《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図12(b)を用いて説明する。
図1には、第1の実施形態に係る露光装置10の構成が概略的に示されている。露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である。
露光装置10は、照明系12、該照明系12からの露光用照明光(以下、「照明光」又は「露光光」と呼ぶ)ILにより照明されるレチクルRを保持するレチクルステージ14、レチクルRから射出した照明光ILをウエハW上に投射する投影光学系16bを含む投影ユニット16、局所液浸装置18(図1では不図示。図7参照)、ウエハステージ24及び計測ステージ26を含むステージ装置20、アライメント系30、及びこれらの制御系等を備えている。ウエハステージ24上には、ウエハWが載置されている。
照明系12は、米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含む。照明系12は、レチクルブラインドで規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域を照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。照明光ILとしては、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
レチクルステージ14上には、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたレチクルRが、真空吸着により固定されている。レチクルステージ14は、リニアモータ等を含むレチクル駆動系52(図1では不図示、図7参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、所定の走査方向(ここでは図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージ14のステージ移動面内の位置(Z軸回りの回転を含む)は、エンコーダシステム(あるいはレーザ干渉計システム)を含むレチクル計測系56(図1では不図示、図7参照)によって計測される。レチクル計測系56の計測値は、主制御装置50(図1では不図示、図7参照)に供給され、主制御装置50は、レチクル計測系56の計測値に基づいてレチクルステージ14のX軸方向、Y軸方向及びθz方向(Z軸回りの回転方向)の位置を算出するとともに、この算出結果に基づいてレチクル駆動系52を制御することで、レチクルステージ14の位置(及び速度)を制御する。
投影ユニット16は、レチクルステージ14の図1における下方に配置されている。投影ユニット16は、鏡筒16aと、該鏡筒16a内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子から成る投影光学系16bとを含む。投影光学系16bとしては、Z軸方向の共通の光軸AXを有する複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系16bは、両側テレセントリックで所定の投影倍率(1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系12からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系16b(投影ユニット16)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、「露光領域」とも呼ぶ)IAに形成される。
局所液浸装置18(図1では不図示。図7参照)は、投影光学系16bを構成する最下端の光学部材(以下、先端レンズと称する)とウエハステージ24に保持されたウエハW(あるいは計測ステージ26)との間の空間に液体(純水)を局所的に満たして液浸領域を形成するための装置である。局所液浸装置18は、液体供給装置、液体回収装置、ノズルユニット、及び各種配管部材(それぞれ不図示)など含み、液浸領域内の液体を循環させることによって、ウエハステージ24、及び計測ステージ26の位置に関わらず、常に液浸領域内に液体が保持されるようにする。露光装置10において、ウエハWは、上記液体を介して(液浸領域を通過した)照明光ILにより露光される。局所液浸装置18を用いた液浸露光方法については、米国特許第8,004,650号明細書などに開示されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
ステージ装置20は、ベース盤22、該ベース盤22の上面の上方に配置されたウエハステージ24、及び計測ステージ26、各ステージ24、26を駆動するステージ駆動系54(図1では不図示。図7参照)、並びに各ステージ24、26の位置を計測するステージ計測系58(図1では不図示。図7参照)などを備えている。
ウエハステージ24は、ステージ本体24aと、該ステージ本体24a上に不図示のZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなど)を介して搭載され、ステージ本体24aに対してZ軸方向及びX軸回りの回転方向(θx方向)、Y軸回りの回転方向(θy方向)に相対的に微小駆動されるウエハテーブル24bとを含む。ウエハテーブル24b上には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が配置されている。また、ウエハテーブル24bの上面には、ウエハホルダに保持されたウエハとほぼ面一であって、外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口(図2参照)が形成された撥水板24cが配置されている。
また、図2に示されるように、撥水板24c上には、計測プレート24dが埋め込まれている。計測プレート24dの長手方向の中央には、基準マークが形成されるとともに、該基準マークのX軸方向の一側と他側に、基準マークの中心に関して対称な配置で一対の空間像計測スリットパターン(L字状のスリットパターン)が形成されている。基準マークとしては、後述するプライマリアライメントセンサ32p、セカンダリアライメントセンサ32s(それぞれ図1参照)が検出可能な格子マークが用いられている。
計測ステージ26は、ステージ本体26aと、該ステージ本体26a上に不図示のZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなど)を介して搭載され、ステージ本体26aに対してZ軸方向及びX軸回りの回転方向(θx方向)、Y軸回りの回転方向(θy方向)に相対的に微小駆動される計測テーブル26bとを含む。
計測ステージ26は、照度むらセンサ、波面収差計測器、空間像計測器などのセンサ群62を有している。照度むらセンサ、及び波面収差計測器は、計測テーブル26bの中央部近傍に配置されており、投影光学系16b、及び液浸領域(液体Lq)を介して照明光IL(図2では不図示。図1参照)を受光する。また、空間像計測器は、ウエハステージ24と計測ステージ26とが、Y軸方向に関して所定距離以内に接近(あるいは接触)した状態で、上述したウエハステージ24が有するスリットパターンを介してウエハステージ24から送光される照明光ILを受光する。上記センサ群62を用いた照明光ILの各種キャリブレーション動作に関しては、米国特許第8,054,472号明細書などに開示されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
また、ステージ本体26aの−Y側の側面には、断面矩形の棒状部材から成る基準部材としてのフィデューシャルバー(以下、「FDバー」と略述する)28が取り付けられている。FDバー28は、原器として機能する部材であり、低熱膨張の素材によって形成されている。FDバー28の上面には、複数の基準マークMが形成されている。基準マークMとしては、後述するプライマリアライメントセンサ32p、セカンダリアライメントセンサ32sが検出可能な格子マークが用いられている。これらの複数の基準マークMの相互の位置関係は、既知であるものとする。
ウエハステージ24、及び計測ステージ26それぞれのステージ本体24a、26aは、底面に複数のエアベアリングを有している。ステージ本体24a、26aそれぞれは、該エアベアリングからベース盤22の上面に対して噴出する加圧空気の静圧により、ベース盤22の上面の上方に数μm程度のクリアランスを介して非接触で浮上している。また、各ステージ本体24a、26aは、ステージ駆動系54(図7参照)によって、ベース盤22の上面に沿ってY軸、及びX軸方向に独立して駆動可能となっている。なお、図7では、上記ステージ本体24a、26bをXY2軸方向に駆動するためのアクチュエータと、上記各テーブル24b、26bをステージ本体24a、26bに対して微小駆動するためのZ・レベリング機構とを含んで、ステージ駆動系54として示されている。
また、ステージ装置20では、ウエハテーブル24bの上面と計測テーブル26bの上面とを同一高さ、且つY軸方向に関して所定距離以内に接近(あるいは接触)した状態(以下、スクラム状態と称する)とすることで、液浸領域(液体Lq)の受け渡しを行う。すなわち、ステージ装置20では、ウエハテーブル24bと計測テーブル26bの一方と投影光学系16b(先端レンズ)との間に液浸領域が形成された状態から、上記スクラム状態で各ステージ24、26がY軸方向に駆動されることにより、ウエハテーブル24bと計測テーブル26bの他方と投影光学系16bとの間に液浸領域が形成された状態に移行する。上記液浸領域の相互受け渡し動作に関しては、米国特許第8,054,472号明細書などに開示されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
なお、ステージ装置20において、各ステージ24、26の構造は、これに限定されず、適宜変更が可能である。すなわち、各ステージ24、26において、各テーブル24b、26bを、対応するステージ本体24a、26aに対して一体化し、該一体化されたステージ本体24a、26aそれぞれを6自由度(X、Y、Z、θx、θy、θz)方向に駆動しても良い。また、上述したステージ駆動系54(図7参照)の構成も、特に限定されず、米国特許第8,054,472号明細書などに開示されるような、XリニアモータとYリニアモータとを組み合わせた駆動系を用いることが可能であるし、公知のXY2次元平面モータを含む駆動系を用いることも可能である。
また、上述したステージ計測系58(図7参照)の構成も、特に限定されない。ステージ計測系58としては、2次元エンコーダシステムを含む計測系、レーザ干渉計システムを含む計測系、2次元エンコーダシステムとレーザ干渉計システムとを併用する計測系などを用いることが可能である。また、計測系としてエンコーダシステムを用いる場合には、計測対象物(ここではウエハステージ24、及び計測ステージ26)にエンコーダスケール(回折格子)が配置されるとともに、所定の固定部材(ここでは投影ユニット16を支持するメトロロジフレーム16c(それぞれ図1参照))にエンコーダヘッドが配置されるようなシステムを用いても良いし、これとは逆に、計測対象物にエンコーダヘッドが配置されるとともに、所定の固定部材にエンコーダスケールが配置されるようなシステムを用いても良い。また、2次元エンコーダシステムとレーザ干渉計システムとを併用する計測系を用いる場合、高精度で計測対象物の位置計測を行う必要がある領域でのみ2次元エンコーダシステムを用いつつ、その2次元エンコーダシステムの計測可能領域以外の領域でレーザ干渉計システムを用いるシステムであっても良いし、計測対象物の全移動可能範囲において2次元エンコーダシステム、及びレーザ干渉計システムの双方を用いるシステムであっても良い。
また、計測対象物(ここではウエハステージ24、及び計測ステージ26)のZ軸方向の位置計測系としては、光ピックアップのような構成の光学式の変位センサを含む複数のZセンサを用いるシステムを用いても良いし、レーザ干渉計システムを用いても良い。また、計測対象物のXY平面内の位置計測をエンコーダシステムを用いて行う場合、該エンコーダシステムの計測ヘッド(Xヘッド、Yヘッド)を、Z軸方向の位置計測も可能な2次元ヘッド(XZヘッド、YZヘッド)とした3次元エンコーダシステムを用いても良い。なお、上述したレチクル計測系56(図7参照)も、ステージ計測系58と同様な計測システムを用いることができる。
次に、ウエハWに形成されたアライメントマーク、及び該アライメントマークの検出に用いられるオフ・アクシス型のアライメントセンサ32p、32sを含むアライメント系30について説明する。
アライメント系30による検出対象であるアライメントマークとして、ウエハW上の各ショット領域には、図3(a)〜図3(c)の何れかに示されるような格子マークGMが形成されている。格子マークGMは、各ショット領域のスクライブライン内に少なくとも1つ形成されている。
図3(a)に示される一例の格子マークGMは、X格子GxとY格子Gyとを含む。X格子Gxは、X軸方向に所定ピッチで配列されたY軸に平行な複数の格子線を有し、Y格子Gyは、Y軸方向に所定ピッチで配列されたX軸に平行な複数の格子線を有する。格子マークGMがアライメントセンサ32p、32s(図2参照)からの照明光Lに対して各格子Gx、Gyの周期方向(X軸方向、Y軸方向)に相対移動(図3(a)の矢印参照)することによって、格子マークGM(すなわちウエハW(図1参照))のX位置、及びY位置が計測される。なお、図3(a)に示される例では、X格子GxとY格子GyとがX軸方向に所定間隔で並んで配置されているが、これに限られず、Y軸方向に所定間隔で並んで配置されていても良い。
図3(b)及び図3(c)に示される他の例の格子マークGMは、それぞれα格子Gαとβ格子Gβとを含む。α格子Gαは、XY平面内でX軸に対して45°の角度を成す方向(以下、本実施形態における座標系において、α方向と称する)に所定ピッチで配列された、XY平面内でα方向に直交する方向(同様に、β方向と称する)に平行な複数の格子線を有し、β格子Gβは、β方向に所定ピッチで配列された、α方向に平行な複数の格子線を有する。図3(b)に示される格子マークGMでは、α格子Gαとβ格子GβとがY軸方向に並んで配置されており、図3(c)に示される格子マークGMでは、α格子Gαとβ格子GβとがX軸方向に並んで配置されている。上述した図3(a)に示される格子マークGMの位置計測では、照明光Lに対して格子マークGMをX軸方向及びY軸方向に(すなわち2回)相対移動させる必要があるのに対し、図3(b)及び図3(c)に示される格子マークGMの位置計測では、各格子Gα、Gβの配列方向(Y軸又はX軸方向)への1回の相対移動動作で各格子マークGMのα方向、及びβ方向の(すなわち、演算によりXY平面内の)位置計測を行うことができる。
なお、ウエハW(図1参照)に形成される格子マークGMの種類は、特に限定されないが、本実施形態では、図3(c)に示される格子マークGMが形成されているものとする。また、図3(a)〜図3(c)では、図示の便宜上から、格子のピッチは、実際のピッチに比べて格段に広く図示されている。その他の図における回折格子も同様である。また、図3(a)〜図3(c)では、照明光Lが格子マークGMに対して走査されるように図示されているが、実際には、計測中の照明光Lの照射点のXY平面内の位置は、固定であり、格子マークGMが計測ビームの照射点に対して移動する。
アライメント系30は、図1に示されるように、投影ユニット16の−Y側に配置されたプライマリアライメントセンサ32p、及びセカンダリアライメントセンサ32s、並びに各アライメントセンサ32s、32pに計測用照明光を供給する光源34(図1では不図示。図4(a)、図7など参照)を備えている。光源34としては、全体的な波長域が、200〜1600nm程度となるように、それぞれの色が異なる複数のレーザダイオードが組み合わされたものが使用される。なお、光源34は、各アライメントセンサ32p、32sそれぞれが個別に有していても良い。
アライメント系30は、図2に示されるように、1つのプライマリアライメントセンサ32pと、6つのセカンダリアライメントセンサ32sとを有している。プライマリアライメントセンサ32pは、投影光学系16bの光軸AX(図1参照)から−Y側に所定距離隔てた位置に配置され、メトロロジフレーム16c(図1参照)の下面に固定されている。プライマリアライメントセンサ32pの検出視野は、投影光学系16bの光軸AXと直交し、且つY軸に平行な直線CL上に配置されている。また、6つのセカンダリアライメントセンサ32sのうち、3つがプライマリアライメントセンサ32pの+X側にX軸方向に所定間隔で配置され、残りの3つがプライマリアライメントセンサ32pの−X側にX軸方向に所定間隔で配置されている。+X側の3つのセカンダリアライメントセンサ32sと、−X側のセカンダリアライメントセンサ32sとは、直線CLを中心としてほぼ対称な配置で設けられている。
各セカンダリアライメントセンサ32sは、アライメント駆動系36(図2では不図示。図7参照)によってX軸方向に所定のストロークで独立して駆動可能となっている。アライメント駆動系36は、各セカンダリアライメントセンサ32sを駆動するためのアクチュエータと、各セカンダリアライメントセンサ32sをメトロロジフレーム16c(図1参照)に対して固定する(メトロロジフレーム16cに各セカンダリアライメントセンサ32sを保持させる)ための保持機構とを含む。これにより、アライメント系30では、各セカンダリアライメントセンサ32sの検出視野のX位置を個別に調整することができるようになっている(図5参照)。
ここで、本実施形態において、アライメント系30は、スループットとの兼ね合いから、図5に示されるように、全ショット領域のうちの一部(図5において太線で囲まれている合計で24のショット領域S)に形成された格子マークGMを検出対象とする。以下、検出対象の格子マークGMが形成されたショット領域Sを、サンプルショット領域Sと称して説明する。
本実施形態における、24のサンプルショット領域Sは、互いのY軸方向の位置が異なる、4つのグループに分けられている。以下、上記4つのグループを、+Y側から順に第1〜第4グループと称して説明する。第1〜第4の各グループには、複数(第1及び第4グループには5つ、第2及び第3グループには7つ)のサンプルショット領域Sが含まれており、本実施形態におけるアライメント系30は、1つのグループに含まれる複数(5又は7)のサンプルショット領域S内の格子マークGMを、可能な限り少ない回数(すなわち、可能であれば1回)で検出するように制御される。すなわち、アライメント系30は、可能であれば、複数(5又は7)の格子マークGMを一括計測(同時計測)し、一部の格子マークGMが対応するアライメントセンサ32p、32sの焦点深度(DOF)の範囲外であるなど、複数の格子マークGMの一括計測が不可能である場合には、ウエハWのZ軸方向の位置を適宜制御しつつ、複数回に分けて複数の格子マークGMを検出する。なお、本実施形態のアライメントセンサ32p、32sは、焦点深度が数μmと十分に広いので、通常は、検出対象の複数の格子マークGMを一括で検出できる。
次に、各アライメントセンサ32p、32sの構成、及び動作について図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。なお、セカンダリアライメントセンサ32sは、アライメント駆動系36(図7参照)によるX軸方向への移動及び位置決めが可能である点を除き、光学系の構成、及びマークMkの検出方法などは、プライマリアライメントセンサ32pと実質的に同じである。
図4(a)に示されるように、アライメントセンサ32p、32sは、ミラー40、対物レンズ42、干渉計44、及び複数の検出器46などを備えている。
光源34から出射した照明光Lは、光路折り曲げ鏡としてのミラー40によって光路が曲げられ、ウエハWに形成された検出対象の格子マークGMに対し、対物レンズ42の中心を通過(透過)してほぼ垂直に入射する。すなわち、アライメント系30では、光源34とミラー40とによって、格子マークGMに照明光Lを照射する照明系が構成されている。ここで、各アライメントセンサ32p、32sは、光源34から出射した照明光Lの光路上に不図示の絞りを備えており、この絞りによって、照明光Lの格子マークGM上における照射点の径(スポット径)が、図3(a)〜図3(c)に示されるように、格子線の長さよりも短く設定される。従って、無効となる(マーク検出に使用されない無駄な)光が少なく、効率が良い。なお、この絞りは、ウエハWの表面(格子マークGMの位置)と光学的に共役な位置に配置されていても良い。
図4(a)に戻り、格子マークGMからは、照明光Lに基づく複数の回折光(放射光)が発生する。回折光には、0次反射光Lr(0次の回折光。図4(b)参照)と、格子マークGMの格子ピッチに応じた複数のN次回折光Ld(α格子Gαからの+N次の回折光+Ldα、α格子Gαからの−N次の回折光−Ldα、β格子Gβからの+N次の回折光+Ldβ、及びβ格子Gβからの−N次の回折光−Ldβ。Nは、1以上の整数)が含まれる。上記回折光(0次反射光Lr、及び±N次回折光±Ldα、±Ldβ)は、それぞれ対物レンズ42を通過(透過)する。図4(b)は、対物レンズ42の瞳面を示す図である(±N次回折光±Ldα、±Ldβは、一部のみ図示)。なお、照明光Lがα格子Gαを照射している場合には、0次反射光Lr及び±N次回折光±Ldαが発生しており、照明光Lがβ格子を照射している場合には、0次反射光Lr及び±N次回折光±Ldβが発生している。図4(b)では、双方の場合における±N次回折光±Ldα、±Ldβを図示している。
対物レンズ42を通過した複数の±N次回折光±Ldα、±Ldβは、干渉計44に入射する。これに対し、0次反射光Lrは、照明光L(入射光)と同じ光路上を進行することから、ミラー40によって干渉計44に対する入射が阻害される。すなわち、ミラー40が0次反射光Lrに対する遮光部材として機能することによって、干渉計44には、照明光Lに基づく格子マークGMからの回折光(放射光)のうち、±N次回折光±Ldα、±Ldβのみが入射する。
干渉計44は、米国特許第6,961,116号明細書に開示される干渉計と同様の機能を有しており、格子マークGMからの+N次回折光+Ldαに対して格子マークGMからの−N次回折光−Ldαを所定の混合比率で重ね合わせるとともに、格子マークGMからの−N次回折光−Ldαに対して格子マークGMからの+N次回折光+Ldαを所定の混合比率で重ね合わせる。そして、格子マークGMからの+N次回折光+Ldβに対して格子マークGMからの−N次回折光−Ldβを所定の混合比率で重ね合わせるとともに、格子マークGMからの−N次回折光−Ldβに対して格子マークGMからの+N次回折光+Ldβを所定の混合比率で重ね合わせる。言い換えると、干渉計44は、入射する±N次回折光を分割し、分割された一方の光路と他方の光路とを、光軸に関して相対的に180度(180度±n×360度:nは整数)だけ回転させた後に合成する。なお、干渉計44を自己参照干渉計と称しても良い。干渉計44から出射した光束は、瞳面48(絞り位置)上に配置された複数の検出器46に入射する。検出器46は、不図示のフォトダイオードを含み、その出力は、主制御装置50に供給される(図7参照)。
ここで、アライメントセンサ32p、32sにおいて、干渉計44は、格子マークGMから発生する特定方向の光同士、具体的には、同一次数の一対の回折光(+N次回折光と−N次回折光)同士を干渉させる。同一次数の一対の回折光は、回折角度が同じであるので、アライメントセンサ32p、32sの光学系の焦点深度(DOF)を広くすることができる。すなわち、仮に回折次数(回折角度)が異なる一対の回折光同士を干渉させる場合、光軸方向(ここではZ軸方向)に関して理想的な結像位置(ベストフォーカス位置)が互いに異なる(ずれる)ので、デフォーカス状態が発生し易く(DOFが狭く)なる。これに対し、本実施形態では、同次数の回折光、すなわち特定方向の光同士を干渉させるので、DOFを広く(例えば数μm程度と)することができる。また、特定方向の光のみを用いるので、対物レンズ42は、特定の部位のみが用いられる。言い換えると、対物レンズ42の特定の部位のみを光が通過する。これにより、特定の光路を通過する光のみに関して収差補正をすれば良いので、対物レンズ42の小型化、及び高NA化が可能となる。
検出器46の出力からは、一例として、図6に示されるような波形の信号(干渉信号)が得られる。主制御装置50(図7参照)は、図6に示されるような信号の位相から、格子マークGM(X格子Gx、Y格子Gy、あるいはα格子Gα、β格子Gβ。それぞれ図3(a)〜図3(c)参照)それぞれの位置を演算によって求める。これにより、XY2次元座標系上における格子マークGMの位置が求まる。
より具体的に説明すると、図6に示される波形のエッジ部分(横軸方向の両端部において波形が立ち上がる部分)の位置によって、格子マークGMのラフな位置を求めることができ、波形がサイン波形状となっている部分の位相から、格子マークGMの詳細な位置を求めることができる。従って、上記ラフな位置情報から、ウエハのサーチアライメントを行うこと、及び上記詳細な位置情報から、ウエハのファインアライメントを行うことができる。また、上記サイン波形状となっている部分の振幅から、格子マークGM(回折格子)の回折効率が分かる。このように、本実施形態の露光装置10(図1参照)では、アライメント系30(光源34、及びアライメントセンサ32p、32s)と主制御装置50(それぞれ図7参照)とにより、ウエハWに形成された格子マークGMの位置情報を求めるためのアライメント装置(格子マークGMの位置計測装置)が構成されている。
また、各アライメントセンサ32p、32s(それぞれ図2参照)は、それぞれアライメントオートフォーカス(アライメントAF)系38(図7参照)を有している。アライメントAF系38は、各アライメントセンサ32p、32sにおける対物光学系のZ軸方向の検出範囲(焦点深度)内に格子マークGMが位置するように、自動的に光学系を制御(調整)する機構を有している。ここで、アライメントAF系38は、各アライメントセンサ32p、32sの光学系が独立に有することから、各アライメントセンサ32p、32sを用いて、ウエハW表面の表面形状(凹凸など)を計測することも可能である。なお、アライメントAF系38の詳細は、例えば米国特許第5,783,833号明細書を参照することができる。
また、露光装置10は、上述したアライメントAF系38とは別に、オートフォーカス系(AF系)64(図7参照)を有している。AF系64は、米国特許第5,448,332号明細書や米国特許出願公開第2012/0008150号公報などに開示されるような、斜入射方式の多点焦点型位置検出装置を含み、ウエハW上にX軸方向に延びる帯状の検出領域を形成し、該検出領域内におけるウエハWの面位置(ウエハW表面の凹凸、平面度など)を計測する。
図7には、露光装置10における、制御系の主要な構成がブロック図にて示されている。制御系は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含み、装置全体を統括して制御する主制御装置50を中心として構成されている。
次に、本実施形態の露光装置10(図1参照)で行われるアライメント系30のキャリブレーション動作、及びアライメント系30を用いたウエハアライメント動作について、図8〜図11(d)を用いて説明する。以下のキャリブレーション動作、及びウエハアライメント動作は、主制御装置50(図7参照)の管理の元に行われる。なお、図8〜図11(d)において、主制御装置50は、不図示とする。
露光装置10(図1参照)では、ウエハアライメント動作の事前にアライメント系30のキャリブレーション動作が行われる。キャリブレーション動作には、各アライメントセンサ32p、32sのベースライン計測が含まれる。ここで、プライマリアライメントセンサ32pのベースラインとは、投影光学系16bによるパターン(レチクルRのパターン)の投影位置とプライマリアライメントセンサ32pの検出中心との位置関係(又は距離)を意味する。また、以下に説明するウエハアライメント動作、及びキャリブレーション動作において、各セカンダリアライメントセンサ32sは、サンプルショット領域S(図5参照)の配置に合わせて、X軸方向の位置調整が事前に行われているものとする。
プライマリアライメントセンサ32pのベースライン計測が開始される時点では、図8(a)に示されるように、投影光学系16bと計測ステージ26(FDバー28)との間に、液浸領域(以下、液体Lqと同じ符号を付して、液浸領域Lqとして説明する)が形成されている。また、ウエハステージ24と計測ステージ26とは、離間した状態にある。主制御装置50は、ウエハテーブル24b上の計測プレート24dに形成された基準マーク(不図示)を、プライマリアライメントセンサ32pによって検出する。また、主制御装置50は、そのプライマリアライメントセンサ32pの検出結果と、その検出時におけるステージ計測系58(図7参照)の計測値とを対応付けて不図示のメモリに記憶する。この処理を、以下では、便宜上Pri−BCHKの前半の処理と呼ぶものとする。
次に、主制御装置50は、図8(b)に示されるように、計測プレート24dが投影光学系16bの直下に位置するように、ウエハステージ24の位置制御を行う。この際、計測ステージ26とウエハステージ24とが互いに接触した状態又は互いに近接した状態で一体的にY軸方向に移動することによって、液浸領域LqがFDバー28からウエハテーブル24bに受け渡される。また、主制御装置50は、投影光学系16bによって投影されたレチクルR(図1参照)上の計測マークの投影像(空間像)を、前述した空間像計測器を用いて計測し、その計測結果を記憶する。以下、上記レチクルR上の計測マークの投影像の計測処理を、便宜上Pri−BCHKの後半の処理と称して説明する。そして、主制御装置50は、前述のPri−BCHKの前半の処理の結果とPri−BCHKの後半の処理の結果とに基づいて、プライマリアライメントセンサ32pのベースラインを算出する。
次に、主として各ロットのウエハに対する処理を開始する直前(ロット先頭)に行われる、セカンダリアライメントセンサ32sのベースライン計測動作について説明する。ここで、セカンダリアライメントセンサ32sのベースラインとは、プライマリアライメントセンサ32pの検出中心を基準とする、各セカンダリアライメントセンサ32sの検出中心の相対位置を意味する。
セカンダリアライメントセンサ32sのベースライン計測(以下、適宜Sec−BCHKとも呼ぶ)に際して、主制御装置50は、図9(a)に示されるように、ロット先頭のウエハW(プロセスウエハ)上の特定の格子マークGMをプライマリアライメントセンサ32pで検出し、その検出結果と、その検出時のステージ計測系58(図7参照)の計測値とを対応付けて記憶する。また、主制御装置50は、ウエハステージ24を適宜駆動し、図9(b)に示されるように、上記特定の格子マークGMを、各セカンダリアライメントセンサ32sで検出し、その検出結果と、その検出時のステージ計測系58の計測値とを対応付けて記憶する。主制御装置50は、上記記憶したデータに基づいて、各セカンダリアライメントセンサ32sのベースラインをそれぞれ算出する。
このように、本実施形態では、ロット先頭のウエハW(プロセスウエハ)を用いて、そのウエハW上の同一のアライメントマークを、プライマリアライメントセンサ32pと各セカンダリアライメントセンサ32sとで検出することによって、各セカンダリアライメントセンサ32sのベースラインを求めることから、結果的に、プロセスに起因するアライメントセンサ間の検出オフセットの差も補正される。
次に、ロット内の処理中に、所定のタイミング、一例として、ウエハWの露光終了から次のウエハWのウエハテーブル24b上へのロードが完了するまでの間、すなわちウエハ交換中に行われるSec−BCHKの動作について説明する。この場合のSec−BCHKは、ウエハ交換毎というインターバルで行われるので、以下ではSec−BCHK(インターバル)とも記述する。
Sec−BCHK(インターバル)に際して、主制御装置50は、図10に示されるように、FDバー28に形成された複数のマークのうち、中央近傍のマークをプライマリアライメントセンサ32pに検出させる。主制御装置50は、この状態で、各セカンダリアライメントセンサ32sそれぞれに視野内のマークを同時検出させることによって、各セカンダリアライメントセンサ32sのベースラインをそれぞれ求める。このように、Sec−BCHKをウエハ交換毎というインターバルで行うことにより、各セカンダリアライメントセンサ32sのベースラインの影響を補正することができる。なお、上記説明では、各セカンダリアライメントセンサ32sが視野内のマークを同時検出するものとして説明したが、これに限られず、各セカンダリアライメントセンサ32sがFDバー28上の同一のマークを順次検出しても良い。
次に、アライメント系30を用いたウエハアライメント動作について、図11(a)〜図11(d)を用いて説明する。上述したように、ウエハW上に設定された24のサンプルショット領域Sは、第1〜第4グループに分けられ、ウエハアライメント動作は、最も+Y側の第1グループから順番に行われる。なお、第1及び第4グルーブに属する格子マークGMの検出時において、最も+X側、及び最も−X側のセカンダリアライメントセンサ32sは、それぞれ使用されない。
主制御装置50は、所定のローディングポジションにおいて、ウエハステージ24(図1参照)上にウエハWがローディングされると、図11(a)に示されるように、ステージ計測系58(図7参照)の出力に基づいて、ウエハステージ24をX軸、及びY軸方向に適宜駆動し、第1グループのアライメント開始位置にウエハWを位置決めする。
本実施形態のアライメント系30では、上記アライメント開始位置からウエハWを各アライメントセンサ32p、32sから照射される照明光Lに対して所定の走査方向(本実施形態では、Y軸方向)に相対移動(図3(c)参照)させることにより、第1グループに含まれる5つのサンプルショット領域内に形成された格子マークGMの同時検出を行う。主制御装置50は、第1グループに含まれる、5つの格子マークGMの検出結果と、その検出時におけるステージ計測系58(図6参照)の計測値とを関連付けて記憶する。
次に、主制御装置50は、図11(b)に示されるように、ステージ計測系58(図7参照)の計測値に基づいて、ウエハステージ24をY軸方向に駆動して、7つのアライメントセンサ32p、32sが、ウエハW上の第2グループに属する7つのサンプルショット領域Sに形成された格子マークGMをほぼ同時に且つ個別に検出可能となる位置に位置決めする。7つのアライメントセンサ32p、32sそれぞれは、対応する7つの格子マークGMをほぼ同時に且つ個別に検出し、主制御装置50は、上記7つのアライメントセンサ32p、32sの検出結果と、その検出時におけるステージ計測系58の計測値とを関連付けて記憶する。
次に、主制御装置50は、図11(c)に示されるように、ステージ計測系58(図7参照)の計測値に基づいて、ウエハステージ24をY軸方向に駆動して、7つのアライメントセンサ32p、32sが、ウエハW上の第3グループに属する7つのサンプルショット領域Sに形成された格子マークGMをほぼ同時に且つ個別に検出可能となる位置に位置決めする。7つのアライメントセンサ32p、32sそれぞれは、対応する7つの格子マークGMをほぼ同時に且つ個別に検出し、主制御装置50は、上記7つのアライメントセンサ32p、32sの検出結果と、その検出時におけるステージ計測系58の計測値とを関連付けて記憶する。
次に、主制御装置50は、図11(d)に示されるように、ステージ計測系58(図7参照)の計測値に基づいて、ウエハステージ24をY軸方向に駆動して、5つのアライメントセンサ32p、32sが、ウエハW上の第4グループに属する5つのサンプルショット領域Sに形成された格子マークGMをほぼ同時に且つ個別に検出可能となる位置に位置決めする。5つのアライメントセンサ32p、32sそれぞれは、対応する7つの格子マークGMをほぼ同時に且つ個別に検出し、主制御装置50は、上記5つのアライメントセンサ32p、32sの検出結果と、その検出時におけるステージ計測系58の計測値とを関連付けて記憶する。
そして、主制御装置50は、このようにして得た合計で24の格子マークGMの検出結果と、対応するステージ計測系58(図7参照)の計測値とを用いて、米国特許第4,780,617号公報などに開示される統計演算(いわゆるEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント))を行って、ステージ計測系58の計測軸で規定される座標系上におけるウエハW上の全てのショット領域の配列を算出する。以下、主制御装置50は、上記配列座標に基づいて、レチクルR及びウエハWを適宜XY平面内で適宜位置決めしつつ、各ショット領域に対するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光動作を行う。この走査露光動作に関しては、従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の走査露光動作と同じであるので、説明を省略する。
このように、本実施形態では、互いにY位置の異なる第1〜第4グループの各グループに属する5又は7の格子マークGMを一括検出することができる。従って、合計で4回の検出動作で合計24の格子マークGMの検出動作を完了することができ、仮に24の格子マークGMを個別に検出する場合などに比べて、格段に短時間でショット領域の配列を算出することができる。
また、本実施形態では、上記格子マークGMのXY平面内での位置計測に加え、アライメント系30を用いて格子マークGMの特徴に関する計測値を求めることができるようになっている。
具体的には、アライメント系30は、格子マークGMからの複数の回折光に基づいて、いわゆるスキャトロメトリ法(光波散乱計測法)によって所定の計測値(以下、「スキャトロ計測値」と称して説明する)を求め、該スキャトロ計測値に基づいて、格子マークGMの周期方向に関する形状の対称性を求める。すなわち、図4(a)に示されるように、格子マークGMの回折格子は、周期方向に凹凸が連続する形状で形成されている。そして、照明光Lが回折格子に照射される際、図12(a)に示されるように、照明光Lの光軸中心に対して格子マークGMの形状の対称性が確保されている場合には、格子マークGMからの+N次(図12(a)ではN=1〜3)、及び−N次回折光の互いの強度、及び位相が対称(同じ)となる。ここで、図12(a)及び図12(b)において、各矢印の太さは、光の強度を示し、各矢印の長さは、光の位相を示している。
これに対して、周期方向に関して格子マークGMの形状の対称性が損なわれている場合には、図12(b)に示されるように、+N次(図12(b)ではN=1〜3)回折光と−N次回折光とで、互いの強度、及び位相が、非対称となる。
上述したように、アライメントセンサ32p、32sでは、図6に示されるような波形信号が生成される。この波形信号の座標系の縦軸は、光量を表しており、波形の振幅は、回折効率を表している。すなわち、上記格子マークGMからの回折光の強度、及び位相は、各検出器46の出力に基づいて生成される波形信号に反映され、これにより、該波形信号から、格子マークGMの形状の周期方向に関する対称性を推定することができる。
ここで、図4(a)に示されるアライメントセンサ32p、32sでは、格子マークGMからの同一次数の一対の回折光(±N次回折光)同士を干渉計44において混合させる構成であることから、その強度の混合比は、M:N(M≠N)となっている。これは、上記強度の混合比が仮に1:1であると、検出器46において、格子マークGMからの一対の回折光の強度比率(スキャトロ計測値)を計測できないからである。以下、その理由について説明する。
アライメントセンサ32p、32sにおいて、格子マークGMの周期方向(ここでは便宜上X方向とする)に関して、+N次回折光の電場、−N次回折光の電場、干渉計44における干渉後の電場(検出器46が検出する光の電場)、検出器46で計測される光強度I+、I−は、それぞれ以下になる。
以上より、M≠Nであれば、回折光の強度比を求めることができることが分かる。干渉計44は、一例として米国特許第7,564,534号明細書に開示される干渉計と同様に、ビームスプリッタ(不図示)を有しており、該ビームスプリッタ面の振幅分割比を1:1から変更することによって、容易に入射する2つの光の混合比率を変更することができる。
主制御装置50は、複数の格子マークGMに関して、それぞれアライメントセンサ32p、32sから、図6に示されるような波形信号を取得するとともに、該波形信号に基づいて、上記複数の格子マークGMそれぞれについての波形信号を比較することによって、複数の格子マークGMのうち、最も形状が安定した(対称性に優れる)格子マークGMを選択することができる。
また、本実施形態のアライメントセンサ32p、32sは、上述したように、照明光Lとして、互いに波長の異なる複数の光(レーザ)を照射可能である。主制御装置50は、上記選択された格子マークGMに対し、波長の異なる複数の光を照射し、該複数の光それぞれに基づいて、図6に示されるような波形信号を取得する。そして、主制御装置50は、上記複数の光それぞれについての波形信号を比較することによって、複数の光のうち、ウエハアライメントに最も適した波長の光を選択することができる。
このように、本実施形態では、アライメントセンサ32p、32sを用いて、ウエハアライメントに用いるのに最適な格子マークGM、及びマーク検出用の照明光の選択を行うことができる。格子マークGMの形状の対称性は、格子マークGMの位置計測精度に大きな影響を与えるため、格子マークGMの位置計測を行う際、上記選択された格子マークGM(最も形状的に対称性が高い格子マークGM)を用いることによって、格子マークGMの位置情報を、より高精度で求めることができる。また、ウエハアライメント時におけるウエハWの位置決め精度が向上する。
また、上述したスキャトロメトリ法による格子マークGMの形状の対称性(又は非対称性)の推定(計測)は、アライメントセンサ32p、32sを用いて格子マークGMに対して照明光Lを照射することによって行われることから、格子マークGMのXY座標系内での位置計測動作と、格子マークGMの形状の対称性の推定(計測)動作を、同時に行うことができる。したがって、スループットに影響を与えることなく格子マークGMの形状の推定を行うことができる。
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について図13(a)及び図13(b)を用いて説明する。第2の実施形態に係るアライメントセンサ132の構成は、光学系の構成が異なる点を除き、上記第1の実施形態と同じであるので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。後述する第3〜第6の実施形態についても同様である。また、本第2の実施形態に係るアライメントセンサ132は、XY平面内の位置が固定のプライマリアライメントセンサとしても、XY平面内で位置が可動のセカンダリアライメントセンサとしても用いることができる。後述する第3〜第6の実施形態に係る各アライメントセンサについても同様である。なお、ウエハWに形成される格子マークGMの種類は、特に限定されないが、第2〜第6の実施形態では、図3(a)に示される格子マークGMが形成されているものとする。
図13(a)に示される第2の実施形態に係るアライメントセンサ132では、光源34からの照明光Lが、ビームスプリッタ140に入射し、対物レンズ42を介して格子マークGMに所定の角度で(XY平面の法線(Z軸方向)に対して斜めに)入射(斜入射)する。この照明光の入射角度は、照明光Lの入射角度と1次回折光の回折角度が一致するように設定されており、照明光Lに基づく格子マークGMからの一対の回折光(1次回折光Ld、及び0次反射光Lr)が、それぞれ対物レンズ42、ビームスプリッタ140を介して干渉計44に入射する(図13(b)参照)。干渉計44、及び一対の検出器46の構成及び機能は、上記第1の実施形態のアライメントセンサ32p、32sと同じである。すなわち、0次反射光Lrと1次回折光Ldとは、干渉計44において光強度が互いに異なる比率で混合される。これによって、格子マークGMの位置情報と上述したスキャトロ計測値とが同時に求められる。本第2の実施形態に係るアライメントセンサ132によれば、格子マークGMに対して照明光Lを斜入射させるので、上記第1の実施形態(垂直入射方式)に比べ、より狭いピッチの格子マークGMを検出することができる。なお、照明光Lの入射角度と1次回折光の回折角度が一致するように、格子マークGMの格子ピッチを設定しても良い。
《第3の実施形態》
次に、第3の実施形態について、図14(a)〜図15(b)を用いて説明する。図14(a)及び図14(b)に示されるように、第3の実施形態に係るアライメントセンサ232は、光学系の構成に関しては、図13(a)に示される第2の実施形態に係るアライメントセンサ132とほぼ同じであるが、干渉計44における0次反射光Lrと1次回折光Ldとの光強度の混合比率が1:1である点が異なる。そして、計測時における対物レンズ42に対するウエハWの移動方向(図14(a)、図14(b)では、+X方向)に関して、互いに異なる2方向から照明光L(それぞれ第1の照明光、第2の照明光と称する)を時間をずらして斜入射する点が異なる。すなわち、計測時における時刻t1においては、図14(a)に示されるように、照明光Lの光路がビームスプリッタ140を介して曲げられ、該照明光Lが対物レンズ142のレンズ中心の+X側の領域から出射するように、光源からビームスプリッタ140に対して照明光Lが照射される。これに対し、時刻t2においては、図14(b)に示されるように、照明光Lが対物レンズ142のレンズ中心の−X側の領域から出射するように、光源からビームスプリッタ140に対して照明光Lが照射される。なお、図14(a)及び図14(b)は、照明光L(格子マークGMに対する入射光)と格子マークGMからの0次反射光Lrのみが図示されている。
ここで、時刻t1と時刻t2とは、時系列的に重複せず、第1の照明光Lと第2の照明光Lとは、交互に間欠的に格子マークGMに照射される。従って、本第3の実施形態では、1つの格子マークGMに対して少なくとも2回のスキャン動作が行われる。これにより、時刻t1での(第1の照明光Lに基づく)検出器46の出力と、時刻t2での(第2の照明光Lに基づく)検出器46の出力とが分離される。なお、時刻t1での第1の照明光Lと、時刻t2での第2の照明光Lとは、強度が同じであるものとする。
アライメントセンサ232では、図15(a)に示されるように、時刻t1において、格子マークGMからの回折光のうち、照明光Lの+1次回折光Ldと、照明光Lの0次反射光Lrとがビームスプリッタ140を介して干渉計44に入射する。検出器46は、+1次回折光Ldと0次反射光Lrとの干渉に基づいて、格子マークGMの位置検出を行う。また、時刻t2においては、図15(b)に示されるように、格子マークGMからの反射光のうち、照明光Lの−1次回折光Ldと、照明光Lの0次反射光Lrとの干渉に基づいて、格子マークGMの位置検出を行う。
また、本第3の実施形態では、格子マークGMが非対称である場合(図12(b)参照)には、時刻t1における0次反射光と+1次回折光Ldとの干渉光強度、及び時刻t2における0次反射光Lrと−1次回折光Ldとの干渉光強度が互いに異なる。これにより、上記第1の実施形態と同様に、格子マークGMの形状の非対称性を推定することができる。なお、第1の照明光Lが格子マークに照射される期間と第2の照明光が格子マークGMに照射される期間とが一部重複していても良い。
《第4の実施形態》
次に、第4の実施形態について、図16(a)〜図17(h)を用いて説明する。図16(a)及び図16(b)に示されるように、第4の実施形態に係るアライメントセンサ332は、光学系の構成に関しては、図13(a)に示される第2の実施形態に係るアライメントセンサ132とほぼ同じであるが、干渉計44における0次反射光Lrと1次回折光Ldとの光強度の混合比率が1:1である点が異なる。そして、照明光L1、L2が、それぞれ対物レンズ42の互いに異なる領域から同時に格子マークGM上に照射され、且つ該照明光L1、L2に基づく格子マークGMからの回折光が、互いに異なる光路を進行して干渉計44に入射する点が異なる。照明光L1と、照明光L2とは、強度が同じであるものとする。なお、理解を容易にするため、照明光L1(及びその回折光)が図16(a)、図17(a)に、照明光L2(及びその回折光)が図16(b)、図17(b)に、それぞれ分けて図示されている。また、図16(c)及び図16(d)は、図16(a)の矢印Aの位置(対物レンズ42の瞳面に一致)のXY平面に平行な面を示し、図16(e)は、図16(a)の矢印Bの位置のXY平面に平行な面を示す。図16(f)〜図16(h)、及び図17(a)〜図17(h)においても同様である。
図16(c)、図16(f)から分かるように、照明光L1、L2は、それぞれ互いに光路が重複しないように、対物レンズ42のレンズ中心の+X側、−X側の領域から格子マークGM(図16(a)、図16(b)参照)に入射する。図16(d)、図16(g)から分かるように、照明光L1、L2(図16(c)、図16(f)参照)に基づく格子マークGMからの0次反射光L1r、L2rも同様に、互いに光路が重複しないように、且つ照明光L1,L2とも光路が重複しないように、瞳面上を進行して干渉計44(図16(a)、図16(b)参照)に入射する。また、図16(e)、図16(h)から分かるように、干渉計44から出射した一対の0次反射光L1r、L2rも、それぞれ互いに光路が重複しないように進行して一対の検出器46(図16(a)、図16(b)参照)に入射する。
また、図17(d)、図17(g)から分かるように、照明光L1、L2に基づく格子マークGMからの+1次回折光L1d、L2dは、互いに光路が重複しないように、且つ照明光L1,L2(図17(c)、図17(f)参照)とも光路が重複しないように、瞳面上を進行して干渉計44(図17(a)、図17(b)参照)に入射する。また、図17(e)、図17(h)から分かるように、干渉計44から出射した一対の回折光L1d、L2dは、それぞれ互いに光路が重複しないように進行して一対の検出器46(図17(a)、図17(b)参照)に入射する。
ここで、図16(e)、図17(h)から分かるように、照明光L1に基づく一対の0次反射光L1rと、照明光L2に基づく一対の回折光L2dとは、干渉計44と一対の検出器46との間において、その光路が重複しており、相互に干渉する。また、図16(h)、図17(e)から分かるように、照明光L1に基づく一対の回折光L1dと、照明光L2に基づく一対の0次反射光L2rとは、干渉計44と一対の検出器46との間において、その光路が重複しており、相互に干渉する。このように、アライメントセンサ332では、格子マークGMの位置情報、及びスキャトロ計測値を求める際に干渉する一対の光(回折光L1d及び反射光L2r、回折光L2d及び反射光L1r)が、互いに異なった光路を進行するので、照明光L1に基づく出力と照明光L2に基づく出力とが、分離される。従って、上記第3の実施形態のように、時間差を設定して2つの照明光を照射する必要がなく、効率が良い。
《第5の実施形態》
次に、第5の実施形態について、図18(a)〜図19を用いて説明する。図18(a)に示されるように、第5の実施形態に係るアライメントセンサ432では、格子マークGMに入射する2つの照明光L1、L2の格子マークGM上における照射点が互いに異なる点が、上記第1〜第4の実施形態と異なる。
図18(a)に示されるように、アライメントセンサ432には、不図示の光源から2つの照明光L1、L2が供給される。照明光L1、L2は、対物レンズ42の瞳面と共役な位置に配置された一対の偏向部材442(例えばクサビ、DOE、反射部材等)によって偏向された後、レンズ444a、444b、ビームスプリッタ140、対物レンズ42を介して格子マークGMに入射する。2つの照明光L1、L2は、偏向部材442の作用により、格子マークGM上の照射位置がずれる。本変実施形態では、図18(b)に示されるように、計測時におけるウエハWと照明光L1、L2の相対移動方向(図18(b)ではX軸方向)に沿って、照明光L1、L2のウエハWの照射点が、格子マークGMのX軸方向の寸法(距離D1)よりも長いピッチ(距離D2)でずれるように、偏向角度が設定されている。従って、照明光L1と照明光L2とが同時に格子マークGM上に照射されることがなく、これにより、照明光L1に基づく干渉信号と、照明光L2に基づく干渉信号とが分離される。また、照明光L1、L2の格子マークGMへの入射角度は、同じ(ただし、方向が互いに反対)である。
図18(a)に戻り、照明光L1、L2に基づく格子マークGMからの0次反射光L1r、L2rは、互いに異なる光路を進行し、対物レンズ42、ビームスプリッタ140を介して干渉計44に入射する。干渉計44が一対の0次反射光L1r、及び一対の0次反射光L2rを出射する点は、上記各実施形態と同様である。また、照明光L1、L2に基づく格子マークGMからの回折光L1d、L2dは、図19に示されるように(図19では照明光L1、L2は不図示)、照明光L1、L2に基づく格子マークGMからの0次反射光L1r、L2rとは異なる光路(回折光L1dの光路は、照明光L1の光路と一部重複、回折光L2dは、照明光L2の光路と一部重複)を進行して干渉計44に入射する。干渉計44が一対の回折光L1d、及び一対の回折光L2dを出射する点は、上記各実施形態と同様である。照明光L1が格子マークGM上に照射されている間は、一方の0次反射光L1rと一方の回折光L1dとの干渉、及び他方の0次反射光L1rと他方の回折光L1dとの干渉に基づいて格子マークGMの計測が行われ、照明光L2が格子マークGM上に照射されている間は、一方の0次反射光L2rと一方の回折光L2dとの干渉、及び他方の0次反射光L2rと他方の回折光L2dとの干渉に基づいて格子マークGMの計測が行われる。本第5の実施形態では、格子マークGMに対する1回のスキャン動作で該格子マークGMの位置計測を行うこととスキャトロ計測値を求めることとが可能であり、効率がよい。なお、偏向部材442は、対物レンズ42の瞳面と共役な位置から外れていても良い。また、偏向部材442に代えて、或いは加えてウォラストンプリズム等の偏光方向によって射出角が異なる素子をウエハと共役な位置又はその近傍に配置しても良い。この素子は、例えばレンズ444aとレンズ444bとの間に配置しても良い。
《第6の実施形態》
次に、第6の実施形態について、図20(a)及び図20(b)を用いて説明する。図20(a)に示されるように、第6の実施形態に係るアライメントセンサ532は、不図示の光源から供給される照明光Lのうち、ハーフミラー(又はビームスプリッタ)540を通過した照明光L1と、ハーフミラー540で反射された照明光L2とが、それぞれレンズ542を介して対応するミラー544a、544bで反射され、対物レンズ42を介して格子マークGMに所定の角度で斜入射する。すなわち、アライメントセンサ532を含むアライメント系では、不図示の光源、ハーフミラー540、レンズ542、及びミラー544a、544bによって、格子マークGMに照明光L1、L2を照射する照明系が構成されている。また、図20(a)から分かるように、ミラー544a、544bは、上記照明系の光軸から離れた位置に配置されている。また、照明光L1、L2の格子マークGMへの入射角度は、同じ(ただし、方向が互いに反対)である。
照明光L1、L2に基づくそれぞれの格子マークGMからの回折光L1d、L2dは、それぞれ照明光L1、L2とは異なる光路を通り、対物レンズ42を介して干渉計44に入射する。検出器46それぞれは、回折光L1d、L2d同士の干渉に基づいて格子マークGMの位置計測(及びスキャトロ計測)を行う。これに対し、照明光L1、L2に基づくそれぞれの格子マークGMからの0次反射光L1r、L2r(図20(b)参照)は、照明光L1、L2と一部が重複する光路を通って対物レンズ42に入射するとともに、ミラー544b、544aによって干渉計44への入射が阻害される。すなわち、ミラー544a、544bは、0次反射光L1r、L2rを遮光する遮光部材として機能する。本第4の変形例は、回折光同士の干渉に基づいて格子マークGMの位置計測を行うので、上記第2の実施形態と異なり、格子マークGMの格子ピッチを任意に設定することが可能である。
なお、上記第1〜第6の各実施形態の構成は、一例であって、適宜変更が可能である。すなわち、アライメントセンサの数及び配置は、上記各実施形態に限定されず、セカンダリアライメントセンサ32sの数は、上記実施形態では6つであったが、6つ未満であっても良いし、7つ以上であっても良い。また、上記実施形態において、隣接する一対のセカンダリアライメントセンサ32s間の間隔も、任意に設定可能である。また、検出対象のサンプルショット領域Sの数、及び配置も、上記実施形態で説明したものに限定されず、任意に設定可能であり、可能であれば、ウエハW上に形成された全てのショット領域をサンプルショット領域Sに設定しても良い。また、1つのサンプルショット領域内に形成された複数の格子マークGMを検出しても良い。
また、上記実施形態において、ステージ装置20は、ウエハステージ24と計測ステージ26とを有していたが、ステージ装置20の構成は、これに限定されず、適宜変更が可能である。すなわち、図21に示されるステージ装置120のように、ウエハWを保持可能なウエハステージ124を、2つ有していても良い。ステージ装置120では、一方のウエハステージ124に保持されたウエハWに対するアライメント計測動作、及び走査露光動作と並行して、他方のウエハステージ124に対してウエハのロード及びアンロード動作を行うことができる。この場合、一対のウエハステージ124の少なくとも一方が、基準マークが複数形成されたFDバー28を有しており(図21では、一対のウエハステージ124それぞれがFDバー28を有している)、該FDバー28を用いて上記アライメント系30のベースライン計測(キャリブレーション動作)を行う。
また、露光装置10は、アライメント系30を備えていなくてもよい。この場合、アライメント系30を備える計測装置を露光装置10とは別個に用意されていても良い。計測装置がアライメント動作を行った基板は、搬送装置を用いて露光装置EXに搬送されてもよい。露光装置EXは、計測装置が取得したマーク検出情報を用いて、複数のショット領域の位置座標の補正量を算出し、その後、基板を露光してもよい。或いは、アライメント系30を備える計測装置が存在する場合であっても、露光装置10は、アライメント系30を備えていてもよい。この場合、露光装置10は、計測装置が行ったアライメント動作の結果を用いて、更にアライメント動作を行ってもよい。尚、このような露光装置と当該露光装置とは別個のアライメント系とを備えた露光システムは、米国特許第4,861,162号に開示されている。
また、上記第1〜第6の各実施形態においては、複数の検出器46を設けたが、互いに独立して光を検出する複数の検出面を備えた1つの検出器を用いても良い。
また、上記第2〜第6の各実施形態において、干渉計44における0次反射光Lrと1次回折光Ldとの光強度の混合比率を1:1としたが、第1の実施形態と同様に1:1とは異なる所定の混合比率としても良い。
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、エルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、照明光ILの波長は、100nm以上の光に限られず、波長100nm未満の光を用いても良く、軟X線領域(5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置にも上記実施形態を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、上記実施形態は適用できる。
また、露光装置における投影光学系は、縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良いし、投影光学系は屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
また、上記実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、米国特許第6,778,257号明細書などに開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
また、上記実施形態では、投影光学系と露光対象物体(ウエハ)との間に液体(純水)を満たした状態で露光動作を行う、いわゆる液浸露光装置について説明したが、これに限られない。
また、国際公開第2001/035168号などに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも上記実施形態を適用することができる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも上記実施形態は適用することができる。
また、米国特許第6,611,316号明細書などに開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも上記実施形態を適用することができる。
また、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
また、露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記実施形態を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態に係る露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。