(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置及びその作製方法について図面を参照して説明する。
図1(A)乃至図1(C)に、半導体装置が有するトランジスタ10の上面図及び断面図を示す。図1(A)はトランジスタ10の上面図であり、図1(B)は、図1(A)の一点鎖線A−B間の断面図であり、図1(C)は、図1(A)の一点鎖線C−D間の断面図である。なお、図1(A)では、明瞭化のため、基板11及び絶縁膜などを省略している。
図1(B)及び図1(C)に示すトランジスタ10は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板11上に設けられるゲート電極13と、基板11及びゲート電極13上に形成されるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15を介して、ゲート電極13と重なる酸化物半導体膜17と、酸化物半導体膜17に接する一対の電極19、20と、ゲート絶縁膜15、酸化物半導体膜17、及び一対の電極19、20上のゲート絶縁膜28と、ゲート絶縁膜28上のゲート電極31とを有する。ゲート絶縁膜28は、酸化物絶縁膜23、酸化物絶縁膜25、及び窒化物絶縁膜27を有する。また、ゲート電極31は、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28に設けられた開口部42、43においてゲート電極13と接続する。また、一対の電極19、20の一方、ここでは電極20に接続する電極32が、窒化物絶縁膜27上に形成される。なお、電極32は画素電極として機能する。
本実施の形態に示すトランジスタ10は、チャネル長が0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.5μm以下である。また、トランジスタ10は、チャネル幅方向において、ゲート電極13及びゲート電極31の間に、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28を介して酸化物半導体膜17が設けられている。また、ゲート電極31は図1(A)に示すように、上面から見て、ゲート絶縁膜28を介して酸化物半導体膜17の端部と重なる。
ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28には複数の開口部を有する。代表的には、図1(B)に示すように、一対の電極19、20の一方を露出する開口部41を有する。また、図1(C)に示すように、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜17を挟む開口部42、43を有する。即ち、酸化物半導体膜17の側面の外側に開口部42、43を有する。開口部41において、一対の電極19、20の一方、ここでは電極20と電極32が接続する。また、開口部42、43において、ゲート電極13及びゲート電極31が接続する。即ち、チャネル長方向に垂直な断面において、ゲート電極13及びゲート電極31は、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28を介して酸化物半導体膜17を囲む。また、チャネル幅方向において、ゲート絶縁膜28を介して酸化物半導体膜17の側面と開口部42、43に設けられたゲート電極31が位置する。
なお、図1(C)に示すように、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜17の側面と開口部42、43におけるゲート電極31との距離dは、ゲート絶縁膜15の膜厚t1及びゲート絶縁膜28の膜厚t2の合計膜厚の1倍以上7.5倍以下とする。酸化物半導体膜17の側面と開口部42、43におけるゲート電極31との距離dが、ゲート絶縁膜15の膜厚t1及びゲート絶縁膜28の膜厚t2の合計膜厚の1倍以上の場合、図1(D)の電気力線35で示すように、ゲート電極31の電界が酸化物半導体膜17の側面またはその近傍に影響するため、酸化物半導体膜17の側面またはその近傍における寄生チャネルの発生を抑制することができる。一方、酸化物半導体膜17の側面と開口部42、43におけるゲート電極31との距離dが、ゲート絶縁膜15の膜厚t1及びゲート絶縁膜28の膜厚t2の合計膜厚の7.5倍以下の場合、トランジスタの面積をより小さくすることができる。
酸化物半導体膜17は、少なくともIn若しくはZnを含む金属酸化物膜で形成され、代表的には、In−Ga酸化物膜、In−Zn酸化物膜、In−M−Zn酸化物膜(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)等で形成される。
なお、酸化物半導体膜17がIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、Inが25atomic%より大きく、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より大きく、Mが66atomic%未満とする。
酸化物半導体膜17は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタ10のオフ電流を低減することができる。
酸化物半導体膜17の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
酸化物半導体膜17がIn−M−Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2が好ましい。なお、成膜される酸化物半導体膜17の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
酸化物半導体膜17としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、酸化物半導体膜17は、キャリア密度が1×1017個/cm3以下、好ましくは1×1015個/cm3以下、より好ましくは1×1013個/cm3以下、より好ましくは1×1011個/cm3以下の酸化物半導体膜を用いる。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜17のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
なお、酸化物半導体膜17として、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さく、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。なお、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等がある。
酸化物半導体膜に含まれる水素は金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。
このため、酸化物半導体膜17は酸素欠損と共に、水素ができる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体膜17において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、より好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、より好ましくは1×1016atoms/cm3以下とする。この結果、トランジスタ10は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
酸化物半導体膜17において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体膜17において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、酸化物半導体膜17におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。この結果、トランジスタ10は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
また、酸化物半導体膜17において、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、酸化物半導体膜17のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。この結果、トランジスタ10は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
また、酸化物半導体膜17に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、当該酸化物半導体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
また、酸化物半導体膜17は、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC−OS構造は、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造と比較して最も欠陥準位密度が低い。
なお、酸化物半導体膜17をCAAC−OS膜で形成することで、チャネル長の小さい、代表的には0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.5μm以下であるチャネルエッチ型のトランジスタを作製することが可能であるため、好ましい。
なお、酸化物半導体膜17が、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する単層構造の場合がある。また、混合膜は、例えば、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
酸化物半導体膜を有するトランジスタは、蓄積型のトランジスタである。ここで、酸化物半導体膜を有するトランジスタのオフ状態及びオン状態におけるキャリアの流れについて、図37に示す模式図を用いて説明する。また、図37(A)及び図37(B)は、チャネル長方向の断面図であり、図37(C)は、チャネル幅方向の断面図である。
図37において、酸化物半導体膜を有するトランジスタは、ゲート電極GE_1と、ゲート電極GE_1上のゲート絶縁膜GI_1と、ゲート絶縁膜GI_1上の酸化物半導体膜OSと、酸化物半導体膜OS上の電極S、Dと、酸化物半導体膜OS及び電極S、D上のゲート絶縁膜GI_2と、ゲート絶縁膜GI_2上のゲート電極GE_2とを有する。酸化物半導体膜OSは、チャネル領域iと、電極Sまたは電極Dに接する低抵抗領域n+とを有する。ゲート電極GE_1及びゲート電極GE_2は、図37(C)に示すように、接続されている。
トランジスタがオフ状態の場合、図37(A)に示すように、ゲート電極GE_1、GE_2に負の電圧が印加されるため、酸化物半導体膜OSのチャネル領域iから電子が排斥され、チャネル領域iは完全に空乏化する。この結果、トランジスタのオフ電流が極めて小さくなる。
一方、トランジスタがオン状態の場合、図37(B)に示すように、電極Sと接する低抵抗領域n+から電極Dと接する低抵抗領域n+へ電子が蓄積され、矢印で示すように電流パスが形成される。図37(C)に示すように、ゲート電極GE_1及びゲート電極GE_2を同電位とし、且つ酸化物半導体膜OSの側面がゲート電極GE_2と対向することで、さらには、チャネル長方向に垂直な断面において、ゲート電極GE_1及びゲート電極GE_2が、ゲート絶縁膜GI_1及びゲート絶縁膜GI_2を介して酸化物半導体膜OSを囲むことで、図37(B)に示すように、酸化物半導体膜OSにおいてキャリアが、ゲート絶縁膜GI_1、GI_2と酸化物半導体膜OSとの界面のみでなく、酸化物半導体膜OS中の広い範囲において流れる。このため、トランジスタにおけるキャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタのオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなり、代表的には電界効果移動度が10cm2/V・s以上、さらには20cm2/V・s以上となる。なお、ここでの電界効果移動度は、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の近似値ではなく、トランジスタの飽和領域における電界効果移動度である。なお、トランジスタのチャネル長(L長ともいう。)を0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.5μm以下とすることで、電界効果移動度の増加が顕著である。また、チャネル長が0.5μm以上6.5μm以下のように小さいことで、チャネル幅も小さくすることが可能である。このため、図37(C)に示すように、ゲート電極GE_1及びゲート電極GE_2との接続部となるための領域を設けても、トランジスタの面積を縮小することが可能である。
また、トランジスタの電気特性であるゲート電圧−ドレイン電流特性(以下、Vd−Id特性ともいう。)において、ソース電極及びドレイン電極間の電圧がゲート電圧より大きくなると、より正確にはドレイン電圧がゲート電圧−しきい値電圧(Vd>Vg−Vth)より大きくなると、ドレイン電流が飽和する。ドレイン電流が飽和する領域は、飽和領域と呼ばれる。
Single Gate構造のトランジスタのように、酸化物半導体膜OSの一方の面のみにゲート電極を有する構造のトランジスタは、高いドレイン電圧によって、ドレイン電極近傍の酸化物半導体膜OSに電荷密度が増加してしまう。しかしながら、本実施の形態に示すトランジスタは、Dual Gate駆動であり、ゲート絶縁膜を介して酸化物半導体膜OSの上下において、電気的に短絡した二つのゲート電極を有する。このため、ゲート電極の制御性が高く、ドレイン電極近傍の酸化物半導体膜OSにおける電荷密度の増加を抑制することができる。この結果、Dual Gate駆動のトランジスタは、Single Gate構造のトランジスタと比べて、飽和領域におけるドレイン電流Idの飽和性が高い。即ち、飽和領域において、ドレイン電圧が変動してもドレイン電流が大きく変動しない。
また、図1に示すように、エッチング等で加工された酸化物半導体膜17の側面またはその近傍においては、加工におけるダメージにより欠陥が形成されると共に、不純物付着などにより汚染される。このため、トランジスタにおいてゲート電極13及びゲート電極31の一方のみ形成される場合、酸化物半導体膜17が真性または実質的に真性であっても、電界などのストレスが与えられることによって酸化物半導体膜17の側面またはその近傍は活性化され、n型(低抵抗領域)となりやすい。また、当該n型の側面またはその近傍が、図1(A)の破線33、34のように、一対の電極19、20の間に設けられると、n型の領域がキャリアのパスとなってしまい、寄生チャネルが形成される。この結果、ドレイン電流はしきい値電圧近傍でこぶを有する電気特性を示し、且つしきい値電圧はマイナスシフトする。しかしながら、図1(C)に示すように、同電位であるゲート電極13及びゲート電極31を有し、チャネル幅方向において、ゲート絶縁膜28を介してゲート電極31と酸化物半導体膜17の側面が位置するトランジスタにおいて、ゲート電極31の電界が酸化物半導体膜17の側面にも影響する。この結果、酸化物半導体膜17の側面またはその近傍における寄生チャネルの発生が抑制される。この結果、ドレイン電流がしきい値近傍でこぶを有することのない、電気特性の優れたトランジスタとなる。
ここで、チャネルエッチ型のトランジスタとチャネル保護型のトランジスタとを比較する。酸化物半導体膜を挟んで2つのゲート電極を有するチャネル保護型のトランジスタは、第1のゲート電極上に第1のゲート絶縁膜が形成され、第1のゲート絶縁膜上に酸化物半導体膜が形成される。酸化物半導体膜上にチャネル保護膜が形成され、該チャネル保護膜上に酸化物半導体膜と接する一対の電極が形成される。さらに、チャネル保護膜及び一対の電極上に第2のゲート絶縁膜が形成され、第2のゲート絶縁膜上に第2のゲート電極が形成される。
チャネル保護膜は、一対の電極を形成する際のエッチング工程において、プラズマに曝され、ダメージを受ける。このため、チャネル保護膜には欠陥が形成されやすい。この結果、酸化物半導体膜を流れるキャリアがチャネル保護膜の欠陥に捕獲されてしまい、トランジスタの電気特性が動作時間と共に変動してしまい、信頼性が低い。しかしながら、本実施の形態に示すトランジスタ10は、チャネルエッチ型であり、ゲート絶縁膜28において、酸化物半導体膜17及びゲート電極31が対向する領域は、エッチングの雰囲気に曝されない。このため、トランジスタ10は、ゲート絶縁膜28の欠陥が少なく、信頼性の高いトランジスタである。
また、チャネル保護型のトランジスタにおいて、一対の電極と重なる酸化物半導体膜の領域では、一対の電極が第2のゲート電極の電界を遮蔽してしまう。このため、第2のゲート電極の電界が酸化物半導体膜に均一に影響しない。この結果、第2のゲート電極の電界により誘起されて酸化物半導体膜を流れるキャリア量が減少してしまう。しかしながら、本実施の形態に示すトランジスタ10は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、ゲート電極31の電界が、酸化物半導体膜17のバックチャネルに均一に影響する。さらには、酸化物半導体膜17の側面においてもゲート電極31の電界の影響を受ける。これらの結果、酸化物半導体膜17の広い範囲においてキャリアが流れるため、トランジスタの電界効果移動度が上昇すると共に、オン電流が増大する。
また、チャネル保護型のトランジスタは、酸化物半導体膜と一対の電極それぞれとを接続させるため、一対の電極それぞれの一方の端部をチャネル保護膜上に位置させる。また、一対の電極それぞれの一方の端部は、酸化物半導体膜と一対の電極それぞれとの接続領域よりも内側に位置する。これらのため、フォトマスクの位置ずれを考慮すると、酸化物半導体膜と一対の電極それぞれの接続領域の間隔を広く設計する必要がある。一方、チャネルエッチ型のトランジスタは、酸化物半導体膜に一対の電極それぞれの一方の端部が直接接続するため、チャネルエッチ型のトランジスタは、チャネル保護型のトランジスタと比較して、一対の電極間の距離を小さくすることが容易である。このため、トランジスタ10は、チャネル長を0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.5μm以下とすることができる。
また、ゲート電極13及びゲート電極31を有することで、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有するため、基板11及びゲート電極13の間、ゲート電極31上に存在する固定電荷が酸化物半導体膜17に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲート電極にマイナスの電位を印加する−GBT(Gate Bias−Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制されると共に、異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(即ち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BTストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。BTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
また、酸化物半導体膜17上に設けられるゲート絶縁膜28において、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜が含まれることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDS分析時における基板温度としては、100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
ゲート絶縁膜28において、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜が含まれると、ゲート絶縁膜28に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜17に移動させ、酸化物半導体膜17に含まれる酸素欠損を低減することが可能である。
酸化物半導体膜中に酸素欠損が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナス方向に変動しやすく、ノーマリーオン特性となりやすい。これは、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損に起因して電荷が生じ、低抵抗化するためである。トランジスタがノーマリーオン特性を有すると、動作時に動作不良が発生しやすくなる、または非動作時の消費電力が高くなるなどの、様々な問題が生じる。また、時間経過やストレス試験による、トランジスタの電気特性、代表的にはしきい値電圧の変動量が増大するという問題がある。
しかしながら、本実施の形態に示すトランジスタ10は、酸化物半導体膜17上に設けられるゲート絶縁膜28に、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜が含まれることで、ゲート絶縁膜28に含まれる酸素を酸化物半導体膜17に移動させ、酸化物半導体膜17の酸素欠損を低減することが可能である。また、ゲート絶縁膜28は、エッチング雰囲気に曝されていないため、欠陥が少ない。これらの結果、ノーマリーオフ特性を有するトランジスタとなる。また、時間経過やストレス試験において、トランジスタの電気特性、代表的には動作時間に対するしきい値電圧の変動量を低減することができる。さらには、ストレス試験を繰り返しても、しきい値電圧の変動を低減することができる。
以下に、トランジスタ10の構成の詳細について説明する。
基板11の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板11として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板11として用いてもよい。なお、基板11として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板11として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ10を形成してもよい。または、基板11とトランジスタ10の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板11より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ10は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
ゲート電極13は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、ゲート電極13は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、または複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
また、ゲート電極13は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
ゲート絶縁膜15は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物、窒化シリコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。
また、ゲート絶縁膜15として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
ゲート絶縁膜15の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以上300nm以下、より好ましくは50nm以上250nm以下とするとよい。
一対の電極19、20は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
ゲート絶縁膜28は、酸化物半導体膜17に接する酸化物絶縁膜23、酸化物絶縁膜23に接する酸化物絶縁膜25、酸化物絶縁膜25に接する窒化物絶縁膜27を有する。ゲート絶縁膜28は、少なくとも、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を有することが好ましい。ここでは、酸化物絶縁膜23として、酸素を透過する酸化物絶縁膜を形成し、酸化物絶縁膜25として、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を形成し、窒化物絶縁膜27として、水素及び酸素をブロックする窒化物絶縁膜を形成する。なお、ここでは、ゲート絶縁膜28を3層構造としたが、適宜1層、2層、または4層以上とすることができる。なお、これらの場合、少なくとも、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を有することが好ましい。
酸化物絶縁膜23は、酸素を透過する酸化物絶縁膜である。このため、酸化物絶縁膜23上に設けられる、酸化物絶縁膜25から脱離する酸素を、酸化物絶縁膜23を介して酸化物半導体膜17に移動させることができる。また、酸化物絶縁膜23は、後に形成する酸化物絶縁膜25を形成する際の、酸化物半導体膜17へのダメージ緩和膜としても機能する。
酸化物絶縁膜23としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下の酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
また、酸化物絶縁膜23は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。これは、酸化物絶縁膜23に含まれる欠陥密度が多いと、当該欠陥に酸素が結合してしまい、酸化物絶縁膜23における酸素の透過量が減少してしまうためである。
また、酸化物絶縁膜23と酸化物半導体膜17との界面における欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、酸化物半導体膜17の欠陥に由来するg=1.93に現れる信号のスピン密度が1×1017spins/cm3以下、さらには検出下限以下であることが好ましい。
なお、酸化物絶縁膜23においては、外部から酸化物絶縁膜23に入った酸素が全て酸化物絶縁膜23の外部に移動する場合がある。または、外部から酸化物絶縁膜23に入った酸素の一部が、酸化物絶縁膜23にとどまる場合もある。また、外部から酸化物絶縁膜23に酸素が入ると共に、酸化物絶縁膜23に含まれる酸素が酸化物絶縁膜23の外部へ移動することで、酸化物絶縁膜23において酸素の移動が生じる場合もある。
酸化物絶縁膜23に接するように酸化物絶縁膜25が形成されている。酸化物絶縁膜25は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDS分析時における基板温度としては、100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
酸化物絶縁膜25としては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下の、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
また、酸化物絶縁膜25は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm3未満、更には1×1018spins/cm3以下であることが好ましい。なお、酸化物絶縁膜25は、酸化物絶縁膜23と比較して酸化物半導体膜17から離れているため、酸化物絶縁膜23より、欠陥密度が多くともよい。
窒化物絶縁膜27は、少なくとも、水素及び酸素のブロッキング効果を有する。さらに、好ましくは、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する。ゲート絶縁膜28に窒化物絶縁膜27を設けることで、酸化物半導体膜17からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜17への水素、水等の侵入を防ぐことができる。
窒化物絶縁膜27としては、厚さが50nm以上300nm以下、好ましくは100nm以上200nm以下の、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。
なお、窒化物絶縁膜27の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
ゲート電極31及び電極32は、透光性を有する導電膜を用いる。透光性を有する導電膜は、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、酸化ケイ素を含むインジウム錫酸化物等がある。
<Dual Gate駆動による電流駆動力の向上について>
酸化物半導体膜を挟んで対向するゲート電極が接続し、同電位であるDual Gate駆動のトランジスタにおいて、チャネル長Lを小さくすることにより、電流駆動力が向上することについて説明する。
<<理想的なモデルにおける飽和移動度について>>
はじめに、界面準位や界面散乱などの効果を考慮しない、理想的なモデルについてシミュレーションで検討を行った。図2に、計算で用いたトランジスタのモデルを示す。なお、計算にはデバイスシミュレーションソフト Atlas(Silvaco社製)を用いた。
図2に示すトランジスタは、ゲート電極GE_1上にゲート絶縁膜GI_1が形成され、ゲート絶縁膜GI_1上に酸化物半導体膜OSが形成される。ゲート絶縁膜GI_1及び酸化物半導体膜OS上にソース電極S及びドレイン電極Dが形成される。酸化物半導体膜OS、ソース電極S及びドレイン電極D上にゲート絶縁膜GI_2が形成される。ゲート絶縁膜GI_2上にゲート電極GE_2が形成される。また、ゲート電極GE_1及びゲート電極GE_2は、ゲート絶縁膜GI_1及びゲート絶縁膜GI_2に形成される開口部(図示しない。)において、接続される。
計算に用いた条件を表1に示す。
ゲート電極GE_1及びゲート電極GE_2は接続されているため、常に等電位である。また、当該モデルは二次元シミュレーションを用いているため、チャネル幅方向の効果については考慮されない。また、ドレイン電圧(Vd)が10VのときのId−Vg特性の値を数式1に代入することよって飽和移動度μFEを算出した。なお、ここでは、飽和領域の電界効果移動度を飽和移動度として説明する。なお、計算によって得られる飽和移動度の最大値は、飽和領域(ゲート電圧(Vg)<ドレイン電圧(Vd)+しきい値電圧(Vth))における電流駆動力の指標であって、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の近似値とは異なる。
なお、数式1において、Wはトランジスタのチャネル幅であり、CBottomは、ゲート電極GE_1及び酸化物半導体膜OSの間の単位面積あたりの容量値である。
Dual Gate駆動のトランジスタの計算結果を図3(A)に示し、ゲート電極GE_2を有さないSingle Gate駆動のトランジスタの計算結果を図3(B)に示す。
図3より、Dual Gate駆動のトランジスタ、及びSingle Gate駆動のトランジスタそれぞれにおいて、鋭いピークを有する飽和移動度が得られた。また、L長が短いほど飽和移動度のピーク値が高くなっている。
ここで、チャネル長Lが短くなるにつれ飽和移動度が向上しているが、これがトランジスタの電流駆動力の向上に相当するかについて、以下に説明する。
理想的なモデルのシミュレーションから得られた結果において、ゲート電圧がVg=Vth+5のときとVg=Vth+10のときにおける、オン電流をL長に対してプロットしたグラフを図4に示す。図4の上段は、オン電流を示し、図4の下段は、オン電流×チャネル長を示す。なお、図4において、左欄はドレイン電圧(Vd)が1Vのときの計算結果であり、右欄はドレイン電圧(Vd)が10Vのときの計算結果である。
図4に示すオン電流は、チャネル長(L)に反比例している。これは、オン電流はチャネル長(L)に反比例するためである。
オン電流が完全にチャネル長に反比例するのであれば、オン電流×チャネル長の値は、チャネル長に依存せず一定値となる。図4において、ドレイン電圧(Vd)が1Vの場合は、オン電流×チャネル長の値は、チャネル長(L)に対して一定値となっている。一方、ドレイン電圧(Vd)が10Vの場合は、チャネル長(L)が短くなるにつれ、オン電流×チャネル長の値が増加している。これは、ドレイン電圧(Vd)が10Vの場合は、実効チャネル長(後述において説明する)が、図2において定められるチャネル長(ソース電極Sとドレイン電極Dの間の距離)よりも短くなっていることを表している。
<<バルク電流の理論>>
以下、理想的なモデルのトランジスタの飽和移動度において、低いゲート電圧でピークが生じる原因について説明する。
図2に示すトランジスタにおいて、酸化物半導体膜OSに含まれる電子密度は、酸化物半導体膜OSの膜厚方向に一定の値n0(y)で表されると仮定する。yは酸化物半導体膜OS内のチャネル長方向の任意の位置を表している。酸化物半導体膜OSの膜厚方向におけるポテンシャルφは数式2に示され、一定となる。ただし、ゲート電極GE_1のゲート電圧Vg_1及びゲート電極GE_2のゲート電圧Vg_2が同電位であり、ゲート電極GE_1側及びゲート電極GE_2側におけるフラットバンド電圧を共に、フラットバンド電圧VFBと仮定する。
このとき、蓄積型である酸化物半導体膜を有するトランジスタにおいて、ドレイン電流Idは、数式3に示すようなバルク電流Ibulkのみで近似的に与えられる。
なお、数式3において、tは酸化物半導体膜の膜厚、μは酸化物半導体膜の電子移動度、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度、Leffは実効チャネル長である。なお、ここでは、チャネル長はソース電極及びドレイン電極の間隔のことであり、実効チャネル長とは酸化物半導体膜において、ソース電極下から広がるn領域と、ドレイン電極下から広がるn領域の間の距離を表す。特に、チャネル長が短い場合あるいはドレイン電圧が高い場合、実効チャネル長はチャネル長よりも短くなる。
なお、n0(0)は、上述の実効チャネル長で定められる領域のソース電極側端部における電子密度であり、数式4で表させる。また、n0(Leff)は、上述の実効チャネル長で定められる領域のドレイン電極側端部における電子密度であり、数式5で表される。なお、数式4及び数式5において、NDは酸化物半導体膜のチャネル領域のドナー密度であり、qは素電荷である。
Vd>Vg−Vth、且つVg>Vthの飽和領域の場合、ドレイン電圧VdはVg−Vthに置き換えられるので、数式3は数式6となる。
数式6で得られるドレイン電流Idに対して、飽和移動度μFE satを計算すると数式7となる。
数式7において、VgをVthとすると、分母が0になり、飽和移動度μFEsatは無限大に発散する。この性質が、図3に示されるような飽和移動度における、低いゲート電圧Vgでのピークの原因である。すなわち、酸化物半導体膜OSの内部を流れるバルク電流がドレイン電流の主要因であればあるほど、図3のチャネル長が2μmのときの飽和移動度のように、よりはっきりとしたピークが表れる。
また、飽和移動度が大きくなる他の要因の一つとして、実効チャネル長Leffがチャネル長Lに比べて短くなることが考えられる。例えば、酸化物半導体膜OSにおいて、ソース電極S及びドレイン電極Dと接する領域近傍において、n領域が広がることにより、実効チャネル長Leffがチャネル長Lより短くなる。この影響は、数式7に示す飽和移動度μFE satのL/Leffに対する比例関係からも明らかである。
<<酸化物半導体膜中の電流密度>>
バルク電流が飽和移動度に影響することは、蓄積型のデバイスである酸化物半導体膜を有するトランジスタに特有の現象であり、半導体膜としてシリコン膜を有するトランジスタのような、反転型のデバイスではバルク電流の影響が少ない。
次に、デバイスシミュレーションによって得られた電流密度分布をプロットしたグラフを図5(B)及び図5(C)に示す。図5(A)は、ドレイン電圧を10Vとして計算で得られたId−Vg特性を示し、図5(B)及び図5(C)は、図2に示す酸化物半導体膜のA1−A2の断面方向の電流密度分布を示す。図5(B)は飽和領域(Vg=0.5V)、図5(C)は線形領域(Vg=15V)における電流密度分布を示す。なお、計算に用いたトランジスタのチャネル長L/チャネル幅Wは2μm/50μmであり、ドレイン電圧Vdを10Vとした。
図5(B)より、飽和領域(低いゲート電圧Vg)では、酸化物半導体膜OS中にほぼ一様に電流密度が分布している。一方で、図5(C)に示すように、線形領域(高いゲート電圧Vg)では、酸化物半導体膜OSの表面付近を流れる電流が支配的になっている。図5(B)に示すように飽和領域では、酸化物半導体膜OS中において電流密度がほぼ一様に分布していることから、飽和移動度にピークが生じている原因の一つは、バルク電流であることが分かる。
一方、デバイスシミュレーションによって得られた、反転型デバイスの半導体膜の電流密度分布を図6(B)及び図6(C)に示す。図6は、図2に示すトランジスタの酸化物半導体膜OSを、n−p−n接合を含む半導体膜(シリコン)に置き換えた場合の計算結果である。半導体膜のチャネル領域には、1×17/cm3の密度をもつアクセプタ型不純物を仮定した。
図6(A)は、ドレイン電圧を10Vとして計算で得られたId−Vg特性を示し、図6(B)及び図6(C)は、図2に示す半導体膜のA1−A2の断面方向の電流密度分布を示す。図6(B)は飽和領域(Vg=0.5V)、図6(C)は線形領域(Vg=15V)における電流密度分布である。なお、計算に用いたトランジスタのチャネル長L/チャネル幅Wは2μm/50μmであり、ドレイン電圧Vdを10Vとした。
蓄積型デバイスである酸化物半導体膜を有するトランジスタと異なり、反転型デバイスである半導体膜を有するトランジスタは、図6(B)に示すように、しきい値電圧近傍においても、半導体膜の表面を流れる電流が多くなっており、バルク電流の寄与は蓄積型デバイスと比べると小さい。
以上のことから、蓄積型デバイスである酸化物半導体膜を有するトランジスタにおいて、理想的なモデルでは、バルク電流によって飽和移動度に鋭いピークが生じることが分かる。
なお、チャネル長Lが短くなるほど、バルク電流によって生じた飽和移動度のピーク値が高くなる原因として、酸化物半導体膜OSにおいて、ソース電極S及びドレイン電極Dと接する領域近傍において、n領域が広がることにより、実効チャネル長Leffがチャネル長Lより短くなることが考えられる。また、チャネル長Lが小さいと、ソース電極S及びドレイン電極Dの影響で酸化物半導体膜OSの伝導帯下端のエネルギー(Ec)が低くなり、伝導帯下端のエネルギーとフェルミエネルギーが近づく現象(CBL効果(Conduction band lowering effect))により、実効チャネル長Leffがチャネル長Lより短くなることが考えられる。飽和移動度は、数式7に示したように、実効チャネル長Leffが小さくなることで、L/Leffに比例して大きくなる。この効果は、チャネル長Lが小さいほど顕著に生じるので、チャネル長Lが小さいほど飽和移動度が向上していると考えられる。
<<浅い電子トラップ準位を仮定したモデル>>
次に、実際のトランジスタの飽和移動度に近似させるために、理想的なモデルのトランジスタにおいて、ゲート絶縁膜GI_1及び酸化物半導体膜OSの界面に、電子をトラップすると負に帯電するアクセプタ型の準位、即ち浅い電子トラップ準位を仮定して計算した結果を図7に示す。
図7(A)に、ゲート絶縁膜GI_1及び酸化物半導体膜OSの界面に仮定した電子トラップ準位のDOS(density of states)を示す。
次に、Dual Gate駆動のトランジスタ及びSingle Gate駆動のトランジスタそれぞれの飽和移動度を計算した。Dual Gate駆動のトランジスタの計算結果を図7(B)に示し、Single Gate駆動のトランジスタの計算結果を図7(C)に示す。
図7(B)及び図7(C)より、Dual Gate駆動のトランジスタ及びSingle Gate駆動のトランジスタの飽和移動度において、理想的なモデルで得られたような鋭いピークが現れなかった。また、図7(C)より、Single Gate駆動のトランジスタでは、チャネル長Lにあまり依存せず、飽和移動度のピーク値はおよそ5前後であった。一方、Dual Gate駆動のトランジスタでは、チャネル長Lが小さくなるほど、飽和移動度のピーク値が高くなり、その値は15乃至20弱となった。この結果は、後述する実施例の結果と同じ傾向である。
このことから、Dual Gate駆動のトランジスタにおいて、チャネル長Lを小さくする程、飽和移動度が上昇することが分かる。
<Dual Gate駆動におけるチャネルエッチ型のトランジスタ及びチャネル保護型のトランジスタの比較>
ここで、チャネルエッチ型のトランジスタ及びチャネル保護型のトランジスタ、それぞれの電界効果移動度及びオン電流について比較する。なお、ここでは、酸化物半導体膜を挟んで対向するゲート電極が接続し、同電位であるDual Gate駆動のトランジスタの電界効果移動度(μFE)及びオン電流(Ion)について、比較する。
チャネルエッチ型のトランジスタ及びチャネル保護型のトランジスタの電気特性について計算した。図8(A)に、計算で用いたチャネル保護型のトランジスタの構造を示す。なお、計算にはデバイスシミュレーションソフト Atlas(Silvaco社製)を用いた。
チャネル保護型のトランジスタは、ゲート電極GE_1上にゲート絶縁膜GI_1が形成され、ゲート絶縁膜GI_1上に酸化物半導体膜OSが形成される。ゲート絶縁膜GI_1及び酸化物半導体膜OS上にソース電極S及びドレイン電極Dが形成される。なお、ソース電極S及びドレイン電極Dの端部と酸化物半導体膜OSの間にはチャネル保護膜CSが形成される。酸化物半導体膜OS、ソース電極S及びドレイン電極D、並びにチャネル保護膜CS上にゲート絶縁膜GI_2が形成される。ゲート絶縁膜GI_2上にゲート電極GE_2が形成される。また、ゲート電極GE_1及びゲート電極GE_2は、ゲート絶縁膜GI_1及びゲート絶縁膜GI_2に形成される開口部(図示しない。)において、接続する。
チャネルエッチ型のトランジスタは、チャネル保護膜CSが設けられず、ソース電極S及びドレイン電極Dの端部が、酸化物半導体膜OSに接する構造である。
計算に用いた条件を表2に示す。
図8(A)は、Dual Gate駆動のトランジスタを示すが、比較例として、ゲート電極GE_2を有さない、Single Gate駆動のトランジスタに関しても、Dual Gate駆動のトランジスタと同様の計算を行った。
チャネル保護型のトランジスタにおいて、チャネル保護膜CSを介して、酸化物半導体膜OSとソース電極Sまたはドレイン電極Dとが重畳する領域の長さをSovとする。また、ソース電極S及びドレイン電極Dにおいて、チャネル保護膜CSを介して酸化物半導体膜OSと重畳する領域をSov領域とする。Sovと電界効果移動度との関係を計算した結果を図8(B)に示し、Sovとオン電流との関係を計算した結果を図8(C)に示す。
また、チャネルエッチ型のトランジスタにおいては、Sovを0μmとして、電界効果移動度及びオン電流を計算した。また、計算結果をそれぞれ図8(B)及び図8(C)に示す。
なお、図8(B)は、ドレイン電圧Vdを1Vとしたときの電界効果移動度の計算結果である。また、図8(C)は、ドレイン電圧Vdを1V、ゲート電圧Vgを10Vとしたときのオン電流の計算結果である。
図8(B)に示すように、チャネルエッチ型のトランジスタ(Sovが0μm)では、Single Gate駆動のトランジスタと比較して、Dual Gate駆動のトランジスタの電界効果移動度は約2倍になっている。一方、チャネル保護型のトランジスタでは、Dual Gate駆動のトランジスタの電界効果移動度は、Sovの長さが大きくなるに従って減少している。
また、図8(C)に示すように、チャネルエッチ型のトランジスタ(Sovが0μm)では、Single Gate駆動のトランジスタと比較して、Dual Gate駆動のトランジスタのオン電流は約2倍になっている。一方、チャネル保護型のトランジスタでは、Dual Gate駆動のトランジスタのオン電流は、Sovの長さが大きくなるに従って減少している。
チャネル保護型のトランジスタでは、ソース電極S及びドレイン電極DにおけるSov領域がゲート電極GE_2の電界を遮蔽する。このため、酸化物半導体膜OSにおいて、ゲート電極GE_2の電圧によりキャリアの密度を制御ができない領域が広がる。この結果、Sovの長さが大きくなるにつれ、電界効果移動度が低減し、オン電流が小さくなると考えられる。以上のことから、チャネル保護型のトランジスタと比較して、チャネルエッチ型のトランジスタの方が、Dual Gate駆動における電界効果移動度の上昇効果及び電流増幅効果が高い。
<Single Gate駆動のトランジスタのモデル>
はじめに、実測のSingle Gate駆動のトランジスタのモデルについて説明する。図38(A)に、ドレイン電極Dの電圧をVd=10Vとし、ゲート電極GE_1の電圧VGE_1=5Vとした場合の、飽和領域における酸化物半導体膜OS中のキャリアの様子を示す。
図38(A)に示すトランジスタは、飽和領域のため、チャネルにはピンチオフ点が存在する。このとき、ゲート電極GE_1の電圧によって電子が誘起された領域、即ちチャネルAでは、ゲート電極GE_1の正電荷は、チャネルA中の電子と容量結合する。一方、ピンチオフ点からドレイン電極Dの間の領域(以下、空乏領域という。)では、電気力が酸化物半導体膜OSを通り抜けてゲート絶縁膜GI_2の表面に到達する、と考えられる。その結果、空気中の負に帯電した電荷がゲート絶縁膜GI_2表面に吸着し、ゲート電極GE_1の正電荷と容量結合すると考えられる。
これらの結果、ドレイン近傍の空乏領域では、ゲート電極GE_1の電圧がゲート絶縁膜GI_1とゲート絶縁膜GI_2に分配されてしまい(図39参照。)、ゲート電極GE_1によるチャネルの制御性が低下してしまう、と考えられる。
次に、図38(B)にゲート電極GE_2を設けたモデルを示す。図38(B)に示すモデルにおいて、ゲート電極GE_2の電圧VGE_2=0Vとして計算することで、近似的に吸着電荷の存在を想定した。
ゲート電極GE_2の電圧を0Vと固定したモデルにおいて、電子が誘起された領域、即ちチャネルAでは、ゲート電極GE_1から生じた電界は、チャネルA中の電子によって遮蔽される。一方、空乏領域では、ゲート電極GE_1から生じた電界により、ゲート電極GE_2中に負電荷が誘起される。ゲート電極GE_2が存在せず、吸着電荷がゲート絶縁膜GI_2表面に吸着する場合においても、チャネルAでは、ゲート電極GE_1の電界がチャネルA中の電子に遮蔽されるため、ゲート絶縁膜GI_2表面に負電荷は吸着せず、空乏領域のみ負電荷が吸着すると考えられる。つまり、ゲート電極GE_2の電圧を0Vとした今回のモデルでも、吸着電荷の影響をある程度は再現できているものと考えられる。
<上記モデルを用いたシミュレーション>
次に、synopsys社のSentaurusを用いて2次元系で計算を行った。図40に、今回計算に用いたトランジスタのL長方向の断面模式図を示す。トランジスタの構造はSingle Gate駆動のトランジスタであり、酸化物半導体膜OSの電子移動度を10cm2/Vsとした。表3に、計算に用いた主なパラメータを示す。また、ここでは、トラップ準位を仮定していない理想系での計算を行った。
図41(A)に、ゲート電極GE_2の電圧を0VとしたSingle Gate駆動のトランジスタのモデルによるId−Vg特性と飽和移動度を示す。また、図41(B)に、Dual Gate駆動のトランジスタと、Single Gate駆動のトランジスタ、それぞれのモデルのId−Vg特性及び飽和移動度を示す。図41において、横軸はゲート電圧、左縦軸はドレイン電流、右縦軸は飽和移動度を示す。
図41(A)より、理想系にも関わらず、ゲート電極GE_2の電圧を0Vとしたモデルでは飽和移動度が、一点破線で示す設定値である10cm2/Vsより低くなっている。これは、上述した通り、空乏領域で生じる容量結合の影響が原因と考えられる。そのため図41(B)に示すように、破線で示すDual Gate駆動は、実線で示すシングルゲート駆動のトランジスタと比較して、飽和移動度が2倍以上に上昇したように見える。
したがって、吸着電荷の影響を考慮した上記のモデルによって、Single Gate駆動のトランジスタの移動度の傾向が再現できることが分かった。
以上のことから、Single Gate駆動のトランジスタでは、空乏領域においてゲート電極GE_1の正電荷がゲート絶縁膜GI_2表面の吸着電荷と容量結合している可能性がある。このため、Single Gate駆動のトランジスタと比べて、Dual Gate駆動のトランジスタは、飽和移動度が2倍以上に増加すると考えられる。
次に、図1に示すトランジスタ10の作製方法について、図9乃至図12を用いて説明する。なお、図9乃至図12において、A−Bに示すチャネル長方向の断面図及びC−Dに示すチャネル幅方向の断面図を用いて、トランジスタ10の作製方法を説明する。
図9(A)に示すように、基板11上に、のちにゲート電極13となる導電膜12を形成する。
ここでは、基板11としてガラス基板を用いる。
導電膜12は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等により形成する。
ここでは、導電膜12として、厚さ100nmのタングステン膜をスパッタリング法により形成する。
次に、導電膜12上に第1のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜12の一部をエッチングして、ゲート電極13を形成する。この後、マスクを除去する(図9(B)参照。)。
導電膜12の一部をエッチングする方法としては、ウエットエッチング法、ドライエッチング法等があり、これらの一方または両方を用いることができる。
ここでは、フォトリソグラフィ工程によりマスクを形成し、当該マスクを用いて導電膜12をドライエッチングして、ゲート電極13を形成する。
なお、ゲート電極13は、上記形成方法の代わりに、電解メッキ法、印刷法、インクジェット法等で形成してもよい。
次に、図9(C)に示すように、基板11及びゲート電極13上に、のちにゲート絶縁膜15となる絶縁膜14を形成し、絶縁膜14上に、のちに酸化物半導体膜17となる酸化物半導体膜16を形成する。
絶縁膜14は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で形成する。
絶縁膜14として酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
絶縁膜14として酸化ガリウム膜を形成する場合、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成することができる。
酸化物半導体膜16は、スパッタリング法、塗布法、パルスレーザー蒸着法、レーザーアブレーション法等を用いて形成することができる。
スパッタリング法で酸化物半導体膜16を形成する場合、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。
また、ターゲットは、形成する酸化物半導体膜16の組成にあわせて、適宜選択すればよい。
高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜16を得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパッタガスの高純度化も必要である。スパッタガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下、より好ましくは−120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜16に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
ここでは、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=3:1:2)を用いたスパッタリング法により、酸化物半導体膜16として厚さ35nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成する。
次に、酸化物半導体膜16上に、第2のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成した後、該マスクを用いて酸化物半導体膜16の一部をエッチングすることで、素子分離された酸化物半導体膜17を形成する。この後、マスクを除去する(図9(D)参照。)。
酸化物半導体膜16の一部をエッチングする方法としては、ウエットエッチング法、ドライエッチング法等があり、これらの一方または両方を用いることができる。
ここでは、フォトリソグラフィ工程によりマスクを形成し、当該マスクを用いて酸化物半導体膜16をウエットエッチングして、酸化物半導体膜17を形成する。
なお、この後、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下の加熱処理を行ってもよい。この結果、酸化物半導体膜17に含まれる水素、水等の含有量を低減することが可能であり、酸化物半導体膜17に含まれる不純物を低減することが可能である。
次に、図10(A)に示すように、のちに一対の電極19、20となる導電膜18を形成する。
導電膜18は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で形成する。
ここでは、厚さ50nmのタングステン膜及び厚さ300nmの銅膜を順にスパッタリング法により積層し、導電膜18を形成する。
次に、導電膜18上に第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜18をエッチングして、一対の電極19、20を形成する。この後、マスクを除去する(図10(B)参照。)。
ここでは、当該マスクを用いてタングステン膜及び銅膜をエッチングして、一対の電極19、20を形成する。なお、はじめに、ウエットエッチング法を用いて銅膜をエッチングし、次に、SF6を用いたドライエッチング法により、タングステン膜をエッチングすることで、該エッチングにおいて、銅膜の表面にフッ化物が形成される。該フッ化物により、銅膜からの銅元素の拡散が低減され、酸化物半導体膜17における銅濃度を低減することができる。
次に、図11(A)に示すように、酸化物半導体膜17及び一対の電極19、20上に、後に酸化物絶縁膜23となる酸化物絶縁膜22、及び後に酸化物絶縁膜25となる酸化物絶縁膜24を形成する。
なお、酸化物絶縁膜22を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に酸化物絶縁膜24を形成することが好ましい。酸化物絶縁膜22を形成した後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、酸化物絶縁膜24を連続的に形成することで、酸化物絶縁膜22及び酸化物絶縁膜24における界面の大気成分由来の不純物濃度を低減することができると共に、酸化物絶縁膜24に含まれる酸素を酸化物半導体膜17に移動させることが可能であり、酸化物半導体膜17の酸素欠損量を低減することができる。
酸化物絶縁膜22としては、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を280℃以上400℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を20Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上250Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
酸化物絶縁膜22の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
上記条件を用いることで、酸化物絶縁膜22として酸素を透過する酸化物絶縁膜を形成することができる。また、酸化物絶縁膜22を設けることで、後に形成する酸化物絶縁膜25の形成工程において、酸化物半導体膜17へのダメージ低減が可能である。
当該成膜条件において、基板温度を上記温度とすることで、シリコン及び酸素の結合力が強くなる。この結果、酸化物絶縁膜22として、酸素が透過し、緻密であり、且つ硬い酸化物絶縁膜、代表的には、25℃において0.5重量%のフッ酸に対するエッチング速度が10nm/分以下、好ましくは8nm/分以下である酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
また、加熱をしながら酸化物絶縁膜22を形成するため、酸化物半導体膜17に水素、水等が含まれる場合、当該工程において酸化物半導体膜17に含まれる水素、水等を脱離させることができる。酸化物半導体膜17に含まれる水素は、プラズマ中で発生した酸素ラジカルと結合し、水となる。酸化物絶縁膜22の成膜工程において基板が加熱されているため、酸素及び水素の結合により生成された水は、酸化物半導体膜17から脱離する。即ち、プラズマCVD法によって酸化物絶縁膜22を形成することで、酸化物半導体膜17に含まれる水及び水素の含有量を低減することができる。
また、酸化物絶縁膜22を形成する工程において加熱するため、酸化物半導体膜17が露出された状態での加熱時間が少なく、加熱処理による酸化物半導体膜からの酸素の脱離量を低減することができる。即ち、酸化物半導体膜17中に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
さらには、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とすることで、酸化物絶縁膜23に含まれる水の含有量が少なくなるため、トランジスタ10の電気特性のばらつきを低減すると共に、しきい値電圧の変動を抑制することができる。
また、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とすることで、酸化物絶縁膜22を成膜する際に、酸化物半導体膜17へのダメージを低減することが可能であり、酸化物半導体膜17に含まれる酸素欠損量を低減することができる。特に、酸化物絶縁膜22または後に形成される酸化物絶縁膜24の成膜温度を高くする、代表的には220℃より高い温度とすることで、酸化物半導体膜17に含まれる酸素の一部が脱離し、酸素欠損が形成されやすい。また、トランジスタの信頼性を高めるため、後に形成する酸化物絶縁膜24の欠陥量を低減するための成膜条件を用いると、酸素脱離量が低減しやすい。これらの結果、酸化物半導体膜17の酸素欠損を低減することが困難な場合がある。しかしながら、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とし、酸化物絶縁膜22の成膜時における酸化物半導体膜17へのダメージを低減することで、酸化物絶縁膜24からの少ない酸素脱離量でも酸化物半導体膜17中の酸素欠損を低減することが可能である。
なお、シリコンを含む堆積性気体に対する酸化性気体量を100倍以上とすることで、酸化物絶縁膜22に含まれる水素含有量を低減することが可能である。この結果、酸化物半導体膜17に混入する水素量を低減できるため、トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトを抑制することができる。
ここでは、酸化物絶縁膜22として、流量30sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの高周波電力を平行平板電極に供給したプラズマCVD法により、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。当該条件により、酸素が透過する酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
酸化物絶縁膜24としては、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
酸化物絶縁膜24の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
酸化物絶縁膜24の成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、酸化物絶縁膜25中における酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。一方、基板温度が、上記温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。また、酸化物半導体膜17上に酸化物絶縁膜22が設けられている。このため、酸化物絶縁膜24の形成工程において、酸化物絶縁膜22が酸化物半導体膜17の保護膜となる。この結果、酸化物半導体膜17へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて酸化物絶縁膜24を形成することができる。
ここでは、酸化物絶縁膜24として、流量200sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、反応室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1500Wの高周波電力を平行平板電極に供給したプラズマCVD法により、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。なお、プラズマCVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のプラズマCVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると0.25W/cm2である。
次に、加熱処理を行う。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。
該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することができる。
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
当該加熱処理により、酸化物絶縁膜24に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜17に移動させ、酸化物半導体膜17に含まれる酸素欠損量をさらに低減することができる。
また、酸化物絶縁膜22及び酸化物絶縁膜24に水、水素等が含まれる場合、水、水素等をブロッキングする機能を有する窒化物絶縁膜26を形成した後で加熱処理を行うと、酸化物絶縁膜22及び酸化物絶縁膜24に含まれる水、水素等が、酸化物半導体膜17に移動し、酸化物半導体膜17に欠陥が生じてしまう。しかしながら、当該加熱処理を窒化物絶縁膜26の形成前に行うことにより、酸化物絶縁膜22及び酸化物絶縁膜24に含まれる水、水素等を脱離させることが可能であり、トランジスタ10の電気特性のばらつきを低減すると共に、しきい値電圧の変動を抑制することができる。
なお、加熱しながら酸化物絶縁膜24を、酸化物絶縁膜22上に形成することで、酸化物半導体膜17に酸素を移動させ、酸化物半導体膜17に含まれる酸素欠損を低減することが可能であるため、当該加熱処理を行わなくともよい。
ここでは、窒素及び酸素雰囲気で、350℃、1時間の加熱処理を行う。
また、一対の電極19、20を形成する際、導電膜のエッチングによって、酸化物半導体膜17はダメージを受け、酸化物半導体膜17のバックチャネル(酸化物半導体膜17において、ゲート電極13と対向する面と反対側の面)側に酸素欠損が生じる。しかし、酸化物絶縁膜24に化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を適用することで、加熱処理によって当該バックチャネル側に生じた酸素欠損を低減することができる。これによりトランジスタ10の信頼性を向上させることができる。
次に、スパッタリング法、CVD法等により、のちに窒化物絶縁膜27となる窒化物絶縁膜26を形成する。
なお、窒化物絶縁膜26をプラズマCVD法で形成する場合、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を300℃以上400℃以下、さらに好ましくは320℃以上370℃以下にとすることで、緻密な窒化物絶縁膜を形成できるため好ましい。
窒化物絶縁膜26としてプラズマCVD法により窒化シリコン膜を形成する場合、シリコンを含む堆積性気体、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いることが好ましい。原料ガスとして、窒素と比較して少量のアンモニアを用いることで、プラズマ中でアンモニアが解離し、活性種が発生する。当該活性種が、シリコンを含む堆積性気体に含まれるシリコン及び水素の結合、及び窒素の三重結合を切断する。この結果、シリコン及び窒素の結合が促進され、シリコン及び水素の結合が少なく、欠陥が少なく、緻密な窒化シリコン膜を形成することができる。一方、原料ガスにおいて、窒素に対するアンモニアの量が多いと、シリコンを含む堆積性気体及び窒素それぞれの分解が進まず、シリコン及び水素結合が残存してしまい、欠陥が増大した、且つ粗な窒化シリコン膜が形成されてしまう。これらのため、原料ガスにおいて、アンモニアに対する窒素の流量比を5以上50以下、好ましくは10以上50以下とすることが好ましい。
ここでは、プラズマCVD装置の反応室に、流量50sccmのシラン、流量5000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアを原料ガスとし、処理室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給したプラズマCVD法により、窒化物絶縁膜26として、厚さ50nmの窒化シリコン膜を形成する。なお、プラズマCVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のプラズマCVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると1.7×10−1W/cm2である。
以上の工程により、酸化物絶縁膜22、酸化物絶縁膜24、及び窒化物絶縁膜26を形成することができる。
次に、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。
次に、窒化物絶縁膜26上に第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成した後、該マスクを用いて、絶縁膜14、酸化物絶縁膜22、酸化物絶縁膜24、及び窒化物絶縁膜26のそれぞれ一部をエッチングして、ゲート絶縁膜15と、酸化物絶縁膜23、酸化物絶縁膜25、及び窒化物絶縁膜27で構成されるゲート絶縁膜28とを形成する。なお、ゲート絶縁膜28には、図11(B)のA−Bに示すように、開口部41を有する。また、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28には、図11(B)のC−Dに示すように、開口部42、43を有する。
次に、図12(A)に示すように、後にゲート電極31及び電極32となる導電膜30を形成する。
導電膜30は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等により形成する。
ここでは、スパッタリング法により導電膜30として厚さ100nmのITO膜を形成する。
次に、導電膜30上に第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜30の一部をエッチングして、ゲート電極31及び電極32を形成する。この後、マスクを除去する。
なお、図12(B)に示すように、チャネル幅方向において、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28に設けられる開口部に設けられるゲート電極31と酸化物半導体膜17の側面が、ゲート絶縁膜28を介して位置するように、ゲート電極31を形成する。
以上の工程により、トランジスタ10を作製することができる。
本実施の形態に示すトランジスタは、チャネル幅方向において、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28に設けられる開口部42、43に設けられるゲート電極31と酸化物半導体膜17の側面がゲート絶縁膜28を介して位置することで、ゲート電極31の電界の影響により、酸化物半導体膜17の側面またはその近傍における寄生チャネルの発生が抑制される。この結果、ドレイン電流がしきい値近傍でこぶを有することのない、電気特性の優れたトランジスタとなる。また、酸化物半導体膜17の側面においても、ゲート電極31の電界の影響を受け、酸化物半導体膜17の広い範囲においてキャリアが流れるため、トランジスタの電界効果移動度が上昇すると共に、オン電流が増大する。
また、チャネル領域として機能する酸化物半導体膜に重畳して、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を形成することで、当該酸化物絶縁膜の酸素を酸化物半導体膜に移動させることができる。この結果、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損の含有量を低減することが可能であり、信頼性の高いトランジスタとなる。
上記より、酸化物半導体膜を有するトランジスタを備えた半導体装置において電気特性の優れた半導体装置を得ることができる。また、酸化物半導体膜を有するトランジスタを備えた半導体装置において、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
<変形例1>
図1と異なる構造のトランジスタについて、図13を用いて説明する。図13に示すトランジスタ50は、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜17の一方の側面の外側において、ゲート電極13及びゲート電極51が接続するが、酸化物半導体膜17の他方の側面の外側において、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28を介して、ゲート電極13及びゲート電極51が対向する点が、実施の形態1に示す他のトランジスタと異なる。
図13(A)乃至図13(C)に、半導体装置が有するトランジスタ50の上面図及び断面図を示す。図13(A)はトランジスタ50の上面図であり、図13(B)は、図13(A)の一点鎖線A−B間の断面図であり、図13(C)は、図13(A)の一点鎖線C−D間の断面図である。なお、図13(A)では、明瞭化のため、基板11及び絶縁膜などを省略している。
図13(B)及び図13(C)に示すトランジスタ50は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板11上に設けられるゲート電極13と、基板11及びゲート電極13上に形成されるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15を介して、ゲート電極13と重なる酸化物半導体膜17と、酸化物半導体膜17に接する一対の電極19、20と、ゲート絶縁膜15、酸化物半導体膜17、及び一対の電極19、20上のゲート絶縁膜28と、ゲート絶縁膜28上のゲート電極51とを有する。ゲート絶縁膜28は、酸化物絶縁膜23、酸化物絶縁膜25、及び窒化物絶縁膜27を有する。ゲート電極51は、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28に設けられた開口部42において、ゲート電極13に接続する。また、一対の電極19、20の一方、ここでは電極20に接続する電極32がゲート絶縁膜28上に形成される。なお、電極32は画素電極として機能する。
ゲート電極51は、実施の形態1に示すゲート電極31と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、ゲート電極51は、電極32と同時に形成することができる。
本実施の形態に示すトランジスタ50は、チャネル長が0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.5μm以下である。トランジスタ50は、ゲート電極13及びゲート電極51の間に酸化物半導体膜17が設けられている。また、ゲート電極51は図13(A)に示すように、上面から見て、ゲート絶縁膜28を介して酸化物半導体膜17の端部と重なる。
また、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28には複数の開口部を有する。代表的には、図13(B)に示すように、一対の電極19、20の一方を露出する開口部41を有する。また、図13(C)に示すように、酸化物半導体膜17の一方の側面の外側においては、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28に設けられた開口部42を有する。該開口部42において、ゲート電極51はゲート電極13と接続する。また、開口部42に設けられるゲート電極51と酸化物半導体膜17の側面がゲート絶縁膜28を介して位置する。また、酸化物半導体膜17の他方の側面の外側においては、ゲート電極51はゲート電極13と接続しない。また、ゲート電極51端部は、酸化物半導体膜17の側面の外側に位置する。
なお、図13(C)に示すように、チャネル幅方向において、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28の界面にゲート電極51を投影した際の端部と、酸化物半導体膜17の側面との距離dは、ゲート絶縁膜15の膜厚t1及びゲート絶縁膜28の膜厚t2の合計膜厚の1倍以上7.5倍以下とすることが好ましい。距離dが、ゲート絶縁膜15の膜厚t1及びゲート絶縁膜28の膜厚t2の合計膜厚の1倍以上の場合、ゲート電極51の電界が酸化物半導体膜17の側面またはその近傍に影響するため、酸化物半導体膜17の側面またはその近傍における寄生チャネルの発生を抑制することができる。一方、距離dがゲート絶縁膜15の膜厚t1及びゲート絶縁膜28の膜厚t2の合計膜厚の7.5倍以下の場合、トランジスタの面積を小さくすることができる。
次に、トランジスタ50の作製工程について説明する。
図9乃至図11(A)の工程を経て、基板11上にゲート電極13、絶縁膜14、酸化物半導体膜17、一対の電極19、20、酸化物絶縁膜22、酸化物絶縁膜24、及び窒化物絶縁膜26を形成する。なお、当該工程においては、第1のフォトマスク乃至第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を行う。
次に、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により窒化物絶縁膜26上にマスクを形成した後、絶縁膜14、酸化物絶縁膜22、酸化物絶縁膜24、及び窒化物絶縁膜26の一部をエッチングして、図13(A)乃至図13(C)に示す開口部41、42を形成する。
次に、図12(A)に示す工程と同様に、導電膜30を形成する。次に、第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により導電膜30上にマスクを形成した後、導電膜30の一部をエッチングして、図13(A)乃至図13(C)に示すゲート電極51及び電極32を形成する。
以上の工程により、トランジスタ50を作製することができる。
<変形例2>
図1及び図13と異なる構造のトランジスタについて、図14を用いて説明する。図14に示すトランジスタ60は、ゲート電極13及びゲート電極64が、導電膜62を介して接続している点が、実施の形態1に示す他のトランジスタと異なる。
図14(A)乃至図14(C)に、半導体装置が有するトランジスタ60の上面図及び断面図を示す。図14(A)はトランジスタ60の上面図であり、図14(B)は、図14(A)の一点鎖線A−B間の断面図であり、図14(C)は、図14(A)の一点鎖線C−D間の断面図である。なお、図14(A)では、明瞭化のため、基板11及び絶縁膜などを省略している。
図14(B)及び図14(C)に示すトランジスタ60は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板11上に設けられるゲート電極13と、基板11及びゲート電極13上に形成されるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15を介して、ゲート電極13と重なる酸化物半導体膜17と、酸化物半導体膜17に接する一対の電極19、20と、ゲート絶縁膜15、酸化物半導体膜17、及び一対の電極19、20上のゲート絶縁膜28と、ゲート絶縁膜28上に形成されるゲート電極64とを有する。ゲート絶縁膜28は、酸化物絶縁膜23、酸化物絶縁膜25、及び窒化物絶縁膜27を有する。ゲート電極64は、導電膜62を介して、ゲート電極13に接続する。また、一対の電極19、20の一方、ここでは電極20に接続する電極32がゲート絶縁膜28上に形成される。なお、電極32は画素電極として機能する。
導電膜62は、実施の形態1に示す一対の電極19、20と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、導電膜62は、一対の電極19、20と同時に形成される。ゲート電極64は、実施の形態1に示すゲート電極31と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、ゲート電極64は、電極32と同時に形成することができる。
本実施の形態に示すトランジスタ60は、チャネル長が0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.5μm以下である。また、トランジスタ60は、ゲート電極13及びゲート電極64の間に酸化物半導体膜17が設けられている。また、ゲート電極64は図14(A)に示すように、上面から見て、ゲート絶縁膜28を介して酸化物半導体膜17の端部と重なる。
また、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28は複数の開口部を有する。代表的には、図14(B)に示すように、一対の電極19、20の一方を露出する開口部41を有する。また、図14(C)に示すように、ゲート絶縁膜15に設けられた開口部61、及びゲート絶縁膜28に設けられた開口部63を有する。開口部61において、導電膜62がゲート電極13と接続する。また、開口部63において、ゲート電極64は導電膜62と接続する。即ち、導電膜62を介してゲート電極13及びゲート電極64は電気的に接続する。また、ゲート絶縁膜28を介して、ゲート電極13及びゲート電極64と同電位である導電膜62と酸化物半導体膜17の側面が位置する。
なお、トランジスタ60は、図14(C)に示すようにチャネル幅方向において、酸化物半導体膜17の一方の側面の外側のみにおいて、ゲート電極13及びゲート電極64が導電膜62を介して接続するが、酸化物半導体膜17の両方の側面の外側において、ゲート電極13及びゲート電極64が導電膜62を介して接続してもよい。
次に、トランジスタ60の作製工程について説明する。
図9の工程を経て、基板11上に、ゲート電極13、絶縁膜14、及び酸化物半導体膜17を形成する。当該工程においては、第1のフォトマスク及び第2のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を行う。
次に、第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により絶縁膜14上にマスクを形成した後、絶縁膜14の一部をエッチングして、図14(A)及び図14(B)に示す開口部61を形成する。
次に、図10(A)及び図10(B)に示す工程と同様に、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により導電膜18上にマスクを形成した後、導電膜18の一部をエッチングして、一対の電極19、20、及び導電膜62を形成する。
次に、図11(A)に示す工程と同様に、酸化物絶縁膜22、酸化物絶縁膜24、及び窒化物絶縁膜26を形成する。次に、第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により窒化物絶縁膜26上にマスクを形成した後、窒化物絶縁膜26の一部をエッチングして、図14(A)及び図14(B)に示す開口部41、63を形成する。
次に、図12(A)に示す工程と同様に、導電膜30を形成する。次に、第6のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により導電膜30上にマスクを形成した後、導電膜30の一部をエッチングして、図14(A)乃至図14(C)に示すゲート電極64及び電極32を形成する。
以上の工程により、トランジスタ60を作製することができる。
<変形例3>
図1、図13、及び図14と異なる構造のトランジスタについて、図15を用いて説明する。図15に示すトランジスタ70は、一対の電極19、20の一方に接続する電極32がゲート絶縁膜15上に形成される。また、酸化物半導体膜17及び一対の電極19、20上にトランジスタごとに分離されたゲート絶縁膜74を有する点が、実施の形態1に示す他のトランジスタと異なる。
図15(A)乃至図15(C)に、半導体装置が有するトランジスタ70の上面図及び断面図を示す。図15(A)はトランジスタ70の上面図であり、図15(B)は、図15(A)の一点鎖線A−B間の断面図であり、図15(C)は、図15(A)の一点鎖線C−D間の断面図である。なお、図15(A)では、明瞭化のため、基板11及び絶縁膜などを省略している。
図15(B)及び図15(C)に示すトランジスタ70は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板11上に設けられるゲート電極13と、基板11及びゲート電極13上に形成されるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15を介して、ゲート電極13と重なる酸化物半導体膜17と、酸化物半導体膜17に接する一対の電極19、20と、ゲート絶縁膜15、酸化物半導体膜17、及び一対の電極19、20上のゲート絶縁膜74と、ゲート絶縁膜74及びゲート絶縁膜15上のゲート電極76とを有する。ゲート絶縁膜74は、酸化物絶縁膜71、酸化物絶縁膜72、及び窒化物絶縁膜73を有する。ゲート電極76は、窒化物絶縁膜15aに設けられた開口部75においてゲート電極13と接続する。また、一対の電極19、20の一方、ここでは電極20に接続する電極77がゲート絶縁膜15上に形成される。なお、電極77は画素電極として機能する。
ゲート絶縁膜15は、窒化物絶縁膜15a及び酸化物絶縁膜15bで形成される。酸化物絶縁膜15bは、酸化物半導体膜17、一対の電極19、20、及び酸化物絶縁膜71と重複する領域に形成される。また、酸化物絶縁膜71は、実施の形態1に示す酸化物絶縁膜23と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、酸化物絶縁膜72は、実施の形態1に示す酸化物絶縁膜25と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。窒化物絶縁膜73は、実施の形態1に示す窒化物絶縁膜27と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、ゲート電極76及び電極77は、実施の形態1に示すゲート電極31及び電極32と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。
また、酸化物絶縁膜71、酸化物絶縁膜72、及び窒化物絶縁膜73で構成されるゲート絶縁膜74は、トランジスタごとに分離されており、且つ酸化物半導体膜17と重畳する。具体的には、図15(B)に示すチャネル長方向において、一対の電極19、20上にゲート絶縁膜74の端部が位置し、図15(C)に示すチャネル幅方向において、酸化物半導体膜17の外側にゲート絶縁膜74の端部が位置する。また、図15(C)に示すチャネル幅方向において、ゲート絶縁膜74を介してゲート電極76と酸化物半導体膜17の側面が位置する。なお、ゲート絶縁膜74の端部は、チャネル長方向において、一対の電極19、20上に設けられず、ゲート絶縁膜15上に設けられてもよい。この場合、電極77は、ゲート絶縁膜74上に形成され、且つゲート絶縁膜74の開口部において、一対の電極19、20の一方と接続する。
本実施の形態に示すトランジスタ70は、チャネル長が0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.5μm以下である。また、トランジスタ70は、チャネル幅方向において、ゲート電極13及びゲート電極76の間に、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜74を介して酸化物半導体膜17が設けられている。また、ゲート電極76は、図15(A)に示すように、上面から見て、ゲート絶縁膜74を介して酸化物半導体膜17の端部と重なる。
なお、図15(C)に示すようにチャネル幅方向において、酸化物半導体膜17の一方の側面の外側のみにおいて、ゲート電極13及びゲート電極76が接続するが、酸化物半導体膜17の両方の側面の外側において、ゲート電極13及びゲート電極76が接続してもよい。
次に、トランジスタ70の作製方法について説明する。
トランジスタ70は、図9乃至図11(A)に示す工程を経て、基板11上に、ゲート電極13、絶縁膜14、酸化物半導体膜17、一対の電極19、20、酸化物絶縁膜22、酸化物絶縁膜24、及び窒化物絶縁膜26を形成する。当該工程においては、第1のフォトマスク乃至第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を行う。
次に、図11(B)に示す工程において、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、窒化物絶縁膜26上にマスクを形成した後、酸化物絶縁膜22、酸化物絶縁膜24、及び窒化物絶縁膜26の一部をエッチングして、トランジスタごとに分離されたゲート絶縁膜74を形成することができる。なお、絶縁膜14が窒化物絶縁膜及び酸化物絶縁膜で積層される場合、酸化物絶縁膜23のエッチングと共に、絶縁膜14の一部もエッチングされる。この結果、図15(B)に示すように、窒化物絶縁膜15a及び酸化物絶縁膜15bを有するゲート絶縁膜15が形成される。即ち、段差を有するゲート絶縁膜15が形成される。
この後、図12に示す工程を経て、ゲート電極76及び電極77を形成する。
以上の工程により、トランジスタ70を作製することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1と異なる半導体装置及びその作製方法について図面を参照して説明する。本実施の形態では、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損がより低減されたトランジスタを図16を用いて説明する。
図16(A)乃至図16(C)に、半導体装置が有するトランジスタ80の上面図及び断面図を示す。図16(A)はトランジスタ80の上面図であり、図16(B)は、図16(A)の一点鎖線A−B間の断面図であり、図16(C)は、図16(A)の一点鎖線C−D間の断面図である。なお、図16(A)では、明瞭化のため、基板11及び絶縁膜などを省略している。
図16(B)及び図16(C)に示すトランジスタ80は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板11上に設けられるゲート電極13と、基板11及びゲート電極13上に形成されるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15を介して、ゲート電極13と重なる酸化物半導体膜17と、酸化物半導体膜17に接する一対の電極19、20と、ゲート絶縁膜15、酸化物半導体膜17、及び一対の電極19、20上のゲート絶縁膜88と、ゲート絶縁膜88上のゲート電極91とを有する。ゲート絶縁膜88は、酸化物絶縁膜83、酸化物絶縁膜85、及び窒化物絶縁膜87を有する。ゲート電極91は、ゲート絶縁膜15及び窒化物絶縁膜87に設けられた開口部94においてゲート電極13と接続する。また、一対の電極19、20の一方、ここでは電極20に接続する電極92が、窒化物絶縁膜27上に形成される。電極92は窒化物絶縁膜87に設けられた開口部93において、電極20と接続する。なお、電極92は画素電極として機能する。
また、ゲート絶縁膜15は、窒化物絶縁膜15a及び酸化物絶縁膜15bで形成される。酸化物絶縁膜15bは、酸化物半導体膜17、一対の電極19、20、及び酸化物絶縁膜83と重複する領域に形成される。
窒化物絶縁膜15aとして、窒化シリコン膜を用いて形成する。また、酸化物絶縁膜15bは、実施の形態1に示すゲート絶縁膜15において列挙した酸化物を適宜用いることができる。また、窒化物絶縁膜15a及び酸化物絶縁膜15bはそれぞれ、絶縁膜14に列挙した作製方法を適宜用いることができる。また、酸化物絶縁膜83は、実施の形態1に示す酸化物絶縁膜23と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、酸化物絶縁膜85は、実施の形態1に示す酸化物絶縁膜25と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。窒化物絶縁膜87は、実施の形態1に示す窒化物絶縁膜27と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、ゲート電極91及び電極92は、実施の形態1に示すゲート電極31及び電極32と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。
また、酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85は、トランジスタごとに分離されており、且つ酸化物半導体膜17と重畳する。具体的には、図16(B)に示すチャネル長方向において、一対の電極19、20上に酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の端部が位置し、図16(C)に示すチャネル幅方向において、酸化物半導体膜17の外側に酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の端部が位置する。また、窒化物絶縁膜87は、酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の上面及び側面を覆うように形成され、窒化物絶縁膜15aと接する。なお、酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の端部は、チャネル長方向において、一対の電極19、20に設けられず、窒化物絶縁膜15a上に設けられてもよい。
また、図16(C)に示すチャネル幅方向において、酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の側面を介して、ゲート電極91と酸化物半導体膜17の側面が位置する。
本実施の形態に示すトランジスタ80は、チャネル長が0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.5μm以下である。また、トランジスタ80は、チャネル幅方向において、ゲート電極13及びゲート電極91の間に、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜88を介して酸化物半導体膜17が設けられている。また、ゲート電極91は図15(A)に示すように、上面から見て、ゲート絶縁膜88を介して酸化物半導体膜17の端部と重なる。
図16(C)に示すように、酸化物半導体膜17の一方の側面の外側においては、ゲート絶縁膜15及び窒化物絶縁膜87に設けられた開口部94において、ゲート電極91はゲート電極13と接続する。また、酸化物絶縁膜83、85の側面を介して、ゲート電極91と酸化物半導体膜17の側面が位置する。また、酸化物半導体膜17の他方の側面の外側においては、ゲート電極91はゲート電極13と接続しない。また、ゲート電極91端部は、酸化物半導体膜17の側面の外側に位置する。
なお、トランジスタ80は、図16(C)に示すようにチャネル幅方向において、酸化物半導体膜17の一方の側面の外側のみにおいて、ゲート電極13及びゲート電極91が接続するが、酸化物半導体膜17の両方の側面の外側において、ゲート電極13及びゲート電極91が接続してもよい。
本実施の形態に示すトランジスタ80において、酸化物半導体膜17及び酸化物絶縁膜85が、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87で、周囲を囲まれている。窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87は、酸素の拡散係数が低く、酸素に対するバリア性を有するため、酸化物絶縁膜85に含まれる酸素の一部を効率よく酸化物半導体膜17に移動させることが可能であり、酸化物半導体膜17の酸素欠損量を減らすことが可能である。また、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87は、水、水素等の拡散係数が低く、水、水素等に対するバリア性を有するため、外部から酸化物半導体膜17への水、水素等の拡散を防ぐことが可能である。これらの結果、トランジスタ80は、信頼性の高いトランジスタとなる。
次に、トランジスタ80の作製工程について説明する。
トランジスタ80は、図9乃至図10(B)に示す工程と同様の工程を経て、基板11上に、ゲート電極13、窒化物絶縁膜14a、酸化物絶縁膜14b、酸化物半導体膜17、一対の電極19、20を形成する。当該工程においては、第1のフォトマスク乃至第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を行う。
次に、図17(A)に示すように、酸化物絶縁膜22及び酸化物絶縁膜24を形成する。次に、加熱処理を行って、酸化物絶縁膜24に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜17に移動させ、酸化物半導体膜17に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
次に、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、酸化物絶縁膜24上にマスクを形成した後、酸化物絶縁膜22及び酸化物絶縁膜24の一部をエッチングして、トランジスタごとに分離された酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85を形成する。なお、酸化物絶縁膜23のエッチングと共に、酸化物絶縁膜14bの一部もエッチングされる。この結果、図17(B)に示すように、窒化物絶縁膜14aが露出される。即ち、段差を有するゲート絶縁膜15が形成される。
次に、図18(A)に示す窒化物絶縁膜86を形成する。当該工程において、C−Dに示すチャネル幅方向において、窒化物絶縁膜14a及び窒化物絶縁膜86が接する。即ち、酸化物半導体膜17及び酸化物絶縁膜85が、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜86で周囲を囲まれている。
次に、第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、窒化物絶縁膜86上にマスクを形成した後、窒化物絶縁膜86の一部をエッチングして、開口部93を形成する。また、窒化物絶縁膜14a及び窒化物絶縁膜86の一部をエッチングして、開口部94を形成すると共に、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87を形成する(図18(B)参照)。
この後、図19(A)に示すように、後にゲート電極91及び電極92となる導電膜90を形成する。導電膜90は、実施の形態1に示す導電膜30と同様に形成することができる。
次に、導電膜90上に第6のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜90の一部をエッチングして、ゲート電極91及び電極92を形成する。この後、マスクを除去する(図19(B)参照。)。
なお、図19(B)に示すように、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜17との側面と酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の側面を介して位置するように、ゲート電極91を形成する。
この後、加熱処理を行ってもよい。酸化物絶縁膜85は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜で形成される。また、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87は酸素に対するバリア性が高い。これらのため、当該加熱処理において、酸化物絶縁膜85に含まれる酸素の外部への拡散を低減することができる。また、酸化物半導体膜17に含まれる酸素の外部への拡散を低減することができる。この結果、酸化物半導体膜17の酸素欠損を低減することができる。さらに、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87は、水素、水等に対するバリア性が高く、外部からの酸化物半導体膜17への水素、水等の拡散を低減することができる。このため、酸化物半導体膜17の水素、水等を低減することができる。この結果、信頼性の高いトランジスタを作製することができる。
以上の工程により、トランジスタ80を作製することができる。
(実施の形態3)
実施の形態1及び実施の形態2に示すトランジスタにおいて、必要に応じて、基板11及びゲート電極13の間に下地絶縁膜を設けることができる。下地絶縁膜の材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。なお、下地絶縁膜の材料として、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム等を用いることで、基板11から不純物、代表的にはアルカリ金属、水、水素等の酸化物半導体膜17への拡散を抑制することができる。
下地絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法等により形成することができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1のトランジスタ10を用いて、酸化物半導体膜17及び一対の電極19、20と異なる形態について、図20を用いて説明する。なお、他のトランジスタに適宜本実施の形態を適用することができる。
トランジスタに設けられる一対の電極19、20として、タングステン、チタン、アルミニウム、銅、モリブデン、クロム、またはタンタル単体若しくは合金等の酸素と結合しやすい導電材料を用いることができる。この結果、酸化物半導体膜17に含まれる酸素と一対の電極19、20に含まれる導電材料とが結合し、酸化物半導体膜17において、酸素欠損領域が形成される。また、酸化物半導体膜17に一対の電極19、20を形成する導電材料の構成元素の一部が混入する場合もある。これらの結果、図20に示すように、酸化物半導体膜17において、一対の電極19、20と接する領域近傍に、低抵抗領域21a、21bが形成される。低抵抗領域21a、21bは、一対の電極19、20に接し、且つゲート絶縁膜15と、一対の電極19、20の間に形成される。低抵抗領域21a、21bは、導電性が高いため、酸化物半導体膜17と一対の電極19、20との接触抵抗を低減することが可能であり、トランジスタのオン電流を増大させることが可能である。
なお、低抵抗領域21a、21bの端部は、一対の電極19、20の端部と略一致してもよい。または、図20に示すように、一対の電極19、20の端部より内側に低抵抗領域21a、21bの端部が位置してもよい。酸化物半導体膜17において、低抵抗領域21a、21bが形成される場合、チャネル長は酸化物半導体膜17とゲート絶縁膜28の界面における低抵抗領域21a、21bの間の距離となる。
また、一対の電極19、20を、上記酸素と結合しやすい導電材料と、窒化チタン、窒化タンタル、ルテニウム等の酸素と結合しにくい導電材料との積層構造としてもよい。このような積層構造とすることで、一対の電極19、20と酸化物絶縁膜23との界面において、一対の電極19、20の酸化を防ぐことが可能であり、一対の電極19、20の高抵抗化を抑制することが可能である。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4と比較して、酸化物半導体膜の欠陥量をさらに低減することが可能なトランジスタを有する半導体装置について図面を参照して説明する。本実施の形態で説明するトランジスタは、実施の形態1乃至実施の形態4と比較して、酸化物半導体膜を複数備えた多層膜を有する点が異なる。
図21(A)乃至図21(C)に、半導体装置が有するトランジスタ95aの上面図及び断面図を示す。図21(A)はトランジスタ95aの上面図であり、図21(B)は、図21(A)の一点鎖線A−B間の断面図であり、図21(C)は、図21(A)の一点鎖線C−D間の断面図である。なお、図21(A)では、明瞭化のため、基板11及び絶縁膜などを省略している。
図21(A)に示すトランジスタ95aは、ゲート絶縁膜15を介して、ゲート電極13と重なる多層膜96と、多層膜96に接する一対の電極19、20とを有する。また、ゲート絶縁膜15、多層膜96、及び一対の電極19、20上には、酸化物絶縁膜23、酸化物絶縁膜25、及び窒化物絶縁膜27が形成される。
本実施の形態に示すトランジスタ95aにおいて、多層膜96は、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97を有する。即ち、多層膜96は2層構造である。また、酸化物半導体膜17の一部がチャネル領域として機能する。また、多層膜96に接するように、酸化物絶縁膜23が形成されている。酸化物半導体膜17と酸化物絶縁膜23の間に、酸化物半導体膜97が設けられている。酸化物絶縁膜23に接するように酸化物絶縁膜25が形成されている。
酸化物半導体膜97は、酸化物半導体膜17を構成する元素の一種以上から構成される酸化物半導体膜である。このため、酸化物半導体膜17と酸化物半導体膜97との界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
酸化物半導体膜97は、少なくともIn若しくはZnを含む金属酸化物膜で形成され、代表的には、In−Ga酸化物膜、In−Zn酸化物膜、In−M−Zn酸化物膜(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)であり、且つ酸化物半導体膜17よりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体膜97の伝導帯の下端のエネルギーと、酸化物半導体膜17の伝導帯の下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。即ち、酸化物半導体膜97の電子親和力と、酸化物半導体膜17の電子親和力との差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。
酸化物半導体膜97は、Inを含むことで、キャリア移動度(電子移動度)が高くなるため好ましい。
酸化物半導体膜97として、Al、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdをInより高い原子数比で有することで、以下の効果を有する場合がある。(1)酸化物半導体膜97のエネルギーギャップを大きくする。(2)酸化物半導体膜97の電子親和力を小さくする。(3)外部からの不純物の拡散を低減する。(4)酸化物半導体膜17と比較して、絶縁性が高くなる。(5)Al、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdは、酸素との結合力が強い金属元素であるため、酸素欠損が生じにくくなる。
酸化物半導体膜97がIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、Inが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくは、Inが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。
また、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97が、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜17と比較して、酸化物半導体膜97に含まれるM(Al、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の原子数比が大きく、代表的には、酸化物半導体膜17に含まれる上記原子と比較して、1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上高い原子数比である。
また、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97が、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜97をIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、酸化物半導体膜17をIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]とすると、y1/x1がy2/x2よりも大きく、好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも1.5倍以上である。さらに好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも2倍以上大きく、より好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも3倍以上大きい。このとき、酸化物半導体膜において、y2がx2以上であると、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。
酸化物半導体膜17がIn−M−Zn酸化物膜(Mは、Al、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜17を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜17としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2等がある。
酸化物半導体膜97がIn−M−Zn酸化物膜(Mは、Al、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜97を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x2:y2:z2とすると、x2/y2<x1/y1であって、z2/y2は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z2/y2を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜97としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8等がある。
なお、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97の原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
酸化物半導体膜97は、後に形成する酸化物絶縁膜25を形成する際の、酸化物半導体膜17へのダメージ緩和膜としても機能する。このため、酸化物絶縁膜23を設けず、酸化物半導体膜97上に酸化物絶縁膜25を形成してもよい。
酸化物半導体膜97の厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。
また、酸化物半導体膜97は、酸化物半導体膜17と同様に、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造を含む。
酸化物半導体膜97は、例えば非晶質構造でもよい。非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。
なお、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97において、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜を構成してもよい。混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する単層構造の場合がある。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
ここでは、酸化物半導体膜17及び酸化物絶縁膜23の間に、酸化物半導体膜97が設けられている。このため、酸化物半導体膜97と酸化物絶縁膜23の間において、不純物及び欠陥によりキャリアトラップが形成されても、当該キャリアトラップが形成される領域と酸化物半導体膜17との間には隔たりがある。この結果、酸化物半導体膜17を流れる電子がキャリアトラップに捕獲されにくく、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界効果移動度を高めることができる。また、キャリアトラップに電子が捕獲されると、該電子が負の固定電荷となってしまう。この結果、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまう。しかしながら、酸化物半導体膜17とトラップ準位が形成される領域との間に隔たりがあるため、キャリアトラップにおける電子の捕獲を低減することが可能であり、しきい値電圧の変動を低減することができる。
また、酸化物半導体膜97は、外部からの不純物を遮蔽することが可能であるため、外部から酸化物半導体膜17へ移動する不純物量を低減することが可能である。また、酸化物半導体膜97は、酸素欠損を形成しにくい。これらのため、酸化物半導体膜17における不純物濃度及び酸素欠損量を低減することが可能である。
なお、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97は、各膜を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯の下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化する構造)が形成されるように作製する。すなわち、各膜の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないような積層構造とする。仮に、積層された酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97の間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップされ、あるいは再結合して、消滅してしまう。
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体膜にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
なお、多層膜96の代わりに、図21(D)に示すトランジスタ95bのように、多層膜98を有してもよい。
多層膜98は、酸化物半導体膜99、酸化物半導体膜17、及び酸化物半導体膜97が順に積層されている。即ち、多層膜98は3層構造である。また、酸化物半導体膜17がチャネル領域として機能する。
また、ゲート絶縁膜15及び酸化物半導体膜99が接する。即ち、ゲート絶縁膜15と酸化物半導体膜17との間に、酸化物半導体膜99が設けられている。
また、酸化物半導体膜97及び酸化物絶縁膜23が接する。即ち、酸化物半導体膜17と酸化物絶縁膜23との間に、酸化物半導体膜97が設けられている。
酸化物半導体膜99は、酸化物半導体膜97と同様の材料及び形成方法を適宜用いることができる。
酸化物半導体膜99は、酸化物半導体膜17より膜厚が小さいと好ましい。酸化物半導体膜99の厚さを1nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上3nm以下とすることで、トランジスタのしきい値電圧の変動量を低減することが可能である。
なお、トランジスタ95aと同様に、トランジスタ95bに含まれる酸化物半導体膜97は、後に形成する酸化物絶縁膜25を形成する際の、酸化物半導体膜17へのダメージ緩和膜としても機能する。このため、酸化物絶縁膜23を設けず、酸化物半導体膜97上に酸化物絶縁膜25を形成してもよい。
本実施の形態に示すトランジスタは、酸化物半導体膜17及び酸化物絶縁膜23の間に、酸化物半導体膜97が設けられている。このため、酸化物半導体膜97と酸化物絶縁膜23の間において、不純物及び欠陥によりキャリアトラップが形成されても、当該キャリアトラップが形成される領域と酸化物半導体膜17との間には隔たりがある。この結果、酸化物半導体膜17を流れる電子がキャリアトラップに捕獲されにくく、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界効果移動度を高めることができる。また、キャリアトラップに電子が捕獲されると、該電子は負の固定電荷として振舞う。この結果、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまう。しかしながら、酸化物半導体膜17とキャリアトラップが形成される領域との間に隔たりがあるため、キャリアトラップにおける電子の捕獲を低減することが可能であり、しきい値電圧の変動を低減することができる。
また、酸化物半導体膜97は、外部からの不純物を遮蔽することが可能であるため、外部から酸化物半導体膜17へ移動する不純物量を低減することが可能である。また、酸化物半導体膜97は、酸素欠損を形成しにくい。これらのため、酸化物半導体膜17における不純物濃度及び酸素欠損量を低減することが可能である。
また、ゲート絶縁膜15と酸化物半導体膜17との間に、酸化物半導体膜99が設けられており、酸化物半導体膜17と酸化物絶縁膜23との間に、酸化物半導体膜97が設けられているため、酸化物半導体膜99と酸化物半導体膜17との界面近傍におけるシリコンや炭素の濃度、酸化物半導体膜17におけるシリコンや炭素の濃度、または酸化物半導体膜97と酸化物半導体膜17との界面近傍におけるシリコンや炭素の濃度を低減することができる。
このような構造を有するトランジスタ95bは、酸化物半導体膜17を含む多層膜98において欠陥が極めて少ないため、トランジスタの電気特性を向上させることが可能であり、代表的には、オン電流の増大及び電界効果移動度の向上が可能である。また、ストレス試験の一例であるBTストレス試験及び光BTストレス試験におけるしきい値電圧の変動量が少なく、信頼性が高い。
<トランジスタのバンド構造>
次に、図21(A)に示すトランジスタ95aに設けられる多層膜96、及び図21(B)に示すトランジスタ95bに設けられる多層膜98のバンド構造について、図22を用いて説明する。
ここでは、例として、酸化物半導体膜17としてエネルギーギャップが3.15eVであるIn−Ga−Zn酸化物を用い、酸化物半導体膜97としてエネルギーギャップが3.5eVであるIn−Ga−Zn酸化物を用いる。エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定することができる。
酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97の真空準位と価電子帯上端のエネルギー差(イオン化ポテンシャルともいう。)は、それぞれ8eV及び8.2eVであった。なお、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定することができる。
したがって、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97の真空準位と伝導帯下端のエネルギー差(電子親和力ともいう。)は、それぞれ4.85eV及び4.7eVである。
図22(A)は、多層膜96のバンド構造の一部を模式的に示している。ここでは、ゲート絶縁膜15及び酸化物絶縁膜23を酸化シリコン膜とし、多層膜96と酸化シリコン膜を接して設けた場合について説明する。なお、図22(A)に表すEcI1は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS1は酸化物半導体膜17の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS2は酸化物半導体膜97の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcI2は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを示す。また、EcI1は、図21(B)に示すゲート絶縁膜15に相当し、EcI2は、図21(B)示す酸化物絶縁膜23に相当する。
図22(A)に示すように、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97において、伝導帯下端のエネルギーは障壁が無くなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化するともいうことができる。これは、多層膜96は、酸化物半導体膜17と共通の元素を含み、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97の間で、酸素が相互に移動することで混合層が形成されるためであるということができる。
図22(A)より、多層膜96の酸化物半導体膜17がウェル(井戸)となり、多層膜96を用いたトランジスタにおいて、チャネル領域が酸化物半導体膜17に形成されることがわかる。なお、多層膜96は、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、酸化物半導体膜17と酸化物半導体膜97とが連続接合している、ともいえる。
なお、図22(A)に示すように、酸化物半導体膜97と、酸化物絶縁膜23との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得るものの、酸化物半導体膜97が設けられることにより、酸化物半導体膜17と該トラップ準位が形成される領域とを遠ざけることができる。ただし、EcS1とEcS2とのエネルギー差が小さい場合、酸化物半導体膜17の電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。トラップ準位に電子が捕獲されることで、酸化物絶縁膜表面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。したがって、EcS1とEcS2とのエネルギー差を、0.1eV以上、好ましくは0.15eV以上とすると、トランジスタのしきい値電圧の変動が低減され、安定した電気特性となるため好適である。
また、図22(B)は、多層膜96のバンド構造の一部を模式的に示し、図22(A)に示すバンド構造の変形例である。ここでは、ゲート絶縁膜15及び酸化物絶縁膜23を酸化シリコン膜とし、多層膜96と酸化シリコン膜を接して設けた場合について説明する。なお、図22(B)に表すEcI1は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS1は酸化物半導体膜17の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcI2は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを示す。また、EcI1は、図21(B)に示すゲート絶縁膜15に相当し、EcI2は、図21(B)に示す酸化物絶縁膜23に相当する。
図21(B)に示すトランジスタにおいて、一対の電極19、20の形成時に多層膜96の上方、すなわち酸化物半導体膜97がエッチングされる場合がある。一方、酸化物半導体膜17の上面は、酸化物半導体膜97の成膜時に酸化物半導体膜17と酸化物半導体膜97の混合層が形成される場合がある。
例えば、酸化物半導体膜17が、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物、またはIn:Ga:Zn=3:1:2[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物をスパッタリングターゲットに用いて成膜された酸化物半導体膜であり、酸化物半導体膜97が、In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物、またはIn:Ga:Zn=1:3:6[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物をスパッタリングターゲットに用いて成膜された酸化物半導体膜である場合、酸化物半導体膜17よりも酸化物半導体膜97のGaの含有量が多いため、酸化物半導体膜17の上面には、GaOx層または酸化物半導体膜17よりもGaを多く含む混合層が形成されうる。
したがって、酸化物半導体膜97がエッチングされた場合においても、EcS1のEcI2側の伝導帯下端のエネルギーが高くなり、図22(B)に示すバンド構造のようになる場合がある。
図22(B)に示すバンド構造のようになる場合、チャネル領域の断面観察時において、多層膜96は、酸化物半導体膜17のみと見かけ上観察される場合がある。しかしながら、実質的には、酸化物半導体膜17上には、酸化物半導体膜17よりもGaを多く含む混合層が形成されているため、該混合層を1.5番目の層として、捉えることができる。なお、該混合層は、例えば、EDX分析等によって、多層膜96に含有する元素を測定した場合、酸化物半導体膜17の上方の組成を分析することで確認することができる。例えば、酸化物半導体膜17の上方の組成が、酸化物半導体膜17中の組成よりもGaの含有量が多い構成となることで確認することができる。
図22(C)は、多層膜98のバンド構造の一部を模式的に示している。ここでは、ゲート絶縁膜15及び酸化物絶縁膜23を酸化シリコン膜とし、多層膜98と酸化シリコン膜を接して設けた場合について説明する。なお、図22(C)に表すEcI1は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS1は酸化物半導体膜17の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS2は酸化物半導体膜97の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS3は酸化物半導体膜99の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcI2は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを示す。また、EcI1は、図21(D)に示すゲート絶縁膜15に相当し、EcI2は、図21(D)に示す酸化物絶縁膜23に相当する。
図22(C)に示すように、酸化物半導体膜99、酸化物半導体膜17、及び酸化物半導体膜97において、伝導帯下端のエネルギーは障壁が無くなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化するともいうことができる。これは、多層膜98は、酸化物半導体膜17と共通の元素を含み、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜99の間で、並びに、酸化物半導体膜17及び酸化物半導体膜97の間で、酸素が相互に移動することで混合層が形成されるためであるということができる。
図22(C)より、多層膜98の酸化物半導体膜17がウェル(井戸)となり、多層膜98を用いたトランジスタにおいて、チャネル領域が酸化物半導体膜17に形成されることがわかる。なお、多層膜98は、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、酸化物半導体膜99と、酸化物半導体膜17と、酸化物半導体膜97とが連続接合している、ともいえる。
なお、多層膜98と、酸化物絶縁膜23との界面近傍、多層膜98と、ゲート絶縁膜15との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得るものの、図22(C)に示すように、酸化物半導体膜97、99が設けられることにより、酸化物半導体膜17と該トラップ準位が形成される領域とを遠ざけることができる。ただし、EcS1とEcS2とのエネルギー差、及びEcS1とEcS3とのエネルギー差が小さい場合、酸化物半導体膜17の電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。トラップ準位に電子が捕獲されることで、酸化物絶縁膜表面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。したがって、EcS1とEcS2とのエネルギー差、及びEcS1とEcS3とのエネルギー差を、0.1eV以上、好ましくは0.15eV以上とすると、トランジスタのしきい値電圧の変動が低減され、安定した電気特性となるため好適である。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に含まれているトランジスタにおいて、酸化物半導体膜に適用可能な一態様について説明する。
酸化物半導体膜は、CAAC−OS膜で構成されていることが好ましい。CAAC−OS膜は、c軸配向性を有する結晶を備えるが、該結晶の明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。c軸配向を有する結晶はエッチングされにくく、チャネルエッチ型のトランジスタにおいて、一対の電極を形成する際の酸化物半導体膜のオーバーエッチング量が少ない。この結果、酸化物半導体膜をCAAC−OS膜で構成することで、チャネルエッチ型のトランジスタを作製することができる。なお、チャネルエッチ型のトランジスタは、一対の電極の間隔、即ちチャネル長を、0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満と小さくすることが可能である。
また、酸化物半導体膜は、単結晶構造の酸化物半導体(以下、単結晶酸化物半導体という。)、多結晶構造の酸化物半導体(以下、多結晶酸化物半導体という。)、及び微結晶構造の酸化物半導体(以下、微結晶酸化物半導体という。)の一以上で構成されてもよい。以下に、CAAC−OS、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、及び微結晶酸化物半導体について説明する。
<CAAC−OS>
CAAC−OS膜は、複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。また、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸配向性を有する。平面TEM像において、CAAC−OS膜に含まれる結晶部の面積が2500nm2以上、さらに好ましくは5μm2以上、さらに好ましくは1000μm2以上である。また、断面TEM像において、該結晶部を50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは95%以上有することで、単結晶に近い物性の薄膜となる。
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、結晶部同士の明確な境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
なお、CAAC−OS膜に対し、電子線回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測される。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、CAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZn酸化物の結晶の(00x)面(xは整数)に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZn酸化物の結晶の(110)面に帰属される。InGaZn酸化物の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のa−b面に平行な面である。
なお、結晶は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CAAC−OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部分的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
なお、CAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶部が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
<単結晶酸化物半導体>
単結晶酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体膜である。そのため、キャリア密度を低くすることができる。従って、単結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、ノーマリーオンの電気特性になることが少ない。また、単結晶酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、キャリアトラップが少なくなる場合がある。従って、単結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
なお、酸化物半導体膜は、欠陥が少ないと密度が高くなる。また、酸化物半導体膜は、結晶性が高いと密度が高くなる。また、酸化物半導体膜は、水素などの不純物濃度が低いと密度が高くなる。単結晶酸化物半導体膜は、CAAC−OS膜よりも密度が高い。また、CAAC−OS膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも密度が高い。また、多結晶酸化物半導体膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも密度が高い。また、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも密度が高い。
<多結晶酸化物半導体>
多結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像で、結晶粒を確認することができる。多結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶粒は、例えば、TEMによる観察像で、2nm以上300nm以下、3nm以上100nm以下または5nm以上50nm以下の粒径であることが多い。また、多結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像で、結晶粒界を確認できる場合がある。
多結晶酸化物半導体膜は、複数の結晶粒を有し、当該複数の結晶粒間において結晶の方位が異なっている場合がある。また、多結晶酸化物半導体膜は、例えばXRD装置を用いてout−of−plane法による分析を行うと、単一または複数のピークが現れる場合がある。例えば多結晶のIGZO膜では、配向を示す2θが31°近傍のピーク、または複数種の配向を示す複数のピークが現れる場合がある。
多結晶酸化物半導体膜は、高い結晶性を有するため、高い電子移動度を有する場合がある。従って、多結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する。ただし、多結晶酸化物半導体膜は、粒界に不純物が偏析する場合がある。また、多結晶酸化物半導体膜の結晶粒界は欠陥準位となる。多結晶酸化物半導体膜は、粒界がキャリア発生源、トラップ準位となる場合があるため、多結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、CAAC−OS膜を用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。
<微結晶酸化物半導体>
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さい径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
実施の形態1乃至実施の形態6に示すトランジスタの作製方法において、一対の電極19、20を形成した後、酸化物半導体膜17を酸化雰囲気で発生させたプラズマに曝し、酸化物半導体膜17に酸素を供給することができる。酸化雰囲気としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等の雰囲気がある。さらに、当該プラズマ処理において、基板11側にバイアスを印加しない状態で発生したプラズマに酸化物半導体膜17を曝すことが好ましい。この結果、酸化物半導体膜17にダメージを与えず、且つ酸素を供給することが可能であり、酸化物半導体膜17に含まれる酸素欠損量を低減することができる。また、エッチング処理により酸化物半導体膜17の表面に残存する不純物、例えば、フッ素、塩素等のハロゲン等を除去することができる。また、当該プラズマ処理を300℃以上で加熱しながら行うことが好ましい。プラズマ中の酸素と酸化物半導体膜17に含まれる水素が結合し、水となる。基板が加熱されているため、当該水は酸化物半導体膜17から脱離する。この結果、酸化物半導体膜17に含まれる水素及び水の含有量を低減することができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
上記実施の形態で開示された酸化物半導体膜はスパッタリングにより形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を使っても良い。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、酸化物半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、InGaZnO膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH3)3である。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH3)3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CH3)2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを同時に導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2とO3ガスを同時に導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いても良い。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Zn(CH3)2ガスを用いても良い。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について、図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、表示装置を例にして本発明の一態様である半導体装置を説明する。
図23(A)に、半導体装置の一例を示す。図23(A)に示す半導体装置は、画素部101と、走査線駆動回路104と、信号線駆動回路106と、各々が平行または略平行に配設され、且つ走査線駆動回路104によって電位が制御されるm本の走査線107と、各々が平行または略平行に配設され、且つ信号線駆動回路106によって電位が制御されるn本の信号線109と、を有する。さらに、画素部101はマトリクス状に配設された複数の画素103を有する。また、信号線109に沿って、各々が平行または略平行に配設された容量線115を有する。なお、容量線115は、走査線107に沿って、各々が平行または略平行に配設されていてもよい。また、走査線駆動回路104及び信号線駆動回路106をまとめて駆動回路部という場合がある。
各走査線107は、画素部101においてm行n列に配設された画素103のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素103と電気的に接続される。また、各信号線109は、m行n列に配設された画素103のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素103に電気的と接続される。m、nは、ともに1以上の整数である。また、各容量線115は、m行n列に配設された画素103のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素103と電気的に接続される。なお、容量線115が、信号線109に沿って、各々が平行または略平行に配設されている場合は、m行n列に配設された画素103のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素103に電気的と接続される。
図23(B)、(C)は、図23(A)に示す表示装置の画素103に用いることができる回路構成の一例を示している。
図23(B)に示す画素103は、液晶素子121と、トランジスタ102と、容量素子105と、を有する。
液晶素子121の一対の電極の一方の電位は、画素103の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子121は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。また、複数の画素103のそれぞれが有する液晶素子121の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素103毎の液晶素子121の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
なお、液晶素子121は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子121としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、サーモトロピック液晶、ライオトロピック液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶等が挙げられる。
液晶素子121を有する表示装置の駆動方法としては、例えば、TNモード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、またはTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
また、ブルー相(Blue Phase)を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物により液晶素子を構成してもよい。ブルー相を示す液晶は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。
図23(B)に示す画素103の構成において、トランジスタ102のソース電極及びドレイン電極の一方は、信号線109に電気的に接続され、他方は液晶素子121の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ102のゲート電極は、走査線107に電気的に接続される。トランジスタ102は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。なお、トランジスタ102は、実施の形態1乃至実施の形態8のいずれかに示すトランジスタを用いることができる。
図23(B)に示す画素103の構成において、容量素子105の一対の電極の一方は、電位が供給される容量線115に電気的に接続され、他方は、液晶素子121の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、容量線115の電位の値は、画素103の仕様に応じて適宜設定される。容量素子105は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図23(B)の画素103を有する表示装置では、走査線駆動回路104により各行の画素103を順次選択し、トランジスタ102をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素103は、トランジスタ102がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図23(C)に示す画素103は、表示素子のスイッチングを行うトランジスタ133と、画素の駆動を制御するトランジスタ102と、トランジスタ135と、容量素子105と、発光素子131と、を有する。
トランジスタ133のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる信号線109に電気的に接続される。さらに、トランジスタ133のゲート電極は、ゲート信号が与えられる走査線107に電気的に接続される。
トランジスタ133は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
トランジスタ102のソース電極及びドレイン電極の一方は、アノード線として機能する配線137と電気的に接続され、トランジスタ102のソース電極及びドレイン電極の他方は、発光素子131の一方の電極に電気的に接続される。さらに、トランジスタ102のゲート電極は、トランジスタ133のソース電極及びドレイン電極の他方、及び容量素子105の一方の電極に電気的に接続される。
トランジスタ102は、オン状態またはオフ状態になることにより、発光素子131に流れる電流を制御する機能を有する。なお、トランジスタ102は、実施の形態1乃至実施の形態8のいずれかに示すトランジスタを用いることができる。
なお、発光装置を構成するEL素子の輝度は、EL素子の駆動を制御するトランジスタに流れる電流に比例する。実施の形態1乃至実施の形態8に示すような、Dual Gate駆動のトランジスタは、オン電流が大きく電界効果移動度が高いと共に、飽和領域におけるドレイン電流Idの飽和性が高い。このため、EL素子を駆動するトランジスタ102として、Dual Gate駆動のトランジスタを用いることで、EL素子の輝度を高めることが可能である。また、EL素子を駆動するトランジスタ102として、Dual Gate駆動のトランジスタを用いることで、ドレイン電圧の変動に伴うEL素子の輝度の変動を低減することができる。
トランジスタ135のソース電極及びドレイン電極の一方はデータの基準電位が与えられる配線139と接続され、トランジスタ135のソース電極及びドレイン電極の他方は、発光素子131の一方の電極、及び容量素子105の他方の電極に電気的に接続される。さらに、トランジスタ135のゲート電極は、ゲート信号が与えられる走査線107に電気的に接続される。
トランジスタ135は、発光素子131に流れる電流を調整する機能を有する。例えば、発光素子131が劣化等により、発光素子131の内部抵抗が上昇した場合、トランジスタ135のソース電極及びドレイン電極の一方が接続された配線139に流れる電流をモニタリングすることで、発光素子131に流れる電流を補正することができる。配線139に与えられる電位としては、例えば、0Vとすることができる。
容量素子105の一対の電極の一方は、トランジスタ102のゲート電極、及びトランジスタ133のソース電極及びドレイン電極の他方と電気的に接続され、容量素子105の一対の電極の他方は、トランジスタ135のソース電極及びドレイン電極の他方、及び発光素子131の一方の電極に電気的に接続される。
図23(C)に示す画素103の構成において、容量素子105は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
発光素子131の一対の電極の一方は、トランジスタ135のソース電極及びドレイン電極の他方、容量素子105の他方、及びトランジスタ102のソース電極及びドレイン電極の他方と電気的に接続される。また、発光素子131の一対の電極の他方は、カソードとして機能する配線141に電気的に接続される。
発光素子131としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子131としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、配線137及び配線141の一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。図23(C)に示す構成においては、配線137に高電源電位VDDを、配線141に低電源電位VSSを、それぞれ与える構成としている。
図23(C)の画素103を有する表示装置では、走査線駆動回路104により各行の画素103を順次選択し、トランジスタ133をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素103は、トランジスタ133がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、トランジスタ133は、容量素子105と接続しているため、書き込まれたデータを長時間保持することが可能となる。また、トランジスタ133により、トランジスタ102のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子131は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
ここで、図23(B)及び図23(C)に示す回路図において、トランジスタ102の回路記号を図24(A)に示す。なお、図24(A)に示す回路記号では、一対のゲート電極をGE_1、GE_2で示し、ソース電極をS、ドレイン電極をDで示している。図24(A)に示す回路記号では、ゲート電極91と、ソース電極またはドレイン電極として機能する一対の電極19、20の位置関係には、限定がない。
図24(B)に、ソース電極またはドレイン電極として機能する一対の電極19、20が、酸化物半導体膜17上において、ゲート電極91と部分的に重なっているトランジスタ102の、回路記号を示す。図24(B)に示す回路記号では、図24(A)に示す回路記号と同様に、一対のゲート電極をGE_1、GE_2で示し、ソース電極をS、ドレイン電極をDで示している。
図24(C)に、図24(B)に示す回路記号に対応した、トランジスタ102の断面図を一例として示す。図24(C)に示すトランジスタ102は、チャネル長方向において、電極19の端部と電極20の端部の距離Dsdが、ゲート電極91の端部間の距離Dge_2に比べて短い。そして、チャネル長方向における断面図では、ゲート電極91の一対の端部が、一対の電極19、20と重なっている。
また、図24(D)に、ソース電極またはドレイン電極として機能する一対の電極19、20が、酸化物半導体膜17上において、ゲート電極91と重なっていないトランジスタ102の、回路記号を示す。図24(D)に示す回路記号では、図24(A)に示す回路記号と同様に、一対のゲート電極をGE_1、GE_2で示し、ソース電極をS、ドレイン電極をDで示している。
図24(E)に、図24(D)に示す回路記号に対応した、トランジスタ102の断面図を一例として示す。図24(E)に示すトランジスタ102は、チャネル長方向において、電極19の端部と電極20の端部の距離Dsdが、ゲート電極91の端部間の距離Dge_2に比べて長い。そして、チャネル長方向における断面図では、ゲート電極91の一対の端部が、一対の電極19、20と重なってない。
本明細書に添付された図面では、図24(A)に示す回路記号が、図24(B)の回路記号で表される構造のトランジスタ102と、図24(D)の回路記号で表される構造のトランジスタ102とを、含むものとする。
次に、表示装置に含まれる素子基板の具体的な構成について説明する。ここでは、画素103に液晶素子を用いた液晶表示装置の具体的な例について説明する。ここでは、図23(B)に示す画素103の上面図を図25に示す。
図25において、走査線107は、信号線109に略直交する方向に延伸して設けられている。容量線115は、信号線109と平行方向に延伸して設けられている。なお、走査線107は、走査線駆動回路104(図23を参照。)と電気的に接続されており、信号線109及び容量線115は、信号線駆動回路106(図23を参照。)に電気的に接続されている。
トランジスタ102は、走査線107及び信号線109が交差する領域に設けられている。トランジスタ102は、実施の形態2に示すトランジスタ80と同様の構造のトランジスタを用いることができる。なお、走査線107において、酸化物半導体膜17aと重畳する領域がトランジスタ102のゲート電極として機能し、図26乃至図28において、ゲート電極13と示す。また、信号線109において、酸化物半導体膜17aと重畳する領域がトランジスタ102のソース電極またはドレイン電極として機能し、図26乃至図28において、電極19と示す。また、図25において、走査線107は、上面形状において端部が酸化物半導体膜17aの端部より外側に位置する。このため、走査線107はバックライトなどの光源からの光を遮る遮光膜として機能する。この結果、トランジスタに含まれる酸化物半導体膜17aに光が照射されず、トランジスタの電気特性の変動を抑制することができる。
また、電極20は、開口部93において、電極92と接続する。電極92は、透光性を有する導電膜で形成されており、画素電極として機能する。
容量素子105は、容量線115と接続されている。また、容量素子105は、ゲート絶縁膜上に形成される導電性を有する膜17b(酸化物導電体膜ともいう。)と、トランジスタ102上に設けられる誘電体膜と、電極92とで構成されている。誘電体膜は、窒化絶縁膜で形成される。導電性を有する膜17b、窒化物絶縁膜、及び電極92はそれぞれ透光性を有するため、容量素子105は透光性を有する。
このように容量素子105は透光性を有するため、画素103内に容量素子105を大きく(大面積に)形成することができる。従って、開口率を高めつつ、代表的には50%以上、好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上とすることが可能であると共に、電荷容量を増大させた半導体装置を得ることができる。例えば、解像度の高い半導体装置、例えば液晶表示装置においては、画素の面積が小さくなり、容量素子の面積も小さくなる。このため、解像度の高い半導体装置において、容量素子に蓄積される電荷容量が小さくなる。しかしながら、本実施の形態に示す容量素子105は透光性を有するため、当該容量素子を画素に設けることで、各画素において十分な電荷容量を得つつ、開口率を高めることができる。代表的には、画素密度が200ppi以上、さらには300ppi以上、更には500ppi以上である高解像度の半導体装置に好適に用いることができる。
また、本発明の一態様は、高解像度の表示装置においても、開口率を高めることができるため、バックライトなどの光源の光を効率よく利用することができ、表示装置の消費電力を低減することができる。
次いで、図25の一点鎖線A−B、C−Dにおける断面図を図26に示す。なお、一点破線A−Bは、トランジスタ102のチャネル長方向、トランジスタ102と画素電極として機能する電極92の接続部、及び容量素子105の断面図であり、C−Dにおける断面図は、トランジスタ102のチャネル幅方向の断面図、及びゲート電極13及びゲート電極91の接続部における断面図である。
図26に示すトランジスタ102は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板11上に設けられるゲート電極13と、基板11及びゲート電極13上に形成されるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15を介して、ゲート電極13と重なる酸化物半導体膜17aと、酸化物半導体膜17aに接する、一対の電極19、20とを有する。また、ゲート絶縁膜15、酸化物半導体膜17a、及び一対の電極19、20上には、酸化物絶縁膜83が形成され、酸化物絶縁膜83上には酸化物絶縁膜85が形成される。また、ゲート絶縁膜15、酸化物半導体膜17a、酸化物絶縁膜83、酸化物絶縁膜85、電極19、20上には窒化物絶縁膜87が形成される。また、一対の電極19、20の一方、ここでは電極20に接続する電極92、及びゲート電極91が窒化物絶縁膜87上に形成される。なお、電極92は画素電極として機能する。
また、ゲート絶縁膜15は、窒化物絶縁膜15a及び酸化物絶縁膜15bで形成される。酸化物絶縁膜15bは、酸化物半導体膜17a、一対の電極19、20、及び酸化物絶縁膜83と重複する領域に形成される。
C−Dにおける断面図に示すように、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87に設けられる開口部94において、ゲート電極91は、ゲート電極13と接続する。即ち、ゲート電極13及びゲート電極91は同電位である。
本実施の形態に示すトランジスタ102上には、トランジスタごとに分離された酸化物絶縁膜83、85が形成される。分離された酸化物絶縁膜83、85が酸化物半導体膜17aと重畳する。また、C−Dに示すチャネル幅方向の断面図において、酸化物半導体膜17aの外側に酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の端部が位置する。また、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜17aの一方の側面及び他方の側面それぞれの外側において、ゲート電極91は、酸化物絶縁膜83、酸化物絶縁膜85、及び窒化物絶縁膜87を介して酸化物半導体膜17aの側面と位置する。また、窒化物絶縁膜87は、酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の上面及び側面を覆うように形成され、窒化物絶縁膜15aと接する。
本実施の形態に示すトランジスタ102において、酸化物半導体膜17a及び酸化物絶縁膜85が、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87で、周囲を囲まれている。窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87は、酸素の拡散係数が低く、酸素に対するバリア性を有するため、酸化物絶縁膜85に含まれる酸素の一部を効率よく酸化物半導体膜17aに移動させることが可能であり、酸化物半導体膜17aの酸素欠損量を減らすことが可能である。また、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87は、水、水素等の拡散係数が低く、水、水素等に対するバリア性を有するため、外部から酸化物半導体膜17aへの水、水素等の拡散を防ぐことが可能である。これらの結果、トランジスタ102は、信頼性の高いトランジスタとなる。
容量素子105は、ゲート絶縁膜15上に形成される導電性を有する膜17bと、窒化物絶縁膜87と、電極92とで構成されている。容量素子105において、導電性を有する膜17bは、酸化物半導体膜17aと同時に形成された膜であり、且つ不純物を含むことにより導電性が高められた膜である。または、導電性を有する膜17bは、酸化物半導体膜17aと同時に形成された膜であり、且つ不純物を含むと共に、プラズマダメージ等により酸素欠損が形成され、導電性が高められた膜である。
酸化物半導体膜17a及び導電性を有する膜17bは共に、ゲート絶縁膜15上に形成されるが、不純物濃度が異なる。具体的には、酸化物半導体膜17aと比較して、導電性を有する膜17bの不純物濃度が高い。例えば、酸化物半導体膜17aに含まれる水素濃度は、5×1019atoms/cm3以下、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、より好ましくは1×1016atoms/cm3以下であり、導電性を有する膜17b含まれる水素濃度は、8×1019以上、好ましくは1×1020atoms/cm3以上、より好ましくは5×1020以上である。また、酸化物半導体膜17aと比較して、導電性を有する膜17bに含まれる水素濃度は2倍、好ましくは10倍以上である。
また、酸化物半導体膜17aと同時に形成された酸化物半導体膜をプラズマに曝すことにより、酸化物半導体膜にダメージを与え、酸素欠損を形成することができる。例えば、酸化物半導体膜上に、プラズマCVD法またはスパッタリング法で膜を成膜すると、酸化物半導体膜がプラズマに曝され、酸素欠損が生成される。または、酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85を形成するためのエッチング処理において酸化物半導体膜がプラズマに曝されることで、酸素欠損が生成される。または、酸化物半導体膜が水素、希ガス、アンモニア、酸素及び水素の混合ガス等のプラズマに曝されることで、酸素欠損が生成される。この結果、酸化物半導体膜は導電性が高くなり、導電性を有する膜17bとなる。
即ち、導電性を有する膜17bは、導電性の高い酸化物半導体膜ともいえる。また、導電性を有する膜17bは、導電性の高い金属酸化物膜ともいえる。
また、窒化物絶縁膜87は水素を含む。このため、窒化物絶縁膜87の水素が酸化物半導体膜17aと同時に形成された酸化物半導体膜に拡散すると、該酸化物半導体膜において水素は酸素と結合し、キャリアである電子が生成される。また、窒化物絶縁膜87をプラズマCVD法またはスパッタリング法で成膜すると、酸化物半導体膜がプラズマに曝され、酸素欠損が生成される。当該酸素欠損に、窒化物絶縁膜87に含まれる水素が入ることで、キャリアである電子が生成される。これらの結果、酸化物半導体膜は導電性が高くなり、導電性を有する膜17bとなる。
導電性を有する膜17bは、酸化物半導体膜17aより抵抗率が低い。導電性を有する膜17bの抵抗率が、酸化物半導体膜17aの抵抗率の1×10−8倍以上1×10−1倍未満であることが好ましく、代表的には1×10−3Ωcm以上1×104Ωcm未満、さらに好ましくは、抵抗率が1×10−3Ωcm以上1×10−1Ωcm未満であるとよい。
本実施の形態に示す半導体装置の素子基板は、トランジスタの酸化物半導体膜と同時に、容量素子の一方となる電極が形成される。また、画素電極として機能する導電膜を容量素子の他方の電極として用いる。これらのため、容量素子を形成するために、新たに導電膜を形成する工程が不要であり、作製工程を削減できる。また、一対の電極が透光性を有するため、容量素子は透光性を有する。この結果、容量素子の占有面積を大きくしつつ、画素の開口率を高めることができる。
次に、図26に示すトランジスタ102及び容量素子105の作製方法について、図27及び図28を用いて説明する。
図27(A)に示すように、基板11上にゲート電極13を形成する。ゲート電極13は、第1のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。
次に、図27(B)に示すように、ゲート電極13上に、後に窒化物絶縁膜15aとなる窒化物絶縁膜14aと、後に酸化物絶縁膜15bとなる酸化物絶縁膜14bを形成する。次に、酸化物絶縁膜14b上に、酸化物半導体膜17a、後に導電性を有する膜17bとなる酸化物半導体膜17cを形成する。酸化物半導体膜17a、17cは、第2のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。
次に、図27(C)に示すように、一対の電極19、20と、容量線として機能する導電膜21cとを形成する。一対の電極19、20、及び導電膜21cは、第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。
次に、図27(D)に示すように、酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85を形成する。酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85は、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。
なお、C−Dの断面図に示すように、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜17aの両側面の外側に酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85の側面が位置するように、分離された酸化物絶縁膜83及び酸化物絶縁膜85を形成する。また、酸化物絶縁膜83のエッチングと共に、酸化物絶縁膜14bの一部もエッチングされ、酸化物絶縁膜15bが形成される。この結果、窒化物絶縁膜14aが露出する。また、当該エッチング工程において、酸化物半導体膜17cはプラズマのダメージを受け、酸化物半導体膜17cに酸素欠損が形成される。
次に、加熱処理を行う。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。
当該加熱処理により、酸化物絶縁膜85に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜17aに移動させ、酸化物半導体膜17aに含まれる酸素欠損を補填することが可能である。この結果、酸化物半導体膜17aに含まれる酸素欠損量をさらに低減することができる。
次に、図28(A)に示すように、後に窒化物絶縁膜87となる窒化物絶縁膜26を形成する。
窒化物絶縁膜26は、スパッタリング法、CVD法等により形成する。窒化物絶縁膜26をスパッタリング法、CVD法等により形成することで、酸化物半導体膜17cがプラズマに曝されるため、酸化物半導体膜17cの酸素欠損を増加させることができる。
当該工程により、酸化物半導体膜17a、酸化物絶縁膜83、及び酸化物絶縁膜85を内側に設けて、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜26が接する。また、酸化物半導体膜17cが、導電性を有する膜17bとなる。なお、窒化物絶縁膜26として、プラズマCVD法により窒化シリコン膜を形成すると、窒化シリコン膜に含まれる水素が酸化物半導体膜17cに拡散するため、導電性がより高まる。
次に、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。なお、当該加熱処理において、酸化物半導体膜17a、酸化物絶縁膜83、及び酸化物絶縁膜85は、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87が接する領域内に設けられているため、酸化物半導体膜17a、酸化物絶縁膜83、及び酸化物絶縁膜85から外部への酸素の拡散を防ぐことができる。この結果、しきい値電圧のマイナスシフトを低減することができる。また、しきい値電圧の変動量を低減することができる。
次に、窒化物絶縁膜26上に第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成した後、該マスクを用いて、窒化物絶縁膜14a及び窒化物絶縁膜26をエッチングして、図28(B)に示すように、開口部93及び開口部94を有する窒化物絶縁膜87、並びに開口部94を有する窒化物絶縁膜15aを形成する。
次に、図28(C)に示すように、ゲート電極91及び画素電極として機能する電極92を形成する。ゲート電極91及び画素電極として機能する電極92は、第6のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。この結果、開口部93において、電極20と電極92が接続する。また、開口部94において、ゲート電極13及びゲート電極91が接続する。
以上の工程により、図26に示すトランジスタ102を作製すると共に、容量素子105を作製することができる。
本実施の形態に示すトランジスタにおいては、酸化物半導体膜17a及び酸化物絶縁膜83、85が、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87で、周囲を囲まれている。また、酸化物絶縁膜83、85の少なくとも一方が、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成されている。これらのため、酸化物絶縁膜83または酸化物絶縁膜85に含まれる酸素が、窒化物絶縁膜15a及び窒化物絶縁膜87により外部に移動することを抑制することができる。この結果、酸化物絶縁膜83または酸化物絶縁膜85に含まれる酸素を効率よく酸化物半導体膜17aに移動させ、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
また、本実施の形態に示す半導体装置の素子基板は、トランジスタの酸化物半導体膜と同時に、容量素子の一方となる電極が形成される。また、画素電極として機能する導電膜を容量素子の他方の電極として用いる。これらのため、容量素子を形成するために、新たに導電膜を形成する工程が不要であり、作製工程を削減できる。また、一対の電極が透光性を有するため、容量素子は透光性を有する。この結果、容量素子の占有面積を大きくしつつ、画素の開口率を高めることができる。
上記より、酸化物半導体膜を用いた半導体装置において電気特性が向上した半導体装置を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態10)
上記実施の形態で一例を示したトランジスタを用いて表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう。)を作製することができる。また、トランジスタを含む駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。本実施の形態では、上記実施の形態で一例を示したトランジスタを用いた表示装置の例について、図29及び図30を用いて説明する。なお、図30(A)及び図30(B)は、図29(B)中でM−Nの一点鎖線で示した部位の断面構成を示す断面図である。
図29(A)において、第1の基板901上に設けられた画素部902を囲むようにして、シール材905が設けられ、第2の基板906によって封止されている。図29(A)においては、第1の基板901上のシール材905によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体または多結晶半導体で形成された信号線駆動回路903、及び走査線駆動回路904が実装されている。また、信号線駆動回路903、走査線駆動回路904、または画素部902に与えられる各種信号及び電位は、FPC(Flexible printed circuit)918から供給されている。
図29(B)及び図29(C)において、第1の基板901上に設けられた画素部902と、走査線駆動回路904とを囲むようにして、シール材905が設けられている。また画素部902と、走査線駆動回路904の上に第2の基板906が設けられている。よって画素部902と、走査線駆動回路904とは、第1の基板901とシール材905と第2の基板906とによって、表示素子と共に封止されている。図29(B)及び図29(C)においては、第1の基板901上のシール材905によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体または多結晶半導体で形成された信号線駆動回路903が実装されている。図29(B)及び図29(C)においては、信号線駆動回路903、走査線駆動回路904、または画素部902に与えられる各種信号及び電位は、FPC918から供給されている。
また図29(B)及び図29(C)においては、信号線駆動回路903を別途形成し、第1の基板901に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、またはワイヤボンディング方法、或いはTAB(Tape Automated Bonding)方法などを用いることができる。図29(A)は、COG方法により信号線駆動回路903、走査線駆動回路904を実装する例であり、図29(B)は、COG方法により信号線駆動回路903を実装する例であり、図29(C)は、TAB方法により信号線駆動回路903を実装する例である。
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
なお、本明細書における表示装置とは、画像表示デバイスまたは表示デバイスを指す。また、コネクター、例えばFPCもしくはTCPが取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
また、第1の基板上に設けられた画素部及び走査線駆動回路は、トランジスタを複数有しており、上記実施の形態で示したトランジスタを適用することができる。また、走査線駆動回路に含まれるバッファ回路に上記実施の形態で示したトランジスタを適用することができる。
表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう。)、発光素子(発光表示素子ともいう。)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)素子、有機EL素子等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。図30(A)に、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の例を示し、図30(B)に、表示素子として発光素子を用いた発光表示装置の例を示す。
図30(A)及び図30(B)で示すように、半導体装置は接続端子電極915及び端子電極916を有しており、接続端子電極915及び端子電極916はFPC918が有する端子と異方性導電剤919を介して、電気的に接続されている。
接続端子電極915は、第1の電極930と同じ導電膜から形成され、端子電極916は、トランジスタ910、911の一対の電極と同じ導電膜で形成されている。
また、第1の基板901上に設けられた画素部902と、走査線駆動回路904は、トランジスタを複数有しており、図30(A)及び図30(B)では、画素部902に含まれるトランジスタ910と、走査線駆動回路904に含まれるトランジスタ911とを例示している。図30(A)では、トランジスタ910上には、酸化物絶縁膜924が設けられ、酸化物絶縁膜924上には、窒化絶縁膜927が設けられ、図30(B)では、窒化絶縁膜927上にさらに平坦化膜921が設けられている。
本実施の形態では、トランジスタ910、トランジスタ911として、実施の形態1乃至実施の形態9で示したトランジスタを適宜適用することで、高画質な表示装置を作製することができる。
また、図30(A)及び図30(B)では、窒化絶縁膜927上において、駆動回路用のトランジスタ911の酸化物半導体膜926のチャネル領域と重なる位置に導電膜917が設けられている例を示している。本実施の形態では、導電膜917を第1の電極930と同じ導電膜で形成する。導電膜917を酸化物半導体膜のチャネル領域と重なる位置に設けることによって、BTストレス試験前後におけるトランジスタ911のしきい値電圧の変動量をさらに低減することができる。また、導電膜917の電位は、トランジスタ911のゲート電極と同電位とすることで、トランジスタの電界効果移動度が高くなり、オン電流が大きくなるため好ましい。この結果、走査線駆動回路904の面積を縮小することが可能であり、表示装置の狭額縁化が可能である。
また、導電膜917は外部の電場を遮蔽する機能も有する。すなわち外部の電場が内部(トランジスタを含む回路部)に作用しないようにする機能(特に静電気に対する静電遮蔽機能)も有する。導電膜917の遮蔽機能により、静電気などの外部の電場の影響によりトランジスタの電気的な特性が変動することを防止することができる。
画素部902に設けられたトランジスタ910は表示素子と電気的に接続し、表示パネルを構成する。表示素子は表示を行うことができれば特に限定されず、様々な表示素子を用いることができる。
図30(A)において、表示素子である液晶素子913は、第1の電極930、第2の電極931、及び液晶層908を含む。なお、液晶層908を挟持するように配向膜として機能する絶縁膜932、絶縁膜933が設けられている。また、第2の電極931は第2の基板906側に設けられ、第1の電極930と第2の電極931とは液晶層908を介して重なる構成となっている。
またスペーサ935は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、第1の電極930と第2の電極931との間隔(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するためにカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。
第1の基板901及び第2の基板906はシール材925によって固定されている。シール材925は、熱硬化樹脂、光硬化樹脂などの有機樹脂を用いることができる。
また、上記実施の形態で用いる酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、スイッチング特性が優れている。また、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。よって、表示機能を有する半導体装置の画素部に上記トランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。また、同一基板上に駆動回路部または画素部を作り分けて作製することが可能となるため、半導体装置の部品点数を削減することができる。
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光膜)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
また、画素部における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す。)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す。)、またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、本発明の一態様はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
図30(B)において、表示素子である発光素子963は、画素部902に設けられたトランジスタ910と電気的に接続している。なお、発光素子963の構成は、第1の電極930、発光層961、第2の電極931の積層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子963から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子963の構成は適宜変えることができる。
隔壁960は、有機絶縁材料、または無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極930上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
発光層961は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
発光素子963に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極931及び隔壁960上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、DLC膜等を形成することができる。また、第1の基板901、第2の基板906、及びシール材936によって封止された空間には充填材964が設けられ密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
シール材936は熱硬化樹脂、光硬化樹脂などの有機樹脂や、低融点ガラスを含むフリットガラスなどを用いることができる。フリットガラスは、水や酸素などの不純物に対してバリア性が高いため好ましい。また、シール材936としてフリットガラスを用いる場合、図30(B)に示すように、酸化物絶縁膜924上にフリットガラスを設けることで密着性を高めることができるため好ましい。
充填材964としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば充填材として窒素を用いればよい。
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、または円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板または円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
表示素子に電圧を印加する第1の電極及び第2の電極(画素電極、共通電極、対向電極などともいう)においては、取り出す光の方向、電極が設けられる場所、及び電極のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
第1の電極930、第2の電極931は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
また、第1の電極930、第2の電極931はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、またはその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、または複数種を用いて形成することができる。
また、第1の電極930及び第2の電極931として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、若しくはアニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体などがあげられる。
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
以上のように上記実施の形態で示したトランジスタを適用することで、表示機能を有する信頼性のよい半導体装置を提供することができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、トランジスタを作製し、そのId−Vg特性および信頼性の評価を行った結果について説明する。
[試料の作製]
本実施例では、本発明の一態様である試料1、2と、比較用の試料3をそれぞれ作製した。より具体的には、本発明の一態様である試料1として、実施の形態1及び図1に示すトランジスタ10の構成に相当するトランジスタを作製した。また本発明の一態様である試料2として、実施の形態2及び図16に示すトランジスタ80の構成に相当するトランジスタを作製した。また比較用の試料3としては、実施の形態1及び図1に示すトランジスタ10の構成のうち、ゲート電極31を有さない構成に相当するトランジスタを作製した。
<試料1>
まず、基板11としてガラス基板を用い、基板11上にゲート電極13を形成した。
ゲート電極13として、スパッタリング法で厚さ200nmのタングステン膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により該タングステン膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該タングステン膜の一部をエッチングして形成した。
次に、ゲート電極13上にゲート絶縁膜15を形成した。
ゲート絶縁膜15として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を積層して形成した。
なお、窒化シリコン膜は、第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、および第3の窒化シリコン膜の3層積層構造とした。
第1の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてプラズマCVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成した。第2の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてプラズマCVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成した。第3の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、及び流量5000sccmの窒素を原料ガスとしてプラズマCVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成した。なお、第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、及び第3の窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃とした。
酸化窒化シリコン膜としては、流量20sccmのシラン、流量3000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとしてプラズマCVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を40Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて100Wの電力を供給して形成した。なお、酸化窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃とした。
次に、ゲート絶縁膜15を介してゲート電極13に重なる酸化物半導体膜17を形成した。
ここでは、ゲート絶縁膜15上に厚さ35nmの酸化物半導体膜17をスパッタリング法で形成した。
酸化物半導体膜17は、スパッタリングターゲットをIn:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)のターゲットとし、流量100sccmの酸素をスパッタリングガスとしてスパッタリング装置の反応室内に供給し、反応室内の圧力を0.6Paに制御し、5kWの直流電力を供給して形成した。なお、酸化物半導体膜を形成する際の基板温度を170℃とした。
次に、酸化物半導体膜17に接する一対の電極19、20を形成した。
まず、ゲート絶縁膜および酸化物半導体膜上に導電膜を形成した。該導電膜として、厚さ50nmのタングステン膜上に厚さ400nmのアルミニウム膜を形成し、該アルミニウム膜上に厚さ200nmのチタン膜を形成した。次に、フォトリソグラフィ工程により該導電膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該導電膜の一部をエッチングし、一対の電極19、20を形成した。
次に、減圧された処理室に基板を移動し、350℃で加熱した後、反応室に設けられる上部電極に27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの高周波電力を供給して、一酸化二窒素雰囲気で発生させた酸素プラズマに酸化物半導体膜17を曝した。
次に、酸化物半導体膜17及び一対の電極19、20上にゲート絶縁膜28を形成した。ここでは、ゲート絶縁膜28として第1の酸化物絶縁膜、第2の酸化物絶縁膜、および窒化物絶縁膜の3層構造とした。
第1の酸化物絶縁膜は、流量20sccmのシラン及び流量3000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、反応室の圧力を200Pa、基板温度を350℃とし、100Wの高周波電力を平行平板電極に供給したプラズマCVD法により形成した。
第2の酸化物絶縁膜は、流量160sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、反応室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、1500Wの高周波電力を平行平板電極に供給したプラズマCVD法により形成した。当該条件により、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
次に、加熱処理を行い、第1の酸化物絶縁膜および第2の酸化物絶縁膜から水、窒素、水素等を脱離させると共に、第2の酸化物絶縁膜に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜へ供給した。ここでは、窒素及び酸素雰囲気で、350℃、1時間の加熱処理を行った。
次に、第2の酸化物絶縁膜上に、厚さ100nmの窒化物絶縁膜を形成した。窒化物絶縁膜は、流量50sccmのシラン、流量5000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとし、反応室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給したプラズマCVD法により形成した。
次に、酸化物半導体膜17及び一対の電極19、20が設けられていない領域において、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28の一部に、ゲート電極13に達する開口部を形成した。当該開口部は、フォトリソグラフィ工程によりゲート絶縁膜28上にマスクを形成し、該マスクを用いてゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28の一部をエッチングすることにより形成した。
次に、ゲート絶縁膜28上にゲート電極31を形成した。ゲート電極31は、ゲート絶縁膜15及びゲート絶縁膜28の一部に設けられた開口部を介して、ゲート電極13と電気的に接続する構成とした。
ここでは、ゲート電極31として、スパッタリング法により厚さ100nmの酸化シリコンを含む酸化インジウム−酸化スズ化合物(ITO−SiO2)の導電膜を形成した。なお該導電膜に用いたターゲットの組成は、In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%]とした。この後、窒素雰囲気で、250℃、1時間の加熱処理を行った。
以上の工程により、本実施例の試料1を得た。
<試料2>
試料2は試料1と比較し、ゲート絶縁膜及びゲート電極の構造が異なる。より具体的には、図16(C)に示すように、トランジスタのチャネル幅方向において、第1の酸化物絶縁膜及び第2の酸化物絶縁膜の側面をゲート電極31が覆うような構成とした。
試料2の作製は、上述した試料1の作製工程において、第1の酸化物絶縁膜、第2の酸化物絶縁膜を成膜し、加熱処理を行ったのちに、フォトリソグラフィ工程により第2の酸化物絶縁膜上にマスクを形成した。続いて該マスクを用いて第1の酸化物絶縁膜、第2の酸化物絶縁膜の一部をエッチングした。それ以外の工程は、上述した試料1と同様であるため、試料1の記載を援用できる。
<試料3>
比較のための試料3は、試料1と比較し、ゲート電極31を有さない点で相違する構成とした。
試料3の作製は、上述した試料1の作製工程において、ゲート電極31の形成工程を省略することにより作製した。それ以外の工程は、上述した試料1と同様であるため、試料1の記載を援用できる。
なお、上述した試料1乃至試料3として、チャネル幅(W)を50μmであり、チャネル長(L)が2μm、3μm、および6μmである、3種類のトランジスタをそれぞれ作製した。
<Id−Vg特性>
次に、試料1乃至試料3のトランジスタの初期特性として、Id−Vg特性を測定した。ここでは、基板温度を25℃とし、ソース−ドレイン間の電位差(以下、ドレイン電圧、Vdともいう)を1V、10Vとし、ソース−ゲート電極間の電位差(以下、ゲート電圧、Vgともいう)を−15V乃至15Vまで変化させたときのソース−ドレイン間に流れる電流(以下、ドレイン電流、Idともいう)の変化特性、すなわちId−Vg特性を測定した。
ここで、試料1及び試料2においては、ゲート電極13とゲート電極31とが電気的に短絡した状態でゲート電圧を加えるような駆動方法を用いた。このような駆動方法をDual Gate駆動という。すなわち、Dual Gate駆動では、常にゲート電極13とゲート電極31とのゲート電圧が等しくなる。
図31に、試料3のId−Vg特性を示す。図31(A)、(B)、(C)はそれぞれ、チャネル長(L)が2μm、3μm、6μmであるトランジスタについての結果である。また同様に、図32には試料1のId−Vg特性を、図33には試料2のId−Vg特性をそれぞれ示している。
また、図31、図32、図33のそれぞれにおいて、横軸はゲート電圧Vgを、左縦軸はドレイン電流Idを、右縦軸は、電界効果移動度をそれぞれ示す。ここで、電界効果移動度は、飽和領域での値を示すために、Vd=10Vで算出した電界効果移動度を示している。
図31に示す比較のための試料3では、チャネル長(L)によらず、電界効果移動度の値はほとんど変化しないことが分かった。また、チャネル長(L)が小さいほど、ドレイン電圧Vdが大きいほどしきい値電圧がマイナス方向にシフトする結果が示された。
一方、図32に示す、本発明の一態様の試料1では、すべてのチャネル長(L)の条件で、上記試料3に比べて電界効果移動度が向上していることが確認できた。さらに、チャネル長(L)が小さいほど、電界効果移動度が向上することが分かった。また、もっともチャネル長(L)の小さい条件(L=2μm)であっても、ドレイン電圧Vdに対するしきい値電圧の変化は試料3に比べて極めて小さいものであることが分かった。
図33に示す、本発明の一態様の試料2においても、すべてのチャネル長(L)の条件で、上記試料3に比べて電界効果移動度が向上していることが確認できた。さらに、チャネル長(L)が小さいほど、電界効果移動度が向上することが分かった。また、もっともチャネル長(L)の小さい条件(L=2μm)であっても、ドレイン電圧Vdに対するしきい値電圧の変化は試料3に比べて極めて小さいものであることが分かった。
試料1及び試料2ではDual Gate駆動により、試料3に比べてチャネルが形成される酸化物半導体膜に対してより効果的に電界を加えることが可能となり、その結果チャネル長(L)が小さい状態であってもドレイン電圧Vdに対するしきい値電圧の変化を小さくすることができていることがわかる。また同様の理由により、試料1及び試料2ではDual Gate駆動によりドレイン電圧Vdの影響を受けにくくなり、飽和領域における飽和性も向上させることができる。
以上の結果から、本発明の一態様のトランジスタは、チャネル長(L)が小さいほど電界効果移動度が向上すること、さらには、チャネル長(L)が小さい場合であっても、しきい値電圧を良好な値とすることができることが確認できた。
<BTストレス試験>
続いて、試料1及び試料2のBTストレス試験及び光BTストレス試験を行った。
初めに、ゲートBTストレス試験及び光ゲートBTストレス試験を行った。
ここで、ゲートBTストレス試験の測定方法について説明する。はじめに、上記のようにトランジスタの初期特性におけるId−Vg特性を測定する。
次に、基板温度を任意の温度(以下、ストレス温度という)を一定に維持し、トランジスタのソース電極及びドレイン電極として機能する一対の電極を同電位とし、当該一対の電極とは異なる電位をゲート電極に一定時間(以下、ストレス時間という)印加する。次に、基板温度を適宜設定し、トランジスタの電気特性を測定する。この結果、ゲートBTストレス試験前後の電気特性におけるしきい値電圧及びシフト値の差を、変動量として得ることができる。
なお、ゲート電極に負の電圧を印加するストレス試験をマイナスゲートBTストレス試験(Dark −GBT)といい、正の電圧を印加するストレス試験をプラスゲートBTストレス試験(Dark +GBT)という。また、光を照射しつつゲート電極に負の電圧を印加するストレス試験を光マイナスゲートBTストレス試験(Photo −GBT) といい、正の電圧を印加するストレス試験を光プラスゲートBTストレス試験(Photo +GBT)という。
ここでは、ゲートBTストレス条件として、ストレス温度を60℃、ストレス時間を3600秒とし、ゲート電極に−30Vまたは+30V、ソース電極及びドレイン電極として機能する一対の電極に0Vを印加した。このときの、ゲート絶縁膜に印加する電界強度を0.66MV/cmとした。
また、上記BTストレス試験と同様の条件を用い、LEDを用いて10000lxの白色光をトランジスタに照射して、光ゲートBTストレス試験を行った。なお、各種ゲートBTストレス試験後のトランジスタのId−Vg特性の測定温度を60℃とした。
試料1及び試料2に含まれるトランジスタの初期特性のしきい値電圧とBTストレス試験後のしきい値電圧の差(すなわち、しきい値電圧の変動量(ΔVth))、シフト値の差(すなわち、シフト値の変動量(ΔShift))を、それぞれ図34(A)、(B)に示す。図34(A)、(B)に、プラスゲートBTストレス試験(Dark +GBT)、マイナスゲートBTストレス試験(Dark −GBT)、光プラスゲートBTストレス試験(Photo +GBT)、光マイナスゲートBTストレス試験(Photo −GBT)についてそれぞれの変動量を示す。
ここで、本明細書におけるしきい値電圧及びシフト値について説明する。しきい値電圧(Vth)は、ゲート電圧(Vg[V])を横軸、ドレイン電流の平方根(Id1/2[A1/2])を縦軸としてプロットしたId−Vg曲線において、曲線上の傾きが最大である点における接線と、Id1/2=0の直線(すなわちVg軸)との交点におけるゲート電圧と定義する。なお、ここでは、ドレイン電圧Vdを10Vとして、しきい値電圧を算出する。
また、本明細書におけるシフト値(Shift)は、ゲート電圧(Vg[V])を横軸、ドレイン電流(Id[A])の対数を縦軸としてプロットしたId−Vg曲線において、曲線上の傾きが最大である点における接線と、Id=1.0×10−12[A]の直線との交点におけるゲート電圧と定義する。なお、ここではドレイン電圧Vdを10Vとして、シフト値を算出する。
図34(A)より、試料1において、チャネル長(L)が小さい条件であるほど、しきい値電圧及びシフト値の変動量が少ないことがわかる。特にプラスゲートBTストレス試験、光プラスゲートBTストレス試験に対して、最もチャネル長(L)の小さいL=2μmの条件で、最もこれらの変動量が少ないことがわかる。
図34(B)より、試料2においても、チャネル長(L)が小さい条件であるほど、しきい値電圧及びシフト値の変動量が少ないことがわかる。特にプラスゲートBTストレス試験、光プラスゲートBTストレス試験に対して、最もチャネル長(L)の小さいL=2μmの条件で、最もこれらの変動量が少ないことがわかる。
以上の結果から、本発明の一態様のトランジスタは、チャネル長(L)が小さいほど、トランジスタの特性変化が小さく、信頼性の高いトランジスタであることが確認できた。
続いて、試料1乃至試料3について、プラスゲートBTストレス試験(Dark +GBT)を行った。ここでは、ストレス温度を60℃とし、ストレス時間を100秒、500秒、1500秒、2000秒、3600秒として、しきい値電圧の変動量を測定した。
図35(A)、(B)、(C)は、それぞれチャネル長(L)が2μm、3μm、6μmであるトランジスタについての、しきい値電圧の変動量と、各変動量から得た近似線を示す。なお、図35に示すグラフは両対数グラフであり、横軸はストレス時間を示し、縦軸はしきい値電圧の変動量(ΔVth)を示す。
図35(A)において、ストレス時間が短い(例えば300秒以下)とき、比較のための試料3のしきい値電圧の変動量は、本発明の一態様の試料1と同程度かそれ以上の値であった。しかしながら、試料3のストレス時間に対するしきい値電圧の変動量の傾きは、試料1及び試料2よりも大きい。そのため、ストレス時間が長い(例えば3600秒以上)ほど、試料1及び試料2のしきい値電圧の変動量は試料3に比べて小さくなる傾向があることが分かった。
また、図35(B)、(C)では、測定範囲(3600秒以下)内において、比較のための試料3のしきい値電圧の変動量は、試料1及び試料2よりも小さいものの、上記と同様にストレス時間に対するしきい値電圧の変動量の傾きが試料1及び試料2よりも大きい。そのため、ストレス時間が長いほどその大小関係は逆転し、試料1及び試料2のしきい値電圧の変動量の方が試料3に比べて小さくなることがわかる。
以上の結果から、本発明の一態様のトランジスタは、しきい値電圧の経時変化が小さく、信頼性の高いトランジスタであることが確認できた。また、チャネル長(L)を小さくすることで、信頼性をより向上できることが確認できた。
続いて、試料1及び試料2について、プラスゲートBTストレス試験(Dark +GBT)とマイナスゲートBTストレス試験(Dark −GBT)を交互に繰り返した時の、しきい値電圧の変動量を測定した。ここでは、まずトランジスタのId−Vg特性を測定した。その後プラスゲートBTストレス試験、マイナスゲートBTストレス試験をそれぞれ交互に2回ずつ行った。各ゲートBTストレス試験は、ストレス温度を60℃、ストレス時間を3600秒とした。またここでは、L=2μmのトランジスタについて測定した。
図36(A)、(B)にそれぞれ、試料1、試料2における、ストレス試験前(Initial)と、各ゲートBTストレス試験後のそれぞれのしきい値電圧を示す。図36において、縦軸はしきい値電圧(Vth)を示し、横軸は最も左側が、ストレス試験前、続いてプラスゲートBTストレス試験後、マイナスゲートBTストレス試験後、プラスゲートBTストレス試験後、マイナスゲートBTストレス試験後の順で示す。
ここで、プラスゲートBTストレス試験とマイナスゲートBTストレス試験とを交互に行ったとき、しきい値電圧の値が交互に増減を繰り返す場合、ゲート電極への電圧印加に伴うトラップ準位へのキャリアのトラップ及びデトラップに起因する、しきい値電圧の変動であることが推測される。一方、しきい値電圧の変化が一方向に偏りを有する場合(例えば徐々に増大、または減少する傾向がある場合)、トラップ準位へトラップされたキャリアが固定電荷として振る舞うことによるしきい値電圧の変動であることが推測される。
図36(A)、(B)から、試料1及び試料2の両方において、各ストレス試験後のトランジスタのしきい値電圧は、ストレス試験前に対してほとんど変化が見られないことがわかる。そのため、ゲート電極への電圧印加に伴う、トラップ準位へのキャリアのトラップがほとんど生じないことが確認できた。
以上の結果から、本発明の一態様のトランジスタは、正の電圧及び負の電圧を交互にゲート電極に印加するような駆動方法を用いた場合であっても、しきい値電圧の変動がほとんどなく、信頼性の高いトランジスタであることが確認できた。