実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、または、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
また本明細書などにおいて、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造または動作条件などによって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、「ソース」という用語と、「ドレイン」という用語とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。
また、本明細書などにおいて、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書などに開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きくできる回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書などに開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書などに開示されているものとする。
なお、例えば、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1を介して(または介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2を介して(または介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することができる。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トランジスタのソース(または第1の端子など)とトランジスタのドレイン(または第2の端子など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタのソース(または第1の端子など)からトランジスタのドレイン(または第2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)からトランジスタのソース(または第1の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としての機能を有する場合は、一の導電膜が、配線の機能、および電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
なお、「膜」という用語と、「層」という用語とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁層」という用語を、「絶縁膜」という用語に変更することが可能な場合がある。
なお、一般的に、電位(電圧)は、相対的なものであり、基準の電位からの相対的な大きさによって大きさが決定される。したがって、「接地」「GND」「グラウンド」などと記載されている場合であっても、必ずしも、電位が0ボルトであるとは限らないものとする。例えば、回路で最も低い電位を基準として、「接地」や「GND」を定義する場合もある。または、回路で中間くらいの電位を基準として、「接地」や「GND」を定義する場合もある。その場合には、その電位を基準として、正の電位と負の電位が規定されることとなる。
なお本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す用語は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置の一例として撮像装置について説明する。
本発明の一態様は、一のワーキングメモリあたり複数の長期記憶メモリを有するラインバッファに関する。ラインバッファは、撮像装置が有する画素から出力された撮像データを保持し、保持された当該撮像データを例えば信号処理LSIのフレームメモリ等に出力する機能を有する。ワーキングメモリはラッチ回路を有し、DRAMや不揮発性メモリなどと比較して書き込み速度および読み出し速度が速い。また、長期記憶メモリは、容量素子と、活性層または活性領域を酸化物半導体で形成したトランジスタなどのオフ電流が極めて小さいトランジスタと、を有するメモリである。オフ電流が極めて小さいトランジスタを有するメモリは、ラッチ回路を有するメモリより1ビットあたりの占有面積が小さい。つまり、単位面積あたりの記憶容量が大きい。以上により、本発明の一態様の、一のワーキングメモリあたり複数の長期記憶メモリを有するラインバッファは、小型であっても高速な書き込み動作および読み出し動作を実現することができる。
<撮像装置>
図1(A)は、本発明の一態様の撮像装置10の構成を示すブロック図である。撮像装置10は、画素11、回路13、回路14、回路15、回路16および回路17を有する。また、画素11はマトリクス状に配置されてp行q列(pおよびqは自然数)の画素アレイ12を構成する。さらに、回路16はマトリクス状に配置され、各行の回路16ごとに回路17が配置されている。
回路16は回路16Aおよび回路16Bを有し、回路17は回路17Aおよび回路17Bを有する。また、回路17Aは回路16Aと電気的に接続され、回路17Bは回路16Bと電気的に接続されている。
なお図面における各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特定するものであり、異なる回路ブロックで別々の機能を実現するよう示していても、実際の回路ブロックにおいては同じ回路ブロック内で別々の機能を実現しうるように設けられている場合もある。また図面における各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定するものであり、一つの回路ブロックとして示していても、実際の回路ブロックにおいては一つの回路ブロックで行う処理を、複数の回路ブロックで行うよう設けられている場合もある。
回路13は、画素アレイ12の行を選択する、行ドライバとしての機能を有する。回路14は、画素アレイ12の列を選択する、列ドライバとしての機能を有する。回路13は、1行目の画素11を選択した後に2行目の画素11を選択し、p行目の画素11まで順に選択する。つまり、回路13は画素11を水平方向に走査する機能を有する。
なお、回路13および回路14には、様々な回路、例えば、デコーダやシフトレジスタなどが用いられる。
回路15は、A/D変換回路としての機能を有する。画素11から出力されたアナログの撮像データをデジタルデータに変換する。
本明細書において、「撮像データ」という用語は、画素に照射される光の照度に応じて画素から出力される信号を表す場合がある。また、単に「撮像データ」と記載した場合は、A/D変換前の撮像データを表す場合もあるし、A/D変換後の撮像データを表す場合もある。
回路16Aおよび回路16Bは、デジタルデータを保持する、ラインバッファとしての機能を有する。回路15から出力されたデジタルデータは、回路16Aまたは回路16Bに書き込まれて保持された後に読み出され、例えば信号処理LSIのフレームメモリなどに出力される。回路15から出力されたデジタルデータを、信号処理LSIのフレームメモリなどに直接出力するのではなく、回路16Aまたは回路16Bに保持してから出力することにより、例えば回路15と、信号処理LSIのフレームメモリなどとの駆動速度やアクセスタイミングなどが異なる場合であっても回路15から信号処理LSIのフレームメモリなどへデジタルデータを出力することができる。
回路17Aは回路16Aの動作全般を制御する、コントロール回路としての機能を有する。また、回路17Bは回路16Bの動作全般を制御する、コントロール回路としての機能を有する。なお、回路17Aおよび回路17Bの機能の詳細は実施の形態3で後述する。
図1(B)は回路13、回路15、回路16Aおよび回路16Bの動作を表すタイミングチャートである。期間T1において、回路13がN行目(Nはp以下の自然数)の画素11を選択している最中に、N行目の画素11から出力された撮像データが回路15によりA/D変換される。また、N−1行目の画素11から出力され、A/D変換された撮像データは回路16Aに書き込まれる。また、N−2行目の画素11から出力された撮像データが回路16Bに保持されており、当該撮像データが回路16Bから読み出される。
次に、期間T2において、回路13がN+1行目の画素11を選択している最中に、N+1行目の画素11から出力された撮像データが回路15によりA/D変換され、期間T1で回路16Aに書き込まれたN−1行目の撮像データが読み出される。そして、期間T1でN行目の画素11から出力され、A/D変換された撮像データが回路16Bに書き込まれる。また、期間T3において、回路13がN+2行目の画素11を選択している最中に、N+2行目の画素11から出力された撮像データが回路15によりA/D変換される。そして、期間T2でN+1行目の画素11から出力され、A/D変換された撮像データが回路16Aに書き込まれ、期間T2で回路16Bに書き込まれたN行目の撮像データが読み出される。
このように、ラインバッファを複数(回路16A、回路16B)設けることにより、ラインバッファへの撮像データの書き込みと、ラインバッファからの撮像データの読み出しを並行して行うことができる。これにより、高速に動作する撮像装置10を提供することができる。
<ラインバッファ>
図2に、回路16Aおよび回路16Bの回路構成を示す。回路16Aは、回路20、回路30、回路40および回路50を有する。なお、回路16Bの構成は回路16Aの構成と同様である。
回路16Aと回路16Bは、配線61a(WBL)、配線61b(WBLB)、配線62a(RBL)および配線62b(RBLB)により電気的に接続されている。また、回路20と、回路30と、回路40と、回路50とは配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)により電気的に接続されている。
回路20は、書き込み・読み出し選択スイッチとしての機能を有する。回路30は、一時的に1ビットの撮像データを記憶する、ワーキングメモリとしての機能を有する。回路40は、ローカルビット線である配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)のプリチャージを行う、ローカルプリチャージ回路としての機能を有する。回路50は、nビット(nは2以上の整数)の撮像データを保持する、長期記憶メモリとしての機能を有する。
なお、nは例えば8、16、32などの値をとることができる。
配線61a(WBL)、配線61b(WBLB)、配線62a(RBL)および配線62b(RBLB)は、グローバルビット線としての機能を有する。また、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)は、ローカルビット線としての機能を有する。なお、配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)には回路16Aまたは回路16Bに書き込まれる撮像データが入力され、配線62a(RBL)および配線62b(RBLB)には回路16Aまたは回路16Bから読み出された撮像データが出力される。
以上のように、撮像データの書き込み用のグローバルビット線と、撮像データの読み出し用のグローバルビット線とを別とすることにより、図1(B)に示すように、回路16Aへの撮像データの書き込みと並行して、回路16Bに保持された撮像データの読み出しを行うことができる。また、回路16Aに保持された撮像データの読み出しと並行して、回路16Bへの撮像データの書き込みを行うことができる。
なお、配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)は相補データを伝送するためのビット線対である。また、配線62a(RBL)および配線62b(RBLB)も相補データを伝送するためのビット線対である。つまり、配線61b(WBLB)は、配線61a(WBL)に入力されるデータの論理を反転したデータが入力され、配線62b(RBLB)は、配線62a(RBL)に出力されるデータの論理を反転したデータが出力される。
<書き込み・読み出し選択スイッチ>
回路20は、トランジスタ21と、トランジスタ22と、トランジスタ23と、トランジスタ24と、トランジスタ25と、トランジスタ26と、を有する。なお、トランジスタ21乃至トランジスタ26はすべてnチャネル型トランジスタとする。
なお、本明細書ではnチャネル型トランジスタをn−ch型トランジスタ、pチャネル型トランジスタをp−ch型トランジスタと呼ぶことがある。
トランジスタ21のソースまたはドレインの一方は、配線61a(WBL)と電気的に接続されている。また、トランジスタ21のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ23のゲートおよび配線63a(LBL)と電気的に接続されている。また、トランジスタ21のゲートは、配線27(Wsw)と電気的に接続されている。また、トランジスタ22のソースまたはドレインの一方は、配線62b(RBLB)と電気的に接続されている。また、トランジスタ22のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ23のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、トランジスタ22のゲートは、配線28(Rsw)と電気的に接続されている。また、トランジスタ23のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ26のソースまたはドレインの一方および配線29と電気的に接続されている。
なお、配線29には例えばLレベル電位を印加することができる。
本明細書において、Hレベルは高電位を、Lレベルは低電位をそれぞれ示す。また、Lレベルは例えば接地電位とすることができる。
また、トランジスタ24のソースまたはドレインの一方は、配線61b(WBLB)と電気的に接続されている。また、トランジスタ24のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ26のゲートおよび配線63b(LBLB)と電気的に接続されている。また、トランジスタ24のゲートは、配線27(Wsw)と電気的に接続されている。また、トランジスタ25のソースまたはドレインの一方は、配線62a(RBL)と電気的に接続されている。また、トランジスタ25のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ26のソースまたはドレインの他方と電気的に接続されている。また、トランジスタ25のゲートは、配線28(Rsw)と電気的に接続されている。
回路16Aが書き込み動作を行う場合は、トランジスタ21およびトランジスタ24をオンとする。これにより、配線61a(WBL)の撮像データが配線63a(LBL)に転送され、配線61b(WBLB)の撮像データが配線63b(LBLB)に転送される。
また、回路16Aが読み出し動作を行う場合は、トランジスタ22およびトランジスタ25をオンとする。これにより、配線63a(LBL)の撮像データに対応する信号の反転信号が配線62b(RBLB)に出力され、配線63b(LBLB)の撮像データに対応する信号の反転信号が配線62a(RBL)に出力される。
<ワーキングメモリ>
回路30は、トランジスタ31と、トランジスタ32と、トランジスタ33と、トランジスタ34と、を有する。なお、トランジスタ31およびトランジスタ32はn−ch型トランジスタ、トランジスタ33およびトランジスタ34はp−ch型トランジスタとする。
トランジスタ31のソースまたはドレインの一方、トランジスタ32のゲート、トランジスタ33のソースまたはドレインの一方およびトランジスタ34のゲートは、配線63a(LBL)と電気的に接続されている。また、トランジスタ31のゲート、トランジスタ32のソースまたはドレインの一方、トランジスタ33のゲートおよびトランジスタ34のソースまたはドレインの一方は、配線63b(LBLB)と電気的に接続されている。
また、トランジスタ31のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ32のソースまたはドレインの他方および配線35(VLL)と電気的に接続されている。また、トランジスタ33のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ34のソースまたはドレインの他方および配線36(VHH)と電気的に接続されている。
以上により、トランジスタ31とトランジスタ33によりインバータが構成され、トランジスタ32とトランジスタ34によりインバータが構成されている。これら2個のインバータの入力端子は、それぞれ他方の出力端子に電気的に接続されており、ラッチ回路が構成される。これにより、1ビットの撮像データを一時的に記憶することができる。また、回路30は差動増幅回路として機能し、撮像データを増幅して記憶することができる。
回路30はラッチ回路を有しているため、回路30へのデータの書き込み速度および回路30からのデータの読み出し速度が、DRAMや不揮発性メモリなどと比較して速いという特徴を有する。
なお、トランジスタ31およびトランジスタ32は駆動トランジスタ(プルダウントランジスタ)としての機能を有する。また、トランジスタ33およびトランジスタ34はロードトランジスタ(プルアップトランジスタ)としての機能を有する。
また、配線35(VLL)および配線36(VHH)は、2個のインバータに電源電位を供給する機能を有する。電源電位として、例えば配線35(VLL)にLレベル電位を、配線36(VHH)にHレベル電位をそれぞれ供給することができる。
<ローカルプリチャージ回路>
回路40は、トランジスタ41と、トランジスタ42と、トランジスタ43と、を有する。なお、トランジスタ41乃至トランジスタ43はすべてn−ch型トランジスタとする。
トランジスタ41のソースまたはドレインの一方およびトランジスタ42のソースまたはドレインの一方は、配線63a(LBL)と電気的に接続されている。また、トランジスタ41のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ43のソースまたはドレインの一方は、配線63b(LBLB)と電気的に接続されている。
また、トランジスタ41のゲート、トランジスタ42のゲートおよびトランジスタ43のゲートは、配線44(PC)と電気的に接続されている。また、トランジスタ42のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ43のソースまたはドレインの他方および配線45(VPC)と電気的に接続されている。
トランジスタ41は、配線63a(LBL)と配線63b(LBLB)の電位を等しくする、イコライザーとしての機能を有する。また、トランジスタ42は、配線63a(LBL)のプリチャージ動作を制御する機能を有する。また、トランジスタ43は、配線63b(LBLB)のプリチャージ動作を制御する機能を有する。
また、配線44(PC)は、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)のプリチャージ動作制御用の信号を供給するための信号線としての機能を有する。また、配線45(VPC)は、プリチャージ電位を供給するための電源線としての機能を有する。
配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)をプリチャージする場合、例えば配線44(PC)の電位をHレベルとすることによりトランジスタ41、トランジスタ42およびトランジスタ43をオンとする。これにより、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)の電位を、配線45(VPC)の電位であるプリチャージ電位とすることができる。
なお、プリチャージ電位として例えば”VDD/2”とすることができる。ここで、Hレベル電位を”VHH”、Lレベル電位を”VLL”とすると、”VDD=VHH+VLL”と定義される。特に、Lレベル電位が接地電位である場合、”VDD”はHレベル電位を示す。
<長期記憶メモリ>
回路50は、n個の回路51を有する。また、1個の回路51は、回路52aと回路52bをそれぞれ1個ずつ有する。回路52aは、トランジスタ53aと、容量素子54aとを有する。また、回路52bは、トランジスタ53bと、容量素子54bとを有する。なお、図2ではトランジスタ53aおよびトランジスタ53bはn−ch型トランジスタとしているが、p−ch型としてもよい。
つまり、回路50は回路51、回路52a、回路52b、トランジスタ53a、トランジスタ53b、容量素子54aおよび容量素子54bをそれぞれn個ずつ有する。
1個のトランジスタ53aのソースまたはドレインの一方は、1個の容量素子54aの一方の端子と電気的に接続されている。また、n個のトランジスタ53aのソースまたはドレインの他方は、1本の配線63a(LBL)と電気的に接続されている。
また、1個のトランジスタ53bのソースまたはドレインの一方は、1個の容量素子54bの他方の端子と電気的に接続されている。また、n個のトランジスタ53bのソースまたはドレインの他方は、1本の配線63b(LBLB)と電気的に接続されている。
また、1個のトランジスタ53aのゲートおよび1個のトランジスタ53bのゲートは、1本の配線55(WL)と電気的に接続されている。つまり、配線55(WL)はn本設けられ、n個のトランジスタ53aのゲートおよびトランジスタ53bのゲートは、n本の互いに異なる配線55(WL)と電気的に接続されている。
また、n個の容量素子54aの他方の端子およびn個の容量素子54bの一方の端子は、1本の配線56と電気的に接続されている。なお、配線56には例えばLレベル電位を印加することができる。
なお、n個の回路51、n個の回路52a、n個の回路52b、n個のトランジスタ53a、n個のトランジスタ53b、n個の容量素子54a、n個の容量素子54bおよびn本の配線55(WL)を、[0]、[1]、[n−1]などの符号を用いて区別する。
また、回路52aは配線63a(LBL)から転送された撮像データを保持する機能を有し、回路52bは配線63b(LBLB)から転送された撮像データを保持する機能を有する。つまり、回路51は1ビットの相補データを保持する機能を有する。
また、配線55(WL)はワード線としての機能を有する。つまり、書き込み動作または読み出し動作を行う回路51を選択する機能を有する。
ここで、トランジスタ53aおよびトランジスタ53bのオフ電流を低減することで、回路51の保持時間を長くすることができる。ここでいう、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態のときにソースとドレインとの間に流れる電流をいう。トランジスタがnチャネル型である場合、例えば、しきい値電圧が0V乃至2V程度であれば、ゲートとソース間の電圧が負の電圧であるときのソースとドレインとの間に流れる電流をオフ電流と呼ぶことができる。また、オフ電流が極めて小さいとは、例えば、チャネル幅1μmあたりのオフ電流が100zA(ゼプトアンペア)以下であることをいう。なお、オフ電流は小さいほど好ましいため、この規格化されたオフ電流が10zA/μm以下、あるいは1zA/μm以下とすることが好ましく、10yA(ヨクトアンペア)/μm以下であることがより好ましい。1zAは1×10−21Aであり、1yAは1×10−24Aである。
このようにオフ電流を極めて小さくするには、トランジスタのチャネル形成領域をバンドギャップが広い半導体で形成すればよい。そのような半導体として、酸化物半導体が挙げられる。酸化物半導体のバンドギャップは3.0eV以上であるため、活性層または活性領域を酸化物半導体で形成したトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ)は熱励起によるリーク電流が小さく、また、オフ電流が極めて小さい。OSトランジスタのチャネル形成領域は、インジウム(In)および亜鉛(Zn)の少なくとも一方を含む酸化物半導体であることが好ましい。このような酸化物半導体としては、In−M−Zn酸化物(元素Mは、例えばAl、Ga、YまたはSn)が代表的である。電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物を低減し、かつ酸素欠損も低減することで、酸化物半導体をi型(真性半導体)にする、あるいはi型に限りなく近づけることができる。ここでは、このような酸化物半導体は高純度化された酸化物半導体と呼ぶことができる。高純度化された酸化物半導体を適用することで、チャネル幅で規格化されたOSトランジスタのオフ電流を数yA/μm以上数zA/μm以下程度に低くすることができる。
トランジスタ53aおよびトランジスタ53bをOSトランジスタとすることで、回路51の保持時間を長くすることができるので、回路51を不揮発性メモリ回路として用いることができる。これにより、リフレッシュ動作などを行わなくても、またはリフレッシュ動作などの頻度が極めて少なくても回路51にデータを長期間保持することができ、消費電力を削減することができる。また、OSトランジスタでは、オフ電流特性の温度依存性が小さい。そのため、高温(例えば、100℃以上)であっても、OSトランジスタの規格化されたオフ電流を100zA以下とすることができる。よって、回路51にOSトランジスタを適用することで、高温環境下であってもデータを消失せずに保持することができる。したがって、高温環境下でも高い信頼性を持つ撮像装置10を得ることができる。
2個のトランジスタと2個の容量素子を有する1個の回路51により、1ビットの相補データを保持できる。つまり、ラッチ回路を有する回路30より1ビットあたりの占有面積が小さい。つまり、単位面積あたりの記憶容量が大きい。
以上、本発明の一態様のラインバッファである回路16は、DRAMや不揮発性メモリなどと比較して書き込み速度および読み出し速度が速いメモリである回路30と、回路30より単位面積あたりの記憶容量が大きい回路51と、を有する。以上より、回路16は、小型かつ高速な書き込み動作および読み出し動作が可能なラインバッファとすることができる。
なお、回路50に用いることができるメモリは、OSトランジスタを用いたメモリに限らない。例えば、OSトランジスタを用いない不揮発性メモリを回路50に用いることができる。
なお、回路16が書き込み動作と読み出し動作を同時に行わない場合、図3に示すように配線61a(WBL)と配線62b(RBLB)を1本の配線とし、配線61b(WBLB)と配線62a(RBL)を1本の配線とすることができる。このような構成とすることにより、撮像装置10が有する配線の数を減らすことができ、撮像装置10の小型化を行うことができる。
なお、例えば配線61a(WBL)と配線62b(RBLB)を1本の配線とし、配線61b(WBLB)と配線62a(RBL)は別々の配線としてもよい。また、例えば配線61b(WBLB)と配線62a(RBL)を1本の配線とし、配線61a(WBL)と配線62b(RBLB)を別々の配線としてもよい。
また、グローバルビット線としての機能を有する配線を、配線61a(WBL)、配線61b(WBLB)、配線62a(RBL)および配線62b(RBLB)の他にさらに設けてもよい。
<デバイス構造>
撮像装置10において、回路50が有するトランジスタ53aおよびトランジスタ53bはOSトランジスタとし、他のトランジスタは、例えば活性層または活性領域をシリコンで形成したトランジスタ(以下、Siトランジスタと呼ぶ)などとすることができる。この場合、図4に示す回路16Aのデバイス構成例のように、回路20、回路30および回路40が形成されている領域上に、回路50を形成することができる。このような積層構造とすることで、撮像装置10の小型化を行うことができる。また、回路16Aの大容量化を行うことができる。
また、回路30が有するトランジスタのチャネル長およびチャネル幅を大きくすることができる。これにより、回路30が有するトランジスタのしきい値電圧のばらつきを低下させることができる。これにより、SNM(Static Noise Margin)が大きくなり、低電圧動作を行うことができる。
なお、図4では回路16Aを、Siトランジスタを有する層(以下、Si層と呼ぶ)と、OSトランジスタを有する層(以下、OS層と呼ぶ)との2層構造としたが、これに限らない。例えば、OS層を2層形成してもよいし、3層以上形成してもよい。積層数を増加させることにより、図4に示す場合よりさらに撮像装置10を小型化し、回路16Aを大容量化することができる。
なお、回路16Bは、回路16Aと同様のデバイス構造とすることができる。また、回路16AのSi層と回路16BのSi層を同じ層に設けることができる。また、回路16AのOS層と回路16BのOS層を同じ層に設けることができる。
<動作例>
次に、回路16Aの書き込み動作および読み出し動作について、図5および図6に示すタイミングチャートを用いて詳細な説明を行う。該タイミングチャートは、配線27(Wsw)、配線28(Rsw)、配線35(VLL)、配線36(VHH)、配線44(PC)、配線55(WL)、配線61a(WBL)、配線61b(WBLB)、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)の電位を示す。なお、回路16Bの書き込み動作および読み出し動作は、回路16Aの書き込み動作および読み出し動作と同様である。
図5は回路16Aの書き込み動作を示すタイミングチャートである。時刻T00において、配線35(VLL)の電位をLレベルとし、配線36(VHH)の電位をHレベルとすることにより、回路30をアクティブとする。これにより、回路16Aが書き込み動作を行えるようになる。
時刻T01において、回路15によりA/D変換された撮像データが配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)に転送される。
時刻T02において、配線27(Wsw)の電位をHレベルとすることにより、トランジスタ21およびトランジスタ24をオンとする。これにより、撮像データが配線61a(WBL)から配線63a(LBL)へ、配線61b(WBLB)から配線63b(LBLB)へそれぞれ転送され、回路30に撮像データが書き込まれる。また、配線55[0](WL[0])の電位をHレベルとすることにより、トランジスタ53a[0]およびトランジスタ53b[0]をオンとする。これにより、回路30に書き込まれた撮像データが、トランジスタ53a[0]を介して容量素子54a[0]に、トランジスタ53b[0]を介して容量素子54b[0]にそれぞれ書き込まれる。
なお、容量素子54b[0]に書き込まれたデータは、容量素子54a[0]に書き込まれた撮像データの論理を反転したデータである。つまり、容量素子54a[0]および容量素子54b[0]により1ビットの相補データを保持することができる。
時刻T03において、配線27(Wsw)の電位をLレベルとすることにより、トランジスタ21およびトランジスタ24をオフとする。これにより、配線61a(WBL)と配線63a(LBL)との電気的な接続が遮断され、配線61b(WBLB)と配線63b(LBLB)との電気的な接続が遮断される。これにより、回路30に書き込まれた撮像データは、配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)から独立することができる。
時刻T04において、配線55[0](WL[0])をLレベルとすることにより、トランジスタ53a[0]およびトランジスタ53b[0]をオフとする。トランジスタ53a[0]およびトランジスタ53b[0]がオンとなっている時刻T02乃至時刻T04において、回路30から容量素子54a[0]および容量素子54b[0]に撮像データが書き込まれ続ける。
時刻T11乃至時刻T14において、容量素子54a[1]および容量素子54b[1]に、新たな撮像データが書き込まれる。時刻T12において配線55[1](WL[1])の電位をHレベルとすることによりトランジスタ53a[1]およびトランジスタ53b[1]をオンとし、時刻T14において配線55[1](WL[1])の電位をLレベルとすることによりトランジスタ53a[1]およびトランジスタ53b[1]をオフとする。その他の動作は、時刻T01乃至時刻T04における動作と同様である。
このように、容量素子54a[0]および容量素子54b[0]から容量素子54a[n−1]および容量素子54b[n−1]まで順に撮像データを書き込む。時刻T21乃至時刻T24では、容量素子54a[n−1]および容量素子54b[n−1]に撮像データが書き込まれる。時刻T22において配線55[n−1](WL[n−1])の電位をHレベルとすることによりトランジスタ53a[n−1]およびトランジスタ53b[n−1]をオンとし、時刻T24において配線55[n−1](WL[n−1])の電位をLレベルとすることによりトランジスタ53a[n−1]およびトランジスタ53b[n−1]をオフとする。その他の動作は、時刻T01乃至時刻T04における動作と同様である。
時刻T30において、配線35(VLL)および配線36(VHH)の電位を”VDD/2”とする。これにより、回路30は非アクティブとなり、書き込み動作が終了する。なお、配線35(VLL)および配線36(VHH)の電位を配線55(WL)の電位に同期して制御することもできる。
図6は回路16Aの読み出し動作を示すタイミングチャートである。図5に示す書き込み動作により容量素子54a[0]乃至容量素子54a[n−1]および容量素子54b[0]乃至容量素子54b[n−1]に保持された撮像データを読み出し、外部へ出力する。
時刻T01において、配線35(VLL)および配線36(VHH)の電位を”VDD/2”とすることにより、回路30を非アクティブとする。さらに、配線45(VPC)の電位を”VDD/2”とし、配線44(PC)の電位をHレベルとしてトランジスタ41、トランジスタ42およびトランジスタ43をオンとすることにより配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)を電位”VDD/2”にプリチャージする。以上により、回路16Aが読み出し動作を行えるようになる。なお、配線45(VPC)の電位は図6に示していない。
時刻T02において、配線44(PC)の電位をLレベルとすることによりトランジスタ41、トランジスタ42およびトランジスタ43をオフとする。また、配線55[0](WL[0])の電位をHレベルとすることによりトランジスタ53a[0]およびトランジスタ53b[0]をオンとする。以上により、容量素子54a[0]に保持された撮像データが配線63a(LBL)に、容量素子54b[0]に保持された撮像データが配線63b(LBLB)にそれぞれ転送され、そして各撮像データは回路30に転送される。つまり、容量素子54a[0]および容量素子54b[0]に保持された1ビットの相補データが、回路30に転送される。
時刻T03において、配線35(VLL)の電位をLレベル、配線36(VHH)の電位をHレベルとすることにより、回路30をアクティブとする。回路30に転送された撮像データは相補データであるので、回路30は差動増幅回路として機能し、撮像データを増幅する。このため、容量素子54a[0]に保持された撮像データと、容量素子54b[0]に保持された撮像データとの電位差が小さくとも信頼性の高い読み出し動作ができる。また、読み出し動作を高速に行うことができる。
時刻T04において、配線28(Rsw)の電位をHレベルとすることによりトランジスタ22およびトランジスタ25をオンとする。これにより、回路30に転送された撮像データに対応する信号の反転信号が配線62a(RBL)および配線62b(RBLB)に出力され、撮像データが外部に読み出される。
なお、時刻T03乃至時刻T05において、回路30により増幅された撮像データは、容量素子54a[0]および容量素子54b[0]に再書き込みされる。これにより、撮像データが回路30から読み出された後も容量素子54a[0]および容量素子54b[0]に撮像データを保持し続けることができる。
時刻T05において、配線28(Rsw)および配線55[0](WL[0])の電位をLレベルとすることによりトランジスタ22、トランジスタ25、トランジスタ53a[0]およびトランジスタ53b[0]をオフとする。また、時刻T06において配線35(VLL)および配線36(VHH)の電位を”VDD/2”とすることにより回路30を非アクティブとする。
時刻T11乃至時刻T16において、容量素子54a[1]および容量素子54b[1]に保持された撮像データが読み出される。時刻T12において配線55[1](WL[1])の電位をHレベルとすることによりトランジスタ53a[1]およびトランジスタ53b[1]をオンとし、時刻T15において配線55[1](WL[1])の電位をLレベルとすることによりトランジスタ53a[1]およびトランジスタ53b[1]をオフとする。その他の動作は、時刻T01乃至時刻T06における動作と同様である。
このように、容量素子54a[0]および容量素子54b[0]から容量素子54a[n−1]および容量素子54b[n−1]まで順に撮像データを読み出す。時刻T21乃至時刻T26では、容量素子54a[n−1]および容量素子54b[n−1]に保持された撮像データが読み出される。時刻T22において配線55[n−1](WL[n−1])の電位をHレベルとすることによりトランジスタ53a[n−1]およびトランジスタ53b[n−1]をオンとし、時刻T25において配線55[n−1](WL[n−1])の電位をLレベルとすることによりトランジスタ53a[n−1]およびトランジスタ53b[n−1]をオフとする。その他の動作は、時刻T01乃至時刻T06における動作と同様である。
図5に示す書き込み動作および図6に示す読み出し動作において、トランジスタ53a[0]乃至トランジスタ53a[n−1]およびトランジスタ53b[0]乃至トランジスタ53b[n−1]がオフの間は、容量素子54a[0]乃至容量素子54a[n−1]および容量素子54b[0]乃至容量素子54b[n−1]に書き込まれた撮像データは電力を消費せずに保持される。したがって、低消費電力の撮像装置10を提供することができる。
<電位生成回路>
図7(A)に、配線36(VHH)に印加する電位、および配線35(VLL)に印加する電位を生成するための回路70の構成例を示す。回路70は、トランジスタ71と、トランジスタ72と、トランジスタ73と、トランジスタ74とを有する。なお、トランジスタ71およびトランジスタ72はp−ch型トランジスタで、トランジスタ73およびトランジスタ74はn−ch型トランジスタである。
トランジスタ71のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ72のソースまたはドレインの一方および配線36(VHH)と電気的に接続されている。また、トランジスタ71のソースまたはドレインの他方は、配線76(H)と電気的に接続されている。また、トランジスタ72のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ73のソースまたはドレインの一方および配線78(VDD/2)と電気的に接続されている。また、トランジスタ73のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ74のソースまたはドレインの一方および配線35(VLL)と電気的に接続されている。また、トランジスタ74のソースまたはドレインの他方は、配線77(L)と電気的に接続されている。
なお、配線76(H)には、例えばHレベル電位を印加することができる。また、配線77(L)には、例えばLレベル電位を印加することができる。また、配線78(VDD/2)には、例えば電位VDD/2を印加することができる。
また、トランジスタ72およびトランジスタ74のゲートは、配線75a(SOa)と電気的に接続されている。また、トランジスタ71およびトランジスタ73のゲートは、配線75b(SOb)と電気的に接続されている。
配線75a(SOa)にHレベル電位が印加されている場合は、配線75b(SOb)にLレベル電位を印加することができる。この場合、配線36(VHH)の電位は配線76(H)の電位(例えばHレベル)となり、配線35(VLL)の電位は配線77(L)の電位(例えばLレベル)となる。つまり、回路30はアクティブとなる。また、配線75a(SOa)にLレベル電位が印加されている場合は、配線75b(SOb)にHレベル電位を印加することができる。この場合、配線36(VHH)および配線35(VLL)の電位は配線78(VDD/2)の電位となる。つまり、回路30は非アクティブとなる。
図6に示す読み出し動作では、回路30と回路50との間の撮像データの転送に連動して、配線36(VHH)および配線35(VLL)に印加する電位を変化させている。選択された配線55(WL)の電位がHレベルとなるタイミングと、Lレベルとなるタイミングとに連動して、配線36(VHH)および配線35(VLL)に印加する電位を変動することが好ましい。これにより、撮像装置10の応答速度を低下させることなく、可能な限り長い期間回路30を非アクティブ状態にすることができる。したがって、低消費電力の撮像装置10を提供することができる。
なお、図5に示す書き込み動作においても、回路30と回路50との間の撮像データの転送に連動して、配線36(VHH)および配線35(VLL)に印加する電位を変化させることができる。これにより、撮像装置10の消費電力をさらに低減することができる。
図7(B)は、回路70の動作例を示すタイミングチャートである。該タイミングチャートは、配線55(WL)、配線75a(SOa)、配線75b(SOb)、配線36(VHH)および配線35(VLL)の電位を示す。ここで、配線55(WL)の電位がHレベルとは、配線55[0](WL[0])乃至配線55[n−1](WL[n−1])のいずれか1本の配線にHレベル電位が印加されたことを示す。また、配線55(WL)の電位がLレベルとは、配線55[0](WL[0])乃至配線55[n−1](WL[n−1])のすべてにLレベル電位が印加されたことを示す。
配線75a(SOa)の電位がHレベルとなるタイミングは、配線55(WL)の電位がHレベルとなるタイミングよりも時間Td1遅延し、配線75a(SOa)の電位がLレベルとなるタイミングは、配線55(WL)の電位がLレベルとなるタイミングよりも時間Td2遅延している。時間Td1は時間Td2と同じでも、異なっていてもよい。
以上のように回路70を動作させることで、回路50が有するn個の回路51のうちいずれか1個が選択状態になった後に、直ちに回路30をアクティブ状態にすることができる。また、回路50が有するn個の回路51をすべて非選択状態にした後に、直ちに回路30を非アクティブ状態にすることができる。
本実施の形態は撮像装置に限らず、他の半導体装置に適用することができる。例えば、記憶装置に本実施の形態を適用することができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、トランジスタのチャネル形成領域、ソースドレイン領域などが、酸化物半導体を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、様々な半導体を有していてもよい。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、または、有機半導体などの少なくとも一つを有していてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、酸化物半導体を有していなくてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した回路20、回路40および回路50の変形例について図面を用いて説明する。
<書き込み・読み出し選択スイッチ>
図8(A)は、図2に示す回路20が有するトランジスタ21乃至トランジスタ26をp−ch型とした構成である。必要に応じて、配線27(Wsw)、配線28(Rsw)および配線29に印加する電位の大小関係を逆にすることなどにより、動作は図5および図6を参照することができる。なお、トランジスタ21乃至トランジスタ26のうち、一部のトランジスタをp−ch型に置き換えてもよい。
図8(B)は、図2に示す回路20からトランジスタ23およびトランジスタ26を除いた構成である。このような構成とすることにより、撮像装置10が有するトランジスタの数を減らすことができるので、撮像装置10を小型化することができる。一方、図2に示す回路20は、図8(B)に示す回路20に比べて、読み出し動作の際、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)の負荷が小さいため、読み出し速度を速くすることができる。
<ローカルプリチャージ回路>
図9(A)は、図2に示す回路40が有するトランジスタ41乃至トランジスタ43をp−ch型とした構成である。必要に応じて、配線44(PC)および配線45(VPC)に印加する電位の大小関係を逆にすることなどにより、動作は図5および図6を参照することができる。なお、トランジスタ41乃至トランジスタ43のうち、一部のトランジスタをp−ch型に置き換えてもよい。
図9(B)は、図2に示す回路40からトランジスタ42およびトランジスタ43を除いた構成である。つまり、回路40をトランジスタ41単体の簡易回路イコライザー構成とすることができる。なお、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)のプリチャージは行わない。
図9(C)は、図2に示す回路40からトランジスタ41を除いた構成である。つまり、イコライザーとして機能するトランジスタ41は省略してもよい。
回路40を図9(B)または図9(C)に示す構成とすることにより、撮像装置10が有するトランジスタの数を減らすことができる。これにより、撮像装置10を小型化することができる。
<長期記憶メモリ>
図2に示す回路50では、回路52aと回路52bにより回路51を構成しているが、図10に示すように回路51を、回路52aおよび回路52bに示す構成の回路を1個だけ有する構成としてもよい。
回路51は、トランジスタ53と、容量素子54とを有する。つまり、回路50がm個(mは2以上の整数)の回路51を有する場合、回路50はトランジスタ53と容量素子54をそれぞれm個ずつ有する。なお、図10ではトランジスタ53はn−ch型トランジスタとしているが、p−ch型トランジスタとしてもよい。
1個のトランジスタ53のソースまたはドレインの一方は、1個の容量素子54の一方の端子と電気的に接続されている。また、m個のトランジスタ53のソースまたはドレインの他方は、ローカルビット線としての機能を有する1本の配線63a(LBL)または配線63b(LBLB)と電気的に接続されている。また、m個の容量素子54の他方の端子は、1本の配線56と電気的に接続されている。
また、1個のトランジスタ53のゲートは、1本の配線55(WL)と電気的に接続されている。つまり、配線55(WL)はm本設けられている。
回路50が有するトランジスタおよび容量素子の数が等しい場合、図10に示す構成の回路50では、図2に示す構成の回路50の2倍の容量の撮像データを保持することができる。これにより、撮像装置10が有するトランジスタの数を減らすことができるので、撮像装置10を小型化することができる。一方、図2に示す構成の回路50は、前述のように相補データを保持することができるので、撮像データの読み出し時に回路30が撮像データを増幅することができる。これにより、回路50が図2に示す構成の場合は、回路50が図10に示す構成の場合より読み出し速度を速くすることができる。
図11(A)、(B)は、図2に示す回路50が有するトランジスタ53aおよびトランジスタ53bにバックゲートを設けた構成である。図11(A)はバックゲートに定電位を印加する構成であり、しきい値電圧を制御することができる。また、図11(B)はフロントゲートと同じ電位がバックゲートに印加される構成であり、オン電流を増加させることができる。
また、回路20、回路30および回路40が有するトランジスタにバックゲートを設けてもよい。また、回路70が有するトランジスタにバックゲートを設けてもよい。
図12は、図2に示す構成の回路16Aにおいて、トランジスタ21、トランジスタ22、トランジスタ24、トランジスタ25、トランジスタ41、トランジスタ42、トランジスタ43、トランジスタ53aおよびトランジスタ53bをスイッチに置き換えた構成である。以上のトランジスタは、スイッチング機能を有していればトランジスタに限らず任意の素子を用いることができる。なお、トランジスタ21、トランジスタ22、トランジスタ24、トランジスタ25、トランジスタ41、トランジスタ42、トランジスタ43、トランジスタ53aおよびトランジスタ53bのうち一部をトランジスタとし、残りをスイッチング機能を有する他の素子としてもよい。また、回路16Bにおいても、以上のトランジスタのすべてまたは一部をスイッチング機能を有する他の素子に置き換えてもよい。
なお、図2、図8乃至図12に示す構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
また、本実施の形態は撮像装置に限らず、他の半導体装置に適用することができる。例えば、記憶装置に本実施の形態を適用することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、図1に示す回路16および回路17の詳細なシステム構成例について、図面を用いて説明する。
なお、実施の形態1と同様に、1個の回路16Aまたは回路16Bが有する回路50は、nビットの撮像データを保持する機能を有するとする。
図13は、図1に示す回路16A、回路16B、回路17Aおよび回路17Bのシステム構成例を示すブロック図である。撮像装置10は回路16A、回路16B、回路17Aおよび回路17Bをそれぞれjバンク分(jは自然数)だけ有する。
なお、jは例えば4、8、16などの値をとることができる。
なお、バンクとは、領域80に示すような回路16A、回路16B、回路17Aおよび回路17Bの組を表す。
1バンクあたり回路17Aと回路17Bは1個ずつ設けられるので、撮像装置10は回路17Aと回路17Bをそれぞれj個ずつ有する。なお、1個の回路17Aは、1バンク分のすべての回路16Aと、n本の配線55(WL)により電気的に接続されている。また、1個の回路17Bは、1バンク分のすべての回路16Bと、n本の配線55(WL)により電気的に接続されている。
また、回路16Aおよび回路16Bは、列ごとに配線61a(WBL)、配線61b(WBLB)、配線62a(RBL)および配線62b(RBLB)により互いに電気的に接続されている。また、j個の回路17Aは、1本の配線81A(Wsw_enA)および1本の配線82A(Rsw_enA)により互いに電気的に接続されている。また、j個の回路17Bは、1本の配線81B(Wsw_enB)および1本の配線82B(Rsw_enB)により互いに電気的に接続されている。
また、1個の回路17Aには、1本の配線83(BS)、1本の配線84(BS+)およびn本の配線85(BW)が電気的に接続されている。また、1個の回路17Bには、1本の配線83(BS)、1本の配線84(BS+)およびn本の配線85(BW)が電気的に接続されている。
なお、jバンク分の回路16A、回路16B、回路17A、回路17B、配線83(BS)および配線84(BS+)を、_0、_1、_j−1などの符号を用いて区別する。また、n本の配線85(BW)を、[0]、[1]、[n−1]などの符号を用いて区別する。
なお、1バンク分の回路16Aと回路17Aはn本の配線55(WL)により電気的に接続されているので、配線55(WL)は合計n×j本設けられている。これらを、_0[0]、_0[n−1]、_j−1[0]、_j−1[n−1]などの符号を用いて区別する。なお、回路16Bと回路17Bを電気的に接続している配線55(WL)も同様の符号を用いて区別する。
配線81A(Wsw_enA)は、回路16Aが有する回路30への撮像データの書き込み動作を制御し、配線81B(Wsw_enB)は、回路16Bが有する回路30への撮像データの書き込み動作を制御する機能を有する。また、配線82A(Rsw_enA)は、回路16Aが有する回路30への撮像データの読み出し動作を制御し、配線82B(Rsw_enB)は、回路16Bが有する回路30への撮像データの読み出し動作を制御する機能を有する。例えば、回路16Aが有する回路30に撮像データを書き込む場合は配線81A(Wsw_enA)の電位をHレベル、配線82A(Rsw_enA)の電位をLレベルとする。また、回路16Aが有する回路30に転送された撮像データの読み出しを行う場合は配線81A(Wsw_enA)の電位をLレベル、配線82A(Rsw_enA)の電位をHレベルとする。
なお、配線81B(Wsw_enB)および配線82B(Rsw_enB)も、配線81A(Wsw_enA)および配線82A(Rsw_enA)と同様の論理で、回路16Bが有する回路30への撮像データの書き込み動作および読み出し動作を制御する機能を有する。
配線83(BS)は、回路16Aまたは回路16Bに含まれる回路20が有するトランジスタのゲート電位を制御する機能を有する。
例えば、配線83_0(BS_0)の電位をHレベルとし、さらに配線81A(Wsw_enA)の電位をHレベルとすることにより、回路16A_0に含まれる配線27(Wsw)の電位がHレベルとなる。これにより、回路16A_0が有するトランジスタ21およびトランジスタ24がオンとなり、回路16A_0は書き込み動作を行えるようになる。また、例えば配線83_0(BS_0)の電位をHレベルとし、さらに配線82A(Rsw_enA)の電位をHレベルとすることにより、回路16A_0に含まれる配線28(Rsw)の電位がHレベルとなる。これにより、回路16A_0が有するトランジスタ22およびトランジスタ25がオンとなり、回路16A_0は読み出し動作を行えるようになる。
また、配線84(BS+)および配線85(BW)は、配線55(WL)を選択する機能を有する。配線84(BS+)はバンクを選択し、配線85(BW)は、配線84(BS+)によって選択されたバンク内の配線55(WL)のうちの1本を選択する。
例えば、配線84_0(BS+_0)および配線85[0](BW[0])の電位をHレベルとすることにより、配線55_0[0](WL_0[0])の電位がHレベルとなる。また、例えば配線84_j−1(BS+_j−1)および配線85[n−1](BW[n−1])の電位をHレベルとすることにより、配線55_j−1[n−1](WL_j−1[n−1])の電位がHレベルとなる。
なお、配線81A(Wsw_enA)、配線81B(Wsw_enB)、配線82A(Rsw_enA)、配線82B(Rsw_enB)、配線83(BS)、配線84(BS+)および配線85(BW)の論理は、必要に応じて、または適宜逆とすることができる。
<動作例>
次に、図13に示すシステムの動作について、図14および図15に示すタイミングチャートを用いて詳細な説明を行う。
一般的に、回路51のような構成の回路は書き込み速度および読み出し速度が遅く、回路30のようなラッチ回路は書き込み速度および読み出し速度が速い。このため、回路16Aが有する回路51への撮像データの書き込みが終了後に、次のバンクの回路16Aが有する回路30および回路51への撮像データの書き込みを始めると回路51の書き込み速度が律速となる。また、回路16Aが有する回路30からの撮像データの読み出しが終了後に、次のバンクの回路16Aが有する回路51からの撮像データの読み出しを始めると回路51の読み出し速度が律速となる。以上により、回路16Aが有する回路51への撮像データの書き込みと、次のバンクの回路16Aが有する回路30および回路51への撮像データの書き込みを並行して行うことにより、図13に示すシステム全体としての書き込み速度を高めることができる。また、回路16Aが有する回路51からの撮像データの読み出しを、前のバンクの回路16Aが有する回路30からの撮像データの読み出しと並行して行うことにより、図13に示すシステム全体としての読み出し速度を高めることができる。
図14および図15に示すタイミングチャートについて、配線81A(Wsw_enA)、配線82A(Rsw_enA)、配線83_0(BS_0)、配線84_0(BS+_0)、配線83_1(BS_1)、配線84_1(BS+_1)、配線83_j−1(BS_j−1)、配線84_j−1(BS+_j−1)、配線85[0](BW[0])、配線85[n−1](BW[n−1])、配線55_0[0](WL_0[0])および配線55_j−1[n−1](WL_j−1[n−1])の電位を示す。
なお、回路20、回路30、回路40および回路50は、1個の回路16Aにそれぞれ1個ずつ設けられ、また1個の回路16Bにもそれぞれ1個ずつ設けられている。また、配線35(VLL)、配線36(VHH)および配線44(PC)は1バンク分の回路16Aにそれぞれ1本ずつ設けられ、また1バンク分の回路16Bにもそれぞれ1本ずつ設けられている。さらに、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)は1個の回路16Aにそれぞれ1本ずつ設けられ、また1個の回路16Bにもそれぞれ1本ずつ設けられている。以上より、回路16Aおよび回路16Bがjバンク分だけ設けられる場合、回路20、回路30、回路40、回路50、配線35(VLL)、配線36(VHH)、配線44(PC)、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)もそれぞれjバンク分だけ設けられる。jバンク分の回路20、回路30、回路40、回路50、配線35(VLL)、配線36(VHH)、配線44(PC)、配線63a(LBL)および配線63b(LBLB)を、回路16Aおよび回路16Bと同様に_0、_1、_j−1などの符号を用いて区別する。
図14は、図13に示す回路16Aが書き込み動作を行う場合の、回路17Aと電気的に接続された配線の電位を示すタイミングチャートである。T01乃至T06では、回路51_0[0]、回路51_1[0]および回路51_2[0]に撮像データを書き込む。
なお、配線55(WL)と回路51は同数設けられる。つまり、配線55(WL)がn×j本設けられる場合、回路51もn×j個設けられる。n×j個の回路51を、配線55(WL)と同様に_0[0]、_0[n−1]、_j−1[0]、_j−1[n−1]などの符号を用いて区別する。
時刻T01において、配線84_0(BS+_0)および配線85[0](BW[0])の電位をHレベルとする。これにより、配線55_0[0](WL_0[0])の電位がHレベルとなる。また、図14には示していないが、配線35_0(VLL_0)の電位をLレベル、配線36_0(VHH_0)の電位をHレベルとすることにより、回路30_0をアクティブとする。
また、時刻T01において配線83_0(BS_0)の電位をHレベルとし、時刻T02において配線81A(Wsw_enA)の電位をHレベルとする。これにより、回路20_0が有するトランジスタ21およびトランジスタ24がオンとなって配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)から回路30_0に撮像データが書き込まれ、そして該撮像データの回路51_0[0]への書き込みが開始される。
時刻T03において、配線81A(Wsw_enA)および配線83_0(BS_0)の電位をLレベルとする。配線81A(Wsw_enA)および配線83_0(BS_0)の電位が両方ともHレベルである場合のみ回路20_0が有するトランジスタ21およびトランジスタ24がオンとなるので、回路20_0が有するトランジスタ21およびトランジスタ24はオフとなる。これにより、配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)から回路30_0への撮像データの書き込みが終了する。
なお、時刻T03において、配線84_0(BS+_0)および配線85[0](BW[0])の電位はHレベルのままである。このため、時刻T02乃至時刻T03において回路30_0に書き込まれた撮像データは、引き続き回路51_0[0]に書きこまれる。
また、時刻T03において、配線84_1(BS+_1)の電位をHレベルとする。該動作と、配線85[0](BW[0])の電位がHレベルとなっていることにより、配線55_1[0](WL_1[0])の電位がHレベルとなる。なお、配線55_1[0](WL_1[0])の電位は図14に示していない。
また、図14には示していないが、時刻T03において、配線35_1(VLL_1)の電位をLレベル、配線36_1(VHH_1)の電位をHレベルとすることにより、回路30_1をアクティブとする。
また、時刻T03において配線83_1(BS_1)の電位をHレベルとし、時刻T04において配線81A(Wsw_enA)の電位をHレベルとする。これにより、回路20_1が有するトランジスタ21およびトランジスタ24がオンとなって配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)から回路30_1に撮像データが書き込まれ、そして該撮像データの回路51_1[0]への書き込みが開始される。
時刻T05において、配線81A(Wsw_enA)および配線83_1(BS_1)の電位をLレベルとする。配線81A(Wsw_enA)および配線83_1(BS_1)の電位が両方ともHレベルである場合のみ回路20_1が有するトランジスタ21およびトランジスタ24がオンとなるので、回路20_1が有するトランジスタ21およびトランジスタ24はオフとなる。これにより、配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)から回路30_1への撮像データの書き込みが終了する。
また、時刻T05において、配線84_0(BS+_0)の電位をLレベルとする。これにより、配線55_0[0](WL_0[0])の電位がLレベルとなり、回路51_0[0]への撮像データの書き込みが終了する。また、配線55_0[0](WL_0[0])の電位をLレベルとした後に、配線35_0(VLL_0)および配線36_0(VHH_0)の電位を”VDD/2”とすることにより、回路30_0が非アクティブとなるので、消費電力を低減することができる。
なお、時刻T05において、配線84_1(BS+_1)および配線85[0](BW[0])の電位はHレベルのままである。このため、時刻T04乃至時刻T05において回路30_1に書き込まれた撮像データは、引き続き回路51_1[0]に書きこまれる。
また、時刻T05において、配線84_2(BS+_2)の電位をHレベルとする。該動作と、配線85[0](BW[0])の電位がHレベルとなっていることにより、配線55_2[0](WL_2[0])の電位がHレベルとなる。なお、配線84_2(BS+_2)および配線55_2[0](WL_2[0])の電位は図14に示していない。
また、図14には示していないが、時刻T05において、配線35_2(VLL_2)の電位をLレベル、配線36_2(VHH_2)の電位をHレベルとすることにより、回路30_2をアクティブとする。
また、時刻T05において配線83_2(BS_2)の電位をHレベルとし、時刻T06において配線81A(Wsw_enA)の電位をHレベルとする。これにより、回路20_2がアクティブとなって配線61a(WBL)および配線61b(WBLB)から回路30_2に撮像データが書き込まれ、そして該撮像データの回路51_2[0]への書き込みが開始される。
時刻T11乃至時刻T16では、回路51_j−2[0]、回路51_j−1[0]および回路51_0[1]に撮像データを書き込む。また、時刻T21乃至時刻T25では、回路51_j−2[n−1]および回路51_j−1[n−1]に撮像データを書き込む。以上に示すように、図14に示す動作では、回路51_0[0]乃至回路51_j−1[0]への撮像データの書き込みを行い、次に回路51_0[1]乃至回路51_j−1[1]への撮像データの書き込みを行い、順に回路51_0[n−1]乃至回路51_j−1[n−1]まで撮像データの書き込みを行う。以上が図13に示す回路16Aにおける書き込み動作である。
なお、図14では、回路30への撮像データの書き込みが終了した後も、回路30から回路51への撮像データの書き込みは行われる。さらに、この際他のバンクの回路16Aが有する回路30および回路51への撮像データの書き込みも並行して行われる。例えば、時刻T04乃至時刻T05において、回路30_0への撮像データの書き込みは行われないが、回路30_0から回路51_0[0]への撮像データの書き込みは行われ、並行して回路30_1および回路51_1への撮像データの書き込みも行われる。つまり、複数のバンクの回路16Aが並行して書き込み動作を行う。
一般的に、回路51のような構成の回路は書き込み速度が遅く、回路30のようなラッチ回路は書き込み速度が速い。このため、回路16Aが有する回路51への撮像データの書き込みが終了後に、次のバンクの回路16Aが有する回路30および回路51への撮像データの書き込みを始めると回路51の書き込み速度が律速となる。このため、図14に示すように、回路16Aが有する回路51への撮像データの書き込みと、次のバンクの回路16Aが有する回路30および回路51への撮像データの書き込みを並行して行うことにより、図13に示すシステム全体としての書き込み速度を高めることができる。
なお、図14では、回路16Aが有する回路51への撮像データの書き込みは、次のバンクの回路16Aが有する回路30への撮像データの書き込みが終了するまでとしたが、同じバンクの回路16Aが有する回路30への、次の撮像データの書き込みが行われるまでを限度に任意の時間だけ回路51への撮像データの書き込みを行うことができる。例えば、回路51_0[0]への撮像データの書き込みは、例えば回路30_2への撮像データの書き込みが終了するまで続けてもよいし、回路30_j−1への撮像データの書き込みが終了するまで続けてもよい。また、例えば回路51_1[1]への撮像データの書き込みは、例えば回路30_3への撮像データの書き込みが終了するまで続けてもよいし、回路30_0への撮像データの書き込みが終了するまで続けてもよい。
なお、例えば回路30_0への撮像データの書き込みが終了後、回路30_1への撮像データの書き込みが開始される前に回路51_0[0]への撮像データの書き込みを終了してもよい。例えば、回路30_0への撮像データの書き込みの終了と同時に、回路51_0[0]への撮像データの書き込みを終了してもよい。
図15は、図13に示す回路16Aが読み出し動作を行う場合の、回路17Aと電気的に接続された配線の電位を示すタイミングチャートである。T01乃至T06では、回路51_0[0]および回路51_1[0]に保持された撮像データを外部に読み出す。
時刻T01において、配線84_0(BS+_0)および配線85[0](BW[0])の電位をHレベルとする。これにより、配線55_0[0](WL_0[0])の電位がHレベルとなる。
なお、時刻T01において配線84_0(BS+_0)の電位をHレベルとする前に、図15には示していないが、配線44_0(PC_0)の電位をHレベルとしてその後配線44_0(PC_0)の電位をLレベルとすることにより、配線63a_0(LBL_0)および配線63b_0(LBLB_0)をプリチャージすることができる。これにより、回路51_0[0]に保持された撮像データを正しく回路30_0に転送できるようになる。
また、時刻T01において配線55_0[0](WL_0[0])の電位がHレベルとなった後に、図15には示していないが、配線35_0(VLL_0)の電位をLレベル、配線36_0(VHH_0)の電位をHレベルとする。これにより、回路30_0がアクティブとなり、回路51_0[0]に保持された撮像データが回路30_0に転送される。そして、回路30_0に転送された撮像データは増幅される。また、配線55_0[0](WL_0[0])の電位がHレベルであるので、増幅された撮像データは回路51_0[0]に再書き込みされる。
時刻T02において、配線83_0(BS_0)の電位をHレベルとする。また、時刻T03において、配線82A(Rsw_enA)の電位をHレベルとする。これにより、回路20_0が有するトランジスタ22およびトランジスタ25がオンとなり、回路51_0[0]から回路30_0に転送された撮像データが回路20_0を介して読み出される。
また、時刻T03において、配線84_1(BS+_1)の電位をHレベルとする。該動作と、配線85[0](BW[0])の電位がHレベルとなっていることにより、配線55_1[0](WL_1[0])の電位がHレベルとなる。なお、配線55_1[0](WL_1[0])の電位は図15には示していない。
なお、時刻T03において配線84_1(BS+_1)の電位をHレベルとする前に、図15には示していないが、配線44_1(PC_1)の電位をHレベルとしてその後配線44_1(PC_1)の電位をLレベルとすることにより、配線63a_1(LBL_1)および配線63b_1(LBLB_1)をプリチャージすることができる。これにより、回路51_1[0]に保持された撮像データを正しく回路30_1に転送できるようになる。
また、時刻T03において配線55_1[0](WL_1[0])の電位がHレベルとなった後に、図15には示していないが、配線35_1(VLL_1)の電位をLレベル、配線36_1(VHH_1)の電位をHレベルとする。これにより、回路30_1がアクティブとなり、回路51_1[0]に保持された撮像データが回路30_1に転送される。そして、回路30_1に転送された撮像データは増幅される。また、配線55_1[0](WL_1[0])の電位がHレベルであるので、増幅された撮像データは回路51_1[0]に再書き込みされる。
時刻T04において、配線82A(Rsw_enA)および配線83_0(BS_0)の電位をLレベルとする。回路20_0は、配線82A(Rsw_enA)および配線83_0(BS_0)の電位が両方ともHレベルである場合のみアクティブとなるので、回路20_0が有するトランジスタ22およびトランジスタ25はオフとなる。これにより、回路30_0からの撮像データの読み出しが終了する。
また、時刻T04において、配線84_0(BS+_0)の電位をLレベルとすることにより、配線55_0[0](WL_0[0])の電位がLレベルとなる。これにより、回路30_0から回路51_0[0]への再書き込みが終了する。
なお、時刻T04において配線55_0[0](WL_0[0])の電位がLレベルとなった後に、配線35_0(VLL_0)の電位および配線36_0(VHH_0)の電位をそれぞれ”VDD/2”とする。これにより、回路30_0が非アクティブとなるので、消費電力を低減することができる。
また、時刻T04において配線83_1(BS_1)の電位をHレベルとし、時刻T05において配線82A(Rsw_enA)の電位をHレベルとする。これにより、回路20_1が有するトランジスタ22およびトランジスタ25はオンとなり、回路51_1[0]から回路30_1に転送された撮像データが回路20_1を介して読み出される。
また、時刻T05において、配線84_2(BS+_2)の電位をHレベルとする。該動作と、配線85[0](BW[0])の電位がHレベルとなっていることにより、配線55_2[0](WL_2[0])の電位がHレベルとなる。なお、配線84_2(BS+_2)および配線55_2[0](WL_2[0])の電位は図15には示していない。
なお、時刻T05において配線84_2(BS+_2)の電位をHレベルとする前に、図15には示していないが、配線44_2(PC_2)の電位をHレベルとしてその後配線44_2(PC_2)の電位をLレベルとすることにより、配線63a_2(LBL_2)および配線63b_2(LBLB_2)をプリチャージすることができる。これにより、回路51_2[0]に保持された撮像データを正しく回路30_2に転送できるようになる。
また、時刻T05において配線55_2[0](WL_2[0])の電位がHレベルとなった後に、図15には示していないが、配線35_2(VLL_2)の電位をLレベル、配線36_2(VHH_2)の電位をHレベルとする。これにより、回路30_2がアクティブとなり、回路51_2[0]に保持された撮像データが回路30_2に転送される。そして、回路30_2に転送された撮像データは増幅される。また、配線55_2[0](WL_2[0])の電位がHレベルであるので、増幅された撮像データは回路51_2[0]に再書き込みされる。
時刻T06において、配線82A(Rsw_enA)および配線83_1(BS_1)の電位をLレベルとする。回路20_1は、配線82A(Rsw_enA)および配線83_1(BS_1)の電位が両方ともHレベルである場合のみアクティブとなるので、回路20_1が有するトランジスタ22およびトランジスタ25はオフとなる。これにより、回路30_1からの撮像データの読み出しが終了する。
また、時刻T06において、配線84_1(BS+_1)の電位をLレベルとすることにより、配線55_1[0](WL_1[0])の電位がLレベルとなる。これにより、回路30_1から回路51_1[0]への再書き込みが終了する。
なお、時刻T06において配線55_1[0](WL_1[0])の電位がLレベルとなった後に、配線35_1(VLL_1)の電位および配線36_1(VHH_1)の電位をそれぞれ”VDD/2”とする。これにより、回路30_1が非アクティブとなるので、消費電力を低減することができる。
時刻T11乃至時刻T16では、回路51_j−2[0]、回路51_j−1[0]および回路51_0[1]に保持された撮像データを外部に読み出す。また、時刻T21乃至時刻T24では、回路51_j−2[n−1]および回路51_j−1[n−1]に保持された撮像データを外部に読み出す。
以上に示すように、図15に示す動作では、回路51_0[0]乃至回路51_j−1[0]から撮像データを読み出し、次に回路51_0[1]乃至回路51_j−1[1]から撮像データを読み出し、順に回路51_0[n−1]乃至回路51_j−1[n−1]まで撮像データの読み出しを行う。以上が図13に示す回路16Aにおける読み出し動作である。
なお、図15では、回路16Aが有する回路30が撮像データの読み出しを行っている最中に、他のバンクの回路16Aが有する回路51が撮像データの読み出しを行う。例えば、時刻T03乃至時刻T04において、回路51_0[0]から回路30_0に転送された撮像データの読み出しと、回路51_1[0]に保持された撮像データの回路30_1への転送が並行して行われる。つまり、複数バンクの回路16Aが並行して読み出し動作を行っている。
一般的に、回路51のような構成の回路は読み出し速度が遅く、回路30のようなラッチ回路は読み出し速度が速い。このため、回路16Aが有する回路30からの撮像データの読み出しが終了後に、次のバンクの回路16Aが有する回路51からの撮像データの読み出しを始めると回路51の読み出し速度が律速となる。このため、図15に示すように、回路16Aが有する回路51からの撮像データの読み出しを、前のバンクの回路16Aが有する回路30からの撮像データの読み出しと並行して行うことにより、図13に示すシステム全体としての読み出し速度を高めることができる。
なお、図15では、回路16Aが有する回路51からの撮像データの読み出しは、前のバンクの回路16Aが有する回路30からの撮像データの読み出しを開始してから行ったが、同じバンクの回路16Aが有する回路30が、前の撮像データの読み出しを行った後であれば任意の時間に回路51から撮像データを読み出すことができる。例えば、回路51_j−1[0]からの撮像データの読み出しは、例えば回路30_j−3からの撮像データの読み出しと同時に開始してもよいし、回路30_0からの撮像データの読み出しと同時に開始してもよい。また、例えば回路51_1[1]からの撮像データの読み出しは、例えば回路30_j−1からの撮像データの読み出しと同時に開始してもよいし、回路30_2からの撮像データの読み出しと同時に開始してもよい。
また、例えば回路51_1[0]からの撮像データの読み出しを、回路30_0からの撮像データの読み出し後に開始してもよい。例えば、回路51_1[0]からの撮像データの読み出しと、回路30_1からの撮像データの読み出しを同時に開始してもよい。
図14に示す書き込み動作および図15に示す読み出し動作について、配線55_k[0](WL_k[0])乃至配線55_k[n−1](WL_k[n−1])のすべての電位がLレベルとなっている期間は、配線35_k(VLL_k)および配線36_k(VHH_k)の電位を”VDD/2”とすることができる(kは0以上j−1以下の整数)。これにより、書き込み動作および読み出し動作を行っていない回路30_kを非アクティブとすることができるため、消費電力を低減することができる。
なお、回路16Bの書き込み動作および読み出し動作は、配線81B(Wsw_enB)の電位が配線81A(Wsw_enA)の電位と同様の手順で変動し、配線82B(Rsw_enB)の電位が配線82A(Rsw_enA)の電位と同様の手順で変動する。また、回路17Bと電気的に接続された配線83(BS)、配線84(BS+)、配線85(BW)および配線55(WL)の電位が図14および図15に示すように変動する。これ以外は、図14に示す回路16Aの書き込み動作および図15に示す回路16A読み出し動作と同様である。
また、本実施の形態は撮像装置に限らず、他の半導体装置に適用することができる。例えば、記憶装置に本実施の形態を適用することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体を有するトランジスタについて図面を用いて説明する。なお、本実施の形態における図面では、明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。
図16(A)は本発明の一態様のトランジスタ401の上面図である。また、図16(A)に示す一点鎖線B1−B2方向の断面が図16(B)に相当する。また、図16(A)に示す一点鎖線B3−B4方向の断面が図18(A)に相当する。なお、一点鎖線B1−B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3−B4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ401は、基板415と、絶縁膜420と、酸化物半導体膜430と、導電膜440と、導電膜450と、絶縁膜460と、導電膜470と、絶縁膜475と、絶縁膜480と、を有する。
絶縁膜420は基板415と接し、酸化物半導体膜430は絶縁膜420と接し、導電膜440および導電膜450は絶縁膜420および酸化物半導体膜430と接し、絶縁膜460は絶縁膜420、酸化物半導体膜430、導電膜440および導電膜450と接し、導電膜470は絶縁膜460と接し、絶縁膜475は絶縁膜420、導電膜440、導電膜450および導電膜470と接し、絶縁膜480は絶縁膜475と接する。
ここで、酸化物半導体膜430における、導電膜440と接する領域を領域531、導電膜450と接する領域を領域532、絶縁膜460と接する領域を領域533とする。
また、導電膜440および導電膜450は酸化物半導体膜430と電気的に接続されている。
導電膜440はソース電極、導電膜450はドレイン電極、絶縁膜460はゲート絶縁膜、導電膜470はゲート電極としての機能を有する。
また、図16(B)に示す領域531はソース領域、領域532はドレイン領域、領域533はチャネル形成領域としての機能を有する。
また、導電膜440および導電膜450は単層で形成される例を図示しているが、二層以上の積層であってもよい。さらに、導電膜470は、導電膜471および導電膜472の二層で形成される例を図示しているが、一層または三層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
なお、必要に応じて絶縁膜480に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図16(C)、(D)に示す構成であってもよい。図16(C)はトランジスタ402の上面図である。また、図16(C)に示す一点鎖線C1−C2方向の断面が図16(D)に相当する。また、図16(C)に示す一点鎖線C3−C4方向の断面は、図18(B)に相当する。なお、一点鎖線C1−C2方向をチャネル長方向、一点鎖線C3−C4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ402は、絶縁膜460の端部と導電膜470の端部を一致させない点が、トランジスタ401と異なる。トランジスタ402の構造は、導電膜440および導電膜450が絶縁膜460で広く覆われているため、導電膜440および導電膜450と、導電膜470の間の電気抵抗が高く、ゲートリーク電流の少ない特徴を有している。
トランジスタ401およびトランジスタ402は、導電膜470と導電膜440および導電膜450が重なる領域を有するトップゲート構造である。当該領域のチャネル長方向の幅は、寄生容量を小さくするために3nm以上300nm未満とすることが好ましい。当該構成では、酸化物半導体膜430にオフセット領域が形成されないため、オン電流の高いトランジスタを形成しやすい。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図16(E)、(F)に示す構成であってもよい。図16(E)はトランジスタ403の上面図である。また、図16(E)に示す一点鎖線D1−D2方向の断面が図16(F)に相当する。また、図16(E)に示す一点鎖線D3−D4方向の断面は、図18(A)に相当する。なお、一点鎖線D1−D2方向をチャネル長方向、一点鎖線D3−D4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ403の絶縁膜420は基板415と接し、酸化物半導体膜430は絶縁膜420と接し、絶縁膜460は絶縁膜420および酸化物半導体膜430と接し、導電膜470は絶縁膜460と接し、絶縁膜475は絶縁膜420、酸化物半導体膜430および導電膜470と接し、絶縁膜480は絶縁膜475と接し、導電膜440および導電膜450は酸化物半導体膜430および絶縁膜480と接する。
絶縁膜475および絶縁膜480に開口部が設けられ、当該開口部を通じて導電膜440および導電膜450が酸化物半導体膜430と電気的に接続されている。
なお、必要に応じて導電膜440、導電膜450および絶縁膜480に接する絶縁膜(平坦化膜)などを有していてもよい。
また、酸化物半導体膜430において、絶縁膜475と接し、領域531と領域533に挟まれた領域を領域534とする。また、絶縁膜475と接し、領域532と領域533に挟まれた領域を領域535とする。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図17(A)、(B)に示す構成であってもよい。図17(A)はトランジスタ404の上面図である。また、図17(A)に示す一点鎖線E1−E2方向の断面が図17(B)に相当する。また、図17(A)に示す一点鎖線E3−E4方向の断面は、図18(A)に相当する。なお、一点鎖線E1−E2方向をチャネル長方向、一点鎖線E3−E4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ404の絶縁膜420は基板415と接し、酸化物半導体膜430は絶縁膜420と接し、導電膜440および導電膜450は絶縁膜420および酸化物半導体膜430と接し、絶縁膜460は絶縁膜420および酸化物半導体膜430と接し、導電膜470は絶縁膜460と接し、絶縁膜475は絶縁膜420、酸化物半導体膜430、導電膜440、導電膜450および導電膜470と接し、絶縁膜480は絶縁膜475と接する。
トランジスタ404は、導電膜440および導電膜450が酸化物半導体膜430の端部を覆うように接している点が、トランジスタ403と異なる。
トランジスタ403およびトランジスタ404は導電膜470と、導電膜440および導電膜450が重なる領域を有さないセルフアライン構造である。セルフアライン構造のトランジスタはゲートと、ソースおよびドレインと、の寄生容量が極めて小さいため、高速動作用途に適している。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図17(C)、(D)に示す構成であってもよい。図17(C)はトランジスタ405の上面図である。また、図17(C)に示す一点鎖線F1−F2方向の断面が図17(D)に相当する。また、図17(C)に示す一点鎖線F3−F4方向の断面は、図18(A)に相当する。なお、一点鎖線F1−F2方向をチャネル長方向、一点鎖線F3−F4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ405は、導電膜440が導電膜441と導電膜442の2層で形成され、導電膜450が導電膜451と導電膜452の2層で形成されている。また、絶縁膜420は基板415と接し、酸化物半導体膜430は絶縁膜420と接し、導電膜441および導電膜451は酸化物半導体膜430と接し、絶縁膜460は絶縁膜420、酸化物半導体膜430、導電膜441および導電膜451と接し、導電膜470は絶縁膜460と接し、絶縁膜475は絶縁膜420、導電膜441、導電膜451および導電膜470と接し、絶縁膜480は絶縁膜475と接し、導電膜442は導電膜441および絶縁膜480と接し、導電膜452は導電膜451および絶縁膜480と接する。
ここで、導電膜441および導電膜451は、酸化物半導体膜430の上面と接し、側面には接しない構成となっている。
なお、必要に応じて導電膜442、導電膜452および絶縁膜480に接する絶縁膜などを有していてもよい。
また、導電膜441および導電膜451が酸化物半導体膜430と電気的に接続されている。そして、導電膜442が導電膜441と、導電膜452が導電膜451とそれぞれ電気的に接続されている。
酸化物半導体膜430において、導電膜441と重なる領域がソース領域としての機能を有する領域531となり、導電膜451と重なる領域ドレイン領域としての機能を有する領域532となる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図17(E)、(F)に示す構成であってもよい。図17(E)はトランジスタ406の上面図である。また、図17(E)に示す一点鎖線G1−G2方向の断面が図17(F)に相当する。また、図17(E)に示す一点鎖線G3−G4方向の断面は、図18(A)に相当する。なお、一点鎖線G1−G2方向をチャネル長方向、一点鎖線G3−G4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ406は、導電膜440が導電膜441および導電膜442の2層で形成され、導電膜450が導電膜451および導電膜452の2層で形成されている点が、トランジスタ403と異なる。
トランジスタ405およびトランジスタ406の構成では、導電膜440および導電膜450が絶縁膜420と接しない構成であるため、絶縁膜420中の酸素が導電膜440および導電膜450に奪われにくくなり、絶縁膜420から酸化物半導体膜430中への酸素の供給を容易とすることができる。
なお、トランジスタ403、トランジスタ404およびトランジスタ406における領域534および領域535には、酸素欠損を形成し導電率を高めるための不純物を添加してもよい。酸化物半導体膜に酸素欠損を形成する不純物としては、例えば、リン、砒素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、シリコン、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、インジウム、フッ素、塩素、チタン、亜鉛、および炭素のいずれかから選択される一つ以上を用いることができる。当該不純物の添加方法としては、プラズマ処理法、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
不純物元素として、上記元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金属元素および酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損と酸化物半導体膜中に残存または後から添加される水素の相互作用により、酸化物半導体膜の導電率を高くすることができる。
なお、不純物元素の添加により酸素欠損が形成された酸化物半導体に水素を添加すると、酸素欠損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。その結果、酸化物導電体を形成することができる。ここでは、導電体化された酸化物半導体を酸化物導電体という。なお、酸化物導電体は酸化物半導体と同様に透光性を有する。
酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致していると推定される。このため、酸化物導電体膜とソースおよびドレインとしての機能を有する導電膜との接触はオーミック接触であり、酸化物導電体膜と、ソースおよびドレインとしての機能を有する導電膜と、の接触抵抗を低減することができる。
また、図16乃至図18におけるトランジスタ401乃至トランジスタ406では、酸化物半導体膜430が単層である例を図示したが、酸化物半導体膜430は積層であってもよい。図19(A)は酸化物半導体膜430の上面図であり、図19(B)、(C)は、酸化物半導体膜430aおよび酸化物半導体膜430bの二層構造を有する酸化物半導体膜430の断面図である。また、図19(D)、(E)は、酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430bおよび酸化物半導体膜430cの三層構造を有する酸化物半導体膜430の断面図である。
なお、酸化物半導体膜430aおよび酸化物半導体膜430cは、チャネル領域を形成しないため絶縁膜と呼ぶこともできる。
酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430b、酸化物半導体膜430cには、それぞれ組成の異なる酸化物半導体膜などを用いることができる。
トランジスタ401乃至トランジスタ406の酸化物半導体膜430は、図19(B)、(C)または図19(D)、(E)に示す酸化物半導体膜430と入れ替えることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図20乃至図22に示す構成であってもよい。図20(A)、(C)、(E)および図21(A)、(C)、(E)はトランジスタ407乃至トランジスタ412の上面図である。また、図20(A)、(C)、(E)および図21(A)、(C)、(E)に示す一点鎖線H1−H2方向乃至M1−M2方向の断面が図20(B)、(D)、(F)および図21(B)、(D)、(F)に相当する。また、図20(A)、(E)および図21(A)、(C)、(E)に示す一点鎖線H3−H4およびJ3−J4乃至M3−M4方向の断面が図22(A)に相当する。さらに、図20(C)に示す一点鎖線I3−I4方向の断面が図22(B)に相当する。なお、一点鎖線H1−H2方向乃至M1−M2方向をチャネル長方向、一点鎖線H3−H4方向乃至M3−M4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ407およびトランジスタ408は、領域531および領域532において酸化物半導体膜430が二層(酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430b)である点、領域533において酸化物半導体膜430が三層(酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430b、酸化物半導体膜430c)である点、および導電膜440および導電膜450と、絶縁膜460と、の間に酸化物半導体膜の一部(酸化物半導体膜430c)が介在している点を除き、トランジスタ401およびトランジスタ402と同様の構成を有する。
トランジスタ409、トランジスタ410およびトランジスタ412は、領域531、領域532、領域534および領域535において酸化物半導体膜430が二層(酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430b)である点、領域533において酸化物半導体膜430が三層(酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430b、酸化物半導体膜430c)である点を除き、トランジスタ403、トランジスタ404およびトランジスタ406と同様の構成を有する。
トランジスタ411は、領域531および領域532において酸化物半導体膜430が二層(酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430b)である点、領域533において酸化物半導体膜430が三層(酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430b、酸化物半導体膜430c)である点、ならびに導電膜441および導電膜451と、絶縁膜460と、の間に酸化物半導体膜の一部(酸化物半導体膜430c)が介在している点を除き、トランジスタ405と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図23(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および図24(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すトランジスタ401乃至トランジスタ412のチャネル長方向の断面図、ならびに図18(C)に示すトランジスタ401乃至トランジスタ406のチャネル幅方向の断面図および図22(C)に示すトランジスタ407乃至トランジスタ412のチャネル幅方向の断面図のように、酸化物半導体膜430と基板415との間に導電膜473を備えていてもよい。導電膜473を第2のゲート(バックゲートともいう)として用いることで、酸化物半導体膜430のチャネル形成領域は、導電膜470と導電膜473により電気的に取り囲まれる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。これにより、オン電流を増加させることができる。また、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図23(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および図24(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電膜473の幅を酸化物半導体膜430よりも短くしてもよい。さらに、導電膜473の幅を導電膜470の幅よりも短くしてもよい。
オン電流を増加させるには、例えば、導電膜470と導電膜473を同電位とし、ダブルゲートトランジスタとして駆動させればよい。また、しきい値電圧の制御を行うには、導電膜470とは異なる定電位を導電膜473に供給すればよい。導電膜470と導電膜473を同電位とするには、例えば、図18(D)および図22(D)に示すように、導電膜470と導電膜473とをコンタクトホールを介して電気的に接続すればよい。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図25(A)、(B)、(C)に示す構成とすることもできる。図25(A)は上面図である。また、図25(B)は、図25(A)に示す一点鎖線N1−N2に対応する断面図である。また、図25(C)は、図25(A)に示す一点鎖線N3−N4に対応する断面図である。なお、図25(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
トランジスタ413の絶縁膜420は基板415と接し、酸化物半導体膜430(酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430bおよび酸化物半導体膜430c)は絶縁膜420と接し、導電膜440および導電膜450は酸化物半導体膜430bと接し、絶縁膜460は酸化物半導体膜430cと接し、導電膜470は絶縁膜460と接し、絶縁膜480は絶縁膜420、導電膜440および導電膜450と接する。なお、酸化物半導体膜430c、絶縁膜460および導電膜470は、絶縁膜480に設けられ、酸化物半導体膜430bに達する開口部に設けられている。
トランジスタ413の構成は、前述したその他のトランジスタの構成と比較して、導電膜440または導電膜450と、導電膜470と、が重なる領域が少ないため、寄生容量を小さくすることができる。したがって、トランジスタ413は、高速動作を必要とする回路の要素として適している。なお、トランジスタ413の上面は、図25(B)、(C)に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて平坦化することが好ましいが、平坦化しない構成とすることもできる。
また、本発明の一態様のトランジスタにおける導電膜440および導電膜450は、図26(A)に示す上面図のように酸化物半導体膜の幅(WOS)よりも導電膜440および導電膜450の幅(WSD)が長く形成されていてもよいし、図26(B)に示す上面図のように短く形成されていてもよい。特に、WOS≧WSD(WSDはWOS以下)とすることで、ゲート電界が酸化物半導体膜430全体にかかりやすくなり、トランジスタの電気特性を向上させることができる。また、図26(C)に示すように、導電膜440および導電膜450が酸化物半導体膜430と重なる領域のみに形成されていてもよい。
なお、図26(A)、(B)、(C)において、酸化物半導体膜430、導電膜440および導電膜450のみ図示している。
また、酸化物半導体膜430aおよび酸化物半導体膜430bを有するトランジスタ、ならびに酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430bおよび酸化物半導体膜430cを有するトランジスタにおいては、酸化物半導体膜430を構成する二層または三層の材料を適切に選択することで酸化物半導体膜430bに電流を流すことができる。酸化物半導体膜430bに電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくく、高いオン電流を得ることができる。したがって、酸化物半導体膜430bを厚くすることでオン電流が向上する場合がある。
以上の構成のトランジスタを用いることにより、半導体装置に良好な電気特性を付与することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4に示したトランジスタの構成要素について詳細を説明する。
<基板>
基板415には、ガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミックス基板、表面が絶縁処理された金属基板などを用いることができる。または、トランジスタやフォトダイオードが形成されたシリコン基板、および当該シリコン基板上に絶縁膜、配線、コンタクトプラグとして機能を有する導電体などが形成されたものを用いることができる。なお、シリコン基板にp−ch型のトランジスタを形成する場合は、n−型の導電型を有するシリコン基板を用いることが好ましい。または、n−型またはi型のシリコン層を有するSOI基板であってもよい。また、シリコン基板に設けるトランジスタがp−ch型である場合は、トランジスタを形成する面の面方位は、(110)面であるシリコン基板を用いることが好ましい。(110)面にp−ch型トランジスタを形成することで、移動度を高くすることができる。
<下地絶縁膜>
下地絶縁膜としての機能を有する絶縁膜420は、基板415に含まれる要素からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、酸化物半導体膜430に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁膜420は酸素を含む絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む絶縁膜であることがより好ましい。例えば、膜の表面温度が100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下の加熱処理で行われるTDS法にて、酸素原子に換算した酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上である膜とする。また、基板415が他のデバイスが形成された基板である場合、絶縁膜420は、層間絶縁膜としての機能も有する。その場合は、表面が平坦になるようにCMP法などで平坦化処理を行うことが好ましい。
例えば、絶縁膜420には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いることができる。また、上記材料の積層であってもよい。
<酸化物半導体膜>
酸化物半導体膜430は、酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430bおよび酸化物半導体膜430cを絶縁膜420側から順に積んだ三層構造とすることができる。
なお、酸化物半導体膜430が単層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体膜430bに相当する層を用いればよい。
また、酸化物半導体膜430が二層の場合は、酸化物半導体膜430aに相当する層および酸化物半導体膜430bに相当する層を絶縁膜420側から順に積んだ積層を用いればよい。この構成の場合、酸化物半導体膜430aと酸化物半導体膜430bとを入れ替えることもできる。
一例としては、酸化物半導体膜430bには、酸化物半導体膜430aおよび酸化物半導体膜430cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸化物半導体を用いる。
このような構造において、導電膜470に電界を印加すると、酸化物半導体膜430のうち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体膜430bにチャネルが形成される。したがって、酸化物半導体膜430bは半導体として機能する領域を有するといえるが、酸化物半導体膜430aおよび酸化物半導体膜430cは絶縁体または半絶縁体として機能する領域を有するともいえる。
また、酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430b、および酸化物半導体膜430cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともInもしくはZnを含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、Ga、Sn、Hf、Al、またはZrなどがある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどがある。
酸化物半導体膜430a、酸化物半導体膜430bおよび酸化物半導体膜430cには、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。また、c軸に配向した結晶は歪曲に強く、フレキシブル基板を用いた半導体装置の信頼性を向上させることができる。
<ソース電極およびドレイン電極>
ソース電極として作用する導電膜440およびドレイン電極として作用する導電膜450には、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Mn、Nd、Sc、および当該金属材料の合金から選ばれた材料の単層、または積層を用いることができる。代表的には、特に酸素と結合しやすいTiや、後のプロセス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。また、低抵抗のCuやCu−Mnなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。トランジスタ405、トランジスタ406、トランジスタ411、トランジスタ412においては、例えば、導電膜441および導電膜451にW、導電膜442および導電膜452にTiとAlとの積層膜などを用いることができる。
上記材料は酸化物半導体膜から酸素を引き抜く性質を有する。そのため、上記材料と接した酸化物半導体膜の一部の領域では酸化物半導体膜中の酸素が脱離し、酸素欠損が形成される。膜中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域は顕著にn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させることができる。
また、導電膜440および導電膜450にWを用いる場合には、窒素をドーピングしてもよい。窒素をドーピングすることで酸素を引き抜く性質を適度に弱めることができ、n型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。また、導電膜440および導電膜450をn型の半導体層との積層とし、n型の半導体層と酸化物半導体膜を接触させることによってもn型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。n型の半導体層としては、窒素が添加されたIn−Ga−Zn酸化物、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどを用いることができる。
<ゲート絶縁膜>
ゲート絶縁膜として作用する絶縁膜460には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁膜460は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁膜460に、La、N、Zrなどを、不純物として含んでいてもよい。
また、絶縁膜460の積層構造の一例について説明する。絶縁膜460は、例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁膜460の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
また、酸化物半導体膜430と接する絶縁膜420および絶縁膜460は、窒素酸化物の放出量の少ない膜を用いることが好ましい。窒素酸化物の放出量の多い絶縁膜と酸化物半導体が接した場合、窒素酸化物に起因する準位密度が高くなることがある。絶縁膜420および絶縁膜460には、例えば、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜または酸化窒化アルミニウム膜などの酸化物絶縁膜を用いることができる。
窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018/cm3以上5×1019/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
絶縁膜420および絶縁膜460として、上記酸化物絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
<ゲート電極>
ゲート電極として作用する導電膜470には、例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Mn、Nd、Sc、TaおよびWなどの導電膜を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。代表的には、タングステン、タングステンと窒化チタンの積層、タングステンと窒化タンタルの積層などを用いることができる。また、低抵抗のCuまたはCu−Mnなどの合金や上記材料とCuまたはCu−Mnなどの合金との積層を用いてもよい。本実施の形態では、導電膜471に窒化タンタル、導電膜472にタングステンを用いて導電膜470を形成する。
<保護絶縁膜>
保護絶縁膜としての機能を有する絶縁膜475には、水素を含む窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜などを用いることができる。実施の形態4に示したトランジスタ403、トランジスタ404、トランジスタ406、トランジスタ409、トランジスタ410、およびトランジスタ412では、絶縁膜475として水素を含む絶縁膜を用いることで酸化物半導体膜の一部をn型化することができる。また、窒化絶縁膜は水分などのブロッキング膜としての作用も有し、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、絶縁膜475としては酸化アルミニウム膜を用いることもできる。特に、実施の形態4に示したトランジスタ401、トランジスタ402、トランジスタ405、トランジスタ407、トランジスタ408、およびトランジスタ411では絶縁膜475に酸化アルミニウム膜を用いることが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物の酸化物半導体膜430への混入防止、酸素の酸化物半導体膜からの放出防止、絶縁膜420からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。また、酸化アルミニウム膜に含まれる酸素を酸化物半導体膜中に拡散させることもできる。
また、絶縁膜475上には絶縁膜480が形成されていることが好ましい。当該絶縁膜には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、当該絶縁膜は上記材料の積層であってもよい。
ここで、絶縁膜480は絶縁膜420と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。絶縁膜480から放出される酸素は絶縁膜460を経由して酸化物半導体膜430のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、特にチャネル幅が縮小するとオン電流が低下する。
本発明の一態様のトランジスタ407乃至トランジスタ412では、チャネルが形成される酸化物半導体膜430bを覆うように酸化物半導体膜430cが形成されており、チャネル形成層とゲート絶縁膜が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲート絶縁膜との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体膜430のチャネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート電極(導電膜470)が形成されているため、酸化物半導体膜430に対しては上面に垂直な方向からのゲート電界に加えて、側面に垂直な方向からのゲート電界が印加される。すなわち、チャネル形成層に対して全体的にゲート電界が印加されることになり実効チャネル幅が拡大するため、さらにオン電流を高められる。
<成膜方法>
本実施の形態で説明した金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜は、代表的にはスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法などがある。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスをチャンバーに導入・反応させ、これを繰り返すことで成膜を行う。原料ガスと一緒に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)をキャリアガスとして導入してもよい。例えば2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給してもよい。その際、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスの反応後、不活性ガスを導入し、第2の原料ガスを導入する。あるいは、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着・反応して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスが第1の層上に吸着・反応する。つまり、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入の繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O層を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH3)3)、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)を用いることができる。これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH、Hf[N(CH3)2]4)やテトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH3)3)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。他の材料としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O層を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。これらのガスを用いてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成してもよい。なお、O3ガスに変えてArなどの不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いてもよいが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。
酸化物半導体膜の成膜には、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることもできる。当該対向ターゲット式スパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(vapor deposition SP)と呼ぶこともできる。
対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて酸化物半導体膜を成膜することによって、酸化物半導体膜の成膜時におけるプラズマ損傷を低減することができる。そのため、膜中の酸素欠損を低減することができる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることで低圧での成膜が可能となるため、成膜された酸化物半導体膜中の不純物濃度(例えば水素、希ガス(アルゴンなど)、水など)を低減させることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体の材料について説明する。
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここで、酸化物半導体が、インジウム、元素M及び亜鉛を有する場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
まず、図27(A)、図27(B)、および図27(C)を用いて、本発明に係る酸化物半導体が有するインジウム、元素M及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲について説明する。なお、図27には、酸素の原子数比については記載しない。また、酸化物半導体が有するインジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]とする。
図27(A)、図27(B)、および図27(C)において、破線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):1の原子数比(−1≦α≦1)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):2の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):3の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):4の原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):5の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比(β≧0)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、及び[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比となるラインを表す。
図27(A)および図27(B)では、本発明の一態様の酸化物半導体が有する、インジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。
一例として、図28に、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1である、InMZnO4の結晶構造を示す。また、図28は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。なお、図28に示すM、Zn、酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)における金属元素は、元素Mまたは亜鉛を表している。この場合、元素Mと亜鉛の割合が等しいものとする。元素Mと亜鉛とは、置換が可能であり、配列は不規則である。
InMZnO4は、層状の結晶構造(層状構造ともいう)をとり、図28に示すように、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)が1に対し、元素M、亜鉛、および酸素を有する(M,Zn)層が2となる。
また、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。そのため、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換し、(In,M,Zn)層と表すこともできる。その場合、In層が1に対し、(In,M,Zn)層が2である層状構造をとる。
[In]:[M]:[Zn]=1:1:2となる原子数比の酸化物半導体は、In層が1に対し、(M,Zn)層が3である層状構造をとる。つまり、[In]および[M]に対し[Zn]が大きくなると、酸化物半導体が結晶化した場合、In層に対する(M,Zn)層の割合が増加する。
ただし、酸化物半導体中において、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が非整数である場合、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が整数である層状構造を複数種有する場合がある。例えば、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1.5である場合、In層が1に対し、(M,Zn)層が2である層状構造と、(M,Zn)層が3である層状構造とが混在する層状構造となる場合がある。
例えば、酸化物半導体をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される。特に、成膜時の基板温度によっては、ターゲットの[Zn]よりも、膜の[Zn]が小さくなる場合がある。
また、酸化物半導体中に複数の相が共存する場合がある(二相共存、三相共存など)。例えば、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比の近傍値である原子数比では、スピネル型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。また、[In]:[M]:[Zn]=1:0:0を示す原子数比の近傍値である原子数比では、ビックスバイト型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。酸化物半導体中に複数の相が共存する場合、異なる結晶構造の間において、粒界(グレインバウンダリーともいう)が形成される場合がある。
また、インジウムの含有率を高くすることで、酸化物半導体のキャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。これは、インジウム、元素M及び亜鉛を有する酸化物半導体では、主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を高くすることにより、s軌道が重なる領域がより大きくなるため、インジウムの含有率が高い酸化物半導体はインジウムの含有率が低い酸化物半導体と比較してキャリア移動度が高くなるためである。
一方、酸化物半導体中のインジウムおよび亜鉛の含有率が低くなると、キャリア移動度が低くなる。従って、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0を示す原子数比、およびその近傍値である原子数比(例えば図27(C)に示す領域C)では、絶縁性が高くなる。
従って、本発明の一態様の酸化物半導体は、キャリア移動度が高く、かつ、粒界が少ない層状構造となりやすい、図27(A)の領域Aで示される原子数比を有することが好ましい。
また、図27(B)に示す領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値を示している。近傍値には、例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=5:3:4が含まれる。領域Bで示される原子数比を有する酸化物半導体は、特に、結晶性が高く、キャリア移動度も高い優れた酸化物半導体である。
なお、酸化物半導体が、層状構造を形成する条件は、原子数比によって一義的に定まらない。原子数比により、層状構造を形成するための難易の差はある。一方、同じ原子数比であっても、形成条件により、層状構造になる場合も層状構造にならない場合もある。従って、図示する領域は、酸化物半導体が層状構造を有する原子数比を示す領域であり、領域A乃至領域Cの境界は厳密ではない。
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、粒界におけるキャリア散乱等を減少させることができるため、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
なお、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
続いて、該酸化物半導体を2層構造、または3層構造とした場合について述べる。酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、および酸化物半導体S3の積層構造に接する絶縁体のバンド図と、酸化物半導体S2および酸化物半導体S3の積層構造に接する絶縁体のバンド図と、について、図29を用いて説明する。
図29(A)は、絶縁体I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、及び絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図29(B)は、絶縁体I1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、及び絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。なお、バンド図は、理解を容易にするため絶縁体I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、及び絶縁体I2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
酸化物半導体S1、酸化物半導体S3は、酸化物半導体S2よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体S2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。すなわち、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の電子親和力よりも、酸化物半導体S2の電子親和力が大きく、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の電子親和力と、酸化物半導体S2の電子親和力との差は、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。
図29(A)、および図29(B)に示すように、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド図を有するためには、酸化物半導体S1と酸化物半導体S2との界面、または酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物半導体S1と酸化物半導体S2、酸化物半導体S2と酸化物半導体S3が、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物半導体S2がIn−Ga−Zn酸化物半導体の場合、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3として、In−Ga−Zn酸化物半導体、Ga−Zn酸化物半導体、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物半導体S2となる。酸化物半導体S1と酸化物半導体S2との界面、および酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
トラップ準位に電子が捕獲されることで、捕獲された電子は固定電荷のように振る舞うため、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。酸化物半導体S1、酸化物半導体S3を設けることにより、トラップ準位を酸化物半導体S2より遠ざけることができる。当該構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトすることを防止することができる。
酸化物半導体S1、酸化物半導体S3は、酸化物半導体S2と比較して、導電率が十分に低い材料を用いる。このとき、酸化物半導体S2、酸化物半導体S2と酸化物半導体S1との界面、および酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面が、主にチャネル領域として機能する。例えば、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3には、図27(C)において、絶縁性が高くなる領域Cで示す原子数比の酸化物半導体を用いればよい。なお、図27(C)に示す領域Cは、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、またはその近傍値である原子数比を示している。
特に、酸化物半導体S2に領域Aで示される原子数比の酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体S1および酸化物半導体S3には、[M]/[In]が1以上、好ましくは2以上である酸化物半導体を用いることが好ましい。また、酸化物半導体S3として、十分に高い絶縁性を得ることができる[M]/([Zn]+[In])が1以上である酸化物半導体を用いることが好適である。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体の材料について説明する。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体およびnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図30(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図30(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図30(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図30(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図30(E)に示す。図30(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図30(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図30(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図31(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図31(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図31(B)および図31(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図31(D)および図31(E)は、それぞれ図31(B)および図31(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図31(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図31(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図31(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図32(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図32(B)に示す。図32(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図32(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図32(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図33に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図33(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図33(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図33(A)および図33(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OSおよびCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図34は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図34より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図34より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図34より、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<酸化物半導体のキャリア密度>
次に、酸化物半導体のキャリア密度について、以下に説明を行う。
酸化物半導体のキャリア密度に影響を与える因子としては、酸化物半導体中の酸素欠損(VO)、または酸化物半導体中の不純物などが挙げられる。
酸化物半導体中の酸素欠損が多くなると、該酸素欠損に水素が結合(この状態をVOHともいう)した際に、欠陥準位密度が高くなる。または、酸化物半導体中の不純物が多くなると、該不純物に起因し欠陥準位密度が高くなる。したがって、酸化物半導体中の欠陥準位密度を制御することで、酸化物半導体のキャリア密度を制御することができる。
ここで、酸化物半導体をチャネル領域に用いるトランジスタを考える。
トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトの抑制、またはトランジスタのオフ電流の低減を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を低くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性の酸化物半導体のキャリア密度としては、8×1015cm−3未満、好ましくは1×1011cm−3未満、さらに好ましくは1×1010cm−3未満であり、1×10−9cm−3以上とすればよい。
一方で、トランジスタのオン電流の向上、またはトランジスタの電界効果移動度の向上を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を高くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を高くする場合においては、酸化物半導体の不純物濃度をわずかに高める、または酸化物半導体の欠陥準位密度をわずかに高めればよい。あるいは、酸化物半導体のバンドギャップをより小さくするとよい。例えば、トランジスタのId−Vg特性のオン/オフ比が取れる範囲において、不純物濃度がわずかに高い、または欠陥準位密度がわずかに高い酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。また、電子親和力が大きく、それにともなってバンドギャップが小さくなり、その結果、熱励起された電子(キャリア)の密度が増加した酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。なお、より電子親和力が大きな酸化物半導体を用いた場合には、トランジスタのしきい値電圧がより低くなる。
上述のキャリア密度が高められた酸化物半導体は、わずかにn型化している。したがって、キャリア密度が高められた酸化物半導体を、「Slightly−n」と呼称してもよい。
実質的に真性の酸化物半導体のキャリア密度は、1×105cm−3以上1×1018cm−3未満が好ましく、1×107cm−3以上1×1017cm−3以下がより好ましく、1×109cm−3以上5×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1010cm−3以上1×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1011cm−3以上1×1015cm−3以下がさらに好ましい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、イメージセンサチップを収めたパッケージおよびモジュールの一例について説明する。当該イメージセンサチップには、本発明の一態様の撮像装置の構成を用いることができる。
図35(A)は、イメージセンサチップを収めたパッケージの上面側の外観斜視図である。当該パッケージは、イメージセンサチップ650を固定するパッケージ基板610、カバーガラス620および両者を接着する接着剤630などを有する。
図35(B)は、当該パッケージの下面側の外観斜視図である。パッケージの下面には、半田ボールをバンプ640としたBGA(Ball grid array)の構成を有する。なお、BGAに限らず、LGA(Land grid array)やPGA(Pin Grid Array)などであってもよい。
図35(C)は、カバーガラス620および接着剤630の一部を省いて図示したパッケージの斜視図であり、図35(D)は、当該パッケージの断面図である。パッケージ基板610上には電極パッド660が形成され、電極パッド660およびバンプ640はスルーホール680およびランド685を介して電気的に接続されている。電極パッド660は、イメージセンサチップ650が有する電極とワイヤ670によって電気的に接続されている。
また、図36(A)は、イメージセンサチップをレンズ一体型のパッケージに収めたカメラモジュールの上面側の外観斜視図である。当該カメラモジュールは、イメージセンサチップ651を固定するパッケージ基板611、レンズカバー621、およびレンズ635などを有する。また、パッケージ基板611およびイメージセンサチップ651の間には撮像装置の駆動回路および信号変換回路などの機能を有するICチップ690も設けられており、SiP(System in package)としての構成を有している。
図36(B)は、当該カメラモジュールの下面側の外観斜視図である。パッケージ基板611の下面および4側面には、実装用のランド641が設けられるQFN(Quad flat no− lead package)の構成を有する。なお、当該構成は一例であり、QFP(Quad flat package)や前述したBGAなどであってもよい。
図36(C)は、レンズカバー621およびレンズ635の一部を省いて図示したモジュールの斜視図であり、図36(D)は、当該カメラモジュールの断面図である。ランド641の一部は電極パッド661として利用され、電極パッド661はイメージセンサチップ651およびICチップ690が有する電極とワイヤ671によって電気的に接続されている。
イメージセンサチップを上述したような形態のパッケージに収めることで実装が容易になり、様々な半導体装置、電子機器に組み込むことができる。
なお、本実施の形態は撮像装置に限らず、他の半導体装置に適用することができる。例えば、記憶装置に本実施の形態を適用することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る撮像装置を適用できる電子機器の一例について説明する。
本発明の一態様に係る撮像装置、および当該撮像装置を含む半導体装置を用いることができる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置または画像再生装置、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤーなど)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図37に示す。
図37(A)は監視カメラであり、筐体701、レンズ702、支持部703などを有する。当該監視カメラにおける画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。なお、監視カメラとは慣用的な名称であり、用途を限定するものではない。例えば監視カメラとしての機能を有する機器はカメラ、またはビデオカメラとも呼ばれる。
図37(B)はビデオカメラであり、第1筐体711、第2筐体712、表示部713、操作キー714、レンズ715、接続部716などを有する。操作キー714およびレンズ715は第1筐体711に設けられており、表示部713は第2筐体712に設けられている。当該ビデオカメラにおける画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図37(C)は携帯データ端末であり、筐体721、表示部722、カメラ723などを有する。表示部722が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。当該携帯データ端末における画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図37(D)は腕時計型の情報端末であり、筐体731、表示部732、リストバンド733、操作用のボタン734、竜頭735、カメラ736などを有する。表示部732はタッチパネルとなっていてもよい。当該情報端末における画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図37(E)は携帯型ゲーム機であり、筐体741、筐体742、表示部743、表示部744、マイク745、スピーカー746、操作キー747、スタイラス748、カメラ749などを有する。なお、図37(E)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部743と表示部744とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。当該携帯型ゲーム機における画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図37(F)は検査装置であり、筐体751、センサ752などを有する。該検査装置は、例えばベルトコンベア753に配置された商品754に発生したキズを検出することができる。センサ752として本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
なお、本発明の一態様の撮像装置を具備していれば、上記で示した電子機器に特に限定されない。
また、本実施の形態で示した電子機器は、本発明の一態様の撮像装置を具備していなくても、本発明の一態様の半導体装置を具備していればよい。例えば、本実施の形態で示した電子機器は、本発明の一態様の記憶装置を具備していればよい。また、本発明の一態様の半導体装置を具備していれば、上記で示した電子機器に特に限定されない。
本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。