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JP2013159647A - 捺染インクジェット用前処理剤およびインクセット - Google Patents

捺染インクジェット用前処理剤およびインクセット Download PDF

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JP2013159647A JP2012020472A JP2012020472A JP2013159647A JP 2013159647 A JP2013159647 A JP 2013159647A JP 2012020472 A JP2012020472 A JP 2012020472A JP 2012020472 A JP2012020472 A JP 2012020472A JP 2013159647 A JP2013159647 A JP 2013159647A
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resin
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pretreatment agent
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Junichi Terauchi
淳一 寺内
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Riso Kagaku Corp
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Riso Kagaku Corp
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Abstract

【課題】捺染インクジェット用前処理剤を、インクの定着性に優れるとともに、保存安定性のより向上したものとする。
【解決手段】捺染インクジェット用前処理剤を、炭素数が3以上8以下のカルボン酸由来の多価金属塩と、ガラス転移点温度が10℃以下である水分散性樹脂(A)とを含むものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、捺染インクジェット用前処理剤およびこの前処理剤とインクがセットされたインクセットに関するものである。
繊布、不繊布等の布帛に、文字、絵、図柄等の画像を捺染する方法として、コンピュータで画像処理して実質無版で捺染することができる捺染インクジェット方法が知られている。捺染インクジェット方法により布上に画像を印字する場合、布表面繊維の毛羽立ちにより画像が乱れるという問題がある。また、印字されたインクは溶剤が揮発乾燥すると同時に、布にしみこむことによって乾燥・定着するため、繊維にそって画像がにじみ、印字物の画質が下がるという問題がある。このような問題を解決するため、出願人は、特許文献1において、水分散性樹脂を用いた前処理剤、およびこの前処理剤とインクを含むインクセットを提案している。
このインクセットは、前処理剤中の水分散性樹脂により布表面繊維の毛羽立ちを抑制するとともに、比較的軟らかい水分散性樹脂の前処理剤を介すことで、被印刷物とインクとの定着性を向上させて洗濯堅牢度を向上させることができるものである。前処理剤に含まれる水分散性樹脂は、噴霧等で布表面に適量塗布・乾燥されたのち、アイロンを用いた加熱・加圧操作により可塑性を生じて布表面繊維と一体化する。この水分散性樹脂の働きによって、布表面繊維の毛羽立ちを抑えた高い平滑度の布表面を提供するとともに、印字物の画質を向上させることが可能である。
また、前処理剤に多価金属塩を含ませることによって、インク中の顔料を凝集させるとともに樹脂エマルジョンを析出させて、被印刷物上にインク膜を形成させる作用を促進させることができる。前処理剤が多価金属塩を含む場合には、捺染用インクジェットインクで画像を印字すると、布表面に着弾したインク滴は、布上に析出していた前処理剤に含まれる多価金属塩をインクに含まれる溶剤(水)で再溶解し、溶解した多価金属イオンとインクに含まれる水分散性樹脂が反応してインクがゲル状に変化し、布上に定着することで印字物の画質を向上させることができるものと考えられる。従って、前処理剤が多価金属塩を含む場合には、より画像にじみ、インク浸透の少ない高精細な画像を得やすくなる。
特開2010−150454号公報
しかし、多価金属塩はインク中の水分散性樹脂をゲル化するためのものである一方で、前処理剤に含まれる水分散性樹脂をも攻撃し、前処理剤を凝集・分離させることがわかった。インク中の水分散性樹脂をゲル化・固着させるためには、前処理剤に含まれる多価金属塩は多価金属イオンとなる必要があるが、保存状態においては水分散性樹脂の攻撃を抑制するために電離が抑えられる必要があり、保存段階と前処理剤として機能する段階とで、多価金属塩には異なる性質が求められる。換言すれば、保存安定性を追求するならば、インクの定着性をある程度犠牲にせざるを得ず、インクの定着性を追求するならば、保存安定性をある程度犠牲にせざるを得ないという、いわば二律背反の関係にあり、この両立は極めて困難である。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、インクの定着性に優れるとともに、保存安定性のより向上した捺染インクジェット用前処理剤およびこの前処理剤とインクがセットされたインクセットを提供することを目的とするものである。
本発明の捺染インクジェット用前処理剤は、炭素数が3以上8以下のカルボン酸由来の多価金属塩と、ガラス転移点温度が10℃以下である水分散性樹脂(A)とを含むことを特徴とするものである。
前記多価金属塩はカルシウム塩であることが好ましい。
前記カルボン酸はプロピオン酸、乳酸またはフタル酸のいずれかであることが好ましい。
本発明の捺染インクジェット用インクセットは、
(1)上記捺染インクジェット用前処理剤と、
(2)顔料、皮膜伸度が400%〜1500%である水分散性樹脂(B)、および水を含むインクジェット用インクとの組み合わせからなることを特徴とするものである。
より好ましくは、本発明の捺染インクジェット用インクセットは、前記(1)の捺染インクジェット用前処理剤と前記(2)のインクジェット用インクとに、
(3)皮膜伸度が400%〜1500%である樹脂(C)を含むミドルコート剤と、
(4)皮膜伸度が100%〜400%である樹脂(D)を含むオーバーコート剤と、
を加えた組み合わせからなることが好ましい。
本発明の捺染インクジェット用前処理剤は、多価金属塩が炭素数3以上8以下のカルボン酸由来のものであるので、保存状態においては電離が抑制されて捺染インクジェット用前処理剤中の水分散性樹脂(A)を攻撃することがなく、高い保存安定性を保つことができる。一方で、適量塗布・乾燥されて布表面繊維と一体化した後は、布表面繊維の毛羽立ちを抑えることが可能であるとともに、捺染用インクジェットインクで画像を印字すると、布表面に着弾したインク滴中のインク溶剤が、布上に析出した多価金属塩を速やかに溶解・電離し、多価金属イオンの働きで、インク中の水分散性樹脂(B)をゲル化・固着させることができる。すなわち、本発明の捺染インクジェット用前処理剤に含まれる多価金属塩は、保存状態においては電離が抑制されるが、インクの溶剤と接触すると、多価金属イオンとして機能し、これによって、インクの定着性と、保存安定性の両立を図ることが可能である。
本発明の捺染インクジェット用前処理剤(以下、単に前処理剤ともいう)は、炭素数が3以上8以下のカルボン酸由来の多価金属塩と、ガラス転移点温度が10℃以下である水分散性樹脂(A)とを含むことを特徴とする。
多価金属塩としては、カルシウム、マグネシウム、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム等の塩が挙げられるが、前処理剤として布上に噴霧しアイロンで定着されるため自身は無色であること、また皮膚等に触れる可能性を考慮すれば、影響のないカルシウム塩がより好ましい。
炭素数が3以上8以下のカルボン酸としては、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸等の飽和脂肪酸、乳酸等のヒドロキシ酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸等を好ましく挙げることができる。炭素鎖は直鎖でも分岐でもよく、また、飽和でも不飽和でもよい。
炭素数が2以下であると、保存段階保存段階において前処理剤が電離しやすく、前処理液中の樹脂と反応しやすいため、前処理剤として機能する段階において、インク中の水分散性樹脂(B)をゲル化・固着させる効果が少なくなる。一方、炭素数が9以上になると、分子量が大きくなり、分子中の多価金属塩量が相対的に小さくなるためインクをゲル化・凝固させるのに必要な多価金属イオン量を確保するためのカルボン酸塩の必要量が増加し、前処理剤の粘度上昇等の不具合が起きる。また、溶解性が悪くなるために保存安定性が低下する。
多価金属塩の前処理剤中の濃度は、1質量%〜25質量%程度であることが好ましく、5質量%〜15質量%程度であることがより好ましい。1質量%未満では、インク膜を適切に形成しにくく、インクの定着性が向上しにくい場合がある。一方で、25質量%を超えて添加しても、それ以上の効果を期待することはできない。
水分散性樹脂(A)は、ガラス転移点温度(以下、「Tg」と称することがある)が10℃以下であり、さらに、5℃以下であることがより好ましい(Tgは、乾燥後の樹脂について、示差走査熱量計(DSC8230L2、株式会社リガク製)を用い、昇温速度10℃/分にて測定される)。このような前処理剤をインクによる印刷の前に被印刷物に塗布することで、被印刷物とインク膜の接着性が向上し、優れた洗濯・摩擦堅牢度を得ることができる。また、布帛の毛羽立ちを抑制することもできる。
前処理剤の水分散性樹脂(A)は、共存する多価金属塩との安定性の観点から、ゼータ電位の絶対値が10mV未満のものであることが好ましい。
水分散性樹脂(A)は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
水分散性樹脂(A)は、上記Tgを有するものであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂等、およびこれらの2種以上の組み合わせを使用することができる。具体的には、例えば、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックスシリーズのなかの107M、300、361、E2000、E4000、E4800、株式会社アデカ製アデカボンタイターシリーズのなかのアデカボンタイターHUX−950、290H、および三井化学ポリウレタン株式会社製のタケラックW−512A6、日信化学工業株式会社製のビニブラン1225、1245L等が挙げられ、それぞれ単独で用いられる他、複数種を併用してもよい。
前処理剤全量に対し、水分散性樹脂(A)の含有量(本発明で規定する物性を備えた樹脂以外の水分散性樹脂を前処理剤中に含む場合はそれらを含む合計量)は、その効果を適切に発揮させるために、前処理剤全量に対し、1質量%〜20質量%であることが好ましい。20質量%を超えて多量に配合すると、非印字部に付着させた前処理剤を洗濯によって除去することが困難となり、出来上がりの捺染物の商品性を低下させる怖れがある。
前処理剤は水を含む水性溶液であり、この水は特に限定されないが、イオン交換水や蒸留水等の純水、超純水等、不純物の少ない水が好ましい。水の含有量は、特に制限されず、粘度調整の観点から、適宜調整することが好ましい。なお、粘度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機溶剤を添加することもできる。前処理剤に使用することができる水溶性有機溶剤は、後述するインクに配合される水溶性有機溶剤と同様である。
さらに前処理剤には、防腐剤、粘度調製剤、酸化防止剤、界面活性剤等の、一般的にインクに配合される添加剤を任意で加えてもよい。このような添加剤としては、後述するインクに配合されるものと同様のものを使用することができる。
本発明の捺染インクジェット用インクセットは、上記捺染インクジェット用前処理剤と、(2)インクジェット用インク(以下、単にインクともいう)との組み合わせからなることを特徴とする。より好ましくは、上記(1)の捺染インクジェット用前処理剤と上記(2)のインクジェット用インクとに、(3)ミドルコート剤と、(4)オーバーコート剤とを加えた組み合わせからなることが好ましい。以下、順に説明する。
(2)インクとしては、顔料、皮膜伸度が400%〜1500%である水分散性樹脂(B)、および水を含む組成である。
布帛のような伸縮しやすい被印刷物に対して洗濯・摩擦堅牢度を確保するためには、インク膜の伸縮のしやすさ、すなわち皮膜伸度が重要である。すなわち、インク膜が布帛の伸縮に追随して伸縮することができる伸度を有することにより、インク膜の破断、ひび割れを防ぎ、洗濯・摩擦堅牢度を確保することができる。一方、樹脂の伸度が大きすぎると、インク膜の被印刷物への密着性が減少し、洗濯・摩擦堅牢度が低下するため好ましくない。これは、インク膜の粘性が強くなりすぎて、繊維表面への充分なアンカー効果を発揮することができないことによると考えられる。
こうした観点から、水分散性樹脂(B)の皮膜伸度は400%〜1500%の範囲が好ましいく、さらに、500%〜1100%であることがより好ましく、400%〜1000%であることが一層好ましい。ここで、皮膜伸度は、乾燥後の膜厚が500μmになるように、ポリテトラフルオロエチレンシート上に水分散性樹脂(B)を塗布し、常温で15時間乾燥し、さらに80℃で6時間、および120℃で20分の乾燥を行った後、シートから剥離して得た水分散性樹脂フィルムに対し、テンシロン万能試験機RTC−1225A(株式会社オリエンテック製)を用い、測定温度20℃、測定スピード200mm/minで、水分散性樹脂フィルムを伸長させて水分散性樹脂フィルムが破断するまでに伸長する長さを測定し、その割合をパーセントで表したものである(以下、樹脂(C)および(D)についても同様)。
水分散性樹脂(B)は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
水分散性樹脂(B)の種類は、上記皮膜伸度を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂等、およびこれらの2種以上の組み合わせを使用することができる。具体的には、例えば、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックスシリーズのなかのスーパーフレックス460、460s、470、500M、610、700、株式会社アデカ製アデカボンタイターシリーズのなかのアデカボンタイターHUX−380、290K、290H、三井化学ポリウレタン株式会社製タケラックW−512A6等が挙げられる。これらは、ウレタン骨格を有する水分散性樹脂である。これらの樹脂は単独で、又は2種以上の組み合わせとして使用することができる。
インク全量に対し、水分散性樹脂(B)の含有量(本発明で規定する物性を備えた樹脂以外の水分散性樹脂をインク中に含む場合にはそれらを含む合計量)は、質量比で、顔料1に対し0.5〜2.5の範囲であることが好ましい。これにより、水分散性樹脂(B)の配合効果を適切に発揮させることができる。すなわち、質量比で顔料1に対し0.5未満であると、充分な洗濯・摩擦堅牢度が確保できない怖れがある。一方、2.5を超えると、インクの粘度に影響を与えて印刷性を阻害する怖れがある。
さらに、インク放置後のヘッド目詰まりを回避し、復帰しやすさを確保する観点から、水分散性樹脂(B)の含有量は、インク全量に対し、30質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
水分散性樹脂(B)は、ゼータ電位の絶対値が40mV以上という特性を有するアニオン性樹脂であることが好ましい。このようなゼータ電位を有することにより、前処理剤の多価金属塩との接触により樹脂が析出しやすく、隠蔽性や洗濯・摩擦堅牢度を向上させることができる。アニオン性樹脂が有するアニオン性基は、前処理剤を使用した際の多価金属塩の作用による析出のしやすさから、カルボキシ基が好ましい。
顔料は、当該技術分野で一般に用いられているものを任意に使用することができる。白インクには白色顔料が、色インクには、白以外の色顔料が使用される。具体的には、白色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム等の無機顔料が挙げられる。無機顔料以外に、中空樹脂微粒子や、高分子微粒子を使用することもできる。
顔料の平均粒径は100nm〜500nmであることが好ましい。顔料の平均粒径が100nm未満の場合は隠蔽力が不充分となる傾向がみられ、500nmを超える場合は吐出安定性が不充分となる傾向にある。
なかでも、隠蔽力の観点から、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの平均粒径も、同様に100nm〜500nmであることが好ましい。酸化チタンを使用する場合は、光触媒作用を抑制するために、アルミナやシリカで表面処理されたものを使用することが好ましい。表面処理量は、顔料中に5質量%〜20質量%程度であることが好ましい。
色顔料としては、例えば、アゾ系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等)、コバルト、鉄、クロム同、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わされて使用されてもよい。
顔料の含有量(固形分量)は、使用する顔料の種類によっても異なるが、必要な発色を確保する等の観点から、インク中に1質量%〜30質量%含まれていることが好ましく、1質量%〜15質量%であることがより好ましい。
インク中に顔料を安定に分散させるために、高分子分散剤や界面活性剤に代表される顔料分散剤を使用することが好ましい。下記の顔料分散剤は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
高分子分散剤としては、例えば市販品として、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000)、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ(ジョンクリル57、60、62、63、71、501)、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドンK−30、K−90等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製デモールシリーズ(デモールN、RN、NL、RNL、T−45)等のアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲンA−60、A−90、A−500、B−40、L−40、420)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
前処理剤に含まれる多価金属塩との相互作用を考慮すると、顔料分散剤はアニオン性であることが好ましい。
顔料分散剤を使用する場合のインク中の配合量は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般的に、有効成分(固形分量)の質量比で顔料1に対し、0.005〜0.5の範囲で使用されることが好ましい。
さらに、顔料表面を親水性官能基で修飾した自己分散性顔料を使用することもできる。市販品としては、例えば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ(CAB−O−JET200、300、250C、260M、270C)、オリエント化学工業株式会社製CW−1、CW−2等が挙げられる。
また、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を使用してもよい。
インクに含まれる水としては、特に限定されないが、イオン交換水や蒸留水等の純水、超純水等、不純物の少ない水が好ましい。水は、粘度調整の観点から、インク中に、20質量%〜80質量%含まれていることが好ましく、30質量%〜70質量%含まれていることがより好ましい。
本発明のインクには、粘度調整と保湿効果の観点から、室温で液体であって水に溶解可能な水溶性有機溶剤が含まれていることが好ましい。このような水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、などのグリコール類、グリセリン、アセチン類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコール誘導体、トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオグリコール、スルホランなどを用いることができる。これらの水溶性溶剤は単独で、または2種類以上組み合わせて使用することができる。
水溶性有機溶剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、インク中に1質量%〜80質量%含まれていることが好ましく、10質量%〜60質量%であることがより好ましい。
本発明のインクには、上記の成分に加え、本発明の効果を阻害しない範囲で、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(界面活性剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を任意に含有させることができる。
湿潤剤としては、多価アルコール類を使用することができる。
表面張力調整剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤を使用することができる。この界面活性剤を配合することにより、インクジェット方式でインクを安定に吐出させることができ、かつ、インクの浸透を適切に制御することができるために好ましい。その添加量は、界面活性剤の種類によっても異なるが、インク中に0.1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。この範囲を超えて界面活性剤を多く配合すると、インクの表面張力を低下させ、その結果布帛上でのインクの浸透が速くなりすぎて、隠蔽性や発色性を妨げる怖れがある。
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、花王株式会社製エマールシリーズ(エマール0、10、2F、40、20C)、ネオペレックスシリーズ(ネオペレックスGS、G−15、G−25、G−65)、ペレックスシリーズ(ペレックスOT−P、TR、CS、TA、SS−L、SS−H)、デモールシリーズ(デモールN、NL、RN、MS)等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製アセタミンシリーズ(アセタミン24、86)、コータミンシリーズ(コータミン24P、86P、60W、86W)、サニゾールシリーズ(サニゾールC、B−50)等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、エアープロダクツ社製サーフィノールシリーズ(サーフィノール104E、104H、420、440、465、485)等のアセチレングリコール系界面活性剤や、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲン102KG、103、104P、105、106、108、120、147、150、220、350、404、420、705、707、709、1108、4085、2025G)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤が挙げられる。
両性界面活性剤としては、花王株式会社製アンヒトールシリーズ(アンヒトール20BS、24B、86B、20YB、20N)等が挙げられる。
インクの粘度やpHを調整するために、インクに電解質を配合することもできる。電解質としては、例えば、硫酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、ホウ酸ナトリウムが挙げられ、2種以上を併用してもよい。硫酸、硝酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン等も、インクの増粘助剤やpH調整剤として用いることができる。
酸化防止剤を配合することにより、インク成分の酸化を防止し、インクの保存安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムを用いることができる。
防腐剤を配合することにより、インクの腐敗を防止して保存安定性を向上させることができる。防腐剤としては、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸を用いることができる。
インクの粘度は、適宜調節することができるが、例えば吐出性の観点から、1mPa・s〜30mPa・sであることが好ましい。この粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインク粘度である。
(3)ミドルコート剤は、皮膜伸度が400%〜1500%である樹脂(C)を含む組成である。
ミドルコート剤は、被印刷物に上記インクを印刷した後に、少なくとも印刷領域を含む印刷面に塗布して使用するためのものである。
本発明のインクは、インクのみでも洗濯・摩擦堅牢度をある程度は高めることができるが、後述するオーバーコート剤で印刷面を保護することによって摩擦堅牢度をさらに高めることができる。しかし、オーバーコート剤の樹脂の皮膜伸度を低く設定するため、オーバーコート剤がインク膜に追従することができず、洗濯によって剥落が生じることがある。そこで、インク膜とオーバーコート剤との間にミドルコート剤を介することで、剥落を防止することができる。
このような作用は、ミドルコート剤とオーバーコート剤の樹脂を混合し一層とした場合には得ることができず、別々に樹脂層を形成することが重要である。また、インク中にミドルコート剤の成分を含有させることも考えられるが、インクに添加することができる樹脂の量は粘度の観点から限界があるため、ミドルコート剤として独立した層を設けることが好ましい。
ミドルコート剤の樹脂(C)の皮膜伸度は、400%〜1500%が好ましく、さらに、500%〜1100%がより好ましく、400%〜1000%が一層好ましい。400%以上であることで、ミドルコート剤が布帛およびインク膜の伸縮に追従して伸縮することができるため、ミドルコート剤の破断やひび割れを防ぐことができる。1500%を超えると、ミドルコート剤とインク膜の接着性の観点から、洗濯・摩擦堅牢度を充分に確保することができないため好ましくない。
ミドルコート剤は、環境負荷や安全性の観点から、水系であることが好ましい。また、ミドルコート剤に用いる樹脂(C)は、耐水性の観点から水分散性樹脂が好ましく、この場合、ミドルコート剤は、水分散性樹脂と水とを含む。水分散性樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
ミドルコート剤の樹脂(C)の種類は、上記皮膜伸度を有するものであれば、本発明の目的に鑑み特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂等、およびこれらの2種以上の組み合わせを使用することができる。具体的には、例えば、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックスシリーズのなかのスーパーフレックス460、460s、470、610、700、株式会社アデカ製アデカボンタイターシリーズのなかのアデカボンタイターHUX−380、290K、290H、三井化学ポリウレタン株式会社製タケラックW−512A等が挙げられる。これらは、ウレタン骨格を有する水分散性樹脂である。これらの樹脂は単独で、又は2種以上の組み合わせとして使用することができる。
ミドルコート剤全量に対し、樹脂の含有量(本発明で規定する物性を備えた樹脂以外の樹脂をミドルコート剤中に含む場合はそれらを含む合計量)は、その効果を適切に発揮させるために、1質量%〜60質量%であることが好ましく、3質量%〜40質量%であることがより好ましい。60質量%を超えて多量に配合すると、布帛に均一に塗布するのが困難となり、出来上がりの捺染物の商品性を低下させる怖れがある。
水としては、特に限定されないが、イオン交換水や蒸留水等の純水、超純水等、不純物の少ない水が好ましい。水の含有量は、特に制限されず、粘度調整の観点から、適宜調整することが好ましい。
また、粘度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機溶剤を添加することができる。このような水溶性有機溶剤としては、上記インクに配合されるものと同様のものを使用することができる。
ミドルコート剤には、防腐剤、粘度調製剤、酸化防止剤、界面活性剤等の、一般的にインクに配合される添加剤を任意で加えてもよい。このような添加剤としては、上記インクに配合されるものと同様のものを使用することができる。
(4)オーバーコート剤は、皮膜伸度が100%〜400%である樹脂(D)を含む組成である。
オーバーコート剤は、被印刷物に上記したミドルコート剤を塗布した後に、少なくとも印刷領域を含む印刷面に塗布して使用するためのものである。
オーバーコート剤の樹脂(D)の皮膜頻度は、100%〜400%であり、さらに、150%〜350%がより好ましい。400%以下であることで、摩擦力によってインク膜が削られてしまうことを防止し、摩擦堅牢度を向上させることができる。一方、100%未満であると、インク膜の柔軟性が悪化し、風合いが低下することがあるため、好ましくない。また、オーバーコート膜の皮膜伸度が低すぎると、インク膜が布帛とともに伸縮するときに、オーバーコート膜が追従して伸縮することができずに、インク膜の方が破断し、ひび割れてしまうことがある。そのためにも、100%以上であることが好ましい。
オーバーコート剤の樹脂(D)は、環境負荷や安全性の観点から、水系であることが好ましい。また、オーバーコート剤に用いる樹脂(D)は、耐水性の観点から水分散性樹脂が好ましく、この場合、オーバーコート剤は、水分散性樹脂と水とを含む。水分散性樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
オーバーコート剤の樹脂(D)の種類は、上記皮膜伸度を有するものであれば、本発明の目的に鑑み特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂等、およびこれらの2種以上の組み合わせを使用することができる。具体的には、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックスシリーズのなかのスーパーフレックス150、410、420、650、E2500、R5002、三井化学ポリウレタン株式会社製タケラックW615、W6010、W405、W635、WS5100等、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
オーバーコート剤全量に対し、樹脂の含有量(本発明で規定する物性を備えた樹脂以外の樹脂をオーバーコート剤中に含む場合にはそれらを含む合計量)は、その効果を適切に発揮させるために、1質量%〜60質量%であることが好ましく、3質量%〜40質量%であることがより好ましい。60質量%を超えて多量に配合すると、布帛に均一に塗布するのが困難となり、出来上がりの捺染物の商品性を低下させる怖れがある。
水としては、特に限定されないが、イオン交換水や蒸留水等の純水、超純水等、不純物の少ない水が好ましい。水の含有量は、特に制限されず、粘度調整の観点から、適宜調整することが好ましい。
オーバーコート剤には、粘度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機溶剤を添加することができる。このような水溶性有機溶剤としては、上記インクに配合されるものと同様のものを使用することができる。
本発明のオーバーコート剤には、防腐剤、粘度調製剤、酸化防止剤、界面活性剤等の、一般的にインクに配合される添加剤を任意で加えてもよい。このような添加剤としては、上記インクに配合されるものと同様のものを使用することができる。
次に、本発明のインクセットを用いた捺染物(捺染印刷物)の製造方法について説明する。布帛としては、綿、絹、羊毛、麻、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アセテート、キュプラ等の任意の天然・合成繊維からなる布帛を用いることができる。本発明のインクセットは、様々な素材の布帛に対し、洗濯・摩擦堅牢度の優れた捺染物を提供することができる。特に、本発明によれば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アセテート、キュプラ等の長繊維から構成される織物を布帛として用いても、優れた洗濯・摩擦堅牢度を得ることができる。
本発明のインクセットを用いた捺染物は、(1)布帛の少なくとも印刷領域に前処理剤を塗布する工程、(2)インクジェット記録法により、インクジェット用インクによって布帛を印刷する工程、(3)布帛の少なくとも印刷領域にミドルコート剤を塗布する工程、および(4)布帛の少なくとも印刷領域にオーバーコート剤を塗布する工程を含む。このような製造方法によれば、洗濯・摩擦堅牢度の優れた捺染物を得ることができる。
工程(1)では、被印刷物である布帛の少なくとも印刷領域に前処理剤を塗布する。塗布領域は、印刷領域を含めた布帛全体としてもよい。
前処理剤の塗布量は、布帛の単位面積あたり、1g/m2〜500g/m2であることが好ましく、10g/m2〜200g/m2であることがより好ましい。200g/m2を超えて多量に塗布すると、非印字部に付着させた前処理剤を選択によって除去することが困難となり、出来上がりの捺染物の商品性を低下させる怖れがある。
工程(2)では、印刷はインクジェット記録法により行われる。使用するインクジェットプリンタは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式等、いずれの方式のものであってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクの液滴を吐出させ、吐出させたインク液滴を、前処理剤が塗布された布帛上に付着させるようにすることができる。
布帛が濃色である場合は、インクの発色性が低下する怖れがある。従って、布帛上の印刷領域に、まず白インクを印刷し、そこに色インクを重ねることで、発色性のよい捺染物を得ることができる。一方、布帛が白色である場合に対しては、色インクを印刷するだけで、発色性にも優れた捺染物を得ることができ、この場合は、インクを重ねる必要がないため、捺先部分の風合いや通気性にも優れている。
インクの塗布量は、特に制限されないが、布帛の単位面積あたり、500g/m2以下であることが、風合いの観点から好ましい。
工程(3)では、工程(2)でインクが印刷された布帛の少なくとも印刷領域にミドルコート剤を塗布する。塗布領域は、印刷領域を含む布帛全面としてもよい。
ミドルコート剤の塗布量は、布帛の単位面積あたり、1g/m2〜500g/m2であることが好ましく、10g/m2〜100g/m2であることがより好ましい。この範囲であることで、堅牢度の向上と風合い悪化の抑制を両立することができる。
工程(4)では、工程(3)でミドルコート剤が塗布された布帛の少なくとも印刷領域にオーバーコート剤を塗布する。オーバーコート剤の塗布領域は、印刷領域を含む布帛全体としてもよい。
オーバーコート剤の塗布量は、布帛の単位面積あたり、1g/m2〜500g/m2であることが好ましく、10g/m2〜100g/m2であることがより好ましい。この範囲であることで、堅牢度の向上と風合い悪化の抑制を両立することができる。
上記した前処理剤、ミドルコート剤、およびオーバーコート剤を布帛に塗布する方法は、特に限定されず、スプレー法、浸漬法、パッド法、コーティング法等の任意の方法を使用することができ、インクジェット記録法やスクリーン印刷法を用いてもよい。
工程(1)の前処理工程後、工程(2)の印刷工程後、および工程(4)のオーバーコート剤の塗布後に、それぞれ、布帛に対し100℃〜180℃程度の熱処理を行うことが好ましい。工程(3)のミドルコート剤の塗布後は、熱処理を行わずに、そのままオーバーコート剤を塗布してよい。
工程(1)の後の熱処理は、前処理剤中の水分を乾燥させるものであり、それにより、前処理剤中の水分が、インクを印刷した際のインクと混ざって画像を滲ませる怖れを回避するとともに、布表面の毛羽立ちを矯正することもできる。工程(2)の後の熱処理により、インクを乾燥させるとともに、水分散性樹脂を成膜させて強固なインク膜を形成させることができる。工程(4)の後の熱処理は、ミドルコート剤およびオーバーコート剤の樹脂を成膜させて強固な樹脂膜を形成させるためであり、また、ミドルコート剤およびオーバーコート剤に水が含まれる場合は水分を乾燥させるためでもある。工程(2)で、白インクと色インクを印刷する場合は、色インク印刷後に熱処理を行うだけでよい。
熱処理条件は、特に限定されないが、例えば、工程(1)の後の熱処理は160℃で30秒間程度、工程(2)の後の熱処理、および工程(4)の後の熱処理はともに、160℃で60秒間程度で行うことが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例および比較例)
下記表1に示す配合(表1に示す数値は質量部である)で前処理液を調製した。
(評価)
(放置安定性)
調製した水溶液をSV−20瓶に10ccとり、キャップを閉めて60℃環境下に2週間放置し、目視で樹脂の沈降状態を観察し、以下の基準で評価した。
◎:沈降なし
○:樹脂が沈降し上部が下部に分かれるが、攪拌により容易に均一化する
△:樹脂が沈降し上部が下部に分かれ、攪拌により沈降が緩和されても初期の均一な状態までには戻らない
×:下部に樹脂が分離・沈降し、振り混ぜても再沈降する
(インクの定着性)
霧吹きを用いて、布表面が湿る程度まで前処理剤を均一に噴霧した後、アイロン(120℃)で圧をかけながら、前処理剤を乾燥させた。捺染IJ装置(マスターマインド社:MMP813BT)を用いて前処理をした布帛に対し、黒インク(オリエント化学株式会社製の自己分散顔料CW−2を固形分で4.5質量%、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックス460を固形分で4.5質量%、エアープロダクツ社製のサーッフィノール465を3.0質量%、エチレングリコールおよびグリセリンを各10.0質量%、イオン交換水残量で調整したもの)で1440dpi×720dpi、80mm×80mmのベタ印刷を行い、印字後アイロン(120℃)でプレス乾燥し定着させた。定着不良、ニジミ、画像歪みが発生しないかを目視により確認し、以下の基準で評価した。
○:画像のニジミ、細字のつぶれなし
△:繊維方法にニジミが見られるが、細字は判別できる
×:ニジミ・細字つぶれが発生し文字が判別しにくい
(UVによる変色)
白木綿に前処理液を噴霧し、アイロンで定着させた。株式会社オーク製作所製ハンディーUV照射装置(OHD−320M)を用い、30cmの距離から30秒照射し、冷却−照射を繰り返し、総照射時間5分になるまで照射し、前処理液の変色を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:変色は見られない
×:変色がある
前処理剤の処方と評価の結果を表1に示す。
Figure 2013159647
表1に示すように、本件発明の捺染インクジェット用前処理剤を用いた実施例1〜3ではインクの定着性と保存安定性の両立ができていることがわかる。金属塩として硝酸カルシウムや塩化カルシウムを用いた比較例1や2ではインクの定着性はよかったものの、保存安定性は悪くなった。また、比較例1では光により黄変が起こり、捺染インクジェット用前処理剤としては適さなかった。一方、多価金属塩であるステアリン酸カルシウムを含む比較例3は保存安定性が極めて悪く、インク定着の実験には使用できなかった。
以上のように、本発明の捺染インクジェット用前処理剤は、多価金属塩が炭素数3以上8以下のカルボン酸由来のものであるので、保存状態においては電離が抑制されるが、インクの溶剤と接触すると、多価金属イオンとしてインク中の水分散性樹脂(B)をゲル化・固着させ、これによって、インクの定着性と、保存安定性の両立を図ることが可能である。

Claims (5)

  1. 炭素数が3以上8以下のカルボン酸由来の多価金属塩と、ガラス転移点温度が10℃以下である水分散性樹脂(A)とを含むことを特徴とする捺染インクジェット用前処理剤。
  2. 前記多価金属塩がカルシウム塩であることを特徴とする請求項1記載の捺染インクジェット用前処理剤。
  3. 前記カルボン酸がプロピオン酸、乳酸またはフタル酸のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の捺染インクジェット用前処理剤。
  4. (1)請求項1,2または3いずれか1項記載の捺染インクジェット用前処理剤と、
    (2)顔料、皮膜伸度が400%〜1500%である水分散性樹脂(B)、および水を含むインクジェット用インクと
    の組み合わせからなることを特徴とする捺染インクジェット用インクセット。
  5. さらに、
    (3)皮膜伸度が400%〜1500%である樹脂(C)を含むミドルコート剤と、
    (4)皮膜伸度が100%〜400%である樹脂(D)を含むオーバーコート剤と、
    を加えた組み合わせからなることを特徴とする請求項4記載の捺染インクジェット用インクセット。
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