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JP2014132042A - 樹脂組成物の製造方法、光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

樹脂組成物の製造方法、光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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JP2014132042A JP2011088902A JP2011088902A JP2014132042A JP 2014132042 A JP2014132042 A JP 2014132042A JP 2011088902 A JP2011088902 A JP 2011088902A JP 2011088902 A JP2011088902 A JP 2011088902A JP 2014132042 A JP2014132042 A JP 2014132042A
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Abstract

【課題】アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物であって、当該両樹脂の相溶性を改善した樹脂組成物の製造方法と、劣悪環境化での性能劣化を改善した光学フィルムを提供する。また、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、前記アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを超臨界流体の存在下で溶融混練する工程、押出機より前記超臨界流体を排出する工程、及び前記溶融混練して得た溶融樹脂組成物を成形する工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法及び当該製造方法により製造された光学フィルムに関する。また、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶テレビやパソコンの液晶ディスプレイ等の用途で、需要が拡大している。
通常、液晶表示装置は、透明電極、液晶層、カラーフィルター等をガラス板で挟み込んだ液晶セルと、その両側に設けられた二枚の偏光板で構成されており、それぞれの偏光板は、偏光子(「偏光膜」ともいう。)を二枚の光学フィルム(偏光子保護フィルム)で挟んだ構成となっている。このような光学フィルムとしては、通常、セルロースエステルフィルムが用いられている。
一方、近年の技術の進歩により、液晶表示装置の大型化が加速するとともに、液晶表示装置の用途が多様化している。例えば、街頭や店頭に設置される大型ディスプレイとしての利用や、デジタルサイネージと呼ばれる表示機器を用いた公共の場における広告用ディスプレイへの利用等が挙げられる。
このような用途においては、屋外での利用が想定されるため、セルロースエステルフィルムの直射日光・雨ざらし・高温などによる劣化が問題になり、より高い耐熱・耐湿性等が求められている。
また、最近では、液晶表示装置等の表示装置(ディスプレイ)はあらゆる場所で活躍するデバイスとなってきており、例えば、工業研究の分野では積極的に劣悪環境を生み出す環境試験室などにも導入されてきているため、光学フィルムなどの表示装置(ディスプレイ)部材の耐久性は益々求められている。
しかしながら、表示装置(ディスプレイ)おいて従来用いられているセルローストリアセテートフィルム等のセルロースエステルフィルムでは、十分な耐熱性、耐湿性、耐久性等を得ることは困難であった。
一方、屋外のデジタルサイネージや車載用途などの直射日光・雨ざらし・高温などの劣悪な使用環境の中で、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂を混合させた光学フィルムが好適に用いられることが分かった(例えば特許文献1参照)。
溶液製膜では、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂の相溶性がよく、透明性が確保できたが、溶融製膜では、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂の混合が溶液状態で行うよりも相溶性が悪く、透明性が確保できないといった問題点があった。
この相溶性に関する問題に関しては、リン系化合物や側鎖にヒドロキシ基(OH)を有するアクリルポリマーを添加することでセルロースエステル樹脂とアクリル樹脂の相溶性を向上させる手段が提案されている(例えば特許文献2及び3参照)。
しかし、上記の手段では、通常用途での透明性は確保できるが、劣悪環境のもとでは、ヘイズが上昇したり、ハードコートや反射防止コート層などの塗工層と光学フィルムの間の密着性が劣化することが、本発明者の検討で分かった。
また、一方、光学フィルムの製造方法として一般的な、塩化メチレンのようなハロゲン系の溶媒を使用する溶液流延製膜法による製造方法を用いる場合には、大型ディスプレイ用光学フィルムの需要が伸び、大面積フィルムの需要が伸びるほど、生産時に使用する溶媒の量が増加してしまい、これからの環境適性要望と実態がマッチせず、しかも、溶媒回収に要する費用は非常に大きな負担となっていた。
特開2009−179731号公報 国際公開第2010/044313号 特開2010−122340号公報
本発明は、上記問題・状況にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物であって、当該両樹脂の相溶性を改善した樹脂組成物の製造方法と、劣悪環境化での性能劣化を改善した光学フィルムを提供することである。また、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、前記アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを超臨界流体の存在下で溶融混練する工程、押出機より前記超臨界流体を排出する工程、及び前記溶融混練して得た溶融樹脂組成物を成形する工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
2.前記溶融樹脂組成物をフィルム状に成形し、かつ当該溶融樹脂組成物の押出から搬送・巻取までの工程を連続して行うことを特徴とする前記第1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
3.前記第1項又は第2項に記載の樹脂組成物の製造方法により製造されたことを特徴とする光学フィルム。
4.ハードコート層を有することを特徴とする前記第3項に記載の光学フィルム。
5.前記ハードコート層上に反射防止層を有することを特徴とする前記第4項に記載の光学フィルム。
6.前記第3項又は第4項に記載の光学フィルムが具備されていることを特徴とする偏光板。
7.前記第3項又は第4項に記載の光学フィルムが具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物であって、当該両樹脂の相溶性を改善した樹脂組成物の製造方法と、劣悪環境化での性能劣化を改善した光学フィルムを提供することができる。また、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
なお、本発明においては、超臨界流体の存在下で、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを混練することで、両樹脂の相溶性を向上させることができる。また、当該相溶性の向上により、耐湿・耐熱性を向上し、耐久性を改善した光学フィルムを製造することができる。さらに、ハードコート塗布したときの耐光密着性を向上させることができる。
アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶融組成物の調製装置模式図 アクリル樹脂/セルロースエステル樹脂含有フィルムの製膜装置模式図
本発明の樹脂組成物の製造方法は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、前記アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを超臨界流体の存在下で溶融混練する工程、押出機より前記超臨界流体を排出する工程、及び前記溶融混練して得た溶融樹脂組成物を成形する工程を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記溶融樹脂組成物をフィルム状に成形し、かつ当該溶融樹脂組成物の押出から搬送・巻取までの工程を連続して行う態様であることが好ましい。
本発明の製造方法は、光学フィルムに製造方法として、好適に用いることができる。
また、当該光学フィルムは、偏光板及び液晶表示装置に好適に具備することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(本発明の樹脂組成物の製造方法の概要)
本発明の樹脂組成物の製造方法は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、前記アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを超臨界流体の存在下で溶融混練する工程、押出機より前記超臨界流体を排出する工程、及び前記溶融混練して得た溶融樹脂組成物を成形する工程を有することを特徴とする。
ここで、「超臨界流体」とは、臨界温度以上でかつ臨界圧力以上の状態にある流体をいう。超臨界流体は、高い運動エネルギーを有する高密度流体と理解でき、溶質を溶解するという点では液体的な挙動を、密度の可変性という点では気体的な特徴を示す。超臨界流体の溶媒特性はいろいろあるが、低粘性で高拡散性であり固体材料への浸透性が優れていることが重要な特性である(参照:齋藤正三郎監修「超臨界流体の科学と技術」1996年、三共ビジネス)。
なお、本願においては、気液固三態の移り変わりを表した状態図(相図)において、超臨界流体を与える温度・圧力領域を「超臨界領域」という。
また、臨界温度よりわずかに低い温度域での高密度領域を、一般に、亜臨界領域と呼ぶが、本願においては、亜臨界領域を、温度が溶媒の沸点以上で、圧力が10kgf/cm(1.013MPa)以上である領域と定義する。
以下において、本発明に有用な超臨界流体及び超臨界状態について更に詳細な説明をする。
ある物質に対して、温度と圧力とを上昇させていくと、ある条件になったところで物質は液体と気体の中間の性質を持つ流体となる。これは臨界温度(「超臨界温度」ともいう。)Tcと臨界圧力(「超臨界圧力」ともいう。)Pcを越えた領域での物質を超臨界流体といい、この状態を超臨界状態という。
超臨界状態における超臨界流体は、常態の液体よりも二桁も大きい拡散係数を持ち、粘度は気体並になる。食品、香料、医薬品分野での抽出、ファインセラミックの成型過程での利用、超微細発砲ポリマーの製造、難分解化合物や有害物質の分解、原料回収等幅広く応用されている。これらは超臨界状態の物質が他の物質内に拡散する性質を利用したものである。
本発明は、この超臨界流体の物質の他の物質への拡散し易いことと粘度が気体並であるという性質に注目し、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を完全な状態に溶解させる方法を鋭意検討した結果、従来、大量の塩化メチレン(メチレンクロライド)若しくは酢酸メチル等の有機溶媒に溶解していたセルロースエステル樹脂等を、超臨界流体を用いることにより溶解させることができ、次いで超臨界流体を揮発させることで揮発成分を一緒に除去できるため、セルロースエステル樹脂原料等の不均一性や異物、更に添加剤の不均一性の影響による製膜時の破断が著しく低減でき、さらに仕上がりフィルムの光学特性のばらつきも改善されることを見出し、本発明を成すに至った次第である。
本発明者等は、必ずしも臨界温度Tc及び臨界圧力Pcを共に越えた領域の超臨界点以上の領域とならなくとも、TcあるいはPcの何れか一方を越えた状態においても超臨界流体に似た状態が発生し、同様な効果があることを認めた。
従って、本発明においては、Tcを越えた領域あるいはPcを越えた領域の何れか、あるいはTcとPcを共に越えた超臨界点以上の領域を総称して「超臨界状態」という。そしてそれらの領域で発生する流体を「超臨界流体」と総称していうこととする。以降、本発明において、超臨界流体となる物質を「超臨界流体」あるいは「超臨界物質」と呼ぶことがある。
超臨界流体となる物質は、常態において気体又は液体であり、下記のような物質を挙げることができる(カッコ内の前の数値はTc(℃)、後の数値はPc(MPa)である)。代表的なものとして、空気(−140.7、3.77)、メタン(−82.6、4.60)、エチレン(9.2、5.04)、二酸化炭素(31.1、7.38)、エタン(32.1、4.87)、プロパン(96.7、4.25)、アンモニア(132.4、11.28)、ブタン(152.0、3.80)、メタノール(239.4、8.09)、エタノール(240.7、6.14)、ベンゼン(289.0、4.90)、トルエン(318.6、4.11)、水(374.1、22.12)等が用いられる。
本発明において、超臨界流体となる物質は制限なく使用できるが、これらの内、本発明に好ましい超臨界物質としては、Tc及びPcの点から、エチレン、二酸化炭素、エタン、プロパンを好ましく挙げることができ、特に、二酸化炭素が温度圧力ともに使用し易い範囲にあること、無味、無臭、不燃、化学的に安定、有資源、安価、製品中に超臨界物質が残らない等の観点から好ましく用いることができる。二酸化炭素は、一般的に石炭からの重油の抽出、ポリマーからの残留モノマーの抽出、スプレー用溶媒などに用いられている。
本発明においては、上述のように、特に二酸化炭素を用いることが好ましい。二酸化炭素の臨界温度は31.1℃、臨界圧力は75.3kgf/cm(7.38MPa)と比較的扱いやすく、大気圧下で不活性なガスゆえ残存しても人体に無害であり、高純度流体が安価で容易に入手できる等といった理由により好適である。本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む。)の二酸化炭素の好適な圧力は、80〜500kgf/cm(7.8〜49MPa)、好ましくは90〜400kgf/cm(8.8〜39MPa)、より好ましくは100〜200kgf/cm(9.8〜19.6MPa)である。また、好適な臨界状態の二酸化炭素ガスの温度としては、32〜200℃、好ましくは35〜100℃、さらに好ましくは40〜80℃である。これらの範囲内で、温度及び圧力を適宜選択して組み合わせることにより、超臨界状態(亜臨界状態を含む。)とするのがよい。
その際、溶解助剤として、低級アルコール、グリコール、グリコールエーテル等を一種又は二種以上を併用してもよい。
〈アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する溶融樹脂組成物の製造方法〉
本発明に係る超臨界状態での溶融樹脂組成物の製造方法は、超臨界流体が樹脂の分子レベルで樹脂分子を分離させるので、溶媒の溶媒和を助長し、ほぼ完全な溶液とすることが可能である。良溶媒のみならず、通常では良溶媒となり得ない溶媒でも溶解能を向上させることができる。
例えば、耐熱性樹脂のように溶解し難い樹脂も容易に溶解することができるし、溶媒の使用が制限され他の状態では溶解し難い溶媒を使用しなければならない場合でも超臨界状態で溶解させることによって溶液を得ることができる。さらに、溶液中の不純物の存在によって結晶が成長するような場合でも結晶化が妨げられ易い。また、高濃度であっても超臨界状態では溶液粘度が低く、移送することも、濾過することも容易で、以上の如く溶媒の代わりに可塑剤を添加して溶解させることができる等、通常では考えられなかったことを容易に達成することができるものである。
溶液中の樹脂の濃度(溶液の質量に対する樹脂の質量の割合を%で表す。)は、5〜60質量%の範囲で樹脂を溶解することができ、好ましくは10〜50質量%である。
ここで、本発明に係るアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶融組成物を調製する装置及び溶解方法の概略を説明するが、これに限定されない。
図1は、例えば、二酸化炭素を使用するバッチ式のアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する溶融樹脂組成物(溶液)調製装置の模式図である。本発明に用いる耐圧性溶解容器6は50〜500気圧程度の耐圧性があれば制限なく使用できるが、耐圧性は二酸化炭素を超臨界物質として使用する場合は、150気圧に耐えればよい。
耐圧性溶解容器6には、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂、溶媒、その他の添加剤、超臨界物質、充填ガス等を導入するに当たり定まった順序はないが、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を初めに導入するのが好ましい。
溶解に先だって予めアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂と、それに続いて溶媒、若しくは他の添加剤を投入(何れの投入手段も図示してない。)して、窒素又は二酸化炭素ガスで溶解容器6内の空気を置換しておき、溶解温度を、超臨界物質の超臨界温度以上に加温(加温手段は図示してない。)しておく。
二酸化炭素ボンベ1から導管2を通して二酸化炭素ガスを加圧装置3に導入し、加熱器(熱交換器)4で加熱して二酸化炭素を超臨界流体とし、弁5を通して耐圧性溶解容器6に導入する。所定量の超臨界流体の二酸化炭素を耐圧性溶解容器6に導入し終わったら弁5を閉じ、超臨界流体と混合相溶した溶媒とアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを所定の時間、攪拌しながら(攪拌手段は図示してない)二酸化炭素の超臨界状態を維持する。
アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶解が完了し均一にした後、調節弁7を開き、超臨界状態の圧力と温度を保ちながら導管8を通して濾過装置9に導入し、濾過後減圧弁10を通して気液分離容器11に導入し、二酸化炭素ガスを弁12、導管13を経て減圧調節器14に導入し二酸化炭素ガスを開放15する。この二酸化炭素は、リサイクリングされ、再び使用される。
一方、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶液は気液分離容器11の下方にたまり必要に応じて弁16から、例えば乾燥装置方向へ導管17に送られる。
本発明に使用する濾過装置9には、通常の濾過方法を用いることができ、濾紙を濾材として用いるフィルタープレス方式、ステンレス鋼線を用いるリーフディスクフィルター方式等を用いることができる。超臨界状態のアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶解物を濾過したものを、溶融流延のアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との原料として用いると破断が少なくなるため特に好ましい。濾過は前段で目の粗い濾過装置を通して大きな異物を除去し、後半で微細な濾過装置で微細な異物を除去する二段以上で行ってもよい。本発明におけるアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶液の濾過は超臨界状態で行われる。超臨界状態で濾過を行うことによって、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とが高濃度であっても溶液粘度が低く、フィルターの圧力損失が殆どなく容易にしかも長時間濾過を継続することができる。また、若干圧力を低下させて濾材に負担をかけないようにして濾過装置を通過させてもよい。
濾過後、超臨界物質を系内から系外へ除去して真の溶液とするが、除去する手段としては、減圧弁を通してから容積の比較的大きい気液分離容器11に導入して圧力を低下させて二酸化炭素ガスを減圧調節できるようにするのが好ましい。また超臨界物質(二酸化炭素ガス)を系外に排出する際の温度は0〜120℃で行い、減圧して得られたアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶融組成物は、超臨界流体や溶媒などの揮発性の残留物を除去するため、40〜120℃にして、残留物を揮発、乾燥させることができる。また、その際に1気圧以下に減圧してもよい。いずれにしても減圧の際は、その低下させる温度を臨界温度以下にするが、その後の工程に供する際の温度付近に調整するのが好ましい。図1はバッチ式であるが、図示はしてないが、連続調製装置によってもアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを溶解調製することができる。
例えば、本発明においては、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶融組成物中の揮発成分を適当な乾燥装置により乾燥させることが必要である。
例えば、超臨界状態のアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶融組成物と溶媒を用いてアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶融組成物を調製した場合、得られたアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶融組成物から溶媒及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、押出機からストランド状に押し出し冷却後ペレット化して回収し、得られたペレットを下記の乾燥機を用いて更に水分或いは残存揮発成分を除去することもできる。
乾燥装置としては、気流乾燥機、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等を挙げることができるが、これらの中では気流乾燥機が好ましい。また、2次乾燥の乾燥装置としては、振動気流乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機等を挙げることができるが、これらの中では振動気流乾燥機が好ましい。
本発明は、上記の如くアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との溶融組成物を超臨界流体で液状物にし、次いで、乾燥させたアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする。
本発明における「溶融流延」とは、溶媒を用いずアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を含む溶融物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後流動性のアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を含む溶融物をエンドレスベルト、若しくはドラム上に押し出し製膜することを意味する。
流延に用いられる各種添加物を含んでもよいアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂溶融物には、殆ど揮発性溶媒を含まないが、一方でそのアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂溶融物を調製する過程の一部では溶媒を使用してもよい。超臨界流体に用いられたガス(炭酸ガス)や溶媒、水分等の揮発成分が残存していると発泡により故障となることがあるため、発泡が生じない程度まで乾燥工程にて低減させることが望ましい。
図2は、溶融流延製膜方法により製膜するアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有するフィルム製造装置の模式図である。
アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する溶融樹脂組成物を調製装置で溶融混錬(溶解)して得た溶融樹脂組成物をそのまま、又は、必要に応じてペレット化して、溶融流延製膜装置の押し出しダイス21に送る。
溶融された溶融樹脂組成物(ドープ22)は、押し出しダイス21から製膜ドラム25(一つ以上のドラムで支えられている)に押し出され、剥離点24でウェブ23を剥離し、テンター装置26内で延伸され、巻き取り機27でフィルムとして巻き取られる。テンター装置26は温風を導入することができ、温度をかけながらテンターで幅保持し延伸する。また、フィルムの使用目的によっては、テンター内で長手方向に延伸する方法もある。
なお、本発明においては、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する溶融樹脂組成物の製造のために用いる装置としては、種々の態様の装置を用いることができるが、例えば、特開平11−263858号公報、特開2002−273777号公報、特開2005−59370号公報等に開示されている装置を用いることができる。
<溶融流延製膜方法による光学フィルムの製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、前記アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを超臨界流体の存在下で溶融混練する工程、押出機より前記超臨界流体を排出する工程、及び前記溶融混練して得た溶融樹脂組成物を成形する工程を有することを特徴とする。
本発明に係る樹脂組成物は、フィルム状、ペレット状等に成形することができる。
本発明においては、特に樹脂組成物を光学フィルムとする場合、前記溶融樹脂組成物をフィルム状に成形し、かつ当該溶融樹脂組成物の押出から搬送・巻取までの工程を連続して行う態様の方法であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を所定の質量比で含有した樹脂組成物を溶融してダイから押出して、冷却ロール上に流延する光学フィルムの製造方法である。
以下、製造方法の全体について詳細に述べる。
〈溶融ペレット製造工程〉
溶融押出に用いるアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、その他の添加剤からなる光学フィルムを構成する組成物は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことも好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥アクリル樹脂、乾燥セルロースエステル樹脂やその他添加剤をフィーダーで押出機に供給し一軸や二軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることで、できる。
原材料は、押出する前に乾燥しておくことが原材料の分解を防止する上で重要である。特にセルロースエステルは吸湿しやすいので、除湿熱風乾燥機や真空乾燥機で70〜140℃で3時間以上乾燥し、水分率を200ppm以下、更に100ppm以下にしておくことが好ましい。
添加剤は、押出機に供給押出機合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
酸化防止剤の混合は、固体同士で混合してもよいし、必要により、酸化防止剤を溶剤に溶解しておき、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂に含浸させて混合してもよく、あるいは噴霧して混合してもよい。
真空ナウターミキサーなどが乾燥と混合を同時にできるので好ましい。また、フィーダー部やダイからの出口など空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したNガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
押出機は、せん断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、二軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
〈溶融混合物をダイから冷却ロールへ押し出す工程〉
上記調製法により調製した樹脂組成物を、一軸や二軸タイプの押出機を用いて、押し出す際の溶融温度Tmを200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどでろ過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に共押出し、冷却ロール上で固化し、弾性タッチロールと押圧しながら流延する。
供給ホッパーから押出機へ導入する際は真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。なお、Tmは、押出機のダイ出口部分の温度である。
ダイに傷や可塑剤の凝結物等の異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥のことをダイラインとも呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。
押出機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。具体的には、ハードクロムメッキやセラミック溶射したものを表面粗さ0.2S以下となるように研磨したものが挙げられる。
本発明において冷却ロールには特に制限はないが、高剛性の金属ロールで内部に温度制御可能な熱媒体又は冷媒体が流れるような構造を備えるロールであり、大きさは限定されないが、溶融押し出されたフィルムを冷却するのに十分な大きさであればよく、通常冷却ロールの直径は100mmから1m程度である。
冷却ロールの表面材質は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。さらに表面の硬度を上げたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。
冷却ロール表面の表面粗さは、Raで0.1μm以下とすることが好ましく、さらに0.05μm以下とすることが好ましい。ロール表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面も平滑にできるのである。もちろん表面加工した表面はさらに研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
本発明において、弾性タッチロールとしては、特開平03−124425号、特開平08−224772号、特開平07−100960号、特開平10−272676号、WO97−028950号、特開平11−235747号、特開2002−36332号、特開2005−172940号や特開2005−280217号公報に記載されているような表面が薄膜金属スリーブ被覆シリコンゴムロールを使用することができる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
〈延伸工程〉
本発明では、上記のようにして得られたフィルムは冷却ロールに接する工程を通過後、さらに少なくとも1方向に1.01〜3.0倍延伸することもできる。
好ましくは縦(フィルム搬送方向)、横(巾方向)両方向にそれぞれ1.1〜2.0倍延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。特に光学フィルムが、偏光板保護フィルムを兼ねる場合は、延伸方向を巾方向とすることで偏光フィルムとの積層がロール形態で、できるので好ましい。
巾方向に延伸することで光学フィルムの遅相軸は巾方向になる。
通常、延伸倍率は1.1〜3.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍であり、延伸温度は、通常、フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+50℃の温度範囲で行われる。
延伸は、長手方向もしくは幅手方向で制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
上記の方法で作製した光学フィルムのリターデーション調整や寸法変化率を小さくする目的で、フィルムを長手方向や幅手方向に収縮させてもよい。
長手方向に収縮するには、例えば、巾延伸を一時クリップアウトさせて長手方向に弛緩させる、又は横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。
遅相軸方向の均一性も重要であり、フィルム巾方向に対して、角度が−5〜+5°であることが好ましく、さらに−1〜+1°の範囲にあることが好ましく、特に−0.5〜+0.5°の範囲にあることが好ましく、特に−0.1〜+0.1°の範囲にあることが好ましい。これらのばらつきは延伸条件を最適化することで達成できる。
本発明の光学フィルムは、隣接する山の頂点から谷の底点までの高さが300nm以上であり、傾きが300nm/mm以上の長手方向に連続するスジがないことが好ましい。
スジの形状は、表面粗さ計を用いて測定したもので、具体的には、ミツトヨ製SV−3100S4を使用して、先端形状が円錐60°、先端曲率半径2μmの触針(ダイヤモンド針)に測定力0.75mNの加重をかけながら、測定速度1.0mm/secでフィルムの巾方向に走査し、Z軸(厚さ方向)分解能0.001μmとして断面曲線を測定する。
この曲線から、スジの高さは、山の頂点から谷の底点までの垂直距離(H)を読み取る。スジの傾きは、山の頂点から谷の底点までの水平距離(L)を読み取り、垂直距離(H)を水平距離(L)で除して求める。
本発明の光学フィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明の光学フィルムの膜厚に特に制限はないが、後述する偏光板保護フィルムに使用する場合は20〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。
〈含有溶媒量〉
本発明の光学フィルムは、溶融流延製膜方法によって作製することから、ロール状フィルムとして巻き取った時点で、含有している溶媒量が0.01質量%以下である。含有溶媒量は、下記の方法によって測定することができる。
各試料を20mlの密閉ガラス容器に入れ、下記ヘッドスペース加熱条件にて処理したあと、下記ガスクロマトグラフィーにて予め使用した溶媒について検量線を作製し測定を行った。含有溶媒量は、光学フィルムの全体の質量に対する質量部で表した。
機器:HP社 5890SERIES II
カラム:J&W社 DB−WAX(内径0.32mm、長さ30m)
検出:FID
GC昇温条件:40℃で5分間保持したあと、80℃/分で100℃まで昇温
ヘッドスペース加熱条件:120℃で20min
〈アクリル樹脂〉
本発明に用いられるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは二種以上の単量体を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムに用いられるアクリル樹脂は、特に光学フィルムとしての脆性の改善及びセルロースエステル樹脂と相溶した際の透明性の改善の観点で、重量平均分子量(Mw)が110000〜1000000である。
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、130000〜300000の範囲内であることが最も好ましい。
本発明に係るアクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)により測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系及びアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。重合温度については、懸濁又は乳化重合では30〜100℃、塊状又は溶液重合では80〜160℃で実施しうる。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
本発明に係るアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル樹脂は二種以上を併用することもできる。
〈セルロースエステル樹脂〉
本発明に係るセルロースエステル樹脂は、特に脆性の改善やアクリル樹脂と相溶させたときに透明性の観点から、アシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であることが好ましい。即ち、本発明に係るセルロースエステル樹脂は炭素数が3〜7のアシル基により置換されたセルロースエステル樹脂であり、具体的には、プロピオニル、ブチリル等が好ましく用いられるが、特にプロピオニル基が好ましく用いられる。
セルロースエステル樹脂の、アシル基の総置換度が2.0を下回る場合、即ち、セルロースエステル分子の2,3,6位のヒドロキシ基(水酸基)の残度が1.0を上回る場合には、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂が十分に相溶せず光学フィルムとして用いる場合にヘイズが問題となる。
また、アシル基の総置換度が2.0以上であっても、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2を下回る場合は、やはり十分な相溶性が得られないか、脆性が低下することとなる。例えば、アシル基の総置換度が2.0以上の場合であっても、炭素数2のアシル基、即ちアセチル基の置換度が高く、炭素数3〜7のアシル基の置換度が1.2を下回る場合は、相溶性が低下しヘイズが上昇する。
また、アシル基の総置換度が2.0以上の場合であっても、炭素数8以上のアシル基の置換度が高く、炭素数3〜7のアシル基の置換度が1.2を下回る場合は、脆性が劣化し、所望の特性が得られない。
本発明に係るセルロースエステル樹脂のアシル置換度は、総置換度(T)が2.0〜3.0であり、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であれば問題ないが、炭素数が3〜7以外のアシル基、即ち、アセチル基や炭素数が8以上のアシル基の置換度の総計が1.3以下とされることが好ましい。
また、セルロースエステル樹脂のアシル基の総置換度(T)は、2.5〜3.0の範囲であることがさらに好ましい。
本発明において前記アシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族アシル基であってもよい。脂肪族アシル基の場合は、直鎖であっても分岐していても良く、さらに置換基を有してもよい。本発明におけるアシル基の炭素数は、アシル基の置換基を包含するものである。
上記セルロースエステル樹脂が、芳香族アシル基を置換基として有する場合、芳香族環に置換する置換基Xの数は0〜5個であることが好ましい。この場合も、置換基を含めた炭素数が3〜7であるアシル基の置換度が1.2〜3.0となるように留意が必要である。例えば、ベンゾイル基は炭素数が7になる為、炭素を含む置換基を有する場合は、ベンゾイル基としての炭素数は8以上となり、炭素数が3〜7のアシル基には含まれないこととなる。
さらに、芳香族環に置換する置換基の数が二個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
上記のようなセルロースエステル樹脂においては、炭素数3〜7の脂肪族アシル基の少なくとも一種を有する構造を有することが、本発明に係るセルロースエステル樹脂に用いる構造として用いられる。
本発明に係るセルロースエステル樹脂としては、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、即ち、炭素原子数3又は4のアシル基を置換基として有するものが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステル樹脂は、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースプロピオネートである。
アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシ基(水酸基)として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
本発明に係るセルロースエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特にアクリル樹脂との相溶性、脆性の改善の観点から75000以上であり、75000〜300000の範囲であることを要する。好ましくは、100000〜240000の範囲内であり、160000〜240000のものが特に好ましい。セルロースエステル樹脂の重要平均分子量(Mw)が75000を下回る場合は、耐熱性や脆性の改善効果が十分ではなく、本発明の効果が得られない。本発明では二種以上のセルロース樹脂を混合して用いることもできる。
本発明の光学フィルムにおいて、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂は、当該両樹脂の特徴を活かす観点から、95:5〜30:70の質量比で含有されることが好ましい。更に好ましくは95:5〜50:50であり、特に好ましくは90:10〜60:40である。なお、当該樹脂が相溶状態で含有されることが好ましい。
本発明の光学フィルムにおいては、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂が相溶状態で含有されることが好ましい。
アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂が相溶状態となっているかどうかは、例えばガラス転移温度Tgにより判断することが可能である。
例えば、両者の樹脂のガラス転移温度が異なる場合、両者の樹脂を混合したときは、各々の樹脂のガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は二つ以上存在するが、両者の樹脂が相溶したときは、各々の樹脂固有のガラス転移温度が消失し、1つのガラス転移温度となって相溶した樹脂のガラス転移温度となる。
なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂は、それぞれ非結晶性樹脂であることが好ましく、いずれか一方が結晶性高分子、あるいは部分的に結晶性を有する高分子であってもよいが、本発明においてアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂が相溶することで、非結晶性樹脂となることが好ましい。
本発明の光学フィルムにおけるアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)やセルロースエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)や置換度は、両者の樹脂の溶媒に対して溶解性の差を用いて、分別した後に、それぞれ測定することにより得られる。
樹脂を分別する際には、いずれか一方にのみ溶解する溶媒中に相溶された樹脂を添加することで、溶解する樹脂を抽出して分別することができ、このとき加熱操作や環流を行ってもよい。これらの溶媒の組み合わせを二工程以上組み合わせて、樹脂を分別してもよい。溶解した樹脂と、不溶物として残った樹脂を濾別し、抽出物を含む溶液については、溶媒を蒸発させて乾燥させる操作によって樹脂を分別することができる。
これらの分別した樹脂は、高分子の一般の構造解析によって特定することができる。本発明の光学フィルムが、アクリル樹脂やセルロースエステル樹脂以外の樹脂を含有する場合も同様の方法で分別することができる。
また、相溶された樹脂の重量平均分子量(Mw)がそれぞれ異なる場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、高分子量物は早期に溶離され、低分子量物であるほど長い時間を経て溶離されるために、容易に分別可能であるとともに分子量を測定することも可能である。
また、相溶した樹脂をGPCによって分子量測定を行うと同時に、時間毎に溶離された樹脂溶液を分取して溶媒を留去し乾燥した樹脂を、構造解析を定量的に行うことで、異なる分子量の分画毎の樹脂組成を検出することで、相溶されている樹脂をそれぞれ特定することができる。事前に溶媒への溶解性の差で分取した樹脂を、各々GPCによって分子量分布を測定することで、相溶されていた樹脂をそれぞれ検出することもできる。
なお、本発明において、「アクリル樹脂やセルロースエステル樹脂を相溶状態で含有する」とは、各々の樹脂(ポリマー)を混合することで、結果として相溶された状態となることを意味しており、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル樹脂の前駆体をセルロースエステル樹脂に混合させた後に重合させることにより混合樹脂とされた状態は含まれないものとする。
例えば、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル樹脂の前駆体をセルロースエステル樹脂に混合させた後に重合されることにより混合樹脂を得る工程は、重合反応が複雑であり、この方法で作製した樹脂は、反応の制御が困難であり、分子量の調整も困難となる。また、このような方法で樹脂を合成した場合は、グラフト重合、架橋反応や環化反応が生じることが多く、溶媒に溶解しいケースや、加熱により溶融できなくなることが多く、混合樹脂中におけるアクリル樹脂を溶離して重量平均分子量(Mw)を測定することも困難である為、物性をコントロールすることが難しく光学フィルムを安定に製造する樹脂として用いることはできない。
本発明の光学フィルムは、光学フィルムとしての機能を損なわない限りは、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂以外の樹脂や添加剤を含有して構成されていても良い。
例えば、特開2007−231050号公報に開示されている樹脂組成物、すなわち、セルロースアシレート(アシルセルロース)と、このセルロースアシレートのヒドロキシ基にヒドロキシ酸成分がグラフト重合して形成されたグラフト鎖とで構成され、グラフト重合したヒドロキシ酸成分の割合が、セルロースアシレートを構成するグルコース単位1モルに対して、ヒドロキシ酸換算で平均0.1〜5モルであるヒドロキシ酸変性セルロースアシレート、及び熱可塑性樹脂(ゴム含有スチレン系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂など)で構成される樹脂組成物を、光学フィルムとしての機能を損なわない限り、用いることができる。
また、本発明においては、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂以外の樹脂を含有する場合、添加される樹脂が相溶状態であっても、相溶せずに混合されていてもよい。
本発明の光学フィルムにおけるアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の総質量は、光学フィルムの55質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは、70質量%以上である。
アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂以外の樹脂や添加剤を用いる際には、本発明の光学フィルムの機能を損なわない範囲で添加量を調整することが好ましい。
〈アクリル粒子〉
本発明の光学フィルムは、アクリル粒子を含有してもよい。
本発明に係るアクリル粒子とは、前記アクリル樹脂及びセルロースエステル樹脂を相溶状態で含有する光学フィルム中に粒子の状態(非相溶状態ともいう)で存在するアクリル成分を表す。
上記アクリル粒子は、例えば、作製した光学フィルムを所定量採取し、溶媒に溶解させて攪拌し、充分に溶解・分散させたところで、アクリル粒子の平均粒子径未満の孔径を有するPTFE製のメンブレンフィルターを用いて濾過し、濾過捕集された不溶物の重さが、光学フィルムに添加したアクリル粒子の90質量%以上あることが好ましい。
本発明に用いられるアクリル粒子は特に限定されるものではないが、二層以上の層構造を有するアクリル粒子であることが好ましく、特に下記多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。
多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層重合体、ゴム弾性を示す架橋軟質層重合体、及び最外硬質層重合体が、層状に重ね合わされてなる構造を有する粒子状のアクリル系重合体をいう。
すなわち、多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層、架橋軟質層、及び最外硬質層からなる多層構造アクリル系粒状複合体である。この三層コアシェル構造の多層構造アクリル系粒状複合体が好ましく用いられる。
本発明に係るアクリル系樹脂組成物に用いられる多層構造アクリル系粒状複合体の好ましい態様としては、以下の様なものが挙げられる。(a)メチルメタクリレート80〜98.9質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート1〜20質量%、及び多官能性グラフト剤0.01〜0.3質量%からなる単量体の混合物を重合して得られる最内硬質層重合体、(b)上記最内硬質層重合体の存在下に、アルキル基の炭素数が4〜8のアルキルアクリレート75〜98.5質量%、多官能性架橋剤0.01〜5質量%及び多官能性グラフト剤0.5〜5質量%からなる単量体の混合物を重合して得られる架橋軟質層重合体、(c)上記最内硬質層及び架橋軟質層からなる重合体の存在下に、メチルメタクリレート80〜99質量%とアルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレート1〜20質量%とからなる単量体の混合物を重合して得られる最外硬層重合体、よりなる3層構造を有し、かつ得られた3層構造重合体が最内硬質層重合体(a)5〜40質量%、軟質層重合体(b)30〜60質量%、及び最外硬質層重合体(c)20〜50質量%からなり、アセトンで分別したときに不溶部があり、その不溶部のメチルエチルケトン膨潤度が1.5〜4.0であるアクリル系粒状複合体、が挙げられる。
なお、特公昭60−17406号あるいは特公平3−39095号公報において開示されている様に、多層構造アクリル系粒状複合体の各層の組成や粒子径を規定しただけでなく、多層構造アクリル系粒状複合体の引張り弾性率やアセトン不溶部のメチルエチルケトン膨潤度を特定範囲内に設定することにより、さらに充分な耐衝撃性と耐応力白化性のバランスを実現することが可能となる。
ここで、多層構造アクリル系粒状複合体を構成する最内硬質層重合体(a)は、メチルメタクリレート80〜98.9質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート1〜20質量%及び多官能性グラフト剤0.01〜0.3質量%からなる単量体の混合物を重合して得られるものが好ましい。
ここで、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが好ましく用いられる。
最内硬質層重合体(a)におけるアルキルアクリレート単位の割合は1〜20質量%であり、該単位が1質量%未満では、重合体の熱分解性が大きくなり、一方、該単位が20質量%を越えると、最内硬質層重合体(c)のガラス転移温度が低くなり、3層構造アクリル系粒状複合体の耐衝撃性付与効果が低下するので、いずれも好ましくない。
多官能性グラフト剤としては、異なる重合可能な官能基を有する多官能性単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸のアリルエステル等が挙げられ、アリルメタクリレートが好ましく用いられる。多官能性グラフト剤は、最内硬質層重合体と軟質層重合体を化学的に結合するために用いられ、その最内硬質層重合時に用いる割合は0.01〜0.3質量%である。
アクリル系粒状複合体を構成する架橋軟質層重合体(b)は、上記最内硬質層重合体(a)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート75〜98.5質量%、多官能性架橋剤0.01〜5質量%及び多官能性グラフト剤0.5〜5質量%からなる単量体の混合物を重合して得られるものが好ましい。
ここで、アルキル基の炭素数が4〜8のアルキルアクリレートとしては、n−ブチルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく用いられる。
また、これらの重合性単量体と共に、25質量%以下の共重合可能な他の単官能性単量体を共重合させることも可能である。
共重合可能な他の単官能性単量体としては、スチレン及び置換スチレン誘導体が挙げられる。アルキル基の炭素数が4〜8のアルキルアクリレートとスチレンとの比率は、前者が多いほど重合体(b)のガラス転移温度が低下し、即ち軟質化できるのである。
一方、樹脂組生物の透明性の観点からは、軟質層重合体(b)の常温での屈折率を最内硬質層重合体(a)、最外硬質層重合体(c)、及び硬質熱可塑性アクリル樹脂に近づけるほうが有利であり、これらを勘案して両者の比率を選定する。
多官能性グラフト剤としては、前記の最内層硬質重合体(a)の項で挙げたものを用いることができる。ここで用いる多官能性グラフト剤は、軟質層重合体(b)と最外硬質層重合体(c)を化学的に結合するために用いられ、その最内硬質層重合時に用いる割合は耐衝撃性付与効果の観点から0.5〜5質量%が好ましい。
多官能性架橋剤としては、ジビニル化合物、ジアリル化合物、ジアクリル化合物、ジメタクリル化合物などの一般に知られている架橋剤が使用できるが、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量200〜600)が好ましく用いられる。
ここで用いる多官能性架橋剤は、軟質層(b)の重合時に架橋構造を生成し、耐衝撃性付与の効果を発現させるために用いられる。ただし、先の多官能性グラフト剤を軟質層の重合時に用いれば、ある程度は軟質層(b)の架橋構造を生成するので、多官能性架橋剤は必須成分ではないが、多官能性架橋剤を軟質層重合時に用いる割合は耐衝撃性付与効果の観点から0.01〜5質量%が好ましい。
多層構造アクリル系粒状複合体を構成する最外硬質層重合体(c)は、上記最内硬質層重合体(a)及び軟質層重合体(b)の存在下に、メチルメタクリレート80〜99質量%及びアルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレート1〜20質量%からなる単量体の混合物を重合して得られるものが好ましい。
ここで、アクリルアルキレートとしては、前述したものが用いられるが、メチルアクリレートやエチルアクリレートが好ましく用いられる。最外硬質層(c)におけるアルキルアクリレート単位の割合は、1〜20質量%が好ましい。
また、最外硬質層(c)の重合時に、アクリル樹脂との相溶性向上を目的として、分子量を調節するためアルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用い、実施することも可能である。
とりわけ、最外硬質層に、分子量が内側から外側へ向かって次第に小さくなるような勾配を設けることは、伸びと耐衝撃性のバランスを改良するうえで好ましい。具体的な方法としては、最外硬質層を形成するための単量体の混合物を二つ以上に分割し、各回ごとに添加する連鎖移動剤量を順次増加するような手法によって、最外硬質層を形成する重合体の分子量を多層構造アクリル系粒状複合体の内側から外側へ向かって小さくすることが可能である。
この際に形成される分子量は、各回に用いられる単量体の混合物をそれ単独で同条件にて重合し、得られた重合体の分子量を測定することによって調べることもできる。
本発明に好ましく用いられるアクリル粒子の粒子径については、特に限定されるものではないが、10〜1000nmであることが好ましく、さらに、20〜500nmであることがより好ましく、特に50〜400nmであることが最も好ましい。
本発明に好ましく用いられる多層構造重合体であるアクリル系粒状複合体において、コアとシェルの質量比は、特に限定されるものではないが、多層構造重合体全体を100質量部としたときに、コア層が50〜90質量部であることが好ましく、さらに、60〜80質量部であることがより好ましい。なお、ここでいうコア層とは、最内硬質層のことである。
このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製“メタブレン”、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”及びクラレ社製“パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし二種以上を用いることができる。
また、本発明に好ましく用いられるアクリル粒子として好適に使用されるグラフト共重合体であるアクリル粒子の具体例としては、ゴム質重合体の存在下に、不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体の混合物を共重合せしめたグラフト共重合体が挙げられる。
グラフト共重合体であるアクリル粒子に用いられるゴム質重合体には特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム及びエチレン系ゴムなどが使用できる。具体例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−メチルメタクリレート共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体、及びエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらのゴム質重合体は、一種又は二種以上の混合物で使用することが可能である。
また、本発明の光学フィルムにアクリル粒子を添加する場合は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との混合物の屈折率とアクリル粒子の屈折率が近いことが、透明性が高いフィルムを得る点では好ましい。具体的には、アクリル粒子とアクリル樹脂の屈折率差が0.05以下であることが好ましく、より好ましくは0.02以下、とりわけ0.01以下であることが好ましい。
このような屈折率条件を満たすためには、アクリル樹脂の各単量体単位組成比を調整する方法、及び/又はアクリル粒子に使用されるゴム質重合体あるいは単量体の組成比を調製する方法などにより、屈折率差を小さくすることができ、透明性に優れた光学フィルムを得ることができる。
なお、ここでいう屈折率差とは、アクリル樹脂が可溶な溶媒に、本発明の光学フィルムを適当な条件で十分に溶解させ白濁溶液とし、これを遠心分離等の操作により、溶媒可溶部分と不溶部分に分離し、この可溶部分(アクリル樹脂)と不溶部分(アクリル粒子)をそれぞれ精製した後、測定した屈折率(23℃、測定波長:550nm)の差を示す。
本発明においてアクリル樹脂に、アクリル粒子を配合する方法には、特に制限はなく、アクリル樹脂とその他の任意成分を予めブレンドした後、通常200〜350℃において、アクリル粒子を添加しながら一軸又は二軸押出機により均一に溶融混練する方法が好ましく用いられる。
また、アクリル粒子を予め分散した溶液を、アクリル樹脂、及びセルロースエステル樹脂を溶解した溶液(ドープ液)に添加して混合する方法や、アクリル粒子及びその他の任意の添加剤を溶解、混合した溶液をインライン添加する等の方法を用いることができる。
本発明に係るアクリル粒子としては、市販のものも使用することができる。
例えば、メタブレンW−341(三菱レイヨン(株)製)を、ケミスノーMR−2G、MS−300X(綜研化学(株)製)等を挙げることができる。
本発明の光学フィルムにおいて、該フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0.5〜30質量%のアクリル粒子を含有することが好ましく、1.0〜15質量%の範囲で含有することがさらに好ましい。
〈その他の添加剤〉
本発明の光学フィルムには、フィルムに加工性を付与する可塑剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)等の添加剤を含有させることが好ましい。
〈可塑剤〉
〈アクリル系オリゴマー〉
本発明の光学フィルムは、重量平均分子量Mwが500〜30000であるアクリル系オリゴマーを含有することも好ましい。
アクリル系オリゴマーを組み合わせることにより、脆性とブリードアウトを両立することができ、分子量が500より小さいと、ブリードアウトしやすいという問題があり、30000よりも大きいと、脆性改良において顕著な効果が見られなくなるという問題がある。
本発明に有用なアクリル系オリゴマーを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
エチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマーを構成するエチレン性不飽和モノマー単位としては:ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等;アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等;メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
アクリルオリゴマーは上記モノマーのホモポリマー又はコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30質量%以上を有していることが好ましく、また、メタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40質量%以上有することが好ましい。特にアクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
重量平均分子量が500〜30000のようなオリゴマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法で、できるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、更に特開2000−128911号又は同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級のヒドロキシ基(水酸基)とを有する化合物、或いは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いられるが、特に、該公報に記載の方法が好ましい。
本発明において、側鎖にヒドロキシ基(水酸基)を有するオリゴマーも好ましく用いることができる。ヒドロキシ基(水酸基)を有するモノマー単位としては、前記したモノマーと同様であるが、アクリル酸又はメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、又はこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることが出来、好ましくは、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。ポリマー中にヒドロキシ基(水酸基)を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルモノマー単位はポリマー中2〜20質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
アクリルオリゴマーの主鎖の少なくとも一方の末端にヒドロキシ基(水酸基)を有するようにする方法は、特に主鎖の末端にヒドロキシ基(水酸基)を有するようにする方法であれば限定ないが、アゾビス(2−ヒドロキシエチルブチレート)のようなヒドロキシ基(水酸基)を有するラジカル重合開始剤を使用する方法、2−メルカプトエタノールのようなヒドロキシ基(水酸基)を有する連鎖移動剤を使用する方法、ヒドロキシ基(水酸基)を有する重合停止剤を使用する方法、リビングイオン重合によりヒドロキシ基(水酸基)を末端に有するようにする方法、特開2000−128911号又は2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級のヒドロキシ基(水酸基)とを有する化合物、或いは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等により得ることが出来、特に該公報に記載の方法が好ましい。この公報記載に関連する方法で作られたポリマーは、綜研化学社製のアクトフロー・シリーズとして市販されており、好ましく用いることができる。上記の末端にヒドロキシ基(水酸基)を有するポリマー及び/又は側鎖にヒドロキシ基(水酸基)を有するポリマーは、本発明において、ポリマーの相溶性、透明性を著しく向上する効果を有する。
本発明に係るアクリルオリゴマーのヒドロキシ基(水酸基)価は30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
(ヒドロキシ価(水酸基価)の測定方法)
この測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる。このヒドロキシ基(水酸基)価は、試料1gをアセチル化させたとき、ヒドロキシ基(水酸基)と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピリジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加える。フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱する。1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加え、無水酢酸を酢酸に分解する。次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。更に空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求める。ヒドロキシ基(水酸基)価は、次の式によって算出する。
ヒドロキシ基(水酸基)価={(B−C)×f×28.05/X}+D
(式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、Cは滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは酸価、また、28.05は水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す)
本発明に係るアクリルオリゴマーの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することができる。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。また、重合温度は通常室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行われるが、この温度又は重合反応時間を調整することで可能である。
重量平均分子量の測定方法は下記方法によることができる。
(重量平均分子量測定方法)
重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
アクリルオリゴマーは本発明の光学フィルム100質量部に対して、0.5〜30質量部を添加するのが好ましい。
〈他の可塑剤〉
他の可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、あるいはエポキシ系等が挙げられ、用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用できる。
〈酸化防止剤〉
本発明では、酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。
特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物のものを好ましく用いることができる。
例えば、BASFジャパン株式会社から、“IrgafosXP40”、“IrgafosXP60”という商品名で市販されているものを含むものが好ましい。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、BASFジャパン株式会社、“Irganox1076”、“Irganox1010”、(株)ADEKA“アデカスタブAO−50”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGP”、株式会社ADEKAから“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”及び“ADK STAB 3010”、BASFジャパン株式会社から“IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、BASFジャパン株式会社から、“Tinuvin144”及び“Tinuvin770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“Sumilizer TPL−R”及び“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記二重結合系化合物は、住友化学株式会社から、“Sumilizer GM”及び“Sumilizer GS”という商品名で市販されているものが好ましい。
さらに、酸捕捉剤として米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤は、一種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系及び二重結合系化合物の併用は好ましい。
〈着色剤〉
本発明においては、着色剤を使用することが好ましい。着色剤というのは染料や顔料を意味するが、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果又はイエローインデックスの調整、ヘイズの低減を有するものを指す。
着色剤としては各種の染料、顔料が使用可能だが、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
〈紫外線吸収剤〉
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。高分子型の紫外線吸収剤としてもよい。
〈マット剤〉
本発明では、フィルムの滑り性を付与するためにマット剤を添加することが好ましい。
本発明で用いられるマット剤としては、得られるフィルムの透明性を損なうことがなく、溶融時の耐熱性があれば無機化合物又は有機化合物どちらでもよく、例えば、タルク、マイカ、ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレー、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ワラストナイト、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化チタン、炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭化ケイ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらのマット剤は、単独でも二種以上併用しても使用できる。
粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで高度に透明性と滑り性を両立させることもできる。
これらの中でも、セルロースエステルと屈折率が近いので透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いると得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。
粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。粒子の大きさが小さすぎると滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが特に好ましい。
なお、粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
〈粘度低下剤〉
本発明において、溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加することができる。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。
これらは、セルロース樹脂の分子間水素結合よりもセルロースとの間で強い水素結合を形成する能力を有するもので、本発明で行う溶融流延法においては、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移温度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセルロース樹脂組成物の溶融温度を低下することができる、又は同じ溶融温度においてセルロース樹脂よりも水素結合性溶媒を含むセルロース樹脂組成物の溶融粘度を低下することができる。
本発明においては、脆性の指標としては、「延性破壊が起こらない光学フィルム」であるかどうかという基準により判断する。延性破壊が起こらない、脆性が改善された光学フィルムを得ることで、大型の液晶表示装置用の偏光板を作製する際にも、製造時の破断や割れが発生せず、取り扱い性に優れた光学フィルムとすることができる。
ここで、延性破壊とは、ある材料が有する強度よりも、大きな応力が作用することで生じる破断のことであり、最終破断までに材料の著しい伸びや絞りを伴う破壊と定義される。本発明では、「延性破壊が起こらない光学フィルム」であるか否かは、フィルムを2つに折り曲げるような大きな応力を作用させても破断等の破壊がみられないことにより評価するものとする。(この評価は耐折度と呼ばれる。)このような大きな応力が加えられても延性破壊が起こらない光学フィルムであれば、大型化された液晶表示装置用の偏光板保護フィルムとして用いられた場合であっても製造時の破断等の問題を十分に低減することが可能となり、さらに、一度貼り合わされた後に再度引き剥がして光学フィルムを使用する場合においても、破断が発生せず、光学フィルムの薄型化へも十分に対応可能である。
耐折度は50〜100回であれば、大型化された液晶表示装置用の偏光板保護フィルムとして用いられた場合であっても製造時の破断等の問題を十分に低減することが可能となり、さらに、一度貼り合わされた後に再度引き剥がして光学フィルムを使用する場合においても、破断が発生せず、光学フィルムの薄型化へも十分に対応可能である。耐折度が50回未満では、製造時に破断が起こりやすく、またリワーク性に劣る。また100回を超えるためには、膜厚を厚くすることで達成可能だが、液晶表示装置の薄型化に対応できない。そのため、薄膜フィルムの場合は、50〜100回が適当である。
本発明においては、耐熱性の指標として、張力軟化点を用いる。液晶表示装置が大型化され、バックライト光源の輝度が益々高くなっていることに加え、デジタルサイネージ等の屋外用途への利用により、より高い輝度が求められていることから、光学フィルムはより高温の環境下での使用に耐えられることが求められているが、張力軟化点が、105℃〜145℃であれば、十分な耐熱性を示すものと判断できる。特に110℃〜130℃に制御することがより好ましい。張力軟化点が105℃未満だと、バックライト光源が発する熱量に耐え切れず、フィルムが変形したり、光漏れが生じやすくなる。またアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を相溶状態で含有したような構成では145℃までしか確認できていない。そのため、張力軟化点は105℃〜145℃が適当である。
光学フィルムの張力軟化点を示す温度の具体的な測定方法としては、例えば、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、RTC−1225A)を用いて、光学フィルムを120mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、10Nの張力で引っ張りながら30℃/minの昇温速度で昇温を続け、9Nになった時点での温度を3回測定し、その平均値により求めることができる。
また、耐熱性の観点では、光学フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上である。特に好ましくは150℃以上である。
なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
本発明における光学フィルムの透明性を判断する指標としては、ヘイズ値(濁度)を用いる。特に屋外で用いられる液晶表示装置においては、明るい場所でも十分な輝度や高いコントラストが得られることが求められる為、ヘイズ値は1.0%以下であることが必要とされ、0.5%以下であることがさらに好ましい。
アクリル系樹脂とセルロースエステル樹脂を含有する本発明の光学フィルムによれば、高い透明性を得ることができるが、別の物性を改善する目的でアクリル粒子を使用する場合は、樹脂(アクリル系樹脂とセルロースエステル樹脂)とアクリル粒子との屈折率差を小さくすることで、ヘイズ値の上昇を防ぐことができる。
また、表面の粗さも表面ヘイズとしてヘイズ値に影響するため、アクリル粒子の粒子径や添加量を前記範囲内に抑えること、製膜時のフィルム接触部の表面粗さを小さくすることも、有効である。
またブリードアウトに関しては、フィルムを蛍光灯下及びグリーンランプ下にて、フィルムに発生している白濁や汚れなどを目視観察した。
フィルムの着色度をあらわす、黄色度に関しては、日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計U−3310を用いて、得られたセルロースエステルフィルムの吸収スペクトルを測定し、三刺激値X、Y、Zを算出し、この三刺激値X、Y、Zから、JIS−K7103に基づいて黄色度YIを算出した。
また、本発明の光学フィルムは、フィルム面内の直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
ここで、欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさである。欠点が、ロール傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。
なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。
かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性よく得るには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
また、目視で確認できない場合でも、該フィルム上にハードコート層などを形成したときに、塗剤が均一に形成できず欠点(塗布抜け)となる場合がある。ここで、欠点とは、溶液製膜の乾燥工程において溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物(異物欠点)をいう。
また、本発明の光学フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
本発明の光学フィルムの厚さは、20μm以上であることが好ましい。より好ましくは30μm以上である。
本発明の光学フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。
本発明の光学フィルムは、上記のような物性を満たしていれば、大型の液晶表示装置や屋外用途の液晶表示装置用の偏光板保護フィルムとして特に好ましく用いることができる。
〔偏光板〕
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の光学フィルムの裏面側に粘着層を設け、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面には本発明の光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
上記粘着層に用いられる粘着剤としては、粘着層の少なくとも一部分において25℃での貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲である粘着剤が用いられていることが好ましく、粘着剤を塗布し、貼り合わせた後に種々の化学反応により高分子量体又は架橋構造を形成する硬化型粘着剤が好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の二液型瞬間粘着剤等が挙げられる。
上記粘着剤としては1液型であっても良いし、使用前に二液以上を混合して使用する型であっても良い。
また上記粘着剤は有機溶剤を媒体とする溶剤系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型などの水系であってもよいし、無溶剤型であってもよい。上記粘着剤液の濃度は、粘着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
〔液晶表示装置〕
本発明の光学フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができるが、特に大型の液晶表示装置やデジタルサイネージ等の屋外用途の液晶表示装置に好ましく用いられる。本発明に係る偏光板は、前記粘着層等を介して液晶セルに貼合する。
本発明に係る偏光板は反射型、透過型、半透過型LCD又はTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型(FFS方式も含む)等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜け等もなく、その効果が長期間維持される。
また、色ムラ、ギラツキや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<樹脂組成>
(溶融樹脂組成1)
アクリル樹脂(アクリペットVH−4(三菱レイヨン(株)製)))Mw140000
70質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート アシル基総置換度2.7
5、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000)
30質量部
GSY−P101(堺化学工業(株)製) 0.075質量部
ADK STAB 2112((株)ADEKA製) 0.075質量部
Irganox1010(BASFジャパン(株)製) 0.25質量部
(溶融樹脂組成2)
アクリル樹脂(アクリペットVH−4(三菱レイヨン(株)製))Mw140000
70質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート アシル基総置換度2.7
5、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000)
30質量部
メチルアクリレート(Mw1000) 3質量部
Irganox1010(BASFジャパン(株)製) 0.25質量部
<溶融樹脂組成物>
(溶融樹脂組成物1)
前記溶融樹脂組成1に則ってアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、可塑剤、及び添加剤を窒素雰囲気の耐圧溶解容器に導入し、次いで系内の窒素を二酸化炭素ガスで置換する。
次に、超臨界物質として二酸化炭素を180℃、7.4MPaとして導入して系内を超臨界状態とする。この状態で1時間攪拌し、溶融樹脂組成物となし、排出口のバルブを開け、超臨界状態のまま濾過器を通し、減圧弁から気液分離容器で二酸化炭素ガスと溶融樹脂組成物1に分離し、溶融樹脂組成物1を得た。
(溶融樹脂組成物2)
上記溶融樹脂組成物1の製法のうち、溶融樹脂組成1を溶融樹脂組成2に変えたこと以外は上記同様にして、溶融樹脂組成物2を得た。
(溶融樹脂組成物3)
上記溶融樹脂組成1に則ってアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、可塑剤、及び添加剤を窒素雰囲気の耐圧溶解容器に導入し、250℃で1時間撹拌し溶融混錬して溶融樹脂組成物3を得た。
(溶融樹脂組成物4)
上記溶融樹脂組成物3の製法のうち、溶融樹脂組成1を溶融樹脂組成2に変えたこと以外は上記同様にして、溶融樹脂組成物4を得た。
<ペレットの作製条件>
(ペレット1の作製)
上記得られた溶融樹脂組成物1を押出機から押出してペレット化した。得られたペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて105℃で2時間乾燥して水分を除去し、ペレット1を作製した。
(ペレット2の作製)
上記ペレット1の製法のうち、溶融樹脂組成1を溶融樹脂組成2に変えたこと以外は上記同様にして、ペレット2を得た。
<光学フィルムの作製条件>
実施例1
(光学フィルム1の作製)
上記で作製した溶融樹脂組成物1を押出機より押出成形し、光学フィルムを作製した。
なお、押出成形はクラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融温度190℃、Tダイ温度185℃の成形条件にて行った。得られたフィルムは長手方向に1.10倍に延伸し次いで、テンター装置を用いて幅手方向に1.20倍に延伸し、膜厚80μm、長さ3000m、幅1.5mの光学フィルム1を得た。
実施例2
(光学フィルム2の作製)
実施例1の溶融樹脂組成物1を溶融樹脂組成物2に変更したほかは実施例1と同様にして光学フィルム2を得た。
比較例3
(光学フィルム3の作製)
250℃に加熱した押出機内で溶融樹脂組成物3を混錬した後に溶融押し出しにて成形し、光学フィルムを作製した。
押出し成形はクラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融温度250℃、Tダイ温度245℃の成形条件にて行った。得られたフィルムは長手方向に1.10倍に延伸し次いで、テンター装置を用いて幅手方向に1.20倍に延伸し、膜厚80μm、長さ3000m、幅1.5mの光学フィルム3を得た。
比較例4
(光学フィルム4の作製)
比較例3の溶融樹脂組成物3を溶融樹脂組成物4に変更したほかは比較例3と同様にして光学フィルム4を得た。
実施例5
上記で作製したペレット1を押出機より押出成形し、光学フィルムを作製した。なお、押出成形は、クラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融温度250℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて行った。得られたフィルムは長手方向に1.10倍に延伸し次いで、テンター装置を用いて幅手方向に1.20倍に延伸し、膜厚80μm、長さ3000m、幅1.5mの光学フィルム5を得た。
実施例6
実施例5のペレット1をペレット2に変更したほかは実施例5と同様にして光学フィルム6を得た。
<ハードコートフィルム1〜6の作製>
(ハードコート用樹脂組成)
光学フィルム1〜6上に、下記のハードコート層組成物1を、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、ハードコート層塗布液を調製し、これを押出しコーターを用いて光学フィルムの表面に塗布し、温度80℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.2J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚10μmのハードコート層を形成した。次に、下記バックコート層組成物1をウェット膜厚14μmとなるように、光学フィルムのハードコート層を塗布した面とは反対の面に押出しコーターで塗布し、温度50℃にて乾燥し、ハードコートフィルム1〜6を作製した。
(ハードコート層組成物1)
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物1とした。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(NKエステルA−DPH、新中村化学工
業株式会社製) 90質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 60質量部
ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製 商品名U−4HA) 10質量部
イルガキュア184(BASFジャパン株式会社製) 8質量部
イルガキュア907(BASFジャパン株式会社製) 10質量部
ポリエーテル変性シリコーン化合物(商品名;KF−355A、信越化学工業株式会社
製、HLB値12) 9質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸エチル 80質量部
メチルエチルケトン 100質量部
(バックコート層用塗布組成物1)
ジアセチルセルロース(アセチル基置換度2.4 Mw=160000)
0.6質量部
アセトン 35質量部
メチルエチルケトン 35質量部
メタノール 35質量部
シリカ粒子の2%メタノール分散液(KE−P30、日本触媒株式会社製)
16質量部
<評価>
(湿熱耐久試験後のヘイズ値)
作製した光学フィルム1〜6をそれぞれA4サイズにカットし、温度60℃、湿度90%RHの高温高湿サーモ機にて1000時間保存し、湿熱処理サンプルを作製した。次に、湿熱処理した光学フィルムを、温度23℃、相対湿度55%RHの条件で24時間調湿した。
その後、JIS K7165の規格に従い、サンプルをD65光源を用いてヘイズメーター(商品名NDH2000、日本電色工業株式会社製)にて測定した。このとき、試料の厚さが80μmの場合のヘイズの値に換算して評価した。
なお、評価結果は各ヘイズ値について以下のランク分けで示した。
◎:0.5%未満
○:0.5〜1.0%未満
△:1.0〜1.5未満
×:1.5〜2.0%未満
(湿熱耐久試験後のハードコート密着性)
作製したハードコートフィルム1〜6をそれぞれA4サイズにカットし、温度60℃、湿度90%RHの高温高湿サーモ機にて1000時間保存し、湿熱処理サンプルを作製した。次に、湿熱処理したハードコートフィルムを、温度23℃、湿度55%RHの条件で24時間調湿した。
その後、湿熱処理したハードコートフィルムの密着性をJIS D 0202−1988の規格に従って実施した。碁盤目テープ剥離試験により、セロハンテープ(ニチバン株式会社製)を用いて、指の腹でフィルムに密着させた後、剥離した。判定は100マスのうち、剥離しないマス目の数で表す。切り込み線からの貼られたテープ面積に対して薄膜が剥がされた面積の割合を目視で観察し、下記の基準で評価した。
密着性評価
◎:全く剥離されなかった
○:剥離された面積割合が5%未満であった
△:剥離された面積割合が10%未満であった
×:剥離された面積割合が10%以上であった
(耐光試験後のハードコート密着性)
作製したハードコートフィルム1〜6をそれぞれA4サイズにカットし、JIS K 6783bに準拠してサンシャインウエザオメーターを用いて200時間照射した。
その後、光照射試験後の密着性を上記湿熱耐久試験後の評価と同様に評価した。
上記各種フィルムの内容と各種評価の結果をまとめて表1〜表3に示す。
Figure 2014132042
Figure 2014132042
Figure 2014132042
表2及び表3に示した結果から明らかなように、本発明の樹脂組成物の製造方法により作製した光学フィルムは、湿熱耐久試験後のヘイズ、湿熱耐久試験及び耐光試験後のハードコート密着性の評価において、優れていることが分かる。
<偏光板及び液晶表示装置の作製>
〈偏光板の作製〉
各光学フィルムを偏光板保護フィルムとした偏光板を、以下のようにして作製した。
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを、沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で5倍に搬送方向に延伸して偏光子を作製した。
次に、この偏光子の片面にアクリル接着剤を用いて、上記で作製した光学フィルム1にコロナ処理を施したのち、貼合した。
さらに、偏光子のもう一方の面にアルカリケン化処理した位相差フィルムであるコニカミノルタタックKC8UCR−5(コニカミノルタオプト(株)製)を貼り合わせ、乾燥して偏光板P1を作製した。同様にして光学フィルム2〜6を用いて偏光板P2〜P6を作製した。
〈液晶表示装置の作製〉
上記作製した各偏光板P1〜P6を使用して、光学フィルムの表示特性評価を行った。
シャープ(株)製32型テレビAQ−32AD5の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板P1〜P6をそれぞれコニカミノルタタックKC8UCR−5が液晶セルのガラス面側になるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように貼合し、液晶表示装置1〜6を各々作製した。
(正面コントラスト)
23℃・55%RHの環境下で、各々の液晶表示装置のバックライトを1時間連続点灯した後、測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶表示装置で白表示と黒表示の表示画面の法線方向からの輝度を測定し、その比を正面コントラストとした。
正面コントラスト=(表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度)/(表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度)
液晶表示装置の任意の5点の正面コントラストを測定し、以下の基準にて評価した。
○:1100〜1200
△:1000〜1100未満
×:1000未満
上記評価結果を表4に示す。
Figure 2014132042
表4に示した結果から明らかなように、本発明の光学フィルムは、コントラストにおいて比較に対し改善されていることが分かる。
1 二酸化炭素ボンベ
2 導管
3 加圧装置
4 加熱器
5 弁
6 耐圧性溶解容器
7 調節弁
8 導管
9 濾過装置
10 減圧弁
11 気液分離容器
12 弁
13 導管
14 減圧調節器
16 弁
21 流延用ダイ
22 ドープ
23 ウェブ
24 剥離点
25 ベルト
26 テンター装置
27 巻き取り機

Claims (7)

  1. アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、前記アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを超臨界流体の存在下で溶融混練する工程、押出機より前記超臨界流体を排出する工程、及び前記溶融混練して得た溶融樹脂組成物を成形する工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記溶融樹脂組成物をフィルム状に成形し、かつ当該溶融樹脂組成物の押出から搬送・巻取までの工程を連続して行うことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物の製造方法により製造されたことを特徴とする光学フィルム。
  4. ハードコート層を有することを特徴とする請求項3に記載の光学フィルム。
  5. 前記ハードコート層上に反射防止層を有することを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
  6. 請求項3又は請求項4に記載の光学フィルムが具備されていることを特徴とする偏光板。
  7. 請求項3又は請求項4に記載の光学フィルムが具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
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