JP2018142664A - 窒化物半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長寿命かつ高信頼性の窒化物半導体装置を提供する。
【解決手段】窒化物半導体装置100cは、積層構造部105と、第1の方向に延びる第1の主電極110c及び第2の主電極120と、第2の主電極120に接続される引き出し配線であって、第2の主電極120上から、第1の方向における一方側に延びる引き出し配線とを備え、第1の主電極110cは、引き出し配線が延びる側の端部に第1の先端111cを有し、第2の主電極120は、引き出し配線が延びる側の端部に第2の先端121を有し、かつ、第1の方向における第2の先端121側に、第2の先端121に近づくにしたがって第2の方向における幅が減少する傾斜部123を有し、引き出し配線は、傾斜部123から第2の方向に突出する領域165を有し、傾斜部123の第2の主電極120の中央側の端は、第1の先端111cより、第1の方向において第2の先端121側に配置される。
【選択図】図1G
【解決手段】窒化物半導体装置100cは、積層構造部105と、第1の方向に延びる第1の主電極110c及び第2の主電極120と、第2の主電極120に接続される引き出し配線であって、第2の主電極120上から、第1の方向における一方側に延びる引き出し配線とを備え、第1の主電極110cは、引き出し配線が延びる側の端部に第1の先端111cを有し、第2の主電極120は、引き出し配線が延びる側の端部に第2の先端121を有し、かつ、第1の方向における第2の先端121側に、第2の先端121に近づくにしたがって第2の方向における幅が減少する傾斜部123を有し、引き出し配線は、傾斜部123から第2の方向に突出する領域165を有し、傾斜部123の第2の主電極120の中央側の端は、第1の先端111cより、第1の方向において第2の先端121側に配置される。
【選択図】図1G
Description
本開示は、窒化物半導体装置に関し、特に、インバータ、パワーコンディショナーや電源回路等に用いられるトランジスタやダイオード等の窒化物半導体装置に関する。
近年、窒化ガリウム(GaN)系の窒化物半導体を用いた高周波大電力デバイスとしての電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)開発が活発に行われている。
GaNと、同じ窒化物半導体である窒化アルミニウム(AlN)及び窒化インジウム(InN)とを用いることで、種々の混晶を作ることができる。これら窒化物半導体のヘテロ接合には、不純物ドーピングなしの状態においても自発分極又はピエゾ分極によって、高移動度で高濃度の2次元電子ガス(2−Dimensional Electron Gas、2DEG)層が接合界面に発生するという特徴がある。この2DEG層をキャリアとして用いたFETやショットキーバリアダイオード(Schottky Barrier Diode:SBD)が、高周波用及び大電力用のデバイスとして注目を集めている。
2DEG層を用いるGaN−FETは、半導体基板に対して水平方向に電流が流れる横型デバイスである。一方、現在、広く実用化されているSi半導体を用いたパワーMOS(Metal−Oxide Semiconductor)トランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)は、半導体基板に対して垂直方向に電流が流れる縦型デバイスである。横型デバイスにおいては縦型デバイスと異なり、接地電極であるソース電極と高電圧が印加されるドレイン電極とが同じ表面側に存在するため、短い距離の間に高電圧が印加される。従って、縦型デバイス以上にデバイスの耐圧設計に注意が必要となる。さらに、2DEG層を用いたGaN−FETの場合、この2DEG層は一般的に、不純物ドーピングなしのGaNチャネル層と、その上に形成される不純物ドーピングなしの厚さ10nm以上100nm以下程度のAlGaN層との界面に形成される。従って、当該GaN−FETにおいては、半導体表面から極めて浅い10nm以上100nm以下程度の領域に大電流が流れる。このため、当該GaN−FETにおいてゲート幅が大きいパワートランジスタ(GaNパワートランジスタ)は、放熱設計や均一に電流を流す設計、電界集中が起きない設計等の信頼性を確保するためのデバイス設計が重要となってくる。
当該GaN−FETにおける信頼性に関わる大きな問題の一つとして、半導体表面にトラップされた電子が、チャネルの電子数を減らしてオン抵抗を上昇させる電流コラプスという現象がある。これまでに、この電流コラプスを抑制する方法としては、ドレイン電極周辺部に正孔注入電極を配置して、トラップされる電子を消滅させる構造を形成する方法が開示されている(特許文献1)。
また、GaN−FETにおける他の信頼性に関わる問題として、静的なオフ耐圧に比べて、ゲートにオンパルスを1パルス与えた時の動的な耐圧が大きく低下することが報告されている(特許文献2)。特許文献2においては、動的な耐圧の低下の原因をドレイン電極の先端部における電流集中と考えて、ドレイン電極の先端に電流が集中しない構造が開示されている。
発明者らは、GaN−FETの長時間の実使用状態を想定した信頼性を調べるために、連続ハードスイッチング動作させる試験を行った。当該試験について図面を用いて説明する。図7は、GaN−FETの連続ハードスイッチング試験で用いた回路の構成を示す回路図である。図8は、連続ハードスイッチング試験においてGaN−FETに印加される電圧及び電流の軌跡(ローカス)を示すグラフである。図8には、GaN−FETのスイッチング動作におけるドレイン電流と、ドレイン電圧の軌跡(ローカス)が示されている。図9は、本試験に用いた従来のGaN−FETのレイアウトを示す平面図である。
図7に示すように、回路における負荷としてインダクタンスLを用いているため、スイッチング時にはGaN−FETに高電圧及び高電流が同時に印加される状態となる。このため、図8の点線で囲まれた領域に示すとおり、ターンオン時及びターンオフ時に高電圧及び高電流が同時にGaN−FETに印加される。
図9に示すように、本GaN−FETにおいては、ソース電極1011及びドレイン電極1005が交互に配列されている。ソース電極1011上及びドレイン電極1005は、それぞれ、ソース電極配線1012及びドレイン電極配線1006に接続されている。また、ソース電極1011上とドレイン電極1005との間に、ゲート電極1010が配置されている。さらに、ドレイン電極1005の周囲にp−GaN及び電極から構成される正孔注入部1007が配置されている。高電圧及び高電流が同時に印加されるスイッチング時には、正孔注入部1007から正孔が注入され、ドレイン電極1005周辺部にトラップされる電子を消滅させ、電流コラプスを抑制している。
本GaN−FETを用いて連続ハードスイッチングを実施したところ、試験開始後の20分程度でGaN−FETの破壊が発生した。破壊したGaN−FETを調べたところ、図9に示すドレイン電極配線1006がドレイン電極1005の先端からはみだした(突出した)部分の近傍に位置する電極近傍領域1030の中の、特にドレイン電極1005寄りの箇所(図9のX印部)で破壊が発生していることが確認できた。ドレイン電極1005の先端は電界集中を緩和するために電極幅(図9における横方向の幅)が連続的に細くなる略半円形状を有するが、この先端の近傍で破壊が発生していた。このため、従来のGaN−FETでは、寿命が短く、信頼性が十分ではない。
そこで、本開示は、長寿命かつ高信頼性の窒化物半導体装置を提供する。
上記課題を解決するために、本開示に係る窒化物半導体装置の一態様は、基板と、前記基板の上方に配置される第1の窒化物半導体層と、前記第1の窒化物半導体層の上方に積層され、かつ、前記第1の窒化物半導体層よりバンドギャップが大きい第2の窒化物半導体層とを備え、前記第1の窒化物半導体層と前記第2の窒化物半導体層との界面に誘起される2次元電子ガスが存在する活性領域を有する積層構造部と、前記活性領域の上方に配置され、前記基板に対する平面視で第1の方向に延びる第1の主電極と、前記基板に対する平面視で前記第1の方向に垂直な第2の方向において前記第1の主電極から離間した前記活性領域の上方の位置に配置され、前記第1の方向に延びる第2の主電極と、前記第2の主電極の上方に配置され、前記第2の主電極に電気的に接続される引き出し配線であって、前記第2の主電極上から、前記第1の方向における一方側に延びる引き出し配線とを備え、前記第1の主電極は、前記第1の方向における両端部のうち、前記引き出し配線が延びる側の端部に第1の先端を有し、前記第2の主電極は、前記第1の方向における両端部のうち、前記引き出し配線が延びる側の端部に第2の先端を有し、かつ、前記第1の方向における前記第2の先端側に、前記第2の先端に近づくにしたがって前記第2の方向における幅が減少する傾斜部を有し、前記引き出し配線は、前記基板に対する平面視で前記傾斜部から第2の方向に突出し、かつ、下方が前記活性領域に含まれる領域を有し、前記傾斜部の前記第1の方向における前記第2の主電極の中央側の端は、前記第1の先端より、前記第1の方向において前記第2の先端側に配置される。
本開示の一態様によれば、長寿命かつ高信頼性の窒化物半導体装置を提供することが可能となる。
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、GaN−FETの連続ハードスイッチング試験において、ドレイン電極の先端付近で発生する破壊に関して鋭意検討を行った。まず、連続ハードスイッチング試験を行っているGaN−FETの温度及びオン抵抗を試験中に観測した結果、破壊直前での温度及びオン抵抗の急激な上昇は観測されなかった。つまり、GaN−FETにおいて特許文献1に示されているような電流コラプスが発生しているわけではないことがわかった。さらに、破壊の発生する瞬間はターンオン、又はターンオフの瞬間のスイッチング時であり、GaN−FETがオンしている期間又はオフしている期間では無いことがわかった。つまり、破壊の発生は、図8の点線で囲まれた領域に示される高電圧及び高電流が同時にGaN−FETに印加される時に発生する現象であることがわかった。
本発明者らは、GaN−FETの連続ハードスイッチング試験において、ドレイン電極の先端付近で発生する破壊に関して鋭意検討を行った。まず、連続ハードスイッチング試験を行っているGaN−FETの温度及びオン抵抗を試験中に観測した結果、破壊直前での温度及びオン抵抗の急激な上昇は観測されなかった。つまり、GaN−FETにおいて特許文献1に示されているような電流コラプスが発生しているわけではないことがわかった。さらに、破壊の発生する瞬間はターンオン、又はターンオフの瞬間のスイッチング時であり、GaN−FETがオンしている期間又はオフしている期間では無いことがわかった。つまり、破壊の発生は、図8の点線で囲まれた領域に示される高電圧及び高電流が同時にGaN−FETに印加される時に発生する現象であることがわかった。
これらのことから、電子がソース電極からドレイン電極に向かって流れる際に、その途中で上部のドレイン電極配線から高電圧が印加されると、流れる電子の一部が、高電圧が印加されたドレイン電極配線に引き寄せられ、本来流れ込むドレイン電極ではなく、半導体表面に存在するトラップ準位に飛び込む現象が発生していると考察した。
このメカニズムによりドレイン電極の先端部において破壊が発生する現象を図9と図10を用いて説明する。図10は、図9に示す従来のGaN−FETの10−10断面を示す断面図である。
図10に示すように、従来のGaN−FETでは、GaN層1004と、AlGaN層1003とを含む積層構造上に、ドレイン電極1005及び正孔注入部1007が形成されている。ソース電極1011(図9参照)からドレイン電極1005に流れる電子流1060は、AlGaN層1003及びGaN層1004の接合界面に存在する。
また、ドレイン電極1005上には、ドレイン電極配線1006が形成されている。ここで、ドレイン電極配線1006は、ドレイン電極1005から正孔注入部1007側に突出して、電極近傍領域1030を覆っている。
図9に示すように、ソース電極1011からドレイン電極1005に向かう電子流1060の密度は、ソース電極1011とドレイン電極1005が対向する対向領域ではほぼ一様である。それに対し、ドレイン電極1005よりソース電極1011が長い場合は、ドレイン電極1005の先端において電子流1060が収束するため、ドレイン電極1005の先端近傍で電子流1060の密度が上記対向領域よりも高くなる。さらに、ドレイン電極1005の電極近傍領域1030であって、ドレイン電極配線1006の直下にあるAlGaN層1003の表面は、ドレイン電極配線1006の電位の影響を直接に受ける。その結果、図8の点線で囲まれた領域に示される高電圧及び高電流が同時に印加される時に、多くの電子1061が高電位となったAlGaN層1003の表面に引き寄せられて、図10に示すようにトラップされる。
つまり、連続ハードスイッチング動作時にドレイン電極1005の電極近傍領域1030でドレイン電極配線1006の直下のAlGaN層1003の表面においてトラップされる電子1061が徐々に蓄積されていく。このトラップされた電子1061によって形成されるAlGaN層1003の表面の電位と、ドレイン電極1005、ドレイン電極配線1006、又はドレイン電極1005の近傍の2DEG層の電位とが、スイッチング時に乖離して、AlGaN層1003又はAlGaN層1003上に形成される絶縁膜(図示せず)において絶縁破壊が発生していると推定できる。このようなドレイン電極1005の先端近傍で、かつ、ドレイン電極配線1006の直下における電子トラップによる破壊の対策は、特許文献1に開示されているような正孔注入部1007を配置するだけでは不十分であった。
また、特許文献2に開示されているようなドレイン電極の先端における電流集中を抑制するレイアウト設計だけでも、電子トラップによる破壊の対策としては不十分である。すなわち、ソース電極、ドレイン電極、ドレイン電極配線、及び、2DEGが存在する活性領域も含めたGaN−FETのレイアウト設計が重要である。
以上のような知見及び考察に基づき、フィンガー状(長尺状)のドレイン電極先端においてトラップされる電子を低減することで、連続ハードスイッチング動作の寿命を向上させる本開示に係る窒化物半導体装置に想到した。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、「上方」(又は「上」)及び「下方」(又は「下」)という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されている場合にも適用される。
(実施の形態1)
以下に、実施の形態1に係る窒化物半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
以下に、実施の形態1に係る窒化物半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
図1Aは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置100のレイアウトを示す平面図である。図1Bは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置100の図1A中の1B−1B断面を示す断面図である。図1Cは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置100の図1A中の1C−1C断面を示す断面図である。
以下、窒化物半導体装置100の構成を、図1A〜図1Cを用いて説明する。
窒化物半導体装置100は、窒化物半導体を用いた窒化物半導体装置であり、図1Cに示すように基板101と、バッファ層102と、積層構造部105と、第1の主電極110と、第2の主電極120と、制御電極130と、絶縁膜140と、第1の引き出し配線150と、第2の引き出し配線160とを備える。また、図1Aに示すように、窒化物半導体装置100は、さらに、第1の集約配線170と、第2の集約配線180とを備える。
なお、本実施の形態及び以下の各実施の形態に係る窒化物半導体装置について、各図においては、一対の第1の主電極110及び第2の主電極120のみが示されているが、各実施の形態に係る窒化物半導体装置は、いずれも複数の第1の主電極110及び複数の第2の主電極120が交互に配置された繰り返し構造を有する。
基板101は、窒化物半導体装置100の基体であり、基板101の上方に窒化物半導体装置100の他の構成要素が形成される。基板101を形成する材料は特に限定されない。本実施の形態では、基板101を形成する材料はシリコンである。
バッファ層102は、基板101と第1の窒化物半導体層103との間に配置される層であり、基板101と第1の窒化物半導体層103との間の格子不整合に伴う第1の窒化物半導体層103の格子歪みを低減する。バッファ層102の構成は、第1の窒化物半導体層103の格子歪みを低減できれば、特に限定されない。本実施の形態では、バッファ層102は、AlN層及びAlGaN層からなる多層構造を有する。バッファ層102は、超格子構造を有していてもよい。バッファ層102は、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によって形成される。
積層構造部105は、第1の窒化物半導体層103と、第1の窒化物半導体層103の上方に積層され、かつ、第1の窒化物半導体層103よりバンドギャップが大きい第2の窒化物半導体層104とを備える。
第1の窒化物半導体層103は、基板101の上方に配置される窒化物半導体層である。本実施の形態では、第1の窒化物半導体層103は、バッファ層102を介して基板101の上方に積層される。第1の窒化物半導体層103の構成は、第2の窒化物半導体層104よりバンドギャップが小さい窒化物半導体層であれば、特に限定されない。本実施の形態では、第1の窒化物半導体層103は、厚さが2μm程度のGaN層からなる。
第2の窒化物半導体層104は、第1の窒化物半導体層103の上方に配置され、かつ、第1の窒化物半導体層103よりバンドギャップが大きい窒化物半導体層である。第2の窒化物半導体層104の構成は、第1の窒化物半導体層103よりバンドギャップが大きい窒化物半導体層であれば、特に限定されない。本実施の形態では、第2の窒化物半導体層104は、厚さが50nm程度のAlGaN層からなる。
第1の窒化物半導体層103及び第2の窒化物半導体層104は、例えば、MOCVDによって形成される。
以上のように、積層構造部105においては、第1の窒化物半導体層103及び第2の窒化物半導体層104が順次形成された、つまり、AlGaN層/GaN層で構成された積層構造が形成されている。第1の窒化物半導体層103における第2の窒化物半導体層104寄りの界面には、GaN層とAlGaN層とで発生する分極効果及びバンドギャップ差によって2次元電子ガス(2DEG)106が形成されている。本実施の形態では、図1Aに示すように、積層構造部105は、第1の窒化物半導体層103と第2の窒化物半導体層104との界面に誘起される2次元電子ガス106が存在する活性領域107と、2次元電子ガス106が存在しない素子分離領域108とを有する。素子分離領域108は、例えばHe、B、Ar等のイオン注入で2次元電子ガスを高抵抗化することによって形成される。また、素子分離領域108は、AlGaN層からなる第2の窒化物半導体層104をエッチング除去することにより形成されてもよい。
第1の主電極110は、図1Aに示すように、活性領域107の上方に配置され、基板101に対する平面視で第1の方向に延在する電極である。第1の主電極110は、例えばTi、Al等を含む積層体で構成されたフィンガー状の電極である。
第1の主電極110は、第1の方向における両端部のうち、第2の引き出し配線160が延びる側(つまり、第1の引き出し配線150が延びる側の反対側)の端部に第1の先端111を有し、第1の引き出し配線150が延びる側の端部に第1の反対側先端112を有する。
第2の主電極120は、オフ状態で第1の主電極110よりも高電圧が印加され、例えばTi、Al等を含む積層体で構成されたフィンガー状の電極である。第2の主電極120は、図1Aに示すように、基板101に対する平面視で第1の方向に垂直な第2の方向において第1の主電極110から離間した活性領域107の上方の位置に配置され、第1の方向に延在する。
第2の主電極120は、第1の方向における両端部のうち、第2の引き出し配線160が延びる側の端部に第2の先端121を有する。さらに、第2の主電極120は、第1の方向における第2の先端121側に、第2の先端121に近づくにしたがって第2の方向における幅が減少する傾斜部123を有する。また、第2の主電極120は、第1の方向における両端部のうち、第2の引き出し配線160が延びる側の反対側の端部に第2の反対側先端122を有する。さらに、第2の主電極120は、第1の方向における第2の反対側先端122側に、第2の反対側先端122に近づくにしたがって第2の方向における幅が減少する傾斜部124を有する。傾斜部123及び124について、言い換えると、第2の主電極120は、第1の方向における両端部において、基板101に対する平面視でその電極幅(第2の方向における幅)が連続的に細くなる形状を有する傾斜部123及び124を有する。また、第2の主電極120は、第1の方向における両端部の間に第2の方向における幅が等しい等幅部126を有する。
第1の主電極110及び第2の主電極120は、例えば、スパッタ法などによって成膜され、フォトリソグラフィ及びドライエッチングを用いてパターニングされる。
絶縁膜140は、積層構造部105の上方に形成される電気絶縁性の膜である。絶縁膜140は、第1の主電極110及び第2の主電極120よりも厚く、基板101に対する平面視で第1の主電極110の周縁よりも内側の概全面に開口を有している。この開口を介して、第1の主電極110及び絶縁膜140上に形成された第1の引き出し配線150が電気的に接続される。同様に、絶縁膜140は基板101に対する平面視で第2の主電極120の周縁よりも内側の概全面に開口を有している。この開口を介して、第2の主電極120と、絶縁膜140上に形成された第2の引き出し配線160とが電気的に接続される。絶縁膜140を形成する材料は、電気絶縁性であれば特に限定されないが、例えば、SiNである。絶縁膜140は、例えば、化学気相堆積法(Chamical Vapor Deposition:CVD)によって成膜される。絶縁膜140の各開口は、例えば、フォトリソグラフィ及びドライエッチングを用いてパターニングされる。
第1の引き出し配線150は、第1の主電極110の上方に配置され、第1の主電極110に電気的に接続される引き出し配線であって、第1の主電極110上から、第1の方向における一方側(図1Aの下側)に延びる。第1の引き出し配線150は、活性領域107から一方(図1Aの下側)の素子分離領域108まで延在している。第1の引き出し配線150は、素子分離領域108に形成されている第1の集約配線170と電気的に接続されている。
第2の引き出し配線160は、第2の主電極120の上方に配置され、第2の主電極120に電気的に接続される引き出し配線であって、第2の主電極120上から、第1の方向における一方側(図1Aの上側)に延びる。第2の引き出し配線160は活性領域107から一方(図1Aの上側)の素子分離領域108まで延在している。第2の引き出し配線160は、素子分離領域108に形成されている第2の集約配線180と電気的に接続されている。
第1の引き出し配線150及び第2の引き出し配線160を形成する材料は、導電性部材であれば特に限定されない。第1の引き出し配線150及び第2の引き出し配線160は、例えば、Cuを用いて、スパッタ法などによって成膜される。また、第1の引き出し配線150及び第2の引き出し配線160は、例えば、フォトリソグラフィ及びドライエッチングを用いてパターニングされる。あるいは、第1の引き出し配線150及び第2の引き出し配線160は、フォトリソグラフィと電解メッキを用いてAuから構成されても良い。
第1の集約配線170及び第2の集約配線180は、それぞれ、複数の第1の引き出し配線150及び複数の第2の引き出し配線160と電気的に接続される配線であり、素子分離領域108において、第2の方向に延在する。第1の集約配線170及び第2の集約配線180は、それぞれ、複数の第1の引き出し配線150及び複数の第2の引き出し配線160を介して、複数の第1の主電極110及び複数の第2の主電極120に電圧を印加する。
第1の集約配線170及び第2の集約配線180を形成する材料は、導電性部材であれば特に限定されない。第1の集約配線170及び第2の集約配線180は、例えば、Cuを用いて、スパッタ法などによって成膜される。また、第1の集約配線170及び第2の集約配線180は、例えば、フォトリソグラフィ及びドライエッチングを用いてパターニングされる。なお、第1の集約配線170及び第2の集約配線180は、第1の引き出し配線150及び第2の引き出し配線160と同時に形成されても良い。
制御電極130は、第1の主電極110と第2の主電極120との間に流れる電流量を制御する電極である。制御電極130は、活性領域107の上方であって、第1の主電極110と第2の主電極120との間に配置される。本実施の形態では、図1A及び図1Cに示すように、制御電極130は、第1の主電極110と第2の主電極120との間であって、第1の主電極110と第2の主電極120との中間よりも第1の主電極110側の位置において第1の方向に延在する。図1Aに示すように、制御電極130は、基板101の上面視において、活性領域107を第1の方向へ横断するように形成されている。制御電極130は、例えばNi、Pd等を含む積層体で構成される。制御電極130は、例えば、スパッタ法などによって成膜され、フォトリソグラフィ及びドライエッチングを用いてパターニングされる。また、制御電極130は、電子ビーム蒸着とリフトオフ法により形成されても良い。
なお、本実施の形態に係る制御電極の構成は、図1Aに示す構成に限定されず、他の構成であってもよい。図1Dは、本実施の形態に係る制御電極130と異なる構成を有する制御電極130aを備える窒化物半導体装置100aのレイアウトを示す平面図である。図1Dに示すように制御電極130aは、第1の主電極110を囲むように形成されてもよい。
また、本実施の形態では制御電極130または130aにバイアス電圧を与えないときも導電するノーマリオン型トランジスタを想定しているが、窒化物半導体装置100は、制御電極130または130aにバイアス電圧を与えないときには導電しないノーマリオフ型トランジスタでもよい。
なお、制御電極130または130aはp型GaN層とその上のNi、Pd等の金属層とを含む積層体で構成される電極であってもよい。p型GaNを用いれば、2DEGを空乏化する効果が大きいため、ノーマリオフ型トランジスタを得やすい。
第1の主電極110は、上述したように、第1の方向における第1の主電極110の両端部のうち、第2の引き出し配線160が延びる側の端部に第1の先端111を有する。第2の主電極120は、第1の方向における第2の主電極120の両端部のうち、第2の引き出し配線160が延びる側の端部に第2の先端121を有する。このとき、本実施の形態では、第1の先端111が第2の先端121より第1の方向において突出していない。
以上のような構成を有する本実施の形態に係る窒化物半導体装置100の効果について、以下に図面を用いて説明する。図1Eは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置100及び比較例に係る窒化物半導体装置の連続ハードスイッチング動作寿命を示すグラフである。図1Eに示す連続ハードスイッチング試験において、比較例として用いた窒化物半導体装置は、第1の先端111が、第2の先端121より第1の方向に突出する点以外は、窒化物半導体装置100と同じ構成を有する。
比較例と本実施の形態とで連続ハードスイッチング試験結果を比較したところ、図1Eに示すように、比較例では寿命が20分(0.33時間)であったのに対して、本実施の形態では500時間となった。つまり、本実施の形態に係る窒化物半導体装置100において、第1の先端111が第2の先端121より第1の方向に突出しない構成を適用することで寿命が約1500倍向上することを確認できた。本連続ハードスイッチング試験は、電流値及び電圧値を通常の使用条件よりも高くする加速条件で行っている。この試験で得られた500時間の寿命は通常使用条件においては100年以上の寿命に相当し、一般的な寿命目標値を達成している。
そして、比較例の窒化物半導体装置の破壊箇所は第2の主電極120の先端部であったのに対し、本実施の形態に係る窒化物半導体装置100の破壊箇所は、第2の主電極120の等幅部126のランダムな位置であった。つまり、本実施の形態に係る窒化物半導体装置100の構成を適用することにより、図9及び図10を用いて上述したような第2の主電極120の先端部における電子トラップによる破壊の発生が抑制された。この結果は、本実施の形態に係る窒化物半導体装置100において、第2の主電極120の先端部における電子トラップを抑制することにより、連続ハードスイッチングの寿命が大幅に改善されることを実証している。
図1Aに示すように、第1の方向における第1の主電極110において、第1の先端111が第2の先端121より第1の方向において突出しない本実施の形態に係る窒化物半導体装置100では、第1の主電極110を始点とする電子流は第2の方向に対向する第2の主電極120へ、等幅部126においては一様の電子流密度で、傾斜部123においては等幅部126の電子流密度と同等以下の密度で流れる。その結果、図8の点線で囲まれた領域に示される高電圧及び高電流が同時に印加される時に、第2の引き出し配線160の直下において、等幅部126の電子流密度より高い密度の電子流が流れることが無くなり、第2の窒化物半導体層104における電子トラップを抑制することができていると考えられる。その結果、第2の先端121近傍で破壊が発生しなくなったと考えられる。
本実施の形態に係る窒化物半導体装置100の各主電極の構成は、図1A〜図1Cに示す構成に限定されない。以下、本実施の形態に係る各主電極の他の構成例について図面を用いて説明する。
図1Fは、本実施の形態に係る第1の主電極の他の構成例を示す平面図である。図1Gは、本実施の形態に係る第1の主電極のさらに他の構成例を示す平面図である。
図1Fに示す第1の主電極110bを備える窒化物半導体装置100bのように、第2の先端121は第1の先端111bよりも第1の方向において突出し、かつ、第2の反対側先端122は第1の反対側先端112bよりも第1の方向において突出するように形成してもよい。この場合、第2の主電極120の傾斜部123から第2の方向に延びている第2の引き出し配線160の領域165の直下において流れる電子流が、図1Aで示すような、第1の先端111が第2の先端121より第1の方向において突出しないように形成した場合よりも小さくなる。このため、窒化物半導体装置100bでは、窒化物半導体装置100より電子トラップを抑制することができる。
また、図1Gに示す第1の主電極110cを備える窒化物半導体装置100cのように、第1の主電極110cの第1の先端111cは第2の先端121側の傾斜部123の第1の方向における第2の主電極120の中央側の端より第1の方向において突出せず、かつ、第1の反対側先端112cは第2の反対側先端122側の傾斜部124の第1の方向における第2の主電極120の中央側の端より第1の方向において突出しないように形成してもよい。さらに、傾斜部123の第1の方向における第2の主電極120の中央側の端は、第1の先端111cより、第1の方向において第2の先端121側に配置されてもよい。また、傾斜部124の第1の方向における第2の主電極120の中央側の端は、第1の反対側先端112cより、第1の方向において第2の反対側先端122側に配置されてもよい。この場合、第2の主電極120の傾斜部から第2の方向に延びている第2の引き出し配線160の領域165に流れる電子流が、図1Fで示すような、第2の先端121は第1の先端111bよりも突出し、かつ第2の反対側先端122は第1の反対側先端112bよりも突出するように形成した場合よりも小さくなる。このため、窒化物半導体装置100cでは、窒化物半導体装置100bより電子トラップを抑制することができる。
なお、第2の主電極120の等幅部126のうち第1の先端111cより第1の方向において突出する部分の上方に位置する第2の引き出し配線160の部分が等幅部126の第1の主電極110cに対向する端部より第2の方向に突出していないことが好ましい。同様に、第2の主電極120の等幅部126のうち第1の反対側先端112cより第1の方向において突出する部分の上方に位置する第2の引き出し配線160の部分が等幅部126の第1の主電極110cに対向する端部より第2の方向に突出していないことが好ましい。これらの場合は、2DEG直上の領域のうち、第2の主電極120の等幅部126よりも第1の主電極110c側の部分において、高電圧による電子トラップを回避できる。
また、第2の引き出し配線160のうち、第1の方向における位置が傾斜部123及び124と一致する部分は、第2の方向において、等幅部126よりも第1の主電極110側に突出しないように形成してもよい。この場合は、2DEG直上の領域のうち、第1の方向における位置が傾斜部123及び124と一致し、かつ、第2の方向における位置が等幅部126よりも第1の主電極110c側の部分において高電圧による電子トラップを回避できる。
また、第2の引き出し配線160のうち、活性領域107上に位置する部分は、第2の先端121より第2の集約電極180側の部分が第2の方向において等幅部126よりも第1の主電極110側に突出せずに形成されていてもよい。この場合は、第2の引き出し配線160のうち、第1の方向において第2の先端121より第2の集約電極180側であって、第2の方向における位置が等幅部126と等しい部分において、電子トラップを回避できる。また、第2の引き出し配線160のうち、活性領域107上に位置する部分は、第2の反対側先端122より第1の方向に突出せずに形成されていてもよい。
(実施の形態1の変形例)
以下に、実施の形態1の変形例に係る窒化物半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
以下に、実施の形態1の変形例に係る窒化物半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
図1Hは、本変形例に係る窒化物半導体装置100dのレイアウトを示す平面図である。図1Iは、本変形例に係る窒化物半導体装置100dの図1H中の1I−1I断面を示す断面図である。図1Jは、本変形例に係る窒化物半導体装置100dの図1H中の1J−1J断面を示す断面図である。
本変形例に係る窒化物半導体装置100dにおける絶縁膜140d及び第2の引き出し配線160d以外の構成は、図1Gを用いて上述した窒化物半導体装置100cと同様の構成であるため、説明を省略する。また、本変形例では、絶縁膜140dの厚さを、第2の引き出し配線160dの電位が第2の窒化物半導体層104の表面で電子トラップを発生させないように厚くする必要ある。発明者らの検討結果では、絶縁膜140dがSiN(比誘電率7.5)の場合は厚さが2μm以上必要であった。必要な絶縁膜の厚さは絶縁膜の比誘電率に比例すると考えられるため、例えば絶縁膜140dがSiO2(比誘電率3.9)の場合は厚さが1μm以上、ポリイミド(比誘電率3.5)の場合は厚さが0.9μm以上必要である。このような場合、絶縁膜140dが十分な厚さを持っているため、2DEG直上の高電圧の影響を無視できる。
図1Hに示すように、第2の引き出し配線160dのうち、第1の方向において等幅部126より突出せず、かつ、第1の主電極110より突出する領域166a及び166bの少なくとも一部は、第2の方向において第1の主電極110側に突出してもよい。言い換えると、第2の引き出し配線160dのうち、等幅部126のうち第1の先端111cより第1の方向において突出する部分の上方に位置する部分(領域166a)が等幅部126より第2の方向に突出していてもよい。また、第2の引き出し配線160dのうち、等幅部126のうち第1の反対側先端112cより第1の方向において突出する部分の上方に位置する部分(領域166b)が等幅部126より第2の方向に突出していてもよい。この場合は、第2の引き出し配線160dがドレインフィールドプレートとして機能する。つまり、第2の主電極120と同電位である第2の引き出し配線160dが第2の方向において第1の主電極110側に突出することによって、第1の主電極110側から第2の主電極120側に向かう電気力線の一部が第2の引き出し配線160dに向かうため、第2の主電極120の第1の主電極110側の端部における電界集中を緩和させることができる。これにより、第2の主電極120端部の破壊を抑制することができる。
なお、図1Hに示すように、第2の引き出し配線160dのうち、第1の方向における位置が傾斜部123及び124と一致する領域167a及び167bが、第2の方向において等幅部126よりも第1の主電極110側に突出していてもよい。この場合は、第2の引き出し配線160dが突出した部分がドレインフィールドプレートとして機能するため、第2の主電極120の第1の主電極110側の端部における電界緩和効果を得ることができる。これにより、第2の主電極120の端部の破壊を抑制することができる。
また、図1Hに示すように、実施の形態1において、第2の引き出し配線160dのうち、活性領域107上に位置する部分において、第2の主電極120から遠ざかる向き(図1Hの上向き)に第2の先端121から延びる領域168aが第2の方向において等幅部126よりも第1の主電極110側に突出するように形成されてもよい。また、図1H及び図1Iに示すように、第2の引き出し配線160dのうち、活性領域107上に位置する部分において、第2の主電極120から遠ざかる向き(図1Hの下向き)に第2の反対側先端122から延びる領域168bが形成されていてもよく、領域168bが第2の方向において、等幅部126よりも第1の主電極110側に突出するように形成されていてもよい。このような構造をとることにより、第2の引き出し配線160dが第2の主電極120より突出した各領域が、ドレインフィールドプレートとして機能するため、第2の主電極120の第1の主電極110側の端部における電界緩和効果を得ることができる。これにより、第2の主電極120の端部の破壊を防ぐことができる。
(実施の形態2)
以下に、実施の形態2に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、積層構造部105の表面にトラップされた電子を低減するための正孔注入部を備える点において、実施の形態1に係る窒化物半導体装置100と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について、実施の形態1に係る窒化物半導体装置100との相違点を中心に図面を参照しながら説明する。
以下に、実施の形態2に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、積層構造部105の表面にトラップされた電子を低減するための正孔注入部を備える点において、実施の形態1に係る窒化物半導体装置100と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について、実施の形態1に係る窒化物半導体装置100との相違点を中心に図面を参照しながら説明する。
図2Aは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置200のレイアウトを示す平面図である。また、図2Bは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置200の図2A中の2B−2B断面を示す断面図である。図2Cは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置200の図2A中の2C−2C断面を示す断面図である。
本実施の形態に係る窒化物半導体装置200は、図2A〜図2Cに示すように、窒化物半導体装置100と同様に、基板101と、バッファ層102と、積層構造部105と、第1の主電極110と、第2の主電極120と、制御電極130と、絶縁膜140と、第1の引き出し配線150と、第2の引き出し配線162と、第1の集約配線170と、第2の集約配線180とを備える。窒化物半導体装置200は、図2A及び図2Bに示すように、さらに、活性領域107の上方であって、第2の主電極120の近傍に、積層構造部105に正孔を注入する正孔注入部201及び211を備える。
正孔注入部201及び211は、第1の主電極110と第2の主電極120との間の、第2の主電極120の近傍に配置されている。ここで、第2の主電極120の近傍とは、後述するように、第2の主電極120から正孔注入部201及び211の第2の主電極120に近い端縁までの距離が1μm以内であることを意味する。正孔注入部201及び211は、図2Bに示すように、それぞれ第2の窒化物半導体層104の上の所定の位置に形成されたp型の第3の窒化物半導体層202及び212と、その上に形成された正孔注入電極203及び213の両方で構成される。なお、正孔注入部201及び211は、それぞれ第2の窒化物半導体層104の上の所定の位置に形成されたp型の第3の窒化物半導体層202及び212のみで構成されてもよい。
第3の窒化物半導体層202及び212は、例えばMgがドープされたGaN層である。Mgの濃度は1×1019cm−3程度であり、キャリア濃度は1×1018cm−3程度である。第3の窒化物半導体層202及び212は、例えば、MOCVDによって成膜され、フォトリソグラフィ及びドライエッチングを用いてパターニングされる。
正孔注入電極203及び213は、例えばNi、Pd、Ti、Al等を含む積層体からなり、それぞれ第3の窒化物半導体層202及び212とオーミック接触している。正孔注入電極203及び213は、絶縁膜140よりも下層に形成されている。絶縁膜140は形成された正孔注入電極203及び213上の、少なくとも一部に開口(図示せず)を有しており、この開口を介して各正孔注入電極203及び213の上面(図2Bの上側面)の少なくとも一部が第2の引き出し配線160と接続されている。正孔注入電極203及び213は、例えば、スパッタ法などによって成膜され、フォトリソグラフィ及びドライエッチングを用いてパターニングされる。
第2の反対側先端122側にある正孔注入部211は、第2の引き出し配線162の第1の方向における端部よりも第2の主電極120側に位置するように形成されている。
以上のような構成を有する窒化物半導体装置200において、第2の引き出し配線162、すなわち、第2の主電極120及び正孔注入部201及び211に高電圧が印加されると、正孔注入部201及び211から正孔が積層構造部105に注入され、積層構造部105の表面準位等にトラップされた電子が、正孔と再結合することで消滅する。このように、正孔注入部201及び211を形成することで、トラップされた電子を低減させることが可能となる。その結果、実施の形態1よりもさらに連続ハードスイッチング動作の寿命を向上させることが可能となる。
上述した正孔注入部201及び211と第2の引き出し配線162との位置関係について、図面を用いて説明する。
図2Dは、本実施の形態に係る正孔注入部201及び211と第2の引き出し配線162との適正な位置関係を調べるために用いた窒化物半導体装置200aの第1の方向に垂直な断面図を示す。図2DにおけるXY間距離は、第2の引き出し配線162aの第1の引き出し配線150側の端縁と正孔注入部201(第3の窒化物半導体層202)の第2の主電極120から遠い側の端縁との第2の方向における距離を表している。図2Eは、XY間距離と電流コラプス現象が起こる電圧との関係を示すグラフである。なお、図2Eにおいて、第3の窒化物半導体層202の第2の主電極120から遠い側の端縁が、第2の引き出し配線162aの端縁より、第2の主電極120から遠い場合におけるXY間距離は、負の値で示されている。
図2Eからわかるように、XY間距離が1μm以下である場合において900V以上のコラプス電圧が得られている。それに対し、XY間距離が3μmを超えると電流コラプス現象が起こる電圧が急激に低下する。この結果より、正孔注入部201及び211によって、トラップされた電子を低減するには、第2の引き出し配線162の端縁と正孔注入部201及び211の第2の主電極120から遠い側の端縁との距離を1μm以内とする必要があることが実証されている。この結果から、正孔は正孔注入部201及び211から水平方向(第1の方向及び第2の方向)に約1μm程度まで拡散していると推定できる。
この結果を本実施の形態に適用すると、正孔注入部201及び211は、それぞれ第2の主電極120に近い側の端縁が傾斜部123及び124から1μm以内となるように形成されていることが好ましい。
(実施の形態3)
以下に、実施の形態3に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、正孔注入部が第2の主電極120を囲む点において実施の形態2に係る窒化物半導体装置200と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について、実施の形態に2に係る窒化物半導体装置200との相違点を中心に図面を参照しながら説明する。
以下に、実施の形態3に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、正孔注入部が第2の主電極120を囲む点において実施の形態2に係る窒化物半導体装置200と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について、実施の形態に2に係る窒化物半導体装置200との相違点を中心に図面を参照しながら説明する。
図3Aは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置300のレイアウトを示す平面図である。図3Bは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置300の図3A中の3B−3B断面を示す断面図である。図3Cは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置300の図3A中の3C−3C断面を示す断面図である。
本実施の形態に係る窒化物半導体装置300は、実施の形態2に係る窒化物半導体装置200と同様に、正孔注入部301を備える。
正孔注入部301は、第1の主電極110と第2の主電極120との間の、第2の主電極120近傍に配置されている。正孔注入部301は、第2の窒化物半導体層104の上の所定の位置に形成されたp型の第3の窒化物半導体層302と、その上に形成された正孔注入電極303との両方で構成される。なお、正孔注入部301は、第2の窒化物半導体層104の上の所定の位置に形成されたp型の第3の窒化物半導体層302のみで構成されてもよい。第3の窒化物半導体層302及び正孔注入電極303は、それぞれ実施の形態2における第3の窒化物半導体層202及び正孔注入電極203と同様の構成とする。
本実施の形態では、図3A〜図3Cに示すように、正孔注入部301は、第2の主電極120を囲む。より詳しくは、図3Aに示すように、基板101の平面視において、正孔注入部301は、第2の主電極120の近傍において、第2の主電極120の全体を囲む。また、第2の引き出し配線163と、正孔注入部301との接続構成は、特に限定されないが、図3B及び図3Cに示すように本実施の形態では、第2の引き出し配線163は、正孔注入部301と一箇所のみで接続される。以上のような構成を有する窒化物半導体装置300においては、正孔注入部301と積層構造部105との接触面積が大きくなり、かつ、正孔注入を第2の主電極120全体に亘って行えるため、実施の形態2に係る窒化物半導体装置200に比べ、トラップされた電子をより一層低減できる。
さらに、前述したように、コラプス電圧を低下させることなく、第2の引き出し配線163の第2の方向の幅を、正孔注入部301の第2の主電極120から遠い側の端縁より1μmまで広げることができる。このため、第2の引き出し配線163の抵抗を低くすることができるという効果もある。
(実施の形態4)
以下に、実施の形態4に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、正孔注入部の構成において、実施の形態3に係る窒化物半導体装置300と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について、実施の形態3に係る窒化物半導体装置300との相違点を中心に図面を参照しながら説明する。
以下に、実施の形態4に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、正孔注入部の構成において、実施の形態3に係る窒化物半導体装置300と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について、実施の形態3に係る窒化物半導体装置300との相違点を中心に図面を参照しながら説明する。
図4Aは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置400のレイアウトを示す平面図である。図4Bは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置400の図4A中の4B−4B断面を示す断面図である。図4Cは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置400の図4A中の4C−4C断面を示す断面図である。
本実施の形態に係る窒化物半導体装置400は、実施の形態3に係る窒化物半導体装置300と同様に第2の主電極120を囲む正孔注入部401を備える。
正孔注入部401は、第1の主電極110と第2の主電極120との間の、第2の主電極120近傍に配置されている。正孔注入部401は、第2の窒化物半導体層104の上の所定の位置に形成されたp型の第3の窒化物半導体層402とその上に形成された正孔注入電極403の両方で構成される。なお、正孔注入部401は、第2の窒化物半導体層104の上の所定の位置に形成されたp型の第3の窒化物半導体層402のみで構成されてもよい。第3の窒化物半導体層402及び正孔注入電極403は、それぞれ実施の形態3における第3の窒化物半導体層302及び正孔注入電極303と同様の構成とする。
本実施の形態では、図4A及び図4Bに示すように、正孔注入部401の直下に位置する第2の窒化物半導体層104の少なくとも一部には、凹状のリセス部104a及び104bが形成されており、リセス部104a及び104bに正孔注入部401の一部が配置されている。図4Aに示すように、リセス部104a及び104bは、それぞれ傾斜部123及び124を囲むように形成されている。言い換えると、第3の窒化物半導体層402のうち、傾斜部123の第2の主電極120の中央側の端における第1の方向の位置より、第2の主電極120の等幅部126から遠ざかる側(図4Aの上側)の部分は、第2の窒化物半導体層104に形成されたリセス部104a上に形成されている。リセス部104aには、第3の窒化物半導体層402のリセス内配置部404が配置されている。同様に、第3の窒化物半導体層402のうち、傾斜部124の第2の主電極120の中央側の端における第1の方向の位置より、第2の主電極120の等幅部126から遠ざかる側(図4Aの下側)の部分は、第2の窒化物半導体層104に形成されたリセス部104b上に形成されている。リセス部104bには、第3の窒化物半導体層402のリセス内配置部405が配置されている。
この第2の窒化物半導体層104に形成されたリセス部104a及び104bの深さは、0より大きく、第2の窒化物半導体層104の厚さよりも小さく形成されている。リセス部104a及び104b上の正孔注入部401における第3の窒化物半導体層402は、それぞれリセス内配置部404及び405を有する。リセス部104a及び104b上の正孔注入部401は、それ以外の正孔注入部401に比べ、正孔注入効果が高く、実施の形態3に比べ、正孔注入をより強化できるため、トラップされた電子をより一層低減できる。
リセス構造有無による正孔注入効果の比較実験の結果を以下に示す。
図4Dは、比較実験において用いたリセス部を有する電極構造体の断面図である。図4Eは、比較実験において用いたリセス部を有さない電極構造体の断面図である。
図4Dに示す電極構造体は、積層構造部と、積層構造部のリセス部上に形成された正孔注入部と、その近傍に形成された低電位電極とを備える。図4Eに示す電極構造体は、積層構造部にリセス部が形成されていない点において、図4Dに示す電極構造体と相違し、その他の点において一致する。
図4D及び図4Eに示す各電極構造体の正孔注入部に電圧を印加し、一定電流が流れるときの印加電圧を比較した結果について図面を用いて説明する。図4Fは、リセス部の有無による正孔注入効果の比較実験の結果を示すグラフである。図4Fに示すように、図4Dに示す電極構造体の方が図4Eに示す電極構造体より小さい値となった。このように、正孔注入部直下にリセス部を形成した場合、より小さい印加電圧でより大きい電流を流すことができる。つまり、所定の印加電圧に対しリセス部が有る場合の方が、リセス部がない場合より多くの正孔を注入できることが分かる。
このようなリセス部の効果は、正孔注入部と第2の窒化物半導体層との接触面積が増えることに起因すると考えられる。つまり、当該接触面積における単位面積あたりの電流量(正孔注入量)が一定であれば、当該接触面積が増加するにしたがって、電流量も増加すると考えられる。
(実施の形態5)
以下に、実施の形態5に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、リセス部の構成において、実施の形態4に係る窒化物半導体装置400と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について、実施の形態4に係る窒化物半導体装置400との相違点を中心に図面を参照しながら説明する。
以下に、実施の形態5に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、リセス部の構成において、実施の形態4に係る窒化物半導体装置400と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について、実施の形態4に係る窒化物半導体装置400との相違点を中心に図面を参照しながら説明する。
図5Aは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置500のレイアウトを示す平面図である。図5Bは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置500の図5A中の5B−5B断面を示す断面図である。図5Cは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置500の図5A中の5C−5C断面を示す断面図である。
本実施の形態に係る窒化物半導体装置500は、実施の形態4に係る窒化物半導体装置400と同様に第2の主電極120を囲む正孔注入部501を備える。
正孔注入部501は、第1の主電極110と第2の主電極120との間の、第2の主電極120近傍に配置されている。正孔注入部501は、第2の窒化物半導体層104の上の所定の位置に形成されたp型の第3の窒化物半導体層502と、その上に形成された正孔注入電極503の両方で構成される。なお、正孔注入部501は、第2の窒化物半導体層104の上の所定の位置に形成されたp型の第3の窒化物半導体層502のみで構成されてもよい。第3の窒化物半導体層502及び正孔注入電極503は、実施の形態2における第3の窒化物半導体層202、正孔注入電極203と同様の構成とする。
本実施の形態では、図5A及び図5Bに示すように、正孔注入部501の直下に位置する第2の窒化物半導体層104の少なくとも一部には、第2の窒化物半導体層104を貫通する貫通リセス部104c及び104dが形成されており、貫通リセス部104c及び104dに正孔注入部501の一部が配置されている。図5Aに示すように、貫通リセス部104c及び104dは、それぞれ傾斜部123及び124を囲むように形成されている。言い換えると、第3の窒化物半導体層502のうち、傾斜部123の第2の主電極120の中央側の端における第1の方向の位置より、第2の主電極120の等幅部126から遠ざかる側(図5Aの上側)の部分は、第2の窒化物半導体層104に形成された貫通リセス部104c上に形成されている。貫通リセス部104cには、第3の窒化物半導体層502のリセス内配置部504が配置されている。同様に、第3の窒化物半導体層502のうち、傾斜部124の第2の主電極120の中央側の端における第1の方向の位置より、第2の主電極120の等幅部126から遠ざかる側(図5Aの下側)の部分は、第2の窒化物半導体層104に形成された貫通リセス部104d上に形成されている。貫通リセス部104dには、第3の窒化物半導体層502のリセス内配置部505が配置されている。貫通リセス部104c及び104dは、例えば、第2の窒化物半導体層104を完全にエッチング除去して形成される。このような貫通リセス部104c及び104dに正孔注入部501を形成することで、本実施の形態では、実施の形態4に比べ、第2の窒化物半導体層104と第3の窒化物半導体層502との接触面積がより広くなり、正孔注入をより強化できるため、トラップされた電子をより一層低減できる。
また、貫通リセス領域においては無バイアス状態では2DEGが消えるため、電子流は流れなくなり、図8の点線で示すスイッチング時においても電子流は大幅に低減すると考えられる。従って、第2の主電極120の先端部近傍での破壊は、さらに発生しにくくなる。
(実施の形態6)
以下に、実施の形態6に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、制御電極を有さずダイオードとして動作させることができる点において、実施の形態1に係る窒化物半導体装置100と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について図面を参照しながら説明する。
以下に、実施の形態6に係る窒化物半導体装置について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体装置は、制御電極を有さずダイオードとして動作させることができる点において、実施の形態1に係る窒化物半導体装置100と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体装置について図面を参照しながら説明する。
図6Aは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置600のレイアウトを示す平面図である。図6Bは、本実施の形態に係る窒化物半導体装置600の図6A中の6B−6B断面を示す断面図である。
図6Aに示すように、本実施の形態に係る窒化物半導体装置600は、主に制御電極130を備えない点において、実施の形態1に係る窒化物半導体装置100と相違する。
基板101から第2の反対側先端122までは、実施の形態1と同様の構成であるため、説明を省略する。
本実施の形態では、実施の形態1における第1の主電極110を、例えばTi、Al等を含む積層体で構成する代わりに、例えば第2の窒化物半導体とショットキー接合を成す金属であるNi、TiN、W等を含む積層体で構成している。
このような構成を有することにより、窒化物半導体装置600は、第1の主電極110をアノード、第2の主電極120をカソードとするショットキーバリアダイオードとして動作し得る。
また、実施の形態6において、pn接合ダイオードとしての機能を実現するために、第1の主電極110の電極材料を変更する代わりに、第2の窒化物半導体層104と第1の主電極110との間にp型半導体層601を形成してもよい。このような実施の形態6の変形例に係る窒化物半導体装置600aの断面図を図6Cに示す。図6Cにおいては、窒化物半導体装置600aの図6A中の6B−6B断面に相当する断面が示されている。
このような構成を有することにより、窒化物半導体装置600aは、第1の主電極110をアノード、第2の主電極120をカソードとするpn接合ダイオードとして動作し得る。
ダイオードにおいては、オフ時にアノードからカソードに流れる電子流によって、カソード電極の先端近傍で電子がトラップされ、破壊を引き起こし得る。本実施の形態を用いることで、カソード電極の先端近傍での破壊が抑制され、長寿命のダイオードを実現できる。特に、ダイオードのアノードからカソードに流れる電子流の密度は、一般にFETにおいてソース電極からドレイン電極へ流れる電子流の密度より大きいため、本実施の形態に係る窒化物半導体装置600においては、FETの場合よりトラップ電子による破壊を抑制する効果がより顕著となる。
(変形例など)
以上、本開示に係る窒化物半導体装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
以上、本開示に係る窒化物半導体装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
例えば、実施の形態1の変形例に係る窒化物半導体装置100d、又は、実施の形態6に記載の窒化物半導体装置600において、実施の形態2〜5に係る正孔注入部を適用してもよい。
実施の形態1〜5に係る各窒化物半導体装置においては、制御電極130にバイアス電圧を与えないときも導電するノーマリオン型トランジスタを想定しているが、制御電極130にバイアス電圧を与えないときには導電しないノーマリオフ型トランジスタとしてもよい。なお、ノーマリオン型トランジスタにおいては、ノーマリオフ型トランジスタの場合より、第1の主電極から第2の主電極への電子流の密度が高い。このため、各実施の形態に係る窒化物半導体装置をノーマリオン型トランジスタに適用する場合に、トラップ電子による破壊を抑制する効果がより顕著となる。
また、実施の形態3〜5に係る発明においては、正孔注入部は、第2の主電極120の全体を連続的に囲んでいるが、正孔注入部が一部途切れていてもよい。正孔が拡散する距離である1μm程度途切れていてもよい。また、第2の主電極120に対して第1の方向に位置する部分において、正孔注入部が形成されていなくてもよい。また、リセス部及び貫通リセス部が形成される位置も特に限定されない。例えば、第3の窒化物半導体層の、正孔注入部全体に対応する位置にリセス部及び貫通リセス部が形成されていてもよい。
また、各図では、第1の主電極の平面視における形状を長円状としているが、第1の主電極の形状は特に限定されず、例えば矩形であってもよい。また、各図においては、第2の主電極は、一方の端部に傾斜部124を備えるが、必ずしも傾斜部124を備えなくてもよい。例えば、第2の主電極は、傾斜部124に代えて、矩形の端部を備えてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示に係る窒化物半導体装置は、インバータ、パワーコンディショナーや電源回路等に用いられるトランジスタやダイオードとして有用である。
100、100a、100b、100c、100d、200、200a、300、400、500、600、600a 窒化物半導体装置
101 基板
102 バッファ層
103 第1の窒化物半導体層
104 第2の窒化物半導体層
104a、104b リセス部
104c、104d 貫通リセス部
105 積層構造部
106 2次元電子ガス
107 活性領域
108 素子分離領域
110、110b、110c 第1の主電極
111、111b、111c 第1の先端
112、112b、112c 第1の反対側先端
120 第2の主電極
121 第2の先端
122 第2の反対側先端
123、124 傾斜部
126 等幅部
130、130a 制御電極
140、140d 絶縁膜
150 第1の引き出し配線
160、160d、162、162a、163 第2の引き出し配線
165、166a、166b、167a、167b、168a、168b 領域
170 第1の集約配線
180 第2の集約配線
201、211、301、401、501、1007 正孔注入部
202、212、302、402、502 第3の窒化物半導体層
203、213、303、403、503 正孔注入電極
404、405、504、505 リセス内配置部
601 p型半導体層
1003 AlGaN層
1004 GaN層
1005 ドレイン電極
1006 ドレイン電極配線
1010 ゲート電極
1011 ソース電極
1012 ソース電極配線
1030 電極近傍領域
1060 電子流
1061 電子
101 基板
102 バッファ層
103 第1の窒化物半導体層
104 第2の窒化物半導体層
104a、104b リセス部
104c、104d 貫通リセス部
105 積層構造部
106 2次元電子ガス
107 活性領域
108 素子分離領域
110、110b、110c 第1の主電極
111、111b、111c 第1の先端
112、112b、112c 第1の反対側先端
120 第2の主電極
121 第2の先端
122 第2の反対側先端
123、124 傾斜部
126 等幅部
130、130a 制御電極
140、140d 絶縁膜
150 第1の引き出し配線
160、160d、162、162a、163 第2の引き出し配線
165、166a、166b、167a、167b、168a、168b 領域
170 第1の集約配線
180 第2の集約配線
201、211、301、401、501、1007 正孔注入部
202、212、302、402、502 第3の窒化物半導体層
203、213、303、403、503 正孔注入電極
404、405、504、505 リセス内配置部
601 p型半導体層
1003 AlGaN層
1004 GaN層
1005 ドレイン電極
1006 ドレイン電極配線
1010 ゲート電極
1011 ソース電極
1012 ソース電極配線
1030 電極近傍領域
1060 電子流
1061 電子
Claims (11)
- 基板と、
前記基板の上方に配置される第1の窒化物半導体層と、前記第1の窒化物半導体層の上方に積層され、かつ、前記第1の窒化物半導体層よりバンドギャップが大きい第2の窒化物半導体層とを備え、前記第1の窒化物半導体層と前記第2の窒化物半導体層との界面に誘起される2次元電子ガスが存在する活性領域を有する積層構造部と、
前記活性領域の上方に配置され、前記基板に対する平面視で第1の方向に延びる第1の主電極と、
前記基板に対する平面視で前記第1の方向に垂直な第2の方向において前記第1の主電極から離間した前記活性領域の上方の位置に配置され、前記第1の方向に延びる第2の主電極と、
前記第2の主電極の上方に配置され、前記第2の主電極に電気的に接続される引き出し配線であって、前記第2の主電極上から、前記第1の方向における一方側に延びる引き出し配線とを備え、
前記第1の主電極は、前記第1の方向における両端部のうち、前記引き出し配線が延びる側の端部に第1の先端を有し、
前記第2の主電極は、前記第1の方向における両端部のうち、前記引き出し配線が延びる側の端部に第2の先端を有し、かつ、前記第1の方向における前記第2の先端側に、前記第2の先端に近づくにしたがって前記第2の方向における幅が減少する傾斜部を有し、
前記引き出し配線は、前記基板に対する平面視で前記傾斜部から第2の方向に突出し、かつ、下方が前記活性領域に含まれる領域を有し、
前記傾斜部の前記第1の方向における前記第2の主電極の中央側の端は、前記第1の先端より、前記第1の方向において前記第2の先端側に配置される
窒化物半導体装置。 - 前記第2の主電極は、前記第1の方向における両端部の間に前記第2の方向における幅が等しい等幅部を有し、
前記引き出し配線のうち、前記等幅部の上方に位置する部分は、前記第2の方向において、前記等幅部より前記第1の主電極側に突出しない
請求項1に記載の窒化物半導体装置。 - 前記第2の主電極は、前記第1の方向における両端部の間に前記第2の方向における幅が等しい等幅部を有し、
前記引き出し配線のうち、前記第1の方向における位置が前記傾斜部と一致する部分は、前記第2の方向において、前記等幅部より前記第1の主電極側に突出しない
請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置。 - 前記第2の主電極は、前記第1の方向における両端部の間に前記第2の方向における幅が等しい等幅部を有し、
前記引き出し配線のうち、前記第2の先端より前記第2の主電極から遠ざかる向きに延びる部分であって、前記活性領域を覆う部分は、前記第2の方向において前記等幅部より前記第1の主電極側に突出せず、
前記引き出し配線は、前記第2の主電極の前記第1の先端と反対側の先端より、前記第1の方向に突出しない
請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。 - 前記第2の主電極は、前記第1の方向における両端部の間に前記第2の方向における幅が等しい等幅部を有し、
前記引き出し配線のうち、前記第1の方向において前記等幅部より突出せず、かつ、前記第1の主電極より突出する部分の少なくとも一部は、前記第2の方向において前記第1の主電極側に突出する
請求項1に記載の窒化物半導体装置。 - 前記第2の主電極は、前記第1の方向における両端部の間に前記第2の方向における幅が等しい等幅部を有し、
前記引き出し配線のうち、前記第1の方向において、前記等幅部より突出し、かつ、前記第2の主電極より突出しない部分の少なくとも一部は、前記第2の方向において前記第1の主電極側に突出する
請求項1又は5に記載の窒化物半導体装置。 - 前記引き出し配線のうち、前記活性領域の上方であって、かつ、前記第1の方向において前記第2の主電極より突出する部分の少なくとも一部は、前記第2の方向において前記第1の主電極側に突出する
請求項1、5、6のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。 - さらに、
前記活性領域の上方であって、前記第2の主電極の近傍に前記積層構造部に正孔を注入する正孔注入部を備える
請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。 - 前記正孔注入部は、前記基板の平面視において、前記第2の主電極を囲む
請求項8に記載の窒化物半導体装置。 - 前記正孔注入部の直下に位置する前記第2の窒化物半導体層の少なくとも一部には、凹状のリセス部が形成されており、
前記リセス部に前記正孔注入部の一部が配置されている
請求項8又は9に記載の窒化物半導体装置。 - 前記正孔注入部の直下に位置する前記第2の窒化物半導体層の少なくとも一部には、前記第2の窒化物半導体層を貫通する貫通リセス部が形成されており、
前記貫通リセス部に前記正孔注入部の一部が配置されている
請求項8〜10のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
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2017
- 2017-02-28 JP JP2017037260A patent/JP2018142664A/ja active Pending
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