JP2015037437A - 移乗・移動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】体の向きを変えずにベッドや便座等との間で移乗でき、構造が簡素で一人でも利用可能であると共に、被介護者の背中や腰などに負荷を与えることがなく、特に脊椎等に損傷がある場合でも無理なく利用することができる機能性、安定性、汎用性、取扱い性に優れたもので、被介護者のみならず歩行機能が低下した高齢者および健常者にも適する移乗・移動装置の提供。【解決手段】底部に複数の車輪が配設された台車部と、台車部上に配設され被介護者又は乗車者が台車部後方から着座する着座部と、着座部の前端側に立設され被介護者又は乗車者の胸部に当設する胸当部と、被介護者又は乗車者の膝または脛部に当設する脛当部と、台車部に搭載され着座部及び/又は胸当部を(a)台車部の前後方向と直交する水平軸周りに回動させる、又は(b)台車部の上下方向に上下動させる駆動機構部と、を備えることにより課題を解決するものである。【選択図】図1
Description
本発明は、足腰の弱った老人や肢体不自由者等のように、介護を必要とする被介護者を容易に移動させることができ、特に被介護者の背中や腰などに負荷を与えることがなく、脊椎等に損傷がある場合でも無理なく利用することができ、加えて若者を始め健常者も移動支援装置として利用可能な移乗・移動装置に関するものである。
従来、下肢の麻痺などのために杖などを使っても歩行が困難な人が、自分の足がわりとして自ら操作しながら移動する手段としては車椅子が一般に広く使用されている。車椅子の標準型としてもっとも普及している型は、椅子に取り付けた前方の小車輪と後方の大車輪とからなり、小車輪はキャスターとよばれ、自由に回る自在輪である。大車輪は駆動輪であり、走行用リング(ハンドリム)が付けられており、自分でこれを回して運転する仕組みになっている。これを意のままに操作するためには、乗降訓練や走行訓練のほか、バランスよく座る訓練も重要であるし、標準型の場合には上肢の筋力が強くなければ、操作が上達しにくいと言える。車椅子にはこの他、操作がもっとも簡単で老齢者向きの前方大車輪型、両手が使えない人のための片手駆動型、屋外走行用の手動チェーン型をはじめ、手押し型、腹臥位走行型などの特殊型もある。また、軽くて折り畳みやすい携帯用で容易に自動車にも乗せられるものや、手で操作できない人のためにはスイッチを押すだけで操作できる電動式車椅子などもある。
しかし、通常の車椅子は着座部の後方に背もたれがあり、前方から乗り降りしなければならないため、一旦立ち上がって体の向きを変えて腰を下ろすという動作が必要であり、ベッドやトイレの便座などから乗り移る際には、一般に介護者の助けを借りなければならない。 特に、寝たきりの人や足腰の弱った老人等のように身体が不自由で、介護を必要とする被介護者をベッドと車椅子などとの間で移乗させる際には、介護者が被介護者を抱きかかえたり、リフターと呼ばれる移乗機器などを使用したりしているが、介護者が被介護者を抱きかかえて体重を支える場合には、介護者への負担が大きく、腰痛などの原因となっていた。また、車椅子への乗降時にバランスを崩すなどして転倒事故が発生することもあり、安全面においても不安が潜在している。
さらに、通常の車椅子では背もたれによって背中にも圧迫を受けるが、特に脊椎損傷患者の場合は、脊髄損傷によって感覚を失っていると肉体的苦痛を知覚できず、血流障害などが発生することもあった。また、脊椎損傷患者の車椅子座位姿勢は脊柱を後彎し骨盤を大きく後傾させた姿勢をしており、健常者に比べ狭い範囲に圧力が集中し易い傾向にあるため座位姿勢に特に注意を要する必要があった。
さらに、通常の車椅子では背もたれによって背中にも圧迫を受けるが、特に脊椎損傷患者の場合は、脊髄損傷によって感覚を失っていると肉体的苦痛を知覚できず、血流障害などが発生することもあった。また、脊椎損傷患者の車椅子座位姿勢は脊柱を後彎し骨盤を大きく後傾させた姿勢をしており、健常者に比べ狭い範囲に圧力が集中し易い傾向にあるため座位姿勢に特に注意を要する必要があった。
一方、リフターを使用する場合には、被介護者を吊り下げるための準備に手間がかかり、介護者の負担が増加するばかりでなく、機械を設置、収納するための大きなスペースも必要としていた。特に、被介護者の臀部を吊り下げる構造では、被介護者に恐怖感や不快感を与えるといった問題点があり、被介護者の脇を支持する構造では、被介護者の体重を両脇で支えなければならず、被介護者に痛みや不快感を与えるといった問題点があった。
また、寝たきりの生活を続ける被介護者は、筋肉が落ち、入院が長期化することもあった。これらを防ぐには、介助やリハビリなどにより定期的に体を動かすことや、頻繁に体位を交換することが必要であり、介護者にも大きな負担となっていた。
介護者や被介護者の負担を軽減することができ、リハビリにも効果のある歩行器も利用されているが、着座部が設けられておらず、疲れた際には別の椅子を用意する必要があり、また有輪式歩行器は停止装置がないため立ち止まった際の安定感に欠け、特に屋外や斜面での利用には不向きであり、用途や使用場所が限定され、汎用性に欠けるものであった。
そして何よりも問題なのが、被介護者の人間的尊厳の減耗である。車椅子に座する被介護者は、その移乗に当たり介護者に対して引け目を感じ、また乗車中は常に健常者から見下ろされる位置にあり、また高い所にある物には手が届かず、精神的にネガティブにならざるを得ない状況にあった。これはリハビリへの意欲の低下を招くものでもあり、自我の抑圧にも繋がるものであった。
また、寝たきりの生活を続ける被介護者は、筋肉が落ち、入院が長期化することもあった。これらを防ぐには、介助やリハビリなどにより定期的に体を動かすことや、頻繁に体位を交換することが必要であり、介護者にも大きな負担となっていた。
介護者や被介護者の負担を軽減することができ、リハビリにも効果のある歩行器も利用されているが、着座部が設けられておらず、疲れた際には別の椅子を用意する必要があり、また有輪式歩行器は停止装置がないため立ち止まった際の安定感に欠け、特に屋外や斜面での利用には不向きであり、用途や使用場所が限定され、汎用性に欠けるものであった。
そして何よりも問題なのが、被介護者の人間的尊厳の減耗である。車椅子に座する被介護者は、その移乗に当たり介護者に対して引け目を感じ、また乗車中は常に健常者から見下ろされる位置にあり、また高い所にある物には手が届かず、精神的にネガティブにならざるを得ない状況にあった。これはリハビリへの意欲の低下を招くものでもあり、自我の抑圧にも繋がるものであった。
これらの問題点の一部を解消するために、例えば、(特許文献1)には、「被介護者を座部に腰掛けさせた状態で搬送する台車部を備えた移乗機能付き介護椅子」が開示されている。
また、(特許文献2)には、「キャスターを有する台座に主柱を立設し、該主柱に嵌合させた中空軸にテーブルと椅子を設けると共に、テーブルと椅子を主柱に沿って昇降させる昇降装置とからなる介護用人体移動装置」が開示されている。
また、(特許文献2)には、「キャスターを有する台座に主柱を立設し、該主柱に嵌合させた中空軸にテーブルと椅子を設けると共に、テーブルと椅子を主柱に沿って昇降させる昇降装置とからなる介護用人体移動装置」が開示されている。
しかしながら、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の移乗機能付き介護椅子は、一般的な椅子と同様に座部の背後に背もたれを有しているので、使用前に座部と背もたれが平行になるまで背もたれを倒すか、或いは一旦、背もたれを取り外した後、ベッド上に座部を移動させ、座部の高さをベッドの高さに調整し、被介護者を座部の上に載せてから、座部を上昇させ、移乗機能付き介護椅子全体をベッドから引き出さなければならず、工程が煩雑で使用性に欠けるという課題があった。
また、使用状態では背もたれによる背中への圧迫があり、特に脊髄損傷者が使用するには不向きであるという課題があった。
(2)(特許文献2)の介護用人体移動装置は、椅子が、後部中央に設けた軸で両開き可能に形成されており、被移乗者の腰の後方より、開放した椅子を接触させ、介護者が被移乗者の左右の大腿部を交互に持ち上げながら、臀部に座を挿入しなければならず、介護者の手間がかかり、使用性に欠けると共に、椅子の構造が複雑で量産性に欠けるという課題があった。
また、座が左右に分割されているので、強度が不足し易く、介護者の体重を確実に支持することが困難で、耐久性、体重支持の安定性に欠けるという課題があった。
本発明は上記課題を解決するもので、体の向きを変えずにベッドや便座等との間で移乗でき、構造が簡素で一人でも利用可能であると共に、被介護者の背中や腰などに負荷を与えることがなく、特に脊椎等に損傷がある場合でも無理なく利用することができる機能性、安定性、汎用性、取扱い性に優れた移乗・移動装置を提供することを目的とする。
(1)(特許文献1)の移乗機能付き介護椅子は、一般的な椅子と同様に座部の背後に背もたれを有しているので、使用前に座部と背もたれが平行になるまで背もたれを倒すか、或いは一旦、背もたれを取り外した後、ベッド上に座部を移動させ、座部の高さをベッドの高さに調整し、被介護者を座部の上に載せてから、座部を上昇させ、移乗機能付き介護椅子全体をベッドから引き出さなければならず、工程が煩雑で使用性に欠けるという課題があった。
また、使用状態では背もたれによる背中への圧迫があり、特に脊髄損傷者が使用するには不向きであるという課題があった。
(2)(特許文献2)の介護用人体移動装置は、椅子が、後部中央に設けた軸で両開き可能に形成されており、被移乗者の腰の後方より、開放した椅子を接触させ、介護者が被移乗者の左右の大腿部を交互に持ち上げながら、臀部に座を挿入しなければならず、介護者の手間がかかり、使用性に欠けると共に、椅子の構造が複雑で量産性に欠けるという課題があった。
また、座が左右に分割されているので、強度が不足し易く、介護者の体重を確実に支持することが困難で、耐久性、体重支持の安定性に欠けるという課題があった。
本発明は上記課題を解決するもので、体の向きを変えずにベッドや便座等との間で移乗でき、構造が簡素で一人でも利用可能であると共に、被介護者の背中や腰などに負荷を与えることがなく、特に脊椎等に損傷がある場合でも無理なく利用することができる機能性、安定性、汎用性、取扱い性に優れた移乗・移動装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の移乗・移動装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の移乗・移動装置は、底部に複数の電動車輪が配設された台車部と、前記台車部上に配設され被介護者が前記台車部後方から着座する着座部と、前記着座部の前端側に立設され前記被介護者の胸部に当設する胸当部と、前記台車部に搭載され前記着座部及び/又は前記胸当部を(a)前記台車部の前後方向と直交する水平軸周りに回動させる、又は(b)前記台車部の上下方向に上下動させる駆動機構部と、前記胸当部と着座部に対しての柔軟な素材による緩衝材と、被介護者の正面中心付近に備えられた前記電動車輪の操作部と、前記胸当部の少なくとも一側部又は前部に水平面内で回動自在に配設された把持部と、前記台車部の前方に配設され前記着座部を前傾させる際に前記被介護者の脚部の少なくとも一部を保持する柔軟な素材による緩衝材を配置した脚部保持部及び/又は前記着座部と連動して上下することを特徴とする前記脚部保持部と、当該移乗・移動装置全体を樹脂または金属等の外囲器で覆い内部構造を外部から遮蔽すると共に美観性を向上させるカバーと、を備えた構成を有している。この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)着座部に背もたれがなく、台車部後方から乗り降りすることができ、移乗に際し、着座部を分解したり、変形させたりする必要がなく、被介護者がベッドや便器に着座した状態から体の向きを変えずにそのまま台車部後方より容易に着座部を跨ぐようにして着座することができ、介護者の手を借りることなく一人で移乗することが可能で、台車部で被介護者の体重を支持することができ、転倒などが発生し難く、介護者及び被介護者の負担を大幅に軽減することができ、省力性、使用性に優れる。
(2)着座部の前端側に立設され被介護者の胸部に当設する柔軟な素材による緩衝材からなる胸当部を有するので、前傾姿勢で胸当部に抱きつくようにして体重を預けることにより、着座部及び胸当部及び両脛当部の4箇所で体重を分散して被介護者の体を確実に支持することができ、背もたれがなくても安定した姿勢で、長時間の座位姿勢或いは立位姿勢を維持することや移動を行うが可能で、被介護者の負担を軽減でき、安全性、使用性に優れる。
着座部を前傾させる際に被介護者の脚部を保持する脚部保持部を有するので、胸当部や着座部に加え、脚部保持部でも被介護者の体重を分散して支持することができ、特に立位姿勢に近い状態でも被介護者の姿勢を安定して維持することができ、使用性に優れる。
(3)被介護者の胸に胸当部を当接させることで、脊椎が頸椎で前彎、胸椎で後彎、腰椎で前彎したS字状のカーブを描き、かつ骨盤がやや前傾した正常な立位姿勢に近い姿勢を取ることができ、坐骨結節に体重が均等に分散した理想的な座位姿勢を保持して、被介護者の負担を軽減でき、使用性に優れる。
(4)着座部及び/又は胸当部を(a)台車部の前後方向と直交する水平軸周りに回動させる、又は(b)台車部の上下方向に上下動させる駆動機構部を有することにより、ベッドや便器等の移乗対象物の高さや被介護者の体格や姿勢などに応じて、着座部や胸当部の位置を自在に調整することができ、移乗対象物と着座部を接近させることができるため、一人で簡便に移乗動作を行うことができ、移乗対象物の下部に台車部の挿入スペースがない場合でも利用可能で、汎用性に優れる。
(5)駆動機構部により、着座部や胸当部を回動させたり、上下動させたりすることができるので、着座部や胸当部を後傾または下降させて被介護者を移乗させた後、着座部や胸当部を前傾又は上昇させることにより、被介護者を所望の姿勢(角度)に保持したり、所望の高さに持ち上げたりすることができ、被介護者の楽な姿勢で移動を行うことができ、使用性に優れる。
(6)背もたれがなく、被介護者の背面(着座部の後方)が開放された背面開放型であるため、脊椎損傷患者の場合には、そのまま背面(背中)からの診察を容易に行うことができ、ベッドなどへの移動が不要で、被介護者の負担を軽減できると共に、診察に要する時間を短縮することができ、診察性に優れる。
(7)駆動機構部で着座部を上昇させて立位に近い姿勢で移動することができるため、従来の車椅子に比べて被介護者が広い視界を確保することができ、他人からの視認性も高く、衝突などの事故を回避することができ、安全性に優れると共に、血流の悪化を防ぐことができ、使用性に優れる。
(8)駆動機構部により、着座部や胸当部を上昇させたり、胸当部を前傾させたりすることができるため、従来の車椅子では届かなかった場所にも手が届き、高所への物の出し入れやドアの開閉、洗面や料理等も行うことが可能で、作業範囲を広げることができ、機能性に優れる。またあたかも立っているかのような姿勢で移動できるため、人間の尊厳が回復され、自我の抑制からも開放されるため、リハビリに対する意欲も向上するものである。
(9)駆動機構で着座部を昇降させることにより、被介護者の股関節、膝関節、足関節等を稼動させることができ、一人でも屈伸運動による下半身の関節可動域の拡大や筋力増強、血流の改善等のリハビリテーションを行うことが可能で、下半身の運動機能の低下や浮腫等を防止することができ、機能性、省力性に優れる。
(10)電動車輪の操作部は、従来の車椅子では不可能であった乗車者本人の前面中央に配置可能なため、被介護者の利き腕や腕部障碍箇所に寄らず操作部の配置を変更することなく使用可能である。
(11)脛当部が座席の上昇と共に移動するため、常に最適な位置で被介護者の体重を支えることが可能となり、更に安全な移乗が可能となる。
(12)胸当部の少なくとも一側部又は前部に水平面内で回動自在に配設された把持部を備えた構成を有しているので、被介助者が自分の手で把持部を把持して移乗・移動装置を身体に近づけたり、身体から遠ざけたりして簡便に位置を調整することができ、使用性に優れる。
また着座部や胸当部を回動させる際に、被介助者が把持部を把持して確実に身体を保持することができ、安全性に優れるし、把持部が水平面内で回動自在なので、乗車後に把持部を前方へ回動させることで、把持部が被介護者の姿勢を妨げることがなく、前傾時に胸当部で確実に被介護者の体重を支持することができ、支持の安定性、確実性に優れる。また把持部を回動させるだけで、移乗時と移動時の2つの動作に対応することができ、汎用性に優れ、部品点数が少なく、量産性に優れる。
(13)把持部は、金属製や合成樹脂製のパイプ等で形成することができる。また、把持部の形状は、適宜、選択することができるが、U字状や逆U字状に形成したものが把持し易く、好適に用いられる。胸当部に形設した挿通部に、把持部の一端側を挿通することにより、把持部を回動自在とすることができる。尚、挿通部に対し、把持部を螺子止めやピン嵌合等で固定することにより、被介護者の体格や姿勢、用途等に応じて把持部の高さを調整することができる。
また、把持部には移乗・移動装置の運転や着座部の上下動或いは回動を操作するためのスイッチやレバー等を取り付けることができる。
(14)当該移乗・移動装置の後部から乗り込む形式であるため、乗車者の前方すなわち第三者との対面部位及び側面はカバーで覆うことが可能であり、このため内部構造を外部から遮蔽するとともにスタイリッシュな、介護用具に見えない斬新な外観を構成できるものである。これにより乗車者に誇りを持たせることも可能となる。
本発明の請求項1に記載の移乗・移動装置は、底部に複数の電動車輪が配設された台車部と、前記台車部上に配設され被介護者が前記台車部後方から着座する着座部と、前記着座部の前端側に立設され前記被介護者の胸部に当設する胸当部と、前記台車部に搭載され前記着座部及び/又は前記胸当部を(a)前記台車部の前後方向と直交する水平軸周りに回動させる、又は(b)前記台車部の上下方向に上下動させる駆動機構部と、前記胸当部と着座部に対しての柔軟な素材による緩衝材と、被介護者の正面中心付近に備えられた前記電動車輪の操作部と、前記胸当部の少なくとも一側部又は前部に水平面内で回動自在に配設された把持部と、前記台車部の前方に配設され前記着座部を前傾させる際に前記被介護者の脚部の少なくとも一部を保持する柔軟な素材による緩衝材を配置した脚部保持部及び/又は前記着座部と連動して上下することを特徴とする前記脚部保持部と、当該移乗・移動装置全体を樹脂または金属等の外囲器で覆い内部構造を外部から遮蔽すると共に美観性を向上させるカバーと、を備えた構成を有している。この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)着座部に背もたれがなく、台車部後方から乗り降りすることができ、移乗に際し、着座部を分解したり、変形させたりする必要がなく、被介護者がベッドや便器に着座した状態から体の向きを変えずにそのまま台車部後方より容易に着座部を跨ぐようにして着座することができ、介護者の手を借りることなく一人で移乗することが可能で、台車部で被介護者の体重を支持することができ、転倒などが発生し難く、介護者及び被介護者の負担を大幅に軽減することができ、省力性、使用性に優れる。
(2)着座部の前端側に立設され被介護者の胸部に当設する柔軟な素材による緩衝材からなる胸当部を有するので、前傾姿勢で胸当部に抱きつくようにして体重を預けることにより、着座部及び胸当部及び両脛当部の4箇所で体重を分散して被介護者の体を確実に支持することができ、背もたれがなくても安定した姿勢で、長時間の座位姿勢或いは立位姿勢を維持することや移動を行うが可能で、被介護者の負担を軽減でき、安全性、使用性に優れる。
着座部を前傾させる際に被介護者の脚部を保持する脚部保持部を有するので、胸当部や着座部に加え、脚部保持部でも被介護者の体重を分散して支持することができ、特に立位姿勢に近い状態でも被介護者の姿勢を安定して維持することができ、使用性に優れる。
(3)被介護者の胸に胸当部を当接させることで、脊椎が頸椎で前彎、胸椎で後彎、腰椎で前彎したS字状のカーブを描き、かつ骨盤がやや前傾した正常な立位姿勢に近い姿勢を取ることができ、坐骨結節に体重が均等に分散した理想的な座位姿勢を保持して、被介護者の負担を軽減でき、使用性に優れる。
(4)着座部及び/又は胸当部を(a)台車部の前後方向と直交する水平軸周りに回動させる、又は(b)台車部の上下方向に上下動させる駆動機構部を有することにより、ベッドや便器等の移乗対象物の高さや被介護者の体格や姿勢などに応じて、着座部や胸当部の位置を自在に調整することができ、移乗対象物と着座部を接近させることができるため、一人で簡便に移乗動作を行うことができ、移乗対象物の下部に台車部の挿入スペースがない場合でも利用可能で、汎用性に優れる。
(5)駆動機構部により、着座部や胸当部を回動させたり、上下動させたりすることができるので、着座部や胸当部を後傾または下降させて被介護者を移乗させた後、着座部や胸当部を前傾又は上昇させることにより、被介護者を所望の姿勢(角度)に保持したり、所望の高さに持ち上げたりすることができ、被介護者の楽な姿勢で移動を行うことができ、使用性に優れる。
(6)背もたれがなく、被介護者の背面(着座部の後方)が開放された背面開放型であるため、脊椎損傷患者の場合には、そのまま背面(背中)からの診察を容易に行うことができ、ベッドなどへの移動が不要で、被介護者の負担を軽減できると共に、診察に要する時間を短縮することができ、診察性に優れる。
(7)駆動機構部で着座部を上昇させて立位に近い姿勢で移動することができるため、従来の車椅子に比べて被介護者が広い視界を確保することができ、他人からの視認性も高く、衝突などの事故を回避することができ、安全性に優れると共に、血流の悪化を防ぐことができ、使用性に優れる。
(8)駆動機構部により、着座部や胸当部を上昇させたり、胸当部を前傾させたりすることができるため、従来の車椅子では届かなかった場所にも手が届き、高所への物の出し入れやドアの開閉、洗面や料理等も行うことが可能で、作業範囲を広げることができ、機能性に優れる。またあたかも立っているかのような姿勢で移動できるため、人間の尊厳が回復され、自我の抑制からも開放されるため、リハビリに対する意欲も向上するものである。
(9)駆動機構で着座部を昇降させることにより、被介護者の股関節、膝関節、足関節等を稼動させることができ、一人でも屈伸運動による下半身の関節可動域の拡大や筋力増強、血流の改善等のリハビリテーションを行うことが可能で、下半身の運動機能の低下や浮腫等を防止することができ、機能性、省力性に優れる。
(10)電動車輪の操作部は、従来の車椅子では不可能であった乗車者本人の前面中央に配置可能なため、被介護者の利き腕や腕部障碍箇所に寄らず操作部の配置を変更することなく使用可能である。
(11)脛当部が座席の上昇と共に移動するため、常に最適な位置で被介護者の体重を支えることが可能となり、更に安全な移乗が可能となる。
(12)胸当部の少なくとも一側部又は前部に水平面内で回動自在に配設された把持部を備えた構成を有しているので、被介助者が自分の手で把持部を把持して移乗・移動装置を身体に近づけたり、身体から遠ざけたりして簡便に位置を調整することができ、使用性に優れる。
また着座部や胸当部を回動させる際に、被介助者が把持部を把持して確実に身体を保持することができ、安全性に優れるし、把持部が水平面内で回動自在なので、乗車後に把持部を前方へ回動させることで、把持部が被介護者の姿勢を妨げることがなく、前傾時に胸当部で確実に被介護者の体重を支持することができ、支持の安定性、確実性に優れる。また把持部を回動させるだけで、移乗時と移動時の2つの動作に対応することができ、汎用性に優れ、部品点数が少なく、量産性に優れる。
(13)把持部は、金属製や合成樹脂製のパイプ等で形成することができる。また、把持部の形状は、適宜、選択することができるが、U字状や逆U字状に形成したものが把持し易く、好適に用いられる。胸当部に形設した挿通部に、把持部の一端側を挿通することにより、把持部を回動自在とすることができる。尚、挿通部に対し、把持部を螺子止めやピン嵌合等で固定することにより、被介護者の体格や姿勢、用途等に応じて把持部の高さを調整することができる。
また、把持部には移乗・移動装置の運転や着座部の上下動或いは回動を操作するためのスイッチやレバー等を取り付けることができる。
(14)当該移乗・移動装置の後部から乗り込む形式であるため、乗車者の前方すなわち第三者との対面部位及び側面はカバーで覆うことが可能であり、このため内部構造を外部から遮蔽するとともにスタイリッシュな、介護用具に見えない斬新な外観を構成できるものである。これにより乗車者に誇りを持たせることも可能となる。
ここで、台車部は、任意の形態を選択することができるが、台車部の前後左右の寸法は、被介護者が乗車して着座部や胸当て部を回動或いは上下動させた際にバランスを崩して転倒することがないように形成されることが好ましい。尚、被介護者が足を載置する台車部上面は凹凸のない平面にすることで移乗の際に足の移動を妨げることがなく、使用性に優れる。台車部の車輪の数や配置は、適宜、選択することができる。前輪、後輪を2つずつ設けた場合、被介護者の体重を確実に支持して屋内や屋外で移乗・移動装置を自在に移動させることができ、体重支持及び移動の安定性に優れる。台車部には、正逆回転可能なモーターが好適に用いられる。前輪と後輪の少なくともどちら一方を駆動輪とすればよいが、全輪駆動としてもよい。駆動輪は、移乗・移動装置の正面中央付近に配設された操作装置を操作して移乗・移動装置本体を移動できるものであればよい。特に、台車部を全方向移動可能とした場合、小回りが効き、機動性に優れる。
尚、動力源として、バッテリーを台車部に装備することができる。バッテリーの容量が不足し走行不能となった場合には、クラッチ操作により介護者による手押しでの移動が可能となるように構成しておくことが好ましい。駆動輪を動力部や動力源と共に台車部の前方に配設した場合、被介護者が着座した状態で着座部が下降或いは後傾し、重心が台車部の後方へ移動した際には、これらが錘として台車部を水平に安定させる役割を果たすことができる。尚、左右の駆動輪の回転速度差を生じさせることで、右折や左折を行うことができ、回転速度差の比率で回転半径を変化させることができる。特に、左右の駆動輪の回転方向を各々独立して制御可能に構成した場合、一方を正転させ、他方を逆転させることにより、その場で旋回することができ、機動性に優れる。また、前輪と後輪を同程度の大きさに形成し、車やオートバイと同様の操舵機構を設けてもよい。特に屋外等での走行性、操作性に優れるためである。
バッテリーとしては、充電できる二次電池が好ましく、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池、リチウムイオン二次電池、鉛電池等が使用できる。さらに、バッテリーを脱着自在とした場合、空になったバッテリーを移乗・移動装置から外して充電している間でも、他の充電済みのバッテリーを搭載して駆動することができ、使用性に優れる。
移乗・移動装置は、台車部に予備のバッテリーを装着することもでき、予備バッテリーを装着することで走行距離を長くすることができる。
バッテリーとしては、充電できる二次電池が好ましく、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池、リチウムイオン二次電池、鉛電池等が使用できる。さらに、バッテリーを脱着自在とした場合、空になったバッテリーを移乗・移動装置から外して充電している間でも、他の充電済みのバッテリーを搭載して駆動することができ、使用性に優れる。
移乗・移動装置は、台車部に予備のバッテリーを装着することもでき、予備バッテリーを装着することで走行距離を長くすることができる。
ブレーキは、ブレーキレバーにワイヤーを連結して、このワイヤーを引っ張ってブレーキパッドを駆動輪のリム等に押圧する構造のものや電磁ブレーキ等が使用できる。ブレーキレバーは、被介護者の扱い易い任意の位置に設けることができるが、胸当部の左右のいずれかの近傍に配設することで、移乗の際にもブレーキを掛けて台車部を固定させることができ、安全性に優れる。
車輪は、任意の形態のものを選定することができるが、発泡ウレタン入りのパンクレスタイヤを使用した場合、パンクの心配やガス圧の調整を行う必要がなく、使用性に優れる。また、各々の駆動輪にサスペンションを配設すれば、快適な乗り心地にすることができる。
尚、台車部の前方に金属製のパイプ等で格子状に形成されたフットガードを配設することにより、立位姿勢でサッカー等の競技にも参加することが可能となる。
車輪は、任意の形態のものを選定することができるが、発泡ウレタン入りのパンクレスタイヤを使用した場合、パンクの心配やガス圧の調整を行う必要がなく、使用性に優れる。また、各々の駆動輪にサスペンションを配設すれば、快適な乗り心地にすることができる。
尚、台車部の前方に金属製のパイプ等で格子状に形成されたフットガードを配設することにより、立位姿勢でサッカー等の競技にも参加することが可能となる。
着座部は被介護者の臀部を支えるものであり、任意の形状を選択することができるが、先端から中央付近まで緩やかに幅が広がり、そこから後方に行くに従いさらに大きな割合で幅が広がる尖頭型に形成した場合、移乗の際に邪魔にならず、かつ着座部を上昇させて立位姿勢をとる際に大腿部の稼動を妨げることがなく、使用性に優れる。
移乗の際に、臀部を着座部の表面で滑り易くして移動を容易にするために、着座部の表面を摩擦係数の低い皮革やポリウレタン繊維、アラミド繊維等の材質で被覆したり、表面に多数のローラーを設けたりしても良い。尚、着座部の金属製や合成樹脂製の基部と表皮の間にウレタンなどの高分子化学物質で作った発泡材を入れた場合、振動および衝撃の吸収の他、坐骨下などの高圧点の圧力を分散させることができ、神経の圧迫や血行等を改善し、臀部の痛みを軽減することができる。さらに、臀部の蒸れを防止する目的で着座部に通気孔を設けることや、表皮をメッシュ構造の生地で形成することも可能である。
移乗の際に、臀部を着座部の表面で滑り易くして移動を容易にするために、着座部の表面を摩擦係数の低い皮革やポリウレタン繊維、アラミド繊維等の材質で被覆したり、表面に多数のローラーを設けたりしても良い。尚、着座部の金属製や合成樹脂製の基部と表皮の間にウレタンなどの高分子化学物質で作った発泡材を入れた場合、振動および衝撃の吸収の他、坐骨下などの高圧点の圧力を分散させることができ、神経の圧迫や血行等を改善し、臀部の痛みを軽減することができる。さらに、臀部の蒸れを防止する目的で着座部に通気孔を設けることや、表皮をメッシュ構造の生地で形成することも可能である。
胸当部は、任意の形状を選択することができるが、被介護者の胸部に部分的な圧迫や違和感を与えないような面積、形状、硬度を選択することが好ましい。金属製や合成樹脂製の基部と表皮の間にウレタンなどの高分子化学物質で作った発泡材(クッション)を入れたものが望ましい。また、胸部の蒸れを防止する目的で、着座部と同様に、胸当部に通気孔を設けたり、表皮をメッシュ構造の生地で形成したりしてもよい。
尚、被介護者が移乗・移動装置に乗車した際に直視できる胸当部の上面などに、バッテリーの残存容量を表示する表示部を配設してもよい。ランプの色や点灯状態などを変化させて、バッテリーの残存容量を表示することができ、被介護者は安心して外出することできる。
尚、被介護者が移乗・移動装置に乗車した際に直視できる胸当部の上面などに、バッテリーの残存容量を表示する表示部を配設してもよい。ランプの色や点灯状態などを変化させて、バッテリーの残存容量を表示することができ、被介護者は安心して外出することできる。
駆動機構部は、着座部及び/又は胸当部を回動又は上下動させることができればよい。着座部と胸当部は一体となって回動又は上下動させてもよいし、それぞれ独立して回動又は上下動させてもよい。例えば、4節リンク機構により回動させるものや、ラックとピニオンの組合せ,レージートング等のリンク機構,油圧又はガス圧シリンダ等の昇降手段により上下動させるもの等を用いることができる。尚、駆動機構部は、着座部を移乗対象と同じ高さに移動させた際に、着座部の後端が台車部の後端部とか台車部の後端よりも後方に突き出るように配置することで、着座部と便器等の移乗対象を接近させることができ、移乗対象と着座部との間に隙間が発生し難く、移乗作業を容易に行うことができる。
尚、移乗・移動装置は、携帯電話等の移動体通信装置や無線LAN等を用いた遠隔操作により駆動することもできる。その場合、被介護者がベッド等に着座した状態でジョイスティック等のリモコン操作により、離れた(手の届かない)位置にある移乗・移動装置を移動させて、最適な移乗位置に位置決めを行うことができ、介護者の補助なしにベッド等から移乗・移動装置に移乗することができ、介護者の負担を軽減できる。
尚、移乗・移動装置は、携帯電話等の移動体通信装置や無線LAN等を用いた遠隔操作により駆動することもできる。その場合、被介護者がベッド等に着座した状態でジョイスティック等のリモコン操作により、離れた(手の届かない)位置にある移乗・移動装置を移動させて、最適な移乗位置に位置決めを行うことができ、介護者の補助なしにベッド等から移乗・移動装置に移乗することができ、介護者の負担を軽減できる。
ここで、脚部保持部の形状は適宜、選択することができるが、被介護者の体重の一部を支え、かつ横方向および前後方向に各々の足が動かないように固定できるものが好ましい。各々の足の前面及び両側面を保持するように、水平断面が略半円弧状や略U字状の切り欠き状に形成された二つの膝当接部を有するものが好適に用いられる。特に、被介護者の膝下(脛骨の上端)部分を柔らかく支持するために、膝当接部或いは脚部保持部全体をウレタンなどの弾性部材で形成したものや、膝当接部の当接面に部分的に弾性体を被着したものが好ましい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移乗・移動装置であって、前記駆動機構部が、前記台車部に配設された前後2箇所の第1,第2連結回動軸と、前記着座部の下部に配設された前後2箇所の第3,第4連結回動軸と、前記第1連結回動軸と前記第3連結回動軸を連結する1以上のリンク軸を有する前方リンク部と、前記第2連結回動軸と前記第4連結回動軸を連結する1以上のリンク軸を有する後方リンク部と、両端部がそれぞれ前記前方リンク部及び前記後方リンク部に回動自在に連結されて伸縮するリンク駆動部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)駆動機構部が、台車部に配設された前後2箇所の第1,第2連結回動軸と、着座部の下部に配設された前後2箇所の第3,第4連結回動軸を有し、第1連結回動軸と第3連結回動軸及び第2連結回動軸と第4連結回動軸が、それぞれ1以上のリンク軸を有する前方リンク部及び後方リンク部で連結されているので、両端部が前方リンク部及び後方リンク部に回動自在に連結されたリンク駆動部を伸縮させることにより、第1,第2連結回動軸間及び第3,第4連結回動軸間の距離を一定に保ったまま、前方リンク部及び後方リンク部と台車部上面とのなす角が変化し、第3,第4連結回動軸の上方に配置された着座部を前後方向へ回動させながら上下動させることができ、直動式の油圧又はガス圧シリンダ等により着座部を直接、上下動させるよりも小さなストロークで、広範な高さ調整を行うことが可能で、駆動機構部の小型化、軽量化を図ることができる。
(2)着座部が、前方リンク部及び後方リンク部により、前後2箇所で支持されるため、被介護者の体重を確実に支持することができ、移動時の振動の発生を低減して、姿勢の安定化に優れる。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)駆動機構部が、台車部に配設された前後2箇所の第1,第2連結回動軸と、着座部の下部に配設された前後2箇所の第3,第4連結回動軸を有し、第1連結回動軸と第3連結回動軸及び第2連結回動軸と第4連結回動軸が、それぞれ1以上のリンク軸を有する前方リンク部及び後方リンク部で連結されているので、両端部が前方リンク部及び後方リンク部に回動自在に連結されたリンク駆動部を伸縮させることにより、第1,第2連結回動軸間及び第3,第4連結回動軸間の距離を一定に保ったまま、前方リンク部及び後方リンク部と台車部上面とのなす角が変化し、第3,第4連結回動軸の上方に配置された着座部を前後方向へ回動させながら上下動させることができ、直動式の油圧又はガス圧シリンダ等により着座部を直接、上下動させるよりも小さなストロークで、広範な高さ調整を行うことが可能で、駆動機構部の小型化、軽量化を図ることができる。
(2)着座部が、前方リンク部及び後方リンク部により、前後2箇所で支持されるため、被介護者の体重を確実に支持することができ、移動時の振動の発生を低減して、姿勢の安定化に優れる。
ここで、着座部は駆動機構部の第3,第4連結回動軸の上方(可動部の上端側)に配設されるが、第3,第4連結回動軸が回動自在に保持される回動軸保持部は、着座部の下部に一体に形成してもよいし、回動軸保持部に対して着座部を着脱自在に固定してもよい。 また、胸当部も着座部と一体化して、同時に回動及び上下動するようにしてもよいし、着座部と独立して回動或いは上下動できるようにしてもよい。
前方リンク部及び後方リンク部は、それぞれ少なくとも1本のリンク軸で、第1連結回動軸と第3連結回動軸及び第2連結回動軸と第4連結回動軸を連結するが、各々の連結回動軸の左右2箇所を2本のリンク軸で連結するようにした場合、4本のリンク軸で被介護者の体重を支えることができ、支持の安定性、耐久性、安全性に優れ、好ましい。
尚、リンク駆動部としては、油圧又はガス圧シリンダ等の伸縮手段が好適に用いられる。
コンパクトで重量物を動かすことができ、制御が容易で騒音がなくスムーズに動作するためである。
前方リンク部及び後方リンク部は、それぞれ少なくとも1本のリンク軸で、第1連結回動軸と第3連結回動軸及び第2連結回動軸と第4連結回動軸を連結するが、各々の連結回動軸の左右2箇所を2本のリンク軸で連結するようにした場合、4本のリンク軸で被介護者の体重を支えることができ、支持の安定性、耐久性、安全性に優れ、好ましい。
尚、リンク駆動部としては、油圧又はガス圧シリンダ等の伸縮手段が好適に用いられる。
コンパクトで重量物を動かすことができ、制御が容易で騒音がなくスムーズに動作するためである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の移乗・移動装置であって、前記着座部及び/又は前記胸当部が、前記第3連結回動軸又は前記第3連結回動軸と前記第4連結回動軸を回動自在に保持する回動軸保持部のいずれかに立設された支柱に摺動自在に配設された構成を有している。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)着座部及び/又は胸当部が、第3連結回動軸又は第3連結回動軸と第4連結回動軸を回動自在に保持する回動軸保持部のいずれかに立設された支柱に摺動自在に配設されているので、被介護者の体格などに応じて、着座部や胸当部の位置を上下動させ、着座部や胸当部の可動範囲を広げることができ、汎用性に優れる。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)着座部及び/又は胸当部が、第3連結回動軸又は第3連結回動軸と第4連結回動軸を回動自在に保持する回動軸保持部のいずれかに立設された支柱に摺動自在に配設されているので、被介護者の体格などに応じて、着座部や胸当部の位置を上下動させ、着座部や胸当部の可動範囲を広げることができ、汎用性に優れる。
ここで、着座部及び胸当部に支柱を挿通するための挿通部を設け、挿通した支柱と螺子止めやピン嵌合などを行うことにより、所望の位置に固定することができる。
また、支柱を第3連結回動軸に立設する場合、第3連結回動軸と共に支柱を回動させることができ、支柱に配設される胸当部や着座部の角度を自在に調整することができる。このとき、支柱の下端部(第3連結回動軸周り)にラチェット機構を配設することにより、所望の角度で支柱を固定することができる。胸当部や着座部を回動軸周りに回動させることにより、被介助者の体格や好みに応じて、胸当部や着座部の傾斜角度を調整して、楽な姿勢で利用することができる。
尚、着座部への着座を検出する感圧センサなどの着座検出部と、着座部への着座が所定時間以上継続したことを着座検出部が検出した時に、音や光などで警告を発する報知手段と、を設けてもよい。報知手段から警告が発せられた時に、着座部及び胸当部を前傾させ、被介護者の上体を胸当部に預けて、被介護者の臀部を支えていた着座部を後傾させて臀部から開放することにより、臀部の血流障害を防止することができる。また、着座部の高さ方向位置を検出する位置センサを設け、長時間、着座姿勢が継続していることを検出した時に、着座部を上昇させて立位に近い姿勢をとることによっても血流障害を防止することができる。
支柱は、前傾時に、被介護者の体重を預ける支えとなるので、着座部の前端側で、かつ着座部の幅方向中央部に立設されるのが好ましい。支柱は台車部の前後方向に回動自在で駆動機構の連結軸と同軸に設けた場合、構造を簡素化できる。
なお、胸当部の前面(台車部の前方側)に、動力部のON/OFFや着座部の上下動の切り替えを行うスイッチを設けた場合、移乗時に急に移動することを防止でき安全性に優れる。
また、支柱を第3連結回動軸に立設する場合、第3連結回動軸と共に支柱を回動させることができ、支柱に配設される胸当部や着座部の角度を自在に調整することができる。このとき、支柱の下端部(第3連結回動軸周り)にラチェット機構を配設することにより、所望の角度で支柱を固定することができる。胸当部や着座部を回動軸周りに回動させることにより、被介助者の体格や好みに応じて、胸当部や着座部の傾斜角度を調整して、楽な姿勢で利用することができる。
尚、着座部への着座を検出する感圧センサなどの着座検出部と、着座部への着座が所定時間以上継続したことを着座検出部が検出した時に、音や光などで警告を発する報知手段と、を設けてもよい。報知手段から警告が発せられた時に、着座部及び胸当部を前傾させ、被介護者の上体を胸当部に預けて、被介護者の臀部を支えていた着座部を後傾させて臀部から開放することにより、臀部の血流障害を防止することができる。また、着座部の高さ方向位置を検出する位置センサを設け、長時間、着座姿勢が継続していることを検出した時に、着座部を上昇させて立位に近い姿勢をとることによっても血流障害を防止することができる。
支柱は、前傾時に、被介護者の体重を預ける支えとなるので、着座部の前端側で、かつ着座部の幅方向中央部に立設されるのが好ましい。支柱は台車部の前後方向に回動自在で駆動機構の連結軸と同軸に設けた場合、構造を簡素化できる。
なお、胸当部の前面(台車部の前方側)に、動力部のON/OFFや着座部の上下動の切り替えを行うスイッチを設けた場合、移乗時に急に移動することを防止でき安全性に優れる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の移乗・移動装置であって、台車接地面の凹凸などのために、乗車中に当該移乗・移動装置が転倒や横転を防止するものである。当該装置の急な傾きの発生をジャイロセンサなどの加速度センサで検出し、その検出値を打ち消す方向に前記電動車輪を差動的に回転させたり、着座位置を上下方向または前記台車部と水平方向に回転させることにより、乗車者の体重によって決まっている当該装置全体の重心位置を変化させ転倒や横転を防止するものである。電動車輪の回転制御だけでは限界があった姿勢制御を、乗車者の体重を利用し全体の重心位置を変化させることにより確実な姿勢制御を行うものである。加速度センサの検出値は従来から備えている電動車輪の駆動装置ならびに着座位置の昇降装置にフィードバックすることにより姿勢制御するものであり、新たなモーターなどの駆動装置は必要としないものである。
以上のように、本発明の移乗・移動装置によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)被介護者がベッドや便器に着座した状態から体の向きを変えずにそのまま台車部後方より容易に着座部を跨ぐようにして着座することができ、介護者の手を借りることなく一人で移乗することが可能で、転倒などが発生し難く、着座部や胸当部を前方に回動させることにより、前傾姿勢で胸当部に抱きつくようにして体重を預けることができ、着座部及び胸当部で体重を分散して被介護者の体を確実に支持することができ、座位姿勢或いは立位姿勢を長時間維持することや移動を行うが可能で、介護者及び被介護者の負担を大幅に軽減することができる省力性、使用性、安全性に優れた背面開放型の移乗・移動装置を提供することができる。
(2)被介助者が自分の手で把持部を把持することにより、簡便に着座部や胸当部との位置合わせを行うことができるだけでなく、胸当部の前傾時には、把持部を前方へ回動させることにより、把持部が被介護者の姿勢を妨げることがなく、胸当部で確実に被介護者の体重を支持することができる機能性、支持の安定性、確実性に優れた移乗・移動装置を提供することができる。
(3)胸当部、着座部及び膝当接部で被介護者の体重を分散して支持することができ、立位姿勢に近い状態で無理なく被介護者の姿勢を長時間維持することができる使用性に優れた移乗・移動装置を提供することができる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)被介護者がベッドや便器に着座した状態から体の向きを変えずにそのまま台車部後方より容易に着座部を跨ぐようにして着座することができ、介護者の手を借りることなく一人で移乗することが可能で、転倒などが発生し難く、着座部や胸当部を前方に回動させることにより、前傾姿勢で胸当部に抱きつくようにして体重を預けることができ、着座部及び胸当部で体重を分散して被介護者の体を確実に支持することができ、座位姿勢或いは立位姿勢を長時間維持することや移動を行うが可能で、介護者及び被介護者の負担を大幅に軽減することができる省力性、使用性、安全性に優れた背面開放型の移乗・移動装置を提供することができる。
(2)被介助者が自分の手で把持部を把持することにより、簡便に着座部や胸当部との位置合わせを行うことができるだけでなく、胸当部の前傾時には、把持部を前方へ回動させることにより、把持部が被介護者の姿勢を妨げることがなく、胸当部で確実に被介護者の体重を支持することができる機能性、支持の安定性、確実性に優れた移乗・移動装置を提供することができる。
(3)胸当部、着座部及び膝当接部で被介護者の体重を分散して支持することができ、立位姿勢に近い状態で無理なく被介護者の姿勢を長時間維持することができる使用性に優れた移乗・移動装置を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)前方リンク部及び後方リンク部が台車部上面とほぼ平行になるように折り畳んだ状態から、略90度に起立する位置まで回動させることで、着座部を広範な範囲で高さ調整することができる小型軽量で、駆動の効率性、コンパクト性に優れた移乗・移動装置を提供することができる。
(1)前方リンク部及び後方リンク部が台車部上面とほぼ平行になるように折り畳んだ状態から、略90度に起立する位置まで回動させることで、着座部を広範な範囲で高さ調整することができる小型軽量で、駆動の効率性、コンパクト性に優れた移乗・移動装置を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)支柱に沿って着座部や胸当部の位置を上下動させることにより、着座部や胸当部の可動範囲を広げることができ、様々な体格の被介護者に対応することができる汎用性に優れた移乗・移動装置を提供することができる。
(1)支柱に沿って着座部や胸当部の位置を上下動させることにより、着座部や胸当部の可動範囲を広げることができ、様々な体格の被介護者に対応することができる汎用性に優れた移乗・移動装置を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)当該移乗・移動装置が乗車者によって運転中に、台車接地面の凹凸などにより、急激に車体が傾き転倒の恐れがある状態が生じた際に、電動車輪の回転を転倒もしくは横転を妨げる方向に回転させると共に、着座部が例えば左右どちらかの方向に回動しながら下降することにより、それまでの当該装置全体の重心位置を大きく変化させることができるため、急激な車体の傾きによる転倒を物理的に回避できるものである。
(1)当該移乗・移動装置が乗車者によって運転中に、台車接地面の凹凸などにより、急激に車体が傾き転倒の恐れがある状態が生じた際に、電動車輪の回転を転倒もしくは横転を妨げる方向に回転させると共に、着座部が例えば左右どちらかの方向に回動しながら下降することにより、それまでの当該装置全体の重心位置を大きく変化させることができるため、急激な車体の傾きによる転倒を物理的に回避できるものである。
以下、本考案の実施の形態における移乗・移動装置について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における移乗・移動装置の着座部を下降させた状態を示す模式斜視図であり、図2は実施の形態1における移乗・移動装置の着座部を下降させた状態を示す模式平面図であり、図3は実施の形態1における移乗・移動装置の着座部を下降させた状態を示す模式側面図である。
図1乃至図3中、1は本発明の実施の形態1の移乗・移動装置、2は地面と平行な移乗・移動装置1の台車部、2aは台車部2の上面、2bは台車部2の両側面に設けられたガイド孔、2cは台車部2の前方部分に立設された左右の回動軸保持板、3aは台車部2の前方の左右両側に配設された前輪としての駆動輪、3bは台車部2の後方の左右両側に配設された後輪(図3)、4は台車部2の両脇に配設された前後動可能なキャスター付き補助フレーム、4a,4bは台車部2の両側面に形成された長孔状のガイド孔2bに貫設され左右のキャスター付き補助フレーム4,4を前後2箇所で連結する連結軸、5は各々のキャスター付き補助フレーム4の前後2箇所の底部に配設されたキャスター、10は後述する着座部22及び胸当部23を回動及び上下動させる移乗・移動装置1の駆動機構部、11,12は台車部2の前方部分に立設された左右の回動軸保持板2cに回動自在に保持された第1,第2連結回動軸、13,14は着座部22の下部に配設された回動軸保持部10aの前後2箇所に回動自在に保持された第3,第4連結回動軸、15は第1連結回動軸11と第3連結回動軸13を左右2本のリンク軸15a,15bで連結する前方リンク部、16は第2連結回動軸12と第4連結回動軸14を左右2本のリンク軸16a,16bで連結する後方リンク部、17は前方リンク部15の左右のリンク軸15a,15bを長手方向の途中で連結する前方連結軸(図2)、18は後方リンク部16の左右のリンク軸16a,16bを長手方向の途中で連結する後方連結軸、20は前方連結軸17と後方連結軸18により両端部がそれぞれ前方リンク部15及び後方リンク部16に回動自在に連結されて伸縮する駆動機構部10のリンク駆動部、21は第3連結回動軸13に立設された支柱、22は回動軸保持部10aの上方に配置された移乗・移動装置1の着座部、22aは支柱21が摺動自在に挿通された着座部22の挿通部、22bは螺子止めにより着座部22の挿通部22aを支柱21に固定する固定操作部、23は下端部に穿設された嵌合孔に支柱21の先端が嵌合された移乗・移動装置1の胸当部、23aは胸当部23の中央部下端に穿設され支柱21の上端が挿通固定される挿通孔、24は逆U字型に形成され一端側が胸当部23の前面側の左右2箇所に形成された係合孔23bに挿通され水平面内で回動自在に保持された把持部、25は第1連結回動軸11の両端部を屈曲させた屈曲部11aに嵌装された脚部保持部、25aは被介護者の両膝の前面及び両側面を保持するように水平断面が略半円弧状や略U字状に形成された脚部保持部25の2つの膝当接部である。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における移乗・移動装置の着座部を下降させた状態を示す模式斜視図であり、図2は実施の形態1における移乗・移動装置の着座部を下降させた状態を示す模式平面図であり、図3は実施の形態1における移乗・移動装置の着座部を下降させた状態を示す模式側面図である。
図1乃至図3中、1は本発明の実施の形態1の移乗・移動装置、2は地面と平行な移乗・移動装置1の台車部、2aは台車部2の上面、2bは台車部2の両側面に設けられたガイド孔、2cは台車部2の前方部分に立設された左右の回動軸保持板、3aは台車部2の前方の左右両側に配設された前輪としての駆動輪、3bは台車部2の後方の左右両側に配設された後輪(図3)、4は台車部2の両脇に配設された前後動可能なキャスター付き補助フレーム、4a,4bは台車部2の両側面に形成された長孔状のガイド孔2bに貫設され左右のキャスター付き補助フレーム4,4を前後2箇所で連結する連結軸、5は各々のキャスター付き補助フレーム4の前後2箇所の底部に配設されたキャスター、10は後述する着座部22及び胸当部23を回動及び上下動させる移乗・移動装置1の駆動機構部、11,12は台車部2の前方部分に立設された左右の回動軸保持板2cに回動自在に保持された第1,第2連結回動軸、13,14は着座部22の下部に配設された回動軸保持部10aの前後2箇所に回動自在に保持された第3,第4連結回動軸、15は第1連結回動軸11と第3連結回動軸13を左右2本のリンク軸15a,15bで連結する前方リンク部、16は第2連結回動軸12と第4連結回動軸14を左右2本のリンク軸16a,16bで連結する後方リンク部、17は前方リンク部15の左右のリンク軸15a,15bを長手方向の途中で連結する前方連結軸(図2)、18は後方リンク部16の左右のリンク軸16a,16bを長手方向の途中で連結する後方連結軸、20は前方連結軸17と後方連結軸18により両端部がそれぞれ前方リンク部15及び後方リンク部16に回動自在に連結されて伸縮する駆動機構部10のリンク駆動部、21は第3連結回動軸13に立設された支柱、22は回動軸保持部10aの上方に配置された移乗・移動装置1の着座部、22aは支柱21が摺動自在に挿通された着座部22の挿通部、22bは螺子止めにより着座部22の挿通部22aを支柱21に固定する固定操作部、23は下端部に穿設された嵌合孔に支柱21の先端が嵌合された移乗・移動装置1の胸当部、23aは胸当部23の中央部下端に穿設され支柱21の上端が挿通固定される挿通孔、24は逆U字型に形成され一端側が胸当部23の前面側の左右2箇所に形成された係合孔23bに挿通され水平面内で回動自在に保持された把持部、25は第1連結回動軸11の両端部を屈曲させた屈曲部11aに嵌装された脚部保持部、25aは被介護者の両膝の前面及び両側面を保持するように水平断面が略半円弧状や略U字状に形成された脚部保持部25の2つの膝当接部である。
図4は実施の形態1における移乗・移動装置の着座部を上昇させた状態を示す模式側面図である。
本実施の形態では、駆動機構部10に、台車部2の第1,第2連結回動軸11,12と、着座部22の下部に配設された第3,第4連結回動軸13,14を前方リンク部15と後方リンク部16で連結した4節リンク機構を使用した。
図3の状態から被介護者が利用し易い位置に設けられた駆動機構部10の操作スイッチ又はレバー等(図示せず)によりリンク駆動部20を駆動すると、リンク駆動部20が短くなるに従って、前方リンク部15と後方リンク部16は第1,第2連結回動軸11,12を中心として連動して回動し、台車部2の上面2aと略平行な状態から、図4に示すように、台車部2の上面2aと略直交する状態に変化する。その結果、第3連結軸13に立設された支柱21に配設された着座部22及び胸当部23は、図3での姿勢(移乗姿勢)を保持した状態で、図4に示す立位姿勢の位置まで移動することができる。
このとき、着座部22及び胸当部23の回動及び上昇に伴う重心位置の変化に対応するため、台車部2の両側面に設けられたガイド孔2bに沿って連結軸4a,4bを台車部2の前方側へ移動させることにより、キャスター付き補助フレーム4でバランスを保つことができ、移乗・移動装置1が前方へ転倒することを防止することができる。
本実施の形態では、駆動機構部10に、台車部2の第1,第2連結回動軸11,12と、着座部22の下部に配設された第3,第4連結回動軸13,14を前方リンク部15と後方リンク部16で連結した4節リンク機構を使用した。
図3の状態から被介護者が利用し易い位置に設けられた駆動機構部10の操作スイッチ又はレバー等(図示せず)によりリンク駆動部20を駆動すると、リンク駆動部20が短くなるに従って、前方リンク部15と後方リンク部16は第1,第2連結回動軸11,12を中心として連動して回動し、台車部2の上面2aと略平行な状態から、図4に示すように、台車部2の上面2aと略直交する状態に変化する。その結果、第3連結軸13に立設された支柱21に配設された着座部22及び胸当部23は、図3での姿勢(移乗姿勢)を保持した状態で、図4に示す立位姿勢の位置まで移動することができる。
このとき、着座部22及び胸当部23の回動及び上昇に伴う重心位置の変化に対応するため、台車部2の両側面に設けられたガイド孔2bに沿って連結軸4a,4bを台車部2の前方側へ移動させることにより、キャスター付き補助フレーム4でバランスを保つことができ、移乗・移動装置1が前方へ転倒することを防止することができる。
台車部2は、前輪としての2つの駆動輪3aと、2つの後輪3bを有することにより、安定性に優れると共に、前輪を駆動輪3aとすることで被介護者が移乗・移動装置1の進行方向をイメージし易く、操作性に優れる。また、前輪である駆動輪3aの直径を大きくすることで段差等を容易に乗り越えることができ、走行性に優れる。尚、後輪3bは駆動輪3aと同じ大きさにしてもよい。また、被介護者の足が接地する台車部2の上面2aは被介護者の肩幅よりも広くし、平面にすることで移乗の際に足の移動を妨げることがなく、使用性に優れる。
本実施の形態では、駆動輪3aの動力部として、正逆回転可能なモーターを用いた。また、各々の駆動輪3aに対し1つのモーターを内蔵し、回転速度や回転方向を各々独立して制御できるようにした。左右の駆動輪3aの回転速度差によって右折や左折を行うことや左右の駆動輪3aの回転方向の違いによってその場で右旋回や左旋回を行うことができ、機動性に優れるためである。尚、駆動輪3aの回転速度や回転方向等の操作は把持部24に配設したアクセルバーやブレーキレバー(図示せず)、胸当部23に配設した操作部(図示せず)などによって行うことができる。
駆動輪3aと共に動力部や動力源となるバッテリーを台車部2の前方に配設することにより、被介護者が着座した状態で着座部22が下降或いは後傾し、重心が台車部2の後方へ移動した際に、これらが錘として台車部2を水平に安定させる役割を果たすことができる。尚、バッテリーは、脱着自在とすることにより、移乗・移動装置1から外して充電することができる。また、胸当部23の上面などにバッテリーゲージを設けると、目視で簡単にバッテリー容量を確認することができ、使用性に優れる。
本実施の形態では、駆動輪3aの動力部として、正逆回転可能なモーターを用いた。また、各々の駆動輪3aに対し1つのモーターを内蔵し、回転速度や回転方向を各々独立して制御できるようにした。左右の駆動輪3aの回転速度差によって右折や左折を行うことや左右の駆動輪3aの回転方向の違いによってその場で右旋回や左旋回を行うことができ、機動性に優れるためである。尚、駆動輪3aの回転速度や回転方向等の操作は把持部24に配設したアクセルバーやブレーキレバー(図示せず)、胸当部23に配設した操作部(図示せず)などによって行うことができる。
駆動輪3aと共に動力部や動力源となるバッテリーを台車部2の前方に配設することにより、被介護者が着座した状態で着座部22が下降或いは後傾し、重心が台車部2の後方へ移動した際に、これらが錘として台車部2を水平に安定させる役割を果たすことができる。尚、バッテリーは、脱着自在とすることにより、移乗・移動装置1から外して充電することができる。また、胸当部23の上面などにバッテリーゲージを設けると、目視で簡単にバッテリー容量を確認することができ、使用性に優れる。
駆動機構部10は、着座部22をベッドや便器などの移乗対象と同程度の高さに下降させた際に、着座部22の後端が台車部2の後端部と同程度か台車部2の後端よりも後方に突き出るように配置した。これにより、移乗対象の下部へ台車部2の後部を挿入することなく、移乗対象と着座部22を接近させることができ、被介護者は滑り移るようにして簡便に移乗することが可能で、汎用性、使用性に優れる。尚、リンク駆動部20として、油圧シリンダやガス圧シリンダ等を用いることにより、コンパクトで重量物を動かすことができ、制御が可能で騒音がなくスムーズに動作させることができる。
着座部22の形状は、図2に示したように、上から見た形状が、先端から中央付近まで緩やかに幅が広がり、そこから後方に行くに従いさらに大きな割合で幅が広がる尖頭型(自転車のサドル形状)に形成しており、移乗の際に邪魔にならず、かつ着座部22を上昇させて立位姿勢をとる際に大腿部の稼動を妨げることがない。尚、着座部22の形状はこれに限定されるものではなく、被介護者が跨ぎ易い任意の形状を選択することができ、例えば、瓢箪型や乗馬用の鞍などと同様の形状に形成することができる。
尚、本実施の形態では、第3連結回動軸13に立設された支柱21に着座部22の挿通部22aを挿通し、固定操作部22bで螺子止めすることにより着座部22を摺動自在に固定したが、着座部22は回動軸保持部10aの上面に固定してもよい。また、支柱21は回動軸保持部10aと一体に形成することもできる。
尚、本実施の形態では、第3連結回動軸13に立設された支柱21に着座部22の挿通部22aを挿通し、固定操作部22bで螺子止めすることにより着座部22を摺動自在に固定したが、着座部22は回動軸保持部10aの上面に固定してもよい。また、支柱21は回動軸保持部10aと一体に形成することもできる。
胸当部23は、被介護者の胸部に部分的な圧迫や違和感を与えないように柔軟性、弾力性を有する材質で形成した。尚、胸当部23の材質や形状は、被介護者の体格などに応じて、面積、形状、硬度などを選択、選択することができる。
把持部24は、金属製や合成樹脂製のパイプで逆U字状に形成し、一端側を胸当部23の係合孔23bに左右方向の回動角を固定できるように挿通した。これにより、把持部24を必要に応じて水平面内で回動させることができ、把持部24を胸当部23の側方や前方位置などの握り易い位置に移動させて使用することができる。尚、把持部24の端部に滑り止めとしてゴム製のグリップを取り付けることにより、胸当部23に胸を押し当てた被介護者は、把持部24の端部を確実に把持することができ、楽な姿勢を保持することができる。
把持部24は、金属製や合成樹脂製のパイプで逆U字状に形成し、一端側を胸当部23の係合孔23bに左右方向の回動角を固定できるように挿通した。これにより、把持部24を必要に応じて水平面内で回動させることができ、把持部24を胸当部23の側方や前方位置などの握り易い位置に移動させて使用することができる。尚、把持部24の端部に滑り止めとしてゴム製のグリップを取り付けることにより、胸当部23に胸を押し当てた被介護者は、把持部24の端部を確実に把持することができ、楽な姿勢を保持することができる。
脚部保持部25の下端部が第1連結回動軸11の両端部を屈曲させた屈曲部11aに嵌装、固定されている。これにより、脚部保持部25は第1連結回動軸11と共に回動させることができる。また、脚部保持部25には、水平断面が略半円弧状や略U字状で、後方に開放された2つの膝当接部25aを形成した。これにより、被介護者の両足の膝下(脛骨の上端)部分の前面及び両側面を保護できる。また、被介護者の体重の一部を支え、かつ横方向および前後方向に足が動かないように保持できるので、立位姿勢や前傾姿勢を安定して維持することができ、特に、膝を保護してその負担を軽減でき、使用性に優れる。
尚、膝当接部25aの基部と表皮の間に発泡ウレタン等の弾性部材を入れた場合は、移乗
・移動装置1の移動時の振動や衝撃、神経の圧迫などを和らげることができる。
尚、膝当接部25aの基部と表皮の間に発泡ウレタン等の弾性部材を入れた場合は、移乗
・移動装置1の移動時の振動や衝撃、神経の圧迫などを和らげることができる。
次に、移乗対象から実施の形態1の移乗・移動装置に移乗する場合の使用方法について説明する。
図5は実施の形態1の移乗・移動装置を用いて便器から移乗する前の状態を示す模式側面図であり、図6は実施の形態1の移乗・移動装置を用いて便器から移乗した後の状態を示す模式側面図である。
図5及び図6中、30は移乗対象としての洋式の便器、30aは便器30の便座、Xは被介護者である。
図5において、被介護者Xは、便座30aに座った状態で、把持部24を両手で把持し、移乗・移動装置1の着座部22の後端が、便座30aと接触する程度まで移乗・移動装置1を引き寄せ、最適な位置に位置決めし、両足を台車部2の上面2aに乗せる。このとき、必要に応じて把持部24を手前(台車部2の後方側)に回動させることにより、確実に把持部24を把持することができる。
尚、予め駆動機構部10のリンク駆動部20を伸縮させ、着座部22の高さを被介護者Xが座っている便座30a等の高さと同じ程度の位置まで下降させおくことにより、便座30aから着座部22への移乗を容易に行うことができる。また、キャスター付き補助フレーム4を台車部2の後方へ移動させることにより、被介護者Xが移乗する際の安定性に優れる。尚、キャスター付き補助フレーム4の連結軸4a,4bは、第2連結回動軸12とギアやベルト等のリンク機構を介してリンクしており、駆動機構部10の第2連結回動軸12の回転に合わせて前後動する。
次に、図6に示すように、胸当部23を被介護者Xの胸部に引き付けるように把持部24を把持しつつ、臀部を前方へ移動させ着座部22へ着座して、両足を前方へ移動させることにより、座位姿勢での乗車が完了する。
尚、本実施の形態では、便器30から移乗・移動装置1に移乗する場合について説明したが、移乗対象がベッドやその他の場合でも使用方法は同じである。また、移乗・移動装置1から移乗対象であるベッドや便器30等に移乗する場合は、上述した手順とほぼ逆の順序で動作を行えば良い。
図5は実施の形態1の移乗・移動装置を用いて便器から移乗する前の状態を示す模式側面図であり、図6は実施の形態1の移乗・移動装置を用いて便器から移乗した後の状態を示す模式側面図である。
図5及び図6中、30は移乗対象としての洋式の便器、30aは便器30の便座、Xは被介護者である。
図5において、被介護者Xは、便座30aに座った状態で、把持部24を両手で把持し、移乗・移動装置1の着座部22の後端が、便座30aと接触する程度まで移乗・移動装置1を引き寄せ、最適な位置に位置決めし、両足を台車部2の上面2aに乗せる。このとき、必要に応じて把持部24を手前(台車部2の後方側)に回動させることにより、確実に把持部24を把持することができる。
尚、予め駆動機構部10のリンク駆動部20を伸縮させ、着座部22の高さを被介護者Xが座っている便座30a等の高さと同じ程度の位置まで下降させおくことにより、便座30aから着座部22への移乗を容易に行うことができる。また、キャスター付き補助フレーム4を台車部2の後方へ移動させることにより、被介護者Xが移乗する際の安定性に優れる。尚、キャスター付き補助フレーム4の連結軸4a,4bは、第2連結回動軸12とギアやベルト等のリンク機構を介してリンクしており、駆動機構部10の第2連結回動軸12の回転に合わせて前後動する。
次に、図6に示すように、胸当部23を被介護者Xの胸部に引き付けるように把持部24を把持しつつ、臀部を前方へ移動させ着座部22へ着座して、両足を前方へ移動させることにより、座位姿勢での乗車が完了する。
尚、本実施の形態では、便器30から移乗・移動装置1に移乗する場合について説明したが、移乗対象がベッドやその他の場合でも使用方法は同じである。また、移乗・移動装置1から移乗対象であるベッドや便器30等に移乗する場合は、上述した手順とほぼ逆の順序で動作を行えば良い。
次に、実施の形態1の移乗・移動装置の立位姿勢での使用方法について、説明する。
図7は実施の形態1の移乗・移動装置で座位姿勢から立位姿勢に移行した状態を示す模式側面図である。
図6の状態から、被介護者Xが操作レバー(図示せず)等を操作して駆動機構部10を駆動すると、図7に示すように、着座部22や胸当部23が前方に回動しながら上昇し、被介護者Xを立位姿勢へと移行させる。このとき、台車部2上の重量バランスを保つためにキャスター付き補助フレーム4は、前述のリンク機構により、第2連結回動軸12の回転に伴って台車部2の前方へと移動する。
尚、着座部22の高さは、被介護者Xの体重を着座部22,胸当部23,脚部保持部25で分散して支持できるように、膝が緩やかに曲がる程度に調整することが好ましい。また、脚部保持部25は被介護者Xの膝下付近が膝当接部25aに当接して保持されるように、角度を調節することが好ましい。
被介護者Xが移乗・移動装置1のブレーキを解除し、アクセルバー等を操作することにより、移動が可能となる。
図7は実施の形態1の移乗・移動装置で座位姿勢から立位姿勢に移行した状態を示す模式側面図である。
図6の状態から、被介護者Xが操作レバー(図示せず)等を操作して駆動機構部10を駆動すると、図7に示すように、着座部22や胸当部23が前方に回動しながら上昇し、被介護者Xを立位姿勢へと移行させる。このとき、台車部2上の重量バランスを保つためにキャスター付き補助フレーム4は、前述のリンク機構により、第2連結回動軸12の回転に伴って台車部2の前方へと移動する。
尚、着座部22の高さは、被介護者Xの体重を着座部22,胸当部23,脚部保持部25で分散して支持できるように、膝が緩やかに曲がる程度に調整することが好ましい。また、脚部保持部25は被介護者Xの膝下付近が膝当接部25aに当接して保持されるように、角度を調節することが好ましい。
被介護者Xが移乗・移動装置1のブレーキを解除し、アクセルバー等を操作することにより、移動が可能となる。
次に、実施の形態1の移乗・移動装置の前傾姿勢での使用方法について、説明する。 図8は実施の形態1の移乗・移動装置の前傾姿勢を示す模式側面図である。
図8に示すように、着座部22及び胸当部23を前傾させることにより、被介護者Xの体重を胸当部23に預けることができ、特に、脊椎に損傷のある被介護者Xの負担を大幅に軽減することができ、楽な姿勢で長時間乗車することができ、使用性、汎用性に優れる。
図8に示すように、着座部22及び胸当部23を前傾させることにより、被介護者Xの体重を胸当部23に預けることができ、特に、脊椎に損傷のある被介護者Xの負担を大幅に軽減することができ、楽な姿勢で長時間乗車することができ、使用性、汎用性に優れる。
以上のように実施の形態1における移乗・移動装置は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)着座部に背もたれがなく、台車部後方から乗り降りすることができ、移乗に際し、着座部を分解したり、変形させたりする必要がなく、被介護者がベッドや便器に着座した状態から体の向きを変えずにそのまま台車部後方より容易に着座部を跨ぐようにして着座することができ、介護者の手を借りることなく一人で移乗することができる。このとき、キャスター付き補助フレームで、台車部を支えるので、転倒などが発生し難く、介護者及び被介護者の負担を大幅に軽減することができ、省力性、使用性に優れる。
(2)着座部の前端側に立設され被介護者の胸部に当設する胸当部を有するので、前傾姿勢で胸当部に抱きつくようにして体重を預けることにより、着座部及び胸当部で体重を分散して被介護者の体を確実に支持することができ、背もたれがなくても安定した姿勢で、長時間の座位姿勢或いは立位姿勢を維持することや移動を行うが可能で、被介護者の負担を軽減でき、安全性、使用性に優れる。
(3)被介護者の胸に胸当部を当接させることで、脊椎が頸椎で前彎、胸椎で後彎、腰椎で前彎したS字状のカーブを描き、かつ骨盤がやや前傾した正常な立位姿勢に近い姿勢を取ることができ、坐骨結節に体重が均等に分散した理想的な座位姿勢を保持して、被介護者の負担を軽減でき、使用性に優れる。
(4)着座部及び胸当部を台車部の前後方向と直交する水平軸周りに回動させる駆動機構部を有することにより、ベッドや便器等の移乗対象物の高さや被介護者の体格や姿勢などに応じて、着座部や胸当部の位置を自在に調整することができ、移乗対象物と着座部を接近させることができるため、一人で簡便に移乗動作を行うことができ、移乗対象物の下部に台車部の挿入スペースがない場合でも利用可能で、汎用性に優れる。
(5)駆動機構部により、着座部や胸当部を前後方向へ回動させることができるので、着座部や胸当部を後傾させながら下降させて被介護者を移乗させた後、着座部や胸当部を前傾させながら上昇させることにより、被介護者を所望の姿勢(角度)に保持したり、所望の高さに持ち上げたりすることができ、被介護者の楽な姿勢で移動を行うことができ、使用性に優れる。
(6)背もたれがなく、被介護者の背面(着座部の後方)が開放された背面開放型であるため、脊椎損傷患者の場合には、そのまま背面(背中)からの診察を容易に行うことができ、ベッドなどへの移動が不要で、被介護者の負担を軽減できると共に、診察に要する時間を短縮することができ、診察の作業性に優れる。
(7)駆動機構部で着座部を上昇させて立位に近い姿勢で移動することができるため、従来の車椅子に比べて被介護者が広い視界を確保することができ、他人からの視認性も高く、衝突などの事故を回避することができ、安全性に優れると共に、血流の悪化を防ぐことができ、使用性に優れる。
(8)駆動機構部により、着座部や胸当部を上昇させたり、胸当部を前傾させたりすることができるため、従来の車椅子では届かなかった場所にも手が届き、高所への物の出し入れやドアの開閉、洗面や料理等も簡便に行うことが可能で、作業範囲を広げることができ、機能性に優れる。
(9)駆動機構で着座部を昇降させることにより、被介護者の股関節、膝関節、足関節等を稼動させることができ、一人でも屈伸運動による下半身の関節可動域の拡大や筋力増強、血流の改善等のリハビリテーションを行うことが可能で、下半身の運動機能の低下や浮腫等を防止することができ、機能性、省力性に優れる。
(10)駆動機構部が、台車部に配設された前後2箇所の第1,第2連結回動軸と、着座部の下部に配設された前後2箇所の第3,第4連結回動軸を有し、第1連結回動軸と第3連結回動軸及び第2連結回動軸と第4連結回動軸が、それぞれ1以上のリンク軸を有する前方リンク部及び後方リンク部で連結されているので、両端部が前方リンク部及び後方リンク部に回動自在に連結されたリンク駆動部を伸縮させることにより、第1,第2連結回動軸間及び第3,第4連結回動軸間の距離を一定に保ったまま、前方リンク部及び後方リンク部と台車部上面とのなす角が変化し、第3,第4連結回動軸の上方に配置された着座部を前後方向へ回動させながら上下動させることができ、直動式の油圧又はガス圧シリンダ等により着座部を直接、上下動させるよりも小さなストロークで、広範な高さ調整を行うことが可能で、駆動機構部の小型化、軽量化を図ることができる。
(11)着座部が、前方リンク部及び後方リンク部により、前後2箇所で支持されるため、被介護者の体重を確実に支持することができ、移動時の振動の発生を低減して、姿勢の安定化に優れる。
(12)着座部及び胸当部が、第3連結回動軸又は第3連結回動軸と第4連結回動軸を回動自在に保持する回動軸保持部のいずれかに立設された支柱に摺動自在に配設されているので、被介護者の体格などに応じて、着座部や胸当部の位置を上下動させ、着座部や胸当部の可動範囲を広げることができ、汎用性に優れる。
(13)胸当部の少なくとも一側部に水平面内で回動自在に配設された把持部を有することにより、被介助者が自分の手で把持部を把持して移乗・移動装置を身体に近づけたり、身体から遠ざけたりして簡便に位置を調整することができ、使用性に優れる。
(14)着座部や胸当部を移動させる際に、被介助者が把持部を把持して確実に身体を保持することができ、安全性に優れる。
(15)把持部が水平面内で回動自在なので、乗車後に把持部を前方へ回動させることで、把持部が被介護者の姿勢を妨げることがなく、前傾時に胸当部で確実に被介護者の体重を支持することができ、支持の安定性、確実性に優れる。
(16)把持部を回動させるだけで、移乗時と移動時の2つの動作に対応することができ、汎用性に優れ、部品点数が少なく、量産性に優れる。
(17)台車部の前方に配設され、被介護者の脚部の少なくとも一部を保持する脚部保持部を有するので、胸当部や着座部に加え、脚部保持部でも被介護者の体重を分散して支持することができ、特に立位姿勢に近い状態でも被介護者の姿勢を安定して維持することができ、使用性に優れる。
(18)台車部の前方に配設される脚部保持部により、膝や脹ら脛等の前面や両側面を保護することができ、安全性に優れる。
(19)台車部の両側部に台車部の長手方向と平行に前後動自在に配設されたキャスター付き補助フレームを有するので、被介護者の姿勢(重心位置)に応じて、補助フレームを前後動させることにより、台車部が転倒しないようにバランスを保つことができ、安全性に優れる。
(20)非使用時には、台車部とキャスター付き補助フレームが重なるようにキャスター付き補助フレームを移動させ、全長を短くしてコンパクトに収納することができ、搬送性、省スペース性に優れる。
(1)着座部に背もたれがなく、台車部後方から乗り降りすることができ、移乗に際し、着座部を分解したり、変形させたりする必要がなく、被介護者がベッドや便器に着座した状態から体の向きを変えずにそのまま台車部後方より容易に着座部を跨ぐようにして着座することができ、介護者の手を借りることなく一人で移乗することができる。このとき、キャスター付き補助フレームで、台車部を支えるので、転倒などが発生し難く、介護者及び被介護者の負担を大幅に軽減することができ、省力性、使用性に優れる。
(2)着座部の前端側に立設され被介護者の胸部に当設する胸当部を有するので、前傾姿勢で胸当部に抱きつくようにして体重を預けることにより、着座部及び胸当部で体重を分散して被介護者の体を確実に支持することができ、背もたれがなくても安定した姿勢で、長時間の座位姿勢或いは立位姿勢を維持することや移動を行うが可能で、被介護者の負担を軽減でき、安全性、使用性に優れる。
(3)被介護者の胸に胸当部を当接させることで、脊椎が頸椎で前彎、胸椎で後彎、腰椎で前彎したS字状のカーブを描き、かつ骨盤がやや前傾した正常な立位姿勢に近い姿勢を取ることができ、坐骨結節に体重が均等に分散した理想的な座位姿勢を保持して、被介護者の負担を軽減でき、使用性に優れる。
(4)着座部及び胸当部を台車部の前後方向と直交する水平軸周りに回動させる駆動機構部を有することにより、ベッドや便器等の移乗対象物の高さや被介護者の体格や姿勢などに応じて、着座部や胸当部の位置を自在に調整することができ、移乗対象物と着座部を接近させることができるため、一人で簡便に移乗動作を行うことができ、移乗対象物の下部に台車部の挿入スペースがない場合でも利用可能で、汎用性に優れる。
(5)駆動機構部により、着座部や胸当部を前後方向へ回動させることができるので、着座部や胸当部を後傾させながら下降させて被介護者を移乗させた後、着座部や胸当部を前傾させながら上昇させることにより、被介護者を所望の姿勢(角度)に保持したり、所望の高さに持ち上げたりすることができ、被介護者の楽な姿勢で移動を行うことができ、使用性に優れる。
(6)背もたれがなく、被介護者の背面(着座部の後方)が開放された背面開放型であるため、脊椎損傷患者の場合には、そのまま背面(背中)からの診察を容易に行うことができ、ベッドなどへの移動が不要で、被介護者の負担を軽減できると共に、診察に要する時間を短縮することができ、診察の作業性に優れる。
(7)駆動機構部で着座部を上昇させて立位に近い姿勢で移動することができるため、従来の車椅子に比べて被介護者が広い視界を確保することができ、他人からの視認性も高く、衝突などの事故を回避することができ、安全性に優れると共に、血流の悪化を防ぐことができ、使用性に優れる。
(8)駆動機構部により、着座部や胸当部を上昇させたり、胸当部を前傾させたりすることができるため、従来の車椅子では届かなかった場所にも手が届き、高所への物の出し入れやドアの開閉、洗面や料理等も簡便に行うことが可能で、作業範囲を広げることができ、機能性に優れる。
(9)駆動機構で着座部を昇降させることにより、被介護者の股関節、膝関節、足関節等を稼動させることができ、一人でも屈伸運動による下半身の関節可動域の拡大や筋力増強、血流の改善等のリハビリテーションを行うことが可能で、下半身の運動機能の低下や浮腫等を防止することができ、機能性、省力性に優れる。
(10)駆動機構部が、台車部に配設された前後2箇所の第1,第2連結回動軸と、着座部の下部に配設された前後2箇所の第3,第4連結回動軸を有し、第1連結回動軸と第3連結回動軸及び第2連結回動軸と第4連結回動軸が、それぞれ1以上のリンク軸を有する前方リンク部及び後方リンク部で連結されているので、両端部が前方リンク部及び後方リンク部に回動自在に連結されたリンク駆動部を伸縮させることにより、第1,第2連結回動軸間及び第3,第4連結回動軸間の距離を一定に保ったまま、前方リンク部及び後方リンク部と台車部上面とのなす角が変化し、第3,第4連結回動軸の上方に配置された着座部を前後方向へ回動させながら上下動させることができ、直動式の油圧又はガス圧シリンダ等により着座部を直接、上下動させるよりも小さなストロークで、広範な高さ調整を行うことが可能で、駆動機構部の小型化、軽量化を図ることができる。
(11)着座部が、前方リンク部及び後方リンク部により、前後2箇所で支持されるため、被介護者の体重を確実に支持することができ、移動時の振動の発生を低減して、姿勢の安定化に優れる。
(12)着座部及び胸当部が、第3連結回動軸又は第3連結回動軸と第4連結回動軸を回動自在に保持する回動軸保持部のいずれかに立設された支柱に摺動自在に配設されているので、被介護者の体格などに応じて、着座部や胸当部の位置を上下動させ、着座部や胸当部の可動範囲を広げることができ、汎用性に優れる。
(13)胸当部の少なくとも一側部に水平面内で回動自在に配設された把持部を有することにより、被介助者が自分の手で把持部を把持して移乗・移動装置を身体に近づけたり、身体から遠ざけたりして簡便に位置を調整することができ、使用性に優れる。
(14)着座部や胸当部を移動させる際に、被介助者が把持部を把持して確実に身体を保持することができ、安全性に優れる。
(15)把持部が水平面内で回動自在なので、乗車後に把持部を前方へ回動させることで、把持部が被介護者の姿勢を妨げることがなく、前傾時に胸当部で確実に被介護者の体重を支持することができ、支持の安定性、確実性に優れる。
(16)把持部を回動させるだけで、移乗時と移動時の2つの動作に対応することができ、汎用性に優れ、部品点数が少なく、量産性に優れる。
(17)台車部の前方に配設され、被介護者の脚部の少なくとも一部を保持する脚部保持部を有するので、胸当部や着座部に加え、脚部保持部でも被介護者の体重を分散して支持することができ、特に立位姿勢に近い状態でも被介護者の姿勢を安定して維持することができ、使用性に優れる。
(18)台車部の前方に配設される脚部保持部により、膝や脹ら脛等の前面や両側面を保護することができ、安全性に優れる。
(19)台車部の両側部に台車部の長手方向と平行に前後動自在に配設されたキャスター付き補助フレームを有するので、被介護者の姿勢(重心位置)に応じて、補助フレームを前後動させることにより、台車部が転倒しないようにバランスを保つことができ、安全性に優れる。
(20)非使用時には、台車部とキャスター付き補助フレームが重なるようにキャスター付き補助フレームを移動させ、全長を短くしてコンパクトに収納することができ、搬送性、省スペース性に優れる。
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2における移乗・移動装置の着座部を下降させた状態を示す模式側面図である。
図9中、実施の形態2における移乗・移動装置1Aが実施の形態1と異なるのは、着座部22及び胸当部23を回動及び上下動させる4節リンク機構を用いた駆動機構部10の代わりに、着座部22及び胸当部23を上下動させる油圧シリンダやガス圧シリンダ等のピストンシリンダ20aを用いた駆動機構部10Aを使用している点と、着座部22の下部に回動軸保持部10bが一体に形設されている点と、支柱21が連結回動軸13aを介して回動軸保持部10bに回動自在に保持されている点である。
本実施の形態では、駆動機構部10Aにピストンシリンダ20aを用いたが、これに限定されるものではなく、ラックとピニオンを組合せたものやレージートング等のリンク機構等を用いてもよい。
尚、実施の形態2の移乗・移動装置1Aの使用方法は、実施の形態1の移乗・移動装置1と同様なので、説明を省略する。
図10は本移乗・移動装置に内部構造を外部から遮蔽し、かつ美観性を向上させた実施例である。被介護者は誇りを持って乗車することが可能となり、抑圧された自我の解放と人間の尊厳の回復が可能となる。
図9は、実施の形態2における移乗・移動装置の着座部を下降させた状態を示す模式側面図である。
図9中、実施の形態2における移乗・移動装置1Aが実施の形態1と異なるのは、着座部22及び胸当部23を回動及び上下動させる4節リンク機構を用いた駆動機構部10の代わりに、着座部22及び胸当部23を上下動させる油圧シリンダやガス圧シリンダ等のピストンシリンダ20aを用いた駆動機構部10Aを使用している点と、着座部22の下部に回動軸保持部10bが一体に形設されている点と、支柱21が連結回動軸13aを介して回動軸保持部10bに回動自在に保持されている点である。
本実施の形態では、駆動機構部10Aにピストンシリンダ20aを用いたが、これに限定されるものではなく、ラックとピニオンを組合せたものやレージートング等のリンク機構等を用いてもよい。
尚、実施の形態2の移乗・移動装置1Aの使用方法は、実施の形態1の移乗・移動装置1と同様なので、説明を省略する。
図10は本移乗・移動装置に内部構造を外部から遮蔽し、かつ美観性を向上させた実施例である。被介護者は誇りを持って乗車することが可能となり、抑圧された自我の解放と人間の尊厳の回復が可能となる。
以上のように実施の形態2における移乗・移動装置は構成されているので、実施の形態1で得られる(1)乃至(3),(6),(7),(9),(13)乃至(20)の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)着座部及び胸当部を台車部の上下方向に上下動させる駆動機構部を有することにより、ベッドや便器等の移乗対象物の高さや被介護者の体格や姿勢などに応じて、着座部や胸当部の位置を自在に調整することができ、移乗対象物と着座部を接近させることができるため、一人で簡便に移乗動作を行うことができ、移乗対象物の下部に台車部の挿入スペースがない場合でも利用可能で、汎用性に優れる。
(2)駆動機構部により、着座部及び胸当部を上下動させることができるので、着座部及び胸当部を下降させて被介護者を移乗させた後、着座部や胸当部を上昇させることにより、所望の高さに持ち上げることができ、被介護者の楽な姿勢で移動を行うことができ、使用性に優れる。
(3)駆動機構部により、着座部及び胸当部を上昇させることができるため、従来の車椅子では届かなかった場所にも手が届き、高所への物の出し入れやドアの開閉、洗面や料理等も簡便に行うことが可能で、作業範囲を広げることができ、機能性に優れる。
(4)ピストンシリンダのみで簡便かつ確実に着座部を上下動させることができ、ベッドや便器等の移乗対象に対する着座部の高さ調整が容易で使用性に優れる。
(5)着座部がピストンシリンダで上下動のみを行うので、重心位置が前後に大きく変化することがなく、キャスター付き補助フレームによるバランス調整が不要で、使用性に優れる。
(6)ピストンシリンダを用いることにより、部品点数を低減し、駆動機構部の構成を簡素化して、小型化、軽量化を図ることができ、量産性、メンテナンス性に優れる。
(7)着座部及び胸当部を前傾させることにより、被介護者を体重を胸当部に預けることができ、特に、脊椎に損傷のある被介護者の負担を大幅に軽減することができ、楽な姿勢で長時間乗車することができ、使用性、汎用性に優れる。
(1)着座部及び胸当部を台車部の上下方向に上下動させる駆動機構部を有することにより、ベッドや便器等の移乗対象物の高さや被介護者の体格や姿勢などに応じて、着座部や胸当部の位置を自在に調整することができ、移乗対象物と着座部を接近させることができるため、一人で簡便に移乗動作を行うことができ、移乗対象物の下部に台車部の挿入スペースがない場合でも利用可能で、汎用性に優れる。
(2)駆動機構部により、着座部及び胸当部を上下動させることができるので、着座部及び胸当部を下降させて被介護者を移乗させた後、着座部や胸当部を上昇させることにより、所望の高さに持ち上げることができ、被介護者の楽な姿勢で移動を行うことができ、使用性に優れる。
(3)駆動機構部により、着座部及び胸当部を上昇させることができるため、従来の車椅子では届かなかった場所にも手が届き、高所への物の出し入れやドアの開閉、洗面や料理等も簡便に行うことが可能で、作業範囲を広げることができ、機能性に優れる。
(4)ピストンシリンダのみで簡便かつ確実に着座部を上下動させることができ、ベッドや便器等の移乗対象に対する着座部の高さ調整が容易で使用性に優れる。
(5)着座部がピストンシリンダで上下動のみを行うので、重心位置が前後に大きく変化することがなく、キャスター付き補助フレームによるバランス調整が不要で、使用性に優れる。
(6)ピストンシリンダを用いることにより、部品点数を低減し、駆動機構部の構成を簡素化して、小型化、軽量化を図ることができ、量産性、メンテナンス性に優れる。
(7)着座部及び胸当部を前傾させることにより、被介護者を体重を胸当部に預けることができ、特に、脊椎に損傷のある被介護者の負担を大幅に軽減することができ、楽な姿勢で長時間乗車することができ、使用性、汎用性に優れる。
本発明は、足腰の弱った老人や肢体不自由者等の介護を必要とする被介護者が、体の向きを変えずにベッドや便座等との間で移乗することができ、取扱い性に優れ、立位姿勢と座位姿勢の両方の姿勢を保持することができ、機能性、汎用性に優れ、構造が簡素で、介護者の手を借りることなく、一人でも容易に利用することができ、特に被介護者の背中や腰などに負荷を与えることがなく、脊椎等に損傷がある場合でも無理なく利用することが可能で、汎用性、取扱い性に優れる移乗・移動装置の提供を行うもので、1台の移乗・移動装置を移乗・移動用やリハビリ用などの様々な用途に使い分けることを可能として、被介護者だけでなく、介護者や医師などの負担を軽減することができる。
加えて、健常者の長期間の移動をサポートする手段としても使用可能であり、例えばテーマパークであったり、ゴルフ場、公園などでの使用にも有効である。
加えて、健常者の長期間の移動をサポートする手段としても使用可能であり、例えばテーマパークであったり、ゴルフ場、公園などでの使用にも有効である。
1,1A 移乗・移動装置
2 台車部
2a 上面
2b ガイド孔
2c 回動軸保持板
3a 駆動輪
3b 後輪
4 キャスター付き補助フレーム
4a,4b 連結軸
5 キャスター
10,10A 駆動機構部
10a,10b 回動軸保持部
11 第1連結回動軸
11a 屈曲部
12 第2連結回動軸
13 第3連結回動軸
13a 連結回動軸
14 第4連結回動軸
15 前方リンク部
15a,15b,16a,16b リンク軸
16 後方リンク部
17 前方連結軸
18 後方連結軸
20 リンク駆動部
20a ピストンシリンダ
21 支柱
22 着座部
22a 挿通部
22b 固定操作部
23 胸当部
23a 挿通孔
23b 係合孔
24 把持部
25 脚部保持部
25a 膝当部
30 便器
30a 便座
31 操作部
X 被介護者
2 台車部
2a 上面
2b ガイド孔
2c 回動軸保持板
3a 駆動輪
3b 後輪
4 キャスター付き補助フレーム
4a,4b 連結軸
5 キャスター
10,10A 駆動機構部
10a,10b 回動軸保持部
11 第1連結回動軸
11a 屈曲部
12 第2連結回動軸
13 第3連結回動軸
13a 連結回動軸
14 第4連結回動軸
15 前方リンク部
15a,15b,16a,16b リンク軸
16 後方リンク部
17 前方連結軸
18 後方連結軸
20 リンク駆動部
20a ピストンシリンダ
21 支柱
22 着座部
22a 挿通部
22b 固定操作部
23 胸当部
23a 挿通孔
23b 係合孔
24 把持部
25 脚部保持部
25a 膝当部
30 便器
30a 便座
31 操作部
X 被介護者
Claims (4)
- 底部に複数の電動車輪が配設された台車部と、前記台車部上に配設され被介護者が前記台車部後方から着座する着座部と、前記着座部の前端側に立設され前記被介護者の胸部に当設する胸当部と、前記台車部に搭載され前記着座部及び/又は前記胸当部を(a)前記台車部の前後方向と直交する水平軸周りに回動させる、又は(b)前記台車部の上下方向に上下動させる駆動機構部と、前記胸当部と着座部に対しての柔軟な素材による緩衝材と、被介護者の正面中心付近に備えられた前記電動車輪の操作部と、前記胸当部の少なくとも一側部又は前部に水平面内で回動自在に配設された把持部と、前記台車部の前方に配設され前記着座部を前傾させる際に前記被介護者の脚部の少なくとも一部を保持する柔軟な素材による緩衝材を配置した脚部保持部及び/又は前記着座部と連動して上下することを特徴とする前記脚部保持部と、当該移乗・移動装置全体を樹脂または金属等の外囲器で覆い内部構造を外部から遮蔽すると共に美観性を向上させるカバーと、を備えたことを特徴とする移乗・移動装置。
- 前記駆動機構部が、前記台車部に配設された前後2箇所の第1,第2連結回動軸と、前記着座部の下部に配設された前後2箇所の第3,第4連結回動軸と、前記第1連結回動軸と前記第3連結回動軸を連結する1以上のリンク軸を有する前方リンク部と、前記第2連結回動軸と前記第4連結回動軸を連結する1以上のリンク軸を有する後方リンク部と、両端部がそれぞれ前記前方リンク部及び前記後方リンク部に回動自在に連結されて伸縮するリンク駆動部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の移乗・移動装置。
- 前記着座部及び/又は前記胸当部が、前記第3連結回動軸又は前記第3連結回動軸と前記第4連結回動軸を回動自在に保持する回動軸保持部のいずれかに立設された支柱に摺動自在に配設されたことを特徴とする請求項2に記載の移乗・移動装置。
- 移乗・移動装置の加速度の絶対値及び/又は方向を検出することにより、その検出地を打ち消す方向に、左右の電動車輪を差動的に回転させると共に前記着座部の位置を前記台座部の上下方向及び/又は水平方向に回動させることを特徴とする前記請求項3に記載の移乗・移動装置。
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---|---|---|---|
JP2010228466A JP2015037437A (ja) | 2010-10-08 | 2010-10-08 | 移乗・移動装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010228466A JP2015037437A (ja) | 2010-10-08 | 2010-10-08 | 移乗・移動装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=52630993
Family Applications (1)
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Country | Link |
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- 2010-10-08 JP JP2010228466A patent/JP2015037437A/ja active Pending
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A02 | Decision of refusal |
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