約32.5%含み得る。1つの実施形態では、カチオン性脂質は、限定はされないが、DLin−KC2−DMA、DLin−MC3−DMA、及びL319などの、本明細書記載のカチオン性脂質のいずれかであり得る。
1つの実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG脂質、及び構造脂質を含み得る。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質としてDLin−KC2−DMAを約50%、非カチオン性脂質としてDSPCを約10%、PEG脂質としてPEG−DOMGを約1.5%、及び構造脂質コレステロールを約38.5%含む。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質としてDLin−MC3−DMAを約50%、非カチオン性脂質としてDSPCを約10%、PEG脂質としてPEG−DOMGを約1.5%、及び構造脂質としてコレステロールを約38.5%含む。非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質としてDLin−MC3−DMAを約50%、非カチオン性脂質としてDSPCを約10%、PEG脂質としてPEG−DMGを約1.5%、及び構造脂質としてコレステロールを約38.5%含む。さらに別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質としてL319を約55%、非カチオン性脂質としてDSPCを約10%、PEG脂質としてPEG−DMGを約2.5%、及び構造脂質としてコレステロールを約32.5%含む。
1つの実施形態では、カチオン性脂質は、限定はされないが、国際公開第WO2012040184号、第WO2011153120号、第WO2011149733号、第WO2011090965号、第WO2011043913号、第WO2011022460号、第WO2012061259号、第WO2012054365号、第WO2012044638号、第WO2010080724号、第WO201021865号、第WO2008103276号、第WO2013086373号、及び第WO2013086354号、米国特許第7,893,302号、第7,404,969号、第8,283,333号、及び第8,466,122号、ならびに米国特許公開第US20100036115号、第US20120202871号、第US20130064894号、第US20130129785号、第US20130150625号、第US20130178541号、及び第US20130225836号に記載のカチオン性脂質から選択してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、カチオン性脂質は、限定はされないが、限定はされないが、国際公開第第WO2012040184号、第WO2011153120号、第WO2011149733号、第WO2011090965号、第WO2011043913号、第WO2011022460号、第WO2012061259号、第WO2012054365号、第WO2012044638号、及び第WO2013116126号、または米国特許公開第US20130178541号及び第US20130225836号に記載の式Aから選択してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。さらに別の実施形態では、カチオン性脂質は、限定はされないが、国際公開第WO2008103276号に記載の式CLI−CLXXIX、米国特許第7,893,302号に記載の式CLI−CLXXIX、米国特許第7,404,969号に記載の式CLI−CLXXXXII、及び米国特許公開第US20100036115号に記載の式I−VI、米国特許公開第US20130123338号に記載の式Iから選択してよく、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、カチオン性脂質は、(20Z,23Z)−N,N−ジメチルノナコサ−20,23−ジエン−10−アミン、(17Z,20Z)−N,N−ジメミルヘキサコサ(dimemylhexacosa)−17,20−ジエン−9−アミン、(1Z,19Z)−N5N−ジメチルペンタコサ−l6,19−ジエン−8−アミン、(13Z,16Z)−N,N−ジメチルドコサ−13,16−ジエン−5−アミン、(12Z,15Z)−N,N−ジメチルヘンイコサ−12,15−ジエン−4−アミン、(14Z,17Z)−N,N−ジメチルトリコサ−14,17−ジエン−6−アミン、(15Z,18Z)−N,N−ジメチルテトラコサ−15,18−ジエン−7−アミン、(18Z,21Z)−N,N−ジメチルヘプタコサ−18,21−ジエン−10−アミン、(15Ζ,18Ζ)−Ν,Ν−ジメチルテトラコサ−15,18−ジエン−5−アミン、(14Z,17Z)−N,N−ジメチルトリコサ−14,17−ジエン−4−アミン、(19Z,22Z)−N,N−ジメイヒルオクタコサ(dimeihyloctacosa)−19,22−ジエン−9−アミン、(18Z,21Z)−N,N−ジメチルヘプタコサ−18,21−ジエン−8−アミン、(17Z,20Z)−N,N−ジメチルヘキサコサ−17,20−ジエン−7−アミン、(16Z,19Z)−N,N−ジメチルペンタコサ−16,19−ジエン−6−アミン、(22Z,25Z)−N,N−ジメチルヘントリアコンタ−22,25−ジエン−10−アミン、(21Z,24Z)−N,N−ジメチルトリアコンタ−21,24−ジエン−9−アミン、(18Z)−N,N−ジメチルヘプタコサ(dimetylheptacos)−18−エン−10−アミン、(17Z)−N,N−ジメチルヘキサコサ−17−エン−9−アミン、(19Z,22Z)−N,N−ジメチルオクタコサ−19,22−ジエン−7−アミン、N,N−ジメチルヘプタコサン−10−アミン、(20Z,23Z)−N−エチル−N−メチルノナコサ−20,23−ジエン−l0−アミン、1−[(11Z,14Z)−1−ノニルイコサ−11,14−ジエン−1−イル]ピロリジン、(20Z)−N,N−ジメチルヘプタコサ−20−エン−l0−アミン、(15Z)−N,N−ジメチルエプタコサ(dimethyleptacos)−15−エン−l0−アミン、(14Z)−N,N−ジメチルノナコサ−14−エン−l0−アミン、(17Z)−N,N−ジメチルノナコサ−17−エン−l0−アミン、(24Z)−N,N−ジメチルトリトリアコンタ−24−エン−l0−アミン、(20Z)−N,N−ジメチルノナコサ−20−エン−l0−アミン、(22Z)−N,N−ジメチルヘントリアコンタ−22−エン−l0−アミン、(16Z)−N,N−ジメチルペンタコサ−16−エン−8−アミン、(12Z,15Z)−N,N−ジメチル−2−ノニルヘンイコサ−12,15−ジエン−1−アミン、(13Z,16Z)−N,N−ジメチル−3−ノニルドコサ−l3,16−ジエン−1−アミン、N,N−ジメチル−1−[(lS,2R)−2−オクチルシクロプロピル]エプタデカン(eptadecan)−8−アミン、1−[(1S,2R)−2−ヘキシルシクロプロピル]−N,N−ジメチルノナデカン−10−アミン、Ν,Ν−ジメチル−1−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ノナデカン−10−アミン、N,N−ジメチル−21−[(lS,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ヘンイコサン−l0−アミン、Ν,Ν−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−{[(lR,2R)−2−ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]ノナデカン−10−アミン、Ν,Ν−ジメチル−1−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ヘキサデカン−8−アミン、Ν,Ν−ジメチル−[(lR,2S)−2−ウンデシルシクロプロピル]テトラデカン−5−アミン、N,N−ジメチル−3−{7−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ヘプチル}ドデカン−1−アミン、1−[(1R,2S)−2−ヘプチルシクロプロピル]−Ν,Ν−ジメチルオクタデカン−9−アミン、1−[(1S,2R)−2−デシルシクロプロピル]−N,N−ジメチルペンタデカン−6−アミン、N,N−ジメチル−1−[(lS,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ペンタデカン−8−アミン、R−N,N−ジメチル−1−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、S−N,N−ジメチル−1−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、1−{2−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−1−[(オクチルオキシ)メチル]エチル}ピロリジン、(2S)−N,N−ジメチル−1−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−3−[(5Z)−オクタ−5−エン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、1−{2−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−1−[(オクチルオキシ)メチル]エチル}アゼチジン、(2S)−1−(ヘキシルオキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、(2S)−1−(ヘプチルオキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、Ν,Ν−ジメチル−1−(ノニルオキシ)−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、Ν,Ν−ジメチル−1−[(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルオキシ]−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2S)−N,N−ジメチル−1−[(6Z,9Z,12Z)−オクタデカ−6,9,12−トリエン−1−イルオキシ]−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2S)−1−[(11Z,14Z)−イコサ−11,14−ジエン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(ペンチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2S)−1−(ヘキシルオキシ)−3−[(11Z,14Z)−イコサ−11,14−ジエン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチルプロパン−2−アミン、1−[(11Z,14Z)−イコサ−11,14−ジエン−1−イルオキシ]−Ν,Ν−ジメチル−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、1−[(13Z,16Z)−ドコサ−l3,16−ジエン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2S)−1−[(13Z,16Z)−ドコサ−13,16−ジエン−1−イルオキシ]−3−(ヘキシルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−2−アミン、(2S)−1−[(13Z)−ドコサ−13−エン−1−イルオキシ]−3−(ヘキシルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−2−アミン、1−[(13Z)−ドコサ−13−エン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、1−[(9Z)−ヘキサデカ−9−エン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2R)−N,N−ジメチル−H(1−メトイルオクチル(metoyloctyl))オキシ]−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、(2R)−1−[(3,7−ジメチルオクチル)オキシ]−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、N,N−ジメチル−1−(オクチルオキシ)−3−({8−[(1S,2S)−2−{[(1R,2R)−2−ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]オクチル}オキシ)プロパン−2−アミン、N,N−ジメチル−1−{[8−(2−オクチルシクロプロピル)オクチル]オキシ}−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、及び(11E,20Z,23Z)−N,N−ジメチルノナコサ−11,20,2−トリエン−10−アミン、またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体から選択してよい。
1つの実施形態では、脂質は、国際公開第WO2012170889号に記載のものなどの切断可能な脂質であり得、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、脂質は、限定はされないが、米国特許出願第US20130064894号に記載の式(I)などのカチオン性脂質であり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、カチオン性脂質は、当該技術分野において知られる方法及び/または国際公開第WO2012040184号、第WO2011153120号、第WO2011149733号、第WO2011090965号、第WO2011043913号、第WO2011022460号、第WO2012061259号、第WO2012054365号、第WO2012044638号、第WO2010080724号、第WO201021865号、第WO2013086373号、及び第WO2013086354号に記載の方法によって合成してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、カチオン性脂質は、トリアルキルカチオン性脂質であり得る。トリアルキルカチオン性脂質、ならびにトリアルキルカチオン性脂質の調製方法及び使用方法の例は、限定はされないが、国際特許公開第WO2013126803号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチンのLNP製剤は、3%の脂質モル比率でPEG−c−DOMGを含み得る。別の実施形態では、RNAワクチンのLNP製剤は、1.5%の脂質モル比率でPEG−c−DOMGを含み得る。
1つの実施形態では、RNAワクチンの医薬組成物は、国際公開第WO2012099755号に記載のPEG化脂質を少なくとも1つ含み得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、LNP製剤は、PEG−DMG2000(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000)を含み得る。1つの実施形態では、LNP製剤は、PEG−DMG2000、当該技術分野において知られるカチオン性脂質、及び少なくとも1つの他の構成成分を含み得る。別の実施形態では、LNP製剤は、PEG−DMG2000、当該技術分野において知られるカチオン性脂質、DSPC、及びコレステロールを含み得る。非限定例として、LNP製剤は、PEG−DMG2000、DLin−DMA、DSPC、及びコレステロールを含み得る。別の非限定例として、LNP製剤は、PEG−DMG2000、DLin−DMA、DSPC、及びコレステロールを2:40:10:48のモル比率で含み得る(例えば、Geall et al.,Nonviral delivery of self−amplifying RNA vaccines,PNAS 2012、PMID:22908294を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、LNP製剤は、国際公開第WO2011127255号または第WO2008103276号に記載の方法によって製剤化してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、本明細書に記載のRNAワクチンは、WO2011127255及び/またはWO2008103276に記載のLNP製剤に封入してよく、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本明細書に記載のRNAワクチンは、米国公開第US20120207845号に記載の非経口経路によって送達されることになるナノ粒子において製剤化してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、米国特許公開第US20130156845号、または国際公開第WO2013093648号もしくは第WO2012024526号に記載の方法によって調製される脂質ナノ粒子において製剤化してよく、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、米国特許公開第US20130164400号に記載のシステム及び/または方法による無菌環境において調製してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、LNP製剤は、米国特許第8,492,359号に記載の核酸−脂質粒子などのナノ粒子において製剤化してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、脂質粒子は、1つまたは複数の活性剤または治療剤と、粒子に存在する総脂質の約50モル%〜約85モル%を構成する1つまたは複数のカチオン性脂質と、粒子に存在する総脂質の約13モル%〜約49.5モル%を構成する1つまたは複数の非カチオン性脂質と、粒子に存在する総脂質の約0.5モル%〜約2モル%を構成し、粒子の凝集を抑制する1つまたは複数の複合化脂質と、を含み得る。ナノ粒子における核酸は、本明細書に記載のポリヌクレオチド及び/または当該技術分野において知られるポリヌクレオチドであり得る。
1つの実施形態では、LNP製剤は、国際公開第WO2011127255号または第WO2008103276号に記載の方法によって製剤化してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、本明細書に記載の修飾RNAは、WO2011127255及び/またはWO2008103276に記載のLNP製剤に封入してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本明細書に記載のLNP製剤は、ポリカチオン性組成物を含み得る。非限定例として、ポリカチオン性組成物は、米国特許公開第US20050222064号に記載の式1〜60から選択してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、ポリカチオン性組成物を含むLNP製剤は、本明細書に記載の修飾RNAのインビボ及び/またはインビトロでの送達に使用してよい。
1つの実施形態では、本明細書に記載のLNP製剤は、透過性エンハンサー分子をさらに含み得る。透過性エンハンサー分子の例は、限定はされないが、米国特許公開第US20050222064号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチン医薬組成物は、限定はされないが、DiLa2リポソーム(Marina Biotech,Bothell,WA)、SMARTICLES(登録商標)(Marina Biotech,Bothell,WA)、中性DOPC(1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)に基づくリポソーム(例えば、卵巣癌へのsiRNAの送達であり(Landen et al.Cancer Biology & Therapy 2006 5(12)1708−1713)、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、及びヒアルロナン被覆型リポソーム(Quiet Therapeutics,Israel)などのリポソームにおいて製剤化してよい。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、米国公開第US2012060293号に記載の凍結乾燥されたゲル相リポソーム組成物において製剤化してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
ナノ粒子製剤は、ホスフェート複合体を含み得る。ホスフェート複合体は、インビボの循環時間を増進、及び/またはナノ粒子の標的指向型送達を増進し得る。本発明で使用するためのホスフェート複合体は、国際出願第WO2013033438号または米国特許公開第US20130196948号に記載の方法によって調製してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、ホスフェート複合体は、国際出願第WO2013033438号に記載の式のいずれか1つの化合物を含み得、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
ナノ粒子製剤は、ポリマー複合体を含み得る。ポリマー複合体は、水溶性複合体であり得る。ポリマー複合体は、米国特許出願第20130059360号に記載の構造を有し得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。1つの態様では、本発明のポリヌクレオチドとのポリマー複合体は、米国特許出願第20130072709号に記載の方法及び/またはセグメント化ポリマー試薬を使用して調製してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の態様では、ポリマー複合体は、限定はされないが、米国特許公開第US20130196948号に記載のポリマー複合体などの、環部分を含むペンダント側鎖を有するものであり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
ナノ粒子製剤は、対象における本発明のナノ粒子の送達を増進する複合体を含み得る。さらに、複合体は、対象におけるナノ粒子の食作用性のクリアランスを抑制し得る。1つの態様では、複合体は、ヒトの膜タンパク質であるCD47から設計された「自己」ペプチドであり得る(例えば、Rodriguez et al(Science 2013 339,971−975)によって記載される「自己」粒子であり、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。マクロファージ媒介性のナノ粒子のクリアランスが自己ペプチドによって遅延し、これによってナノ粒子の送達が増進することがRodriguez et al.によって示された。別の態様では、複合体は、膜タンパク質であるCD47であり得る(例えば、Rodriguez et al.Science 2013 339,971−975を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。スクランブル型ペプチド及びPEG被覆型ナノ粒子と比較して、CD47が、「自己」ペプチドと同様に、対象における粒子の循環比率を増加させることができることがRodriguez et al.によって示された。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、対象における本発明のナノ粒子の送達を増進する複合体を含むナノ粒子において製剤化される。複合体は、CD47膜であり得るか、または複合体は、前述の「自己」ペプチドなどの、CD47膜タンパク質に由来し得るものである。別の態様では、ナノ粒子は、PEG、及びCD47の複合体またはその誘導体を含み得る。さらに別の態様では、ナノ粒子は、上記の「自己」ペプチドと膜タンパク質であるCD47との両方を含み得る。
別の態様では、「自己」ペプチド及び/またはCD47タンパク質は、本発明のRNAワクチンの送達を対象として本明細書に記載されるように、ウイルス様粒子または偽ウイルス粒子に複合化してよい。
別の実施形態では、RNAワクチン医薬組成物は、本発明のポリヌクレオチドと、分解可能な結合を有し得る複合体と、を含む。複合体の例は、限定はされないが、イオン化可能な水素原子を含む芳香族部分、スペーサー部分、及び水溶性ポリマーを含む。非限定例として、分解可能な結合を有する複合体を含む医薬組成物、及びそのような医薬組成物の送達方法は、米国特許公開第US20130184443号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
ナノ粒子製剤は、糖質担体及びRNAワクチンを含む糖質ナノ粒子であり得る。非限定例として、糖質担体には、限定はされないが、無水物修飾型フィトグリコーゲンまたはグリコーゲン型材料、フォトグリコーゲン(phtoglycogen)オクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンベータ−デキストリン、無水物修飾型フィトグリコーゲンベータ−デキストリンが含まれ得る(例えば、国際公開第WO2012109121を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
本発明のナノ粒子製剤は、粒子の送達を改善するために界面活性剤またはポリマーで被覆してよい。1つの実施形態では、ナノ粒子は、限定はされないが、PEGコーティング、及び/または中性表面電荷を有するコーティングなどの親水性コーティングで被覆してよい。親水性コーティングは、限定はされないが、中枢神経系内での、RNAワクチンの送達などの、より大きなペイロードを有するナノ粒子の送達に役立ち得る。非限定例として、親水性コーティングを含むナノ粒子、及びそのようなナノ粒子の調製方法は、米国特許公開第US20130183244号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本発明の脂質ナノ粒子は、親水性ポリマー粒子であり得る。親水性ポリマー粒子、及び親水性ポリマー粒子の調製方法の例は、限定はされないが、米国特許公開第US20130210991号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、本発明の脂質ナノ粒子は、疎水性ポリマー粒子であり得る。
脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質を、迅速排出型脂質ナノ粒子(reLNP)として知られる生分解性のカチオン性脂質と交換することによって改良してよい。限定はされないが、DLinDMA、DLin−KC2−DMA、及びDLin−MC3−DMAなどのイオン化可能なカチオン性脂質は、時間と共に血漿及び組織に蓄積することが示されており、潜在的な毒性源となり得る。迅速排出型脂質は迅速に代謝されるため、ラットにおいて脂質ナノ粒子の忍容性及び治療指数を1mg/kg用量から10mg/kg用量へと1桁改善することができる。酵素的に分解したエステル結合を含めることで、reLNP製剤の活性を依然として維持しつつ、カチオン性成分の分解及び代謝のプロファイルを改善することができる。エステル結合は、脂質鎖中に内部的に位置し得るか、または脂質鎖の終端に末端的に位置し得る。内部エステル結合によって、脂質鎖における任意の炭素を置換してよい。
1つの実施形態では、内部エステル結合は、飽和炭素のどちら側に位置してもよい。
1つの実施形態では、免疫応答は、ナノ種、ポリマー、及び免疫原を含み得る脂質ナノ粒子を送達することによって誘発してよい(米国公開第20120189700号及び国際公開第WO2012099805号(これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。ポリマーは、ナノ種を封入し得るか、またはナノ種を部分的に封入し得る。免疫原は、本明細書に記載の組換えタンパク質、修飾RNA、及び/またはポリヌクレオチドであり得る。1つの実施形態では、脂質ナノ粒子は、限定はされないが、病原体などに対するワクチンにおける使用を目的として製剤化してよい。
脂質ナノ粒子は、脂質ナノ粒子が粘膜バリアを透過し得るように粒子の表面特性を操作改変してよい。粘液は、限定はされないが、口腔(例えば、頬側及び食道の膜ならびに扁桃組織)、眼、胃腸(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸)、鼻、呼吸器(例えば、鼻、咽頭、気管、及び気管支の膜)、性器(例えば、腟、子宮頸部、及び尿道の膜)などの粘膜組織に位置する。薬物封入効率を高め、多様な薬物を持続的に送達する能力を付与するには10〜200nmより大きなナノ粒子が好ましいが、こうしたナノ粒子は、粘膜バリアを介して迅速に拡散するには大きすぎると考えられてきた。粘液は、連続的に分泌、排出、廃棄、または分解及び再利用されるため、捕捉される粒子の大部分は、数秒以内または数時間以内に粘膜組織から排除され得る。低分子量ポリエチレングリコール(PEG)で密に被覆された大型ポリマーナノ粒子(直径200nm〜500nm)が粘液を介して拡散する効率は、同一粒子が水中を拡散する効率と比較して4〜6倍低いものにすぎなかった(Lai et al.PNAS 2007 104(5):1482−487、Lai et al.Adv Drug Deliv Rev.2009 61(2):158−171(これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。透過速度及び/または蛍光顕微鏡技術を使用してナノ粒子の輸送を決定してよく、こうした技術には、限定はされないが、蛍光退色後回復測定(FRAP)及び高解像度多粒子追跡(high resolution multiple particle tracking)(MPT)が含まれる。非限定例として、粘膜バリアを透過することができる組成物は、米国特許第8,241,670号または国際特許公開第WO2013110028号に記載されるように調製してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
粘液を透過するように操作された脂質ナノ粒子は、ポリマー材料(すなわち、ポリマーコア)及び/またはポリマー−ビタミン複合体及び/またはトリブロックコポリマーを含み得る。ポリマー材料には、限定はされないが、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリ(スチレン)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチエンイミン(polyethyeneimine)、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリレートが含まれ得る。ポリマー材料は、生分解性及び/または生体適合性であり得る。生体適合性ポリマーの例は、限定はされないが、国際特許公開第WO2013116804号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。ポリマー材料に対して、照射処理を追加で実施してよい。非限定例として、ポリマー材料に対して、ガンマ線照射処理を実施してよい(例えば、国際出願第WO201282165号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。特定のポリマーの例には、限定はされないが、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PEO−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PPO−コ−D,L−ラクチド)、ポリアルキルシアノアクラレート(polyalkyl cyanoacralate)、ポリウレタン、ポリ−L−リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリアルキレン(ポリエチレン及びポリプロピレンなど)、ポリアルキレングリコール(ポリ(エチレングリコール)(PEG)など)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリアルキレンテレフタレート(ポリ(エチレンテレフタレート)など)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル(ポリ(酢酸ビニル)など)、ポリビニルハロゲン化物(ポリ(塩化ビニル)(PVC)など)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、誘導体化セルロース(アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、アクリル酸のポリマー(ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)など)ならびにそのコポリマー及びその混合物、ポリジオキサノン及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロクサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(ブタン酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、PEG−PLGA−PEG及びトリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドンが含まれる。脂質ナノ粒子は、限定はされないが、ブロックコポリマー(国際公開第WO2013012476号に記載の分岐型ポリエーテル−ポリアミドブロックコポリマーなど。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、ならびに(ポリ(エチレングリコール))−(ポリ(プロピレンオキシド))−(ポリ(エチレングリコール))トリブロックコポリマー(例えば、米国公開第20120121718号及び米国公開第20100003337号ならびに米国特許第8,263,665号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)などのコポリマーで被覆またはそれと会合させてよい。コポリマーは、一般に安全と見なされる(GRAS)ポリマーであり得、脂質ナノ粒子の形成は、新たな化学物質が創出されない様式によるものであり得る。例えば、脂質ナノ粒子は、新たな化学物質の形成を伴わず、依然としてヒトの粘液を迅速に透過することができるポロクサマーコーティングPLGAナノ粒子(Yang et al.Angew.Chem.Int.Ed.2011 50:2597−2600(当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))を含み得る。ヒトの粘液を透過することができるナノ粒子を得るための拡張可能な方法は、限定はされないが、Xu et alによって記載されている(例えば、J Control Release 2013,170(2):279−86を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
ポリマー−ビタミン複合体のビタミンは、ビタミンEであり得る。複合体のビタミン部分は、他の適した成分で置換してよく、こうした他の適した成分は、限定はされないが、ビタミンA、ビタミンE、他のビタミン、コレステロール、疎水性部分、または他の界面活性剤の疎水性成分(例えば、ステロール鎖、脂肪酸、炭化水素鎖、及びアルキレンオキシド鎖)などである。
粘液を透過するように操作された脂質ナノ粒子は、表面改変剤を含み得、こうした表面改変剤は、限定はされないが、ポリヌクレオチド、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤(例えば、ジメチルジオクタデシル−アンモニウムブロミドなど))、糖または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール、及びポロクサマー)、粘液溶解剤(例えば、N−アセチルシステイン、ヨモギ、ブロメライン、パパイン、クサギ属、アセチルシステイン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルゾリン、サイモシンβ4ドルナーゼアルファ、ネルテネキシン、エルドステイン)、ならびにさまざまなDNases(rhDNaseを含む)などである。表面改変剤は、粒子表面に包埋もしくは絡み合わせるか、または(例えば、コーティング、吸着、共有結合、もしくは他のプロセスによって)脂質ナノ粒子の表面に配置してよい(例えば、米国公開第20100215580号及び米国公開第20080166414号ならびにUS20130164343を参照のこと。これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、粘液透過脂質ナノ粒子は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを少なくとも1つ含み得る。ポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子に封入し、及び/または粒子表面に配置してよい。ポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子に共有結合でカップリングさせてよい。粘液透過脂質ナノ粒子の製剤は、複数のナノ粒子を含み得る。さらに、粘液と相互作用し、周囲の粘液の構造特性及び/または接着特性を改変することで粘膜付着を低減し得、これによって粘膜組織への粘液透過脂質ナノ粒子の送達を増加させ得る粒子を製剤に含めてよい。
別の実施形態では、粘液透過脂質ナノ粒子は、粘膜透過増進コーティングを含む低浸透圧性製剤であり得る。製剤は、それが送達される上皮に対して低浸透圧性であり得る。低浸透圧性製剤の例は、限定はされないが、国際特許公開第WO2013110028号において見つけることができ、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、粘膜バリアを介する送達を増進するために、RNAワクチン製剤は、低浸透圧性溶液を含み得るか、または低浸透圧性溶液であり得る。低浸透圧性溶液は、限定はされないが、粘液透過粒子などの粘液不活性(mucoinert)粒子が膣上皮表面に到達することができる速度を増加させることが見出された(例えば、Ensign et al.Biomaterials 2013 34(28):6922−9を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、リポプレックスとして製剤化され、こうしたリポプレックスは、限定はされないが、Silence Therapeutics(London,United Kingdom)から供給されるATUPLEX(商標)システム、DACCシステム、DBTCシステム、及び他のsiRNA−リポプレックス技術、STEMGENT(登録商標)(Cambridge,MA)から供給されるSTEMFECT(商標)、ならびにポリエチレンイミン(PEI)またはプロタミンに基づく標的指向型の核酸送達及び非標的指向型の核酸送達などである(Aleku et al.Cancer Res.2008 68:9788−9798、Strumberg et al.Int J Clin Pharmacol Ther 2012 50:76−78、Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1222−1234、Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1360−1370、Gutbier et al.,Pulm Pharmacol.Ther.2010 23:334−344、Kaufmann et al.Microvasc Res 2010 80:286−293 Weide et al.J Immunother.2009 32:498−507、Weide et al.J Immunother.2008 31:180−188、Pascolo Expert Opin.Biol.Ther.4:1285−1294、Fotin−Mleczek et al.,2011 J.Immunother.34:1−15、Song et al.,Nature Biotechnol.2005,23:709−717、Peer et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2007 6;104:4095−4100、deFougerolles Hum Gene Ther.2008 19:125−132(これらの文献はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、そのような製剤は、異なる細胞型に対してそれが受動的または能動的にインビボで指向化されるように構築するか、またはそのように改変された組成物としてもよく、こうした細胞型には、限定はされないが、肝細胞、免疫細胞、腫瘍細胞、内皮細胞、抗原提示細胞、及び白血球が含まれる(Akinc et al.Mol Ther.2010 18:1357−1364、Song et al.,Nat Biotechnol.2005 23:709−717、Judge et al.,J Clin Invest.2009 119:661−673、Kaufmann et al.,Microvasc Res 2010 80:286−293、Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1222−1234、Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1360−1370、Gutbier et al.,Pulm Pharmacol.Ther.2010 23:334−344、Basha et al.,Mol.Ther.2011 19:2186−2200、Fenske and Cullis,Expert Opin Drug Deliv.2008 5:25−44、Peer et al.,Science.2008 319:627−630、Peer and Lieberman,Gene Ther.2011 18:1127−1133(これらの文献はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。肝細胞へと受容的に標的指向化される製剤の例の1つには、DLin−DMAに基づく脂質ナノ粒子製剤、DLin−KC2−DMAに基づく脂質ナノ粒子製剤、及びDLin−MC3−DMAに基づく脂質ナノ粒子製剤が含まれ、こうした脂質ナノ粒子製剤は、アポリポタンパク質Eに結合し、肝細胞へのこうした製剤の結合及び取り込みをインビボで促進することが示されている(Akinc et al.Mol Ther.2010 18:1357−1364(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。製剤は、限定はされないが、葉酸、トランスフェリン、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)によって例示される異なるリガンドのその表面での発現、及び抗体による標的指向化手法を介して選択的に標的指向化することもできる(Kolhatkar et al.,Curr Drug Discov Technol.2011 8:197−206、Musacchio and Torchilin,Front Biosci.2011 16:1388−1412、Yu et al.,Mol Membr Biol.2010 27:286−298、Patil et al.,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.2008 25:1−61、Benoit et al.,Biomacromolecules.2011 12:2708−2714、Zhao et al.,Expert Opin Drug Deliv.2008 5:309−319、Akinc et al.,Mol Ther.2010 18:1357−1364、Srinivasan et al.,Methods Mol Biol.2012 820:105−116、Ben−Arie et al.,Methods Mol Biol.2012 757:497−507、Peer 2010 J Control Release.20:63−68、Peer et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2007 104:4095−4100、Kim et al.,Methods Mol Biol.2011 721:339−353、Subramanya et al.,Mol Ther.2010 18:2028−2037、Song et al.,Nat Biotechnol.2005 23:709−717、Peer et al.,Science.2008 319:627−630、Peer and Lieberman,Gene Ther.2011 18:1127−1133(これらの文献はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、固形脂質ナノ粒子として製剤化される。固形脂質ナノ粒子(SLN)は、10〜1000nmの平均直径を有する球状であり得る。SLNは、親油性分子を可溶化することができる固形の脂質コアマトリックスを有し、界面活性剤及び/または乳化剤で安定化してよい。追加の実施形態では、脂質ナノ粒子は、自己会合性の脂質−ポリマーナノ粒子であり得る(Zhang et al.,ACS Nano,2008,2(8),pp1696−1702を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。非限定例として、SLNは、国際特許公開第WO2013105101号に記載のSLNであり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の非限定例として、SLNは、国際特許公開第WO2013105101号に記載の方法またはプロセスによって調製してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
ポリヌクレオチドが誘導するタンパク質産生の効果を改善するために、リポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子を使用してよく、この理由は、こうした製剤によって、RNAワクチンによる細胞トランスフェクションの増加及び/またはコードタンパク質の翻訳の増加が可能になり得るためである。そのような例の1つでは、ポリプレックスプラスミドDNAの効率的な全身性送達を可能にするために脂質封入が使用される(Heyes et al.,Mol Ther.2007 15:713−720(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。ポリヌクレオチドの安定性を向上させるためにも、リポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子を使用してよい。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、制御放出及び/または標的指向型送達を目的として製剤化することができる。本明細書で使用される「制御放出」は、治療結果に影響を与える特定の放出パターンに従う、医薬組成物または化合物の放出プロファイルを指す。1つの実施形態では、RRNAワクチンは、本明細書に記載の送達剤、及び/または制御放出及び/または標的指向型送達向けとして当該技術分野において知られる送達剤に封入してよい。本明細書で使用される「封入」という用語は、密閉、包囲、または収容を意味する。この用語が本発明の化合物の製剤と関係するとき、封入は、実質的、完全、または部分的であり得る。「実質的に封入される」という用語は、本発明の医薬組成物または化合物が送達剤の中に密閉、包囲、または収容され得る割合が少なくとも50%超、少なくとも60%超、少なくとも70%超、少なくとも80%超、少なくとも85%超、少なくとも90%超、少なくとも95%超、少なくとも96%超、少なくとも97%超、少なくとも98%超、少なくとも99%超、少なくとも99.9%超、少なくとも99.9%超、または少なくとも99.999%超であることを意味する。「部分的封入」は、本発明の医薬組成物または化合物が送達剤の中に密閉、包囲、または収容され得る割合が10未満、10未満、20未満、30未満、40未満、50未満、またはそれ未満であることを意味する。有利には、蛍光及び/または電子顕微鏡写真を使用して本発明の医薬組成物または化合物の漏出または活性を測定することによって封入を決定しよい。例えば、本発明の医薬組成物または化合物が送達剤に封入される割合は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、少なくとも99.99%、または少なくとも99.99%超である。
1つの実施形態では、制御放出製剤は、限定はされないが、トリブロックコポリマーを含み得る。非限定例として、製剤は、2つの異なる型のトリブロックコポリマーを含み得る(国際公開第WO2012131104号及び第WO2012131106号(これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。
別の実施形態では、RNAワクチンは、脂質ナノ粒子または迅速排出型脂質ナノ粒子に封入してよく、その後、脂質ナノ粒子または迅速排出型脂質ナノ粒子は、本明細書に記載及び/または当該技術分野において知られるポリマー、ヒドロゲル、及び/または外科用シーラントに封入してよい。非限定例として、ポリマー、ヒドロゲル、または外科用シーラントは、PLGA、エチレン酢酸ビニル(EVAc)、ポロクサマー、GELSITE(登録商標)(Nanotherapeutics,Inc.Alachua,FL)、HYLENEX(登録商標)(Halozyme Therapeutics,San Diego CA)、外科用シーラント(フィブリノーゲンポリマー(Ethicon Inc.Cornelia,GA)、TISSELL(登録商標)(Baxter International,Inc Deerfield,IL)、PEGに基づくシーラント、及びCOSEAL(登録商標)(Baxter International,Inc Deerfield,IL)など)であり得る。
別の実施形態では、脂質ナノ粒子は、当該技術分野において知られ、対象に注射されるとゲルを形成し得る任意のポリマーに封入してよい。別の非限定例として、脂質ナノ粒子は、生分解性であり得るポリマーマトリックスに封入してよい。
1つの実施形態では、制御放出及び/または標的指向型送達を目的とするRNAワクチン製剤は、少なくとも1つの制御放出コーティングも含み得る。制御放出コーティングには、限定はされないが、OPADRY(登録商標)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、EUDRAGIT RL(登録商標)、EUDRAGIT RS(登録商標)、ならびにセルロース誘導体(エチルセルロースなど)の水性分散液(AQUACOAT(登録商標)及びSURELEASE(登録商標))が含まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチン制御放出及び/または標的指向型送達製剤は、ポリカチオン性側鎖を含み得る分解性ポリエステルを少なくとも1つ含み得る。分解性ポリエステルには、限定はされないが、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L−ラクチド−コ−L−リジン)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、及びそれらの組み合わせが含まれる。別の実施形態では、分解性ポリエステルは、PEG化ポリマーを形成するためのPEG複合化部を含み得る。
1つの実施形態では、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むRNAワクチン制御放出及び/または標的指向型送達製剤は、米国特許第8,404,222号に記載のPEG及び/またはPEG関連ポリマー誘導体を少なくとも1つ含み得、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むRNAワクチン制御放出送達製剤は、US20130130348に記載の制御放出ポリマーシステムであり得、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、治療ナノ粒子に封入してよく、これは、「治療ナノ粒子RRNAワクチン」と本明細書で称される。治療ナノ粒子は、本明細書に記載の方法及び当該技術分野において知られる方法によって製剤化してよく、こうした方法には、限定はされないが、国際公開第WO2010005740号、第WO2010030763号、第WO2010005721号、第WO2010005723号、第WO2012054923号、米国公開第US20110262491号、第US20100104645号、第US20100087337号、第US20100068285号、第US20110274759号、第US20100068286号、第US20120288541号、第US20130123351号、及び第US20130230567号、ならびに米国特許第8,206,747号、第8,293,276号、第8,318,208号、及び第8,318,211号などに記載の方法であり、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、治療ポリマーナノ粒子は、米国公開第US20120140790号に記載の方法によって同定してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子RNAワクチンは、持続放出を目的として製剤化してよい。本明細書で使用される「持続放出」は、特定期間にわたって一定放出速度に従う医薬組成物または化合物を指す。期間には、限定はされないが、数時間、数日、数週間、数ヶ月、及び数年が含まれ得る。非限定例として、持続放出ナノ粒子は、ポリマー及び治療剤を含み得、こうしたポリマー及び治療剤は、限定はされないが、本発明のポリヌクレオチドなどである(国際公開第2010075072号、ならびに米国公開第US20100216804号、第US20110217377号、及び第US20120201859号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。別の非限定例では、持続放出製剤は、持続的な生物学的利用能を実現する薬剤を含み得、こうした薬剤は、限定はされないが、結晶、巨大分子ゲル、及び/または微粒子懸濁液などである(米国特許公開第US20130150295号を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子RNAワクチンは、標的特異的になるように製剤化してよい。非限定例として、治療ナノ粒子は、副腎皮質ステロイドを含み得る(国際公開第WO2011084518号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。非限定例として、治療ナノ粒子は、国際公開第WO2008121949号、第WO2010005726号、第WO2010005725号、第WO2011084521号、ならびに米国公開第US20100069426号、第US20120004293号、及び第US20100104655号に記載のナノ粒子において製剤化してよく、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本発明のナノ粒子は、ポリマーマトリックスを含み得る。非限定例として、ナノ粒子は、2つ以上のポリマーを含み得、こうしたポリマーは、限定はされないが、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ酸無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフメレート(polypropylfumerate)、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリウレア、ポリスチレン、ポリアミン、ポリリジン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L−ラクチド−コ−L−リジン)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、またはそれらの組み合わせなどである。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、ジブロックコポリマーを含む。1つの実施形態では、ジブロックコポリマーは、ポリマーと組み合わせてPEGを含み得、こうしたポリマーは、限定はされないが、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ酸無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフメレート(polypropylfumerate)、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリウレア、ポリスチレン、ポリアミン、ポリリジン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L−ラクチド−コ−L−リジン)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、またはそれらの組み合わせなどである。別の実施形態では、ジブロックコポリマーは、欧州特許第号に記載のジブロックコポリマーを含み得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。さらに別の実施形態では、ジブロックコポリマーは、国際特許公開第WO2013120052号に記載のものなどの高X(high−X)ジブロックコポリマーであり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
非限定例として、治療ナノ粒子は、PLGA−PEGブロックコポリマー(米国公開第US20120004293号及び米国特許第8,236,330号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を含む。別の非限定例では、治療ナノ粒子は、PEGとPLAとのジブロックコポリマーまたはPEGとPLGAとのジブロックコポリマーを含むステルスナノ粒子である(米国特許第8,246,968号及び国際公開第WO2012166923号を参照のこと。これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。さらに別の非限定例では、治療ナノ粒子は、米国特許公開第US20130172406号に記載のステルスナノ粒子または標的特異的ステルスナノ粒子であり、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、マルチブロックコポリマー(例えば、米国特許第8,263,665号及び第8,287,910号、ならびに米国特許公開第US20130195987号を参照のこと。これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を含み得る。
さらに別の非限定例では、脂質ナノ粒子は、ブロックコポリマーであるPEG−PLGA−PEG(例えば、Lee et al.Thermosensitive Hydrogel as a Tgf−β1 Gene Delivery Vehicle Enhances Diabetic Wound Healing.Pharmaceutical Research,2003 20(12):1995−2000(TGF−ベータ1遺伝子の送達媒体として温度感受性ヒドロゲル(PEG−PLGA−PEG)が使用された)、Li et al.Controlled Gene Delivery System Based on Thermosensitive Biodegradable Hydrogel.Pharmaceutical Research 2003 20(6):884−888(制御された遺伝子送達システムとして温度感受性ヒドロゲル(PEG−PLGA−PEG)が使用された)、及びChang et al.,Non−ionic amphiphilic biodegradable PEG−PLGA−PEG copolymer enhances gene delivery efficiency in rat skeletal muscle.J Controlled Release.2007 118:245−253を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を含む。本発明のRNAワクチンは、PEG−PLGA−PEGブロックコポリマーを含む脂質ナノ粒子において製剤化してよい。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、マルチブロックコポリマー(例えば、米国特許第8,263,665号及び第8,287,910号、ならびに米国特許公開第US20130195987号を参照のこと。これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を含み得る。
1つの実施形態では、本明細書に記載のブロックコポリマーは、非ポリマーミセルとブロックコポリマーとを含むポリイオン複合体(例えば、米国公開第20120076836号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に含めてよい。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、少なくとも1つのアクリルポリマーを含み得る。アクリルポリマーには、限定はされないが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリシアノアクリレート、及びそれらの組み合わせが含まれる。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、少なくとも1つのポリ(ビニルエステル)ポリマーを含み得る。ポリ(ビニルエステル)ポリマーは、ランダムコポリマーなどのコポリマーであり得る。非限定例として、ランダムコポリマーは、国際出願第WO2013032829号または米国特許公開第US20130121954号に記載のものなどの構造を有し得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。1つの態様では、ポリ(ビニルエステル)ポリマーは、本明細書に記載のポリヌクレオチドに複合化してよい。別の態様では、本発明において使用してよいポリ(ビニルエステル)ポリマーは、に記載のものであり得、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、少なくとも1つのジブロックコポリマーを含み得る。ジブロックコポリマーは、限定はされないが、ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーであり得る(例えば、国際特許公開第WO2013044219号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。非限定例として、治療ナノ粒子は、癌の治療に使用してよい(国際公開第WO2013044219号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、本明細書に記載のカチオン性ポリマー及び/または当該技術分野において知られるカチオン性ポリマーを少なくとも1つ含み得る。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、少なくとも1つのアミン含有ポリマーを含み得、こうしたアミン含有ポリマーは、限定はされないが、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ポリ(ベータ−アミノエステル)(例えば、米国特許第8,287,849号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、及びそれらの組み合わせなどである。
別の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、国際特許出願第WO2013059496号に記載のものなどのアミンカチオン性脂質を含み得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。1つの態様では、カチオン性脂質は、アミノ−アミン部分またはアミノ−アミド部分を有し得る。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、ポリカチオン性側鎖を含み得る分解性ポリエステルを少なくとも1つ含み得る。分解性ポリエステルには、限定はされないが、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L−ラクチド−コ−L−リジン)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、及びそれらの組み合わせが含まれる。別の実施形態では、分解性ポリエステルは、PEG化ポリマーを形成するためのPEG複合化部を含み得る。
別の実施形態では、治療ナノ粒子は、少なくとも1つの標的指向化リガンドの複合化部を含み得る。標的指向化リガンドは、限定はされないが、モノクローナル抗体(Kirpotin et al,Cancer Res.2006 66:6732−6740(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))などの当該技術分野において知られる任意のリガンドであり得る。
1つの実施形態では、治療ナノ粒子は、癌の治療に使用してよい水溶液において製剤化してよい(国際公開第WO2011084513号及び米国公開第US20110294717号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、例えば、少なくとも1つのRNAワクチンを含む治療ナノ粒子などの治療ナノ粒子RNAワクチンは、米国特許第8,404,799号においてPodobinski et alによって記載される方法を使用して製剤化してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、合成ナノ担体に封入、連結、及び/またはそれと会合させてよい。合成ナノ担体には、限定はされないが、国際公開第WO2010005740号、第WO2010030763号、第WO201213501号、第WO2012149252号、第WO2012149255号、第WO2012149259号、第WO2012149265号、第WO2012149268号、第WO2012149282号、第WO2012149301号、第WO2012149393号、第WO2012149405号、第WO2012149411号、第WO2012149454号、及び第WO2013019669号、ならびに米国公開第US20110262491号、第US20100104645号、第US20100087337号、及び第US20120244222号に記載のものが含まれ、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。合成ナノ担体は、当該技術分野において知られる方法及び/または本明細書に記載の方法を使用して製剤化してよい。非限定例として、合成ナノ担体は、国際公開第WO2010005740号、第WO2010030763号、及び第WO201213501号、ならびに米国公開第US20110262491号、第US20100104645号、第US20100087337号、及び第US2012024422号に記載の方法によって製剤化してよく、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、合成ナノ担体製剤は、国際公開第WO2011072218号及び米国特許第8,211,473号に記載の方法によって凍結乾燥してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。さらに別の実施形態では、限定はされないが、合成ナノ担体を含む本発明の製剤は、米国特許公開第US20130230568号に記載の方法によって凍結乾燥または再構成してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、合成ナノ担体は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを遊離させるための反応基を含み得る(国際公開第WO20120952552号及び米国公開第US20120171229号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、合成ナノ担体は、合成ナノ担体の送達に由来する免疫応答を増進するために免疫賦活剤を含み得る。非限定例として、合成ナノ担体は、Th1に基づく免疫系応答を増進し得るTh1免疫賦活剤を含み得る(国際公開第WO2010123569号及び米国公開第US20110223201号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、合成ナノ担体は、標的指向型放出を目的に製剤化してよい。1つの実施形態では、合成ナノ担体は、特定のpHで、及び/または所望の時間間隔の後に、ポリヌクレオチドを遊離させるために製剤化される。非限定例として、合成ナノ粒子は、24時間後及び/またはpH4.5でRNAワクチンを遊離させるために製剤化してよい(国際公開第WO2010138193号及び第WO2010138194号、ならびに米国公開第US20110020388号及び第US20110027217号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、合成ナノ担体は、本明細書に記載のポリヌクレオチドの制御放出及び/または持続放出を目的として製剤化してよい。非限定例として、持続放出を目的とする合成ナノ担体は、当該技術分野において知られる方法、本明細書に記載の方法、及び/または国際公開第WO2010138192号及び米国公開第20100303850号に記載の方法によって製剤化してよく、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、制御放出及び/または持続放出を目的として製剤化してよく、製剤は、結晶性側鎖(CYSC)ポリマーであるポリマーを少なくとも1つ含む。CYSCポリマーは、米国特許第8,399,007号に記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、合成ナノ担体は、ワクチンとしての使用を目的として製剤化してよい。1つの実施形態では、少なくとも1つの抗原をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを合成ナノ担体に封入してよい。非限定例として、合成ナノ担体は、少なくとも1つの抗原と、ワクチン剤形のための賦形剤とを含み得る(国際公開第WO2011150264号及び米国公開第US20110293723号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。別の非限定例として、ワクチン剤形は、同一または異なる抗原を有する少なくとも2つの合成ナノ担体と、賦形剤とを含み得る(国際公開第WO2011150249号及び米国公開第US20110293701号を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。ワクチン剤形は、本明細書に記載の方法、当該技術分野において知られる方法、及び/または国際公開第WO2011150258号及び米国公開第US20120027806号に記載の方法によって選択してよく、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、合成ナノ担体は、少なくとも1つのアジュバントをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含み得る。非限定例として、アジュバントは、ジメチルジオクタデシルアンモニウム−ブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウム−クロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウム−ホスフェート、またはジメチルジオクタデシルアンモニウム−アセテート(DDA)と、マイコバクテリアの総脂質抽出物の無極性画分または当該無極性画分の一部と、を含み得る(例えば、米国特許第8,241,610号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。別の実施形態では、合成ナノ担体は、少なくとも1つのポリヌクレオチド、及びアジュバントを含み得る。非限定例として、アジュバントを含む合成ナノ担体は、国際公開第WO2011150240号及び米国公開第US20110293700号に記載の方法によって製剤化してよく、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、ウイルスに由来するペプチド、断片、または領域をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを合成ナノ担体に封入してよい。非限定例として、合成ナノ担体には、限定はされないが、国際公開第WO2012024621号、第WO201202629号、第WO2012024632号、ならびに米国公開第US20120064110号、第US20120058153号、及び第US20120058154号に記載のナノ担体が含まれ得、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、合成ナノ担体は、体液性及び/または細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を引き起こすことができる可能性を有するポリヌクレオチドにカップリングさせてよい(例えば、国際公開第WO2013019669号を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、双性イオン性脂質に封入、連結、及び/またはそれと会合させてよい。双性イオン性脂質、及び双性イオン性脂質の使用方法の例は、限定はされないが、米国特許公開第US20130216607号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。1つの態様では、双性イオン性脂質は、本明細書に記載のリポソーム及び脂質ナノ粒子において使用してよい。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、米国特許公開第US20130197100号に記載のコロイドナノ担体において製剤化してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、ナノ粒子は、経口投与を目的として最適化してよい。ナノ粒子は、限定はされないが、キトサンまたはその誘導体などのカチオン性バイオポリマーを少なくとも1つ含み得る。非限定例として、ナノ粒子は、米国公開第20120282343号に記載の方法によって製剤化してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、LNPは、脂質KL52(米国出願公開第2012/0295832号に開示のアミノ−脂質であり、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に明確に組み込まれる)を含む。そのような脂質を組み込むことによってLNP投与の活性及び/または安全性(ALT/AST、白血球数、及びサイトカイン誘導の1つまたは複数を調べることによって測定される)を改善してよい。KL52を含むLNPは、静脈内に投与及び/または単回もしくは複数回の用量において投与してよい。いくつかの実施形態では、KL52を含むLNPの投与では、MC3を含むLNPと比較して、mRNA及び/またはタンパク質の発現が同等であるか、または改善される。
いくつかの実施形態では、RNAワクチンは、より小さなLNPを使用して送達してよい。そのような粒子が有し得る直径は、0.1um未満〜最大100nmであり、限定はされないが、0.1um未満、1.0um未満、5um未満、10um未満、15um未満、20um未満、25um未満、30um未満、35um未満、40um未満、50um未満、55um未満、60um未満、65um未満、70um未満、75um未満、80um未満、85um未満、90um未満、95um未満、100um未満、125um未満、150um未満、175um未満、200um未満、225um未満、250um未満、275um未満、300um未満、325um未満、350um未満、375um未満、400um未満、425um未満、450um未満、475um未満、500um未満、525um未満、550um未満、575um未満、600um未満、625um未満、650um未満、675um未満、700um未満、725um未満、750um未満、775um未満、800um未満、825um未満、850um未満、875um未満、900um未満、925um未満、950um未満、975um未満などである。別の実施形態では、RNAワクチンは、より小さなLNPを使用して送達してよく、こうしたLNPが有し得る直径は、約1nm〜約100nm、約1nm〜約10nm、約1nm〜約20nm、約1nm〜約30nm、約1nm〜約40nm、約1nm〜約50nm、約1nm〜約60nm、約1nm〜約70nm、約1nm〜約80nm、約1nm〜約90nm、約5nm〜約100nm、約5nm〜約10nm、約5nm〜約20nm、約5nm〜約30nm、約5nm〜約40nm、約5nm〜約50nm、約5nm〜約60nm、約5nm〜約70nm、約5nm〜約80nm、約5nm〜約90nm、約10〜約50nM、約20〜約50nm、約30〜約50nm、約40〜約50nm、約20〜約60nm、約30〜約60nm、約40〜約60nm、約20〜約70nm、約30〜約70nm、約40〜約70nm、約50〜約70nm、約60〜約70nm、約20〜約80nm、約30〜約80nm、約40〜約80nm、約50〜約80nm、約60〜約80nm、約20〜約90nm、約30〜約90nm、約40〜約90nm、約50〜約90nm、約60〜約90nm、及び/または約70〜約90nmである。
いくつかの実施形態では、そのようなLNPは、マイクロ流体ミキサーを用いる方法を使用して合成される。マイクロ流体ミキサーの例には、限定はされないが、スリット式インターデジタルマイクロミキサー(限定はされないが、Microinnova(Allerheiligen bei Wildon,Austria)によって製造されるものを含む)、及び/またはスタガードヘリンボーンマイクロミキサー(SHM)が含まれ得る(Zhigaltsev,I.V.et al.,Bottom−up design and synthesis of limit size lipid nanoparticle systems with aqueous and triglyceride cores using millisecond microfluidic mixing(Langmuir.2012.28:3633−40として刊行)、Belliveau,N.M.et al.,Microfluidic synthesis of highly potent limit−size lipid nanoparticles for in vivo delivery of siRNA.Molecular Therapy−Nucleic Acids.2012.1:e37、Chen,D.et al.,Rapid discovery of potent siRNA−containing lipid nanoparticles enabled by controlled microfluidic formulation.J Am Chem Soc.2012.134(16):6948−51(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。いくつかの実施形態では、SHMを用いるLNPの生成方法は、流入する少なくとも2つの流れの混合をさらに含み、この場合、マイクロ構造誘導型のカオス的移流(MICA)によって混合が生じる。この方法によれば、液流は、ヘリンボーンパターンで存在するチャネルを通過し、回転流を生み出して流体を互いの周りに巻き合わせる。この方法では、流体を混合するための表面を用いてもよく、この場合、表面によって流体循環の間に流向が変化する。SHMを使用するLNPの生成方法には、米国出願公開第2004/0262223号及び第2012/0276209号に開示のものが含まれ、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が参照によって本明細書に明確に組み込まれる。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、限定はされないが、Institut fur Mikrotechnik Mainz GmbH,Mainz Germanyから供給されるスリット式インターデジタルマイクロ構造ミキサー(SIMM−V2)または標準スリット式インターデジタルマイクロミキサー(SSIMM)またはキャタピラー型(CPMM)または衝突型(IJMM)などのマイクロミキサーを使用して創出される脂質ナノ粒子において製剤化してよい。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、マイクロ流体技術(Whitesides,George M.The Origins and the Future of Microfluidics.Nature,2006 442:368−373、及びAbraham et al.Chaotic Mixer for Microchannels.Science,2002 295:647−651を参照のこと。これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を使用して創出される脂質ナノ粒子において製剤化してよい。非限定例として、マイクロ流体の製剤化制御には、マイクロチャネルにおいて定常圧力によって推進される低レイノルズ数の液流を受動的に混合する方法が含まれる(例えば、Abraham et al.Chaotic Mixer for Microchannels.Science,2002 295:647−651を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、限定はされないが、Harvard Apparatus(Holliston,MA)またはDolomite Microfluidics(Royston,UK)から供給されるものなどのマイクロミキサーチップを使用して創出される脂質ナノ粒子において製剤化してよい。マイクロミキサーチップは、分離して再統合する機構で2つ以上の液流を迅速に混合するために使用することができる。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、国際特許公開第WO2013063468号または米国特許第8,440,614号に記載の薬物封入マイクロスフェアを使用する送達を目的として製剤化してよく、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。マイクロスフェアは、国際特許公開第WO2013063468号に記載の式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、または式(VI)の化合物を含み得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の態様では、本発明のRNAワクチンの細胞への送達において、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、脂質(APPL)が有用である(国際特許公開第WO2013063468号を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、脂質ナノ粒子において製剤化してよく、こうした脂質ナノ粒子が有する直径は、約10〜約100nmであり、限定はされないが、約10〜約20nm、約10〜約30nm、約10〜約40nm、約10〜約50nm、約10〜約60nm、約10〜約70nm、約10〜約80nm、約10〜約90nm、約20〜約30nm、約20〜約40nm、約20〜約50nm、約20〜約60nm、約20〜約70nm、約20〜約80nm、約20〜約90nm、約20〜約100nm、約30〜約40nm、約30〜約50nm、約30〜約60nm、約30〜約70nm、約30〜約80nm、約30〜約90nm、約30〜約100nm、約40〜約50nm、約40〜約60nm、約40〜約70nm、約40〜約80nm、約40〜約90nm、約40〜約100nm、約50〜約60nm、約50〜約70nm、約50〜約80nm、約50〜約90nm、約50〜約100nm、約60〜約70nm、約60〜約80nm、約60〜約90nm、約60〜約100nm、約70〜約80nm、約70〜約90nm、約70〜約100nm、約80〜約90nm、約80〜約100nm、及び/または約90〜約100nmなどである。
1つの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約10〜500nmの直径を有し得る。
1つの実施形態では、脂質ナノ粒子が有し得る直径は、100nm超、150nm超、200nm超、250nm超、300nm超、350nm超、400nm超、450nm超、500nm超、550nm超、600nm超、650nm超、700nm超、750nm超、800nm超、850nm超、900nm超、950nm超、または1000nm超である。
1つの態様では、脂質ナノ粒子は、国際特許公開第WO2013059922号に記載の限界サイズ脂質ナノ粒子であり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。限界サイズ脂質ナノ粒子は、水性コアまたは疎水性コアを囲む脂質二重層を含み得、脂質二重層は、限定はされないが、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、セレブロシド、C8−C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリン、及び1−パルミトイル−2−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)などのリン脂質を含み得る。別の態様では、限界サイズ脂質ナノ粒子は、限定はされないが、DLPE−PEG、DMPE−PEG、DPPC−PEG、及びDSPE−PEGなどのポリエチレングリコール−脂質を含み得る。
いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、イオン化可能なカチオン性脂質であり、非カチオン性脂質は、中性脂質であり、ステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、ジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)−N,N−ジメチル−2−ノニルヘンイコサ−12,15−ジエン−1−アミン(L608)、及びN,N−ジメチル−1−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン−8−アミン(L530)からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、脂質は、
である。
いくつかの実施形態では、脂質は、
である。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、国際特許公開第WO2013063530号に記載の送達方法を使用して特定の位置に送達、局在化、及び/または濃縮してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、対象にRNAワクチンを送達する前、同時、または後に、中空ポリマー粒子を対象に投与してよい。中空ポリマー粒子は、対象と接触すると体積変化を起こし、対象における特定の位置に埋没、包埋、固定化、または捕捉された状態になる。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、活性物質遊離システム(例えば、米国特許公開第US20130102545号を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)において製剤化してよい。活性物質遊離システムは、1)触媒的に活性な核酸とハイブリッド形成したオリゴヌクレオチド阻害剤鎖に結合した少なくとも1つのナノ粒子と、2)治療的に活性な物質(例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチド)に結合した少なくとも1つの基質分子に結合した化合物と、を含み得、治療的に活性な物質は、触媒的に活性な核酸による基質分子の切断によって遊離する。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、非細胞材料を含む内部コアと、細胞膜を含む外部表面と、を含むナノ粒子において製剤化してよい。細胞膜は、細胞に由来し得るか、またはウイルスに由来する膜であり得る。非限定例として、ナノ粒子は、国際特許公開第WO2013052167号に記載の方法によって調製してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の非限定例として、本明細書に記載のRNAワクチンを送達するために国際特許公開第WO2013052167号に記載のナノ粒子を使用してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、RNAワクチンは、多孔性ナノ粒子支持型脂質二重層(原始細胞)において製剤化してよい。原始細胞は、国際特許公開第WO2013056132号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本明細書に記載のRNAワクチンは、米国特許第8,420,123号及び第8,518,963号ならびに欧州特許第EP2073848B1号に記載のポリマーナノ粒子において製剤化するか、またはこれらの文献に記載の方法によって調製されるポリマーナノ粒子において製剤化してよく、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、ポリマーナノ粒子は、米国特許第8,518,963号に記載のナノ粒子または当該文献に記載の方法によって調製されるナノ粒子などの高ガラス転移点を有するものであり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。別の非限定例として、経口製剤及び非経口製剤向けのポリマーナノ粒子は、欧州特許第EP2073848B1号に記載の方法によって調製してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、本明細書に記載のRNAワクチンは、造影において使用されるナノ粒子において製剤化してよい。ナノ粒子は、米国特許公開第US20130129636号に記載のものなどのリポソームナノ粒子であり得、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定例として、リポソームは、ガドリニウム(III)2−{4,7−ビス−カルボキシメチル−10−[(N,N−ジステアリルアミドメチル−N’−アミド−メチル]−1,4,7,10−テトラ−アザシクロドデカ−1−イル}−酢酸及び中性完全飽和リン脂質成分(例えば、米国特許公開第US20130129636号を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を含み得る。
1つの実施形態では、本発明において使用してよいナノ粒子は、米国特許出願第US20130130348号に記載の方法によって形成され、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明のナノ粒子は、限定はされないが、それが欠乏すると貧血から神経管欠損に至るまでの健康障害につながり得るものなどの栄養素をさらに含み得る(例えば、国際特許公開第WO2013072929号に記載のナノ粒子を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。非限定例として、栄養素は、二価鉄、第二鉄塩、もしくは元素鉄の形態の鉄、ヨウ素、葉酸、ビタミン、または微量栄養素であり得る。
1つの実施形態では、本発明のRNAワクチンは、膨潤性ナノ粒子において製剤化してよい。膨潤性ナノ粒子は、限定はされないが、米国特許第8,440,231号に記載のものであり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。非限定実施形態として、本発明のRNAワクチンの肺系統への送達に膨潤性ナノ粒子を使用してよい(例えば、米国特許第8,440,231号を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
本発明のRNAワクチンは、限定はされないが、米国特許第8,449,916号に記載のものなどのポリ酸無水物ナノ粒子において製剤化してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明のナノ粒子及びマイクロ粒子は、マクロファージ及び/または免疫応答を調節するように幾何学的に操作してよい。1つの態様では、幾何学的に操作された粒子は、限定はされないが、肺送達などの標的指向型送達を目的として本発明のポリヌクレオチドに組み込むために形状、サイズ、及び/または表面電荷を変えたものであり得る(例えば、国際公開第WO2013082111号を参照のこと。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。幾何学的に操作された粒子の他の物理的特徴には、限定はされないが、細胞及び組織との相互作用を改変することができる穿孔、角度を有するアーム、非対称性及び表面の粗雑さ、電荷が含まれ得る。非限定例として、本発明のナノ粒子は、国際公開第WO2013082111号に記載の方法によって調製してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本発明のナノ粒子は、限定はされないが、国際公開第WO2013090601号に記載のものなどの水溶性ナノ粒子であり得、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。ナノ粒子は、良好な水溶性を持たせるために小型かつ双性イオン性のリガンドを有する無機ナノ粒子であり得る。ナノ粒子は、小さな流体力学的直径(HD)、時間、pH、及び塩分に関する安定性、ならびに低レベルの非特異的タンパク質結合性も有し得る。
1つの実施形態では、本発明のナノ粒子は、米国特許公開第US20130172406号に記載の方法によって開発してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、本発明のナノ粒子は、限定はされないが、米国特許公開第US20130172406号に記載のものなどのステルスナノ粒子または標的特異的ステルスナノ粒子であり、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本発明のナノ粒子は、米国特許公開第US20130172406号に記載の方法によって調製してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、ステルスナノ粒子または標的特異的ステルスナノ粒子は、ポリマーマトリックスを含み得る。ポリマーマトリックスは、2つ以上のポリマーを含み得、こうしたポリマーは、限定はされないが、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ酸無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフメレート(polypropylfumerate)、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリウレア、ポリスチレン、ポリアミン、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリシアノアクリレート、またはそれらの組み合わせなどである。
1つの実施形態では、ナノ粒子は、高密度の核酸層を有するナノ粒子−核酸ハイブリッド構造であり得る。非限定例として、ナノ粒子−核酸ハイブリッド構造は、米国特許公開第US20130171646号に記載の方法によって調製してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。ナノ粒子は、限定はされないが、本明細書に記載のポリヌクレオチド及び/または当該技術分野において知られるポリヌクレオチドなどの核酸を含み得る。
本発明のナノ粒子の少なくとも1つは、コアナノ構造に包埋するか、またはナノ構造の内部または表面で少なくとも1つのペイロードを保有もしくはそれと会合する能力を有する低密度多孔性三次元構造もしくはコーティングで被覆してよい。少なくとも1つのナノ粒子を含むナノ構造の例は、限定はされないが、国際特許公開第WO2013123523号に記載されており、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、RNAワクチンは、カチオン性化合物またはポリカチオン性化合物(プロタミン、ヌクレオリン、スペルミンもしくはスペルミジン、または他のカチオン性ペプチドもしくはタンパク質(ポリ−L−リジン(PLL)、ポリアルギニン、塩基性ポリペプチドなど)を含む)、細胞透過ペプチド(CPP)(HIV結合ペプチド、HIV−1Tat(HIV)、Tat由来のペプチド、ペネトラチン、VP22由来のペプチドもしくはVP22の類似体ペプチド、ペスチウイルスのErns、HSV、VP22(単純ヘルペス)、MAP、KALA、またはタンパク質形質導入ドメイン(PTD)を含む)、PpT620、高プロリン含量のペプチド、高アルギニン含量のペプチド、高リジン含量のペプチド、MPG−ペプチド(複数可)、Pep−1、L−オリゴマー、カルシトニンペプチド(複数可)、アンテナペディア由来のペプチド(具体的には、ショウジョウバエのアンテナペディアに由来するもの)、pAntp、pIsl、FGF、ラクトフェリン、トランスポータン、ブフォリン−2、Bac715−24、SynB、SynB(1)、pVEC、hCT由来のペプチド、SAP、ヒストン、カチオン性多糖、例えば、キトサン、ポリブレン、カチオン性ポリマー、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、カチオン性脂質、例えば、DOTMA:[1−(2,3−シオレイルオキシ)プロピル)]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、DMRIE、ジ−C14−アミジン、DOTIM、SAINT、DC−コレステロール、BGTC、CTAP、DOPC、DODAP、DOPE:ジオレイルホスファチジルエタノール−アミン、DOSPA、DODAB、DOIC、DMEPC、DOGS:ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン、DIMRI:ジミリストオキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、DOTAP:ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン、DC−6−14:O,O−ジテトラデカノイル−N−.アルファ.−トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド、CLIP1:rac−[(2,3−ジオクタデシルオキシプロピル)(2−ヒドロキシエチル)]−ジメチルアンモニウムクロリド、CLIP6:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピルオキシメチルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウム、CLIP9:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピルオキシスクシニルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウム、オリゴフェクタミン(oligofectamine)、またはカチオン性ポリマーもしくはポリカチオン性ポリマー、例えば、修飾ポリアミノ酸(ベータ−アミノ酸−ポリマーまたは逆ポリアミドなど)、修飾ポリエチレン(PVP(ポリ(N−エチル−4−ビニルピリジニウムブロミド))など)、修飾アクリレート(pDMAEMA(ポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート))など)、修飾アミドアミン(pAMAM(ポリ(アミドアミン))など)、修飾ポリベータアミノエステル(polybetaminoester)(PBAE)(ジアミン及び修飾1,4ブタンジオールジアクリレート−コ−5−アミノ−1−ペンタノールポリマーなど)、デンドリマー(ポリプロピルアミンデンドリマーまたはpAMAMに基づくデンドリマーなど)、ポリイミン(複数可)(PEI:ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)など)、ポリアリルアミン、糖骨格に基づくポリマー(シクロデキストリンに基づくポリマー、デキストランに基づくポリマー、キトサンなど)、シラン骨格に基づくポリマー(PMOXA−PDMSコポリマーなど)、1つまたは複数のカチオン性ブロックの組み合わせからなるブロックポリマー(例えば、上述のカチオン性ポリマーから選択される)、ならびに1つまたは複数の親水性ブロックまたは疎水性ブロックの組み合わせからなるブロックポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)等と会合させてよい。
他の実施形態では、RNAワクチンは、カチオン性化合物またはポリカチオン性化合物と会合していない。
ワクチンの投与様式
癌RNAワクチンは、治療的に有効な結果をもたらす任意の経路によって投与してよい。こうしたものには、限定はされないが、皮内投与、筋肉内投与、及び/または皮下投与が含まれる。本開示は、RNAワクチンを必要とする対象へのその投与を含む方法を提供する。正確な必要量は、対象の種、年齢、及び全身状態、疾患の重症度、特定の組成物、その投与様式、その活性様式、ならびに同様のものに応じて対象ごとに変わることになる。癌RNAワクチン組成物は、典型的には、投与を容易化し、用量を均一にするための単位剤形において製剤化される。しかしながら、癌RNAワクチン組成物の全体的な日々の用法は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることを理解されたい。任意の特定の患者を対象とする治療的に有効、予防的に有効、または適切な造影の特定用量レベルは、さまざまな因子に依存することになり、こうした因子には、治療中の障害及び障害の重症度、用いられる特定の化合物の活性、用いられる特定の組成物、年齢、体重、総体的な健康、患者の性別及び食事、投与時間、投与経路、及び用いられる特定の化合物の排出速度、治療の期間、用いられる特定の化合物と組み合わせられるか、または同時発生的に使用される薬物、ならびに医学分野においてよく知られる同様の因子が含まれる。
いくつかの実施形態では、所望の治療効果、診断効果、予防効果、または造影効果を得るために、対象の体重当たりとして1日当たり0.0001mg/kg〜100mg/kg、0.001mg/kg〜0.05mg/kg、0.005mg/kg〜0.05mg/kg、0.001mg/kg〜0.005mg/kg、0.05mg/kg〜0.5mg/kg、0.01mg/kg〜50mg/kg、0.1mg/kg〜40mg/kg、0.5mg/kg〜30mg/kg、0.01mg/kg〜10mg/kg、0.1mg/kg〜10mg/kg、または1mg/kg〜25mg/kgを送達するために十分な用量レベルで癌RNAワクチン組成物を、1日当たり、1週間当たり、1ヶ月当たりなどに1回または複数回投与してよい(例えば、国際公開第WO2013078199号に記載の単位用量の範囲を参照のこと。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。所望の用量は、1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、2ヶ月ごとに1回、3ヶ月ごとに1回、6ヶ月ごとに1回などの頻度で送達してよい。ある特定の実施形態では、所望の用量は、複数回の投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、またはそれを超える回数の投与)を使用して送達してよい。複数回投与が用いられるときは、本明細書に記載のものなどの分割投薬レジメンを使用してよい。例示の実施形態では、癌RNAワクチン組成物は、0.0005mg/kg〜0.01mg/kgを送達するために十分な用量レベルで投与してよく、例えば、約0.0005mg/kg〜約0.0075mg/kg、例えば、約0.0005mg/kg、約0.001mg/kg、約0.002mg/kg、約0.003mg/kg、約0.004mg/kg、または約0.005mg/kgを送達するために十分な用量レベルで投与してよい。
本明細書に記載のRNAワクチン医薬組成物は、鼻腔内へのもの、気管内へのもの、または注射用のもの(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、皮内、心臓内、腹腔内、及び皮下へのもの)などの、本明細書に記載の剤形へと製剤化することができる。
本発明は、下記の説明に示されるか、または図面に例示される構成の詳細及び構成要素の配置にその用途が限定されることはない。本発明は、他の実施形態が可能であり、さまざまな様式において実施または実行することが可能である。また、本明細書で使用される用語表現及び専門用語は、説明を目的とするものであり、限定であると見なされるべきではない。「including(含む)」、「comprising(含む)」、または「having(有する)」、「containing(含む)」、「involving(含む)」、及びその変形形態の本明細書での使用は、その後に列挙される項目及びその同等形態ならびに追加の項目を包含することが意図される。
実施例1.ポリヌクレオチドの製造
本開示によれば、ポリヌクレオチド及びまたはその一部もしくは領域の製造は、「RNA転写物の生成を目的とする製造方法」と題する国際出願WO2014/152027に教示される方法を利用して達成してよく、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
精製方法には、国際出願WO2014/152030及びWO2014/152031に教示されるものが含まれ得、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
ポリヌクレオチドの検出方法及び特徴付け方法は、WO2014/144039に教示されるように実施してよく、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本開示のポリヌクレオチドの特徴付けは、ポリヌクレオチドマッピング、逆転写酵素によるシークエンシング、電荷分布解析、及びRNA不純物の検出からなる群から選択される手順を使用して達成してよく、特徴付けは、RNA転写物の配列決定、RNA転写物の純度決定、またはRNA転写物の電荷不均一性の決定を含む。そのような方法は、例えば、WO2014/144711及びWO2014/144767に教示されており、これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
実施例2 キメラポリヌクレオチドの合成
序論
本開示によれば、トリホスフェートケミストリーを使用し、キメラポリヌクレオチドの2つの領域または部分を連結またはライゲーションしてよい。
この方法によれば、100以下のヌクレオチドの第1の領域または部分は、化学的に合成され、5’はモノホスフェートとなり、末端の3’OHは除去または遮断される。領域が80のヌクレオチドより長いのであれば、ライゲーションするための2つの鎖として合成してよい。
第1の領域または部分が、インビトロ転写(IVT)を使用して、非位置的に修飾された領域または部分として合成されるのであれば、その後に、5’モノホスフェートへの変換、続いて3’末端のキャッピングを実施してよい。
モノホスフェート保護基は、当該技術分野で知られるもののいずれから選択してもよい。
キメラポリヌクレオチドの第2の領域または部分は、化学合成法またはIVT法のいずれを使用して合成してもよい。IVT法は、修飾されたキャップを有するプライマーを利用することができるRNAポリメラーゼの使用を含み得る。あるいは、130までのヌクレオチドのキャップは、化学的に合成し、IVTの領域または部分にカップリングさせてよい。
キメラポリヌクレオチド全体がホスフェート−糖骨格で製造される必要はない。領域または部分の1つがポリペプチドをコードするのであれば、そのような領域または部分は、ホスフェート−糖骨格を含むことが好ましい。
その後、ライゲーションは、任意の既知のクリックケミストリー、オルトクリックケミストリー、ソルリンク(solulink)、または当業者に知られる他の生体複合化ケミストリーを使用して実施される。
合成経路
キメラポリヌクレオチドは、一連の出発セグメントを使用して調製される。そのようなセグメントは、
(a)通常の3’OHを含み、5’がキャップされて保護されたセグメント(セグメント1)
(b)ポリペプチドのコード領域を含み得、通常の3’OHを含み、5’にトリホスフェートを有するセグメント(セグメント2)
(c)キメラポリヌクレオチドの3’末端(例えば、尾部)向けに5’にモノホスフェートを有し、コーディセピンを含むか、または3’OHを含まないセグメント(セグメント3)
を含む。
合成(化学的またはIVT)の後、セグメント3(セグメント3)は、コーディセピンで処理され、その後、ピロホスファターゼで処理されることで5’モノホスフェートが創出される。
その後、セグメント2(セグメント2)は、RNAリガーゼを使用してセグメント3にライゲーションされる。その後、ライゲーションされたポリヌクレオチドは、精製され、ピロホスファターゼで処理されることでジホスフェートが切断される。その後、処理されたセグメント2−セグメント3構築物は精製され、その5’末端にセグメント1がライゲーションされる。キメラポリヌクレオチドの精製段階をさらに実施してよい。
キメラポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする場合、ライゲーションまたは連結されたセグメントは、5’UTR(セグメント1)、オープンリーディングフレームまたはORF(セグメント2)、及び3’UTR+ポリA(セグメント3)として示され得る。
それぞれの段階の収率は、90〜95%にもなり得る。
実施例3:cDNAの生成を目的とするPCR
cDNAを調製するためのPCR手順は、Kapa Biosystems(Woburn,MA)による2xのKAPA HIFI(商標)HotStart ReadyMixを使用して実施される。このシステムは、2xのKAPA ReadyMixを12.5μl、フォワードプライマー(10μM)を0.75μl、リバースプライマー(10μM)を0.75μl、鋳型cDNAを〜100ng、及び25.0μlに希釈したdH20を含む。反応条件は、95℃で5分間保持した後、98℃20秒、続いて58℃15秒、続いて72℃45秒というサイクルを25回実施した後、72℃で5分間保持し、その後終了まで4℃で保持するというものである。
InvitrogenのPURELINK(商標)PCRマイクロキット(Carlsbad,CA)を製造者の説明に記載の量(最大5μg)ごとに使用して、反応に対する浄化処理が実施される。反応のスケールが大きくなればなるほど、より大きな能力を有する製品を使用して浄化処理を実施する必要が生じることになる。浄化処理の後、NANODROP(商標)を使用してcDNAが定量化され、cDNAが予想サイズであることがアガロースゲル電気泳動による分析によって確認される。その後、cDNAは、インビトロでの転写反応を行う前にシークエンシング解析に供される。
実施例4.インビトロ転写(IVT)
インビトロでの転写反応では、一様に修飾されたポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが生成する。そのような一様に修飾されたポリヌクレオチドは、本開示のポリヌクレオチドの領域または一部を含み得る。投入用のヌクレオチドトリホスフェート(NTP)混合物は、天然のNTP及び非天然のNTPを使用して社内で調製される。
インビトロでの典型的な転写反応は、下記のものを含む:
1 鋳型cDNA 1.0μg
2 10x転写緩衝液(400mMのTris−HCl(pH8.0)、190mMのMgCl2、50mMのDTT、10mMのスペルミジン) 2.0μl
3 カスタムNTP(それぞれ25mM) 7.2μl
4 RNase阻害剤 20U
5 T7RNAポリメラーゼ 3000U
6 dH20 最大20.0μl、及び
7 3時間〜5時間の37℃でのインキュベート。
未精製のIVT混合物は、翌日の浄化処理に向けて4℃で一晩貯蔵してよい。その後、RNaseを含まないDNaseを1U使用することで元の鋳型が消化される。mRNAは、37℃で15分間インキュベートした後、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(Austin,TX)を製造者の説明に従って使用して精製される。このキットによって最大500μgのRNAを精製することができる。浄化処理の後、NanoDropを使用してRNAが定量化され、RNAのサイズが適切であり、RNAに分解が生じていないことがアガロースゲル電気泳動による分析によって確認される。
実施例5.mRNA癌ワクチンを用いたインビボでの免疫原性アッセイ
mRNAワクチンを使用し、MC38の免疫原性試験をマウスにおいて実施した。mRNA抗原(25マーの形式、TMGの形式、分泌型CD40L−TMG融合タンパク質の形式を有するAdpgk、Dpagt1、Reps1という3つのMC38ネオエピトープ)を生成した。25マーのペプチドによる免疫化+抗CD40+ポリ(I:C)とのベンチマーク比較を正の対照とした(Yadav et al,Nature 2015)。0日目、7日目、及び14日目にマウスを免疫化した。読み取り測定は、3日目、10日目、及び17日目に実施し、その後、21日目にMC38を負荷し、35日目に屠殺を実施した。
エピトープ特異的なT細胞集団の特徴付けは、デキストラマー(dextramer)染色によって抗原特異的なT細胞集団の頻度をみることによって実施した。サイトカインプロファイルは、細胞内サイトカイン染色(IFNγ、TNFα、IL−2)及びELISPOT(MC38の変異ペプチドによる刺激時)によって生成した。下記のマーカーを使用した。メモリー及びT細胞分化のマーカー:CD44、CD62L、IL7R、KLRG1、CD122、ならびに疲弊マーカー:PD1、Lag3、Tim3、2B4。
図1には、mRNAワクチンが抗原特異的なCD8応答を誘導したことを示す結果が示される。図2には、mRNAワクチンが抗原特異的なエフェクター/メモリーCD8T細胞を誘導したことを示す結果が示される。
抗原設計のための考慮事項のいくつかには、MHCクラス、発現の局在化、ポリペプチドの形式及び配置、ならびに効力増進モチーフが含まれる。図3(模式図)及び図4(表)には、mRNAに基づくネオエピトープの抗原設計の多元的考察が示される。
実施例6.FACSに基づくMHC提示の方法開発
目的:MCF7(HLA*201)における、mRNAがコードするエピトープのFACSに基づくアッセイの検証。使用したmRNAは、変異gp100(T209M)+変異チロシナーゼ(N271D)+変異CDK4(R24C)+変異MART1(A27L)という4つの異なるエピトープを組み合わせたコンカテマーである。TMG.G25(1/2)^3.nPEST配列は、変異gp100(T209M)が3回繰り返すタンデム型ミニ遺伝子の対照mRNAである。タンパク質の産生は、抗変異MART1(A27L)TCRマー−PE及び抗HLA抗体を使用して検出した。
方法では、LF2000を使用した250ngのmRNAのMCF7へのトランスフェクトと、ペプチドをパルスした対照による提示:血清非含有RPMIにおける合成ペプチドのパルスなしまたはパルスありでのMCF7の37℃での3時間の保持と、抗HLA及びTCRマー(変異MART1−HLA*201複合体に特異的)を用いた約20時間時点でのFACS分析と、を実施した。
データは、図5に示される。MCF7細胞でのMHC1/変異MART1ペプチドの特異的な提示が抗変異MART1TCRマーによって検出された。
実施例7.20のエピトープのコンカテマーをコードするmRNAで誘発されたT細胞応答
mRNAコンカテマーは、クラスIとクラスIIとの両方のT細胞応答を誘導した。CA60は、患者のミュータノームに由来する20のエピトープをコードし、マウスのクラスIIエピトープを5つ、マウスのクラスIエピトープを10、マウスの正の対照(SIINFEKL(配列番号22)(卵白アルブミン由来))を1つ、及びヒトの(HLA−A2)エピトープを4つ含む(未掲載)。10μgのmRNAでマウスを2回免疫化(初回免疫+14日目の追加免疫)し、21日目にフローサイトメトリーによって脾臓細胞を分析した。
データは、図7示される。10のクラスIエピトープのうちの4つ、及び5つのクラスIIエピトープのうちの5つが免疫原性であった。これらのエピトープは、非刺激対照の2倍超の応答を示した。クラスIであると予測されたエピトープのいくつかは、何らかのレベルの交差提示を示した。
実施例8.エピトープは、mRNAコンカテマー内の位置とは無関係に免疫原性である
エピトープは、mRNA内でのその位置とは無関係に免疫原性であった。CA80及びCA81は、T細胞応答を誘発することが知られる20の同一エピトープをコードしており、クラスIIエピトープを5つ、マウスのクラスIエピトープを10、マウスの正の対照(SIINFEKL(配列番号22)(卵白アルブミン由来))を1つ、及びヒトの(HLA−A2)エピトープを4つ含む(未掲載)。CA80とCA81とでは、これらの異なるエピトープの相対位置のみが異なる。10μgのmRNAでマウスを2回免疫化(初回免疫+14日目の追加免疫)し、21日目にフローサイトメトリーによって脾臓細胞を分析した。
データは、図8Aに示される。10のクラスIエピトープのうちの8つ、及び5つのクラスIIエピトープのうちの3つが免疫原性であった。これらのエピトープは、非刺激対照の8倍超の応答を示した。mRNA内の位置とは無関係に同様のレベルの免疫原性が観測された。図8Bは、CD8+IFNγ+細胞の頻度パーセントと、ELISpotアッセイにおけるインターフェロン−ガンマスポット形成単位(SFU)と、の間に強い相関(Rの二乗=0.78)が存在することを示す。
CA−80でのワクチン接種では、用量応答が観測された。図9A及び図9Bに示されるように、ワクチンの投与量が減少するにつれて「ヒット」の減少が観測された。
1つの20マーと複数の5マーとを使用して免疫化したときの、既知のエピトープに対するT細胞応答を比較した。図10に示されるように、1つの20マーまたは3つの3マーとしてワクチン接種すると、既知のエピトープに対するT細胞応答は同等であった。複数の5マーで免疫化すると、T細胞応答が僅かに高くなる傾向が観測された。
クラスIエピトープを単独またはクラスIIによる支援の存在下で用いて免疫化したときのT細胞応答を比較した。図11に示されるように、5つの既知のクラスIエピトープを5マーとして単独投与(クラスIIによる支援なし)または5つの既知のクラスIIエピトープと共に投与(クラスIIによる支援あり)し、5つの既知のクラスIエピトープに対するT細胞応答を比較した。後者の群には、既知のクラスIエピトープの5マーも追加で含めた。既知のクラスIエピトープに対するT細胞応答は、既知のクラスIIエピトープを含む5マーが存在すると強くなった。したがって、クラスII/Thエピトープは、クラスI/Tc応答を増進する。
MC3または化合物25と共に製剤化したコンカテマーワクチンでのワクチン接種でT細胞応答を観測した。MC3及び化合物25においてCA−81(15の既知のマウスエピトープを含む)を製剤化した。図12に示されるように、ワクチンにおけるそれぞれのエピトープに対するT細胞応答を測定し、2つの製剤間で応答を比較した。化合物25で製剤化された材料は、MC3で製剤化された材料と同様のT細胞応答を生成した。
実施例9.固形腫瘍を有する患者におけるmRNAワクチンの安全性、忍容性、及び免疫原性を評価するための第I相非盲検試験
固形腫瘍を切除した患者におけるmRNA1単独の安全性、忍容性、及び免疫原性、ならびに切除不能の固形腫瘍を有する患者におけるmRNA1とペンブロリズマブ(ヒト化抗PD−1抗体)との組み合わせの安全性、忍容性、及び免疫原性を評価するための第I相非盲検試験が実施される。
目的:主目的:固形腫瘍を切除した患者におけるmRNA−1の安全性及び忍容性(パートA)、ならびに切除不能の固形腫瘍を有する患者におけるmRNA−1+ペンブロリズマブの安全性及び忍容性(パートB)
副次目的:パートA:固形腫瘍を切除し、治療された患者のRFS。パートB:切除不能の固形腫瘍を有する患者(ペンブロリズマブの非盲検)のORR、DOR、PFS、及びOS
探索試験目的:免疫原性
方法論:2パート、非盲検、3+3用量漸増:最大で4サイクルにわたる4回用量の投与に向けて、0.1mg、0.2mg、または0.4mgのいずれかの固定用量のmRNA−1の投与を、筋肉内(IM)注射を介して21日サイクルの間に1回実施。
図13には、mRNA−1のmRNA構成要素の模式図が示される。mRNA−1は、ジヌクレオチド哺乳類キャップ1標準構造を5’末端に含み、このキャップ構造は、リボース糖の2’位がメチル化された最後から2番目のヌクレオチドに対して、5’−5’トリホスフェート配置で7−メチルグアノシンが連結されたものから構成される(Kozak,1991;Fechter and Brownlee,2005)。このキャップ構造は、翻訳の開始に必要になる。このキャップ構造の次には、翻訳の開始が促進されるように最適化された48ヌクレオチドの5’非翻訳領域(5’UTR)が続く。それぞれの患者向けに独特に定義されることになるmRNA−1のタンパク質コード領域またはオープンリーディングフレーム(ORF)の最初のアミノ酸をコードするAUGメチオニン開始コドンの位置で5’UTRは終了する。mRNA−1のORFは、3つ連続して連結された哺乳類終止コドン(5’−UGA−UAA−UAG−3’)で終了し、この終始コドンから、mRNAの安定化が促進されるように最適化された一般的な所定の3’UTRヌクレオチド配列が開始する。mRNA−1は、約100ヌクレオチドのアデノシンホモポリマーであるポリA尾部で終了し、ポリA尾部は、mRNAの安定化及びタンパク質の翻訳に必要なものである。5’末端のキャップ構造と3’末端のポリA尾部とは両方共、mRNA−1が細胞の翻訳機構によって翻訳されるために必要なものである。5’キャップまたは3’ポリA尾部のいずれかを欠いたRNAは、翻訳を受けることができず、それ故にタンパク質を生成しないことになる。5’末端に存在するキャップ1構造、または3’末端に存在するポリA尾部のいずれかを欠いたmRNA−1の分解物はいずれも、どのようなタンパク質も生成しないと想定される。
図14には、mRNA−1の一般的な分子配列の例が示され、この図では、患者特異的なコード領域は(N)として参照することよって示される。mRNA−1におけるヌクレオシドは、天然起源の哺乳類mRNAヌクレオシドと化学的に同一であるが、例外として、哺乳類のmRNAに通常存在するウリジンヌクレオシドが、哺乳類のtRNAに存在する天然起源のピリミジン塩基であるN1−メチル−シュードウリジンで完全に交換されていることが異なる(Rozenski,Crain et al.1999、Kariko,Buckstein et al.2005)。このヌクレオシドは、病原体関連分子パターン(PAMP)受容体(例えば、Toll様受容体(TLR)、Desmet and Ishii,2012)によるmRNA−1の無差別認識を最小化するために通常のウリジン塩基の代わりにmRNA−1に含められている。
実施例10.固形腫瘍を有する患者におけるmRNAワクチンの安全性、忍容性、及び免疫原性を評価するための第I相非盲検試験
固形腫瘍を切除した患者におけるmRNA2単独の安全性、忍容性、及び免疫原性、ならびに切除不能の固形腫瘍を有する患者におけるmRNA2とペンブロリズマブ(ヒト化抗PD−1抗体)との組み合わせの安全性、忍容性、及び免疫原性を評価するための第I相非盲検試験が実施される。
目的:主目的:固形腫瘍を切除した患者におけるmRNA−4157での単剤治療の安全性、忍容性、及び第2相の推奨用量(パートA)、ならびに切除不能の固形腫瘍を有する患者におけるmRNA−4157+ペンブロリズマブの安全性、忍容性、及び第2相の推奨用量(パートB)
方法論:2パート、非盲検、3+3用量漸増:最大で9サイクルにわたる9回用量の投与(すなわち、6ヶ月間の投薬)に向けて、0.1mg、0.2mg、または0.4mgのいずれかの固定用量のmRNA−4157の投与を、筋肉内(IM)注射を介して21日サイクルの間に1回実施。
実施例11.p53においてスプライス部位の変異及びサイレント変異が反復して生じる「ホットスポット」
P53遺伝子(正式記号TP53)は、ヒトの癌においてほかのどの遺伝子よりも高い頻度で変異する。P53に生じる変異のほとんどで、そのゲノム位置は1人または少数の患者のみに特有であるため、こうした変異は、特定の患者集団向けに設計される治療ワクチンのための反復ネオ抗原として使用できないことが大規模コホート研究によって示された。しかしながら、p53遺伝子座の小サブセットは実に「ホットスポット」のパターンを示しており、そこでは、遺伝子のいくつかの位置が相対的に高い頻度で変異するのである。際だったことに、反復して変異するこうした領域の大部分が、エクソンとイントロンとの境界付近に存在し、mRNAのスプライシング機構によって認識される標準のヌクレオチド配列モチーフを破壊する。図16に示されるように、スプライシングモチーフが変異すると、局所的なアミノ酸配列には変化が生じない(すなわち、同義変異またはイントロン変異)と予測されるとしても、最終的なmRNA配列には変化が生じ得る。それ故に、こうした変異によって予測不可能な様式でmRNAのスプライシングに変化が生じ得、翻訳されるタンパク質が著しい機能的影響を受け得るにもかかわらず、こうした変異は、一般的なアノテーションツールによって「ノンコーディング」として注解されてしまい、さらに解析されることなく無視されることが多い。代替的にスプライシングを受けたアイソフォームにインフレームの配列変化が生じる(すなわち、PTCが生じない)のであれば、こうしたアイソフォームはNMDによる排除を免れることができ、速やかに発現し、プロセシングを受けてHLA系によって細胞表面に提示される。さらに、変異に由来する代替的なスプライシングは、通常、「潜在性」であって、すなわち、正常組織では発現しないものであり、それ故に、T細胞によって非自己のネオ抗原として認識され得る。図17には、保持型イントロン及び潜在性スプライシングの生成につながるホットスポットスプライス部位及びサイレント変異が示され、いくつかの変異部位が保持型イントロンまたは潜在性スプライシングを生成することがRNAシークエンシングによって確認された。変異によって得られた2つの代表的なペプチドは、コードゲノムの他の箇所とは一致しないHLA−A2結合エピトープを複数有していた。
p53において同定した反復変異は、
(1)コドン位置T125に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープAVSPCISFVW(配列番号2)(HLA−B*57:01、HLA−B*58:01)、エピトープHPLASCQCFF(配列番号3)(HLA−B*35:01、HLA−B*53:01)、エピトープFVWNFGIPL(配列番号4)(HLA−A*02:01、HLA−A*02:06、HLA−B*35:01)を含むペプチド配列TAKSVTCTVSCPEGLASMRLQCLAVSPCISFVWNFGIPLHPLASCQCFFIVYPLNV(配列番号1)を有する保持型イントロンを誘導する変異、
(2)コドン位置331に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープLQVLSLGTSY(配列番号6)(HLA−B*15:01)、エピトープFQSNTQNAVF(配列番号7)(HLA−B*15:01)を含むペプチド配列EYFTLQVLSLGTSYQVESFQSNTQNAVFFLTVLPAIGAFAIRGQ(配列番号5)を有する保持型イントロンを誘導する変異、
(3)コドン位置126に隣接する標準3’スプライス部位における変異であって、エピトープCTMFCQLAK(配列番号9)(HLA−A*11:01)、エピトープKSVTCTMF(配列番号10)(HLA−B*58:01)を含む新規のスパニングペプチド配列AKSVTCTMFCQLAK(配列番号8)を生成する潜在性の代替エクソン3’スプライス部位を誘導する変異、及び
(4)コドン位置224に隣接する標準5’スプライス部位における変異であって、エピトープVPYEPPEVW(配列番号12)(HLA−B*53:01、HLA−B*51:01)、エピトープLTVPPSTAW(配列番号13)(HLA−B*58:01、HLA−B*57:01)を含む新規のスパニングペプチド配列VPYEPPEVWLALTVPPSTAWAA(配列番号11)を生成する潜在性の代替イントロン5’スプライス部位を誘導する変異
を含み、
転写コドン位置は、Ensemblのv83のヒトゲノムアノテーションに由来する標準の全長p53転写物であるENST00000269305(配列番号14)を参照したものである。
同等形態
当業者であれば、日常的な実験法を使用するだけで、本明細書に記載の開示の特定の実施形態に対する多くの同等形態を認識するか、または確認することができるであろう。そのような同等形態は、下記の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
本明細書に開示される、特許文書を含む参考文献はすべて、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。