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JP2012119891A - 通信制御装置、通信制御プログラム、ノード及び通信システム - Google Patents

通信制御装置、通信制御プログラム、ノード及び通信システム Download PDF

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JP2012119891A JP2010267112A JP2010267112A JP2012119891A JP 2012119891 A JP2012119891 A JP 2012119891A JP 2010267112 A JP2010267112 A JP 2010267112A JP 2010267112 A JP2010267112 A JP 2010267112A JP 2012119891 A JP2012119891 A JP 2012119891A
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Abstract

【課題】自律的に通信タイミングを求めるものであって、ネットワーク全体での空間的な周波数利用効率を向上させる通信制御装置、プログラム、ノード及び通信システムを提供する。
【解決手段】本発明は、各他ノードからの制御情報の受信に基づく各他ノードのデータ発信タイミングを表す位相、及び、自ノードのデータ発信タイミングを表す位相の位相状態を相互調整し、自ノードの位相とこれに後続する他ノードの位相との間の位相区間を自ノードがデータ信号の送信に用いる位相区間幅として獲得する通信タイミング制御手段が、経路制御手段により調整された自ノードの必要位相区間幅と、各他ノードの必要位相区間幅とに基づいて、自ノードの位相とこれに後続する他ノードの位相との間に作用させる反発特性の強さを制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、通信制御装置、通信制御プログラム、ノード及び通信システムに関し、例えば、無線センサネットワークやアドホックネットワーク、あるいは無線LAN(Local Area Network)に接続された複数の機器から構成されるシステム等のように、空間に分散配置された多数のノードや移動体に設置されたノードが、相互にデータ通信を行う場合において、電波干渉等による通信データの衝突や幅輳を回避する装置やプログラムに関するものである。
複数の無線ノードから構成されるネットワークにおいて、集中管理サーバを必要とせずに、個々のノードが自律分散的に通信タイミングをスケジューリングすることによって発信衝突を回避する方法として、特許文献1に開示される技術や、本出願の発明者が提案する先行出願1(特願2009−260217号)に記載される技術がある。
例えば、無線センサネットワーク等が設置される空間内には、様々な形状の構造物や壁などが存在し、しばしば、そこに新たな障害物が出現する場合がある。障害物は単にリンク切れを引き起こす要因になるだけではなく、例えば、金属製の構造物の場合、反射波等の影響が顕著に表れ、無線環境の変化は複雑な状況を呈する。
上記先行出願1の記載技術の方法は、こうした複雑な無線環境の変化に適応して、ネットワークを構成するノード間において、通信タイミングをスケジューリングする動作と、送信経路を制御する動作とを連携させることにより、複雑な無線環境に適応して空間的な周波数利用効率の高い(すなわちネットワーク全体での利用効率の高い)マルチホップ通信を実現するという特徴がある。
特許文献1や先行出願1に記載される方法では、各ノードが近傍ノードとの間で周期的に制御パケット(自ノードの発信タイミングを示す制御情報)を送受信することによって、「通信タイミングの相互調整」を行う。
この通信タイミングの相互調整により、制御パケットの発信周期に相当する期間を近傍するノード間で分け合って、各ノードが送信に必要な時間区間を獲得することができる。すなわち自律分散的な通信タイミングのスケジューリングを達成する。従って、制御パケットの発信周期は、通信タイミングのスケジューリング(割当)における周期と等しくなる。以後、制御パケットの発信周期を、単に周期ともいう。また、以後、1周期内において、各ノードが送信に用いる時間区間や位相区間を、そのノードが獲得している帯域とも呼ぶ。同様に、時間区間幅や位相区間幅を帯域幅とも呼ぶ。
1周期内において、各ノードが送信に用いる時間区間は、通信タイミング制御ための演算における位相区間に対応する。すなわち、通信タイミングを示す時間は、制御演算上は、位相に置き換えて処理される。ここで、位相とは、周期的な状態変化を示す状態変数である。
また、近傍ノード間における制御パケットの送受信方法にはいくつかの形態がある。図2は、この近傍ノード間における制御パケットの送受信方法を説明する説明図である。
第1番目の形態は、図2(a)に示すように、制御パケットの電波到達範囲を、データパケットの電波到達範囲よりも広くし、例えば、その比を2倍程度とする。この場合、制御パケットとデータパケットとの送信電力比を調節することによって、電波到達範囲の比を設定する。制御パケットとデータパケットとの電波到達範囲の比を、このようにする理由は、隠れ端末などによる発信衝突の発生を回避するためである。
第2番目の形態は、図2(b)に示すように、制御パケットとデータパケットの電波到達範囲は同一(つまり、送信電力は同一)とし、他ノードから受信した制御パケットに基づいて、自身の内部に生成した当該ノードに対する仮想位相(特許文献1参照)を、自身が制御パケットを送信する際に付加する方法である。
着目ノードから制御パケットを受信したノード(図2(b)における実線の円内のノード)は、自身の内部に着目ノードに対する仮想位相が存在しなければ新たに生成し、すでに存在する場合はその値を調整する。生成あるいは調整された仮想位相の値は、その後、固有角振動数に相当する一定の速度で変化する。そして、自身が制御パケットを送信する際に、現時刻における着目ノードに対する仮想位相の値を付加して送信する。このようにすることで、着目ノードの位相情報が1ホップ先のノード(図2(b)における実線の円内のノード)を介して間接的に2ホップ先(図2(b)において、点線の円内のノードで実線の円内に含まれないもの)のノードに伝えられる。
上記では、着目ノードの位相情報が2ホップ先のノードに間接的に伝えられる仕組みについて説明したが、すべてのノードの位相情報が同様にして2ホップ先のノードに伝えられる。したがって、通信タイミング調整における相互作用範囲は、各ノードの2ホップ近傍範囲となる。
特開2006−157441号公報
例えば、無線センサネットワークにおいて、各ノードで発生したセンサデータを各ノードがマルチホップでシンクノードに送信する場合を考える。特許文献1や先行出願1に記載される方法を用いる場合、各ノードで発生するセンサデータの収集頻度に応じて、通信タイミングのスケジューリングにおいて、各ノードが周期を設定することとなる。すなわち、データ収集頻度が高くなるほど、設定周期が小さくなるように各ノードは周期を設定することとなる。このような周期設定は極めて有効なものである。
しかし、ネットワーク全体での利用効率を更に高めることを考慮すると、特許文献1や先行出願1に記載の技術は、空間的な周波数利用効率(すなわちネットワーク利用効率)を最大化させることが求められる。例えば、特許文献1や先行出願1に記載される技術を用いる場合、データ収集頻度が比較的高いときには、ノード間における「通信タイミングの相互調整」動作が収束せず、競合状態が解消しないという問題も生じ得る。この競合状態の持続は、パケットロスを招き、データ収集における通信の信頼性も低下し得る。
そこで、本発明は、ネットワーク全体での空間的な周波数利用効率を更に向上させることができる通信制御装置、通信制御プログラム、ノード及び通信システムを提供する。
かかる課題を解決するために、第1の本発明の通信制御装置は、ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載される通信制御装置において、(1)1又は複数の他ノードとの間で制御情報を送受信する制御情報送受信手段と、(2)各他ノードからの制御情報の受信に基づく各他ノードのデータ発信タイミングを表す位相、及び、自ノードのデータ発信タイミングを表す位相の位相状態を相互調整し、自ノードの位相とこれに後続する他ノードの位相との間の位相区間を自ノードがデータ信号の送信に用いる位相区間幅として獲得する通信タイミング制御手段と、(3)通信タイミング制御手段により獲得された自ノードの位相区間幅の中で、送信すべき各送信データ信号について、それらの送信先に送信する位相区間幅を調整し、各送信データ信号の送信経路を決定する経路制御手段と、(4)通信タイミング制御手段により獲得された自ノードの位相区間幅の中で、経路制御手段により調整された各送信データ信号の位相区間幅で、各送信経路の送信先とする各他ノードに各送信データを送信するデータ送信手段とを備え、(5)通信タイミング制御手段が、経路制御手段により調整された自ノードの各送信データ信号の送信に必要な必要位相区間幅と、各他ノードからの制御情報に含まれるデータ信号の送信に必要な必要位相区間幅とに基づいて、自ノードの位相とこれに後続する他ノードの位相との間に作用させる反発特性の強さを制御する位相反発特性制御部を有することを特徴とする。
第2の本発明の通信制御プログラムは、ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載される通信制御装置の通信制御プログラムにおいて、コンピュータを、(1)1又は複数の他ノードとの間で制御情報を送受信する制御情報送受信手段、(2)各他ノードからの制御情報の受信に基づく各他ノードのデータ発信タイミングを表す位相、及び、自ノードのデータ発信タイミングを表す位相の位相状態を相互調整し、自ノードの位相とこれに後続する他ノードの位相との間の位相区間を自ノードがデータ信号の送信に用いる位相区間幅として獲得する通信タイミング制御手段、(3)通信タイミング制御手段により獲得された自ノードの位相区間幅の中で、送信すべき各送信データ信号について、それらの送信先に送信する位相区間幅を調整し、各送信データ信号の送信経路を決定する経路制御手段、(4)通信タイミング制御手段により獲得された自ノードの位相区間幅の中で、経路制御手段により調整された各送信データ信号の位相区間幅で、各送信経路の送信先とする各他ノードに各送信データを送信するデータ送信手段として機能させるものであり、(5)通信タイミング制御手段が、経路制御手段により調整された自ノードの各送信データ信号の送信に必要な必要位相区間幅と、各他ノードからの制御情報に含まれるデータ信号の送信に必要な必要位相区間幅とに基づいて、自ノードの位相とこれに後続する他ノードの位相との間に作用させる反発特性の強さを制御する位相反発特性制御部を有することを特徴とする。
第3の本発明のノードは、第1の本発明の通信制御装置を有することを特徴とする。
第4の本発明の通信システムは、第3の本発明のノードを複数配置して有することを特徴とする。
本発明によれば、ネットワークを構成する各ノードが自ノードと他ノードとの間で通信タイミングを相互調整して自律的に通信タイミングを求める通信制御方式において、ネットワーク全体での空間的な周波数利用効率を向上させることができる。
実施形態のノードの内部構成を示す内部構成図である。 従来技術の近傍ノード間での制御パケットの送受信方法を説明する説明図である。 本発明の通信制御方法の概念を説明する説明図である。 実施形態の通信タイミング制御演算部の内部構成を示す内部構成図である。 実施形態の経路制御演算部に係る機能構成を説明する機能ブロック図である。 実施形態の位相応答関数の関数形を説明する説明図である。 実施形態のノードが他ノードとの間のリンクの獲得帯域幅を説明数r説明図である。
(A)実施形態
以下では、本発明の通信制御装置、通信制御プログラム、ノード及び通信システムの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態では、空間に分散配置された多数のノードや移動体等に設置されたノードが、例えばマルチホップ通信により相互にデータ通信を行う通信システムに本発明を適用した場合の実施形態を例示して説明する。
この実施形態では、近傍ノード間における制御パケットの送受信方法として、例えば、図2(b)で説明した仮想位相を用いた方法を適用する場合を仮定して例示する。ただし、説明の便宜上、このような仮定をするのであって、図2(a)で説明した形態も本発明は適用可能である。
また、シンクノードからの各ノードのホップ数は、あらかじめ各ノードに与えられていると仮定する。これは、例えば、次のようにして与えることができる。シンクノードから制御パケットと同等のパケットを発信し、マルチホップで転送しながら転送回数をカウントして、各ノードに到達するまでのホップ数を観測する。各ノードは、自ノードで観測されたホップ数の最小値を、「自ノードからシンクノードまでのホップ数」として保持する。このような処理を事前に行うことにより、前記のホップ数を各ノードにあらかじめ与えておくことができる。
さらに、以下において、例えばリンクi→jは、ノードiがノードjを送信先ノードとするリンクを示す。
(A−1)基本概念の説明
図3は、本発明の通信制御方法の動作を概念的に説明する概念説明図である。図3は、ネットワークを構成する各ノードが、無線環境の変化に応じて、他ノードとの間の通信タイミングと経路制御とを相互調整する通信制御方法の概念を示す。
図3において、通信タイミング制御機構M1は、ノード間で通信タイミングをずらしあう動作を実行する機構である。本発明は、通信タイミング制御機構M1がノード間における競合解消能力を向上させる機能を有する。この機能の詳細な説明については後述する。また、通信タイミングパターン形成過程P1は、通信タイミング制御機構M1の動作により、ノード間に通信タイミングのずれを生じさせる過程である。通信タイミングは、各ノードがデータパケットの送信に要する時間だけずれる必要がある。もし、ずれの時間幅がデータパケットの送信に必要な大きさ以上になっていなければ、ノード間で発信衝突が発生する。したがって、通信タイミングパターン形成過程P1は、ノード間で通信に必要な帯域を取り合う過程に対応する。
一方、経路制御機構M2は、ネットワーク上におけるデータパケットの送信経路を制御する機構である。また、ネットワークトポロジー形成過程P2は、経路制御機構M2の動作により、ネットワーク上におけるデータパケットの送信経路を決定する過程である。ネットワークトポロジー形成過程P2は、ノード間のリンク同士で帯域を取り合う過程に対応する。
本発明では、無線環境の変化に応じて、上記の2つの過程(通信タイミングパターン形成過程P1、ネットワークトポロジー形成過程P2)が相互に拘束しあいながら、次第に整合する関係を形成する動作を実行する。
一般に、ネットワーク上の送信経路が変化すれば、各ノードの通信負荷は変化し、それぞれがデータパケットの送信に必要とする位相区間幅(帯域幅)も変化する。したがって、送信経路の決定は、通信タイミングパターン形成過程P1における拘束条件となる。
一方、通信タイミングパターン形成過程P1では、ノード間における通信タイミングの衝突や競合(以後、コンフリクトと呼ぶ)が発生する。すなわち、ノード間において通信に必要な帯域を取り合う過程で生じるコンフリクトの状態が、データパケットの送信経路を決定する過程に影響し、コンフリクトを低減する方向に作用する。
このようにして、本発明では、上記の2つの過程が相互に拘束しあいながら、次第に整合する関係を形成するように進行する。その結果、無線環境の変化に応じて、ノード間において通信タイミングと送信経路とが相互に調整され、発信衝突と幅輳をともに回避したマルチホップ通信が可能になる。
(A−2)実施形態の構成
(A−2−1)通信制御装置の構成
図1は、この実施形態の各ノードの通信制御装置の内部構成を示す内部構成図である。図3に示す通信タイミング制御機構M1と経路制御機構M2は、図1に示す内部構成を有するノードを複数用いて構成されるネットワークにおいて実現される機構である。
図1において、ノード1は、制御パケット受信部11、通信タイミング制御演算部12、経路制御演算部13、制御パケット送信部14、データパケット送受信部15を少なくとも有して構成される。
この実施形態において、ネットワークは複数のノード1を有して構成される。各ノード1は、他ノードとの間で周期的に制御パケットの送受信を相互に行い、ノード間で通信タイミングの相互調整を行う。これにより、各ノード1は、自律的な通信タイミングを求めることができる。また、各ノード1は、他ノードとの間で授受する制御パケットに基づいて、図3で説明した通信タイミング制御機構M1と経路制御機構M2との相互調整を行う。これにより、無線環境が変化した場合でも即応性のある通信制御を行うことができる。
通信タイミング制御演算部12は、制御パケット受信部11から他ノードの位相情報、他ノードから自ノードへの中継要求帯域幅(以下では、中継要求位相区間幅ともいう)を受け取り、この他ノードの位相情報及び他ノードから自ノードへの中継要求位相区間幅に基づいて他ノード及び自ノードの帯域を取り合い、自ノードの通信タイミングを調整するものである。ここで、中継要求位相区間幅とは、他ノードが自ノードに対して中継要求するデータパケットの位相区間幅をいう。
また、通信タイミング制御演算部12は、制御パケット受信部11から他ノードが送信に必要な帯域幅(以下では、他ノードの必要位相区間幅ともいう)を受け取り、この他ノードの必要位相区間幅と、経路制御演算部11により求められた自ノードの必要位相区間幅とに基づいて、自ノードとこれに後続する他ノードの位相との間に働く反発特性の強度(反発力)を制御する。通信タイミング制御演算部12は、この反発特性の強度を反映させて、上記自ノードの通信タイミングの調整を行う。なお、反発特性の強度の制御方法の詳細な説明については、動作の項で説明する。また、必要位相区間幅とは、当該ノードがデータパケットを送信するために必要な位相区間幅を意味する。すなわち、必要位相区間幅は、当該ノードの通信負荷(送信負荷)を示す。
通信タイミング制御演算部12による通信タイミングの演算方法としては、例えば、特許文献1及び先行出願1に記載の種々の方法を適用することができる。通信タイミングの演算方法の例については、後述するが、例えば特許文献1に記載されるように、自ノードに対する仮想位相を用いて通信タイミングを演算する方法を適用することができる。
また、通信タイミング制御演算部12は、通信タイミングの演算により得られた自ノードの位相情報及び他ノードの位相情報を、制御パケット送信部14、データパケット送受信部15に与えるものである。また、通信タイミング制御演算部12は、自ノードが獲得している位相区間幅を経路制御演算部13に与えるものである。
経路制御演算部13は、制御パケット受信部11から制御パケットに含まれる各種情報を受け取り、各種情報に基づいて、自ノードが送信するデータパケットの送信先ノードを決定するものである。また、経路制御演算部13は、通信タイミング制御演算部12から自ノードが獲得している位相区間幅を受け取り、この自ノードが獲得している位相区間幅を用いて、送信先ノードを決定する。
また、経路制御演算部13は、送信先ノードを決定する際に得た各種情報を、制御パケット送信部14、データパケット送受信部15に与えるものである。これにより、これら各種情報を含んだ制御パケットを制御パケット送信部14に送信させたり、データパケット送受信部15に対して、自ノードから他ノードへの中継要求位相区間幅でデータパケットを送信させたりすることができる。さらに、経路制御演算部13は、送信先ノードの決定の際に自ノードの必要位相区間幅を求め、その自ノードの必要位相区間幅を通信タイミング制御演算部12に与えるものである。
ここで、制御パケットに含まれる上記の各種情報としては、他ノードから自ノードへの中継要求帯域(中継要求位相区間幅)、他ノードの競合解消度、他ノードを送信元とするリンクに対するリンク品質の加重平均、他ノードにおけるペナルティー関数値、他ノードの深さなどである。なお、これらの各種情報の説明も含め、経路制御演算部13による送信先ノードの決定方法の説明は後述する。
制御パケット受信部11は、他ノードから出力された制御パケットを入力制御パケットとして受信し、当該制御パケットに含まれている情報を、通信タイミング制御演算部12、経路制御演算部13に与えるものである。
制御パケット送信部14は、通信タイミング制御演算部12、経路制御演算部13から受け取った情報を含む制御パケットを出力制御パケットとして送信するものである。
データパケット送受信部15は、自ノードが獲得した位相区間幅のうち、自ノードから該当する送信先ノードへの位相区間幅において、当該送信先ノードに向けてデータパケットを送信するものである。なお、データパケットの送信先ノードは、経路制御演算部13により決定されたノードとする。
(A−2−2)通信タイミング制御演算部12の内部構成
図4は、通信タイミング制御演算部12の内部構成を示す内部構成図である。図4は、通信タイミング制御演算部12は、位相演算部122と、位相反発力制御演算部121とを有して構成される。
位相演算部122は、制御パケット受信部11が受信した制御パケットに含まれる、他ノードの位相情報、及び他ノードから自ノードへの中継要求位相区間幅を用いて、自ノードの送信タイミングを決定するための演算を実行するものである。位相演算部122は、後で例示する通信タイミング演算方法により、ノード間で必要位相区間幅の取り合いを行う。また、位相演算部122は、自ノードの送信タイミングの演算により得られた自ノードの必要位相区間幅を位相反発力制御演算部121に与える。
位相反発力制御演算部121は、制御パケット受信部11から制御パケットに含まれる他ノードの必要位相区間と、位相演算部122からの自ノードの必要位相区間幅とを用いて、位相反発特性の強度を制御するための演算を実行するものである。位相反発力制御演算部121は、演算により得られた位相反発力制御情報を位相演算部122に与える。これにより、位相演算部122は、上記位相反発力制御情報を反映させてノード間の位相区間の相互調整を行うことができる。
(A−2−3)経路制御演算部13の内部構成
図5は、経路制御演算部13の演算処理に係る機能構成を説明する機能ブロック図である。図5において、経路制御演算部13は、パケット流動度算出部21、リンク品質算出部211、リンク品質加重平均算出部212、演算抑制部213、ペナルティー関数算出部22、競合解消度算出部23、感度関数算出部24、リンク獲得帯域幅算出部25、パラメータ設定部26、速度調整部27、送信先決定部28、条件格納部20、送信先条件格納部29、を少なくとも有する。
図5において、パケット流動度算出部21、送信先決定部28、及び、ペナルティー関数算出部22は、自ノードと深さが同じ又は大きい他ノードも送信先とできるようにする手段である。
また、競合解消度算出部23、感度関数算出部24、演算抑制部213、及び、速度調整部27は、送信先の決定の制御動作に係る収束時間を短縮するようにする手段である。
パケット流動度算出部21は、「自ノードiがリンクi→jを用いて送信したデータパケット」が、ノードjで停滞する、あるいは廃棄されることなく、その後、より深さの小さい他ノードヘ到達する可能性を評価する尺度である「パケット流動度」(第1の評価値ともいう)を算出するものである。
リンク品質算出部211は、自ノードと他ノードとの間のリンク品質を求めるものである。
リンク品質加重平均算出部212は、すべての送信先ノードのリンク品質の平均値を求めるものである。リンク品質加重平均算出部212は、自ノードのすべての送信先ノードのリンク品質の平均値を求めると、その演算結果を制御パケットに含めて送信させるようにする。
送信先決定部28は、他ノードの深さに応じて、それぞれの他ノードを送信先として決定するか否かを判断して、送信先ノードを決定するものである。送信先決定方法については後述するが、送信先決定部28は、各リンクi→jに対する位相区間幅φij(t)の値に基づいて送信先ノードjを決定する。また、送信先決定部28は、制御パケット受信部11から受け取った他ノードの深さに基づいて、当該他ノードが、「自ノードより深さが小さい」、「自ノードと深さが同一」又は「自ノードより深さが深い」のいずれかを認識し、送信先条件格納部29に格納される所定の条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合に当該条件に応じて所定の処理を行い、その処理結果による各リンクi→jに対する位相区間幅φij(t)の値に基づいて送信先ノードjを決定する。
ペナルティー関数算出部22は、自ノードiの送信先をノードjとするとき、「ノードjの深さDj」と「ノードjが送信先に指定している他ノードuの深さDu」との関係に基づいて、「リンクi→jに対するパケット流動度」にペナルティーを与えるものである。ペナルティー関数算出部22は、「ノードjの深さDj」と「ノードjが送信先に指定している他ノードuの深さDu」との関係が、条件格納部20に格納される条件を満たすか否かを判断して、「リンクi→jに対するパケット流動度」に与えるペナルティーを決定する。
競合解消度算出部23は、自ノードiの送信先をノードjとするとき、ノードjにおける競合解消度を算出するものである。
感度関数算出部24は、リンクi→jのパケット流動度に対する「ノードjにおける競合解消度」の与える影響度を調整するための関数(以後、感度関数という)を算出するものである。感度関数算出部24は、競合解消度算出部23による「ノードjにおける競合解消度」と、リンク品質算出部211による「ノードjを送信元とするリンク品質」とは独立にリンクi→jのパケット流動度に対する感度関数を評価する。
演算抑制部213は、自ノードiを送信元とするリンクi→k(k=1,2,…,N)同士で帯域を取り合う演算を実行する過程において、異なるリンクに対するパケット流動度のわずかな差を解消することによって、必要以上の演算を抑制するものである。
パラメータ設定部26は、リンクi→jの帯域獲得度wij(t)が、自他のリンクi→k(k=jの場合を含む)の帯域獲得度wik(t)から受ける影響度を示すパラメータを設定するものである。
速度調整部27は、自ノードiにおいて、リンクi→jの帯域獲得度の変化する速度と、位相の変化する速度との関係を調整するものである。
リンク獲得帯域幅算出部25は、自ノードiの送信先をノードjとするときに、リンクi→jの獲得位相区間幅を算出するものである。
(A−3)実施形態の動作
(A−3−1)タイミング制御演算部12における処理
自ノードの1ホップ範囲内に存在する他ノードから受信した制御パケットを用いて、通信タイミングの調整動作を実行する。この調整動作は、図1の通信タイミング制御演算部12における演算結果に基づいて、自ノードが制御パケットを送信するタイミングを制御することによって実行される。各ノードが並列に調整動作を実行することにより、ノード間における相互調整機構として機能する。
ここで、自ノードが他ノードから受信する制御パケットには、他ノードの1ホップ範囲内に存在するすべての他ノードに対する仮想位相が付加されている。したがって、各ノードは、1ホップ近傍範囲内に存在する他ノードから制御パケットを受信することによって、間接的に2ホップ近傍範囲内の他ノードに対する位相情報を得ることができる。
通信タイミング制御演算部12では、制御パケットの受信タイミングで得られる2ホップ近傍範囲内の他ノードに対する位相情報を用いて、当該ノードに対する仮想位相モデルを生成し、以後、受信のたびにその仮想位相の値を調整する。そして、通信タイミング制御演算部12における演算は、2ホップ近傍範囲内の他ノードに対する仮想位相を用いて実行される。
通信タイミングは、各ノードがデータパケットの送信に要する時間だけずれる必要がある。一般に、通信負荷は各ノードよって異なるため、各ノードがデータパケットの送信に必要とする時間区間幅、すなわち、必要位相区間幅も異なる。もし、それぞれが必要位相区間幅を獲得できなければ、輻輳、あるいはノード間における発信衝突が発生する。通信タイミング制御演算部12では、ノード間で必要位相区間幅を取り合う過程に対応する演算を実行する。
(A−3−2)位相演算部122における処理
位相演算部122は、例えば、次の(1.1)及び(1.2)式のような非線形振動子が結合した系をモデル化した数式を用いて行うことができる。
Figure 2012119891
ここで、変数tは時間を表し、θ(t)は、時刻tにおける自ノードiの位相を表す。θ(t)は、mod2π(2πで割った余り)の演算を施すことにより、常に、区間0≦θ(t)<2πの値を取るものとする。
d/dtは、時間tに関する微分演算を表す記号であり、dθ(t)/dtは位相θ(t)を時間tで微分した状態変数を表す。
Δθ^ij(t)(^はハット)は、他ノードjに対する仮想位相θ^ij(t)と、自ノードiの位相θ(t)との位相差である。ただし、位相差Δθ^ij(t)は、2πを加算した値にmod2π(2πで割った余り)の演算を施すことにより、便宜的に区間0≦Δθ^ij(t)<2πの値を取るものとする。
ωは、固有角振動数パラメータであり、各ノード固有の振動リズムを表す。ここでは、一例として、ωの値をあらかじめ全ノードで同一の値に統一しておくものと仮定する。
R(Δθ^ij(t))は、位相差Δθ^ij(t)に応じて自ノードの振動リズムを変化させる応答特性を表現する位相応答関数である。位相応答関数R(Δθ^ij(t))の関数形の例を図6に示す。
図6において、実線で示す関数形が位相応答関数R(Δθ^ij(t))の関数形である。位相応答関数R(Δθ^ij(t))の例は下記式によるものである。
Figure 2012119891
図6のような位相応答関数R(Δθ^ij(t))を用いることにより、通信負荷、すなわち必要位相区間幅b(t)に応じて、他ノードの位相との間に反発特性が働く。図6に示す位相応答関数R(Δθ^ij(t))において、反発特性の働く位相差範囲が、b(t)に応じて決定されている点に注意されたい。また、σは実験的に決定する定数パラメータである。
自ノードの必要位相区間幅b(t)は、他ノードから自ノードへ中継要求されるデータパケット量に依存する。中継要求されるデータパケット量は、そのデータパケットを送信するのに必要な位相区間幅に対応する。ノード間で送受信される制御パケットには、中継要求区間幅が付加される。自ノードは、他ノードの中継要求位相区間幅を用いて、自身の必要な位相区間幅b(t)を算出する。
R(Δθ^ij(t))を含む項のN^は、時刻tにおける仮想位相モデルの総数、Kは結合定数パラメータを表す。ここで、結合定数パラメータKは、位相の時間発展に対するR(Δθ^ij(t))を含む項の寄与度を決定するパラメータであり、その値は実験的に決定する。
ξ(S(t))は、自ノードと他ノードとの相対位相差が小さい場合にストレスを蓄積し、蓄積されたストレス値S(t)に応じてランダムな大きさで位相シフト(位相状態変化)を実行する働きをする項である。ここで、相対位相差とは次のように定義される量である。
位相差Δθ^ij(t),相対位相差Eとすると
Δθ^ij(t)≦π のとき E=Δθ^ij(t) …(3.1)
Δθ^ij(t)>π のとき E=2π−Δθ^ij(t) …(3.2)
すなわち、ξ(S(t))は、蓄積されたストレス値S(t)に対する応答特性を表現する関数である。ξ(S(t))の関数形の具体例は、特許文献1に記載されている例を適用することができる。
(A−3−3)位相反発力制御演算部121における処理
位相反発力制御演算部122は、自ノード、及び他ノードの必要位相区間幅に基づいて、他ノードの位相との間に働く反発特性の強度(反発力)を制御する。
つまり、位相反発力制御演算部122は、位相演算部122が演算に用いる位相応答関数R(Δθ^ij(t))の特性を変化させることで、自ノードの位相に後続する他ノードの位相に対する反発力の大きさを調整する。これにより、自ノードの位相と後続する他ノードの位相との間の位相差が大きくなったり、又小さくなったりする。すなわち、自ノードの必要位相区間幅を制御することができる。
図6において、点線で示される部分は、位相反発力制御演算部122が位相応答関数R(Δθ^ij(t))の関数値を制御する場合の一例を示す。点線部分は、区間[2π−b(t),2π]の関数値が実線から変化することを示している。
図6において、β(t)は、個々のノード毎に反発力(すなわち位相応答関数R(Δθ^ij(t))の関数値)の最大値が決定されており、時間的に変動し得るものである。位相反発力制御演算部122は、位相応答関数R(Δθ^ij(t))の関数値を時間的に制御する。図6の例では、実線で示す関数値よりも大きくなるように、位相反発力制御演算部122が関数値を制御している。これにより、後続する他ノードの位相に対する反発力が大きくなる。
次に、位相反発力制御演算部122によるβ(t)の値の決定方法を説明する。
[ステップ1]
位相反発力制御演算部122は、自ノード、及び他ノードの必要位相区間幅の総和(以後、単に総和値と呼ぶ)を算出する。ここで、他ノードの必要位相区間幅は、他ノードからの御パケットの受信によって得ることができる。したがって、位相反発力制御演算部122は、自ノードの必要位相区間幅と、自ノードの相互作用範囲内に存在する全ての他ノードの必要位相区間幅との総和を算出することができる。
[ステップ2]
位相反発力制御演算部122は、ステップ1で算出した総和値に基づき、β(t)の値を求める。ここで、位相反発力制御演算部122は、総和値が小さいほど、β(t)の値を大きくし、総和値が大きいほど、β(t)の値を小さくするように制御する。例えば、β(t)の値が総和値に反比例するように、位相反発力制御演算部122はβ(t)の値を決定する。
[位相反発力制御演算部122の動作によって実現される機能]
一般に、総和値が大きいほど、自ノードは、通信タイミングの競合状態が発生しやすい状況に置かれていることを意味する。総和値は、ネットワークを構成する個々のノードによって異なるが、競合状態の発生は、一部だけに留まらず、ある程度ネットワーク全体に波及する傾向がある。これは、位相演算部111において、競合状態を解消するために、新たな通信タイミングの関係を探索する動作を実行するからである。
そこで、総和値が小さいノードほど、後続する位相に対する反発力を大きくする制御機構として位相反発力制御装置122を設ける。すると、通信タイミングの競合状態が発生した際に、総和値が小さいノードほど、自ノードの必要位相区間幅の獲得率(すなわち、競合解消度)がさらに高くなる傾向が生じる。
その結果、図1に示す経路制御演算部13の動作により、総和値が相対的に小さいノードに対する通信負荷(すなわち、必要位相区間幅)が増加し、逆に、総和値が相対的に大きいノードに対する通信負荷(すなわち、必要位相区間幅)が減少する。これは、総和値を平滑化することを意味し、ネットワークの利用効率を向上させることによって、通信タイミングの競合状態を解消する方向に導く。
(A−3−4)経路制御演算部13における処理
次に、経路制御演算部13における処理の一例を示す。経路制御演算部13では、各ノードが時刻tに獲得している帯域を、リンク同士で取り合う過程に対する演算を行う。
ここで、リンクとは、各ノードに対する送信先ノード(1ホップ近傍範囲内に存在する他ノード)との間のリンクを指す。一般に、各ノードに対する送信先ノードは複数存在するため、各ノードに対するリンクも複数存在する。これらのリンク同士で帯域を取り合う。
以下に、経路制御演算部13における演算の例を示す。経路制御演算部13の演算は、次の(1.3)〜(1.11)式に示す数式を用いて行う。
Figure 2012119891
変数tは時間を表す。wij(t)は、時刻tにノードiが獲得している位相区間幅(以後、帯域幅)Φ(t)の内、リンクi→jが獲得する割合を決定するための変数であり、時刻tにおけるリンクi→jの帯域獲得度を示す。
ここで、Φ(t)は、時刻tにノードiが獲得している帯域幅であり、その値は、通信タイミング制御演算部12の動作に基づいて以下のように決定される。
ノードiの獲得する帯域幅は、
「後続との位相差」>「送信に必要な位相差」ならば、「送信に必要な位相差」
「後続との位相差」<「送信に必要な位相差」ならば、「後続との位相差」
で与える。
ここで、「後続との位相差」とは、通信タイミング制御演算部の動作において、「自ノードiの位相」と「後続する他ノードの位相」との位相差である。ただし、「後続する他ノードの位相」は、「自ノードiの位相」の直後の位相である。また、「送信に必要な位相差」とは、時刻tにノードiがデータパケットの送信に必要な帯域幅(必要位相区間幅)であり、後述する(1.7)式における右辺の分母によって表される量である。
(1.3)式において、τはwij(t)の変化する速度を制御するための定数パラメータ(τ>0)である。τの値は、速度調整部27において調整されるものとし、例えば、その値は実験的に決定した値を用いる。τは、帯域獲得度wij(t)の変化する速度と、位相θ(t)の変化する速度との関係を調整するという機能を有する。すなわち、τは、経路制御機構M2と通信タイミング制御機構M1における制御動作速度の関係を調整する。経路制御機構M2と通信タイミング制御機構M1とは、相互に影響を与え合いながら、それぞれの状態を変化させるため、τを用いて制御動作速度の関係を調整することにより、適切な状態に収束する安定性が向上し、収束時間の増加を抑制する効果が得られる。
(1.3)、(1.4)式において、Nはノードiの送信先ノードの総数である。ここで、送信先ノードとは、ノードiの1ホップ近傍範囲内に存在する他ノードである。
φij(t)は、Φ(t)とwij(t)に基づいて、時刻tにリンクi→jが獲得している帯域幅を表す。φij(t)は、自ノードiが他ノードjに対して中継要求するデータパケットを送信するために必要な帯域幅に対応する。(1.4)式からわかるようにΦ(t)とφij(t)との間には、次の(1.12)式の関係がある。
Figure 2012119891
d/dtは時間tに関する微分演算を表す記号であり、dwij(t)/dtはwij(t)を時間tで微分した状態を表す。
μjk (i)は定数パラメータであり、パラメータ設定部26により設定されるものである。定数パラメータμjk (i)は、ノードiが時刻tに獲得している帯域Φ(t)を、リンク同士で取り合う過程に対応する演算を実行する際に、リンクi→jの帯域獲得度wij(t)が、自他のリンクi→k(k=jの場合を含む)の帯域獲得度wik(t)から受ける影響度を表す。例えば、パラメータ設定部26による典型的な設定方法として、μjk (i)の値をi、j、kによらず一律に設定する方法がある。すなわち、(1.13)式に例示するようにして、μjk (i)の値を設定する。
Figure 2012119891
ここで、λは定数パラメータで、その値は実験的に決定する。ただし、この実施形態に限定されるものではないことに注意されたい。このように設定することにより、ノードiが時刻tに獲得している帯域Φ(t)を、リンク同士で取り合う過程に対応する演算が抑制され、収束時間が低減するという効果が得られる。
ij(t)は、例えば(1.5)式で定義される評価関数であり、リンクi→jにおけるパケット流動度である。パケット流動度fij(t)は、パケット流動度算出部21により求められる。以下では、(1.5)式の構成を説明する。
ijはリンクi→jのリンク品質を示す。このリンク品質Lijは、ノードiが送信したパケットを、ノードjが受信に成功する割合(送信成功度)を表す。リンク品質Lijは、リンク品質算出部211により算出される。
は、(1.6)式で与えられるように、ノードiの送信先ノードjにおいて、ノードjが送信先とするノードuとのリンクj→uのリンク品質Ljuを、ノードjのすべての送信先ノードについて加重平均した値である。加重平均を求める際の重み係数は、例えばリンクj→uの帯域獲得度wju(t)に基づいて算出する。したがって、L は、ノードjを送信元とする全リンクの中で、獲得している帯域幅が大きいリンクほど寄与度が高い「リンク品質の平均値」を表す。(1.6)式において、Mはノードjの送信先ノードの総数である。なお、L は制御パケットに含まれており、パケット流動度算出部21は、制御パケットに含まれている他ノードjを送信元とするリンクに対するL を用いる。
(t)は、例えば(1.7)式で定義される評価関数であり、競合解消度算出部23により求められる。c(t)は、以下に示すように、時刻tにノードjがパケットの送信に必要な帯域幅に対して獲得している帯域幅の割合、すなわちノード間の帯域の競合解消度を示す。
(1.7)式において、b (rel)(t)は、例えば(1・8)式で定義されるものであり、ノードjが、1周期の間に、他ノードから中継要求されたデータパケットを送信するために必要な帯域幅である。なお、(1.8)式において、Bは、1周期の間に、ノードjに対して中継要求したノードの集合を表す。ただし、ノードjに対して中継要求をすることができるノードは、ノードjの1ホップ近傍範囲内に存在する他ノードである。
また、(1.7)式において、b (int)(t)は、ノードjが、1周期の間に、自ノード内部で発生したデータパケットを送信するために必要な帯域幅である。
したがって、(1.7)式の分母は、時刻tにノードjがパケットの送信に必要なトータルの帯域幅を表す。一方、(1.7)式の分子は、時刻tにノードjが獲得している帯域幅Φ(t)を表す。そのため、c(t)は、上述したように、時刻tにノードjがパケットの送信に必要な帯域幅に対して獲得している帯域幅の割合、すなわち、ノード間における帯域の競合解消度を示している。
g(c(t))は、fij(t)に対する競合解消度c(t)の与える影響度を調整するための関数(感度関数)を示す。g(c(t))は、例えば(1.9)式に示すような関数形を適用することができ、感度関数算出部24により求められる。ただし、g(c(t))の関数形はこの形態に限定されない。(1.9)式は、関数値がc(t)のn乗(nは正の整数値)で与えられる例を示している。
δ(t)は、例えば(1.10)式のように定義されるペナルティー関数である。δ(t)は、ペナルティー関数算出部22により求められる。ただし、ペナルティー関数δ(t)の関数形は、(1.10)式の形態に限定されないことに注意されたい。
(1.10)式は、例えば、以下の条件(Con1),(Con2),(Con3)のいずれに該当するかによって関数値が決定されることを示している。
すなわち、δ(t)の値は、
(Con1)の場合、1,
(Con2)の場合、α,
(Con3)の場合、β(0≦β≦α<1)であることを表す。
ただし、以下の条件(Con1),(Con2),(Con3)において、ノードjは自ノードiの送信先ノードを表す。
(1.10)式で定義されるδ(t)は、自ノードiの送信先をノードjとするとき、「ノードjの深さD」と「ノードjが送信先に指定している他ノードuの深さDu」との関係に基づいて、fij(t)の値にペナルティーを与える。
例えば、自ノードiの送信先ノードjが、自身より深さの大きい他ノードuを送信先に指定している場合、fij(t)の値が低下することにより、リンクi→jの帯域獲得度wij(t)は減少する傾向が生じる。自ノードiを送信元とする複数のリンクの中で、リンクi→jの帯域獲得度wij(t)の小さくなる傾向が相対的に強ければ、自ノードiが送信先ノードjに対して送信するパケットの量は減少する。
一般に、「ノードjが送信先に指定している他ノードu」は時間的に変化する可能性があるため、δ(t)は時間tの関数となる。
[条件]
(Con1):ノードjが、自身より深さの小さい他ノードuを送信先に指定している、かつ、条件(Con2),(Con3)を満足しない、
(Con2):ノードjが、自身と同じ深さの他ノードuを送信先に指定している、かつ、条件(Con3)を満足しない。ただし、条件(Con1)を満足するか否かは問わない、
(Con3):ノードjが、自身より深さの大きい他ノードuを送信先に指定している。ただし、条件(Con1)、(Con2)を満足するか否かは問わない。
以上、(1.5)式の右辺における各変数が表す量について説明した。(1.5)式に示すように、パケット流動度fij(t)は、以下の量の積で与えられる評価尺度である。以下において、ノードjは自ノードiの送信先ノードを表す。
(1)リンクi→jのリンク品質Lij
(2)ノードjにおけるリンク品質の加重平均L
(3)ノードjにおける「競合解消度c(t)」の感度関数値g(c(t))
(4)ノードjにおけるペナルティー関数値δ(t)
ij(t)には、「リンクi→jのリンク品質Lij」や、「ノードjを送信元とするリンクに対するリンク品質」だけでなく、「ノードjにおける帯域の競合解消度」や、『「ノードjの深さDj」と「ノードjが送信先に指定している他ノードuの深さDu」との関係に基づいて決定されるペナルティー関数値δj(t)』が反映されている点に注意されたい。
このように、fij(t)は、時刻tにおいて、「自ノードiがリンクi→jを用いて送信したデータパケット」が、ノードjで停滞する、あるいは廃棄されることなく、その後、より深さの小さい他ノードヘ到達する可能性を評価する尺度になっている。そこで、第1の実施形態では、fij(t)を、時刻tにおけるリンクi→jの「パケット流動度」と呼ぶ。
自ノードiの送信先ノードjにおいて、「帯域の競合」や、「深さがDjより大きい他ノードを送信先に指定する事態」が発生している場合、「パケット流動度fij(t)」が低下することによって、当該リンクi→jを用いたデータパケットの送信を抑制する作用が働く。
また、パケット流動度算出部21において、演算抑制部213は、fij(t)の値を、上記以外に(1.11)式に示す演算を実行することにより更新する。以下では、(1.11)式によるパケット流動度fij(t)の値の更新を説明する。
(1.11)式は、自ノードiを送信元とするリンクi→k(k=1,2,…,N)に対するパケット流動度fik(t)の中で、リンクi→jに対する値fij(t)が最大でない場合、
「最大値maxfik(t)とfij(t)との差が閾値Thよりも小さい」ならば、
「fij(t)にmaxfik(t)の値を代入する」
ことを示している。ここで、Aは集合A={1,2,…,N}であり、k,jは集合Aの要素である。また、閾値Thfは実験的に決定する定数パラメータである。
上記の処理を実行することにより、自ノードiを送信元とするリンクi→k(k=1,2,…,N)同士で帯域を取り合う演算を実行する過程において、異なるリンクに対するfik(t)のわずかな差に左右されずに、収束状態に至る動作が実現される。その結果、収束時間が低減するという効果が得られる。
上記の構成によってfij(t)の値を算出することにより、fij(t)は、「リンクi→jを用いて送信したデータパケット」が、ノードjで停滞する、あるいは廃棄されることなく、その後、より深さの小さい他ノードヘ到達する可能性を評価する尺度になっている。
(A−3−5)各ノードにおける送信先の指定方法
次に、(1.3)〜(1.11)式を用いた演算を実行する過程での「各ノードにおける送信先の指定方法」について説明する。送信先決定部28は、以下で説明する条件判定及び処理を行い、その処理結果を用いて送信先を指定する。
以下の説明において、[初期設定]は、(1.3)〜(1.11)式を用いた演算を実行する際の初期設定、[初期設定]以外は、(1.3)〜(1.11)式を用いた演算を実行する過程で、当該の条件を満足した場合に実行する処理を示している。
また、以下の説明において、自ノードiの送信先に指定可能であるノードは、「自ノードiの1ホップ近傍範囲内に存在する他ノードj」である。
さらに、以下の説明において、例えば、単に「自ノードiより深さの小さい他ノードj」等と記述されている場合も、他ノードjは「自ノードiの1ホップ近傍範囲内に存在する他ノード」であるという条件を満たす点に注意されたい。
[初期設定]
初期設定として、「自ノードiより深さの小さい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)に、wij(t)>0の初期値を設定する。
初期値は実験的に決定する定数パラメータである。「自ノードiより深さの小さい他ノードj」が複数存在する場合も、すべて同様に設定を行う。上記の操作は、「自ノードiより深さの小さい他ノードj」を、すべて送信先に指定することを意味する。
また、「自ノードiと深さが同じ他ノードj」、及び「自ノードiより深さの大きい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)は、wij(t)=0と設定する。この操作は、「自ノードiと深さが同じ他ノードj」、及び「自ノードiより深さの大きい他ノードj」を、送信先に指定しないことを意味する。
同様に以下の説明においても、リンクi→jに対するwij(t)が、wij(t)>0ならば、「自ノードiは他ノードjを送信先に指定している状態」であり、逆にwij(t)=0ならば、「自ノードiは他ノードjを送信先に指定していない状態」であることを意味する。
(ア)[条件判定と処理1]
[条件1]
自ノードiが他ノードjを送信先とするリンクi→jに対するwij(t)が、閾値Th1以下である。ここで、閾値Th1は実験的に決定する定数パラメータである。
[処理]
上記[条件1]を満足する場合、当該リンクに対するwij(t)を、wij(t)=0とする。
(イ)[条件判定と処理2]
[条件2]
「自ノードiより深さの小さい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)が、すべて閾値Th2以下である、
かつ、「自ノードiより深さの小さい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)の内、少なくとも1つはwij(t)>0である、
かつ、「自ノードiと深さが同じ他ノードj」、及び「自ノードiより深さの大きい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)が、すべてwij(t)=0である、
かつ、「自ノードiと深さが同じ他ノードj」が、自ノードiより相互作用対象ノード数が少ない。ここで、閾値Th2は実験的に決定する定数パラメータである。
[処理2]
上記[条件2]を満足する場合、「自ノードiと深さが同じ他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)に、wij(t)>0の値を設定する。設定する値は実験的に決定する定数パラメータである。
「自ノードiと深さが同じ他ノードj」が複数存在する場合も、すべて同様に設定を行う。ただし、「自ノードiと深さが同じ他ノードj」が、自ノードiを送信先に指定している場合は、当該リンクi→jに対するwij(t)を更新せず、wij(t)=0とする。すなわち、自ノードiは、当該リンクi→jの他ノードjを送信先に指定しない。
また、「自ノードiと深さが同じ他ノードj」が、すべて自ノードiを送信先に指定している場合は、「自ノードiより深さの大きい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)に、wij(t)>0の値を設定する。設定する値は実験的に決定する定数パラメータである。「自ノードiより深さの大きい他ノードj」が複数存在する場合も、すべて同様に設定を行う。上記の処理は、「自ノードiより深さの大きい他ノードj」が、自ノードiを送信先に指定している状態であっても実行する。
第1の実施形態の典型的な利用形態では、閾値Th2は、閾値Th1以上の値を設定する。すなわち、Th1≦Th2を満たすように、閾値Th2を設定する。
(ウ)[条件判定と処理3]
[条件3]
「自ノードiより深さの小さい他ノードj」、及び「自ノードiと深さが同じ他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)が、すべて閾値Th3以下である。
かつ、「自ノードiと深さが同じ他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)の内、少なくとも1つはwij(t)>0である、
かつ、「自ノードiより深さの大きい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)が、すべてwij(t)=0である。ここで、閾値Th3は実験的に決定する定数パラメータである。
[処理3]
上記[条件3]を満足する場合、「自ノードiより深さの大きい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)に、wij(t)>0の値を設定する。設定する値は実験的に決定する定数パラメータである。「自ノードiより深さの大きい他ノードj」が複数存在する場合も、すべて同様に設定を行う。上記の処理は、「自ノードiより深さの大きい他ノードj」が、自ノードiを送信先に指定している状態であっても実行する。
第1の実施形態の典型的な利用形態では、閾値Th3は、閾値Th2と等しい値を設定する。すなわち、Th3=Th2を満たすように、閾値Th3を設定する。
(エ)条件判定と処理4
[条件4]
「自ノードiより深さの小さい他ノードj」が、自ノードiを送信先に指定している。
[処理4]
上記[条件4]を満足する場合、
当該リンクi→jに対するwij(t)を、wij(t)=0とする。すなわち、自ノードiは、当該リンクi→jの他ノードjを送信先に指定しない。
上記の処理は、例え、自ノードiが他ノードjを送信先に指定している状態であっても、他ノードjが自ノードiを送信先に指定した場合は、「自ノードiは他ノードjを送信先に指定しない状態に変更する」ということを意味する。
(オ)条件判定と処理5
[条件5]
「自ノードiが他ノードkを送信先に指定している状態、すなわち、wik(t)>0」のとき、リンクi→kに対する、wik(t)が、すべて閾値Th5A以下である、
かつ、「自ノードiより深さの小さい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対する、wij(t)が、wij(t)=0である、
かつ、当該リンクi→jに対するfij(t)が、閾値Th5B以上である。ここで、閾値Th5A及び閾値Th5Bは、実験的に決定する定数パラメータである。
[処理5]
上記[条件5]を満足する場合、当該リンクi→jに対するwij(t)に、wij(t)>0の値を設定する。設定する値は実験的に決定する定数パラメータである。上記[条件5]を満足するリンクi→jが複数存在する場合も、すべて同様に設定を行う。
上記の処理は、例え、「自ノードiより深さの小さい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)が、wij(t)=0である状態(自ノードiが他ノードjを送信先に指定していない状態)になっても、その後、無線環境が変化して、当該リンクi→jに対するfij(t)が、閾値Th5B以上になれば、wij(t)>0である状態(自ノードiが他ノードjを送信先に指定している状態)に変化することを意味する。
(カ)条件判定と処理6
[条件6]
上記[条件5]を満足しない、
かつ、「自ノードiが他ノードkを送信先に指定している状態、すなわち、wik(t)>0」のとき、リンクi→kに対するfik(t)が、すべて閾値Th6A以下である、
かつ、「自ノードiより深さの小さい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)が、すべてwij(t)=0である、
かつ、「自ノードiと深さが同じ他ノードp」を送信先とするリンクi→pに対するwip(t)が、wip(t)=0である、
かつ、当該リンクi→pに対するfip(t)が、閾値Th6B以上である。ここで、閾値Th6A、及びTh6Bは実験的に決定する定数パラメータである。
[処理6]
上記[条件6]を満足する場合、当該リンクi→pに対するwip(t)に、wip(t)>0の値を設定する。設定する値は実験的に決定する定数パラメータである。上記[条件6]を満足するリンクi→pが複数存在する場合も、すべて同様に設定を行う。
(キ)[条件判定と処理7]
[条件7]
上記[条件5]及び[条件6]を満足しない、
かつ、「自ノードiが他ノードkを送信先にしている状態、すなわち、wik(t)>0」のとき、リンクi→kに対するfik(t)が、すべて閾値Th7A以下である、
かつ、「自ノードiより深さの小さい他ノードj」を送信先とするリンクi→jに対するwij(t)が、すべてwij(t)=0である、
かつ、「自ノードiと深さが同じ他ノードp」を送信先とするリンクi→pに対するwip(t)が、すべてwip(t)=0である、
かつ、「自ノードiより深さの大きい他ノードq」を送信先とするリンクi→qに対するwiq(t)が、wiq(t)=0である、
かつ、当該リンクi→qに対するfiq(t)が、閾値Th7B以上である。ここで、閾値Th7A及び閾値Th7Bは実験的に決定する定数パラメータである。
[処理7]
上記[条件7]を満足する場合、当該リンクi→qに対するwiq(t)に、wiq(t)>0の値を設定する。設定する値は実験的に決定する定数パラメータである。上記[条件7]を満足するリンクi→pが複数存在する場合も、すべて同様に設定を行う。
(A−3−6)経路制御動作
(1.3)〜(1.11)式を用いた演算を実行することにより、自ノードのリンクの中で「パケット流動度fij(t)」が大きい値をとるリンクほど、その帯域幅φij(t)が時間と共に増大する。
すなわち、リンクi→j(j=1,2,…,N)が獲得する帯域幅φij(t)は、そのリンクの「パケット流動度fij(t)」に依存して、時間と共に増大、あるいは減衰する。
これは、図7に示すように、自ノードiが獲得している帯域幅Φ(t)において、自ノードiのリンク同士(例えば、リンクi→j、リンクi→k等)で帯域幅を取り合う動作に相当する。
したがって、例えば、図7において、あるリンクi→jの帯域幅φij(t)が増大すれば、その分、他のリンクi→k(k≠j)の帯域幅φik(t)は減衰する。定数パラメータμは、上述したように、その演算を実行する際に、リンクi→jが他のリンクi→k(k≠j)から受ける影響度を表す。その結果、次の2つの状態のいずれかを収束する。
(1)自ノードiのリンクの中で、1個のリンクが帯域幅Φ(t)をすべて獲得する
(2)自ノードiのリンクの中で、複数のリンクが帯域幅Φ(t)をある比率で分割する。
上記の2つの状態の内、どちらに収束するかは、定数パラメータμと「パケット流動度fij(t)」の値に依存する。定数パラメータμの値は、アプリケーションの要求等に合わせて実験的に決定する。
(A−3−7)通信タイミングバターン形成過程の状態が経路制御動作に与える影響
通信タイミングパターン形成過程P1で発生するコンフリクトは、ノードの「競合解消度」の値に反映される。
例えば、ノードjでコンフリクトが発生すれば、ノードjの「競合解消度c(t)」の値が低下する。その結果、リンクi→jの「パケット流動度fij(t)」の値が減少し、リンクi→jが獲得する帯域幅Φij(t)を減衰させる作用が働く。
これは、ノードiにおける他のリンクi→j(k≠j)の帯域幅φik(t)を増大させる。このようにして、コンフリクトが発生しているノードjに対する通信負荷を軽減し、それを他のノードに分散させる機能が働く。
したがって、ノード間において通信に必要な帯域を取り合う過程で生じるコンフリクトの状態が、データパケットの送信経路を決定する過程に影響し、コンフリクトを低減する方向に作用する。
(A−3−8)制御パケット送信部14及び制御パケット受信部11
制御パケット送信部14では、通信タイミング制御演算部12の演算結果に基づくタイミングで、制御パケットに制御情報を付加して送信する。また、制御パケット受信部11では、他ノードが送信した制御パケットを受信し、制御情報の読み出しを行う。
制御パケットには、近傍ノードの位相情報以外に、以下の制御情報を付加する。
(1)自ノードiにおける「競合解消度c(t)」
(2)他ノードjに対して中継要求する「データパケットを送信するために必要な帯域幅φij(t)」
(3)自ノードiを送信元とするリンクに対する「リンク品質の加重平均L
(4)自ノードiの深さDi
(5)自ノードiにおけるペナルティー関数δ(t)の値
(6)自ノードがデータ信号の送信に必要な必要位相区間幅(必要位相帯域幅)
(A−3−7)データパケット送受信部15
自ノードiのデータパケット送受信部15は、経路制御演算部13の演算結果に基づいて、他ノードjに対して中継要求するデータパケットを送信する。つまり、データパケット送受信部15は、経路制御演算部13の演算結果から、自ノードiから各他ノードjへの帯域幅φij(t)を用いて、各他ノードj宛のデータパケットを送信する。
また、データパケット送受信部15は、他ノードから中継要求されたデータパケットを受信する。
(A−4)微分方程式の演算方法について
(1.1)、(1.2)及び(1.3)式で示した微分方程式の演算は、例えば、オイラー方やルンゲ・クッタ法などの一般的な数値計算法を用いて、ソフトウェアとしてノード上に実行可能である。すなわち、上述したノードにおける各処理は、ソフトウェア処理により実現することができ、例えば、ROMに格納される演算を実行させる処理プログラムをCPUが読み出し、CPUが処理プログラムを実行することにより実現できる。これらの数値計算法は、微分方程式を差分化(連続時間変数tを離散化)して得られる差分方程式(漸化式)を用いて状態変数の変化(時間発展)を計算する手法を適用することができる。さらに、(1.1)、(1.2)及び(1.3)式と同様の動作をする電子回路を構成すれば、ハードウェアとしてノード上に実装することも可能である。
(A−5)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、位相反発力制御演算部を設けることにより、ノード間における通信タイミングの競合解消能力を向上させることができる。すなわち、自ノード、及び他ノードの必要位相区間幅に基づいて、他ノードとの間に働く反発特性の強度(反発力)を制御する機構を導入することにより、空間的な周波数利用効率(ネットワーク全体での利用効率)をさらに向上させることが可能となる。その結果、データ収集頻度が比較的高い場合における通信タイミングの競合解消能力が従来よりも向上し、輻輳や発信衝突を回避した信頼性の高い通信が実現される。
(B)他の実施形態
上述実施形態では、例えば多数のノード間でデータパケットを送受信する通信システムに適用する場合を例示した。このような通信システムとしては、例えば、センサネットワークや移動体通信ネットワーク、アドホックネットワーク、無線LAN等を適用することができ、又上記ネットワークを構成するノードの通信制御装置に本発明を適用することができる。またノードは端末に限定されるものではなく、例えばルータ等のようにネットワーク上のパケットの中継処理を行う中継装置に本発明を適用することができる。センサ、アクチュエータ、サーバ等の各々種類の異なるノードが混在するネットワークにも本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態では、各ノードがシンクノードに向けてデータパケットの送信や中継を行うマルチホップ通信を採用する場合を例示したが、本発明はマルチホップ通信に限定されるものではなく、輻輳、データ衝突等が問題となる種々の通信方式に広く適用することができる。なお、シンクノードに向けた送信に限定されるものでなく、ノード間の通信であればよい。
上述した実施形態では、各ノードにおいて、通信タイミング制御手段が他ノードに対する仮想位相を生成し、他ノードに対する仮想位相を制御パケットに付加して送信する場合を例示したが、実施形態でも述べたように、本発明は当該形態に限定されず図2(a)の形態にも適用できる。さらに、通信タイミング制御手段により演算される通信タイミング演算方法も、自ノードの位相及び他ノードの位相の位相状態を時間発展的に変化させるものであれば、上述した実施形態に限定されるものではなく広く適用することができる。
上述した経路制御演算部による各データ信号の送信経路の決定方法や各データ信号の送信に用いる位相区間幅(帯域幅)の獲得方法は一例であり、通信タイミング制御演算部により獲得された自ノードの位相区間幅(帯域幅)を取得しこれを拘束条件として求めることができれば、経路制御演算部の演算方法は上述した実施形態の方法に限定されるものではなく広く適用することができる。
本発明は、インターネット上で、各ルータが相互に異なるタイミングでルーティングテーブルを交換するための通信プロトコルとして利用することができる。ここで、ルータとは、ネットワーク上を流れる情報の行き先を振り分ける(通信経路選択)機能を有する中継機器のことである。また、ルーティングテーブルとは、情報の行き先を振り分ける際に参照される通信経路選択規則である。効率的な通信を実現するためには、ネットワーク上における変更や局所的なトラフィックの変化等に応じて、逐次、ルーティングテーブルを更新する必要がある。このため、ネットワーク上に存在する多数のルータは、相互に一定の時間間隔でルーティングテーブルの交換を行っている。しかし、参考文献1「Floyd,S.,and Jacobson,V.,“The Synchronization of Periodic Routing Messages”,IEEE/ACM Transactions on Networking,Vol.2 No.2,pp.122-136,April 1994.」に開示されるように、各ルータがそれぞれ独立にルーティングテーブルを発信しているにもかかわらず、ルータ相互の発信が次第に同期(衝突)する現象が発生することが分かっている。上記文献では、ルーティングテーブルの交換に用いられる通信プロトコルに対して、各ノードの処理周期にランダムな変動性を与えることによって、この問題に対処する方法を提案し、一定の効果が得られることを示している。しかし、上記文献に開示される方法は、基本的にランダム性のみに依存した方法であるため、その効果は十分ではない。
それに対して、本発明を上記の問題に適用すると、近傍のルータ間において、ルーティングテーブルを発信するタイムスロットを自律的に相互調整することが可能である。従って、各ルータの発信は、相互に異なるタイミングとなり、上記文献に開示される方法に比べて高い効果を得ることができる。
1…ノード、11…制御パケット受信部、12…通信タイミング制御演算部、
13…経路制御演算部、14…制御パケット送信部、15…データパケット送受信部、
121…位相反発力制御演算部、122…位相演算部。

Claims (5)

  1. ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載される通信制御装置において、
    1又は複数の他ノードとの間で制御情報を送受信する制御情報送受信手段と、
    上記各他ノードからの制御情報の受信に基づく上記各他ノードのデータ発信タイミングを表す位相、及び、自ノードのデータ発信タイミングを表す位相の位相状態を相互調整し、自ノードの位相とこれに後続する他ノードの位相との間の位相区間を自ノードがデータ信号の送信に用いる位相区間幅として獲得する通信タイミング制御手段と、
    上記通信タイミング制御手段により獲得された上記自ノードの位相区間幅の中で、送信すべき各送信データ信号について、それらの送信先に送信する位相区間幅を調整し、上記各送信データ信号の送信経路を決定する経路制御手段と、
    上記通信タイミング制御手段により獲得された自ノードの上記位相区間幅の中で、上記経路制御手段により調整された上記各送信データ信号の位相区間幅で、上記各送信経路の送信先とする上記各他ノードに上記各送信データを送信するデータ送信手段と
    を備え、
    上記通信タイミング制御手段が、上記経路制御手段により調整された自ノードの上記各送信データ信号の送信に必要な必要位相区間幅と、上記各他ノードからの上記制御情報に含まれるデータ信号の送信に必要な必要位相区間幅とに基づいて、自ノードの位相とこれに後続する上記他ノードの位相との間に作用させる反発特性の強さを制御する位相反発特性制御部を有することを特徴とする通信制御装置。
  2. 上記位相反発力特性制御部が制御する上記反発特性の強さは、上記各他ノードの必要位相区間幅及び上記自ノードの必要位相区間幅の総和が小さくなるほど高くなるものであることを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
  3. ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載される通信制御装置の通信制御プログラムにおいて、
    コンピュータを、
    1又は複数の他ノードとの間で制御情報を送受信する制御情報送受信手段、
    上記各他ノードからの制御情報の受信に基づく上記各他ノードのデータ発信タイミングを表す位相、及び、自ノードのデータ発信タイミングを表す位相の位相状態を相互調整し、自ノードの位相とこれに後続する上記他ノードの位相との間の位相区間を自ノードがデータ信号の送信に用いる位相区間幅として獲得する通信タイミング制御手段、
    上記通信タイミング制御手段により獲得された上記自ノードの位相区間幅の中で、送信すべき各送信データ信号について、それらの送信先に送信する位相区間幅を調整し、上記各送信データ信号の送信経路を決定する経路制御手段、
    上記通信タイミング制御手段により獲得された自ノードの上記位相区間幅の中で、上記経路制御手段により調整された上記各送信データ信号の位相区間幅で、上記各送信経路の送信先とする上記各他ノードに上記各送信データを送信するデータ送信手段
    として機能させるものであり、
    上記通信タイミング制御手段が、上記経路制御手段により調整された自ノードの上記各送信データ信号の送信に必要な必要位相区間幅と、上記各他ノードからの上記制御情報に含まれるデータ信号の送信に必要な必要位相区間幅とに基づいて、自ノードの位相とこれに後続する上記他ノードの位相との間に作用させる反発特性の強さを制御する位相反発特性制御部を有することを特徴とする通信制御プログラム。
  4. 請求項1又は2のいずれかに記載の通信制御装置を有することを特徴とするノード。
  5. 請求項4に記載のノードを複数配置して有することを特徴とする通信システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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