JP2018032847A - 静止誘導機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】静電シールドが厚くなることを抑制しつつ、静電シールドの外周側および内周側の端部における電界集中を抑制する。【解決手段】鉄心と、鉄心を中心軸として巻き回された巻線と、上記中心軸に沿う方向における巻線の端部の少なくとも一方に隣接して配置された環状の静電シールド150とを備える。静電シールド150は、導体部152および導体部152を被覆する第2絶縁被覆部153を含む。静電シールド150の電位は、巻線における最も高い電位より低い電位である。【選択図】図5
Description
本発明は、静止誘導機器に関し、特に、静電シールドを備える静止誘導機器に関する。
変圧器またはリアクトルなどの静止誘導機器に雷サージなどの衝撃電圧が侵入した場合、巻線内の電位分布は、ターン数に比例した電位分布と比較して急峻になった後、ターン数に比例した電位分布を中心に振動する。この現象は、電位振動と呼ばれる。電位振動の振幅が大きい場合、巻線内において互いに隣接する電線同士の間、および、互いに隣接する巻線同士の間にて大きな電位差が発生し、絶縁破壊が起きることがある。巻線に隣接して静電シールドが設置された場合、巻線と大地との間の静電容量と比較して巻線同士の間の静電容量が大きくなるため、電位振動の振幅が低減される。
従来の静電シールドを備える変圧器においては、巻線の中心軸方向の両端部に、静電シールドが設けられている。静電シールドの外周側の端部および内周側の端部の各々は、曲面で構成されている。静電シールドは、巻線に対して巻線の中心軸方向に締付固定されており、巻線の径方向において巻線の幅と同等の幅を有している(たとえば、特許文献1参照)。
従来の変圧器の静電シールドにおいては、コイルと隣接する側とは反対側にて、外周側の端部および内周側の端部に電界が集中する箇所が存在する。静電シールドの外周側の端部および内周側の端部における電界集中を抑制するために、静電シールドの外周側の端部および内周側の端部の各々の曲率半径を大きくした場合、静電シールドが厚くなり、静止誘導機器が大型化する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、静電シールドが厚くなることを抑制しつつ、静電シールドの外周側の端部および内周側の端部における電界集中を抑制できる、静止誘導機器を提供することを目的とする。
本発明に基づく静止誘導機器は、鉄心と、鉄心を中心軸として巻き回された少なくとも1つの巻線と、上記中心軸に沿う方向における上記少なくとも1つの巻線の端部の少なくとも一方に1対1で対応して隣接して配置された環状の少なくとも1つの静電シールドとを備える。上記少なくとも1つの巻線は、電線部および電線部を被覆する第1絶縁被覆部を含む。上記少なくとも1つの静電シールドは、導体部および導体部を被覆する第2絶縁被覆部を含む。上記少なくとも1つの静電シールドの電位は、上記少なくとも1つの巻線における最も高い電位より低い電位である。
本発明によれば、静電シールドが厚くなることを抑制しつつ、静電シールドの外周側の端部および内周側の端部における電界集中を抑制できる。
以下、本発明の各実施の形態に係る静止誘導機器について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の断面図であって、図1のII−II線矢印方向から見た図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の断面図であって、図2のIII−III線矢印方向から見た図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の分解斜視図であって、図3の矢印IV方向から見た図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の断面図であって、図3のV部を拡大して示す図である。なお、図1においては、静電シールドを図示していない。図4においては、鉄心を図示していない。
図1は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の断面図であって、図1のII−II線矢印方向から見た図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の断面図であって、図2のIII−III線矢印方向から見た図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の分解斜視図であって、図3の矢印IV方向から見た図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器の断面図であって、図3のV部を拡大して示す図である。なお、図1においては、静電シールドを図示していない。図4においては、鉄心を図示していない。
図1〜5に示すように、本発明の実施の形態1に係る静止誘導機器100は、内鉄形の変圧器である。静止誘導機器100は、鉄心110と、鉄心110の主脚部を中心軸として同心円状に巻き回された、低圧巻線120および高圧巻線130と、を備えている。すなわち、静止誘導機器100は、複数の巻線を備えている。
静止誘導機器100は、図示しないタンクをさらに備えている。タンク内には、絶縁媒体および冷却媒体である、絶縁油または絶縁ガスが充填されている。絶縁油は、たとえば、鉱油、エステル油またはシリコン油である。絶縁ガスは、たとえば、SF6ガスまたはドライエアである。鉄心110、低圧巻線120および高圧巻線130は、タンク内に収容されている。
高圧巻線130は、低圧巻線120の外側に位置している。高圧巻線130は、平角電線140を円盤状に巻き回して構成した複数の円盤状巻線が、上記中心軸に沿う方向に積層されることにより構成されている。平角電線140は、横断面にて略矩形状の電線部141および電線部141を被覆する第1絶縁被覆部142を含む。図示していないが、低圧巻線120も高圧巻線130と同様の構成を有している。
静止誘導機器100は、上記中心軸に沿う方向における低圧巻線120および高圧巻線130の各々の端部に隣接して配置された環状の静電シールド150をさらに備えている。なお、本実施の形態では、静電シールド150は、低圧巻線120および高圧巻線130の各々の両方の端部に1対1で対応して隣接して配置されているが、これに限られず、低圧巻線120および高圧巻線130の各々の端部の少なくとも一方に1対1で対応して隣接して配置されていればよい。静止誘導機器100が備える4つの静電シールド150の各々は、電位振動の振幅の低減に加え、低圧巻線120および高圧巻線130の各々の上記中心軸に沿う方向における端部への電界集中を緩和するために、設置されている。
4つの静電シールド150の各々は、絶縁体部151、導体部152および導体部152を被覆する第2絶縁被覆部153を含む。本実施の形態においては、導体部152は、絶縁体部151の表面を覆うように設けられている。ただし、絶縁体部151の部分が、導体部152によって構成されていてもよい。すなわち、静電シールド150が、導体部152と第2絶縁被覆部153とから構成されていてもよい。
4つの静電シールド150の各々の導体部152には、周方向において不連続となるように、1ヶ所以上の切れ目が設けられている。この切れ目により、静電シールド150の全周を循環する電流が流れることを防止することができる。本実施の形態においては、4つの静電シールド150の各々の絶縁体部151には、切れ目が設けられていないが、導体部152の切れ目と同じ位置に切れ目が設けられていてもよい。この場合、導体部152の周方向の両端面は、第2絶縁被覆部153に覆われている。
絶縁体部151は、プレスボードまたは強化木にて構成されている。強化木は、圧縮成形または樹脂注入されて強度が高められた木材である。導体部152は、金網、金属箔、導電テープまたは導電塗料にて構成されている。第2絶縁被覆部153は、プレスボードまたはポリエチレンテレフタレートにて構成されている。
電位振動の振幅を低減するためには、静止誘導機器100に衝撃電圧が侵入した時に、静電シールド150が、静電シールド150に隣接する低圧巻線120または高圧巻線130の電位の変動に追従する必要がある。導体部152の電気抵抗率が高い場合、静電シールド150の電位の追従が遅くなり、電位振動を十分に抑制できないことがある。そのため、導体部152の表面抵抗率が、10Ω/sq以上50Ω/sq以下であることが好ましい。
静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部の各々は、曲面で構成されている。本実施の形態においては、静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部の各々は、横断面にて曲率半径の異なる2つの円弧部が連続した曲面で構成されている。具体的には、絶縁体部151の外周側の端部および内周側の端部の各々が、横断面にて曲率半径r1の円弧部と曲率半径r2の円弧部とが連続した曲面で構成されており、導体部152および第2絶縁被覆部153の各々は、絶縁体部151の外形と略相似形の外形を有している。
曲率半径r2は、曲率半径r1より大きい。静電シールド150において、曲率半径r1の円弧部は、静電シールド150に隣接する巻線側に設けられ、曲率半径r2の円弧部は、静電シールド150に隣接する巻線側とは反対側に設けられている。
上記中心軸に沿う方向と直交する径方向において、静電シールド150の幅W2は、静電シールド150に隣接する巻線の幅W1と同等である。すなわち、低圧巻線120に隣接する静電シールド150の幅W2は、低圧巻線120の幅W1と同等である。高圧巻線130に隣接する静電シールド150の幅W2は、高圧巻線130の幅W1と同等である。
なお、低圧巻線120および高圧巻線130の各々の幅W1は、最内周に位置する平角電線140の第1絶縁被覆部142の内周側の端部から、上記中心軸の径方向外側に向かって、最外周に位置する平角電線140の第1絶縁被覆部142の外周側の端部までの間の幅である。また、静電シールド150の幅W2は、静電シールド150の内周側の端部に位置する第2絶縁被覆部153の外表面から、上記中心軸の径方向外側に向かって、静電シールド150の外周側の端部に位置する第2絶縁被覆部153の外表面までの間の幅である。
巻線の幅W1と同等とは、巻線の幅W1の90%以上110%以下の範囲である。巻線の幅W1と静電シールド150の幅W2とが同等であることにより、巻線の静電シールド150側の端部、および、静電シールド150の巻線側の端部の各々における電界集中を抑制することができ、静止誘導機器100の絶縁性能を高めることができる。
第2絶縁被覆部153は、上記中心軸に沿う方向において隣接する低圧巻線120または高圧巻線130と対向する内側部153aと、上記中心軸に沿う方向において隣接する低圧巻線120または高圧巻線130とは反対側に位置する外側部153bとを含む。内側部153aは、外側部153bより厚い。第2絶縁被覆部153において、外側部153bと内側部153aとの間に位置する、静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部を構成する部分は、内側部153aの厚さ以下、かつ、外側部153bの厚さ以上の厚さを有している。
本実施の形態においては、静止誘導機器100は、静電シールド150の導体部152と、静電シールド150に隣接する巻線の端部の電線部141とを、電気的に接続する配線160をさらに備えている。図5に示すように、配線160は、静電シールド150に隣接する巻線の端部の電線部141において最内周と最外周との間に位置する部分に接続されている。配線160は、芯線161と、芯線161を被覆する第3絶縁被覆部162とから構成されている。
具体的には、低圧巻線120に隣接する静電シールド150の導体部152は、配線160によって、低圧巻線120の端部に位置する平角電線140において最内周と最外周との間に位置する電線部141と接続されている。その結果、静電シールド150の導体部152と、低圧巻線120の端部に位置する平角電線140において最内周と最外周との間に位置する電線部141とは、同電位になっている。高圧巻線130に隣接する静電シールド150の導体部152は、配線160によって、高圧巻線130の端部に位置する平角電線140において最内周と最外周との間に位置する電線部141と接続されている。その結果、静電シールド150の導体部152と、高圧巻線130の端部に位置する平角電線140において最内周と最外周との間に位置する電線部141とは、同電位になっている。
一般的に、高圧巻線130の端部に位置する平角電線140の最内周または最外周に位置する電線部141が、静止誘導機器100が備える複数の巻線において最も高い電圧が印加される入力端となる。通常、この入力端に、高圧巻線130に隣接する静電シールド150の導体部152が接続されて同電位となっている。
高圧巻線130の端部に位置する平角電線140において最内周と最外周との間に位置する電線部141の電位は、静止誘導機器100が備える複数の巻線における最も高い電位より低い電位となる。本実施の形態に係る静止誘導機器100では、静電シールド150の導体部152は、静電シールド150に隣接する巻線の端部の電線部141において最内周と最外周との間に位置する部分に接続されている。その結果、静電シールド150の導体部152は、高圧巻線130の端部に位置する平角電線140において最内周と最外周との間に位置する電線部141と同電位になっており、静止誘導機器100が備える複数の巻線における最も高い電位より低い電位となっている。また、複数の静電シールド150の各々の電位は、1対1で対応して隣接する巻線における最も高い電位より低い電位となっている。
その結果、本実施の形態に係る静止誘導機器100では、静電シールド150の導体部152を上記入力端に接続した場合に比較して、静電シールド150の対地電位を低くすることができる。これにより、静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部における電界を低減することができる。本実施の形態に係る静止誘導機器100においては、静電シールド150を厚くする必要性がない。すなわち、静止誘導機器100においては、静電シールド150が厚くなることを抑制しつつ、静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部における電界集中を抑制できる。
図5に示すように、本実施の形態においては、導体部152の外表面における外周部に配線160が接続されているが、これに限られず、導体部152の外表面における内周部に配線160が接続されていてもよい。配線160と巻線との間の絶縁性能をより確保するために、導体部152は、導体部152の外表面における内周部および外周部のうちの、隣接する巻線との間の電位差が小さい方にて配線160と接続されていることが好ましい。同じ理由から、配線160が、静電シールド150の第2絶縁被覆部153の表面に沿って配置されていることが好ましい。
配線160を静電シールド150に接続する際には、静電シールド150の第2絶縁被覆部153の一部を除去して導体部152を露出させ、導体部152の露出部分に芯線161をはんだ付けまたは銀ろう付けによって接続する。この接続箇所は、絶縁紙で覆われる。配線160を巻線に接続する際には、平角電線140の第1絶縁被覆部142の一部を除去して電線部141を露出させ、電線部141の露出部分に芯線161をはんだ付けまたは銀ろう付けによって接続する。この接続箇所は、絶縁紙で覆われる。
本実施の形態に係る静止誘導機器100においては、第2絶縁被覆部153を構成する材料の比誘電率が、絶縁媒体を構成する材料の比誘電率より高いため、静電シールド150と静電シールド150に隣接する巻線との間の静電容量を大きくすることができる。これにより、静止誘導機器100に雷サージなどの衝撃電圧が侵入した時に、静電シールド150に隣接する巻線内において互いに隣接する電線同士の間に発生する電位差を低減することができ、その結果、電位振動の振幅を低減することができる。
また、静電シールド150の第2絶縁被覆部153において、内側部153aが、外側部153bより厚いため、静電シールド150と静電シールド150に隣接する巻線との間の絶縁性を高くすることができる。これにより、静止誘導機器100の絶縁信頼性を高めることができる。
なお、静電シールド150の電位を上記入力端の電位より低くするための電気的接続形態は、上記に限られない。ここで、静電シールドの電気的接続形態の変形例について説明する。図6は、本発明の実施の形態1の第1変形例に係る静止誘導機器の静電シールドの電気的接続形態を示す断面図である。図7は、本発明の実施の形態1の第2変形例に係る静止誘導機器の静電シールドの電気的接続形態を示す断面図である。図6,7においては、図5と同一の断面視にて示している。
図6に示すように、本発明の実施の形態1の第1変形例に係る静止誘導機器の静電シールド150の導体部152は、隣接する巻線の端部以外の電線部141と電気的に接続されている。その結果、静電シールド150の導体部152は、隣接する巻線の端部以外の電線部141と同電位になっている。静電シールド150に隣接する巻線の端部以外の電線部141の電位は、第1変形例に係る静止誘導機器が備える複数の巻線における最も高い電位より低い電位となる。
その結果、第1変形例に係る静止誘導機器では、静電シールド150の導体部152を上記入力端に接続した場合に比較して、静電シールド150の対地電位を低くすることができる。これにより、静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部における電界を低減することができる。第1変形例に係る静止誘導機器においても、静電シールド150を厚くする必要性がない。すなわち、第1変形例に係る静止誘導機器においても、静電シールド150が厚くなることを抑制しつつ、静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部における電界集中を抑制できる。
第1変形例に係る静止誘導機器においては、静電シールド150の導体部152が、静電シールド150に隣接する巻線の端部以外において、最内周および最外周のいずれか一方に接続されていてもよい。
すなわち、低圧巻線120に隣接する静電シールド150の導体部152が、配線160によって、低圧巻線120の端部以外に位置する平角電線140において最内周または最外周に位置する電線部141と接続されており、静電シールド150の導体部152と、低圧巻線120の端部以外に位置する平角電線140における最内周または最外周に位置する電線部141とが、同電位になっていてもよい。高圧巻線130に隣接する静電シールド150の導体部152が、配線160によって、高圧巻線130の端部以外に位置する平角電線140において最内周または最外周に位置する電線部141と接続されており、静電シールド150の導体部152と、高圧巻線130の端部以外に位置する平角電線140における最内周または最外周に位置する電線部141とが、同電位になっていてもよい。この場合、配線160と電線部141との接続が容易であり、実施の形態1に係る静止誘導機器100に比較して、第1変形例に係る静止誘導機器は容易に組み立て可能である。
図7に示すように、本発明の実施の形態1の第2変形例に係る静止誘導機器の静電シールド150の導体部152は、電気的に浮遊している。すなわち、第2変形例に係る静止誘導機器は配線160を備えておらず、静電シールド150の導体部152は、巻線の電線部141と電気的に接続されていない。
本発明の実施の形態1の第2変形例に係る静止誘導機器の静電シールド150の導体部152の対地電位は、静電シールド150と、静電シールド150に隣接する巻線および鉄心110との、位置関係によって決まる。すなわち、これらの位置関係によって、静電シールド150と静電シールド150に隣接する巻線との間の静電容量が規定され、この規定された静電容量によって静電シールド150の導体部152の対地電位が決まる。
第2変形例に係る静止誘導機器でも、静電シールド150の導体部152を上記入力端に接続した場合に比較して、静電シールド150の対地電位を低くすることができる。これにより、静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部における電界を低減することができる。第2変形例に係る静止誘導機器においても、静電シールド150を厚くする必要性がない。すなわち、第2変形例に係る静止誘導機器においても、静電シールド150が厚くなることを抑制しつつ、静電シールド150の外周側の端部および内周側の端部における電界集中を抑制できる。
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2に係る静止誘導機器について説明する。なお、本実施の形態に係る静止誘導機器は、外鉄形の変圧器である点が主に異なるため、実施の形態1に係る静止誘導機器と同様の構成についてはその説明を繰り返さない。
以下、本発明の実施の形態2に係る静止誘導機器について説明する。なお、本実施の形態に係る静止誘導機器は、外鉄形の変圧器である点が主に異なるため、実施の形態1に係る静止誘導機器と同様の構成についてはその説明を繰り返さない。
図8は、本発明の実施の形態2に係る静止誘導機器の外観を示す斜視図である。図9は、本発明の実施の形態2に係る静止誘導機器の一部断面図である。図10は、本発明の実施の形態2に係る静止誘導機器の断面図であって、図9のX部を拡大して示す図である。なお、図8においては、静電シールドを図示していない。図9においては、鉄心より上側のみ図示している。
図8〜10に示すように、本発明の実施の形態2に係る静止誘導機器200は、外鉄形の変圧器である。静止誘導機器200は、鉄心210と、鉄心210の主脚部を中心軸として巻き回されて同軸配置された低圧巻線220および高圧巻線230とを備えている。
静止誘導機器200は、タンク270をさらに備えている。タンク270内には、絶縁媒体および冷却媒体である、絶縁油または絶縁ガスが充填されている。絶縁油は、たとえば、鉱油、エステル油またはシリコン油である。絶縁ガスは、たとえば、SF6ガスまたはドライエアである。鉄心210、低圧巻線220および高圧巻線230は、タンク270内に収容されている。
上記中心軸に沿う方向において、高圧巻線230は、低圧巻線220同士に挟まれるように配置されている。高圧巻線230は、平角電線240をレーストラック状に巻き回して構成した複数の単位巻線が、上記中心軸の軸方向に積層されることにより構成されている。平角電線240は、横断面にて略矩形状の電線部241および電線部241を被覆する第1絶縁被覆部242を含む。図示していないが、低圧巻線220も高圧巻線230と同様の構成を有している。
静止誘導機器200は、上記中心軸に沿う方向における低圧巻線220および高圧巻線230の各々の端部に隣接して配置された環状の複数の静電シールド250をさらに備えている。なお、図9においては、高圧巻線230に隣接する1つの静電シールド250のみ図示している。
4つの静電シールド250の各々は、絶縁体部251、導体部252および導体部252を被覆する第2絶縁被覆部253を含む。本実施の形態においては、導体部252は、絶縁体部251の表面を覆うように設けられている。ただし、絶縁体部251の部分が、導体部252によって構成されていてもよい。すなわち、静電シールド250が、導体部252と第2絶縁被覆部253とから構成されていてもよい。
4つの静電シールド250の各々の導体部252には、周方向において不連続となるように、1ヶ所以上の切れ目が設けられている。この切れ目により、静電シールド250の全周を循環する電流が流れることを防止することができる。本実施の形態においては、4つの静電シールド250の各々の絶縁体部251には、切れ目が設けられていないが、導体部252の切れ目と同じ位置に切れ目が設けられていてもよい。この場合、導体部252の周方向の両端面は、第2絶縁被覆部253に覆われている。
絶縁体部251は、プレスボードまたは強化木にて構成されている。導体部252は、金網、金属箔、導電テープまたは導電塗料にて構成されている。第2絶縁被覆部253は、プレスボードまたはポリエチレンテレフタレートにて構成されている。
電位振動の振幅を低減するためには、静止誘導機器200に衝撃電圧が侵入した時に、静電シールド250が、静電シールド250に隣接する低圧巻線220または高圧巻線230の電位の変動に追従する必要がある。導体部252の電気抵抗率が高い場合、静電シールド250の電位の追従が遅くなり、電位振動を十分に抑制できないことがある。そのため、導体部252の表面抵抗率が、10Ω/sq以上50Ω/sq以下であることが好ましい。
静電シールド250の外周側の端部および内周側の端部の各々は、曲面で構成されている。本実施の形態においては、静電シールド250の外周側の端部および内周側の端部の各々は、横断面にて半円状の曲面で構成されている。具体的には、絶縁体部251の外周側の端部および内周側の端部の各々が、横断面にて半径r3の半円状の曲面で構成されており、導体部252および第2絶縁被覆部253の各々は、絶縁体部251の外形と略相似形の外形を有している。
上記中心軸の径方向において、静電シールド250の幅W2は、静電シールド250に隣接する巻線の幅W1と同等である。すなわち、低圧巻線220に隣接する静電シールド250の幅W2は、低圧巻線220の幅W1と同等である。高圧巻線230に隣接する静電シールド250の幅W2は、高圧巻線230の幅W1と同等である。
なお、低圧巻線220および高圧巻線230の各々の幅W1は、最内周に位置する平角電線240の第1絶縁被覆部242の内周側の端部から、上記中心軸の径方向外側に向かって、最外周に位置する平角電線240の第1絶縁被覆部242の外周側の端部までの間の幅である。また、静電シールド250の幅W2は、静電シールド250の内周側の端部に位置する第2絶縁被覆部253の外表面から、上記中心軸の径方向外側に向かって、静電シールド250の外周側の端部に位置する第2絶縁被覆部253の外表面までの間の幅である。
巻線の幅W1と同等とは、巻線の幅W1の90%以上110%以下の範囲である。巻線の幅W1と静電シールド250の幅W2とが同等であることにより、巻線の静電シールド250側の端部、および、静電シールド250の巻線側の端部の各々における電界集中を抑制することができ、静止誘導機器200の絶縁性能を高めることができる。
第2絶縁被覆部253は、上記中心軸に沿う方向において隣接する低圧巻線220または高圧巻線230と対向する内側部253aと、上記中心軸に沿う方向において隣接する低圧巻線220または高圧巻線230とは反対側に位置する外側部253bとを含む。内側部253aは、外側部253bより厚い。第2絶縁被覆部253において、外側部253bと内側部253aとの間に位置する、静電シールド250の外周側の端部および内周側の端部を構成する部分は、内側部253aの厚さ以下、かつ、外側部253bの厚さ以上の厚さを有している。
本実施の形態においては、静止誘導機器200は、静電シールド250の導体部252と、静電シールド250に隣接する巻線の端部の電線部241とを、電気的に接続する配線260をさらに備えている。図10に示すように、配線260は、静電シールド250に隣接する巻線の端部の電線部241において最内周と最外周との間に位置する部分に接続されている。配線260は、芯線261と、芯線261を被覆する第3絶縁被覆部262とから構成されている。
具体的には、低圧巻線220に隣接する静電シールド250の導体部252は、配線260によって、低圧巻線220の端部に位置する平角電線240において最内周と最外周との間に位置する電線部241と接続されている。その結果、静電シールド250の導体部252と、低圧巻線220の端部に位置する平角電線240において最内周と最外周との間に位置する電線部241とが、同電位になっている。高圧巻線230に隣接する静電シールド250の導体部252は、配線260によって、高圧巻線230の端部に位置する平角電線240において最内周と最外周との間に位置する電線部241と接続されている。その結果、静電シールド250の導体部252と、高圧巻線230の端部に位置する平角電線240において最内周と最外周との間に位置する電線部241とが、同電位になっている。
一般的に、高圧巻線230の端部に位置する平角電線240の最内周または最外周に位置する電線部241が、静止誘導機器200が備える複数の巻線において最も高い電圧が印加される入力端となる。通常、この入力端に、高圧巻線230に隣接する静電シールド250の導体部252が接続されて、静電シールド250の導体部252と、高圧巻線230の端部に位置する平角電線240において最内周または最外周に位置する電線部241とが、同電位となっている。
高圧巻線230の端部に位置する平角電線240において最内周と最外周との間に位置する電線部241の電位は、静止誘導機器200が備える複数の巻線における最も高い電位より低い電位となる。本実施の形態に係る静止誘導機器200では、静電シールド250の導体部252は、静電シールド250に隣接する巻線の端部の電線部241において最内周と最外周との間に位置する部分に接続されて、静電シールド250の導体部252と、静電シールド250に隣接する巻線の端部の電線部241において最内周と最外周との間に位置する部分とが、同電位になっており、静止誘導機器200が備える複数の巻線における最も高い電位より低い電位となっている。また、複数の静電シールド250の各々の電位は、1対1で対応して隣接する巻線における最も高い電位より低い電位となっている。
その結果、本実施の形態に係る静止誘導機器200では、静電シールド250の導体部252を上記入力端に接続した場合に比較して、静電シールド250の対地電位を低くすることができる。これにより、静電シールド250の外周側の端部および内周側の端部における電界を低減することができる。本実施の形態に係る静止誘導機器200においては、静電シールド250を厚くする必要性がない。すなわち、静止誘導機器200においては、静電シールド250が厚くなることを抑制しつつ、静電シールド250の外周側の端部および内周側の端部における電界集中を抑制できる。
図10に示すように、本実施の形態においては、導体部252の外表面における外周部に配線260が接続されているが、これに限られず、導体部252の外表面における内周部に配線260が接続されていてもよい。配線260と巻線との間の絶縁性能をより確保するために、導体部252は、導体部152の外表面における内周部および外周部のうちの、隣接する巻線との間の電位差が小さい方にて配線260と接続されていることが好ましい。同じ理由から、配線260が、静電シールド250の第2絶縁被覆部253の表面に沿って配置されていることが好ましい。
配線260を静電シールド250に接続する際には、静電シールド250の第2絶縁被覆部253の一部を除去して導体部252を露出させ、導体部252の露出部分に芯線261をはんだ付けまたは銀ろう付けによって接続する。この接続箇所は、絶縁紙で覆われる。配線260を巻線に接続する際には、平角電線240の第1絶縁被覆部242の一部を除去して電線部241を露出させ、電線部241の露出部分に芯線261をはんだ付けまたは銀ろう付けによって接続する。この接続箇所は、絶縁紙で覆われる。
本実施の形態に係る静止誘導機器200においては、第2絶縁被覆部253を構成する材料の比誘電率が、絶縁媒体を構成する材料の比誘電率より高いため、静電シールド250と静電シールド250に隣接する巻線との間の静電容量を大きくすることができる。これにより、静止誘導機器200に雷サージなどの衝撃電圧が侵入した時に、静電シールド250に隣接する巻線内において互いに隣接する電線同士の間に発生する電位差を低減することができ、その結果、電位振動の振幅を低減することができる。
また、静電シールド250の第2絶縁被覆部253において、内側部253aが、外側部253bより厚いため、静電シールド250と静電シールド250に隣接する巻線との間の絶縁性を高くすることができる。これにより、静止誘導機器200の絶縁信頼性を高めることができる。
なお、静電シールド250の電気的接続形態は、上記に限られず、実施の形態1にて説明した第1変形例の電気的接続形態または第2変形例の電気的接続形態と同様であってもよい。
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3に係る静止誘導機器について説明する。なお、本実施の形態に係る静止誘導機器は、内鉄形のリアクトルである点が主に異なるため、実施の形態1に係る静止誘導機器と同様の構成についてはその説明を繰り返さない。
以下、本発明の実施の形態3に係る静止誘導機器について説明する。なお、本実施の形態に係る静止誘導機器は、内鉄形のリアクトルである点が主に異なるため、実施の形態1に係る静止誘導機器と同様の構成についてはその説明を繰り返さない。
図11は、本発明の実施の形態3に係る静止誘導機器の外観を示す斜視図である。図12は、本発明の実施の形態3に係る静止誘導機器の断面図であって、図11のXII−XII線矢印方向から見た図である。図13は、本発明の実施の形態3に係る静止誘導機器の断面図であって、図12のXIII−XIII線矢印方向から見た図である。図14は、本発明の実施の形態3に係る静止誘導機器の断面図であって、図13のXIV部を拡大して示す図である。なお、図11においては、静電シールドを図示していない。
図11〜14に示すように、本発明の実施の形態3に係る静止誘導機器300は、内鉄形のリアクトルである。静止誘導機器300は、鉄心310と、鉄心310の主脚部を中心軸として同心円状に巻き回された、巻線320を備えている。すなわち、静止誘導機器300は、1つの巻線を備えている。
巻線320は、平角電線340を円盤状に巻き回して構成した複数の円盤状巻線が、上記中心軸に沿う方向に積層されることにより構成されている。平角電線340は、横断面にて略矩形状の電線部341および電線部341を被覆する第1絶縁被覆部342を含む。
静止誘導機器300は、上記中心軸に沿う方向における巻線320の端部に隣接して配置された環状の静電シールド350をさらに備えている。なお、本実施の形態では、静電シールド350は、巻線320の両方の端部に1対1で対応して隣接して配置されているが、これに限られず、巻線320の端部の少なくとも一方に隣接して配置されていればよい。静止誘導機器300が備える2つの静電シールド350の各々は、電位振動の振幅の低減に加え、巻線320の上記中心軸に沿う方向における端部への電界集中を緩和するために、設置されている。
2つの静電シールド350の各々は、絶縁体部351、導体部352および導体部352を被覆する第2絶縁被覆部353を含む。本実施の形態においては、導体部352は、絶縁体部351の表面を覆うように設けられている。ただし、絶縁体部351の部分が、導体部352によって構成されていてもよい。すなわち、静電シールド350が、導体部352と第2絶縁被覆部353とから構成されていてもよい。
2つの静電シールド350の各々の導体部352には、周方向において不連続となるように、1ヶ所以上の切れ目が設けられている。この切れ目により、静電シールド350の全周を循環する電流が流れることを防止することができる。本実施の形態においては、2つの静電シールド350の各々の絶縁体部351には、切れ目が設けられていないが、導体部352の切れ目と同じ位置に切れ目が設けられていてもよい。この場合、導体部352の周方向の両端面は、第2絶縁被覆部353に覆われている。
静電シールド350の外周側の端部および内周側の端部の各々は、曲面で構成されている。本実施の形態においては、静電シールド350の外周側の端部および内周側の端部の各々は、横断面にて曲率半径の異なる2つの円弧部が連続した曲面で構成されている。具体的には、絶縁体部351の外周側の端部および内周側の端部の各々が、横断面にて曲率半径r1の円弧部と曲率半径r2の円弧部とが連続した曲面で構成されており、導体部352および第2絶縁被覆部353の各々は、絶縁体部351の外形と略相似形の外形を有している。
曲率半径r2は、曲率半径r1より大きい。静電シールド350において、曲率半径r1の円弧部は、静電シールド350に隣接する巻線側に設けられ、曲率半径r2の円弧部は、静電シールド350に隣接する巻線側とは反対側に設けられている。
上記中心軸に沿う方向と直交する径方向において、静電シールド350の幅W2は、静電シールド350に隣接する巻線320の幅W1と同等である。なお、巻線320の幅W1は、最内周に位置する平角電線340の第1絶縁被覆部342の内周側の端部から、上記中心軸の径方向外側に向かって、最外周に位置する平角電線340の第1絶縁被覆部342の外周側の端部までの間の幅である。また、静電シールド350の幅W2は、静電シールド350の内周側の端部に位置する第2絶縁被覆部353の外表面から、上記中心軸の径方向外側に向かって、静電シールド350の外周側の端部に位置する第2絶縁被覆部353の外表面までの間の幅である。
巻線320の幅W1と同等とは、巻線320の幅W1の90%以上110%以下の範囲である。巻線320の幅W1と静電シールド350の幅W2とが同等であることにより、巻線320の静電シールド350側の端部、および、静電シールド350の巻線320側の端部の各々における電界集中を抑制することができ、静止誘導機器300の絶縁性能を高めることができる。
第2絶縁被覆部353は、上記中心軸に沿う方向において隣接する巻線320と対向する内側部353aと、上記中心軸に沿う方向において隣接する巻線320とは反対側に位置する外側部353bとを含む。内側部353aは、外側部353bより厚い。第2絶縁被覆部353において、外側部353bと内側部353aとの間に位置する、静電シールド350の外周側の端部および内周側の端部を構成する部分は、内側部353aの厚さ以下、かつ、外側部353bの厚さ以上の厚さを有している。
本実施の形態においては、静止誘導機器300は、静電シールド350の導体部352と、静電シールド350に隣接する巻線320の端部の電線部341とを、電気的に接続する配線360をさらに備えている。図14に示すように、配線360は、静電シールド350に隣接する巻線320の端部の電線部341において最内周と最外周との間に位置する部分に接続されている。配線360は、芯線361と、芯線361を被覆する第3絶縁被覆部362とから構成されている。
具体的には、巻線320に隣接する静電シールド350の導体部352は、配線360によって、巻線320の端部に位置する平角電線340において最内周と最外周との間に位置する電線部341と接続されている。その結果、静電シールド350の導体部352と、巻線320の端部に位置する平角電線340において最内周と最外周との間に位置する電線部341とは、同電位になっている。
巻線320の端部に位置する平角電線340において最内周と最外周との間に位置する電線部341の電位は、静止誘導機器300が備える複数の巻線における最も高い電位より低い電位となる。本実施の形態に係る静止誘導機器300では、静電シールド350の導体部352は、静電シールド350に隣接する巻線の端部の電線部341において最内周と最外周との間に位置する部分に接続されている。その結果、静電シールド350の導体部352は、巻線320の端部に位置する平角電線340において最内周と最外周との間に位置する電線部341と同電位になっており、静止誘導機器300が備える巻線320における最も高い電位より低い電位となっている。よって、2つの静電シールド350の各々の電位は、隣接する巻線320における最も高い電位より低い電位となっている。
その結果、本実施の形態に係る静止誘導機器300では、静電シールド350の導体部352を上記入力端に接続した場合に比較して、静電シールド350の対地電位を低くすることができる。これにより、静電シールド350の外周側の端部および内周側の端部における電界を低減することができる。本実施の形態に係る静止誘導機器300においては、静電シールド350を厚くする必要性がない。すなわち、静止誘導機器300においては、静電シールド350が厚くなることを抑制しつつ、静電シールド350の外周側の端部および内周側の端部における電界集中を抑制できる。
図14に示すように、本実施の形態においては、導体部352の外表面における外周部に配線360が接続されているが、これに限られず、導体部352の外表面における内周部に配線360が接続されていてもよい。配線360と巻線320との間の絶縁性能をより確保するために、導体部352は、導体部352の外表面における内周部および外周部のうちの、隣接する巻線320との間の電位差が小さい方にて配線360と接続されていることが好ましい。同じ理由から、配線360が、静電シールド350の第2絶縁被覆部353の表面に沿って配置されていることが好ましい。
配線360を静電シールド350に接続する際には、静電シールド350の第2絶縁被覆部353の一部を除去して導体部352を露出させ、導体部352の露出部分に芯線361をはんだ付けまたは銀ろう付けによって接続する。この接続箇所は、絶縁紙で覆われる。配線360を巻線320に接続する際には、平角電線340の第1絶縁被覆部342の一部を除去して電線部341を露出させ、電線部341の露出部分に芯線361をはんだ付けまたは銀ろう付けによって接続する。この接続箇所は、絶縁紙で覆われる。
なお、静電シールド350の電気的接続形態は、上記に限られず、実施の形態1にて説明した第1変形例の電気的接続形態または第2変形例の電気的接続形態と同様であってもよい。
上記の実施の形態の説明においては、静止誘導機器として、内鉄形の変圧器、外鉄形の変圧器および内鉄形のリアクトルについて説明したが、静止誘導機器は、これら以外の静止誘導機器であってもよい。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
100,200,300 静止誘導機器、110,210,310 鉄心、120,220 低圧巻線、130,230 高圧巻線、140,240,340 平角電線、141,241,341 電線部、142,242,342 第1絶縁被覆部、150,250,350 静電シールド、151,251,351 絶縁体部、152,252,352 導体部、153,253,353 第2絶縁被覆部、153a,253a,353a 内側部、153b,253b,353b 外側部、160,260,360 配線、161,261,361 芯線、162,262,362 第3絶縁被覆部、270 タンク、320 巻線。
Claims (14)
- 鉄心と、
前記鉄心を中心軸として巻き回された少なくとも1つの巻線と、
前記中心軸に沿う方向における前記少なくとも1つの巻線の端部の少なくとも一方に1対1で対応して隣接して配置された環状の少なくとも1つの静電シールドとを備え、
前記少なくとも1つの巻線は、電線部および該電線部を被覆する第1絶縁被覆部を含み、
前記少なくとも1つの静電シールドは、導体部および該導体部を被覆する第2絶縁被覆部を含み、
前記少なくとも1つの静電シールドの電位は、前記少なくとも1つの巻線における最も高い電位より低い電位である、静止誘導機器。 - 前記少なくとも1つの静電シールドの幅は、前記中心軸に沿う方向と直交する径方向において、隣接する巻線の幅と同等である、請求項1に記載の静止誘導機器。
- 前記少なくとも1つの静電シールドの前記導体部の電位は、隣接する前記巻線の前記端部の前記電線部において最内周と最外周との間に位置する部分と電気的に接続されて同電位になっている、請求項2に記載の静止誘導機器。
- 前記導体部は、前記導体部の外表面における内周部および外周部のうちの、隣接する前記巻線との間の電位差が小さい方にて配線と接続されており、該配線を通じて隣接する前記巻線の前記端部の前記電線部と電気的に接続されている、請求項3に記載の静止誘導機器。
- 前記配線は、前記静電シールドの前記第2絶縁被覆部の表面に沿って配置されている、請求項4に記載の静止誘導機器。
- 前記少なくとも1つの静電シールドの前記導体部の電位は、隣接する前記巻線の前記端部以外の前記電線部と電気的に接続されて同電位になっている、請求項2に記載の静止誘導機器。
- 前記少なくとも1つの静電シールドの前記導体部は、電気的に浮遊している、請求項2に記載の静止誘導機器。
- 前記第2絶縁被覆部は、前記中心軸に沿う方向において隣接する巻線と対向する内側部と、前記中心軸に沿う方向において隣接する巻線とは反対側に位置する外側部とを含み、
前記内側部は、前記外側部より厚い、請求項2に記載の静止誘導機器。 - 前記少なくとも1つの巻線として、複数の巻線を備え、
前記複数の巻線は、前記鉄心に同心円状に巻き回されている、請求項2に記載の静止誘導機器。 - 前記少なくとも1つの巻線として、複数の巻線を備え、
前記複数の巻線は、前記鉄心に巻き回されて同軸配置されている、請求項2に記載の静止誘導機器。 - 前記少なくとも1つの巻線として、複数の巻線を備え、
前記少なくとも1つの静電シールドとして、複数の静電シールドを備え、
前記複数の静電シールドは、前記複数の巻線の各々の端部の少なくとも一方に1対1で対応して隣接して配置され、
前記複数の静電シールドの各々の電位は、前記複数の巻線における最も高い電位より低い電位である、請求項1に記載の静止誘導機器。 - 前記複数の静電シールドのうち、前記複数の巻線における最も高い電位を有する巻線の端部に隣接する静電シールドの前記導体部の電位は、隣接する前記巻線の前記端部の前記電線部において最内周と最外周との間に位置する部分と電気的に接続されて同電位になっている、請求項11に記載の静止誘導機器。
- 前記複数の静電シールドのうち、前記複数の巻線における最も高い電位を有する巻線の端部に隣接する静電シールドの前記導体部の電位は、隣接する前記巻線の前記端部以外の前記電線部と電気的に接続されて同電位になっている、請求項11に記載の静止誘導機器。
- 前記複数の静電シールドの各々の電位は、1対1で対応して隣接する巻線における最も高い電位より低い電位である、請求項11に記載の静止誘導機器。
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