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JP2011132577A - プラスチック成形金型用プリハードン鋼 - Google Patents

プラスチック成形金型用プリハードン鋼 Download PDF

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JP2011132577A
JP2011132577A JP2009293987A JP2009293987A JP2011132577A JP 2011132577 A JP2011132577 A JP 2011132577A JP 2009293987 A JP2009293987 A JP 2009293987A JP 2009293987 A JP2009293987 A JP 2009293987A JP 2011132577 A JP2011132577 A JP 2011132577A
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Motohiro Ibuki
基宏 伊吹
Koichiro Inoue
幸一郎 井上
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

【課題】焼入れ性、鏡面性を確保しつつ冷却能力に優れたプラスチック成形金型用プリハードン鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.20%〜0.30%、Si:0.01%〜0.20%未満、Mn:1.00%〜2.00%、P:0.015%以下、Cu:0.25%以下、Ni:0.25%以下、Cr:2.00%〜2.50%、Mo:0.25%〜0.45%、V:0.05%〜0.20%、Al:0.030%以下、O:0.0100%以下、および、N:0.02%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、かつ、36〜42HRCに調質されてなるプリハードン鋼とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック成形金型用プリハードン鋼に関するものである。
近年、様々な分野において、プラスチック成形品が使用されている。一般に、プラスチック成形品は、例えば、射出成形金型、プレス成形金型等のプラスチック成形金型を用いて、所望形状に成形される。
従来、プラスチック成形金型に用いられる金型材料として、プリハードン鋼が知られている。プリハードン鋼は、所定の硬度に調質されており、金型ユーザーは熱処理することなく加工して使用することができる。そのため、その分、金型加工の生産性を高めることができる。
この種のプリハードン鋼には、一般に、(1)仕上げ面粗さが小さいこと、(2)ピンホールが少ないこと、(3)必要な大きさの鋼材で一様な組織の材料が得られることなどの特性が要求される。
従来知られるプリハードン鋼としては、例えば、特許文献1に、C:0.15%〜0.25wt%、Si:0.35wt%以下、Mn:0.50〜2.00wt%、P:0.020wt%以下、S:0.003wt%以下、Sol.Al:0.003wt%以下、O:0.0040wt%以下、Cr:0.50〜2.50wt%、Mo:0.05〜1.00wt%、V:0.010〜0.100wt%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、ロックウェル硬さ25以上を有する金型用プリハードン鋼が開示されている。
また、他の金型用鋼としては、例えば、特許文献2に、レンズ用プラスチックの成形に用いる鋼として、質量%で、C:0.10〜0.28%、Si:0.20〜1.5%、Mn:0.20〜2.0%、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Cr:1.0〜3.0%、Mo:0.1〜0.5%、V:0.05〜0.3%、s−Al:0.002〜0.030%およびO:0.0030%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、硬さが28〜38HRCである鋼が開示されている。
特開平8−41534号公報 特開2002−088442号公報
しかしながら、従来の金型用鋼は、以下の点で問題があった。すなわち、これまで金型用鋼の開発は、主に、金型の表面品質を向上させるための鏡面磨き性やプラスチック成形品の形状を決定付ける加工精度等に重点が置かれて開発がなされてきた。
しかし、プラスチック成形用金型は、鏡面磨き性や加工精度等のプラスチック成形品の品質を向上させる機能ばかりでなく、プラスチックを固化するための冷却器としても機能している。最近では、プラスチック成形品の生産性を向上させる観点から、金型の冷却機能が注目されるようになってきている。なぜなら、プラスチック固化のための冷却時間は、プラスチック成形品一つを生産するための1サイクルの時間を決めることになるからである。
近年、モジュール化・一体化が進む自動車のヘッドランプ用レンズ等のように、プラスチック成形品が大物化される機会が増えてきている。プラスチック成形品が大物化されると、それを成形する金型も必然的に大きくなるため、金型の冷却に時間がかかるようになる。冷却時間は、鋼の熱伝導率によって決まる固有値であり、これまで、鋼の成分を検討することにより熱伝導率を最大化し、生産性を改善しようとする試みはなされてこなかった。
また、金型が大きくなるにつれ、焼入れ時に均一な組織を得難くなる。そのため、金型に必要な硬さが得られ難くなるといった問題も発生しやすくなる。
このように、焼入れ性、鏡面性を確保しつつ、冷却性を高めることは困難な状況であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、焼入れ性、鏡面性を確保しつつ冷却能力に優れたプラスチック成形金型用プリハードン鋼を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るプラスチック成形金型用プリハードン鋼は、質量%で、C:0.20%〜0.30%、Si:0.01%〜0.20%未満、Mn:1.00%〜2.00%、P:0.015%以下、Cu:0.25%以下、Ni:0.25%以下、Cr:2.00%〜2.50%、Mo:0.25%〜0.45%、V:0.05%〜0.20%、Al:0.030%以下、O:0.0100%以下、および、N:0.02%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、かつ、36〜42HRCに調質されてなることを要旨とする。
ここで、上記プラスチック成形金型用プリハードン鋼は、質量%で、S:0.001%〜0.20%、Se:0.001%〜0.3%、Te:0.001%〜0.3%、Ca:0.0002%〜0.10%、Pb:0.001%〜0.20%、および、Bi:0.001%〜0.30%から選択される1種または2種以上を含有していても良い。
また、上記プラスチック成形金型用プリハードン鋼は、質量%で、Ta:0.001%〜0.30%、Ti:0.20%以下、および、Zr:0.001%〜0.30%から選択される1種または2種以上を含有していても良い。
本発明に係るプラスチック成形金型用プリハードン鋼は、各成分の範囲が特定の範囲内とされている。そのため、焼入れ性が良好であり、金型材として適切な硬さに調質することができる。また、適切な硬さ(36〜42HRC)を有するので鏡面性にも優れる。さらに、各成分の範囲が特定の範囲内とされているので、焼入れ性、鏡面性を大きく損なうことなく熱伝導率を最大化することができ、冷却能力に優れる。
ここで、上記特定量のS、Se、Te、Ca、Pb、および、Biから選択される1種または2種以上を含有する場合には、靱性の低下を抑制しつつ、被削性を向上させることができる。そのため、金型の加工性向上に寄与できる。
また、上記特定量のTa、Ti、および、Zrから選択される1種または2種以上を含有する場合には、CやNと結合して炭窒化物を形成しやすくなり、結晶粒の粗大化が抑制される。また、被削性の劣化も生じ難い。そのため、金型の鏡面性、加工性向上に寄与できる。
以下に、本発明の一実施形態に係るプラスチック成形金型用プリハードン鋼(以下、「本プリハードン鋼」ということがある。)について詳細に説明する。
本プリハードン鋼は、以下のような元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる。その添加元素の種類、成分割合および限定理由などは、以下の通りである。なお、成分割合の単位は、質量%である。
・C:0.20%〜0.30%
Cは、強度、耐摩耗性を確保するのに必要な元素である。Cは、Cr、Mo、W、V等の炭化物形成元素と結合して炭化物を形成する。Cは、焼入れ時に母相中に固溶し、マルテンサイト組織化することによって硬度を確保するためにも必要である。その効果を得るため、C含有量の下限を0.20%以上とする。C含有量の下限は、好ましくは、0.25%以上であると良い。
C含有量が過剰になると、上記炭化物形成元素とCとが結合して粗大な炭化物を形成し、衝撃値が低下する。そのため、C含有量の上限を0.30%以下とする。
・Si:0.01%〜0.20%未満
Siは、主に脱酸剤、または、金型製造時の被削性を向上させる元素として添加される。その効果を得るため、Si含有量の下限を0.01%以上とする。
一方、Siの添加により熱伝導率が低下する。また、焼入れ焼戻し鋼の硬度は、焼入れ後の硬度と析出炭化物の分布による2次硬化によって決まる。そのため、焼入れ後に十分に硬度が得られる必要がある。Si含有量が過剰になると、Siがマトリクスに固溶し、他の炭化物の析出が促進され、CCT線図におけるパーライトノーズの位置が短時間側に移動したり、ベイナイト変態の開始温度が高くなったりし、とりわけ、冷却の遅くなる大型の金型の中心部の硬度を低下させる。これらの観点から、Si含有量の上限を0.20%未満とする。Si含有量の上限は、好ましくは、0.10%以下、より好ましくは、0.07%以下であると良い。
・Mn:1.00%〜2.00%
Mnは、焼入れ性の向上、オーステナイトの安定化のために添加される。その効果を得るため、Mn含有量の下限を1.00%以上とする。
Mn含有量が過剰になると、熱間加工性が低下する。そのため、Mn含有量の上限を2.00%以下とする。
・P:0.015%以下
Pは、鋼中に不可避的に含まれる。Pは、結晶粒界に偏析し、靱性を低下させる原因となる。そのため、P含有量の上限は、0.015%以下とする。
・Cu:0.25%以下
Cuは、オーステナイトを安定化させる元素である。但し、Cu含有量が過剰になると、熱間加工性が低下する。これを防止する観点から、Cu含有量の上限を0.25%以下とする。
・Ni:0.25%以下
Niは、オーステナイトを安定化させる元素である。但し、Ni含有量が過剰になると、焼きなまし性が低下し、硬度の調整が困難になる。そのため、Ni含有量の上限を0.25%以下とする。
・Cr:2.00%〜2.50%
Crは、耐食性を向上させる元素である。その効果を得るため、Cr含有量の下限を2.00%以上とする。
Cr含有量が過剰になると、熱伝導率が大きく低下する。これを防止する観点から、Cr含有量の上限を2.50%以下とする。
・Mo:0.25%〜0.45%
Moは、CCT線図におけるパーライトノーズを長時間側へ移行させる元素である。その効果を得るため、Mo含有量の下限を0.25%以上とする。
もっとも、Mo添加効果も次第に飽和する。そのため、Mo含有量の上限を0.45%以下とする。
・V:0.05%〜0.20%
Vは、Cと結合して炭化物を形成する。この炭化物は、結晶粒径の粗大化抑制に寄与する。その効果を得るため、V含有量の下限を0.05%以上とする。
V含有量が過剰になると、V炭化物が晶出し、成長するため、炭化物粒径が大きくなって鏡面性が低下する。これを防止する観点から、V含有量の上限を0.20%以下とする。
・Al:0.030%以下
Alは、脱酸剤として添加される元素である。但し、Al含有量が過剰になると、Oと結合して粗大な酸化物を形成し、鏡面性が低下する。そのため、Al含有量の上限を0.030%以下とする。
・O:0.0100%以下
Oは、溶鋼中に不可避的に含まれる元素である。但し、Oが過剰になると、Si、Alと結合して粗大な酸化物を生じ、これが介在物となって、靱性、鏡面性を低下させる。これを防止する観点から、O含有量の上限を0.0100%以下とする。
・N:0.02%以下
Nは、侵入型元素であり、マルテンサイト組織の硬さの上昇に寄与する。同じ侵入型元素の炭素に比べてγ安定化能が強い。但し、N含有量が過剰になると、凝固中の窒素の濃化により窒素ガス噴出の限界を超えてしまい、インゴット中にボイドを生じやすくなる。そのため、N含有量の上限を0.02%以下とする。
本プリハードン鋼は、上述した必須元素に加えて、さらに、以下の元素から選択される1種または2種以上の元素を任意に含有していても良い。各元素の成分割合、限定理由などは、次の通りである。
・S:0.001%〜0.20%、Se:0.001%〜0.3%、Te:0.001%〜0.3%、Ca:0.0002%〜0.10%、Pb:0.001%〜0.20%、Bi:0.001%〜0.30%
S、Se、Te、Ca、Pb、Biは、いずれも被削性を向上させるために添加することができる。その効果を得るため、S含有量の下限を、0.001%以上とする。同様に、Se含有量の下限を、0.001%以上とする。Te含有量の下限を、0.001%以上とする。Ca含有量の下限を、0.0002%以上とする。Pb含有量の下限を、0.001%以上とする。Bi含有量の下限を、0.001%以上とする。
S、Se、Te、Ca、Pb、Biの各含有量が過剰になると、靱性の低下を招く。これを防止する観点から、S含有量の上限を、0.20%以下、より好ましくは、0.050%以下とする。同様に、Se含有量の上限を、0.30%以下とする。Te含有量の上限を、0.30%以下とする。Ca含有量の上限を、0.10%以下とする。Pb含有量の上限を、0.20%以下とする。Bi含有量の上限を、0.30%以下とする。
・Ta:0.001%〜0.30%、Ti:0.20%以下、Zr:0.001%〜0.30%
Ta、Ti、Zrは、C、Nと結合して炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化を抑制して鏡面性を向上させるのに有効な元素である。その効果を得るため、Ta含有量の下限を、0.001%以上とする。同様に、Zr含有量の下限を、0.001%以上とする。なお、Ti含有量の下限は特に限定されない。
Ta、Ti、Zrの各含有量が過剰になると、被削性の劣化を招く。これを防止する観点から、Ta含有量の上限を、0.30%以下とする。同様に、Ti含有量の上限を、0.20%以下とする。Zr含有量の上限を、0.30%以下とする。
また、本プリハードン鋼は、その硬さ(ロックウェル硬さ)が、36〜42HRCの範囲内に調質されている。硬さが36HRC未満になると、硬度が不十分なため、面粗さが大きくなり、鏡面磨き性が低下する。一方、硬さが42HRCを越えると、硬くなり過ぎ、ハイスドリル等による穴あけなど、金型加工性が低下する。
上述した本プリハードン鋼は、例えば、以下のようにして好適に製造することができる。すなわち、先ず、上述した化学組成を有する鋼を真空誘導炉等にて溶製後、インゴットを鋳造する。
次いで、得られたインゴットを、熱間鍛造および/または熱間圧延して必要な寸法の鋼材に調整する。
次いで、上記熱間加工後、焼入れ、焼戻しを行い、所定の硬さに調質すれば良い。
上記焼入れとしては、例えば、900℃で1時間保持後、急冷する方法などを例示することができる。また、上記焼戻しとしては、例えば、上記焼入れ後、550℃で2時間保持後、空冷を2回処理する方法などを例示することができる。
本プリハードン鋼は、例えば、日用雑貨品、家電製品外装・内装・部品、OA機器外装・内装・部品、携帯電話外装、自動車やオートバイ等の内装部品や外装部品、およびその構造部材など、ライト類の反射板、光学レンズ、食品容器、医療機器、化粧容器、精密成型品(受板、ペットボトル成型母型、ゴム型類)、樹脂類、導光板、治工具類、プラスチック成形機内の治工具等の成形金型に適用することができる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
表1に示す化学組成(質量%)の鋼を真空誘導炉で溶製した後、50kgのインゴットを鋳造した。
鋳造後のインゴットを熱間鍛造し、60mm角の棒材を製造した。その後、当該棒材について、表2に示した条件で焼入焼戻しを行い、36〜42HRCの硬さに調質した。なお、硬度の測定は、棒材の一部を切り出して試験片(15mm×15mm×15mm)を作製し、ロックウェル硬度計により測定した。
次いで、得られた棒材から材料を切り出し、焼入れ性、熱伝導率、サイクルタイム、鏡面性を調査するための試験片を加工した。
<焼入れ性>
上記調質後の棒材から立方体状の試験片(12mm×12mm×12mm)を作製し、900℃で保持後、冷却速度5℃/分および2.5℃/分にて冷却し、鏡面まで研磨した後、エッチングし、光学顕微鏡(400倍)で組織観察を行ってパーライトの有無を確認した。パーライトが無かった場合を「○」、パーライトがあった場合を「×」とした。また、冷却後の硬度も併せて測定した。
<熱伝導率>
以下のレーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した。なお、表3の各熱伝導率の値は、比較鋼1の熱伝導率の実測値を100としたときの値である。
レーザーフラッシュ法により、熱伝導率λは、試料の比熱Cp・熱拡散率αを測定し、別に求めた密度ρを用いて以下の通り算出できる。すなわち、試料(試料重量:M、試料の厚さ:L)の表面にレーザー光を照射して熱エネルギーQを与え、その時の試料の裏面の温度変化ΔTを熱電対により測定する。試料の比熱Cpは、Cp=Q/(M×ΔT)[J/(kg・K)]より算出する。また、試料表面側に設置した赤外線検出器により、試料の温度変化の最大値の半分に達する時間(t1/2)を測定する。試料の熱拡散率αは、α=0.1388×L/(t1/2)[m/s]より算出する。これにより、試料の熱伝導率λは、λ=Cp×α×ρ[W/(m・K)]より算出することができる。
<サイクルタイム>
内径15mmの水冷孔を形成した外径55mmの試験片に10L/分で冷却水を流し、試験片の表面を300℃まで加熱した後、加熱を止めて100℃になるまでの冷却時間を測定した。
<鏡面性>
上記調質後の棒材から50mm×45mm×12mmの板材を加工し、熱処理を行った後に機械研磨により#5000の砥粒まで研磨し、試験片を作製した。そして、当該試験片の研磨面について、JIS B0633に準拠して表面粗さRzmaxを測定し、鏡面性の評価とした。
表1に、開発鋼、比較鋼の化学組成を示す。表2に、熱処理条件を示す。表3に、試験結果を示す。
Figure 2011132577
Figure 2011132577
Figure 2011132577
表1〜3を比較すると、以下のことが分かる。すなわち、比較鋼1は、Cu、Ni、Al含有量が本発明の規定範囲の上限を上回っている。そのため、熱伝導率が低い。
比較鋼2は、C含有量が本発明の規定範囲の下限を下回っている。そのため、硬度が低く、鏡面性を確保することが困難である。
比較鋼3は、Mn、Ni、Cr含有量が本発明の規定範囲の上限を上回っている。そのため、熱伝導率が低い。
比較鋼4は、C、Cr含有量が本発明の規定範囲の下限を下回っている。そのため、冷却速度が低下した場合の硬度が低く、大物品の製造が困難である。
比較鋼5は、Mn、Cr含有量が本発明の規定範囲の下限を下回っている。そのため、硬度が低く、鏡面性を確保することが困難である。
これら比較鋼に対し、開発鋼は、何れも、焼入れ性、鏡面性を確保しつつ冷却能力に優れている(熱伝導率が大きく、サイクルタイムも短い)ことが分かる。
上記結果から、本発明に係る開発鋼によれば、比較的大物(幅600mm以上厚み300mm以上)のプラスチック成形品であっても生産性良く成形することが可能なプラスチック成形用金型を得ることができることが確認できた。
以上、本発明の実施形態、実施例について説明した。本発明は、これらの実施形態、実施例に特に限定されることなく、種々の改変を行うことが可能である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C :0.20%〜0.30%、
    Si:0.01%〜0.20%未満、
    Mn:1.00%〜2.00%、
    P :0.015%以下、
    Cu:0.25%以下、
    Ni:0.25%以下、
    Cr:2.00%〜2.50%、
    Mo:0.25%〜0.45%、
    V :0.05%〜0.20%、
    Al:0.030%以下、
    O :0.0100%以下、および、
    N :0.02%以下、
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、かつ、
    36〜42HRCに調質されてなることを特徴とするプラスチック成形金型用プリハードン鋼。
  2. 質量%で、
    S :0.001%〜0.20%、
    Se:0.001%〜0.3%、
    Te:0.001%〜0.3%、
    Ca:0.0002%〜0.10%、
    Pb:0.001%〜0.20%、および、
    Bi:0.001%〜0.30%から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック成形金型用プリハードン鋼。
  3. 質量%で、
    Ta:0.001%〜0.30%、
    Ti:0.20%以下、および、
    Zr:0.001%〜0.30%から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック成形金型用プリハードン鋼。
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