[go: up one dir, main page]

JP2018043898A - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

SiC単結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018043898A
JP2018043898A JP2016178882A JP2016178882A JP2018043898A JP 2018043898 A JP2018043898 A JP 2018043898A JP 2016178882 A JP2016178882 A JP 2016178882A JP 2016178882 A JP2016178882 A JP 2016178882A JP 2018043898 A JP2018043898 A JP 2018043898A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solution
melt
single crystal
crucible
sic single
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016178882A
Other languages
English (en)
Inventor
寛典 大黒
Hironori Oguro
寛典 大黒
和明 関
Kazuaki Seki
和明 関
楠 一彦
Kazuhiko Kusunoki
一彦 楠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2016178882A priority Critical patent/JP2018043898A/ja
Publication of JP2018043898A publication Critical patent/JP2018043898A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

【課題】メルトバックを行っても、成長させるSiC単結晶中のボイド密度を低減することができるSiC単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】坩堝内に入れられ、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、坩堝の周囲に配置された加熱装置を用いて、坩堝中に投入された原料を加熱してSi融液を形成すること、Si融液をさらに加熱してSi−C溶液を形成し、Si融液を形成してから47分以上経過後に、種結晶基板を、炭素が未飽和の状態のSi−C溶液に着液させて、種結晶基板のメルトバックを行うこと、及びメルトバックを行った後に、種結晶基板からSiC単結晶を成長させること、を含む、SiC単結晶の製造方法。【選択図】図1

Description

本開示はSiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
従来、SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥が生じやすい等の欠点を有するが、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されており、成長結晶の欠陥を低減する試みも行われている。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液またはSi以外の金属を融解したSi融液を形成し、その融液中にCを溶解させ、低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、低欠陥化が期待できる。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されている(特許文献1)。
国際公開第2011/007458号
特許文献1では、C(炭素)が未飽和の状態のSi融液に、SiC種結晶基板を接触させてメルトバックを行い、シードタッチに起因する欠陥の発生を防止する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1等の従来技術において、メルトバックを行ってシードタッチに起因する欠陥の発生を防止しても、成長させるSiC単結晶中にボイドが発生し得ることが分かった。
そのため、メルトバックを行っても、成長させるSiC単結晶中のボイド密度を低減することができるSiC単結晶の製造方法が望まれている。
本開示は、坩堝内に入れられ、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
坩堝の周囲に配置された加熱装置を用いて、坩堝中に投入された原料を加熱してSi融液を形成すること、
Si融液をさらに加熱してSi−C溶液を形成し、Si融液を形成してから47分以上経過後に、種結晶基板を、炭素が未飽和の状態のSi−C溶液に着液させて、種結晶基板のメルトバックを行うこと、及び
メルトバックを行った後に、種結晶基板からSiC単結晶を成長させること、
を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、メルトバックを行っても、成長させるSiC単結晶中のボイド密度を低減することが可能になる。
図1は、本開示の方法の昇温プロファイルの一例を示すグラフである。 図2は、本開示の方法において使用し得る単結晶製造装置の一例を表す断面模式図である。 図3は、実施例で得られた成長結晶を成長面から観察した顕微鏡写真である。 図4は、比較例で得られた成長結晶を成長面から観察した顕微鏡写真である。
本明細書において、(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
従来、メルトバックを行う場合、坩堝内の原料を加熱して溶融させてSi融液を形成し、さらにSi融液を昇温してCを溶解させてSi−C溶液を形成する過程で、種結晶基板をSi−C溶液に着液(以下、シードタッチともいう)することが通常行われている。しかしながら、Si融液が形成された直後はSi融液中に気体の泡が存在し、Si融液が形成された後、すぐにシードタッチを行うと、その後に行う結晶成長工程において、気体の泡が成長結晶に取り込まれてしまうことが分かった。特に、メルトバック厚みを大きくする場合、Si融液が形成されてから比較的短時間でシードタッチを行うため、成長結晶に取り込まれる気体の量も多くなることも分かった。
本発明者は、メルトバックを行っても、さらにはメルトバックの厚みを大きくしても、ボイド密度を低減することができるSiC単結晶の製造方法について鋭意研究を行った。その結果、坩堝内の原料を溶融してSi融液を形成してから所定時間経過させた後、炭素が未飽和の状態のSi−C溶液に種結晶基板を着液させて種結晶基板のメルトバックを行い、次いで結晶成長を行うと、メルトバックを行っても、さらにはメルトバック厚みを大きくしても、成長結晶中のボイド密度を低減することができることを見出した。
本開示は、坩堝内に入れられ、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、坩堝の周囲に配置された加熱装置を用いて、坩堝中に投入された原料を加熱してSi融液を形成すること、Si融液をさらに加熱してSi−C溶液を形成し、Si融液を形成してから47分以上経過後に、種結晶基板を、炭素が未飽和の状態のSi−C溶液に着液させて、種結晶基板のメルトバックを行うこと、及びメルトバックを行った後に、種結晶基板からSiC単結晶を成長させること、を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法においては、Si融液を形成してから47分以上経過後に、種結晶基板を、炭素が未飽和の状態のSi−C溶液に着液させて、種結晶基板のメルトバックを行い、次いで結晶基板からSiC単結晶を成長させる。本開示の方法によれば、メルトバックを行っても、さらにはメルトバックの厚みを大きくしても、成長結晶中のボイド密度を低減することができる。
メルトバックとは、種結晶基板の表面層をSi−C溶液中に溶解させて除去することをいう。メルトバック厚み、すなわち種結晶基板の表面層を溶解する厚みは、種結晶基板の表面の加工状態によって変わるが、加工変質層や自然酸化膜を十分に除去するために、好ましくは20μm以上、より好ましくは40μm以上、さらに好ましくは80μm以上である。
ボイドとは、成長させるSiC単結晶中の間隙である。ボイドは、Si−C溶液中に含まれる気体(ガス)の微小な泡が成長結晶に取り込まれることにより発生すると考えられる。
成長結晶中のボイド密度は、成長結晶を成長面等から顕微鏡観察を行うことにより、計測することができる。
成長させるSiC単結晶中のボイド密度は、好ましくは0.1個/cm以下、より好ましくは0.0個cmである。
坩堝の内壁表面の開気孔及び内壁付近の閉気孔には気体が含まれているが、開気孔中及び閉気孔中の気体が、Si融液及びSi融液にC(炭素)が溶解して形成されたSi−C溶液に取り込まれると考えられる。
坩堝の内壁付近の閉気孔中の気体に関しては、坩堝が加熱されて坩堝のC成分がSi融液中に溶け出してSi−C溶液を形成する際に、坩堝が溶損することにより、Si−C溶液中に取り込まれ得ると考えられる。
Si−C溶液中に取り込まれる気体の全体量に占める割合は、開気孔からの気体の量が大部分を占め、閉気孔からの気体の量は比較的微小であると考えられる。
本開示の方法は、坩堝内に入れられ、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる溶液法を用いる。
溶液法においては、内部(深部)から液面(表面)に向けて、液面に対して垂直方向に温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、SiC種結晶基板を接触させて、SiC単結晶を成長させることができる。Si−C溶液の内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を形成することによって、Si−C溶液の表面領域を過飽和にして、Si−C溶液に接触させた種結晶基板を基点として、SiC単結晶を成長させることができる。
本開示の方法においては、坩堝の周囲に配置された加熱装置を用いて、坩堝中に投入された原料を加熱してSi融液を形成する。
本願において、Si融液とは、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液をいう。Si−C溶液とは、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液を溶媒とするCが溶解した溶液をいう。Xは一種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Cr、Ni、Ce、Co、V、Fe等が挙げられる。
本願において、Si融液を形成とは、坩堝中の原料を加熱して、原料が全て溶融した時点をいう。
Si−C溶液は、原料を坩堝に投入し、加熱融解させて調製したSiまたはSi/Xの融液にCを溶解させることによって調製される。坩堝を、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝とすることによって、坩堝の溶解によりCが融液中に溶解し、Si−C溶液を形成することができる。こうすると、Si−C溶液中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC単結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、または固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった方法を利用してもよく、またはこれらの方法と坩堝の溶解とを組み合わせてもよい。本願においてSi−C溶液とは、Cの溶解量や飽和度に関係なく、Cが溶解したSi融液をいう。
Si−C溶液は、Si/Cr/X(XはSi及びCr以外の1種以上の金属)の融液を溶媒とするSi−C溶液がCの溶解量を多くすることができ、好ましい。さらに、原子組成百分率でSi:Cr:X=30〜80:20〜60:0〜10の融液を溶媒とするSi−C溶液が好ましい。例えば、坩堝内にSiに加えて、Cr、Ni等を投入し、Si−Cr溶液、Si−Cr−Ni溶液等を形成することができる。
坩堝の寸法は特に限定されるものではないが、例えば、内径が70〜120mm、肉厚が10〜25mm、及び坩堝底部内壁から坩堝最上部までの深さが30〜50mmであることができる。
加熱装置は、高周波コイルまたは黒鉛ヒーターであることができる。坩堝の側面の周囲に、高周波コイル等の加熱装置を配置して、坩堝中に投入された原料を加熱してSi融液を形成することができる。
本開示の方法においては、Si融液をさらに加熱してSi−C溶液を形成し、Si融液を形成してから47分以上経過後に、種結晶基板を、炭素が未飽和の状態のSi−C溶液に着液させて、種結晶基板のメルトバックを行う。
図1に、本開示の方法の昇温プロファイルの一例を表すグラフを示す。図1は、坩堝底部外壁の温度の昇温プロファイルを表している。所定の昇温速度で坩堝中の原料を加熱していくと、原料の溶融が始まり、温度が実質的に一定となる。その後、原料が全て溶融してSi融液が形成されると、再び温度上昇が始まる。この温度上昇開示の時点を基準にして、時間tが経過した後に、種結晶基板をSi−C溶液に着液させるシードタッチを行う、
Si融液を形成してから47分以上経過させる間に、Si融液にはCが溶解してSi−C溶液が形成されていくが、その間に、Si−C溶液の液面から気体を抜け出させることができる。そのため、Si融液を形成してから47分以上経過した後に、好ましくは87分以上経過した後に、種結晶基板を炭素が未飽和の状態のSi−C溶液に着液させることにより、種結晶基板のメルトバックを行い、その後にボイドの発生を抑制しながら結晶成長を行うことができる。Si−C溶液中に気体の泡が含まれていると、着液した種結晶基板に気体の泡が付着し、Si−C溶液の液面から気体を抜け出させることができなくなる。そのため、種結晶基板の着液までに、Si−C溶液の液面から気体を抜け出させることが有効である。
Si融液は、組成にもよるが、約1400〜1500℃程度で形成される。Si融液が形成されたかどうかの判断は、坩堝中の原料を加熱しながら、坩堝底部外壁の温度を測定することにより、行うことができる。坩堝中の原料を加熱してSi融液が形成されるまでは、坩堝底部外壁の温度は上昇するが、原料が溶融し始めると坩堝底部外壁の温度は一定になり、原料が全て溶融してSi融液が形成されると、坩堝底部外壁の温度は再び上昇し始める。坩堝底部外壁の温度が一定の状態から上昇し始めた時点を、Si融液が形成されたと判断する。
Si融液を形成してからシードタッチするまでの間、好ましくは、Si融液またはSi−C溶液の温度が上昇し続けるように加熱を続ける。昇温速度は好ましくは3〜12℃/分である。これにより、Si−C溶液のCが未飽和の状態を保ちながら47分以上経過させることができ、シードタッチ直後に種結晶基板から結晶が成長することをより確実に抑制して、メルトバックを直ちに開始することができる。また、さらには、Si−C溶液中のCの含有量を増加することができるのでシードタッチしてメルトバックを行った後、すぐに結晶成長を行うことができる。また、Si融液またはSi−C溶液の温度が上昇し続けるように加熱を続けることにより、坩堝の内壁が溶損してCが溶け出すことにより、結晶成長温度に昇温する際に発生し得る閉気孔中の気体もSi−C溶液の液面から抜け出させることができる。
好ましくは、シードタッチした後も、Si−C溶液の温度が上昇し続けるように加熱を続ける。昇温速度は好ましくは2〜8℃/分である。これにより、シードタッチした後もCが未飽和の状態をより確実に保ちながら、メルトバックを安定して継続することができ、さらには、種結晶基板のメルトバック厚みを大きくし、またはメルトバックをより短時間で行うことができる。
メルトバックは、種結晶基板直下のSi−C溶液の表面領域のCを未飽和の状態にすることによって行うことができる。Si−C溶液の表面領域のCを未飽和の状態にするには、Si−C溶液の表面領域の温度を上げ続けるか、またはSi−C溶液の表面領域において内部から溶液の液面に向けて温度が増加する温度勾配、すなわち、SiC単結晶成長とは逆方向の温度勾配をSi−C溶液に形成することにより行うことができる。坩堝の周囲に配置された高周波コイル等の加熱装置によって、Si−C溶液の温度を上げ続けてもよく、あるいは、高周波コイルの出力を制御することによって上記逆方向の温度勾配を形成してもよい。
メルトバック時間、すなわち、シードタッチしてからメルトバックを終了するまでの時間は、メルトバック厚みによって調整すればよく、例えば5〜30分にすることができる。
本開示の方法においては、メルトバックを行った後に、種結晶基板からSiC単結晶を成長させる。Si−C溶液の内部(深部)から液面に向けて温度低下する鉛直方向の温度勾配を形成して、種結晶基板からSiC単結晶を成長させることができる。Si−C溶液の表面領域におけるCの溶解量を過飽和にして、種結晶基板からSiC単結晶を成長させることができる。
図2に、本開示の方法を実施し得るSiC単結晶製造装置の一例を示す。図示したSiC単結晶製造装置100は、SiまたはSi/Xの融液中にCが溶解してなるSi−C溶液24を収容した坩堝10を備え、昇降可能な種結晶保持軸12の先端に保持された種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させたまま維持することができ、Si−C溶液の内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成して、種結晶基板14からSiC単結晶を成長させることができる。
本開示の方法に用いられ得る種結晶基板として、例えば昇華法で一般的に作成したSiC単結晶を用いることができる。種結晶基板の全体形状は、例えば板状、円盤状、円柱状、角柱状、円錐台状、または角錐台状等の任意の形状であることができる。
種結晶保持軸12に種結晶基板14を保持させることは、接着剤等を用いて種結晶基板14の上面を種結晶保持軸12の下端面に接着させることによって行うことができる。
本開示の方法により得られるSiC成長単結晶の直径は、好ましくは50mm以上である。本開示の方法によれば、上記直径の範囲の全体にわたってボイド密度を低減したSiC単結晶を得ることができる。
本開示の方法により得られるSiC成長単結晶の成長厚みは、好ましくは5mm以上である。本開示の方法によれば、上記厚みの範囲の全体にわたってボイド密度を低減したSiC単結晶を得ることができる。
結晶成長させる際のSi−C溶液は、その液面(表面)温度が、Si−C溶液へのCの溶解量の変動が少ない1800〜2200℃が好ましい。
坩堝底部外壁の温度測定は、放射温度計を用いて行うことができる。Si−C溶液の液面(表面)及び表面領域の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
保温のために、坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。これらが一括して、石英管26内に収容されている。石英管26の外周には加熱装置として高周波コイル22が配置されている。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置される。水冷チャンバーは、装置内の雰囲気調整を可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備える。
結晶成長させる際、高周波コイル22の巻数及び間隔、高周波コイル22と坩堝10との高さ方向の位置関係、並びに高周波コイルの出力を調整することによって、Si−C溶液24に種結晶基板14が接触する溶液上部が低温、溶液下部(内部)が高温となるようにSi−C溶液24の液面に垂直方向の温度勾配を形成することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる温度勾配を形成することができる。温度勾配は、例えば溶液の液面からの深さがおよそ1cmまでの範囲で10〜50℃/cmにすることができる。
Si−C溶液24中に溶解したCは、拡散及び対流により分散される。高温で溶解度の大きい溶液内部に溶け込んだCが、低温で溶解度の低い種結晶基板付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板14上にSiC結晶を成長させることができる。
(実施例1)
直径が50.8mm、厚みが0.5mmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意して、種結晶基板14として用いた。
直径が12mm、長さが20cmの円柱形状の黒鉛軸を、種結晶保持軸12として用意した。
用意した種結晶基板14の上面を、種結晶保持軸12の端面に、カーボン接着剤を用いて接着した。
図2に示す単結晶製造装置100を用い、内径が100mmの黒鉛坩堝10にSi/Cr/Niを、原子組成百分率でSi:Cr:Ni=55:40:5の割合で融液原料として仕込んだ。
単結晶製造装置100の内部の空気をアルゴンで置換した。黒鉛坩堝10の周囲に配置された高周波コイル22に通電して、加熱により黒鉛坩堝10内の原料を加熱した。原料の温度は、坩堝底部外壁の温度として測定した。坩堝底部外壁の温度は、放射温度計を用いて測定した。
原料が溶融し始めるまで、坩堝底部外壁の温度が約40℃/分で昇温するように加熱して、その後も加熱を続けて、Si融液(Si/Cr/Ni合金の融液)を形成した。坩堝底部外壁の温度が一定になった時点を原料の溶融開始と判断し、坩堝底部外壁の温度が一定の状態から上昇し始めた時点を、Si融液が形成されたと判断した。Si融液が形成されたときの坩堝底部外壁の温度は1400℃であった。
Si融液を形成した後も、坩堝10の底部外壁の温度が約10℃/分で昇温するように加熱を続け、Si融液に黒鉛坩堝10からCを溶解させて、Si−C溶液24を形成した。Si融液を形成してから47分後に、種結晶保持軸12に接着した種結晶基板14の下面をSi−C溶液24の液面に平行にして、種結晶基板14の下面の位置を、Si−C溶液24の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液が濡れ上がって種結晶保持軸に接触しないようにSi−C溶液24に種結晶基板14の下面を接触させるシードタッチを行った。種結晶基板の下面をSi−C溶液24に接触させたときの坩堝10の底部外壁の温度1935℃であった。
種結晶基板の下面をSi−C溶液に接触させた後も、坩堝底部外壁の温度が約8℃/分で昇温するように加熱を続けて、メルトバックを行った。メルトバック厚みは87μmであった。
メルトバックを行った後、上段コイル22A及び下段コイル22Bの出力を調節して、Si−C溶液24の内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を形成した。所定の温度勾配が形成されていることの確認は、昇降可能な熱電対を用いて、Si−C溶液24の温度を測定することによって行った。高周波コイル22A及び22Bの出力制御により、Si−C溶液24の液面における温度を2000℃にした。Si−C溶液の液面を低温側として、Si−C溶液の液面における温度と、Si−C溶液24の液面から溶液内部に向けて鉛直方向の深さ1cmの位置における温度との温度差を25℃とした。この状態で10時間保持して、結晶を成長させた。
次いで、坩堝内の温度を室温まで冷却して、種結晶基板14及び成長結晶を、種結晶保持軸12から切り離して回収した。得られた成長結晶は直径52mm及び厚み2.3mmを有していた。得られた成長結晶の直径は、成長面の直径である。得られた成長結晶を成長面から顕微鏡で観察し、ボイド密度を測定した。ボイド密度は0.1個/cmであった。
(実施例2)
原料が溶融し始めるまで、坩堝底部外壁の温度が約40℃/分で昇温するように加熱し、1439℃でSi融液を形成してから87分後に、坩堝底部外壁の温度が1963℃のときにシードタッチを行うようにしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、メルトバック及び結晶成長を行い、成長結晶の回収を行った。メルトバック厚みは83μmであり、ボイド密度は0.0個/cmであった。図3に、得られた成長結晶を成長面から観察した顕微鏡写真を示す。
(比較例1)
原料が溶融し始めるまで、坩堝底部外壁の温度が約40℃/分で昇温するように加熱し、1412℃でSi融液を形成してから25分後に坩堝底部外壁の温度が1932℃のときにシードタッチを行うようにしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、メルトバック及び結晶成長を行い、成長結晶の回収を行った。メルトバック厚みは105μmであり、ボイド密度は0.5個/cmであった。図4に、得られた成長結晶を成長面から観察した顕微鏡写真を示す。
表1に、実施例1及び2並びに比較例1における、Si融液を形成してからシードタッチまでの時間、メルトバック厚み、及びボイド密度を示す。
100 単結晶製造装置
10 坩堝
12 種結晶保持軸
14 種結晶基板
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管

Claims (1)

  1. 坩堝内に入れられ、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
    坩堝の周囲に配置された加熱装置を用いて、前記坩堝中に投入された原料を加熱してSi融液を形成すること、
    前記Si融液をさらに加熱してSi−C溶液を形成し、前記Si融液を形成してから47分以上経過後に、種結晶基板を、炭素が未飽和の状態の前記Si−C溶液に着液させて、前記種結晶基板のメルトバックを行うこと、及び
    前記メルトバックを行った後に、前記種結晶基板からSiC単結晶を成長させること、
    を含む、SiC単結晶の製造方法。
JP2016178882A 2016-09-13 2016-09-13 SiC単結晶の製造方法 Pending JP2018043898A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016178882A JP2018043898A (ja) 2016-09-13 2016-09-13 SiC単結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016178882A JP2018043898A (ja) 2016-09-13 2016-09-13 SiC単結晶の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018043898A true JP2018043898A (ja) 2018-03-22

Family

ID=61692830

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016178882A Pending JP2018043898A (ja) 2016-09-13 2016-09-13 SiC単結晶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018043898A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023074174A1 (ja) * 2021-11-01 2023-05-04 住友電気工業株式会社 炭化珪素基板および炭化珪素基板の製造方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011007458A1 (ja) * 2009-07-17 2011-01-20 トヨタ自動車株式会社 SiC単結晶の製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011007458A1 (ja) * 2009-07-17 2011-01-20 トヨタ自動車株式会社 SiC単結晶の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023074174A1 (ja) * 2021-11-01 2023-05-04 住友電気工業株式会社 炭化珪素基板および炭化珪素基板の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5803519B2 (ja) SiC単結晶の製造方法及び製造装置
JP5821958B2 (ja) SiC単結晶及びその製造方法
JP5839117B2 (ja) SiC単結晶及びその製造方法
JP6090287B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP5668724B2 (ja) SiC単結晶のインゴット、SiC単結晶、及び製造方法
JP5983772B2 (ja) n型SiC単結晶の製造方法
JP5801730B2 (ja) 単結晶の製造装置に用いられる種結晶保持軸及び単結晶の製造方法
JP2011251881A (ja) SiC単結晶の製造方法
JP5890377B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP6119732B2 (ja) SiC単結晶及びその製造方法
JP6354615B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP6344374B2 (ja) SiC単結晶及びその製造方法
JP2018043898A (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2017202969A (ja) SiC単結晶及びその製造方法
JP6030525B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP6380267B2 (ja) SiC単結晶及びその製造方法
JP2018150193A (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2016056059A (ja) SiC単結晶製造装置
JP2017226583A (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2015054815A (ja) SiC単結晶及びその製造方法
JP6597113B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2018043907A (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2019052074A (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2019094228A (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2018048044A (ja) SiC単結晶の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20171016

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181015

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190618

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20191217