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JP2015120245A - 熱転写シート - Google Patents

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JP2015120245A
JP2015120245A JP2013263676A JP2013263676A JP2015120245A JP 2015120245 A JP2015120245 A JP 2015120245A JP 2013263676 A JP2013263676 A JP 2013263676A JP 2013263676 A JP2013263676 A JP 2013263676A JP 2015120245 A JP2015120245 A JP 2015120245A
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絵美 松葉
Emi Matsuba
絵美 松葉
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Abstract

【課題】 染料転写効率が高く、かつ保存安定性を十分にもち、低温から高温までの環境下での印画条件でも、剥離性で問題が生じることなく、また異常転写も生ずることなく、さらに染料層塗工時の塗工液からの泡発生を防止できる熱転写シートを提供する。
【解決手段】 基材2の一方の面に染料層3が設けられ、前記基材2の他方の面に耐熱滑性層4が設けられた熱転写シート1であって、前記染料層3は、昇華性染料と、ニトロセルロース樹脂と、アルキル基またはアラルキル基の少なくともいずれかを有する変性シリコーンとを含有する構成である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱転写シートに関わるものである。
従来、昇華性染料を適当なバインダーで担持した色材層である染料層をポリエステルフィルム等の基材の一方の面に設けた熱転写シートと、被転写体である熱転写受像シートとを重ね合わせ、基材の他方面側と、サーマルヘッドとを接触させながらサーマルヘッドによる加熱処理を行うことで、昇華染料を被転写体に転写する昇華転写方式が知られている。この、昇華転写方式によれば、熱転写シートに印加するエネルギー量によってドット単位で昇華性染料の移行量を制御出来るため、濃度階調が可能であり、画像が非常に鮮明であり、且つ透明性、中間調の色再現性、階調性に優れフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
上記の昇華転写方式の熱転写シートの染料層には、熱転写シートの保存時に、染料層に含有される昇華性染料がバインダー樹脂に良好に保持され、かつ熱転写時に、昇華性染料がバインダー樹脂から良好に放出されること、すなわち高い保存安定性と染料転写効率が求められている。
保存安定性の高いバインダー樹脂としては、ブチラール系や、アセタール系の樹脂が知られている(特許文献1参照)。上記のブチラール系や、アセタール系の樹脂をバインダー樹脂として含有する染料層は、保存安定性に優れる一方で、染料転写効率が低く印画濃度が低いといった問題がある。したがって、これらのバインダー樹脂を用いる場合には、(1)染料層の塗工量を多くして染料層中に含まれる昇華性染料の絶対量を多くするか、あるいは(2)熱転写シートの染料層における昇華性染料/バインダー樹脂の質量比率(D/B比)を大きくする等の方法によって、印画濃度を向上させる必要がある。
しかしながら、上記の(1)染料層の塗工量を多くした場合には、染料層中に熱転写受像シート側に移行しない昇華性染料が多く残存することとなり、つまりムダな昇華性染料が多くなり、コスト面的には好ましいとはいえない。また、十分な印画濃度となるまで(2)D/B比を大きくした場合には、ブチラール系やアセタール系のバインダー樹脂では、昇華性染料を保持することができず、保存安定性が著しく低下する。保存安定性が低下した場合には、熱転写シート製造時に巻き取り状態で保管した際、染料層と基材の反対側面に設けられた背面層とが接することにより、染料層から背面層へ昇華性染料が移行(キック)し、シートの搬送性の低下や、背面層の機能低下を引き起こす。さらに製品とするためボビン等に巻き返した時に、この背面層に移行した染料が、その染料を含んだ染料層ではない他の色相の染料層に再転写(バック)し、得られた画像が汚染された状態になる。また、高温高湿環境下で保存を行ったときに、染料が染料層の表面に析出し、印画時にこの析出した染料が未印画部と接触して未印画部を汚染する地汚れが発生する等の種々の問題がある。
染料転写効率の向上を主な目的するバインダー樹脂としては、セルロース系樹脂、例えば、セルロースアセテートプロピオネートやエチルセルロース等が知られている。しかしながら、染料転写効率の向上を主な目的とするこれらのバインダー樹脂は染料転写効率には優れるものの、保存安定性が低く、特に、染料層の塗工量を少なくした場合や、D/B比を大きくした場合には、保存安定性が低下し、上記の問題を引き起こすこととなる。
すなわち、保存安定性と染料転写効率とは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反の関係にあり、保存安定性の高い材料を選定した場合には、染料転写効率が低下する傾向となり、一方、染料転写効率の高い材料を選定した場合には、保存安定性が低下する傾向となる。現在のところ、保存安定性と染料転写効率の双方をみたすバインダーは存在していない。また、染料層に高い熱エネルギーがかかる高階調領域や中階調領域の画像形成時においては、染料層と熱転写受像シートの受容層とが貼りつきを起こす、いわゆる異常転写の問題も発生し得る。
上記の問題に対して、本出願人は特許文献2を提案し、改善をすることができた。しかし、低温の特殊な環境下では印画後に、熱転写シートと熱転写受像シートの剥離性で問題が生じる場合があること、また染料層の基材上への塗工時で、高速塗工の場合、染料層用塗工液から泡の発生があり、染料層の塗工面質の低下につながる問題が判明した。
特開2009−286060号公報 特開2013−212609号公報
本発明はこのような状況においてなされたものであり、染料転写効率が高く、かつ保存安定性を十分にもち、低温から高温までの環境下での印画条件でも、剥離性で問題が生じることなく、また異常転写も生ずることなく、さらに染料層塗工時の塗工液からの泡発生を防止できる熱転写シートを提供することを主たる課題とする。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、基材の一方の面に染料層が設けられ、前記基材の他方の面に耐熱滑性層が設けられた熱転写シートであって、
前記染料層は、昇華性染料と、ニトロセルロース樹脂と、アルキル基またはアラルキル基の少なくともいずれかを有する変性シリコーンとを含有することを特徴とする熱転写シートの構成とした。
また、前記染料層の昇華性染料が一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)の群から選ばれる1または2以上の染料を含有することを特徴とする熱転写シートの構成とした。
Figure 2015120245
一般式(1)中のR1、R2は、それぞれ独立に水素原子、置換あるいは非置換のアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、またはアルコキシカルボキシアルキル基を表し、R1とR2とは互いに環を形成してもよい。R3は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アルキルホルミルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ホルミルアミノ基、アリルホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基またはウレイド基を表し、R4、R5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アリル基、置換あるいは非置換のアリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、チオアルキル基、アリルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアルキル基、複素環基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、またはアルキルスルホニル基を表す。
Figure 2015120245
一般式(2)中のR1、R2はアルケニル基、アラルキル基、または置換あるいは非置換のアルキル基を表し、R3は水素原子、メチル基、メトキシ基、またはハロゲン原子をR4は水素原子、メチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R5は、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アリール基、シアノアルキル基、置換あるいは非置換のアルコキシカルボニルアルキル基を表す。
Figure 2015120245
一般式(3)中のX及びYは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1及びR2は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。
Figure 2015120245
一般式(4)中のXは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。
また、前記昇華性染料が、前記一般式(1)で、R1、R2、R3、R4はそれぞれ置換あるいは非置換のアルキル基であり、R5は置換あるいは非置換のアリール基であり、前記一般式(2)で、R1、R2はアルキル基であり、R3、R4は水素原子またはアルキルカルボニルアミノ基であり、R5はアルケニル基であり、前記一般式(3)で、X、Yは−O−であり、R1、R2は置換あるいは非置換のアリール基であり、前記一般式(4)で、X、Yは−O−であり、R1は置換あるいは非置換のアリール基であることを特徴とする熱転写シートの構成とした。
本発明の熱転写シートによれば、染料転写効率が高く、かつ保存安定性を十分にもち、低温から高温までの環境下での印画条件でも、剥離性で問題が生じることなく、また異常転写も生ずることなく、さらに染料層塗工時の塗工液からの泡発生を防止することができる。
本発明の熱転写シートの一つの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の熱転写シートの他の実施形態を示す概略断面図である。
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1は本発明の熱転写シートの一つの実施形態を示す。図示した熱転写シート1は、基材2の一方の面に、染料プライマー層5を介して染料層3を有し、その基材2の他方の面に耐熱滑性層4を有する熱転写シート1である。
また図2は本発明の熱転写シートの他の実施形態を示す。図示した熱転写シート1は、基材2の一方の面に、染料プライマー層5を介して、イエロー染料層(3Y)、マゼンタ染料層(3M)、シアン染料層(3C)の3色の染料層3をこの順に面順次に繰り返し設けた構成で、その基材2の他方の面に耐熱滑性層4を有する熱転写シート1である。
以下、本発明の熱転写シートの各構成について、説明する。
(基材)
本発明の熱転写シートに用いられる基材2としては、ある程度の耐熱性と強度に加え、透明性を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材1として、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
(染料層)
染料層3は、昇華性染料と、ニトロセルロース樹脂と、アルキル基またはアラルキル基の少なくともいずれかを有する変性シリコーンとを含有するものである。染料層に含まれる昇華性染料は、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましい。このような昇華性染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料等が挙げられる。
具体的には、ディスパースレッド60、ディスパースバイオレット26、Ceres Red 7B、Samaron Red F3BS等の赤色染料、ディスパースイエロー231、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等の黄色染料、ソルベントブルー63、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100、C.I.ソルベントブルー22等の青色染料等を挙げることができる。
本発明では染料層におけるバインダー樹脂として、ニトロセルロース樹脂を用いるものである。その理由として、ニトロセルロース樹脂は、昇華性染料の保存安定性が良好であり、熱転写シートを巻取り状態で保管した時に、染料層に含まれる昇華性染料が、耐熱滑性層へ移行するキックの発生を抑制することができる。また、ニトロセルロース樹脂は、染料転写効率が高い特徴を有することから、昇華性染料の染料転写効率も良好であり高濃度の画像を形成することができる。
このニトロセルロース樹脂は、保存性や、染料転写効率に優れる利点を有する一方で、ポリビニルブチラール樹脂や、ポリビニルアセタール樹脂と比較すると、離型性が低い点がある。しかしながら、本発明では、ニトロセルロース樹脂と、離型剤であるアルキル基またはアラルキル基の少なくともいずれかを有する変性シリコーンを併用することで、画像形成時における離型性を高くすることができる。
ニトロセルロース樹脂の粘度については特に限定はないが、染料層に、JIS K−6703による粘度が1/16未満のニトロセルロース樹脂を含有させた場合には、保存安定性が低下する傾向にある。一方、染料層にJIS K−6703による粘度が120を超えるニトロセルロース樹脂を含有させる場合には、染料層の形成時にインキミスト等が発生するおそれが生じうる。
この点を考慮すると、染料層は、JIS K−6703による粘度で、1/16以上120以下のニトロセルロース樹脂が含有されていることが好ましい。換言すれば、JIS K−6703による粘度(溶液濃度25%)が1.0秒〜14.9秒、JIS K−6703による粘度(溶液濃度20%)が6.0秒〜8.0秒、或いはJIS K−6703による粘度(溶液濃度12.2%)が4.0秒〜140.0秒のものが好ましい。JIS K−6703による粘度がこの範囲内のニトロセルロース樹脂を染料層に含有させることで、保存安定性を更に向上させることができるとともに、染料層の形成時にインキミスト等が発生することを防止することができる。
粘度が上記範囲内のニトロセルロース樹脂は市販品をそのまま用いることができる。粘度が上記範囲内のものとしては、例えば、太平化学製品(株)製のJIS K−6703で指定される種類及び粘度記号で、H1/16,H1/8,L1/8,H1/4,L1/4,H1/2,H1“,H5”,H20,H60,H120のものを挙げることができる。これ以外にも、稲畑産業(株)製のDHX3−5,DHX5−10,DHX8−13,DHX11−16,DHX30−50,DHX40−70,DHL25−45,DHL120−170,H20(160−210),DHM10−25,SL−1,DLX3−5,DLX5−8,DLX8−13,DLX30−50等も使用可能である。
また、ニトロセルロース樹脂は、窒素分(硝化度)が10%であることが好ましい。また、取り扱いの安全性を考慮すると窒素分は12.3%以下であることが好ましい。窒素分が10%以上のニトロセルロース樹脂を含有させることで、染料層における染料転写効率の更なる向上が見込まれる。
染料層には、バインダー樹脂としてニトロセルロース樹脂のみが含有されていてもよく、ニトロセルロース樹脂とともに、他のバインダー樹脂を併用して用いることもできる。他のバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、染料層の固形分総量に対し、15質量%以下の範囲内で含有されていることが好ましい。これらの樹脂の含有量が15質量%を超えると、染料転写効率や染料保存安定性が低下する傾向にある。
染料層中に含まれる昇華性染料と、ニトロセルロース樹脂との質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))は2.0以上であることが好ましい。D/B比を2.0以上とすることで、十分な印画濃度の画像を得ることができる。なお、通常D/B比が2.0以上である場合には、これまで用いられてきた従来公知のバインダー樹脂では昇華性染料を保持することができないが、本発明では、染料層にニトロセルロース樹脂が含まれることからD/B比が2.0以上であっても昇華性染料を十分に保持することができ、保存安定性に優れる。D/B比の好ましい上限値について特に限定はないが、D/B比が3.5を超える場合には、バインダー樹脂に対する昇華性染料の染料量が多くなりすぎ、バインダー樹脂が昇華性染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、この点を考慮すると、D/B比は2.0以上3.5以下の範囲内であることが好ましい。
染料層に含有する変性シリコーンとして、アルキル基を有する変性シリコーンは、言い換えれば、アルキル変性シリコーンオイルであり、下記化学式5、化学式6に示すように、繰り返し単位として〔OSi(CH3)(R1)〕及び/又は〔OSi(R1)(R2)〕を含有する構造を有するものである。ここで、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数が1以上のアルキル基から選ばれる。アルキル基は、直鎖状であっても側鎖状であってもよい。R1及びR2の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチルシクロへキシル基等が挙げられる。
Figure 2015120245
m及びnは、正の整数である。
Figure 2015120245
m及びnは、正の整数である。
また、アルキル変性シリコーンは市販品として入手することもでき、具体例としては、商品名「KF412」(信越化学工業株式会社製)、商品名「KF413」(信越化学工業株式会社製)、商品名「KF414」(信越化学工業株式会社製)、商品名「SF8416」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)等が挙げられる。
染料層に含有する変性シリコーンとして、アラルキル基を有する変性シリコーンは、言い換えれば、アラルキル変性シリコーンであり、上記化学式5、化学式6に示すように、繰り返し単位として〔OSi(CH3)(R1)〕及び/又は〔OSi(R1)(R2)〕を含有する構造で、R1またはR2は、それぞれ独立して、アルキルフェニル基、ジアルキルフェニル基、アルキルナフチル基、ジアルキルナフチル基等から選ばれる。中でも、アルキルフェニル基が好ましく用いられ、特に好ましくはイソプロピルフェニル基が用いられる。また、R1またはR2が上記アラルキル基を有するもので、そのアラルキル基を有するR1またはR2と対向する基は、上記に記載したアルキル基を有するものが好ましい。
アラルキル変性シリコーンは市販品として入手することもでき、具体例としては、商品名「KF410」(信越化学工業株式会社製)、商品名「SH203」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、商品名「SH230」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)等が挙げられる。
上記のアルキル基またはアラルキル基の少なくともいずれかを有する、変性シリコーンを染料層に添加するのは、画像形成時における熱転写受像シートと熱転写シートとの離型性(剥離性)を高くすることができること、さらに染料層の基材上への高速塗工時での染料層用塗工液から泡の発生を防止できることが、主な理由である。
上記のアルキル基またはアラルキル基の少なくともいずれかを有する、変性シリコーンは、染料層の全質量に対し、0.5質量%以上10質量%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは、2質量%以上5質量%以下であることが望ましい。その変性シリコーンの含有量が少なすぎると、上記の離型性及び泡発生防止性の各機能が十分に発揮できなくなる、また一方で、上記変性シリコーンの含有量が多すぎると、基材と染料層との密着性が低下する傾向にある。
また、染料層には、昇華性染料、ニトロセルロース樹脂、上記変性シリコーンのほか、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン、シリカ微粒子等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
染料層の塗工量は、乾燥時で0.45g/m2以下であることが好ましい。染料層の塗工量をこの範囲内とすることで、画像形成時の染料転写効率を向上させることができ、染料層に含まれる昇華性染料を無駄なく熱転写受像シート上に移行させることができる。なお、染料層の塗工量が乾燥時で0.45g/m2を超えると染料転写効率が低下する傾向にある。染料層の下限値について特に限定はないが、染料層の塗工量が乾燥時で0.13g/m2未満である場合には、ニトロセルロース樹脂に対する昇華性染料の配合比率を多くしても十分な印画濃度を得られない場合がある。したがって、この点を考慮すると、染料層の塗工量は、乾燥時で0.13g/m2以上0.45g/m2以下であることが好ましい。
染料層の形成方法は特に限定はなく、昇華性染料、ニトロセルロース樹脂、アルキル基またはアラルキル基の少なくともいずれかを有する、変性シリコーン、更に必要に応じて添加剤、例えば、離型剤や無機微粒子などを加えて、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、シクロヘキサノン、DMFなどの適当な有機溶剤に溶解、あるいは有機溶剤や水に分散した塗工液をグラビア印刷、ダイコート印刷、バーコート印刷、スクリーン印刷、又はグラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷等の手段により塗布、及び乾燥して形成することができる。
なお、図1に示す形態では、基材2上に単一の染料層3が設けられた構成をとっているが、図2に示すような、異なる昇華性染料を含む染料層、例えばイエロー染料層(3Y)、マゼンタ染料層(3M)、シアン染料層(3C)の3色の染料層3を、同一基材の同一面に面順次に繰り返し設けることも可能である。また、同一面上に転写性保護層を設けることとしてもよい。
(染料プライマー層)
本発明では、基材と染料層との間に染料プライマー層5を設けることが好ましい。染料プライマー層を設けることで基材と染料層との密着性を向上させ、熱転写時に熱転写受像シートへの染料層の異常転写を防止することができる。
染料プライマー層を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、染料プライマー層に、無機微粒子、たとえばコロイド状無機顔料超微粒子が含まれていてもよい。これにより画像形成時の染料層から染料プライマー層への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
無機微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、平均一次粒子径で100nm以下、好ましくは50nm以下で用いることが好ましい。
染料プライマー層は、上記で例示した樹脂や、コロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散した染料プライマー層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。染料プライマー層用塗工液の塗工量は、乾燥時で0.02g/m2〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
(耐熱滑性層)
基材の他方の面に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための耐熱滑性層4が設けられている。なお、耐熱滑性層4は本発明の熱転写シートにおける必須の構成である。
耐熱滑性層4は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、耐熱滑性層の塗膜強度や耐熱性を向上させる。
また、耐熱滑性層には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
耐熱滑性層は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加剤を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材の染料層の反対側の面上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、乾燥後塗工量が3g/m2以下であることが好ましく、0.1〜2g/m2にすることがより好ましい。
本発明の熱転写シートは、上記の基材の染料層と反対側の耐熱滑性層にサーマルヘッド等により所定箇所を加熱・加圧し、染料層のうち印字部に相当する箇所の染料を被転写材に転写させて印画することができる。上記被転写材として熱転写受像シート等を使用することができる。上記熱転写受像シートとしては、記録面が染料受容性を有するものであれば特に限定されず、例えば、紙、金属、ガラス、合成樹脂等の基材の少なくとも一方の面に染料受容層を形成したものを挙げることができる。また上記熱転写を行なう際に使用するプリンターとしては、特に限定されず、公知の熱転写プリンターを使用することができる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その基材の一方の面に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液をグラビアコート法にて、乾燥時で1.0g/m2になるように塗工し、耐熱滑性層を形成した。次いで、前記基材の耐熱滑性層を設けた側とは反対の面に、下記の染料プライマー層用塗工液を乾燥時0.10g/m2になるように塗工し、染料プライマー層を形成した。次いで、染料プライマー層上に下記組成の染料層用塗工液1を乾燥時0.35g/m2になるようにグラビアコーターにて塗工し、80℃で2分間乾燥することで染料層を形成し、実施例1の熱転写シートを得た。
<耐熱滑性層用塗工液>
・ポリビニルアセタール樹脂 90.3部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート 6.2部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・シリコーン樹脂フィラー 0.62部
(トスパール240 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 3部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・エトキシ化アルコール変性ワックス 7部
(ユニトックス750 、東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
<染料プライマー層用塗工液>
・ポリビニルピロリドン樹脂 3部
(K−90 ISP社)
・アルミナゾル(平均1次粒子径10×100nm、固形分10%) 30部
(アルミナゾル200 日産化学工業(株))
・水 50部
・IPA(イソプロピルアルコール) 17部
<染料層用塗工液1(D/B比=2.5)>
・下記一般式(1−1)で示される染料 1部
・下記一般式(4−1)で示される染料 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株))
・アラルキル変性シリコーン 0.02部
(KF410 信越化学(株))
・溶剤(トルエン/MEK=1:1) 96.5部
Figure 2015120245
Figure 2015120245
上記のアラルキル変性シリコーン(KF−410 信越シリコーン(株)製)は、上記で示した化学式5で、R1が下記化学式9で示されるイソプロピルフェニル基の構造である。
上記アラルキル変性シリコーンは、染料層の固形分全体に対し0.57質量%(バインダー樹脂であるニトロセルロース樹脂の固形分に対して2質量%)の割合で含有する。
Figure 2015120245
(実施例2)
実施例1で作製した熱転写シートにおける染料層用塗工液1を下記組成の染料層用塗工液2に代えた以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
<染料層用塗工液2>
・上記一般式(1−1)で示される染料 1部
・上記一般式(4−1)で示される染料 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株))
・アルキル・アラルキル変性シリコーン 0.02部
(SH230 東レ・ダウコーニング(株))
・溶剤(トルエン/MEK=1:1) 96.5部
上記のアルキル・アラルキル変性シリコーン(SH230 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)は、上記で示した化学式6で、R1とR2において、一方がアルキル基、他方がアラルキル基の構造である。
上記アルキル・アラルキル変性シリコーンは、染料層の固形分全体に対し0.57質量%(バインダー樹脂であるニトロセルロース樹脂の固形分に対して2質量%)の割合で含有する。
(実施例3)
<染料層用塗工液3>
・上記一般式(1−1)で示される染料 0.25部
・下記一般式(2−1)で示される染料 0.25部
・下記一般式(3−1)で示される染料 0.8部
・上記一般式(4−1)で示される染料 1.2部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株))
・アルキル・アラルキル変性シリコーン 0.04部
(SH230 東レ・ダウコーニング(株))
・溶剤(トルエン/MEK=1:1) 96.5部
Figure 2015120245
Figure 2015120245
上記アラルキル変性シリコーンは、染料層の固形分全体に対し1.13質量%(バインダー樹脂であるニトロセルロース樹脂の固形分に対して4質量%)の割合で含有する。
(比較例1)
実施例1で作製した熱転写シートにおける染料層用塗工液1を下記組成の染料層用塗工液4に代えた以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
<染料層用塗工液4>
・上記一般式(1−1)で示される染料 1部
・上記一般式(4−1)で示される染料 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株))
・アミノ変性シリコーン 0.02部
(KF−8010 信越シリコーン(株)製)
・溶剤(トルエン/MEK=1:1) 96.5部
上記のアミノ変性シリコーン(KF−8010 信越シリコーン(株)製)は、ポリシロキサンの両方の末端にアミノ基を導入した構造である。
上記アミノ変性シリコーンは、染料層の固形分全体に対し0.57質量%(バインダー樹脂であるニトロセルロース樹脂の固形分に対して2質量%)の割合で含有する。
(比較例2)
実施例1で作製した熱転写シートにおける染料層用塗工液1を下記組成の染料層用塗工液5に代えた以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
<染料層用塗工液5>
・上記一般式(1−1)で示される染料 1部
・上記一般式(4−1)で示される染料 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株))
・アミノ変性シリコーン 0.04部
(KF−8010 信越シリコーン(株)製)
・溶剤(トルエン/MEK=1:1) 96.5部
上記のアミノ変性シリコーン(KF−8010 信越シリコーン(株)製)は、ポリシロキサンの両方の末端にアミノ基を導入した構造である。
上記アミノ変性シリコーンは、染料層の固形分全体に対し1.13質量%(バインダー樹脂であるニトロセルロース樹脂の固形分に対して4質量%)の割合で含有する。
(比較例3)
実施例1で作製した熱転写シートにおける染料層用塗工液1を下記組成の染料層用塗工液6に代えた以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
<染料層用塗工液6(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)で示される染料 1部
・上記一般式(4−1)で示される染料 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株))
・ポリエーテル変性シリコーン 0.02部
(FZ−2110 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製))
・溶剤(トルエン/MEK=1:1) 96.5部

上記ポリエーテル変性シリコーンは、染料層の固形分全体に対し0.57質量%(バインダー樹脂であるニトロセルロース樹脂の固形分に対して2質量%)の割合で含有する。
(比較例4)
実施例1で作製した熱転写シートにおける染料層用塗工液1を下記組成の染料層用塗工液7に代えた以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
<染料層用塗工液7(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)で示される染料 1部
・上記一般式(4−1)で示される染料 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株))
・ポリエーテル変性シリコーン 0.02部
(FZ−2101 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製))
・溶剤(トルエン/MEK=1:1) 96.5部

上記ポリエーテル変性シリコーンは、染料層の固形分全体に対し0.57質量%(バインダー樹脂であるニトロセルロース樹脂の固形分に対して2質量%)の割合で含有する。
(比較例5)
実施例1で作製した熱転写シートにおける染料層用塗工液1を下記組成の染料層用塗工液8に代えた以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
<染料層用塗工液8(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)で示される染料 1部
・上記一般式(4−1)で示される染料 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.45部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株))
・溶剤(トルエン/MEK=1:1) 96.5部
(印画物の離型性評価)
(熱転写受像シートの作成)
多孔質ポリエチレンフィルム(トヨパール−SS P4255 東洋紡績(株)製 厚さ35μm)からなる多孔質フィルム層上に、下記組成の中間層用塗工液、受容層用塗工液をグラビアリバースコート方式で、順次塗布、乾燥して、中間層、受容層を形成した。その中間層、受容層の設けられた面と反対面の多孔質ポリエチレンフィルムに、下記組成の接着層用塗工液を用いて、グラビアリバースロールコート方式で塗布、乾燥して、接着層を形成し、RC原紙(155g/m2、厚さ151μm)(三菱製紙(株))と貼り合わせ熱転写受像シートを作製した。上記の各々の塗工量は、全て固形分で、中間層は1.5g/m2、受容層は5.0g/m2、接着層は5g/m2であった。
<中間層用塗工液>
・ポリエステル樹脂 50部
(ポリエスターWR−905 日本合成化学工業(株))
・酸化チタン 20部
(TCA888 (株)トーケムプロダクツ)
・蛍光増白剤 1.2部
(ユビテックスBAC チバ・スペシャリティーケミカルズ(株))
・水/イソプロピルアルコール=1/1 28.8部
<受容層用塗工液組成>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 60部
(ソルバインC 日信化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーン 1.2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルスチル変性シリコーン 0.6部
(X−24−510 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 5部
<接着層用塗工液>
・ウレタン樹脂 30部
(タケラックA−969V 三井武田ケミカル(株))
・イソシアネート 10部
(タケネートA−5 三井武田ケミカル(株))
・酢酸エチル 100部
上記で得られた実施例及び比較例の熱転写シートを用いて、シチズン・システム(株)製昇華転写プリンタ(CW−02)にて、マゼンタ色のベタ印字を行ない、以下の条件で剥離性を調べた。
室温の環境下で、上記ベタ印字を行ない、熱転写シートの染料層と、熱転写受像シートの受容層との剥離性(離型性)を、両者を手で剥がすことで、以下の評価基準で評価した。
(剥離性の評価基準)
〇:熱転写シートから熱転写受像シートへ、染料層ごと剥離する箇所がない。
△:熱転写シートから熱転写受像シートへ、染料層ごと剥離する箇所がわずかにあったが、実用上問題ないレベルである。
×:熱転写シートと熱転写受像シートが貼り付いて、剥がれない箇所がある。
上記の印画物の離型性評価において、室温の環境ではなく、0℃の環境温度下で、上記ベタ印字を行ない、熱転写シートの染料層と、熱転写受像シートの受容層との剥離性を、両者を手で剥がすことで、上記と同じ評価基準で評価した。
上記の印画物の離型性評価において、高温高湿の環境として、40℃、湿度85%RHの環境下で、上記ベタ印字を行ない、熱転写シートの染料層と、熱転写受像シートの受容層との剥離性を、両者を手で剥がすことで、上記と同じ評価基準で評価した。
(塗工液からの泡発生防止性の評価)
上記の実施例及び比較例の各熱転写シートを作製する時、マゼンタ染料層を基材上に設けるとき、グラビアコーターにより、塗工速度が分速150mの条件で塗工する際に、そのマゼンタ染料層用塗工液がロールの回転により、撹拌され、泡が発生しやすいが、以下の条件にて、その泡発生の防止性を評価した。塗工液の泡発生が多いと、印画物にスジなどの欠陥が生じるので、上記塗工条件で得られた熱転写シートを用い、上記の室温環境下の離型性評価の時の条件で、マゼンタ色のベタ印字を行ない、以下の評価基準にて評価した。
(泡発生防止性の評価基準)
◎:ベタ印字部で全く印字欠陥が見当たらない。
〇:ベタ印字部で印字欠陥がわずかにあったが、実用上問題ないレベルである。
×:ベタ印字部で重大な印字欠陥がある。
上記の印画物の濃度評価、印画後の離型性評価及び泡発生防止性評価における評価結果を下記の表1に示す。
Figure 2015120245
上記の結果に示すように、実施例1〜3の熱転写シートは、印画物の離型性評価及び塗工液からの泡発生防止性評価の全てにおいて、良好な結果であった。
比較例1、2の熱転写シートでは、0℃の環境温度下の印画後の離型性評価が良くなく、また泡発生防止性評価が不良であった。
比較例3、5の熱転写シートでは、室温、0℃及び高温高湿の全ての環境下の印画後の離型性評価が不良であった。
比較例4の熱転写シートでは、室温、0℃及び高温高湿の全ての環境下の印画後の離型性評価が不良であり、さらに泡発生防止性評価が不良であった。
1 熱転写シート
2 基材
3 染料層
4 耐熱滑性層
5 染料プライマー層

Claims (3)

  1. 基材の一方の面に染料層が設けられ、前記基材の他方の面に耐熱滑性層が設けられた熱転写シートであって、
    前記染料層は、昇華性染料と、ニトロセルロース樹脂と、アルキル基またはアラルキル基の少なくともいずれかを有する変性シリコーンとを含有することを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記染料層の昇華性染料が一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)の群から選ばれる1または2以上の染料を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
    Figure 2015120245
    一般式(1)中のR1、R2は、それぞれ独立に水素原子、置換あるいは非置換のアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、またはアルコキシカルボキシアルキル基を表し、R1とR2とは互いに環を形成してもよい。R3は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アルキルホルミルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ホルミルアミノ基、アリルホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基またはウレイド基を表し、R4、R5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アリル基、置換あるいは非置換のアリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、チオアルキル基、アリルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアルキル基、複素環基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、またはアルキルスルホニル基を表す。
    Figure 2015120245
    一般式(2)中のR1、R2はアルケニル基、アラルキル基、または置換あるいは非置換のアルキル基を表し、R3は水素原子、メチル基、メトキシ基、またはハロゲン原子をR4は水素原子、メチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R5は、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アリール基、シアノアルキル基、置換あるいは非置換のアルコキシカルボニルアルキル基を表す。
    Figure 2015120245
    一般式(3)中のX及びYは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1及びR2は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。
    Figure 2015120245
    一般式(4)中のXは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。
  3. 前記昇華性染料が、
    前記一般式(1)で、R1、R2、R3、R4はそれぞれ置換あるいは非置換のアルキル基であり、R5は置換あるいは非置換のアリール基であり、
    前記一般式(2)で、R1、R2はアルキル基であり、R3、R4は水素原子またはアルキルカルボニルアミノ基であり、R5はアルケニル基であり、
    前記一般式(3)で、X、Yは−O−であり、R1、R2は置換あるいは非置換のアリール基であり、
    前記一般式(4)で、X、Yは−O−であり、R1は置換あるいは非置換のアリール基であることを特徴とする請求項2に記載の熱転写シート。
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