[go: up one dir, main page]

JP2016133594A - コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法 - Google Patents

コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016133594A
JP2016133594A JP2015007580A JP2015007580A JP2016133594A JP 2016133594 A JP2016133594 A JP 2016133594A JP 2015007580 A JP2015007580 A JP 2015007580A JP 2015007580 A JP2015007580 A JP 2015007580A JP 2016133594 A JP2016133594 A JP 2016133594A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
contact lens
lens
fine bubble
solution
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015007580A
Other languages
English (en)
Inventor
征宏 小島
Masahiro Kojima
征宏 小島
中田 和彦
Kazuhiko Nakada
和彦 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Menicon Co Ltd
Original Assignee
Menicon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Menicon Co Ltd filed Critical Menicon Co Ltd
Priority to JP2015007580A priority Critical patent/JP2016133594A/ja
Publication of JP2016133594A publication Critical patent/JP2016133594A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Eyeglasses (AREA)
  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)

Abstract

【課題】新規なコンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法を提供する。【解決手段】本発明のコンタクトレンズ用保存液は、50μm以下の気泡を含むファインバブル液を含有している。この保存液は、キレート化剤、等張化剤、pH調整剤、湿潤剤、防腐剤のうちいずれか1以上を含むものとしてもよい。また、本発明のコンタクトレンズの保存方法は、上記保存液にコンタクトレンズを浸漬させて封入するものである。また、本発明のコンタクトレンズの製造方法は、ファインバブル液を含む保存液を用いて、封入処理工程及び滅菌処理工程のうち1以上の工程を行う。【選択図】なし

Description

本発明は、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法に関する。
従来、コンタクトレンズ用保存液としては、ソフトコンタクトレンズの場合、レンズの形状保持や装用後の眼刺激低減、抗菌性付与のために、等張化剤やpH調整剤、キレート化剤を含み、必要に応じ、湿潤性向上のためにポリビニルピロリドン(PVP)のような親水性ポリマーや界面活性剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような増粘剤が添加されることもある。一方ハードコンタクトレンズの場合、オートクレーブ等の熱滅菌処理を実施できないことから、抗菌性付与のために塩酸ポリヘキサニドやホウ酸のような防腐剤やキレート化剤が添加されたり、必要に応じ、PVPのような親水性ポリマーや界面活性剤、HPMCのような増粘剤が添加されることもある。
このような保存液としては、例えば、重量平均分子量が500〜200000であるポリビニルピロリドンを含有し、界面活性剤を含有しないコンタクトレンズ用流通保存液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、分子中にカチオン基を有するポリマー(A成分)及び/又はけん化度:70モル%以上のポリビニルアルコール(B成分)を含有するコンタクトレンズ用液剤に、コンタクトレンズを浸漬した後、少なくとも60℃以上の温度に加熱することにより、コンタクトレンズにA成分のカチオン基を有するポリマー及び/又はB成分のポリビニルアルコールを固着させるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−56277号公報 特開2009−175543号公報
従来の保存液では、特に湿潤性向上のために添加する各成分の溶解等に時間が掛かることがあり、製造工程が煩雑になることがあった。また、抗菌性付与のために添加するホウ酸(pH調整剤としても作用する)や塩酸ポリヘキサニドが前眼部に影響を与えることなどがあり、安全性をより高めることなどが求められていた。このため、これまでとは異なる新規な方法で、保存液の効果をより向上することが求められていた。また、コンタクトレンズの製造工程を簡素化したり、更に安全性を高めることなどが望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、新規なコンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、50μm以下、より好ましくは1μm未満の気泡を溶媒に含むファインバブル液を用い、それによりコンタクトレンズを保存したり、コンタクトレンズを製造すると、製造工程を簡素化したり、安全性をより高めたりするなど、新規なものとすることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のコンタクトレンズ用保存液は、50μm以下の気泡を含むファインバブル液、を含有したものである。
本発明のコンタクトレンズの保存方法は、上記の保存液にコンタクトレンズを浸漬させて封入するものである。
本発明のコンタクトレンズの製造方法は、
重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を液体中に封入処理する封入処理工程と、
重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を液体に入れて滅菌処理する滅菌処理工程と、のうち1以上の工程を含み、
50μm以下の気泡を溶媒に含むファインバブル液を前記液体として用いて、前記封入処理工程及び前記滅菌処理工程のうち1以上の工程を行うものである。
本発明では、50μm以下の気泡を含むファインバブル液を用いることにより、新規な保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法を提供することができる。
[コンタクトレンズ用保存液]
本発明のコンタクトレンズ用保存液は、50μm以下の気泡を含むファインバブル液を含有したものである。
本発明のコンタクトレンズ用保存液に含まれるファインバブル液は、50μm以下の気泡であるマイクロバブルや数ミクロンからサブミクロンサイズ(0.1μ〜10μmなど)の範囲の気泡であるマイクロナノバブル、1μm未満(より好ましくは100nm以下)の気泡であるナノバブルなどを含む溶液であるものとしてもよい。このファインバブル液には、マイクロバブルのみが含まれていてもよいし、ナノバブルのみが含まれていてもよいし、マイクロナノバブルのみが含まれていてもよいし、これらの1以上が含まれているものとしてもよい。ファインバブル液は、用途に応じて必要とされる機能を有する気泡を含むものとすればよい。マイクロバブルは、時間経過と共にその粒径が縮小し、その後消滅するものとしてもよい。このマイクロバブルは、気泡表面が帯電しており、その消滅時に周囲にフリーラジカルを発生させ、このフリーラジカルにより様々な効果、例えば有機化学物質を分解するなどの現象が生じると考えられる。ナノバブルは、例えば、1日や1週間、1ヶ月間など時間が経過してもその気泡が持続するものとしてもよい。このナノバブルは、気泡表面にイオンが集結しており、この気泡が消滅せずに持続することにより様々な効果、例えば洗浄効果などを生じると考えられる。ファインバブル液は、例えば、液体1mLあたりに気泡が100万個以上含まれることが好ましく、800万個以上含まれることがより好ましく、3000万個以上含まれることが更に好ましい。このような範囲では、ファインバブル液による様々な効果、例えば、制菌効果、洗浄効果などが得られやすい。気泡の粒径や気泡の数は、レーザー回折散乱法(ナノサイト社製、ナノ粒子解析装置)により求めた値とする。このファインバブル液は、例えば、水流を起こして渦を発生させ、渦内に気体を巻き込み、この渦を崩壊させて気泡を分解する二相流旋回方式や、気体を数気圧(例えば4気圧など)に加圧して水中に溶解させその後大気圧に開放することで過飽和とし再気泡化させる加圧溶解方式などにより得ることができる。
ファインバブル液に用いる液体は、例えば、水などが挙げられ、例えば、蒸留水、超純水、高純水、純水、イオン交換水、濾過水などを利用することができる。
ファインバブル液の気泡に含まれる気体は、特に限定されないが、例えば、空気、酸素、窒素、水素、炭酸ガス、希ガス、オゾンなどが挙げられ、このうち空気が好ましい。気泡を作成しやすいからである。また、オゾンの気泡を含むファインバブル液では、菌などを分解しやすい。
本発明のコンタクトレンズ用保存液には、種々の添加剤を配合するものとしてもよい。添加剤としては、例えば、キレート化剤、等張化剤、防腐剤、緩衝剤、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤、香料又は清涼化剤、薬剤、抗菌剤およびビタミン類のうち1以上を含むことが好ましい。特に、添加剤として、キレート化剤、等張化剤、pH調整剤、湿潤剤及び防腐剤のうちいずれか1以上を含むことがより好ましい。添加剤の添加量は、用途に応じて適宜変更するものとしてもよく、例えば、一般的には、保存液の全体に対して0.00001質量%以上5質量%以下の範囲とすることが好ましく、0.00005質量%以上1質量%以下の範囲とすることがより好ましく、0.0001質量%以上0.5質量%以下の範囲とすることが更に好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用保存液のキレート化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩(エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム(EDTA・2Na)、エチレンジアミン四酢酸・3ナトリウム(EDTA・3Na)、エチレンジアミン四酢酸・4ナトリウム(EDTA・4Na)等)、フィチン酸、クエン酸等が挙げられる。キレート化剤の含有量は、保存液の全体に対して0.001質量%以上1質量%以下の範囲とすることが好ましく、0.005質量%以上0.5質量%以下の範囲とすることがより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲とすることが更に好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の等張化剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機塩類、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール若しくはそのエーテル又はエステル等が挙げられる。等張化剤を含む保存液は、例えば、ソフトコンタクトレンズ用保存液としてもよい。等張化剤の含有量は、保存液の全体に対して0.1質量%以上2質量%以下の範囲とすることが好ましく、0.2質量%以上1.5質量%以下の範囲とすることがより好ましく、0.5質量%以上1質量%以下の範囲とすることが更に好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用保存液は、防腐剤や殺菌剤を含むものとしてもよい。本発明のコンタクトレンズ用保存液は、ファインバブル液を含み、防腐効果を期待できることから、防腐剤や殺菌剤の含有量をより低減することができる。あるいは、防腐剤や殺菌剤を含まないものとすることもできる。防腐剤・殺菌剤としては、例えばソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸或いはその塩、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、クロルヘキシジン、アレキシジン、クロルフェニラミン又はその塩、アラントイン、過酸化水素、二酸化塩素、安定化二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、塩化ポリドロニウム等のポリクオタニウム類等が挙げられる。この中でも保存効力と安全性とのバランスを考慮した場合、さらにはコンタクトレンズへの適用を考慮した場合、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クロルヘキシジン、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、塩化ポリドロニウムなどがより好ましい。防腐剤・殺菌剤の含有量は、保存液の全体に対して0.00001質量%以上1質量%以下の範囲とすることが好ましく、0.0005質量%以上0.5質量%以下の範囲とすることがより好ましく、0.0001質量%以上0.1質量%以下の範囲とすることが更に好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の緩衝剤としては、例えばホウ酸、ホウ砂及びホウ酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、クエン酸及びクエン酸塩緩衝剤、酢酸等のカルボン酸類、オキシカルボン酸等の酸やその塩、アミノエチルスルホン酸、アスパラギン酸(塩)、グリシン、アルギニン、グルタミン酸等のアミノ酸類、ε−アミノカプロン酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパン(AMP)緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、リン酸及びリン酸塩緩衝剤、Good−Buffer等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用保存液のpH調整剤としては、例えば塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩、硫酸等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の界面活性剤としては、従来から公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤の何れもが、適宜に採用され得る。このような界面活性剤としては、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(高純度ポリソルベート、ポリソルベート類)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、N−アシルタウリン塩、アルキルグルタミン酸塩、アルキルグリシン塩、アルキルアラニン塩、ココイル脂肪酸アルギニン、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸ベタイン型両面活性剤、アルキルオキシヒドロキシプロピルアルギニン塩、ココイルアルギニンエチルPCA等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の増粘剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(完全ケン化物もしくは部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、Copolymer845(ポリビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合ポリマー)等の合成有機高分子化合物等や、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体や、スターチ誘導体、アルギン酸(塩)、ペクチン、キトサン及びそれらの塩、カチオン化キトサン等のキトサン誘導体の多糖類、ジェランガム等のヘテロ多糖類や、コンドロイチン硫酸(塩)等のムコ多糖類等を加えてもよい。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の湿潤剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリプロピレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリトリトール、トレハロース、ブドウ糖、スクロース、マルトース、ラクトースなどの多価アルコールや糖、糖アルコール、グルコサミン(塩)、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン等のアミノ糖、グルコシルトレハロースなどの糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、Copolymer845(ポリビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合ポリマー)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等のポリビニル化合物等、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、エタノール、イソプロパノール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール等の低級あるいは高級アルコール類、アルモンド油、ラノリン、オリーブ油、オレイン酸及び/又はその塩、流動パラフィン、トリグリセリド、スクワラン、ワセリン、シリコン油、ゴマ油、シソ油、ダイズ油、ツバキ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマシ油等の油脂類等が挙げられる。なお、眼に対して安全であり、しかもコンタクトレンズに対する影響を少なくすること、さらにはコンタクトレンズ用組成物の使用感を向上させるという理由から、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリトリトール、トレハロース、ブドウ糖、スクロース、マルトース、ラクトースなどの多価アルコールや糖、糖アルコール、グルコシルトレハロースなどの糖誘導体、ポリビニルアルコール(完全ケン化物もしくは部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、Copolymer845(ポリビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合ポリマー)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等のポリビニル化合物等、カチオン化セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体が選択されることが好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の安定剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、縮合リン酸、亜硫酸塩、クエン酸、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、シアノコバラミン、塩酸ピリドキシン、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の香料又は清涼化剤としては、例えばアネトール、オイゲノール、カンフル、クロロブタノール、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、メントール、リモネン、リュウノウ、ウイキョウ油、クールミント油、ケイヒ油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油などが挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の薬剤としては、例えばクロモグリク酸、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラストカリウム、フマル酸エメダスチン、フマル酸ケトチフェン、塩酸オロパタジン、エバスチン、レボカバスチン、塩酸セチリジン等の抗アレルギー剤や、グリチルリチン酸及びその塩、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、リゾチーム、フルオロメトロン等のステロイド系または非ステロイド系の消炎剤、エピネフィリン、塩酸エピネフィリン、塩酸エフェドリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸テトラヒドロゾリン等の血管収縮剤、メチル硫酸ネオスチグミン等のピント調節機能改善剤、ベタキソロール、チモロール、ジピベフリン、カルテオロール、ラタノプラスト、タフルプラスト、トラボプラスト、ニプラジロール、レボブノール等の眼圧降下剤、レバミピド、ジクアホソルナトリウム等の涙液・ムチン分泌産生促進剤等、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド等のビタミン類、アスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸塩、アルギニン、アラニン、リジン、グルタミン酸等のアミノ酸類等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用保存液の抗菌剤としては、例えばスルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフィソキサゾール、スルフィソミジンナトリウム等のサルファ剤、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、トスフロキサシン、ロメフロキサシン、シプロフロキサシン等のニューキノロン系抗菌剤、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ミクロノマイシン、ジベカシン、シソマイシン等のアミノグリコシド系抗菌剤、テトラサイクリン、ミノサイクリン等のテトラサイクリン系抗菌剤、エリスロマイシン等のマクロライド系抗菌剤、クロラムフェニコール等のクロラムフェニコール系抗菌剤、セフメノキシム等のセフェム系抗菌剤等が挙げられる。また、抗菌剤としては、塩酸ポリヘキサニド、塩化ベンザルコニウム、過酸化水素などが挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用保存液は、ソフトコンタクトレンズ用保存液としてもよいし、ハードコンタクトレンズ用保存液としてもよい。また、ソフトコンタクトレンズの流通の際にコンタクトレンズを浸漬する液(パッケージング液)やハードコンタクトレンズの流通の際にコンタクトレンズを浸漬する液(パッケージング液)としてもよい。
また、本発明のコンタクトレンズ用保存液は、コンタクトレンズの製造時にも用いることができる。例えば、この保存液は、重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を封入処理する封入処理工程や、重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を入れて滅菌処理する滅菌処理工程などで用いることができる。
[コンタクトレンズの保存方法]
本発明のコンタクトレンズの保存方法は、上述したいずれかのコンタクトレンズ用保存液にコンタクトレンズを浸漬させて封入するものである。本発明の保存液は、ファインバブル液を含むため、コンタクトレンズの表面改質が行われ、菌、汚れ等の異物が付着するのを抑制する効果や、水濡れ性を向上することができる。このため、この保存液は、コンタクトレンズの保存により適している。この保存方法では、封止可能な容器に、上記保存液を入れ、コンタクトレンズを浸漬させて、封止すればよい。
[コンタクトレンズ]
本発明で用いるコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズとしてもよいし、ハードコンタクトレンズとしてもよい。ソフトコンタクトレンズとしては、シリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズであることが好ましく、例えば、シリコーン化合物を少なくとも含有している重合性組成物(原料混合物)を原料としたものとしてもよい。ハードコンタクトレンズとしては、例えば、ポリメチルメタクリレートを主成分とする非酸素透過性ハードコンタクトレンズや、シリコーンやフッ素を含み酸素透過性を付与した酸素透過性ハードコンタクトレンズ(RGP)などが挙げられる。このハードコンタクトレンズは、例えば、シリコーン化合物を少なくとも含有している重合性組成物(原料混合物)を原料としたものとしてもよい。
[コンタクトレンズの製造方法]
本発明のコンタクトレンズの製造方法は、重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を液体中に封入処理する封入処理工程と、重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を液体に入れて滅菌処理する滅菌処理工程と、のうち1以上の工程を含む。また、封入処理工程及び滅菌処理工程のうち1以上の工程を、50μm以下の気泡を溶媒に含むファインバブル液を上記液体として用いて行う。
(封入処理工程)
封入処理工程では、重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を液体中に封入処理する。ファインバブル液は、上述したいずれかを用いることができ、1μm以下の直径の気泡を含んでいるものが好ましい。この工程で用いるレンズ体は、ソフトコンタクトレンズとしてもよいし、ハードコンタクトレンズとしてもよい。ソフトコンタクトレンズの場合、封入する液体は、例えば、キレート化剤、等張化剤、pH調製剤、湿潤剤、界面活性剤などを含むことが好ましい。ハードコンタクトレンズの場合、封入する液体は、例えば、防腐剤、薬剤、抗菌剤などを含むことが好ましい。レンズ体は、例えば、所望のコンタクトレンズ形状に対応した鋳型内に、重合開始剤を含む重合性組成物を充填したあと、この鋳型に光を照射する及び/又は加熱処理することにより得られたものとしてもよい。あるいは、レンズ体は、例えば、原料モノマーを混合した重合性組成物を公知の方法により重合し、得られた塊状重合体を旋盤にてレンズ状に切削・研磨加工して得られたものとしてもよい
(滅菌処理工程)
滅菌処理工程では、重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体をファインバブル液に入れて滅菌処理する。この工程で用いるレンズ体は、ソフトコンタクトレンズとすることができる。また、上記封入処理工程を経て得られたものを滅菌処理するものとしてもよい。この滅菌処理工程では、100℃以上150℃以下の範囲で滅菌処理することが好ましい。このように加熱した場合でも、ファインバブル液に含まれる気泡は消失しにくいため、ファインバブル液の効果が持続する。この工程において、レンズ体を液体に浸漬させ、市場流通用の容器に封入した状態で滅菌処理を行うものとしてもよい。容器に封入されていれば、その後、菌が入り込むことがないため好ましい。また、この工程において、加熱時に大気圧を超える高圧力の状態にすることがより好ましい。こうすれば、より確実に滅菌することができる。ファインバブル液は、レンズ体に応じて、利用に最適な組成に調整して用いることができ、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズとにおいて、同じ組成(溶媒、気体、添加剤など)の液を用いたり、異なる組成の液を用いることができる。
以上詳述した本実施形態では、50μm以下の気泡を含むファインバブル液を用いることにより、新規なコンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法を提供することができる。例えば、保存液には、ファインバブル液が含まれるので、例えば、防腐効果や制菌効果を得ることができる。また、コンタクトレンズ用保存液は、ファインバブル液を含むため、コンタクトレンズの表面改質が行われ、菌、汚れ等の異物が付着するのを抑制する効果や、水濡れ性を向上することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、封入処理工程及び滅菌処理工程でファインバブル液を用いるものとしたが、例えば、これらのうち1以上の工程でファインバブル液を用いるものとしてもよいし、これらの工程ではない他の工程でファインバブル液を用いるものとしてもよい。こうしても、ファインバブル液の様々な効果、例えば、防腐効果、洗浄効果、制菌効果、溶出効果などを得ることができる。
以下には、本発明のコンタクトレンズ用保存液を具体的に検討した例を実施例として説明する。
[使用レンズ]
・Magic(メニコン製)
・2WEEKメニコンプレミオ(以下プレミオ、メニコン製)
・メニコンソフトS(メニコン製)
・メニコンZ(メニコン製)
・レンズA(下記成分を含む)
MAUS:マクロモノマー:式(1)で示されるシリコーン化合物
TRIS:トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート
2−MTA:2−メトキシエチルアクリレート
N−VP:N−ビニル−2−ピロリドン
AMA:アリルメタクリレート
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
HMEPBT:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
PCPMA:フタロシアニン含有ポリメタクリル酸エステル
Figure 2016133594
[重合体の作製:レンズA]
2−MTAを24質量部、マクロモノマー(MAUS)を5質量部及びTRISを30質量部、N−VPを41質量部、AMAを0.3質量部、紫外線吸収剤であるHMEPBTを1.0質量部及び色素であるPCPMAを0.02質量部、重合開始剤としてTPOを0.6質量部含む重合性組成物を調製した。この重合性組成物を、コンタクトレンズ形状を有する鋳型(ポリプロピレン製、直径14.2mm及び中心厚み0.08mmのコンタクトレンズに対応)内に注入し、次いで、この鋳型に青色ランプ(PHILIPS社製TL20W03)で20分照射して光重合を行い、レンズ形状の重合体(レンズ体)を得た。
[保存液の作製]
ファインバブル水を用いた保存液を作製した。保存液は、キレート化剤としてEDTAを0.05質量%、等張化剤としてNaClを0.9質量%、ファインバブル水に添加した。ファインバブル水は、加圧溶解方式ウルトラファインバブル液作製装置(IDEC社製Ultrafine GALF)を用い、溶媒として蒸留水を用い、4気圧に加圧した窒素を蒸留水に溶解させたあと、水槽に送液して大気圧に開放し、これを循環させることにより得た。このファインバブル液は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(ナノサイト社製ナノ粒子解析装置)を用いて測定した結果、100nm〜500nmの粒径の気泡が、液1mL中に1億個存在することがわかった。
[滅菌処理]
上述したコンタクトレンズに対して、上記作製した保存液を用いて滅菌処理を行った。滅菌処理は、上記保存液をコンタクトレンズの容器に入れ、上記コンタクトレンズを入れて封入したあと、121℃、2気圧で20分間、高圧蒸気滅菌処理した。また、比較例として、ファインバブル液の代わりに、蒸留水にEDTAを0.05質量%、NaClを0.9質量%添加した液体を用い、同様の処理を行った。
(脂質付着抑制効果試験)
上述したコンタクトレンズ及び保存液を用い、脂質付着抑制効果試験を行った。脂質付着抑制効果の試験は、日本コンタクトレンズ学会誌37、p.58、(1995)に記載の人工眼脂ならびに方法を参考に行った。すなわち、上記保存液に封入し滅菌処理したあとの試験レンズ各1枚を人工眼脂2.0mLの入ったガラス製バイアル瓶に移し、このバイアル瓶を37℃の恒温下に5時間静置した。その後、各レンズを取り出し蒸留水にてすすいだ後、乾燥させた。乾燥させた試験レンズをエタノール:ジエチルエーテル=3:1の混合溶液1mL中に10分間浸漬し、抽出液を得た。この抽出液の総脂質量の定量を上記文献に記載の硫酸・リン酸・バニリン法にて定量した。試験枚数は5枚とし、実施例及び比較例(コントロール)の脂質付着量を比較し、ファインバブル水を用いた保存液の効果を評価した。
(表面水濡れ性試験)
接触角計(エルマ販売(株)製、G−I,2MG)を用い、空気中でレンズの接触角(°)を液滴法にて測定した。接触角の値は、レンズの頂点部分に、シリンジを用いて2μLの水滴を付着させ、水滴とレンズとの左右の接触角を平均したものである。なお、この接触角が小さいほど表面水濡れ性に優れる。
(表面潤滑性)
コンタクトレンズとして、Magic、プレミオ、メニコンソフトS、レンズAを用い、コンタクトレンズを手指上で2つ折にして挟み、指でレンズを擦り合わせた際の潤滑性(レンズ同士の接着感およびレンズと手指との接着感)を調べた。またレンズの表面水濡れ性も目視にて観察し、あわせて以下の評価基準に基づいて評価した。
A:水濡れ性にきわめてすぐれ、かつレンズ同士の滑りが良好であり、コンタクトレンズとして最適である。
B:レンズ同士を擦り合わせるとわずかにきしみが感じられるが、コンタクトレンズとして使用可能な程度である。
C:レンズと手指との接着性はないが、レンズ同士の滑りがわるく、動きがなくなることがある。
D:表面に粘着性があり、レンズと手指との接着性が強い。
(抗菌性の評価)
<SCDA培地の調製>
精製水400mLにソイビーン・カゼイン・ダイジェスト寒天培地(日本製薬株式会社製)16.0gを加え、121℃にて、20分間、高圧蒸気滅菌した。
<500倍希釈普通ブイヨン培地(1/500NB培地)の調製>
精製水100mLに普通ブイヨン培地(栄研化学株式会社製)1.8gを加えて加温溶解後、これを1mL採取して500倍に希釈し、121℃にて、20分間、高圧蒸気滅菌した。
<接種菌液の調製>
菌株(Staphylococcus aureus NBRC13276)のマスタープレートよりコロニーを採取し、SCDA培地に塗布した。次に、上記コロニーを塗布したSCDA培地を、35±2℃にて前培養した。そして、SCDA培地で前培養した菌を、1/500NB培地に懸濁し、660nmにおける透過率を元に生菌数を約108cfu/mLに調製した。更に、生菌数が1.0×104〜1.4×104cfu/mLとなるように1/500NB培地を用いて菌液を希釈し、これを接種用菌液とした。
<レンズの抗菌性試験>
保存液に封入、滅菌処理したレンズに対して(レンズの表面積)/(接種用菌液)=32cm2/10mLとなるように、所定枚数のレンズと接種用菌液とをバイアル瓶に入れた。バイアル瓶のフタを閉め、35±2℃にて、150rpmで約24時間振とう培養した。培養終了後に、菌液を1mL採取し、1/500NB培地で段階希釈してSCDA培地に接種し、35±2℃で培養した。検出されたコロニーを計数し、生菌数を算出した。
(防腐効果試験)
ファインバブル水にキレート剤としてEDTA・2Naを0.05質量%添加した液に浸漬されたメニコンZ(実施例)、及び蒸留水にホウ酸を0.5質量%、キレート剤としてEDTA・2Naを0.05質量%添加した液に浸漬されたメニコンZ(比較例)を用いて、防腐効果の試験を行った。防腐効果試験は、第15改正日本薬局方参考情報 28.保存効力試験法に基づき試験を行った。具体的には、緑濃菌(Psudomonas aeruginosa)を、レンズを入れた試験溶液中に、1mLあたり105〜106個となるように接種して、22℃で14日間の培養を行った。そして、培養後の生菌数を測定し、接種菌数に対する培養後の生菌数から菌の生存率を算出した。また、供試菌として、大腸菌(Escherichia coli)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を用いて、それぞれ同様に培養試験を行い、菌の生存率を算出した。これらの3種の菌の生存率に基づいて、以下の基準により◎、○、△、×の4段階で防腐効果を評価した。
◎:何れの菌種においても、菌が検出されなかった
○:菌の生存率が0.1%未満である菌種が存在した。
△:菌の生存率が0.1%以上100%以下である菌種が存在した。
×:菌が増殖していた菌種が存在した。
(細胞毒性試験)
防腐効果試験と同じ実施例及び比較例に該当する液の配合組成にて、5体積%の牛胎仔血清添加MEM液中に含有、溶解せしめた。そして、その調製された2種類の液について、細胞毒性試験を行った。具体的には、先ず、細胞培養用24穴プレートに、新鮮培地(5vol%牛胎仔血清添加MEM液)を注入し、そこに、ウェル当たりの細胞数が50個となるように、V79細胞(チャイニーズハムスター肺由来繊維芽細胞)を播種した。
そして、かかるマルチプレートを37℃に保持されたインキュベータ内に収容して、24時間の培養を行った。その後、この培養により得られた細胞をマルチプレート上に残したまま、培地(5体積%の牛胎仔血清添加MEM液)のみを除去し、次いで、かかるマルチプレート上に、上記で準備された各液を加えて、37℃に保持された炭酸ガスインキュベータ内で7日間培養した。この培養の後、得られた培養液及び供試液を除去し、エタノール固定(5分間)及びギムザ染色(30分間)を実施し、その後、水道水で洗浄し、更に風乾して観察した。各液中で形成されたコロニー数から、下式に従って、それぞれコロニー形成率を算出した。
コロニー形成率(%)=(各液で形成されたコロニー数の平均個数)/(ブランクで形成されたコロニー数の平均個数)×100
(結果と考察)
ファインバブル水を用いた保存液による滅菌処理を行った試験体では、ファインバブル水を用いなかった試験体に比して脂質付着抑制効果が高いことがわかった。また、ファインバブル水を用いた保存液による滅菌処理を行った試験体では、ファインバブル水を用いなかった試験体に比して接触角が小さいことがわかった。また、ファインバブル水を用いた保存液による滅菌処理を行った試験体では、表面潤滑性の結果がAであり、ファインバブル水を用いなかった試験体に比して表面潤滑性が高いことがわかった。また、ファインバブル水を用いた保存液による滅菌処理を行った試験体では、ファインバブル水を用いなかった試験体に比して生菌数が少なく、抗菌特性が高いことがわかった。また、ファインバブル水を用いた保存液では、防腐効力試験結果が比較例と同様に◎であり、さらにファインバブル水を用いた保存液では、細胞毒性試験結果が優れていた。このことから、ファインバブル水は、通常の防腐剤と同程度の防腐効果を有しつつ、且つ安全性が高いことが分かった。このように、ファインバブル水を含有する保存液を用いると、例えば、ファインバブルが表面に付着し、見かけ上表面積が増えたことで、レンズ表面の親水性が改質されたものと推察された。また、ファインバブル水を用いた保存液による滅菌処理を行うと、例えば、バブル消滅時に生成されるフリーラジカルなどにより、レンズ表面の改質を行うことができることがわかった。
以上のように、ファインバブル液を用いた保存液では、防腐効果や抗菌効果などがより高いことがわかった。また、ファインバブル液を含有する保存液を用いて滅菌処理を行うと、例えば、コンタクトレンズの表面改質が行われ、菌、汚れ等の異物が付着するのを抑制する効果や、水濡れ性を向上することができることが明らかとなった。
本発明は、コンタクトレンズに関する用途に用いることができる。

Claims (8)

  1. コンタクトレンズ用保存液であって、
    50μm以下の気泡を含むファインバブル液、
    を含有したコンタクトレンズ用保存液。
  2. 前記ファインバブル液は、1μm以下の直径の前記気泡を含んでいる、請求項1に記載のコンタクトレンズ用保存液。
  3. 前記ファインバブル液は、キレート化剤、等張化剤、pH調整剤、湿潤剤、防腐剤のうちいずれか1以上を含む、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ用保存液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用保存液にコンタクトレンズを浸漬させて封入する、コンタクトレンズの保存方法。
  5. コンタクトレンズの製造方法であって、
    重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を液体中に封入処理する封入処理工程と、
    重合性組成物を重合させレンズ形状にしたあとのレンズ体を液体に入れて滅菌処理する滅菌処理工程と、のうち1以上の工程を含み、
    50μm以下の気泡を溶媒に含むファインバブル液を前記液体として用いて、前記封入処理工程及び前記滅菌処理工程のうち1以上の工程を行う、
    コンタクトレンズの製造方法。
  6. 前記滅菌処理工程では、100℃以上150℃以下の範囲で滅菌処理する、請求項5に記載のコンタクトレンズの製造方法。
  7. 前記ファインバブル液は、1μm以下の直径の前記気泡を含んでいる、請求項5又は6に記載のコンタクトレンズの製造方法。
  8. 前記ファインバブル液は、キレート化剤、等張化剤、pH調整剤、湿潤剤、防腐剤のうちいずれか1以上を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載のコンタクトレンズの製造方法。
JP2015007580A 2015-01-19 2015-01-19 コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法 Pending JP2016133594A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015007580A JP2016133594A (ja) 2015-01-19 2015-01-19 コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015007580A JP2016133594A (ja) 2015-01-19 2015-01-19 コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016133594A true JP2016133594A (ja) 2016-07-25

Family

ID=56426168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015007580A Pending JP2016133594A (ja) 2015-01-19 2015-01-19 コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016133594A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019219620A (ja) * 2018-06-22 2019-12-26 日油株式会社 コンタクトレンズ用溶液
CN114958500A (zh) * 2022-06-02 2022-08-30 江苏海伦隐形眼镜有限公司 一种具有香味的隐形眼镜保养液
JP2023013931A (ja) * 2021-07-16 2023-01-26 ペガヴィジョン コーポレーション 眼科製品用の液体組成物

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63310697A (ja) * 1987-06-11 1988-12-19 Akitane Kitajima 活性汚泥法における高濃度処理方法
JPS6411226A (en) * 1987-07-03 1989-01-13 Matsushita Refrigeration Method and device for cleaning contact lens
JPH01121818A (ja) * 1987-11-06 1989-05-15 Matsushita Refrig Co Ltd コンタクトレンズの洗浄装置
WO2009058850A1 (en) * 2007-10-30 2009-05-07 University Of Miami System and method for imaging tear film on an ocular surface
JP2009175543A (ja) * 2008-01-25 2009-08-06 Menicon Co Ltd コンタクトレンズ用液剤及びコンタクトレンズ並びにコンタクトレンズに対する殺菌剤の付着防止方法
JP2009261354A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Kao Corp コーヒー飲料の製造法
JP2010508087A (ja) * 2006-10-25 2010-03-18 リバルシオ コーポレイション 酸素富化溶液を用いる、眼および他のヒト組織の治療処置の方法
WO2011016529A1 (ja) * 2009-08-06 2011-02-10 株式会社協和機設 組成物およびその製造方法
WO2013129245A1 (ja) * 2012-02-29 2013-09-06 サンスター技研株式会社 殺菌剤組成物

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63310697A (ja) * 1987-06-11 1988-12-19 Akitane Kitajima 活性汚泥法における高濃度処理方法
JPS6411226A (en) * 1987-07-03 1989-01-13 Matsushita Refrigeration Method and device for cleaning contact lens
JPH01121818A (ja) * 1987-11-06 1989-05-15 Matsushita Refrig Co Ltd コンタクトレンズの洗浄装置
JP2010508087A (ja) * 2006-10-25 2010-03-18 リバルシオ コーポレイション 酸素富化溶液を用いる、眼および他のヒト組織の治療処置の方法
WO2009058850A1 (en) * 2007-10-30 2009-05-07 University Of Miami System and method for imaging tear film on an ocular surface
JP2009175543A (ja) * 2008-01-25 2009-08-06 Menicon Co Ltd コンタクトレンズ用液剤及びコンタクトレンズ並びにコンタクトレンズに対する殺菌剤の付着防止方法
JP2009261354A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Kao Corp コーヒー飲料の製造法
WO2011016529A1 (ja) * 2009-08-06 2011-02-10 株式会社協和機設 組成物およびその製造方法
WO2013129245A1 (ja) * 2012-02-29 2013-09-06 サンスター技研株式会社 殺菌剤組成物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019219620A (ja) * 2018-06-22 2019-12-26 日油株式会社 コンタクトレンズ用溶液
JP2023013931A (ja) * 2021-07-16 2023-01-26 ペガヴィジョン コーポレーション 眼科製品用の液体組成物
JP7432643B2 (ja) 2021-07-16 2024-02-16 ペガヴィジョン コーポレーション 眼科製品用の液体組成物
CN114958500A (zh) * 2022-06-02 2022-08-30 江苏海伦隐形眼镜有限公司 一种具有香味的隐形眼镜保养液

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4847611B2 (ja) 両性界面活性剤及びヒアルロン酸を含む眼科組成物
JP6223890B2 (ja) 眼科用組成液及びその使用方法
JPWO2016140242A1 (ja) 点眼剤
JP5688951B2 (ja) シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物
JP2007264622A (ja) コンタクトレンズ用眼科組成物
JP2023090938A (ja) 非イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤
JP6582029B2 (ja) 眼科用組成液及びその使用方法
JP2014028857A (ja) メントール類を含有する亜塩素酸類化合物含有水性組成物
JP5686454B1 (ja) コンタクトレンズ装着用液剤およびそれを用いたコンタクトレンズの屈折率向上方法
JP4751482B2 (ja) コンタクトレンズ用液剤
JP2016133594A (ja) コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズの保存方法及びコンタクトレンズの製造方法
JP5731046B1 (ja) コンタクトレンズ用組成物
JP5700479B2 (ja) シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤
WO2021220712A1 (ja) 眼科組成物
JP5927045B2 (ja) 眼科用水性組成物
CN108697820B (zh) 抗棘阿米巴接触镜用溶剂
JP5587359B2 (ja) コンタクトレンズ用組成物
JP4981181B1 (ja) コンタクトレンズ用組成物
JP2009199074A (ja) ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体およびリン酸化合物を含有する亜塩素酸類化合物含有水性組成物
JP2021020856A (ja) 点眼剤
JP6616137B2 (ja) コンタクトレンズ用組成物
CN108853556A (zh) 一种含乳酸钠的硬性接触镜护理组合物及其制备方法
JP2009175731A (ja) グリセリンおよびリン酸化合物を含有する亜塩素酸類化合物含有水性組成物
JP2018138958A (ja) 液剤及びその使用方法
JP6401699B2 (ja) 両性イオン性ソフトコンタクトレンズ用眼科用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180928

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190219