[go: up one dir, main page]

JP2018531911A - 融合タンパク質 - Google Patents

融合タンパク質 Download PDF

Info

Publication number
JP2018531911A
JP2018531911A JP2018512315A JP2018512315A JP2018531911A JP 2018531911 A JP2018531911 A JP 2018531911A JP 2018512315 A JP2018512315 A JP 2018512315A JP 2018512315 A JP2018512315 A JP 2018512315A JP 2018531911 A JP2018531911 A JP 2018531911A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pres
seq
hepatitis
fusion protein
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018512315A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6830955B2 (ja
Inventor
ヴァレンタ,ルドルフ
コルネリウス,カロリン
Original Assignee
ヴィラヴァックス アーゲー
ヴィラヴァックス アーゲー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ヴィラヴァックス アーゲー, ヴィラヴァックス アーゲー filed Critical ヴィラヴァックス アーゲー
Publication of JP2018531911A publication Critical patent/JP2018531911A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6830955B2 publication Critical patent/JP6830955B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/162Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from virus
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • A61K39/29Hepatitis virus
    • A61K39/292Serum hepatitis virus, hepatitis B virus, e.g. Australia antigen
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/385Haptens or antigens, bound to carriers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/20Antivirals for DNA viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/40Fusion polypeptide containing a tag for immunodetection, or an epitope for immunisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2730/00Reverse transcribing DNA viruses
    • C12N2730/00011Details
    • C12N2730/10011Hepadnaviridae
    • C12N2730/10111Orthohepadnavirus, e.g. hepatitis B virus
    • C12N2730/10134Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本発明は、B型肝炎ウイルス感染の治療および/または予防における使用のための融合タンパク質であって、少なくとも1つのペプチドと融合した、少なくとも1つのB型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片を含み、上記少なくとも1つのペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号4からなる群から選択された配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなることを特徴とする融合タンパク質に関する。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の処置および/または予防に用いるための融合タンパク質に関する。
B型肝炎は、毎年世界中で何百万の人が患う、B型肝炎ウイルスに起因する肝臓病である。HBVは、感染者の血液および体液に存在するため、これらの液が健康な人の体液と接することによって広がり得る。
HBVは、肝細胞において複製することで、主に肝臓の機能を妨げる。HBVに感染した場合、感染後の免疫応答が肝細胞損傷およびウイルスクリアランスの両方を引き起こす。
急性HBV感染の場合、感染を自然に治すことができる場合が多いため、処置しないことが通常である。一方、慢性HBV感染の場合、肝硬変および肝臓癌のリスクを低減するために処置する必要がある。現在、HBV感染の処置に使用される抗ウイルス薬として、ラミブジン、アデフォビル、テノフォビル、テルビブジン、およびエンテカビルが挙げられる。また、免疫系調節物質として作用するインターフェロンα−2aも処置に使用し得る。しかし、これらの薬剤はいずれもHBV感染を治すことができず、HBVの複製を止めることによって肝臓の損傷を最小限にすることしかできない。
本発明の目的の一つは、HBV感染の処置および/または予防のための新規な手段であって、現在のHBV処置法の短所を克服する手段を提供することにある。特に重要な目的は、慢性HBV感染の患者において、効率的な体液免疫応答および細胞免疫応答を回復させることによる、HBVのウイルスクリアランスである。
これらの目的は、B型肝炎ウイルス感染の処置および/または予防における使用のための融合タンパク質であって、少なくとも1つのペプチドと融合した、少なくとも1つのB型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片を含み、上記少なくとも1つのペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号4からなる群から選択された配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなることを特徴とする融合タンパク質によって達成される。
驚くべきことに、B型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片と、配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号4からなる群から選択された配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなる少なくとも1つのペプチドとを含む融合タンパク質は、PreSのみと比べて、また、配列番号1〜4とは異なるペプチドを含む他の融合タンパク質と比べて、個体におけるPreS特異的抗体の形成をより誘導することが分かった。さらに、本発明に係る融合タンパク質の投与に応答して生成された抗体は、優れたB型肝炎中和効果を示し、B型肝炎ウイルス感染を抑制することができる。ヒト対象におけるB型肝炎ウイルス感染の処置および/または予防において、PreSを含む融合タンパク質の投与がうまく使用され得るのは今回が初めてである。
図2Bに示すように、本発明の融合タンパク質の投与により形成される抗体は、HBVのPreSの最初の30のアミノ酸残基(ペプチドP1)および最初の50のアミノ酸残基(ペプチドP2)を特に対象とし、より低い程度にC末端領域(ペプチドP6〜P8)を対象とし、また、わずかな程度にHBVのPreSの中央部分(ペプチドP4およびP5)を対象とする。肝細胞に対するHBVの付着において、また、HBV感染において、HBVのPreSのN末端部分が重要な役割を果たすことが知られている。そのため、PreSポリペプチドのこの部分を対象とする抗体は、HBV感染の処置および/または予防において特に有用である。一方、HBVのPreSのみの投与ではこのような効果が見られない。HBVのPreSのみの投与で生成される抗体は、HBVのPreSのほとんどの部分に結合することができる(図2Aを参照)。このことは、本発明の融合タンパク質によって誘導される免疫応答が、HBVのPreSポリペプチドのうち、HBV感染に関与する部分に向けられていることを示す。
本発明の融合タンパク質はB型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片を1つ以上含んでもよい。B型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片を複数含んだ融合タンパク質の場合、より多くの抗原が免疫系に提示されることによって、PreSを対象とする抗体がさらに多く形成できるようになるという利点がある。本発明の特に好ましい実施形態では、上記融合タンパク質は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10の、B型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片を含む。本発明の融合タンパク質の一部として本明細書中に定義されるHBVのPreSポリペプチドおよびその断片は、同一のHBV遺伝子型に由来してもよく、異なる遺伝子型に由来してもよい。例えば、本発明の融合タンパク質は、HBV遺伝子型AのみのPreSポリペプチドまたはその断片を含んでもよく、HBV遺伝子型B、C、D、E、F、GまたはHに由来するさらなるPreSポリペプチドまたはその断片と組み合わされてもよい。
本発明の特に好ましい実施形態では、上記融合タンパク質は、配列番号1と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号4と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチドを、それぞれ少なくとも1つ含む。代替的に、本発明の融合タンパク質は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のこれらのペプチドをどの様な組合せで含んでもよく、あるいは、特定の1つのペプチドのみを同量で含んでもよい。
本明細書で使用するとき、「〜と融合した」または「融合タンパク質」という用語は、1つの単一の組換ポリペプチド鎖として発現・調製された、B型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片を含むタンパク質を意味する。
融合タンパク質の生成方法は、当該分野で周知であり、Sambrook et al.(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)やAusubel et al. (Short Protocols in Molecular Biology, 3rd ed; Wiley and Sons, 1995)等の標準的な分子生物学の参考文献に見出すことができる。一般的に、融合タンパク質は、好適な発現ベクターに挿入される融合遺伝子をまず構築することによって生成され、挿入後、発現ベクターは好適な宿主細胞に形質移入するために使用される。一般的に、組み換え融合構築物は、一連の制限酵素消化およびライゲーション反応によって生成される。これらの制限酵素消化およびライゲーション反応の結果として、所望の配列がプラスミドに組み込まれる。好適な制限部位が利用できない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーは使用され得る。このことは当業者にとって公知であり、上記に引用した参考文献に記載されている。アレルゲンおよび天然タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、好適なベクターに挿入される前に構築され得るか、またはアレルゲンをコードする配列は、ベクター内にすでに存在する天然配列をコードする配列に隣接して挿入され得る。ベクター内への配列の挿入は、配列がタンパク質に翻訳されるように、インフレームに挿入されるべきである。必要となる具体的な制限酵素、リンカーおよび/またはアダプター、ならびに具体的な反応条件が、使用される配列およびクローニングベクターによって変わることは、当業者にとって明白である。しかし、DNA構築物の構築は、当該技術において日常的な操作であり、かつ当業者によって容易に達成され得る。
B型肝炎PreSポリペプチドの断片は、好ましくは少なくとも30、好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも50の連続したアミノ酸残基からなり、また、B型肝炎PreSポリペプチドのPreS1および/またはPreS2を含んでもよい。本発明の特に好ましい実施形態では、B型肝炎PreSポリペプチドの断片は、B型肝炎PreSポリペプチドの1〜70番目のアミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは1〜65番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは1〜60番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは1〜55番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは1〜50番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは1〜45番目を含み、より好ましくは1〜40番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは1〜35番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは5〜70番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは5〜65番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは5〜60番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは5〜55番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは5〜50番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは5〜45番目を含み、より好ましくは5〜40番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは5〜35番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは10〜70番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは10〜65番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは10〜60番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは10〜55番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは10〜50番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは10〜45番目を含み、より好ましくは10〜40番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは10〜35番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは15〜70番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは15〜65番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは15〜60番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは15〜55番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは15〜50番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは15〜45番目を含み、より好ましくは15〜40番目のアミノ酸残基を含み、より好ましくは15〜35番目のアミノ酸残基を含み、上記B型肝炎PreSポリペプチドは、好ましくは、配列番号5、7、8、9、10、11、12、13、または14からなるHBVのPreSポリペプチドであり、配列番号8〜14はそれぞれHBV遺伝子型B〜Hに属する。
少なくとも1つのB型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片に融合される少なくとも1つのペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号4と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を有する。あるアミノ酸配列に対する、他のアミノ酸の同一性の程度は、両方のアミノ酸配列を、特定のアルゴリズムを用いて直接比較することによって決定できる。配列同一性の決定は、好ましくは、BLOSUM62のマトリクスを使用し、ギャップイグジステンスペナルティ(gap existence penalty)=11、ギャップエクステンションペナルティ(gap extension penalty)=1の条件でBLASTアラインメント(http://blast.ncbi.nlm.nih. gov/; Altschul SF et al J. Mol. Biol. 215 (1990): 403-410)によって決定される。
本発明の好ましい実施形態によれば、上記PreSポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、または配列番号13に対して少なくとも80%が同一であり、最も好ましくは配列番号5に対して少なくとも80%が同一である。
上述のペプチドの少なくとも1つに融合されるB型肝炎PreSポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、または配列番号13と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を有する。
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、上記少なくとも1つのペプチドは、上記PreSポリペプチドのN末端および/またはC末端に融合している。
本明細書で使用するとき、「N末端および/またはC末端に融合している」とは、少なくとも1つのペプチドがPreSポリペプチドまたはその断片のN末端および/もしくはC末端に融合していることを意味する。本発明の融合タンパク質は、上記PreSポリペプチドまたはその断片のN末端もしくはC末端に融合したペプチドを1つ以上含んでもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、上記融合タンパク質は、配列番号6に対して少なくとも80%が同一であるアミノ酸配列を含む。
本発明の融合タンパク質は、配列番号6と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を有する。
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、上記B型肝炎ウイルス感染はB型肝炎ウイルス遺伝子型A、B、C、D、E、F、G、Hまたはこれらのサブタイプに起因する。これらのHBV遺伝子型に起因するHBVの処置および/または予防には、同一の遺伝子型のHBVのPreSポリペプチドまたはその断片を用いることが好ましい(たとえば、HBV遺伝子型Aまたはそのサブタイプの感染を処置・予防するために、HBV遺伝子型AのPreSを用いる)。HBV感染に関与することが知られているPreSポリペプチドの部分において保存されるアミノ酸配列のため、ある遺伝子型のHBVのPreSポリペプチドまたはその断片を、他のHBV遺伝子型の感染の処置・予防に用いることも無論可能である(たとえば、HBV遺伝子型AのPreSを、HBV遺伝子型B、C、D、E、F、Gおよび/またはH、またはこれらのサブタイプの感染の処置・予防に用いる)。
本発明の融合タンパク質は、様々な遺伝子型およびそのサブタイプのHBV感染の処置および/または予防において使用されてもよい。B型肝炎ウイルスのサブタイプとしては、Schaefer et al.(World J Gastroenterol 13(2007):14-21)において説明されるように、A1、A2、A3、A4、A5、B1、B2、B3、B4、B5、C1、C2、C3、C4、C5、D1、D2、D3、D4、D5、F1、F2、F3、およびF4が挙げられる。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、上記融合タンパク質は、体重1kg当たり0.01μg〜体重1kg当たり5mg、好ましくは体重1kg当たり0.1μg〜体重1kg当たり2mgの量で、個体に少なくとも1回投与される。本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、上記融合タンパク質は、5〜50μg、好ましくは10〜40μg、より好ましくは15〜30μgの量で患者に投与され、上記量は体重に依存しない量(つまり、用量は15、20、25、または30μgであってもよい)または体重1kg当たりの量である。
1つの剤形を得るために賦形剤と組み合わせられる融合タンパク質の量は、処置されるホストおよび具体的な投与形態によって変わる。融合タンパク質の投与量は、個体の病状、年齢、性別、体重および個体において所望の抗体反応を誘発する能力等の要素によって変わり得る。投与計画は、最適な処置反応を得るために調節され得る。例えば、毎日数回に分けて投与してもよいし、処置状況の緊急度合によって示されるとおりに比例的に投与量を減少させてもよい。ワクチンの投与量も、環境に応じて最適な予防用量反応を得るために変更され得る。例えば、本発明のポリペプチドおよびワクチンは、B型肝炎PreSに特異的なIgG誘導のレベルに常に応じて、数日、1〜2週間、または数カ月の間隔で個体に投与してもよい。
本発明の好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質は、2〜10回、好ましくは2〜7回、さらに好ましくは5回以下、最も好ましくは3回以下与えられる。特に好ましい実施形態では、次のワクチン接種間の間隔は、2週間〜5年、好ましくは1カ月〜最大3年、より好ましくは2カ月〜1.5年になるように選ばれる。本発明の融合タンパク質の反復投与により、処置の最終効果を最大化し得る。
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、上記融合タンパク質は、少なくとも1つの、アジュバントおよび/または薬学的に許容可能な賦形剤と共に投与される。
本発明の融合タンパク質の投与は、たとえば、皮下投与、筋内投与、静脈内投与、経粘膜投与であってもよい。剤形および投与経路によって、本発明の融合タンパク質は、賦形剤、希釈剤、アジュバント、および/または担体と組み合わされてもよい。アジュバントは好ましくはミョウバンである。ワクチン調合物の製造のための好適なプロトコールは、当業者にとって公知であり、たとえば「vaccine Protocols」(A. Robinson, M. P. Cranage, M. Hudson; Humana Press Inc., U. S.; 2nd edition 2003)に記載されている。
また、本発明の融合タンパク質は、ワクチンにおいて通常用いられる他のアジュバントと共に調合されてもよい。たとえば、好適なアジュバントは、MF59、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、サイトカイン(たとえば、IL−2、IL−12、GM−CSF)、サポニン(たとえばQS21)、MDP誘導体、CpGオリゴヌクレオチド、LPS、MPL、ポリフォスファゼン、乳剤(たとえば、フロイントアジュバント、SAF)、リポソーム、ビロソーム、イスコム、コクリエート、PLG微粒子、ポロキサマー粒子、ウイルス様粒子、易熱性エンテロトキシン(LT)、コレラ毒素(CT)、変異体毒素(たとえばLTK63およびLTR72)、微粒子、および/または重合リポソームであってもよい。好適なアジュバントは商業的に利用可能であり、たとえば、ASO1B(リポソーム調合物におけるMPLおよびQS21)、ASO2A、AS15、AS−2、AS−03、およびこれらの誘導体(GlaxoSmithKline、米国);CWS(cell−wall skeleton、細胞壁骨格)、TDM(トレハロース−6,6’ジミコレート)、LeIF(リーシュマニア伸長開始因子)、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム等のアルミニウム塩;カルシウム塩、鉄塩、または亜鉛塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁物;アシル化糖類;カチオン誘導体化またはアニオン誘導体化多糖類(cationically or anionically derivatized polysaccharides);ポリフォスファゼン;生分解性ミクロスフェア;モノホスホリルリピドAおよびQuilAが挙げられる。また、アジュバントとして、GM−CSFまたはインターロイキン−2、インターロイキン−7、もしくはインターロイキン−12等のサイトカインを用いてもよい。Thl型優位の応答(predominantly Thl-type response)を引き出すために用いられる好ましいアジュバントとして、たとえば、モノホスホリルリピドA(好ましくは3−0−脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL))の組み合わせが挙げられ、該組み合わせは任意にアルミニウム塩を含む。モノホスホリルリピドAと表面活性剤とを含む水性調合物は国際公開第98/43670号に記載されている。
他の好ましいアジュバントは、サポニンまたはサポニンのミメティックもしくは誘導体であり、好ましくはQS21(Aquila Biopharmaceuticals Inc.)である。これらのアジュバントは単独で用いてもよく、他のアジュバントとの組み合わせで用いてもよい。たとえば、強化されたシステム(enhanced system)はモノホスホリルリピドAとサポニンの誘導体との組み合わせ(たとえば、QS21と3D−MPLとの組み合わせ)を含む。他の好ましい調合物は、水中油型乳剤およびトコフェロールを含む。QS21と、3D−MPLと、トコフェロールとを含む水中油型乳剤は特に強力なアジュバント調合物である。本発明における使用のためのさらなるサポニンのアジュバントとして、QS7(国際公開第96/33739号および国際公開第96/11711号に記載)およびQS17(米国特許第5057540号および欧州特許公開0362279号(B1)に記載)等が挙げられる。
本明細書に記載の配列番号は以下のアミノ酸配列(Genbank登録番号)を有する。
本発明は、以下の図面および実施例によってさらに例証されるが、これらに限定されない。
図1は、異なる遺伝子型の、アラインメントされたPreS配列に対する、PreSペプチドの割り当てを示す。同一のアミノ酸は点によって示されている。PreS1ドメインは1〜118番目のアミノ酸残基を含む。PreS2ドメインにおける119〜173番目のアミノ酸残基(配列番号5も参照)および19〜28番目のアミノ酸残基(灰色のボックス)は、肝細胞に対するHBVの付着において、また、HBVの感染において、重要な役割を果たす。
図2は、PreSで免疫付与したウサギ(n=1、図2A)、およびPreS融合ワクチン混合物(20μg)で免疫付与したウサギ(n=2、図2B)のそれぞれのIgG応答を示す。免疫付与前の応答は左側の灰色のバーで示し、免疫付与後の応答は右側の黒色のバーで示している。光学濃度値(y軸:405nmでの光学濃度値)は、PreSおよびPreS由来の合成重複ペプチドP1〜P8(x軸)に対するIgGレベルに対応する。結果は、3通りの測定の平均値を標準偏差とともに示す。
図3A〜3Cは、PreS融合ワクチン混合物またはプラセボをワクチン接種した対象の、PreSに対するIgG応答(図3A)および合成のPreS由来重複ペプチドP1〜P8に対するIgG応答(図3B〜3C)を示す。PreSおよびペプチドP1〜P8に対するIgGレベルに対応する光学濃度値(y軸:光学濃度値、3通りの測定の平均)が示される。光学濃度値の測定は、PreS融合ワクチン混合物(n=22)またはプラセボ(n=8)で免疫付与された、事前にB型肝炎のワクチン接種をしたまたはしていない対象において行った。該測定は、免疫付与前(V5)において、また、免疫付与後の異なる時点(V8およびV15)において行った。結果は、標準偏差とともに平均値として示され、有意差(V5,V8,およびV15において、PreS融合ワクチン混合物をワクチン接種した全ての個体における有意差)も示される(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
図4は、PreS融合ワクチン混合物(PreS−FVM)またはプラセボをワクチン接種した対象におけるPreS特異的抗体応答を示し、また、B型肝炎感染の固体に存在する抗体を示す。示されるのは、PreSに特異的な、IgA、IgE、IgM、IgG、およびIgGサブクラス(IgG1〜IgG4)のレベルに対応する光学濃度値(y軸:光学濃度値)である。該光学濃度値は、プラセボで免疫付与した対象(n=8)、PreS融合ワクチン混合物(20μg)で免疫付与した対象(n=10)、PreS融合ワクチン混合物(40μg)で免疫付与した対象(n=12)、およびB型肝炎感染の個体(n=19)における値である(x軸)。グラフは平均値を標準偏差とともに示す。有意差も示されている(***p<0.001)。
図5は、PreS融合ワクチン混合物(PreS−FVM)またはプラセボをワクチン接種した対象の、PreSペプチドP1〜P8に特異的なIgG応答を示し、また、B型肝炎感染の個体に存在するIgGを示す。示されるのは、PreS由来ペプチド(P1〜P8)に特異的なIgGレベルに対応する光学濃度値(y軸:光学濃度値)である。該光学濃度値は、プラセボで免疫付与した対象(n=8)、PreSワクチン混合物(20μg)で免疫付与した対象(n=10)、およびPreSワクチン混合物(40μg)で免疫付与した対象(n=12)においてV15での値であり、また、B型肝炎感染の個体(n=19)におけるものである(x軸)。結果は、標準偏差とともに、平均値として示される。
図6は、PreS特異的T細胞応答およびペプチド特異的T細胞応答を示す。図6Aは、PreS特異的PBMCの増殖(y軸:刺激指標SI)を示す。該増殖は、PreS融合ワクチン混合物で免疫付与した対象(n=19)における[3H]チミジン取り込みによって、異なる時点(x軸)で評価した。平均値および標準偏差ならびに有意差が示される(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。図6B〜6Cは、PreSペプチド(P1〜P8)、PreS、または等モルのペプチド混合物(y軸)による刺激後の、PreS融合ワクチン混合物で免疫付与した対象(n=11)の血液試料における、増殖したCD4のT細胞のパーセンテージ(図6B)および増殖したCD8のT細胞のパーセンテージ(図6C)を示す(時点:M2)。結果は、標準偏差とともに、平均値として示される。
図7は、インビトロのウイルス中和アッセイにおいて、B型肝炎ウイルス感染の抗体誘導性阻害を示す。該アッセイは、インビトロで培養された肝細胞に基づく。培養したHepG2−hNTCPの、B型肝炎感染の阻害のパーセンテージ(x軸)は、ウイルス中和抗体を含む抗血清を用いて、ウイルスを前インキュベーションすることによって得られた。図7Aは、Ma18/7(陽性対照)、プラセボ処置を受けたヒト対象からの血清、およびPreS融合ワクチン混合物を用いた免疫付与後のヒト対象からの血清(n=7)によるウイルス感染の阻害を示す。対象はいずれも事前にB型肝炎のワクチン接種をしていない。図7Bは、市販のB型肝炎ワクチンEngerixまたはPreS融合ワクチン混合物で免疫付与したウサギからの血清による、ウイルス感染の阻害を示す。
図8は、免疫付与したニュージーランドホワイト(NZW)ウサギの血清におけるPreSに対する総血清中IgGの比較を示す。該免疫付与は、完全フロイントアジュバントにおける乳剤状の、組み換えPreSまたはPreS融合タンパク質(PreS−F1〜PreS−F4)によるものである。x軸は、血清の希釈を示し、y軸は、405nmで測定した光学濃度値を示す。実験は、2通りの測定を行った。
〔実施例〕
(実施例1:組み換えPreSの発現および精製、PreS重複ペプチドの合成、配列アラインメント)
ヘキサヒスチジンタグ付き組み換えPreSタンパク質(Escherichia coli BL21(DE3、Stratagene、米国)におけるPreS1+PreS2(配列番号5、遺伝子型A、サブタイプ:adw2、GenBank番号AAT28735.1由来)の発現および精製を、Niespodziana K et al.(J Allergy Clin Immunol 127(2011):1562−70)に記載されているように行った。
PreS(遺伝子型A、サブタイプ:adw2、表A、図1)の全配列に及ぶ8つのペプチド(長さ:約30のアミノ酸、重複:10のアミノ酸)を、HBTU[2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)1,1,3,3テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート]活性化を用いたFmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)の方法(CEM−Liberty、Matthews、NC;Applied Biosystems、Life technologies、米国)によって合成した。
ペプチドを調製用のHPLCによって精製し、質量分析(Microflex MALDI−TOF、Bruker、米国)によってその同一性を確認した。
PreS遺伝子型A、血清型adw2の配列、およびそのペプチド配列と、HBV遺伝子型B〜Hとのアラインメントを、CLUSTAL Wを用いて行った。HBVデータベース(HBVdb、https://hbvdb.ibcp.fr/HBVdb/HBVdbIndex)からの参照配列を用いた(Hayer J et al. Nucleic Acids Res 2012;gks1022)(図1参照)。
(実施例2:ウサギに対する免疫付与)
精製したPreS(1回の注射当たり200μg)でニュージーランドホワイトウサギに免疫付与して、組み換えPreSに対して特異的なウサギ抗体を産出させた。第1の注射では完全フロイントアジュバント(CFA)を用い、第2および第3の注射では不完全フロイントアジュバント(IFA)を用いた(Charles River、ドイツ)。さらに、PreSワクチン混合物の4つの成分をそれぞれ20μg(n=2)または40μg(n=2)含んだ混合物(PreSワクチン混合物−20、PreSワクチン混合物−40)で、ニュージーランドホワイトウサギを3回免疫付与した。アジュバントとしてAl(OH)を用いた。PreSワクチン混合物の4つの成分は、以下のアミノ酸配列を有するPreS融合タンパク質PreSF1、PreSF2、PreSF3、およびPreSF4を含む。
PreSF1(配列番号22)
PreSF2(配列番号23)
PreSF3(配列番号6)
PreSF4(配列番号24)
さらに、ニュージーランドホワイトウサギ(n=2)に1カ月の間隔で3回免疫付与して、登録済みのB型肝炎ワクチンENGERIX−Bに特異的なウサギ抗体を得た。該免疫付与において、商業的に利用可能であり、かつ、即時使用可能なプレフィルドシリンジを用いた。
血清試料を、免疫付与前に得て、また、3回目の免疫付与の約4週間後に得て、分析するまで−20℃で保管した。
PreSワクチン混合物で免疫付与した場合、一連のPreSエピトープ(sequential PreS epitopes)に対する特異性を有するIgG抗体の誘導が見られた。図2は、ウサギにおける、PreSに対するIgG抗体応答と、合成PreS由来ペプチドに対するIgG抗体応答との比較を示す。該IgG抗体応答は、CFA調合したPreSまたは水酸化アルミニウムに吸着されたPreSワクチン混合物によって誘導された(図2B)。CFA調合したPreSによって誘導したウサギ抗体は、PreSを認識し、P7以外の各PreS由来ペプチドを認識した(図2A)。投与量20μgの、水酸化アルミニウムに吸着されたPreSワクチン混合物は、PreS特異的IgG抗体を誘導し、また、主にN末端ペプチドP1〜P2、ペプチドP6、およびC末端ペプチドP8に対するIgG抗体を誘導した(図2B)。免疫付与前のウサギでは、PreS特異的IgG応答およびペプチド特異的IgG応答は見られなかった(図2、左側のバー)。
(実施例3:PreSおよびPreSペプチド特異的体液免疫応答の評価)
血清試料を、Al(OH)に吸着したPreSワクチン混合物(すなわち、PreSワクチン混合物の成分をそれぞれ10μg、20μg、または40μg含む混合物、またはプラセボ(つまり、Al(OH)))の注射を3回受けた患者から得た。血清の採取は、3回目の免疫付与前、および3回目の免疫付与の4週間後に行った。採取した血清を、使用まで−20℃で保管した。血清試料の第2のセットを、Al(OH)に吸着したPreSワクチン混合物(すなわち、PreSワクチン混合物の成分をそれぞれ20μgまたは40μg含む混合物、またはプラセボとしてのAl(OH))の皮下注射を2年間にわたり7回受けた患者から得た。また、B型肝炎感染を患う患者から血清試料を得た。B型肝炎感染は、臨床データ、肝臓機能試験、およびHBV血清マーカーに基づいて診断された。
分析した全ての血清は、HBVの血清学的マーカー(すなわち、B型肝炎表面抗原[HBsAg]、B型肝炎表現抗原に対する抗体[抗−HBs]、およびB型肝炎コア抗原に対する抗体[抗−HBc])についてスクリーニングされた。
ELISAプレート(NUNC MaxiSorp(登録商標)、デンマーク)を抗原(組み換えPreS、合成PreS重複ペプチド:P1〜P8)またはヒト血清アルブミン(陰性対照)(Behring、米国)を用いて被覆した。インキュベーションを、ウサギ血清を用いて1:10,000の希釈物(CFA)または1:500の希釈物(PreSワクチン混合物−20、PreSワクチン混合物−40)において行い、ネズミ血清を用いて1:1,000の希釈物において行い、また、アイソタイプおよびIgGサブクラスについて異なる程度に希釈されたヒト血清を用いて行った。ヒトにおける総IgGの検出のため、血清を1:100に希釈し、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、およびIgMについて、血清を1:20に希釈し、IgE抗体の検出のため、血清を1:10に希釈した。
1:2,500に希釈したロバ抗ウサギセイヨウワサビペルオキシダーゼ接合IgG抗体(GE Healthcare、バッキンガムシャー、英国)を用いて、ウサギIgGを検出した。1:1,000に希釈したモノクローナルラット抗ネズミIgG1(BD Pharmingen、米国)を用いて、その後、1:2,500に希釈したセイヨウワサビペルオキシダーゼ接合のヤギ抗ラットIgG抗体(Amersham Bioscience、スウェーデン)を用いて、結合したネズミIgG1を検出した。
1:10,000に希釈したウサギ抗ヒトIgGのFc特異的抗体(Jackson−Dianova、ドイツ)を用いて、その後、1:2,500に希釈したペルオキシダーゼ結合ロバ抗ウサギIgG(GE Healthcare)を用いて、ヒトIgGを検出した。ヒトIgA、IgGサブクラスであるIgG1、IgG2、およびIgG4、ならびにヒトIgMを、それぞれ、1:1,000に希釈した精製ネズミ抗ヒトIgA1/IgA2、IgG1、IgG2、IgG4、およびIgM(BD Pharmingen)の抗体を用いて、その後、1:2,500に希釈したペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗ネズミIgG(GE Healthcare)を用いて検出した。モノクローナル抗ヒトIgG3(Sigma Aldrich、米国)を1:5,000に希釈した。ヤギ抗ヒトセイヨウワサビペルオキシダーゼ接合IgE抗体(KPL、米国)を用いて、ヒトIgEを検出した。
(実施例4:PreSワクチン混合物で免疫付与した対象におけるPreS特異的抗体応答は、以前のB型肝炎免疫によって影響されない)
PreSワクチン混合物またはプラセボを用いた免疫療法を受けたヒト対象からの血清試料を、PreSおよび合成PreSペプチドに対するIgG反応性に関してテストした(図3a〜3c)。これらの患者(n=30)は、B型肝炎特異的血清マーカー(HBsAg、抗HBs、および抗HBcの抗体)について処置の前にスクリーニングされ、HBsAg抗体および抗HBc抗体については陰性であった。対象のうち22人は、以前にB型肝炎ワクチンのワクチン接種を受けたため、抗HBs抗体を有していた(図3a〜3c)。PreSワクチン混合物を用いた免疫療法を受けた患者はいずれも、以前にHBワクチン接種をしたか否かにかかわらず、強いPreS特異的IgG応答を示すが、プラセボで処置した患者は、強いPreS特異的IgG応答を示さないことが、3回目の注射後(V8、1回目の注射の3カ月後)の血清テストおよび7回目の注射後(V15、1回目の注射の15カ月後)の血清テストで分かった(図3a〜3c)。PreS特異的IgG応答は、免疫療法前の基線から有意に増大し(すなわち、V5対V8)、また、V8とV15との間で(すなわち、7回目の注射後に)さらに有意に増大した(図3a〜3c)。これらの患者におけるPreS特異的IgG応答は、主にN末端ペプチドであるP1、P2、およびP3に対するものであった。P1特異的IgG応答およびP2特異的IgG応答は、基線V5とV8との間およびV8とV15との間で有意な増大を示した(図3a〜3c)。また、他のPreS由来ペプチドP4、P5、P6、P7、およびP8に対するIgG応答の増大は、PreSワクチン混合物を用いた免疫療法を受けた患者からの血清において見られたが、プラセボで処置した患者においては見られなかった(図3a〜3c)。
(実施例5:PreSワクチン混合物で免疫付与した対象におけるPreS特異的抗体応答は、中和エピトープに対するものであり、B型肝炎感染の個体の応答とは異なる)
図4は、PreSワクチン混合物またはプラセボを用いた免疫療法後の患者におけるPreS特異的アイソタイプおよびIgGサブクラスの応答と、B型肝炎感染の個体におけるPreS特異的アイソタイプおよびIgGサブクラスの応答との比較を示す。PreSワクチン混合物を用いた免疫療法は、両方の投与量で患者において強いPreS特異的IgG応答を誘導した。該応答は、B型肝炎感染の個体におけるIgG応答よりも有意に高かった(図4)。PreSワクチン混合物またはプラセボで処置した患者からの血清において、また、B型肝炎感染の個体において、有意なPreS特異的IgA、IgEおよびIgMの応答は検出されなかった(図4)。PreS特異的IgGサブクラスの応答は、PreSワクチン混合物で処置した対象と、B型肝炎感染の個体とで異なった。PreSワクチン混合物で処置した対象は、IgG1およびIgG4サブクラスの優先的な応答を示した。一方、B型肝炎感染の個体はPreSに対してある程度のIgG1応答およびIgG2応答を示した(図4)。
また、PreSワクチン混合物で処置した患者とB型肝炎感染の個体とで、PreS特異的抗体のエピトープ特異性について、著しい違いが見られた(図5)。PreSワクチン混合物で免疫付与した患者は、P1およびP3に対して強いIgG応答を示したが、B型肝炎感染の個体は同様の応答を示さなかった(図5)。このことは驚くべきである。なぜならば、P1によって画定される領域は、B型肝炎感染の阻害に必須の残基を含むことが報告されている、PreS1内のモチーフ(図1も参照)に対応するからである。さらに、P7は、PreSワクチン混合物で処置した対象によってのみ認識され、B型肝炎感染の個体によって認識されなかったが、P2およびP6に対するIgG応答は、B型肝炎感染の個体においても見られた(図5)。
(実施例6:T細胞応答の評価)
末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll(Amersham Biosciences、スウェーデン)を用いた密度勾配遠心分離によって、ヘパリン添加血液試料から得た。血液試料を得ることができた場合、PreSワクチン混合物をワクチン接種した対象(n=19)におけるPreS特異的PBMCの増殖を、V5、V8、M1(1回目のワクチン接種の5カ月後)、およびM2(1回目のワクチン接種の17カ月後)において、[3H]−チミジンの取り込みによって決定した。
PreSワクチン混合物で免疫付与した特定の患者(n=11)について、CD4およびCD8のT細胞応答を、カルボキシフルオレセインサクシニミジルエステル(CFSE)の標識によって、M2において評価することができた。
U字状底部を有する96ウェルマイクロプレート(Thermo Fisher、米国)において、2mmol/LのL−グルタミン(Sigma Aldrich、米国)、50mmol/Lのβメルカプトエタノール(Sigma Aldrich)、および0.02mgのゲンタマイシン(Sigma Aldrich)を補ったUltra culture(商標)無血清培地(Lonza、ベルギー)(全量:200μl)中、蛍光色素によって標識した細胞を1つのウェル当たり200,000の細胞の量で播種した。細胞を、未刺激のままにした(陰性対照)か、陽性対照としてのDynabeads(登録商標)ヒトT活性化剤CD3/CD28(3μg/ウェル(Invitrogen、米国))、PreS(0.15μg/ウェル)、等モル量のPreS重複ペプチド(0.03μg/ウェル)、または各ペプチドを0.03μg/ウェルの量で含むPreS由来重複ペプチドの混合物を用いて刺激した。細胞を5%のCOにおいて37℃で7日間培養し、その後抗体染色およびFACS分析を行った。
フローサイトメトリーのために以下の試薬を用いた。PerCP/Cy5.5抗ヒトCD3抗体(クローンHIT3a)、Brilliant Violet 421(商標)抗ヒトCD4抗体(クローンRPA−T4)、APC抗ヒトCD8a抗体(クローンHIT8a)、およびアイソタイプ対照、すなわち、PerCP/Cy5.5ネズミIgG2a、Brilliant Violet 421(商標)ネズミIgG1、APCネズミIgG1(BioLegend、米国)、およびFixable Viability Dye eFluor(登録商標)780(eBioscience、USA)。
フローサイトメトリーは、BD FACS Canto II(Becton, Dickinson and Company、米国)を用いて行った。1つの試料当たり20,000のイベントを得、FlowJo Software、Version10を用いて分析した。形態学的基準に基づいて、前方散乱光および側方散乱光のドットブロット(dot blot)においてリンパ球をゲーティングした。死細胞は、Viability Dyeの染色によって除外した。ゲーティングはCD3CD4陽性T細胞およびCD3CD8陽性T細胞を対象とした。抗原刺激に応じて増殖した細胞は、そのCFSE蛍光発光強度の低下によって特定した。結果は3通りの培養の平均値を示し、異なる抗原および分析された患者について、バックグラウンドを超えるCD3+CD4+およびCD3+CD8+の刺激パーセンテージの235の中央値が示される。
図6は、PreSワクチン混合物を用いた免疫療法を受けた患者における、PreS特異的T細胞応答の進展を示す。PreS特異的T細胞応答は、徐々に増大し、V8、M1、およびM2の時点において、V5での基線と比べて有意に高い(図6A)。PreS特異的CD4細胞応答のエピトープ特異性をCFSE染色によって分析した結果、P1、P2、P5、およびP6が最も強いCD4細胞増殖を誘導したことが分かったが、P3、P4、およびP7に対するCD4応答も見られた(図6B)。興味深いことに、ペプチドおよびペプチド混合物は、PreSタンパク質と比べて、より強いCD4細胞増殖を誘導した(図6B)。頻度は低いが、PreSおよびPreSペプチドに特異的なCD8細胞応答をある程度検出した。該応答は、主にP2、P3、P6、P8、および完全なPreSに対するものであった(図6B)。
(実施例7:B型肝炎ウイルス中和アッセイ)
感染のためのHBV接種材料は、ウイルス粒子を単離するためのヘパリンのカラム(GE Healthcare、英国)を用いて、HepAd38細胞の上清から調製した。HepG2−hNTCP細胞20を、1つのウェル当たり3×10の細胞の密度で、24ウェルプレートに播種した。播種後の2日目に、感染培地(DMEM、Invitrogen、米国)に2.5%のDMSO(Merck、ドイツ)を補い、3日目に、細胞がHBVで感染していた。HBV粒子の中和のためには、患者の血清(10μl)をHBV接種材料(1つのウェル当たり6.9×10のゲノム同等物(genome equivalent;GE))と共に37℃で30分間前インキュベーションし、その後、4%のポリエチレングリコール800(Sigma Aldrich、米国)の存在下において患者の血清およびウイルスで、37℃で16時間、細胞の共インキュベーションを行った。陽性対照として、中和モノクローナル抗体Ma18/721を用いた。
16時間の接種後、細胞をPBSで広く洗浄し、その後、2.5%のDMSO(Invitrogen)を補った新鮮な分化培地を添加した。感染後の3日目および5日目に、さらなる培地交換を行った。
HBV感染の定量化は、感染後の5日目〜7日目において、細胞の上清において分泌されたB型肝炎e抗原(HBeAg)を測定することで行った。HBeAgの測定は、ADVIA Centaur XPT自動化学ルミネセンスシステム(Siemens、ドイツ)を用いて行った。試料は、1Indexを超える信号で陽性と評価した。
HBVコアタンパク質の発現は、特異的免疫蛍光によって検出した。上清を除去し、細胞をPBSで洗浄し、その後、4%のパラホルムアルデヒド(Sigma Aldrich)を用いて室温(RT)で30分間固定した。次に、細胞をPBSで洗浄し、その後、0.25%のTriton X 100(AppliChem GmbH、ドイツ)を用いて、PBSにおいてRTで30分間透過処理した。その後、一次抗体(抗HBVコア、ウサギポリクローナルAK、DAKO Deutschland GmbH、ハンブルク、ドイツ)を2%(w/v)のBSA、PBSにおいて希釈し、細胞を4℃で一晩インキュベーションした。翌日に、細胞をPBSで洗浄し、最後に、細胞を二次抗体(ヤギαウサギAlexa488、Invitrogen、Carlsbad、CA)および4’,6−ジアミジン−2−フェニルインド/Hoechst33342(Roche Applied Science、ドイツ)と共に暗所にてインキュベーションした。HBVコアタンパク質の検出のために、二次抗体を、遮光しながらRTで2時間インキュベーションした。Alexa488標識二次抗体(Invitrogen、Carlsbad、CA)については480nmを用い、核染色については360nmを用いて、細胞を蛍光顕微鏡下で調べた。
第1種類のアッセイでは、細胞感染後におけるB型肝炎コア抗原(HBcAg)の発現を、特異的免疫蛍光によって検出する。HBcAgは、未感染の細胞において検出されなかったが、感染した未治療の細胞において検出された。その発現は、大きなB型肝炎表面タンパク質のPreS1ドメインに対する中和モノクローナル抗体Ma18/721を用いた、ウイルスの前インキュベーションによって防止することができる。同様に、市販のワクチンEngerix−Bによって誘導されたウサギ抗体、またはウサギ抗PreSワクチン混合物(投与量20μg)抗体を用いてB型肝炎ウイルスを前インキュベーションすることによって、HepG2−hNTCP細胞の感染が阻害されることが分かった。同様の実験のセットを、PreSワクチン混合物またはプラセボで治療した患者からの血清に対して行った。プラセボで免疫付与した患者から免疫付与前に得た血清および免疫付与後に得た血清は、HepG2−hNTCP細胞の感染を阻害しなかった。一方、20μgで免疫付与した患者または40μgで免疫付与した患者から免疫付与後に得た血清は、HepG2−hNTCP細胞の感染を阻害した。
HBcAgの染色に加え、HepG2−hNTCP細胞によって分泌されたB型肝炎e抗原(HBeAg)の測定に基づいたアッセイを、HBV感染阻害を定量化するための他の代替マーカーとして、HBV感染後の7日目に用いた。PreSワクチン混合物で治療した個体からの血清によってHBV感染が50〜99%阻害されたことが分かった(図7A)。3つの注射を受けた患者からの血清(図7A)および7つの注射を受けた患者からの血清(図7A、黒色)について同様の阻害が見られたため、PreSワクチン混合物の注射の投与量および回数による有意差は見られなかった。また、PreSワクチン混合物の投与量が20μgの患者と40μgの患者とで、阻害の程度に明らかな差異はなかった(図7A)。プラセボで処置した患者からの血清では阻害は見られなかった。モノクローナル抗体Ma18/7について、90%を超える阻害が見られた(図7A)。ウサギ抗Engerix−Bおよびウサギ抗PreSワクチン混合物の抗体は、HBV感染に対して99%を超える阻害を引き起こした(図7B)。
(実施例8)
100mMのリン酸ナトリウムバッファ(pH9.6)中の、濃度が2μg/mlの、組み換えPreSおよび陰性対照としてのヒト血清アルブミン(Behring、米国)を、Nunc Maxisorbマイクロプレート(Thermo−Fisher Scientific、米国)上に4℃で一晩被覆した。洗浄バッファは、PBSと0.05%(v/v)のTween20(PBS/T)とを含むものを用いた。ブロッキング手順は、2%(w/v)のBSA、PBS/Tを用いて37℃で2時間行った。その後の、血清および試薬の希釈は全て0.5%(w/v)のBSA、PBS/Tにおいて行った。
完全フロイントアジュバント(CFA)における乳剤状の、組み換えPreSまたはPreS融合タンパク質で、完全な免疫付与をされたウサギにおける体液免疫応答を決定するために、血清を異なる希釈度で用い(4℃、一晩)、結合した総ウサギIgGを、1:2,000に希釈したロバ抗ウサギセイヨウワサビペルオキシダーゼ接合IgG抗体(GE Healthcare、英国)を用いて検出した。呈色反応は、ABTS[2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルフォン酸]によって誘導した。吸収度検出は、マイクロプレートリーダ(Molecular Devices、米国)を用いて、抗原特異的抗体のレベルに対応して、405nmおよび490nmで行った。全ての決定を3通り行った。
驚くべきことに、図8に示すように、PreSのみの場合よりも、または異なるペプチド(PreS−F1、PreS−F2、PreS−F4)に融合したPreSも含む他の融合タンパク質の場合よりも、かなり多くのPreS特異的IgGの形成を誘導できたのは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、および/または配列番号4のアミノ酸配列を有する1つ以上のペプチドと、PreS(PreS−F3)とを含む融合タンパク質のみであった。
図1は、異なる遺伝子型の、アラインメントされたPreS配列に対する、PreSペプチドの割り当てを示す。同一のアミノ酸は点によって示されている。PreS1ドメインは1〜118番目のアミノ酸残基を含む。PreS2ドメインにおける119〜173番目のアミノ酸残基(配列番号5も参照)および19〜28番目のアミノ酸残基(灰色のボックス)は、肝細胞に対するHBVの付着において、また、HBVの感染において、重要な役割を果たす。 図2は、PreSで免疫付与したウサギ(n=1、図2A)、およびPreS融合ワクチン混合物(20μg)で免疫付与したウサギ(n=2、図2B)のそれぞれのIgG応答を示す。免疫付与前の応答は左側の灰色のバーで示し、免疫付与後の応答は右側の黒色のバーで示している。光学濃度値(y軸:405nmでの光学濃度値)は、PreSおよびPreS由来の合成重複ペプチドP1〜P8(x軸)に対するIgGレベルに対応する。結果は、3通りの測定の平均値を標準偏差とともに示す。 図3A〜3Cは、PreS融合ワクチン混合物またはプラセボをワクチン接種した対象の、PreSに対するIgG応答(図3A)および合成のPreS由来重複ペプチドP1〜P8に対するIgG応答(図3B〜3C)を示す。PreSおよびペプチドP1〜P8に対するIgGレベルに対応する光学濃度値(y軸:光学濃度値、3通りの測定の平均)が示される。光学濃度値の測定は、PreS融合ワクチン混合物(n=22)またはプラセボ(n=8)で免疫付与された、事前にB型肝炎のワクチン接種をしたまたはしていない対象において行った。該測定は、免疫付与前(V5)において、また、免疫付与後の異なる時点(V8およびV15)において行った。結果は、標準偏差とともに平均値として示され、有意差(V5,V8,およびV15において、PreS融合ワクチン混合物をワクチン接種した全ての個体における有意差)も示される(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。 図3A〜3Cは、PreS融合ワクチン混合物またはプラセボをワクチン接種した対象の、PreSに対するIgG応答(図3A)および合成のPreS由来重複ペプチドP1〜P8に対するIgG応答(図3B〜3C)を示す。PreSおよびペプチドP1〜P8に対するIgGレベルに対応する光学濃度値(y軸:光学濃度値、3通りの測定の平均)が示される。光学濃度値の測定は、PreS融合ワクチン混合物(n=22)またはプラセボ(n=8)で免疫付与された、事前にB型肝炎のワクチン接種をしたまたはしていない対象において行った。該測定は、免疫付与前(V5)において、また、免疫付与後の異なる時点(V8およびV15)において行った。結果は、標準偏差とともに平均値として示され、有意差(V5,V8,およびV15において、PreS融合ワクチン混合物をワクチン接種した全ての個体における有意差)も示される(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。 図3A〜3Cは、PreS融合ワクチン混合物またはプラセボをワクチン接種した対象の、PreSに対するIgG応答(図3A)および合成のPreS由来重複ペプチドP1〜P8に対するIgG応答(図3B〜3C)を示す。PreSおよびペプチドP1〜P8に対するIgGレベルに対応する光学濃度値(y軸:光学濃度値、3通りの測定の平均)が示される。光学濃度値の測定は、PreS融合ワクチン混合物(n=22)またはプラセボ(n=8)で免疫付与された、事前にB型肝炎のワクチン接種をしたまたはしていない対象において行った。該測定は、免疫付与前(V5)において、また、免疫付与後の異なる時点(V8およびV15)において行った。結果は、標準偏差とともに平均値として示され、有意差(V5,V8,およびV15において、PreS融合ワクチン混合物をワクチン接種した全ての個体における有意差)も示される(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。 図4は、PreS融合ワクチン混合物(PreS−FVM)またはプラセボをワクチン接種した対象におけるPreS特異的抗体応答を示し、また、B型肝炎感染の固体に存在する抗体を示す。示されるのは、PreSに特異的な、IgA、IgE、IgM、IgG、およびIgGサブクラス(IgG1〜IgG4)のレベルに対応する光学濃度値(y軸:光学濃度値)である。該光学濃度値は、プラセボで免疫付与した対象(n=8)、PreS融合ワクチン混合物(20μg)で免疫付与した対象(n=10)、PreS融合ワクチン混合物(40μg)で免疫付与した対象(n=12)、およびB型肝炎感染の個体(n=19)における値である(x軸)。グラフは平均値を標準偏差とともに示す。有意差も示されている(***p<0.001)。 図5は、PreS融合ワクチン混合物(PreS−FVM)またはプラセボをワクチン接種した対象の、PreSペプチドP1〜P8に特異的なIgG応答を示し、また、B型肝炎感染の個体に存在するIgGを示す。示されるのは、PreS由来ペプチド(P1〜P8)に特異的なIgGレベルに対応する光学濃度値(y軸:光学濃度値)である。該光学濃度値は、プラセボで免疫付与した対象(n=8)、PreSワクチン混合物(20μg)で免疫付与した対象(n=10)、およびPreSワクチン混合物(40μg)で免疫付与した対象(n=12)においてV15での値であり、また、B型肝炎感染の個体(n=19)におけるものである(x軸)。結果は、標準偏差とともに、平均値として示される。 図6は、PreS特異的T細胞応答およびペプチド特異的T細胞応答を示す。図6Aは、PreS特異的PBMCの増殖(y軸:刺激指標SI)を示す。該増殖は、PreS融合ワクチン混合物で免疫付与した対象(n=19)における[3H]チミジン取り込みによって、異なる時点(x軸)で評価した。平均値および標準偏差並びに有意差が示される(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。図6B〜6Cは、PreSペプチド(P1〜P8)、PreS、または等モルのペプチド混合物(y軸)による刺激後の、PreS融合ワクチン混合物で免疫付与した対象(n=11)の血液試料における、増殖したCD4のT細胞のパーセンテージ(図6B)および増殖したCD8のT細胞のパーセンテージ(図6C)を示す(時点:M2)。結果は、標準偏差とともに、平均値として示される。 図7は、インビトロのウイルス中和アッセイにおいて、B型肝炎ウイルス感染の抗体誘導性阻害を示す。該アッセイは、インビトロで培養された肝細胞に基づく。培養したHepG2−hNTCPの、B型肝炎感染の阻害のパーセンテージ(x軸)は、ウイルス中和抗体を含む抗血清を用いて、ウイルスを前インキュベーションすることによって得られた。図7Aは、Ma18/7(陽性対照)、プラセボ処置を受けたヒト対象からの血清、およびPreS融合ワクチン混合物を用いた免疫付与後のヒト対象からの血清(n=7)によるウイルス感染の阻害を示す。対象はいずれも事前にB型肝炎のワクチン接種をしていない。図7Bは、市販のB型肝炎ワクチンEngerixまたはPreS融合ワクチン混合物で免疫付与したウサギからの血清による、ウイルス感染の阻害を示す。 図8は、免疫付与したニュージーランドホワイト(NZW)ウサギの血清におけるPreSに対する総血清中IgGの比較を示す。該免疫付与は、完全フロイントアジュバントにおける乳剤状の、組み換えPreSまたはPreS融合タンパク質(PreS−F1〜PreS−F4)によるものである。x軸は、血清の希釈を示し、y軸は、405nmで測定した光学濃度値を示す。実験は、2通りの測定を行った。

Claims (7)

  1. B型肝炎ウイルス感染の処置および/または予防における使用ための融合タンパク質であって、少なくとも1つのペプチドと融合した、少なくとも1つのB型肝炎PreSポリペプチドまたはその断片を含み、上記少なくとも1つのペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号4からなる群から選択された配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなることを特徴とする、使用のための融合タンパク質。
  2. 上記PreSポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、または配列番号13に対して少なくとも80%が同一であることを特徴とする、請求項1に記載の、使用のための融合タンパク質。
  3. 上記少なくとも1つのペプチドは、上記PreSポリペプチドのN末端および/またはC末端に融合していることを特徴とする、請求項1または2に記載の、使用のための融合タンパク質。
  4. 上記融合タンパク質は、配列番号6に対して少なくとも80%が同一であるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、使用のための融合タンパク質。
  5. 上記B型肝炎ウイルス感染は、B型肝炎ウイルス遺伝子型A、B、C、D、E、F、G、Hまたはこれらのサブタイプに起因する感染であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の、使用のための融合タンパク質。
  6. 上記融合タンパク質は、体重1kg当たり0.01μg〜体重1kg当たり5mg、好ましくは体重1kg当たり0.1μg〜体重1kg当たり2mgの量で、個体に少なくとも1回投与されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の、使用のための融合タンパク質。
  7. 上記融合タンパク質は、少なくとも1つの、アジュバントおよび/または薬学的に許容可能な賦形剤と共に投与されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の、使用のための融合タンパク質。
JP2018512315A 2015-09-05 2016-09-05 融合タンパク質 Active JP6830955B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP15183983.4 2015-09-05
EP15183983.4A EP3138579A1 (en) 2015-09-05 2015-09-05 Fusion protein for use in the treatment of a hepatitis b virus infection
PCT/EP2016/070824 WO2017037280A1 (en) 2015-09-05 2016-09-05 Fusion protein

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018531911A true JP2018531911A (ja) 2018-11-01
JP6830955B2 JP6830955B2 (ja) 2021-02-17

Family

ID=54072694

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018512315A Active JP6830955B2 (ja) 2015-09-05 2016-09-05 融合タンパク質

Country Status (15)

Country Link
US (2) US20180244726A1 (ja)
EP (2) EP3138579A1 (ja)
JP (1) JP6830955B2 (ja)
KR (1) KR20180039739A (ja)
CN (1) CN108472356B (ja)
AU (1) AU2016316811B2 (ja)
CA (1) CA2997511C (ja)
ES (1) ES2860803T3 (ja)
MX (1) MX394834B (ja)
NZ (1) NZ740555A (ja)
PH (1) PH12018500468A1 (ja)
RU (1) RU2748643C2 (ja)
UA (1) UA126059C2 (ja)
WO (1) WO2017037280A1 (ja)
ZA (1) ZA201801394B (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA3092935A1 (en) 2018-03-06 2019-09-12 Precigen, Inc. Hepatitis b vaccines and uses of the same
WO2022207645A1 (en) 2021-03-30 2022-10-06 Viravaxx AG Sars-cov-2 subunit vaccine
CN118019754A (zh) 2021-09-23 2024-05-10 维拉瓦克斯股份公司 诱导pres特异性中和抗体的hbv疫苗

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011512123A (ja) * 2008-01-25 2011-04-21 ルプレヒト−カールス−ウニヴェルジテート ハイデルベルク B型肝炎ウイルス(HBV)の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド及び肝臓に化合物を特異的に送達するためのビヒクルとしてのそれらの使用
JP2014518635A (ja) * 2011-06-09 2014-08-07 ビオマイ アクチエンゲゼルシャフト アレルギーワクチンとしてのペプチド担体融合タンパク質

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1331443C (en) 1987-05-29 1994-08-16 Charlotte A. Kensil Saponin adjuvant
US5057540A (en) 1987-05-29 1991-10-15 Cambridge Biotech Corporation Saponin adjuvant
AUPM873294A0 (en) 1994-10-12 1994-11-03 Csl Limited Saponin preparations and use thereof in iscoms
UA56132C2 (uk) 1995-04-25 2003-05-15 Смітклайн Бічем Байолоджікалс С.А. Композиція вакцини (варіанти), спосіб стабілізації qs21 відносно гідролізу (варіанти), спосіб приготування композиції вакцини
BR9811262A (pt) 1997-04-01 2000-10-17 Ribi Immunochem Research Inc Composições auxiliares imunológicas aquosas de lipìdio de monofosforila a.

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011512123A (ja) * 2008-01-25 2011-04-21 ルプレヒト−カールス−ウニヴェルジテート ハイデルベルク B型肝炎ウイルス(HBV)の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド及び肝臓に化合物を特異的に送達するためのビヒクルとしてのそれらの使用
JP2014518635A (ja) * 2011-06-09 2014-08-07 ビオマイ アクチエンゲゼルシャフト アレルギーワクチンとしてのペプチド担体融合タンパク質

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CHEN H. ET AL., PLOS ONE, vol. Vol.7 Issue 9 (2012), JPN6020032238, pages 43730, ISSN: 0004335746 *
FOCKE-TEJKL M. ET AL., J. ALLERGY CLIN. IMMUNOL., vol. Vol.135 No.5 [Epub 2014 Nov 13], JPN6020032242, pages 1207 - 1217, ISSN: 0004335744 *
NIESPODZIANA K. ET AL., J. ALLERGY CLIN. IMMUNOL., vol. Vol.127 No.6 (2011), JPN6020032244, pages 1562 - 1570, ISSN: 0004335745 *

Also Published As

Publication number Publication date
US20180244726A1 (en) 2018-08-30
ZA201801394B (en) 2020-07-29
MX394834B (es) 2025-03-24
MX2018002616A (es) 2018-11-09
RU2018112060A3 (ja) 2020-01-29
CA2997511C (en) 2023-10-17
EP3138579A1 (en) 2017-03-08
JP6830955B2 (ja) 2021-02-17
RU2018112060A (ru) 2019-10-07
EP3344292B1 (en) 2020-12-30
HK1257937A1 (en) 2019-11-01
RU2748643C2 (ru) 2021-05-28
CN108472356A (zh) 2018-08-31
EP3344292A1 (en) 2018-07-11
PH12018500468A1 (en) 2018-09-10
ES2860803T3 (es) 2021-10-05
US20220048955A1 (en) 2022-02-17
CA2997511A1 (en) 2017-03-09
NZ740555A (en) 2025-05-02
KR20180039739A (ko) 2018-04-18
AU2016316811A1 (en) 2018-03-22
UA126059C2 (uk) 2022-08-10
WO2017037280A1 (en) 2017-03-09
AU2016316811B2 (en) 2022-09-22
CN108472356B (zh) 2022-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220048955A1 (en) Fusion Protein
EP3148566B1 (en) Synthetic long peptides (slp) for therapeutic vaccination against hepatitis b virus infection
US20150150960A1 (en) Protection against dengue virus and prevention of severe dengue disease
CN110612118A (zh) 用于引起针对hbv的免疫应答的病毒样粒子
JP2024511412A (ja) コロナウイルスワクチン製剤
US20200171143A1 (en) Virus-like particles comprising zika antigen
TW202334198A (zh) 用於避免感染與治療遠程新冠肺炎之針對SARS-CoV-2 OMICRON BA.4/BA.5的疫苗組成物
KR20150032266A (ko) Crm197 담체 단백질에 커플링된 hiv gp41 펩티드를 포함하는 면역원성 화합물
JP2010535504A5 (ja)
JP2010535504A (ja) クラミジア抗原
WO2016184962A1 (en) Treatment of hiv-infected individuals
Long et al. Recombinant VLPs empower RBM peptides showing no immunogenicity in native SARS-COV-2 protein to elicit a robust neutralizing antibody response
WO2012178196A2 (en) Protection against dengue virus and prevention of severe dengue disease
US10300124B2 (en) Rodent hepadnavirus cores with reduced carrier-specific antigenicity
HK1257937B (en) Fusion protein for use in the treatment of a hepatitis b virus infection
WO2022242432A1 (en) Peptide vaccine for virus infection
US20240382584A1 (en) Hbv vaccine inducing pres-specific neutralizing antibodies
JP7295536B2 (ja) B型肝炎ワクチン
CN117062843A (zh) 用于预防感染与治疗长期新冠肺炎的针对SARS-CoV-2变体的疫苗组合物
CN117769433A (zh) 冠状病毒疫苗制剂
HK1236131B (en) Synthetic long peptides (slp) for therapeutic vaccination against hepatitis b virus infection

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6830955

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250