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JP2017203544A - 車両用変速機の油圧回路制御装置 - Google Patents

車両用変速機の油圧回路制御装置 Download PDF

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JP2017203544A
JP2017203544A JP2016097379A JP2016097379A JP2017203544A JP 2017203544 A JP2017203544 A JP 2017203544A JP 2016097379 A JP2016097379 A JP 2016097379A JP 2016097379 A JP2016097379 A JP 2016097379A JP 2017203544 A JP2017203544 A JP 2017203544A
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裕介 青野
Yusuke Aono
裕介 青野
溝渕 真康
Masayasu Mizobuchi
真康 溝渕
健吾 永井
Kengo Nagai
健吾 永井
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Abstract

【課題】操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切換えられた際に、後進用係合要素と前進用係合要素とが共に係合状態となることを抑制するとともに、差動歯車装置でのガタ打ち音の発生を抑制する。
【解決手段】電子制御装置によれば、シフトポジション検出部によってシフトレバーにより操作ポジションが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切換えられたと判定された際に、ドライバ発進意図判定部によりドライバに発進意図が無いと判定された場合、排出速度切換部によりブレーキB2からの作動油の油排出速度がドライバに発進意図が有ると判定された場合よりも低くされ、ドライバに発進意図が有ると判定された場合、ブレーキB2からの作動油の油排出速度がドライバに発進意図が無いと判定された場合よりも高くされる。
【選択図】図10

Description

本発明は、車両用変速機の油圧回路制御装置に関し、シフトレバーにより操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切換えられた際に、後進ギヤ段を成立させる後進用係合要素と前進ギヤ段を成立させる前進用係合要素とが共に係合される状態を抑制するとともに、差動歯車装置でのガタ打ち音の発生を抑制する技術に関する。
変速機を後進ギヤ段から前進ギヤ段へ切り換える際に後進ギヤ段を成立させる後進用係合要素からの油を排出する速度を切り換える排出速度切換部と、シフトレバーによる後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切換えが行われたか否かを判定するシフトポジション検出部と、を備えた車両用変速機の油圧回路制御装置が知られている。たとえば、特許文献1の車両用変速機の油圧回路制御装置がそれである。
特許文献1の車両では、車両用変速機として機能する車両用無段変速機と、車両の進行方向を前進方向と後進方向とに切り換える前後進切換装置と、車両用無段変速機の出力軸に固定された出力ギヤから減速機構を介して伝達された動力を車両の左右の駆動輪に伝達する差動歯車装置とが備えられている。前後進切換装置は、エンジンに連結されたサンギヤと、車両用無段変速機の入力軸に連結されたリングギヤと、それらと噛み合うピニオンギヤを自転および公転可能に支持するキャリヤとを備えた遊星歯車装置などから構成されており、サンギヤとリングギヤとは前進用係合要素を介して選択的に連結され、キャリヤは後進用係合要素を介して車両用変速機等を収容するケースに選択的に固定させられる。前進用係合要素が係合させられるとともに後進用係合要素が解放させられると、前後進切換装置は一体回転状態とされて前進方向の駆動力が車両用無段変速機に伝達される。後進用係合要素が係合させられるとともに前進用係合要素が解放されると、後進方向の駆動力が車両用無段変速機に伝達される。シフトポジション検出部によってシフトレバーにより操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切り換えられたと判定され、且つ作動油の温度が所定温度以下である等の所定条件が満たされると、排出速度切換部により後進用係合要素から油を排出する油排出油路が、後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジション以外のたとえばパーキング操作ポジションへの切換えの際の第1油排出油路から後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへの切換えの際の第2油排出油路へ切り換えられる。上記第1油排出油路にはオリフィスが設けられている。このため、後進用係合要素からの油排出速度は、上記第1油排出油路を通じて油が排出される場合よりも上記第2油排出油路を通じて油が排出される場合の方が高く、操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切換えられた際に後進用係合要素が係合状態から解放状態へ素早く切り換えられて、後進用係合要素と前進用係合要素とが共に係合された状態が短縮される。これにより、操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切換えられた際に、前後進切換装置がケースにロックされることによるアイドル回転からのエンジン回転速度の低下が抑制される。
特開2010−174995号公報
ところで、操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切り換えられる際に、ドライバに車両を発進させる発進意図がなく、ドライバによりアクセルの踏込操作が為されない場合がある。図12は、車両110の概略図であって、操作ポジションが後進走行操作ポジションにあり、ブレーキの踏込操作により車両110が停止状態(駆動輪が停止状態)にある場合においてプロペラシャフト114に作用する後進トルク(R荷重)を説明するための図である。車両110は、駆動力源としてのエンジン116と、車両用変速機112(T/M)および差動歯車装置118と、車両用変速機112からの動力を差動歯車装置118へ伝達するプロペラシャフト114と、駆動輪120とを備えている。操作ポジションが後進走行操作ポジションにあり、プロペラシャフト114には後進トルク(N・m)が作用した状態で車両110が停止している。図13は、操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションに切り換えられる際にドライバによりアクセル踏込操作が行われない場合における、プロペラシャフト114に作用する後進トルクおよび車両110の加速度Gの変化を示すタイムチャートである。ドライバのシフトレバー操作により操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切換られ、特許文献1の車両用変速機の油圧回路制御装置のように後進用係合要素の油が急速に排出されることによりプロペラシャフト114に作用していた後進トルクが急解放され(t1時点)、車両110の加速度Gが正の加速度と負の加速度との間で脈動する。これにより、差動歯車装置118でガタ打ち音が発生する可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、シフトレバーにより操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへ切換えられた際に、後進用係合要素と前進用係合要素とが共に係合される状態を抑制するとともに、差動歯車装置でのガタ打ち音の発生を抑制する車両用変速機の油圧回路制御装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、車両用変速機の油圧回路制御装置であって、シフトレバーの操作ポジションを検出するシフトポジション検出部と、後進ギヤ段を成立させる後進用係合要素からの油排出速度を切り換えるための排出速度切換部と、ドライバの発進意図を判定するドライバ発進意図判定部と、を含み、前記シフトポジション検出部によって前記シフトレバーによる後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへの切換えが判定された際に、前記ドライバ発進意図判定部によってドライバの発進意図が無いと判定された場合には、前記排出速度切換部によって前記後進用係合要素からの油排出速度を前記ドライバ発進意図判定部によって前記ドライバの発進意図が有ると判定された場合よりも低くし、前記ドライバ発進意図判定部によって前記ドライバの発進意図が有ると判定された場合には、前記排出速度切換部によって前記後進用係合要素からの油排出速度を前記ドライバの発進意図が無いと判定された場合よりも高くすることにある。
本発明によれば、前記シフトポジション検出部によって前記シフトレバーによる後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへの切換えが判定された際に、前記ドライバ発進意図判定部によってドライバの発進意図が無いと判定された場合には、前記排出速度切換部によって前記後進用係合要素からの油排出速度が前記ドライバ発進意図判定部によって前記ドライバの発進意図が有ると判定された場合よりも低くされ、前記ドライバ発進意図判定部によって前記ドライバの発進意図が有ると判定された場合には、前記排出速度切換部によって前記後進用係合要素からの油排出速度が前記ドライバの発進意図が無いと判定された場合よりも高くされる。このため、シフトレバーによる後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへの切換えが判定された際にドライバに発進意図が無いと判定された場合には、差動歯車装置に入力されていた後進トルクの急解放が抑制されることにより、差動歯車装置でのガタ打ち音の発生が抑制される。また、シフトレバーによる後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへの切換えが判定された際にドライバに発進意図が有ると判定された場合には、ドライバの発進意図が無いと判定された場合よりも後進用係合要素が係合状態から解放状態へ早く切り換えられるため、前進用係合要素と後進用係合要素とが共に係合された状態となることが抑制される。
本発明が適用される車両の制御系統の要部を説明する図であるとともに、その制御系統に含まれる電子制御装置の制御機能の要部が機能ブロック線図として示されている。 図1の車両に備えられるトルクコンバータや自動変速機を説明する骨子図である。 図2の自動変速機の複数のギヤ段を成立させる際の摩擦係合装置の作動状態を説明する作動表である。 図1の車両に備えられるシフトレバーの操作ポジションPshの一例を示す図である。 図2の自動変速機の油圧制御回路の要部を示す回路図であって、クラッチC及びブレーキBの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブなどを説明する図である。 図5の油圧制御回路のマニュアルバルブを説明する図である。 図5の油圧制御回路の要部を示す図であって、操作ポジションが後進走行操作ポジションにあるときの、作動油のソレノイドリレーバルブを通じたブレーキB2の油圧アクチュエータACT6への供給経路を説明する図である。 図5の油圧制御回路の要部を示す図であって、操作ポジションが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切換えられた際に、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6内の作動油をマニュアルバルブを通じて緩やかに排出させる緩排出経路を説明する図である。 図5の油圧制御回路の要部を示す図であって、操作ポジションが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切換えられた際に、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6内の作動油をソレノイドリレーバルブを通じて急速に排出させる急速排出経路を説明する図である。 図1の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。 図1の電子制御装置の制御作動であって、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態においてシフトレバーにより操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切り換えられた際にドライバに発進意図が無い場合において、プロペラシャフトに作用する後進トルクおよび車両の加速度Gの変化を説明するタイムチャートである。 車両の概略図であって、操作ポジションが後進走行操作ポジションにあり、車両が停止状態(駆動輪が停止状態)にある場合において、プロペラシャフトに作用する荷重を説明するための図である。 図12の車両において、操作ポジションが後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションに切り換えられた際にドライバによりアクセル踏込操作が行われない場合における、プロペラシャフトの後進トルクおよび車両の加速度Gの変化を示すタイムチャートである。
以下、本発明の車両用変速機の油圧回路制御装置の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動力源として機能するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間に設けられた動力伝達装置16とを備えている。動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース18(以下、ケース18という)内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結された自動変速機22、自動変速機22の出力回転部材である出力軸24に連結されたプロペラシャフト26、そのプロペラシャフト26に連結された差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)28、その差動歯車装置28に連結された1対の車軸30等を備えている。このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12の動力(特に区別しない場合には駆動トルクや駆動力も同義)は、トルクコンバータ20、自動変速機22、プロペラシャフト26、差動歯車装置28、及び車軸30等を順次介して1対の駆動輪14へ伝達される。
図2は、トルクコンバータ20や自動変速機22を説明する骨子図である。尚、トルクコンバータ20や自動変速機22等は中心線(軸心RC)に対して略対称的に構成されており、図2ではその中心線の下半分が省略されている。又、図2中の軸心RCはエンジン12、トルクコンバータ20の回転軸心である。
図2において、トルクコンバータ20は、軸心RC回りに回転するように配設されており、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び自動変速機22の入力回転部材である変速機入力軸32に連結されたタービン翼車20tを備えている。ポンプ翼車20pには、自動変速機22を変速制御したり、動力伝達装置16の動力伝達経路の各部に潤滑油を供給したりする為の作動油圧をエンジン12により回転駆動されることにより発生する機械式のオイルポンプ34が連結されている。
自動変速機22は、エンジン12から駆動輪14までの動力伝達経路の一部を構成し、複数の摩擦係合装置及びワンウェイクラッチ(一方向クラッチ)F1の何れかが選択的に係合されることによりギヤ比(変速比)が異なる複数のギヤ段(変速段)が成立させられる有段式の自動変速機として機能する遊星歯車式多段変速機である。例えば、公知の車両によく用いられる所謂クラッチツゥクラッチ変速を行う有段変速機である。この自動変速機22は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置36と、ラビニヨ型に構成されているシングルピニオン型の第2遊星歯車装置38及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置40とを同軸線上(軸心RC上)に有し、変速機入力軸32の回転を変速して出力軸24から出力する。
第1遊星歯車装置36、第2遊星歯車装置38、及び第3遊星歯車装置40は、良く知られているように、サンギヤ(S1、S2、S3)、ピニオンギヤ(P1、P2、P3)を自転及び公転可能に支持するキャリヤ(CA1、CA2、CA3)、及びピニオンギヤを介してサンギヤと噛み合うリングギヤ(R1、R2、R3)によって各々3つの回転要素(回転部材)が構成されている。そして、それら各々3つの回転要素は、直接的に或いは摩擦係合装置(クラッチC1,C2,C3,C4、及びブレーキB1,B2)やワンウェイクラッチF1を介して間接的(或いは選択的)に、一部が互いに連結されたり、変速機入力軸32、ケース18、或いは出力軸24に連結されている。
上記クラッチC1,C2,C3,C4、及びブレーキB1,B2(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキB、或いは係合装置という)は、公知の車両用自動変速機においてよく用いられている油圧式の摩擦係合装置であって、油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される。このように構成されたクラッチC及びブレーキBは、自動変速機22に備えられた油圧制御回路50(図1、図5参照)が有するリニアソレノイドバルブSL1−SL6等からの油圧によりそれぞれのトルク容量(すなわち係合力)が変化させられて、係合と解放とが切り替えられる。
油圧制御回路50によってクラッチC及びブレーキBの係合と解放とが制御されることで、図3の係合作動表に示すように、運転者のアクセル操作や車速V等に応じて前進8段、後進1段の各ギヤ段が成立させられる。図3の「1st」-「8th」は前進ギヤ段としての第1速ギヤ段−第8速ギヤ段、「Rev」は後進ギヤ段、「N」は何れのギヤ段も成立させられないニュートラル状態、「P」はニュートラル状態且つ機械的に出力軸24の回転が阻止(ロック)される状態を意味しており、各ギヤ段に対応する自動変速機22のギヤ比γ(=変速機入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)は、第1遊星歯車装置36、第2遊星歯車装置38、及び第3遊星歯車装置40の各歯車比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
図3の係合作動表は、上記各ギヤ段とクラッチC及びブレーキBの各作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合、「◎」は例えば被駆動時のみ係合、空欄は解放をそれぞれ表している。このように、自動変速機22は、リニアソレノイドバルブSL1−SL6等からの油圧により所定の係合装置を係合することでギヤ段が択一的に成立させられる自動変速機である。但し、本実施例の自動変速機22においては、互いに一体的に連結されたキャリヤCA2及びキャリヤCA3とケース18との間に、それらキャリヤCA2及びキャリヤCA3の正回転(変速機入力軸32と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止するワンウェイクラッチF1がブレーキB2と並列に設けられている。従って、エンジン12側から駆動輪14側を回転駆動する駆動時には、ブレーキB2を係合しなくとも、ワンウェイクラッチF1の自動係合により、クラッチC1が係合されれば、第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。また、後進ギヤ段は、クラッチC3およびブレーキB2の係合により成立させられる。なお、ブレーキB2は、本発明の後進用係合要素として機能する。
図1に戻り、車両10には、例えば自動変速機22の変速制御などに関連する自動変速機22の制御装置を含む電子制御装置60が備えられている。よって、図1は、電子制御装置60の入出力系統を示す図であり、又、電子制御装置60による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置60は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置60は、エンジン12の出力制御、自動変速機22の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン出力制御用や油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置60には、車両10が備える各種センサ(例えばエンジン回転速度センサ70,タービン回転速度センサ72,出力軸回転速度センサ74、アクセル開度センサ76、スロットルセンサ78、シフトポジションセンサ80など)による検出信号に基づく各種実際値(例えばエンジン回転速度Ne、タービン回転速度Ntである変速機入力軸回転速度Nin、車速Vに対応する出力軸回転速度Nout、アクセル開度θacc、スロットル弁開度θth、シフト操作部材としてのシフトレバー82の操作ポジション(シフトポジション又はレバーポジションともいう)Pshなど)が、それぞれ供給される。又、電子制御装置60からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、自動変速機22の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号Sp等が、それぞれ出力される。例えば、油圧制御指令信号Spとして、クラッチC、ブレーキBの各油圧アクチュエータACT1−ACT6へ供給される各油圧を調圧する各リニアソレノイドバルブSL1−SL6を駆動する為の指令信号(指令圧)が油圧制御回路50へ出力される。
図4は、シフトレバー82の操作ポジションPshの一例を示す図である。図4に示すように、シフトレバー82は、操作ポジション「P」、「R」、「N」、「D」、又は「S」へ手動操作される。操作ポジション「P」は、自動変速機22のパーキングポジション(Pポジション)を選択し、自動変速機22を動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態(中立状態)とし且つ機械的に出力軸24の回転を阻止する為のパーキング操作ポジションPである。又、操作ポジション「R」は、自動変速機22の後進走行ポジション(Rポジション)を選択し、後進走行する為の後進走行操作ポジションRである。この後進走行操作ポジションRは、自動変速機22の後進ギヤ段を用いて後進走行を可能とする走行操作ポジションである。又、操作ポジション「N」は、自動変速機22のニュートラルポジション(Nポジション)を選択し、自動変速機22をニュートラル状態とする為のニュートラル操作ポジションNである。又、操作ポジション「D」は、自動変速機22の前進走行ポジション(Dポジション)を選択し、前進走行する為の前進走行操作ポジションDである。この前進走行操作ポジションDは、自動変速機22の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で第1速ギヤ段「1st」−第8速ギヤ段「8th」の総ての前進ギヤ段を用いて自動変速制御を実行して前進走行を可能とする走行操作ポジションである。又、操作ポジション「S」は、自動変速機22のDポジションにおいてギヤ段の変速範囲を制限する為のシーケンシャル操作ポジションSである。このシーケンシャル操作ポジションSは、変速可能な高車速側(ハイ側)のギヤ段が異なる複数種類の変速レンジを切り替えることにより手動変速を可能とする走行操作ポジションである。この操作ポジション「S」においては、シフトレバー82の操作毎に変速範囲をアップ側にシフトさせる為のアップシフト操作ポジション「+」、シフトレバー82の操作毎に変速範囲をダウン側にシフトさせる為のダウンシフト操作ポジション「−」が備えられている。
図5は、クラッチC及びブレーキBの各油圧アクチュエータACT1−ACT6の作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1−SL6等に関する油圧制御回路50の要部を示す回路図である。図5において、油圧制御回路50は、油圧供給装置52と、リニアソレノイドバルブSL1−SL6と、ソレノイドリレーバルブ53とを備えている。
油圧供給装置52は、オイルポンプ34が発生する油圧を元圧としてライン油圧PLを調圧する例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ54と、スロットル弁開度θth等で表されるエンジン負荷(例えばエンジントルクTeや変速機入力トルクTat等)に応じてライン油圧PLが調圧される為にプライマリレギュレータバルブ54へ信号圧Psltを供給するリニアソレノイドバルブSLTと、ライン油圧PLを元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ56と、シフトレバー82の切替操作に連動して機械的或いは電気的に油路が切り替えられるマニュアルバルブ58とを備えている。
図6は、油圧供給装置52に備えられたマニュアルバルブ58を詳しく示す図である。図6において、マニュアルバルブ58は、シフトレバー82に連結されるスプール弁子84と、ライン油圧PLが入力される入力ポート86と、ドライブ油圧PDを出力する前進圧出力ポート88と、リバース油圧PRを出力する後進圧出力ポート90と、ドライブ油圧PDを排出する排出ポート92と、リバース油圧PRを排出する排出ポート94と、排出ポート94からの排出油量を制限する絞り96とを備えている。このマニュアルバルブ58は、例えばシフトレバー82が前進走行操作ポジションD或いはシーケンシャル操作ポジションSへ操作されたときには、スプール弁子84がその前進走行操作ポジションDおよびシーケンシャル操作ポジションSに対応する切換位置Dに位置させられることにより、入力ポート86から入力されたライン油圧PLをドライブ油圧PDとして前進圧出力ポート88から出力するとともに、リバース油圧PRを出力する後進圧出力ポート90とリバース油圧PRを排出する排出ポート94とを連通する。また、マニュアルバルブ58は、シフトレバー82が後進走行操作ポジションRへ操作されたときには、スプール弁子84がその後進走行操作ポジションRに対応する切換位置Rに位置させられることにより、入力ポート86から入力されたライン油圧PLをリバース油圧PRとして後進圧出力ポート90から出力するとともに、ドライブ油圧PDを出力する前進圧出力ポート88とドライブ油圧PDを排出する排出ポート92とを連通する。また、マニュアルバルブ58は、シフトレバー82がパーキング操作ポジションP或いはニュートラル操作ポジションNへ操作されたときには、スプール弁子84がそのパーキング操作ポジションPに対応する切換位置Pあるいはニュートラル操作ポジションNに対応する切換位置Nに位置させられることにより、前進圧出力ポート88からの油圧PDの出力を遮断し、後進圧出力ポート90からの油圧PRの出力を遮断するとともに、ドライブ油圧PD及びリバース油圧PRを排出側へ導く。このように、油圧供給装置52は、ライン油圧PL、モジュレータ油圧PM、ドライブ油圧PD、及びリバース油圧PRを出力するようになっている。
クラッチC1,C2,C4の各油圧アクチュエータACT1,ACT2,ACT4には、ドライブ油圧PDを元圧としてそれぞれリニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL4により調圧された油圧Pc1,Pc2,Pc4が供給される。又、クラッチC3、ブレーキB1,B2の各油圧アクチュエータACT3,ACT5,ACT6には、ライン油圧PLを元圧としてそれぞれリニアソレノイドバルブSL3,SL5,SL6により調圧された油圧Pc3,Pb1,Pb2が供給される。リニアソレノイドバルブSL1−SL6は、基本的には何れも同じ構成であり、電子制御装置60によりそれぞれ独立に励磁、非励磁や電流制御が為される。尚、油圧制御回路50は、切替えバルブ59を更に備えており、後述するように、油圧Pc3,Pb2はこの切替えバルブ59を介して油圧アクチュエータACT3,ACT6へ供給される。
操作ポジションPshがニュートラル操作ポジションN或いはパーキング操作ポジションPである場合には、何れの係合装置も解放される。操作ポジションPshが前進走行操作ポジションD、シーケンシャル操作ポジションS、及び後進走行操作ポジションRのうちの何れかの走行操作ポジションにある場合には、例えば図3に示す係合表に従って所定のギヤ段を成立させるように係合装置を係合する変速指令が出力される。例えば、操作ポジションPshが前進走行操作ポジションDにある場合には、例えば車速V及びアクセル開度Accを変数として予め定められた関係(変速マップ、変速線図)に実際の車速V及びアクセル開度Accを適用することで変速判断が行われ、その判断した所定の前進ギヤ段が得られるように自動変速機22の変速に関与する係合装置を係合及び/又は解放させる変速指令として油圧制御指令信号Spが油圧制御回路50へ出力される(図1に示す)。この油圧制御指令信号Spに従って、自動変速機22の変速が実行されるように油圧制御回路50内のリニアソレノイドバルブSL1−SL6が駆動させられて、その変速に関与する係合装置の油圧アクチュエータACT1−ACT6が作動させられる。
油圧制御回路50に備えられた切替えバルブ59は、例えば油圧Pc3が流通する油路Lc3を油圧アクチュエータACT3へ接続し、且つ油圧Pb2が流通する油路Lb2を油圧アクチュエータACT6へ接続する弁位置Aと、リバース油圧PRが流通する油路Lrを油圧アクチュエータACT3へ接続し、且つ油路Lrを油圧アクチュエータACT6へ接続する弁位置Bとに、スプール弁子の弁位置が択一的に切り替えられる。切替えバルブ59は、スプール弁子を弁位置A側へ付勢するスプリング59sと、スプール弁子を弁位置A側へ付勢する油圧Pb1を受け入れる油室59caと、スプール弁子を弁位置B側へ付勢するライン油圧PLを受け入れる油室59cbとを備えている。このような切替えバルブ59において、ライン油圧PLが所定値以下のエンジン負荷に応じた値である場合には、スプリング59sの付勢力によりスプール弁子が弁位置Aに保持される。一方で、ライン油圧PLが所定値(たとえばスロットル開度θthが15%のときにプライマリレギュレータバルブ54によって調圧される所定のライン油圧)を上回るエンジン負荷に応じた値PL1である場合には、スプール弁子が弁位置Bに保持される。他方で、ライン油圧PLが上記所定値を上回るエンジン負荷に応じた値PL1であっても、油圧アクチュエータACT5へ油圧Pb1が出力されている場合には、スプール弁子が弁位置Aに保持される。従って、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRであり、リニアソレノイド弁SL3および/またはリニアソレノイド弁SL6がフェイル状態である場合は、スロットル開度θthが上記所定値以上とされて、弁位置Bに保持された切替えバルブ59を介して、リバース油圧PRが油圧アクチュエータACT3,ACT6へ直接供給されて、後進ギヤ段が成立させられる。しかし、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRであり、ライン油圧PLが上記所定値以下のエンジン負荷に応じて調圧された値とされる非フェイル状態の場合には、弁位置Aに保持された切替えバルブ59を介して油圧Pc3,Pb2が油圧アクチュエータACT3,ACT6へ供給される。
また、リバース油圧PRが流通する油路Lrはソレノイドリレーバルブ53に連結されている。図7は、油圧制御回路50の要部を示す図であって、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRにあり、切替えバルブ59が弁位置Bであるときの、作動油のソレノイドリレーバルブ53を通じたブレーキB2の油圧アクチュエータACT6への供給経路を説明する図である。なお、図7および後述する図8、図9において、作動油の流通経路は矢印で示され、マニュアルバルブ58の操作ポジションPshが前進走行操作ポジションDにあるときに連通されるポートが破線で、マニュアルバルブ58の操作ポジションPshが後進走行ポジションRにあるときに連通されるポートが実線でそれぞれ結ばれている。
ソレノイドリレーバルブ53は、スプール弁子と、マニュアルバルブ58から出力されるリバース油圧PRが入力される入力ポートPO1と、リバース油圧PRを切替えバルブ59を介してブレーキB2へ出力する出力ポートPO2と、リバース油圧PRを排出する排出ポートPO3とを備え、電子制御装置60により出力される切換用信号に基づいて、オフ(OFF)側位置とオン(ON)側位置とに切り換えられる。ソレノイドリレーバルブ53がオフ側位置にあるときには、入力ポートPO1と出力ポートPO2とが連通される一方、ソレノイドリレーバルブ53がオン側位置にあるときには、出力ポートPO2と排出ポートPO3とが連通される。ここで、図7と後述する図8および図9とにおいて、ソレノイドリレーバルブ53がオフ側位置にあるときに連通される入力ポートPO1と出力ポートPO2とが実線で、ソレノイドリレーバルブ53がオン側位置にあるときに連通される出力ポートPO2と排出ポートPO3とが破線でそれぞれ結ばれている。また、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRにある場合には、マニュアルバルブ58は図6に示される上記切換位置Rにあり、実線で示されるように、入力ポート86と後進圧出力ポート90とが連通され、前進圧出力ポート88と排出ポート92とが連通される。操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRにあり、たとえばスロットル開度θthが15%以上のときには、上記切換位置Rにあるマニュアルバルブ58から出力されたリバース油圧PRが、オフ側位置にあるソレノイドリレーバルブ53および切替えバルブ59を通じて、後進ギヤ段を成立させる係合要素のうちの一つであるブレーキB2の油圧アクチュエータACT6へ供給される。
また、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRにあり、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されていた状態から操作ポジションPshが前進走行操作ポジションDに切り換えられた際の、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の排出流路は、ソレノイドリレーバルブ53のオフ側位置とオン側位置との切換えによって切り換えられる。図8および図9は、油圧制御回路50の要部を示す図であり、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されていた状態において、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切換えられた際に、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6内からの作動油の排出経路を説明する図である。図8は、ソレノイドリレーバルブ53がオフ側位置にある場合の緩排出経路を、図9は、ソレノイドリレーバルブ53がオン側位置にある場合の急速排出経路を、それぞれ示している。操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切り換えられると、マニュアルバルブ58は、上記切換位置Rから上記切換位置Dに切り換えられ、破線で示されるように、入力ポート86と前進圧出力ポート88とが連通され、ドライブ油圧PDが前進用係合要素であるクラッチC1(Dクラッチ)へ供給されることが可能な状態となる。また、マニュアルバルブ58は、破線で示されるように、後進圧出力ポート90と排出ポート94とが連通される。図8において、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRであり、ブレーキB2へリバース油圧PRが供給されていた状態から操作ポジションPshが前進走行操作ポジションDに切り換えられた際に、ソレノイドリレーバルブ53が後進走行操作ポジションR時のオフ側位置に保持させられる場合には、実線で示されるように、ソレノイドリレーバルブ53の出力ポートPO2と入力ポートPO1とが連通され、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6の作動油はマニュアルバルブ58の排出ポート94を通じて排出される。また、図9において、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRであり、ブレーキB2へリバース油圧PRが供給されていた状態から操作ポジションPshが前進走行操作ポジションDに切り換えられた際に、ソレノイドリレーバルブ53がオフ側位置からオン側位置に切換えられる場合には、破線で示されるように、ソレノイドリレーバルブ53の出力ポートPO2と排出ポートPO3とが連通され、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6の作動油はソレノイドリレーバルブ53の排出ポートPO3を通じて急速に排出される。
図6に示されるように、マニュアルバルブ58のリバース油圧PRを排出する排出ポート94には、クラッチC3の油圧アクチュエータACT3からの作動油、およびブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の排出流量を、流通抵抗を高めてソレノイドリレーバルブ53の排出ポートPO3からの排出流量に比較して制限するオリフィス(絞り)96が設けられている。このため、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRであり、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されていた状態から操作ポジションPshが前進走行操作ポジションDへ切り換えられた際に、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からのマニュアルバルブ58の排出ポート94を通じて排出される作動油は、その油排出速度が抑制され、比較的小さな流量で緩やかに排出される。また、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からのソレノイドリレーバルブ53の排出ポートPO3を通じて排出される作動油の油排出速度は、マニュアルバルブ58のオリフィス96が設けられた排出ポート94を通じて排出される作動油の油排出速度よりも高い。これにより、ソレノイドリレーバルブ53がオフ側位置とオン側位置とに切り換えられることにより、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRであり、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されていた状態から操作ポジションPshが前進走行操作ポジションDへ切り換えられた際の、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度が切り換えられる。
ところで、スロットル開度θthがたとえば15%以上であってリバース油圧PRがブレーキB2に供給されている状態において、シフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切り換えられた際に、ドライバに発進意図が有る場合には、ライン油圧PLがアクセルペダルの踏込みによりドライバに発進意図が無い場合と比較して早期に上昇されるため、クラッチC1は操作ポジションPshの切換時点からドライバに発進意図が無い場合よりも短時間で係合させられる。このため、たとえば図8に示されるように、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油がマニュアルバルブ58の排出ポート94を通じて排出され、油排出速度が充分に高くない場合には、後進ギヤ段を成立させる係合要素のうちの一つであるブレーキB2および前進ギヤ段を成立させるクラッチC1の両方が係合状態となり、エンジン回転速度Neが低下する可能性がある。ここで、ドライバの発進意図は、シフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切り換えられた際の、ドライバの車両10を発進させる意図である。また、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切り換えられた際に、ドライバに発進意図が有る場合には、エンジントルクTeが上昇するため、ブレーキB2およびクラッチC1の両係合要素が係合状態とされた場合には、ブレーキB2およびクラッチC1の両係合要素が係合された状態からブレーキB2が解放状態とされて、クラッチC1が係合状態の前進ギヤ段が成立させられると、車両10の発進ショックが発生する可能性があった。また、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切り換えられた際にブレーキB2が係合状態から解放状態へ急に切り換えられると、プロペラシャフト26などの動力伝達系に作用していた後進トルクによる軸まわりのねじれが急解放され、プロペラシャフト26はそのねじれが戻る方向に回転し、プロペラシャフト26に固定され、差動歯車装置28のリングギヤと噛合うドライブピニオンが、上記リングギヤの前進側の歯面に衝突することにより、差動歯車装置28でガタ打ち音が生じる可能性があった。このため、電子制御装置60は、リバース油圧PRがブレーキB2に供給されている状態において、シフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切り換えられた際に、ドライバの発進意図の有無に基づいて、自動変速機22のブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油排出速度を切り換える、本発明の車両用変速機の油圧回路制御装置としての機能を有する。
図1の電子制御装置60の機能ブロック線図は、電子制御装置60の制御機能の要部を示している。電子制御装置60は、シフトポジション検出部62と、ドライバ発進意図判定部64と、排出速度切換部66とを備えている。
シフトポジション検出部62は、シフトポジションセンサ80により検出されたシフトレバー82の操作ポジション(操作位置、シフトポジション)Pshを表す信号を取得(検出)する。また、シフトポジション検出部62は、そのシフトレバー82の操作ポジションPshを表す信号に基づいて、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態において、シフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへの切換えが行われたか否かを判定する。
ドライバ発進意図判定部64は、シフトポジション検出部62によってブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態においてシフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切換えられたと判定された場合には、エンジン12がアイドル状態では無いか否かに基づいて、ドライバに車両10を発進させる発進意図があるか否かを判定する。ドライバ発進意図判定部64は、スロットル開度θthが所定値以上でありエンジン12がアイドル状態では無いことが肯定される場合には、ドライバに発進意図があると判定する。ドライバ発進意図判定部64は、スロットル開度θthが所定値未満でありエンジン12がアイドル状態では無いことが否定される場合には、ドライバに発進意図がないと判定する。ここで、スロットル開度θthの所定値は、エンジン12がアイドル状態では無いか否かを判定するスロットル開度θthの閾値であり、たとえば約1%が例示される。
排出速度切換部66は、ソレノイドリレーバルブ53の作動位置を切り換えることにより、後進ギヤ段を成立させる係合要素のうちの一つであるブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度を切り換える。排出速度切換部66は、シフトポジション検出部62によってブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態においてシフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切り換えられたと判定された際に、ドライバ発進意図判定部64によりドライバに発進意図が無いと判定された場合には、ソレノイドリレーバルブ53を操作ポジションPshが後進走行操作ポジションR時のオフ側位置に保持することよりブレーキB2の油圧アクチュエータACT6の作動油をマニュアルバルブ58の排出ポート94を通じて排出させ、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度をドライバ発進意図判定部64によってドライバの発進意図が有ると判定された場合よりも低くする。また、排出速度切換部66は、シフトポジション検出部62によってブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態においてシフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切り換えられたと判定された際に、ドライバ発進意図判定部64によりドライバに発進意図が有ると判定された場合には、ソレノイドリレーバルブ53を後進走行操作ポジションR時のオフ側位置からオン側位置へ切り換えることによりブレーキB2の油圧アクチュエータACT6の作動油をソレノイドリレーバルブ53の排出ポートPO3を通じて排出させ、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度をドライバ発進意図判定部64によってドライバの発進意図が無いと判定された場合のブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度よりも高くする。
図10は、電子制御装置60の制御作動の要部を説明するフローチャートである。また、図11は、電子制御装置60の制御作動であって、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態においてシフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切り換えられた際にドライバに発進意図が無い場合において、プロペラシャフト26に作用する後進トルクおよび車両10の加速度Gの変化を説明するタイムチャートである。なお、本フローチャートの電子制御装置60の制御作動は、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRであり、スロットル開度θthが所定値たとえば15%以上であってリバース油圧PRがブレーキB2に供給されている状態において実行される。シフトポジション検出部62の機能に対応するステップ(以下、「ステップ」を省略する。)S1において、シフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切り換えられたか否かが判定される(図11のt1時点)。S1の判定が否定される場合には、本フローチャートは終了させられる。S1の判定が肯定される場合には、ドライバ発進意図判定部64の機能に対応するS2において、エンジン12がアイドル状態では無い(アイドルOFFである)か否かが判定される(t1時点)。S2の判定が肯定される場合すなわちドライバに発進意図が有る場合には、排出速度切換部66の機能に対応するS3において、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度がドライバに発進意図が無い場合のブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度よりも高くされる。これにより、前進ギヤ段を成立させるクラッチC1と後進ギヤ段を成立させるブレーキB2との両方が係合状態となることが抑制される。S3実行後、本フローチャートは終了させられる。S2の判定が否定される場合すなわちドライバに発進意図が無い場合には、排出速度切換部66の機能に対応するS4において、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油は、その油排出速度がドライバに発進意図が有る場合のブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度よりも低くされて、マニュアルバルブ58の排出ポート94を通じて緩やかに排出される(t1時点からt2時点)。このため、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切り換えられた際に、ブレーキB2が係合状態から緩やかに解放状態へ切り換えられ、プロペラシャフト26に作用していた後進トルクによる軸まわりのねじれが緩やかに解放され、プロペラシャフト26が回転することなく車両10の加速度Gは緩やかに零とされる(t2時点)。これにより、プロペラシャフト26のドライブピニオンが差動歯車装置28のリングギヤの前進側の歯面へ衝突することなく、差動歯車装置28でのガタ打ち音の発生が抑制される。S4実行後、本フローチャートは終了させられる。
上述のように、本実施例の電子制御装置60によれば、シフトポジション検出部62によってブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態においてシフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切換えられたと判定された際に、ドライバ発進意図判定部64によってドライバに発進意図が無いと判定された場合には、排出速度切換部66によってソレノイドリレーバルブ53が後進走行操作ポジションR時のオフ側位置に維持されることにより、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6の作動油はマニュアルバルブ58の排出ポート94を通じて排出されて、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度が抑制される。一方、シフトポジション検出部62によってブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態においてシフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切換えられたと判定された際に、ドライバ発進意図判定部64によってドライバに発進意図が有ると判定された場合には、排出速度切換部66によってソレノイドリレーバルブ53がオフ側位置からオン側位置へ切り換えられることにより、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6の作動油はソレノイドリレーバルブ53の排出ポートPO3を通じて排出されて、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度が、ドライバに発進意図が無いと判定された場合のブレーキB2の油圧アクチュエータACT6からの作動油の油排出速度よりも高くされる。このため、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態において、操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDに切り換えられた際に、ドライバに発進意図が無い場合には、ブレーキB2が係合状態から緩やかに解放状態へ切り換えられ、プロペラシャフト26に作用していた後進トルクによる軸まわりのねじれが緩やかに解放され、プロペラシャフト26が回転することなく車両10の加速度Gは緩やかに零とされる(図11のt2時点)。これにより、プロペラシャフト26のドライブピニオンが差動歯車装置28のリングギヤの前進側の歯面へ衝突することなく、差動歯車装置28でのガタ打ち音の発生が抑制される。また、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されている状態においてシフトレバー82により操作ポジションPshが後進走行操作ポジションRから前進走行操作ポジションDへ切り換えられた際に、ドライバに発進意図が有る場合には、前進ギヤ段を成立させるクラッチC1と後進ギヤ段を成立させるブレーキB2との両方が係合状態となることが抑制される。
以上、本発明を表及び図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
たとえば、前述の実施例の電子制御装置60によれば、スロットル開度θthが所定値以上であるか否かに基づいてドライバに発進意図があるか否かが判定されていたが、これに限定されるものではなく、たとえば、アクセル開度センサ76により検出されるアクセル開度Accが所定値以上であるか否かに基づいてドライバに発進意図があるか否かが判定されてもよい。
また、前述の実施例の油圧制御回路50によれば、切替えバルブ59が備えられ、切替えバルブ59の弁位置が切り換えられて、ブレーキB2にリニアソレノイドバルブSL6からの油圧Pb2が供給される状態とブレーキB2にリバース油圧PRが供給される状態とが切り換えられていたが、これに限定されるものではなく、たとえば、切替えバルブ59が備えられずに、ブレーキB2にリバース油圧PRが供給されるように構成されてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
22:自動変速機(車両用変速機)
50:油圧制御回路
60:電子制御装置(車両用変速機の油圧回路制御装置)
62:シフトポジション検出部
64:ドライバ発進意図判定部
66:排出速度切換部
82:シフトレバー
C1:クラッチ(前進用係合要素)
B2:ブレーキ(後進用係合要素)

Claims (1)

  1. 車両用変速機の油圧回路制御装置であって、
    シフトレバーの操作ポジションを検出するシフトポジション検出部と、
    後進ギヤ段を成立させる後進用係合要素からの油排出速度を切り換えるための排出速度切換部と、
    ドライバの発進意図を判定するドライバ発進意図判定部と、を含み、
    前記シフトポジション検出部によって前記シフトレバーによる後進走行操作ポジションから前進走行操作ポジションへの切換えが判定された際に、
    前記ドライバ発進意図判定部によってドライバの発進意図が無いと判定された場合には、前記排出速度切換部によって前記後進用係合要素からの油排出速度を前記ドライバ発進意図判定部によって前記ドライバの発進意図が有ると判定された場合よりも低くし、前記ドライバ発進意図判定部によって前記ドライバの発進意図が有ると判定された場合には、前記排出速度切換部によって前記後進用係合要素からの油排出速度を前記ドライバの発進意図が無いと判定された場合よりも高くすることを特徴とする車両用変速機の油圧回路制御装置。
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