JP2014081492A - 生成方法、設計方法、光学系の製造方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光学系を設計する場合に用いられる初期データの生成方法、光学系を設計する設計方法、光学系を製造する製造方法、およびプログラムに関する。
真空チャンバー内や宇宙などの真空環境で使用される光学系がある。真空環境で使用される光学系は、一般に、大気環境において組み立ておよび調整が行われる。大気環境と真空環境とでは、屈折率が異なるので結像位置が異なる。そこで、光学系を調整する環境と使用する環境とにおいて屈折率が異なっても、結像位置の変化が抑制されるように光学系を設計する方法が提案されている(特許文献1、2および3参照)。
特許文献1では、気圧の変化による光学系の結像位置の変化を、光学系を構成する前群のレンズと後群のレンズとで互いに打ち消し合うように、各レンズの硝材を決定する方法が提案されている。特許文献2では、環境の変化に伴う結像位置の変化の方向が互いに異なる2つの光学系を用いることによって、環境が変化した際に2つの光学系が互いに結像位置の変化を打ち消し合う方法が提案されている。特許文献3では、3つのレンズ群によって光学系を構成し、環境の変化に伴う焦点距離の変化量が所定の範囲内となるように各レンズ群の屈折力を決定する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1では、各レンズの硝材が決定されることにより各レンズの屈折力も決定されるため、硝材の決定後に行われる収差補正において光学系の設計自由度が制約されてしまいうる。特許文献2では、環境の変化に伴う結像位置の変化を2つの光学系によって打ち消し合う構成であるため、2つの光学系という限定的な構成になってしまいうる。特許文献3では、それに記載されている焦点距離に関する条件式を用いて光学系を設計した場合、始めに各レンズ群の屈折力が決定されるため、屈折力の決定後に行われる収差補正において光学系の設計自由度が制約されてしまいうる。そのため、特許文献1、2および3における方法により光学系を設計した場合、目標性能を満たすように光学系を設計することが困難となる、あるいは設計負荷が大きくなるといった問題が生じてしまう。
そこで、本発明は、環境の変化に伴う光学性能の変化が許容範囲内となる光学系を設計する上で有利な技術を提供することを例示的目的とする。
本発明によれば、例えば、環境の変化に伴う光学性能の変化が許容範囲内となる光学系を設計する上で有利な技術を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の光学系100について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態の光学系100を示す概略図である。光学系100は、例えば、光軸方向に沿って並んだ3枚のレンズ1、2および3を含み、平行な光を集光する。各レンズは、光を集光するための2つの面を有している。第1実施形態の光学系100では、レンズ1の2つの面における曲率半径をr1およびr2、レンズ2の2つの面における曲率半径をr3およびr4、レンズ3の2つの面における曲率半径をr5およびr6とそれぞれ規定する。図1(A)は大気環境(光学系100を調整する環境)に光学系100を配置した場合、図1(B)は真空環境(光学系100を使用する環境)に光学系100を配置した場合を示しており、両者は光学系100が配置される環境以外は同一である。また、図1(A)および(B)において、大気および真空の屈折率をNairおよびNvac、光線をOPairおよびOPvac、並びにレンズ3の最後端(面r6)から焦点面までの距離をBFairおよびBFvacとそれぞれ表す。ここで、大気の屈折率Nairおよび真空の屈折率Nvacは、それぞれ1.00027および1.00000である。
本発明の第1実施形態の光学系100について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態の光学系100を示す概略図である。光学系100は、例えば、光軸方向に沿って並んだ3枚のレンズ1、2および3を含み、平行な光を集光する。各レンズは、光を集光するための2つの面を有している。第1実施形態の光学系100では、レンズ1の2つの面における曲率半径をr1およびr2、レンズ2の2つの面における曲率半径をr3およびr4、レンズ3の2つの面における曲率半径をr5およびr6とそれぞれ規定する。図1(A)は大気環境(光学系100を調整する環境)に光学系100を配置した場合、図1(B)は真空環境(光学系100を使用する環境)に光学系100を配置した場合を示しており、両者は光学系100が配置される環境以外は同一である。また、図1(A)および(B)において、大気および真空の屈折率をNairおよびNvac、光線をOPairおよびOPvac、並びにレンズ3の最後端(面r6)から焦点面までの距離をBFairおよびBFvacとそれぞれ表す。ここで、大気の屈折率Nairおよび真空の屈折率Nvacは、それぞれ1.00027および1.00000である。
まず、大気環境と真空環境とにおける環境の変化を考慮せずに設計された光学系200について、図2を参照して説明する。図2(A)および(B)は、大気環境および真空環境における光学系200の結像位置をそれぞれ示す図である。光学系200は、第1実施形態の光学系100と同様に、光軸方向に沿って並んだ3枚のレンズ11、12および13を含み、平行な光を集光する。各レンズは、光を集光するための2つの面を有している。従来の光学系200では、レンズ11の2つの面における曲率半径をr1’およびr2’、レンズ12の2つの面における曲率半径をr3’およびr4’、レンズ13の2つの面における曲率半径をr5’およびr6’とそれぞれ規定する。光学系200は、光学系を調整する環境と使用する環境との違いを考慮せずに設計されているため、大気と真空とにおける屈折率(NairおよびNvac)の違いによって、光線OPairの屈折角とOPvacの屈折角とに違いが生じてしまう。そして、環境の違いによって光線の屈折角に違いが生じてしまうと、レンズ13の最後端(面r6’)から焦点面までの距離BFairとBFvacとに差が生じてしまう。これは、光学系200を大気環境で調整した後、真空環境に配置して使用する場合、結像位置が変化してしまうことを意味する。そこで、第1実施形態の光学系100では、光学系100を調整する大気環境と使用する真空環境とにおいて屈折率が異なっても、結像位置が許容範囲に収まるように光学系100が設計される。
次に、第1実施形態における光学系100の設計方法について説明する。第1実施形態では、光学系100を設計するための初期データとして、各レンズが有する面の曲率半径が用いられる。この曲率半径は、各レンズの厚さ(以下、レンズ厚)および複数のレンズの間隔(以下、レンズ間隔)をそれぞれ零とした場合において、式(1)の不等式によって表される条件を満たすように決定される。式(1)において、mはレンズの枚数、r2i−1およびr2iはi枚目のレンズが有する2つの面の曲率半径、I1およびI2はそれぞれ第1指標および第2指標である。また、第1指標I1および第2指標I2は、光学系100の焦点距離をf、焦点距離fの許容範囲における下限値および上限値をそれぞれfminおよびfmaxとするとき、式(2)によって表される。このとき、式(1)は、式(2)に基づいて式(3)によって表される。
ここで、式(3)の導出方法について図3を参照して説明する。図3は、屈折率Npの環境下に配置された、レンズ厚を零と仮定したレンズ1を示す図である。図3において、位置Hは光軸(基準軸)上でのレンズ1の位置、位置OおよびO’はそれぞれ物体面4および像面5の位置である。レンズ厚を零という非現実的な値に設定するのは、光学系の設計において各レンズを簡単に取り扱えるからである。このため、第1実施形態では、始めにレンズ厚およびレンズ間隔を零と仮定した光学系モデルを設定した後、その光学系モデルにおける各レンズの曲率半径を初期データとして用い、レンズ厚およびレンズ間隔を零以外の値に変更している。図3に示すレンズ1において、レンズ1に使用される硝材の屈折率をN、レンズ1の2つの面における曲率半径をr1およびr2とすると、幾何光学的に近軸結像の式(4)が成り立つ。式(4)において、Sはレンズ1から物体面4までの距離、およびS’はレンズ1から像面5までの距離である。
ここで、焦点距離fpは、1/S’=1/S+1/fpの関係が成り立つため、式(4)に基づいて式(5)によって表される。なお、1/S’=1/S+1/fpの関係は、図3において、物体面の位置Oが無限遠にある場合、即ちS→∞の場合にはS’=fpとなり、像面の位置O’が無限遠にある場合、即ちS’→∞の場合にはS=−fpとなることから確認できる。
式(5)は、レンズ厚が零のレンズ1が1枚である場合の焦点距離fpを表す式である。そのため、複数のレンズを含む光学系100の場合において焦点距離は、式(5)に基づいて式(6)および式(7)によって表される。式(6)は大気環境(光学系100を調整する環境)に光学系100を配置した場合における焦点距離fair、および式(7)は真空環境(光学系100を使用する環境)に光学系100を配置した場合における焦点距離fを表す式である。式(6)および式(7)では、各レンズのレンズ厚だけではなく、複数のレンズの間隔(レンズ間隔)も零に設定されている。式(6)および式(7)において、mはレンズの枚数、Nairは大気の屈折率、Nvacは真空の屈折率、およびNiはi枚目のレンズに使用される硝材の屈折率である。また、rifはi枚目のレンズにおける物体面4側の面の曲率半径、およびribはi枚目のレンズにおける像面5側の面の曲率半径である。
そして、式(6)と式(7)との差分は、式(8)によって表される。
レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定されている光学系モデルにおいて、真空環境での焦点距離fと大気環境での焦点距離fairとが等しい場合、即ち、式(8)が零となる場合に、環境の変化に伴う結像位置の変化は零となる。したがって、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定されている光学系モデルにおいて、環境の変化に伴う結像位置の変化が零となる焦点距離fの条件は、式(8)に基づいて式(9)によって表される。
実際には、環境の変化に伴う結像位置の変化は、所望の許容範囲に収まっていればよい。そのため、焦点距離fの許容範囲を設定し、その許容範囲における下限値をfminおよび上限値をfmaxと設定すると式(3)が導出され、式(10)によって書き換えることができる。
ここで、式(1)における第1指標I1および第2指標I2は、焦点距離fの変化が許容できる割合(許容変化率)をXとしたとき、式(11)によってそれぞれ表すことができる。このように第1指標I1および第2指標I2を表した場合、式(1)は式(12)によって書き換えることができる。そして、許容変化率Xは、例えば、1%、0.1%あるいは0.01%に設定される。これにより、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定されている光学系モデルにおいて、環境の変化に伴う結像位置の変化を焦点距離fの1%以下、0.1%以下あるいは0.01%以下に抑制することができる。焦点距離fの許容変化率Xを1%と設定した場合、式(12)は式(13)によって表される。
第1実施形態における光学系100の設計方法について説明する。光学系の設計には、一般に、コンピュータが使用されており、設計を開始する際の初期データの設定が非常に重要である。これは、初期データをどのように設定するかによって、コンピュータにおいて計算が収束する速さが異なり、設計に要する時間が変わってしまうからである。特に、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制するように設計される光学系100においては、設計上の制約条件が一般的な光学系に比べて厳しい。そのため、初期データの設定が適切でない場合にはコンピュータにおいて計算が収束しない、または計算時間が増大するといった問題が生じてしまう。
例えば、コンピュータとしては、図13に一例が示されている。コンピュータ40は、中央処理装置(CPU)41と、プログラムやデータを格納するためのハードディスク等の記憶媒体42と、主メモリ43とを備えている。また、コンピュータ40は、キーボードやマウスなどの入力装置44と、液晶ディスプレイなどの表示装置45と、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体47からプログラムを読み取る読取装置46とを備えている。記憶媒体42、主メモリ43、入力装置44、表示装置45および読取装置46は、いずれも中央処理装置41に接続されている。コンピュータ40では、後述する図4や図8に示される光学系の設計方法のプログラムが格納された記録媒体47が読取装置46に装着され、読取装置46によって記録媒体47からプログラムが読み出される。読取装置46によって読み出されたプログラムは、記憶媒体42にインストールされ、記憶媒体42にインストールされたプログラムは、中央処理装置41によって実行される。これにより、コンピュータ40において、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制した光学系を設計するための計算が実行される。
ここで、初期データの設定における問題について図12を参照して説明する。図12は、第1実施形態の光学系100を設計する際において、目標性能への設計アプローチを示すイメージ図である。一般的な光学系の設計ではザイデルの5収差および色収差を補正するのみであるが、第1実施形態の光学系100では、それに加えて、環境の変化に伴う光学性能の変化、例えば、結像位置の変化を抑制する必要がある。そのため、第1実施形態の光学系100を設計する際のゴール地点、即ち目標性能は、3つの領域が重なり合った部分になる。ここで、例えば、従来の光学系の設計方法のように、ザイデルの5収差と色収差とが補正されたデータを初期データとして用い、その初期データに基づいて環境の変化に伴う結像位置の変化を補正する場合を考える(図12における矢印6に対応)。この場合、初期データは、光学系が配置される環境の変化については考慮されておらず、新たに設計上の制約条件を追加して環境の変化に伴う結像位置の変化を補正しなければならない。制約条件としては、例えば、光学系を調整する大気環境および使用する真空環境において、図2に示す距離BFairと距離BFvacとの差が許容値以下となるような条件が挙げられる。しかし、このような制約条件を追加して光学系を設計する際には、初期データの近傍の狭い範囲で局所的に最適化が行われるため、制約条件を満たすように光学系を設計することが困難となってしまいうる。そのため、多数の初期データに基づいて光学系を設計する方法や、制約条件を変更して繰り返し最適化を行う方法が必要となり、図12に示すゴール地点(目標性能)には到達できない、あるいは時間がかかるといった問題が生じてしまう。一方で、第1実施形態における光学系100の設計方法では、式(1)を満たすように初期データが設定される、即ち、環境の変化に伴う結像位置の変化が抑制されるように初期データが設定される。そして、その初期データに基づいてザイデルの5収差および色収差が補正された光学系が設計される(図12における矢印7に対応)。このようなアプローチによって光学系を設計すると、従来の設計方法と比べて、設計負荷を増大させることなく、図12に示すゴール地点(目標性能)に容易に到達することができる。
図12における矢印7に示す設計アプローチを用いた第1実施形態における光学系100の設計方法について、図4を参照して説明する。図4は、コンピュータ40が、記憶媒体42にインストールされたプログラムに基づいて光学系100を設計する方法を示すフローチャートである。図4(A)は、コンピュータ40が、初期データに基づいて光学系100を設計する方法を示すフローチャートである。S100では、コンピュータ40が、図4(B)におけるS101〜S104に基づいて初期データを生成する。ここで、コンピュータ40が初期データを生成する方法について、図4(B)を参照して説明する。図4(B)は、コンピュータ40が初期データを生成する方法を示すフローチャートである。
S101では、コンピュータ40における中央処理装置41が、光学系100を構成するレンズの枚数(以下、レンズ枚数)を設定し、各レンズの硝材を選択する。環境の変化に伴う結像位置の変化を低減させるためには、光学系100を2枚以上のレンズで構成する必要がある。そのため、レンズ枚数の設定においては、光学系100に要求される性能やコスト、配置スペースなどを考慮して設定するとよい。また、各レンズの硝材は、高分散の硝材と低分散の硝材とを組み合わせて色収差の発生を抑制するように選択されるとよい。例えば、図13に示す記憶媒体42にレンズ枚数とレンズの硝材との関係を表すテーブルが記憶されており、中央処理装置41は、入力装置44によって入力された光学系100に要求される性能やコスト、配置スペースなどに基づいてレンズ枚数を設定する。そして、中央処理装置41は、設定したレンズ枚数において、色収差の発生が抑制されるように、記憶媒体42に記憶されたテーブルから各レンズの硝材を選択する。S102では、コンピュータ40における中央処理装置41が、S101で設定したレンズ枚数と選択した各レンズの硝材とに基づいて、例えば、許容変化率Xを設定した式(12)を満たすように各レンズの曲率半径を決定する。これにより、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定された光学系モデルにおいて、レンズ枚数、各レンズの硝材および各レンズの曲率半径が決定される。S103では、中央処理装置41が、S102によって各レンズの硝材および曲率半径が決定された光学系モデルに対して、式(12)の条件を維持したまま、ザイデルの5収差と色収差の補正を行う。これにより、収差性能が最適化された各レンズの曲率半径と硝材との組み合わせが決定される。なお、中央処理装置41は、S102とS103とを同時に実行して、各レンズの曲率半径と硝材との組み合わせを決定してもよい。S104では、中央処理装置41が、S103において決定した各レンズの曲率半径と硝材との組み合わせがザイデルの5収差、色収差および環境の変化に伴う結像位置の変化に関して所望の光学性能(許容条件)を満たすか否かを判定する。決定した組み合わせが所望の光学性能を満足する場合には、中央処理装置41は、この各レンズの曲率半径と硝材との組み合わせを初期データとして決定する。一方で、所望の光学性能を満足していない場合には、S101に戻る。ここで、光学性能は、例えば、ザイデルの5収差や色収差、環境の変化に伴う結像位置の変化を含み、それらに加えてレンズの有効径や焦点距離などを含んでもよい。
S11では、コンピュータ40における中央処理装置41が、S100において決定した初期データに基づいて、レンズ厚、レンズ間隔、各レンズの曲率半径および硝材を変更する。特に、初期データは、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定された光学系モデルにおいて決定されているため、実際の光学系を設計する上では、レンズ厚およびレンズ間隔の変更が必要不可欠となる。第1実施形態の設計方法において、中央処理装置41は、S11でレンズ厚およびレンズ間隔の値をわずかに増加させる工程と、後述するS12で収差補正を行う工程とを繰り返し、光学系100の光学性能を目標性能に徐々に近づけるように計算している。例えば、レンズ厚およびレンズ間隔の増加量を0.5mm以下として零から徐々に増加させる場合では、零から一気に増加させる場合と比べて、レンズ厚およびレンズ間隔の変更に伴う結像位置の変化を考慮しながら収差補正を行うことができる。これにより、光学系100の光学性能が目標性能を満足できないことや、設計の計算に費やす時間が増大することを回避することができる。ここでは、レンズ厚およびレンズ間隔を同時に徐々に増加させる方法について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、レンズ間隔を徐々に増加させた後に、レンズ厚を徐々に増加させることによって光学系100の光学性能を目標性能に近づけてもよい。また、反対に、レンズ厚を徐々に増加させた後に、レンズ間隔を徐々に増加させることによって光学系100の光学性能を目標性能に近づけてもよい。
S12では、中央処理装置41が、大気環境と真空環境とにおけるレンズ最後端から焦点面までの距離の差(図1に示す距離BFairと距離BFvacとの差)が許容値以下となる関係を維持したまま、ザイデルの5収差と色収差の補正を行う。ここで、式(12)は、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定された光学系モデルにおいて成り立つ条件であり、レンズ厚およびレンズ間隔が零以外では成り立たない。そのため、S12において中央処理装置41は、式(12)の条件を維持するように収差補正を行うのではなく、例えば、大気環境と真空環境とにおけるレンズ最後端から焦点面までの距離の差が許容値以下となる関係を維持するように収差補正を行う。
S13では、中央処理装置41が、S12までの工程により設計された光学系100の光学性能が目標性能を満足するか否かを判定する。目標性能は、例えば、ザイデルの5収差や色収差、環境の変化に伴う結像位置の変化などの光学性能に加え、実際に光学系の各レンズが製造可能および調整可能なレンズ厚およびレンズ間隔であることなどを含んでもよい。光学系100の光学性能が目標性能を満足する場合には、中央処理装置41は、S12までに決定されたレンズ厚やレンズ間隔などを光学系100の設計値とし、プログラムを終了する。一方で、光学系100の光学性能が目標性能を満足しない場合には、S11に戻る。
ここで、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制するように光学系を設計する方法において、第1実施形態における設計方法と従来における設計方法との差異について説明する。従来においては、例えば、各レンズの硝材を決定した上で光学系を設計する第1の方法(特許文献1参照)と、光学系を構成する各レンズ群の屈折力と焦点距離の関係とに基づいて光学系を設計する第2の方法(特許文献3参照)が提案されている。第1の方法では、気圧の変化による光学系の結像位置の変化を、光学系を構成する前群のレンズと後群のレンズとで互いに打ち消し合うように、各レンズの硝材が決定されている。このような第1の方法では、各レンズの硝材が決定されることにより各レンズの屈折力も決定されるため、硝材の決定後に行われる収差補正において光学系の設計自由度が制約されてしまう。そのため、環境の変化に伴う焦点距離の変化を抑制しながら、十分な収差補正を行うことが困難となってしまいうる。また、第2の方法では、複数のレンズ群によって光学系を構成し、環境の変化に伴う焦点距離の変化量が所定の範囲内となるように各レンズ群の屈折力が設定されている。このような第2の方法では、始めに各レンズ群の屈折力が決定されるため、屈折力の決定後に行われる収差補正において光学系の設計自由度が制約されてしまう。そのため、第1の方法と同様に、環境の変化に伴う焦点距離の変化を抑制しながら、十分な収差補正を行うことが困難となってしまいうる。そして、第1および第2の方法は共に、各レンズの屈折力をそれぞれ計算し、各レンズの屈折力を合成した合成屈折力を算出する必要がある。そのため、光学系を構成するレンズの枚数が増加するにつれて、設計負荷が増大する傾向にある。それに対し、第1実施形態における光学系の設計方法では、式(1)に基づいて初期データが決定され、決定された初期データに基づいて環境の変化に伴う結像位置の変化が抑制されるように光学系が設計される。式(1)は、レンズ厚およびレンズ間隔をそれぞれ零と仮定した光学系モデルにおける焦点距離と各レンズの曲率半径からなる式であり、光学系を構成する各レンズの屈折力を個別に決定するものではない。そのため、従来の設計方法に比べて光学系の設計自由度の制約が小さい。また、式(1)は、レンズの枚数を予め決定しておき、その枚数のレンズによって構成される光学系に対して適用される。そのため、式(1)を適用した後にレンズの枚数を増加させることはなく、レンズ枚数の増加に伴う設計負荷の増大を回避することができる。
このように設計された光学系100は、例えば、露光装置や描画装置などが有するアライメント検出装置やフォーカス検出装置などに適用される。ここで、光学系100を有するアライメント検出装置やフォーカス検出装置を備えた露光装置および電子線描画装置について、図5および図6をそれぞれ参照して説明する。図5および図6において、基板面上で互いに直交する方向をそれぞれX方向およびY方向とし、基板面に垂直な方向をZ方向とする。
図5は、露光装置400の構成を示す概略図である。露光装置400は、例えば、発光部401、照明光学系402、レチクルステージ403、投影光学系404、ウェハステージ405、およびそれらを覆う真空チャンバー406を含む。発光部401は、例えば、レーザープラズマ光源が用いられ、真空チャンバー内にガスなどのターゲット材を供給する供給部407と、ターゲット材にパルスレーザーを照射する照射部408とを含む。供給部407によって真空チャンバー内に供給されたターゲット材に対して、照射部408によってパルスレーザーを集光レンズ409を介して照射させることで、ターゲット材が励起状態となり、高温のプラズマ410が発生する。そして、このプラズマ410から、例えば、波長13nm程度のEUV光を放射することができる。なお、真空チャンバー406内の圧力は、10−4〜10−5Paに維持される。照明光学系402は、複数のミラー411(多層膜ミラーまたは斜入射ミラー)と、オプティカルインテグレータ412と、アパーチャ413とを含み、放射されたEUV光を集光し、レチクルステージ403によって保持されたレチクル415を照射する。投影光学系404は、複数のミラー416と、アパーチャ422とを含み、レチクル415で反射されたEUV光をウェハステージ405によって保持されたウェハ418に照射させる。露光装置400には、ウェハ418のパターンとレチクル415のパターンとのXY方向の位置合わせ、またはウェハ418に形成された複数のショット領域におけるXY方向の位置合わせを行うため、アライメント検出装置450が備えられている。また、ウェハ418の上面におけるZ方向の位置合わせを行うため、フォーカス検出装置440が備えられている。アライメント検出装置450およびフォーカス検出装置440には、第1実施形態の設計方法によって設計された光学系100を含む。これにより、光学系100を調整する環境と使用する環境が異なる場合や、真空チャンバー406内の圧力が変化した場合であっても、ウェハ418のXY方向の位置合わせ、およびZ方向の位置合わせを高精度に行うことができる。
図6は、電子線を用いた描画装置500の構成を示す概略図である。描画装置500は、例えば、電子銃521、電子光学系501、電子検出系524、ウェハステージ502、およびそれらを覆う真空チャンバー550を含む。電子銃521は、電子を放射する。電子光学系501は、例えば、電子銃521から放射された電子線を収束させる電子レンズ系522と、電子線を偏向させる偏向器523とを含み、ウェハステージ502によって保持されたウェハ506の目標位置に電子線を照射する。電子検出系524は、電子光学系501を通過した電子のドーズ量を検出する。描画装置500には、ウェハ506上の目標位置に電子線を照射するため、ウェハ506のXY方向の位置を検出するアライメント検出装置504が備えられている。また、ウェハ506の上面におけるZ方向の位置を検出するフォーカス検出装置505が備えられている。アライメント検出装置504およびフォーカス検出装置505には、第1実施形態の設計方法によって設計された光学系100が適用されている。これにより、光学系100を調整する環境と使用する環境が異なる場合や、真空チャンバー406内の圧力が変化した場合であっても、ウェハ506のXY方向の位置合わせ、およびZ方向の位置合わせを高精度に行うことができる。
上述したように、第1実施形態における光学系100の設計方法では、コンピュータ40が、レンズ厚およびレンズ間隔がそれぞれ零に仮定された光学系モデルにおいて、式(1)の条件を満たすように初期データ(各レンズの曲率半径)を決定する。そして、コンピュータ40は、その初期データに基づいてザイデルの5収差および色収差が補正された光学系100を設計する。これにより、光学系100の設計におけるコンピュータ40の計算負荷を増大させることなく、ザイデルの5収差や色収差を補正するとともに、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制した光学系100を設計することができる。ここで、第1実施形態では、大気環境で調整し、真空環境で使用する光学系100について説明したが、光学系100を調整する環境および使用する環境がそれぞれ大気および真空でなくとも、光学系100が配置される環境において屈折率が異なる場合に適用できる。これは、式(1)が、光学系100が配置される環境の屈折率に依存しないからである。光学系100が配置される環境としては、例えば、真空以外に高圧環境下やガス雰囲気中などがある。また、第1実施形態の設計方法では、3枚のレンズから構成される光学系100について説明したが、これに限定されるものではなく、2枚以上のレンズから構成される光学系であればその設計方法が適用されうる。例えば、5枚のレンズで構成される光学系を、第1実施形態の設計方法を適用して設計する際における初期データを図7に示す。図7に示す初期データは、中心波長を650nm、開口数を0.05、および焦点距離を100mmとした場合において、中央処理装置41が光軸上色収差係数と倍率色収差係数とが零となるように収差補正を行ったものである。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態における光学系の設計方法について、図8を参照して説明する。図8は、コンピュータ40が、記憶媒体42にインストールされたプログラムに基づいて光学系を設計する方法を示すフローチャートである。第2実施形態の設計方法では、第1実施形態の設計方法と比較して、初期データを生成する場合において、式(1)を満たすように各レンズの曲率半径が決定された後に、レンズ間隔が変更されている。図8(A)は、コンピュータ40が、初期データに基づいて光学系を設計する方法を示すフローチャートである。S200では、コンピュータ40が、図8(B)におけるS201〜S205に基づいて初期データを生成する。ここで、コンピュータ40が初期データを生成する方法について、図8(B)を参照して説明する。図8(B)は、コンピュータ40が初期データを生成する方法を示すフローチャートである。
本発明の第2実施形態における光学系の設計方法について、図8を参照して説明する。図8は、コンピュータ40が、記憶媒体42にインストールされたプログラムに基づいて光学系を設計する方法を示すフローチャートである。第2実施形態の設計方法では、第1実施形態の設計方法と比較して、初期データを生成する場合において、式(1)を満たすように各レンズの曲率半径が決定された後に、レンズ間隔が変更されている。図8(A)は、コンピュータ40が、初期データに基づいて光学系を設計する方法を示すフローチャートである。S200では、コンピュータ40が、図8(B)におけるS201〜S205に基づいて初期データを生成する。ここで、コンピュータ40が初期データを生成する方法について、図8(B)を参照して説明する。図8(B)は、コンピュータ40が初期データを生成する方法を示すフローチャートである。
S201では、コンピュータ40における中央処理装置41が、光学系100を構成するレンズの枚数(以下、レンズ枚数)を設定し、各レンズの硝材を選択する。S201は、図4(B)におけるS101と同様であるため、説明を省略する。S202では、中央処理装置41が、S201で設定したレンズ枚数と選択した各レンズの硝材とに基づいて、例えば、許容変化率Xを設定した式(12)を満たすように各レンズの曲率半径を決定する。これにより、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定された光学系モデルにおいて、レンズ枚数、各レンズの硝材および各レンズの曲率半径が決定される。S203では、中央処理装置41は、S202によって各レンズの硝材および曲率半径が決定された光学系モデルにおけるレンズ間隔を変更する。ここで、式(12)は、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定されている状態において成立する条件であり、レンズ厚とレンズ間隔とが零以外に設定されている状態では成立しない。そのため、S203では、例えば、大気環境と真空環境とにおけるレンズ最後端から焦点面までの距離の差(図1に示す距離BFairと距離BFvacとの差)が許容値以下となる関係を維持するように、中央処理装置41がレンズ間隔を変更する。
S204では、中央処理装置41が、大気環境と真空環境とにおけるレンズ最後端から焦点面までの距離の差が許容値以下となる関係を維持するように、ザイデルの5収差および色収差の補正を行う。これにより、収差性能が最適化されたレンズ間隔、各レンズの曲率半径および硝材の組み合わせが決定される。S205では、中央処理装置41は、S204において決定された組み合わせが、ザイデルの5収差、色収差、および環境の変化に伴う結像位置の変化に関して所望の光学性能(許容条件)を満たすか否かを判定する。決定したレンズ間隔、各レンズの曲率半径および硝材組み合わせが所望の光学性能を満足する場合には、中央処理装置41は、その組み合わせを初期データとして決定する。一方で、所望の光学性能を満足していない場合には、S201に戻る。ここで、光学性能は、例えば、ザイデルの5収差や色収差、環境の変化に伴う結像位置の変化を含み、それらに加えて、レンズの有効径や焦点距離などを含んでもよい。
S21では、中央処理装置41が、S200において決定された初期データに基づいて、レンズ厚、レンズ間隔、各レンズの曲率半径および硝材を変更する。特に、初期データは、レンズ厚が零に設定された光学系モデルにおいて決定されているため、実際の光学系を設計する上では、レンズ厚の変更が必要不可欠となる。レンズ厚の変更において中央処理装置41は、図4(A)のS11と同様に、S21でレンズ厚の値をわずかに増加させる工程と、後述するS22で収差補正を行う工程とを繰り返し、光学系の光学性能を目標性能に徐々に近づけるように計算している。S22では、中央処理装置41が、大気環境と真空環境とにおけるレンズ最後端から焦点面までの距離の差が許容値以下となる関係を維持したまま、ザイデルの5収差と色収差の補正を行う。S23では、中央処理装置41が、S22までの工程により設計された光学系の光学性能が目標性能を満足するか否かを判定する。目標性能は、例えば、ザイデルの5収差や色収差、環境の変化に伴う結像位置の変化などの光学性能に加え、実際に光学系の各レンズが製造可能および調整可能なレンズ厚およびレンズ間隔であることなどを含んでもよい。光学系の光学性能が目標性能を満足する場合には、中央処理装置41は、S22までに決定されたレンズ厚やレンズ間隔などを光学系の設計値とし、プログラムを終了する。一方で、光学系の光学性能が目標性能を満足しない場合には、S21に戻る。
ここで、第1実施形態の設計方法と第2実施形態の設計方法との違いについて説明する。第1実施形態の設計方法では、初期データは、レンズ厚とレンズ間隔の両方が零に設定されているのに対し、第2実施形態の設計方法では、初期データは、レンズ厚のみが零に設定されている。即ち、第1実施形態と第2実施形態とでは、初期データにおけるレンズ間隔の取り扱いが異なる。第1実施形態の設計方法では、初期データのレンズ間隔は零であるため、図4(A)のS11においてコンピュータ40がレンズ間隔を変更する量を大きくする必要がある。一般に、レンズ間隔を変更する量が大きい場合は、小さい場合に比べて光学系の屈折力の変化が大きい。そのため、レンズ間隔を大きく変更すると、レンズ間隔が変更された光学系の屈折力が初期データにおける屈折力から大きく変わってしまう。その結果、環境の変化に伴う結像位置の変化が増大してしまったり、収差性能が低下してしまったりと、光学系の目標性能を満足できない場合がある。それに対して第2実施形態の設計方法では、図8(B)のS203においてレンズ間隔が変更された初期データが用いられる。そのため、図8(A)のS21においてコンピュータ40がレンズ間隔を変更する際に、第1実施形態の設計方法に比べて、レンズ間隔を変更する量を小さくすることができる。これにより、レンズ間隔が変更された光学系の屈折力が初期データにおける屈折力から大きく変わってしまうことを抑制することができ、目標性能を満足する光学系の設計を容易にすることができる。また、第2実施形態では、図8(A)のS200においてコンピュータ40が初期データを決定する際、レンズ厚の影響を考慮せずにレンズ間隔を変更して収差補正が行われている(図8(B)のS204)。そのため、図8(A)のS22における収差補正を、第1実施形態のS12における収差補正と比べて容易にすることができる。
上述したように、第2実施形態における光学系の設計方法では、コンピュータ40が、レンズ厚およびレンズ間隔が零と設定された光学系モデルにおいて、式(1)の条件を満たすように各レンズの曲率半径を決定する。各レンズの曲率半径を決定した後、コンピュータ40は、レンズ間隔を変更して収差補正を行い、初期データを決定する。そして、コンピュータ40は、その初期データに基づいてザイデルの5収差および色収差が補正された光学系を設計する。これにより、光学系の設計におけるコンピュータ40の計算負荷を増大させることなく、ザイデルの5収差や色収差を補正するとともに、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制した光学系を設計することができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態では、コンピュータ40が、レンズ厚およびレンズ間隔を零に設定した光学系モデルにおいて、式(1)の条件を満たすように初期データ(各レンズの曲率半径)を決定する一例について、図9を参照して説明する。第3実施形態では、コンピュータ40が、レンズタイプ(光学系モデル)に対して、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制できる光学系を設計する上で、その設計が容易か否か(難易度)の判定結果を導出する。
本発明の第3実施形態では、コンピュータ40が、レンズ厚およびレンズ間隔を零に設定した光学系モデルにおいて、式(1)の条件を満たすように初期データ(各レンズの曲率半径)を決定する一例について、図9を参照して説明する。第3実施形態では、コンピュータ40が、レンズタイプ(光学系モデル)に対して、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制できる光学系を設計する上で、その設計が容易か否か(難易度)の判定結果を導出する。
図9は、コンピュータ40が、3種類のレンズタイプにおいて、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制可能な光学系を設計する上で、その設計が容易か否か(難易度)をそれぞれ判定した結果を示す図である。図9では、複数のレンズ8によって構成されたレンズタイプ301〜303が示されており、各レンズタイプにおいて光学系を設計する上での難易度が◎、○および△によって表されている。図9において、レンズタイプ301〜303は、各レンズ8のレンズ厚およびレンズ間隔が零に設定された光学系モデルである。また、◎は光学系の設計が最も容易であることを意味し、○は光学系の設計が容易であることを意味し、△は光学系の設計が困難であることを意味している。図9に示すレンズタイプ301〜303は、例えば、記憶媒体42に複数のレンズタイプの情報が記憶されており、光学系に要求される性能やコスト、配置スペースなどを考慮して、複数のレンズタイプの中から中央処理装置41によって選択される。中央処理装置41は、3種類のレンズタイプ301〜303のそれぞれにおいてレンズ枚数m、焦点距離f、各レンズ8の曲率半径rおよび屈折率Nに関する情報を式(1)に代入する。そして、中央処理装置41は、それらの情報によって式(1)を計算することにより、レンズタイプ301〜303が、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制できる光学系を設計することが容易か否かについて判定する。図9においては、番号2におけるレンズタイプ302が“◎”、および番号3におけるレンズタイプ303が“○”である。そのため、中央処理装置41は、レンズタイプ302またはレンズタイプ303について、図4または図8のフローチャートに従って光学系の設計を行う。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態では、レンズ厚およびレンズ間隔を零に設定した光学系モデルにおいて、コンピュータ40が式(1)の条件を満たすように初期データ(各レンズの曲率半径)を決定する一例について、図10を参照して説明する。第4実施形態では、コンピュータ40は、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定された光学系モデルにおいて、各パラメータ(レンズ枚数、焦点距離、屈折率)に対して、光学系の初期データ(各レンズの曲率半径)の候補を複数決定する。そして、コンピュータ40は、決定した複数の初期データの候補から、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制できる光学系を設計する上で、最適な初期データを選択する。
本発明の第4実施形態では、レンズ厚およびレンズ間隔を零に設定した光学系モデルにおいて、コンピュータ40が式(1)の条件を満たすように初期データ(各レンズの曲率半径)を決定する一例について、図10を参照して説明する。第4実施形態では、コンピュータ40は、レンズ厚およびレンズ間隔が零に設定された光学系モデルにおいて、各パラメータ(レンズ枚数、焦点距離、屈折率)に対して、光学系の初期データ(各レンズの曲率半径)の候補を複数決定する。そして、コンピュータ40は、決定した複数の初期データの候補から、環境の変化に伴う結像位置の変化を抑制できる光学系を設計する上で、最適な初期データを選択する。
図10は、コンピュータ40における中央処理装置41が、焦点距離f、レンズ枚数m、屈折率N1〜N5に基づいて、式(1)を満たす初期データ(各レンズの曲率半径r)を表示装置45を介して出力した結果を示す図である。第4実施形態において中央処理装置41には、光学系のコストや各レンズを設置するスペースなどの制約に基づいて、光学系の焦点距離f、レンズ枚数m、および各レンズの屈折率Nなどの光学仕様が入力装置44を介して入力される。図10においては、焦点距離fが100mm、レンズ枚数が5枚に設定され、5枚のレンズにおける屈折率はそれぞれN1〜N5と設定されている。中央処理装置41は、入力された光学仕様に基づいて、式(1)の条件を満たすように、各レンズの曲率半径における組み合わせの候補を決定する。図10においては、中央処理装置41によって決定された5つの候補が表示装置45を介して出力されている。図10おいて、r1およびr2が1枚目、r3およびr4が2枚目、r5およびr6が3枚目、r7およびr8が4枚目、並びにr9およびr10が5枚目のレンズが有する面の曲率半径を示している。中央処理装置41は、決定した候補の中から、光学系を設計する上で最適な曲率半径の組み合わせを選択する。そして、中央処理装置41は、この選択した曲率半径の組み合わせに基づいて、図4または図8のフローチャートに従って光学系の設計を行う。ここで、中央処理装置41に入力装置44を介して入力される光学仕様は、焦点距離f、レンズ枚数m、屈折率Nに加えて、焦点距離fの許容範囲の下限値fminおよび上限値fmaxや、一部のレンズにおける曲率半径rを含んでもよい。また、焦点距離fの許容範囲は、焦点距離の変化が許容できる割合Xを入力し、その割合Xによって定義してもよい。
上述したように、第4実施形態では、コンピュータ40が、入力された光学仕様に基づいて、各レンズの曲率半径における組み合わせの候補を決定する。そして、コンピュータ40が、その候補の中から光学系を設計する上で最適な組み合わせを選択する。ここで、第4実施形態における初期データを決定する例と、第3実施形態における初期データを決定する例とは、光学系を設計する際の前提条件や設計自由度に応じて使い分けるとよい。
<光学系の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態における光学系の製造方法について、図11を参照して説明する。図11は、第1実施形態または第2実施形態の設計方法により設計された光学系の製造方法を示すフローチャートである。S301では、第1実施形態または第2実施形態の設計方法により設計された光学系の設計データに基づいて、光学系を構成する各レンズを製造する。各レンズには、第1実施形態または第2実施形態において決定され、かつ必要に応じて研削された硝材が用いられ、設計データ(レンズ厚および曲率半径)を目標として各レンズの表面が研磨加工される。S302では、各レンズの形状を干渉計で計測する。各レンズの形状(レンズ厚および曲率半径)が目標形状となっているか否かを判定する。各レンズの形状が目標形状になっていない場合は、S301に戻り、各レンズの形状が目標形状になるまでS301とS302とが繰り返される。各レンズの形状が目標形状になっている場合は、S303に進む。S303では、目標形状を有する複数のレンズを用いて、光学系を組み立てる。例えば、設計データ(レンズ間隔)に基づいて、保持枠によって保持された数枚のレンズから成る光学ユニットが複数組み立てられる。そして、複数の光学ユニットは、鏡筒の開口部から順次鏡筒の内部に収容され、固定される。このとき、複数の光学ユニットの間には、設計データ(レンズ間隔)に基づいて、ワッシャが挿入される。これにより、第1実施形態または第2実施形態の設計方法によって設計された光学系の設計データ(硝材、曲率半径、レンズ厚およびレンズ間隔)に基づいて、光学系が組み立てられる。
本発明の実施形態における光学系の製造方法について、図11を参照して説明する。図11は、第1実施形態または第2実施形態の設計方法により設計された光学系の製造方法を示すフローチャートである。S301では、第1実施形態または第2実施形態の設計方法により設計された光学系の設計データに基づいて、光学系を構成する各レンズを製造する。各レンズには、第1実施形態または第2実施形態において決定され、かつ必要に応じて研削された硝材が用いられ、設計データ(レンズ厚および曲率半径)を目標として各レンズの表面が研磨加工される。S302では、各レンズの形状を干渉計で計測する。各レンズの形状(レンズ厚および曲率半径)が目標形状となっているか否かを判定する。各レンズの形状が目標形状になっていない場合は、S301に戻り、各レンズの形状が目標形状になるまでS301とS302とが繰り返される。各レンズの形状が目標形状になっている場合は、S303に進む。S303では、目標形状を有する複数のレンズを用いて、光学系を組み立てる。例えば、設計データ(レンズ間隔)に基づいて、保持枠によって保持された数枚のレンズから成る光学ユニットが複数組み立てられる。そして、複数の光学ユニットは、鏡筒の開口部から順次鏡筒の内部に収容され、固定される。このとき、複数の光学ユニットの間には、設計データ(レンズ間隔)に基づいて、ワッシャが挿入される。これにより、第1実施形態または第2実施形態の設計方法によって設計された光学系の設計データ(硝材、曲率半径、レンズ厚およびレンズ間隔)に基づいて、光学系が組み立てられる。
S304では、S303において組み立てられた光学系の波面収差を測定する。光学系の波面収差は、例えば、KrFエキシマレーザ光源やArFエキシマレーザ光源、超高圧水銀ランプ(例えばi線)などを用いた干渉計を使用することにより、光学系の波面収差を測定することができる。干渉計としては、フィゾー干渉計や位相回折干渉計などがある。S305では、S304において測定した光学系の波面収差が所定範囲に収まっているか否かを判定する。光学系の波面収差が所定範囲に収まっている場合は、光学系の製造が終了する。一方で、所定範囲に収まっていない場合は、S306に進む。S306では、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間隔を変える間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフトまたはチルトさせる偏芯調整などを行う。S306において間隔調整や偏芯調整などを行った後、S304に戻り、光学系の波面収差を再度測定する。
上述したように、本実施形態の光学系の製造方法では、第1実施形態または第2実施形態の設計方法によって設計した光学系の設計データに基づいて、レンズの加工および組み立てが行われ、光学系が製造される。これにより、ザイデルの5収差や色収差が補正されるとともに、環境の変化に伴う結像位置の変化が抑制された光学系を製造することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
Claims (11)
- 前記各レンズの曲率半径は、該各レンズの曲率半径を有する前記光学系モデルの収差が許容条件を満たすように生成される、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の生成方法。
- 前記初期データとして生成された前記各レンズの曲率半径を有する前記光学系モデルにおける前記複数のレンズの間隔を変更して、変更された該複数のレンズの間隔を前記初期データとしてさらに生成する、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の生成方法。
- 前記各レンズの曲率半径および前記複数のレンズの間隔は、該各レンズの曲率半径および該複数のレンズの間隔を有する前記光学系モデルの収差が許容条件を満たすように生成される、ことを特徴とする請求項5に記載の生成方法。
- 目標とする光学性能を有する前記光学系を前記光学系モデルによって設計する場合の難易度を、前記不等式によって表される条件に基づいて求める、ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の生成方法。
- 前記初期データは、前記不等式によって表される条件を満たす複数のデータの中から選択して生成される、ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の生成方法。
- 複数のレンズを光軸方向に沿って並べた光学系を初期データに基づいて設計する設計方法であって、
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の生成方法により前記初期データを生成する、ことを特徴とする設計方法。 - 複数のレンズを光軸方向に沿って並べた光学系を製造する製造方法であって、
請求項9項に記載の設計方法により設計された前記光学系の設計データに基づいて、前記複数のレンズを加工する、ことを特徴とする光学系の製造方法。 - 請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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