以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係るガスコンロを説明する。本発明の一実施形態のガスコンロとして、コンロ部とグリルとを備えたビルトイン型のガスコンロ1について、添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ガスコンロ1の天面部を構成するトッププレート11には複数の加熱部2が設けてある。本実施形態では図1に示すように、向かって左側および右側に加熱部2として高火力のコンロバーナ31を備えた2つのコンロ部2aが設けてある。トッププレート11の上面には、各コンロバーナ31を中心にして五徳21が設けてあり、前記コンロバーナ31と五徳21と、点火装置23及び点火検知装置24(図5参照)とで、加熱部2としてのコンロ部2aが構成される。
なお、点火装置23は、入力回路(高圧トランスの1次側巻き線を含む)が一つに対して出力回路(高圧トランスの2次側巻き線)が各バーナの数だけ備えられ、一つの前記入力回路への通電により各々の前記出力回路(高圧トランスの2次側巻き線)に高電圧が発生し、各バーナの全てに点火用放電のための高電圧が供給される。
各コンロ部2aには、図4に示すように、五徳21上に載置される調理容器を検知する容器検知手段25と、調理容器の下面の温度を検知する温度センサ26とが設けてある。容器検知手段25は、ガスコンロ1に固定される支持部25aと、支持部25aに上下方向に移動自在に支持される可動部25bと、可動部25bの上下位置を検知する検知スイッチ25cと、で構成される。可動部25bは、ばね等の付勢手段(図示せず)により上方に付勢され、その上端部は五徳21よりも上方に突出する。この状態で五徳21上に調理容器が載置されると、可動部25bの上端部が調理容器の下面によって押し下げられ、可動部25bの下動に伴い検知スイッチ25cにより下動が検知され、制御手段としてのマイクロコンピュータからなる図示しない制御部に認識される。そして、可動部25bの上端部に上記温度センサ26が設けられ、調理容器が五徳21上に載置された時に調理容器の下面に当接して温度を検出し、検出温度は上記制御部に認識される。
また、ガスコンロ1には、図1に示すように、加熱部2としてのグリル2bが設けてある。グリル2bは、ガスコンロ1の本体内の中央部に形成されるグリル庫と、グリル庫内に設けられるグリルバーナ(図示せず)と、点火装置23及び点火検知装置24とで構成され、グリル2bの前端は、ガスコンロ1の前面部12に開口していてグリル扉28によって開閉自在に閉塞される。
点火装置23は、イグナイタ(図示せず)で発生させる高圧パルスにより、コンロバーナ31及びグリルバーナの燃料ガスの吐出口に設けられる点火プラグに放電を起こさせて点火するもので、イグナイタは上記制御部により制御される。
点火検知装置24は、コンロバーナ31及びグリルバーナに設けられる熱電対からなるもので、点火されると火炎の熱により発生する熱起電力が上記制御部に認識される。
グリル扉28の両側には、図1に示すように、グリル扉28と共にガスコンロ1の前面部12を構成する前面パネルP1、P2が設けてある。左側の前面パネルP1の上側には、左側のコンロバーナ31を点火および消火するための点消火ボタン14aが設けてある。右側の前面パネルP2の上側には、グリルバーナを点火/消火するための点消火ボタン14bと、右側のコンロバーナ31を点火/消火するための点消火ボタン14cとが設けてある。これら点消火ボタン14(14a〜14c)が、加熱部2での加熱の開始および加熱の停止を行うために操作される加熱・停止操作部となっている。また前面部12には、各加熱部2の加熱量を調節するために操作される火力調節レバー15(15a〜15c)がそれぞれ各点消火ボタン14a〜14cの上に設けてある。
ガスコンロ1の左側の前面パネルP1の下側には、図2に示すように、コンロ用の調理設定部7が設けられ、ガスコンロ1の右側の前面パネルP2の右下には、図3に示すグリル用の操作部8が設けられている。また、ガスコンロ1の右側の前面パネルP2の左下には、上記制御部を構成するマイクロコンピュータの電源となる電池が収容される電池ケース13が設けられている。
図5は、ガスコンロ1のコンロバーナ31およびグリルバーナへのガス供給の説明図である。また、図6は、各バーナへ燃料ガスの供給及び遮断を行うガス弁ブロック6の概略断面図であり、図6は、後述するメイン弁が開かれている状態が示されている。なお、このガス弁ブロック6はコンロバーナ31およびグリルバーナに対して同一仕様となっている。
ガス弁ブロック6は、器具栓本体60に、内部のガス流路61と、ガス流路61の上流端となる導入口61a及び下流端となる導出口61bとが設けてある。内部のガス流路61には、上流側より安全弁62用の弁孔、メイン弁63用の弁孔が設けてある。メイン弁63用の弁孔の下流側は、大火用の流路61cと小火用の流路61dとが並列に設けてあり、大火用の流路61cに大火力/小火力切替用のラッチ式電磁弁LB1用の弁孔が設けてあり、小火用の流路61dにラッチ式電磁弁LB2用の弁孔が設けてある。
ラッチ式電磁弁LB1の弁孔の下流側と、ラッチ式電磁弁LB2の下流側に位置する小火用オリフィスof2の下流側とで、大火用の流路61cと小火用の流路61dとが合流し、さらにその下流側には、火力調節レバー15と連動する流量制御弁65用の弁孔が設けてある。
因みに、上述した容器検知手段25により調理容器が検知されていない時に点消火ボタン14を操作した場合には、上記制御部によりラッチ式電磁弁LB1及びラッチ式電磁弁LB2が閉止されて、加熱を開始しないようにする容器検知制御が行われるもので、五徳21上に調理容器が載置されていない場合には、コンロバーナ31に炎が形成されないように構成してある。
また、ガス流路61には、前記ラッチ式電磁弁LB1及びラッチ式電磁弁LB2を設けた部分をバイパスするバイパス流路BPが設けてあり、このバイパス流路BPにバイパス用オリフィスof1が設けてある。バイパス用オリフィスof1は、ガス弁ブロック6を複数機種で共用するために設けられるもので、ガス弁ブロック6を他の機種への応用において使用する時には開口される場合があるが、本実施形態においては、バイパス用オリフィスof1は閉塞体(図示せず)により閉塞されている。
火力調節レバー15を中火から大火の間の位置に設定しておいたときに、ラッチ式電磁弁LB1とラッチ式電磁弁LB2との開・閉の組み合わせに応じて、コンロバーナ31の火力が上記制御部により調整制御される。
流量制御弁65用の弁孔の下流側は、コンロバーナ31にガスを供給するための導出口に至る。
器具栓本体60には、点消火ボタン14に連動して作動する作動部材としてスライダ66が前後方向に移動自在、かつ、前方にバネ付勢して装備されている。スライダ66は、前端面が点消火ボタン14により後方に押圧されることでバネ付勢力に抗して後退するようになっている。
点消火ボタン14は、前後動自在に設けられるもので、前記点消火ボタン14の指で押される部分よりも上側の部分がコンロ本体側に枢支されて指で押される部分が前後動し、スライダ66の前端面を後方に押圧する。
スライダ66には、ガス弁ブロック6の下部に設けた周知構造のハート型カム機構90によって、図7(A)〜(C)に示すように、前方の「止め位置」(a)、最後方の「点火位置」(b)、及び、その少し前方の「燃焼位置」(c)に切替え保持可能となっている。すなわち、図7に示すように、点消火ボタン14を大きく押し操作することで、スライダ66がバネ付勢力に抗して「止め位置」(a)から「点火位置」(b)に至り、点消火ボタン14の押し操作を解除すると「点火位置」(b)から少し前方に付勢復帰して「燃焼位置」(c)に安定保持される。そして、点消火ボタン14を再び大きく押し操作した後、押し操作を解除すると、スライダ66は「燃焼位置」(c)から一旦後方に移動された後、バネ付勢力で前方に移動して「止め位置」(a)に復帰するようになっている。
また、器具栓本体60には、スライダ66の進退に伴って進退するバルブロッド67が前方へバネ付勢して組み込んであり、スライダ66が「止め位置」(a)にある時には、スライダ66の後端とバルブロッド67の前端とは間隙をもって対向している。つまり、「止め位置」(a)にあるスライダ66がバルブロッド67の前端に当接するまでのストロークが、メイン弁63が閉じられた状態を維持する「遊びストローク」sとなっている。
また、バルブロッド67の先端側はガス流路61内に挿入され、その先端部は後方すなわち下流側より上流側に向けて、メイン弁63用の弁孔と安全弁62用の弁孔とに挿通されている。バルブロッド67は、スライダ66が「止め位置」(a)から「燃焼位置」(c)に切り替わる際、一旦「燃焼位置」(c)よりも後方の「点火位置」(b)に後退してから「燃焼位置」(c)にまで前進するが、この「燃焼位置」(c)に移動した時に、安全弁62用の弁孔を上流側より閉止している安全弁62の弁体を上流側に移動させて、安全弁62用の弁孔を開放する。安全弁62は電磁弁からなり、弁体が前方すなわち下流側に前進することで安全弁62用の弁孔を後方より閉止し、弁体が後方すなわち上流側に後退することで安全弁62用の弁孔を開放する。
安全弁62は、点火検知装置24により火炎が検知されている場合にのみ上記制御部により開放状態が維持され、火炎が検知されなくなると上記制御部による開放状態の維持が停止して閉止される。これにより、煮こぼれや風により立ち消えが起こって点火検知装置24の火炎が検知されなくなった場合に、燃料ガスの流出が防止される。また、制御部は、温度センサ26により検出された調理容器の下面の温度が所定の温度(例えば270℃)に達すると、空焚きや焦げ付き等の異常が発生していると判定して、安全弁62を閉止する。このように、安全弁62、点火検知装置24、温度センサ26により異常検知手段が構成されている。
バルブロッド67の途中には、メイン弁63用の弁孔を開閉するメイン弁体が設けてある。そして、図7(A)に示すように、スライダ66が「止め位置」(a)にある時には、バルブロッド67はスライダ66から離反した自由状態にあり、メイン弁体がメイン弁63用の弁孔を後方より付勢閉止する。また、図7(B)に示すように、スライダ66が「点火位置」(b)にある時には、スライダ66によってバルブロッド67が大きく後方に当接移動され、メイン弁体がメイン弁63用の弁孔より大きく後方に位置してメイン弁63用の弁孔を大きく開放する。また、図7(C)に示すように、スライダ66が「燃焼位置」(c)にある時には、スライダ66によってバルブロッド67が少し後方に当接移動され、メイン弁体がメイン弁63用の弁孔より所定量だけ後方に位置してメイン弁63用の弁孔を所定の開度で開放する。
流量制御弁65用の弁孔は、火力調整用のニードル65aの前後方向の移動により開度が自在に調節される。ニードル65aは、火力調節レバー15を左右に移動操作することで開度の調節がなされ、火力調節レバー15が右に行く程、燃料ガスの供給量が多くなるように調節される。
点消火ボタン14又はスライダ66の位置によりON/OFFが切り替わる器具栓スイッチ91と点火器スイッチ92とを設けてある。器具栓スイッチ91は、スライダ66が前方の「止め位置」(a)に位置している時にはOFFとなり、後方の「燃焼位置」(c)及び「点火位置」(b)に位置している時にONとなる。また、点火器スイッチ92は、スライダ66が最後方の「点火位置」(b)に位置している時にだけONとなり、それより前方の位置ではOFFとなる。
コンロバーナ31、グリルバーナの点火を行うには、点消火ボタン14を押し操作して、スライダ66を「止め位置」(a)から「点火位置」(b)に後退させる。スライダ66とともに後退したバルブロッド67により、安全弁62が開放されると共にメイン弁63が開放され、燃料ガスがコンロバーナ31、グリルバーナに供給される。また、スライダ66が後退することにより、器具栓スイッチ91がONとなり、上記制御部への給電がONとなって制御部が動作を開始する。そして、安全弁62が開き始めた時点で、「点火位置」(b)にまで後退したスライダ66によって点火器スイッチ92がONとなり、制御部は、点火装置のイグナイタを作動させて点火プラグの放電を開始し、バーナの点火が開始される。
点火動作によるバーナへの着火が点火検知装置24で検知されたら、制御部は安全弁62を開放状態に保持し、バーナの点火を継続する。
その後、点消火ボタン14の押し操作を解除すると、スライダ66は「点火位置」(b)より少し前方の「燃焼位置」(c)にまで付勢復帰して安定保持され、バーナは引き続き燃焼状態に維持される。
点消火ボタン14が押し操作されて加熱が開始されると、火力調節レバー15を操作することで、所望の火力が得られる。なお、左側のコンロバーナ31を備えたコンロ部2aの火力調節レバー15は、該コンロ部2aの操作部を操作して点火を行う時、操作部の操作と連動して火力が中火力側に移動するようになっていて、点火時には中程度の火力となっている。
また、バーナが燃焼している状態で点消火ボタン14を再度大きく押し込んだ後、その押し込みを解除すると、スライダ66は「燃焼位置」(c)から一旦後方に移動した後、「止め位置」(a)に付勢復帰してメイン弁63が閉止し、バーナが消火される。
そして、全ての点消火ボタン14のスライダ66を「止め位置」(a)にすると、各バーナの全てのメイン弁63が閉止して消火され、かつ、各バーナの全ての器具栓スイッチ91がOFFになり、各バーナの安全弁62が閉止すると共に、制御部は、給電状態を保持するための電源保持信号の出力が停止し、これによって制御部への給電が終了する。
コンロ用の調理設定部7には、図2に示すように、自動調理メニューを選択して設定する調理モード設定手段として、揚げ物モードを指令する揚げものスイッチ73、炊飯モードを指令する炊飯スイッチ74、湯沸しモードを指令する湯わかしスイッチ75が設けられている。また、自動調理を行うコンロ部として左右の各コンロ部2a,2aをそれぞれ選択するために操作される左右のコンロ部選択スイッチ76,77が設けられている。
揚げものスイッチ73は、押し操作される度に、200℃、180℃、160℃といった複数種の設定目標温度を順次選択して設定できるように構成されている。コンロ用の調理設定部7には、設定された各温度(200℃、180℃、160℃)の揚げ物調理の温度を点灯により表示する温度表示ランプ73a〜73cが設けられている。
炊飯スイッチ74は、押し操作される度に、炊飯調理を、ごはんとおかゆで選択設定できるように構成されている。コンロ用の調理設定部7には、設定された炊飯調理が、ごはんであることを点灯により表示するごはん表示ランプ74aと、おかゆであることを点灯により表示するおかゆ表示ランプ74bとが設けられている。
湯わかしスイッチ75は、押し操作される度に、自動消火モードと、5分保温モードとを選択して設定できるように構成されている。自動消火モードは、沸騰検出するまでは大きな火力で加熱し、沸騰検出後は、直ちに消火するモードであり、5分保温モードは、沸騰検出するまでは大きな火力で加熱した後、沸騰検出した後は、小さな火力に減少させ、その後5分間加熱した後に消火するモードである。コンロ用の調理設定部7には、設定されたモードが自動消火モードであることを点灯にて表示する自動消火表示ランプ75aと、設定されたモードが5分保温モードであることを点灯にて表示する5分保温表示ランプ75bとが設けられている。
また、コンロ用の調理設定部7には、調理時間を設定するためのプラススイッチ71a及びマイナススイッチ71bからなるタイマー入力部71と、タイマー表示部72とが設けられている。
図3に示されるグリル用の操作部8は、調理時間を設定するためのプラススイッチ81a及びマイナススイッチ81bからなるタイマー入力部81及びタイマー表示部82を備えている。
上記制御部は、コンロ用の調理設定部7にて揚げ物、炊飯、あるいは、湯沸しの各自動調理が設定されると、点消火ボタン14による点火指令により、コンロバーナ31を点火して燃焼させた状態において、コンロ用の調理設定部7の設定情報に基づいて、揚げ物、炊飯、あるいは、湯沸しの各自動調理を行う。各自動調理において、制御部は、コンロバーナ31の火力を調整すべく、大火力/小火力切替用のラッチ式電磁弁LB1、及び、ラッチ式電磁弁LB2を操作する処理を行う。
次に、制御部が実行する自動調理のうちの、湯沸し運転と、自動温度調節制御とについて詳述する。
先ず、湯沸し運転について説明する。
湯沸し運転は、基本的には、温度センサ26の検出温度に基づいて沸騰状態を検出すると、湯沸し終了用の後処理を実行する処理であり、湯沸し終了用の後処理は、自動消火モードに対応する処理と、5分保温モードに対応する処理である。
沸騰状態の検出について説明すると、本実施形態においては、先ず、コンロバーナ31の燃焼を開始した後において、温度センサ26の検出温度が計測開始温度(例えば、85℃)に上昇した時点から計測終了温度(例えば、90℃)に上昇するまでの経過時間を、温度上昇時間として求め、その温度上昇時間に所定の係数、例えば、「1」を乗じて、沸騰判別用時間を定める。
その後、すなわち、上記のようにして沸騰判別用時間が定まった後、温度センサ26の検出温度が1℃上昇するのに要する単位温度上昇時間が、沸騰判別用時間以上になると、沸騰状態であると判定するように構成されている。
次に、自動温度調節制御について説明する。
自動温度調整制御として、例えば、揚げ物調理について説明する。
揚げものスイッチ73を押し操作して、200℃、180℃、160℃のうち所望の設定目標温度を選択して設定して、点消火ボタン14による点火指令により、コンロバーナ31を点火して燃焼させると、制御部は、温度センサ26の検出温度が設定目標温度となるように、コンロバーナ31の火力を調整すべく、大火力/小火力切替用のラッチ式電磁弁LB1、及び、ラッチ式電磁弁LB2を操作する処理を行う、自動温度調節制御を実行する。
つまり、制御部が自動温度調節制御を実行すると、温度センサ26の検出温度が、設定目標温度より低いときにはコンロバーナ31の火力を増加させ、温度センサ26の検出温度が、設定目標温度より高いときにはコンロバーナ31の火力を減少させることになる。
本実施形態では、上記のように、自動調理を実行するコンロ部2aを左右の各コンロ部選択スイッチ76,77を操作して選択することができ、左右のコンロ部2a,2aで同時に自動調理を実行することができる。
したがって、左右のコンロバーナ31のうちの一方のコンロバーナ31、例えば左側のコンロバーナ31において、自動調理として湯沸し運転を実行しているとき、同時に、他方のコンロバーナ31、例えば右側のコンロバーナ31において、揚げ物や炊飯といった自動温度調節制御を同時に実行可能に構成され、使い勝手が良いガスコンロとなっている。
更に、本実施形態では、左右のコンロバーナ31のうちの一方のコンロバーナ31、例えば左側のコンロバーナ31において、湯沸し運転を実行しているとき、前記一方のコンロバーナ31と隣接して配置される他方のコンロバーナ31、例えば右側のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、水の沸点以上に設定された第1所定温度(例えば103℃)以上である場合に、制御部は、次のように制御を行う。
すなわち、制御部は、前記一方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、水の沸点未満に設定された第2所定温度(例えば95℃)未満であるときには、前記一方のコンロバーナ31における湯沸し運転の実行を継続する。
また、前記一方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、前記第2所定温度(例えば95℃)以上であるときには、前記一方のコンロバーナ31の火力を減少させる火力減少制御を実行する。なお、本実施形態では、前記一方のコンロバーナ31として設定されている最小火力まで火力を減少させる。
この火力減少制御によって、前記一方のコンロバーナに対応する温度センサ26の検出温度が、上記第2所定温度(例えば、95℃)未満になると、前記一方のコンロバーナ31の火力を、湯沸し運転開始時の元の大きな火力に復帰させる復帰制御を行う。
これによって、前記一方のコンロバーナに対応する温度センサ26の検出温度は、略第2所定温度(例えば、95℃)近傍に維持されることになる。
前記一方のコンロバーナ31における火力減少制御及び復帰制御は、上記のように、前記一方のコンロバーナ31と隣接して配置される前記他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、水の沸点以上に設定された前記第1所定温度(例えば103℃)以上である場合における制御である。
したがって、前記一方のコンロバーナ31と隣接して配置される前記他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、前記第1所定温度未満になると、前記一方のコンロバーナ31における制御は、本来の制御に戻って湯沸し運転を継続し、自動消火モードが設定されているときには、沸騰を検出するまでは大きな火力で加熱した後、沸騰を検出した後は直ちに消火し、5分保温モードが設定されているときには、沸騰を検出するまでは大きな火力で加熱した後、沸騰を検出した後に小さな火力に減少させ、その後5分間加熱した後に消火する。
以上のように本実施形態では、前記他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、水の沸点以上の所定温度である第1所定温度(例えば103℃)以上である場合であっても、前記一方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、水の沸点未満の所定温度である第2所定温度(例えば95℃)未満であるとき、つまり、前記一方のコンロバーナ31で加熱される調理容器、一般的には、やかんに収容された水が沸騰前であるときには、前記一方のコンロバーナ31における湯沸し運転の実行を継続するので使い勝手を損なわない。
また、前記他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、水の沸点以上の所定温度である第1所定温度(例えば103℃)以上である場合に、前記一方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、水の沸点未満の所定温度である第2所定温度(例えば95℃)以上であるとき、つまり、前記一方のコンロバーナ31で加熱されるやかんに収容された水が沸騰する蓋然性が高いときには、前記一方のコンロバーナ31の火力を減少させる火力減少制御を実行するので、隣接する左右のコンロ部のうち一方のコンロ部で自動調理として湯沸しが選択され、隣接するコンロ部のうち他方のコンロ部で自動調理として揚げ物が選択された場合、高温の食用油が収容された調理容器と、湯が吹き出す虞のある沸騰状態のやかんとが隣接する状態となるのを抑制することができる。
図8に、前記一方のコンロバーナ31で湯沸し運転が行われ、前記他方のコンロバーナ31で自動温度調節制御による揚げ物調理が行われた場合の時系列的関係を例示してある。
同図(a)は、他方のコンロバーナ31での揚げ物調理中に、一方のコンロバーナ31で湯沸し運転が開始された例を示している。
一方のコンロバーナ31による湯沸し運転では、他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、第1所定温度(例えば103℃)以上になっているので、一方のコンロバーナ31では、上記のように火力減少制御及び復帰制御が繰り返されて沸騰状態は検出されず、揚げ物調理と並行して湯沸し運転が進行する。
同図(b)は、一方のコンロバーナ31による湯沸し運転の実行中に、他方のコンロバーナ31で揚げ物調理が開始された例を示している。
この例では、他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、第1所定温度(例えば103℃)以上になる前に、すなわち、一方のコンロバーナ31の火力減少制御が行われる前に、沸騰状態が検出されて湯沸し運転が終了している。
同図(c)は、他方のコンロバーナ31による揚げ物調理が終了した後に、一方のコンロバーナ31による湯沸し運転が開始された例を示している。
他方のコンロバーナ31による揚げ物調理が終了した後も、他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、第1所定温度(例えば103℃)以上である期間において、一方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、第2所定温度(例えば95℃)以上であるときには、一方のコンロバーナ31の火力減少制御が行われ、この火力減少制御と復帰制御が繰り返される。
そして、他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、第1所定温度(例えば103℃)未満になると、一方のコンロバーナ31では、本来の湯沸し運転を継続し、沸騰状態が検出されると湯沸し運転を終了する。
なお、本実施形態では、制御部は、火力減少制御を実行するときには、報知手段としてのブザを駆動するように構成されており、火力減少制御を実行するとき報知を行うので、使用者が戸惑うことが抑制される。
なお、報知手段は、ブザに限らず、音声等によって報知するものであってもよい。
上記実施形態では、一方のコンロバーナ31の火力を減少させる火力減少制御に移行した後は、一方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、第2所定温度(例えば95℃)未満になったときに、湯沸し運転開始時の大きな火力に戻すようにしたけれども、本発明の他の実施形態として、一方のコンロバーナ31の火力を減少させる火力減少制御では、火力を減少させてそのまま消火してもよい。
上記実施形態では、一方のコンロバーナ31の火力を減少させる火力減少制御に移行した後は、一方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、第2所定温度(例えば95℃)未満になったときに、湯沸し運転開始時の大きな火力に戻すようにしたけれども、本発明の他の実施形態として、一方のコンロバーナ31の火力を減少させる火力減少制御に移行した後は、一方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、前記第2所定温度未満の温度である第3所定温度(例えば、93℃)未満になったときに、湯沸し運転開始時の大きな火力に戻すようにしてもよい。
上記実施形態では、左右のコンロバーナ31のうちの一方のコンロバーナ31において湯沸し運転を実行しているとき、同時に、他方のコンロバーナ31において自動温度調節制御を同時に実行可能に構成されたが、同時に実行できない構成としてもよい。この場合、一方のコンロバーナ31において湯沸し運転を実行中に、他方のコンロバーナ31では、自動調理は実行できないことになるが、他方のコンロバーナ31に対応する温度センサ26の検出温度が、第1所定温度以上の場合には、上記と同様に、一方のコンロバーナ31の火力が制御される。
上記実施形態では、一方のコンロバーナ31を、左側のコンロバーナ31とし、他方のコンロバーナ31を、右側のコンロバーナ31として説明したが、一方のコンロバーナ31を右側のコンロバーナ31とし、他方のコンロバーナ31を左側のコンロバーナ31としてもよいのは勿論である。
また、コンロバーナ31は、2つに限らず、3つ以上備える構成であってもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。