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JP2011167617A - 積層塗膜形成方法 - Google Patents

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JP2011167617A JP2010032749A JP2010032749A JP2011167617A JP 2011167617 A JP2011167617 A JP 2011167617A JP 2010032749 A JP2010032749 A JP 2010032749A JP 2010032749 A JP2010032749 A JP 2010032749A JP 2011167617 A JP2011167617 A JP 2011167617A
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Kazuaki Koga
一陽 古賀
Atsuo Koga
敦男 古賀
Takeko Ishibashi
毅子 石橋
Takakazu Yamane
貴和 山根
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Abstract

【課題】積層塗膜の形成において、良好な塗膜仕上がり性を得ながら、ベース塗料の溶剤使用量の増大を抑えつつ、省エネを図る。
【解決手段】被塗物1の電着塗膜2の上に、ポリオール樹脂及び硬化剤を含有する溶剤型ベース塗料を塗布し、その上にポリオール樹脂及びイソシアネートを含有する2液ウレタンクリヤ塗料をウェットオンウェットで塗布してベース塗膜3及びクリヤ塗膜4を形成し、ベース塗膜3及びクリヤ塗膜4を同時に焼付け硬化させる複層塗膜形成方法において、ベース塗料の塗布を複数ステージに分けて行ない、且つクリヤ塗料塗布直前のステージでは、他のステージよりも、塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層塗膜形成方法に関する。
自動車の車体塗装では、従来より、下塗り塗装(電着塗装)、中塗り塗装、上塗り塗装(ベース塗装及びクリヤ塗装)の順で行なわれ、その中塗り塗装及びベース塗装には溶剤型塗料が採用されてきた。ベース塗装及びクリヤ塗装はウェットオンウエットで行なわれているが、電着、中塗り及び上塗りの各工程毎に塗膜の焼付け硬化を行なう必要がある。これに対して、特許文献1には、中塗り塗装、ベース塗装及びクリヤ塗装を順次ウェットオンウエットで行なうこと、つまり、中塗り後の焼付けを省略することにより、省エネを図ることが記載されている。
また、上記ベース塗装に関しては、近年、環境への負荷軽減(有機溶剤の使用量削減)の観点から、溶剤型ベース塗料から水性ベース塗料への転換も行なわれている。例えば、特許文献2には、ベース塗装に水性塗料を採用すること、また、その水性ベース塗装を第1層及び第2層の二層とし、第1層の紫外線透過率を下げることにより、中塗り塗装を省略することが記載されている。しかし、水性ベース塗料の場合、ウェットオンウェットでのクリヤ塗装のために、ベース塗装後に水分を除去する予備乾燥工程や、ベース塗膜の乾燥状態を制御する空調設備が必要になる。そのため、中塗りを省略したとしても、省エネの観点からはそれほど効果的ではない。
また、特許文献3には、自動車の上塗り塗装(ベース及びクリヤのウェットオンウェット塗装)に関し、クリヤ塗料に低分子量のポリオールを使用すると、ベース塗膜層とクリヤ塗膜層の混層により、仕上がり外観が不十分になること、その解決のために、特定の水酸基価及び数平均分子量のポリオールとポリイソシアネートとを含有するクリヤ塗料を用いることが記載されている。
特開2007−75791号公報 特表2008−529766号公報 特開2009−149825号公報
上述の積層塗膜の形成において、省エネの観点からは、中塗り塗装を省略できるようにすること、そして、ベース塗料を溶剤型として上記予備乾燥工程や空調設備を不要にすることが有効である。しかし、中塗り塗膜は外力に対する衝撃緩和の役割を有し、これを省くと、耐チッピング性(飛び石に対する塗膜の耐剥離性)が低下する。
その対策として、本発明では、クリヤ塗装に衝撃吸収性が高い2液ウレタンクリヤ塗料を採用するようにした。その場合に問題になったのが、ウェットオンウェットで塗装されたクリヤ塗膜からベース塗膜へのイソシアネート(硬化剤)の移行である。すなわち、クリヤ塗膜からイソシアネートの一部がベース塗膜に移行してきた場合、加熱焼付け時に、ベース塗膜の硬化速度(タイミング)にバラツキを生じてしまう。つまり、ベース塗膜では、クリヤ塗膜から移行してくるイソシアネートによりベース塗膜表面側が内部よりも先に低い温度から硬化し始める。続いて内部の硬化が始まり、ポリオールと硬化剤(メラミン樹脂及びブロックイソシアネート樹脂の少なくとも一方)との反応で生じるアルコール及びブロック剤の少なくとも一方の脱離によってベース塗膜が収縮するため、ベース塗膜表面に微小な凹凸が生じて仕上がり性(特に塗膜表面の艶)が低下するという問題である。
そこで、本発明は、良好な塗膜仕上がり性を得ながら、ベース塗料の溶剤使用量の増大を抑えつつ、省エネを図ることを課題とする。
本発明では、上記課題を解決するために、上記ベース塗料の塗布を複数ステージに分け、各ステージに塗膜硬化開始温度が相異なるベース塗料を用いるようにした。
本発明の好ましい態様は、電着塗膜が形成された被塗物の該電着塗膜の上に、ポリオール樹脂及び該ポリオール樹脂の水酸基と反応する硬化剤を含有する溶剤型ベース塗料、並びに、ポリオール樹脂及びイソシアネートを含有する2液ウレタンクリヤ塗料をウェットオンウェットで順次塗布してベース塗膜及びクリヤ塗膜を形成し、該ベース塗膜及びクリヤ塗膜を同時に焼付け硬化させる複層塗膜形成方法であって、上記溶剤型ベース塗料の塗布を複数ステージに分けて行ない、且つ上記2液ウレタンクリヤ塗料塗布直前のステージでは、他のステージよりも、塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用いることを特徴とする。
従って、仮にクリヤ塗膜からイソシアネートが2液ウレタンクリヤ塗料塗布直前ステージのベース塗料塗布層に移行してきても、該直前ステージの塗布層は、他のステージよりも、塗膜硬化開始温度が相対的に高く設定されたベース塗料が用いられているから、上記イソシアネートの移行による塗膜硬化開始温度低下の影響は小さい。すなわち、上記直前ステージの塗布層が他のステージの塗布層よりも早く硬化し始めることが避けられ、或いは仮に早く硬化し始めるとしても、過度に早まることが避けられ、良好な塗膜仕上がり性が得られる。
また、2液ウレタンクリヤ塗料の採用により、中塗り塗装を省略することが可能になり(中塗りのための溶剤も不要になり)、さらに、ベース塗料を溶剤型としたから、水性ベース塗料とは違って、予備乾燥工程や空調設備は不要であり、省エネの点から有利になる。
好ましいのは、上記クリヤ塗膜の形成後、上記ベース塗膜及びクリヤ塗膜を同時に焼付け硬化させたときに、上記他のステージのベース塗料塗布層が、上記2液ウレタンクリヤ塗料塗布直前のステージのベース塗料塗布層よりも、低い温度で硬化を開始するように、上記2液ウレタンクリヤ塗料塗布直前のステージでは、他のステージよりも、塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用いることである。換言すれば、クリヤ塗膜からイソシアネートが上記直前ステージのベース塗料塗布層に移行してきても、加熱焼付け時には、他のステージの塗布層の方が上記直前ステージの塗布層よりも早く硬化を開始するようにすることである。これにより、塗膜仕上がり性の確実に良好なものにすることができる。
上記各ステージに使用するベース塗料の塗膜硬化開始温度の設定に関しては、例えば、塗膜硬化開始温度を低下させる硬化開始温度調整剤を上記他のステージのベース塗料に添加し、上記直前ステージのベース塗料は、上記硬化開始温度調整剤の添加濃度を上記他のステージのベース塗料よりも低くするか、又は当該硬化開始温度調整剤の添加量を零とすればよい。
上記ベース塗料の塗布は、塗膜硬化開始温度を相対的に低く設定したベース塗料を用いる第1ステージと、塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用いる第2ステージの2ステージで行なうことができる。すなわち、ベース塗装は通常2ステージで実施されているから、当該方法によれば、作業工数の実質的な増大を招くことがない。
上記ベース塗料の塗布を3ステージ以上で実施する場合は、2液ウレタンクリヤ塗料の塗布直前のステージのみ塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用い、他の各ステージは塗膜硬化開始温度を相対的に低く設定したベース塗料を用いるようにすればよい。
上記被塗物としては、例えば自動車の車体があり、その他の被塗物にも本発明は適用することができる。
本発明によれば、被塗物の電着塗膜の上に、ポリオール樹脂及び硬化剤を含有する溶剤型ベース塗料、並びに、ポリオール樹脂及びイソシアネートを含有する2液ウレタンクリヤ塗料をウェットオンウェットで順次塗布してベース塗膜及びクリヤ塗膜を形成し、該ベース塗膜及びクリヤ塗膜を同時に焼付け硬化させる複層塗膜形成方法において、上記溶剤型ベース塗料の塗布を複数ステージに分けて行ない、且つクリヤ塗料塗布直前のステージでは、他のステージよりも、塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用いるようにしたから、良好な塗膜仕上がり性を得ながら、ベース塗料の溶剤使用量の増大を抑えつつ、省エネを図る上で有利になる。
本発明の実施形態に係る塗膜構成を示す断面図である。 クリヤ塗膜からベース塗膜へのイソシアネートの移行によってベース塗膜の硬化開始温度が変化することを示す実施例の説明図である。 クリヤ塗膜からベース塗膜へイソシアネートの移行によってベース塗膜の硬化開始温度が変化することを示す比較例の説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は本発明に係る積層塗膜構成を示す。同図において、1は鋼製の被塗物であり、その上に電着塗膜2が形成され、その上にベース塗膜3が形成され、その上にクリヤ塗膜4が形成されている。ベース塗膜3は、ベース塗料を2ステージで塗布して形成されており、第1ステージのベース塗料による下側の第1ベース塗膜層3aと、第2ステージのベース塗料による上側の第2ベース塗膜層3bとよりなる。なお、ベース塗膜3が第1ベース塗膜層3aと第2ベース塗膜層3bの二層に明りょうに分かれて構成されているわけではない。説明の便宜上、第1ステージのベース塗料による部分を第1ベース塗膜層3aとし、第2ステージのベース塗料による部分を第2ベース塗膜層3bとしているに過ぎない。
ベース塗膜3の第1ベース塗膜層3a及び第2ベース塗膜層3bはいずれも、ポリオール樹脂及び該ポリオール樹脂の水酸基と反応する硬化剤を含有する溶剤型ベース塗料の塗布によって形成されている。但し、第1ベース塗膜層3aと第2ベース塗膜層3bとは、同じく溶剤型ベース塗料によって形成されているが、各々に使用されたベース塗料の塗膜硬化開始温度の設定温度が相違する。すなわち、第1ベース塗膜層3aは、塗膜硬化開始温度を相対的に低く設定したベース塗料にて形成され、第2ベース塗膜層3bは、塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料にて形成されている。
クリヤ塗膜4は、ポリオール樹脂及びイソシアネートを含有する2液ウレタンクリヤ塗料の塗布によって形成されている。
ベース塗膜3及びクリヤ塗膜4は、ベース塗膜3の上にクリヤ塗料をウェットオンウェットで塗布し、同時に焼付け硬化させて形成されている。
<積層塗膜形成方法>
本発明の積層塗膜形成方法では、まず、リン酸亜鉛処理した自動車車体などの被塗物1に電着塗装を行ない、焼付け乾燥処理を施して電着塗膜2を形成する。この電着塗膜2の上に溶剤型ベース塗料を複数ステージで塗装してベース塗膜3を形成する。次いで、ベース塗膜3の上にウェットオンウェットにて2液ウレタンクリヤ塗料を塗装してクリヤ塗膜4を形成する。そして、ベース塗膜3及びクリヤ塗膜4を同時に焼付け硬化させる。
−電着塗装について−
被塗物1をカチオン電着塗料に浸漬し、被塗物1を陰極、電着槽内の極板を陽極として、この間に直流電流を流すことで被塗物1に電着塗膜2を析出形成することができる。カチオン電着塗料は、カチオン性エポキシ樹脂、硬化剤及び顔料や添加剤を含んでいる。
カチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。エポキシ樹脂としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びアルキルフェノールのような樹脂で変性したもの、また、エポキシ樹脂の鎖長を延長したものを用いることができる。
硬化剤としては、ポリイソシアネートをブロック剤でブロックして得られたブロックポリイソシアネートを用いることができる。ポリイソシアネートとしては、脂肪族系、脂環式系、芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
硬化剤の量は、一般にカチオン性エポキシ樹脂の硬化剤に対する固形分重量比で表して一般に80/20〜50/50の範囲が好ましく、カチオン性エポキシ樹脂と硬化剤の量は、一般に、電着塗料組成物の全固形分の30〜80重量%の範囲が好ましい。
電着塗料は着色剤として一般に顔料を含有する。着色顔料の例としては、酸化チタン、カーボンブラック及び酸化鉄、体質顔料の例としては、カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ及びクレー、防錆顔料の例としては、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、及びモリブデン酸カルシウム等が挙げられる。顔料の量は、電着塗料組成物の全固形分の10〜30重量%の範囲とすることができる。
−ベース塗装について−
上記カチオン電着塗装・焼付け乾燥処理後、その電着塗膜2の上に、溶剤型ベース塗料をエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などにより塗装する。塗装の際、静電印加を行ってもよい。
ベース塗料は、上記ポリオール樹脂及びこれと反応する硬化剤を含有する。ポリオール樹脂としては、アクリルポリオール樹脂(メタアクリル酸エステル類を重合させた側鎖にヒドロキシ基をもつポリマー)を好ましく採用することができるが、これに限られるものではなく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなど他のポリオール樹脂を用いることができ、或いは種類の異なるポリオール樹脂を混合して用いることができる。また、ポリオール樹脂と他の塗膜形成樹脂とを混合して用いることができる。硬化剤としては、例えばメラミン樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート系硬化剤などが挙げられる。顔料分散性や作業性の点から、例えば、アクリルポリオール樹脂及び/又はポリエステルポリオール樹脂と、メラミン樹脂および/またはブロックイソシアネート樹脂とを組み合わせることもできる。
有機溶剤の例としては、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族石油系溶剤等が挙げられる。
ベース塗料には、必要に応じて、顔料類、非水分散樹脂、ポリマー微粒子、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、塗面調整剤、酸化防止剤、流動性調整剤、ワックス等を適宜含有することができる。
このベース塗装は複数ステージで行なう。この複数ステージ塗装において、クリヤ塗装直前のステージでは塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用い、他のステージでは塗膜硬化開始温度を相対的に低く設定したベース塗料を用いる。好ましいのは、クリヤ塗膜4からイソシアネートが上記直前ステージのベース塗膜層に移行してその塗膜硬化開始温度が低下することを見越して、その温度低下量よりも大きな温度差を上記直前ステージのベース塗料の塗膜硬化開始設定温度と他のステージのベース塗料の塗膜硬化開始設定温度とに与えることである。この場合、クリヤ塗膜4からイソシアネートがベース塗膜3に移行してきても、該ベース塗膜3では、他のステージのベース塗料による下側の塗膜層の方が上記直前ステージのベース塗料による上側の塗膜層よりも早く硬化を開始することになる。
上記各ステージのベース塗料の塗膜硬化開始温度は、塗膜硬化開始温度を低下させる硬化開始温度調整剤の添加量で調整して設定することができる。すなわち、硬化開始温度調整剤を上記他のステージのベース塗料に添加する一方、上記直前ステージのベース塗料は、上記硬化開始温度調整剤の添加濃度を上記他のステージのベース塗料よりも低くするか、又は当該硬化開始温度調整剤の添加量を零とすればよい。
そのような硬化開始温度調整剤としては、通常のウレタン化反応において使用される、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2-ヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2-エチルヘキサン酸鉛などの有機金属触媒、トリエチルアミン(第三級アミン)などのアミン系触媒、その他の硬化触媒を採用することができる。
ベース塗膜3の乾燥膜厚は、例えば10μm以上35μm以下に設定することができ、好ましくは15μm以上25μm以下である。そのうち、クリヤ塗装直前のステージで例えば4μm以上20μm以下、好ましくは5μm以上15μm以下の第2ベース塗膜層3bを形成する。ベース塗膜3の膜厚が厚くなると、鮮映性が低下したり、塗膜にムラまたは流れが生じることがあり、その膜厚が薄くなると、下地隠蔽性が不充分となり、膜切れ(塗膜が不連続な状態)が生じることがあるため、いずれも好ましくない。
−クリヤ塗装−
2液ウレタンクリヤ塗料を、ベース塗膜3の上に、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装機などにより塗装する。塗装の際、静電印加を行ってもよい。
2液ウレタンクリヤ塗料は、ポリオール樹脂及び硬化剤としてのイソシアネートを含有する。例えば、水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する。水酸基含有アクリル樹脂の例としては、水酸基含有重合性不飽和モノマー、或いは他の重合性不飽和モノマーが挙げられ、水酸基含有重合性不飽和モノマーの例としては、多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物、該多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物等が挙げられ、その他の重合性不飽和モノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー、アミノアルキルアクリレート、アミノアルキルメタアクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド又はその誘導体、第4級アンモニウム塩基含有モノマー、多ビニル化合物、紫外線吸収性もしくは紫外線安定性重合性不飽和モノマーなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の例としては、脂肪族ジイソシアネート類、環状脂肪族ジイソシアネート類、芳香族ジイソシアネート類、有機ポリイソシアネートそれ自体、有機ポリイソシアネート同士の環化重合体、イソシアネート・ビウレット体等が挙げられる。
有機溶剤の例としては、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族石油系溶剤等が挙げられる。
クリヤ塗料には、必要に応じて、顔料類、非水分散樹脂、ポリマー微粒子、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、塗面調整剤、酸化防止剤、流動性調整剤、ワックス等を適宜含有することができる。
上記ベース塗膜3及びクリヤ塗膜の同時焼付け硬化に関し、その焼付け温度は例えば60℃〜140℃、焼付け時間は例えば10分〜40分とすればよい。
<実施例及び比較例>
−ベース塗料用アクリル樹脂の調製−
キシロール85部及びn−ブタノール15部を混合した有機溶剤中で、スチレン30部、n−ブチルメタクリレート40部、2−エチルヘキシルアクリレート10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート18部及びアクリル酸2部のモノマーを反応させて、質量平均分子量が28000、樹脂固形分は50質量%である水酸基含有アクリル樹脂溶液(水酸基1.55mol/kg樹脂)を調製した。
−ベース塗料の調製−
上記水酸基含有アクリル樹脂溶液に、表1に示す塗料Aの配合にて、ユーバン20SE(三井東圧化学社製ブチル化メラミン系硬化剤:固形分60質量%)及びアルミペースト(顔料)を加えて攪拌し、さらにスワゾール1000(コスモ石油社製石油系芳香族溶剤)を加えて、No.4フォードカップで15秒/20℃の粘度になるように希釈調整してメラミン硬化型ベース塗料Aを得た。このベース塗料Aの塗膜硬化開始温度は135℃に設定した。
上記水酸基含有アクリル樹脂溶液に、表1に示す塗料Bの配合にて、デュラネートTPA100(旭化成社製イソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート硬化剤,固形分60質量%)、硬化触媒としてのDBTDL(ジブチル錫ジラウレート)及びアルミペーストを加えて攪拌し、さらにスワゾール1000を加えて、No.4フォードカップで15秒/20℃の粘度になるように希釈調整したイソシアネート硬化型ベース塗料Bを得た。塗料Bとしては、DBTDL添加量が異なる、従って、塗膜硬化開始設定温度が異なる3種類を調整した。表1はDBTDLを除いた組成を示している。この3種類のベース塗料Bの塗膜硬化開始温度は、それぞれ130℃、125℃、120℃に設定した。
上記塗膜硬化開始温度は、各ベース塗料をダル鋼板に塗布し、自由減衰振動型粘弾性測定装置(FDOM)により測定した。すなわち、塗膜温度が上昇するときの振動周期を測定し、その振動周期の減少量が最も大きくなる点(減少変化率がプラスからマイナスに変わる変曲点)の温度をもって塗膜硬化開始温度とした。
Figure 2011167617
ダル鋼板にカチオン電着塗料PN−1020(日本ペイント社製)を乾燥膜厚20μmとなるように塗装し、その電着塗膜を160℃で30分間焼付けて硬化させた。次いで表2に示す塗膜硬化開始温度に設定した第1ベース塗料及び第2ベース塗料をそれぞれ乾燥膜厚が10μmとなるように、上記電着塗膜上にエアスプレー塗装してベース塗膜を形成した。5分間の室温放置後、KINO#6800(関西ペイント社製2液ウレタンクリヤ塗料)を乾燥膜厚が30μmとなるようにエアスプレー塗装してクリヤ塗膜を形成した(ウェットオンウェット)。10分間の室温放置後、ベース塗膜及びクリヤ塗膜を140℃で30分間焼付けて硬化させた。以上により、表2に示す実施例1〜3及び比較例1,2の試験片を得た。
Figure 2011167617
−塗膜評価方法−
実施例1〜3及び比較例1,2各々のベース塗膜・クリヤ塗膜焼付け硬化後の塗膜仕上がり性を調べた。すなわち、BYK社製のWaveScan DOIを用い、試験片を垂直にして塗装したときの塗膜表面のうねりの程度を構造スペクトルWa(0.1〜0.3mm)及びWd(3.0〜10.0mm)で測定した。その結果を表2に示す。測定値Waは塗膜の艶感を表している。Wdは塗膜の平滑性を表している。測定値Wa,Wdは共に数値が小さいほど仕上がり性が良好であるということができる。
また、参考のために、各試験片の第1ベース塗料による第1ベース塗膜層、並びに第2ベース塗料による第2ベース塗膜層の、クリヤ塗装後に焼付け硬化させるときの塗膜硬化開始温度の推定値を表2に付記した。この場合、第1ベース塗膜層の塗膜硬化開始温度には、クリヤ塗膜からのイソシアネート系硬化剤の移行量が零であるとして、第1ベース塗料の塗膜硬化開始設定温度を与えた。第2ベース塗膜層の塗膜硬化開始温度には、クリヤ塗膜からのイソシアネート系硬化剤が移行し、その移行により塗膜硬化開始温度が5℃低下すると見込んで、第2ベース塗料の塗膜硬化開始設定温度が5℃を差し引いた値を与えた。
−積層塗膜評価−
実施例1は、第2ベース塗料の塗膜硬化開始温度を、第1ベース塗料の塗膜硬化開始温度よりも、クリヤ塗膜からのイソシアネートの移行による塗膜硬化開始温度の低下量に見合うだけ高く設定した、つまり、第1ベース塗膜層と第2ベース塗膜層とが同時に硬化し始めるようにしたものである。実施例2,3は、第2ベース塗料の塗膜硬化開始温度を、第1ベース塗料の塗膜硬化開始温度よりも、上記イソシアネートの移行による塗膜硬化開始温度の低下量を超えて高く設定した、つまり、下側の第1ベース塗膜層が上側の第2ベース塗膜層よりも先に硬化し始めるようにしたものである。
表2によれば、実施例1〜3はいずれもWa値及びWd値が比較例1,2よりも小さく、仕上がり性が良好であることがわかる。図2は実施例の説明図である。例えば、実施例3の場合、第2ベース塗料は、塗膜硬化開始温度が135℃に設定されているが、クリヤ塗膜からのイソシアネートの移行により、塗膜硬化開始温度が低下して130℃になるが(図2の矢符参照)、それでも第1ベース塗料の塗膜硬化開始温度120℃よりも高い。従って、焼付け時には下側の第1ベース塗膜層が先に硬化し始め、これに遅れて上側の第2ベース塗膜層が硬化し始める。このため、塗膜仕上がり性が良好になっていると認められる。実施例1,2も同様である。
これに対して、図3は、第1ベース塗料、第2ベース塗料及びクリヤ塗料の塗膜硬化開始温度を同じ温度に設定したケースの説明図であるが、第2ベース塗料の塗膜硬化開始温度が、クリヤ塗膜からのイソシアネートの移行によって低下し、第1ベース塗料の塗膜硬化開始温度よりも低くなっている。
この点は、第1ベース塗料と第2ベース塗料とに同じメラミン硬化型ベース塗料Aを採用した比較例1も同様であって、クリヤ塗膜からのイソシアネートの移行により、上側の第2ベース塗膜層の塗膜硬化開始温度が下側の第1ベース塗膜層の当該温度よりも低くなる。比較例2の場合は、第2ベース塗料の塗膜硬化開始設定温度を第1ベース塗料の当該温度よりも低くしているから、上記イソシアネートの移行により、上側の第2ベース塗膜層の塗膜硬化開始温度が下側の第1ベース塗膜層の当該温度よりもさらに低くなる。このため、比較例1,2の場合は、焼付け時に、上側の第2ベース塗膜層が先に硬化し始め、これに遅れて下側の第1ベース塗膜層が硬化し始めることになり、塗膜仕上がり性が実施例よりも悪化していると認められる。
1 被塗物
2 電着塗膜
3 ベース塗膜
3a 第1ベース塗膜層
3b 第2ベース塗膜層
4 クリヤ塗膜

Claims (5)

  1. 電着塗膜が形成された被塗物の該電着塗膜の上に、ポリオール樹脂及び該ポリオール樹脂の水酸基と反応する硬化剤を含有する溶剤型ベース塗料を塗布し、その上にポリオール樹脂及びイソシアネートを含有する2液ウレタンクリヤ塗料をウェットオンウェットで塗布することによりベース塗膜及びクリヤ塗膜を形成し、該ベース塗膜及びクリヤ塗膜を同時に焼付け硬化させる複層塗膜形成方法において、
    上記溶剤型ベース塗料の塗布を複数ステージに分けて行ない、且つ上記2液ウレタンクリヤ塗料塗布直前のステージでは、他のステージよりも、塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用いることを特徴とする積層塗膜形成方法。
  2. 請求項1において、
    上記クリヤ塗膜の形成後、上記ベース塗膜及びクリヤ塗膜を同時に焼付け硬化させたときに、上記他のステージのベース塗料塗布層が、上記2液ウレタンクリヤ塗料塗布直前のステージのベース塗料塗布層よりも、低い温度で硬化を開始するように、上記2液ウレタンクリヤ塗料塗布直前のステージでは、他のステージよりも、塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定したベース塗料を用いることを特徴とする積層塗膜形成方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    塗膜硬化開始温度を低下させる硬化開始温度調整剤を上記他のステージのベース塗料に添加し、上記直前ステージのベース塗料は、上記硬化開始温度調整剤の添加濃度を上記他のステージのベース塗料よりも低くするか、又は当該硬化開始温度調整剤の添加量を零とすることにより、上記直前ステージのベース塗料の塗膜硬化開始温度を相対的に高く設定することを特徴とする積層塗膜形成方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    上記溶剤型ベース塗料の塗布を2つのステージに分けて行なうことを特徴とする積層塗膜形成方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    上記被塗物は自動車の車体であることを特徴とする積層塗膜形成方法。
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