以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
まず、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構が設けられる印字装置の構成について、図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構が設けられる印字装置の一例を示す斜視図である。
本実施形態の印字装置100は、図1に示すように、表示部102と操作部104を備えた筐体106の内部に、選択的にセットされるチューブ又はテープ、記名板等の長尺状の印字媒体に印刷を行う機構を備える。表示部102は、液晶等の表示画面からなり、操作部104で入力した文字等を表示する機能を有する。操作部104は、複数の操作ボタンを有するキーボードから構成され、印字媒体への文字や数字、符号の入力等の印字装置100の各種操作をする機能を有する。筐体106には、インクリボンカセット110や印字媒体を取り付ける際に開閉可能な蓋部108が設けられている。
印字装置100は、印字媒体に所定の印刷処理を行う機構として、図1に示すように、印字媒体となるチューブとテープカセットが選択的にセットされるカセットホルダ部120と、インクリボンカセット110がセットされるリボンホルダ部121を備える。カセットホルダ部120とリボンホルダ部121は、樹脂等からなる一体成形品であり、例えば、金属板で構成されるロアプレート124に取り付けられる。また、カセットホルダ部120は、印字媒体が所定内径以下のチューブや記名板の場合には、当該印字媒体を所望の位置に誘導するための誘導用アタッチメントが設置可能に構成されている。
印字装置100は、カセットホルダ部120にセットされたチューブ、テープカセットから繰り出されたテープ、又は記名板等の長尺状の印字媒体を搬送するプラテンローラ122と、プラテンローラ122で搬送されるチューブ、テープ、又は記名板等の印字媒体に印字を行うサーマルヘッド123を備える。
プラテンローラ122は、搬送手段の一例で、不図示のモータの駆動力が伝達されて回転する。ここで、プラテンローラ122を駆動するモータの駆動力は、インクリボンカセット110のインクリボンを巻き取る不図示の巻取側リボンコアを駆動する巻取り軸にも伝達され、プラテンローラ122の回転とインクリボンの送りが同期して行われる。
サーマルヘッド123は、印字手段の一例であり、発熱体が設けられる部位がプラテンローラ122の円周面に対向して配置される。印字装置100は、サーマルヘッド123のスライド動作又は回転動作等により、サーマルヘッド123がプラテンローラ122に対して近づく方向と離れる方向に移動可能な構成となっている。本実施形態では、印字装置100は、枠部123aに支持されるサーマルヘッド123が軸部123bを支点とした回転動作によって、プラテンローラ122の円周面に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されている。
本実施形態では、サーマルヘッド123は、軸部123bを支点とした回転動作でプラテンローラ122の円周面に対して近づく方向に移動する。これにより、サーマルヘッド123とプラテンローラ122との間に、インクリボンとチューブ、テープ、又は記名板等の印字媒体が挟持されて、当該チューブ、テープ、又は記名板等の印字媒体に印刷が可能な状態となる。また、サーマルヘッド123は、軸部123bを支点とした回転動作によって、プラテンローラ122の円周面に対して離れる方向に移動して退避し、チューブ、テープ、又は記名板等の印字媒体のセットが可能な状態となる。
また、本実施形態の印字装置100は、サーマルヘッド123をプラテンローラ122に押圧させると共に、サーマルヘッド123をプラテンローラ122から退避させるヘッド移動機構130を備える。なお、ヘッド移動機構130の詳細な構成及び動作については、後述する。
さらに、本実施形態の印字装置100は、サーマルヘッド123の上流側には、案内部128から案内された印字媒体となるチューブや記名板の搬送距離を検出する送り量検出ローラ125と、案内部128から導入された印字媒体を押さえるために、当該送り量検出ローラ125に対向する位置に設けられる押さえローラ126が設けられている。送り量検出ローラ125と押さえローラ126は、不図示の押さえローラ移動機構によって、押さえローラ126が送り量検出ローラ125から退避して、押さえローラ126と送り量検出ローラ125との間にチューブセット用の空間が形成される。なお、押さえローラ移動機構の詳細な構成及び動作については、後述する。
また、送り量検出ローラ125及び押さえローラ126の上流側には、案内部128から案内された印字媒体がチューブの場合に当該チューブへの印字が擦れることを防止するために、チューブを暖めるチューブウォーマ129が設けられている。一方、サーマルヘッド123の下流側には、印刷媒体をハーフカットするための不図示のハーフカット機構が設けられている。
次に、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構の構成について、図面を使用しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構の構成の一例を示す斜視図であり、図3は、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構の構成の一例を示す平面図である。なお、図2では、誘導用アタッチメントが取り付けられている状態の斜視図となっており、図3は、操作レバーを開いた状態を示している。
本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構101は、印字装置100(図1参照)に備わる複数の構成要素の押圧・退避及び/又はロック・解除を行う機構の操作を連動させる機能を有する。具体的には、操作連動機構101は、ヘッド移動機構130と、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140と、押さえローラ移動機構150と、印字媒体用着脱ロック移動機構160と、を備える。本実施形態の操作連動機構101は、これらの移動機構130、140、150、160が操作部材となる操作レバー132による操作に伴って、連動可能に構成されていることを特徴とする。
ヘッド移動機構130は、プラテンローラ122に対するサーマルヘッド123の押圧・退避の動作をさせる機能を有する。本実施形態では、ヘッド移動機構130は、サーマルヘッド123を移動させるヘッドスライダ131と、当該ヘッドスライダ131を移動させるヘッド移動カム133と、当該ヘッド移動カム133を回転させて、ヘッドスライダ131を移動させるヘッド移動レバー132を備える。
ヘッドスライダ131は、サーマルヘッド123をプラテンローラ122に対して近づける方向及び離す方向に移動させる第1のスライダ131aと、第1のスライダ131aを移動させる第2のスライダ131bと、サーマルヘッド123をプラテンローラ122に押圧するバネ131cを備える。第1のスライダ131aと第2のスライダ131bは、軸部123bを支点とした回転動作で移動するサーマルヘッド123に対して、プラテンローラ122に近づくサーマルヘッド123の動き、及びプラテンローラ122から離れるサーマルヘッド123の動きに沿った直線動作で移動可能に構成される。
第1のスライダ131aは、サーマルヘッド123を押圧するヘッド押圧部131a1と、ヘッド移動カム133に押圧されると共に、バネ131cを介して第2のスライダ131bを押圧する第1のカム押圧部131a2と、突き当て部131a3と、及びガイドピン131a4とを備える。
ヘッド押圧部131a1は、第1のスライダ131aのサーマルヘッド123の動きに沿った移動方向に対する一方の端部に、移動方向に対して立ち上がるような突状に形成される。第1のカム押圧部131a2は、第1のスライダ131aの他方の端部に、移動方向に対して立ち上がる面を有した態様で形成される。第1のスライダ131aは、金属等の板材で構成され、一方の端部が上方に折り曲げられる形態でヘッド押圧部131a1が形成され、他方の端部が上方に折り曲げられる形態で第1のカム押圧部131a2が形成される。
突き当て部131a3は、バネ131cにより押圧される第1のスライダ131aと第2のスライダ131bの位置を規制する機能を有する。突き当て部131a3は、第1のスライダ131aのヘッド押圧部131a1と第1のカム押圧部131a2の間に形成された開口部131a5の第1のスライダ131aの移動方向に沿った一方の端面に形成される。
ガイドピン131a4は、図3に示すように、第1のスライダ131aのヘッド押圧部131a1が形成される一方の端部側に当該ヘッド押圧部131a1と並列するように設けられる。ガイドピン131a4は、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140及び押さえローラ移動機構150と係合して、第1のスライダ131aの移動に伴って、これらの移動機構140、150と連動させるトリガーとしての機能を有する。なお、ガイドピン131a4の移動に伴うインクリボンカセット用着脱ロック移動機構140及び押さえローラ移動機構150の動作の詳細については、後述する。
第2のスライダ131bは、ヘッド移動カム133に押圧される第2のカム押圧部131b2と、バネ131cにより押圧される第1のスライダ131aと第2のスライダ131bの位置を規制する突き当て突部131b1を備える。 第2のスライダ131bは、金属等の板材で構成され、サーマルヘッド123の動きに沿った移動方向に対する一方の端部に、移動方向に対して立ち上がる構成の突き当て突部131b1が形成され、他方の端部に、移動方向に対して立ち上がる面を有する構成の第2のカム押圧部131b2が形成される。突き当て突部131b1は、第1のスライダ131aの開口部131a5より突出して設けられ、第1のスライダ131aの第1のカム押圧部131aとの間に圧縮コイルバネで構成されるバネ131cが取り付けられている。
ヘッド移動カム133は、ヘッド移動レバー132の操作による回転運動を所定の方向の往復直線運動に変換して伝達する機能を有する。ヘッド移動カム133は、ロアプレート124に対して立設するように取り付けられた不図示のサイドプレートに、軸133bを介して回動可能に支持された所定の形状の板状部材であり、第1のスライダ131aの第1のカム押圧部131a2と、第2のスライダ131bの第2のカム押圧部131b2の間に配置される。
ヘッド移動レバー132は、操作部材の一例で、サイドプレートに軸を介して回動可能に支持される。ヘッド移動カム133には、カム用ギア部133aが同軸上に設けられ、ヘッド移動レバー132には、カム用ギア部133aと噛み合うレバー用ギア部132aを同軸上に設けられているので、ヘッド移動レバー132の回転動作でヘッド移動カム133が回転する。
このように、本実施形態では、ヘッド移動機構130は、ヘッド移動レバー132の動作で回転するヘッド移動カム133のカム面の変位でヘッドスライダ131を構成する第1のカム押圧部131a2及び第2のカム押圧部131b2が押圧され、サーマルヘッド123をプラテンローラ122に押圧する動作、及びサーマルヘッド123をプラテンローラ122から退避させる動作が行われるように構成される。なお、ヘッド移動機構130によるプラテンローラ122に対するサーマルヘッド123の押圧・退避の動作の詳細については、後述する。
インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140は、リボンホルダ部121(図1参照)に取り付けるインクリボンカセット110(図1参照)の着脱のロック・解除の動作をさせる機能を有する。インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140は、長尺板状のリボンカセット用スライド部材141と、当該リボンカセット用スライド部材141の一側の両端側に立設するように形成される略L字型の係合部142を備える。係合部142は、インクリボンカセット110を装着時に当該インクリボン110に備わる不図示の係合受け部に対応する位置に設けられている。
リボンカセット用スライド部材141は、金属等の強度の高い材料によって構成されており、図3に示すように、その中心線側近傍には、リボンカセット用スライド部材141をヘッド移動機構130の第1のスライダ131aの方向に向けて誘導する長孔形状の1対のカム孔部141aが設けられている。カム孔部141aには、それぞれロアプレート124に対してネジ止めされた支持軸141bが貫通して設けられており、リボンカセット用スライド部材141は、1対の支持軸141b(141b1、141b2)が挿通されたカム孔部141aに沿ってスライド可能になっている。
また、リボンカセット用スライド部材141の略中央部には、一端が係止部141cに係止され、他端が支持軸141b1に係止される引っ張りバネ143が設けられており、リボンカセット用スライド部材141は、引っ張りバネ143により常にヘッド移動機構130の第1のスライダ131a側に移動するように付勢されるように構成されている。
さらに、リボンカセット用スライド部材141の先端側には、図3に示されるように、略三角形の先端側孔部144が形成され、当顔先端側孔部144には、第1のスライダ131aのヘッド押圧部131a1が形成される一方の端部側に形成されたガイドピン131a4が係合している。これにより、第1のスライダ131aにリボンカセット用スライド部材141が一定の範囲で連動してスライドするように構成されている。なお、本実施形態では、第1のスライダ131aのスライド量は、リボンカセット用スライド部材141のスライド量の約2倍程度に設定されている。
このように、本実施形態では、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140は、リボンカセット用スライド部材141を第1のスライダ131a側に移動可能に構成することによって、当該リボンカセット用スライド部材141の一側の両端側に立設するように形成される略L字型の係合部142が連動して移動するので、インクリボンカセット110の着脱のロック・解除の動作が行われるように構成される。なお、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140によるインクリボンカセット110の着脱のロック・解除の動作の詳細については、後述する。
押さえローラ移動機構150は、送り量検出ローラ125に対する押さえローラ126の押圧・退避の動作をさせる機能を有する。押さえローラ移動機構150は、第1の回転部材151と第2の回転部材152とを備えており、第1の回転部材151と第2の回転部材152が回転軸151を中心に回動可能に構成されている。
第1の回転部材151は、ヘッド移動機構130によるプラテンローラ122に対するサーマルヘッド123の押圧・退避の動作に連動して回転運動することによって、押さえローラ126を支持する第2の回転部材152が回転運動するための動力を伝達する機能を有する。第1の回転部材151は、図3に示すように、先端側には、第2の回転部材152のギア部152aと噛合するギア部151aが設けられており、基端側には、ヘッド移動機構130のガイドピン131a4に対する当接、退避により第1の回転部材151の回転動作を規制する略L字型の規制部152bが設けられている。そして、第1の回転部材151は、その略中央が回転軸153により軸支されている。
第2の回転部材152は、第1の回転部材151の回転運動に連動して回転運動することによって、送り量検出ローラ125に対して、支持している押さえローラ126の押圧・退避の動作をさせる機能を有する。第2の回転部材152は、図3に示すように、基端側が回転軸153に軸支され、略中央下側には、第1の回転部材151のギア部151aと噛合するギア部152aが設けられている。そして、第2の回転部材152の先端側には、押さえローラ126を送り量検出ローラ125に向けて押圧させる際の付勢手段となる押圧バネ154が取り付けられている。押圧バネ154は、ロアプレート124から起立して設けられる支持部124aに基端側が取り付けられている。
このように、本実施形態では、押さえローラ移動機構150は、ヘッド移動機構130によるプラテンローラ122に対するサーマルヘッド123の押圧・退避の動作に連動して第1の回転部材151及び第2の回転部材152が回転運動をするので、送り量検出ローラ125に対して、押さえローラ126の押圧・退避の動作が行われるように構成される。なお、送り量検出ローラ125に対する押さえローラ移動機構150による押さえローラ126の押圧・退避の動作の詳細については、後述する。
印字媒体用着脱ロック移動機構160は、カセットホルダ部120(図1参照)に取り付けるテープカセット又は印字媒体の誘導用アタッチメント170の着脱のロック・解除の動作をさせる機能を有する。印字媒体用着脱ロック移動機構160は、棒状の往復移動部材161と、往復移動部材161に回動可能に軸支された係止部材162と、往復移動部材161の先端側に取り付けられる押圧バネ163とを備える。
往復移動部材161は、押さえローラ移動機構150による送り量検出ローラ125に対する押さえローラ移動機構150による押さえローラ126の押圧・退避の動作に連動して長さ方向に沿って往復運動することによって、誘導用アタッチメント170の着脱のロック・解除の動作をする係止部材162が回転運動するための動力を伝達する機能を有する。往復移動部材161は、図3に示すように、基端側が押さえローラ移動機構150の第2の回転部材152に連結され、先端側が押圧バネ163に連結されている。押圧バネ163は、ロアプレート124から起立して設けられる支持部124bに基端側が取り付けられている。
係止部材162は、往復移動部材161の往復運動に連動して回転運動することによって、誘導用アタッチメント170の着脱のロック・解除の動作をさせる機能を有する。係止部材162は、先端側にフック部162aが設けられ、基端側がロアプレート124から起立して設けられる支持部124cに軸支されている。
このように、本実施形態では、印字媒体用着脱ロック移動機構160は、押さえローラ移動機構150による送り量検出ローラ125に対する押さえローラ移動機構150による押さえローラ126の押圧・退避の動作に連動して往復移動部材161が往復運動して、かかる往復運動に連動して係止部材162が回転運動するので、誘導用アタッチメント170の着脱のロック・解除の動作が行われるように構成される。なお、印字媒体用着脱ロック移動機構160による誘導用アタッチメント170の着脱のロック・解除の動作の詳細については、後述する。
本実施形態では、ヘッド移動機構130、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140、押さえローラ移動機構150、及び印字媒体用着脱ロック移動機構160が上述した構成となっているので、操作部材となるヘッド移動レバー132よる操作に伴って、これらの駆動機構130、140、150、160の全てを連動して駆動可能に構成されている。このため、ヘッド移動レバー132の操作に連動して、これらの移動機構130、140、150、160の押圧・退避の操作及び/又はロック・解除の操作を連動して動作させられるので、ユーザの操作の負担をより軽減させて、印字装置を設定する作業効率を向上できるようになる。
次に、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構に備わるヘッド移動機構の構成及び動作の詳細について、図面を使用しながら説明する。図4(A)及び図4(B)は、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構に備わるヘッド移動機構の構成及び動作の一例を示す側面図である。
本実施形態のヘッド移動機構130に備わるヘッドスライダ131は、図4(A)及び図4(B)に示すように、第1のスライダ131aの開口部131a5に第2のスライダ131bの突き当て突部131b1が挿入され、第1のスライダ131aの開口部131a5から第2のスライダ131bの突き当て突部131b1が突出するように構成される。
これにより、第1のスライダ131aの第1のカム押圧部131a2の一方の面と、第2のスライダ131bの突き当て突部131b1が対向する。また、第1のスライダ131aの第1のカム押圧部131a2の他方の面と、第2のスライダ131bの第2のカム押圧部131b2が対向するようになる。第1のカム押圧部131a2と第2のカム押圧部131b2の間には、圧縮コイルバネで構成されたバネ131cが取り付けられている。
また、第1のスライダ131aは、軸穴部131a6にプラテンローラ122の軸受122aが挿入されて、ロアプレート124等に支持される。また、第2のスライダ131bは、第1のスライダ131aの開口部131a5に突き当て突部131b1が挿入されて、かつ、ガイド穴部131b3に不図示のガイドピンが挿入されて、ロアプレート124等に支持される。
これにより、第1のスライダ131aは、プラテンローラ122に対して離接するサーマルヘッド123の動きに沿った直線動作でスライド移動可能に支持され、プラテンローラ122に近づくサーマルヘッド123の動きに沿った矢印A1方向と、プラテンローラ122から離れるサーマルヘッド123の動きに沿った矢印A2方向に移動可能になっている。
また、第2のスライダ131bは、第1のスライダ131aの移動方向に沿ってスライド移動可能に支持され、プラテンローラ122に近づくサーマルヘッド123の動きに沿った矢印A1方向と、プラテンローラ122から離れるサーマルヘッド123の動きに沿った矢印A2方向に移動可能になっている。
ヘッドスライダ131は、第1のスライダ131aの第1のカム押圧部131a2と第2のスライダ131bの突き当て突部131b1の間隔が広がる方向に131cにより押圧され、第2のスライダ131bの突き当て突部131b1が第1のスライダ131aの突き当て部131a3に押圧されて、第1のスライダ131aと第2のスライダ131bの位置が規制される。
ヘッドスライダ131は、第1のスライダ131aのヘッド押圧部131a1がサーマルヘッド123の裏面側で枠部123aに対向して配置され、不図示の引っ張りコイルバネで構成されるバネで第1のスライダ131aのヘッド押圧部131a1とサーマルヘッド123が連結される。
これにより、サーマルヘッド123をプラテンローラ122に対して近づける矢印A1方向に第1のスライダ131aが移動すると、ヘッド押圧部131a1でサーマルヘッド123がプラテンローラ122方向に押され、サーマルヘッド123が軸123bを支点とした回転動作でプラテンローラ122に押圧される。
また、サーマルヘッド123をプラテンローラ122に対して離す矢印A2方向に第1のスライダ131aが移動すると、バネを介してヘッド押圧部131a1でサーマルヘッド123がプラテンローラ122から離れる方向に引かれ、サーマルヘッド123が軸123bを支点とした回転動作でプラテンローラ122から退避する。
ヘッド移動カム133は、伝達手段の一例で、ロアプレート124に取り付けられた不図示のサイドプレートに、軸133aを介して回動可能に支持され、第1のスライダ131aの第1のカム押圧部131a2と、第2のスライダ131bの第2のカム押圧部131b2の間に配置される。
ヘッド移動レバー132は、操作部材の一例で不図示のサイドプレートに軸を介して回動可能に支持される。ヘッド移動カム133は、ギア部133aを備え、ヘッド移動レバー132は、ギア部133aと噛み合うギア部132aを備えて、ヘッド移動レバー132の回転動作でヘッド移動カム133が回転する。
ヘッド移動機構130は、ヘッド移動レバー132の動作で回転するヘッド移動カム133のカム面の変位でヘッドスライダ131を構成する第1のカム押圧部131a2及び第2のカム押圧部131b2が押圧され、サーマルヘッド123をプラテンローラ122に押圧する動作、及びサーマルヘッド123をプラテンローラ122から退避させる動作が行われる。
ヘッド移動機構130は、ヘッド移動カム133で第2のスライダ131bの第2のカム押圧部131b2が押圧されると、サーマルヘッド123がプラテンローラ122に近づく矢印A1方向にヘッドスライダ131が移動し、図4(A)に示すように、サーマルヘッド123が押圧位置に移動する。
すなわち、ヘッドスライダ131は、ヘッド移動カム133で第2のスライダ131bの第2のカム押圧部131b2が押圧されると、カム面133cで第1のスライダ131aが押圧され、第2のスライダ131bと連動して第1のスライダ131aが矢印A1方向に移動する。
これにより、第1のスライダ131aのヘッド押圧部131a1でサーマルヘッド123がプラテンローラ122方向に押され、サーマルヘッド123とプラテンローラ122の間にチューブ等の印字媒体Pとインクリボンが挟持される。
そして、サーマルヘッド123とプラテンローラ122の間にチューブ等の印字媒体Pが挟持された状態で、第2のスライダ131bの第2のカム押圧部131b2が押圧されると、第1のスライダ131aに対して第2のスライダ131bが矢印A1方向に移動して131cが圧縮され、プラテンローラ122との間に印字媒体Pを挟持したサーマルヘッド123が、カム面131cの力でプラテンローラ122に押圧される。
一方、ヘッド移動機構130は、ヘッド移動カム133で第1のスライダ131aの第1のカム押圧部15bが押圧されると、サーマルヘッド123がプラテンローラ122から離れる矢印A2方向にヘッドスライダ131が移動し、図4(B)に示すように、サーマルヘッド123が退避位置に移動する。
すなわち、ヘッドスライダ131は、ヘッド移動カム133で第1のスライダ131aの第1のカム押圧部131a2が押圧されると、ヘッド押圧部131a1でサーマルヘッド123がプラテンローラ122から離れる方向に引かれ、サーマルヘッド123がプラテンローラ122から退避する。また、カム面133cで第2のスライダ131bが押圧され、第1のスライダ131aと連動して第2のスライダ131bが移動する。
次に、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構に備わるインクリボンカセット用着脱ロック移動機構と押さえローラ移動機構の構成及び動作の詳細について、図面を使用しながら説明する。図5(A)及び図5(B)は、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構に備わるインクリボンカセット用着脱ロック移動機構と押さえローラ移動機構の構成及び動作の一例を示す平面図である。
本実施形態では、ヘッド移動機構130の駆動に連動してインクリボンカセット用着脱ロック移動機構140及び押さえローラ移動機構150が駆動可能に構成されることを特徴とする。すなわち、ヘッド移動レバー132による操作をトリガーとして、プラテンローラ122に対するサーマルヘッド123の押圧・退避の動作をさせるヘッド移動機構130の駆動と連動して、リボンホルダ部121に取り付けるインクリボンカセット110の着脱のロック・解除の動作をさせるインクリボンカセット用着脱ロック移動機構140と、送り量検出ローラ125に対する押さえローラ126の押圧・退避の動作をさせる押さえローラ移動機構150の駆動も行われることを特徴とする。
サーマルヘッド123がプラテンローラ122に対して退避している状態では、図5(A)に示すように、ヘッド押圧部131a1がサーマルヘッド123から離れている。このため、第1のスライダ131aのヘッド押圧部131a1の近傍に設けられているガイドピン131a4は、リボンカセット用スライダ部材141の先端側に設けれられる先端側孔部144の端部(図5(A)に示す下端部)に配置され、かつ、押さえローラ移動機構150の第1の回転部材151の規制部152bに係止されて、第1の回転部材151の回転動作を係止している。
この場合では、リボンカセット用スライダ部材141は、静止した状態となっているので、係止部141cと支持軸141b1との間に設けられる引っ張りバネ143は、引張力を維持した状態となっている。一方、第1の回転部材151も静止した状態となっているので、第2の回転部材152も回転運動せずに静止した状態となり、それに伴い押さえローラ126が送り量検出ローラ125から退避されて離間した状態となっている。また、その際に、第2の回転部材152の先端側に取り付けられる押圧バネ154は、押圧力を維持した状態となっている。
一方、サーマルヘッド123がプラテンローラ122に対して押圧している状態では、図5(B)に示すように、ヘッド押圧部131a1がサーマルヘッド123の方向(図5(B)に示すA1方向)に移動して当接している。このため、第1のスライダ131aのガイドピン131a4は、先端側孔部144内を移動しながら、かつ、第1の回転部材151の規制部152bから離れるようになる。
この場合では、リボンカセット用スライダ部材141は、引っ張りバネ143によって、第1のスライダ131aの方向に引っ張られて、支持軸141bに対してカム孔部141aがスライドすることによって、係合部142がインクリボンカセットをロックする方向(図5(B)に示すB1方向)に移動する。また、ガイドピン131a4が第1の回転部材151の規制部152bから離れることによって、第1の回転部材151が回転軸153を中心に図5(B)に示すC1方向に回転運動をするので、第1の回転部材151の先端側のギア部151aと噛合する第2の回転部材152のギア部152aを介して、第2の回転部材152が回転軸153を中心に図5(B)に示すD1方向に回転運動をすることによって、押さえローラ126が送り量検出ローラ125に当接するように移動する。
次に、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構に備わる印字媒体用着脱ロック移動機構の構成及び動作の詳細について、図面を使用しながら説明する。図6(A)及び図6(B)は、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構に備わる印字媒体用着脱ロック移動機構の構成及び動作の一例を示す側面図である。
本実施形態では、ヘッド移動機構130の駆動に連動して、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140、押さえローラ移動機構150が駆動可能に構成されることに加えて、印字媒体用着脱ロック移動機構160も駆動可能に構成されることを特徴とする。
サーマルヘッド123がプラテンローラ122に対して退避している状態では、図6(A)に示すように、押さえローラ126が送り量検出ローラ125から離れて静止している。このため、押さえローラ126を支持する第2の回転部材152に一端が取り付けられている往復移動部材161も静止しているので、往復移動部材161に回動自在に軸支されている係止部材162も開いた状態で静止している。この場合では、往復移動部材161が静止した状態となっているので、往復移動部材161の先端側に取り付けた押圧バネ163は、押圧力を維持した状態となっている。
一方、サーマルヘッド123がプラテンローラ122に対して押圧している状態では、図6(B)に示すように、押さえローラ126が送り量検出ローラ125の方向(図6(B)に示すE1方向)に移動して当接している。このため、押さえローラ126を支持する第2の回転部材152の回転移動に伴って、往復移動部材161も同様にして、図6(B)に示すE1方向に移動するので、往復移動部材161のE1方向への移動に伴って、係止部材162は、図6(B)に示すF1方向に回転移動して、誘導用アタッチメント170をロックするように動作する。
このように、本実施形態では、印字媒体用着脱ロック移動機構160は、押さえローラ移動機構150による押さえローラ126の押圧・退避の動作に連動して、往復移動部材161が往復運動して、かかる往復運動に連動して係止部材162が回転運動するので、誘導用アタッチメント170の着脱のロック・解除の動作が行われるように構成される。
すなわち、本実施形態では、操作部材となるヘッド移動レバー132の操作に連動してヘッド移動機構130が駆動可能に構成され、ヘッド移動機構130の駆動に連動してインクリボンカセット用着脱ロック移動機構140及び押さえローラ移動機構150が駆動可能に構成され、押さえローラ移動機構150の駆動に連動して印字媒体用着脱ロック移動機構160が駆動可能に構成されている。このため、一度のヘッド移動レバー132の操作に連動して、全ての移動機構130、140、150、160の押圧・退避の操作及び/又はロック・解除の操作を順番通りに連動して動作させられるので、ユーザの操作の負担を確実に軽減させて、印字装置を設定する作業効率を向上できるので、極めて大きな工業的価値を有する。
なお、本実施形態では、操作部材となるヘッド移動レバー132の操作に連動して、ヘッド移動機構130、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140、押さえローラ移動機構150、及び印字媒体用着脱ロック移動機構160がそれぞれ連動可能に構成されているが、ヘッド移動レバー132の操作に連動して、ヘッド移動機構130、押さえローラ移動機構150、及び印字媒体用着脱ロック移動機構160の少なくとも2つ以上の移動機構が連動して駆動可能に構成されていれば、同様にしてユーザの操作の負担を軽減できる。
また、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140を含めた場合では、ヘッド移動レバー132による操作に伴って、ヘッド移動機構130、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構140、押さえローラ移動機構150、及び印字媒体用着脱ロック移動機構160のうち、少なくとも3つ以上の移動機構が連動して駆動可能に構成されていれば、同様にしてユーザの操作の負担を軽減できる。
さらに、本実施形態では、操作連動機構を構成する少なくとも何れかの駆動機構の動作を開始させるトリガーとなる操作を行う操作部材として、ヘッド移動レバーを適用しているが、当該トリガーとなる操作を行う操作部材を印字装置の蓋部としてもよい。
以下、トリガーとなる操作を行う操作部材を印字装置の蓋部を適用した場合について、図面を使用しながら説明する。図7は、本発明の他の実施形態に係る印字装置の操作連動機構に備わる操作部材の構成の一例を示す平面図であり、図8は、本発明の他の実施形態に係る印字装置の操作連動機構に備わる操作部材の構成の一例を示す側面図である。
本発明の他の実施形態に係る印字装置の操作連動機構201は、印字装置100(図1参照)に備わる複数の構成要素の押圧・退避及び/又はロック・解除の操作を連動で行う。具体的には、操作連動機構201は、ヘッド移動機構230と、インクリボンカセット用着脱ロック移動機構240と、押さえローラ移動機構250と、印字媒体用着脱ロック移動機構260と、を備える。本実施形態の操作連動機構201は、これらの移動機構230、240、250、260が操作部材となる蓋部208の開閉操作に伴って、連動可能に構成されていることを特徴とする。
ヘッド移動機構230は、プラテンローラ222に対するサーマルヘッド223の押圧・退避の動作をさせる機能を有する。インクリボンカセット用着脱ロック移動機構240は、リボンホルダ部121(図1参照)に取り付けるインクリボンカセット110(図1参照)の着脱のロック・解除の動作をさせる機能を有する。押さえローラ移動機構250は、送り量検出ローラ225に対する押さえローラ226の押圧・退避の動作をさせる機能を有する。印字媒体用着脱ロック移動機構260は、カセットホルダ部120(図1参照)に取り付けるテープカセット又は印字媒体の誘導用アタッチメント270の着脱のロック・解除の動作をさせる機能を有する。これらの移動機構230、240、250、260の構成及び動作は、前述した本発明の一実施形態と同様なので、その説明は、省略する。
本実施形態では、操作部材となる蓋部208の開閉操作に連動してヘッド移動機構230が駆動可能に構成されていることを特徴とする。すなわち、蓋部208には、カム用ギア部233aと噛み合う蓋部用ギア部208aを同軸上に設けられているので、蓋部208の開閉動作でヘッド移動カム233が回転するようになる。
このように、本実施形態では、操作部材となる蓋部208の開閉操作に連動してヘッド移動機構230が駆動可能に構成され、ヘッド移動機構230の駆動に連動してインクリボンカセット用着脱ロック移動機構240及び押さえローラ移動機構250が駆動可能に構成され、押さえローラ移動機構250の駆動に連動して印字媒体用着脱ロック移動機構260が駆動可能に構成されている。このため、一度の蓋部208の開閉操作に連動して、全ての移動機構230、240、250、260の押圧・退避の操作及び/又はロック・解除の操作を順番通りに連動して動作させられるので、ユーザの操作の負担を確実に軽減させて、印字装置を設定する作業効率を向上できるので、極めて大きな工業的価値を有する。
また、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構の各移動機構の動作をモータやソレノイド等を使用して電気的に行ってもよい。例えば、図9に示すように、送り量検出ローラ325に対する押さえローラ326の押圧・退避の動作をさせる押さえローラ移動機構350と、カセットホルダ部120(図1参照)に取り付けるテープカセット又は印字媒体の誘導用アタッチメント370の着脱のロック・解除の動作をさせる印字媒体用着脱ロック移動機構360をモータMの駆動に伴って、連動するようにしてもよい。
このとき、モータMの駆動に伴って、駆動ギア355が回転駆動することによって、送り量検出ローラ325に対する押さえローラ326の押圧・退避の動作が行われ、かつ、一端がバネ363に連結され、他端が駆動ギア335に連結された往復移動部材361が往復運動して、係止部材362のロック・解除の動作が行われる。
さらに、本発明の一実施形態に係る印字装置の操作連動機構の各移動機構の動作をマイクロスイッチを用いて制御可能にしてもよい。例えば、図10に示すように、カセットホルダ部120(図1参照)に取り付けるテープカセット又は印字媒体の誘導用アタッチメント470の着脱のロック・解除の動作をさせる印字媒体用着脱ロック移動機構460の係止部材462のロック・解除の動作をマイクロスイッチ464で制御するようにしてもよい。このとき、係止部材462の開閉動作をする際の付勢手段として、バネ463を適用してもよい。
なお、上記のように本発明の各実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、印字装置の操作連動機構、及び印字装置の構成、動作も本発明の各実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。