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JP2014089088A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

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JP2014089088A
JP2014089088A JP2012238488A JP2012238488A JP2014089088A JP 2014089088 A JP2014089088 A JP 2014089088A JP 2012238488 A JP2012238488 A JP 2012238488A JP 2012238488 A JP2012238488 A JP 2012238488A JP 2014089088 A JP2014089088 A JP 2014089088A
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Kenji Ichinohe
健司 一戸
Takahiro Taoka
隆洋 田岡
Yoshihiro Nishiyama
義弘 西山
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Abstract

【課題】本発明は、バイアス磁界方向以外の方向からの磁界による不可逆的な素子特性の変化を防止できると共に、低電流でバイアス磁界を印加できる磁気抵抗効果素子とその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層と、外部磁界が無磁界の際に自由磁性層の磁化方向を所定の方向に固定するバイアス磁界を自由磁性層に印加するバイアス配線2と、を有し、自由磁性層およびバイアス配線2が同一基板7上に形成されており、バイアス配線2に電流を流すことでバイアス磁界を発生させることを特徴とする磁気抵抗効果素子1。
【選択図】図2

Description

本発明は、バイアス磁界が、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層に印加されるように構成される磁気抵抗効果素子に関する。
外部磁界を検知する磁気センサは、たとえば磁気抵抗効果素子を用いて構成されている。そして、磁気抵抗効果素子は、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層を有して構成されている。
磁気センサが、高感度および線形性良く外部磁界を検知できるように、自由磁性層にはバイアス磁界が印加される。また、自由磁性層にバイアス磁界を印加すると、外部磁界が無磁界になった際に、自由磁性層の磁化方向が所定の方向に戻り易いので、磁気センサは、再現性よく外部磁界を検知できる。
図17に、特許文献1に開示される磁気抵抗効果素子の平面略図を示す。特許文献1に開示される磁気抵抗効果素子101は、図17に示すように、互いに略平行に配置された複数の帯状の磁気抵抗効果膜104と、この磁気抵抗効果膜104の長尺方向の両端部に設けられた永久磁石膜102を有して構成されている。この永久磁石膜102が、磁気抵抗効果膜104にバイアス磁界を印加している。なお、磁気抵抗効果膜104は、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層を有して構成されている。
図18に、特許文献2に開示される磁気検出装置の断面略図を示す。特許文献2には、図18に示すように、電流を流すことでバイアス磁界を発生させる配線パターン(バイアス配線)208が上面に形成された回路基板209と、抵抗パターン(磁気抵抗効果素子)が上面に形成された基板207とが、バイアス配線208と磁気抵抗効果素子とが平面視で重なるように、回路基板209の上面に基板207の下面を対向させて貼り合わせ、磁気抵抗効果素子が樹脂製のケース206で覆われる磁気検出装置(磁気センサ)210が開示されている。その際、基板207の上面に形成された磁気抵抗効果素子は、図示していないが、基板207に設けられたスルーホールなどを介して基板207の下面に延出された接続電極により回路基板209に電気的に接続されている。
よって、特許文献2に開示される磁気センサ210においては、磁気抵抗効果素子とバイアス配線208との間に、基板207の厚みに相当する離間距離がある状態で、バイアス配線208のまわりに生じるバイアス磁界が、磁気抵抗効果素子が備える自由磁性層に印加される。
特開2005−183614号公報 特開2004−205331号公報
特許文献1に開示される磁気抵抗効果素子101においては、永久磁石膜102が、磁気抵抗効果膜104が備える自由磁性層にバイアス磁界を印加している。そのため、バイアス磁界は、永久磁石膜102の磁化方向に沿った方向に向いている。よって、永久磁石膜102が、バイアス磁界の方向とは異なる方向に強い磁界を受けて、永久磁石膜102の磁化方向がずれ、バイアス磁界の方向がずれてしまうことがある。
その際には、外部磁界が無磁界になっても、自由磁性層の磁化方向が、所定の方向からずれた方向に戻ってしまう。そのため、磁気抵抗効果素子101の素子特性が変化してしまう。この強磁界による永久磁石膜102の磁化方向の変化は不可逆的な変化のため、一旦変化すると磁気抵抗効果素子101の素子特性を回復させることは困難であるという課題があった。
特許文献2においては、磁気抵抗効果素子とバイアス配線208とは、基板207の厚さの間隔に離間されて、平面視で重なるように配置されている。このように、磁気抵抗効果素子とバイアス配線208とは基板207の厚さの間隔に離間されるため、磁気抵抗効果素子に十分に大きなバイアス磁界を印加するためには、バイアス配線208に大きな電流を流す必要があるという課題があった。
その結果、特許文献2に開示される磁気センサ210においては、大きな消費電力のためにバイアス配線208が発熱し、磁気抵抗効果素子の温度特性に応じて感度が低下していた。
本発明は、このような課題を顧みてなされたものであり、バイアス磁界方向以外の方向からの磁界による不可逆的な素子特性の変化を防止できると共に、低電流でバイアス磁界を印加できる磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
本発明の磁気抵抗効果素子は、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層と、バイアス磁界を前記自由磁性層に印加するバイアス配線とを有し、前記外部磁界が無磁界の際に、前記バイアス磁界により前記自由磁性層の磁化方向が所定の方向に固定される磁気抵抗効果素子であって、前記自由磁性層および前記バイアス配線が同一基板上に形成されており、前記バイアス配線に電流を流すことで前記バイアス磁界を発生させることを特徴とする。
バイアス配線に電流を流すことでバイアス磁界を発生させるので、バイアス配線がバイアス磁界の方向と異なる方向に強い磁界を受けても、バイアス磁界の方向が不可逆的に変化することが抑制される。そのため、磁気抵抗効果素子の素子特性が、不可逆的に変化することが抑制される。
バイアス配線に電流を流すと、バイアス配線のまわりにバイアス磁界が発生する。そして、自由磁性層およびバイアス配線が同一基板上に形成されているので、自由磁性層とバイアス配線とを離間する距離は短い。そのため、バイアス配線に流れる電流が低電流であっても、自由磁性層に大きいバイアス磁界を印加することができる。
よって、本発明によれば、バイアス磁界方向以外の方向からの磁界による不可逆的な素子特性の変化を防止できると共に、低電流でバイアス磁界を印加できる磁気抵抗効果素子を提供することができる。
前記バイアス配線が、前記自由磁性層を前記基板の平面視で挟むように配置されると共に、前記自由磁性層に対して同一方向のバイアス磁界を印加させることが好ましい。このような態様であれば、自由磁性層を挟むように配置されるバイアス配線の一方によって、バイアス磁界を自由磁性層に流入させて、自由磁性層を挟むように配置されるバイアス配線の他方によって、バイアス磁界を自由磁性層から流出させることができる。よって、更に低電流であっても、自由磁性層に大きなバイアス磁界を印加することができる。
前記バイアス磁界を前記自由磁性層に誘導するバイアス誘導体が前記基板上に形成されていることが好ましい。このような態様であれば、バイアス誘導体が、バイアス配線のまわりに生じるバイアス磁界を集めて自由磁性層に誘導するので、更に低電流であっても、自由磁性層に大きなバイアス磁界を印加することができる。
前記バイアス誘導体が、前記自由磁性層を前記基板の平面視で挟むように配置されていると共に、前記基板の平面視で前記バイアス配線より前記自由磁性層に近い位置に形成されていることが好ましい。
バイアス誘導体、自由磁性層、およびバイアス配線が、このような態様で配置されると、バイアス配線のまわりに生じるバイアス磁界は、更に効率的に自由磁性層に誘導される。よって、更に低電流であっても、大きなバイアス磁界を自由磁性層に印加することができる。
バイアス配線が、非磁性体であることが好ましい。このような態様であれば、バイアス配線に強い磁界が印加されても、この強い磁界によって、バイアス配線が磁化されることが抑制される。よって、バイアス磁界の方向が不可逆的に変化することが更に抑制される。
前記バイアス磁界方向に直交する前記バイアス誘導体の断面積が、前記自由磁性層に近づくに従い小さくなることが好ましい。
このような態様であれば、バイアス誘導体に誘導されたバイアス磁界は、自由磁性層に近づくに従い収束される。そのため、更に大きなバイアス磁界が自由磁性層に印加される。よって、低電流であっても、自由磁性層に大きなバイアス磁界を印加することができる。
前記バイアス配線と前記自由磁性層とが、電源に直列に接続されていることが好ましい。このような態様であれば、自由磁性層に供給される電流とバイアス配線に流す電流とが共有されるので、電気回路を簡略化することができる。
前記バイアス配線と前記自由磁性層とが、電源に並列的に接続されていることが好ましい。
このような態様であれば、バイアス配線に流れる電流が自由磁性層の抵抗に制限されることなく、大きなバイアス磁界を自由磁性層に印加することができる。また、大きい外部磁界が自由磁性層に印加されて自由磁性層が多磁区化や磁化反転した際にも、大きなバイアス磁界を印加することで、元の状態に戻すことが可能である。
本発明によれば、バイアス磁界方向以外の方向からの磁界による不可逆的な素子特性の変化を防止できると共に、低電流でバイアス磁界を印加できる磁気抵抗効果素子を提供することができる。
第1の実施形態の磁気抵抗効果素子の平面略図である。 第1図に示すA−A線に沿って切断して矢印方向から視る断面略図である。 第1の実施形態の磁気抵抗効果膜の断面略図である。 電流が流れる導体まわりに生じる磁界の説明図である。 バイアス磁界への自由磁性層とバイアス配線の離間距離の影響の説明図である。 第1の実施形態の磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果曲線である。 第1の実施形態の磁気抵抗効果素子を用いた電流センサの使用例である。 第1の実施形態である磁気抵抗効果素子の製造方法の説明図である。 第1の実施形態である磁気抵抗効果素子の第1の変形例である。 第1の実施形態である磁気抵抗効果素子の第2の変形例である。 第2の実施形態である磁気抵抗効果素子の平面略図である。 第3の実施形態である磁気抵抗効果素子の平面略図である。 第12図に示すB−B線に沿って切断して矢印方向から視る断面略図である。 第3の実施形態である磁気抵抗効果素子の第1の変形例である。 第3の実施形態である磁気抵抗効果素子の第2の変形例である。 第15図に示すC−C線に沿って切断して矢印方向から視る断面略図である。 特許文献1に開示される磁気抵抗効果素子の平面略図である。 特許文献2に開示される磁気検出装置の断面略図である。
以下、本発明の実施形態の磁気抵抗効果素子について図面を用いて詳細に説明する。なお、各図面の寸法は適宜変更して示している。
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態である磁気抵抗効果素子の平面略図である。図2は図1のA−A線に沿って切断して矢印方向から視る断面略図である。図3は第1の実施形態である磁気抵抗効果膜の断面略図である。
本実施形態の磁気抵抗効果素子は、微小な電流量を測定する電流センサに用いられるとしたが、これに限定されるものではなく、他の磁気センサや、地磁気センサ等に用いることも可能である。
本実施形態の磁気抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto Resistance Effect)素子としたが、これに限定されるものではない。本実施形態の磁気抵抗効果素子は、異方性磁気抵抗効果(Anisotropic Magneto Resistance Effect)素子や、トンネル磁気抵抗効果(Tunnel Magneto Resistance Effect)素子も可能である。なお、本実施形態は、外部磁界により磁化方向が変動する磁性層を有し、磁性層にバイアス磁界を印加して用いられる磁気抵抗効果素子に適用することが可能である。
本実施形態の磁気抵抗効果素子1は、図1に示すように、複数の帯状の長尺パターンである磁気抵抗効果膜4が、矩形状の素子配線3によって電気的に接続されて、つづら折り状に折り返すパターンを有している。このパターンの両端部が、バイアス配線2a、2bに電気的に接続されて、それぞれが、配線パッド6a、6bに電気的に接続されている。
配線パッド6aは電源(Vdd)側に接続され、配線パッド6bは接地(GND)側に接続される。そのため、配線パッド6aから配線パッド6bに向かって電流が流れる。そして、バイアス配線2aが、配線パッド6aから図面左側(X1)方向に延出している。そのため、バイアス配線2aの図面左側方向に延出する部分には、図面右側から図面左側(X2からX1)に向かって、電流が流れる。バイアス配線2aの図面左側方向に延出する部分を、以下バイアス配線2cとする。
バイアス配線2aは、磁気抵抗効果素子1の図面左上側で、磁気抵抗効果膜4に接続されている。そして、素子配線3と磁気抵抗効果膜4がつづら折り状に折り返したのち、磁気抵抗効果素子1の図面右下側で、バイアス配線2bに接続されている。
そして、バイアス配線2bが、図面左側(X1)方向に延出して、配線パッド6bに接続されている。そのため、バイアス配線2bの図面左側方向に延出する部分には、図面右側から図面左側(X2からX1)に向かって、電流が流れる。バイアス配線2bの図面左側方向に延出する部分を、以下バイアス配線2dとする。
このように、バイアス配線2cとバイアス配線2dは、複数の磁気抵抗効果膜4を挟むように形成されている。
図4に、電流が流れる導体まわりに生じる磁界の説明図を示す。電流が流れる導体12のまわりには、図4に示すように、電流が流れる方向13を向いて、時計まわりの向きの磁界14が生じることが知られている。そのため、電流が流れるバイアス配線2aおよびバイアス配線2bのまわりには、図2に示すように、磁界が生じている。そして、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dには、図1に示すように、同じ方向に、すなわち図面右側から図面左側(X2からX1)に向かって、電流が流れている。
そのため、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dには、それぞれのバイアス配線2cおよびバイアス配線2dを中心軸にして、同じ方向に回転するように磁界が生じている。すなわち、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dのまわりに生じる磁界は、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dを中心にして直交するように描いた円の接線方向に向いている。
そして、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dは、図1に示すように、複数の帯状の長尺パターンである磁気抵抗効果膜4の長尺方向に対して略直交して配置されている。そのため、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dのまわりに生じる磁界の向きは、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に略平行している。
そして、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dが複数の磁気抵抗効果膜4を挟むように形成されているので、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dのまわりに生じる磁界は、複数の磁気抵抗効果膜4の長尺方向のバイアス配線2c側の端部から流入して、複数の磁気抵抗効果膜4の長尺方向のバイアス配線2d側の端部から流出し易い。
磁性体には、短尺方向より長尺方向に磁化し易い性質、いわゆる形状磁気異方性がある。そのため、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dを磁気抵抗効果膜4の長尺方向に直交するように配置しているので、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dのまわりに生じる磁界は、複数の磁気抵抗効果膜4の長尺方向のバイアス配線2c側の端部から流入して、複数の磁気抵抗効果膜4の長尺方向のバイアス配線2d側の端部から更に流出し易くなる。
よって、複数の磁気抵抗効果膜4を挟むように形成されるバイアス配線2cおよびバイアス配線2dに電流を流すことにより、複数の磁気抵抗効果膜4の長尺(Y)方向に略平行なバイアス磁界を印加させることができる。
本実施形態の磁気抵抗効果素子1は、図2に示すように、基板7の上面に絶縁膜8を介して、磁気抵抗効果膜4およびバイアス配線2c、2dが形成されている。バイアス配線2cおよびバイアス配線2dは、図面の左右(Y)方向で磁気抵抗効果膜4を挟むように形成されている。そして、磁気抵抗効果膜4の上面に素子配線3が形成されており、複数の素子配線3が、複数の磁気抵抗効果膜4の間を電気的に接続している。
本実施形態の磁気抵抗効果膜4は、図3に示すように、基板7の上面に絶縁膜8を介して反強磁性層4a、固定磁性層4b、非磁性層4c、及び自由磁性層4dの順に積層されており、自由磁性層4dの表面が保護層4eで覆われて構成されている。磁気抵抗効果膜4では、反強磁性層4aと固定磁性層4bとの交換結合により、固定磁性層4bの磁化方向(P方向)が固定されている。そして、磁化方向(P方向)は、基板7に平行な状態で図面右(X2)方向に向いている。本実施形態においては、この方向(P方向)を磁気抵抗効果素子1の感度軸方向としている。なお、磁化方向(P方向)は、磁気抵抗効果膜4の短尺方向に平行である。
本実施形態においては、基板7はシリコン基板であり、絶縁膜8はシリコン基板を熱酸化したシリコン酸化膜であっても、スパッタ法等で成膜したアルミナ膜や、酸化膜等であってもよい。反強磁性層4aは、Ir−Mn合金(イリジウム−マンガン合金)などの反強磁性材料で形成されている。固定磁性層4bは、Co−Fe合金(コバルト−鉄合金)などの軟磁性材料などで形成されている。非磁性層4cは、Cu(銅)などである。自由磁性層4dは、保磁力が小さく透磁率が大きいNi−Fe合金(ニッケル−鉄合金)などの軟磁性材料で形成されている。保護層55は、Ta(タンタル)などの層である。
バイアス配線2a、2bに電流を流すことにより、図1に示すように、複数の磁気抵抗効果膜4には、長尺(Y)方向に略平行なバイアス磁界が印加させられる。そして、図3に示すように、自由磁性層4dが透磁率の大きい軟磁性材料からなるので、自由磁性層4dにはバイアス磁界が誘導(集中)され易く、自由磁性層4dは、バイアス磁界によって磁気抵抗効果膜4の長尺(Y)方向に磁化される。よって、外部磁界が無磁界の際には、自由磁性層4dの磁化方向は、磁気抵抗効果膜4の長尺(Y)方向に固定される。
このように、本実施形態における、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層は、図3に示す自由磁性層4dである。そして、自由磁性層4dおよびバイアス配線2a、2bは、図2に示すように、同一の基板7上に形成されているので、自由磁性層4dとバイアス配線2a、2bとを離間する距離は短い。よって、バイアス配線2a、2bに流れる電流が低電流であっても、自由磁性層4dに大きいバイアス磁界を印加することができる。
図5は、バイアス磁界への自由磁性層とバイアス配線の離間距離の影響の説明図である。図5は、横軸が自由磁性層とバイアス配線の離間距離(μm)であり、縦軸がバイアス磁界の強度(mT)である。図5は、バイアス配線に1.4mAの電流を流した場合において計算したものである。
本実施形態においては、自由磁性層とバイアス配線の離間距離は、0.5μm〜2μm程度であるので、自由磁性層に印加されるバイアス磁界の強度は、0.3〜0.14mT程度である。ところが、特許文献2に開示される磁気センサ210においては、図18に示すように、基板207の上面に形成された磁気抵抗効果素子とバイアス配線208とは、基板207の厚さの間隔に離間されている。その際、基板207の厚さは200μm〜500μm程度であるので、バイアス磁界の強度は、ほぼ0mT程度と大変に小さい。
本実施形態においては、図1および図2に示すように、バイアス配線2a、2bに電流を流すことでバイアス磁界を発生させるので、バイアス磁界の方向と異なる方向に強い磁界を受けても、バイアス磁界の方向が不可逆的に変化することが抑制される。そのため、磁気抵抗効果素子の素子特性が、不可逆的に変化することが抑制される。
よって、本実施形態によれば、バイアス磁界方向以外の方向からの磁界による不可逆的な素子特性の変化を防止できると共に、低電流でバイアス磁界を印加できる磁気抵抗効果素子を提供することができる。
本実施形態におけるバイアス配線2a、2bは、アルミニウムや、銅などの非磁性金属材料から形成されている。そのため、バイアス配線2a、2bに強い磁界が印加されても、この強い磁界によって、バイアス配線2a、2bが磁化されることが抑制される。よって、バイアス磁界の方向が不可逆的に変化することが更に抑制される。
本実施形態においては、図1に示すように、磁気抵抗効果膜4を長尺パターンとしたが、これに限定されるものではない。バイアス配線2cおよびバイアス配線2dが、磁気抵抗効果膜4を挟むようにして、磁気抵抗効果膜4にバイアス磁界を印加している。そのため、磁気抵抗効果膜4の平面形状は、正方形に近い形状も可能である。
異方性磁気抵抗効果素子においては、基板上にニッケルや鉄などの強磁性金属を主成分とする合金薄膜が形成されている。そして、合金薄膜の磁化方向が外部磁界により変動すること利用して、外部磁界を検知している。よって、異方性磁気抵抗効果素子においては、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層は、合金薄膜である。
トンネル磁気抵抗効果素子は、たとえば磁化方向が固定された強磁性金属層と、薄い絶縁体層と、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層(強磁性金属層)と、を積層した構造を有する。そして、強磁性金属層と自由磁性層との間に電圧を印加すると、トンネル効果でトンネル電流が流れる。その際に、外部磁界により自由磁性層(強磁性金属層)の磁化方向が変動すると、トンネル電流が変化する。トンネル磁気抵抗効果素子は、このトンネル電流の変化を利用して、外部磁界を検知している。
本実施形態の磁気抵抗効果素子1においては、図1および図3に示すように、固定磁性層4bの磁化方向(P方向)は、磁気抵抗効果膜4の長尺(Y)方向に直交して、図面右(X2)方向に固定されている。そのため、外部磁界が無磁界の際には、自由磁性層4dの磁化方向は、固定磁性層4bの磁化方向(P方向)に直交している。よって、本実施形態の磁気抵抗効果素子1は、外部磁界が磁気抵抗効果膜4に印加されると、無磁界の際の電気抵抗を中心にして、その電気抵抗を変動させる。
図6に、本実施形態の磁気抵抗効果素子1の磁気抵抗効果曲線を示す。縦軸は磁気抵抗効果素子1の電気抵抗であり、横軸は磁気抵抗効果素子1に作用する外部磁界の大きさと方向を示す。外部磁界が図1の図面右(X2)方向に向いている場合を、図5では(+)方向で表わし、外部磁界が図1の図面左(X1)方向に向いている場合を、図5では(−)方向で表わしている。
本実施形態の磁気抵抗効果素子1においては、外部磁界が無磁界の際に、図3に示す自由磁性層4dの磁化方向が、図3に示す固定磁性層4bの磁化方向に直交するように、自由磁性層4dにバイアス磁界が印加されている。そして、自由磁性層4dが軟磁性材料からなるので、自由磁性層4dは、外部磁界の方向に容易に磁化される。また、固定磁性層4bと自由磁性層4dとの磁化方向が同じ際に、磁気抵抗効果素子1の電気抵抗は小さく、固定磁性層4bと自由磁性層4dとの磁化方向が反平行の際に、磁気抵抗効果素子1の電気抵抗は大きい。
そのため、外部磁界が、図1の図面右(X2)方向のプラス成分を持ち、そのプラス成分が大きい際は、図6に示すように、磁気抵抗効果素子1の電気抵抗は最小値に維持され変化しない。外部磁界のプラス成分が減少して、所定の値以下になると、磁気抵抗効果素子1の電気抵抗は上昇を始める。そして、外部磁界のプラス成分が0の際も、電気抵抗は上昇している。そして、外部磁界が、図1の図面左(X1)方向のマイナス成分を持っても、電気抵抗は上昇を続ける。そして、マイナス成分が所定の値以下になると、磁気抵抗効果素子1の電気抵抗は最大値に維持され変化しない。
外部磁界のプラス成分が0に対応する磁気抵抗効果素子1の電気抵抗は、電気抵抗の最小値と最大値との略中心(略平均)である。磁気抵抗効果曲線の略中心の近くは、線形性に優れ、且つ電気抵抗の変化が大きいため感度が良好である。よって、本実施形態においては、外部磁界の無磁界を磁気抵抗効果曲線の中心になるように、自由磁性層4d(図3に示す)にバイアス磁界を印加して、外部磁界を検知している。
異方性磁気抵抗効果素子や、トンネル磁気抵抗効果素子においても、外部磁界を、良好な感度や、線形性良く検知する目的で、バイアス磁界が用いられている。たとえば、異方性磁気抵抗効果素子の場合には、強磁性金属を主成分とする合金薄膜、すなわち磁性層に流される電流の方向に対して、外部磁界が無磁界の際に磁性層の磁化方向が45°の角度をなすように、バイアス磁界が磁性層に印加される。
図7は、第1の実施形態の磁気抵抗効果素子1を用いた電流センサの使用例である。本実施形態の電流センサ11は、図7に示すように、検知する電流が流れる導体15の近傍に配置される。電流センサ11は、外部磁界の変動により電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子1aおよび磁気抵抗効果素子1bと、外部磁界が変動しても電気抵抗が変化しない固定抵抗素子10aおよび固定抵抗素子10bと、を電気的に接続するブリッジ回路にて構成されている。
固定抵抗素子10aおよび固定抵抗素子10bは、図3に示す積層構造において、非磁性層4cと自由磁性層4dの順序を逆にすることで形成される。すなわち、固定抵抗素子10aおよび固定抵抗素子10bは、基板7の上面に絶縁膜8を介して反強磁性層4a、固定磁性層4b、自由磁性層4d、及び非磁性層4cの順に積層されており、非磁性層4cの表面が保護層4eで覆われて構成されている。このように構成されることで、自由磁性層4dの磁化方向は、固定磁性層4bの磁化方向に固定されるので、自由磁性層4dに印加される外部磁界が変動しても、固定抵抗素子10a、10bの電気抵抗は変化しない。
電流センサ11について、以下、図1と図7を用いて説明する。電流センサ11は、磁気抵抗効果素子1a、1bの磁気抵抗効果膜4の長尺方向が、導体15に流れる電流の流れる方向16に平行になると共に、磁気抵抗効果膜4の上面が導体15に対向するように配置される。そのため、導体15のまわりに生じる磁界の向きおよび固定磁性層4bの磁化方向、すなわち磁気抵抗効果素子1a、1bの感度軸の方向は、互いに導体15に直交している。
そして、導体15のまわりに生じる磁界の向きが、導体15を中心にして導体15に直交すように描いた円の接線方向であり、磁気抵抗効果膜4の上面が、導体15に対向するように配置されているので、導体15のまわりに生じる磁界の向きは、磁気抵抗効果素子1a、1bの感度軸の方向に、ほぼ一致している。
そして、電流センサ11は、電源(Vdd)と接地(GND)との間に電圧が印加されて、電源(Vdd)から接地(GND)に向かって電流が流される。その結果、磁気抵抗効果素子1a、1bの磁気抵抗効果膜4には、バイアス配線2cとバイアス配線2dによって、バイアス磁界が、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に平行に、すなわち電流の流れる方向16に対して平行に印加される。
そして、磁気抵抗効果素子1a、1bは、互いに感度軸が反平行になるように配置されている。導体15に流れる電流が変動すると、導体15のまわりに生じる磁界は変動する。この変動する磁界が、磁気抵抗効果素子1a、1bに印加される。その際、磁気抵抗効果素子1a、1bの感度軸が反平行であるので、磁気抵抗効果素子1a、1bの電気抵抗は、導体15に流れる電流に応じて、互いに増減を逆にして変動する。
そして、電流センサ11は、磁気抵抗効果素子1aと固定抵抗素子10aの中点電位(Vout1)と、磁気抵抗効果素子1bと固定抵抗素子10bの中点電位(Vout2)との差分である電気信号を出力する。この電気信号は、差分であるので良好な感度で、導体15に流れる電流の変動に応じて変化する。よって、電流センサ11は、導体15に流れる電流を高感度に検知することが可能である。
本実施形態によれば、図1に示すように、バイアス配線2aとバイアス配線2bは、磁気抵抗効果膜4と素子配線3がつづら折り状に折り返すパターンを介して、電源(Vdd)に直列に接続される。そのため、磁気抵抗効果膜4、すなわち自由磁性層4dに供給される電流と、バイアス配線2aとバイアス配線2bに流す電流とは共有される。よって、磁気抵抗効果膜4とバイアス配線2は、電源(Vdd)から別々に配線を設ける必要がないので、電気回路を簡略化することができる。
図8は、第1の実施形態である磁気抵抗効果素子の製造方法の説明図である。本実施形態の磁気抵抗効果素子の製造方法について、図8を用いて説明する。
まず、図8(a)に示す工程で、基板7の表面に絶縁膜8を形成する。基板7は例えばシリコン基板であり、絶縁膜8は例えばシリコン基板を熱酸化して形成される熱酸化膜である。また、絶縁膜8は、スパッタリング法等の成膜技術で形成したアルミナ膜や、酸化膜なども可能である。
次に、図8(b)に示す工程で、スパッタリング法等の成膜技術を用いて.絶縁膜8の上に、例えば図3に示すように下から反強磁性層4a、固定磁性層4b、非磁性層4c、自由磁性層4d、及び保護層4eの順に積層して成膜する。そして、レジストパターン形成技術やエッチング技術等からなるホトリソ加工技術を用いて、磁気抵抗効果素子のパターニング形成が行われる。
次に、図8(c)に示す工程で、例えばアルミニウムや、銅などの金属層が、スパッタリング法等の成膜技術を用いて成膜される。そして、レジストパターン形成技術やエッチング技術等からなるホトリソ加工技術を用いて、バイアス配線2や素子配線3のパターニング形成が行われる。
このように、本実施形態の製造方法によれば、バイアス配線2が、自由磁性層4d(図3に図示)と同一基板上に形成される。また、バイアス配線2は、図1に示すように、磁気抵抗効果膜4と素子配線3がつづら折り状に折り返すパターンに電気的に接続されて形成され、バイアス配線2の両端が、配線パッド6a、6bに電気的に接続されている。よって、配線パッド6a、6bの間に電圧を印加することで、バイアス配線2に電流を流すことができる。
そのため、バイアス配線2に電流を流すと、バイアス配線2からバイアス磁界が発生する。そして、自由磁性層4d(図3に図示)およびバイアス配線2が同一基板上に形成されているので、自由磁性層4d(図3に図示)とバイアス配線2とを離間する距離は短い。そのため、バイアス配線2に流れる電流が低電流であっても、自由磁性層4d(図3に図示)に大きいバイアス磁界を印加することができる。
バイアス配線2に電流を流すことでバイアス磁界を発生させるので、バイアス磁界の方向と異なる方向に強い磁界を受けても、バイアス磁界の方向が不可逆的に変化することが抑制される。そのため、磁気抵抗効果素子の素子特性が、不可逆的に変化することが抑制される。
よって、本実施形態によれば、バイアス磁界方向以外の方向からの磁界による不可逆的な素子特性の変化を防止できると共に、低電流でバイアス磁界を印加できる磁気抵抗効果素子の製造方法を提供することができる。
<第1の変形例>
図9は、第1の実施形態である磁気抵抗効果素子の第1の変形例である。本変形例においては、図9に示すように、バイアス配線2c、2dが、磁気抵抗効果膜4との間に絶縁膜9を介して配置されている。
バイアス配線2c、2dのまわりに生じる磁界の向きは、バイアス配線2c、2dを中心にして直交するように描いた円の接線方向である。そのため、バイアス配線2c、2dが、磁気抵抗効果膜4との間に絶縁膜9を介して配置されていると、バイアス配線2c、2dのまわりに生じる磁界は、磁気抵抗効果膜4の長尺方向の端面4f、4gに水平方向に流入または流出し易い。
その結果、バイアス配線2c、2dにより生じるバイアス磁界は、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に平行に印加され易く、バイアス配線2c、2dに流れる電流が低電流であっても、磁気抵抗効果膜4に対し一様に大きなバイアス磁界を印加することができる。
なお、バイアス配線2c、2dの磁気抵抗効果膜4の長尺方向における平面視中央と、磁気抵抗効果膜4の長尺方向の端面4f、4gが、平面視で重なっていることが好ましい。このような態様であれば、バイアス配線2c、2dにより生じるバイアス磁界は、磁気抵抗効果膜4の長尺方向の端面4f、4gに更に水平方向に流入または流出し易い。
なお、素子配線3は、絶縁膜9を貫通する孔3aを介して磁気抵抗効果膜4に電気的に接続されている。
<第2の変形例>
図10は、第1の実施形態である磁気抵抗効果素子の第2の変形例である。本変形例は、図10に示すように、バイアス配線2は、配線パッド6cと配線パッド6dに電気的に接続されている。また、磁気抵抗効果膜4、すなわち図3に示す自由磁性層4dは、配線パッド6eと配線パッド6fに電気的に接続されている。
そして、配線パッド6cと配線パッド6eが異なる電源(Vdd)に接続され、配線パッド6dと配線パッド6fが接地(GND)に接続される。このように、本変形例においては、バイアス配線2と磁気抵抗効果膜4が、別々に配線されて、異なる電源から電流が供給される。
よって、バイアス配線2に流れる電流は、磁気抵抗効果膜4、すなわち自由磁性層4d(図3に図示)の抵抗に制限されることはなく、大きなバイアス磁界を自由磁性層4d(図3に図示)に印加することができる。そのため、大きい外部磁界が自由磁性層4d(図3に図示)に印加されて自由磁性層4d(図3に図示)の多磁区化や磁化反転した際にも、大きなバイアス磁界を印加することで、元の状態に戻すことが可能である。
<第2の実施形態>
図11は、第2の実施形態である磁気抵抗効果素子の平面略図である。第1の実施形態においては、2つのバイアス配線2c、2dが、図1に示すように、磁気抵抗効果膜4にバイアス磁界を印加していた。ところが、本実施形態においては、1つのバイアス配線2cが、図11に示すように、磁気抵抗効果膜4にバイアス磁界を印加している。
このように、1つのバイアス配線2cのみで、自由磁性層4d(図3に示す)が磁化される理由は、図11に示すように、磁気抵抗効果膜4が長尺パターンに形成されて、バイアス配線2cが、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に直交するように配置されているからである。そのため、自由磁性層4d(図3に示す)は、形状磁気異方性によって、安定的に磁気抵抗効果膜4の長尺方向に磁化される。
また、自由磁性層4dが透磁率の大きい軟磁性材料からなるので、自由磁性層4d(図3に示す)にはバイアス磁界が誘導(集中)され易く、自由磁性層4d(図3に示す)は、バイアス磁界によって磁気抵抗効果膜4の長尺(Y)方向に磁化され易い。また、自由磁性層4dが保磁力の小さい軟磁性材料からなるので、強い外部磁界が印加されても、外部磁界が無磁界に戻った際には、自由磁性層4d(図3に示す)の磁化の向きは、バイアス磁界の方向に戻り易い。
<第3の実施形態>
図12は、第3の実施形態である磁気抵抗効果素子の平面略図である。図13は、図12に示すB−B線に沿って切断して矢印方向から視る断面略図である。
本実施形態においては、図12、図13に示すように、磁気抵抗効果膜4を挟むようにバイアス誘導体5が配置されている。本実施形態と第1の実施形態との主な違いは、本実施形態の磁気抵抗効果素子は、第1の実施形態の磁気抵抗効果素子に、バイアス誘導体5が加えられたことである。
バイアス誘導体5は、図12に示すように、1つの磁気抵抗効果膜4に対して1対で設けられ、磁気抵抗効果膜4の長尺方向の両端部を挟むように配置されている。そして、バイアス誘導体5と磁気抵抗効果膜4、すなわち図3に示す自由磁性層4dとの間隔が、バイアス配線2と磁気抵抗効果膜4、すなわち図3に示す自由磁性層4dとの間隔より平面視で小さく設けられている。
バイアス配線2cおよびバイアス配線2dには、図面右側から図面左側(X2からX1)に向かって、電流が流れる。そして、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dは、図13に示すように、絶縁膜9を介してバイアス誘導体5の上(Z2)側に配置される。
導体のまわりに生じる磁界の向きは、導体を中心にして導体に直交するように描いた円の接線方向であり、電流が流れる方向を向いて時計まわりである。そのため、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dのまわりに生じる磁界は、図13に示すように、それぞれのバイアス配線2c、2dの下(Z1)側にあるバイアス誘導体5の近傍において、図面右(Y1)方向に向いている。すなわち、バイアス配線2cおよびバイアス配線2dは、磁気抵抗効果膜4に対して同一方向のバイアス磁界を印加させている。
そして、バイアス誘導体5は、本実施形態においては周囲の磁界を誘導して一定方向に集中させるヨークとして用いられる。そのため、バイアス誘導体5は、保磁力が小さく透磁率が大きいNi−Fe合金(ニッケル−鉄合金)などの軟磁性材料で形成されている。
そのため、バイアス配線2cによって生じる磁界は、図13に示すように、バイアス配線2cの下(Z1)側にあるバイアス誘導体5aにより集められて、磁気抵抗効果膜4の図面左(Y2)側の端部に流入するように誘導される。そして、磁気抵抗効果膜4に流入した磁界は、形状磁気異方性により磁気抵抗効果膜4の長尺方向に揃えられる。
そして、バイアス配線2dの下(Z1)側にあるバイアス誘導体5bが、磁気抵抗効果膜4の図面右(Y1)側の端部から磁界が流出するように誘導する。磁気抵抗効果膜4から流出した磁界は、バイアス誘導体5bにより発散させられて、バイアス配線2dによって生じる磁界に繋がる。
このように、バイアス誘導体5は、バイアス誘導体5の周囲からバイアス配線2c、4dによって生じる磁界を集めて、磁気抵抗効果膜4に誘導する。その際、バイアス誘導体5と磁気抵抗効果膜4との間隔が、バイアス配線2と磁気抵抗効果膜4との間隔より平面視で小さく設けられていると、バイアス磁界はより効率的に磁気抵抗効果膜4に誘導される。そのため、このような態様であれば、図3に示す自由磁性層3dには、更に大きいバイアス磁界が印加される。よって、バイアス配線に流れる電流が低電流であっても、自由磁性層に大きいバイアス磁界を印加することができる。
図12に示すように、バイアス誘導体5を、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に、長尺パターンに設けることが好ましい。このような態様であれば、バイアス誘導体5の形状磁気異方性によって、磁気抵抗効果膜4に更に大きいバイアス磁界を印加することができる。
なお、バイアス誘導体5が磁気抵抗効果膜4に磁界を誘導する際に、バイアス誘導体5は、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に傾斜した向きの磁界も集めて、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に平行な向きの磁界に変換して、磁気抵抗効果膜4に誘導する。
<第1の変形例>
図14は、第3の実施形態である磁気抵抗効果素子の第1の変形例である。本変形例においては、バイアス誘導体5の幅寸法が、図14に示すように、平面視で磁気抵抗効果膜4に近づくに従い小さくなっている。なお、前記幅寸法は、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に直交した方向に測定したものである。
バイアス誘導体5は、均一な膜厚に形成されており、磁気抵抗効果膜4は、自由磁性層4d(図3に図示)を有しており、バイアス磁界方向は、磁気抵抗効果膜4の長尺方向である。よって、バイアス誘導体5の幅寸法が、平面視で磁気抵抗効果膜4に近づくに従い小さくなることは、バイアス磁界方向に直交するバイアス誘導体の断面積が、自由磁性層4d(図3に図示)に近づくに従い小さくなることを意味する。
このような態様であれば、バイアス誘導体5は、その周囲からバイアス配線2によって生じる磁界を集め、バイアス誘導体5の膜中に誘導する。バイアス誘導体5の膜中に誘導された磁界は、自由磁性層4d(図3に図示)に近づくに従い収束される。そのため、更に大きなバイアス磁界が自由磁性層4d(図3に図示)に印加される。よって、バイアス配線に流す電流が更に低電流であっても、自由磁性層4d(図3に図示)に大きなバイアス磁界を印加することができる。
バイアス誘導体5の磁気抵抗効果膜4から最も遠い幅寸法は、磁気抵抗効果膜4の幅寸法より大きいことが好ましい。このような態様であれば、バイアス誘導体5は、バイアス配線2により生じる磁界をより効率的に集めて、自由磁性層4d(図3に図示)に大きなバイアス磁界を印加することができる。
<第2の変形例>
図15は、第3の実施形態である磁気抵抗効果素子の第2の変形例である。図16は、図15に示すC−C線に沿って切断して矢印方向から視る断面略図である。本変形例においては、バイアス配線2の中心が、図15、図16に示すように、平面視で、バイアス誘導体5の磁気抵抗効果膜4から遠い端部に重なっている。なお、バイアス配線2の中心は、磁気抵抗効果膜4の長尺方向に対しての中心である。
導体のまわりに生じる磁界は、導体を中心にして導体に直交するように描いた円の接線方向であって、電流が流れる方向に向かって時計まわりに向く。そのため、本変形例のような態様であれば、バイアス配線2により生じる磁界は、バイアス誘導体5の磁気抵抗効果膜4から遠い端部の側面に水平に流入すると共に流出する。よって、バイアス誘導体5は、その周囲からバイアス配線2に生じる磁界を効率的に集めることが可能となり、自由磁性層4d(図3に図示)に更に大きなバイアス磁界を印加することができる。
1 磁気抵抗効果素子
2 バイアス配線
3 素子配線
4 磁気抵抗効果膜
5 バイアス誘導体
6 配線パッド
7 基板
8、9 絶縁膜
10 固定抵抗素子
11 電流センサ
12、15 導体
13、16 電流の流れる方向
14 磁界の方向

Claims (8)

  1. 外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層と、
    バイアス磁界を前記自由磁性層に印加するバイアス配線と、を有し、
    前記外部磁界が無磁界の際に、前記バイアス磁界により前記自由磁性層の磁化方向が所定の方向に固定される磁気抵抗効果素子であって、
    前記自由磁性層および前記バイアス配線が同一基板上に形成されており、
    前記バイアス配線に電流を流すことで前記バイアス磁界を発生させることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記バイアス配線が、前記自由磁性層を前記基板の平面視で挟むように配置されていると共に、前記自由磁性層に対して同一方向のバイアス磁界を印加させることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記バイアス磁界を前記自由磁性層に誘導するバイアス誘導体が前記基板上に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記バイアス誘導体が、前記自由磁性層を前記基板の平面視で挟むように配置されていると共に、前記基板の平面視で前記バイアス配線より前記自由磁性層に近い位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記バイアス配線が、非磁性体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記バイアス磁界方向に直交する前記バイアス誘導体の断面積が、前記自由磁性層に近づくに従い小さくなることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記バイアス配線と前記自由磁性層とが、電源に直列に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記バイアス配線と前記自由磁性層とが、電源に並列的に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
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