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JP2018100322A - 反応性ホットメルト接着剤組成物 - Google Patents

反応性ホットメルト接着剤組成物 Download PDF

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JP2018100322A
JP2018100322A JP2016245568A JP2016245568A JP2018100322A JP 2018100322 A JP2018100322 A JP 2018100322A JP 2016245568 A JP2016245568 A JP 2016245568A JP 2016245568 A JP2016245568 A JP 2016245568A JP 2018100322 A JP2018100322 A JP 2018100322A
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寛生 阿部
Hiroo Abe
寛生 阿部
齋藤 知紀
Tomonori Saito
知紀 齋藤
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Abstract

【課題】高度な耐熱性を有し、特に、高温下での接着力維持効果に優れた反応性ホットメルト接着剤を提供する。【解決手段】(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体と、(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂と、を含有し、前記(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂は、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂に架橋性ケイ素基が結合している樹脂である、反応性ホットメルト接着剤組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。
ホットメルト接着剤は、100℃前後の熱をかけて溶かして接着させる接着剤である。従来、一般的に該接着剤の素材として、エチレン酢酸ビニルのような熱可塑性プラスチックが使用され、硬化が早く、溶剤を使用する必要がないという利点を有している。
しかし、ホットメルト接着剤は、その溶融、接着(固化)が熱によって制御されるため、耐熱性や高温下での接着力が不十分であるという問題がある。
ホットメルトのこの問題を解決するため、架橋等による硬化反応によって不可逆的に接着力を向上させる反応性ホットメルト接着剤が開発されている。
中でも、イソシアネート化合物を使用せず、低毒性を訴求する反応性ホットメルトの開発が進められてきている。
特許文献1では、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体、粘着付与樹脂、及びチクソ性付与剤等を特定の割合で含有する硬化性組成物、並びに反応性ホットメルト接着剤が開示されている。特許文献1の特徴は、このような組成物とすることにより、耐熱接着性に優れると共に、施工時の可使時間が長く、さらに毒性の少ない湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤を提供できる点にある。
特許文献2では、反応性ケイ素基を有する有機重合体、常温で固体の樹脂、及び反応性ケイ素基を有するシランカップリング剤等を含有する湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤及びその塗布方法が開示されている。特許文献2の特徴は、このような組成物とすることにより、加熱溶融時の熱安定性と塗工後の室温での硬化性を両立でき、かつ毒性の少ない湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤を提供できる点にある。
特開2009−24107号公報 国際公開2012/053478号
しかしながら、特許文献1,2に開示のホットメルト接着剤は従来の汎用ホットメルト接着剤に比較して耐熱性が向上しているものの、高温下での接着力維持効果が十分ではなく、この点での耐熱性が満足できる接着剤はいまだ得られていない。
そこで、本発明は、高度な耐熱性を有し、特に、高温下での接着力維持効果に優れた反応性ホットメルト接着剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、架橋性ケイ素基を有する有機重合体と、架橋性ケイ素基を有する樹脂を併用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、次の反応性ホットメルト接着剤組成物が提供される。
(1)(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体と、(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂と、を含有し、前記(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂は、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂に架橋性ケイ素基が結合している樹脂である、反応性ホットメルト接着剤組成物。
(2)水酸基及び/又はカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂は、未水添のテルペンフェノール樹脂である、(1)に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
(3)(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂中の架橋性ケイ素基の結合量は、水酸基及び/又はカルボキシル基に対する当量の10〜90%である、(1)又は(2)に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
本発明の別の観点の発明によれば、未水添のテルペンフェノール樹脂と、該テルペンフェノール樹脂の水酸基価に対する当量の10%〜90%に相当する量の架橋性ケイ素基含有化合物とを反応させ、架橋性ケイ素基を有する樹脂を得る工程、及び架橋性ケイ素基を有する有機重合体と、前記架橋性ケイ素基を有する樹脂とを、撹拌装置に投入し、80〜150℃で加熱しながら撹拌混合する工程、を備える、反応性ホットメルト接着剤組成物の製造方法が提供される。
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体と、(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂とを含有する組成物であることによって、湿気により良好な架橋反応が進行し、強固で高耐熱性の硬化物が得られるので、高温時の接着力維持に優れる。
耐熱クリープ試験の概略図である。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体[(A)成分]と、(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂[(B)成分]と、を含有する組成物であることを特徴とする。(B)成分は、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂に架橋性ケイ素基が結合している樹脂である。以後、本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物を単に本発明の接着剤組成物と称することもある。
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、湿気硬化型接着剤として使用される組成物であり、空気中の湿気によって硬化して接着する接着剤である。すなわち、熱により(A)成分及び(B)成分が軟化して接着面に対する塗布が容易となり、塗付後、空気中の湿気により(A)及び(B)成分が有する架橋性ケイ素基が水分と反応し、架橋硬化することによって被接着物を強固に接着することができる。
以下、本発明の接着剤組成物の各成分について説明する。
(A)成分;架橋性ケイ素基を有する有機重合体
(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体の架橋性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である。架橋性ケイ素基としては、例えば、一般式(1)で示される基が好ましい。
式(1)中、Rは、有機基を示す。なお、Rは、炭素数が1〜20の炭化水素基が好ましい。これらの中でRは、特にメチル基が好ましい。Rは、置換基を有していてもよい。Xは水酸基又は加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する場合、複数のXは同一であっても、異なっていてもよい。aは1、2又は3の整数である。
Xで示される加水分解性基としては、特に限定されないが、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの中では、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ない基の方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが、メトキシ基やエトキシ基が好ましい。
架橋性ケイ素基の具体例としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基(−Si(OR)、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基(−SiR(OR))が挙げられる。ここでRはメチル基やエチル基等のアルキル基である。トリアルコキシシリル基はジアルコキシシリル基よりも反応性が大きく速硬化性の組成物を調製できる。また、ジアルコキシシリル基はトリアルコキシシリル基より安定であるので安定な組成物を調製できる。
(A)成分中の架橋性ケイ素基は1種類であっても、2種類以上が混在していてもよい。架橋性ケイ素基は、有機重合体の主鎖、側鎖、又はその両者のいずれに結合していてもよい。(A)成分の有機重合体において、架橋性ケイ素基は、有機重合体1分子中に平均して1.0個以上5.0個以下存在することが好ましく、1.1個以上3.0個以下存在することがより好ましい。有機重合体1分子中に含まれる架橋性ケイ素基の数が1個未満になると硬化性が不十分になり、また、5.0個を超えると網目構造があまりに密になるため良好な機械特性を示さなくなる。
(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体の主鎖骨格の例としては、ポリオキシアルキレン系重合体;ポリオレフィン系重合体、水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;ポリエステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系重合体等のビニル系重合体;これらの有機重合体に、さらにビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
また、これらの骨格は、(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体の中に単独で含まれていても、2種類以上がブロック又はランダムに含まれていてもよい。
ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物の脆さがよく改善されることから好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く深部硬化性に優れることから特に好ましい。
主鎖骨格がオキシアルキレン系重合体であり末端に架橋性ケイ素基を有するポリマーは、本質的に一般式(2)で示される繰り返し単位を有する重合体である。



[式(2)中、Rは、炭素数が1〜14の直鎖又は分岐アルキレン基であり、炭素数が2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基が好ましい。]
一般式(2)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCHCHCHO−等が挙げられる。架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体からなる主鎖骨格が好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量としては15,000以上が好ましく、18,000以上がより好ましく、20,000以上が更に好ましい。また、50,000以下が好ましく、40,000以下がより好ましい。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量である。数平均分子量が15,000未満の場合、引張モジュラスや破断時伸びが十分でない場合があり、50,000を超えると組成物の粘度が大きくなり作業性が低下することがある。
ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基の含有量を適度な割合に制御すると、硬化物における架橋密度が低下するので、より柔軟な硬化物になり、モジュラス特性が小さくなると共に破断時伸び特性が大きくなる。ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基は、重合体1分子中に平均して1.2個以上2.8個以下存在することが好ましく、1.3個以上2.6個以下存在することがより好ましく、1.4個以上2.4個以下存在することが更に好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は直鎖状でも分岐を有してもよい。引張モジュラスを小さくする観点からは、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は直鎖状の重合体が好ましい。また、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は2以下、特には1.6以下が好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えば、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、あるいは、複金属シアン化物錯体触媒による重合法等が挙げられるが、特に限定されない。複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば、Mw/Mnが1.6以下である高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合部等の他の構造単位を含んでいてもよい。ウレタン結合部としては、例えば、トルエンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られる構造単位を挙げることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体への架橋性ケイ素基の導入は分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を有する官能基、及び架橋性ケイ素基を有する化合物を反応させることにより可能である(以下、高分子反応法という)。
高分子反応法の例として、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に架橋性ケイ素基を有するヒドロシランや、架橋性ケイ素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得る方法を挙げることができる。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させて得ることができる。
また、高分子反応法の他の例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、イソシアネート基、及び架橋性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法や、末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、水酸基やアミノ基等の活性水素基、及び架橋性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法を挙げることができる。イソシアネート化合物を用いると、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を容易に得ることができる。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、1種類であっても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の架橋性ケイ素基を有する有機重合体の主骨格の1種である、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造用のモノマーとしては、各種のモノマーを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸系モノマー;(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;脂環式(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;芳香族(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共にビニル系モノマーを共重合することもできる。ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、無水マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。また、単量体単位(以下、他の単量体単位とも称する)として、これら以外にアクリル酸を含有してもよい。
これらのモノマーは、1種を単独重合させても、複数種を共重合させてもよい。有機重合体の接着性能等の物性の点において、複数種類のモノマーを含むモノマー組成物の共重合体が好ましい。例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、並びに必要に応じて(メタ)アクリル酸系モノマー及び/又は他のビニルモノマーを含むモノマー組成物を重合させた、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体がより好ましい。更に、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを併用することで、(メタ)アクリル酸エステル系重合体中のケイ素基の数を制御できる。接着性の点で、メタクリル酸エステルモノマーを必須として含むモノマー組成物の共重合体が特に好ましい。また、低粘度化、柔軟性付与を訴求する場合には、アクリル酸エステルモノマーを適宜用いることが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法は、例えば、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端等の制御された位置に架橋性ケイ素基を導入できる制御ラジカル重合法が挙げられる。ただし、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物等を用いるフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなる。したがって、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得る場合には、制御ラジカル重合法を用いることが好ましい。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられる。原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radical Polymerization;ATRP)等のリビングラジカル重合法を採用することが好ましい。なお、主鎖骨格が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、その一部がテレケリックポリマーである重合体(以下、「疑似テレケリックポリマー」という。)を合成する反応として、架橋性ケイ素基を有するチオール化合物を用いた反応や、架橋性ケイ素基を有するチオール化合物、及びメタロセン化合物を用いた反応が挙げられる。
以上例示した架橋性ケイ素基を有する有機重合体は、1種類であっても、2種類以上を併用してもよい。具体的には、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される2種類以上をブレンドした有機重合体を用いることができる。特に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした有機重合体が優れた特性を有する。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした有機重合体の製造方法としては、様々な方法が挙げられる。例えば、架橋性ケイ素基を有し、主骨格の構造単位が実質的に、一般式(3)、及び一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構造単位からなる共重合体に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法が挙げられる。

[式(3)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数が1〜5のアルキル基を示す。好ましくは、炭素数が1〜2のアルキル基が挙げられる。なお、Rは単独でもよく、2種以上が混合していてもよい。]
[式(4)中、Rは式(3)と同じ、Rは炭素数が6以上のアルキル基を示す。好ましくは2−エチルヘキシル基、ステアリル基等の炭素数が8〜20の長鎖のアルキル基が挙げられる。なお、Rは単独でもよく、2種以上が混合していてもよい。]
ここで、「実質的に」とは、共重合体中に存在する式(3)及び式(4)の構造単位の合計が50質量%を越えることを意味する。式(3)及び式(4)の構造単位の合計は好ましくは70質量%以上である。また式(3)の構造単位と式(4)の構造単位との存在比は、質量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40が更に好ましい。
架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の数平均分子量は、600以上10,000以下が好ましく、1,000以上5,000以下がより好ましく、1,000以上4,500以下が更に好ましい。数平均分子量をこの範囲とすることにより、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体との相溶性が向上する。架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、1種類であっても、2種類以上を併用してもよい。架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体との配合比には特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とポリオキシアルキレン系重合体との合計100質量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が20質量部以上70質量部以下の範囲内であることが好ましく、30質量部以上60質量部以下の範囲内がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体が70質量部より多いと粘度が高くなり、作業性が悪化する可能性がある。また、20質量部未満だと初期接着性が不足する可能性がある。
更に、本発明においては架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体とをブレンドした有機重合体も用いることができる。
また、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドして得られる有機重合体の製造方法としては、他にも、架橋性ケイ素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合する方法を利用できる。
(B)成分;架橋性ケイ素基を有する樹脂
(B)成分は、水酸基及び/又はカルボキシル基含有熱可塑性樹脂に架橋性ケイ素基が導入された樹脂である。
当該水酸基及び/又はカルボキシル基含有熱可塑性樹脂[以後、(B)成分用熱可塑性樹脂と称する場合もある。]としては、天然系樹脂やその変性物、合成系樹脂のいずれであってもよく、例えばテルペンフェノール樹脂やその水添物、水酸基及び/又はカルボキシル基含有ロジンやその誘導体、キシレン樹脂、フェノール等で変性したキシレン樹脂等を挙げることができる。
特に、(A)成分との相溶性が良好な点において、天然系樹脂やその変性物が好ましく、例えばテルペンフェノール樹脂やその水添物、水酸基及び/又はカルボキシル基含有ロジンやその誘導体を挙げることができる。天然系樹脂やその変性物を用いる場合、テルペンフェノール樹脂やその水添物では、水酸基がイソシアネート基又はエポキシ基を有する架橋性ケイ素基含有化合物と反応することによって架橋性ケイ素基が導入される。また、水酸基及び/又はカルボキシル基含有ロジン等の場合には、水酸基及び/又はカルボキシル基が、イソシアネート基又はエポキシ基を有する架橋性ケイ素基含有化合物と反応することによって架橋性ケイ素基が導入される。
架橋性ケイ素基を導入する(B)成分用熱可塑性樹脂としては、未水添のテルペンフェノール樹脂を用いることが特に好ましい。他成分との相溶性が良好で、かつ接着性能が特に優れる組成物とすることができるからである。
(B)成分用熱可塑性樹脂として、例えば、テルペンフェノール樹脂を用いる場合には、テルペンフェノール樹脂の水酸基価が30〜250KOHmg/gのものが好ましく、50〜200KOHmg/gのものがより好ましく、100〜150KOHmg/gのものが特に好ましい。具体的には、ヤスハラケミカル株式会社製のYSポリスターT、YSポリスターS、YSポリスターG、YSポリスターN、YSポリスターK等が挙げられる。
(B)成分用熱可塑性樹脂に導入する架橋性ケイ素基としては、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る基であり、(A)成分の架橋性ケイ素基と同様のものであってよい。
上記の通り、架橋性ケイ素基は(B)成分用熱可塑性樹脂の水酸基及び/又はカルボキシル基との反応により導入される。よって、(B)成分中の架橋性ケイ素基量は、(B)成分用熱可塑性樹脂が有する水酸基及び/又はカルボキシル基に対する当量の10〜90%であることが好ましく、30〜70%であることが特に好ましい。すなわち、(B)成分用熱可塑性樹脂の水酸基価に対する当量の10〜90%、好ましくは30〜70%に相当する量の架橋性ケイ素基含有化合物を、(B)成分用熱可塑性樹脂と反応させることが好ましい。また、(B)成分用熱可塑性樹脂の水酸基価の大小を考慮して、上記範囲内で所望の架橋性ケイ素基導入率とすればよい。
架橋性ケイ素基の導入率が低すぎると耐熱性が不十分となる可能性があり、高すぎると(A)成分との相溶性が悪くなる可能性がある。
(B)成分用熱可塑性樹脂中に架橋性ケイ素基を導入する具体的方法としては、例えば次の方法を挙げることができる。
(B)成分用熱可塑性樹脂と、イソシアネート基又はエポキシ基を有する架橋性ケイ素基含有化合物とを混合容器に添加し、撹拌しながら反応させる。さらに、反応を促進するために、70℃〜100℃程度に加熱するか、又は錫等の触媒を添加しても良い。
イソシアネート基又はエポキシ基を有する架橋性ケイ素基含有化合物の具定例としては、イソシアネートシランやエポキシシランを挙げることができる。これらのシラン化合物は、市販品を用いてもよく、イソシアネートシランとして、KBE−9007(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン;信越化学工業株式会社製)、エポキシシランとして、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業株式会社製)を例示できる。
また、二級アミノシラン化合物にイソシアネート化合物を反応させたものを用いても良い。さらに、アミノ基を有する化合物と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とをマイケル付加して得られる化合物であって、架橋性ケイ素基を有するマイケル付加物にイソシアネート化合物を反応させたものを用いても良い。
二級アミノシラン化合物としては、市販品を用いてもよく、KBM−573(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業株式会社製)を例示できる。
架橋性ケイ素基を有するマイケル付加物の製法の例としては次のものが挙げられる。
(a)架橋性ケイ素基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、架橋性ケイ素基を有さずアミノ基を有する化合物とを反応させる。
(b)架橋性ケイ素基を有さず(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、架橋性ケイ素基とアミノ基を有する化合物とを反応させる。
(c)架橋性ケイ素基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、架橋性ケイ素基とアミノ基を有する化合物とを反応させる。
以後、架橋性ケイ素基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を(メタ)アクリロイルシランともいい、架橋性ケイ素基とアミノ基を有する化合物をアミノシランともいう。
(メタ)アクリロイルシランの例としては3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
アミノシランの例としては3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、この他特殊アミノシランである信越化学工業株式会社製、商品名:KBM6063、X−12−896、KBM576、X−12−565、X−12−580、X−12−806、X−12−666、X−12−5263、KBM6123、X−12−577、X−12−575、X−12−563B、X−12−562等のアミノシラン化合物が挙げられる。これらの中では1級アミノ基を有する化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
架橋性ケイ素基を有さずアミノ基を有する化合物の例としてはエチルアミン、アリルアミン、イソプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン、2−エチルヘキシルオキシルプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、ステアリルアミン、2−フェニルエチルアミン等のモノ1級アミン化合物、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、2−ピロリドン、各種イミダゾール化合物、ピロリジン、ピペリジン、1−ベンジルピペラジン等の2級アミン化合物、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン等の1級及び2級アミノ基を有する化合物等を用いることができる。これらの中では1級アミノ基を有する化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
架橋性ケイ素基を有さず(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、2−シアノアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステルなどが好適な例として挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物との反応条件は特に制限はないが、両化合物の架橋性ケイ素基の有無に関係なく両者を−20℃〜120℃で、0.5〜1000時間程度混合反応を行うことが好適である。両者の反応は、室温〜120℃でよいが、必要に応じて冷却してもよい。該反応は、有機溶媒等の媒体の存在下行っても良く、1000時間を超えて行っても何ら問題はない。該反応時におけるアミンと(メタ)アクリロイル化合物との配合比は、アミン1モル中の活性水素をγ個とし、(メタ)アクリロイル化合物1モル中のアミノ基と反応する官能基数をδ個とした場合、アミノシラン1モルに対して(メタ)アクリロイルシランを1/δ〜γモルの範囲となるようにすることが好ましい。
上記二級アミノシラン化合物、又は架橋性ケイ素基を有するマイケル付加物に反応させるイソシアネート化合物としては、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、一般的には1分子中にイソシアネート基を2〜5個含む化合物が好ましい。イソシアネート基はアルキレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基等にイソシアネートが結合しているものが好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(異性体の各種混合物を含む)、ジフェニルメタンジイソシアネート(異性体の各種混合物を含む)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナト−ヘキサン等の脂肪族ジイソシアネートや脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアナト)チオフォスフェート、芳香族トリイソシアネート等のトリイソシアネート、前記イソシアネート類のウレタン化変性品、イソシアヌレート化変性品、カルボジイミド化変性品、ビューレット化変性品、粗製トリレンイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレン・ポリフェニルイソシアネート等の多官能性イソシアネート等が挙げられる。
反応性ホットメルト接着剤組成物中の(A)及び(B)成分の配合割合としては、(A)成分100質量部に対して、(B)成分が10質量部以上500質量部以下が好ましく、30質量部以上250質量部以下がより好ましい。10質量部より少ないと初期接着性が発現しない場合がある。また、(B)成分が500質量部より多いと硬化後の物性が脆くなる場合がある。
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、任意に、(A)及び(B)成分以外の他の成分を含有してもよい。該他の成分としては、硬化触媒、充填材、接着性付与剤、希釈剤、可塑剤、水分吸収剤、引張り特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、染料、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、等を挙げることができる。
硬化触媒の具体例としては、アルキルチタン酸塩、有機珪素チタン酸塩、ビスマストリス−2−エチルヘキソエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の如きカルボン酸の金属塩:ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等の如きアミン塩:並びに他の酸性触媒および塩基性触媒をあげることができる。これらの中では有機錫化合物が好ましい。硬化触媒は(A)成分の硬化触媒として作用する。硬化触媒を使用する場合、(A)成分100質量部に対し、通常0.1〜20質量部の範囲、好ましくは0.2〜10質量部の範囲で使用するのが好ましい。
充填材の例としては、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、硬化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華などの如き充填剤;ガラスバルーン、シラスバルーンなどの如き中空充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤等が使用できる。
接着性付与剤としては、各種シランカップリング剤を例示できる。シランカップリング剤の具体例としては、例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シラン類;ビニルトリメトキシシランなどのビニル型不飽和基含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート基含有シラン類などをあげることができ、これらシランカップリング剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
次に、本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物の一実施形態の製造方法について説明する。
(A)及び(B)成分、並びに所望によりその他の成分を任意の順に撹拌(混合)装置に投入して、80〜150℃、より好ましくは100〜120℃程度に加熱しながら各配合成分が均一になるまで撹拌混合することにより製造することができる。
つづいて、本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物の使用方法(接着方法)について説明する。
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、公知の反応性ホットメルト接着剤と同様の方法で使用することができ、組成物を70〜140℃に加熱して被接着物に塗布して接着面を貼り合せることにより接着することができる。組成物は接着面の一方にのみ塗布してもよく、両方の接着面に塗布してもよい。
本発明の接着剤組成物は反応性ホットメルト接着剤として種々の用途や基材の貼り合せに用いられる。用途は特に限定されるものではないが例えば、建築、自動車、電気・電子部品及び製品、繊維・皮革・衣料用途などが挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
数平均分子量は、特に指定がない限りゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定した。下記測定条件でGPCにより測定し、標準ポリスチレンで換算した最大頻度の分子量を「数平均分子量」と称する。
・分析装置:Alliance(Waters社製)、2410型示差屈折検出器(Waters社製)、996型多波長検出器(Waters社製)、Milleniamデータ処理装置(Waters社製)
・カラム:PlgelGUARD+5μmMixed−C×3本(50×7.5mm,300×7.5mm:PolymerLab社製)
・流速:1mL/分
・換算したポリマー:ポリスチレン
・測定温度:40℃
・GPC測定時の溶媒:THF
(合成例1)トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系有機重合体A1の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、酢酸エチルを40.00g、メチルメタクリレート70.00g、2−エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)30.00g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製)12.00g、及び金属触媒としてチタノセンジクライド0.10gを仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。ついで、充分に窒素ガス置換した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを撹拌下にフラスコ内に一気に添加した。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを添加後、撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が80℃に維持できるように、加熱及び冷却を4時間行った。さらに、充分に窒素ガス置換した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを撹拌下に5分かけてフラスコ内に追加添加した。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30g全量を追加添加後、撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、さらに冷却及び加温を行いながら、反応を4時間行った。合計で8時間5分間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20.00g添加して重合を停止し、トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系有機重合体A1を得た。ピークトップ分子量は4000、分子量分布は2.4であった。H1−NMR測定により含有されるトリメトキシシリル基は1分子あたり2.00個であった。
(合成例2)架橋性ケイ素基を有する樹脂B1の合成
500mlのセパラブルフラスコに、YSポリスターG150(商品名)(テルペンフェノール樹脂、ヤスハラケミカル株式会社製、水酸基価;130mg/KOHg)100gを含有する、該樹脂の50%酢酸エチル溶液200g、KBE−9007(商品名)(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業株式会社製)28.7g(YSポリスターG150の水酸基価に対する当量の50%)、及びネオスタン(登録商標)U−100(ジブチル錫ジラウレート、日東化成株式会社製)0.13gを加え、70℃下で8時間混合撹拌して反応させることにより、B1の酢酸エチル溶液を得た。
B1のIRスペクトル測定の結果、イソシアネート基(−NCO)の吸収ピークが消失し、新たにウレタン結合の−C=Oによる吸収ピークが生じていることを確認した。
(合成例3)架橋性ケイ素基を有する樹脂B2の合成
500mlのセパラブルフラスコに、イソボルニルアクリレート24.2g、KBM−903(信越化学工業株式会社製)20.8gを加え、50℃下で24時間混合撹拌した。次に、イソホロンジイソシアネート25.8gを加え、23℃下で3時間反応させた。その後、YSポリスターG150の50%酢酸エチル溶液200g、及びネオスタンU−100を0.18g加えて70℃下で8時間混合撹拌して反応させることにより、B2の酢酸エチル溶液を得た。架橋性ケイ素基の導入量は、YSポリスターG150の水酸基価に対する当量の50%であった。
B2のIRスペクトル測定の結果、イソシアネート基(−NCO)の吸収ピークが消失し、新たにウレタン結合の−C=Oによる吸収ピークが生じていることを確認した。
(実施例1)
表1に示す配合割合で(A)成分と(B)成分、酸化防止剤とを、撹拌装置付き耐圧容器に入れて100℃減圧下で撹拌混合することで酢酸エチルを留去した後、さらに硬化触媒と接着性付与剤を添加し、5分間100℃減圧下で再度撹拌混合することで組成物1を得た。なお、表1のB1の量は酢酸エチルを含まない量である(後述の実施例2のB2も同じ)。
(組成物1の性能評価;耐熱クリープ試験)
110℃に加温した組成物1を、キャンバス(幅25mm×長さ80mm)に厚さ100μmで塗布し、アルミ板(幅25mm×長さ75mm)を貼り合わせ、2kgのローラーを2往復させ圧締した後、23℃、湿度50%RH環境下で1週間静置して試験体1を得た。得られた試験体1を水平に固定し、キャンバスとアルミ板との接着部が幅25mm×長さ50mmとなるようにキャンバスの一端をアルミ板から25mmの長さ分だけ剥がし、接着面に対して90度方向に荷重がかかるように錘(500g)をぶら下げた。試験開始時の状態を図1に示す。
70℃及び80℃下で24時間放置し、その間にキャンバスがアルミ板から剥がれた距離(剥離距離;mm)を測定した。剥がれた距離は、試験開始時の初期状態を基準(0mm)として測定した。結果を表1に示す。
(実施例2、比較例1〜3)
表1に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、実施例1と同様に組成物2〜5を製造した。
(組成物2〜5の性能評価;耐熱クリープ試験)
実施例1と同様にして組成物2〜5を用いた試験体2〜5を作成し、試験体1と同様に耐熱クリープ試験を実施した。結果を表1に示す。
比較例2は特許文献1に開示の硬化性組成物に準拠した組成であり、比較例3は特許文献2に開示の硬化性組成物に準拠した組成である。
表1から明らかなように、本願の発明に係る実施例の反応性ホットメルト接着剤組成物は、70℃及び80℃の高温下に24時間曝露しても、キャンバスはアルミ板から全く剥離することなく、強固な接着力を維持している。一方、各比較例の組成物は、当該曝露によりキャンバスが完全にアルミ板から剥離する結果となった。
すなわち、実施例の各組成物は、耐熱性クリープ試験の評価が比較例の各組成物に比較して顕著に優れており、耐熱性に非常に優れた接着性能を示すことが証明された。
1 キャンバス
2 アルミ板
3 錘

Claims (4)

  1. (A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体と、
    (B)架橋性ケイ素基を有する樹脂と、を含有し、
    前記(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂は、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂に架橋性ケイ素基が結合している樹脂である、
    反応性ホットメルト接着剤組成物。
  2. 前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂は、未水添のテルペンフェノール樹脂である、
    請求項1に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
  3. 前記(B)架橋性ケイ素基を有する樹脂中の架橋性ケイ素基の結合量は、前記水酸基及び/又はカルボキシル基に対する当量の10〜90%である、
    請求項1又は2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
  4. 未水添のテルペンフェノール樹脂と、該テルペンフェノール樹脂の水酸基価に対する当量の10%〜90%に相当する量の架橋性ケイ素基含有化合物とを反応させ、架橋性ケイ素基を有する樹脂を得る工程、及び
    架橋性ケイ素基を有する有機重合体と、前記架橋性ケイ素基を有する樹脂とを、撹拌装置に投入し、80〜150℃で加熱しながら撹拌混合する工程、を備える、
    反応性ホットメルト接着剤組成物の製造方法。
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