(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づき説明する。図1および図2に示す電池パック1は、たとえば、電池に充電された電力によって駆動されるモータと内燃機関とを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いられる。電池パック1は、ケース2、複数の電池スタック3、送風機4、流体通路5、および集合ダクト8を備える。
ケース2は、送風機側壁部20、反送風機側壁部21、2つの接続壁部22、23、天壁24、底壁25を有している。以下、これら20〜25を「6壁面」と総称する。送風機側壁部20は、後述する送風機4に隣接した壁である。反送風機側壁部21は、後述する複数の電池セル7を介して送風機4とは反対側に形成されている壁である。2つの接続壁部22、23は、送風機側壁部20と反送風機側壁部21を接続する壁である。つまり、送風機側壁部20、反送風機側壁部21、および2つの接続壁部22、23によって、4方向が覆われて空間(以下、第1空間という)を形成している。2つの接続壁部22,23は、図1における上下方向が短辺であり、前後方向が長辺である。天壁24は、図2における上側から、第1空間を閉塞する壁面である。底壁25は、図2における下側から、第1空間を閉塞する壁面である。つまり、ケース2は、6壁面からなる箱形を呈している。6壁面によって囲まれた空間に後述する複数の電池スタック3および送風機4を収容している。また、ケース2は、アルミニウム板または鉄板の成形品で形成されている。なお、ケース2は、特許請求の範囲における「筐体」に相当する。
複数の電池スタック3は、複数の電池ケース6および複数の電池セル7を有する。電池スタック3は、所定の間隔をあけて送風機側壁部20から反送風機側壁部21へ向かう方向へ複数並べて配置されている。以下、この方向を並び方向という。
電池ケース6は、後述する複数の電池セル7を内部に収容している。各電池ケース6は、図1における天側が開口しており、地側が後述する集合ダクト8に接続されている。
複数の電池セル7は、充電および放電または温度調節に用いられる電子部品(図示せず)によって制御される。当該電子部品は、例えば、DC/DCコンバータ、送風機4を駆動するモータ、インバータによって制御される電子部品、各種の電子式制御装置等である。当該電子部品は、ケース2に収容される形態でもよいし、ケース2に直付けされて外部に設置される形態でもよい。各電池セル7は、負極端子と正極端子からなる電極端子71を有しており、隣り合う二つの電池セルにおける異極端子間は図示しないバスバによって電気的に接続されている。電池セル7は、電池ケース6内において、一方の接続壁部22から他方の接続壁部23に向かう方向に複数個積層されて配置されている。以下、この方向を積層方向という。
送風機4は、ケース2内に収容された複数の電池セル7を冷却するための流体を、後述する流体通路5に循環させる役割を担う。電池セル7を冷却するための流体としては、たとえば、空気、各種ガス、水、冷媒を用いることができる。送風機4は、特許請求の範囲における「流体循環手段」の一例に相当する。送風機4は、モータ41、モータ41により駆動されるシロッコファン42、シロッコファン42を内蔵するケーシング43を備え、送風機4の吹出口には送風ダクト44が接続されている。
シロッコファン42は、各図に図示するように、ケース2の内部空間の下部であってケース2の送風機側壁部20に近接するように設置されている。モータ41は、送風機側壁部20とシロッコファン42との間に設置されている。シロッコファン42の回転軸は、ケース2の天壁24及び底壁25の長手方向と平行になる姿勢で設置される。ケーシング43は、後述する流体通路5の一部である流入通路55および吹き出し通路56を形成する。送風ダクト44は、ケーシング43の上方に接続されて天壁24付近まで延設されており、ケース2の天壁24付近で開口する開口部45を有している。
送風ダクト44には、図示しない二股状のダクトが接続されている。二股状のダクトの一方は後述する接続壁側通路50に連通しており、他方は後述する接続壁側通路51に連通している。二股状のダクトによって流体を接続壁側通路50,51それぞれに送ることができる。
送風機4は、図示しない電池監視ユニットを含む制御装置によって制御される。電池セル7は、電流が取り出される出力時及び充電される入力時に自己発熱する。制御装置は、電池セル7の温度を常時モニターし、電池セル7の温度に基づいて送風機4の運転を制御する。
流体通路5は、複数の電池セル7を冷却するための流体が循環する経路である。流体通路5は、接続壁側通路50、51、天壁側通路52、底壁側通路53、複数のスタック内通路54、流入通路55、吹き出し通路56、反送風機側通路57を有する。接続壁側通路50,51は、それぞれ接続壁部22、23、複数の電池スタック3、送風機側壁部20、反送風機側壁部21および集合ダクト8によって囲まれた空間である。天壁側通路52は、天壁24、複数の電池スタック3、接続壁側通路50、51、送風機側壁部20および反送風機側壁部21によって囲まれた空間である。天壁側通路52は、積層方向および並び方向の双方向に直交する方向(以下、鉛直方向という)において電池セル7からみて電極端子71側に形成されている。底壁側通路53は、底壁25、後述する集合ダクト8、接続壁側通路50、51、送風機側壁部20および反送風機側壁部21によって囲まれた空間である。底壁側通路53は、鉛直方向において電池セル7からみて電極端子71と反対側(以下、反電極端子側という)に形成されている。
スタック内通路54は、隣り合う電池セル7の間に形成された空間である。流入通路55は、ケーシング43の吸込み口を含み、シロッコファン42の回転軸方向に延びるシロッコファン42の吸入部であり、シロッコファン42によって吸い込まれる空気が通る。
吹き出し通路56は、シロッコファン42の回転軸に直交するファンの遠心方向に延びる通路であり、送風機4の吐出部でもある。吹き出し通路56は、流入通路55に直交する方向に延びる通路である。
反送風機側通路57は、並び方向における反送風機側端部にある電池スタック3と、反送風機側壁部21との間に形成されている空間である。接続壁側通路50、51は天壁側通路52と連通している。天壁側通路52は、複数のスタック内通路54と連通している。複数のスタック内通路54は、底壁側通路53と連通している。反送風機側通路57は、2つの接続壁側通路50、51および天壁側通路52と連通している。2つの接続壁側通路50,51は、鉛直方向が短辺、並び方向が長辺となっている。
集合ダクト8は、各電池セル7の反電極端子側端部72と、流入通路55と、底壁25と、接続壁部22,23とを繋ぐダクトである。集合ダクト8は、電池スタック3の下方からケーシング43までにわたって底壁25に沿って延びており、流入通路55につながっている。また、集合ダクト8は、底壁側通路53と、接続壁側通路50,51との間の仕切り板としての役割も果たしている。つまり、集合ダクト8によって、底壁側通路53と、接続壁側通路50,51とは隔離されている。
次に、電池パック1内における流体の流れを説明する。吹き出し通路56から流出した流体は、接続壁側通路50,51を送風機側壁部20側から反送風機側壁部21側へ向かう方向に接続壁部22、23に沿って流れる。以下、接続壁側通路50,51を流体が流れる過程において、上流側を流れ方向上流側、下流側を流れ方向下流側という。接続壁側通路50,51を流れる流体のその後の流れは、天壁側通路52へ直接流入するものと、反送風機側通路57を経由してから天壁側通路52へ流入するものがある。そして、天壁側通路52からスタック内通路54へ流体は流入する。つまり、電池セル7からみて天壁側通路52は上流側の流体通路である。また、天壁側通路52においては、接続壁側通路50から天壁側通路52に流入した流体にとって、接続壁部22側が上流であり、接続壁部23側が下流である。一方で、接続壁側通路51から天壁側通路52に流入した流体にとって、接続壁部23側が上流であり、接続壁部22側が下流である。
スタック内通路54においては、電池セル7の電極端子71から反電極端子側端部72へ向かう方向に流体が流れる。主にスタック内通路54を流体が流れる過程において、流体は各電池セル7から熱を吸熱する。それによって、発熱した電池セル7は冷却される。スタック内通路54における反電極端子側端部72付近に達した流体は、底壁側通路53に流入する。つまり、電池セル7からみて底壁側通路53は下流側の通路である。
底壁側通路53においては、反送風機側壁部21側から送風機側壁部20側へ向かう方向に底壁25に沿って流れる。底壁側通路53を流下した流体は、流入通路55からシロッコファン42によって吸い込まれる。流体通路5を流れる過程において、流体は、2つの接続壁部22,23、天壁24、底壁25と接触する。したがって、流体は、2つの接続壁部22,23、天壁24、底壁25と熱交換を行う。接続壁側通路50、51に流れた流体が天壁側通路52へ流れてから底壁側通路53に流れるような一連の流れになる理由は、底壁側通路53が流入通路55と連通しており、いわば負圧領域となっているからである。
図3に示すように、一方の接続壁側通路50は、第1領域501および第2領域502を有する。第1領域501においては、対向する接続壁部22の内壁面から電池パック1内部に向かって複数のフィン221が突出形成されている。図1に示すように、第1領域501において形成されているフィン221は、電池スタック3の接続壁側通路50側の端部に近接するまで突出形成されている。具体的には、電池スタック3の接続壁側通路50側の端部とフィン221との間隔は、フィン221の突出長さより小さく、その隙間に多くの流体が流入することを抑制できるようになっている。なお、フィン221は接続壁部22の内壁面に一体的に形成してあってもよいし、別途接着等によって取り付けてもよい。第2領域502においては、接続壁部22から電池パック1内部に向かってフィン221が突出しておらず、壁面は平面である。なお、接続壁部22が、特許請求の範囲における「第1内壁面」および「内壁面」に相当し、接続壁側通路50が「第1流体通路」および「流体通路」に相当する。また、フィン221が特許請求の範囲における「第1フィン」および「フィン」に、第1領域501が「第1領域」に、第2領域502が「第2領域」にそれぞれ相当する。
第1領域501および第2領域502は、接続壁部22,23の壁面に垂直な方向から見て略三角形状を呈している。接続壁側通路50における流体流れ方向の上流側から下流側にいくにしたがって、第1領域501の鉛直方向の幅が徐々に大きくなっている。つまり、接続壁部22,23の面に垂直な方向から見て第1領域501と第2領域502との境界部503は斜面となっている。この境界部503は、複数のフィン221の上流側端部によって形成される流入面に相当する。
接続壁側通路50の下流側においては、第1領域501の鉛直方向の幅は、接続壁側通路50の鉛直方向の幅と等しい。また、接続壁側通路50における流体流れ方向の上流側から下流側にいくにしたがって、第2領域502の鉛直方向の幅が徐々に小さくなっている。接続壁側通路50の下流側において、第2領域502の鉛直方向の幅は、零となる。第1領域501は鉛直方向からみたときに、並び方向における一端の電池スタック3に対向する位置から、他端の電池スタック3に対向する位置まで形成されている。第1領域501は、積層方向からみたときに、吹き出し通路56より電池スタック3側に形成されている。
複数のフィン221は、ストレートフィンであって、互いに平行に所定の間隔をあけて形成されている。フィン221は、互いの間に流体が通過することで流体との熱交換を促進させるためのものである。ここでいうストレートフィンとは、略直線状のフィンのことを指す。フィン221はアルミニウムや鉄など比較的熱伝導性の良い材料で形成されている。なお、フィン221の種類としてはストレートフィンのほか、ルーバフィンなどでもよい。フィン221は、境界部503(流入面)から接続壁部22の天壁側端部222まで略直線状に形成されているものと、天壁側端部222まで形成されていないものがある。天壁側端部222まで形成されていないフィンは、接続壁側通路50の最下流域に存在する。また、複数のフィン間に流体が流入する入口である流入口223が、接続壁側通路50における流体流れ方向の上流側を向くように、かつ接続壁側通路50における流体流れ方向と非平行な方向を向くようにフィン221は傾斜している。つまり、流体が第1領域501(フィン221の流入口)に流入する方向(以下、流入方向という)と反対の方向が接続壁側通路50における流体流れ方向の上流側を向いている。したがって、各フィン221の長さは、接続壁側通路50の長辺の長さよりも短い。
流体は、第2領域から第1領域へ流入する。つまり、接続壁側通路50を流れる過程で境界部503(流入面)に設けた流入口223から第1領域501に流入する。第1領域501に流入した流体は、流入方向と平行にフィン221間を流下して流出口224から第1領域501を脱する。天壁側端部222まで形成されているフィンの間から第1領域501を脱した流体は、天壁側通路52に直接流入する。一方で、天壁側端部222まで形成されていないフィンの間から第1領域501を脱した流体は、反送風機側通路57へ流入してから天壁側通路52へ流入する。フィン221間を流れる過程で流体は、フィン221に対して熱を放熱する。なお、接続壁側通路50において、送風機側壁部20から反送風機側壁部21へ向かう方向が、特許請求の範囲における「流体の流れ方向」に相当する。また、鉛直方向が特許請求の範囲における「流体の流れ方向および第1内壁面の垂直方向の双方と直交する方向」に相当する。特許請求の範囲における「流入方向」とは、流体が第1領域501へ流入する方向であり、流入口223における流体の流れる方向を指す。
次に本実施形態の電池パック1がもたらす作用効果について説明する。
(1)流入口223の面積は、流体の流れ方向にみた第1流体通路の断面積より大きい。つまり、比較例と比べて第1領域501に流体が流入する流入口223の面積が大きい。そのため、比較例よりも多くの数のフィン221を形成することができ、どのフィン221にも送風機4から供給される温度の高い流体を流入させることができる。したがって、どのフィン221にも、外気との間に十分な温度差を持った流体を流入させることができるため、フィン数を増やすことによって比較例と同等の放熱面積を確保できる場合には、比較例と比べて放熱効率の向上が図れる。
(2)比較例のように、接続壁側通路50の全領域に流体流れ方向と平行に第1領域501、つまりフィン221を形成することによって、流体と接続壁部22の内壁面間における放熱面積を増やすことができる。ここで、流体から内壁面への放熱熱量は、放熱面積のほか、第1領域501に流入する流体の流量にも比例する。また、流量は流体の通過する断面積に比例するため、放熱性能を向上させるには、断面積を増加する必要がある。その点、比較例では流体の通過する断面積は、流体流れ方向における接続壁側通路50の断面積(以下、比較断面積という)と等しい。一方、本実施形態においては、第1領域501と第2領域502との境界部503の面積は、流体流れ方向からみた接続壁側通路50の断面積より大きく、かつ第1領域501への流入方向は流体流れ方向と平行でない。そのため、第1領域501を流体が通過する断面積は、比較断面積より大きくなる。したがって、本発明は、比較例と比べて、より多くの流量の流体を第1領域501に誘導することができ、放熱性能の向上が図れる。
(3)第1領域501への流体の流入方向は、接続壁側通路50における流体流れ方向と平行でなく、フィン221間における流体の流れる方向は流入方向と平行である。つまり、フィン221間を流体が流れる方向は接続壁側通路50における流体流れ方向と平行でない。また、接続壁側通路50は流体流れ方向が長辺である。そのため、比較例のように、接続壁側通路50に対向する接続壁部22全面に流体流れ方向と平行にフィンを形成する場合のフィンの長さと比較して、本実施形態のフィン221の長さは短くなる。よって、フィン221間を流体が流れる過程で、流体とフィン221との間で熱交換が行われて流体の温度が下がっていっても、比較例と比べると本実施形態においては、フィンの下流付近における流体と内壁面との温度差は十分大きい。そのため、フィンの下流側においても流体と内壁面との間での熱交換は十分行われる。したがって、第1領域501の占める空間体積を小さくしつつも、放熱効率を高めることができる。
(4)上述したように、比較例と比べてフィン221の長さは短い。そのため、フィン221間の流路の抵抗は比較例より小さい。したがって、比較例と比べて多くの流量の流体を第1領域501へ誘導することができ、放熱性能の向上が図れる。
(5)フィン221の流入口223は、接続壁側通路50における流体流れ方向の上流側を向くように、かつ接続壁側通路50における流体流れ方向と非平行な方向を向くように傾斜している。そのため、流入口223が接続壁側通路50における流体流れ方向と直交する方向を向く場合や、接続壁側通路50における流体流れ方向の下流側を向く場合と比較して、流入口223に流体が流入する際の流入抵抗が小さい。したがって、第1領域501にスムーズに流体を誘導することができ、ひいては放熱性能の向上が図れる。
(6)接続壁側通路50の下流側においては、第1領域501の鉛直方向の幅は、接続壁側通路50の鉛直方向の幅と等しい。そのため、接続壁側通路50を流れる流体は、接続壁側通路50の上流から最下流に達するまでに第1領域501に流入する。したがって、流体が接続壁側通路50の最下流に達するまでに第1領域501の鉛直方向の幅が、接続壁側通路50の鉛直方向の幅と等しくなることがない場合と比較して、第1領域501に流入しない流体を減少させることができる。ひいては、放熱性能の向上が図れる。
(7)電池スタック3の接続壁側通路50側の端部とフィン221との間隔は、フィン221の突出長さより小さく、その隙間に多くの流体が流入することを抑制できるようになっている。そのため、より確実に流体を第1領域501に導入させることができる。したがって、接続壁側通路50において、流体がフィン221と接触しないことを抑制でき、放熱性能の向上が図れる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について図に基づいて説明する。なお、第1実施形態と重複する部分については説明を簡略化または省略する。
図4に示すように、天壁側通路52は、第3領域521および第4領域522を有する。第3領域521においては、天壁24の内壁面から電池パック1の内部に向かって複数のフィン241が突出形成されている。図5に示すように、第3領域521において形成されているフィン241は、電池スタック3の天壁側通路52側の端部に近接するまで突出形成されている。具体的には、電池スタック3の天壁側通路52側の端部とフィン241との間隔は、フィン241の突出長さより小さく、その隙間に多くの流体が流入することを抑制できるようになっている。なお、フィン241は天壁24の内壁面に一体的に形成してあってもよいし、別途取り付けてもよい。第4領域522においては、天壁24から電池パック1内部に向かってフィン221が突出しておらず、壁面は平面である。なお、天壁24が、特許請求の範囲における「第2内壁面」に相当し、天壁側通路52が「第2流体通路」に相当する。また、フィン241が特許請求の範囲における「第2フィン」に、第3領域521が「第3領域」にそれぞれ相当する。
第3領域521および第4領域522は、天壁24の壁面に垂直な方向から見て略三角形状を呈している。第3領域521は、第1領域501と連続して形成されている。第4領域522は、天壁側通路52における第3領域521以外の部分である。ここでいう連続とは、フィン221とフィン241との間に間隙が形成されていないことをいう。天壁24の壁面に垂直な方向から見たときに、第3領域521は接続壁側通路50側に形成されている。一方で、天壁24の壁面に垂直な方向から見たときに、第4領域522は接続壁側通路51側に形成されている。接続壁側通路50から天壁側通路52に流入した流体にとっての天壁側通路52における上流側である接続壁部22側から、下流側である接続壁部23側にいくにしたがって、第3領域521の並び方向の幅は徐々に小さくなる。以下、鉛直方向から見たときの第3領域521の3辺のうち、接続壁部22側を第1辺、送風機側壁部20側を第2辺、反送風機側壁部21側を第3辺と称する。
複数のフィン241は、ストレートフィンであって、互いに平行に所定の間隔をあけて形成されている。フィン241は、互いの間を流体が通過することで流体との熱交換を促進させるためのものである。ここでいうストレートフィンとは、略直線状のフィンのことを指す。なお、フィン241の種類としては、ルーバフィンなどでもよい。フィン241はアルミニウムや鉄など比較的熱伝導性の良い材料で形成されている。フィン241は、第1辺から第3辺まで略直線状に形成されている。また、鉛直方向から見たときの、フィン241の積層方向に対する傾き角度βは、フィン221の鉛直方向に対する傾き角度αと同じ角度である。図5に示すように、積層方向から見たときの鉛直方向に対するフィン241の傾き角度γは、フィン221の鉛直方向に対する傾き角度αと同じ角度である。つまり、積層方向から見たときの鉛直方向に対するフィン241の傾き角度γは、鉛直方向から見たときの、フィン241の積層方向に対する傾き角度βと等しい。
天壁側端部222において、フィン241はフィン221の積層方向から見た形成位置に対向する位置に形成されている。つまり、第1領域501における流体の流路となるフィン221の間の空間と、第3領域521における流体の流路となるフィン241の間の空間は、互いに対向した位置に形成されている。
図6に示すように、フィン221のうち、フィン221間を通って流体が直接天壁側通路52へ流れない箇所のフィンは、第1領域501における複数のフィン221のうち最長のフィン225と同じ長さだけ形成されている。
次に、第1領域501および第3領域521における流体の流れについて図7に基づいて説明する。第1領域501を流下した流体は、各フィン221の間の空間と対向したフィン241間の空間に流入する。それによって、流体は第3領域521に流入したことになる。第3領域521を流下した流体は、第3辺から第3領域521を脱し、適宜、スタック内通路54に流入する。もちろん、第3辺に達する前に、第3領域521を流れる途中でスタック内通路54に流入する流体も存在する。フィン241間を流れる過程で、流体はフィン241に対して熱を放熱する。
第1領域501における流体の経路長と、各経路に対向する位置に形成された、第3領域521における流体の経路長の和は、第1領域501のどの流入口から流体が流入したかによらず等しい。つまり、第1領域501の流入口から流体が流入してから、第3領域521の第3辺から流体が流出までの流体が通過する距離が流入口によらず等しい。なお、この場合の「等しい」とは完全一致でなくとも、後述するように、流入口223の位置によって通風抵抗のばらつきが所定範囲内となる程度に同じであればよい。所定範囲は、電池パック1の性能上、適宜設定される数値範囲である。
次に、本実施形態の電池パック1がもたらす作用効果について説明する。
(1)一般に流体の経路長が短い経路ほど流通抵抗は小さい。そのため、第1実施形態の第1領域501のように流体の経路長が流入口の位置によって異なる場合、経路長の短い経路、つまり図3における領域Aに集中的に流体が流入する可能性がある。この場合、第1領域501における経路長が長い経路、つまり図3における領域Bでの熱交換を促進させることができず、非効率である。そこで本実施形態においては、第1領域501における流体の経路長と、各経路に対向する位置に形成された、第3領域521における流体の経路長の和は、第1領域501のどの流入口から流体が流入したかによらず等しい。そのため、流入口の位置による流通抵抗のばらつきを抑制でき、特定の流入口に流体が集中的に流入することを防止できる。したがって、第1領域501に形成されているフィン221全体を効率的に活用でき、放熱性能を向上することができる。
(2)積層方向から見たときに、フィン241は、フィン221の鉛直方向に対する傾きと同じ角度傾いて形成されている。そのため、傾きが異なる場合と比較して、第1領域501から第3領域521へスムーズに流体を誘導することができる。したがって、放熱性能を向上することができる。
(3)本実施形態では、第1領域501に加え、第3領域521を形成した。そのため、第1実施形態と比較して、流体との熱交換用のフィンが多く形成されている。したがって、第1実施形態と比較して放熱性能の向上が図れる。
(4)電池スタック3の天壁側通路52側の端部とフィン241との間隔は、フィン241の突出長さより小さく、その隙間に多くの流体が流入することを抑制できるようになっている。そのため、より確実に流体を第3領域521に導入させることができる。したがって、天壁側通路52において、流体がフィン241と接触しないことを抑制でき、放熱性能の向上が図れる。
その他、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について図11〜18に基づいて説明する。なお、先述した実施形態と重複する部分については説明を簡略化または省略する。
本実施形態に係る電池パックにおいては、ケース2の内面に、内部フィン150(151、152)が、またケース2の外面に外部フィン160(161、162)が設けられている(図11、図12)。さらに、ケース2の外面には外部ダクト170および外部送風機172が取り付けられている(図13)。外部フィン160は、外部ダクト170の内部に位置する。外部送風機172は、ケース2外部の空気を外部ダクト170へ送風する。
尚、本実施形態では、図11〜図13において、Frは車両前方側を示し、Rrは車両後方側を示し、RHは車両右側を示し、LHは車両左側を示している。電池パック100における方向を示す際に、Fr−Rrの方向を前後方向、RH−LHの方向を左右方向と呼ぶことにする。また、重力の作用方向を上下方向と呼ぶことにする。
内部フィン150は、図11に示すように、ケース2の内側に設けられた熱交換促進用のフィンであり、第1内部フィン151、および第2内部フィン152を有している。各内部フィン151、152は、熱伝導性に優れるアルミニウム材、あるいは鉄材等から形成されている。
第1内部フィン151は、ケース2の前後方向を向く中心線に対して対称となるように接続壁部22側と、接続壁部23側とに設けられている。また、第2内部フィン152は、ケース2の前後方向を向く中心線に対して対称となるように、天壁24の接続壁部22側、および接続壁部23側となる2箇所に設けられている。第1内部フィン151が特許請求の範囲における「第1フィン」および「フィン」に、第2内部フィン152が「第2フィン」にそれぞれ相当する。
ここでは、各内部フィン151、152は、例えば、流体に対する流通抵抗を比較的小さく設定することのできるストレートフィンが採用されている。ストレートフィンは、薄肉板状の基板部から垂直に突出する薄肉板状のフィン部が平行となるように多数並び、各フィン部の間に流体用の通路が形成されるフィンとなっている。尚、各内部フィン151、152としては、上記ストレートフィンに限らず、他のコルゲートフィン(ルーバあり、なし)、オフセットフィン等とすることもできる。
第1内部フィン151の基板部は、細長い直角三角形状A、B、Cを成しており、角A−B−Cがほぼ直角となっている。前後方向に延びる長辺A−Bの長さは、電池スタック3の積層方向長さと同等に設定されている。また、上下方向に延びる短辺B−Cの長さは、接続壁部22、23の上下方向の寸法に対して多少小さく成るように設定されている。基板部は、前後方向の位置が、電池スタック3の位置に対応するように配置されている。そして、短辺B−Cが反送風機側壁部21側に位置し、短辺B−Cに対向する頂角B−A−Cが送風機側壁部20側に位置し、長辺A−Bが接続壁部22、23の上側の辺に沿うように配置されている。基板部は、接続壁部22、23の内側の面にそれぞれ接合されている。よって、基板部の斜辺C−Aは、送風機側壁部20側から反送風機側壁部21側に向けて、下方向に傾斜する辺となっている。
第1内部フィン151のフィン部は、基板部から複数の電池セル7側に向けて垂直に突出しており、フィン部の内部により多くの流体が流通するように、突出した先端部は複数の電池セル7の側面に近接する位置まで延びている。またフィン部の板面は、上下方向に対して、下側から上側に向けて、反送風機側壁部21側に傾くように設定されている。また、フィン部による流体通路の長さは、送風機側壁部20側から反送風機側壁部21側に向かうほど、長くなっている。
一方、第2内部フィン152の基板部は、細長い三角形状D、E、Fを成している。前後方向に延びる長辺D−Eの長さは、第1内部フィン151の基板部の長辺A−Bと同等に設定されている。第2内部フィン152の基板部は、前後方向の位置が、第1内部フィン151の位置に対応するように配置されている。そして、短辺E−Fが送風機側壁部20側に位置し、また短辺E−Fに対向する頂角E−D−Fが反送風機側壁部21側に位置し、長辺D−Eが天壁24における前後方向の辺に沿うように配置される。第2内部フィン152の基板部は、第1内部フィン151のフィン部と隣り合うように、天壁24の内側の面に接合されている。
第2内部フィン152のフィン部は、基板部から複数の電池セル7側に向けて垂直に突出しており、フィン部の内部により多くの流体が流通するように、突出した先端部は、複数の電池セル7の上面に近接する位置まで延びている。またフィン部の板面は、左右方向に対して、ケース2の中心側に向かうほど、反送風機側壁部21側に傾くように設定されている。フィン部による流体通路の長さは、送風機側壁部20側から反送風機側壁部21側に向かうほど、短くなっている。そして、第2内部フィン152のフィン部による流体通路は、第1内部フィン151のフィン部による流体通路と連続するように接続されている。
外部フィン160は、図12に示すように、ケース2の外側に設けられた熱交換促進用のフィンであり、第1外部フィン161、および第2外部フィン162を有している。各外部フィン161、162は、熱伝導性に優れるアルミニウム材、あるいは鉄材等から形成されている。
第1外部フィン161は、ケース2の前後方向を向く中心線に対して対称となるように接続壁部22側と、接続壁部23側とに設けられている。また、第2外部フィン162は、ケース2の前後方向を向く中心線に対して対称となるように、天壁24の接続壁部22側、および接続壁部23側となる2箇所に設けられている。
ここでは、各外部フィン161、162は、例えば、流体に対する流熱伝達性能を比較的大きく設定することのできるコルゲートフィンが採用されている(図14)。コルゲートフィンは、全体形状が波状を成して、波状の互いに対向する面には多数のルーバ160aが形成されている。波状の互いに対向する面の間には流体用の通路であるコルゲート通路160bが形成される。また、コルゲート通路160bを流通する流体の一部は、波状の板面を貫通する方向にルーバ160aを通過して流れる。コルゲート通路160bを流体が流通する方向であってコルゲート通路160bが延びる方向と、波の連続する方向Laとは直交する。
第1外部フィン161は、複数本(ここでは2本)が一組となって設けられている。第1外部フィン161は、接続壁部22、23において、第1内部フィン151と対応する領域内で、波の連続する方向(La)が前後方向を向くように、且つ、多少、反送風機側壁部21側にオフセットされるように配置されている。
第2外部フィン162は、複数本(ここでは2本)が一組となって設けられている。第2外部フィン162は、天壁24の接続壁部22、23側において、第2内部フィン152と対応する領域内で、波の連続する方向が前後方向を向くように、且つ、第1外部フィン161よりも多少、送風機側壁部20側となるように配置されている。
外部ダクト170は、図13および図15に示すように、冷却用の流体を、ケース2の外側表面に沿うように流通させるダクトとなっている。冷却用の流体は、例えば、車室内の空調された空気(冷房された冷却空気)が使用される。
外部ダクト170は、断面形状が扁平に形成されて、ケース2の外側表面、具体的には、接続壁部22、23領域、天壁24の接続壁部22、23側の領域、および送風機側壁部20領域に設けられている。外部ダクト170は、各外部フィン161、162を内包する(覆う)ように形成されている。外部ダクト170の内部は、主に、接続壁部22、23領域、天壁24の接続壁部22、23側領域、および送風機側壁部20領域の順に繋がる流路となっている。
外部ダクト170の反送風機側壁部21側の両端部(接続壁部22、23側)が、空調空気を吸い込む吸込み部となっている。そして、この吸込み部の直後となる下流側には、吸込んだ空調空気を第1外部フィン161の下側、および第2外部フィン162のケース2中央側に分流させる風向装置171が設けられている。
また、外部ダクト170の送風機側壁部20側の中央には、外部送風機172が設けられており、外部送風機172の上部、および下部が空調空気を吹出す吹出し部となっている。外部送風機172には、例えば、ターボファンが使用されている。
図16は、接続壁部22を内側から見た模式図であり、図中の一点鎖線は、第1外部フィン161、外部ダクト170および風向装置171が接続壁部22に取り付けられる位置を示す。図15および図16に例示するように、接続壁部22、23のうち、第1内部フィン151が設けられている範囲を内部フィン範囲A1とする。また、接続壁部22、23のうち、外部ダクト170で覆われている部分を外部ダクト範囲A2とする。
そして本実施形態では、内部フィン範囲A1の全体が外部ダクト範囲A2に含まれるよう、第1外部フィン161および外部ダクト170が配置されている。さらに、天壁24のうち第2内部フィン152が設けられている範囲の全体が、天壁24のうち外部ダクト170で覆われている部分と重複する。つまり、ケース2のうち内部フィン150が設けられている範囲の全体が外部ダクト170で覆われている。
また、第1外部フィン161は、接続壁部22、23の壁面に対して垂直方向から見て、第1内部フィン151と重複する位置に配置されている。具体的には、第1外部フィン161の全体が、第1内部フィン151と重複する。第2外部フィン162は、天壁24の壁面に対して垂直方向から見て、第2内部フィン152と重複する位置に配置されている。具体的には、第2外部フィン162の全体が、第2内部フィン152と重複する。
以上のように構成される電池パック100の作動について、図16〜図18を参照しながら説明する。
電池セル7は、電流が取り出される出力時、および充電される入力時に自己発熱する。また、電池セル7は、季節に応じてケース2外部の温度の影響を受ける。電池管理ユニットは、温度検出器によって電池パック100内の電池セル7の温度を常時モニターし、電池セル7の温度に基づいて各送風機4、および外部送風機172の作動を制御するようになっている。なお、上記第1実施形態では、ケース2内に収容された全ての電池セル7に対して、1つの送風機4で流体を循環させていたが、本実施形態では、2つの送風機4で循環させている。具体的には、ケース2内に形成された流体通路5のうち、接続壁部22側の領域と接続壁部23の領域とを、各送風機4で分担して循環させる。
送風機4の吹出口には送風ダクト46が接続されている。図11に示すように、送風ダクト46は、送風機4から吹き出された流体を接続壁側通路50、51へ導く。接続壁側通路50、51は、ケース2の接続壁部22、23(内壁面)と電池セル7との間に形成される通路であって、接続壁部22に沿って所定方向に延びる流体通路に相当する。上記所定方向とは、図11に示す前後方向のことであり、上記第1実施形態に係る流れ方向および並び方向に相当する。
送風ダクト46の吹出口46aは、送風ダクト46の所定方向に交差する方向に接続壁部22、23に沿って延びる形状であり、かつ、所定方向へ流体を吹き出す向きに配置される。吹出口46aは、所定方向へ流体を吹き出す向きに配置されている。要するに、吹出口46aからの流体の吹出方向D1(図11、図16参照)は、接続壁側通路50、51の長手方向(所定方向)と一致する。また、吹出口46aは、所定方向に交差する方向(通路幅方向)に接続壁部22、23に沿って延びる形状である。図11の例では、通路幅方向は上下方向である。
そして、吹出口46aから流出する流体が、複数の第1内部フィン151の上流側端部によって形成される流入面、つまり境界部503に対して、斜めに流入するように構成されている。そして、複数の第1内部フィン151間を流れる流体の流通方向は、吹出方向D1に対して交差する。換言すると、第1内部フィン151の長手方向が、吹出方向D1に対して交差するよう、第1内部フィン151の向きは設定されている。
電池管理ユニットは、電池セル7の温度に応じて、各送風機4に電圧を印加して、シロッコファン42を作動させる。また、電池セル7の温度が所定温度以上であれば、各送風機4と共に外部送風機172を作動させる場合がある。
具体的には、電池管理ユニットは、外部送風機172を停止させつつ各送風機4を作動させる低放熱モードと、外部送風機172および各送風機4の両方を作動させる高放熱モードとに切り替える。
上記のように、低放熱モードにおいて、各送風機4のみが作動された場合、ケース2内における内部の流体は、図17に示すように流体通路を循環する。
即ち、各送風機4から吹出される流体は、それぞれ接続壁側通路50、および接続壁側通路51に流入する。そして、各接続壁側通路50、51に流入した流体は、第1内部フィン151の傾斜配置されたフィン部に沿って、下側(底壁25側)から上側(天壁24側)に向けてスムーズに流れる。各接続壁側通路50、51は、各接続壁側通路50、51の長辺に沿って長く延びる断面扁平な通路となっている。流体が流通する際の入口断面積としては、他の天壁側通路52、スタック内通路54、および底壁側通路53よりも小さくなっており、流体の流速がある程度得られ、ここでは、動圧が主体的な場となる。よって、各接続壁側通路50、51において、流速を伴う流体の熱は、第1内部フィン151に効果的に伝達され、更に接続壁部22、23を介して外部に放出される。
次に、流体は、第1内部フィン151と連続的に接続される第2内部フィン152のフィン部にスムーズに流れ、このフィン部に沿って、天壁側通路52に流入する。天壁側に流入する際の入口断面積は、上記接続壁側通路50、51に流入する際の入口断面積よりも格段に大きくなっており、流体の流速は小さく、ここでは、静圧が主体的な場となる。よって、各接続壁側通路50、51側から天壁側通路52に流入した流体は、天壁側通路52内に均等に拡がる。
図17に示すように、接続壁側通路50から天壁側通路52内に流入した流体は、主に接続壁部22側の2つの電池スタック3の領域に拡がる。また、接続壁側通路51から天壁側通路52内に流入した流体は、主に接続壁部23側の2つの電池スタック3の領域に拡がる。そして、天壁側通路52内に流入した流体の熱は、第2内部フィン152から天壁24へ伝達され、あるいは天壁24に直接的に伝達され、外部に放出される。
次に、天壁側通路52内に流入した流体は、各電池セル7の間に形成されたスタック内通路54を通り、底壁側通路53に至る。ここで、各接続壁側通路50、51、および天壁側通路52は、各送風機4の吹出しによって、陽圧空間となる。また、底壁側通路53は、各送風機4の吸込みによって陰圧空間となり、両者の圧力差によって、天壁側通路52側から底壁側通路53側への流体の移動が継続的に行われることになる。そして、流体がスタック内通路54を通る際に、各電池セル7の熱が流体に伝達される。
次に、底壁側通路53に流入した流体は、各梁118の長手方向に沿うように移動して、各送風機4の吸込み口に至る。そして、底壁側通路53内に流入した流体の熱は、底壁25に伝達され、外部に放出される。
なお、送風機4から吹出された流体の全量が、各接続壁側通路50、51、天壁側通路52、スタック内通路54、底壁側通路53を順に流通するように流体通路5は形成されている。つまり、これらの通路をバイパスして流体が流れることのないよう、流体通路5は形成されている。
上記のように、ケース2内の流体通路5を流体が循環することで、主に、面積の広い天壁24、および底壁25から流体の熱、即ち電池セル7の熱が外部に放出される。このとき、各内部フィン151、152によって、熱交換が促進されるようになっている。よって、各電池セル7は、適切な温度に調節される。
また、上記のように、高放熱モードでは、各送風機4の作動に加えて、外部ダクト170における外部送風機172が作動される。この場合は、車室内の空調空気が外部ダクト170の吸込み部から外部ダクト170内に吸込まれる。
吸込み口から吸込まれた空調空気は、図18に示すように、風向装置171によって、分流され、第1外部フィン161の下側と、第2外部フィン162のケース2の中央側に向け分流される。そして、それぞれの流れは、各外部フィン161、162を横切るようにコルゲート通路160bを通過し、合流通路部175で合流して、外部送風機172の上下部に設けられた吹出し部から吹出される。
このとき、ケース2内の流体の熱は、各内部フィン151、152、接続壁部22、23、天壁24、各外部フィン161、162を介して空調空気に伝達されて、外部に放出される。よって、ケース2内の流体の熱は、各内部フィン151、152に加えて、各外部フィン161,162によって、熱交換が更に促進されるようになっている。そして、各電池セル7は、短時間で適切な温度に強制冷却される。
外部フィン160に沿う空調空気の流れについて、より詳細に説明する。風向装置171によって下側に分流された流体は、外部ダクト170と接続壁部22に囲まれた接続壁外部通路173に流入し、2つの第1外部フィン161を直列に通過する。風向装置171によって上側に分流された流体は、外部ダクト170と天壁24に囲まれた天壁側外部通路174に流入し、2つの第2外部フィン162を直列に通過する。
接続壁外部通路173および天壁側外部通路174から流出した流体は、外部ダクト170と接続壁部22に囲まれた合流通路部175へ流入して合流する。つまり、第1外部フィン161および第2外部フィン162を流体は並列に通過する。合流通路部175は、接続壁部22、23の長手方向に沿って水平に延びる形状である。換言すれば、2つの第1外部フィン161のうちの下流側に位置する第1外部フィン161は、コルゲートの方向Laが接続壁部22、23の長手方向に沿って水平に延びる向きとなるように配置されている。
以上により、本実施形態によれば、吹出口46aが、接続壁部22、23の通路幅方向に延びる形状であり、かつ、接続壁部22、23の長手方向(所定方向)へ流体を吹き出す向きに配置されている。そのため、接続壁側通路50、51のうち第1フィン221に対して上流側に位置する部分では、通路幅方向の全体に亘って所定方向へ流体が流れる(図16参照)。そして、このように流れた流体は、その後、第1フィン221の流入面に対して斜めに流入する。そして、フィン間を流通する流体が吹出方向D1(所定方向)に対して斜めになる向きに第1フィン221は配置されている。そのため、フィンピッチを比較例(図10)に係るフィンピッチと同じにしつつも、比較例よりも多くの数の第1フィン221を形成することができる。
ここで、第1フィン221のうちの上流部分では流体と外気との温度差が大きいため、単位面積当りの放熱量が多く、放熱効率が良い。一方、第1フィン221のうちの下流部分では、上流部分に比べて放熱効率が悪い。この点に着目すると、本実施形態では、先述したようにフィン数を多くできるので、放熱効率の良い部分を増やすことができ、放熱効率を向上できる。
さらに本実施形態では、外部フィン160、外部ダクト170および外部送風機172を備えるので、ケース2内の流体の熱は、各内部フィン151、152に加えて、各外部フィン161,162によって、熱交換が更に促進される。よって、短時間で適切な温度に冷却させることを促進できる。
さらに本実施形態によれば、ケース2のうち内部フィン範囲A1の全体が、外部ダクト範囲A2に含まれている。そのため、第1内部フィン151を通じてケース2に伝わった熱が、第1外部フィン161に伝わり易くなる。そして、第1外部フィン161に伝わった熱は、外部送風機172により外部ダクト170を流通する空気(空調空気)と熱交換して放熱されることとなる。よって、単位時間あたりの放熱量を増大でき、電池セル7の冷却を促進できる。このような放熱量増大の効果は、高放熱モードで外部送風機172を作動させた際に特に顕著に発揮される。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、内部フィン範囲A1の全体が、外部ダクト範囲A2に含まれている。これに対し本実施形態では、図19および図20に示すように、内部フィン範囲A1の全体が、外部ダクト範囲A2の外に位置する。さらに、天壁24のうち第2内部フィン152が設けられている範囲の全体が、天壁24のうち外部ダクト170で覆われている範囲の外に位置する。つまり、ケース2のうち内部フィン150が設けられている範囲の全体が外部ダクト170の外に位置する。
また、第1外部フィン161は、接続壁部22、23の壁面に対して垂直方向から見て、第1内部フィン151から外れた位置に配置されている。具体的には、第1外部フィン161の全体が、第1内部フィン151から外れた位置に配置される。第2外部フィン162は、天壁24の壁面に対して垂直方向から見て、第2内部フィン152から外れた位置に配置されている。具体的には、第2外部フィン162の全体が、第2内部フィン152から外れた位置に配置される。
先述したように、高放熱モードでは、各送風機4を作動させるとともに、外部送風機172を作動させる。一方、低放熱モードでは、各送風機4を作動させる一方で外部送風機172を停止させる。
さて、外部送風機172はケース2の外部に配置されており、外部送風機172の吸込口および吹出口はケース2の外部に開放されているため、内部の送風機4に比べて騒音がユーザに聞こえやすくなる。この点を鑑み、電池セル7の温度が所定温度よりも低い場合には、上述の如く外部送風機172を停止させることは、騒音低下の点で望ましい。しかしながら、外部送風機172を停止させている状況下では、外部ダクト170に空気が流れないため、外部ダクト170内で高温の空気が溜まってしまい、外部ダクト170がケース2からの放熱の妨げとなる。
この点を鑑みた本実施形態では、内部フィン範囲A1の全体が、外部ダクト範囲A2の外に位置する。そのため、外部送風機172を停止させている状況下において、外部ダクト170がケース2からの放熱の妨げとなることを抑制できる。よって、外部送風機172の停止時において、ケース2からの放熱量を増大できる。
(第5実施形態)
上記第3実施形態では、内部フィン範囲A1の全体が、外部ダクト範囲A2に含まれている。これに対し本実施形態では、図21および図22に示すように、内部フィン範囲A1が部分的に、外部ダクト範囲A2に含まれている。さらに、天壁24のうち第2内部フィン152が設けられている範囲が部分的に、天壁24のうち外部ダクト170で覆われている範囲に含まれている。つまり、ケース2のうち内部フィン150が設けられている範囲が部分的に外部ダクト170の範囲に含まれている。
また、第2外部フィン161は、接続壁部22、23の壁面に対して垂直方向から見て、第1内部フィン151と部分的に重複する位置に配置されている。具体的には、第1外部フィン161が部分的に、第1内部フィン151と重複する位置に配置される。第2外部フィン162は、天壁24の壁面に対して垂直方向から見て、第2内部フィン152と部分的に重複する位置に配置されている。
以上により、本実施形態によれば、内部フィン範囲A1が部分的に、外部ダクト範囲A2に含まれている。そのため、外部送風機172を停止させている状況下においては、内部フィン範囲A1の全体が外部ダクト範囲A2に位置する場合に比べて、外部ダクト170がケース2からの放熱の妨げとなることを抑制できる。それでいて、外部送風機172を作動させている状況下においては、内部フィン範囲A1の全体が外部ダクト範囲A2の外に位置する場合に比べて、第1内部フィン151を通じてケース2に伝わった熱が、第1外部フィン161に伝わり易くなる。よって、ケース2からの放熱量を増大できる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り、以下のように変形させてもよい。
・上記第1実施形態においては、接続壁側通路50に第1領域501が形成されているが、流体通路5の少なくとも一つに形成されていればよい。
・上記第1実施形態においては、第1領域501内を流体は流入方向と略平行に天壁側端部222まで流れるが、その途中で湾曲等して平行でない箇所があってもよい。
・上記第1実施形態においては、接続壁側通路50の下流端50Aにおいては、第1領域501の鉛直方向の幅は、接続壁側通路50の鉛直方向の幅と等しい。しかし、図8に示すように、接続壁側通路50の下流端50Aにおいて、第1領域501の鉛直方向の幅は、接続壁側通路50の鉛直方向の幅より小さくてもよい。この場合、第1領域501の反送風機側壁部21側の端部と底壁25との間に詰め部材9が配置されている。詰め部材9は、第1領域501の反送風機側壁部21側の端部と底壁25との間に流体が流入することを防ぐためのものであり、材質は問わない。
・上記実施形態においては、第1領域501および第3領域521はそれぞれ特定の方向から見たときに略三角形状を呈しているが、図9に示すように、階段形状となっていてもよい。
・上記実施形態においては、フィン221、241としてプレートフィンの例を示したが、流体が流入口223に流入する流入方向と略平行にフィン間を通過できれば、ルーバフィンなど他の種類のフィンでもよい。
・上記第2実施形態においては、積層方向から見たときの第1領域501の形状が第1実施形態における略三角形状とは異なるが、第1実施形態と同一形状としてもよい。
・上記第2実施形態においては、第3領域521は第1領域501と連続して形成されているが、近接していてもよい。この場合、第3領域521と第1領域501との間に一部、第4領域522が存在することとなる。
・上記第2実施形態においては、傾き角度α、β、γがすべて同じ角度であるが、異なっていてもよい。
・上記第3実施形態に係る外部フィン160は、ルーバ160aが形成されたコルゲートフィンであるが、ルーバ160aに替えてスリットが形成されたコルゲートフィンであってもよいし、ルーバ160aが形成されていないコルゲートフィンであってもよい。また、外部フィン160は、内部フィン151、152のようなストレートフィンであってもよい。
・第1フィン221および内部フィン150は、ストレートフィンに限定されるものではなく、例えばピン形状のフィンであってもよいし、コルゲートフィンであってもよい。
・ケース2の内部に設けられる送風機4が内蔵するファンには、上記第1実施形態に記載するシロッコファンの他、軸流ファン、ターボファン等を用いることができる。
・前述の各実施形態におけるフィン221、241、内部フィン150及び外部フィン160は、ケース2の壁に対して別体の部品であるフィンを固定したものでもよいし、ケース2の壁の一部をフィン形状に形成してフィンとするものでもよい。
・前述の各実施形態では、ケース2は6面体、直方体を形成するが、発明に含まれる筐体はこの形状に限定されない。例えば、ケース2は、6面を超える多面体であってもよいし、少なくとも一つの面が曲面を含む面であってもよい。また、ケース2は、天壁が湾曲面を含むドーム状に形成されてもよいし、筐体の縦断面形状が台形状を呈するものでもよい。また、ケース2において天壁は、底壁に対して対向する位置関係にある壁であり、その形状は平面、曲面のいずれの形状を含むものでもよい。また、ケース2において側壁は、底壁に対して交差する方向に底壁から延びる壁であってもよいし、天壁に対して交差する方向に天壁から延びる壁であってもよい。ケース2における天壁と側壁との境界部は角部を形成してもよいし、曲面を形成してもよい。ケース2における底壁と側壁との境界部は角部を形成してもよいし、曲面を形成してもよい。
・前述の各実施形態では、電池パックに含まれる電池スタック3は、4個であるが、この個数に限定されない。すなわち、電池パックに含まれる電池スタック3は、筐体の内部において、1個だけ収容される場合、一方向に複数個並んで設置される場合、当該一方向と交差する他の方向にも複数個並んで設置される場合も含むものである。
・前述の各実施形態では、電極端子71が天壁24に対向する向きに、電池スタック3をケース2内に配置している。これに対し、電極端子71が送風機側壁部20、反送風機側壁部21または接続壁部22、23に対向する向きに、電池スタック3をケース2内に配置してもよい。