JP2015217637A - フィルム材、該フィルム材を用いた容器および該フィルム材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラミネートフィルムのヒートシール性およびヒートシール外観を向上させる。
【解決手段】本発明に係るラミネートフィルム20は、シーラントフィルム21の表面に、接着剤層22および基材フィルム23が積層されたものである。シーラントフィルム21の表面の一部に融着対象物に対して融着される露出領域21aが形成されており、基材フィルム23の融点が、シーラントフィルム21の融点よりも50℃以上高い。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係るラミネートフィルム20は、シーラントフィルム21の表面に、接着剤層22および基材フィルム23が積層されたものである。シーラントフィルム21の表面の一部に融着対象物に対して融着される露出領域21aが形成されており、基材フィルム23の融点が、シーラントフィルム21の融点よりも50℃以上高い。
【選択図】図2
Description
本発明は、フィルム材、該フィルム材から構成される容器、および、該フィルム材を製造するフィルム材の製造方法に関する。
一般に、シャンプーやリンス、ハンドソープなどの液状物を収容する詰め替え用の容器や、ゼリーなどのようなゲル状の飲食物を収容する容器として、軟質フィルムからなる袋状の折り畳み可能なパウチ容器が広く実用化されている。
このようなパウチ容器に用いられる軟質フィルムとして、例えば特許文献1には、熱溶融性樹脂を用いた押出溶融ラミネート法によって、外層の透明シートに内層の基材シートを部分的に融着したラミネートフィルムが開示されている。また、特許文献2には、接着剤を用いたドライラミネート法によって、第2ウェブ基材に第1ウェブ基材を部分的に接着したラミネートフィルムが開示されている。さらに、特許文献3には、透明な下層フィルムの表面に、該下層フィルムよりも細幅の上層フィルムを接着してなるラミネートフィルムが開示されている。
また、このようなラミネートフィルムに関連する技術として、スカイブ処理を施した紙材からなるパウチ容器も提案されている(特許文献4)。
しかしながら、上述のような従来のラミネートフィルムでは、以下のような問題がある。
すなわち、特許文献1では、加工温度が高い押出溶融ラミネート法によって透明シートと基材シートとを融着しているため、シートを構成する樹脂が酸化(劣化)し易いという課題がある。
また、特許文献2では、第2ウェブ基材の全面に接着剤層が形成されているため接着剤の糊残りが多く、仮にこの第2ウェブ基材の表面をヒートシールに用いた場合、第2ウェブ基材の表面に形成された接着剤層を介してヒートシールされるので、シール強度が低下するという問題が生じる。
さらに、特許文献3は、透明な下層フィルムの表面に上層フィルムを部分的に接着することで、上層フィルムが接着されていない下層フィルムの露出部分を通して被包装物を視認する技術であり、下層フィルムの露出部分がヒートシールに用いられる構成ではない。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、シーラントフィルムの表面に接着剤層および基材フィルムが部分的にラミネートされたフィルム材であって、シーラントフィルムの表面におけるヒートシール性を向上させたフィルム材を実現することができる。
上記の課題を解決するために、本発明に係るフィルム材は、シーラントフィルムの第1面(シーラントフィルムのいずれかの面)の上に、少なくとも接着剤層および基材フィルムが積層されており、前記シーラントフィルムの前記第1面の一部に、前記接着剤層および前記基材フィルムが積層されていない露出領域が形成されており、前記露出領域は、融着対象物に対して融着されるためのものであり、前記基材フィルムの表層(前記基材フィルムが多層構造である場合、前記基材フィルムの前記接着層との当接面と反対側の面をなす層)を構成する樹脂の融点が、前記シーラントフィルムの前記第1面を構成する樹脂の融点よりも50℃以上高いことを特徴としている。
上記の構成では、シーラントフィルムの第1面の一部に、該シーラントフィルムが露出した露出領域が形成されている。そのため、露出領域を融着対象物に直接接触させた状態にて、シーラントフィルムを融着対象物に対して融着させることにより、接着剤層を介した状態にてシーラントフィルムと融着対象物とを融着する場合に比べて、高いシール強度を得ることができる。さらに、上記の構成では、基材フィルムの表層を構成する樹脂とシーラントフィルムの第1面を構成する樹脂との融点差が50℃以上である。そのため、ヒートシール時に使用する熱板の温度を、シーラントフィルムの第1面の融点以上であり、且つ、熱板に接する基材フィルムの表層の融点未満になるように制御することにより、ヒートシール時におけるフィルム材の変形などを好適に防止してヒートシール外観を向上させることができる。
なお、融着対象物とは、露出領域が融着(ヒートシール)される対象物である。このとき、本発明のフィルム材と融着対象物とは、同一の構成であってもよいし、別々の構成であってもよい。つまり、露出領域は、本発明のフィルム材における露出領域を除く他の領域に融着されてもよく、或いは、他のフィルム材などの別部材に融着されてもよい。
また、本発明に係るフィルム材では、前記露出領域が、前記第1面の端部に形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、例えば、1枚のフィルム材を筒状に丸めて両端部を封筒貼りに重ね合わせて融着させる場合、第1面の端部に形成された露出領域において露出したシーラントフィルムを、該第1面と対向するシーラントフィルムの面(以下、第2面と称する。)の端部に重ね合わせて融着させることが可能となる。その結果、シーラントフィルム同士を直接融着させることができるので、高いシール強度を得ることができる。
したがって、上記の構成によれば、例えば、1枚のフィルム材の両端部を封筒貼りに重ね合わせて融着させる構成において、シール強度を向上させることができる。そして、このようなフィルム材を、パウチ容器の胴部材として好適に利用することができる。
また、本発明に係るフィルム材では、前記基材フィルムの表層を構成する樹脂がポリエステル系樹脂またはポリアミド系樹脂であり、前記シーラントフィルムの前記第1面を構成する樹脂がポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
上記の構成によれば、露出領域を構成する樹脂とそれ以外の領域(基材フィルムの表層)を構成する樹脂とが異なるため、効果的に露出領域にヒートシールすることが可能となる。
上記の課題を解決するために、本発明に係る容器は、胴部材と、該胴部材の一端開口部を閉塞する底部材とを備える容器であって、前記胴部材が、本発明のフィルム材によって構成されていることを特徴としている。
上記の構成では、例えば、胴部材を上記封筒貼りに重ね合わせて成形する場合、シーラントフィルム同士が直接接している状態にて両者を直接融着させることができるので、シール強度の高い胴部材を得ることができる。
したがって、上記の構成によれば、シール性を向上させた容器を実現することができる。
また、本発明に係る容器では、前記露出領域が、前記底部材に融着されており、前記接着剤層が、容器内部に露出していないことが好ましい。
上記の構成によれば、胴部材と底部材とのシール強度を高めることが可能となり、さらに接着剤層が容器内部に露出していないため接着剤が容器内部に溶け出すことを確実に防止することができる。
上記の課題を解決するために、本発明に係るフィルム材の製造方法は、前記フィルム材の製造方法であって、前記第1面の一部に、ローラ部材を用いて前記接着剤層をなす接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記接着剤塗布工程にて前記接着剤が塗布された領域に、前記基材フィルムを配置して圧着する基材フィルム接着工程と、を含み、前記ローラ部材には、前記接着剤を保持する溝部が円周方向にわたって形成されており、前記溝部の深さが、該溝部の両端部近傍において減少していることを特徴としている。
上記の方法では、接着剤塗布工程にて、両端部近傍において深さが減少している溝部が形成されたローラを用いて、シーラントフィルムの第1面の一部に接着剤を塗布する。それ故、シーラントフィルムの第1面に溝部の深さに応じた量の接着剤を塗布することが可能となる。
そのため、後の基材フィルム接着工程にて、シーラントフィルムの第1面上に塗布された接着剤上に基材フィルムを配置した際の基材フィルムの端部における接着剤の供給量を相対的に少なくすることができる。
したがって、上記の方法によれば、シーラントフィルムと基材フィルムとを圧着する際に、基材フィルムの端部から接着剤がはみ出すことを好適に抑制することができる。また、上記の方法で製造されたフィルム材を用いて容器を構成した場合、内容物と接着剤層との接触面積が小さくなるため、接着剤層の構成成分が内容物に混入することを防ぐことができる。
このように、本発明に係るフィルム材は、シーラントフィルムの第1面の上に、少なくとも接着剤層および基材フィルムが積層されており、前記シーラントフィルムの前記第1面の一部に、前記接着剤層および前記基材フィルムが積層されていない露出領域が形成されており、前記露出領域は、融着対象物に対して融着されるためのものであり、前記基材フィルムの表層を構成する樹脂の融点が、前記シーラントフィルムの前記第1面を構成する樹脂の融点よりも50℃以上高いものである。
したがって、本発明によれば、シーラントフィルムの表面におけるヒートシール性およびヒートシール外観を向上させたフィルム材を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図13に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態では、本発明に係るフィルム材から構成されたパウチ容器の一例について説明する。
[パウチ容器1の構成]
まず、本実施形態に係るパウチ容器1の構成について説明する。このパウチ容器1は、軟質フィルムからなり、例えば、シャンプーやリンス、ハンドソープなどの液体状の内容物を収容する詰め替え用の容器や、ゼリーなどのようなゲル状の内容物を収容する容器、粉末洗剤などのような粉末状の内容物を収容する容器として用いられるものである。また、パウチ容器1に収容する内容物は、液体状およびゲル状のものに限られず、例えば粉末洗剤などのような粉末状のものであってもよい。
まず、本実施形態に係るパウチ容器1の構成について説明する。このパウチ容器1は、軟質フィルムからなり、例えば、シャンプーやリンス、ハンドソープなどの液体状の内容物を収容する詰め替え用の容器や、ゼリーなどのようなゲル状の内容物を収容する容器、粉末洗剤などのような粉末状の内容物を収容する容器として用いられるものである。また、パウチ容器1に収容する内容物は、液体状およびゲル状のものに限られず、例えば粉末洗剤などのような粉末状のものであってもよい。
図1の(a)〜(c)は、本実施形態に係るパウチ容器1を示す模式図であり、図1の(a)はパウチ容器1の斜視図であり、図1の(b)はパウチ容器1の正面図であり、図1の(c)はパウチ容器1の背面図である。図1の(a)〜(c)に示すように、パウチ容器1は、筒状の胴部材2と、胴部材2の下端開口部(一端開口部)を閉塞する底部材(融着対象物)3とから構成されている。
(胴部材2)
胴部材2は筒状に成形した軟質のフィルム材からなり、正面(前面)側のフィルム材および背面(後面)側のフィルム材の上端部が融着されて形成された扁平状の上端閉塞部2aによって上端開口部が閉塞されている。
胴部材2は筒状に成形した軟質のフィルム材からなり、正面(前面)側のフィルム材および背面(後面)側のフィルム材の上端部が融着されて形成された扁平状の上端閉塞部2aによって上端開口部が閉塞されている。
上端閉塞部2aには、内容物を注出するための注出部2bが一体形成されており、注出部2bの先端部分のフィルム材を切り取ることで、パウチ容器1から内容物を取り出すことができる。胴部材2の下端部は略円形に開口しており、胴部材2は下端部から上端部へ向かうにしたがって厚み(扁平状の上端閉塞部2aの法線方向の幅)が小さくなる横断面形状を有している。
胴部材2は、1枚のフィルム材を筒状に丸めて両端部を封筒貼りに重ね合わせ、重ね合わせた部分をヒートシールなどにより融着することで筒状に成形されている。
この胴部材2を構成するフィルム材として、例えば、ヒートシールなどにより融着可能なシーラントフィルムと、耐擦損性に優れた合成樹脂材料からなる基材フィルムとが、接着剤を用いたドライラミネート法などによって接着された積層構造のラミネートフィルムを用いることができる。
図2は、パウチ容器の1の胴部材2を構成するラミネートフィルム20の層構造を示す断面図である。図2に示すように、胴部材2はラミネートフィルム(フィルム材)20から構成されており、このラミネートフィルム20は、シーラントフィルム21と、接着剤層22と、基材フィルム23とがこの順で積層されたものである。
シーラントフィルム21は、ヒートシールなどにより融着可能なフィルムである。シーラントフィルム21は、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性合成樹脂材料から構成され、例えば、低密度ポリエチレン(融点:105〜115℃)、中密度ポリエチレン(融点:120〜130℃)、高密度ポリエチレン(融点:130〜135℃)、エチレン・α−オレフィン共重合体(融点:105〜135℃)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(融点:90〜115℃)などのポリエチレン系樹脂;プロピレン単独共重合体(融点:160〜165℃)、エチレン・プロピレンランダム共重合体(融点135〜150℃)などのポリプロピレン系樹脂などで構成される。この中でも、特にエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン単独共重合体が好適に用いられる。
シーラントフィルム21は単層であっても、多層であってもよい。各層を構成する樹脂は、上記オレフィン系樹脂を単独で用いてもよいし、ブレンドして使用してもよい。
接着剤層22は、シーラントフィルム21と基材フィルム23とを接着する接着剤からなる層である。接着剤を用いてフィルム材料をラミネートする場合には、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ノンソルベントラミネート法、押出しラミネート法などの公知のラミネート法を用いることが可能であるが、本発明においては、溶媒を用いて粘度調整が可能なドライラミネート法、或いは、ウェットラミネート法が特に好ましい。
接着剤層22を構成する接着剤は特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、ウレタン系またはアクリル系の二液硬化型接着剤、或いは、水系ウレタン樹脂などを用いて接着剤層22を好適に構成することができる。
基材フィルム23を構成する樹脂としては、シーラントフィルム21と比較して相対的に融点の高い樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(融点:260〜265℃)、ポリブチレンテレフタレート(融点:230〜265℃)、ポリエチレンナフタレート(融点:260〜280℃)などのポリエステル系樹脂;セロファン(融点:220〜260℃)、トリアセチルセルロース(融点:290℃)などのセルロース系樹脂;ETFE(融点:220〜260℃)、PTFE(融点:260〜300℃)などのフッ素含有樹脂;ナイロン6(融点:225℃)、ナイロン11(融点:180〜190℃)、ナイロン66(融点:265℃)などのポリアミド系樹脂;ポリカーボネート樹脂(融点:250℃);ポリプロピレン樹脂(融点:160℃)などが挙げられる。この中でも特に、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートなどが好適に用いられる。また、アルミ箔、アルミ蒸着ポリエステルを積層することにより、意匠性を付与することもできる。
基材フィルム23は、単層であっても、多層であってもよい。多層の場合は、ポリエステル系樹脂とポリアミド樹脂またはポリエステル系樹脂とアルミ箔などを、例えばドライラミネート法やウェットラミネート法やホットメルトラミネート法などの接着剤を用いた公知の方法で、基材フィルム23を製造することができる。
ここで、ラミネートフィルム20では、接着剤層22および基材フィルム23が積層されたシーラントフィルム21の表面(第1面)の一部に、接着剤層22および基材フィルム23のいずれもが設けられていない露出領域21aが形成されている。シーラントフィルム21の表面が露出した露出領域21aを形成することにより、後述するように、この露出領域21aをヒートシールに用いることで高いシール性を得ることができる。
また、ラミネートフィルム20では、基材フィルム23の表層を構成する樹脂の融点が、シーラントフィルム21の表面を構成する樹脂の融点よりも50℃以上高いことが好ましく、80℃以上高いことがより好まく、100℃以上高いことがさらに好ましい。これにより、露出領域21aをヒートシールに用いた際のラミネートフィルム20の変形(例えばシワの発生)などを抑制してヒートシール外観を向上させることができる。
このようなラミネートフィルム20は、例えば、ドライラミネート法などの接着剤を用いた部分ラミネート法などで製造することができる。ラミネートフィルム20の製造方法の詳細については後述する。
なお、本実施形態では、胴部材2を3層構造としているが、例えばパウチ容器1に収容する内容物に応じて、ガスバリア性や遮光性などの機能を有する機能層をさらに設けてもよい。また、基材フィルム23の表面に、必要に応じてヒートシール層など各種コーティング層を設けることにより、機能性を付与することができる。
(底部材3の構造)
底部材3は、円形状に成形された軟質のフィルムからなり、胴部材2の下端開口部を閉塞する。この底部材3を構成するフィルム材として、例えば、ヒートシールなどにより融着可能なシーラントフィルム31と、耐擦損性に優れた合成樹脂材料からなる基材フィルム33とが、接着剤を用いたドライラミネート法などによって接着された、積層構造のラミネートフィルムを用いることができる。
底部材3は、円形状に成形された軟質のフィルムからなり、胴部材2の下端開口部を閉塞する。この底部材3を構成するフィルム材として、例えば、ヒートシールなどにより融着可能なシーラントフィルム31と、耐擦損性に優れた合成樹脂材料からなる基材フィルム33とが、接着剤を用いたドライラミネート法などによって接着された、積層構造のラミネートフィルムを用いることができる。
図3は、底部材3を構成するラミネートフィルム30の積層構造を示す断面図である。図3に示すように、底部材3はラミネートフィルム30から構成されており、このラミネートフィルム30は、シーラントフィルム31と、接着剤層32と、基材フィルム33とがこの順で積層されたものである。
シーラントフィルム31は、ヒートシールなどにより融着可能なフィルムである。シーラントフィルム31は、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性合成樹脂材料から構成され、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどで構成される。
接着剤層32は、シーラントフィルム31と基材フィルム33とを接着する層である。接着剤層32を構成する接着剤は公知のものを用いることができる。例えば、ウレタン系またはアクリル系の二液硬化型接着剤から、接着剤層32を好適に構成することができる。
基材フィルム33を構成する樹脂層としては、シーラントフィルム31と比較して相対的に融点の高い樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂;フッ素含有樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。この中でも特に、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートなどが好適に用いられる。また、アルミ箔、アルミ蒸着ポリエステルを積層することにより、意匠性を付与することもできる。
基材フィルム33は、単層であっても、多層であってもよい。多層の場合は、ポリエステル系樹脂とポリアミド樹脂、或いはポリエステル系樹脂とアルミ箔などを、例えば、ドライラミネート法やウェットラミネート法やホットメルトラミネート法などの接着剤を用いた公知の方法で、基材フィルム33を製造することができる。
このようなラミネートフィルム30は、例えば、ドライラミネート法やウェットラミネート法やホットメルトラミネート法などの接着剤を用いた公知の方法で製造することができる。
なお、本実施形態では底部材3を3層構造としているが、例えばパウチ容器1に収容する内容物に応じて、ガスバリア性や遮光性などの機能を有する機能層をさらに設けてもよい。
[ラミネートフィルム20の製造方法]
図4は、胴部材2を構成するラミネートフィルム20を製造するフィルム製造装置4の概略構成を示す模式図である。図4に示すように、フィルム製造装置4は、シーラントフィルム供給部5と、接着剤塗布部6と、基材フィルム接着部7と、回収部8とを備えている。
図4は、胴部材2を構成するラミネートフィルム20を製造するフィルム製造装置4の概略構成を示す模式図である。図4に示すように、フィルム製造装置4は、シーラントフィルム供給部5と、接着剤塗布部6と、基材フィルム接着部7と、回収部8とを備えている。
(シーラントフィルム供給部5)
シーラントフィルム供給部5は、シーラントフィルム21を接着剤塗布部6に供給するものである。シーラントフィルム供給部5は、支軸51によってロール状のシーラントフィルム21を回転可能に支持しており、シーラントフィルム21を接着剤塗布部6に供給する。
シーラントフィルム供給部5は、シーラントフィルム21を接着剤塗布部6に供給するものである。シーラントフィルム供給部5は、支軸51によってロール状のシーラントフィルム21を回転可能に支持しており、シーラントフィルム21を接着剤塗布部6に供給する。
(接着剤塗布部6)
接着剤塗布部6は、シーラントフィルム供給部5から供給されたシーラントフィルム21の表面の一部に接着剤61を塗布するものである(接着剤塗布工程)。接着剤塗布部6は、シーラントフィルム供給部5と基材フィルム接着部7との間に配置されている。
接着剤塗布部6は、シーラントフィルム供給部5から供給されたシーラントフィルム21の表面の一部に接着剤61を塗布するものである(接着剤塗布工程)。接着剤塗布部6は、シーラントフィルム供給部5と基材フィルム接着部7との間に配置されている。
接着剤塗布部6では、接着剤槽62内に収容された接着剤61に版ローラ(ローラ部材)63(例えば、版ローラ63の一部)を浸漬することによって、当該版ローラ63に接着剤61に保持させる。
次いで、加圧ローラ64によって、シーラントフィルム21の表面に版ローラ63を圧接することにより、シーラントフィルム21の表面の一部(基材フィルム23を接着する領域)に接着剤61を塗布する。
図5は、接着剤塗布部6が備える版ローラ63の構成を示す模式図である。図5に示すように、版ローラ63の表面には、円周方向に沿って基材フィルム23に対応する幅でグラビア刻印(溝部)65が形成されている。グラビア刻印65は、基材フィルム23の幅をXとしたときに、基材フィルム23の両端1〜2mmに相対する部分のグラビア刻印65の深さを、グラビア刻印65の中央部分の深さの3分の1〜2分の1にしたものである。版ローラ63は、接着剤槽62に収容された接着剤61に浸漬された際、このグラビア刻印65内に接着剤61を保持する。そして、グラビア刻印65内に保持された接着剤61が、シーラントフィルム21の表面に塗布されることになる。それ故に、版ローラ63内におけるグラビア刻印65の位置およびグラビア刻印65の形状に応じて、シーラントフィルム21の表面の所望の位置に、所望の形状の接着剤61を塗布することができる。
後述するように、上記角度の下限値を大きく設定すれば、基材フィルム23の端部から接着剤61がはみ出すことを好適に抑制することができる。
(基材フィルム接着部7)
基材フィルム接着部7は、接着剤塗布部6によって接着剤61が塗布されたシーラントフィルム21の表面に、基材フィルム23を接着させるものである(基材フィルム接着工程)。基材フィルム接着部7は、接着剤塗布部6と回収部8との間に配置されている。基材フィルム接着部7は、支軸71によってロール状の基材フィルム23を回転可能に支持して、所定のサイズに成形された基材フィルム23を、シーラントフィルム21の表面に塗布された接着剤61上に供給する。
基材フィルム接着部7は、接着剤塗布部6によって接着剤61が塗布されたシーラントフィルム21の表面に、基材フィルム23を接着させるものである(基材フィルム接着工程)。基材フィルム接着部7は、接着剤塗布部6と回収部8との間に配置されている。基材フィルム接着部7は、支軸71によってロール状の基材フィルム23を回転可能に支持して、所定のサイズに成形された基材フィルム23を、シーラントフィルム21の表面に塗布された接着剤61上に供給する。
また、基材フィルム接着部7は、シーラントフィルム21を挟んで配置された一対の加圧ローラ72・73の間にシーラントフィルム21と基材フィルム23とを重ね合わせた状態で挿通して、シーラントフィルム21と基材フィルム23とを圧着する。
図6は、基材フィルム接着部7において、シーラントフィルム21上に塗布された接着剤61上に基材フィルム23が供給された状態を示す断面図である。図6では、フィルム搬送方向と垂直な平面で切断した場合の積層フィルムの状態を示している。
図6に示すように、基材フィルム接着部7は、シーラントフィルム21の表面に塗布された接着剤61上に基材フィルム23を供給する。上述の通り、フィルム搬送方向と垂直な平面で切断した場合の断面形状が略台形となるように、シーラントフィルム21の表面に接着剤61が塗布されている。つまり、接着剤61上に基材フィルム23を配置した際に、基材フィルム23の端部における接着剤61の供給量が相対的に少なくなるように、シーラントフィルム21の表面に接着剤61が塗布されている。したがって、シーラントフィルム21と基材フィルム23とを加圧ローラ72・73によって圧着した際、基材フィルム23の端部から接着剤61がはみ出すことを好適に抑制することができる。
(回収部8)
回収部8は、接着剤61によって接着された、シーラントフィルム21と基材フィルム23との積層フィルムを回収するものである。回収部8は、支軸81によって支持された巻取りローラ82に積層フィルムを巻き取って回収するように構成されている。このようにして得られた積層フィルムを、所定のサイズに切断することにより、ラミネートフィルム20を得ることができる。
回収部8は、接着剤61によって接着された、シーラントフィルム21と基材フィルム23との積層フィルムを回収するものである。回収部8は、支軸81によって支持された巻取りローラ82に積層フィルムを巻き取って回収するように構成されている。このようにして得られた積層フィルムを、所定のサイズに切断することにより、ラミネートフィルム20を得ることができる。
[ラミネートフィルム20の詳細]
図7の(a)〜(c)は、ラミネートフィルム20の構成例を示す平面図である。図7の(a)〜(c)に示ように、露出領域21aは、矩形のラミネートフィルム20の端部に沿って形成されていることが好ましい。
図7の(a)〜(c)は、ラミネートフィルム20の構成例を示す平面図である。図7の(a)〜(c)に示ように、露出領域21aは、矩形のラミネートフィルム20の端部に沿って形成されていることが好ましい。
例えば、図7の(a)に示すように、ラミネートフィルム20の1つの辺に沿って、露出領域21aが形成されていてもよい。また、図7の(b)に示すように、ラミネートフィルム20の対向する2つの辺に沿って、露出領域21aが形成されていてもよい。さらに、ラミネートフィルム20の角を挟んで互いに隣り合う2つの辺に沿って、露出領域21aが形成されていてもよい。
図8の(a)および(b)は、ラミネートフィルム20を用いた胴部材2の構成例を示す断面図であり、図8の(a)はシーラントフィルム21を内側にして構成した例を示し、図8の(b)はシーラントフィルム21を外側にして構成した例を示している。
図8の(a)に示すように、シーラントフィルム21を内側にして、ラミネートフィルム20を筒状に丸めて両端部を封筒貼りに重ね合わせることで胴部材2を構成する場合、胴部材2の内側において、シーラントフィルム21の表面の端部に形成された露出領域21aを、該表面と対向するシーラントフィルム21の裏面(第2面)の端部(融着対象物)に重ね合わせて融着させることが可能となる。
また、図8の(b)に示すように、シーラントフィルム21を外側にして、ラミネートフィルム20を筒状に丸めて両端部を封筒貼りに重ね合わせて胴部材2を構成する場合、胴部材2の外側において、シーラントフィルム21の表面の端部に形成された露出領域21aを、該表面と対向するシーラントフィルム21の裏面の端部に重ね合わせて融着させることが可能となる。
そのため、いずれの構成においても、胴部材2のシーラントフィルム21同士が直接接した状態にて両者を直接融着させることができるので、高いシール強度を得ることができる。
図9の(a)〜(c)は、パウチ容器1の底部構造の一例を示す断面図である。
図9の(a)および(b)に示すように、図8の(a)に示すようなシーラントフィルム21を内側にして筒状に成形された胴部材2において、該胴部材2の下端部に露出領域21aがさらに設けられていてもよい。
この場合、図9の(a)に示すように、胴部材2の下端部における露出領域21aをパウチ容器1の内側に折り込み、折り込まれた露出領域21aのシーラントフィルム21と、シーラントフィルム31を内側にして配置された底部材3のシーラントフィルム31とを融着してもよい。
また、図9の(b)に示すように、シーラントフィルム31をパウチ容器1の内側にして配置された底部材3の外周部を内側に折り込み、胴部材2の下端部における露出領域21aのシーラントフィルム21と、折り込まれた部分の底部材3のシーラントフィルム31とを融着してもよい。
さらに、図9(c)に示すように、図8の(b)に示すようなシーラントフィルム21を外側にして筒状に成形された胴部材2において、該胴部材2の下端部に露出領域21aがさらに設けられていてもよい。
この場合、図9の(c)に示すように、シーラントフィルム31をパウチ容器1の外側にして配置された底部材3の外周部を内側に折り込み、胴部材2の下端部における露出領域21aのシーラントフィルム21と、折り込まれた部分の底部材3のシーラントフィルム31とを融着してもよい。
このように、いずれの構成においても、胴部材2のシーラントフィルム21と底部材3のシーラントフィルム31とを直接融着させることができるので、高いシール強度を得ることができる。
[パウチ容器1の効果]
このように、本実施形態に係るパウチ容器1は、ラミネートフィルム20から構成された胴部材2を備えている。ラミネートフィルム20は、シーラントフィルム21の表面に、接着剤層22と基材フィルム23とが積層され、シーラントフィルム21の表面の一部に、接着剤層22および基材フィルム23が設けられていない露出領域21aが形成されており、露出領域21aを胴部材2のシーラントフィルム21の裏面や底部材3のシーラントフィルム31に融着させる構成である。
このように、本実施形態に係るパウチ容器1は、ラミネートフィルム20から構成された胴部材2を備えている。ラミネートフィルム20は、シーラントフィルム21の表面に、接着剤層22と基材フィルム23とが積層され、シーラントフィルム21の表面の一部に、接着剤層22および基材フィルム23が設けられていない露出領域21aが形成されており、露出領域21aを胴部材2のシーラントフィルム21の裏面や底部材3のシーラントフィルム31に融着させる構成である。
パウチ容器1では、シーラントフィルム21の表面の一部に、シーラントフィルム21が露出した露出領域21aが形成されているため、露出領域21aを、胴部材2のシーラントフィルム21の裏面や底部材3のシーラントフィルム31や底部材3のシーラントフィルム31に融着させることにより、シーラントフィルム同士を直接融着させることができるので高いシール強度を得ることができる。
したがって、本実施形態によれば、シール性の高いパウチ容器1を実現することができる。
[実施例]
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1、2)
<実施例1のラミネートフィルムの作製>
まず、シーラントフィルム21として、タマポリ社製SE625L(融点:122℃)の厚み100μmのフィルムを使用した。このシーラントフィルム21の表面に、フィルム搬送方向と直行する方向に配置したグラビアロール(版ローラ63)を用いて、東洋モートン社製のウレタン接着剤(主剤;TM−569、硬化剤;CAT−RT37、溶剤:酢酸エチル)を塗布した。グラビアロールとしては、円周方向に線数200(刻印深度36μm)を刻印し、さらに両端2mmは線数300(刻印深度20μm)を刻印した幅146mmのグラビア刻印65を形成したものを使用し、ウェット膜厚3g/m2となるようにシーラントフィルム21の表面にウレタン接着剤を塗布した。
<実施例1のラミネートフィルムの作製>
まず、シーラントフィルム21として、タマポリ社製SE625L(融点:122℃)の厚み100μmのフィルムを使用した。このシーラントフィルム21の表面に、フィルム搬送方向と直行する方向に配置したグラビアロール(版ローラ63)を用いて、東洋モートン社製のウレタン接着剤(主剤;TM−569、硬化剤;CAT−RT37、溶剤:酢酸エチル)を塗布した。グラビアロールとしては、円周方向に線数200(刻印深度36μm)を刻印し、さらに両端2mmは線数300(刻印深度20μm)を刻印した幅146mmのグラビア刻印65を形成したものを使用し、ウェット膜厚3g/m2となるようにシーラントフィルム21の表面にウレタン接着剤を塗布した。
さらに、シーラントフィルム21のウレタン接着剤を塗布した部分に基材フィルム23としてPETフィルム(融点260℃、厚み12μm、東洋紡株式会社製)をラミネート貼合して、積層構造である実施例1のラミネートフィルムを得た。なお、融点については、JIS K7121に基づいて融解温度を測定し、融解ピーク温度をその樹脂の融点とした。
<実施例2のラミネートフィルムの作製>
基材フィルム23としてナイロンフィルム(融点215℃、厚み15μm、東洋紡株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2のラミネートフィルムを得た。
基材フィルム23としてナイロンフィルム(融点215℃、厚み15μm、東洋紡株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2のラミネートフィルムを得た。
<比較例1のラミネートフィルムの作製>
実施例1のシーラントフィルム21と基材フィルム23とをドライラミネート法に代えて、押出溶融ラミネート法により貼合して比較例1のラミネートフィルムを得た。
実施例1のシーラントフィルム21と基材フィルム23とをドライラミネート法に代えて、押出溶融ラミネート法により貼合して比較例1のラミネートフィルムを得た。
<比較例2のラミネートフィルムの作製>
実施例1で使用したグラビアロールに代えて、グラビア刻印65の深さが一定(刻印深度36μm)であるグラビアロールを使用してシーラントフィルム21の表面にウレタン接着剤を塗布した。そして、シーラントフィルム21のウレタン接着剤を塗布した部分に基材フィルム(PETフィルム)23をラミネート貼合して比較例2のラミネートフィルムを得た。
実施例1で使用したグラビアロールに代えて、グラビア刻印65の深さが一定(刻印深度36μm)であるグラビアロールを使用してシーラントフィルム21の表面にウレタン接着剤を塗布した。そして、シーラントフィルム21のウレタン接着剤を塗布した部分に基材フィルム(PETフィルム)23をラミネート貼合して比較例2のラミネートフィルムを得た。
<比較例3のラミネートフィルムの作製>
実施例1の基材フィルム23として高密度ポリエチレンフィルム(融点135℃、厚み30μm)、シーラントフィルム21として低密度ポリエチレンフィルム(融点110℃、厚み80μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のラミネートフィルムを得た。
実施例1の基材フィルム23として高密度ポリエチレンフィルム(融点135℃、厚み30μm)、シーラントフィルム21として低密度ポリエチレンフィルム(融点110℃、厚み80μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のラミネートフィルムを得た。
このようにして作成した実施例1、2のラミネートフィルムおよび比較例1、2のラミネートフィルムを用いて、以下の比較を行った。
(1)フィルムの臭気
各ラミネートフィルムをポリ袋に個別に入れて24時間室温で放置した後、臭気を評価した。
各ラミネートフィルムをポリ袋に個別に入れて24時間室温で放置した後、臭気を評価した。
(2)接着剤層のはみ出し
各ラミネートフィルムにおける基材フィルム23に対する接着剤層22のはみ出しを目視観察した。
各ラミネートフィルムにおける基材フィルム23に対する接着剤層22のはみ出しを目視観察した。
表1は、上記比較の結果を示す表である。
表1では、フィルムの臭気に関して、臭気がない場合を「○」、わずかに臭気ある場合を「△」、臭気がある場合を「×」としている。また、接着剤層22のはみ出しに関して、基材フィルム23から接着剤層22がはみ出していない場合を「○」、基材フィルム23から接着剤層22がわずかにはみ出している場合を「△」、基材フィルム23から接着剤層22がはみ出している場合を「×」としている。なお、比較例1のラミネートフィルムは、接着剤を用いずに押出溶融ラミネート法により貼合したため、接着剤層22のはみ出しに関しては比較対象外とした。
表1に示すように、フィルムの臭気に関して、実施例1、2および比較例2のラミネートフィルムは臭気がなく良好な結果が得られた。一方、比較例1のラミネートフィルムでは臭気があった。これは、比較例1のラミネートフィルムでは、シーラントフィルム21と基材フィルム23とを加工時の処理温度が高い押出溶融ラミネート法により貼合した結果、フィルムを構成する樹脂が酸化(劣化)したためである。
図10の(a)および(b)は本実施例において作成したラミネートフィルムを示す断面図であり、図10の(a)は実施例1、2のラミネートフィルムを示しており、図10の(b)は比較例2のラミネートフィルムを示している。
接着剤層22のはみ出しに関して、図10の(a)に示すように、実施例1、2のラミネートフィルムでは、基材フィルム23からの接着剤層22のはみ出しが観察されなかった。一方、図10の(b)に示すように、比較例2のラミネートフィルムでは、基材フィルム23からの接着剤層22のはみ出しが観察された。これは、実施例1、2のラミネートフィルムでは、グラビア刻印65の両端部近傍における刻印深度を浅くしたグラビアロールを使用してシーラントフィルム21にウレタン接着剤を塗布したため、基材フィルム23の端部を接着する部分へのウレタン接着剤の供給量が相対的に少なくなった結果、圧着時における基材フィルム23の端部からのウレタン接着剤のはみ出しが抑制されたためである。
なお、比較例2のように、深さが一定のグラビア刻印65が形成されたグラビアロールを使用した場合、基材フィルム23の端部を接着する部分へのウレタン接着剤の供給量の調整が困難である。そのため、例えば、基材フィルム23の端部を接着する部分へのウレタン接着剤の供給量が少なすぎる場合、図11に示すように、シーラントフィルム21と接着剤層22、および接着剤層22と基材フィルム23との接着面積が小さくなる結果、接着強度の低下を招くことになる。
(実施例3、4)
図12の(a)は本実施例において用いた実施例3、4および比較例3のピロー包装袋の構成を示す断面図であり、図12の(b)は比較例4のピロー包装袋の構成を示す断面図である。
図12の(a)は本実施例において用いた実施例3、4および比較例3のピロー包装袋の構成を示す断面図であり、図12の(b)は比較例4のピロー包装袋の構成を示す断面図である。
<実施例3、4および比較例3のピロー包装袋の作製>
図12の(a)に示すように、シーラントフィルム21の表面の端部に露出領域21aが形成された本発明のラミネートフィルムを、シーラントフィルム21を内側にして筒状に丸め、ラミネートフィルムのセンター位置で封筒貼りとなるよう両端部を重ね合わせた。そして、シーラントフィルム21の表面の端部に形成された露出領域21aと、シーラントフィルム21の裏面の端部とを富士シール工業社製インパルスシーラーを使用して融着し、実施例3(実施例1のラミネートフィルムを使用)、実施例4(実施例2のラミネートフィルムを使用)、比較例3(比較例3のラミネートフィルムを使用)のピロー包装袋を得た。
図12の(a)に示すように、シーラントフィルム21の表面の端部に露出領域21aが形成された本発明のラミネートフィルムを、シーラントフィルム21を内側にして筒状に丸め、ラミネートフィルムのセンター位置で封筒貼りとなるよう両端部を重ね合わせた。そして、シーラントフィルム21の表面の端部に形成された露出領域21aと、シーラントフィルム21の裏面の端部とを富士シール工業社製インパルスシーラーを使用して融着し、実施例3(実施例1のラミネートフィルムを使用)、実施例4(実施例2のラミネートフィルムを使用)、比較例3(比較例3のラミネートフィルムを使用)のピロー包装袋を得た。
<比較例4のピロー包装袋の作製>
図12の(b)に示すように、露出領域21aが形成されていないラミネートフィルムを、シーラントフィルム21を内側にして筒状に丸め、ラミネートフィルムのセンター位置で合唱貼りとなるように両端部を外側に折り込んで重ね合わせた。そして、折り込んだ部分のシーラントフィルム21の裏面同士を、富士シール工業社製インパルスシーラーを使用して融着し、比較例4のピロー包装袋を得た。
図12の(b)に示すように、露出領域21aが形成されていないラミネートフィルムを、シーラントフィルム21を内側にして筒状に丸め、ラミネートフィルムのセンター位置で合唱貼りとなるように両端部を外側に折り込んで重ね合わせた。そして、折り込んだ部分のシーラントフィルム21の裏面同士を、富士シール工業社製インパルスシーラーを使用して融着し、比較例4のピロー包装袋を得た。
このようにして作成した実施例3、4のピロー包装袋および比較例3、4のピロー包装袋を用いて、以下の比較を行った。
(3)外観・手触り
各ピロー包装袋について、5人のパネラーが外観および手触りをそれぞれ評価した。
各ピロー包装袋について、5人のパネラーが外観および手触りをそれぞれ評価した。
(4)全面印刷性
各ピロー包装袋について、基材フィルム23に対する全面印刷の容易性について評価した。
各ピロー包装袋について、基材フィルム23に対する全面印刷の容易性について評価した。
表2は、上記比較の結果を示す表である。
表2では、外観・手触りに関して、尖りがなく、持ち易い場合を「○」、多少の尖りがあり、やや持ち難い場合を「△」、尖りがあり、持ち難い場合を「×」としている。また、全面印刷性に関して、全面印刷が容易である場合を「○」、全面印刷が困難である場合を「×」としている。
表2に示すように、外観・手触りに関して、実施例3、4のピロー包装袋は、外面に尖りがなく、良好な結果が得られた。一方、比較例3のピロー包装袋は、ヒートシール時に外面(高密度ポリエチレン層)が溶融するため、外観不良となった。また、比較例4のピロー包装袋は、外面に融着部分が突出したヘムがあるため、尖りがあり持ち難い結果となった。
また、全面印刷性に関して、実施例3、4および比較例3のピロー包装袋は、外面に尖りがなく、ほぼシームレスであるため全面印刷が容易であった。一方、比較例4のピロー包装袋は、外面に融着部分が突出した尖りがあるため全面印刷が困難あった。
(実施例5〜7)
<実施例5〜7のスタンディングパウチ容器の作製>
本発明のラミネートフィルムを封筒貼りにして構成された胴部材(実施例1のラミネートフィルムを使用)を用いて(図8参照)、図9の(a)〜(c)に示す底部構造を有する実施例5〜7のスタンディングパウチ容器を得た。
<実施例5〜7のスタンディングパウチ容器の作製>
本発明のラミネートフィルムを封筒貼りにして構成された胴部材(実施例1のラミネートフィルムを使用)を用いて(図8参照)、図9の(a)〜(c)に示す底部構造を有する実施例5〜7のスタンディングパウチ容器を得た。
<比較例5のスタンディングパウチ容器および比較例6のボックスパウチ容器の作成>
図13の(a)は本実施例において用いた比較例5のスタンディングパウチ容器の構成を示す斜視図であり、図13の(b)は比較例6のボックスパウチ容器の構成を示す斜視図である。
図13の(a)は本実施例において用いた比較例5のスタンディングパウチ容器の構成を示す斜視図であり、図13の(b)は比較例6のボックスパウチ容器の構成を示す斜視図である。
露出領域21aが形成されていないラミネートフィルムを用いて、図13の(a)に示す比較例5のスタンディングパウチ容器、並びに、図13の(b)に示す比較例6のボックスパウチ容器を作製した。
このようにして作成した実施例5〜7のスタンディングパウチ容器、比較例5のスタンディングパウチ容器および比較例6のボックスパウチ容器を用いて、以下の比較を行った。
(5)外観・手触り
各パウチ容器について、5人のパネラーが外観および手触りをそれぞれ評価した。
各パウチ容器について、5人のパネラーが外観および手触りをそれぞれ評価した。
(6)自立性
各パウチ容器に450mlの水を入れ上端部を融着した。室温で平面に静置し、底部のぐらつきを目視観察した。
各パウチ容器に450mlの水を入れ上端部を融着した。室温で平面に静置し、底部のぐらつきを目視観察した。
表3は、上記比較の結果を示す表である。
表3では、外観・手触りに関して、尖りがなく、持ち易い場合を「○」、多少の尖りがあり、やや持ち難い場合を「△」、尖りがあり、持ち難い場合を「×」としている。また、自立性に関して、底面が4点以上で接地しており、ぐらつきがない場合を「○」、底面が2点で接地しており、多少のぐらつきがある場合(頂部のぐらつき幅が概ね±5mm以内)を「△」、底面が2点で接地しており、ぐらつきがある場合(頂部のぐらつき幅±5mmを超える)を「×」としている。
表3に示すように、外観・手触りに関して、実施例5〜7のスタンディングパウチ容器は、外面に尖りがないため、良好な結果が得られた。一方、比較例5のスタンディングパウチ容器は、胴部材102同士の融着部分および胴部材102と底部材103との融着部分が外側に突出したヘムがあるため、尖りがあり持ち難い結果となった。同様に、比較例6のボックスパウチ容器は、胴部材202同士の融着部分および胴部材202と底部材203との融着部分が外側に突出したヘムがあるため、尖りがあり持ち難い結果となった。
また、自立性に関して、実施例5〜7のスタンディングパウチ容器は、底面が平坦であるため、ぐらつきが観察されず良好な結果が得られた。一方、比較例5のスタンディングパウチ容器は、胴部材102と底部材103との融着部分が突出したヘムが底面にあるため、±5mm以内の頂部のぐらつきが観察された。同様に、比較例6のボックスパウチ容器は、胴部材202と底部材203との融着部分が突出したヘムが底面にあるため、±5mmを超える頂部のぐらつきが観察された。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、例えば、シャンプーやリンス、ハンドソープなどの液体状の内容物を収容する詰め替え用の容器や、ゼリーなどのようなゲル状の内容物を収容する容器など、軟質フィルムからなる容器に好適に利用することができる。
1 パウチ容器(容器)
2 胴部材
3 底部材(融着対象物)
4 フィルム製造装置
20 ラミネートフィルム(フィルム材)
21 シーラントフィルム
21a 露出領域
22 接着剤層
23 基材フィルム
61 接着剤
63 版ローラ(ローラ部材)
65 グラビア刻印(溝部)
2 胴部材
3 底部材(融着対象物)
4 フィルム製造装置
20 ラミネートフィルム(フィルム材)
21 シーラントフィルム
21a 露出領域
22 接着剤層
23 基材フィルム
61 接着剤
63 版ローラ(ローラ部材)
65 グラビア刻印(溝部)
Claims (6)
- シーラントフィルムの第1面の上に、少なくとも接着剤層および基材フィルムが積層されており、
前記シーラントフィルムの前記第1面の一部に、前記接着剤層および前記基材フィルムが積層されていない露出領域が形成されており、
前記露出領域は、融着対象物に対して融着されるためのものであり、
前記基材フィルムの表層を構成する樹脂の融点が、前記シーラントフィルムの前記第1面を構成する樹脂の融点よりも50℃以上高いことを特徴とするフィルム材。 - 前記露出領域は、前記第1面の端部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム材。
- 前記基材フィルムの表層を構成する樹脂がポリエステル系樹脂またはポリアミド系樹脂であり、
前記シーラントフィルムの前記第1面を構成する樹脂がポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム材。 - 胴部材と、該胴部材の一端開口部を閉塞する底部材とを備える容器であって、
前記胴部材が、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム材によって構成されていることを特徴とする容器。 - 前記露出領域が、前記底部材に融着されており、
前記接着剤層が容器内部に露出していないことを特徴とする請求項4に記載の容器。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム材の製造方法であって、
前記第1面の一部に、ローラ部材を用いて前記接着剤層をなす接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記接着剤塗布工程にて前記接着剤が塗布された領域に、前記基材フィルムを配置して圧着する基材フィルム接着工程と、を含み、
前記ローラ部材には、前記接着剤を保持する溝部が円周方向にわたって形成されており、
前記溝部の深さが、該溝部の両端部近傍において減少していることを特徴とするフィルム材の製造方法。
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WO2018062126A1 (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | 株式会社フジシールインターナショナル | スパウト付きパウチ |
WO2023219097A1 (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-16 | 藤森工業株式会社 | 積層体および包装袋 |
-
2014
- 2014-05-20 JP JP2014104358A patent/JP2015217637A/ja active Pending
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