JP2018054041A - コンロッドのブッシュ - Google Patents
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Abstract
【課題】筒内圧が高められたエンジンであっても、コンロッドのブッシュとピストンピンとの焼付きの発生を抑制可能なブッシュを提供する。【解決手段】コンロッドの小端孔の内周面に沿って設けられ、ピストンピンが摺動可能に挿入されるブッシュ40であって、潤滑油を小端孔内に導くための導油孔42と連通しており、ピストンピンとの摺動面に周方向に沿う部分を含んで設けられた導油溝43と、摺動面の一定範囲を占める主荷重部Lに設けられ、第1の方向に沿って複数の微小油溝が設けられたマイクロテクスチャ部44と、を備え、導油溝43の少なくとも一部の延びる方向と第1の方向とは平行ではなく、導油溝43と、微小油溝の少なくとも一部とは連通しており、主荷重部Lは、摺動面の一部であって、下降行程のピストンの動作に基づくピストンピンによる荷重が作用する領域を少なくとも含む。【選択図】図3
Description
本発明は、コンロッドのブッシュに関する。
従来、車両等の内燃機関において、ピストンの挿入孔及びコンロッドの小端孔の双方にピストンピンが摺動可能に挿入され、これによりピストンがコンロッドの小端部に揺動自在に連結された構造が知られている。この構造では、ピストンピンとコンロッドとの間の摺動面の焼付きを防止するために、摺動面に潤滑油を供給して油膜を形成することが図られる。例えば、特許文献1に記載されたコンロッドでは、コンロッドの内周に沿って設けられたブッシュの内面に多数の油溝が設けられており、潤滑油の導入が図られている。
近年、エンジンの燃費を向上するために、エンジンの筒内圧を高圧化したり、回転を低速化することが求められている。エンジンを筒内圧を高めた場合、ピストンピンを押し下げる力が大きくなることから、コンロッドの小端孔の内周に沿って設けられたブッシュの内周面に対するピストンピンの圧力が高まり、ブッシュにおけるピストンピンとの摺動面に潤滑油が導かれ難くなり、摺動面の油膜が切れて焼付きが発生するおそれがあった。また、エンジンでは、ピストンの慣性により発生するピストンピンとブッシュとのクリアランスに潤滑油を導いていたが、エンジンの回転を低速化することにより、そのクリアランスが発生し難くなっていた。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、筒内圧が高められたエンジンであっても、コンロッドのブッシュとピストンピンとの焼付きの発生を抑制可能なブッシュを提供することを目的とする。
本発明に係るブッシュは、コンロッドの小端孔の内周面に沿って設けられ、ピストンピンが摺動可能に挿入されるブッシュであって、コンロッドの大端部側から供給される潤滑油を小端孔内に導くための導油孔と連通しており、ピストンピンとの摺動面に周方向に沿う部分を含んで設けられた導油溝と、摺動面の一定範囲を占める主荷重部に設けられ、第1の方向に沿って複数の微小油溝が設けられたマイクロテクスチャ部と、を備え、導油溝の少なくとも一部の延びる方向と第1の方向とは平行ではなく、導油溝と、微小油溝の少なくとも一部とは連通しており、主荷重部は、摺動面の一部であって、下降行程のピストンの動作に基づくピストンピンによる荷重が作用する領域を少なくとも含む。
このブッシュでは、導油孔から供給された潤滑油が、導油溝を介して内周面の周方向に沿って導入され、主荷重部に到達する。そして、その潤滑油がマイクロテクスチャ部の微小油溝を通って主荷重部に行き渡る。これにより、ブッシュの摺動面においてピストンピンによる荷重が作用する領域である主荷重部に潤滑油が供給されることとなるので、筒内圧が高められたエンジンであっても、ブッシュとピストンピンとの焼付きの発生を抑制できる。
また、本発明に係るブッシュでは、主荷重部は、コンロッドの揺動に伴う、下降行程のピストンの、当該ブッシュの内周面に対する相対的な動作方向の変化範囲に対応する領域を含むこととしてもよい。
このブッシュによれば、ピストンピンによる荷重が作用する領域は、コンロッドの揺動に伴いその範囲が広げられるが、その領域の全般に亘って微小油溝が設けられることとなるので、潤滑油をピストンピンによる荷重が作用する領域の全般に亘って供給できる。
また、本発明に係るブッシュでは、導油溝の断面積は、主荷重部のうちの周方向における略中央の最荷重部に向かうにしたがって小さくなることとしてもよい。
このブッシュによれば、導油溝の断面積が最荷重部に向かうに従って小さくなるので、導油溝を通る潤滑油の圧力が高められる。これにより、主荷重部及び最荷重部に効果的に潤滑油を供給できる。
また、本発明に係るブッシュでは、導油溝は、1〜10mmのミリメートルオーダーの幅を有し、微小油溝は、1〜1000μmのマイクロメートルオーダーの幅を有することとしてもよい。
このブッシュによれば、導油溝と微小油溝との断面積の差により、微小油溝に供給される潤滑油の圧力が高められること、及び、微小油溝の断面積が小さいことによる毛細管現象により、主荷重部の全般に亘って効果的に潤滑油を供給できる。
また、本発明に係るブッシュでは、第1の方向は、主荷重部における導油溝の延在方向に略直交することとしてもよい。
このブッシュによれば、マイクロテクスチャ部の微小油溝に、導油溝からの潤滑油を均一に供給できる。
また、本発明に係るブッシュでは、導油溝は、当該ブッシュの軸回りに1周するように周方向に沿って延びる無端の溝であることとしてもよい。
このブッシュによれば、内周の全面に亘って効果的に潤滑油が供給されると共に、主荷重部では、マイクロテクスチャ部の微小油溝の全般に亘って導油溝から効果的に潤滑油が供給される。
また、本発明に係るブッシュでは、導油溝は、軸回りに1周するように延びる無端の溝であって、主荷重部における導油溝の少なくとも一部は、周方向に対して所定の角度をなして延びていることとしてもよい。
このブッシュによれば、主荷重部における導油溝が、ピストンピン及びブッシュの周方向に対して所定の角度をなして延びているので、導油溝が摺動する範囲がピストンピンの軸方向に対して幅を持つこととなる。これにより、ピストンピンの回転に伴い主荷重部の全面に亘って潤滑油がより効果的に供給される。
また、本発明に係るブッシュでは、導油溝は、主荷重部において端部を有し、主荷重部における導油溝の少なくとも一部は、周方向に対して所定の角度をなして延びていることとしてもよい。
このブッシュによれば、主荷重部における導油溝が、ピストンピン及びブッシュの周方向に対して所定の角度をなして延びているので、導油溝が摺動する範囲が軸方向に幅を持つこととなる。これにより、ピストンピンの回転に伴い主荷重部の全面に亘って潤滑油がより効果的に供給される。また、2箇所で導油溝に連通される微小油溝においては、より確実に潤滑油が供給されることとなる。
また、本発明に係るブッシュでは、導油溝は、周方向に沿う部分を含む主導油溝と、平行油溝と、を含み、平行油溝は、主導油溝と連通しており、周方向と交差する方向に延び、主荷重部の周方向両端近傍に一対設けられ、平行油溝の両端部のそれぞれは、当該ブッシュの開口縁の一端及び他端に至らず、平行油溝の断面積は、導油溝の平行油溝との連通部分における断面積以下であることとしてもよい。
このブッシュによれば、周方向と交差する方向に延びる平行油溝が設けられ、平行油溝の断面積は、導油溝における平行油溝との連通部の断面積以下であるので、潤滑油の圧力が、導油溝から平行油溝に進むに従って低下しない。従って、当該ブッシュの軸方向に亘って潤滑油が効果的に供給される。そして、主荷重部の周方向の両端近傍に平行油溝が設けられるので、主荷重部の周方向両端部から、マイクロテクスチャ部の微小油溝に効果的に潤滑油を供給できる。また、平行油溝がブッシュの開口縁に至らないので、潤滑油が過剰に漏出することはない。
本発明によれば、筒内圧が高められたエンジンであっても、コンロッドのブッシュとピストンピンとの焼付きの発生を抑制可能なブッシュを提供できる。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、本明細書において、「上」、「下」等の方向は、図面に示す状態に基づく便宜的なものである。
図1は、実施形態に係るブッシュが備えられるエンジンの一部を示す断面図である。具体的には、図1は、ピストン、コンロッド及びピストンピンを含む潤滑構造1を示す断面図である。図2は、コンロッドを示す図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図3は、本実施形態のブッシュの第1の例を示す図であって、ブッシュの内側面の一部を示す展開図である。潤滑構造1は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関に備えられる。潤滑構造1は、ピストン10と、コンロッド20と、ピストンピン30と、を備えている。
ピストン10は、内燃機関のシリンダ内を往復動する部材である。ピストン10は、金属製であり、例えばアルミニウム合金により形成されている。ピストン10は、例えば略円柱状の外形を呈している。ピストン10は、頂部側に位置するヘッド部12と、ヘッド部12から下方側に突設されたピンボス部14と、を少なくとも有している。
ヘッド部12の頂面には、燃焼室の底面を構成するキャビティ16が形成されている。ピンボス部14は、互いに対向するように一対設けられている。これらピンボス部14のそれぞれには、断面が円形状の挿入孔18が貫通形成されている。挿入孔18には、ピストンピン30が摺動可能に挿入されている。ヘッド部12の下方側における、一対のピンボス部14の間には、上方へ窪むコンロッド収容凹部19が形成されている。このコンロッド収容凹部19には、コンロッド20の小端部22が収容されている。
コンロッド20は、ピストン10とクランク軸(図示せず)とを連結し、ピストン10の往復運動をクランク軸の回転運動へと変換する部材である。コンロッド20は、金属製であり、例えば鉄鋼により形成されている。コンロッド20は、例えば棒状を呈している。コンロッド20は、一端側に形成された小端部22と、他端側に形成された大端部(図示せず)と、を有している。小端部22は、先細り形状を呈している。小端部22には、挿入孔18の延在方向(ピストンピン30の軸方向PD)に延びる断面が円形状の小端孔24が形成されている。この小端孔24に、ピストンピン30が摺動可能に挿入されている。大端部には、大端孔が形成されており、この大端孔に前記クランク軸が連結されている。なお、図1においては示していないが、小端孔24の内周面に沿ってブッシュが設けられており、ピストンピン30は、そのブッシュに摺動可能に挿入されている。
ピストンピン30は、ピストン10とコンロッド20の小端部22とを揺動自在に連結する部材である。ピストンピン30は、金属製であり、例えばクロムモリブデン鋼により形成されている。ピストンピン30は、円形の外周面を有する棒状を呈しており、ここでは中空の筒状に形成されている。なお、ピストンピン30は、中実の円柱状に形成されてもよい。ピストンピン30の両端部は、ピストン10の挿入孔18に摺動可能に挿入されている。また、ピストンピン30の中央部は、コンロッド20の小端孔24に摺動可能に挿入されている。すなわち、ピストンピン30は、挿入孔18及び小端孔24内において、軸周りに回転可能とされている。ピストンピン30の軸方向PDは、挿入孔18の延在方向及び小端孔24の延在方向の双方と一致している。図1に示すように、ピストンピン30の外径は、挿入孔18及び小端孔24の内径よりも僅かに小さく設定されている。このため、ピストンピン30と挿入孔18との間、及びピストンピン30と小端孔24との間には、僅かな隙間(クリアランス)が存在する。
本実施形態では、図2に示すように、コンロッド20は、ブッシュ40(図1においては図示せず)を有している。ブッシュ40は、ピストンピン30との間に介在して、ピストンピン30を摺動可能に収容するための部材であって、中空の筒状に形成され外周面が小端孔24の内側面に沿うように設けられている。ブッシュ40の内側面は、ピストンピン30との摺動面を構成する。ブッシュ40は、金属製であり、例えば銅を基材とする合金により形成されている。コンロッド20の大端部側から供給される潤滑油は、連通孔28及びブッシュ40の導油孔42を通り、小端孔24内に供給される。
図3に示すように、ブッシュ40A(40)は、ピストンピン30との摺動面に周方向に沿う部分を含んで設けられた導油溝43A(43)を備えている。この導油溝43Aは、コンロッド20の大端部側から供給される潤滑油を小端孔内に導くための導油孔42A(42)と連通している。なお、ピストンピン30の軸方向PD及びブッシュ40の軸方向は、図3における図示縦方向に相当し、ピストンピン30及びブッシュ40の周方向は図3における図示横方向に相当する。
導油溝43Aは、例えば断面が矩形状を呈している。図3に示す例では、導油溝43Aは、ブッシュ40の軸回りに1周するように周方向に沿って延びる無端の溝である。導油溝43Aは、1〜10mmのいわゆるミリメートルオーダーの幅を有する。また、導油溝43Aは、ミリメートルオーダーの深さを有する。
ブッシュ40A(40)は、複数の微小油溝が設けられたマイクロテクスチャ部44A(44)を備える。マイクロテクスチャ部44Aは、ピストンピン30との摺動面の一定範囲を占める主荷重部Lに設けられている。
主荷重部Lは、ブッシュ40の内周面且つピストンピン30との摺動面の一部であって、下降行程のピストン10の動作に基づくピストンピン30による荷重が作用する領域を少なくとも含む。なお、本明細書では、エンジンの吸入行程及び燃焼行程を下降行程と称する。この下降の方向は、エンジンのレイアウトに依存し、重力方向に限定されない。図1及び図2に示す例では、主荷重部Lは、ブッシュ40の内周面における下方に位置する。
さらに具体的には、コンロッド20はピストンに対して揺動するので、この揺動に伴い、ブッシュ40の内周面に対するピストンピン30による荷重方向が変化する。従って、主荷重部Lは、コンロッド20の揺動に伴う、下降行程のピストン10の、当該ブッシュ40の内周面に対する相対的な動作方向の変化範囲に対応する領域を含む。また、最荷重部Lxは、主荷重部Lのうちの周方向における略中央の部分である。図1及び図2に示す例では、最荷重部Lxは、ブッシュ40の内周面における最下方に位置する。
図4は、マイクロテクスチャ部を詳細に示す斜視図である。図4に示すように、マイクロテクスチャ部は、第1の方向D1に沿って設けられた複数の微小油溝Vを有する。複数の微小油溝Vは、突部Mにより隔てられている。微小油溝Vの幅Wは、いわゆるマイクロメートルオーダーであって、例えば、1〜1000μmである。また、微小油溝Vの深さTも、例えば、1〜1000μmのマイクロメートルオーダーである。
マイクロテクスチャ部44は、導油溝43の延びる方向と第1の方向D1とが平行とはならないように設けられている。即ち、導油溝43とマイクロテクスチャ部44の微小油溝Vとは、少なくとも一部では交わっており、互いに連通している。
図3に示す例では、具体的には、マイクロテクスチャ部44Aは、微小油溝Vの延在方向である第1の方向D1が図3における方向rAに沿うように設けられている。即ち、微小油溝Vの延在方向である第1の方向D1は、主荷重部Lにおける導油溝43Aの延在方向に略直交している。
図3に示すように、導油溝43A(43)の断面積は、最荷重部Lxに向かうにしたがって小さくなるように設けられている。このように、導油溝43の断面積が最荷重部Lxに向かうに従って小さくなることにより、導油溝43を通る潤滑油の圧力が最荷重部Lxに向かうに従って高められる。
このような本実施形態のブッシュ40では、導油孔42から供給された潤滑油が、導油溝43を介して内周面の周方向に沿って導入され、主荷重部Lに到達する。そして、その潤滑油がマイクロテクスチャ部44の微小油溝Vを通って主荷重部Lに行き渡る。これにより、ブッシュ40の摺動面においてピストンピン30による荷重が作用する領域である主荷重部Lに潤滑油が供給されることとなるので、筒内圧が高められたエンジンであっても、ブッシュ40とピストンピン30との焼付きの発生を抑制できる。
また、ピストンピン30による荷重が作用する領域は、コンロッド20の揺動に伴いその範囲が広げられるが、本実施形態のブッシュ40によれば、その領域の全般に亘って微小油溝Vが設けられることとなるので、潤滑油をピストンピン30による荷重が作用する領域の全般に亘って供給できる。
また、本実施形態のブッシュ40では、導油溝43の断面積が最荷重部に向かうに従って小さくなるので、ブッシュ40に対するピストンピン30との面圧が高く、且つそれらの間のクリアランスが極めて小さいような状況下であっても、主荷重部L及び最荷重部Lxに効果的に潤滑油を供給できる。
また、導油溝43がミリメートルオーダーの幅を有し、微小油溝Vがマイクロメートルオーダーの幅を有することにより、本実施形態のブッシュ40では、導油溝43と微小油溝Vとの断面積の差が非常に大きくなる。これにより、微小油溝に供給される潤滑油の圧力が高められることとなり、さらに、微小油溝の断面積が小さいことによる毛細管現象により、主荷重部Lの全般に亘って効果的に潤滑油を供給できる。
また、図3に示すブッシュ40Aでは、微小油溝Vの延在方向である第1の方向D1は、主荷重部Lにおける導油溝43Aの延在方向に略直交するように設けられているので、マイクロテクスチャ部44Aの微小油溝Vに、導油溝43Aからの潤滑油を均一に供給できる。また、図3に示すブッシュ40Aでは、導油溝43Aがブッシュ40Aの軸回りに1周するように周方向に沿って延びる無端の溝であるので、ブッシュ40Aの内周の全面に亘って効果的に潤滑油が供給されると共に、主荷重部Lでは、マイクロテクスチャ部44Aの微小油溝Vの全般に亘って導油溝43Aから効果的に潤滑油が供給される。
図5は、本実施形態のブッシュの第2の例を示す図であって、ブッシュの内側面の一部を示す展開図である。図5に示すように、ブッシュ40B(40)は、ピストンピン30との摺動面に周方向に沿う部分を含んで設けられた導油溝43B(43)を備えている。
導油溝43Bは、図3に示すブッシュ40Aと同様に、その断面積が最荷重部Lxに向かうにしたがって小さくなるように設けられている。このように、導油溝43Bの断面積が最荷重部Lxに向かうに従って小さくなることにより、導油溝43Bを通る潤滑油の圧力が最荷重部Lxに向かうに従って高められるので、最荷重部Lxに効果的に潤滑油を供給できる。
また、主荷重部Lに導油溝43Bの少なくとも一部は、ブッシュ40Bの内周面の周方向に対して所定の角度θBをなして延びている。このように、導油溝43Bが設けられることにより、導油溝43Bが摺動する範囲がピストンピンの軸方向に対して幅を持つこととなる。これにより、ピストンピンの回転に伴い主荷重部Lの全面に亘って潤滑油がより効果的に供給されやすくなる。
また、ブッシュ40Bのマイクロテクスチャ部44B(44)は、微小油溝Vの方向である第1の方向D1が、主荷重部Lにおける導油溝43Bに略直交する方向rBに沿うように設けられている。これにより、導油溝43Bとの連通部分から微小油溝Vに、潤滑油を均一に供給できる。なお、微小油溝Vが、ブッシュ40B及びピストンピン30の軸方向に沿うように設けられていてもよい。
図6は、本実施形態のブッシュの第3の例を示す図であって、ブッシュの内側面の一部を示す展開図である。図6に示すように、ブッシュ40C(40)は、ピストンピン30との摺動面に周方向に沿う部分を含んで設けられた導油溝43C(43)を備えている。
導油溝43Cは、図3に示すブッシュ40Aと同様に、その断面積が最荷重部Lxに向かうにしたがって小さくなるように設けられている。このように、導油溝43Cの断面積が最荷重部Lxに向かうに従って小さくなることにより、導油溝43Cを通る潤滑油の圧力が最荷重部Lxに向かうに従って高められるので、最荷重部Lxに効果的に潤滑油を供給できる。
また、導油溝43Cは、主荷重部Lにおいて端部を有する。また、主荷重部Lにおける導油溝43Cの少なくとも一部は、ブッシュ40Cの内周面の周方向に対して所定の角度θCをなして延びている。このように、導油溝43Bが設けられることにより、導油溝43Bが摺動する範囲がピストンピンの軸方向に対して幅を持つこととなる。これにより、ピストンピンの回転に伴い主荷重部Lの全面に亘って潤滑油がより効果的に供給されやすくなる。
また、ブッシュ40Cのマイクロテクスチャ部44C(44)は、微小油溝Vの方向である第1の方向D1が、主荷重部Lにおける導油溝43Cに略直交する方向rCに沿うように設けられている。これにより、導油溝43Bとの連通部分から微小油溝Vに、潤滑油を均一に供給できる。
また、少なくとも一部の微小油溝Vは、導油溝43Cとの連通部分を2つ有することとなり、そのような微小油溝Vにおいては、より確実に潤滑油が供給されることとなる。なお、微小油溝Vが、ブッシュ40C及びピストンピン30の軸方向に沿うように設けられていてもよい。
図7は、本実施形態のブッシュの第4の例を示す図であって、ブッシュの内側面の一部を示す展開図である。図7に示すように、ブッシュ40D(40)は、ピストンピン30との摺動面に、導油溝43D(43),45D(43)を備えている。導油溝43は、主導油溝43Dと、平行油溝45Dとを含む。主導油溝43Dは、周方向に沿う部分を含んで設けられている。主導油溝43Dは、図3に示すブッシュ40Aの導油溝43Aと同様に、その断面積が最荷重部Lxに向かうにしたがって小さくなるように設けられている。このように、主導油溝43Dの断面積が最荷重部Lxに向かうに従って小さくなることにより、主導油溝43Dを通る潤滑油の圧力が最荷重部Lxに向かうに従って高められるので、最荷重部Lxに効果的に潤滑油を供給できる。
平行油溝45Dは、周方向と交差する方向に延びるように一対設けられている。平行油溝45Dは、周方向と交差する方向に延びるので、周方向に沿って延びる主導油溝43Dとそれぞれ連通している。また、平行油溝45Dの断面積は、主導油溝43Dの平行油溝45Dとの連通部分における断面積以下に調整されている。これにより、潤滑油の圧力は、主導油溝43Dから平行油溝45Dに進むに従って低下しない。従って、主荷重部Lにおいて軸方向に亘って潤滑油が効果的に供給される。
また、平行油溝45Dは、その両端部のそれぞれがブッシュ40Dの開口縁の一端及び他端に至らないように設けられている。従って、ブッシュ40Dの開口縁から潤滑油が過剰に漏出することが防止される。
平行油溝45Dは、主荷重部Lの周方向両端近傍に設けられている。従って、一対の平行油溝45Dの間にマイクロテクスチャ部44D(44)が位置することとなる。マイクロテクスチャ部44Dは、微小油溝Vの方向である第1の方向D1が、平行油溝45Dに略直交する方向rDに沿うように設けられている。これにより、平行油溝45Dとの連通部分から微小油溝Vに、潤滑油を均一に供給できる。なお、微小油溝Vの方向(第1の方向D1)は、平行油溝45Dに直交する方向に限定されず、平行油溝45Dに平行でなければよい。
以上説明したように、本実施形態のブッシュ40では、導油孔42から供給された潤滑油が、導油溝43を介して内周面の周方向に沿って導入され、主荷重部Lに到達する。そして、その潤滑油がマイクロテクスチャ部44の微小油溝Vを通って主荷重部Lに行き渡る。これにより、ブッシュ40の摺動面においてピストンピン30による荷重が作用する領域である主荷重部Lに潤滑油が供給されることとなるので、筒内圧が高められたエンジンであっても、ブッシュ40とピストンピン30との焼付きの発生を抑制できる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
1…潤滑構造、10…ピストン、12…ヘッド部、14…ピンボス部、16…キャビティ、18…挿入孔、19…コンロッド収容凹部、20…コンロッド、22…小端部、24…小端孔、28…連通孔、30…ピストンピン、40,40A,40B,40C,40D…ブッシュ、42,42A…導油孔、43,43A,43B,43C…導油溝、43D…主導油溝、44,44A,44B,44C,44D…マイクロテクスチャ部、45D…平行油溝、L…主荷重部、Lx…最荷重部、V…微小油溝。
Claims (4)
- コンロッドの小端孔の内周面に沿って設けられ、ピストンピンが摺動可能に挿入されるブッシュであって、
前記コンロッドの大端部側から供給される潤滑油を前記小端孔内に導くための導油孔と連通しており、前記ピストンピンとの摺動面に周方向に沿う部分を含んで設けられた導油溝と、
前記摺動面の一定範囲を占める主荷重部に設けられ、第1の方向に沿って複数の微小油溝が設けられたマイクロテクスチャ部と、を備え、
前記導油溝の少なくとも一部の延びる方向と前記第1の方向とは平行ではなく、
前記導油溝と、前記微小油溝の少なくとも一部とは連通しており、
前記主荷重部は、前記摺動面の一部であって、下降行程のピストンの動作に基づくピストンピンによる荷重が作用する領域を少なくとも含む、
ブッシュ。 - 前記主荷重部は、前記コンロッドの揺動に伴う、下降行程のピストンの、当該ブッシュの内周面に対する相対的な動作方向の変化範囲に対応する領域を含む、
請求項1に記載のブッシュ。 - 前記導油溝の断面積は、前記主荷重部のうちの周方向における略中央の最荷重部に向かうにしたがって小さくなる、請求項1または2に記載のブッシュ。
- 前記導油溝は、1〜10mmのミリメートルオーダーの幅を有し、
前記微小油溝は、1〜1000μmのマイクロメートルオーダーの幅を有する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のブッシュ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016191911A JP2018054041A (ja) | 2016-09-29 | 2016-09-29 | コンロッドのブッシュ |
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JP2016191911A JP2018054041A (ja) | 2016-09-29 | 2016-09-29 | コンロッドのブッシュ |
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JP2018054041A true JP2018054041A (ja) | 2018-04-05 |
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ID=61835536
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JP (1) | JP2018054041A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114526332A (zh) * | 2022-02-23 | 2022-05-24 | 北京理工大学 | 一种具有卸载润滑功能的活塞铜套结构 |
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2016
- 2016-09-29 JP JP2016191911A patent/JP2018054041A/ja active Pending
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