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JP2017218933A - ピストンピンの潤滑構造 - Google Patents

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JP2017218933A
JP2017218933A JP2016112550A JP2016112550A JP2017218933A JP 2017218933 A JP2017218933 A JP 2017218933A JP 2016112550 A JP2016112550 A JP 2016112550A JP 2016112550 A JP2016112550 A JP 2016112550A JP 2017218933 A JP2017218933 A JP 2017218933A
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創 大原
So Ohara
創 大原
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Hino Motors Ltd
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Hino Motors Ltd
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Abstract

【課題】ピストンピンとコンロッドとの間の隙間が小さくピストンピンが回転し難い場合であっても、多量の潤滑油の供給を要することなく、焼付きの発生を抑制可能なピストンピンの潤滑構造を提供する。【解決手段】ピストンピンの潤滑構造は、ピストンと、コンロッドと、ピストンの挿入孔及びコンロッドの小端孔の双方に摺動可能に挿入される棒状のピストンピン30と、を備え、コンロッドは、ピストンピン30との摺動面に、ピストンピン30の周方向と交差する方向に延びる複数の油溝41を有し、油溝41の両端部のそれぞれは、小端孔の開口縁の一端及び他端に至らず、ピストンピン30は、軸回りに1周するように延びる無端の溝31を外周面に有し、溝31は油溝41と連通する。【選択図】図4

Description

本発明は、ピストンピンの潤滑構造に関する。
従来、車両等の内燃機関において、ピストンの挿入孔及びコンロッドの小端孔の双方にピストンピンが摺動可能に挿入され、これによりピストンがコンロッドの小端部に揺動自在に連結された構造が知られている。この構造では、ピストンピンとピストンとの間の摺動面、及びピストンピンとコンロッドとの間の摺動面の焼付きを防止するために、これらの摺動面に潤滑油を供給して油膜を形成することが図られる。例えば、特許文献1に記載された潤滑構造では、ピストンピンの外周面にピストンピンの軸方向に延びる油溝を形成し、当該油溝から潤滑油を供給することで、摺動面の潤滑を図っている。
特許第2768978号公報
前記特許文献1の潤滑構造では、ピストンピンが回転することにより、油溝に供給された潤滑油が摺動面に導かれる。近年、燃費を向上するために、エンジンを高Pme(正味平均有効圧力)化することが求められている。エンジンを高Pme化した場合、シリンダ内圧が高くなり、ピストンピンを押し下げる力が大きくなることから、ピストンピンとコンロッドとの間の隙間が小さくなりピストンピンの回転が抑制される。したがって、前記特許文献1の潤滑構造では、高Pme化されたエンジンに用いられた場合、ピストンピンが回転し難いために油溝に供給された潤滑油が摺動面に導かれ難くなり、摺動面の油膜が切れて焼付きが発生するおそれがあった。また、ピストンピンの軸方向の端部まで延びる油溝から潤滑油が漏出することを考慮してピストンピンの摺動面に潤滑油をより潤沢に供給することにより油膜を維持して焼付きの防止を図ることが考えられるが、より少ない供給量の潤滑油により焼付き防止が図れることが好ましい。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ピストンピンとコンロッドとの間の隙間が小さくピストンピンが回転し難い場合であっても、多量の潤滑油の供給を要することなく、焼付きの発生を抑制可能なピストンピンの潤滑構造を提供することを目的とする。
本発明に係るピストンピンの潤滑構造は、ピストンと、コンロッドと、ピストンの挿入孔及びコンロッドの小端孔の双方に摺動可能に挿入される棒状のピストンピンと、を備え、コンロッドは、ピストンピンとの摺動面に、ピストンピンの周方向と交差する方向に延びる複数の油溝を有し、油溝の両端部のそれぞれは、小端孔の開口縁の一端及び他端に至らず、ピストンピンは、軸回りに1周するように延びる無端の溝を外周面に有し、溝は油溝と連通する。
この潤滑構造では、コンロッドの油溝とピストンピンの溝とが連通されているので、一の油溝に供給された潤滑油が、ピストンピンの溝を通り、他の油溝に進入する。これにより、各油溝に潤滑油が均等に供給され、ピストンピンとコンロッドとの間の摺動面における油膜の形成が促進される。また、油溝の端部は小端孔の開口縁に至らず、且つ、ピストンピンの溝は無端であるので、潤滑油が過剰に漏出することがない。従って、ピストンピンとコンロッドとの間の隙間が小さくピストンピンが回転し難い場合であっても、多量の潤滑油の供給を要することなく、焼付きの発生を抑制することが可能となる。また、ピストンピンの溝及び各油溝からピストンピンと小端孔との摺動面に潤滑油が流れ出ることにより、当該潤滑構造の各部を冷却すると共に、異物を流し出すことが可能となる。
また、本発明に係るピストンピンの潤滑構造では、ピストンピンの溝は、該ピストンピンの軸方向と直交する方向に延びていてもよい。
この潤滑構造によれば、ピストンピンの溝が、外周面上において周方向に直線状に延びることとなるので、溝を流れる潤滑油に対する抵抗が抑えられる。従って、潤滑油が、一の油溝から他の油溝に円滑に供給される。
また、本発明に係るピストンピンの潤滑構造では、ピストンピンの溝は、軸方向における位置を、所定範囲内において、該所定範囲の両端部間を少なくとも一往復するように変えながら、ピストンピンの周方向に1周するように延びていてもよい。
この潤滑構造によれば、ピストンピンが小端孔内において摺動することにより、ピストンピンの溝が摺動面上を軸方向に往復すると共に、ピストンピンの溝と油溝とが連通する位置が、軸方向に往復する。これにより、各油溝及び摺動面上に潤滑油を均等に供給することができる。また、摺動面に流れ出る潤滑油により、当該潤滑構造の各部の冷却及び異物の排出を効果的に行うことが可能となる。
また、本発明に係るピストンピンの潤滑構造では、ピストンピンの溝は、外周面上において曲線を描きながらピストンピンの周方向に1周するように延びていてもよい。
この潤滑構造によれば、ピストンピンの溝が外周面上において曲線を描くように形成されているので、潤滑油が、一の油溝から他の油溝に円滑に供給される。また、ピストンピンの溝が、角を持たずに延びているので、溝内における異物の滞留を防止できる。
また、本発明に係るピストンピンの潤滑構造では、ピストンピンの溝は、ピストンピンの周方向に対して所定角度+θを成す方向に沿って所定範囲の一端から他端に延びる第1の部分と、ピストンピンの周方向に対して所定角度−θを成す方向に沿って所定範囲の他端から一端に延びる第2の部分と、から構成されてもよい。
この潤滑構造によれば、ピストンピンの溝が外周面上において、直線状に形成されることになる。従って、容易な加工によりピストンピンに溝を形成することができる。
また、本発明に係るピストンピンの潤滑構造では、ピストンピンの溝は、所定範囲の一端部においてピストンピンの周方向に沿って延びる第1の部分と、ピストンピンの周方向に対して所定角度+θを成す方向に沿って所定範囲の一端から他端に延びる第2の部分と、所定範囲の他端部においてピストンピンの周方向に沿って延びる第3の部分と、ピストンピンの周方向に対して所定角度−θを成す方向に沿って所定範囲の他端から一端に延びる第4の部分と、から構成されてもよい。
この潤滑構造によれば、ピストンピンの溝が、ピストンピンの外周面上において直線状に形成された複数の溝の部分から構成されるので、容易な加工により潤滑構造を実現できる。また、第2の部分及び第4の部分により、ピストンピンの溝が摺動面上を軸方向に往復することとなるので、各油溝及び摺動面上に潤滑油を均等に供給することができる。また、ピストンピンの溝が、ピストンピンの周方向に直線状に形成された部分を含むので、一の油溝から他の油溝に流れる潤滑油に対する抵抗が抑えられるので、潤滑油の円滑な供給が可能となる。
また、本発明に係るピストンピンの潤滑構造では、油溝は小端孔の軸方向に沿って延びることとしてもよい。
この潤滑構造によれば、油溝が、小端孔の軸方向に沿って直線状に形成されるので、ピストンピンとコンロッドとの間の摺動面に潤滑油が一様に供給される。
また、本発明に係るピストンピンの潤滑構造では、コンロッドは、中空の筒状に形成され外周面が小端孔の内側面に沿うブッシュを有し、ピストンピンは、ブッシュの内側面に摺動可能に挿入され、油溝は、ブッシュの内側面に設けられてもよい。
この潤滑構造によれば、油溝がブッシュ上に設けられるので、油溝の形成のための加工が容易である。
本発明によれば、ピストンピンとコンロッドとの間の隙間が小さくピストンピンが回転し難い場合であっても、多量の潤滑油の供給を要することなく、焼付きの発生を抑制可能なピストンピンの潤滑構造を提供できる。
本発明の一実施形態に係るピストンピンの潤滑構造を示す断面図である。 コンロッドを示す図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。 潤滑構造の一部の第1の例を示す図であり、(a)は、ピストンピンの例、(b)は、ブッシュの内側面の一部を示す展開図である。 潤滑構造の一部の第2の例を示す図であり、(a)は、ピストンピンの例、(b)は、ブッシュの内側面の一部を示す展開図である。 潤滑構造に係るピストンピンの第3の例を示す図であり、(a)は、ピストンピンを示す図であり、(b)は、ピストンピンの溝の拡大図である。 潤滑構造に係るピストンピンの第4の例を示す図であり、(a)は、ピストンピンを示す図であり、(b)は、ピストンピンの溝の拡大図である。 潤滑構造に係るピストンピンの第5の例を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、本明細書において、「上」、「下」等の方向は、図面に示す状態に基づく便宜的なものである。
図1は、実施形態に係るピストンピンの潤滑構造を示す断面図である。図2は、コンロッドを示す図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図3は、本実施形態の潤滑構造の一部の第1の例を示す図であり、図3(a)は、ピストンピンの例、図3(b)は、ブッシュの内側面の一部を示す展開図である。本実施形態のピストンピンの潤滑構造1は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関に備えられる。ピストンピンの潤滑構造1は、ピストン10と、コンロッド20と、ピストンピン30と、を備えている。
ピストン10は、内燃機関のシリンダ内を往復動する部材である。ピストン10は、金属製であり、例えばアルミニウム合金により形成されている。ピストン10は、例えば略円柱状の外形を呈している。ピストン10は、頂部側に位置するヘッド部12と、ヘッド部12から下方側に突設されたピンボス部14と、を少なくとも有している。
ヘッド部12の頂面には、燃焼室の底面を構成するキャビティ16が形成されている。ピンボス部14は、互いに対向するように一対設けられている。これらピンボス部14のそれぞれには、断面が円形状の挿入孔18が貫通形成されている。挿入孔18には、ピストンピン30が摺動可能に挿入されている。ヘッド部12の下方側における、一対のピンボス部14の間には、上方へ窪むコンロッド収容凹部19が形成されている。このコンロッド収容凹部19には、コンロッド20の小端部22が収容されている。
コンロッド20は、ピストン10とクランク軸(図示せず)とを連結し、ピストン10の往復運動をクランク軸の回転運動へと変換する部材である。コンロッド20は、金属製であり、例えば鉄鋼により形成されている。コンロッド20は、例えば棒状を呈している。コンロッド20は、一端側に形成された小端部22と、他端側に形成された大端部(図示せず)と、を有している。小端部22は、先細り形状を呈している。小端部22には、挿入孔18の延在方向(ピストンピン30の軸方向D1)に延びる断面が円形状の小端孔24が形成されている。この小端孔24に、ピストンピン30が摺動可能に挿入されている。大端部には、大端孔が形成されており、この大端孔に前記クランク軸が連結されている。
ピストンピン30は、ピストン10とコンロッド20の小端部22とを揺動自在に連結する部材である。ピストンピン30は、金属製であり、例えばクロムモリブデン鋼により形成されている。ピストンピン30は、円形の外周面を有する棒状を呈しており、ここでは中空の筒状に形成されている。なお、ピストンピン30は、中実の円柱状に形成されてもよい。ピストンピン30の両端部は、ピストン10の挿入孔18に摺動可能に挿入されている。また、ピストンピン30の中央部は、コンロッド20の小端孔24に摺動可能に挿入されている。すなわち、ピストンピン30は、挿入孔18及び小端孔24内において、軸周りに回転可能とされている。ピストンピン30の軸方向D1は、挿入孔18の延在方向及び小端孔24の延在方向の双方と一致している。図1に示すように、ピストンピン30の外径は、挿入孔18及び小端孔24の内径よりも僅かに小さく設定されている。このため、ピストンピン30と挿入孔18との間、及びピストンピン30と小端孔24との間には、僅かな隙間(クリアランス)が存在する。
図3(a)に示す例では、ピストンピン30A(30)は、軸回りに1周するように延びる無端の溝31Aを外周面に有している。本実施形態では、ピストンピン30Aは、溝31Aを2本有しているが、ピストンピン30が外周面に有する無端の溝の数は2本に限定されない。溝31Aは、例えば断面が矩形状を呈しており、幅及び深さが一定の溝である。また、図3(a)に示す例では、ピストンピン30Aの溝31Aは、ピストンピン30Aの軸方向と直交する方向に延びている。即ち、溝31Aは、ピストンピン30Aの外周面上において、直線状を呈している。
本実施形態では、図2及び図3に示すように、コンロッド20は、ブッシュ40を有している(図1においては図示せず)。ブッシュ40は、ピストンピン30との間に介在して、ピストンピン30を摺動可能に収容するための部材であって、中空の筒状に形成され外周面が小端孔24の内側面に沿うように設けられている。ブッシュ40の内側面は、ピストンピン30との摺動面を構成する。ブッシュ40は、金属製であり、例えば銅を基材とする合金により形成されている。なお、本実施形態では、コンロッド20が、ブッシュ40を介してピストンピン30を摺動可能に収容している例を示すが、コンロッド20がブッシュ40を介さずにピストンピン30を収容することとしてもよい。その場合には、後に説明する、ブッシュ40の内側面、即ちピストンピン30との摺動面上の構造は、コンロッド20の小端孔24の内側面に形成されることとなる。
図3(b)に示すように、ブッシュ40は、内側面における小端孔24の軸方向中央部を通り周方向に沿って延びる導油溝43を有する。導油溝43は、例えば断面が矩形状を呈しており、幅及び深さが一定の溝である。
ブッシュ40は、ピストンピン30との摺動面である内側面上に、ピストンピン30の周方向と交差する方向に延びる複数の油溝41を有する。油溝41は、例えば断面が矩形状を呈しており、幅及び深さが一定の溝である。各油溝41は、導油溝43と連通している。油溝41の両端部のそれぞれは、小端孔24の開口縁の一端及び他端に至らないように形成されている。即ち、図3(b)のブッシュ40の展開図において、油溝41は、両端部のそれぞれがブッシュ40の左右両端部に至らないように延びている。
図3(b)に示すように、油溝41は、小端孔の軸方向に沿って延びていてもよい。即ち、油溝41は、導油溝43と直交していてもよい。なお、油溝41は、図2に示される状態のコンロッド20において、小端孔24下方側に構成される。
ブッシュ40は、コンロッド20の大端部側から供給される潤滑油を小端孔24内に導くための導油孔42を有する。導油孔42は、導油溝43に連通して設けられている。図2に示すように、小端部22は、大端部側から潤滑油を供給するための、小端孔24に開口した連通孔28を有している。従って、導油孔42は、連通孔28の開口に位置合わせされている。
コンロッド20の大端部側から供給される潤滑油は、連通孔28及びブッシュの導油孔42を通り、小端孔24内に供給される。さらに、潤滑油は、導油溝43を経由して、各油溝41に流れ込む。図2並びに図3(a)及び図3(b)に示すように、ピストンピン30Aは、溝31Aが油溝軌跡45に示される位置において摺動するように、ブッシュ40に摺動可能に収容される。このような構成により、ブッシュ40の複数の油溝41のそれぞれとピストンピンの溝31Aとが連通される。
本来的には、エンジンサイクルにおける排気行程の上死点側にピストン10が位置する間において、慣性力によってピストンピン30の下方側と小端孔24との間に隙間が生じ、この隙間を通って、小端孔24内及びピストンピン30の外周面に潤滑油が供給される。また、ピストンピン30は、慣性力によってピストンピン30が挿入孔18及び小端孔24に接触しない状態となっている際に、軸回りに回転することが想定されている。ピストンピン30が軸回りに回転すれば、油溝26に供給された潤滑油がピストンピン30に巻き込まれ、潤滑油が摺動面に供給される。
しかしながら、高Pme化されたエンジンでは、燃焼室内での燃料の燃焼に伴ってシリンダ内圧が高くなっている状態では、ピストン10を押し下げる力が大きくなり、ピストンピン30と小端孔24の内側面との間の隙間が小さく、若しくは、ピストンピン30と小端孔24の内側面とが接触する。且つ、この状態では、ピストンピン30が回転し難い状態となる。このような状態では、ピストンピン30が小端孔24に対して常に同じ面で接触する可能性がある。この結果、当該接触面に大きな荷重が作用し続けることから、接触面の油膜が切れて焼付きが発生するおそれがあった。この焼付きの発生を防止するために、従来は、シリンダ内圧を下げるべく、タイミングリタードによる最大圧力の抑制や、吸気量制限による圧縮圧力の抑制を行っていた。これらの対策は、燃費悪化や煙増加等の性能悪化を伴う。そこで、本実施形態のピストンピンの潤滑構造1では、ピストンピン30とコンロッド20との間の隙間が小さくピストンピン30が回転し難い場合であっても接触面に潤滑油を供給できる構成とすることで、焼付きの発生の抑制を図っている。
即ち、本実施形態の潤滑構造では、コンロッド20の小端孔24内に設けられたブッシュ40の油溝41とピストンピン30の溝31とが連通されているので、一の油溝41に供給された潤滑油が、ピストンピン30の溝31を通り、他の油溝41に進入する。これにより、各油溝41に潤滑油が均等に供給され、ピストンピン30とコンロッド20との間の摺動面における油膜の形成が促進される。また、油溝41の端部は小端孔24の開口縁に至らず、且つ、ピストンピン30の溝31は無端であるので、潤滑油が過剰に漏出することがない。従って、ピストンピン30とコンロッド20との間の隙間が小さくピストンピン30が回転し難い場合であっても、多量の潤滑油の供給を要することなく、焼付きの発生を抑制することが可能となる。また、ピストンピン30の溝31及び各油溝41からピストンピン30と小端孔24との摺動面に潤滑油が流れ出ることにより、当該潤滑構造1の各部を冷却すると共に、異物を流し出すことが可能となる。
また、図3(a)の例に示すように、ピストンピン30Aの溝31Aが、ピストンピン30Aの軸方向と直交する方向に延びている場合には、溝31Aが、ピストンピン30Aの外周面上において周方向に直線状に延びることとなるので、溝31Aを流れる潤滑油に対する抵抗が抑えられる。従って、潤滑油が、一の油溝41から他の油溝41に円滑に供給される。
また、図3(b)に示すように、油溝41が小端孔24の軸方向に沿って延びる場合には、油溝41が、小端孔の軸方向に沿って直線状に形成されることとなるので、ピストンピン30とコンロッド20との間の摺動面に潤滑油を一様に供給することができる。
また、本実施形態に示す例のように、コンロッド20がブッシュ40を有し、ピストンピン30がブッシュ40の内側面に摺動可能に挿入され、油溝41がブッシュ40の内側面に設けられるので、油溝41の形成のための加工を容易に実施できる。
図4は、本実施形態の潤滑構造1に係るピストンピン及びブッシュの第2の例を示す図である。図4(a)は、ピストンピンの例であり、図4(b)は、ブッシュの内側面の一部を示す展開図である。図4(a)に示す例では、ピストンピン30Bは、溝31Bを有する。溝31Bは、ピストンピン30Bの軸方向における位置を、所定範囲内において、該所定範囲の両端部間を少なくとも一往復するように変えながら、前記ピストンピンの周方向に1周するように延びている。具体的には、溝31Bは、ピストンピン30Bの外周面上において曲線を描きながら、ピストンピン30Bの周方向に1周するように延びている。より具体的には、溝31Bは、略S字状を描きながら延びている。
このように、溝31Bが、ピストンピン30Bの軸方向における位置を所定範囲内で変位させながら延びていることにより、図4(b)に示すように、対向するブッシュ40の内側面において、溝31Bは油溝軌跡幅45Bの範囲内を軸方向に摺動すると共に、溝31Bと油溝41とが連通する位置が、軸方向に往復する。これにより、各油溝41及び摺動面上に潤滑油を均等に供給することができる。また、摺動面に流れ出る潤滑油により、当該潤滑構造の各部の冷却及び異物の排出を効果的に行うことが可能となる。
また、溝31Bがピストンピン30Bの外周面上において曲線を描くように形成されているので、潤滑油が、一の油溝41から他の油溝41に円滑に供給される。また、溝31Bが、角を持たずに延びているので、溝31B内における異物の滞留を防止できる。
図5は、本実施形態の潤滑構造1に係るピストンピンの第3の例を示す図である。図5(a)は、ピストンピンを示す図であり、図5(b)は、ピストンピンの溝の拡大図である。図5に示す例では、ピストンピン30Cは、溝31Cを有する。溝31Cは、ピストンピン30Cの軸方向における位置を、所定範囲35C内において、所定範囲35Cの両端部間を少なくとも一往復するように変えながら、ピストンピン30Cの周方向に1周するように延びている。具体的には、溝31Cは、ピストンピン30Cの周方向に対して所定角度+θを成す方向に沿って所定範囲35Cの一端から他端に延びる第1の部分31C−1と、ピストンピン30Cの周方向に対して所定角度−θを成す方向に沿って所定範囲35Cの他端から一端に延びる第2の部分31C−2と、から構成される。より具体的には、溝31Cは、略V字を繰り返し描きながら延びている。
図5に示す潤滑構造の例によれば、ピストンピン30Cが小端孔24内において摺動することにより、溝31Cが摺動面上を軸方向に往復すると共に、ピストンピン30Cの溝31Cとブッシュ40の油溝41とが連通する位置が、軸方向に往復する。これにより、各油溝41及び摺動面上に潤滑油を均等に供給することができる。また、摺動面に流れ出る潤滑油により、当該潤滑構造1の各部の冷却及び異物の排出を効果的に行うことが可能となる。
さらに、図5に示す潤滑構造1の例によれば、ピストンピン30Cの溝31Cが外周面上において、直線状に形成されることになる。従って、容易な加工によりピストンピン30Cに溝31Cを形成することができる。
図6は、本実施形態の潤滑構造1に係るピストンピンの第4の例を示す図である。図6(a)は、ピストンピンを示す図であり、図6(b)は、ピストンピンの溝の拡大図である。図6に示す例では、ピストンピン30Dは、溝31Dを有する。溝31Dは、ピストンピン30Dの軸方向における位置を、所定範囲35D内において、所定範囲35Dの両端部間を少なくとも一往復するように変えながら、ピストンピン30Dの周方向に1周するように延びている。具体的には、溝31Dは、所定範囲35Dの一端部においてピストンピン30Dの周方向に沿って延びる第1の部分31D−1と、ピストンピン30Dの周方向に対して所定角度+θを成す方向に沿って所定範囲35Dの一端から他端に延びる第2の部分31D−2と、所定範囲35Dの他端部においてピストンピン30Dの周方向に沿って延びる第3の部分31D−3と、ピストンピン30Dの周方向に対して所定角度−θを成す方向に沿って所定範囲35Dの他端から一端に延びる第4の部分31D−4と、から構成される。
図6に示す潤滑構造の例によれば、ピストンピン30Dが小端孔24内において摺動することにより、溝31Dが摺動面上を軸方向に往復すると共に、ピストンピン30Dの溝31Dとブッシュ40の油溝41とが連通する位置が、軸方向に往復する。これにより、各油溝41及び摺動面上に潤滑油を均等に供給することができる。また、摺動面に流れ出る潤滑油により、当該潤滑構造1の各部の冷却及び異物の排出を効果的に行うことが可能となる。
さらに、図6に示す潤滑構造1の例によれば、溝31Dが、ピストンピン30Dの外周面上において直線状に形成された複数の溝の部分から構成されるので、容易な加工により潤滑構造1を実現できる。また、第2の部分31D−2及び第4の部分31D−4により、ピストンピン30Dの溝31Dが摺動面上を軸方向に往復することとなるので、各油溝41及び摺動面上に潤滑油を均等に供給することができる。また、溝31Dが、ピストンピン30Dの周方向に直線状に形成された部分を含むので、一の油溝41から他の油溝41に流れる潤滑油に対する抵抗が抑えられるので、潤滑油の円滑な供給が可能となる。
図7は、本実施形態の潤滑構造1に係るピストンピンの第5の例を示す図である。図7に示す例では、ピストンピン30Eは、溝31Eを有する。図7に示すピストンピン30Eは、図6に示したピストンピン30Dにおいて、溝31Dの第2の部分31D−2及び第4の部分31D−4が延びる方向をθ=90°としたものである。ピストンピン30Eは、ピストンピン30Eの周方向及び軸方向に直線状に形成された部分からなる溝31Eを有するので、容易な加工により潤滑構造1を実現できる。
以上説明したように、ピストンピンの潤滑構造1では、コンロッド20の油溝41とピストンピン30の溝31とが連通されているので、一の油溝41に供給された潤滑油が、ピストンピンの溝31を通り、他の油溝41に進入する。これにより、各油溝41に潤滑油が均等に供給され、ピストンピン30とコンロッド20との間の摺動面における油膜の形成が促進される。また、油溝41の端部は小端孔24の開口縁に至らず、且つ、ピストンピン30の溝31は無端であるので、潤滑油が過剰に漏出することがない。従って、ピストンピン30とコンロッド20との間の隙間が小さくピストンピン30が回転し難い場合であっても、多量の潤滑油の供給を要することなく、焼付きの発生を抑制することが可能となる。また、ピストンピン30の溝31及び各油溝41からピストンピン30と小端孔24との摺動面に潤滑油が流れ出ることにより、当該潤滑構造1の各部を冷却すると共に、異物を流し出すことが可能となる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
1…潤滑構造、10…ピストン、12…ヘッド部、14…ピンボス部、16…キャビティ、18…挿入孔、19…コンロッド収容凹部、20…コンロッド、22…小端部、24…小端孔、26…油溝、28…連通孔、30,30A,30B,30C,30D,30E…ピストンピン、31,31A,31B,31C,31D,31E…溝、35C,35D…所定範囲、40…ブッシュ、41…油溝、42…導油孔、43…導油溝、45…油溝軌跡、45B…油溝軌跡幅。

Claims (8)

  1. ピストンと、コンロッドと、前記ピストンの挿入孔及び前記コンロッドの小端孔の双方に摺動可能に挿入される棒状のピストンピンと、を備え、
    前記コンロッドは、前記ピストンピンとの摺動面に、前記ピストンピンの周方向と交差する方向に延びる複数の油溝を有し、前記油溝の両端部のそれぞれは、前記小端孔の開口縁の一端及び他端に至らず、
    前記ピストンピンは、軸回りに1周するように延びる無端の溝を外周面に有し、前記溝は前記油溝と連通する、
    ピストンピンの潤滑構造。
  2. 前記ピストンピンの溝は、該ピストンピンの軸方向と直交する方向に延びている、
    請求項1に記載のピストンピンの潤滑構造。
  3. 前記ピストンピンの溝は、軸方向における位置を、所定範囲内において、該所定範囲の両端部間を少なくとも一往復するように変えながら、前記ピストンピンの周方向に1周するように延びている、
    請求項1に記載のピストンピンの潤滑構造。
  4. 前記ピストンピンの溝は、外周面上において曲線を描きながら前記ピストンピンの周方向に1周するように延びている、
    請求項3に記載のピストンピンの潤滑構造。
  5. 前記ピストンピンの溝は、
    前記ピストンピンの周方向に対して所定角度+θを成す方向に沿って前記所定範囲の一端から他端に延びる第1の部分と、
    前記ピストンピンの周方向に対して所定角度−θを成す方向に沿って前記所定範囲の他端から一端に延びる第2の部分と、から構成される、
    請求項3に記載のピストンピンの潤滑構造。
  6. 前記ピストンピンの溝は、
    前記所定範囲の一端部において前記ピストンピンの周方向に沿って延びる第1の部分と、
    前記ピストンピンの周方向に対して所定角度+θを成す方向に沿って前記所定範囲の一端から他端に延びる第2の部分と、
    前記所定範囲の他端部において前記ピストンピンの周方向に沿って延びる第3の部分と、
    前記ピストンピンの周方向に対して所定角度−θを成す方向に沿って前記所定範囲の他端から一端に延びる第4の部分と、から構成される、
    請求項3に記載のピストンピンの潤滑構造。
  7. 前記油溝は前記小端孔の軸方向に沿って延びる、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のピストンピンの潤滑構造。
  8. 前記コンロッドは、中空の筒状に形成され外周面が前記小端孔の内側面に沿うブッシュを有し、
    前記ピストンピンは、前記ブッシュの内側面に摺動可能に挿入され、
    前記油溝は、前記ブッシュの内側面に設けられる、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載のピストンピンの潤滑構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024201766A1 (ja) * 2023-03-29 2024-10-03 日産自動車株式会社 軸受機構

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