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JP2013213181A - 有機−無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法 - Google Patents

有機−無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法 Download PDF

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JP2013213181A JP2012202523A JP2012202523A JP2013213181A JP 2013213181 A JP2013213181 A JP 2013213181A JP 2012202523 A JP2012202523 A JP 2012202523A JP 2012202523 A JP2012202523 A JP 2012202523A JP 2013213181 A JP2013213181 A JP 2013213181A
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篤 穂積
Chihiro Urata
千尋 浦田
John Benjamin Masheder
ジョン ベンジャミン マシェダー
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Abstract

【課題】有機−無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法を提供する。
【解決手段】所定のモル比で混合されている有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合し、有機シラン間の距離を制御した前駆体溶液を、固体表面に塗布後、所定時間、室温、大気圧下で静置することにより得られる、表面張力が18〜73dyn/cmの液体の前進接触角と後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、密着性、透明性、膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性に優れた有機−無機ハイブリッド皮膜、その製造方法、および該皮膜が被覆された固体表面。
【効果】基材表面に、上記皮膜を形成することにより、各種基材に、優れたはっ水/はつ油性、滑落性、液滴除去能、耐指紋付着性、防曇性、耐食性を付与することが可能な新しい表面改質技術およびその製品を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機−無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、有機シランおよび金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合させた前駆体溶液を、例えば、金属、金属酸化膜、金属酸化物、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維等の基材からなる固体表面に塗布し、溶媒の揮発と同時に、密着性に優れた透明膜を形成させ、該透明膜の膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性を制御することで得られる、基材の特性を維持したまま、基材表面に優れたはっ水/はつ油性、液滴の滑落性、耐指紋付着性、防曇性、耐食性、耐久性等の特性を付与することを可能にする有機−無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法に関するものである。
本発明は、基材との密着性、はっ水/はつ油性、液滴の滑落性、耐指紋付着性、防曇性、耐食性、耐久性等の特性に優れた有機−無機透明ハイブリッド皮膜を、上記基材表面に形成することで、例えば、自動車・建材用ガラスの雨滴除去性の向上や防曇性の発現による視界確保や、汚れ付着防止、金属/木質材料の腐食防止、ナノインプリント用金型の離型性向上、タッチパネルディスプレー等の指紋付着防止、等の用途において、特に著効を発揮する、新しい表面改質技術に関する新技術・新製品を提供するものである。
固体表面に液滴が付着すると、そこを起点として、固体表面の腐食、劣化、汚染が進行する。また、ガラス等の透明材料の場合、付着した液滴は、視界不良の原因となることから、多くの工学分野で、液滴除去性能の高い材料/表面処理の開発が試みられている。
特に、固体表面における液滴の動的な挙動(動的濡れ性)は、液滴除去性能の指針として、最近、重要視されており、その挙動は、接触角ヒステリシスで評価することができる(非特許文献1)。ヒステリシスとは、前進接触角(θ)と後退接触角(θ)の差(θ−θ)で示され、その値が小さいほど、液滴は、僅かな傾斜で固体表面を滑落する。つまり、このヒステリシスの小さな固体表面は、高い液滴除去性能を示すことになる。一方、ヒステリシスが大きな固体表面は、たとえ、静的接触角が150°を超えるような超はっ水表面でも、液滴は、固体表面上に“ピン留め”される。
例えば、アルキル基やパーフルオロアルキル基のような表面エネルギーの低い官能基で終端された有機シランを用いて、ガラス等の親水的な固体表面のはっ水処理が盛んに行われている。しかし、微小水滴の場合、固体表面を90°以上傾けても、水滴は、固体表面に留まることが知られており、はっ水処理を施したからといっても、水滴の除去性能が向上するとは限らないことが分かってきた。
これまで、報告例は少ないが、最近、固体表面に固定された官能基密度とその動的挙動が、動的濡れ性に大きく影響することが指摘されている。例えば、McCarthyらは、シリコン基板に蒸気処理によって固定したトリメチルシリル基の密度変化におけるヒステリシスの変化を調査したところ、最もヒステリシスが小さくなる最適密度が存在することを見いだした(非特許文献2)。
つまり、固定したトリメチルシリル基の密度が最適密度より高い場合は、分子間距離が近すぎるため、官能基の運動性が低下し、ヒステリシスが大きくなる。一方で、固定したトリメチルシリル基の密度が低い場合には、トリメチルシリル基で被覆されていない固体表面が露出し、液滴と固体表面の極性官能基が強く相互作用するために、ヒステリシスが大きくなると解釈されている。
また、McCarthyら、および本発明者らは、枝状の嵩高い分子[例えば、トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチレンジメチルシラン(非特許文献3)や、ビス((トリデカフルオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)−ジメチルシロキシ)メチルシラン(特許文献1および非特許文献4))や、環状分子(テトラメチルシクロテトラシロキサン(非特許文献5))を蒸気処理で固体表面に固定し、ヒステリシスの非常に小さな固体表面の創製に成功している。これらは、固定化された官能基の嵩高さに起因する“分子傘効果”によって、液滴除去性能の高い固体表面を実現したものである。
これらの報告から、固体表面の動的濡れ性を向上させるためには、固体表面に固定された官能基の運動性(官能基の流動性)を、“Liquid−like”に近づけることが重要であるといえることから、このような状態を実現する固体表面処理が望まれている。しかしながら、ほとんどの研究は、動的濡れ性を向上させるための分子探索にその精力が注がれ、既存の表面処理剤や活性な官能基を有する機能性分子を用いて、動的濡れ性を向上させる研究事例は見当たらない。
また、上記に記載した表面改質手法では、1)有機シラン分子と基材表面との反応性の違いにより、処理可能な基材の種類が限定されていること、2)使用する原料が、枝状/環状構造を有する嵩高い有機シラン分子やポリマーに限定されていること、3)分子膜の膜厚が数nmであるため、何らかの化学的・物理的要因で剥離・損傷し、長期的な表面機能維持が困難であること、といった短所が挙げられる。そのため、当技術分野においては、長期間、安定な液滴除去性能、耐食性、はっ水/はつ油性を実用基材表面で実現できる表面改質手法の開発が強く望まれていた。
特開2010−222703号公報
L.Gao and T.J.McCarthy,Langmuir,22,6234(2006) A.Fadeev and T.J.McCarthy,Langmuir,15,3759(1999) A.Fadeev and T.J.McCarthy,Langmuir,15,7328(1999) A.Hozumi and T.J.McCarthy,Langmuir,26,2567(2010) A.Hozumi,Chen,D.F.and M.Yagihashi,J.Colloid Interface Sci.,353,582(2011)
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、ヒステリシスの極めて小さい、またはない金属表面やガラス表面の形成を可能とする実用基材の新しい表面処理技術を開発することを目標として鋭意研究を進めた結果、有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合させた前駆体溶液を、基材表面に塗布後、所定時間、室温、大気圧下で静置することにより、1)溶媒の揮発と同時に、密着性に優れた透明膜が形成されること、2)上記1)の透明膜の表面では、同じ有機シラン分子から構成される単分子膜で被覆した基材表面と比較して、ヒステリシスが極めて小さくなること、との新規知見を見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成させるに至った。
本発明は、基材を有機シランの単分子膜で被覆(通常、10°以上のヒステリシスが発生)した場合と比較して、当該有機シランを金属アルコキシドと混合し、塗布するだけで、透明な有機−無機ハイブリッド膜が形成され、更に、その表面が、表面張力が18〜73dyn/cmの液体に対して極めて小さなヒステリシスを示す固体表面を実現できる新しい表面改質技術を提供することを目的とするものである。また、本発明は、基材表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、ヒステリシスの極めて小さい表面を形成することを可能とする表面改質技術を提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、液滴と固体表面の相互作用を抑制することで、例えば、自動車・建材用ガラスの雨滴除去性の向上や防曇性の発現による視界確保や汚れ付着防止、μ−TASやバイオチップ等の水流制御、水溶性のインクジェットノズル等のマイクロ水滴の制御、金属/木質材料の耐食性向上、ナノインプリント用鋳型からの材料の離型性の向上、タッチパネルディスプレー等の指紋付着防止といった産業分野において、特に有効な、新規表面改質技術に関する新技術・新製品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)固体表面に形成させた有機−無機透明ハイブリッド皮膜であって、所定のモル比で混合されている有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合することにより得られた皮膜であり、該皮膜により、表面張力が18〜73dyn/cmである液体に対する前進接触角と後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となることを特徴とする有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(2)有機シランと金属アルコキシドが、1:0.1〜100のモル比で混合されている、前記(1)に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(3)得られる有機−無機透明ハイブリッド皮膜が、規則構造のない、または、1−10nmの繰り返し周期の層状構造を有している、前記(1)または(2)に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(4)上記皮膜が、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、繊維、紙の内から選択した基材と密着する密着性を示す、前記(1)から(3)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(5)上記皮膜が、平面、曲面、凹凸面、ポーラス面の中から選択した少なくとも1種類以上の表面から構成された混合表面と密着する密着性を示す、前記(1)から(4)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(6)有機シランと金属アルコキシドのモル比に依存して、有機シラン間の距離を変化させたものである、前記(1)から(5)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(7)前記(1)に記載の液体と、少なくとも1種類以上の化合物が混ざった混合液体に対する前進接触角と後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(8)上記皮膜が、指紋が付着しにくい難付着性で、かつ付着した指紋が拭き取りやすい易拭き取り性を示す、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(9)皮膜面が露点以下の温度になった場合、結露によって表面に付着した水滴が濡れ広がり、薄い水膜の形成により、防曇性能を発揮する、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(10)表面が損傷し、前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)が増加および算出不可能となった場合に、損傷した表面を除去することで、新しい表面が露出し、前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機ハイブリッド皮膜。
(11)有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、式(A)のR−Si−R n−3
(但し、n=1、2、または3、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖または炭素数1−20のパーフルオロ基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された不活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有する、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(12)有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、式(B)のR−Si−R n−3
(但し、n=1、2、または3、Rは、水酸基、ビニル基、塩化アルキル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボニル基、メタクリロキシ基、アジド基、ジアゾ基、またはベンゾフェニル基およびこれらの誘導体、Rは、炭素数1から15のアルキル基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有する、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(13)有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランとして、前記(12)に記載された有機シランから選択された少なくとも2種類以上を原料として使用した、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(14)有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドが、式(C)のM(R)n
(但し、n=1、2、3、または4、Mは、Al、Ca、Fe、Ge、Hf、In、Si、Ta、Ti、Sn、またはZrの金属元素、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基)で示される、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(15)有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドとして、前記(14)に記載された金属アルコキシドから選択された少なくとも2種類以上を原料として使用した、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(16)有機シランの代替として、有機カルボン酸または有機ホスホン酸を利用したものであり、これらの化合物が、式(D)のR−R
(但し、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖、または炭素数1−20のパーフルオロアルキル基(CF(CF−; n=0−19)、Rは、カルボキシル(−COOH)、ホスホン酸(−P(O)(OH))、またはリン酸(−O−P(O)(OH)))で示される、前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
(17)所定のモル比で混合されている有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合し、有機シラン間の距離を制御した前駆体溶液を、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維の内から選択した固体表面に塗布した後、所定時間、室温、大気圧下で溶媒を揮発させ、皮膜を架橋させることを特徴とする、有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(18)加水分解に使用する水と混和可能であり、かつ有機シランおよび金属アルコキシドの加水分解・縮重後の物質を溶解し、かつ蒸気圧が水より大きな有機溶媒を使用する、前記(17)に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(19)加水分解に使用する触媒が、式(A)のR、式(B)のR、式(C)のR、の加水分解を促進する作用を有する、前記(17)または(18)に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(20)スピンコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法、バーコティング法、インクジェットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法、ディスペンサ法、ノズルコート法、スリットコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、ワイヤバーコート法、スクリーン印刷法の内から選択したいずれかの方法により、有機溶媒の揮発を促進させる、前記(17)から(19)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(21)前駆体溶液中の有機シランおよび金属アルコキシドの濃度に対する有機溶媒のモル濃度に依存して、10−10000nmまで膜厚を制御する、前記(17)から(20)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(22)調製した前駆体溶液が、少なくとも180日以上保存後も使用可能である、前記(17)から(21)のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(23)前記(1)から(6)のいずれかに記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜が被覆された固体表面であって、その表面が、はっ水/はつ油性、滑落性、液滴除去能、耐指紋付着性、防曇性、耐食性を示すことを特徴とする固体表面。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、固体表面に形成させるための有機−無機透明ハイブリッド皮膜であって、所定のモル比で混合されている有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合することにより得られた皮膜であり、該皮膜により、表面張力が18〜73dyn/cmである液体に対する前進接触角と後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となることを特徴とするものである。また、本発明は、透明な有機−無機ハイブリッド皮膜の製造方法であって、有機シランおよび金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合し、有機シラン間の距離を制御した前駆体溶液を、固体表面に塗布後、所定時間、室温、大気圧下で静置し、溶媒を揮発させ、皮膜を架橋させることを特徴とするものである。更に、本発明は、上述の有機−無機透明ハイブリッド皮膜が被覆された固体表面であって、その表面が、優れたはっ水/はつ油性、滑落性、液滴除去能、耐指紋付着性、防曇性、耐食性を示すことを特徴とするものである。
本発明では、上記構成により、密着性と、膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性に優れた有機−無機透明ハイブリッド皮膜を形成することで、各種液滴(表面張力18〜73dyn/cm)およびこれらの液体のうち少なくとも二種類以上の液体が混ざった混合液体に対する前進接触角と後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となることを実現可能にするものである。
本発明では、有機シランと金属アルコキシドが、1:0.1以上の任意のモル比、好ましくは1:0.1〜100のモル比で混合されていること、得られる有機−無機透明ハイブリッド皮膜が、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、繊維、紙の内から選択した基材と容易に密着する良好な密着性を示すこと、上記皮膜が、平面、曲面、凹凸面、ポーラス面の中から選択した少なくとも1種類以上の表面から構成された混合表面と密着する密着性を示すこと、を好ましい実施態様としている。
また、本発明では、有機シランと金属アルコキシドのモル比に依存して、有機シラン間の距離を変化させたものであること、上記有機−無機透明ハイブリッド皮膜の表面の、各種液滴(表面張力18〜73dyn/cm)およびこれらの液体が少なくとも2種類以上混ざった、もしくは、これらの液体と固体が混合した混合液体の前進接触角と後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、または、指紋が付着しにくい難付着性であること、防曇性を有していること、表面が損傷し、前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)が増加および算出不可能となった場合に、損傷した表面を除去することで、新しい表面が露出し、前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となること、を好ましい実施態様としている。
また、本発明では、有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランは、上記式(A)のR−Si−R n−3 (但し、n=1、2、または3、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖または炭素数1−20のパーフルオロ基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された不活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有することが好ましく、また、有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランは、上記式(B)のR−Si−R n−3(但し、n=1、2、または3、Rは、水酸基、ビニル基、塩化アルキル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボニル基、メタクリロキシ基、アジド基、ジアゾ基、またはベンゾフェニル基およびこれらの誘導体、Rは、炭素数1から15のアルキル基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、又はアセトキシ基)で示され、かつ、Si−C結合で結合された活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有すること、が好ましい。
また、本発明では、有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドは、上記式(C)のM(R)n(但し、n=1、2、3、または4、Mは、Al、Ca、Fe、Ge、Hf、In、Si、Ta、Ti、Sn、またはZrの金属元素、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基)で示されること、が好ましい。
また、本発明では、有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合した前駆体溶液を、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維の内から選択した固体表面に滴下した後、所定時間、室温、大気圧下で溶媒を揮発させる。また、本発明では、加水分解に使用する少量の水と混和可能であり、かつ有機シランおよび金属アルコキシドの加水分解・縮重後の物質を溶解し、かつ蒸気圧が水より大きな有機溶媒を使用すること、加水分解に使用する水のモル分率が、前駆体溶液組成におけるアルコキシ基のモル分率より多いことが好ましい。
更に、本発明では、加水分解に使用する触媒としては、上記式(A)のR、上記式(B)のR、上記式(C)のR、の加水分解を促進する作用を有するものが使用される。また、本発明では、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法、バーコティング法、インクジェットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法の中から選択したいずれかの方法により、溶媒の揮発を促進させることが好ましく、前駆体溶液中の有機シランおよび金属アルコキシド濃度に依存して、10−10000nmまで膜厚を制御すること、が好ましい。
本発明で使用可能な有機シランは、例えば、アルキル(炭素数3から18)アルコキシシラン等を好適に用いることができるが、これらと同等又は類似の効果を奏する有機シランであれば同様に使用することが可能である。これらの有機シランとして、具体的には、以下に示す化合物が例示される。
すなわち、有機シランとして、例えば、アルキル(炭素数1から30)トリメトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)トリエトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジメトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジエトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルメトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルエトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)トリクロロシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジクロロシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルクロロシラン、アルキル(炭素数1から30)トリアセトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジアセトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルアセトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)トリイソシアナシシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジシアナトシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルシアナトシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリメトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリエトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジメトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジエトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルメトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルエトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリクロロシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジクロロシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルクロロシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリアセトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジアセトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルアセトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリイソシアナシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジシアナトシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルシアナトシラン、が例示される。
また、本発明で使用可能な金属アルコキシドとしては、特に制限はなく、従来公知のものを使用することができる。例えば、金属元素を中心として、2つ以上のアルコキシ基を有する上記[0026]以外の分子である金属アルコキシド、あるいはそれと同等又は類似の効果を奏する以下に示す化合物が例示される。
すなわち、金属アルコキシドとして、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−t−ブトキシアルミニウム、ジメトキシカルシウム、ジエトキシカルシウム、ジ−i−プロポキシカルシウム、ジ−n−ブトキシカルシウム、トリエトキシ鉄、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラ−i−プロポキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テトラ−t−ブトキシゲルマニウム、テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラ−i−プロポキシハフニウム、テトラ−n−ブトキシハフニウム、テトラ−t−ブトキシハフニウム、トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリ−i−プロポキシインジウム、トリ−n−ブトキシインジウム、トリ−t−ブトキシインジウム、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタ−i−プロポキシタンタル、ペンタ−t−ブトキシタンタル、ペンタ−n−ブトキシタンタル、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズ、テトラ−n−ブトキシスズ、テトラ−t−ブトキシスズ、が例示される。
本発明では、透明で均一な皮膜を形成するために、有機溶媒は、少量の水と混和し、かつ、有機シランと金属アルコキシドの縮重合物質を溶解させることができることと、前駆体溶液の基材上への塗布時に、速やかに揮発するものであることが望ましい。すなわち、本発明では、蒸気圧が水より高い、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を用いて前駆体溶液を調製することが好ましい。
また、有機シランおよび金属アルコキシドの濃度を調整することで、膜厚を10−10000nmの範囲で制御することが可能である。これは、ある一定量の前駆体溶液を基材表面に滴下し、溶媒の揮発に伴う皮膜形成時に、前駆体溶液に含まれる固形成分である有機シランおよび金属アルコキシドの濃度が高いほど、多くの固体が基材表面に析出するためである。
本発明では、有機シランおよび金属アルコキシドの反応性官能基の加水分解を促進させる(M−OH基(但し、Mは金属元素)の生成)ために、触媒を利用することが望ましく、また、当該触媒により、前駆体溶液中のpHを制御することで、有機シランと金属アルコキシドの縮重合物質を安定化することが望ましいため、例えば、アルコキシシリル基を用いる場合には、pH1〜3に制御可能な塩酸等の酸を使用することが好ましい。
また、添加する水の量としては、前駆体溶液に含まれる全ての反応性官能基が加水分解し、M−OH基(但し、Mは金属元素)を生成するために、官能基数以上の水が含まれていることが望ましい。水の量が上記した数より少なくても、膜の形成は可能であるが、加水分解が不十分なため、加水分解していない有機シランや金属アルコキシドが処理中に揮発し、歩留まりが低下するという問題があるため、好ましくない。
本発明における加水分解・縮重合中の前駆体溶液中においては、加水分解後の有機シランと金属アルコキシドの一部がランダムに縮重合する。それは、その際、加水分解後の金属アルコキシドと加水分解後の有機シランが交互に縮重合することで、有機シラン由来の有機基の距離が離れるためである。
つまり、金属アルコキシドが“スペーサー”として有機シランの有機基の距離を隔てるためである。長鎖アルキルトリメトキシシシランとテトラメトキシシランを原料として使用した場合の模式図を図1に示す。このため、膜表面での有機シラン由来物質の運動性が向上し、ヒステリシスの小さな固体表面を得ることが可能となる。
従って、本発明では、有機シランに対する金属アルコキシドの添加量を変えることによって、有機シラン間の距離を任意に制御することが可能であり、膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性を調整できるようになり、それにより、Liquid−likeな表面になるため、動的濡れ性が向上する。
本発明において、成膜方法は、溶媒の揮発を促進する方法であれば特に制限はなく、例えば、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法、バーコティング法、インクジェットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法が好適な例として挙げられる。
また、本発明で使用し得る基材としては、例えば、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維等の適宜の材料を任意に使用することができる。基材の具体例としては、例えば、銅、真鍮、シリコン、ポリカーボネート、ガラス、シリコーン樹脂、ヒノキ、リボン等が好適なものとして例示される。これらの基材の形状は、板状、凹凸状、粉末状、チューブ状、ポーラス状、繊維状等、任意な形状の基材を使用することができる。また、特に、基材の前処理は必要としない。もちろんd、プラズマやUV等で基材表面を洗浄し、洗浄化することも可能である。
本発明において、有機シランの種類によっては、層間が1−10nmの繰り返し周期の層状構造体を形成することがある。これは、有機シランの加水分解後に生成したシラノールが親水性を示す一方で、有機基は疎水性を示し、このため、成膜時に、有機シランと無機アルコキシドの縮重合物が両親媒的に振るまい、有機部の疎水性相互作用を駆動力として自己集合するためである。例えば、炭素数4から18のアルキルアルコキシシランが、層状構造を形成する好適な有機シランとして例示される。一方で、有機シランの種類によっては、層状構造を形成せず、ナノメートルオーダーの規則性をもたない、アモルファスなハイブリッド膜が形成する。しかしながら、この規則性の有無は、動的濡れ性に影響しないことが分かっている。
上述した通り、有機シランとしては、アルキルアルコキシシラン以外にも、活性な官能基を有する有機シランも利用することができる。本発明で使用し得る有機シランとしては、好適には、例えば、ビニルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン等を用いることができるが、その他、水酸基、アルデヒド基、塩化アルキル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボニル基、メタクリロキシ基、アジド基、ジアゾ基、ベンゾフェニル基等の活性な官能基を有する有機シランも利用することができる。
更に、有機シランの代替として、有機カルボン酸または有機ホスホン酸を利用したものであり、これらの化合物が、式(D)のR−R(但し、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖、または炭素数1−20のパーフルオロアルキル基(CF(CF−; n=0−19)、Rは、カルボキシル(−COOH)、ホスホン酸(−P(O)(OH))、またはリン酸(−O−P(O)(OH)))で示されるものを利用することができる。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)ヒステリシスの極めて小さい表面を、不活性な官能基を有する有機シラン、例えば、長鎖アルキルトリエトキシシラン等を用いて、基材表面において実現できる、新しい表面改質技術を提供することができる。
(2)ヒステリシスの極めて小さい表面を、活性な官能基を有する有機シラン、例えば、ビニルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン等を用いて、基材表面において実現できる、新しい表面改質技術を提供することができる。
(3)基材表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)を、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、ヒステリシスの極めて小さい表面にすることを可能とする表面改質技術を提供することができる。
(4)有機溶媒に対する有機シランと金属アルコキシドの濃度によって、膜厚を任意に制御可能(10−10000nm)である。
(5)表面張力が18〜73dyn/cmの液体に対してヒステリシスの極めて小さい有機−無機ハイブリッド皮膜を、特に基材を選ぶことなく、また、基材の前処理を施すことなく、基材に密着性よく形成できる表面処理技術を提供することができる。
(6)有機−無機ハイブリッド皮膜の透明性が高いため、処理する基材表面の外観を維持したまま、意匠性を損なうことなく、表面処理を施すことができる。
(7)調製後の前駆体溶液が安定であるため、該前駆体溶液は、調製後に長期間保存することができる。
(8)上記皮膜は、特に加熱処理をすることなく、室温で硬化させることが可能であるため、耐熱温度の低いポリマー、紙、樹脂、木材等への成膜が可能である。
(9)有機シラン含有量を調整することで、膜の硬度、可とう性を任意に調整することができるため、シート状のポリマー、金属フィルム、紙等に、曲げてもクラックや剥離を発生させない成膜が可能である。
(10)本発明は、有機−無機透明ハイブリッド皮膜の優れた動的濡れ性により、例えば、自動車・建材用ガラスの雨滴除去性の向上や防曇性の発現による視界確保や、汚れ付着防止、μ−TASやバイオチップ等の水流制御、水溶性のインクジェットノズル等のマイクロ水滴の制御、金属/木質材料の腐食防止、ナノインプリント用鋳型からの材料の離型性の向上、タッチパネルディスプレー等の指紋付着防止等の用途において、特に有効な新しい表面改質技術を提供することを可能にするものとして有用である。
図1は、有機シランおよび金属アルコキシドの共加水分解および縮重合時、皮膜形成後の状態を模式的に示すものである。金属アルコキシドの添加によって、有機シラン由来の有機部位(R)間の距離が、金属アルコキシドを添加しない場合と比較して、広がるため、有機部位(R)の運動性が向上する。 図2は、実施例3及び比較例3に係わる、スダンIIIで着色したn−ヘキサデカン滴下後のガラス管の外観を示すものである。 図3は、実施例6および比較例6に係わる、指紋を押しつけた際の試料の外観を示すものである。 図4は、実施例7および比較例7に係わる、蒸気暴露後の試料の外観を示すものである。 図5は、実施例12に係わる、各種試料のXRDパターンを示すものである。 図6は、実施例14に係わる、試料ZrCA18のXRDパターンを示すものである。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。
各種有機シラン、金属アルコキシド(主としてテトラメトキシシラン)を所定の比率(表1)で混合し、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表1に、実施例1に係わる、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、各種試料の前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシスの値を示す。表1に示すように、広い範囲のモル比(金属アルコキシド/有機シラン=0.1〜100)でヒステリシスの小さな表面が形成したことを確認した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン(テトラメトキシシラン/デシルトリエトキシシラン=4(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で所定時間撹拌した。得られた溶液を、表2に示す様々な基材表面へスピンコートし、一日、室温で静置した。
表2に、実施例2に係わる、各種試料のMilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシスの値を示す。表2に示すように、基材に依存せず、ヒステリシスの小さな表面が形成したことを確認した。特に、表面がフラットな銅、真鍮、シリコン、ポリカーボネート、ガラス、シリコーン樹脂に対しては、著効を示した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン(テトラメトキシシラン/デシルトリエトキシシラン=4(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で所定時間撹拌した。得られた溶液をガラス管にディップコートし、一日、室温で静置した。
図2(左のガラス管)に、実施例3に係わる、スダンIIIで着色したn−ヘキサデカン(0.5ml)滴下後のガラス管内壁の状態を示す。図2に示すように、最適なコーティング方法を選択することで、パイプの内部のような曲面にも、ヒステリシスの小さな表面を均一に被覆可能であることを確認した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン(テトラメトキシシラン/デシルトリエトキシシラン=4(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表3に、実施例4に係わる、表面張力の異なる各種液体に対する、各種試料の、前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシスの値を示す。表3に示すように、液体の表面張力に依存することなく、ヒステリシスの小さな表面が形成したことを確認した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン(テトラメトキシシラン/デシルトリエトキシシラン=4(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で、所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表4に、実施例5に係わる、2種類以上の液体が混合した混合液体に対する、各種試料の前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシスの値を示す。表4に示すように、2種類以上の物質が混合された混合液体に対しても、ヒステリシスの小さな表面が形成したことを確認した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン(テトラメトキシシラン/デシルトリエトキシシラン=4(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で、所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
図3(写真左)に、実施例6に係わる、指紋押しつけた際の試料表面の外観を示す。図3に示すように、指紋が付着しにくいことを確認した。これは、指紋のような混合物(皮脂、汗等)に対しても、ヒステリシスの小さな表面が形成したことを示している。
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン (テトラメトキシシラン/N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン=4(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
図4(写真左)に、実施例8に係わる、蒸気(相対湿度100%)暴露後の試料の外観を示す。図4に示すように、蒸気曝露後も皮膜裏側の数字が明瞭に観察でき、防曇性に優れた表面が形成したことを確認した。
デシルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシランまたは デシルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシランを、それぞれ所定の比率(表5)で混合し、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表5に、実施例8に係わる、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、各種試料の前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシスの値を示す。表5に示すように、2種類の有機シランを混合しても、ヒステリシスの小さな表面が形成したことを確認した。
デシルトリエトキシシラン、二種類の金属アルコキシドを所定の比率(表6)で混合し、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表6に、実施例9に係わる、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、各種試料の前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシスの値を示す。表6に示すように、2種類の金属アルコキシドを混合しても、ヒステリシスの小さな表面が形成したことを確認した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシランを所定の比率(表7)で混合し、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表7に、実施例10に係わる、各種試料の膜厚を示す。表7に示すように、有機シランおよび金属アルコキシドのモル比によって、膜厚を任意に制御できることを確認した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン(テトラメトキシシラン/デシルトリエトキシシラン=4(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で所定時間撹拌した。得られた前駆体溶液を所定時間(1〜180日)静置した後、ガラス基板にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表8に、実施例11に係わる、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、各種試料の前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシスの値を示す。表8に示すように、前駆溶液を180日以上保存しても、ヒステリシスな小さな表面が形成したことを確認した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン(テトラメトキシシラン/デシルトリエトキシシラン=4、5(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で、所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
図5に、実施例12に係わる、各種試料のXRDパターンを示す。図5に示すように、約3nmの周期構造を有する層状化合物が形成したことを確認した。
デシルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン(テトラメトキシシラン/デシルトリエトキシシラン=4(モル比))、エタノール、塩酸を混合した後、室温で、所定時間撹拌した。得られた溶液を、ガラス基板上にスピンコートし、一日、室温で静置した。
処理後、基板表面を、1000Pa下で、10秒、波長172nmの真空紫外光(VUV)に暴露した。その後、VUV照射によって損傷した表面をスコッチテープで除去した。VUV照射前、VUV照射後、表面除去後の、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)、ヒステリシスは、表9に示す値となった。
表9に示すように、表面が損傷し、ヒステリシスが大きな表面となっても、その損傷部位を除去することで、新規な表面が出現し、表面の動的濡れ性が復元する(ヒステリシスの小さな表面が現れる)ことを確認した。
ジルコニウムテトラプロポキシド(約70% 1−プロパノール溶液、以下、ZTPと示す。)、カルボン酸(CH(CHCOOH、n=6,8,10,12,14,16,20,22)を混合し、窒素雰囲気下、70℃で所定時間撹拌した後、直ちにこの溶液(以下、ZrCAと示す。x=8,10,12,14,16,18,22,24)をテフロン(登録商標)容器に移し替え、密閉した状態で150℃のオーブン中で12時間保持した。
更に、蓋を空あけた状態で80℃、12時間放置することで、残存しているIPAを完全に除去した。この溶液に氷酢酸を添加し、60℃で5分間撹拌し、最後にIPAを1:14(ZrCA:IPA)の割合で添加し、最終溶液とした。得られた溶液を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄したガラス基板へスピンコートし、60℃で10分乾燥後、100℃で1時間加熱処理した。
表10に、実施例14に係わる、n−ヘキサデカン、n−ドデカン、n−デカンの各種試料の前進接触角、後退接触角、ヒステリシスの値を示す。また、図6に、実施例14に係わる、x=18の試料のXRDパターンを示す。
表10および図6に示すように、有機シランの代替物質として、有機カルボン酸を使用しても、ヒステリシスの小さな表面が形成し、かつ、層間約3 nmの層状構造が形成されることを確認した。
[比較例1]
ガラス基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、表11に示す有機シランの蒸気を利用して、気相から有機シランを化学吸着させた。処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。表11に、比較例1に係わる、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、各種試料の動的接触角の値を示す。処理後の基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)、ヒステリシスは、表11に示す値となった。
表11に示すように、有機シラン単独で表面処理した場合は、有機−無機ハイブリッド皮膜と比較して、いずれの場合も、ヒステリシスの大きな表面が形成したことを確認した。
[比較例2]
各種基材を、1000Pa下で、所定時間、波長172nmの真空紫外光に暴露した後、デシルトリエトキシシランの蒸気を利用して、気相からデシルトリエトキシシランを化学吸着させた。処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。表12に、比較例2に係わる、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、各種試料の動的接触角の値を示す。処理後の各種基材表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)、ヒステリシスは、表12に示す値となった。
表12に示すように、有機シラン単独で表面処理した場合は、ガラスやシリコン表面のような基材表面のラフネスが小さな表面では、ヒステリシスの小さな表面が形成されたが、有機−無機ハイブリッドと比較するとその値は大きい。また、その他の基材表面では、大きなヒステリシスを示し、動的濡れ性の悪い表面が形成したことを確認した。
[比較例3]
アセトンにてガラス管内壁を脱脂した後、デシルトリエトキシシランの蒸気を利用して、気相からデシルトリエトキシシランを化学吸着させた。処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。ガラス管内部にスダンIIIで着色したn−ヘキサデカン(0.5mL)をガラス管内部へ滴下した。図2(左のガラス管)に、比較例3に係わる、スダンIIIで着色したn−ヘキサデカン(0.5mL)滴下後のガラス管内壁の状態を示す。
図2に示すように、有機シラン単独で表面処理した場合は、n−ヘキサデカンはガラス管内面を濡れ広がり、有機−無機ハイブリッドと比較すると、ヒステリシスの大きな表面が形成したことを確認した。
[比較例4]
ガラス基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、デシルトリエトキシシランの蒸気を利用して、気相からデシルトリエトキシシランの蒸気を化学吸着させた。処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。表13に、比較例4に係わる、表面張力の異なる各種液体に対する、各種試料の動的接触角の値を示す。処理後の基板表面の、各種表面張力の異なる液体に対する、前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)、ヒステリシスは、表13に示す値となった。
表13に示すように、有機シラン単独で表面処理した場合は、表面張力の異なる液体に対するヒステリシスの値は、有機−無機ハイブリッドと比較すると大きな値を示した。特に、n−デカンより表面張力の小さな液滴を用いた場合、液滴は表面を完全に濡れ広がった。
[比較例5]
ガラス基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、デシルトリエトキシシランの蒸気を利用して、気相からデシルトリエトキシシランの蒸気を化学吸着させた。処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。表14に、比較例5に係わる、2種類以上の液体が混合した混合液体に対する、各種試料の動的接触角の値を示す。処理後の基板表面の、2種類以上の液体が混合した混合液体に対する、前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)、ヒステリシスは、表14に示す値となった。
表14に示すように、有機シラン単独で表面処理した場合は、表面張力の異なる液体に対するヒステリシスは、有機−無機ハイブリッドと比較すると大きな値を示した。
[比較例6]
ガラス基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、デシルトリエトキシシランの蒸気を利用して、気相からデシルトリエトキシシランの蒸気を化学吸着させた。処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。静置後、表面処理後ガラス基板の表面に指を押しつけ、指紋の残存の様子を観察した。図3(写真右)に、比較例6に係わる、指紋押しつけ後の試料表面の外観を示す。
図3に示すように、有機シラン単独で表面処理した場合は、指紋は明瞭に残存し、有機−無機ハイブリッドと比較してヒステリシスが大きな表面が形成したことを確認した。
[比較例7]
ガラス基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランの蒸気を利用して、気相からN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランの蒸気を化学吸着させた。表面処理後ガラス基板を相対湿度100%の蒸気に暴露し、基板の透明性の変化を観察した。図4(写真右)に、比較例7に係わる、蒸気(相対湿度100%)暴露後の試料の外観を示す。
図4に示すように、有機シラン単独で表面処理した場合は、表面に結露した液滴によって光が散乱し、裏側の数字を明瞭に読み取ることができず、防曇特性がないことが明らかとなった。
[比較例8]
ガラス基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、デシルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランの混合蒸気を利用して、気相からこれらの有機シランを化学吸着させた。処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。表15に、比較例8に係わる、各種試料の動的接触角の値を示す。処理後の基板表面の、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)、ヒステリシスは、表15に示す値となった。
表15に示すように、有機シラン単独で表面処理した場合は、有機−無機ハイブリッドと比較するとヒステリシスは大きな値を示した。
[比較例9]
ガラス基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光(VUV)に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、デシルトリエトキシシランの蒸気を利用して、気相からデシルトリエトキシシランの蒸気を化学吸着させた。処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。
処理後、基板表面を、1000Pa下で、10秒、波長172nmのVUVに暴露した。その後、VUV照射によって損傷した表面をスコッチテープで除去した。VUV照射前、VUV照射後、表面除去後の、MilliQ水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)、ヒステリシスは、表16に示す値となった。
表16に示すように、有機シラン単独で表面処理した表面は、 表面が損傷し動的濡れ性が劣化すると、その特性が回復しないことが明らかとなった。
[比較例10]
ZTPとIPAを1:14(ZTP:IPA)の割合で添加し、得られた溶液を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄したガラス基板へスピンコートし、60℃で10分乾燥後、100℃で1時間加熱処理した。得られた表面において、n−ヘキサデカン、n−ドデカン、n−デカンのいずれの溶媒も濡れ広がった。
以上の1〜14の実施例、1〜10の比較例で作製した基板試料の表面を、相対的に評価すると、実施例1〜10、12〜14と、比較例1〜10の結果より、有機シランに金属アルコキシドを添加すると、有機シラン単独で表面処理された表面と比較して、ヒステリシスが小さくなり、優れたはっ水/はつ油表面、耐指紋付着性、防曇性に優れた表面を実現していることが分かった。また、実施例11では、成膜後固形成分となるテトラメトキシシランの濃度が増加するほど、膜厚が増加することが示された。つまり、固形成分の濃度によって、皮膜の膜厚制御が可能であることが明らかとなった。更に、実施例12で示したように、ある特定の条件では、層状構造体が形成することが明らかとなった。
通常、無機成分である金属アルコキシドを添加すると、固体表面に露出するヒドロキシ基(−OH)が増加するため、動的濡れ性は悪くなると考えられる。しかしながら、得られた結果は、反対に動的濡れ性が向上した。これは、無機成分を追加することで、有機シラン由来の有機部位間の距離が広がり、その結果、有機部位の運動性が大幅に増加し、液滴除去性能が向上したことを示している。
特に、実施例1で示したように、有機シランに対して100倍(モル比)の金属アルコキシドを添加しても、ヒステリシスの小さい表面が得られた。更に、実施例10、14に示したように、種類の異なる金属アルコキシドを混合し、または有機シランの代替として有機カルボン酸を使用し、皮膜を作製しても、ヒステリシスの小さな表面が得られている。よって、実施例1〜10、14の結果は、このメカニズムが、特定の有機シランおよび金属アルコキシドの割合に限定されず、あらゆる有機シラン分子のみならず、有機カルボン酸、有機ホスホン酸へ適用できることを示している。
有機シラン単独で表面処理の場合、ラフネスの大きな表面や反応性の低い基板表面への処理が困難であることが一般的に知られている。実際、比較例2の結果からも明らかなように、ガラスやシリコンのようなラフネスの小さな基材では、ヒステリシスは若干大きいものの、ある程度の処理効果が得られていることが分かる。しかしながら、その他の基材では、ヒステリシスは著しく大きくなるか、あるいは液滴は濡れ広がる。
また、実施例2および比較例2を比較したところ、本処理が、基材に依存せず、ヒステリシスの小さな表面を得ることができることが分かる。更に、実施例4および実施例11からも明らかなように、特殊な処理方法、処理条件を必要とせず、前駆体溶液を長期間保存できることも、本処理技術が、優れた汎用性を有していることを示している。
以上詳述したように、本発明は、有機−無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法に関するものであり、本発明により、有機シランおよび金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合させた前駆体溶液を、例えば、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維等の固体表面に塗布することで、溶媒の揮発と同時に、密着性の良好な透明膜を形成させ、膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性を制御することで、基材の特性を維持したまま、基材表面に、優れたはっ水/はつ油性、滑落性、液滴除去能、耐指紋付着性、防曇性を付与することを可能にする有機−無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法を提供することができる。
本発明は、液滴と固体表面の相互作用を制御することで、例えば、自動車・建材用ガラスの雨滴除去性の向上や防曇性の発現による視界確保や、汚れ付着防止、μ−TASやバイオチップ等の水流制御、水溶性のインクジェットノズル等のマイクロ水滴の制御、金属/木質材料の腐食防止、ナノインプリント用金型の離型性向上、タッチパネルディスプレー等の指紋付着防止等の用途において、特に有効な、新しい表面改質技術に関する新技術・新製品を提供するものとして有用である。

Claims (23)

  1. 固体表面に形成させた有機−無機透明ハイブリッド皮膜であって、所定のモル比で混合されている有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合することにより得られた皮膜であり、該皮膜により、表面張力が18〜73dyn/cmである液体に対する前進接触角と後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となることを特徴とする有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  2. 有機シランと金属アルコキシドが、1:0.1〜100のモル比で混合されている、請求項1に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  3. 得られる有機−無機透明ハイブリッド皮膜が、規則構造のない、または、1−10nmの繰り返し周期の層状構造を有している、請求項1または2に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  4. 上記皮膜が、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、繊維、紙の内から選択した基材と密着する密着性を示す、請求項1から3のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  5. 上記皮膜が、平面、曲面、凹凸面、ポーラス面の中から選択した少なくとも1種類以上の表面から構成された混合表面と密着する密着性を示す、請求項1から4のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  6. 有機シランと金属アルコキシドのモル比に依存して、有機シラン間の距離を変化させたものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  7. 請求項1に記載の液体と、少なくとも1種類以上の化合物が混ざった混合液体に対する前進接触角と後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  8. 上記皮膜が、指紋が付着しにくい難付着性で、かつ付着した指紋が拭き取りやすい易拭き取り性を示す、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  9. 皮膜面が露点以下の温度になった場合、結露によって表面に付着した水滴が濡れ広がり、薄い水膜の形成により、防曇性能を発揮する、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  10. 表面が損傷し、前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)が増加および算出不可能となった場合に、損傷した表面を除去することで、新しい表面が露出し、前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機ハイブリッド皮膜。
  11. 有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、式(A)のR−Si−R n−3
    (但し、n=1、2、または3、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖または炭素数1−20のパーフルオロ基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された不活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  12. 有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、式(B)のR−Si−R n−3
    (但し、n=1、2、または3、Rは、水酸基、ビニル基、塩化アルキル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボニル基、メタクリロキシ基、アジド基、ジアゾ基、またはベンゾフェニル基およびこれらの誘導体、Rは、炭素数1から15のアルキル基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  13. 有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランとして、請求項12に記載された有機シランから選択された少なくとも2種類以上を原料として使用した、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  14. 有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドが、式(C)のM(R)n
    (但し、n=1、2、3、または4、Mは、Al、Ca、Fe、Ge、Hf、In、Si、Ta、Ti、Sn、またはZrの金属元素、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基)で示される、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  15. 有機−無機透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドとして、請求項14に記載された金属アルコキシドから選択された少なくとも2種類以上を原料として使用した、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  16. 有機シランの代替として、有機カルボン酸または有機ホスホン酸を利用したものであり、これらの化合物が、式(D)のR−R
    (但し、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖、または炭素数1−20のパーフルオロアルキル基(CF(CF−; n=0−19)、Rは、カルボキシル(−COOH)、ホスホン酸(−P(O)(OH))、またはリン酸(−O−P(O)(OH)))で示される、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜。
  17. 所定のモル比で混合されている有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合し、有機シラン間の距離を制御した前駆体溶液を、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維の内から選択した固体表面に塗布した後、所定時間、室温、大気圧下で溶媒を揮発させ、皮膜を架橋させることを特徴とする、有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  18. 加水分解に使用する水と混和可能であり、かつ有機シランおよび金属アルコキシドの加水分解・縮重後の物質を溶解し、かつ蒸気圧が水より大きな有機溶媒を使用する、請求項17に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  19. 加水分解に使用する触媒が、式(A)のR、式(B)のR、式(C)のR、の加水分解を促進する作用を有する、請求項17または18に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  20. スピンコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法、バーコティング法、インクジェットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法、ディスペンサ法、ノズルコート法、スリットコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、ワイヤバーコート法、スクリーン印刷法の内から選択したいずれかの方法により、有機溶媒の揮発を促進させる、請求項17から19のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  21. 前駆体溶液中の有機シランおよび金属アルコキシドの濃度に対する有機溶媒のモル濃度に依存して、10−10000nmまで膜厚を制御する、請求項17から20のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  22. 調製した前駆体溶液が、少なくとも180日以上保存後も使用可能である、請求項17から21のいずれか一項に記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  23. 請求項1から6のいずれかに記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜が被覆された固体表面であって、その表面が、はっ水/はつ油性、滑落性、液滴除去能、耐指紋付着性、防曇性、耐食性を示すことを特徴とする固体表面。
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