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JP2017100399A - 積層フィルム - Google Patents

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JP2017100399A
JP2017100399A JP2015236705A JP2015236705A JP2017100399A JP 2017100399 A JP2017100399 A JP 2017100399A JP 2015236705 A JP2015236705 A JP 2015236705A JP 2015236705 A JP2015236705 A JP 2015236705A JP 2017100399 A JP2017100399 A JP 2017100399A
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JP2015236705A
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阪倉 洋
Hiroshi Sakakura
洋 阪倉
麻莉 鎌田
Mari Kamata
麻莉 鎌田
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

【課題】高温環境下で長期にわたって使用されても、基材からのオリゴマーの析出が十分に防止され、ハードコート層の基材に対する接着性に優れるとともに、透明性にも優れた積層フィルムを提供すること。【解決手段】ポリエステルフィルム基材、該ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面に積層されたポリエステル樹脂層、および該ポリエステル樹脂層上に積層されたハードコート層を有する積層フィルムであって、前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂がトリシクロデカン構造を有するジオール成分を含む、積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルム、特にポリエステル系積層フィルムに関する。
二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた機械的および電気的特性から、光学用途等の様々な分野において基材として使用されている。
近年、液晶パネルおよびプラズマディスプレイ等のいわゆるフラットディスプレイパネルの部材として、光学フィルムの需要が高まっており、より高性能化および高品質化が求められている。これら光学フィルムにおいては、傷防止を目的としてハードコート層を設けた積層フィルムが使用されている。
ハードコート層を設けた積層フィルムを光学フィルムの部材として製造する工程には、ITO膜の蒸着などの、加熱雰囲気下での加工工程を含む場合がある。製造工程で熱がかかることで、ポリエステルフィルム基材に含まれるオリゴマーが表面に析出するため、ハードコート層の接着性ならびに積層フィルムの透明性を損なうことが知られている。
オリゴマーの析出を防止する方法として、ポリエステルフィルム基材の両面それぞれに、ハードコート層との易接着性に優れた塗布層およびオリゴマー析出防止機能を有する塗布層を設ける方法が提案されている(例えば特許文献1)。このような方法において、オリゴマー析出防止機能を有する塗布層はアンモニウム塩基含有ポリマー、ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマーおよび架橋剤を含有する。
また、水酸基およびアクリロイル基を有する樹脂(A)およびメラミン化合物(B)を含む塗剤をポリエステルフィルム基材に塗工し、基材側に樹脂(A)およびメラミン化合物(B)からなる樹脂成分を偏在させることで、易接着性およびオリゴマー封止性能をもった易接着層を設ける方法(例えば特許文献2)も提案されている。
特開2011−062949号公報 特開2014−046503号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のような、オリゴマー析出防止層またはオリゴマー封止層を設けた積層フィルムは、オリゴマー析出防止が不十分であった。特に高温環境下で長期間にわたって使用する間に、オリゴマーが析出し、透明性およびハードコート層の接着性が経時的に低下するといった問題が生じた。このような問題は、ハードコート層を設けた当該積層フィルムを自動車のカーナビゲーションシステムのディスプレイにおいて使用した場合、特に顕著であった。
本発明は、高温環境下で長期にわたって使用された場合においても、基材からのオリゴマーの析出が十分に防止され、ハードコート層の基材に対する接着性および透明性がほとんど低下しない積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステルフィルム基材上に、特定のモノマー構成を有するポリエステル樹脂層を介して、ハードコート層を設けることで、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
本明細書中、ハードコート層の基材に対する接着性とは、ポリエステル樹脂層を介したハードコート層と基材との接着性のことである。ハードコート層の基材に対する優れた接着性は、ハードコート層とポリエステル樹脂層との優れた接着性およびポリエステル樹脂層と基材との優れた接着性の両方によりはじめて達成されるものである。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリエステルフィルム基材、該ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面に積層されたポリエステル樹脂層、および該ポリエステル樹脂層上に積層されたハードコート層を有する積層フィルムであって、
前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂がトリシクロデカン構造を有するジオール成分を含む、積層フィルム。
(2)前記ポリエステル樹脂層が前記ポリエステルフィルム基材の片面に積層されており、
前記ポリエステルフィルム基材の非積層面に透明粘着シートを貼り付けて、100℃で30日間熱処理した際のヘーズ変化量が0.8%以下である、(1)に記載の積層フィルム。
(3)前記ハードコート層がアクリル系またはシリコーン系樹脂層である、(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4)前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分のうち、3〜9モル%がスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分である、(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)前記ポリエステル樹脂層が硬化剤をさらに含有し、該硬化剤の含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜10質量部である、(1)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)前記ポリエステル樹脂を含有する塗工液をポリエステルフィルム基材に塗布し、180℃以上の温度で熱乾燥処理を行い、ポリエステル樹脂層を形成した後、該ポリエステル樹脂層上にハードコート層形成用塗工液を塗布し、硬化させることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
(7)前記ポリエステル樹脂含有塗工液を塗布したポリエステルフィルム基材を、少なくとも一方向に延伸処理した後、前記熱乾燥処理を行うことを特徴とする(6)に記載の積層フィルムの製造方法。
本発明の積層フィルムは、高温環境下で長期にわたって使用された場合においても、オリゴマーの析出が十分に防止されるので、ハードコート層の基材に対する接着性に優れるとともに、フィルムの透明度の低下も防止することができる。
また本発明の積層フィルムは、その製造過程において、ポリエステル樹脂層の形成後、ハードコート層の形成前に、重ねて高温下で保存しても、ブロッキング(密着)は起こらず、たとえ起こったとしても簡単に剥がすことができる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、トリシクロデカン構造を有するジオール成分を含むポリエステル樹脂を含有したポリエステル樹脂層をポリエステルフィルム基材表面に有し、かつ当該ポリエステル樹脂層表面にハードコート層を有するものである。
(ポリエステルフィルム基材)
ポリエステルフィルム基材に用いられるポリエステル樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられる。ポリエステル樹脂には、必要に応じて、他の成分を共重合してもよい。
他の成分としては、カルボン酸成分、ヒドロキシカルボン酸成分、アルコール成分が挙げられる。カルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸成分としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸が挙げられる。アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAおよびビスフェノールSのエチレンオキシド付加体(例えば、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン)、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。
基材用ポリエステル樹脂の融点は、耐熱性付与の観点から、230℃以上であることが好ましい。
基材用ポリエステル樹脂の重合方法としては、例えば、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、160℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。その際、触媒として、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、リチウム、チタン等の酸化物、酢酸塩を用いてもよい。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める。その際、触媒として、アンチモン、チタン、ゲルマニウム等の酸化物、酢酸塩を用いてもよい。
重合後の基材用ポリエステル樹脂は、モノマーやオリゴマー、アセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等の副生成物を含んでいるため、減圧または不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合を行い得られた、より重合度の高いポリマーをポリエステルフィルム基材に用いてもよい。
基材用ポリエステル樹脂を重合する際、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤等を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。熱安定剤としては、例えば、リン系化合物が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物を挙げられる。帯電防止材としては、例えばアンチモンドープ酸化錫が挙げられる。スリップ剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。ブロッキング防止剤としては、例えばケイ素酸化物が挙げられる。
本発明に用いる基材のポリエステルフィルムは、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。ポリエステルフィルム基材は少なくとも一方向に延伸されていることが好ましい。延伸されることにより、フィルムの平坦性や耐熱性を向上させることができる。
未延伸フィルムは、十分に乾燥されたポリエステル樹脂原料を押出機に供給し、流動性を示す温度以上で溶融し、必要に応じてフィルターを通過させた後、Tダイから、ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)以下に温度調節した冷却ドラム上に押出すことにより得ることができる。
延伸フィルムは、一軸延伸法、同時二軸延伸法または逐次二軸延伸法により得ることができる。一軸延伸法では、未延伸フィルムをポリエステル樹脂のTg〜Tg+50℃の温度範囲で、横方向または縦方向にそれぞれ2〜6倍程度の延伸倍率となるように延伸する。
同時二軸延伸法では、未延伸フィルムをポリエステル樹脂のTg〜Tg+50℃の温度範囲で、横方向および縦方向にそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるよう二軸延伸する。この場合、同時二軸延伸機に導く前に、1〜1.2倍程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。
逐次二軸延伸法では、上記未延伸フィルムをロール、赤外線等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。延伸は2個以上のロール周速差を利用し、ポリエステル樹脂のTg〜Tg+40℃の温度範囲で2.5〜4.0倍とすることが好ましい。縦延伸フィルムは続いて連続的に、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸延伸フィルムとする。横延伸は、ポリエステル樹脂のTg〜Tg+40℃の温度範囲で開始し、最高温度は、ポリエステル樹脂のTm−100℃〜Tm−40℃の温度範囲であることが好ましい(Tmはポリエステル樹脂の融点)。横延伸の倍率は最終的なフィルムの要求物性に依存し調整されるが、3.5倍以上とすることが好ましく、3.8倍以上とするのがより好ましく、4.0倍以上とするのがさらに好ましい。縦方向と横方向に延伸後、さらに、縦方向および/または横方向に再延伸することにより、フィルムの弾性率を高めたり寸法安定性を高めたりすることができる。延伸に続き、ポリエステル樹脂のTm−50℃〜Tm−10℃の温度範囲で数秒間の熱固定処理と、熱固定処理と同時にフィルム横方向に1〜10%の弛緩することが好ましい。
フィルムの巻き取り性を改善するために、基材に用いるポリエステルフィルムに粒子を添加してもよい。
基材に配合する粒子の種類は、特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子が挙げられる。また、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の耐熱性有機粒子を用いてもよい。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。使用する粒子の形状は特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
ポリエステルフィルム基材中の粒子含有量は、通常5質量%以下、好ましくは0.005〜3質量%の範囲である。5質量%を超えて粒子を添加すると、フィルムの透明性が不十分となる場合がある。
ポリエステルフィルム基材中に粒子を添加する方法は、特に限定されるものではなく、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができる。例えば、エステル化段階、もしくはエステル交換反応終了段階である。
本発明に用いる基材のポリエステルフィルムは、単層または複層(例えば、二種二層、二種三層、三種三層)のいずれの層構成であってもよいが、片面ごとに表面粗度を制御でき、巻取り性などのハンドリング性を向上させることができる観点から、複層構成であることが好ましい。二種二層、二種三層の構成が特に好ましい。二種二層の構成とは、二種類の層形成用材料を用いて製造された二層構成のことであり、これらの二層は組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。二種三層の構成とは、二種類の層形成用材料を用いて製造された三層構成のことであり、2つの最外層と中間層とは組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。三種三層の構成とは、三種類の層形成用材料を用いて製造された三層構成のことであり、これらの三層は互いに組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。
ポリエステルフィルム基材は、粒子を含有する層を、少なくとも片面の最外層に有する複層構成が好ましい。
ポリエステルフィルム基材が複層構成を有する場合、複層の各層における厚み比は、生産時の安定性と透明性の観点から、以下の比率が好ましい。例えば、二種二層の場合、各層の厚みの比は99:1〜1:99が好ましく、96:4〜4:96がより好ましく、90:10〜10:90がさらに好ましい。また例えば、二種三層の場合、各層の厚みの合計厚みを100%としたとき、中間層の厚みは98〜1%が好ましく、92〜4%がより好ましく、80〜10%がさらに好ましい。このとき、中間層と隣接する一方および他方の最外層の厚みはそれぞれ独立して1〜49.5%が好ましく、4〜48%がより好ましく、10〜45%がさらに好ましい。
複層構成を有するポリエステルフィルム基材は、例えば、以下の方法により製造することができる;
(1)二種以上のポリエステル樹脂組成物(層形成用材料)を別々に溶融し、層状に合流積層させ、複層ダイスより押出して固化前に積層融着させた後、固化させる方法;
(2)上記(1)の方法の後、延伸および熱固定する方法;
(3)二種以上のポリエステル樹脂組成物(層形成用材料)を別々に溶融し、合流させることなくそれぞれ押出して、フィルム化した後、二種以上のフィルムを積層融着させる方法;および
(4)上記(3)の方法において、フィルム化し、延伸した後、二種以上の延伸フィルムを積層融着させる方法。
ポリエステルフィルム基材は、プロセスの簡便性から、複層ダイスを用い、固化前に積層融着させる上記(1)および(2)の方法により製造されたものが好ましい。
(ポリエステル樹脂層)
本発明のポリエステル樹脂層に用いられるポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂(A)と呼ぶ。)は、主として、ジカルボン酸成分およびジオール成分から構成されるものである。ポリエステル樹脂(A)が主としてジカルボン酸成分およびジオール成分から構成されるとは、ポリエステル樹脂(A)を構成する全モノマー成分のうち、35〜50モル%、好ましくは45〜50モル%、より好ましくは48〜50モル%がジカルボン酸成分であり、かつ35〜50モル%、好ましくは45〜50モル%、より好ましくは48〜50%がジオール成分である、という意味である。本明細書中、ポリエステル樹脂(A)のモノマー成分の含有割合は、重合前の原料の使用量に基づく値で示すものとする。
ポリエステル樹脂(A)はジオール成分としてトリシクロデカン構造を有するジオール成分を含む。ポリエステル樹脂層は当該ジオール成分を含有するポリエステル樹脂(A)を含むことにより、高温環境下で長期にわたって使用されてもオリゴマーの析出が十分に防止されるため、ハードコート層の基材に対する接着性に優れるとともに、透明性に優れた積層フィルムを提供することができる。本発明においてはポリエステル樹脂層がハードコート層および基材の両方に対して優れた接着性を有するため、ハードコート層の基材に対する接着性が優れている。ハードコート層の基材に対する接着性が優れているとは、JIS K−5600−5−6に基づくクロスカット法において、100区画の格子パターンのうち、90区画以上、好ましくは95区画以上、より好ましくは98区画以上、最も好ましくは100区画が剥離せずに、残るという意味である。ポリエステル樹脂(A)がトリシクロデカン構造を有するジオール成分を含まないと、高温環境によるオリゴマーの析出を十分に防止できず、結果としてハードコート層の基材に対する接着性および積層フィルムの透明性が低下する。
ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分に対するトリシクロデカン構造を有するジオール成分の含有量は、基材からのオリゴマーの析出が十分に防止される限り特に限定されず、通常はポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分100モル%に対し、5〜70モル%、特に5モル%以上70モル%未満であり、析出オリゴマーのさらなる低減ならびにハードコート層の接着性および積層フィルムの透明性のさらなる向上の観点からは10〜65モル%であることが好ましく、25〜60モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが最も好ましい。
トリシクロデカン構造を有するジオール成分としては、例えば、下記一般式(I)で示されるトリシクロデカン化合物が挙げられる。
Figure 2017100399

一般式(I)中、XおよびXは、炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基および/または該炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基にアルキレンオキシドを1〜4モル付加した基であり、同一であっても異なっていてもよい。ヒドロキシアルキレン基は、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基の水素原子1つをヒドロキシル基1つにより置換した基である。アルキル基は直鎖状または分枝鎖状であってよく、好ましくは直鎖状である。アルキレンオキシドは、特に限定されないが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシド化合物である。アルキレンオキシドとして、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドが挙げられる。ヒドロキシアルキレン基へのアルキレンオキシドの付加により、ヒドロキシアルキレン基のヒドロキシル基に基づくエーテル結合が生成するとともに、アルキレンオキシドのエポキシ基に基づくヒドロキシル基が生成する。XおよびXは通常、トリシクロデカン構造が有する3つの炭素5員環を構成する10個の炭素原子のうち、異なる炭素原子に結合していればよく、好ましくは異なる炭素5員環を構成する炭素原子に結合しており、より好ましくはXおよびXはそれぞれトリシクロデカン構造の4位および8位に結合している。トリシクロデカン構造を構成する炭素原子には1価置換基が置換されていてもよい。1価置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜3のアルキル基(具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基)が挙げられる。最も好ましいXおよびXは、炭素数1〜4、特に1〜2のヒドロキシアルキレン基であり、同一であっても異なっていてもよい。トリシクロデカン構造を有するジオール成分は構造が異なる2種以上の化合物であってもよい。
一般式(I)で示される化合物としては、例えば、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、4,10−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、4,4,10,10−テトラメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10−デカメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが挙げられる。中でも汎用性が高い点で、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが好ましい。なお、これらは2種以上混合して用いてもよい。
一般式(I)で示される化合物と併用が可能なジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロブタンジメタノール、ジメタノールデカリン、ジメタノールビシクロオクタン等の脂環族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコール、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのアルキレンオキシド付加体、ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのアルキレンオキシド付加体が挙げられる。中でも、汎用性、重合性および樹脂特性への影響の点で、脂肪族グリコール、特にエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオールからなる群から選択される1種以上のジオール成分を、トリシクロデカン構造を有するジオール成分と共に用いることが好ましい。
脂肪族グリコールの含有量は通常、ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分100モル%に対して、95モル%以下、特に30モル%以上95モル%以下、であり、ハードコート層の基材に対する接着性の観点からは35〜90モル%であることが好ましく、40〜75モル%であることがより好ましく、50〜70モル%であることが最も好ましい。
ポリエステル樹脂(A)は、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を有することで水や親水性有機溶剤への分散化が容易になる。ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対する、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸の含有量を、3モル%以上とすることでポリエステル樹脂層のインラインコーティングに対する延伸追随性が高まる。一方、15モル%以下、好ましくは9モル%以下、特に8モル%以下とすることで、ポリエステル樹脂層の耐水性が向上する。従って、ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対し、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を0.1〜15モル%含有することが耐水性の観点から好ましく、耐水性のさらなる向上と延伸追随性(インラインコーティング時)の向上の観点からは3〜9モル%、特に3〜8モル%であることがより好ましい。延伸追随性とは、ポリエステル樹脂層を形成した後で延伸を行っても、ポリエステル樹脂層がポリエステルフィルム基材に追随して良好に延伸され得る特性のことである。耐水性とは、本発明の積層フィルムを水に浸漬しても、ポリエステル樹脂層に生じる白化および膨潤などの外観変化を防止し得る特性のことである。
前記スルホン酸塩基を有するジカルボン酸としては、スルホフタル酸ナトリウムが好ましく、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホテレフタル酸、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸リチウム、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホテレフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチルが挙げられる。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。中でも、汎用性、重合性および樹脂特性への影響の点で、芳香族ジカルボン酸、特にテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸以外のジカルボン酸の中でも芳香族ジカルボン酸の含有量は通常、ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対して、70〜97モル%であり、析出オリゴマーのさらなる低減ならびにハードコート層の基材に対する接着性の観点からは80〜95モル%であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)には、ヒドロキシカルボン酸成分を含有させてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2−ヒドロキシセバシン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、2−メチル−2−ヒドロキシコハク酸、酒石酸、テトラヒドロキシアジピン酸、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸のアルキレンオキシド付加体が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸を用いる場合、その含有量は、ポリエステル樹脂(A)を構成する全モノマー成分の合計100モル%のうち、50モル%以下とすることが好ましく、40モル%以下とすることがより好ましく、30モル%以下とすることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(A)には、モノカルボン酸成分および/またはモノアルコール成分が含まれていてもよい。モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。モノアルコールとしては、例えば、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコールが挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)には、3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールを含有させてもよい。3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールをエステル化反応前に仕込む場合、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分またはジアルコール成分100モル%に対して、5モル%以下とすることが好ましく、4モル%以下とすることがより好ましく、3モル%以下とすることがさらに好ましい。
3官能以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸が挙げられる。3官能以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は、高温環境下におけるオリゴマーの析出が十分に防止される限り特に制限はないが、得られるポリエステル樹脂層の耐ブロッキング性および延伸追随性の向上の観点から、60〜110℃、特に70〜110℃以下、であることが好ましく、耐ブロッキング性のさらなる向上の観点から80〜110℃が好ましい。ガラス転移温度は、ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分のうち、トリシクロデカン構造を有するジオール成分が多いほど高くなる。耐ブロッキング性とは、本発明の積層フィルムを重ねて高温下で保管しても、フィルム間で密着(ブロッキング)が起こらず、起こったとしても簡単に剥がれ得る特性のことである。
次に、ポリエステル樹脂(A)の製造方法について説明する。
ポリエステル樹脂(A)は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法で製造することができる。例えば、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下で反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて重縮合触媒の存在下、減圧下で、所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める方法、および当該方法を実施した後、不活性雰囲気下、3官能以上のカルボン酸を添加して解重合反応をおこなう方法を挙げることができる。
エステル化反応において、反応温度は180〜260℃とすることが好ましく、反応時間は2.5〜10時間とすることが好ましく、4〜6時間とすることがより好ましい。
重縮合反応において、反応温度は、220〜280℃とすることが好ましい。減圧度は、130Pa以下とすることが好ましい。減圧度が低いと、重縮合時間が長くなる場合がある。大気圧から130Pa以下に達するまで、60〜180分かけて徐々に減圧することが好ましい。
重縮合触媒としては、特に限定されないが、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、テトラ−n−ブチルチタネート、n−ブチルヒドロキシオキソスズ、トリエチルホスフェート等の公知の化合物を挙げることができる。触媒の使用量は、ジカルボン酸成分1モルに対し、0.1〜20×10−4モルとすることが好ましい。
解重合において、反応温度は160〜280℃とすることが好ましく、反応時間は、0.5〜5時間とすることが好ましい。
ポリエステル樹脂層をポリエステルフィルム基材上に形成する方法としては、基材上にポリエステル樹脂(A)を含有する塗工液を塗布した後、乾燥する方法が挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)含有塗工液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、グラビアロール法、リバースロール法、エアーナイフ法、リバースグラビア法、マイヤーバー法、インバースロール法、ダイコーター法、またはこれらの組み合わせによる各種コート方式が挙げられる。また、各種噴霧方式も採用することができる。塗工厚みは、析出オリゴマーのさらなる低減、積層フィルムの透明性のさらなる向上および耐ブロッキング性の向上、コート欠陥の発生防止および生産性の向上の観点から、乾燥後の厚み(特に熱乾燥後の厚み)が以下の範囲となるような値にすることが好ましい。乾燥後の厚み(特に熱乾燥後の厚み)は、0.01〜2μmとすることが好ましく、0.03〜1μmとすることがより好ましく、0.04〜0.5μmとすることがさらに好ましく、0.1〜0.5μmとすることが最も好ましい。
乾燥方法としては、特に限定されないが、ポリエステル樹脂層とハードコート層との接着性のさらなる向上の観点から、加熱して乾燥を行う熱乾燥処理法を採用することが好ましい。理由は定かではないが、ポリエステル樹脂層の熱乾燥処理温度が140℃以上、特に180℃以上になると、接着性が格段に高くなる。熱乾燥処理温度は、ポリエステル樹脂層とハードコート層との接着性のさらなる向上ならびにポリエステルフィルム基材の熱シワおよび変形の防止の観点から、140〜250℃とすることが好ましく、160〜230℃、特に180〜230℃とすることがより好ましい。熱乾燥処理理時間は、5〜60秒とすることが好ましく、20〜60秒とすることがより好ましい。
ポリエステル樹脂層は、インラインコート法またはポストコート法(オフラインコート法)により形成させることができる。インラインコート法とは、ポリエステルフィルム基材の前駆体としての未延伸フィルムまたは一軸延伸されたフィルムに、ポリエステル樹脂(A)含有塗工液を塗布した後、少なくとも一方向に延伸する方法である。通常はポリエステル樹脂(A)含有塗工液を塗布したポリエステルフィルム基材を、少なくとも一方向に延伸処理した後、乾燥処理(特に熱乾燥処理)を行う。延伸方法は、塗布前のフィルムの延伸状態に応じて決定されればよい。例えば、塗布前のフィルムが未延伸フィルムの場合、塗布後の延伸方法は逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法である。また例えば、塗布前のフィルムが所定の一方向(MD方向またはTD方向)に一軸延伸されたフィルムの場合、塗布後の延伸方法は未延伸方向(TD方向またはMD方向)に一軸延伸を行う一軸延伸法である。一方、ポストコート法(オフラインコート法)とは、未延伸フィルムを逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法により二軸延伸フィルム(ポリエステルフィルム基材)とした後で、該二軸延伸フィルムに塗工液を塗布する方法である。
一般に、インラインコート法は、ポストコート法(オフラインコート法)に比べて生産性が高く、経済性に優れている。また、インラインコート法では、未延伸フィルムまたは一軸延伸したフィルムに塗工液を塗布するため、高温で加熱することができる。本発明においては、樹脂層を140〜250℃で熱乾燥処理することが好ましいことから、高温で加熱することができるインラインコート法が好ましい。インラインコート法を採用することにより、熱乾燥処理に伴うポリエステルフィルムの収縮により発生する熱シワを防止することができる。
本発明の積層フィルムにおいてポリエステル樹脂層はポリエステルフィルム基材の少なくとも片面、好ましくは両面に積層されており、通常はポリエステルフィルム基材とハードコート層との間に形成されている。
次に、本発明において、ポリエステル樹脂層の形成に用いるポリエステル樹脂(A)含有塗工液(以下、ポリエステル樹脂塗工液と呼ぶことがある)について説明する。
ポリエステル樹脂塗工液としては、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解した有機溶液や、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤および/または水に分散した分散液などが挙げられる。これらのポリエステル樹脂塗工液は、基材に塗工、乾燥することでポリエステル樹脂組成物層を形成することができる。
本発明のポリエステル樹脂塗工液は、乳化剤を含有しないものが好ましい。本発明でいう乳化剤には、界面活性剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性物、水溶性高分子等が含まれる。こうした乳化剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂(A)成分100質量部に対して0.1質量部未満含まれていても差し支えない。乳化剤を0.1質量部以上含む場合は、被膜の耐水性が低下する傾向にある。
水系分散液としてのポリエステル樹脂塗工液の製造方法としては、例えば、自己乳化法が挙げられる。自己乳化法とは、ポリエステル樹脂(A)、水、有機溶剤を一括で仕込み、系内を攪拌しながら加熱することで、有機溶剤を含有したポリエステル樹脂水性分散体を得る方法である。必要に応じて、塩基性化合物を加えてもよい。
上記の有機溶剤としては、例えば、アセトン(沸点:56.2℃)、メチルエチルケトン(沸点:79.6℃)、メチルイソブチルケトン(沸点:117℃)、シクロヘキサノン(沸点:156℃)等のケトン系有機溶剤;トルエン(沸点:111℃)、キシレン(沸点:140℃)等の芳香族系炭化水素系有機溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:136℃)、テトラヒドロフラン(沸点:66.0℃)、1,4−ジオキサン(沸点:101℃)等のエーテル系有機溶剤;含ハロゲン系有機溶剤;n−プロパノール(沸点:97.2℃)、イソプロパノール(沸点:82.4℃)等のアルコール系有機溶剤;酢酸エチル(沸点:77.1℃)、酢酸ノルマルブチル(沸点:126℃)等のエステル系有機溶剤;グリコール系有機溶剤などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造においては、上記の分散工程の後に、さらに、有機溶剤を除去する工程(脱溶剤工程)を設けてもよい。なお、脱溶剤工程後の有機溶剤含有量は水性分散体の1質量%未満とすることが好ましく、0.5質量%未満とすることがより好ましく、0.3質量%未満とすることがさらに好ましい。
有機溶剤溶液としてのポリエステル樹脂塗工液は、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解する方法により製造する。
ポリエステル樹脂を溶解するための有機溶剤としては、ポリエステル樹脂を溶解可能な限り特に限定されないが、上記有機溶剤のうち、沸点が180℃以下のものが好ましく、165℃以下のものがより好ましく、150℃以下のものがさらに好ましい。有機溶剤の沸点が180℃を超えると、塗工時の乾燥によって有機溶剤を揮散させることが困難となる場合がある。
ポリエステル樹脂塗工液は、析出オリゴマーのさらなる低減ならびにハードコート層の基材に対する接着性の観点から、硬化剤を含有することが好ましい。硬化剤とは、ポリエステル樹脂層のポリエステル樹脂を架橋し得る化合物のことである。
本発明で用いることのできる硬化剤としては、例えば、多官能エポキシ化合物;多官能イソシアネート化合物;多官能アジリジン化合物;カルボジイミド基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物;フェノール樹脂;および尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種類を使用しても2種類以上を併用してもよい。硬化剤を添加することで、基材からのオリゴマーの析出が十分に防止され、得られるポリエステル樹脂層はポリエステル基材およびハードコート層との接着性がさらに向上する。好ましい硬化剤は、多官能イソシアネート化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物、およびメラミン樹脂からなる群から選択される1種類以上の硬化剤である。
多官能エポキシ化合物としては、具体的にはポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物等を用いることができる。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが使用可能である。ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが使用可能である。
多官能イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ビトリレン−4,4’ジイソシアネート、3,3’ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が使用可能である。これらのイソシアネート基を重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類、オキシム類及び活性メチレン化合物類等でブロックしたブロックイソシアネート化合物を用いてもよい。
多官能アジリジン化合物としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス−(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等が使用可能である。
カルボジイミド基含有化合物としては、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等のカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミド等が使用可能である。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
オキサゾリン基含有化合物としては、オキサゾリン基を含有する重合体が使用可能である。このような重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和脂肪族モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができる。他のモノマーは、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、p−t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、p−フェニルフェノール、クレゾール等を原料として調製したレゾール型フェノール樹脂及び/又はノボラック型フェノール樹脂が使用可能である。
尿素樹脂としては、例えばジメチロール尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、テトラメチロールアセチレン尿素、4−メトキシ5−ジメチルプロピレン尿素ジメチロールが使用可能である。
メラミン樹脂は、例えば官能基としてイミノ基、メチロール基、および/またはアルコキシメチル基(例えばメトキシメチル基、ブトキシメチル基)を1分子中に有する化合物である。メラミン樹脂としては、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂等が使用可能である。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系樹脂の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
ベンゾグアナミン樹脂としては、例えば、トリメチロールベンゾグアナミン、ヘキサメチロールベンゾグアナミン、トリスメトキシメチルベンゾグアナミン、ヘキサキスメトキシメチルベンゾグアナミン等が使用可能である。
硬化剤を用いる場合、その配合量は、析出オリゴマーのさらなる低減ならびにハードコート層の基材に対する接着性の観点から、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して硬化剤が1〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂層には、易滑性および耐ブロッキング性付与のために粒子が含有されてもよい。
配合できる粒子の粒子径は1nm〜2μmが好ましく、2nm〜1μmがより好ましい。
配合できる粒子の種類は接着性およびオリゴマー析出防止効果に影響を及ぼさない限り特に限定されるものではなく、具体例としては、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、膨潤性フッ素雲母、モンモリロナイト、ヘクトライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。中でも、耐熱性、得られる被膜の透明性の効果を発現させる効果の高い点で、シリカ、タルク、マイカ、カオリンが好ましく、さらに易滑性にも優れる点で、シリカが最も好ましい。有機粒子としては、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、テフロン(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などが挙げられる。これらの粒子は単独もしくは複数をブレンドして用いることができる。
硬化剤や粒子は、ポリエステル樹脂塗工液を調製する任意の段階で配合することができる。例えば、(1)ポリエステル樹脂(A)の分散体、硬化剤の分散体、粒子の分散体を混合攪拌する方法、(2)ポリエステル樹脂(A)と硬化剤を予め混合した後、一括して水もしくは溶剤性媒体に添加し分散もしくは溶解させた後に粒子の分散液を添加する方法などが挙げられる。
粒子を配合する場合には、ポリエステル樹脂層の耐ブロッキング性および接着性の観点から、ポリエステル樹脂(A)と硬化剤の質量の合計量との比率で、{ポリエステル樹脂(A)+硬化剤}/粒子=99/1〜70/30(質量比)であることが好ましく、99/1〜80/20(質量比)であることがより好ましく、99/1〜90/10(質量比)であることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂塗工液には、さらに他の任意成分を配合することができる。配合可能な任意成分としては、例えば、レベリング剤、消泡剤、その他増粘剤、着色顔料、水、アルコール等を挙げることができる。
レベリング剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられ、特にシリコーン系レベリング剤が、塗工液との相溶性、塗工適性、接着性、耐ブロッキング性から好ましい。シリコーン系レベリング剤としては、例えば、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。レベリング剤を用いることで塗工時のぬれ性の改善、被膜の平滑化の向上を図ることができる。レベリング剤の配合量としては、ポリエステル樹脂塗工液中に1〜15質量%であることが好ましい。
消泡剤としては、例えば、アセチレングリコール系化合物やそのエチレンオキシド付加体が好ましい。具体的には、3,6−ジメチル−4−デシン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよびこれらにエチレンオキサイドを付加した化合物が有効である。消泡剤を用いることで塗工時に分散体中に混入する気泡発生を防止、得られる被膜の平滑性、透明性を向上することができる。消泡剤の配合量としては、ポリエステル樹脂塗工液中に1〜10質量%であることが好ましい。
(ハードコート層)
本発明の積層フィルムにおいてハードコート層はポリエステル樹脂層上に積層されている。本発明の積層フィルムは通常、ポリエステルフィルム基材上にポリエステル樹脂層を介してハードコート層を有している。
ハードコート層は基材の片面側のみに形成されていても、両面側に形成されていてもよい。高温処理時のカールを防止する観点から、ハードコート層は基材の両面側に形成されていることが好ましい。ハードコート層が基材の片面側のみに形成されているとは、基材の一方の片面のみにポリエステル樹脂層を介してハードコート層が形成されているという意味であり、他方の片面にはポリエステル樹脂層および/またはハードコート層が形成されていてもよいし、または形成されていなくてもよい。このとき基材の他方の片面に少なくともポリエステル樹脂層が形成されていることにより、オリゴマーの析出をより一層、十分に防止することができる。ハードコート層が基材の両面側に形成されているとは、基材の両面にポリエステル樹脂層を介してハードコート層が形成されているという意味である。
ハードコート層としては、ポリエステル系積層フィルムの分野で従来よりハードコート層として使用されているあらゆる樹脂層が使用可能であり、主として耐薬品性および/または耐傷性に強い硬化性樹脂から構成されるものであることが好ましい。このような硬化性樹脂としては、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられるが、好ましくは、積層フィルムに対して、膜形成作業が容易で且つ鉛筆硬度を所望の値に容易に高めやすい電離放射線硬化型樹脂である。
ハードコート層の形成に用いられる硬化性樹脂の具体例として、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。析出オリゴマーのさらなる低減ならびにハードコート層の基材に対する接着性および積層フィルムの透明性のさらなる向上の観点から、アクリル系樹脂およびシリコーン系樹脂が好ましく、より好ましくはアクリル系樹脂である。
アクリル系樹脂はアクリロイル基およびメタクリロイル基などのアクリレート系官能基を持つものが好ましく、特にポリエステルアクリレートまたはウレタンアクリレートが好ましい。ポリエステルアクリレートは、ポリエステル系ポリオールのオリゴマーを(メタ)アクリレート化したものであってもよい。ウレタンアクリレートは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物からなるウレタン系オリゴマーを(メタ)アクリレート化したものであってもよい。なお、ポリエステルアクリレートまたはウレタンアクリレートを構成する(メタ)アクリレート化のための単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどがある。
ポリエステルアクリレートを構成するポリエステル系ポリオールのオリゴマーとしては、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸とグリコール(例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコールなど)および/またはトリオール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)との縮合生成物(例えばポリアジペートトリオール)、およびセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸とグリコール(具体例は上記と同様)および/またはトリオール(具体例は上記と同様)との縮合生成物(例えばポリセバシエートポリオール)などが例示できる。なお、上記脂肪族ジカルボン酸の一部または全てを他の有機酸で置換してもよい。この場合、他の有機酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸または無水フタル酸などが、ハードコート層に高度の硬度を発現することから、好ましい。
ウレタンアクリレートを構成するポリウレタン系オリゴマーは、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との縮合生成物から得ることができる。具体的なポリイソシアネート化合物としては、メチレン・ビス(p―フェニレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート・ヘキサントリオールの付加体、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体、1,5―ナフチレンジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、エチルベンゼン―2,4―ジイソシアネート、2,4―トリレンジイソシアネート二量体、水添キシリレンジイソシアネート、トリス(4―フェニルイソシアネート)チオフォスフエートなどが例示できる。具体的なポリオール化合物としては、ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオール、ポリアジペートポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリエステル系ポリオール、アクリル酸エステル類とヒドロキシエチルメタアクリレートとのコポリマーなどが例示できる。
ハードコート層の硬度をさらに高めたい場合は、ポリエステルアクリレートまたはウレタンアクリレートとともに、多官能モノマーを併用することができる。具体的な多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
上記の電離放射線硬化型樹脂を、紫外線硬化型樹脂として使用するときは、これらの樹脂中にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミフィラベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステルまたはチオキサントン類などを光重合開始剤として、また、n―ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルホスフィンなどを光増感剤として混合して使用するのが好ましい。
ウレタンアクリレートは、ハードコート層が弾性および可撓性に富み、加工性(折り曲げ性)に優れる観点から好ましい。
ポリエステルアクリレートは、ポリエステルの構成成分の選択により、極めて高い硬度のハードコート層を形成することができる観点から好ましい。
そこで、高硬度と可撓性とを両立しやすいことから、アクリル系樹脂の合計量を100質量部としたとき、ウレタンアクリレート60〜90質量部およびポリエステルアクリレート40〜10質量部を配合させたアクリル系樹脂から形成されたハードコート層が好ましい。
アクリル系樹脂は市販品として入手可能であり、例えば、大日精化社製セイカビームシリーズ、JSR社製オプスターシリーズ、日本合成化学工業社製UV硬化型ハードコート剤紫光シリーズ、横浜ゴム社製UV硬化型ハードコート剤HR320シリーズ、HR330シリーズ、HR350シリーズ、HR360シリーズ、東洋インキ社製UV硬化型機能性ハードコート剤Lioduras・LCHシリーズ等が使用可能である。アクリル系樹脂は、単独で使用しても、複数を混合して使用しても構わない。
シリコーン系樹脂は、シリコーン樹脂上にアクリル基を共有結合により結合させたものであってもよいし、またはアルコキシシランを加水分解重縮合させることにより得られたシラノール基を有する縮合体を含むものであってもよい。特に、後者の場合、塗布後の熱硬化等により、シラノール基がシロキサン結合に変換されて硬化膜としてハードコート層が得られる。
シリコーン系樹脂は市販品として入手可能であり、例えば信越化学工業社製UV硬化型シリコーンハードコート剤X−12シリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製UV硬化型シリコーンハードコート剤UVHCシリーズ、熱硬化型シリコーンハードコート剤SHCシリーズ、東洋インキ社製UV硬化型機能性ハードコート剤Lioduras・Sシリーズ等が使用可能である。シリコーン系樹脂は、単独で使用しても、複数を混合して使用しても構わない。
本発明の積層フィルムにおいてハードコート層の鉛筆硬度は用途に応じて様々な硬度であってよく、通常は、HB以上であり、好ましくはH以上、さらに好ましくは2H以上である。ハードコート層を有することにより、積層フィルムの耐擦傷性が向上し、様々な用途に用いることが可能になる。ハードコート層の厚さ、材料、硬化条件などを選択することにより、硬度を制御することができる。
本明細書中、鉛筆硬度は、JIS−K5400(1990)に準拠した方法で測定された値を用いている。
ハードコート層の厚さは特に限定されないが、光学的な特性を損なわない範囲で調整されるのが好ましく、1〜15μmの範囲が好ましい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、1.50〜2.10が好ましく、1.60〜2.00がより好ましく、1.70〜1.95がさらに好ましい。
本明細書中、屈折率は、JIS−K7105に基づいて測定された値を用いている。
ハードコート層を形成する方法としては、ポリエステル樹脂層上にハードコート層形成用塗工液を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
ハードコート層形成用塗工液は通常、硬化性樹脂を含み、所望により紫外線吸収剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を含んでもよい。
紫外線吸収剤としては特に限定されず、積層フィルムの分野でハードコート層に紫外線吸収剤として含有される公知のあらゆる化合物が使用できる。ハードコート層に紫外線吸収剤を含有させることによって、積層フィルムおよび着色剤(特に染料系)の紫外線劣化を防止し、長期間視認性と防爆性を保持することができる。紫外線吸収剤の含有量は、ハードコート層を形成する硬化性樹脂に対し0.1〜10質量%が好ましい。0.1質量%以上とすることにより、紫外線劣化防止効果が十分に発揮され、10質量%以下とすることにより、耐摩耗性や耐擦傷性の低下をより効果的に防止できる。
ハードコート層形成用塗工液に含有されるレベリング剤および消泡剤としては、ポリエステル樹脂塗工液に配合できるレベリング剤および消泡剤と同様のものが挙げられる。
ハードコート層形成用塗工液の塗布方法としては、ポリエステル樹脂(A)含有塗工液の塗布方法と同様の塗布方法を採用することができる。
硬化方法としては、硬化性樹脂の種類に応じて、紫外線等の電離放射線を照射する方法、加熱する方法等を採用し、十分に硬化すればよい。
ハードコート層は2層以上連続して形成されてもよい。具体的には、ポリエステル樹脂層上に形成されたハードコート層の上に、さらに1層以上のハードコート層が形成されてもよい。干渉斑を低減できるためである。このとき、連続する2層以上のハードコート層のうち、各ハードコート層の厚みおよび屈折率がそれぞれ独立して上記範囲内であればよい。連続する2層以上のハードコート層のうち、各ハードコート層がそれぞれ独立して上記したハードコート層の中から選択されればよい。
ハードコート層が基材の両面側に形成される場合、それらのハードコート層はそれぞれ独立して上記したハードコート層の中から選択されればよい。
ハードコート層の表面には、意匠性および/または識別性を付与するために、印刷および/またはヘアライン加工等の後加工を行っても良い。
(積層フィルムの特性および用途)
本発明の積層フィルムの厚みは、特に限定されないが、15〜150μmであることが好ましい。厚みを15〜150μmとすることにより、生産性よくフィルムを作製することができる。
本発明の積層フィルムは、熱処理した際の基材フィルムからのオリゴマーの析出が防止されており、具体的には、100℃で30日間熱処理したときのヘーズ変化量が0.8%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下、最も好ましくは0%である。
本明細書中、ヘーズ変化量は、JIS−K7136:2000に従って測定された値に基づいている。
本発明の積層フィルムは、電子材料、光学材料または電子光学材料として有用である。本発明の積層フィルムは、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイパネル、有機ELパネル、エレクトロクロミックパネル、電子ペーパー素子パネルとして有用である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<特性の評価>
〔接着性〕
JIS K−5600−5−6に準拠し、クロスカット法によって、接着性を評価した。詳しくは、積層フィルムのハードコート層表面に切り込みを入れて100区画の格子パターンをつくり、その表面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り、勢いよくテープを剥離した。なお、「100/100」が、100区画に全く剥がれがなく、最も良い状態であり、「0/100」が、100区画全てが剥がれ、最も良くない状態を示す。100/100〜90/100を合格とし、100/100〜95/100、特に100/100〜98/100、が優れており、100/100が最も優れていることを示す。
また積層フィルムを100℃に熱したオーブンに投入し、30日間の熱処理を行った。熱処理後の積層フィルムを取り出して、室温まで冷却後、上記と同様の方法により、接着性の評価を行った。
〔ヘーズ(Hz)変化量〕
基材フィルムの非積層面(積層フィルムの非コート面(樹脂層反対面))に透明粘着シート(日東電工製LUCIACS CS9621T)を貼り付け、JIS−K7136:2000に基づき、ヘーズメーターNDH4000(日本電色製)を用いて加熱処理前のヘーズ値(初期)を測定した。次に、この積層フィルムを100℃に熱したオーブンに投入し、30日間熱処理した後、取り出した。その後、室温まで冷却後、上記と同様の方法で再度ヘーズ値(熱処理後)を測定した。熱処理後と熱処理前のヘーズ値の差を、ヘーズの変化量とした。なお、10回の測定による平均値を測定値とした。
上記透明粘着シート(日東電工製LUCIACS CS9621T)はオリゴマーブロック性能があるオリゴマーブロックシートであり、ユニチカPETフィルムエンブレットS−50の両面に貼り付けて100℃で30日間熱処理しても、ヘーズの変化量はほぼゼロである。
〔鉛筆硬度の測定〕
JIS−K5400(1990)に準拠した方法で、フィルム試料のハードコート層の表面の鉛筆引っかき値を測定した。
◎ : 2H以上
○ : H以上2H未満
△ : HB以上H未満
× : HB未満
〔ポリエステル樹脂のガラス転移温度〕
ポリエステル樹脂を10mg秤量し、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC;Diamond DSC型、検出範囲:−50℃〜200℃)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこなった。得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
〔ポリエステル樹脂の調製〕
調製例1
テレフタル酸3057g、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル474g、エチレングリコール1154g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール275gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。この時のモノマー成分の配合は、テレフタル酸:5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル:エチレングリコール:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール=92:8:93:7(モル比)とした。次いで、触媒として三酸化アンチモン0.525g、トリエチルホスフェート0.328g、酢酸亜鉛二水和物1.580gを添加した後、系の温度を250℃に昇温し、系の圧力を0.4MPaで制圧し、3時間反応を行った。その後、徐々に放圧し、常圧にて1時間反応を行った。その後、270℃に昇温し、徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、2時間30分後に系を窒素ガスで常圧にして重縮合反応を終了した。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、放冷した。次いで、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、表1に示す組成の、粒状のポリエステル樹脂(P−1)を得た。
調製例2〜8
重合後の樹脂組成が表1〜表2に記載した内容になるよう、樹脂組成を変更した以外は、ポリエステル樹脂(P−1)と同様にして、ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−8)をそれぞれ得た。その結果を表1〜表2に示す。
〔ポリエステル樹脂塗工液の製造〕
製造例1
ジャケット付きの、密閉が可能な円筒状ガラス容器(内容量3L)と、攪拌機(東京理科器械社製、「MAZELA NZ−1200」)を用い、ポリエステル樹脂(P−1)を300g、イソプロパノールを50g、蒸留水を650gそれぞれガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を70rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して昇温した。内温が80℃になった時点で昇温を止め、そこから攪拌を90分間続けた。攪拌中は内温を72±2℃に保つよう行った。その後、ジャケット内に冷水を通し、回転速度を30rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却しポリエステル樹脂分散液を得た。得られたポリエステル樹脂分散液800gを丸底フラスコに仕込み、水40gを添加し、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を40g留去した。その後、室温まで冷却し、さらに攪拌しながら、最後に固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水を加えて、ポリエステル樹脂分散液を得た。
このポリエステル樹脂分散液と硬化性水性分散体(オキサゾリン基含有化合物、エポクロスWS−700;日本触媒社製)とを、固形分質量比が100/5となるよう配合し、混合攪拌して塗工液(S−1)を得た。
製造例2〜9
ポリエステル樹脂および硬化剤の種類および添加量を表1〜表2に記載された通りに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂塗工液(S−2)〜(S−9)を得た。
〔ハードコート剤〕
ハードコート剤として以下の化合物を用いた。
H−1:大日精化社製 セイカビームPHC UV硬化性/アクリル系樹脂
H−2:大日精化社製 セイカビームEXF01B UV硬化性/アクリル系樹脂
H−3:JSR社製 オプスターKZ6445A UV硬化性/アクリル系樹脂
H−4:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製 SHC900 熱硬化性/シリコーン系樹脂
〔積層フィルムの製造〕
実施例1(ポストコートフィルムの製造)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(S−50、ユニチカ社製、厚さ50μm、Hz3.8%)のコロナ処理面(片面)に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いて熱乾燥処理後の樹脂層厚みが0.24μmとなるよう、塗工液(S―1)をポストコートした。その後、180℃に設定された熱風乾燥機中で30秒間乾燥させることにより、ポリエステル樹脂層を得た。次いで、卓上型コーティング装置を用いて、ポリエステル樹脂層上にアクリル系ハードコート剤(H−1)(大日精化社製;セイカビームPHC)を塗布し、低圧水銀灯UVキュア装置(東芝ライテック社製、40mW/cm、一灯式)でキュアリングを行い、厚さ3μmのハードコート層を形成し、積層フィルムを得た。
実施例2〜9および11ならびに比較例1〜3(ポストコートフィルムの製造)
塗工液およびハードコート剤を表1〜表2に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行って積層フィルムを得た。
特に実施例9では、低圧水銀灯UVキュア装置でキュアリングを行う代わりに、十分に加熱することによりキュアリングを行った。
実施例10(インラインコートフィルムの製造)
ポリエチレンテレフタレートAとして、以下のポリエチレンテレフタレートBに、粒子径2.3μmのシリカ粒子を0.07質量%含有させたものを使用した。
ポリエチレンテレフタレートBとして、ポリエチレンテレフタレート(重合触媒:三酸化アンチモン、固有粘度:0.67、ガラス転移温度:78℃、融点:253℃)を使用した。
ポリエチレンテレフタレートBを押出機I(スクリュー径:50mm)に、ポリエチレンテレフタレートAを押出機II(スクリュー径:65mm)にそれぞれ投入して280℃で溶融後、それぞれの溶融体を複層ダイスのTダイの出口に至る前で、層の厚み比(II/I/II)が6/38/6となり、総厚みが1000μmとなるよう3層で合流積層させた。積層された溶融体を、Tダイ出口より押出し、表面温度を20℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷固化して未延伸フィルムを得た。続いて90℃に温調した予熱ロール群で予熱した後、90℃に温調した延伸ロール間で周速を変化させて4.0倍に縦延伸し、厚さ250μmの縦延伸フィルムを得た。次に縦延伸フィルムにマイヤーバーを用いて熱乾燥処理後の樹脂層厚みが0.19μmとなるよう塗工液(S−2)をインラインコートした。その後、インラインコートされたフィルムをテンター式延伸機に導き、予熱温度90℃、延伸温度120℃で5倍に横延伸し、続いて230℃で熱乾燥処理を行い、200℃で横方向に3%の弛緩処理を行った。テンターから出たフィルムは、フィルム速度150m/minで巻き取った。こうして厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2017100399
Figure 2017100399
なお、表1〜表2において、略語は以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
SIP:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
TMA:トリメリット酸
EG:エチレングリコール
TCD:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール
PD:1,2−プロパンジオール
BAEO:2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのエチレンオキシド付加物
本発明の積層フィルムは、電子材料、光学材料または電子光学材料として有用である。本発明の積層フィルムは特に、タッチパネル、液晶ディスプレイパネル、有機ELパネル、エレクトロクロミックパネル、電子ペーパー素子パネルとして有用である。

Claims (7)

  1. ポリエステルフィルム基材、該ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面に積層されたポリエステル樹脂層、および該ポリエステル樹脂層上に積層されたハードコート層を有する積層フィルムであって、
    前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂がトリシクロデカン構造を有するジオール成分を含む、積層フィルム。
  2. 前記ポリエステル樹脂層が前記ポリエステルフィルム基材の片面に積層されており、
    前記ポリエステルフィルム基材の非積層面に透明粘着シートを貼り付けて、100℃で30日間熱処理した際のヘーズ変化量が0.8%以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記ハードコート層がアクリル系またはシリコーン系樹脂層である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分のうち、3〜9モル%がスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記ポリエステル樹脂層が硬化剤をさらに含有し、該硬化剤の含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜10質量部である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記ポリエステル樹脂を含有する塗工液をポリエステルフィルム基材に塗布し、180℃以上の温度で熱乾燥処理を行い、ポリエステル樹脂層を形成した後、該ポリエステル樹脂層上にハードコート層形成用塗工液を塗布し、硬化させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
  7. 前記ポリエステル樹脂含有塗工液を塗布したポリエステルフィルム基材を、少なくとも一方向に延伸処理した後、前記熱乾燥処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の積層フィルムの製造方法。
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